JP2004050534A - ガスバリア性レトルトパウチ用フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プロピレン重合体成分とプロピレン−エチレン共重合体成分からなるプロピレン系ブロック共重合体(I)を含有し、示差走査熱量計(DSC)で測定した結晶融解熱量が80J/g以下であるプロピレン樹脂組成物(A)からなるa層の両面に、プロピレン重合体成分とプロピレン−エチレン共重合体成分とからなり、かつ20℃キシレン可溶成分量が16重量%未満であるプロピレン系ブロック共重合体(II)からなるb層を積層してなるプロピレン系多層フィルム層(X)とガスバリア層(Y)とを少なくとも有するガスバリア性レトルトパウチ用フィルム。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスバリア性レトルトパウチ用フィルムおよび該フィルムからなるレトルトパウチに関する。
【0002】
【従来の技術】
食品の包装形態のひとつであるレトルトパウチの中でもガスバリア性を有するタイプは、カレーやソース類等の食品用途に広く普及している。ガスバリア性を有するレトルトパウチを構成するフィルムには、酸素の透過を防ぐガスバリア性の他、ヒートシール性、袋の口開き性(耐ブロッキング性)、食品充填後の高温殺菌工程における耐熱性、袋落下時に破袋しにくい性質(落袋強度)等の性能が求められる。それらを満たすため、ガスバリア性レトルトパウチ用フィルムとしては通常、耐衝撃性に優れたエチレン−プロピレンブロック共重合体とガスバリア層から構成される積層フィルムが使用されている。
【0003】
例えば、特開昭62−3951号公報には、エチレン−プロピレンブロック共重合体又はエチレン−プロピレンブロック共重合体とオレフィン系共重合体とのブレンドからなる本願のa層に相当する層と、ポリプロピレン又はエチレン−プロピレンランダム共重合体からなる本願のb層に相当する層とからなる積層フィルムが開示されているが、耐ブロッキング性や落袋強度は十分なものではなかった。
よって、優れた耐衝撃性を有しながら、耐ブロッキング性、落袋強度にも優れたガスバリア性レトルトパウチ用フィルムの開発が望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、優れた耐衝撃性を有しながら、耐ブロッキング性、落袋強度にも優れたガスバリア性レトルトパウチ用フィルムおよび該フィルムからなるレトルトパウチを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記したような問題がないガスバリア性レトルトパウチ用フィルムを見出すべく鋭意検討を重ねた結果、示差走査熱量計(DSC)で測定した結晶融解熱量が80J/g以下であるプロピレン樹脂組成物(A)からなるa層の両面に、20℃キシレン可溶成分量が16重量%未満であるプロピレン系ブロック共重合体(II)からなるb層を積層してなるプロピレン系多層フィルム層(X)とガスバリア層(Y)とを少なくとも有するフィルムが、優れた耐衝撃性を有しながら、耐ブロッキング性、落袋強度にも優れており、ガスバリア性レトルトパウチ用途に好適であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
即ち、本発明は、プロピレンを主成分とする単量体成分を重合して得られる重合体成分とプロピレン−エチレン共重合体成分からなるプロピレン系ブロック共重合体(I)を含有し、示差走査熱量計(DSC)で測定した結晶融解熱量が80J/g以下であるプロピレン樹脂組成物(A)からなるa層の両面に、プロピレンを主成分とする単量体成分を重合して得られる重合体成分とプロピレン−エチレン共重合体成分からなり、かつ20℃キシレン可溶成分量が16重量%未満であるプロピレン系ブロック共重合体(II)からなるb層を積層してなるプロピレン系多層フィルム層(X)と、ガスバリア層(Y)とを少なくとも有することを特徴とするガスバリア性レトルトパウチ用フィルムを提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いられるプロピレン系ブロック共重合体(I)は、プロピレンを主成分とする単量体成分を重合して得られる重合体成分とプロピレン−エチレン共重合体成分からなるプロピレン系ブロック共重合体であり、プロピレンを主成分とする単量体成分を重合して得られる重合体成分とプロピレン−エチレン共重合体成分とを重合することによって得ることができる。
