JP2004046004A - 光伝送媒体及び光送受信装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】光学的な設計や調整等を必要とすることなく光伝送媒体を簡易に製造可能とし、低コストで光インタコネクションを実現可能とする。
【解決手段】光伝送媒体10は、透明な材料からなる板状の導光体11と、該導光体の側面に被覆された光吸収部13,14とを備え、導光体11は、その両面が平行に成形され、一方の面の所要の箇所に当該透明な材料の一部からなる凸レンズ部を有している。導光体11の屈折率は、光吸収部13,14の屈折率以下の値に選定され、かつ、空気の屈折率よりも大きい値に選定されている。この光伝送媒体10を用いた光送受信装置50において、プリント基板40上に実装された各半導体装置20a,20bは、各々搭載した光電変換素子30に設けられた透明な光誘導部33を介して導光体11の凸レンズ部に接着されている。光誘導部33の屈折率は、導光体11の屈折率以上の値に選定されている。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光伝送媒体及びこれを用いた光送受信装置に関し、より詳細には、プリント基板等のマザーボードに実装された複数のLSIチップ等の半導体装置間を光信号伝達によって相互に接続(光インタコネクション)する際にその接続を簡便に行うのに有用な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
LSIの高速化及び高集積化に伴い、今後も通信系の各種装置やコンピュータ等のスループット(伝送速度×チャンネル数)は増大の一途をたどると予測されるが、この場合に、いかにして信号配線(インタコネクション)を行うかがシステム性能向上のボトルネックになる。これに対処するための信号接続技術の1つとして「光インタコネクション」があり、これは、信号の伝送媒体として一般に用いられている金属(メタル)配線を、光通信技術を応用した高速かつ高密度な光信号伝達による配線に置き換えたものである。この光インタコネクションは、LSIチップの内部配線から装置間伝送までの比較的短い距離での伝送を対象にしている点で、いわゆる「光通信」とは異なる。光インタコネクションでは、伝送距離が概ね1mを超えると、光通信と同様に伝送媒体としての光ファイバの優位性が活きてくる。
【0003】
このため、従来の光インタコネクションでは、電気信号と光信号を相互変換する光送受信(光電変換)モジュールと光ファイバを利用する形態がほとんどである。典型的な光インタコネクションの構成では、半導体レーザアレイ等の発光素子とこれを駆動するICをパッケージ化し、さらに電気入力端子を備えた光送信モジュールと、フォトダイオードアレイ等の受光素子とアンプ/識別回路等の機能を有するICをパッケージ化し、さらに電気出力端子を備えた光受信モジュールとが、多芯光導波路(多くの場合、テープ形多芯光ファイバ)を介して相互に接続されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように従来の光インタコネクションでは、その伝送媒体として光ファイバを使用しているため、以下に記述するように光ファイバの加工や光ファイバの接続部の精度等に関して光学的な設計や調整等を必要とし、また、コストアップになることが多い。
【0005】
現状の光インタコネクションに係るシステムを構築する場合、光ファイバの使用に付随して各種の光受動部品(スプリッタや光合分波器等の光合分岐器、光減衰器、光アイソレータ、光サーキュレータ等が用いられる。例えば、光信号を各出射ポートに均等に分ける等分配スプリッタでは、光パワーを2等分できるYカップラ(又は方向性結合器)を基本構成要素として1×n光合分岐器を構成している。このような光カップラは多段に接続して用いられるが、この場合、光カップラを介して光ファイバをいかに効率良く低損失で接続するかが重要となる。例えば、接続部において光反射による信号減衰量を抑えるために、光導波路及び光ファイバの端面を斜めに研磨するなどの加工処理が行われる。また、光ファイバの接続部において反射戻り光があると、ノイズの増加や出力変動など特性が劣化するため、これを防止するための一手段として光アイソレータが挿入される。光アイソレータは、光を一方向には通すが逆の方向には通さない機能を有しているため、不要な反射戻り光を制御するのに有効に用いられる。このように、光ファイバの接続に際し各部品をそれぞれ適正な箇所に固定配置することは、光インタコネクションに係るシステムの信頼性に関わる重要な1つの要素である。
