JP2004047658A - 半導体材料成膜装置 - Google Patents

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Shigehiro Nishino
西野 茂弘
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Abstract

【課題】IIIB族元素、IVB族元素、VB族元素のうちの何れかを含む半導体材料において、成膜用原料として固体を用いて、高速で成膜を行うことが可能な装置を提供すること。
【解決手段】熱シールド材に包んだ坩堝内において、固体原料と被成膜物を非常に近距離に向き合わせて密閉空間を作り、高周波誘導加熱を利用して、平面螺旋型ワークコイルを用いて固体原料を昇華温度以上まで加熱し、坩堝中での原料の昇華拡散現象を用いて、被成膜物上に成膜を行う。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は半導体材料の成膜に関するものであり、特にSiC、AlNやGaN等、昇華性材料によるワイドバンドギャップ半導体材料のエピタキシャル成長分野に属する。
【0002】
【従来の技術】近年、電力需要の増大、エネルギー資源の有効利用、環境保全といった問題がクローズアップされている。これらの問題を解決するためには、高パワー・低損失デバイスのより一層の発展が必要である。
【0003】そのようなデバイス用材料として最も有望な半導体材料が、大きなバンドギャップを持ち、熱伝導率に優れた炭化珪素(SiC:SilliconCarbide)である。デバイス応用の際、SiCエピタキシャル膜には欠陥、不純物がなく、平坦なSiCのエピタキシャル膜が必要不可欠である。又、高耐圧デバイス作製のためには厚いエピタキシャル膜を形成することも必要である。
【0004】現在SiCのエピタキシャル成長においてはCVD法が用いられているが、その成長速度はわずか3μm/hであり、厚いエピタキシャル膜を形成するにはかなりの長時間装置を運転することが必要となっている。又、原料ガスとして猛毒で危険なシランガス(SiH4)を用いるので、高価なガス系の保安設備が必要であり、より安全で高速でコストのかからない方法が求められている。
【0005】固体原料を用いたSiCのエピタキシャル成長に関して、西野茂弘らにより、「昇華近接法によるSiCのエピタキシャル成長」:2000年春季第47回応用物理学関連連合講演会予稿集No.1(P408)などで技術開示されている。これはSiC単結晶バルク成長において広く用いられている昇華法を応用した方法で、昇華法との相違点は被成膜物原料間距離である。昇華法では10〜15mmであるが、昇華近接法においてはグラファイト坩堝内に1.0〜1.5mmの距離を保って被成膜物と原料を配置し、加熱による原料昇華拡散現象を利用した成長方法である。SiCにおいては例えば、1500〜2000℃の温度で行われている。
【0006】前段の昇華近接法の特徴は、成長速度が50μm/hと速いこと、Arガスといった不活性ガス雰囲気内において成長させるため、成長装置は簡単かつ安全で、シランを原料ガスとして用いたCVD法装置のようなガス保安設備が不要なところにある。
【0007】次に、昇華近接法の問題点について述べる。図4は現状の昇華近接法によるSiCのエピタキシャル成長を示したものであるが、この坩堝411は縦長で、それを加熱する高周波ワークコイル402も縦型螺旋状である。この方法では被成膜物面積が大きくなると、加熱は坩堝の周辺のみとなり、被成膜物の動径方向には温度の不均一が生じ、その結果、SiCエピタキシャル層には不均一な歪みが生じることがわかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】半導体材料の成膜において、低成膜速度で、危険なシランガスを用い、高コストの安全設備が必要であるCVD法を用いず、安全で高速かつコストのかからない方法で成膜することは課題であり、特にSiCのエピタキシャル成長においては課題となっている。
【0009】又、固体原料を用いた半導体材料の高速成膜において、被成膜物を均一に加熱することは良質な成膜を生成する上で課題となっている。特に、固体原料を用いたエピタキシャル成長法においては、被成膜物を均一に加熱することは良質なエピタキシャル層を生成する上で課題となっている。