【0008】
プロピレンを主成分とする単量体成分を重合して得られる重合体成分中のプロピレンの含有量は、95〜100重量%であることが好ましく、99〜100重量%であることがより好ましく、100重量%(プロピレン単独重合体)であることがさらに好ましい。
該重合体成分中のプロピレン以外の成分としては、エチレン、炭素数4以上のα−オレフィンなどが挙げられる。炭素数4以上のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられ、これらの中で1−ブテンが好ましく使用される。
【0009】
プロピレン系ブロック共重合体(I)のもう一方の成分であるプロピレン−エチレン共重合体成分中のエチレン含有量は、好ましくは15〜65重量%であり、より好ましくは20〜60重量%であり、さらに好ましくは30〜50重量%である。
【0010】
プロピレン系ブロック共重合体(I)としては、例えば、プロピレン−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン−エチレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン)共重合体等が挙げられ、これらの中でプロピレン−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体が好ましい。
【0011】
プロピレン系ブロック共重合体(I)の20℃キシレン可溶成分量は、10〜30重量%であることが好ましく、16〜26重量%であることがより好ましく、19〜24重量%であることがさらに好ましい。20℃キシレン可溶成分量が10重量%未満であると、落袋強度が低下する傾向があり、30重量%を超えると耐熱性が低下する傾向がある。
【0012】
プロピレン系ブロック共重合体(I)のメルトフローレイトは、フィルムを製膜する際の高速加工性の観点から、1〜10g/10分であることが好ましく、1〜5g/10分であることがより好ましい。
【0013】
プロピレン系ブロック共重合体(I)において、プロピレン−エチレン共重合体成分の含有量は、15〜45重量%であることが好ましく、26〜40重量%であることが好ましい。プロピレンを主成分とする単量体成分を重合して得られる重合体成分の含有量は、55〜85重量%であることが好ましく、74〜60重量%であることが好ましい。
【0014】
本発明で用いられるプロピレン系樹脂組成物(A)は、上記したプロピレン系ブロック共重合体(I)を含有してなる。
樹脂組成物(A)の示差走査熱量計(DSC)で測定した結晶融解熱量は、80J/g以下であることが必要であり、40〜80J/gであることが好ましく、50〜70J/gであることがより好ましい。結晶融解熱量が80J/gを超えると、落袋強度が低下し、また40J/g未満であるとフィルムの耐熱性が低下する傾向がある。
【0015】
プロピレン系樹脂組成物(A)は、プロピレン系ブロック共重合体(I)のみからなっていることが好ましいが、プロピレン系ブロック共重合体(I)の他に、低結晶性エチレン−α−オレフィン共重合体を含有していてもよい。
低結晶性エチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンとの共重合体であり、α−オレフィンを10重量%以上含有しているものが好ましい。ここで、α−オレフィンとしては、例えば、ブロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。
低結晶性エチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体などが挙げられる。
【0016】
本発明で用いられるa層は、例えば、プロピレン系樹脂組成物(A)の溶融物などをフィルム状に成形するなどによって形成することができる。
【0017】
