JP2004056580A - チップアンテナ素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】移動体通信機器に内蔵容易となるように小型で薄型にでき、且つ広帯域特性を呈するようにする。
【解決手段】誘電体からなる絶縁基体12と、マイクロストリップ導体からなる放射電極14と、実装面に形成した給電用端子16及び固定用端子18と、給電用端子と放射電極とを接続する給電電極20を具備するチップアンテナ素子である。放射電極は、1箇所以上の折り返し部分を有し前記給電電極に接続されるミアンダ状導体22と、該ミアンダ状導体よりも導体幅が広く且つ基端が該ミアンダ状導体に接続され先端が開放されている幅広状導体24とからなる。幅広状導体は、基端と先端の中間部分に片側若しくは両側から切り込み26a,26bが形成されて局部的に導体幅が狭くなっている形状が好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】誘電体からなる絶縁基体12と、マイクロストリップ導体からなる放射電極14と、実装面に形成した給電用端子16及び固定用端子18と、給電用端子と放射電極とを接続する給電電極20を具備するチップアンテナ素子である。放射電極は、1箇所以上の折り返し部分を有し前記給電電極に接続されるミアンダ状導体22と、該ミアンダ状導体よりも導体幅が広く且つ基端が該ミアンダ状導体に接続され先端が開放されている幅広状導体24とからなる。幅広状導体は、基端と先端の中間部分に片側若しくは両側から切り込み26a,26bが形成されて局部的に導体幅が狭くなっている形状が好ましい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロストリップ導体からなる放射電極を有するチップアンテナ素子に関し、更に詳しく述べると、ミアンダ状導体と幅広状導体との組み合わせからなる放射電極を具備するチップアンテナ素子に関するものである。この技術は、移動体通信機器、特に携帯無線電話や無線LAN等に有用である。
【0002】
【従来の技術】
無線データ通信技術を利用する各種の移動体通信機器に内蔵するチップアンテナ素子としては、ヘリカル型やミアンダ型などがある。ヘリカル型は絶縁基体の内部にヘリカル状の導体を埋設した構造であり、ミアンダ型は絶縁基体の表面にミアンダ状導体を形成した構造である。
【0003】
その他、表面実装が可能なチップアンテナ素子としては、逆F型とよばれる構造もある。この逆F型は、絶縁基体の裏面に接地導体を設け、それに対向する面(表面)に放射電極を設け、放射電極とギャップにより絶縁した給電電極を設けた構造である。放射電極の形状も、矩形状のみならず台形状など種々提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、チップアンテナはロッドアンテナと比較すると帯域幅が狭く、広帯域化が課題である。ヘリカル型やミアンダ型のチップアンテナ素子を広帯域化する手法として、無給電素子を構成する方法があるが、追加素子分である無給電素子の形状の調整、及びアンテナ全体としての調整が困難である。
【0005】
また、逆F型のチップアンテナ素子においては、裏面に接地導体が設けられるため、その接地導体と放射電極との間の容量が大きくなり、周波数帯域が狭くなる。帯域幅を広げるためには、チップを厚くして対向面の距離を大きくしなければならず、小型化、薄型化の要求に反する。
【0006】
本発明の目的は、移動体通信機器などに内蔵容易となるなように小型で薄型にでき、且つ広帯域特性を呈するチップアンテナ素子を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、誘電体からなる絶縁基体と、マイクロストリップ導体からなる放射電極と、実装面に形成した給電用端子及び固定用端子と、給電用端子と放射電極とを接続する給電電極を具備するチップアンテナ素子において、放射電極は、1箇所以上の折り返し部分を有し前記給電電極に接続されるミアンダ状導体と、該ミアンダ状導体よりも導体幅が広く且つ基端が該ミアンダ状導体に接続され先端が開放されている幅広状導体とからなることを特徴とするチップアンテナ素子である。
【0008】
放射電極として、ミアンダ状導体の先端に幅広状導体を接続する形状としたことにより、ミアンダ状導体部分で共振する周波数と幅広状導体部分で共振する周波数の総合的な効果により、送受信しうる周波数帯域幅が広がる。
