JP2004052240A - 鋼管杭用のカバー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】鋼管杭20の上面全体を覆う天板11と、この天板11に一体化されて、鋼管杭20の上端外周または中心穴22内に嵌合される側面部12とにより構成したこと。
【選択図】図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軟弱地盤を改良するために地盤に打ち込まれる鋼管杭のためのカバーに関し、特に建築基礎の下に設置される鋼管杭の上端に着脱自在に嵌合されるカバーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
軟弱地盤を改良する手段として、土そのものにコンクリート等の硬化材を混入して硬質化させる方法もあるが、図1及び図2に示すように、地盤に鋼管杭20を打ち込んでその先端を岩盤に到達させ、これらの鋼管杭20によって軟弱地盤の上に構築される建築基礎等を安定化するのが効果的である。
【0003】
このような鋼管杭20は、建築基礎の支えともなるものであるから、地面より少し下がった位置まで打ち込まれることが多く、しかも、その中心には、図1に示したように中心穴22が形成してある。このため、打ち終わった鋼管杭20に対しては、土等の異物や雨水が入り易いものとなっているのであり、そのようなことがないようにする所謂「養生」を施さなければならない。
【0004】
鋼管杭20の中心穴22内に土等の異物が入ると、まずその打ち込まれた長さを第三者が測定する場合の支障となる。つまり、鋼管杭20は、その地盤に打ち込まれた長さが重要なため、その長さの測定、つまり検査は、図2に示したような巻尺30や重りを付けた糸等を中心穴22内に挿入する等の手段によってなされるが、通常、この第三者による検査は、施工時とは異なるものであり、異物混入後のことが多い。そうなると、図2に示したような検査方法を採った場合、対象鋼管杭20は、実際施工した長さよりも短いものとなってしまって、再施工をしなければならなくなってしまう。また、鋼管杭20内に雨水が入ってしまうと、効果杭20が内側から錆びることになり、地盤改良をし建築基礎を支えるものとしては、非常に不都合となる。
【0005】
この種の鋼管杭20のための従来の「養生」としては、セメントの空き袋を被せたり、建築端材を単に載せたりしただけであって、鋼管杭20の上端が地面より低いこともあって、十分なものであるとは言い難いものであった。勿論、これらの空き袋や建築端材は、上記検査時は勿論、鋼管杭20の上に建築基礎を施工する前に取り除かなくてはならず、建築現場においては、結構手間と人手を要する作業となっていたのである。
【0006】
そこで、本発明者は、打ち込まれた鋼管杭20の上端について、検査や建築基礎施工前の養生を簡単に行え、しかも必要に応じて取り外しを簡単に行えるようにするにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、鋼管杭20についての以上の経緯に基づいてなされたもので、その解決しようとする課題は、鋼管杭20の上端、特にこれに開口している中心穴22に対する養生を確実かつ簡単に行え、必要に応じた脱着も簡単に行うことのできるカバーを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する実施の形態の説明中において使用する符号を付して説明すると、
「軟弱地盤対策として建築基礎の下に設置される鋼管杭20の上端に着脱自在に嵌合されるカバー10であって、
鋼管杭20の上面全体を覆う天板11と、この天板11に一体化されて、鋼管杭20の上端外周21または中心穴22内に嵌合される側面部12とにより構成したことを特徴とする鋼管杭20用のカバー10」
である。
【0009】
すなわち、この請求項1に係るカバー10は、鋼管杭20の上面全体を覆う天板11と、この天板11に一体化した側面部12とを備えたもので、天板11によって鋼管杭20の中心穴22を覆い、側面部12によってカバー10の上端に対して脱着自在に維持できるようにしたものである。側面部12としては、図8及び図9に示したように、筒状にして鋼管杭20の外周面21全体に嵌合されるものであってもよいが、図3〜図7に示すように、複数の「脚状物」として構成してもよい。