本発明で用いられるb層は、プロピレンを主成分とする単量体成分を重合して得られる重合体成分とプロピレン−エチレン共重合体成分とからなり、20℃キシレン可溶成分量が16重量%未満であるプロピレン系ブロック共重合体(II)からなる。
【0018】
本発明で用いられるプロピレン系ブロック共重合体(II)は、プロピレンを主成分とする単量体成分を重合して得られる重合体成分とプロピレン−エチレン共重合体成分とからなるプロピレン系ブロック共重合体であり、プロピレンを主成分とする単量体成分を重合して得られる重合体成分とプロピレン−エチレン共重合体成分とを重合することによって得ることができる。
【0019】
プロピレンを主成分とする単量体成分を重合して得られる重合体成分中のプロピレンの含有量は、95〜100重量%であることが好ましく、99〜100重量%であることがより好ましく、100重量%(プロピレン単独重合体)であることがさらに好ましい。
該重合体成分中のプロピレン以外の成分としては、エチレン、炭素数4以上のα−オレフィンなどが挙げられる。炭素数4以上のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられ、これらの中で1−ブテンが好ましい。
【0020】
プロピレン系ブロック共重合体(II)のもう一方の成分であるプロピレン−エチレン共重合体成分中のエチレン含有量は、好ましくは15〜65重量%であり、より好ましくは20〜60重量%であり、さらに好ましくは30〜50重量%である。
【0021】
プロピレン系ブロック共重合体(II)としては、例えば、プロピレン−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン−エチレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン)共重合体等が挙げられ、これらの中でプロピレン−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体が好ましい。
【0022】
プロピレン系ブロック共重合体(II)の20℃キシレン可溶成分量は、16重量%未満であることが必要であり、耐ブロッキング性と落袋強度のバランスの観点から、5〜15重量%であることが好ましい。20℃キシレン可溶成分量が16重量%以上であると耐ブロッキング性が低下するため好ましくない。
【0023】
プロピレン系ブロック共重合体(II)のメルトフローレイトは、フィルムを製膜する際の高速加工性の観点から、1〜10g/10分であることが好ましく、1〜5g/10分であることがより好ましい。
【0024】
プロピレン系ブロック共重合体(II)において、プロピレン−エチレン共重合体成分の含有量は、5〜35重量%であることが好ましく、10〜25重量%であることがより好ましい。プロピレンを主成分とする単量体成分を重合して得られる重合体成分の含有量は、65〜95重量%であることが好ましく、75〜90重量%であることが好ましい。
【0025】
本発明で用いられるb層は、例えば、プロピレンを主成分とする単量体成分を重合して得られる重合体成分とプロピレン−エチレン共重合体成分からなり、20℃キシレン可溶成分量が16重量%未満であるプロピレン系ブロック共重合体(II)を溶融してフィルム状に成形するなどの方法により形成することができる。
【0026】
プロピレン系ブロック共重合体(I)、(II)の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の重合触媒を用いて、公知の重合方法により製造することができる。
ここで、重合触媒としては、例えば、チーグラー・ナッタ型触媒、シクロペンタジエニル環を有する周期表第IVB族の遷移金属化合物とアルキルアルミノキサンからなる触媒系、またはシクロペンタジエニル環を有する周期表第IVB族の遷移金属化合物、それと反応してイオン性の錯体を形成する化合物および有機アルミニウム化合物からなる触媒系などが挙げられる。
【0027】
プロピレン系ブロック共重合体(I)、(II)の製造に用いられる重合触媒としては、チーグラー・ナッタ型触媒が好ましい。チーグラー・ナッタ型触媒は、少なくともチタン、マグネシウムおよびハロゲンを必須成分とするものが好ましく、例えば、以下の触媒系などが挙げられる。
