JP2004051871A - サブミクロン粒子発泡剤及びその製法並びにその発泡成型品及びその発泡成型品の製法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の発泡設備において、初期分解の問題を起こさずに、必要であれば高発泡倍率で、微細セル発泡体を形成することができる発泡剤及びその発泡剤の製造方法並びに発泡成型品及びその製法を提供する。
【解決手段】発泡剤を溶剤に分散させて発泡剤分散液とし、その発泡剤分散液同士を高圧により高速衝突させて粉砕し、発泡剤の粒子径の粒度分布を0.1〜3.0ミクロン、好ましくは、発泡剤の粒子径の粒度分布を0.1〜0.6ミクロン、0.3〜0.9ミクロン、0.4〜1.5ミクロン、0.5〜3.0ミクロンの中の1つ又はそれ以上とする。発泡剤分散液同士の高速衝突は、循環管路の発泡剤分散液にノズルを介して加圧した発泡剤分散液を噴射する方法により実施する。
【解決手段】発泡剤を溶剤に分散させて発泡剤分散液とし、その発泡剤分散液同士を高圧により高速衝突させて粉砕し、発泡剤の粒子径の粒度分布を0.1〜3.0ミクロン、好ましくは、発泡剤の粒子径の粒度分布を0.1〜0.6ミクロン、0.3〜0.9ミクロン、0.4〜1.5ミクロン、0.5〜3.0ミクロンの中の1つ又はそれ以上とする。発泡剤分散液同士の高速衝突は、循環管路の発泡剤分散液にノズルを介して加圧した発泡剤分散液を噴射する方法により実施する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細で均一な発泡セルを形成するサブミクロン粒子発泡剤、及びその製造方法、並びにそれを用いてなる発泡成型品及びその製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
機械的粉砕法、ジェット粉砕法により製造される従来の化学発泡剤の粉体は、粒子径の粒度分布が数ミクロンから数十ミクロンであった。粒子は、ある程度まで粉砕されると再凝集しそれ以上の粉砕は困難になるから、機械的粉砕法において、粉体の粒度分布を数ミクロン以下にすることは困難である。高速気流と共に衝突させるジェット粉砕法において、高圧粉砕を繰り返しても、粒度は数ミクロンが限界である。気流中の粉砕は、粒子の質量が小さくなるにつれて運動エネルギーが減少し、粒子同士の衝突による衝撃も軽減するため粒度を数ミクロン以下にすることは困難である。さらに、化学発泡剤は、元来、熱分解しやすい化合物であり、微粒子になればなるほど活性化するから、気流中を摩擦しながら流動すると、熱及び静電気を発生して熱による発泡剤の分解、静電気スパークによる発泡剤の爆発が起きる危険性も高い。
【0003】
従来の化学発泡剤は、粒子径が最小でも数ミクロン以上と大きく、粒度分布が数ミクロンから数十ミクロンと広いため、種々の欠点があった。すなわち、分解温度の幅が大きいこと、発泡剤の理論ガス量が発泡に十分利用できない(発泡倍率が上がらない)こと、発泡セル径が比較的大きく且つ不均一である(発泡成型品の物性の低下が著しい)こと等である。
【0004】
近年、微細セルを持った発泡体成型品を得る方法として、超臨界ガスを利用した発泡法(特許第2625576号公報)が提案されている。超臨界ガスを利用した発泡法は、微細セルを持った発泡体成型品が得られるが、特殊な設備及び装置を要するため、加工性及び汎用性に欠ける。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その課題は、従来の発泡設備において、初期分解の問題を起こさずに、均一で微細なセル径を持ち、必要があれば高発泡倍率で、発泡成型品を製造することができるサブミクロン粒子発泡剤及びその発泡剤の製造方法並びに発泡成型品及びその製法を提供することにある。
【0006】
発泡成型品は、発泡体の発泡セルが小さく緻密になることにより、弾性、強度、表面性が改善される。発泡体の発泡セルの大小と均一性は、化学発泡剤の粒度とその粒度分布よる。本発明のサブミクロン粒子発泡剤は、粒度が従来の化学発泡剤と比べると、微細である上に、その粒度分布も極めてシャープであるから、分解温度のコントロール、発泡倍率の制御、発泡成型品の諸物性の向上を図ることができる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を達成するため、本発明が採用する手段は、発泡剤を液状媒体に分散させて発泡剤分散液とし、その発泡剤分散液同士を高圧により高速衝突させて粉砕し、発泡剤の粒子径の粒度分布を0.1〜3.0ミクロンとすること、好ましくは、発泡剤の粒子径の粒度分布を0.1〜0.6ミクロン、0.3〜0.9ミクロン、0.4〜1.5ミクロン、0.5〜3.0ミクロンの中の1つ又はそれ以上とすることである。なお、ミクロンはμm(ミクロンメートル)である。
【0008】
発泡剤分散液同士の高速衝突は、管路内の発泡剤分散液にノズルを介して加圧した発泡剤分散液を噴射する方法により実施する。この方法は、液流式粉砕装置、例えば、ナノマイザー(商品名:吉田機械製)により実施することができる。
【0009】