【0009】
放射電極の幅広状導体は、最も単純には矩形状でよい。その他、放射電極の幅広状導体は、基端から先端に向かっておおよそ段階的に幅が広がる形状、基端から先端に向かって台形状もしくはテーパ状に幅が広がる形状などとしてもよい。
【0010】
それらの幅広状導体の概略形状を前提として、基端と先端の中間部分に、片側若しくは両側から切り込みが形成されて局部的に幅を狭くするのが好ましい。このような形状にすると、リアクタンスが装荷された状態になり、電流の経路において回り込みが発生し、必要なインダクタンス成分が得られるため、素子全体の小型化を図ることができる。
【0011】
典型的な例では、放射電極は、実装面の対向面のみに形成されている。しかし放射電極は、実装面以外の2面以上にわたって形成してもよい。その他、放射電極が絶縁基体の内部に埋設されている構造でもよい。
【0012】
このようなチップアンテナ素子では、絶縁基体は、合成樹脂製の成形品でもよいが、セラミックスのシート積層体もしくは印刷積層体(いずれも焼結品)で構成することが好ましい。
【0013】
【実施例】
図1は本発明に係るチップアンテナ素子の一実施例を示す斜視図であり、図2はその各面の電極・導体形状を示す説明図である。このチップアンテナ素子10は、誘電体からなるチップ状の絶縁基体12に、マイクロストリップ導体からなる放射電極14と、実装面(図1では底面)に形成した給電用端子16及び固定用端子18と、該給電用端子16と前記放射電極14とを接続する給電電極20を形成した構造である。ここで給電用端子16は実装面の一隅に設け、固定用端子18は他の三隅に設ける。給電用端子16と放電電極14を接続する給電電極20は、絶縁基体12の一側面に形成する。
【0014】
本実施例では、放射電極14は、3箇所の折り返し部分を有し一端が前記給電電極20に接続されるミアンダ状導体22と、該ミアンダ状導体22よりも導体幅が広く且つ基端が該ミアンダ状導体22に接続され先端が開放されている幅広状導体24とからなる。その幅広状導体24は、おおよそ2段階で幅が広がる基本形状に対して、その基端と先端の中間部分(1段目の先端寄りの箇所)に両側から矩形状の切り込み26a,26bが形成されて、局部的に幅が狭くなっている形状である。このような放射電極14は、ここでは実装面に対向する(実装面と反対側の)面のみに形成されている。
【0015】
絶縁基体12は、セラミックスや合成樹脂などの誘電体からなる直方体状である。合成樹脂製の成形品でもよいが、セラミックス製の場合は、シート積層体もしくは印刷積層体で成形し焼成した構造が好ましい。各種の電極や端子などは、銀(Ag)等の電極材料を用いて形成する。例えば、銀ペーストで所定の形状にスクリーン印刷し、焼き付けることで形成する。なお、放射電極は、送受信する高周波信号の約1/4波長の電気長になるように形成する。
【0016】
チップアンテナ素子10は、図3に示すように、実装回路基板30に搭載される。実装回路基板30の端部に形成されている取り付け用ランド(図示せず)に固定用端子18を載せ、給電線路(50Ω)32の先端ランドに給電用端子16を載せて、半田付けによって接続固定する。
【0017】
このように放射電極として、1箇所以上の折り返し部分を有するミアンダ状導体の先端に、該ミアンダ状導体の幅よりも広い導体(幅広状導体)を接続する構造にすると、ミアンダ状導体の部分で共振する周波数と幅広状導体の部分で共振する周波数の総合的な効果により、送受信しうる周波数帯域幅を広くすることができる。
【0018】
従って、原理的には、幅広状導体24はミアンダ状導体22よりも広い導体幅を有していればよく、最も単純には図4に示すように、幅広状導体24を矩形状とすることである。その他、幅広状導体24は、図5のAに示すように、基端から先端に向かって段階的に幅が広がる形状、図5のBに示すように、基端から先端に向かって台形状に幅が広がる形状、もしくは図5のCに示すように、基端から先端に向かってテーパ状に幅が広がる形状などでもよい。
【0019】
前記放射電極において、幅広状導体の中間部分に切り込みを形成し局部的に幅の狭い形状にすると、リアクタンスが装荷された状態になり、電流の経路において回り込みが発生し、必要なインダクタンス成分が容易に得られるため、素子全体の小型化が図れる。このような切り込み形状は、図4あるいは図5に示されている形状の幅広状導体にも適用できる。その場合、片側のみに切り込みを形成してもよいし、両側から切り込みを形成してもよい。切り込みの面積を調整することにより、インピーダンス整合や周波数調整が可能となる。