【0006】
しかしながら、従来の技術では、上記のように光ファイバの接続に際し光学的な設計や調整等を行う必要があったため、各部品の実装を容易に行うことができず、そのため光インタコネクションを容易に実現することができないといった課題があった。また、光ファイバの接続に際しスプリッタや光アイソレータ等の光受動部品を必要とするため、コストアップを招くといった不利もあった。
【0007】
本発明は、かかる従来技術における課題に鑑み創作されたもので、光学的な設計や調整等を必要とすることなく簡易に製造が可能であると共に、低コストで光インタコネクションを実現することができる光伝送媒体及びこれを用いた光送受信装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した従来技術の課題を解決するため、本発明の一形態によれば、透明な材料からなり、両面が平行に成形されていると共に、一方の面の所要の箇所に前記透明な材料の一部からなる凸レンズ部を有する板状の導光体と、前記導光体の側面に形成された光吸収部とを備え、前記導光体の屈折率が、前記光吸収部の屈折率よりも小さい値又は同じ値に選定されていると共に、空気の屈折率よりも大きい値に選定されていることを特徴とする光伝送媒体が提供される。
【0009】
この形態に係る光伝送媒体によれば、両面が平行に成形された透明な材料からなる板状の導光体を光導波路(従来の光ファイバに相当)として利用し、この導光体の一方の面に形成された凸レンズ部を光入出力部として利用し、また、導光体の平行な両面とそれぞれ境界面を接している媒体(すなわち、空気)を光反射材として利用している。
【0010】
従って、導光体の外部から凸レンズ部を通して導光体内に光(信号)が入射されると、その光(信号)は、平行に成形された導光体の両面(空気と接している側の面)で交互に反射されながら導光体内を伝搬し、別の凸レンズ部を通して導光体の外部に取り出される。
【0011】
このように、本発明に係る光伝送媒体は各構成部材の屈折率の差を利用し、導光体を通して光信号伝達を行うようにしているので、従来必要としていた光ファイバ接続を無くすことができる。これによって、従来行われていた光学的な設計や調整等を必要とすることなく光伝送媒体を簡易に製造することが可能となり、また、低コストで光インタコネクションを実現することが可能となる。
【0012】
また、導光体の側面に光吸収部を備えているので、不要な光信号の反射(反射戻り光)を効果的に抑制し、ノイズや出力変動等を低減することができる。
【0013】
また、両面が平行に成形された導光体を光導波路として用いているので、従来行われていたような光導波路の分岐を行わなくても、導光体の同一面に形成された各凸レンズ部を通して外部との間で同時に光信号伝達を行うことができる。
【0014】
上記の形態に係る光伝送媒体では、導光体の平行な両面とそれぞれ境界面を接している媒体(空気)を光反射材として利用しているが、導光体の屈折率よりも小さい屈折率を有する材料であれば、かかる材料を用いて有形の光反射部を積極的に設けてもよい。
【0015】
従って、本発明の他の形態によれば、透明な材料からなり、両面が平行に成形されていると共に、一方の面の所要の箇所に前記透明な材料の一部からなる凸レンズ部を有する板状の導光体と、前記導光体の側面に形成された光吸収部と、前記導光体の一方の面の前記凸レンズ部の領域を除いた部分及び前記導光体の他方の面にそれぞれ形成された光反射部とを備え、前記導光体の屈折率が、前記光吸収部の屈折率よりも小さい値又は同じ値に選定されていると共に、前記光反射部の屈折率よりも大きい値に選定されていることを特徴とする光伝送媒体が提供される。