このようにして、発泡剤の粒子径はサブミクロンオーダとなり、分布幅も狭いので、従来の発泡剤では製造することができなかった高発泡倍率の発泡成型品、例えば、オレフィン壁紙なども製造可能となる。又、重曹等の二剤型発泡剤は、粒子がサブミクロンオーダのため、重曹と有機酸のミクロ分散、ミクロ混合が可能となり、発泡成型品の品質が向上する。さらに、粒子は微細になればなる程、白く見えるから、これまで困難であった着色発泡剤使用時の色合わせも容易になる。、例えば、黄色のアゾジカーボンアミドは、サブミクロンオーダになると白色に見え、色合わせ困ることは全くない。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の発泡剤を適用する発泡体基材は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系高分子、ビニルモノマー、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、アクリレート、3−メチル−1ペンテン、酢酸ビニルとの共重合体、アクリロニトリル、ABS、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリウレタン、スチレン共重合体、シリコン樹脂、SBR等の合成ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系エマルジョン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化樹脂、ナイロン類、PBT等のエンジニアリングポリマー、乳酸ポリマー等の生分解性ポリマー等であり、発泡対象になるすべての熱可塑性、熱硬化性樹脂が使用することができる。また、架橋、非架橋、又は化学、電子線、放射線架橋された両方の高分子も使用可能である。
【0011】
本発明の発泡剤は、化学発泡剤とその助剤であり、化学発泡剤としては、アゾジカーボンアミド(AC)、アゾビスイソブチルニトリル(AIBN)、アゾカルボン酸誘導体等のアゾ化合物、p、p’−オキシビスベンゼンスルフォニルヒドラジッド(OBSH)、トルエンスルフォニルヒドラジッド(TSH)等のスルフォニルヒドラジッド化合物、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、重曹(炭酸モノナトリウム)とクエン酸誘導体又はそれらと酸性物質との組み合わせ、5−フェニルテトラゾール、1−Hテトラゾール塩、1,4−ビステトラゾール等のテトラゾール化合物,テトラジン、アゾビステトラジン等のテトラジン化合物等を使用する。
【0012】
発泡剤は、液流中の高速衝突法により微粉化する。発泡剤を液状媒体中に分散させ、その分散流体を高速で衝突させることにより、発泡剤を効率よく且つ安全に0.1ミクロン〜3ミクロンの微粒子に粉砕する。
【0013】
液状媒体としては、水、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、クロロフォルム、四塩化炭素、ジクロルエタン、クロルベンゼン等のハロゲン溶剤、MEK、MIBK等のケトン類、酢酸エステル、乳酸エステル等のエステル類、DMF、DMSO等の極性溶媒、DMA(ジメチルアセタール)、ジメチルピロリドン等の第4アンモニウム塩のイオン性流体及びこれらの混合溶剤等、全ての液状物質が使用可能である。これらの液状媒体は、発泡剤、乾燥法、濃縮物の使用方法、樹脂基材の種類及び形態に応じて適宜選択する。
【0014】
液状媒体に分散して処理する発泡剤原料は、必要であれば、予備粉砕を行うと共に大きな粒子は濾過して分離する。微粉化する発泡剤原料は、分散性を高めて沈降を抑制し、高速衝突を実施する液流式粉砕装置のノズル、逆止弁等を詰まらせないように準備する。このため、超音波撹拌、ホモジナイザー等を使用する。沈降の早い原料の場合は分散剤を使用する。
【0015】
発泡剤分散液同士の高速衝突は、管路内の発泡剤分散液にノズルを介して加圧した発泡剤分散液を噴射する。噴射速度は、加圧により任意に設定可能である。加圧に使用する高圧プランジャーポンプは必要に応じて複数基の連結式とする。圧力は20ないし400MPaの範囲から選択し、衝突回数などの条件は適宜に設定する。高速衝突させる管路には必要な衝突回数だけ繰り返して通すか、又は、粉砕装置を数基連結して、目的の粒度分布を持つ微粒子発泡剤を製造する。このとき、発泡剤の微粒子が0.1ないし3ミクロンの範囲の粒子径と適切な粒度分布を有するように、高圧粉砕処理の条件を設定する。この液流高速衝突方式により製造された微粒子は、粒度分布が狭いという特徴がある。粒度分布は、粉砕処理を繰り返すとさらに狭くなる。
【0016】
乾燥は、加熱乾燥、減圧乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥等のいずれでもよいが、微細な粒子は乾燥すると再凝集して発泡体樹脂に分散するときに支障を来すから、乾燥前に凝集を防止する凝集防止剤、例えば、ポイズ、アセタミン、デモール、ルナック、エマルゲン(商品名:花王製)等を添加して乾燥時の凝集を抑制する。又、分散剤、例えば、パイオニン、ニューカルゲン(商品名:竹本油脂製)等を添加して樹脂等の基材に分散させるときの分散性を高める。樹脂等の基材に分散させるときは、高い剪断力による分散が効果的である。
【0017】
凝集防止処理を施した本発明のサブミクロン粒子発泡剤を、目標とする発泡倍率が得られる量だけ樹脂、ゴム等の固形基材、ゾル状基材、ペースト状基材に剪断作用を利用して混練し、十分に分散させる。当該発泡剤を分散させた基材は常圧下又は加圧下で加熱発泡させて発泡体とする。
【0018】
発泡時に併用する核剤としては、通常の樹脂添加剤核剤として使用される全ての核剤が使用可能である。例えば、タルク、マイカ、アルミナ繊維、ワラストナイト、炭化ケイ素ウィスカー、ガラス繊維、カーボン繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミ繊維、ケイ酸塩類等を挙げることができる。核剤の形状としては、球状、繊維状、リン片状、テトラポット状、これらの複合したものが使用可能である。発泡時にこれらの核剤は発泡セル壁内に取り込まれる。その結果、核剤の形状に対応して、セル壁の強化と発生ガスのセル外逃散抑制による発泡効率(ガス量の有効利用)向上の効果が得られる。核剤が、ナノオーダーの繊維状、リン片状物質の場合、効果は特に顕著である。