【0010】
側面部12として、鋼管杭20の内面22aに対して天板11を支える複数の「脚状物」として構成した場合には、図3及び図4に示すように、これら各側面部12が鋼管杭20の中心穴22内に嵌合されるか、あるいは図5及び図6に示すように、鋼管杭20の外周面21に対して嵌合されるため、天板11の支えを確実にする他、その着脱操作を簡単に行えるものとなっているのである。また、側面部12として、鋼管杭20の上端に対して嵌合する筒状のものにおいても、図7及び図8に示すように、鋼管杭20の外周面21への嵌合は勿論、鋼管杭20の中心穴22内への嵌合も確実に行うことができて、天板11の鋼管杭20に対する保持とその取り外しを簡単に行えるのである。
【0011】
従って、この請求項1のカバー10は、その天板11によって鋼管杭20の中心穴22を覆うから、中心穴22から鋼管杭20内に土や雨水等の異物が簡単には入らないことは当然として、筒状または脚状の側面部12によって、鋼管杭20の上端に対する脱着が容易に行えるものとなっていて、当該カバー10を地盤に打ち込まれた鋼管杭20の上端に嵌合するのみで取り付けが行え、必要に応じた取り外しも容易になっているのである。
【0012】
また、上記課題を解決するために、請求項2に係る発明の採った手段は、上記請求項1に記載の鋼管杭20用のカバー10について、
「側面部12に係止部13を形成して、この係止部13の外端または内端が、中心穴22の内面22aまたは鋼管杭20の外周面21に圧接し得るようにしたこと」
である。
【0013】
すなわち、この請求項2のカバー10では、その側面部12が脚状物であれ筒状物であれ、その一部に係止部13を形成したものである。この係止部13としては、図3及び図4に示すものでは、鋼管杭20の中心穴22の内面22aに接触し得る「突起」として形成したものであり、図5及び図6に示すものでは、鋼管杭20の外周面21に接触し得る「突起」として形成したものである。また、図7に示したものでは、側面部12の一部を切り開いて係止部13としたもので、この係止部13を外側に向けて折り曲げれば、鋼管杭20の内面22aに内側から弾発的に当接するものとなるし、この係止部13を内側に向けて折り曲げれば、鋼管杭20の外周面21に外側から弾発的に当接するものとなる。
【0014】
従って、この請求項2のカバー10は、請求項1のそれと同様な機能を発揮する他、その鋼管杭20に対する取り付けを各係止部13によってよりしっかりと行うことができるだけでなく、側面部12または係止部13自体の弾発力を有効に利用することができて着脱操作をより一層簡単にすることができるものとなっている。
【0015】
さらに、上記課題を解決するために、請求項3に係る発明の採った手段は、上記請求項1または2に記載の鋼管杭20用のカバー10について、
「天板11または側面部12に、視認用の確認部14を形成したこと」
である。
【0016】
すなわち、この請求項3のカバー10では、図3及び図4に示すように、各側面部12を切り抜いて折り曲げることにより形成された穴を確認部14としたものであり、この確認部14から天板11が鋼管杭20の上端に完全に密着しているか否かを視認することができるのである。図5〜図7に示したような、各側面部12が鋼管杭20の外周面21に当接されるものにおいては、これらの側面部12の間が確認部14となり、筒状の側面部12であって鋼管杭20の外周面21外側に嵌合されるものでは、図9に示すような確認部14を形成すればよい。
【0017】
従って、この請求項3のカバー10は、請求項1または請求項2のそれと同様な機能を発揮する他、当該カバー10の鋼管杭20に対する取付状態の確認を確認部14を通して行えるものとなっているのである。
【0018】
請求項4に係る発明の採った手段は、上記請求項1〜3のいずれかに記載の鋼管杭20用のカバー10について、
「天板11の外周を側面部12より外方に突出させたこと」
である。
【0019】
