JP2004055904A - 半導体デバイスおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】SLS法を利用してさらに大粒径の多結晶シリコン膜を得るため、レーザ照射領域中央部における微結晶の発生を軽減し、結晶成長長さを長くするための半導体デバイスおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】基板上に、少なくとも第一の低熱伝導率薄膜、高熱伝導率薄膜、第二の低熱伝導率薄膜、および半導体膜が、該順序にてそれぞれ積層形成されている半導体デバイスであって、該第一の低熱伝導率薄膜の熱伝導率が該基板の熱伝導率よりも低く、かつ該高熱伝導率薄膜の熱伝導率が、該第一の低熱伝導率薄膜、および該第二の低熱伝導率薄膜の熱伝導率よりも高いことを特徴とする半導体デバイスを提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】基板上に、少なくとも第一の低熱伝導率薄膜、高熱伝導率薄膜、第二の低熱伝導率薄膜、および半導体膜が、該順序にてそれぞれ積層形成されている半導体デバイスであって、該第一の低熱伝導率薄膜の熱伝導率が該基板の熱伝導率よりも低く、かつ該高熱伝導率薄膜の熱伝導率が、該第一の低熱伝導率薄膜、および該第二の低熱伝導率薄膜の熱伝導率よりも高いことを特徴とする半導体デバイスを提供する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体デバイスおよびその製造方法に関し、特に、SLS法を利用してさらに大粒径の多結晶シリコン膜を得るため、レーザ照射領域中央部における微結晶の発生を軽減し、結晶成長長さを長くするための半導体デバイスおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、アクティブマトリクス方式の液晶ディスプレイ(LCD;LiquidCrystal Display)が高画質な表示装置として注目されている。そのアクティブマトリクス方式LCDの画素駆動素子(画素駆動用トランジスタ)として、透明絶縁基板上に形成された多結晶シリコン膜をアクティブチャネル領域に用いた多結晶シリコンTFTの開発が進められている。
【0003】
多結晶シリコンTFTは、アモルファスシリコン膜をアクティブチャネル領域に用いたアモルファスシリコンTFTに比べ、以下のような利点がある。
【0004】
まず、多結晶シリコン膜の電界効果移動度はアモルファスシリコン膜に比べて二桁以上大きいので、TFTゲート幅を小さく微細化しても十分な画素書き込みができる。このため、画面の解像度を上げ画素を細かくしても大きな開口率が得られるので、高精細かつ高輝度な表示装置を提供することができる。
【0005】
またTFTの動作速度も二桁以上速くなるので、画素部(表示部)だけでなく周辺駆動回路(ドライバ)、DRAM、SRAMなどのメモリやプロセッサまでも同一基板上に一体にして形成することができる。このため、別にドライバICや駆動回路基板を表示装置に実装する必要がなくなるので、コスト低減が可能となる。
【0006】
この多結晶シリコン膜は、例えば堆積しているアモルファス又は微結晶シリコンからなる半導体膜をエキシマレーザで結晶化(ELA:Excimer Laser Anneal)することにより得られる。ELA法は、図4に示すような絶縁性基板2、酸化シリコンからなる絶縁膜7、半導体膜5から構成された構造(この構造を今後従来構造1と呼ぶ)の半導体デバイスに対し、一定速度で走査しながら、長さ200〜400mm、幅0.2〜1.0mm程度の線状レーザビーム8を半導体膜5の上面に連続的に照射する方法が一般的である。このときレーザを照射した部分の半導体膜は、厚さ方向全域にわたって溶融するのではなく、一部の半導体膜領域を残したまま溶融する。このため、未溶融領域と溶融領域との界面全面において、いたるところに結晶核が発生し、半導体膜最表層に向かって結晶が成長し、ランダムな方位の結晶粒が形成されるため、結晶粒径は100〜200nmと非常に小さくなる。
【0007】
多結晶シリコン膜の結晶粒界には、不対電子が多数存在するためポテンシャル障壁を形成し、キャリアの強い散乱体として作用する。従って結晶粒界が少ない、つまり結晶粒径が大きい多結晶シリコン膜で形成されたTFTほど、一般に電界効果移動度は高くなる。
【0008】
しかしながら、従来のELA法では前述のように、未溶融領域と溶融領域との界面のランダムな位置において結晶化が起こる縦方向結晶成長であるので、大粒径の多結晶シリコン膜を得ることは難しいため、電界効果移動度の高いTFTを得ることが困難であった。
【0009】
そこで図3に示すようなレーザ加工装置を用いることで、特表2000−505241に記載されているように、「基板上の半導体材料の膜に横方向に延在する結晶領域を形成するに当たり、(i)半導体材料中に熱を誘導するパルス状の放射を用い、前記膜の第1の部分を露光してその厚さにわたって第1の部分の半導体材料を溶融し、(ii)前記第1の部分の半導体を凝固させ、前記第1の部分の境界部分に少なくとも1個の半導体結晶を形成し、この第1の部分を次の処理に対する以前の部分とし、(iii)前記以前の部分からステップ移動方向にステップ移動すると共に少なくとも1個の半導体結晶と部分的に重なり合う半導体の別の部分を露光し、(iv)前記別の部分の溶融した半導体材料を凝固させ、半導体結晶をステップ移動方向に成長させることにより半導体結晶を拡大させ、(v)工程(iii)と(iv)の組合せを繰り返し、所望の結晶領域が形成されるまで、各工程の別の部分を次の工程に対して以前の部分とする方法。」、いわゆる連続横方向結晶成長(SLS:Sequential LateralSolidification)法が提案されている。前記公表公報に記載の方法は、微細幅のパルスレーザを半導体膜に照射し、半導体膜をレーザ照射領域の厚さ方向全域にわたって溶融および凝固させて結晶化を行うものである。
【0010】
図4に示すような、基板上に酸化シリコン膜および半導体薄膜が該順序にて積層された半導体デバイスに対し、1回のパルス照射で形成された針状結晶組織の模式図を図2(b)に示す。例えば、2〜10μmの微細幅のレーザ照射によって、レーザ照射領域が溶融し、未溶融領域と溶融領域との界面から横方向、すなわち基板に水平な方向に結晶成長し、溶融領域中央部において発生した微結晶と、両側から成長した結晶が衝突し、成長が終了する。
【0011】
SLS法において、1回のパルス照射で成長する結晶の長さは、例えば、基板温度300℃において、波長308nmのエキシマレーザを照射した場合には、1〜1.2μm程度と、従来のELA法に比べ非常に大きくなることが知られている(応用物理学会結晶工学分科会第112回研究会テキスト、19〜25頁)。さらにSLS法において、位相シフトマスクを用いるなどして放射照度の分布(ビームプロファイル)を工夫することで、結晶成長方向を制御し、結晶粒界の数を減らす方法もある。
【0012】
ところで、従来のELA法において、レーザ照射後の半導体膜の凝固速度を低下させることで、大きな結晶粒を得る手法も考案されている(特開平10−150200号公報を参照のこと)。この特開平10−150200号公開公報に記載の方法は、図5に示すように、絶縁性基板2上に耐熱性高分子膜3aを形成し、この耐熱性高分子膜3aの上に絶縁膜6を形成し、この絶縁膜6の上に半導体膜5を形成し(この構造を今後従来構造2と呼ぶ)、この半導体膜5にレーザ8を照射して半導体膜を溶融し結晶化させる構成である。耐熱性高分子膜3aの熱伝導率が絶縁性基板2としてよく用いられる石英ガラスの熱伝導率よりも小さいため、耐熱性高分子膜3aの断熱効果により、レーザ照射により溶解した半導体膜5の熱エネルギがほとんど絶縁膜6に蓄積され、これにより半導体膜5の凝固速度が従来より低下し、結果として大きな結晶粒の半導体結晶を得ることができる。
【0013】
しかしながら、SLS法において、1回のパルス照射を行った際に未溶融領域と溶融領域との界面から横方向に成長する結晶は、ELA法よりは大きく成長するものの、溶融領域中央部から発生した微結晶に阻まれてその成長が抑制されていた。このような、溶融領域中央部に微結晶が発生し、結晶成長が抑制された状態を図2(b)に示す。図2(b)において、レーザ照射されたスリット状の領域の中央部には、微結晶10が発生しており、結晶9の結晶成長長さ18はスリットの端から前記微結晶領域までの長さとなり、結晶成長がそこで止まってしまっている。このことは、次の理由に起因する。一般的に、冷却による結晶化は、物体の温度がその融点を下まわった時に生じ、その時に周囲に結晶成長の種となる結晶と、結晶成長に必要な時間があれば、前記結晶を種として結晶化して結晶成長する。しかし、逆に種となる結晶が無いか、または冷却速度が速く、結晶成長に必要な時間が無い場合は、微結晶となってしまう。上記SLS法においては、結晶9が中央に向けて結晶成長するとほぼ同時または結晶成長する前に中央部の温度が融点を下回り、結晶化してしまったためと考えられる。すなわち、結晶9の先端19が融点を下回るとほぼ同時または下回るより前に中央部の方が先に融点を下回ったのである。
【0014】