【0010】加えて現在のSiC分野でよく使用されているCVD法装置では被成膜物は1個しか処理できない。そこで、被成膜物を大量に処理するため、複数個同時処理を可能にすることも課題となっている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明の装置はIIIB族元素、IVB族元素、VB族元素のうちの何れかを含む半導体材料において、容器内に、熱シールド材で密閉した坩堝の中で、固体原料と被成膜物を、非常に近距離に向き合わせて密閉空間を作り、高周波誘導加熱を利用して固体原料を昇華温度以上まで加熱し、坩堝中での昇華拡散現象を用いて被成膜物上に成膜することを特徴とするものである。
【0012】請求項2記載の発明は請求項1記載の半導体材料成膜装置において、平面螺旋型ワークコイルを用いて高周波誘導加熱を行うことを特徴とする。
【0013】これにより、固体原料及び被成膜物が密閉された坩堝を底面から加熱することができ、被成膜物面積、坩堝サイズに関係なく、均一に原料、被成膜物とも加熱できる。
【0014】請求項2記載の発明に係る図5に記載の平面螺旋型ワークコイル501は、円を渦巻状にした形に限定されず、例えば角を丸めた四角の螺旋状等多角形のらせん状でも可能であり、ジグザグの形状も考えられる。また、ワークコイルは通常銅でできているが、その断面形状は丸又は多角形である。
【0015】請求項3記載の発明は、請求項1又は2いずれかに記載の半導体材料成膜装置において、固体原料を被成膜物に成膜することによってエピタキシャル成長を行うことを特徴とする。
【0016】被成膜物を単結晶基板、固体原料を被処理物と同組成のものとすることで被成膜物上にエピタキシャル成長を行うことが可能である。
【0017】請求項4記載の発明は請求項1、2又は3いずれかに記載の半導体材料成膜装置において、スペーサーを用いて固体原料と被成膜物を非常に近距離に向き合わせることを特徴とし、被成膜物の組成がSiC、AlN、GaN又はCであることを特徴とする。
【0018】請求項5記載の発明は、請求項1、2、3又は4いずれかに記載の半導体材料成膜装置において、坩堝内に固体原料、被成膜物を複数配置し、複数個同時の成膜処理を可能とすることを特徴としたものである。
【0019】これにより、被成膜物の複数個同時処理が可能となり、より低コストで成膜を行うことが可能となる。
【0020】図6は坩堝、スペーサー及び坩堝蓋の概略図である。坩堝601の被成膜物収納部602内に固体原料を入れ、その上にスペーサー603を入れる。又は被成膜物収納部602の底部にスペーサー603を格納した後に固体原料を入れる。さらにその上に被成膜物をおく。さらにその上に坩堝蓋604を被成膜物上に重ねることで固体原料と被成膜物を近距離に保った密閉空間を作り出す。
【0021】図6記載の坩堝601は3個処理用であるが、坩堝の被成膜物収納部602の数を増減させることにより、1個から複数個の成膜処理が可能となる。坩堝601、スペーサー603及び坩堝蓋604の形状は円盤型に限定されず、多角形型も可能である。又、被成膜物収納部602及び坩堝蓋604の形状を工夫すること、例えば段をつけるなどにより、スペーサー603を省くことができ、成膜材料の選択によっては坩堝蓋604上に直接成膜することも可能である。
【0022】請求項6記載の発明は、請求項1、2、3、4又は5いずれかに記載の半導体材料成膜装置において、スペーサーを用いることにより、坩堝を複数回利用することを可能としたものである。
【0023】これにより成膜後は、図6を記載のスペーサー603のみの交換で、再び成膜することが可能で、図6における坩堝601及び坩堝蓋604を複数回利用できる。
【0024】図6の坩堝601、スペーサー603及び坩堝蓋604は円盤型であるが、この形状に限定されず、多角形型も可能である。
【0025】又、図6記載のスペーサー603は、スペーサー溝605の大きさを調節し、二つ以上の分割したドーナツ上円盤又は多角形の中心部に穴があいたものによって構成することも可能である。さらに、坩堝蓋604も坩堝蓋くびれ部606の大きさを調節し、2つ以上の分割した円盤又は多角形によって構成することも可能である。
【0026】
【発明の実施形態】以下、添付図面を参照して、本発明に係る成膜装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0027】