すなわち、この請求項4のカバー10は、例えば図5及び図6に示すように、天板11の外周を側面部12より外方に突出させたものであり、これにより、請求項1〜3の発明と同様な機能を発揮する他、この天板11の突出した部分を手掛けとして使用することができ、当該カバー10の着脱操作をより簡単に行えるものとしてある。
【0020】
請求項5に係る発明の採った手段は、上記請求項1〜4のいずれかに記載の鋼管杭20用のカバー10について、
「天板11または側面部12に取手15を設けたこと」
である。
【0021】
すなわち、この請求項5のカバー10においては、例えば図4、図5あるいは図9に示すように、天板11または側面部12に取手15を取り付けたものであり、この取手15は、当該カバー10を外すときは勿論、取り付けるときも使用することにより、その各作業や運搬を行い易くするものであって、請求項1〜4の発明と同様な機能を発揮する他、当該カバー10の着脱操作をより簡単に行えるものとなっているのである。
【0022】
さて、上記課題を解決するために、請求項6に係る発明の採った手段は、同様に、
「軟弱地盤対策として建築基礎の下に設置される鋼管杭20の上端に着脱自在に嵌合されるカバー10であって、
鋼管杭20の中心穴22全体を覆うことのできる天板11と、この天板11に形成されて、鋼管杭20の外周面21または中心穴22の内面22aに係止される第1係止材16と、この第1係止材16と連携して天板11の鋼管杭20上に対する固定を行う第2係止材17とを備えたことを特徴とする鋼管杭20用のカバー10」
である。
【0023】
すなわち、この請求項6に係るカバー10は、図10及び図11に示すように、その天板11によって鋼管杭20の中心穴22を覆うようにすることは上記請求項1〜5のカバー10と同様なのであるが、鋼管杭20上端に対する取り付けを、第1係止材16及び第2係止材17を利用して行うようにしたものである。換言すれば、これらの第1係止材16及び第2係止材17を採用することによって、上記請求項1〜請求項5における脚状または筒状の側面部12の省略を目指したものである。
【0024】
第1係止材16は、図10及び図11に示すように、天板11に形成されて、鋼管杭20の外周面21または中心穴22の内面22aに係止されることになるものである。換言すれば、この第1係止材16は、鋼管杭20の外周面21または中心穴22の内面22aに係止されればよいから、例えば図10の(ア)に示すように、ほんの僅か下方に突出するものであれば十分であり、当該カバー10全体の厚さを小さくすることができて、梱包や運搬をし易くすることになるものである。
【0025】
勿論、この第1係止材16は、鋼管杭20の上端部に対して係止されればよく、図11の(ア)に示すように鋼管杭20の外周面21に係止させたり、図11の(イ)に示すような、ボルト17bの傾斜方向が内側となるような場合には、鋼管杭20の中心穴22の内面22aに係止させればよいものである。
【0026】
一方、第2係止材17は、第1係止材16と連携して天板11の鋼管杭20上に対する固定を行うものであり、第1係止材16が鋼管杭20の外側に係止されるか、内側に係止されるか、に応じて種々な形態のものが考えられる。例えば、鋼管杭20の上端に形成した穴内に通した紐を鋼管杭20側に引き出して固定したり、鋼管杭20の裏面に、第1係止材16と連携して天板11の鋼管杭20上に対する固定を行う突起を形成したりすることがそれであるが、具体的には、以下の請求項7〜請求項9に示すような種々な形態のものが考えられる。
【0027】
従って、この請求項6のカバー10は、鋼管杭20上端に対する取り付けを、第1係止材16及び第2係止材17を利用して強力かつ確実に行うことができて、上記請求項1〜請求項5における脚状または筒状の側面部12の省略を果たすことができ、結果的に鋼管杭20に対する脱着を自在に行えるだけでなく、これ自体の梱包や運搬をより一層簡単にすることができるものとなっているのである。
【0028】
また、上記課題を解決するために、請求項7に係る発明の採った手段は、上記請求項6に記載の鋼管杭20用のカバー10について、
「第2係止材17は、天板11に形成した穴11aから挿入されて、鋼管杭20の内部分を挟み込む差込部材17aであること」
である。
【0029】