SLS法の目的からして、一回のレーザ照射による結晶成長長さ18はできるだけ長い方が望ましい。しかしながら、スリットの幅を広くしても、微結晶領域10の幅が広くなるだけで、結晶成長長さ18はある程度以上長くなることは無い。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、図2(a)のように中央の微結晶10を発生させないかまたは発生量をできるだけ少なくして、結晶成長長さ18を長くする方法、具体的には、スリットの端側から速やかに熱を廃熱することにより、スリットの端側の温度を早く下げるようにし、端から中央に向けて順次融点を下まわるような方法を提供することである。さらに本発明は、SLS法を利用してさらに大粒径の多結晶シリコン膜を得るため、レーザ照射領域中央部における微結晶の発生が軽減されて結晶成長長さが伸長された半導体デバイスおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
ある局面では、本発明の半導体デバイスは、基板上に、少なくとも第一の低熱伝導率薄膜、高熱伝導率薄膜、第二の低熱伝導率薄膜、および半導体膜が、該順序にて形成されており、該第一の低熱伝導率薄膜の熱伝導率が該基板の熱伝導率よりも低く、かつ該高熱伝導率薄膜の熱伝導率が、該第一の低熱伝導率薄膜、および該第二の低熱伝導率薄膜の熱伝導率よりも高い。
【0017】
好ましくは、該第一の低熱伝導率薄膜は、耐熱性高分子膜であり、該高熱伝導率薄膜は、窒化アルミニウム、窒化シリコン、窒化アルミニウムと窒化シリコンの混合物、酸化マグネシウム、および酸化セリウムのいずれかで形成され、かつ該高熱伝導率薄膜の膜厚は、10〜150nmであり、該第二の低熱伝導率薄膜は、酸化シリコンで形成されている。
【0018】
好ましくは、該第一の低熱伝導率薄膜と該高熱伝導率薄膜との間に、前記第一の低熱伝導率薄膜および前記高熱伝導率薄膜のいずれとも異なる薄膜が形成されている。
【0019】
別の局面では、本発明は、基板上に、少なくとも第一の低熱伝導率薄膜、高熱伝導率薄膜、第二の低熱伝導率薄膜、および半導体デバイスが該順序にて積層形成されている半導体デバイスの製造方法を提供し、該方法は、
基板上に、該基板の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する第一の低熱伝導率薄膜を形成する工程と、
該第一の低熱伝導率薄膜の上に、該第一の低熱伝導率薄膜、前記第二の低熱伝導率薄膜の伝導率よりも高い熱伝導率を有する高熱伝導率薄膜を形成する工程と、
該高熱伝導率薄膜の上に、第二の低熱伝導率薄膜を形成する工程と、
該第二の低熱伝導率薄膜の上に、半導体膜を形成する工程と、
パルス放射するスリット状エネルギビームを該半導体膜に照射することにより、前記半導体膜を結晶化する工程と、
を包含する。
【0020】
別の局面では、本発明は、基板上に、少なくとも第一の低熱伝導率薄膜、薄膜、高熱伝導率薄膜、第二の低熱伝導率薄膜、および半導体デバイスが該順序にて積層形成されている半導体デバイスの製造方法を提供し、該方法は、
基板上に、該基板の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する第一の低熱伝導率薄膜を形成する工程と、
該第一の低熱伝導率薄膜の上に、前記第一の低熱伝導率薄膜および高熱伝導率薄膜のいずれとも異なる薄膜を形成する工程と、
該薄膜の上に、前記第一の低熱伝導率薄膜、前記薄膜、前記第二の低熱伝導率薄膜の伝導率よりも高い熱伝導率を有する高熱伝導率薄膜を形成する工程と、
該高熱伝導率薄膜の上に、第二の低熱伝導率薄膜を形成する工程と、
該第二の低熱伝導率薄膜の上に、半導体膜を形成する工程と、
パルス放射するスリット状エネルギビームを該半導体膜に照射することにより、前記半導体膜を結晶化する工程と、
を包含する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、実施形態により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0022】
本実施形態は、図1に示すように、基板2上に第一の低熱伝導率薄膜3aを形成し、該第一の低熱伝導率薄膜3a上に高熱伝導率薄膜4を形成し、高熱伝導率薄膜4上に第二の低熱伝導率薄膜3bを形成し、第二の低熱伝導率薄膜3b上に半導体薄膜5を形成したあと、半導体膜5をSLS法により結晶化することを特徴としている。ここで、前記第一の低熱伝導率薄膜の熱伝導率は、前記基板の熱伝導率よりも低く、かつ、前記高熱伝導率薄膜の熱伝導率は、前記第一の低熱伝導率薄膜、前記第二の低熱伝導率薄膜の熱伝導率よりも高い。このような構成にすることにより、レーザー照射によって半導体膜に蓄積された熱は、その直下の第二の低熱伝導率薄膜、さらにその直下の高熱伝導率薄膜へ伝導し、次いで高熱伝導率薄膜の内部を通って左右へ伝導し廃熱されるため、高熱伝導率薄膜中に温度勾配ができる。そのため、スリットの端が最初に融点を下回り、端から中央に向けて順次融点を下まわり、中央部が最後に融点を下回るように冷却される。したがって、半導体膜の結晶化は、スリットの端から始まり、端から中央に向けて順次結晶成長が進行し、中央部で終結するようになる。その結果、従来のSLS法において生じていた中央部の微結晶は発生しにくく、結晶成長長さ18は、飛躍的に向上する。本明細書中において、結晶成長長さとは、図2に示すように、矢印18の長さに亘る距離、すなわち、パルスレーザの照射によって成長した結晶において、その溶融領域と未溶融領域との界面から、結晶成長が完結した地点19までの距離をいう。
【0023】
(薄膜の積層形成工程)
以下に、前記順序すなわち、基板2から上方に向かって第一の低熱伝導率薄膜、高熱伝導率薄膜、第二の低熱伝導率薄膜、および半導体膜の順番で、絶縁性基板2上に該複数の薄膜を積層形成する方法について説明する。
【0024】
まず、基板2上に第一の低熱伝導率薄膜3aを形成する。基板2としては、ガラス基板や石英基板等を用いることができるが、安価である点、大面積基板を容易に製造できる点でガラス基板を用いることが好ましい。また、絶縁性を有していることが好ましい。第一の低熱伝導率薄膜3aは、膜厚が100nm〜500nm、好ましくは、150nm〜300nmとなるように、塗布法、プラズマエンハンスド化学気相堆積(PECVD)などにより基板2上に積層される。本発明において使用される第一の低熱伝導率薄膜3aとしては、熱伝導率が1.0(W/mK)以下、好ましくは0.3(W/mK)以下の耐熱性高分子膜であれば特に限定されない。本明細書中において、耐熱性高分子膜とは、パルスレーザーの照射により発生した熱によって、その物理的および化学的性質が変わらない高分子膜をいい、使用可能な耐熱性高分子膜3aとしては、例えばエチル(C2H5)基、プロピル(C3H7)基、ブチル(C4H9)基、ビニル(C2H3)基、フェニル(C6H5)基、CF3基のいずれかを含有する、耐熱性が高くかつ熱伝導率の低い有機含有シリコン酸化物が挙げられる。また、耐熱性高分子膜3aの熱伝導率をさらに低下させるために、耐熱性高分子膜3aがポーラス構造を有することが好ましい。
【0025】
次に、第一の低熱伝導率薄膜3a上に高熱伝導率薄膜4を形成する。本発明において使用する高熱伝導率薄膜は、10W/mK以上、好ましくは、20W/mK以上の熱伝導率を有するものがよい。高熱伝導率薄膜4は、膜厚が、10〜150nm、好ましくは15〜120nmとなるように、蒸着、イオンプレーティング、又はスパッタリングなどにより積層される。膜厚が10nm未満であると、パルスを照射した際に該膜の横方向に亘る温度勾配が小さくなり、結晶化工程の際に粒径の大きい多結晶を得ることができず、一方で、150nmを超える場合には、パルス照射した際に発生した熱エネルギが分散してしまい、良好な温度勾配を得ることが困難である。使用可能な高熱伝導率薄膜4としては、図7に示すように、窒化アルミニウム、窒化シリコン、窒化アルミニウムと窒化シリコンの混合物、酸化マグネシウム、および酸化セリウム等が挙げられるが、これらに限定されず、耐熱性高分子膜3aの熱伝導率(0.3W/mK)、および第二の低熱伝導率薄膜3bである酸化シリコン膜の熱伝導率(1.4W/mK)に比較して非常に高い熱伝導率を有していれば同等の効果を得ることができる。好ましくは、該高熱伝導率薄膜を挟持する薄膜の熱伝導率よりも、少なくとも3倍以上、より好ましくは、7倍以上の熱伝導率を有する。本発明においては、窒化アルミニウムがより好適に使用される。
【0026】
次に、高熱伝導率薄膜4上に第二の低熱伝導率薄膜3bを形成する。第二の低熱伝導率薄膜3bは膜厚が10〜100nm、好ましくは15〜80nmとなるように、蒸着、イオンプレーティング、又はスパッタリングなどにより積層される。第二の低熱伝導率薄膜3bの熱伝導率は、10W/mK以下、好ましくは、2W/mK以下の範囲であればよく、このような熱伝導率を有する使用可能な低熱伝導率薄膜としては、酸化シリコン膜、窒化シリコン、酸化窒化シリコンなどが挙げられる。本発明においては、酸化シリコン膜が好適に使用され、その熱伝導率は、約1.4W/mKである。また、酸化シリコン膜はその下層である高熱伝導率薄膜などの物質がレーザ照射による融解した半導体薄膜に溶け込み、不純物として半導体の物性に悪影響をおよぼさないようにするためのバリアとしても、好適である。また、絶縁性であるため、半導体膜に回路を形成する際に好都合である。
【0027】