【第1実施形態】図1は本実施形態の半導体材料成膜装置100を示す断面図である。本実施形態の成膜装置100は容器11内に、支持台4上の熱シールド材14と熱シールド蓋8によって包まれた坩堝3及び坩堝蓋1内に密閉された被成膜物12と固体原料15をスペーサー13によって近距離に保つ。その構成物をRF電源に接続された平面螺旋型ワークコイル5によって高周波誘導加熱を利用し、固体原料15を昇華温度以上まで加熱し、固体原料15の昇華拡散現象によって、被成膜物12上に成膜を行う。
【0028】この際、スペーサー13を用いて原料被成膜物間距離を1.0〜1.5mm程に保つ。スペーサー13の高さを調節することで、原料被成膜物間距離を調節できる。
【0029】容器11は例えばステンレス製であり、熱シールド材14及び熱シールド蓋8はグラファイト製、覗き窓7は石英製、坩堝蓋1及び坩堝3はカーボン製、スペーサー13はカーボン製であり、被成膜物12はSiC基板で、固体原料15の組成はSiCである。
【0030】また、支持台4は上下移動回転機構6によって上下に移動又回転でき、より均一な被成膜物加熱、成長温度の正確な制御、熱による容器11のダメージを防止することができる。
【0031】容器11はガス導入口2と排気口16を備え、ガス導入口2から例えばArガス等不活性ガスを導入することができ、また、排気口16の先に図示しないロータリーポンプやターボ分子ポンプを取り付けることで、容器11内を真空状態に保つことができる。熱シールド14、熱シールド蓋8、支持台4には温度測定用穴10を設けてあり、放射温度計9によって温度を測定する。
【0032】本図では放射温度計は覗き窓7及び温度測定用穴10は上部と下部に取り付けてあるが、これらの窓及び穴は横にも取り付けることができる。
【0033】
「実施形態の効果」
この実施形態によれば、容器11内にガスの導入ができ、真空排気も可能で真空用チャンバーとして機能することができる。また熱シールド14、熱シールド蓋8、坩堝3、坩堝蓋1、支持台4には温度測定用穴10を設けてあり、温度測定用穴10及び覗き窓7を設け、放射温度計9にて成長温度をモニタする構造のため、図示しないプログラムコントローラやPLC等を接続することでRF電源の出力をコントロールし、成長中の被成膜物温度を制御できる。
【0034】
【第2実施形態】次に図2を参照して、本発明に係る半導体材料成膜装置の第2実施形態を説明する。本実施形態の半導体材料成膜装置200において、第1実施形態と異なるのは、第1実施形態が図1に示したように平面螺旋型ワークコイル5が容器11の内部に設置しているのに対し、第2実施形態では平面螺旋型ワークコイル206を容器201の外部に設置した点と搬入ドア213が設けられた点である。ワークコイルが容器外部に設置されるのに伴い、容器形状が変更される。上部蓋208と下部蓋217が加わり、それぞれの蓋はOリング212と容器蓋207によって固定さている。容器蓋207と容器201の固定は例えば、お互いにねじ溝が切ってあり、容器蓋207をねじ込むことで行う。支持台205の形状もワークコイルを容器内部に設置したことで変更される。下部蓋217の材質は例えば石英製である。
【0035】
「実施形態の効果」
第2実施形態において、ワークコイルを容器外部に設置することで、容器内部と外部の導入箇所が減るため、真空漏洩が軽減すると共に、ワークコイルの保守が容易になる。また、搬入ドアにより、被成膜物の取り出しが容易になる。
【0036】
【第3実施形態】次に図3を参照して、本発明に係る半導体材料成膜装置の第3実施形態を説明する。半導体材料成膜装置300において、本実施形態が第1実施形態と異なるのは、図3に示すとおり、図1の上下移動回転移動機構6が省かれた点、ワークコイル保護キャップ306、搬入用ドア312が設けられた点である。上下移動回転移動機構6を省くに伴い、支持台305の形状が変更され、ワークコイル保護キャップ306が新たに追加されている。
【0037】
「実施形態の効果」