【0016】
また、この形態に係る光伝送媒体において、前記光反射部に代えて、前記導光体の一方の面の前記凸レンズ部の領域と所定の領域とを除いた部分及び前記導光体の他方の面にそれぞれ形成された光反射部を備えるようにしてもよい。
【0017】
また、本発明の更に他の形態によれば、上記の各形態に係る光伝送媒体と、プリント基板上に実装され、それぞれ光電変換素子を搭載した複数の半導体装置とを備え、前記光電変換素子が、前記導光体の凸レンズ部の凸面の形状に合うように凹面状に成形された透明な材料からなる光誘導部を有し、該光誘導部の屈折率が、前記導光体の屈折率よりも大きい値又は同じ値に選定されており、前記光誘導部の凹面部分が、透明な材料からなる接着剤により、前記導光体の凸レンズ部の凸面部分に接着されていることを特徴とする光送受信装置が提供される。
【0018】
この形態に係る光送受信装置によれば、上記の各形態に係る光伝送媒体によって得られた効果に加えて、さらに、導光体内を伝搬してきた光信号を凸レンズ部を通して導光体の外部に取り出す部分(すなわち、半導体装置に搭載された光電変換素子の光誘導部)の屈折率を導光体の屈折率以上の値に選定しているので、当該信号の取り出し(導光体内を伝搬してきた光信号の受信)を簡単に行うことが可能となる。
【0019】
また、この形態に係る光送受信装置の変形形態によれば、上記の各形態に係る光伝送媒体と、プリント基板上に実装され、それぞれ光電変換素子を搭載した複数の半導体装置とを備え、前記光電変換素子が、前記導光体の凸レンズ部の凸面の形状に合うように凹面状に成形された透明な材料からなる光誘導部を有し、該光誘導部の屈折率が、前記導光体の屈折率よりも大きい値又は同じ値に選定されており、少なくとも1つの光電変換素子の光誘導部の凹面部分が、透明な材料からなる接着剤により、前記導光体の対応する凸レンズ部の凸面部分に接着されていると共に、別の少なくとも1つの光電変換素子の光誘導部の凹面部分が、該凹面部分に充填された前記接着剤により、前記導光体の凸レンズ部が形成されている側の面の露出している平坦部分に接着されていることを特徴とする光送受信装置が提供される。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施形態に係る光伝送媒体の断面的な構成を模式的に示したものである。
【0021】
図中、10は本実施形態に係る光伝送媒体、11は両面が平行に成形された透明な材料からなる板状の導光体を示す。導光体11の一方の面(図示の例では下側の面)には、所要の箇所に当該透明な材料の一部を凸面状に成形してなる複数(図示の例では2個)の凸レンズ部12が形成されている。また、13は板状の導光体11の周囲の側面に形成された光散乱防止部、14は光散乱防止部13の表面に形成された光吸収部を示す。導光体11の屈折率は、光散乱防止部13の屈折率よりも小さい値又は同じ値に選定され(11≦13)、かつ、空気の屈折率よりも大きい値に選定されている。また、光散乱防止部13の屈折率は、光吸収部14の屈折率よりも小さい値に選定されている(13<14)。
【0022】
本実施形態に係る光伝送媒体10では、各構成部材間に特定の屈折率の関係を維持するため、導光体11の材料(光導波距離を延ばすために複屈折率の小さい材料)としてアクリル樹脂(屈折率:1.49)が用いられ、光散乱防止部13の材料としてアクリル樹脂(屈折率:1.49)又はポリカーボネート樹脂(屈折率:1.59)が用いられ、光吸収部14の材料として黒色顔料インク(屈折率は少なくとも1.59を超えている)が用いられている。従って、導光体11の側面にポリカーボネート樹脂等をコーティングすることによって光散乱防止部13が形成され得る。また、黒色顔料は、酸化鉄、酸化クロム、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化銅などの調合から得られるが、例えば、酸化鉄と酸化クロムからなる黒色顔料を水又は溶媒に混合したもの(インク)を光散乱防止部13の表面にコーティングすることによって光吸収部14が形成され得る。