(1)次の(a1)、(b1)および(c1)からなる触媒系:
(a1)Si−O結合を有する有機ケイ素化合物の共存下、一般式Ti(OR1)nX4−n(R1は炭素数が1〜20の炭化水素基、Xはハロゲン原子、nは0<n≦4の数を表わす。)で表わされるチタン化合物を、有機マグネシウム化合物で還元して得られる固体生成物を、エステル化合物及びエーテル化合物と四塩化チタンとの混合物で処理して得られる三価のチタン化合物含有固体触媒成分(b1)有機アルミニウム化合物
(c1)Si−OR2結合(R2は炭素数が1〜20の炭化水素基を表わす。)を有するケイ素化合物、または
(2)次の(a2)および(b2)からなる触媒系:
(a2)一般式Ti(OR1)nX4−n(R1は炭素数が1〜20の炭化水素基、Xはハロゲン原子、nは0<n≦4の数を表わす。)で表わされるチタン化合物を、一般式AlR2 mY3−m(R2は炭素数が1〜20の炭化水素基、Yはハロゲン原子、mは1≦m≦3の数を表わす。)で表わされる有機アルミニウム化合物で還元して得られる炭化水素溶媒に不溶のハイドロカルビルオキシ基を含有する固体生成物を、エチレンで予備重合処理したのち、炭化水素溶媒中エーテル化合物及び四塩化チタンの存在下に80〜100℃の温度でスラリー状態で処理して得られるハイドロカルビルオキシ基含有固体触媒成分
(b2)有機アルミニウム化合物
【0028】
上記の(1)に記載した(a1)、(b1)および(c1)からなる触媒系において、(b1)成分中のAl原子/(a1)成分中のTi原子のモル比は、1〜2000が好ましく、より好ましくは5〜1500である。また、(c1)成分/(b1)成分中のAl原子のモル比は、0.02〜500が好ましく、より好ましくは0.05〜50である。
また、上記の(2)に記載した(a2)および(b2)からなる触媒系において、(b2)成分中のAl原子/(a2)成分中のTi原子のモル比は、1〜2000が好ましく、より好ましくは5〜1500である。
【0029】
プロピレン系ブロック共重合体(I)、(II)の製造において用いられる重合方法としては、例えば、溶媒重合法、スラリー重合法、バルク重合法、気相重合法等が挙げられ、また、これらの重合法は回分式重合法であっても、連続式重合法であってもよい。重合温度は、通常、20〜150℃であり、好ましくは50〜95℃である。重合圧力は、通常、大気圧〜40Kg/cm2Gであり、好ましくは2〜40Kg/cm2Gである。
【0030】
プロピレン系ブロック共重合体(I)、(II)の好ましい製造方法としては、第一工程で実質的に不活性溶剤の不存在下に分子量調節のために水素を供給して、プロピレンを主体とする単量体成分を重合した後、引き続いて第二工程で気相中でプロピレンとエチレンと水素を供給してプロピレン−エチレン共重合体成分を重合する方法が挙げられる。
プロピレン系ブロック共重合体の20℃キシレン可溶成分量は、プロピレン−エチレン共重合体成分の含有量、およびプロピレン−エチレン共重合体成分中のエチレン成分の含有量によって調整することができる。
プロピレン系ブロック共重合体中のプロピレン−エチレン共重合体成分の含有量は、前記第一工程における重合と第二工程における重合の比率を変えることによって調整可能であり、プロピレン−エチレン共重合体成分中のエチレン成分の含有量は、前記第二工程におけるプロピレンとエチレンの供給の比率を変えることによって調整することができる。
【0031】
本発明で用いられるプロピレン系ブロック共重合体(I)、(II)には、必要に応じて他の熱可塑性樹脂をブレンドしてもよい。
【0032】
また、本発明で用いられるプロピレン系ブロック共重合体(I)、(II)、およびプロピレン樹脂組成物Aには、必要に応じて、酸化防止剤、中和剤、紫外線吸収剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、耐電防止剤、造核剤などを適宜配合してもよい。
【0033】