次に、第二の低熱伝導率薄膜3b上に半導体膜5を形成する。半導体膜5は、膜厚が10nm〜100nm、好ましくは30nm〜60nmとなるように、プラズマエンハンスド化学気相堆積(PECVD)、蒸着、又はスパッタリングなどにより積層される。本発明においては、半導体膜として、アモルファスシリコンが好適に使用される。また、半導体膜5は、非晶質に限らず微結晶や多結晶などの結晶性半導体膜でもよい。
【0028】
また、本発明においては、図6に示すように、前記第一の低熱伝導率薄膜と前記高熱伝導率薄膜との間に、これら2つの薄膜のいずれとも異なる薄膜を挿入することができる。すなわち、前記第一の低熱伝導率薄膜を積層形成した後、前記高熱伝導率薄膜を積層形成する前に、10nm〜100nm、好ましくは、15nm〜80nmの膜厚の薄膜6を形成し得る。該薄膜6は、これを挟持する薄膜のいずれとも異なり、絶縁性を有していることが好ましい。また、薄膜6の熱伝導率は、10W/mK以下、好ましくは、2W/mK以下の範囲である。この絶縁膜6としては、プラズマエンハンスド化学気相堆積(PECVD)、蒸着、又はスパッタリングなどにより積層された、酸化シリコン、窒化シリコン、および酸化窒化シリコンなどからなる単膜またはこれらの積層膜を用いることができる。ここで、この絶縁膜6は、第一の低熱伝導率薄膜3aおよび高熱伝導率薄膜のいずれとも異なる薄膜である。
【0029】
(結晶化工程)
次に、室温において半導体膜5の上方から半導体膜5の上面に対して、2〜10μmの微細幅の短パルスレーザを照射することにより、半導体膜5を結晶化する。なお本実施形態では短パルスレーザとして、波長が308nm(XeCl)であり、かつパルス幅が30nsのエキシマレーザを用いているが、レーザであれば上記エキシマレーザに限定されない。
【0030】
図3は、アモルファスシリコン膜5を結晶化するための装置の概略図であり、この装置は、レーザ発振器11、可変減衰器12、フィールドレンズ13、マスク14、結像レンズ15、サンプルステージ16およびいくつかのミラーを備える。さらにこれらはコントローラ17により制御されている。このレーザ加工装置を用いることにより、ステージ16上の半導体デバイス1にレーザ光を供給することができる。
【0031】
<実施形態1>
実施形態1は、基板2としてガラス基板、第一の低熱伝導率薄膜3aとして耐熱性高分子膜、高熱伝導率薄膜4として窒化アルミニウム膜、第二の低熱伝導率薄膜3bとして酸化シリコン膜、そして半導体膜5としてアモルファスシリコン膜を使用し、これらの薄膜を該順序、すなわち、ガラス基板2上に、耐熱性高分子膜3aを形成し、該耐熱性高分子膜3a上に窒化アルミニウム膜4を形成し、該窒化アルミニウム4上に酸化シリコン膜3bを形成し、そして該酸化シリコン膜上にアモルファスシリコンを形成したことを特徴とする。次いで、上記半導体デバイスのアモルファスシリコン膜5をSLS法によりレーザ結晶化することにより半導体デバイスを作製する。ここで、前記耐熱性高分子膜の熱伝導率は、前記ガラス基板の熱伝導率(0.8W/mK)よりも低く、かつ、前記窒化アルミニウム膜の熱伝導率(約35W/mK)は、前記耐熱性高分子膜、酸化シリコン膜(約1.4W/mK)の伝導率よりも高い。このようにして作製した半導体デバイスの構造を図1に示す。
【0032】
(半導体デバイスの評価)
この半導体デバイスの半導体薄膜の上面に対してレーザを1回照射した後にSECOエッチングを行い、その断面をSEM観察した結果を図2に概略的に示す。図2(a)〜(c)は、本実施形態と従来構造1および2に従う半導体デバイスにおける半導体膜の断面を示す概略図であり、(a)は実施形態1に従う半導体デバイス、(b)は従来構造1に従う半導体デバイス、(c)は従来構造2に従う半導体デバイスに基づいている。図2において、(a)は、(b)および(c)よりも結晶粒が大きく成長していることがわかる。例えば、4μmのスリット幅であるレーザを照射した場合、約2μmの結晶が成長し、レーザ照射中央部で衝突して成長が完了している。
【0033】
次に、本実施形態1を、従来構造1および従来構造2にレーザを照射した場合と比較する。従来構造1は、図4に示されるように、絶縁性基板2、酸化シリコンからなる絶縁膜7、およびアモルファスシリコン膜5から構成されている。また、従来構造2は、図5に示されるように、絶縁性基板2、耐熱性高分子膜3a、酸化シリコンなどからなる絶縁膜6、およびアモルファスシリコン膜5から構成されている。
【0034】
アモルファスシリコン膜5と接する膜について、従来構造1においては、熱伝導率が1〜2(W/mK)の酸化シリコン膜が使用され、従来構造2においては、熱伝導率が1〜2(W/mK)の酸化シリコン膜、および熱伝導率が約0.3(W/mK)の耐熱性高分子膜が使用されているので、レーザ照射によりアモルファスシリコン膜5内で発生した熱エネルギは、基板方向へ拡散しにくくなり、従ってレーザ照射後のアモルファスシリコン膜5の冷却速度が低下し、かつ横方向へも拡散しにくくなる。このため、レーザ照射後の冷却過程において、溶融した部分が凝固する際に放出する潜熱に起因して、溶融領域中央部と凝固領域との界面付近には局所的に温度が高くなる領域が生じる。また、溶融領域中央部では、熱エネルギが横方向へ拡散しにくいので、ほとんど熱勾配が形成されない。したがって、レーザ照射後の冷却過程において、未溶融領域と溶融領域との界面から中央部へ向かって、凝固温度を下回った領域が凝固していくのとは別に、溶融領域中央部でも凝固温度を下回って凝固が起こる領域が生じる。この溶融領域中央部では、広範囲の溶融領域がほぼ同時に凝固温度を下回ることになるため、発生した結晶核の成長が別に発生した結晶核に阻害され、結晶粒径の非常に小さい微結晶が大量に発生する。その結果、1回のパルス照射を行った際に未溶融領域と溶融領域との界面から横方向に成長する結晶は、溶融領域中央部において発生した微結晶に成長を阻まれて、あまり大きく成長することができない。
【0035】
一方、本実施形態1では、窒化アルミニウム膜4の熱伝導率は、窒化アルミニウム膜4に接する、耐熱性高分子膜3aの熱伝導率、および酸化シリコン膜3bの熱伝導率と比べて非常に高いので、窒化アルミニウム膜4へと拡散した熱エネルギは窒化アルミニウム膜4内を速やかに横方向に拡散する。
【0036】
また、耐熱性高分子膜3aの熱伝導率は、耐熱性高分子膜3aに接する基板2、例えばガラス基板の熱伝導率(0.8W/mK)および窒化アルミニウム膜4の熱伝導率(約35W/mK)と比べて非常に低いので、窒化アルミニウム膜4に拡散してきた熱エネルギが基板方向へ拡散することを抑制できる。
【0037】
このように、本実施形態においては、耐熱性高分子膜3aの上に窒化アルミニウム膜4が形成され、窒化アルミニウム膜4の上に酸化シリコン膜3bが形成され、酸化シリコン膜3bの上にアモルファスシリコン膜5が形成された構造を有するので、レーザ照射により生じた熱エネルギは、酸化シリコン膜3bを介して窒化アルミニウム膜4に達した後、耐熱性高分子膜3aの断熱効果により基板方向に拡散せずに、窒化アルミニウム膜4の高熱伝導効果により窒化アルミニウム膜4中を横方向に拡散することができる。その結果、レーザ照射後の冷却過程において、アモルファスシリコン膜5は、1回のパルス照射を行った際の溶融領域中央部における微結晶の発生を抑制することができる。このため、溶融領域の凝固過程において、未溶融領域と溶融領域との界面から横方向に成長する結晶は、従来構造1および2において発生していた溶融領域中央部の微結晶によって、その成長が抑制されることがない。その結果、未溶融領域と溶融領域との界面から横方向に成長する結晶は非常に大きくなる。1回のパルス照射を行った際に成長する結晶が大きくなるので、SLS法により結晶化することによる大粒径の多結晶シリコン膜を効率よく得ることができる。
【0038】
酸化シリコン膜3bの膜厚を20nmとした場合に、窒化アルミニウム膜4の膜厚を様々に変えた半導体デバイスの半導体膜上面対して、4μmのスリット幅であるレーザを照射した際の、結晶成長長さ18の測定結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
表1において、結晶成長長さ18が2μm以上と大きく成長した場合については、○を記入してある。ここで結晶成長長さ18とは、図2に示すとおりの長さである。表1から、窒化アルミニウム膜4の膜厚が10〜150nmであるとき、大きく結晶成長していることがわかる。
【0041】
このように本発明の実施形態1によると、レーザ照射により生じた熱エネルギの横方向への拡散を促進することで、SLS法を利用してさらに大粒径の多結晶シリコン膜を得ることができる。さらに、このようにして形成した膜に適当な処理を行うことで、トランジスタを形成することができ、このトランジスタを液晶パネルなどの表示素子として用いることが可能である。その場合、本発明に従う結晶粒は、従来の結晶粒より格段に大きいので、トランジスタのチャンネルを流れるキャリアの移動度が高く、高性能の素子が得られる。
【0042】
<実施形態2>