【0020】
図6は、本発明に係るチップアンテナ素子の他の実施例を示す斜視図である。ここでは、放射電極14が、実装面以外の1面以上(ここでは実装面と対向する主面と1側面)にわたって形成されている。勿論、それ以外の側面にも形成してよい。この構成は、実質的に放射電極の形成面積が広がり、その電気長を長くできるため、小さな絶縁基体を用いても長波長(即ち低い周波数)に対応可能となり、チップアンテナ素子をより一層小型化できる。
【0021】
図7は、本発明に係るチップアンテナ素子の更に他の実施例を示す斜視図である。ここでは、放射電極14が、絶縁基体12の内部に埋設されている。このような構造は、絶縁基体がセラミックスのシート積層体もしくは印刷積層体からなる場合などに適用できる。放射電極を絶縁基体内部に形成した場合は、導体の周囲が誘電体で囲まれるため、絶縁基体表面に形成した場合に比べて、波長短縮効果が生じ、この構成によってもチップアンテナ素子のより一層の小型化が達成できる。
【0022】
次に、解析結果について説明する。図8は電圧定在波比(VSWR)特性を示している。これは無線LAN用のチップアンテナ素子であり、必要な帯域幅は、2.4〜2.5GHzの100MHzである。図8において、細線は従来品のVSWR特性、破線は本発明品aのVSWR特性、太線は本発明品bのVSWR特性をそれぞれ示す。なお図8中の従来品と本発明品a,bの放射電極形状は次の通りである。
従来品:ミアンダ型、即ちミアンダ状導体のみ
本発明品a:ミアンダ状導体と幅広状導体(矩形状)の組み合わせ(図4参照)本発明品b:ミアンダ状導体と幅広状導体(切り込み有り)の組み合わせ(図1参照)
【0023】
図8から分かるように、本発明品a,bは従来品に比べて帯域幅特性が大幅に改善され、帯域幅100MHzでの電圧定在波比が2以下となっている。本発明品aとbを比べると、本発明品bの方が本発明品aよりも帯域幅特性は良好である。
【0024】
図9は本発明に係るチップアンテナ素子(図1に示す構造)を実装回路基板に搭載した場合の放射指向性を数値計算した結果である。Aはx−z面での放射指向性を表し、Bはy−z面での放射指向性を表している。本発明に係るチップアンテナ素子では、絶縁基体の裏面には接地導体がないため、放射指向性が無指向性を示す面が得られる。従って機器の姿勢によらず安定した通信が可能となり、移動体端末への搭載に適していることが確認できた。
【0025】
【発明の効果】
本発明は上記のように、放射電極が、1箇所以上の折り返し部分を有し給電電極に接続されるミアンダ状導体と、該ミアンダ状導体よりも導体幅が広く且つ基端が該ミアンダ状導体に接続され先端が開放されている幅広状導体とからなるため、ミアンダ状導体部分で共振する周波数と幅広状導体部分で共振する周波数の総合的な効果により、小型且つ薄型でありながら広帯域特性を発現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るチップアンテナ素子の一実施例を示す斜視図。
【図2】その各面の説明図。
【図3】その実装回路基板への実装状態を示す説明図。
【図4】放射電極の他の例を示す説明図。
【図5】放射電極の更に他の例を示す説明図。
【図6】本発明に係るチップアンテナ素子の他の実施例を示す斜視図。
【図7】本発明に係るチップアンテナ素子の更に他の実施例を示す斜視図。
【図8】電圧定在波比(VSWR)特性図。
【図9】放射指向性の説明図。
【符号の説明】
10 チップアンテナ素子
12 絶縁基体
14 放射電極
16 給電用端子
18 固定用端子
20 給電電極
22 ミアンダ状導体
24 幅広状導体
26a,26b 切り込み
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロストリップ導体からなる放射電極を有するチップアンテナ素子に関し、更に詳しく述べると、ミアンダ状導体と幅広状導体との組み合わせからなる放射電極を具備するチップアンテナ素子に関するものである。この技術は、移動体通信機器、特に携帯無線電話や無線LAN等に有用である。
【0002】
【従来の技術】