本発明のレトルトパウチ用フィルムは、プロピレンを主体とする単量体成分を重合して得られる重合体成分とプロピレン−エチレン共重合体成分からなるプロピレン系重合体(I)を含有し、示差走査熱量計(DSC)で測定した結晶融解熱量が80J/g以下であるプロピレン系樹脂組成物(A)からなるa層の両面に、プロピレンを主体とする単量体成分を重合して得られる重合体成分とプロピレン−エチレン共重合体成分とからなり、20℃キシレン可溶成分量が16重量%未満であるプロピレン系重合体(II)からなるb層を積層してなるプロピレン系多層フィルム層(X)と、ガスバリア層(Y)から少なくとも構成される。
層(X)は、共押出Tダイ法、共押出インフレーション法などの公知の方法によって製造可能であり、特に共押出Tダイ法が好適に用いられる。
【0034】
層(X)の厚みは、通常、30〜120μmであり、好ましくは50〜100μmである。層(X)に占めるb層の厚みの割合は5〜40%であることが好ましく、7〜30%であることがより好ましく、10〜20%であることがさらに好ましい。
【0035】
層(X)中の構成は、b層/a層/b層の3層構成であり、b層がヒートシール面(レトルトパウチの内面)となる。ヒートシール強度の観点からは、層bの厚みは10μmを超えることが好ましい。層(X)中のb層は、互いに同一組成であっても異なっていてもよい。
b層/a層/b層の3層構成とすることにより、耐ブロッキング性と落袋強度がともに向上するとともに、Tダイ成形やインフレーション成形によるフィルム製膜の際に、メヤニやダイスジなどの加工不良の発生を抑制することもできる。
層(X)には、前記b層/a層/b層の加えて、本発明の効果を妨げない範囲で、a層とb層との間などにリサイクル樹脂層などの他の層を設けてもよい。
本発明では、層(X)がレトルトパウチの内面側となるように、少なくともガスバリア層(Y)が積層される。
【0036】
層(Y)はガスバリア性を有する層であり、所定のガスバリア性を満たすものであれば、特に制限はなく、公知のものを使用することができる。本発明でいうガスバリア層のガスバリア性とは酸素バリア性であり、酸素の透過速度が10(cc・20μm/m2・24hr・atm)以下の性能を有するものをいう。このような性質を有するものとして具体的には、アルミニウム層、エチレン−ビニルアルコ−ル共重合体フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、または酸化ケイ素や酸化アルミニウム等の無機化合物がコーティングされた熱可塑性樹脂フィルム等が挙げられる。中でも、アルミニウム層はガスバリア性に極めて優れており、最も好適に用いられる。アルミニウム層としては、通常、7〜12μmの厚みのいわゆるアルミニウム箔が好ましく用いられる。
【0037】
本発明のガスバリア性レトルトパウチ用フィルムは、層(X)および層(Y)に、熱可塑性ポリエステル樹脂からなる層(P)を加えた、(X)/(Y)/(P)の3層構成としてもよい。熱可塑性ポリエステルからなる層(P)としては公知の延伸PETフィルムなどが好ましく用いられる。
本発明のガスバリア性レトルトパウチ用フィルムは、層(X)および層(Y)に、ポリアミド樹脂からなる層(N)を加えた、(X)/(Y)/(N)または(X)/(N)/(Y)の3層構成としてもよい。ポリアミド樹脂からなる層(N)としては公知の延伸ナイロンフィルムが好ましい。
また、本発明のガスバリア性レトルトパウチ用フィルムは、ポリアミド樹脂からなる層(N)と熱可塑性ポリエステル樹脂からなる層(P)とを加えた、(X)/(Y)/(N)/(P)、または(X)/(N)/(Y)/(P)の構成であってもよい。
さらに、ポリプロピレン二軸延伸フィルムなどの前記以外の熱可塑性樹脂層を最内層以外に加えてもよい。
【0038】
本発明のガスバリア性レトルトパウチ用フィルムの製造方法としては、特に制限されるものではなく、公知の方法を適用することができる。
例えば、ガスバリア性レトルトパウチ用フィルムは、プロピレン系多層フィルム層(X)とアルミニウム層などのガスバリア層(Y)とを公知のドライラミネート法などによって積層することにより製造することができる。
【0039】
本発明のガスバリア性レトルトパウチ用フィルムは、袋状のレトルトパウチに加工される。
レトルトパウチの形状は、特に制限されるものではなく、例えば、平袋やスタンディングパウチ等が挙げられる。