実施形態2は、基板2としてガラス基板、第一の低熱伝導率薄膜3aとして耐熱性高分子膜、第一の低熱伝導率薄膜および高熱伝導率薄膜のいずれとも異なる薄膜6として絶縁膜、高熱伝導率薄膜4として窒化アルミニウム膜、第二の低熱伝導率薄膜3bとして酸化シリコン膜、そして半導体膜5としてアモルファスシリコン膜を使用し、これらの薄膜を該順序、すなわち、ガラス基板2上に、耐熱性高分子膜3aを形成し、該耐熱性高分子膜3a上に絶縁膜6を形成し、該絶縁膜6上に窒化アルミニウム膜4を形成し、該窒化アルミニウム4上に酸化シリコン膜3bを形成し、そして該酸化シリコン膜上にアモルファスシリコンを形成したことを特徴とする。次いで、上記半導体デバイスのアモルファスシリコン膜5をSLS法によりレーザ結晶化することにより半導体デバイスを作製する。上記構成について図6に示す。本実施形態においては、図3に示すような実施形態1と同様のレーザーを使用して結晶化している。
【0043】
(半導体デバイスの評価)
実施形態1と同様に、作製したデバイスに対してレーザを1回照射した後にSECOエッチングを行い、その断面をSEM観察した結果を図2に概略的に示す。図2(a)〜(c)は、本実施形態と従来構造1および2に従う半導体デバイスにおける半導体膜の断面を示す概略図であり、(a)は実施形態2に従う半導体デバイス、(b)は従来構造1に従う半導体デバイス、(c)は従来構造2に従う半導体デバイスに基づいている。図2において、(a)は、(b)および(c)よりも結晶粒が大きく成長していることがわかる。例えば、4μmのスリット幅であるレーザを照射した場合、約2μmの結晶が成長し、レーザ照射中央部で衝突して成長が完了する。
【0044】
次に、本実施形態2を、従来構造1および従来構造2にレーザを照射した場合と比較することにより、本実施形態の効果を説明するが、従来構造1および従来構造2に関する説明は、実施形態1と同じであるので省略している。
【0045】
本実施形態2では、窒化アルミニウム膜4の熱伝導率は、窒化アルミニウム膜4に接する、絶縁膜6、例えば酸化シリコンの熱伝導率1.4(W/mK)、耐熱性高分子膜3aの熱伝導率、および酸化シリコン膜3bの熱伝導率と比べて非常に高いので、窒化アルミニウム膜4へと拡散した熱エネルギは窒化アルミニウム膜4内を速やかに横方向に拡散する。
【0046】
また、耐熱性高分子膜3aの熱伝導率は、耐熱性高分子膜3aに接する基板2、例えばガラス基板の熱伝導率0.8(W/mK)、絶縁膜6の熱伝導率、および窒化アルミニウム膜4の熱伝導率と比べて非常に低いので、窒化アルミニウム膜4に拡散してきた熱エネルギが基板方向へ拡散することを抑制できる。
【0047】
このように、本発明は、耐熱性高分子膜3aの上に絶縁膜6が形成され、絶縁膜6の上に窒化アルミニウム膜4が形成され、窒化アルミニウム膜4の上に酸化シリコン膜3bが形成され、酸化シリコン膜3bの上にアモルファスシリコン膜5が形成された構造を有するので、レーザ照射により生じた熱エネルギは、酸化シリコン膜3bを介して窒化アルミニウム膜4に達した後、耐熱性高分子膜3aの断熱効果により基板方向に拡散せずに、窒化アルミニウム膜4の高熱伝導効果により窒化アルミニウム膜4中を横方向に拡散することができる。この横方向の拡散により、レーザ照射後の冷却過程において、アモルファスシリコン膜5は、1回のパルス照射を行った際の溶融領域中央部における微結晶の発生を抑制することができる。このため、溶融領域の凝固過程において、未溶融領域と溶融領域との界面から横方向に成長する結晶は、従来構造1および2においては発生していた溶融領域中央部の微結晶によって、その成長を抑制されることがない。その結果、未溶融領域と溶融領域との界面から横方向に成長する結晶は非常に大きくなる。1回のパルス照射を行った際に成長する結晶が大きくなるので、SLS法により結晶化することによる粒径の多結晶シリコン膜を効率よく得ることができる。
【0048】
また、実施形態2では、耐熱性高分子膜3a上に絶縁膜6が形成されているので、デバイス形成時の耐熱性高分子膜3aに対するダメージを抑制することができる。このため、耐熱性高分子膜3aの断熱効果がさらに増加する。その結果、レーザ照射により生じた熱エネルギの横方向への拡散をさらに促進することができるので、より大粒径の結晶を得ることができる。
【0049】
このように本発明の実施形態2によると、レーザ照射により生じた熱エネルギの横方向への拡散を促進することで、SLS法を利用してさらに大粒径の多結晶シリコン膜を得ることができる。このようにして形成した膜に適当な処理を行うことで、トランジスタを形成することができ、液晶パネルなどの表示素子として用いることが可能である。その場合、本発明に従う結晶粒は、従来の場合より格段に大きいので、トランジスタのチャンネルを流れるキャリアの移動度が高く、高性能の素子が得られる。
【0050】
<実施形態3>
本発明の実施形態3について説明する。図3に示すように、実施形態1および2記載の構成と同じ構成のレーザー加工装置を使用して、実施形態1および2に従う半導体デバイスの最上層である半導体膜の上面にレーザパルスを1回照射する(工程1)。次いで、このレーザ照射で形成された針状結晶の一部に重複するようにレーザパルスを照射する(工程2)。この2つの工程1および2を順次繰り返すことで、既に成長した結晶を引継いで、さらに長い針状の結晶が成長し、結晶の成長方向に方位の揃った長結晶を得ることが可能となる。
【0051】
さらに、本実施形態の手順によれば、高熱伝導率薄膜4は、絶縁基板2上方の全面に渡って成膜されるので、高熱伝導率薄膜4を部分的に成膜する工程を含んだ特開平10−163112号公報記載の技術よりも製造工程(結晶化プロセス)を短縮化できる。
【0052】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0053】
【発明の効果】
本発明は、耐熱性高分子膜3aの上に窒化アルミニウム膜4が形成され、窒化アルミニウム膜4の上に酸化シリコン膜3bが形成され、酸化シリコン膜3bの上にアモルファスシリコン膜5が形成された構造を有するので、レーザ照射により生じた熱エネルギは、酸化シリコン膜3bを介して窒化アルミニウム膜4に達した後、耐熱性高分子膜3aの断熱効果により基板方向に拡散せずに、窒化アルミニウム膜4の高熱伝導効果により窒化アルミニウム膜4中を横方向に拡散することができる。この横方向の拡散により、レーザパルスされた領域において温度勾配がつけられ、未溶融領域と溶融領域との界面から横方向に成長する結晶は、従来構造1および2において発生していた溶融領域中央部の微結晶によって、その成長が抑制されない。その結果、未溶融領域と溶融領域との界面から横方向に成長する結晶は非常に大きくなる。1回のパルス照射を行った際に成長する結晶が大きくなるので、SLS法により結晶化することにより、大粒径の多結晶シリコン膜を効率よく得ることができる。また、上記構成の半導体デバイスにおいて、耐熱性高分子膜と窒化アルミニウム膜との間に、絶縁膜を挿入することにより、デバイス形成時の耐熱性高分子膜に対するダメージを抑制することができ、耐熱性高分子膜の断熱効果をさらに増加することができる。その結果、熱エネルギの横方向の拡散を効率よくし、大粒径の結晶を得ることができる。
【0054】
本発明に従って形成した膜に適当な処理を行うことにより、トランジスタを形成することができ、さらにこのトランジスタを液晶パネルなどの表示素子として用いることが可能である。その場合、本発明に従う結晶粒は従来の場合より格段にしたがって高性能の素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う半導体デバイスの断面の概略図である。
【図2】図2は、SEMを用いて観察した半導体膜の断面を示す概略図であり、(a)は本発明に従う半導体デバイス、(b)は従来構造1に従う半導体デバイス、(c)は従来構造2に従う半導体デバイスに基づく。
【図3】本発明において使用するレーザ加工装置の概略図である。
【図4】従来構造1に従う半導体デバイスの断面の概略図である。
【図5】従来構造2に従う半導体デバイスの断面の概略図である。
【図6】本発明に従う半導体デバイスの断面の概略図である。
【図7】高熱伝導率薄膜の熱伝導率を示す図である。
【記号の説明】
1 半導体デバイス、2 基板、3a 第一の低熱伝導率薄膜、3b 第二の低熱伝導率薄膜、4 高熱伝導率薄膜、5 半導体膜、6 絶縁膜、7 酸化シリコン膜、8 レーザ、9 結晶、10 微結晶、11 レーザ発振器、12 可変減衰器、13 フィールドレンズ、14 マスク、15 結像レンズ、16サンプルステージ、17 コントローラ、18 結晶成長長さ、19 結晶の先端。
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体デバイスおよびその製造方法に関し、特に、SLS法を利用してさらに大粒径の多結晶シリコン膜を得るため、レーザ照射領域中央部における微結晶の発生を軽減し、結晶成長長さを長くするための半導体デバイスおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、アクティブマトリクス方式の液晶ディスプレイ(LCD;LiquidCrystal Display)が高画質な表示装置として注目されている。そのアクティブマトリクス方式LCDの画素駆動素子(画素駆動用トランジスタ)として、透明絶縁基板上に形成された多結晶シリコン膜をアクティブチャネル領域に用いた多結晶シリコンTFTの開発が進められている。
【0003】
多結晶シリコンTFTは、アモルファスシリコン膜をアクティブチャネル領域に用いたアモルファスシリコンTFTに比べ、以下のような利点がある。
【0004】