すなわち、この請求項7のカバー10は、図10の(イ)〜(ロ)に示したものを対象としているものであり、第2係止材17を差込部材17aという具体的なものに限定したものである。
【0030】
つまり、このカバー10にあっては、図10の(ウ)に示すように、その天板11の一部に、これを切り欠いて折り曲げた第1係止材16を形成しておき、この第1係止材16とは反対側(鋼管杭20の中心穴22の中心に対して反対側)に穴11aを形成したものである。そして、この穴11aを通して天板11上から第2係止材17である差込部材17aを鋼管杭20に向けて差し込むようにして、鋼管杭20の外周面21または中心穴22の内面22aに係止される第1係止材16と連携して天板11の鋼管杭20上に対する固定を行うようにしたものである。
【0031】
この場合に使用する差込部材17aは、図10の(ア)及び(イ)に示すように、鋼管杭20の上端部を内外から挟み込むピンセットのようなものであり、この差込部材17aの先端を穴11aから挿入して鋼管杭20の上端に差し込むことにより、天板11の鋼管杭20に対する固定を行うものである。勿論、この差込部材17aが挿入される天板11側の穴11a、及び第1係止材16を形成した後の穴は、上述した確認部14にもなり得るものである。
【0032】
従って、この請求項7のカバー10は、上記請求項6と同様な機能を発揮する他、差込部材17aを天板11の穴11aから挿入するという簡単な作業で、その取り付けが行えるのであるし、この差込部材17aを引き抜けば、取り外しも簡単に行えるのである。
【0033】
また、請求項8に係る発明の採った手段は、上記請求項6に記載の鋼管杭20用のカバー10について、
「第2係止材17は、天板11に第1係止材16側またはその反対側に向けて傾斜させたネジ穴11bに螺着されるボルト17bとしたこと」
である。
【0034】
すなわち、この請求項8のカバー10は、図11の(ア)及び(イ)に示したものを対象としているものであり、第2係止材17をネジ穴11bに螺着されるボルト17bという具体的なものに限定したものである。このボルト17bが螺着されるネジ穴11bは、天板11の第1係止材16とは反対側に位置する部分に形成されるものであり、かつ第1係止材16側またはその反対側に向けて傾斜させたものである。この天板11ネジ穴11bを、図11の(ア)に示すように、第1係止材16側に向けて傾斜させるのは、この第1係止材16が鋼管杭20の外周面21に係合される場合であり、図11の(イ)に示すように、第1係止材16とは反対側に向けて傾斜させるのは、この第1係止材16が鋼管杭20の中心穴22内に係合される場合である。
【0035】
つまり、第1係止材16が鋼管杭20の外側に係止されるのであれば、この第1係止材16に向けてボルト17bの先端を螺進させるのであり、第1係止材16が鋼管杭20の内側に係止されるのであれば、この第1係止材16とは反対側に向けてボルト17bの先端を螺進させるのである。
【0036】
従って、この請求項8のカバー10は、上記請求項6と同様な機能を発揮する他、ボルト17bを天板11のネジ穴11bに対してネジ込むという簡単な作業で、その取り付けが行えるのであるし、このボルト17bをネジ戻せば、当該カバー10の取り外しも簡単に行えるのである。
【0037】
さらに、請求項9に係る発明の採った手段は、上記請求項6に記載の鋼管杭20用のカバー10について、
「第1及び第2係止材16、17間を、これらの間の寸法より長い連結材18によって連結し、この連結材18の中央に形成させた突起部18aを、天板11に螺着されるボルト19により引き上げまたは押し下げるようにして、第1及び第2係止材16、17が中心穴22の内面22aに圧接し得るようにしたこと」である。
【0038】
すなわち、このカバー10は、図11の(ウ)に示したものを対象とするものであり、ボルト19の螺進操作によって第1及び第2係止材16、17間を広げ、ボルト19の螺退操作によって第1及び第2係止材16、17間を狭くするようにしたものである。
【0039】
従って、この請求項9のカバー10は、請求項6に記載の発明と同様な機能を発揮する他、ボルト19の螺進(締め付け)あるいは螺退(取り外し)操作で、カバー10の鋼管杭20上端に対する着脱操作を行えるのである。