【0019】
従来の化学発泡剤は粒子が大きいため、1つの粒子から発生するガス量が多く、発泡セルの大きさも100ミクロン以上になる。しかも、発泡に寄与せずに外へ逃げるガスの量も多い。超臨界ガス発泡法を実施すれば、微細で緻密な発泡セルを形成することができる。しかし、超臨界発泡法は、特殊な発泡設備が必要であり、従来の発泡設備及び作業条件において実施することはできない。本発明のサブミクロン微粒子からなる発泡剤を使用すれば、従来の発泡設備及び作業条件においても、本発明のサブミクロン粒子発泡剤は均一に分散されているから、発生ガスは発泡に有効活用され、数ミクロンから100ミクロン以下の微細な発泡セルを形成することができる。微細発泡セルは均一に分散されている。
【0020】
【実施例】
次に、本発明の実施例について説明する。しかし、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0021】
実施例1:
アゾジカーボンアミド(商品名:ユニフォームAZ、大塚化学製、平均メジアン粒子径15ミクロン、最大粒子径40ミクロン)を、イソプロピルアルコール(IPA)に20重量%の濃度に分散し、さらに、超音波撹拌を行った。この分散液をナノマイザーに150MPaの圧力で5回通した。得られたアゾジカーボンアミド粒子は、0.3〜3.0ミクロンの粒度分布を有し、平均粒子径は0.8ミクロンであった。粒子径の測定は、顕微鏡写真解析装置(ナノスコープPC−03)を使用して電子顕微鏡写真の実測値を分析した。レーザ回折式粒度分布計(ベックマン社製)で分析すると相関関係から実態の2倍の値を示すことを確認した。
【0022】
実施例2:
平均粒子径80ミクロンの重曹(炭酸水素モノナトリウム)のイソプロピルアルコール10重量%分散液に分散剤アセタミン−86(商品名:花王製)を50ppm相当量になるように添加する。超音波撹拌を行い、ナノマイザーに130MPaの圧力で10回通過させた。得られた分散状態の微粉砕された重曹(炭酸水素モノナトリウム)の粒子径は、実施例1と同じ方法、装置で分析した結果、粒度分布は0.6〜2.9ミクロン、平均粒子径は0.85ミクロンであった。
【0023】
実施例3:
アゾジカーボンアミド(商品名:ユニフォームAZ、大塚化学製、平均メジアン粒子径15ミクロン、最大粒子径40ミクロン)を、イソプロピルアルコール(IPA)に20重量%の濃度に分散し、分散剤パイオニンA−44−PN(竹本油脂製)を30ppm相当になるように添加し超音波撹拌を行った。この分散液をナノマイザーに180MPaの圧力で10回通過させた。得られた分散状態の微粉砕されたアゾジカーボンアミドの粒子径は、実施例1と同じ方法、装置で分析した。粒度分布は0.2〜3.0ミクロン、平均粒子径は0.65ミクロンであった。
【0024】
実施例4:
アゾジカーボンアミド(商品名:ユニフォームAZ、大塚化学製、平均メジアン粒子径15ミクロン、最大粒子径40ミクロン)を、イソプロピルアルコール(IPA)に20重量%の濃度に分散し、分散剤パイオニンA−44−PN(竹本油脂製)を30ppm相当になるように添加し超音波撹拌を行った。この分散液をナノマイザーに300MPaの圧力で3回通過させた。得られた分散状態の微粉砕されたアゾジカーボンアミドの粒子径は、実施例1と同じ方法、装置で分析した。粒度分布は0.2〜0.95ミクロン、平均粒子径は0.25ミクロンであった。
【0025】
実施例5:
p、p’−オキシビスベンゼンスルフォニックヒドラジッド(OBSH)(平均メジアン粒子径13ミクロン、最大粒子径30ミクロン)を、イソプロピルアルコール(IPA)に20重量%の濃度に分散し、分散剤パイオニンA−44−PN(竹本油脂製)を30ppm相当になるように添加し超音波撹拌を行った。この分散液をナノマイザーに200MPaの圧力で5回通過させた。得られた分散状態の微粉砕されたOBSHの粒子径は、実施例1と同じ方法、装置で分析した。粒度分布は0.15〜0.85ミクロン、平均粒子径は0.35ミクロンであった。
【0026】
実施例6:
実施例1で得られた微粉体分散液に分散剤アセタミン−86を20ppm相当量になるように添加し、100torr減圧下、60℃で噴霧乾燥を行った。得られた乾燥粉末のアゾジカーボンアミドについて次の条件で発泡試験を行った。二軸混練機を使用して低密度ポリエチレン(LDPE)(日本ポリケム製)ペレット100重量部に、この実施例6で得られたアゾジカーボンアミド10重量部と架橋剤ジクミルパーオキサイド1.5重量部をサイドフィーダから供給してバレル温度125℃で混練し、押出し機で厚さ2mmのシートを作成した。得られたシートをオーブン中で230℃に加熱して架橋及び発泡を行った。発泡剤は均一に樹脂中に分散していることをシートのカット面の顕微鏡写真で確認した。発泡体セルの平均発泡径は35ミクロンであった。発泡倍率は25倍であった。
【0027】
実施例7:
実施例2で得られた重曹(炭酸水素モノナトリウム)微粉体と、同様な処理により得られたクエン酸モノソーダ微粉体とを、それぞれ、100torr減圧下、60℃で噴霧乾燥を行った。クエン酸モノソーダ微粉体はさらに加熱乾燥して無水物とした。高密度ポリエチレン100重量部に、重炭酸ナトリウム微粉体とクエン酸モノソーダ無水物微粉体の50:50混合物を0.4部添加し、150℃で混練押出し機においてTダイのスリットを0.6mmに設定して押出し発泡を行った。発泡シートは、厚さは1mm、発泡倍率は2.4倍、表面は平滑、発泡セルは均一、平均発泡径は10ミクロンであった。
【0028】