【0023】
本実施形態に係る光伝送媒体10においては、両面が平行に成形された透明な材料からなる板状の導光体11を光導波路として利用し、導光体11の一方の面に形成された凸レンズ部12を光入出力部として利用し、導光体11の平行な両面とそれぞれ境界面を接している媒体(すなわち、空気)を光反射材として利用している。この空気の屈折率は1.0であり、導光体11の屈折率(1.49)よりも小さい。
【0024】
以上の構成において、導光体11の外部から凸レンズ部12(図示の例では左側の凸レンズ部12)を通して導光体11内に光(信号)が入射されると、その光(信号)LTは、図中破線で示すように、平行に成形された導光体11の両面(空気と接している側の面)で交互に反射されながら導光体11内を右方向に伝搬し、別の凸レンズ部12(図示の例では右側の凸レンズ部12)を通して導光体11の外部に取り出される。
【0025】
このように本実施形態に係る光伝送媒体10によれば、各構成部材の屈折率の差を利用し、光導波路として供される導光体11を通して光信号伝達を行うようにしているので、従来の光インタコネクションにおいて必要とされていた光ファイバ接続を無くすことができる。その結果、従来行われていた光学的な設計や調整等の煩雑な作業が不要となり、これによって光伝送媒体10を簡易に製造することができ、また低コストで光インタコネクションを実現することができる。
【0026】
また、導光体11の側面に光散乱防止部13及び光吸収部14を備えているので、不要な光信号の反射(反射戻り光)を効果的に抑制することができ、これによってノイズや出力変動等を低減することが可能となる。
【0027】
さらに、両面が平行に成形された導光体11を光導波路として利用しているので、従来行われていたような光導波路の分岐を必要とすることなく、導光体11の同一面に形成された各凸レンズ部12(3個以上形成されている場合)を通して外部との間で同時に光信号伝達を行うことができる。
【0028】
図1の実施形態に係る光伝送媒体10では、導光体11の平行な両面とそれぞれ境界面を接している空気(屈折率:1.0)を光反射材として利用した場合について説明したが、導光体11(屈折率:1.49)よりも小さい屈折率を有する材料であれば、かかる材料を用いて有形の光反射部を積極的に設けてもよい。この場合の構成例を図2に示す。
【0029】
図2において、(a)に例示する光伝送媒体10aは、図1に示した光伝送媒体10と比べて、導光体11の一方の面(図示の例では下側の面)の凸レンズ部12の領域を除いた部分及び導光体11の他方の面(凸レンズ部12が形成されていない側の面)にそれぞれ光反射部15を形成した点で相違する。他の構成及びその材料については、図1に示した光伝送媒体10と同じであるので、その説明は省略する。
【0030】
また、この光伝送媒体10aの各構成部材間に維持すべき屈折率の関係についても、図1に示した光伝送媒体10の場合と同じである。すなわち、導光体11の屈折率は、光散乱防止部13及び光吸収部14の屈折率よりも小さい値又は同じ値に選定され(11≦13<14)、かつ、光反射部15の屈折率よりも大きい値に選定されている(15<11)。この屈折率の関係を維持するため、光反射部15の材料としてポリフッ化ビニリデン(屈折率:1.42)又は酢酸ビニル(屈折率:1.46)が用いられている。従って、凸レンズ部12の領域を除いて導光体11の両面にポリフッ化ビニリデン等をコーティングすることによって光反射部15が形成され得る。
【0031】
この光伝送媒体10aにおいても、図1に示した光伝送媒体10と同様に、導光体11の外部から凸レンズ部12を通して導光体11内に光(信号)が入射されると、その光(信号)LTは、図中破線で示すように、平行に成形された導光体11の両面(光反射部15と接している側の面)で交互に反射されながら導光体11内を右方向に伝搬し、別の凸レンズ部12を通して導光体11の外部に取り出される。この光伝送媒体10aによっても、図1に示した光伝送媒体10によって得られた効果と同等の効果を奏することができる。