【0040】
【発明の実施の形態】
次に、上記のように構成した各請求項に係る発明を、図面に示した実施の形態であるカバー10について説明するが、図面中には複数の実施形態が示してある。そして、これらの実施形態に係るカバー10は、上記各請求項の発明の全てを実質的に含むものである。
【0041】
さて、図1及び図2には、軟弱地盤に、建築基礎の下に設置されるべき鋼管杭20を打ち込んだ状態が示してあり、これらの鋼管杭20には、その上端に、本発明に係るカバー10が取り付けられるのである。
【0042】
図3及び図4には、本発明の第1実施例に係るカバー10が示してあるが、このカバー10は、金属の板等によって形成した天板11と、この天板11の下面に一体化した側面部12とを備えたものである。天板11は、図3に示したように、鋼管杭20の上端と略同じ面積を有するものとすることもあるが、図5等に示すように、鋼管杭20より大きくして鋼管杭20からはみ出す部分を積極的に形成する場合もある。鋼管杭20より天板11を大きくした場合には、この大きくなった部分を利用して、当該カバー10の着脱を行う際の手掛けとして利用するものである。
【0043】
また、この天板11に対しては、図4または図5中の二点鎖線にて示したように、これに取手15を取り付けるようにして実施してもよいものであり、この取手15の取付場所としては、図9に示したように、筒状の側面部12であってもよいものである。
【0044】
側面部12は、図3及び図4等に示したように、鋼管杭20の中心を囲むことのできる複数の脚状のものとして形成してもよいが、図8及び図9に示したように、鋼管杭20の外周面21に外嵌合したり、鋼管杭20の中心穴22内に内嵌合したりする筒状のものとして実施してもよいものである。各側面部12を脚状にするには、図3〜図7に示したように、天板11の一部を切り欠いて図示下側に折り曲げるようにすることが最も簡便である。このようにして出来た天板11の穴は、これを後述する確認部14として利用することもできるし、このように脚状に形成した各側面部12は、天板11に対して弾性を有したものにもなる。
【0045】
このような脚状の側面部12に、図3または図5に示したような係止部13を積極的に形成すると、この係止部13が鋼管杭20の外周面21や内面22aに弾発的に当接することになるから、非常に有利になる。何故なら、各係止部13によって鋼管杭20に対する当接が弾発力をもってなされることになるから、当該カバー10の鋼管杭20に対する取付状態を確実に維持することができるからである。
【0046】
図3及び図4に示したカバー10は、その各脚状の側面部12が鋼管杭20の内面22aに当接するようにしたものであり、図5及び図6に示したカバー10は、その各脚状の側面部12が鋼管杭20の外周面21に外側から当接するようにしたものである。
【0047】
以上の天板11及び各側面部12は、図7に示したような種々な態様のものが考えられる。図7の(イ)に示したカバー10では、天板11を略四角形状とし、各側面部12を切り抜いて折り曲げた後の穴が閉じられている場合であり、図7の(ロ)では天板11を円形のものとしたものである。また、図7の(ハ)に示したカバー10では、天板11を略四角形状とし、各側面部12を切り抜いて折り曲げた後の穴が開放されている場合であり、図7の(ニ)では天板11を円形のものとしたものである。
【0048】
図8に示したカバー10は、側面部12として筒状のものを採用し、この側面部12が鋼管杭20の中心穴22内に内嵌合されるものを示している。この場合、係止部13を、図7の(イ)に示した脚状の側面部12と同様な方法で舌片状に形成し、この係止部13を外側、つまり鋼管杭20の中心穴22側に傾斜するようにしたものである。勿論、この筒状の側面部12を鋼管杭20に外嵌合させるものとした場合には、この舌片状の係止部13は内側に曲げておくようにすればよい。
【0049】
図9に示したカバー10は、側面部12を、鋼管杭20の外側に外嵌合するものとして形成したものであり、この側面部12に対しては、図9中に例示したような形状の確認部14を形成して実施するとよい。この確認部14からは、当該カバー10を鋼管杭20の上端に取り付けるに際して、その天板11が鋼管杭20の上端に密着した状態にあるか否かを視認することができるものである。