まず、多結晶シリコン膜の電界効果移動度はアモルファスシリコン膜に比べて二桁以上大きいので、TFTゲート幅を小さく微細化しても十分な画素書き込みができる。このため、画面の解像度を上げ画素を細かくしても大きな開口率が得られるので、高精細かつ高輝度な表示装置を提供することができる。
【0005】
またTFTの動作速度も二桁以上速くなるので、画素部(表示部)だけでなく周辺駆動回路(ドライバ)、DRAM、SRAMなどのメモリやプロセッサまでも同一基板上に一体にして形成することができる。このため、別にドライバICや駆動回路基板を表示装置に実装する必要がなくなるので、コスト低減が可能となる。
【0006】
この多結晶シリコン膜は、例えば堆積しているアモルファス又は微結晶シリコンからなる半導体膜をエキシマレーザで結晶化(ELA:Excimer Laser Anneal)することにより得られる。ELA法は、図4に示すような絶縁性基板2、酸化シリコンからなる絶縁膜7、半導体膜5から構成された構造(この構造を今後従来構造1と呼ぶ)の半導体デバイスに対し、一定速度で走査しながら、長さ200〜400mm、幅0.2〜1.0mm程度の線状レーザビーム8を半導体膜5の上面に連続的に照射する方法が一般的である。このときレーザを照射した部分の半導体膜は、厚さ方向全域にわたって溶融するのではなく、一部の半導体膜領域を残したまま溶融する。このため、未溶融領域と溶融領域との界面全面において、いたるところに結晶核が発生し、半導体膜最表層に向かって結晶が成長し、ランダムな方位の結晶粒が形成されるため、結晶粒径は100〜200nmと非常に小さくなる。
【0007】
多結晶シリコン膜の結晶粒界には、不対電子が多数存在するためポテンシャル障壁を形成し、キャリアの強い散乱体として作用する。従って結晶粒界が少ない、つまり結晶粒径が大きい多結晶シリコン膜で形成されたTFTほど、一般に電界効果移動度は高くなる。
【0008】
しかしながら、従来のELA法では前述のように、未溶融領域と溶融領域との界面のランダムな位置において結晶化が起こる縦方向結晶成長であるので、大粒径の多結晶シリコン膜を得ることは難しいため、電界効果移動度の高いTFTを得ることが困難であった。
【0009】
そこで図3に示すようなレーザ加工装置を用いることで、特表2000−505241に記載されているように、「基板上の半導体材料の膜に横方向に延在する結晶領域を形成するに当たり、(i)半導体材料中に熱を誘導するパルス状の放射を用い、前記膜の第1の部分を露光してその厚さにわたって第1の部分の半導体材料を溶融し、(ii)前記第1の部分の半導体を凝固させ、前記第1の部分の境界部分に少なくとも1個の半導体結晶を形成し、この第1の部分を次の処理に対する以前の部分とし、(iii)前記以前の部分からステップ移動方向にステップ移動すると共に少なくとも1個の半導体結晶と部分的に重なり合う半導体の別の部分を露光し、(iv)前記別の部分の溶融した半導体材料を凝固させ、半導体結晶をステップ移動方向に成長させることにより半導体結晶を拡大させ、(v)工程(iii)と(iv)の組合せを繰り返し、所望の結晶領域が形成されるまで、各工程の別の部分を次の工程に対して以前の部分とする方法。」、いわゆる連続横方向結晶成長(SLS:Sequential LateralSolidification)法が提案されている。前記公表公報に記載の方法は、微細幅のパルスレーザを半導体膜に照射し、半導体膜をレーザ照射領域の厚さ方向全域にわたって溶融および凝固させて結晶化を行うものである。
【0010】
図4に示すような、基板上に酸化シリコン膜および半導体薄膜が該順序にて積層された半導体デバイスに対し、1回のパルス照射で形成された針状結晶組織の模式図を図2(b)に示す。例えば、2〜10μmの微細幅のレーザ照射によって、レーザ照射領域が溶融し、未溶融領域と溶融領域との界面から横方向、すなわち基板に水平な方向に結晶成長し、溶融領域中央部において発生した微結晶と、両側から成長した結晶が衝突し、成長が終了する。
【0011】
SLS法において、1回のパルス照射で成長する結晶の長さは、例えば、基板温度300℃において、波長308nmのエキシマレーザを照射した場合には、1〜1.2μm程度と、従来のELA法に比べ非常に大きくなることが知られている(応用物理学会結晶工学分科会第112回研究会テキスト、19〜25頁)。さらにSLS法において、位相シフトマスクを用いるなどして放射照度の分布(ビームプロファイル)を工夫することで、結晶成長方向を制御し、結晶粒界の数を減らす方法もある。
【0012】
ところで、従来のELA法において、レーザ照射後の半導体膜の凝固速度を低下させることで、大きな結晶粒を得る手法も考案されている(特開平10−150200号公報を参照のこと)。この特開平10−150200号公開公報に記載の方法は、図5に示すように、絶縁性基板2上に耐熱性高分子膜3aを形成し、この耐熱性高分子膜3aの上に絶縁膜6を形成し、この絶縁膜6の上に半導体膜5を形成し(この構造を今後従来構造2と呼ぶ)、この半導体膜5にレーザ8を照射して半導体膜を溶融し結晶化させる構成である。耐熱性高分子膜3aの熱伝導率が絶縁性基板2としてよく用いられる石英ガラスの熱伝導率よりも小さいため、耐熱性高分子膜3aの断熱効果により、レーザ照射により溶解した半導体膜5の熱エネルギがほとんど絶縁膜6に蓄積され、これにより半導体膜5の凝固速度が従来より低下し、結果として大きな結晶粒の半導体結晶を得ることができる。
【0013】
しかしながら、SLS法において、1回のパルス照射を行った際に未溶融領域と溶融領域との界面から横方向に成長する結晶は、ELA法よりは大きく成長するものの、溶融領域中央部から発生した微結晶に阻まれてその成長が抑制されていた。このような、溶融領域中央部に微結晶が発生し、結晶成長が抑制された状態を図2(b)に示す。図2(b)において、レーザ照射されたスリット状の領域の中央部には、微結晶10が発生しており、結晶9の結晶成長長さ18はスリットの端から前記微結晶領域までの長さとなり、結晶成長がそこで止まってしまっている。このことは、次の理由に起因する。一般的に、冷却による結晶化は、物体の温度がその融点を下まわった時に生じ、その時に周囲に結晶成長の種となる結晶と、結晶成長に必要な時間があれば、前記結晶を種として結晶化して結晶成長する。しかし、逆に種となる結晶が無いか、または冷却速度が速く、結晶成長に必要な時間が無い場合は、微結晶となってしまう。上記SLS法においては、結晶9が中央に向けて結晶成長するとほぼ同時または結晶成長する前に中央部の温度が融点を下回り、結晶化してしまったためと考えられる。すなわち、結晶9の先端19が融点を下回るとほぼ同時または下回るより前に中央部の方が先に融点を下回ったのである。
【0014】
SLS法の目的からして、一回のレーザ照射による結晶成長長さ18はできるだけ長い方が望ましい。しかしながら、スリットの幅を広くしても、微結晶領域10の幅が広くなるだけで、結晶成長長さ18はある程度以上長くなることは無い。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、図2(a)のように中央の微結晶10を発生させないかまたは発生量をできるだけ少なくして、結晶成長長さ18を長くする方法、具体的には、スリットの端側から速やかに熱を廃熱することにより、スリットの端側の温度を早く下げるようにし、端から中央に向けて順次融点を下まわるような方法を提供することである。さらに本発明は、SLS法を利用してさらに大粒径の多結晶シリコン膜を得るため、レーザ照射領域中央部における微結晶の発生が軽減されて結晶成長長さが伸長された半導体デバイスおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
ある局面では、本発明の半導体デバイスは、基板上に、少なくとも第一の低熱伝導率薄膜、高熱伝導率薄膜、第二の低熱伝導率薄膜、および半導体膜が、該順序にて形成されており、該第一の低熱伝導率薄膜の熱伝導率が該基板の熱伝導率よりも低く、かつ該高熱伝導率薄膜の熱伝導率が、該第一の低熱伝導率薄膜、および該第二の低熱伝導率薄膜の熱伝導率よりも高い。
【0017】
好ましくは、該第一の低熱伝導率薄膜は、耐熱性高分子膜であり、該高熱伝導率薄膜は、窒化アルミニウム、窒化シリコン、窒化アルミニウムと窒化シリコンの混合物、酸化マグネシウム、および酸化セリウムのいずれかで形成され、かつ該高熱伝導率薄膜の膜厚は、10〜150nmであり、該第二の低熱伝導率薄膜は、酸化シリコンで形成されている。
【0018】
好ましくは、該第一の低熱伝導率薄膜と該高熱伝導率薄膜との間に、前記第一の低熱伝導率薄膜および前記高熱伝導率薄膜のいずれとも異なる薄膜が形成されている。
【0019】
別の局面では、本発明は、基板上に、少なくとも第一の低熱伝導率薄膜、高熱伝導率薄膜、第二の低熱伝導率薄膜、および半導体デバイスが該順序にて積層形成されている半導体デバイスの製造方法を提供し、該方法は、
基板上に、該基板の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する第一の低熱伝導率薄膜を形成する工程と、
該第一の低熱伝導率薄膜の上に、該第一の低熱伝導率薄膜、前記第二の低熱伝導率薄膜の伝導率よりも高い熱伝導率を有する高熱伝導率薄膜を形成する工程と、
該高熱伝導率薄膜の上に、第二の低熱伝導率薄膜を形成する工程と、
該第二の低熱伝導率薄膜の上に、半導体膜を形成する工程と、