実施例8:
実施例4で得られた微粉体アゾジカーボンアミドの液状媒体を水とした水分散液を、60℃、50torr減圧下で噴霧乾燥し、50%濃度のスラリー状微粉体を得た。アクリル酸エステル−メチルメタクリレート共重合体とエチレン−酢酸ビニル共重合体の40:60混合物の固形分55重量%のエマルジョン100重量部に対し、得られたスラリー状微粉体発泡剤3.0重量部(50%水)、エチレングリコール(乾燥遅延剤)5重量部、ポリアクリル酸ソーダ(増粘剤)2重量部、水酸化アルミニウム(充填剤)15重量部、鉱油系消泡剤0.75重量部、キッカーを十分に撹拌混合して裏打紙に、乾燥後厚さ0.1mmになるようにドクターナイフで塗布して130℃で2分間加熱乾燥した。その後、180℃で1分間加熱発泡させ、発泡倍率が5.5倍、セルの平均発泡径が10ミクロンで表面の平滑な発泡シートを得た。加熱発泡直後に冷エンボスロールにかけると、きれいな凹凸模様が形成された。
【0029】
実施例9:
実施例3で得られた微粉体発泡剤の分散液を実施例6と同様の乾燥を行い、このアゾジカーボンアミド1.2重量部に、70重量部のポリプロピレン系樹脂(結晶性のポリプロピレン95重量%と、非結晶性のエチレン・プロピレン共重合体40/60比の混合物5重量%)、ポリエチレン系樹脂として20重量部のエチレン・1−ブテン共重合体と10重量部の高密度ポリエチレンを、タンブラーに入れて混合した後、ストランドダイスを付けた押出し機で溶融混練して厚さ2mmのシートに調整した。このシートに電子線を700KVの加速電圧で4.0Mrad照射して架橋した。この架橋シートを250℃のオーブン中で発泡させた。得られた発泡体は、発泡倍率24倍で良好な表面と均一な外観を有し、発泡セルは、平均セル径10ミクロンの微細セルであった。
【0030】
実施例10:
実施例5で得られたp、p’−オキシビスベンゼンスルフォニックヒドラジッド(OBSH)に、実施例6と同様な乾燥を施し、乾燥微粉体OBSHを得た。この乾燥微粉体OBSHを次の組成のゴム成分と混合した。
EPDMポリマー(PX−043E)(三井化学製)110重量部、FEFカーブンブラック140重量部、パラフィン系プロセスオイル80重量部、亜鉛華5重量部、ステアリン酸1重量部、脱水剤(消石灰)5重量部、炭酸カルシウム25重量部、加硫促進剤7重量部、硫黄2重量部、OBSH0.5重量部の混合物を、ニーダ及びロール混練機により発泡ゴム配合物に調整した。この発泡ゴム配合物を押出し機により幅10mm、厚さ3mmの断面形状を有する押出し物とした。この押出し物をUHF加硫及び熱風加硫(220℃、15分)し、発泡ゴム成型品を得た。この成型品は弾性を有し、表面は極めて平滑であり、断面の発泡セルは均一微細であり、発泡セルの平均セル径は10ミクロンであった。
【0031】
実施例11:
実施例6の乾燥粉末のアゾジカーボンアミドについて次の条件で発泡試験を行った。二軸混練機を使用してアゾジカーボンアミド4重量部と、架橋剤ジクミルパーオキサイド1.5重量部と、核剤としての微細マイカ10重量部の混合物をサイドフィーダから供給して混練し、実施例6と同様な処理をして発泡体を得た。発泡倍率は15倍であり、圧縮強度と曲げ強度は、核剤未添加の物と比べ、2.5倍も大きくなった。
【0032】
【発明の効果】
上記の通り、本発明の発泡剤は、粒子径が0.1ないし3.0ミクロンで狭い粒度分布の微粒子からなるから、数ミクロンから100ミクロン以下の微細で緻密な発泡セルからなる発泡体を、従来の発泡設備を使用して形成することが可能であり、これにより、従来の化学発泡剤では不可能であったオレフィン壁紙などの薄物発泡成型品も製造することができるという優れた効果を奏する。 又、本発明の発泡剤の製法は、従来の粒子径を数ミクロン以下に微粉砕することができなかった機械式粉砕法、又は、粉砕時に化学発泡剤が分解爆発するおそれのあったジェット粉砕法とは異なり、化学発泡剤の粒子を液流中の高速衝突法により粉砕するので、粒子は安全に且つ効率よくサブミクロンの粒子径まで粉砕されるという格別の効果を奏する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細で均一な発泡セルを形成するサブミクロン粒子発泡剤、及びその製造方法、並びにそれを用いてなる発泡成型品及びその製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
機械的粉砕法、ジェット粉砕法により製造される従来の化学発泡剤の粉体は、粒子径の粒度分布が数ミクロンから数十ミクロンであった。粒子は、ある程度まで粉砕されると再凝集しそれ以上の粉砕は困難になるから、機械的粉砕法において、粉体の粒度分布を数ミクロン以下にすることは困難である。高速気流と共に衝突させるジェット粉砕法において、高圧粉砕を繰り返しても、粒度は数ミクロンが限界である。気流中の粉砕は、粒子の質量が小さくなるにつれて運動エネルギーが減少し、粒子同士の衝突による衝撃も軽減するため粒度を数ミクロン以下にすることは困難である。さらに、化学発泡剤は、元来、熱分解しやすい化合物であり、微粒子になればなるほど活性化するから、気流中を摩擦しながら流動すると、熱及び静電気を発生して熱による発泡剤の分解、静電気スパークによる発泡剤の爆発が起きる危険性も高い。
【0003】
従来の化学発泡剤は、粒子径が最小でも数ミクロン以上と大きく、粒度分布が数ミクロンから数十ミクロンと広いため、種々の欠点があった。すなわち、分解温度の幅が大きいこと、発泡剤の理論ガス量が発泡に十分利用できない(発泡倍率が上がらない)こと、発泡セル径が比較的大きく且つ不均一である(発泡成型品の物性の低下が著しい)こと等である。
【0004】