無線データ通信技術を利用する各種の移動体通信機器に内蔵するチップアンテナ素子としては、ヘリカル型やミアンダ型などがある。ヘリカル型は絶縁基体の内部にヘリカル状の導体を埋設した構造であり、ミアンダ型は絶縁基体の表面にミアンダ状導体を形成した構造である。
【0003】
その他、表面実装が可能なチップアンテナ素子としては、逆F型とよばれる構造もある。この逆F型は、絶縁基体の裏面に接地導体を設け、それに対向する面(表面)に放射電極を設け、放射電極とギャップにより絶縁した給電電極を設けた構造である。放射電極の形状も、矩形状のみならず台形状など種々提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、チップアンテナはロッドアンテナと比較すると帯域幅が狭く、広帯域化が課題である。ヘリカル型やミアンダ型のチップアンテナ素子を広帯域化する手法として、無給電素子を構成する方法があるが、追加素子分である無給電素子の形状の調整、及びアンテナ全体としての調整が困難である。
【0005】
また、逆F型のチップアンテナ素子においては、裏面に接地導体が設けられるため、その接地導体と放射電極との間の容量が大きくなり、周波数帯域が狭くなる。帯域幅を広げるためには、チップを厚くして対向面の距離を大きくしなければならず、小型化、薄型化の要求に反する。
【0006】
本発明の目的は、移動体通信機器などに内蔵容易となるなように小型で薄型にでき、且つ広帯域特性を呈するチップアンテナ素子を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、誘電体からなる絶縁基体と、マイクロストリップ導体からなる放射電極と、実装面に形成した給電用端子及び固定用端子と、給電用端子と放射電極とを接続する給電電極を具備するチップアンテナ素子において、放射電極は、1箇所以上の折り返し部分を有し前記給電電極に接続されるミアンダ状導体と、該ミアンダ状導体よりも導体幅が広く且つ基端が該ミアンダ状導体に接続され先端が開放されている幅広状導体とからなることを特徴とするチップアンテナ素子である。
【0008】
放射電極として、ミアンダ状導体の先端に幅広状導体を接続する形状としたことにより、ミアンダ状導体部分で共振する周波数と幅広状導体部分で共振する周波数の総合的な効果により、送受信しうる周波数帯域幅が広がる。
【0009】
放射電極の幅広状導体は、最も単純には矩形状でよい。その他、放射電極の幅広状導体は、基端から先端に向かっておおよそ段階的に幅が広がる形状、基端から先端に向かって台形状もしくはテーパ状に幅が広がる形状などとしてもよい。
【0010】
それらの幅広状導体の概略形状を前提として、基端と先端の中間部分に、片側若しくは両側から切り込みが形成されて局部的に幅を狭くするのが好ましい。このような形状にすると、リアクタンスが装荷された状態になり、電流の経路において回り込みが発生し、必要なインダクタンス成分が得られるため、素子全体の小型化を図ることができる。
【0011】
典型的な例では、放射電極は、実装面の対向面のみに形成されている。しかし放射電極は、実装面以外の2面以上にわたって形成してもよい。その他、放射電極が絶縁基体の内部に埋設されている構造でもよい。
【0012】
このようなチップアンテナ素子では、絶縁基体は、合成樹脂製の成形品でもよいが、セラミックスのシート積層体もしくは印刷積層体(いずれも焼結品)で構成することが好ましい。
【0013】
【実施例】
図1は本発明に係るチップアンテナ素子の一実施例を示す斜視図であり、図2はその各面の電極・導体形状を示す説明図である。このチップアンテナ素子10は、誘電体からなるチップ状の絶縁基体12に、マイクロストリップ導体からなる放射電極14と、実装面(図1では底面)に形成した給電用端子16及び固定用端子18と、該給電用端子16と前記放射電極14とを接続する給電電極20を形成した構造である。ここで給電用端子16は実装面の一隅に設け、固定用端子18は他の三隅に設ける。給電用端子16と放電電極14を接続する給電電極20は、絶縁基体12の一側面に形成する。
【0014】
本実施例では、放射電極14は、3箇所の折り返し部分を有し一端が前記給電電極20に接続されるミアンダ状導体22と、該ミアンダ状導体22よりも導体幅が広く且つ基端が該ミアンダ状導体22に接続され先端が開放されている幅広状導体24とからなる。その幅広状導体24は、おおよそ2段階で幅が広がる基本形状に対して、その基端と先端の中間部分(1段目の先端寄りの箇所)に両側から矩形状の切り込み26a,26bが形成されて、局部的に幅が狭くなっている形状である。このような放射電極14は、ここでは実装面に対向する(実装面と反対側の)面のみに形成されている。