また、レトルトパウチの内容量も特に制限されるものではないが、通常、0.1kg〜5kg程度である。
レトルトパウチは、通常、公知の自動製袋機を用いて製造することができる。
【0040】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明が実施例により限定されるものではないことは言うまでもない。
なお、実施例および比較例中の測定値は、下記の方法で測定したものである。
【0041】
(1)結晶融解熱量(単位:J/g)
試料を230℃で3分間予熱し、30kg/cm2で2分間保圧した。その後、30℃、30kg/cm2で3分間冷却し、0.1mmのプレスシートを作成した。
得られたプレスシートから8〜12mgをアルミニウム製サンプルパンに採取した。パーキンエルマー製DSC−7型走査型示差熱量計を用いて下記の手順で測定し、ピークの立ち上がりから終了までの熱量を求めた。
▲1▼220℃で5分間予熱した。
▲2▼130℃/分で50℃まで降温した。
▲3▼50℃で5分間保持した。
▲4▼16℃/分で180℃まで昇温し、測定した。
【0042】
(2)融解ピーク温度(単位:℃)
試料を230℃で3分間予熱し、30kg/cm2で2分間保圧した。その後、30℃、30kg/cm2で3分間冷却し、0.1mmのプレスシートを作成した。
得られたプレスシートから8〜12mgをアルミニウム製サンプルパンに採取した。パ−キンエルマー製DSC−7型走査型示差熱量計を用いて下記の手順で測定し、融解ピーク温度を求めた。
▲1▼220℃で5分間予熱した。
▲2▼300℃/分で150℃まで降温した。
▲3▼150℃で1分間保持した。
▲4▼5℃/分で50℃まで降温した。
▲5▼50℃で1分間保持した。
▲6▼5℃/分で180℃まで昇温し、測定した。
【0043】
(3)20℃キシレン可溶成分量(単位:重量%)
試料1gを沸騰キシレン100mlに完全に溶解させた後、20℃に降温し、4時間放置した。その後、これを析出物と溶液とにろ別し、ろ液を乾固して減圧下70℃で乾燥した。その重量を測定して、20℃キシレン可溶成分量を求めた。
(4)メルトフローレイト(MFR、単位:g/10分)
JIS K7210に従い、条件−14の方法で測定した。
【0044】
(5)ブロッキング(単位:g/100cm2)
ドライラミネートフィルムを50mm×225mmのサイズに切り出し、該層(X)同士が対向するようにこのサイズのフィルム2枚を重ね合わせた。これに9.5kgの荷重を加えて、80℃の温度のもとで24時間調整した。これを23℃、湿度50%の雰囲気下で放冷した後、島津製作所製マッケンジー単繊維引張試験機を用いてフィルム面と垂直の方向に面はく離試験を行った。はく離面サイズは50mm×100mmであり、はく離に要した抵抗荷重を読みとった。この値を面積100cm2あたりの数値に換算してブロッキング値とした。この値が小さいほど耐ブロッキング性に優れることを示す。
【0045】
(7)落袋強度(単位:点)
ドライラミネートフィルムをスリットして幅310mmの巻を2本と幅110mmの巻を1本用意した。これらを西部機械製スタンディングパウチ製袋機(SBM−350−SST型)にセットして、1分間あたり30袋の速度で製袋を行った。袋の形状は高さ290mm、幅150mmのスタンディングパウチ(図1)であり、シールバーの温度を235〜255℃の範囲で5℃毎に変化させて5水準製袋実施した。得られたパウチを120℃で30分間、オーブン中で熱処理した後、水1Lを充填してパウチの口をヒートシールした。このサンプルを5℃に冷却した上で70cmの高さからコンクリート床面に、パウチを正立させた姿勢で繰り返し落下させた。20回繰り返し落下させても破袋しなかった場合は20点(満点)とし、例えば18回目で破袋した場合は17点、10回目で破袋した場合は9点、1回目で破袋した場合は0点、の要領で、1水準につき15個ずつテスト実施し、それぞれの積算合計を300点満点に対する点数で表示した。なお、各シール温度水準のうち、最も点数の高いものをそのサンプルの落袋スコアとした。この値が高いほど落袋強度が良好であることを示す。
【0046】
実施例1