【0050】
図10には、さらに別の実施例が示してあるが、このカバー10では、その天板11を鋼管杭20に取り付けるのに、第1係止材16とこれに対向する第2係止材17とで行うようにしたものである。特に、このカバー10の第1係止材16は、図10の(ア)及び(イ)に示したように、鋼管杭20の外周面21または内面22aに係止されることになる第1係止材16を必要最小限の長さとし、この第1係止材16に対向する部分に穴11aを形成したものである。そして、この穴11a内には、ピンセット状の差込部材17aを差し込むものであり、この差込部材17aを鋼管杭20に嵌合させることにより、鴎外カバー10の取り付けを行うものである。勿論、差込部材17aを引き抜くことによって、当該カバー10の取り外しが行えるものである。
【0051】
そして、図11の(ア)及び(イ)には、第2係止材17としてボルト17bを採用する場合の実施例が示してあり、第2係止材17をネジ穴11bに螺着されるボルト17bという具体的なものに限定したものである。このボルト17bが螺着されるネジ穴11bは、天板11の第1係止材16とは反対側に位置する部分に形成されるものであり、かつ第1係止材16側またはその反対側に向けて傾斜させたものである。この天板11のネジ穴11bを、図11の(ア)に示すように、第1係止材16側に向けて傾斜させるのは、この第1係止材16が鋼管杭20の外周面21に係合される場合であり、図11の(イ)に示すように、第1係止材16とは反対側に向けて傾斜させるのは、この第1係止材16が鋼管杭20の中心穴22内に係合される場合である。
【0052】
つまり、第1係止材16が鋼管杭20の外側に係止されるのであれば、この第1係止材16に向けてボルト17bの先端を螺進させるのであり、第1係止材16が鋼管杭20の内側に係止されるのであれば、この第1係止材16とは反対側に向けてボルト17bの先端を螺進させるのである。このようにしたカバー10は、ボルト17bを天板11のネジ穴11bに対してネジ込むという簡単な作業で、その取り付けが行えるものであるし、このボルト17bをネジ戻せば、当該カバー10の取り外しも簡単に行えるものである。
【0053】
さらに、図11の(ウ)に示したカバー10は、ボルト19の螺進操作によって第1及び第2係止材16、17間を広げ、ボルト19の螺退操作によって第1及び第2係止材16、17間を狭くするようにしたものであり、第1及び第2係止材16、17間を、これらの間の寸法より長い連結材18によって連結し、この連結材18の中央に形成させた突起部18aを、天板11に螺着されるボルト19により引き上げまたは押し下げるようにして、第1及び第2係止材16、17が中心穴22の内面22aに圧接し得るようにしたものである。
【0054】
【発明の効果】
以上、詳述した通り、請求項1〜請求項5に係る発明においては、上記実施形態にて例示した如く、
「軟弱地盤対策として建築基礎の下に設置される鋼管杭20の上端に着脱自在に嵌合されるカバー10であって、
鋼管杭20の上面全体を覆う天板11と、この天板11に一体化されて、鋼管杭20の上端外周21または中心穴22内に嵌合される側面部12とにより構成したこと」
にその主たる構成上の特徴があり、これにより、鋼管杭20の上端、特にこれに開口している中心穴22に対する養生を確実かつ簡単に行え、必要に応じた脱着も簡単に行うことのできるカバー10を提供することができるのである。
【0055】
また、請求項6〜請求項9に係る発明においては、上記実施形態にて例示した如く、
「軟弱地盤対策として建築基礎の下に設置される鋼管杭20の上端に着脱自在に嵌合されるカバー10であって、
鋼管杭20の中心穴22全体を覆うことのできる天板11と、この天板11に形成されて、鋼管杭20の外周面21または中心穴22の内面22aに係止される第1係止材16と、この第1係止材16と連携して天板11の鋼管杭20上に対する固定を行う第2係止材17とを備えたこと」