【0015】
絶縁基体12は、セラミックスや合成樹脂などの誘電体からなる直方体状である。合成樹脂製の成形品でもよいが、セラミックス製の場合は、シート積層体もしくは印刷積層体で成形し焼成した構造が好ましい。各種の電極や端子などは、銀(Ag)等の電極材料を用いて形成する。例えば、銀ペーストで所定の形状にスクリーン印刷し、焼き付けることで形成する。なお、放射電極は、送受信する高周波信号の約1/4波長の電気長になるように形成する。
【0016】
チップアンテナ素子10は、図3に示すように、実装回路基板30に搭載される。実装回路基板30の端部に形成されている取り付け用ランド(図示せず)に固定用端子18を載せ、給電線路(50Ω)32の先端ランドに給電用端子16を載せて、半田付けによって接続固定する。
【0017】
このように放射電極として、1箇所以上の折り返し部分を有するミアンダ状導体の先端に、該ミアンダ状導体の幅よりも広い導体(幅広状導体)を接続する構造にすると、ミアンダ状導体の部分で共振する周波数と幅広状導体の部分で共振する周波数の総合的な効果により、送受信しうる周波数帯域幅を広くすることができる。
【0018】
従って、原理的には、幅広状導体24はミアンダ状導体22よりも広い導体幅を有していればよく、最も単純には図4に示すように、幅広状導体24を矩形状とすることである。その他、幅広状導体24は、図5のAに示すように、基端から先端に向かって段階的に幅が広がる形状、図5のBに示すように、基端から先端に向かって台形状に幅が広がる形状、もしくは図5のCに示すように、基端から先端に向かってテーパ状に幅が広がる形状などでもよい。
【0019】
前記放射電極において、幅広状導体の中間部分に切り込みを形成し局部的に幅の狭い形状にすると、リアクタンスが装荷された状態になり、電流の経路において回り込みが発生し、必要なインダクタンス成分が容易に得られるため、素子全体の小型化が図れる。このような切り込み形状は、図4あるいは図5に示されている形状の幅広状導体にも適用できる。その場合、片側のみに切り込みを形成してもよいし、両側から切り込みを形成してもよい。切り込みの面積を調整することにより、インピーダンス整合や周波数調整が可能となる。
【0020】
図6は、本発明に係るチップアンテナ素子の他の実施例を示す斜視図である。ここでは、放射電極14が、実装面以外の1面以上(ここでは実装面と対向する主面と1側面)にわたって形成されている。勿論、それ以外の側面にも形成してよい。この構成は、実質的に放射電極の形成面積が広がり、その電気長を長くできるため、小さな絶縁基体を用いても長波長(即ち低い周波数)に対応可能となり、チップアンテナ素子をより一層小型化できる。
【0021】
図7は、本発明に係るチップアンテナ素子の更に他の実施例を示す斜視図である。ここでは、放射電極14が、絶縁基体12の内部に埋設されている。このような構造は、絶縁基体がセラミックスのシート積層体もしくは印刷積層体からなる場合などに適用できる。放射電極を絶縁基体内部に形成した場合は、導体の周囲が誘電体で囲まれるため、絶縁基体表面に形成した場合に比べて、波長短縮効果が生じ、この構成によってもチップアンテナ素子のより一層の小型化が達成できる。
【0022】
次に、解析結果について説明する。図8は電圧定在波比(VSWR)特性を示している。これは無線LAN用のチップアンテナ素子であり、必要な帯域幅は、2.4〜2.5GHzの100MHzである。図8において、細線は従来品のVSWR特性、破線は本発明品aのVSWR特性、太線は本発明品bのVSWR特性をそれぞれ示す。なお図8中の従来品と本発明品a,bの放射電極形状は次の通りである。
従来品:ミアンダ型、即ちミアンダ状導体のみ
本発明品a:ミアンダ状導体と幅広状導体(矩形状)の組み合わせ(図4参照)本発明品b:ミアンダ状導体と幅広状導体(切り込み有り)の組み合わせ(図1参照)
【0023】
図8から分かるように、本発明品a,bは従来品に比べて帯域幅特性が大幅に改善され、帯域幅100MHzでの電圧定在波比が2以下となっている。本発明品aとbを比べると、本発明品bの方が本発明品aよりも帯域幅特性は良好である。
【0024】