パルス放射するスリット状エネルギビームを該半導体膜に照射することにより、前記半導体膜を結晶化する工程と、
を包含する。
【0020】
別の局面では、本発明は、基板上に、少なくとも第一の低熱伝導率薄膜、薄膜、高熱伝導率薄膜、第二の低熱伝導率薄膜、および半導体デバイスが該順序にて積層形成されている半導体デバイスの製造方法を提供し、該方法は、
基板上に、該基板の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する第一の低熱伝導率薄膜を形成する工程と、
該第一の低熱伝導率薄膜の上に、前記第一の低熱伝導率薄膜および高熱伝導率薄膜のいずれとも異なる薄膜を形成する工程と、
該薄膜の上に、前記第一の低熱伝導率薄膜、前記薄膜、前記第二の低熱伝導率薄膜の伝導率よりも高い熱伝導率を有する高熱伝導率薄膜を形成する工程と、
該高熱伝導率薄膜の上に、第二の低熱伝導率薄膜を形成する工程と、
該第二の低熱伝導率薄膜の上に、半導体膜を形成する工程と、
パルス放射するスリット状エネルギビームを該半導体膜に照射することにより、前記半導体膜を結晶化する工程と、
を包含する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、実施形態により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0022】
本実施形態は、図1に示すように、基板2上に第一の低熱伝導率薄膜3aを形成し、該第一の低熱伝導率薄膜3a上に高熱伝導率薄膜4を形成し、高熱伝導率薄膜4上に第二の低熱伝導率薄膜3bを形成し、第二の低熱伝導率薄膜3b上に半導体薄膜5を形成したあと、半導体膜5をSLS法により結晶化することを特徴としている。ここで、前記第一の低熱伝導率薄膜の熱伝導率は、前記基板の熱伝導率よりも低く、かつ、前記高熱伝導率薄膜の熱伝導率は、前記第一の低熱伝導率薄膜、前記第二の低熱伝導率薄膜の熱伝導率よりも高い。このような構成にすることにより、レーザー照射によって半導体膜に蓄積された熱は、その直下の第二の低熱伝導率薄膜、さらにその直下の高熱伝導率薄膜へ伝導し、次いで高熱伝導率薄膜の内部を通って左右へ伝導し廃熱されるため、高熱伝導率薄膜中に温度勾配ができる。そのため、スリットの端が最初に融点を下回り、端から中央に向けて順次融点を下まわり、中央部が最後に融点を下回るように冷却される。したがって、半導体膜の結晶化は、スリットの端から始まり、端から中央に向けて順次結晶成長が進行し、中央部で終結するようになる。その結果、従来のSLS法において生じていた中央部の微結晶は発生しにくく、結晶成長長さ18は、飛躍的に向上する。本明細書中において、結晶成長長さとは、図2に示すように、矢印18の長さに亘る距離、すなわち、パルスレーザの照射によって成長した結晶において、その溶融領域と未溶融領域との界面から、結晶成長が完結した地点19までの距離をいう。
【0023】
(薄膜の積層形成工程)
以下に、前記順序すなわち、基板2から上方に向かって第一の低熱伝導率薄膜、高熱伝導率薄膜、第二の低熱伝導率薄膜、および半導体膜の順番で、絶縁性基板2上に該複数の薄膜を積層形成する方法について説明する。
【0024】
まず、基板2上に第一の低熱伝導率薄膜3aを形成する。基板2としては、ガラス基板や石英基板等を用いることができるが、安価である点、大面積基板を容易に製造できる点でガラス基板を用いることが好ましい。また、絶縁性を有していることが好ましい。第一の低熱伝導率薄膜3aは、膜厚が100nm〜500nm、好ましくは、150nm〜300nmとなるように、塗布法、プラズマエンハンスド化学気相堆積(PECVD)などにより基板2上に積層される。本発明において使用される第一の低熱伝導率薄膜3aとしては、熱伝導率が1.0(W/mK)以下、好ましくは0.3(W/mK)以下の耐熱性高分子膜であれば特に限定されない。本明細書中において、耐熱性高分子膜とは、パルスレーザーの照射により発生した熱によって、その物理的および化学的性質が変わらない高分子膜をいい、使用可能な耐熱性高分子膜3aとしては、例えばエチル(C2H5)基、プロピル(C3H7)基、ブチル(C4H9)基、ビニル(C2H3)基、フェニル(C6H5)基、CF3基のいずれかを含有する、耐熱性が高くかつ熱伝導率の低い有機含有シリコン酸化物が挙げられる。また、耐熱性高分子膜3aの熱伝導率をさらに低下させるために、耐熱性高分子膜3aがポーラス構造を有することが好ましい。
【0025】
次に、第一の低熱伝導率薄膜3a上に高熱伝導率薄膜4を形成する。本発明において使用する高熱伝導率薄膜は、10W/mK以上、好ましくは、20W/mK以上の熱伝導率を有するものがよい。高熱伝導率薄膜4は、膜厚が、10〜150nm、好ましくは15〜120nmとなるように、蒸着、イオンプレーティング、又はスパッタリングなどにより積層される。膜厚が10nm未満であると、パルスを照射した際に該膜の横方向に亘る温度勾配が小さくなり、結晶化工程の際に粒径の大きい多結晶を得ることができず、一方で、150nmを超える場合には、パルス照射した際に発生した熱エネルギが分散してしまい、良好な温度勾配を得ることが困難である。使用可能な高熱伝導率薄膜4としては、図7に示すように、窒化アルミニウム、窒化シリコン、窒化アルミニウムと窒化シリコンの混合物、酸化マグネシウム、および酸化セリウム等が挙げられるが、これらに限定されず、耐熱性高分子膜3aの熱伝導率(0.3W/mK)、および第二の低熱伝導率薄膜3bである酸化シリコン膜の熱伝導率(1.4W/mK)に比較して非常に高い熱伝導率を有していれば同等の効果を得ることができる。好ましくは、該高熱伝導率薄膜を挟持する薄膜の熱伝導率よりも、少なくとも3倍以上、より好ましくは、7倍以上の熱伝導率を有する。本発明においては、窒化アルミニウムがより好適に使用される。
【0026】
次に、高熱伝導率薄膜4上に第二の低熱伝導率薄膜3bを形成する。第二の低熱伝導率薄膜3bは膜厚が10〜100nm、好ましくは15〜80nmとなるように、蒸着、イオンプレーティング、又はスパッタリングなどにより積層される。第二の低熱伝導率薄膜3bの熱伝導率は、10W/mK以下、好ましくは、2W/mK以下の範囲であればよく、このような熱伝導率を有する使用可能な低熱伝導率薄膜としては、酸化シリコン膜、窒化シリコン、酸化窒化シリコンなどが挙げられる。本発明においては、酸化シリコン膜が好適に使用され、その熱伝導率は、約1.4W/mKである。また、酸化シリコン膜はその下層である高熱伝導率薄膜などの物質がレーザ照射による融解した半導体薄膜に溶け込み、不純物として半導体の物性に悪影響をおよぼさないようにするためのバリアとしても、好適である。また、絶縁性であるため、半導体膜に回路を形成する際に好都合である。
【0027】
次に、第二の低熱伝導率薄膜3b上に半導体膜5を形成する。半導体膜5は、膜厚が10nm〜100nm、好ましくは30nm〜60nmとなるように、プラズマエンハンスド化学気相堆積(PECVD)、蒸着、又はスパッタリングなどにより積層される。本発明においては、半導体膜として、アモルファスシリコンが好適に使用される。また、半導体膜5は、非晶質に限らず微結晶や多結晶などの結晶性半導体膜でもよい。
【0028】
また、本発明においては、図6に示すように、前記第一の低熱伝導率薄膜と前記高熱伝導率薄膜との間に、これら2つの薄膜のいずれとも異なる薄膜を挿入することができる。すなわち、前記第一の低熱伝導率薄膜を積層形成した後、前記高熱伝導率薄膜を積層形成する前に、10nm〜100nm、好ましくは、15nm〜80nmの膜厚の薄膜6を形成し得る。該薄膜6は、これを挟持する薄膜のいずれとも異なり、絶縁性を有していることが好ましい。また、薄膜6の熱伝導率は、10W/mK以下、好ましくは、2W/mK以下の範囲である。この絶縁膜6としては、プラズマエンハンスド化学気相堆積(PECVD)、蒸着、又はスパッタリングなどにより積層された、酸化シリコン、窒化シリコン、および酸化窒化シリコンなどからなる単膜またはこれらの積層膜を用いることができる。ここで、この絶縁膜6は、第一の低熱伝導率薄膜3aおよび高熱伝導率薄膜のいずれとも異なる薄膜である。
【0029】
(結晶化工程)
次に、室温において半導体膜5の上方から半導体膜5の上面に対して、2〜10μmの微細幅の短パルスレーザを照射することにより、半導体膜5を結晶化する。なお本実施形態では短パルスレーザとして、波長が308nm(XeCl)であり、かつパルス幅が30nsのエキシマレーザを用いているが、レーザであれば上記エキシマレーザに限定されない。
【0030】
図3は、アモルファスシリコン膜5を結晶化するための装置の概略図であり、この装置は、レーザ発振器11、可変減衰器12、フィールドレンズ13、マスク14、結像レンズ15、サンプルステージ16およびいくつかのミラーを備える。さらにこれらはコントローラ17により制御されている。このレーザ加工装置を用いることにより、ステージ16上の半導体デバイス1にレーザ光を供給することができる。
【0031】
<実施形態1>