近年、微細セルを持った発泡体成型品を得る方法として、超臨界ガスを利用した発泡法(特許第2625576号公報)が提案されている。超臨界ガスを利用した発泡法は、微細セルを持った発泡体成型品が得られるが、特殊な設備及び装置を要するため、加工性及び汎用性に欠ける。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その課題は、従来の発泡設備において、初期分解の問題を起こさずに、均一で微細なセル径を持ち、必要があれば高発泡倍率で、発泡成型品を製造することができるサブミクロン粒子発泡剤及びその発泡剤の製造方法並びに発泡成型品及びその製法を提供することにある。
【0006】
発泡成型品は、発泡体の発泡セルが小さく緻密になることにより、弾性、強度、表面性が改善される。発泡体の発泡セルの大小と均一性は、化学発泡剤の粒度とその粒度分布よる。本発明のサブミクロン粒子発泡剤は、粒度が従来の化学発泡剤と比べると、微細である上に、その粒度分布も極めてシャープであるから、分解温度のコントロール、発泡倍率の制御、発泡成型品の諸物性の向上を図ることができる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を達成するため、本発明が採用する手段は、発泡剤を液状媒体に分散させて発泡剤分散液とし、その発泡剤分散液同士を高圧により高速衝突させて粉砕し、発泡剤の粒子径の粒度分布を0.1〜3.0ミクロンとすること、好ましくは、発泡剤の粒子径の粒度分布を0.1〜0.6ミクロン、0.3〜0.9ミクロン、0.4〜1.5ミクロン、0.5〜3.0ミクロンの中の1つ又はそれ以上とすることである。なお、ミクロンはμm(ミクロンメートル)である。
【0008】
発泡剤分散液同士の高速衝突は、管路内の発泡剤分散液にノズルを介して加圧した発泡剤分散液を噴射する方法により実施する。この方法は、液流式粉砕装置、例えば、ナノマイザー(商品名:吉田機械製)により実施することができる。
【0009】
このようにして、発泡剤の粒子径はサブミクロンオーダとなり、分布幅も狭いので、従来の発泡剤では製造することができなかった高発泡倍率の発泡成型品、例えば、オレフィン壁紙なども製造可能となる。又、重曹等の二剤型発泡剤は、粒子がサブミクロンオーダのため、重曹と有機酸のミクロ分散、ミクロ混合が可能となり、発泡成型品の品質が向上する。さらに、粒子は微細になればなる程、白く見えるから、これまで困難であった着色発泡剤使用時の色合わせも容易になる。、例えば、黄色のアゾジカーボンアミドは、サブミクロンオーダになると白色に見え、色合わせ困ることは全くない。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の発泡剤を適用する発泡体基材は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系高分子、ビニルモノマー、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、アクリレート、3−メチル−1ペンテン、酢酸ビニルとの共重合体、アクリロニトリル、ABS、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリウレタン、スチレン共重合体、シリコン樹脂、SBR等の合成ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系エマルジョン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化樹脂、ナイロン類、PBT等のエンジニアリングポリマー、乳酸ポリマー等の生分解性ポリマー等であり、発泡対象になるすべての熱可塑性、熱硬化性樹脂が使用することができる。また、架橋、非架橋、又は化学、電子線、放射線架橋された両方の高分子も使用可能である。
【0011】
本発明の発泡剤は、化学発泡剤とその助剤であり、化学発泡剤としては、アゾジカーボンアミド(AC)、アゾビスイソブチルニトリル(AIBN)、アゾカルボン酸誘導体等のアゾ化合物、p、p’−オキシビスベンゼンスルフォニルヒドラジッド(OBSH)、トルエンスルフォニルヒドラジッド(TSH)等のスルフォニルヒドラジッド化合物、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、重曹(炭酸モノナトリウム)とクエン酸誘導体又はそれらと酸性物質との組み合わせ、5−フェニルテトラゾール、1−Hテトラゾール塩、1,4−ビステトラゾール等のテトラゾール化合物,テトラジン、アゾビステトラジン等のテトラジン化合物等を使用する。
【0012】
発泡剤は、液流中の高速衝突法により微粉化する。発泡剤を液状媒体中に分散させ、その分散流体を高速で衝突させることにより、発泡剤を効率よく且つ安全に0.1ミクロン〜3ミクロンの微粒子に粉砕する。
【0013】
液状媒体としては、水、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、クロロフォルム、四塩化炭素、ジクロルエタン、クロルベンゼン等のハロゲン溶剤、MEK、MIBK等のケトン類、酢酸エステル、乳酸エステル等のエステル類、DMF、DMSO等の極性溶媒、DMA(ジメチルアセタール)、ジメチルピロリドン等の第4アンモニウム塩のイオン性流体及びこれらの混合溶剤等、全ての液状物質が使用可能である。これらの液状媒体は、発泡剤、乾燥法、濃縮物の使用方法、樹脂基材の種類及び形態に応じて適宜選択する。
【0014】
液状媒体に分散して処理する発泡剤原料は、必要であれば、予備粉砕を行うと共に大きな粒子は濾過して分離する。微粉化する発泡剤原料は、分散性を高めて沈降を抑制し、高速衝突を実施する液流式粉砕装置のノズル、逆止弁等を詰まらせないように準備する。このため、超音波撹拌、ホモジナイザー等を使用する。沈降の早い原料の場合は分散剤を使用する。