図9は本発明に係るチップアンテナ素子(図1に示す構造)を実装回路基板に搭載した場合の放射指向性を数値計算した結果である。Aはx−z面での放射指向性を表し、Bはy−z面での放射指向性を表している。本発明に係るチップアンテナ素子では、絶縁基体の裏面には接地導体がないため、放射指向性が無指向性を示す面が得られる。従って機器の姿勢によらず安定した通信が可能となり、移動体端末への搭載に適していることが確認できた。
【0025】
【発明の効果】
本発明は上記のように、放射電極が、1箇所以上の折り返し部分を有し給電電極に接続されるミアンダ状導体と、該ミアンダ状導体よりも導体幅が広く且つ基端が該ミアンダ状導体に接続され先端が開放されている幅広状導体とからなるため、ミアンダ状導体部分で共振する周波数と幅広状導体部分で共振する周波数の総合的な効果により、小型且つ薄型でありながら広帯域特性を発現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るチップアンテナ素子の一実施例を示す斜視図。
【図2】その各面の説明図。
【図3】その実装回路基板への実装状態を示す説明図。
【図4】放射電極の他の例を示す説明図。
【図5】放射電極の更に他の例を示す説明図。
【図6】本発明に係るチップアンテナ素子の他の実施例を示す斜視図。
【図7】本発明に係るチップアンテナ素子の更に他の実施例を示す斜視図。
【図8】電圧定在波比(VSWR)特性図。
【図9】放射指向性の説明図。
【符号の説明】
10 チップアンテナ素子
12 絶縁基体
14 放射電極
16 給電用端子
18 固定用端子
20 給電電極
22 ミアンダ状導体
24 幅広状導体
26a,26b 切り込み
Claims (9)
- 誘電体からなる絶縁基体と、マイクロストリップ導体からなる放射電極と、実装面に形成した給電用端子及び固定用端子と、給電用端子と放射電極とを接続する給電電極を具備するチップアンテナ素子において、
放射電極は、1箇所以上の折り返し部分を有し前記給電電極に接続されるミアンダ状導体と、該ミアンダ状導体よりも導体幅が広く且つ基端が該ミアンダ状導体に接続され先端が開放されている幅広状導体とからなることを特徴とするチップアンテナ素子。 - 幅広状導体が矩形状をなしている請求項1記載のチップアンテナ素子。
- 幅広状導体が、基端から先端に向かってほぼ段階的に幅が広がる形状をなしている請求項1記載のチップアンテナ素子。
- 幅広状導体が、基端から先端に向かってほぼ台形状もしくはテーパ状に幅が広がる形状をなしている請求項1記載のチップアンテナ素子。
- 幅広状導体の基端と先端との中間部に、片側若しくは両側から切り込みが形成されて局部的に幅が狭くなっている形状をなしている請求項1乃至4のいずれかに記載のチップアンテナ素子。
- 放射電極が、実装面以外の1面以上にわたって形成されている請求項1乃至5のいずれかに記載のチップアンテナ素子。
- 放射電極が、実装面の対向面のみに形成されている請求項1乃至5のいずれかに記載のチップアンテナ素子。
- 放射電極が、絶縁基体の内部に埋設されている請求項1乃至5のいずれかに記載のチップアンテナ素子。
- 絶縁基体がセラミックスのシート積層体もしくは印刷積層体からなる請求項1乃至8のいずれかに記載のチップアンテナ素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002212669A JP2004056580A (ja) | 2002-07-22 | 2002-07-22 | チップアンテナ素子 |
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---|---|---|---|
JP2002212669A JP2004056580A (ja) | 2002-07-22 | 2002-07-22 | チップアンテナ素子 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
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- 2002-07-22 JP JP2002212669A patent/JP2004056580A/ja active Pending
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