実施形態1は、基板2としてガラス基板、第一の低熱伝導率薄膜3aとして耐熱性高分子膜、高熱伝導率薄膜4として窒化アルミニウム膜、第二の低熱伝導率薄膜3bとして酸化シリコン膜、そして半導体膜5としてアモルファスシリコン膜を使用し、これらの薄膜を該順序、すなわち、ガラス基板2上に、耐熱性高分子膜3aを形成し、該耐熱性高分子膜3a上に窒化アルミニウム膜4を形成し、該窒化アルミニウム4上に酸化シリコン膜3bを形成し、そして該酸化シリコン膜上にアモルファスシリコンを形成したことを特徴とする。次いで、上記半導体デバイスのアモルファスシリコン膜5をSLS法によりレーザ結晶化することにより半導体デバイスを作製する。ここで、前記耐熱性高分子膜の熱伝導率は、前記ガラス基板の熱伝導率(0.8W/mK)よりも低く、かつ、前記窒化アルミニウム膜の熱伝導率(約35W/mK)は、前記耐熱性高分子膜、酸化シリコン膜(約1.4W/mK)の伝導率よりも高い。このようにして作製した半導体デバイスの構造を図1に示す。
【0032】
(半導体デバイスの評価)
この半導体デバイスの半導体薄膜の上面に対してレーザを1回照射した後にSECOエッチングを行い、その断面をSEM観察した結果を図2に概略的に示す。図2(a)〜(c)は、本実施形態と従来構造1および2に従う半導体デバイスにおける半導体膜の断面を示す概略図であり、(a)は実施形態1に従う半導体デバイス、(b)は従来構造1に従う半導体デバイス、(c)は従来構造2に従う半導体デバイスに基づいている。図2において、(a)は、(b)および(c)よりも結晶粒が大きく成長していることがわかる。例えば、4μmのスリット幅であるレーザを照射した場合、約2μmの結晶が成長し、レーザ照射中央部で衝突して成長が完了している。
【0033】
次に、本実施形態1を、従来構造1および従来構造2にレーザを照射した場合と比較する。従来構造1は、図4に示されるように、絶縁性基板2、酸化シリコンからなる絶縁膜7、およびアモルファスシリコン膜5から構成されている。また、従来構造2は、図5に示されるように、絶縁性基板2、耐熱性高分子膜3a、酸化シリコンなどからなる絶縁膜6、およびアモルファスシリコン膜5から構成されている。
【0034】
アモルファスシリコン膜5と接する膜について、従来構造1においては、熱伝導率が1〜2(W/mK)の酸化シリコン膜が使用され、従来構造2においては、熱伝導率が1〜2(W/mK)の酸化シリコン膜、および熱伝導率が約0.3(W/mK)の耐熱性高分子膜が使用されているので、レーザ照射によりアモルファスシリコン膜5内で発生した熱エネルギは、基板方向へ拡散しにくくなり、従ってレーザ照射後のアモルファスシリコン膜5の冷却速度が低下し、かつ横方向へも拡散しにくくなる。このため、レーザ照射後の冷却過程において、溶融した部分が凝固する際に放出する潜熱に起因して、溶融領域中央部と凝固領域との界面付近には局所的に温度が高くなる領域が生じる。また、溶融領域中央部では、熱エネルギが横方向へ拡散しにくいので、ほとんど熱勾配が形成されない。したがって、レーザ照射後の冷却過程において、未溶融領域と溶融領域との界面から中央部へ向かって、凝固温度を下回った領域が凝固していくのとは別に、溶融領域中央部でも凝固温度を下回って凝固が起こる領域が生じる。この溶融領域中央部では、広範囲の溶融領域がほぼ同時に凝固温度を下回ることになるため、発生した結晶核の成長が別に発生した結晶核に阻害され、結晶粒径の非常に小さい微結晶が大量に発生する。その結果、1回のパルス照射を行った際に未溶融領域と溶融領域との界面から横方向に成長する結晶は、溶融領域中央部において発生した微結晶に成長を阻まれて、あまり大きく成長することができない。
【0035】
一方、本実施形態1では、窒化アルミニウム膜4の熱伝導率は、窒化アルミニウム膜4に接する、耐熱性高分子膜3aの熱伝導率、および酸化シリコン膜3bの熱伝導率と比べて非常に高いので、窒化アルミニウム膜4へと拡散した熱エネルギは窒化アルミニウム膜4内を速やかに横方向に拡散する。
【0036】
また、耐熱性高分子膜3aの熱伝導率は、耐熱性高分子膜3aに接する基板2、例えばガラス基板の熱伝導率(0.8W/mK)および窒化アルミニウム膜4の熱伝導率(約35W/mK)と比べて非常に低いので、窒化アルミニウム膜4に拡散してきた熱エネルギが基板方向へ拡散することを抑制できる。
【0037】
このように、本実施形態においては、耐熱性高分子膜3aの上に窒化アルミニウム膜4が形成され、窒化アルミニウム膜4の上に酸化シリコン膜3bが形成され、酸化シリコン膜3bの上にアモルファスシリコン膜5が形成された構造を有するので、レーザ照射により生じた熱エネルギは、酸化シリコン膜3bを介して窒化アルミニウム膜4に達した後、耐熱性高分子膜3aの断熱効果により基板方向に拡散せずに、窒化アルミニウム膜4の高熱伝導効果により窒化アルミニウム膜4中を横方向に拡散することができる。その結果、レーザ照射後の冷却過程において、アモルファスシリコン膜5は、1回のパルス照射を行った際の溶融領域中央部における微結晶の発生を抑制することができる。このため、溶融領域の凝固過程において、未溶融領域と溶融領域との界面から横方向に成長する結晶は、従来構造1および2において発生していた溶融領域中央部の微結晶によって、その成長が抑制されることがない。その結果、未溶融領域と溶融領域との界面から横方向に成長する結晶は非常に大きくなる。1回のパルス照射を行った際に成長する結晶が大きくなるので、SLS法により結晶化することによる大粒径の多結晶シリコン膜を効率よく得ることができる。
【0038】
酸化シリコン膜3bの膜厚を20nmとした場合に、窒化アルミニウム膜4の膜厚を様々に変えた半導体デバイスの半導体膜上面対して、4μmのスリット幅であるレーザを照射した際の、結晶成長長さ18の測定結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
表1において、結晶成長長さ18が2μm以上と大きく成長した場合については、○を記入してある。ここで結晶成長長さ18とは、図2に示すとおりの長さである。表1から、窒化アルミニウム膜4の膜厚が10〜150nmであるとき、大きく結晶成長していることがわかる。
【0041】
このように本発明の実施形態1によると、レーザ照射により生じた熱エネルギの横方向への拡散を促進することで、SLS法を利用してさらに大粒径の多結晶シリコン膜を得ることができる。さらに、このようにして形成した膜に適当な処理を行うことで、トランジスタを形成することができ、このトランジスタを液晶パネルなどの表示素子として用いることが可能である。その場合、本発明に従う結晶粒は、従来の結晶粒より格段に大きいので、トランジスタのチャンネルを流れるキャリアの移動度が高く、高性能の素子が得られる。
【0042】
<実施形態2>
実施形態2は、基板2としてガラス基板、第一の低熱伝導率薄膜3aとして耐熱性高分子膜、第一の低熱伝導率薄膜および高熱伝導率薄膜のいずれとも異なる薄膜6として絶縁膜、高熱伝導率薄膜4として窒化アルミニウム膜、第二の低熱伝導率薄膜3bとして酸化シリコン膜、そして半導体膜5としてアモルファスシリコン膜を使用し、これらの薄膜を該順序、すなわち、ガラス基板2上に、耐熱性高分子膜3aを形成し、該耐熱性高分子膜3a上に絶縁膜6を形成し、該絶縁膜6上に窒化アルミニウム膜4を形成し、該窒化アルミニウム4上に酸化シリコン膜3bを形成し、そして該酸化シリコン膜上にアモルファスシリコンを形成したことを特徴とする。次いで、上記半導体デバイスのアモルファスシリコン膜5をSLS法によりレーザ結晶化することにより半導体デバイスを作製する。上記構成について図6に示す。本実施形態においては、図3に示すような実施形態1と同様のレーザーを使用して結晶化している。
【0043】
(半導体デバイスの評価)
実施形態1と同様に、作製したデバイスに対してレーザを1回照射した後にSECOエッチングを行い、その断面をSEM観察した結果を図2に概略的に示す。図2(a)〜(c)は、本実施形態と従来構造1および2に従う半導体デバイスにおける半導体膜の断面を示す概略図であり、(a)は実施形態2に従う半導体デバイス、(b)は従来構造1に従う半導体デバイス、(c)は従来構造2に従う半導体デバイスに基づいている。図2において、(a)は、(b)および(c)よりも結晶粒が大きく成長していることがわかる。例えば、4μmのスリット幅であるレーザを照射した場合、約2μmの結晶が成長し、レーザ照射中央部で衝突して成長が完了する。
【0044】
次に、本実施形態2を、従来構造1および従来構造2にレーザを照射した場合と比較することにより、本実施形態の効果を説明するが、従来構造1および従来構造2に関する説明は、実施形態1と同じであるので省略している。
【0045】
本実施形態2では、窒化アルミニウム膜4の熱伝導率は、窒化アルミニウム膜4に接する、絶縁膜6、例えば酸化シリコンの熱伝導率1.4(W/mK)、耐熱性高分子膜3aの熱伝導率、および酸化シリコン膜3bの熱伝導率と比べて非常に高いので、窒化アルミニウム膜4へと拡散した熱エネルギは窒化アルミニウム膜4内を速やかに横方向に拡散する。
【0046】
また、耐熱性高分子膜3aの熱伝導率は、耐熱性高分子膜3aに接する基板2、例えばガラス基板の熱伝導率0.8(W/mK)、絶縁膜6の熱伝導率、および窒化アルミニウム膜4の熱伝導率と比べて非常に低いので、窒化アルミニウム膜4に拡散してきた熱エネルギが基板方向へ拡散することを抑制できる。
【0047】