【0015】
発泡剤分散液同士の高速衝突は、管路内の発泡剤分散液にノズルを介して加圧した発泡剤分散液を噴射する。噴射速度は、加圧により任意に設定可能である。加圧に使用する高圧プランジャーポンプは必要に応じて複数基の連結式とする。圧力は20ないし400MPaの範囲から選択し、衝突回数などの条件は適宜に設定する。高速衝突させる管路には必要な衝突回数だけ繰り返して通すか、又は、粉砕装置を数基連結して、目的の粒度分布を持つ微粒子発泡剤を製造する。このとき、発泡剤の微粒子が0.1ないし3ミクロンの範囲の粒子径と適切な粒度分布を有するように、高圧粉砕処理の条件を設定する。この液流高速衝突方式により製造された微粒子は、粒度分布が狭いという特徴がある。粒度分布は、粉砕処理を繰り返すとさらに狭くなる。
【0016】
乾燥は、加熱乾燥、減圧乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥等のいずれでもよいが、微細な粒子は乾燥すると再凝集して発泡体樹脂に分散するときに支障を来すから、乾燥前に凝集を防止する凝集防止剤、例えば、ポイズ、アセタミン、デモール、ルナック、エマルゲン(商品名:花王製)等を添加して乾燥時の凝集を抑制する。又、分散剤、例えば、パイオニン、ニューカルゲン(商品名:竹本油脂製)等を添加して樹脂等の基材に分散させるときの分散性を高める。樹脂等の基材に分散させるときは、高い剪断力による分散が効果的である。
【0017】
凝集防止処理を施した本発明のサブミクロン粒子発泡剤を、目標とする発泡倍率が得られる量だけ樹脂、ゴム等の固形基材、ゾル状基材、ペースト状基材に剪断作用を利用して混練し、十分に分散させる。当該発泡剤を分散させた基材は常圧下又は加圧下で加熱発泡させて発泡体とする。
【0018】
発泡時に併用する核剤としては、通常の樹脂添加剤核剤として使用される全ての核剤が使用可能である。例えば、タルク、マイカ、アルミナ繊維、ワラストナイト、炭化ケイ素ウィスカー、ガラス繊維、カーボン繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミ繊維、ケイ酸塩類等を挙げることができる。核剤の形状としては、球状、繊維状、リン片状、テトラポット状、これらの複合したものが使用可能である。発泡時にこれらの核剤は発泡セル壁内に取り込まれる。その結果、核剤の形状に対応して、セル壁の強化と発生ガスのセル外逃散抑制による発泡効率(ガス量の有効利用)向上の効果が得られる。核剤が、ナノオーダーの繊維状、リン片状物質の場合、効果は特に顕著である。
【0019】
従来の化学発泡剤は粒子が大きいため、1つの粒子から発生するガス量が多く、発泡セルの大きさも100ミクロン以上になる。しかも、発泡に寄与せずに外へ逃げるガスの量も多い。超臨界ガス発泡法を実施すれば、微細で緻密な発泡セルを形成することができる。しかし、超臨界発泡法は、特殊な発泡設備が必要であり、従来の発泡設備及び作業条件において実施することはできない。本発明のサブミクロン微粒子からなる発泡剤を使用すれば、従来の発泡設備及び作業条件においても、本発明のサブミクロン粒子発泡剤は均一に分散されているから、発生ガスは発泡に有効活用され、数ミクロンから100ミクロン以下の微細な発泡セルを形成することができる。微細発泡セルは均一に分散されている。
【0020】
【実施例】
次に、本発明の実施例について説明する。しかし、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0021】
実施例1:
アゾジカーボンアミド(商品名:ユニフォームAZ、大塚化学製、平均メジアン粒子径15ミクロン、最大粒子径40ミクロン)を、イソプロピルアルコール(IPA)に20重量%の濃度に分散し、さらに、超音波撹拌を行った。この分散液をナノマイザーに150MPaの圧力で5回通した。得られたアゾジカーボンアミド粒子は、0.3〜3.0ミクロンの粒度分布を有し、平均粒子径は0.8ミクロンであった。粒子径の測定は、顕微鏡写真解析装置(ナノスコープPC−03)を使用して電子顕微鏡写真の実測値を分析した。レーザ回折式粒度分布計(ベックマン社製)で分析すると相関関係から実態の2倍の値を示すことを確認した。
【0022】
実施例2:
平均粒子径80ミクロンの重曹(炭酸水素モノナトリウム)のイソプロピルアルコール10重量%分散液に分散剤アセタミン−86(商品名:花王製)を50ppm相当量になるように添加する。超音波撹拌を行い、ナノマイザーに130MPaの圧力で10回通過させた。得られた分散状態の微粉砕された重曹(炭酸水素モノナトリウム)の粒子径は、実施例1と同じ方法、装置で分析した結果、粒度分布は0.6〜2.9ミクロン、平均粒子径は0.85ミクロンであった。
【0023】
実施例3:
アゾジカーボンアミド(商品名:ユニフォームAZ、大塚化学製、平均メジアン粒子径15ミクロン、最大粒子径40ミクロン)を、イソプロピルアルコール(IPA)に20重量%の濃度に分散し、分散剤パイオニンA−44−PN(竹本油脂製)を30ppm相当になるように添加し超音波撹拌を行った。この分散液をナノマイザーに180MPaの圧力で10回通過させた。得られた分散状態の微粉砕されたアゾジカーボンアミドの粒子径は、実施例1と同じ方法、装置で分析した。粒度分布は0.2〜3.0ミクロン、平均粒子径は0.65ミクロンであった。
【0024】
実施例4:
アゾジカーボンアミド(商品名:ユニフォームAZ、大塚化学製、平均メジアン粒子径15ミクロン、最大粒子径40ミクロン)を、イソプロピルアルコール(IPA)に20重量%の濃度に分散し、分散剤パイオニンA−44−PN(竹本油脂製)を30ppm相当になるように添加し超音波撹拌を行った。この分散液をナノマイザーに300MPaの圧力で3回通過させた。得られた分散状態の微粉砕されたアゾジカーボンアミドの粒子径は、実施例1と同じ方法、装置で分析した。粒度分布は0.2〜0.95ミクロン、平均粒子径は0.25ミクロンであった。
【0025】
実施例5:
p、p’−オキシビスベンゼンスルフォニックヒドラジッド(OBSH)(平均メジアン粒子径13ミクロン、最大粒子径30ミクロン)を、イソプロピルアルコール(IPA)に20重量%の濃度に分散し、分散剤パイオニンA−44−PN(竹本油脂製)を30ppm相当になるように添加し超音波撹拌を行った。この分散液をナノマイザーに200MPaの圧力で5回通過させた。得られた分散状態の微粉砕されたOBSHの粒子径は、実施例1と同じ方法、装置で分析した。粒度分布は0.15〜0.85ミクロン、平均粒子径は0.35ミクロンであった。
【0026】
実施例6:
実施例1で得られた微粉体分散液に分散剤アセタミン−86を20ppm相当量になるように添加し、100torr減圧下、60℃で噴霧乾燥を行った。得られた乾燥粉末のアゾジカーボンアミドについて次の条件で発泡試験を行った。二軸混練機を使用して低密度ポリエチレン(LDPE)(日本ポリケム製)ペレット100重量部に、この実施例6で得られたアゾジカーボンアミド10重量部と架橋剤ジクミルパーオキサイド1.5重量部をサイドフィーダから供給してバレル温度125℃で混練し、押出し機で厚さ2mmのシートを作成した。得られたシートをオーブン中で230℃に加熱して架橋及び発泡を行った。発泡剤は均一に樹脂中に分散していることをシートのカット面の顕微鏡写真で確認した。発泡体セルの平均発泡径は35ミクロンであった。発泡倍率は25倍であった。
【0027】
実施例7:
実施例2で得られた重曹(炭酸水素モノナトリウム)微粉体と、同様な処理により得られたクエン酸モノソーダ微粉体とを、それぞれ、100torr減圧下、60℃で噴霧乾燥を行った。クエン酸モノソーダ微粉体はさらに加熱乾燥して無水物とした。高密度ポリエチレン100重量部に、重炭酸ナトリウム微粉体とクエン酸モノソーダ無水物微粉体の50:50混合物を0.4部添加し、150℃で混練押出し機においてTダイのスリットを0.6mmに設定して押出し発泡を行った。発泡シートは、厚さは1mm、発泡倍率は2.4倍、表面は平滑、発泡セルは均一、平均発泡径は10ミクロンであった。
【0028】
実施例8:
実施例4で得られた微粉体アゾジカーボンアミドの液状媒体を水とした水分散液を、60℃、50torr減圧下で噴霧乾燥し、50%濃度のスラリー状微粉体を得た。アクリル酸エステル−メチルメタクリレート共重合体とエチレン−酢酸ビニル共重合体の40:60混合物の固形分55重量%のエマルジョン100重量部に対し、得られたスラリー状微粉体発泡剤3.0重量部(50%水)、エチレングリコール(乾燥遅延剤)5重量部、ポリアクリル酸ソーダ(増粘剤)2重量部、水酸化アルミニウム(充填剤)15重量部、鉱油系消泡剤0.75重量部、キッカーを十分に撹拌混合して裏打紙に、乾燥後厚さ0.1mmになるようにドクターナイフで塗布して130℃で2分間加熱乾燥した。その後、180℃で1分間加熱発泡させ、発泡倍率が5.5倍、セルの平均発泡径が10ミクロンで表面の平滑な発泡シートを得た。加熱発泡直後に冷エンボスロールにかけると、きれいな凹凸模様が形成された。
【0029】
実施例9:
実施例3で得られた微粉体発泡剤の分散液を実施例6と同様の乾燥を行い、このアゾジカーボンアミド1.2重量部に、70重量部のポリプロピレン系樹脂(結晶性のポリプロピレン95重量%と、非結晶性のエチレン・プロピレン共重合体40/60比の混合物5重量%)、ポリエチレン系樹脂として20重量部のエチレン・1−ブテン共重合体と10重量部の高密度ポリエチレンを、タンブラーに入れて混合した後、ストランドダイスを付けた押出し機で溶融混練して厚さ2mmのシートに調整した。このシートに電子線を700KVの加速電圧で4.0Mrad照射して架橋した。この架橋シートを250℃のオーブン中で発泡させた。得られた発泡体は、発泡倍率24倍で良好な表面と均一な外観を有し、発泡セルは、平均セル径10ミクロンの微細セルであった。
【0030】
実施例10:
実施例5で得られたp、p’−オキシビスベンゼンスルフォニックヒドラジッド(OBSH)に、実施例6と同様な乾燥を施し、乾燥微粉体OBSHを得た。この乾燥微粉体OBSHを次の組成のゴム成分と混合した。
EPDMポリマー(PX−043E)(三井化学製)110重量部、FEFカーブンブラック140重量部、パラフィン系プロセスオイル80重量部、亜鉛華5重量部、ステアリン酸1重量部、脱水剤(消石灰)5重量部、炭酸カルシウム25重量部、加硫促進剤7重量部、硫黄2重量部、OBSH0.5重量部の混合物を、ニーダ及びロール混練機により発泡ゴム配合物に調整した。この発泡ゴム配合物を押出し機により幅10mm、厚さ3mmの断面形状を有する押出し物とした。この押出し物をUHF加硫及び熱風加硫(220℃、15分)し、発泡ゴム成型品を得た。この成型品は弾性を有し、表面は極めて平滑であり、断面の発泡セルは均一微細であり、発泡セルの平均セル径は10ミクロンであった。
【0031】
実施例11:
実施例6の乾燥粉末のアゾジカーボンアミドについて次の条件で発泡試験を行った。二軸混練機を使用してアゾジカーボンアミド4重量部と、架橋剤ジクミルパーオキサイド1.5重量部と、核剤としての微細マイカ10重量部の混合物をサイドフィーダから供給して混練し、実施例6と同様な処理をして発泡体を得た。発泡倍率は15倍であり、圧縮強度と曲げ強度は、核剤未添加の物と比べ、2.5倍も大きくなった。