a層として住友化学製ノーブレンWFS5197K3(プロピレン−(プロピレン−エチレン)共重合体、結晶融解熱量:65J/g、20℃でのキシレン可溶成分含有量:22重量%)をφ90mm押出機1台から樹脂温度280℃で押し出してフィードブロック式Tダイ供給し、一方、b層として住友化学製ノーブレンKS23F8(プロピレン−(プロピレン−エチレン)共重合体、20℃でのキシレン可溶成分含有量:15重量%)をφ65mm押出機2台から樹脂温度280℃でフィードブロック式Tダイに供給し、フィードブロックでb層/a層/b層となるよう合流させて3層構成とした。Tダイから押し出された同溶融膜を、55℃に温度調整された冷却ロールで冷却固化して、厚みが10μm/50μm/10μmである、全体厚み70μmの複合フィルムを得た。この時、フィルムのa層側面にコロナ処理を施し、表面張力を40dyne/cmとした。
得られた70μmのフィルム(層(X)に該当)のa層側の面に対し、以下の基材フィルムをドライラミネート法によって順次積層し、(X)/(Y)/(N)/(P)の構成のフィルムを得た。
層(Y):住軽アルミ社製アルミニウム箔(一般箔、厚み=9μm)
層(N):東洋紡績(株)社製 延伸ナイロンフィルム(N1202、厚み=15μm)
層(P):東洋紡績(株)社製 PETフィルム(E5102、厚み=12μm)
なお、各層間の接着剤にはポリエステル系のものを用いた。
得られた積層フィルムを製袋機によってパウチに加工し、落袋テストを行った。評価結果を表1に示す。
【0047】
実施例2
層(X)の厚み構成を5μm/60μm/5μmに変更した以外は実施例1と同様の方法で実施した。評価結果を表1に示した。
【0048】
比較例1
a層として住友化学製ノーブレンWFS5197K3(プロピレン−(プロピレン−エチレン)共重合体、結晶融解熱量:65J/g、20℃でのキシレン可溶成分含有量:22重量%)を樹脂温度280℃で3台の押出機(φ90mm:1台、φ65mm:2台)に供給して実質的に単層構成とした他は実施例1と同様に実施した。評価結果を表1に示した。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた耐衝撃性を有しながら、耐ブロッキング性、落袋強度にも優れたガスバリア性レトルトパウチ用フィルムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スタンディングパウチの形状および寸法
Claims (7)
- プロピレンを主成分とする単量体成分を重合して得られる重合体成分とプロピレン−エチレン共重合体成分からなるプロピレン系ブロック共重合体(I)を含有し、示差走査熱量計(DSC)で測定した結晶融解熱量が80J/g以下であるプロピレン樹脂組成物(A)からなるa層の両面に、プロピレンを主成分とする単量体成分を重合して得られる重合体成分とプロピレン−エチレン共重合体成分からなり、かつ20℃キシレン可溶成分量が16重量%未満であるプロピレン系ブロック共重合体(II)からなるb層を積層してなるプロピレン系多層フィルム層(X)と、ガスバリア層(Y)とを少なくとも有することを特徴とするガスバリア性レトルトパウチ用フィルム。
- プロピレン系ブロック共重合体(I)の20℃キシレン可溶成分量が16重量%以上である請求項1記載のフィルム。
- プロピレン系ブロック共重合体(II)の20℃キシレン可溶成分量が5〜15重量%である請求項1または2記載のフィルム。
- ガスバリア層(Y)がアルミニウム層である請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム。
- さらに熱可塑性ポリエステル樹脂からなる層(P)を有し、層(X)/層(Y)/層(P)の構成からなる請求項1〜4のいずれかに記載のフィルム。
- さらにポリアミド樹脂からなる層(N)を有し、層(X)/層(Y)/層(N)/層(P)または層(X)/層(N)/層(Y)/層(P)の構成からなる請求項5記載のフィルム。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のフィルムからなるレトルトパウチ。
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