このように、本発明は、耐熱性高分子膜3aの上に絶縁膜6が形成され、絶縁膜6の上に窒化アルミニウム膜4が形成され、窒化アルミニウム膜4の上に酸化シリコン膜3bが形成され、酸化シリコン膜3bの上にアモルファスシリコン膜5が形成された構造を有するので、レーザ照射により生じた熱エネルギは、酸化シリコン膜3bを介して窒化アルミニウム膜4に達した後、耐熱性高分子膜3aの断熱効果により基板方向に拡散せずに、窒化アルミニウム膜4の高熱伝導効果により窒化アルミニウム膜4中を横方向に拡散することができる。この横方向の拡散により、レーザ照射後の冷却過程において、アモルファスシリコン膜5は、1回のパルス照射を行った際の溶融領域中央部における微結晶の発生を抑制することができる。このため、溶融領域の凝固過程において、未溶融領域と溶融領域との界面から横方向に成長する結晶は、従来構造1および2においては発生していた溶融領域中央部の微結晶によって、その成長を抑制されることがない。その結果、未溶融領域と溶融領域との界面から横方向に成長する結晶は非常に大きくなる。1回のパルス照射を行った際に成長する結晶が大きくなるので、SLS法により結晶化することによる粒径の多結晶シリコン膜を効率よく得ることができる。
【0048】
また、実施形態2では、耐熱性高分子膜3a上に絶縁膜6が形成されているので、デバイス形成時の耐熱性高分子膜3aに対するダメージを抑制することができる。このため、耐熱性高分子膜3aの断熱効果がさらに増加する。その結果、レーザ照射により生じた熱エネルギの横方向への拡散をさらに促進することができるので、より大粒径の結晶を得ることができる。
【0049】
このように本発明の実施形態2によると、レーザ照射により生じた熱エネルギの横方向への拡散を促進することで、SLS法を利用してさらに大粒径の多結晶シリコン膜を得ることができる。このようにして形成した膜に適当な処理を行うことで、トランジスタを形成することができ、液晶パネルなどの表示素子として用いることが可能である。その場合、本発明に従う結晶粒は、従来の場合より格段に大きいので、トランジスタのチャンネルを流れるキャリアの移動度が高く、高性能の素子が得られる。
【0050】
<実施形態3>
本発明の実施形態3について説明する。図3に示すように、実施形態1および2記載の構成と同じ構成のレーザー加工装置を使用して、実施形態1および2に従う半導体デバイスの最上層である半導体膜の上面にレーザパルスを1回照射する(工程1)。次いで、このレーザ照射で形成された針状結晶の一部に重複するようにレーザパルスを照射する(工程2)。この2つの工程1および2を順次繰り返すことで、既に成長した結晶を引継いで、さらに長い針状の結晶が成長し、結晶の成長方向に方位の揃った長結晶を得ることが可能となる。
【0051】
さらに、本実施形態の手順によれば、高熱伝導率薄膜4は、絶縁基板2上方の全面に渡って成膜されるので、高熱伝導率薄膜4を部分的に成膜する工程を含んだ特開平10−163112号公報記載の技術よりも製造工程(結晶化プロセス)を短縮化できる。
【0052】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0053】
【発明の効果】
本発明は、耐熱性高分子膜3aの上に窒化アルミニウム膜4が形成され、窒化アルミニウム膜4の上に酸化シリコン膜3bが形成され、酸化シリコン膜3bの上にアモルファスシリコン膜5が形成された構造を有するので、レーザ照射により生じた熱エネルギは、酸化シリコン膜3bを介して窒化アルミニウム膜4に達した後、耐熱性高分子膜3aの断熱効果により基板方向に拡散せずに、窒化アルミニウム膜4の高熱伝導効果により窒化アルミニウム膜4中を横方向に拡散することができる。この横方向の拡散により、レーザパルスされた領域において温度勾配がつけられ、未溶融領域と溶融領域との界面から横方向に成長する結晶は、従来構造1および2において発生していた溶融領域中央部の微結晶によって、その成長が抑制されない。その結果、未溶融領域と溶融領域との界面から横方向に成長する結晶は非常に大きくなる。1回のパルス照射を行った際に成長する結晶が大きくなるので、SLS法により結晶化することにより、大粒径の多結晶シリコン膜を効率よく得ることができる。また、上記構成の半導体デバイスにおいて、耐熱性高分子膜と窒化アルミニウム膜との間に、絶縁膜を挿入することにより、デバイス形成時の耐熱性高分子膜に対するダメージを抑制することができ、耐熱性高分子膜の断熱効果をさらに増加することができる。その結果、熱エネルギの横方向の拡散を効率よくし、大粒径の結晶を得ることができる。
【0054】
本発明に従って形成した膜に適当な処理を行うことにより、トランジスタを形成することができ、さらにこのトランジスタを液晶パネルなどの表示素子として用いることが可能である。その場合、本発明に従う結晶粒は従来の場合より格段にしたがって高性能の素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う半導体デバイスの断面の概略図である。
【図2】図2は、SEMを用いて観察した半導体膜の断面を示す概略図であり、(a)は本発明に従う半導体デバイス、(b)は従来構造1に従う半導体デバイス、(c)は従来構造2に従う半導体デバイスに基づく。
【図3】本発明において使用するレーザ加工装置の概略図である。
【図4】従来構造1に従う半導体デバイスの断面の概略図である。
【図5】従来構造2に従う半導体デバイスの断面の概略図である。
【図6】本発明に従う半導体デバイスの断面の概略図である。
【図7】高熱伝導率薄膜の熱伝導率を示す図である。
【記号の説明】
1 半導体デバイス、2 基板、3a 第一の低熱伝導率薄膜、3b 第二の低熱伝導率薄膜、4 高熱伝導率薄膜、5 半導体膜、6 絶縁膜、7 酸化シリコン膜、8 レーザ、9 結晶、10 微結晶、11 レーザ発振器、12 可変減衰器、13 フィールドレンズ、14 マスク、15 結像レンズ、16サンプルステージ、17 コントローラ、18 結晶成長長さ、19 結晶の先端。
Claims (8)
- 基板上に、少なくとも第一の低熱伝導率薄膜、高熱伝導率薄膜、第二の低熱伝導率薄膜、および半導体膜が、該順序にて積層形成されている半導体デバイスであって、
該第一の低熱伝導率薄膜の熱伝導率が該基板の熱伝導率よりも低く、かつ該高熱伝導率薄膜の熱伝導率が、該第一の低熱伝導率薄膜、および該第二の低熱伝導率薄膜の熱伝導率よりも高いことを特徴とする半導体デバイス。 - 該第一の低熱伝導率薄膜が、耐熱性高分子膜であることを特徴とする請求項1に記載の半導体デバイス。
- 該高熱伝導率薄膜が、窒化アルミニウム、窒化シリコン、窒化アルミニウムと窒化シリコンの混合物、酸化マグネシウム、および酸化セリウムのいずれかで形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体デバイス。
- 該第二の低熱伝導率薄膜が、酸化シリコンで形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の半導体デバイス。
- 該第一の低熱伝導率薄膜と該高熱伝導率薄膜との間に、前記第一の低熱伝導率薄膜および前記高熱伝導率薄膜のいずれとも異なる薄膜が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の半導体デバイス。
- 該高熱伝導率薄膜の膜厚が、10〜150nmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の半導体デバイス。
- 基板上に、少なくとも第一の低熱伝導率薄膜、高熱伝導率薄膜、第二の低熱伝導率薄膜、および半導体膜が該順序にて積層形成されている半導体デバイスの製造方法であって、
基板上に、該基板の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する第一の低熱伝導率薄膜を形成する工程と、
該第一の低熱伝導率薄膜の上に、前記第一の低熱伝導率薄膜、前記第二の低熱伝導率薄膜の伝導率よりも高い熱伝導率を有する高熱伝導率薄膜を形成する工程と、
該高熱伝導率薄膜の上に、第二の低熱伝導率薄膜を形成する工程と、
該第二の低熱伝導率薄膜の上に、半導体膜を形成する工程と、
パルス放射するスリット状エネルギビームを該半導体膜に照射することにより、前記半導体膜を結晶化する工程と、
を包含することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。 - 基板上に、少なくとも第一の低熱伝導率薄膜、薄膜、高熱伝導率薄膜、第二の低熱伝導率薄膜、および半導体膜が該順序にて積層形成されている半導体デバイスの製造方法であって、
基板上に、該基板の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する第一の低熱伝導率薄膜を形成する工程と、
該第一の低熱伝導率薄膜の上に、前記第一の低熱伝導率薄膜および高熱伝導率薄膜のいずれとも異なる薄膜を形成する工程と、
該薄膜の上に、前記第一の低熱伝導率薄膜、前記薄膜、および前記第二の低熱伝導率薄膜の伝導率よりも高い熱伝導率を有する高熱伝導率薄膜を形成する工程と、
該高熱伝導率薄膜の上に、第二の低熱伝導率薄膜を形成する工程と、
該第二の低熱伝導率薄膜の上に、半導体膜を形成する工程と、
パルス放射するスリット状エネルギビームを該半導体膜に照射することにより、前記半導体膜を結晶化する工程と、
を包含することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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