【0032】
【発明の効果】
上記の通り、本発明の発泡剤は、粒子径が0.1ないし3.0ミクロンで狭い粒度分布の微粒子からなるから、数ミクロンから100ミクロン以下の微細で緻密な発泡セルからなる発泡体を、従来の発泡設備を使用して形成することが可能であり、これにより、従来の化学発泡剤では不可能であったオレフィン壁紙などの薄物発泡成型品も製造することができるという優れた効果を奏する。 又、本発明の発泡剤の製法は、従来の粒子径を数ミクロン以下に微粉砕することができなかった機械式粉砕法、又は、粉砕時に化学発泡剤が分解爆発するおそれのあったジェット粉砕法とは異なり、化学発泡剤の粒子を液流中の高速衝突法により粉砕するので、粒子は安全に且つ効率よくサブミクロンの粒子径まで粉砕されるという格別の効果を奏する。
Claims (9)
- アゾジカーボンアミド(AC)、アゾビスイソブチルニトリル(AIBN)、アゾカルボン酸誘導体等のアゾ化合物、p、p’−オキシビスベンゼンスルフォニルヒドラジッド(OBSH)、トルエンスルフォニルヒドラジッド(TSH)等のスルフォニルヒドラジッド化合物、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、重曹(炭酸水素モノナトリウム)とクエン酸誘導体又はそれらと酸性物質との組み合わせ等、5−フェニルテトラゾール、1−Hテトラゾール塩、1,4−ビステトラゾール等のテトラゾール化合物,テトラジン、アゾビステトラジン等のテトラジン化合物の中の1つ又は2つ以上からなる発泡剤において、前記発泡剤は最大粒径が3.0ミクロンであり、かつ平均粒径がサブミクロンであることを特徴とするサブミクロン粒子発泡剤。
- 粒度分布が、0.1〜0.6ミクロン、0.3〜0.9ミクロン、0.4〜1.5ミクロン、0.5〜3.0ミクロンの中の1つ又はそれ以上であることを特徴とする請求項1記載のサブミクロン粒子発泡剤。
- 発泡剤は、液状媒体に分散されて粉砕されたことを特徴とする請求項1又は2記載のサブミクロン粒子発泡剤。
- アゾジカーボンアミド(AC)、アゾビスイソブチルニトリル(AIBN)、アゾカルボン酸誘導体等のアゾ化合物、p、p’−オキシビスベンゼンスルフォニルヒドラジッド(OBSH)、トルエンスルフォニルヒドラジッド(TSH)等のスルフォニルヒドラジッド化合物、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、重曹(炭酸水素モノナトリウム)とクエン酸誘導体又はそれらと酸性物質との組み合わせ等、5−フェニルテトラゾール、1−Hテトラゾール塩、1,4−ビステトラゾール等のテトラゾール化合物,テトラジン、アゾビステトラジン等のテトラジン化合物の中の1つ又は2つ以上からなる発泡剤の製法において、前記発泡剤を液状媒体に分散させて発泡剤分散液とし、前記発泡剤分散液同士を高速衝突させて前記発泡剤を粉砕し、前記発泡剤の粒度分布を、0.1〜3.0ミクロンとすることを特徴とするサブミクロン粒子発泡剤の製法。
- 発泡剤分散液を25〜400MPaに加圧して高速衝突させること特徴とする請求項4記載のサブミクロン粒子発泡剤の製法。
- アゾジカーボンアミド(AC)、アゾビスイソブチルニトリル(AIBN)、アゾカルボン酸誘導体等のアゾ化合物、p、p’−オキシビスベンゼンスルフォニルヒドラジッド(OBSH)、トルエンスルフォニルヒドラジッド(TSH)等のスルフォニルヒドラジッド化合物、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、重曹(炭酸水素モノナトリウム)とクエン酸誘導体又はそれらと酸性物質との組み合わせ等、5−フェニルテトラゾール、1−Hテトラゾール塩、1,4−ビステトラゾール等のテトラゾール化合物,テトラジン、アゾビステトラジン等のテトラジン化合物の中の1つ又は2つ以上からなる発泡剤を使用してなる発泡成型品において、前記発泡剤の粒度分布は、0.1〜3.0ミクロンであることを特徴とするサブミクロン粒子発泡剤を用いてなる発泡成型品。
- 発泡成型時に使用する核剤は、その形状が、球状、繊維状、又は鱗片状の中の1つ又はそれらの混合物であることを特徴とする請求項6記載のサブミクロン粒子発泡剤を用いてなる発泡成型品。
- アゾジカーボンアミド(AC)、アゾビスイソブチルニトリル(AIBN)、アゾカルボン酸誘導体等のアゾ化合物、p、p’−オキシビスベンゼンスルフォニルヒドラジッド(OBSH)、トルエンスルフォニルヒドラジッド(TSH)等のスルフォニルヒドラジッド化合物、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、重曹(炭酸水素モノナトリウム)とクエン酸誘導体又はそれらと酸性物質との組み合わせ等、5−フェニルテトラゾール、1−Hテトラゾール塩、1,4−ビステトラゾール等のテトラゾール化合物,テトラジン、アゾビステトラジン等のテトラジン化合物の中の1つ又は2つ以上からなる発泡剤を使用してなる発泡成型品の製法において、前記発泡剤の粒度分布が、0.1〜3.0ミクロンのサブミクロン粒子発泡剤を、樹脂基材中に均一に分散させた後、加熱してガスを発生させることを特徴とする発泡成型品の製法。
- 発泡成型時に使用する核剤は、その形状が、球状、繊維状、又は鱗片状の中の1つ又はそれらの混合物であり、該核剤が樹脂基材中に均一に分散し、同様に均一に分散したサブミクロン粒子発泡剤が加熱によりガスを発生することを特徴とする請求項8記載の発泡成型品の製法。
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