にその主たる構成上の特徴があり、これにより、鋼管杭20の上端、特にこれに開口している中心穴22に対する養生を、強力な固定であって確実かつ簡単に行え、必要に応じた脱着も簡単に行うことのでき、しかも、全体の厚さを小さくすることができて、その梱包や運搬を容易にすることのできるカバー10を提供することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るカバーが取り付けけられるべき鋼管杭を軟弱地盤に打ち込んだ様子を示す部分斜視図である。
【図2】図1に示した一つの鋼管杭を中心にしてみた部分拡大縦断面図である。
【図3】本発明に係るカバーの第1実施例を示す縦断面図である。
【図4】同カバーの平面図である。
【図5】本発明に係るカバーの第2実施例を示す縦断面図である。
【図6】同カバーの平面図である。
【図7】図6に示したカバーの、(イ)〜(ニ)の4種類の実施例を示す平面図である。
【図8】側面部が筒状であって鋼管杭に内嵌合されるカバーの概略斜視図である。
【図9】側面部が筒状であって鋼管杭に外嵌合されるカバーの概略斜視図である。
【図10】第1係止材と第2係止材とを有するカバーを示すもので、(ア)は当該カバーを鋼管杭に取り付けた状態の断面図、(イ)は第2係止材である差込部材を鋼管杭上端に差し込もうとしている状態の断面図、(ウ)は同平面図である。
【図11】第1係止材と、第2係止材であるボルトとを有するカバーを示すもので、(ア)はボルトの先端を鋼管杭の外側に係合させる例を示す断面図、(イ)はボルトの先端を鋼管杭の内面に内側で係合させる例を示す断面図、(ウ)は第1係止材と第2係止材とをボルトによって拡縮される連結材を有したカバーの断面図である。
【符号の説明】
10 カバー
11 天板
11a 穴
11b ネジ穴
12 側面部
13 係止部
14 確認部
15 取手
16 第1係止材
17 第2係止材
17a 差込部材
17b ボルト
18 連結材
18a 突起部
19 ボルト
20 鋼管杭
21 外周面
22 中心穴
22a 内面
Claims (9)
- 軟弱地盤対策として建築基礎の下に設置される鋼管杭の上端に着脱自在に嵌合されるカバーであって、
前記鋼管杭の上面全体を覆う天板と、この天板に一体化されて、前記鋼管杭の上端外周または中心穴内に嵌合される側面部とにより構成したことを特徴とする鋼管杭用のカバー。 - 前記側面部に係止部を形成して、この係止部の外端または内端が、前記中心穴の内面または鋼管杭の外周面に圧接し得るようにしたことを特徴とする請求項1に記載の鋼管杭用のカバー。
- 前記天板または側面部に、視認用の確認部を形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の鋼管杭用のカバー。
- 前記天板の外周を前記側面部より外方に突出させたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鋼管杭用のカバー。
- 前記天板または側面部に取手を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の鋼管杭用のカバー。
- 軟弱地盤対策として建築基礎の下に設置される鋼管杭の上端に着脱自在に嵌合されるカバーであって、
前記鋼管杭の中心穴全体を覆うことのできる天板と、この天板に形成されて、前記鋼管杭の外周面または中心穴の内面に係止される第1係止材と、この第1係止材と連携して前記天板の鋼管杭上に対する固定を行う第2係止材とを備えたことを特徴とする鋼管杭用のカバー。 - 前記第2係止材は、前記天板に形成した穴から挿入されて、前記鋼管杭の内部分を挟み込む差込部材であることを特徴とする請求項6に記載の鋼管杭用のカバー。
- 前記第2係止材は、前記天板に前記第1係止材側またはその反対側に向けて傾斜させたネジ穴に螺着されるボルトとしたことを特徴とする請求項6に記載の鋼管杭用のカバー。
- 前記第1及び第2係止材間を、これらの間の寸法より長い連結材によって連結し、この連結材の中央に形成させた突起部を、前記天板に螺着されるボルトにより引き上げまたは押し下げるようにして、前記第1及び第2係止材、が前記中心穴の内面に圧接し得るようにしたことを特徴とする請求項6に記載の鋼管杭用のカバー。
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