第3実施形態において、ワークコイルと被成膜物との最適位置関係を見出し、上下回転機構を省き、ワークコイル保護キャップ306を支持台として使用することにより、装置の低コスト化が可能である。又、コイルを容器内部に設置することで、坩堝とワークコイル間をより近づけることが可能となり、加熱効率を上げることが可能となる。また搬入ドアにより、被成膜物の取り出しが容易になる。さらに実施例2では図2の下部蓋217を例えば石英製にしなければならないが、実施例3の場合覗き穴308を除いた容器301を例えばステンレス製に変更でき、より低コストで容器が作製可能でまた保守も容易となる。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、、成膜用原料として固体を用いるため、ガス除外装置等、高価なガス保安設備を導入する必要がなく装置の低コスト化が可能である。又、平面螺旋型コイルを使用することで、坩堝を底面から加熱することができ、被成膜物面積、坩堝サイズに関係なく、均一に原料、被成膜物とも加熱できる。さらに、坩堝設計の際に被成膜物収納部の数を増減させることにより、少数から多数の被成膜物を同時処理でき、低コストで半導体材料の成膜を行うことが可能となる。従来のCVD法による成膜に比較すると高速の成膜が可能であり、特に現在主にCVD法で行われているワイドバンドギャップ半導体におけるエピタキシャル成長の欠点を充分に補うものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】ワークコイル容器内部型上下移動回転機構付半導体材料成膜装置の第1実施形態における概略構成の断面図である。
【図2】ワークコイル容器外部型半導体材料成膜装置の第2実施形態における概略構成の断面図である。
【図3】ワークコイル容器外部型の半導体材料成膜装置の第3実施形態における概略構成の断面図である。
【図4】縦型坩堝と縦型ワークコイルを用いた従来の技術を示す図である。
【図5】平面螺旋型コイルを上部から見た図である。
【図6】坩堝、スペーサー及び坩堝蓋の概略図である。
【符号の説明】
1、210、310、407 坩堝蓋
2、202、302 ガス導入口
3、203、303、411 坩堝
4、205、305、404 支持台
5、206、307、501 平面螺旋型ワークコイル
6 上下移動回転機構
7、308 覗き窓
8、209、309、405 熱シールド蓋
9 放射温度計
10、211、311、406 温度測定用穴
11、201、301 容器
12、214、313、408 被成膜物
13、215、314、409 スペーサー
14、204、304、403 熱シールド
15、218、316、410 固体原料
16、216、315 排気口
100,200,300 半導体材料成膜装置
207 容器蓋
208 上部蓋
212 Oリング
213、312 搬入用ドア
217 下部蓋
306 ワークコイル保護キャップ
401 石英管
402 ワークコイル
601  坩堝上から見た図
601a 坩堝横から見た図
602  被成膜物収納部
603  スペーサー上から見た図
603a スペーサー横から見た図
604  坩堝蓋
605  スペーサー溝
606  坩堝蓋くびれ部

Claims (6)

  1. IIIB族元素、IVB族元素、VB族元素のうちの何れかを含む半導体材料において、容器内に、熱シールド材で密閉した坩堝の中で、固体原料と被成膜物を、非常に近距離に向き合わせて密閉空間を作り、高周波誘導加熱を利用して固体原料を昇華温度以上まで加熱し、坩堝中での昇華拡散現象を用いて被成膜物上に成膜することを特徴とする半導体材料成膜装置
  2. 平面螺旋型ワークコイルを用いて高周波誘導加熱を行うことを特徴とする請求項1記載の半導体材料成膜装置
  3. 固体原料を被成膜物に成膜することによってエピタキシャル成長を行うことを特徴とする請求項1又は2いずれかに記載の半導体材料成膜装置
  4. スペーサーを用いて固体原料と被成膜物を非常に近距離に向き合わせることを特徴とし、被成膜物の組成がSiC、AlN、GaN又はCであることを特徴とする請求項1、2又は3いずれかに記載の半導体材料成膜装置
  5. 坩堝内に固体原料、被成膜物を複数配置し、複数個同時の成膜処理を可能とすることを特徴とした請求項1、2、3又は4いずれかに記載の半導体材料成膜装置
  6. スペーサーを用いることにより、坩堝を複数回利用することを可能とした請求項1、2、3、4又は5いずれかに記載の半導体材料成膜装置
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007112661A (ja) * 2005-10-20 2007-05-10 Bridgestone Corp 炭化ケイ素単結晶の製造方法及び製造装置
JP2012521531A (ja) * 2009-03-24 2012-09-13 フレニ ブレンボ エス.ピー.エー. 誘導炉及び浸透方法

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