【0032】
一方、図2(b)に例示する光伝送媒体10bは、図2(a)に例示した光伝送媒体10aと比べて、導光体11aの一方の面の凸レンズ部12の領域と所定の領域R(凸面状に成形しないで平坦状態で残した部分)とを除いた部分及び導光体11aの他方の面にそれぞれ光反射部15を形成した点で相違する。他の構成及びその材料、各構成部材間に維持すべき屈折率の関係、及び作用効果については、図2(a)に示した光伝送媒体10aの場合と同じであるので、その説明は省略する。
【0033】
次に、上記の各形態に係る光伝送媒体10,10a,10bを用いた光送受信装置について、図3〜図6を参照しながら説明する。
【0034】
図3は光伝送媒体とボード上に実装された複数の半導体装置とを接続する際の一接続例を模式的に示したものである。図示の例では、図2(a)に例示した光伝送媒体10aを用いている。
【0035】
図3において、20a及び20bはそれぞれLSIチップ等の半導体装置を模式的に示しており、特に明示してはいないが、樹脂等からなる絶縁層と、該絶縁層上に所要の形状にパターニング形成された配線層とを交互に積み重ね、さらに各絶縁層の所要の箇所に形成されたスルーホール(内面にはめっき膜が形成されている)を介して各配線層間を電気的に接続してなる多層配線(3次元配線)構造を有している。21はその多層配線構造における1つの配線層を示し、この配線層21の一部分(電極パッド)には、外部接続端子として供される金属バンプ22が接合されている。また、23は各配線層間を電気的に接続するスルーホールを示す。なお、金属バンプ22を構成する材料としては、一般的に用いられる鉛−錫(Pb−Sn)等の共晶はんだの他に、銀−錫(Ag−Sn)等のPbフリーはんだが用いられ、あるいは金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、インジウム(In)又はその合金(In−Pb、In−Sn等)、ニッケル(Ni)等が用いられる。また、各配線層21の材料としては典型的にはCuが用いられるが、最下層の配線層21については、金属バンプ22との接続信頼性を高めるために、例えばAu、Sn等の被覆を施すのが好ましい。
【0036】
また、30は光電変換素子を示し、半導体レーザ等の光送信素子、フォトダイオード等の光受信素子、あるいはその両方の機能を備えた光送受信素子のいずれかの形態を有している。光電変換素子30において、31は電気信号と光信号を相互変換する光電変換(O/E)部、32は光電変換部31の搭載面に接合された金属バンプ、33は光電変換部31の搭載面と反対側の面に接合された光誘導部を示す。光誘導部33は、透明な材料を用いて、導光体11の凸レンズ部12の凸面の形状に合うように凹面状に成形されている。また、光誘導部33の屈折率は、導光体11の屈折率よりも大きい値又は同じ値に選定されている(33≧11)。この屈折率の関係を維持するため、光誘導部33の材料としてアクリル樹脂(屈折率:1.49)又はポリカーボネート樹脂(屈折率:1.59)が用いられている。
【0037】
また、40は各半導体装置20a,20bを実装するのに供されるプリント基板、41はプリント基板40上の所定の箇所(各半導体装置20a,20bの外部接続端子(金属バンプ22)の位置に対応する箇所)に形成された電極パッドを示す。電極パッド41の材料としては、例えば、Au、Cu、Ni、アルミニウム(Al)等が用いられる。
【0038】
図3に示す接続例では、プリント基板40(電極パッド41)上に外部接続端子(金属バンプ22)を介して実装された各半導体装置20a,20bにそれぞれ金属バンプ32を介して搭載された光電変換素子30の光誘導部33の凹面部分を、導光体11の対応する凸レンズ部12の凸面部分に、アクリル樹脂等の透明な材料からなる接着剤により接着することで、光伝送媒体10aと各半導体装置20a,20bとを相互に接続(光インタコネクション)している。
【0039】
図4は光伝送媒体とボード上に実装された複数の半導体装置とを接続する際の他の接続例を模式的に示したものである。図示の例では、図2(b)に例示した光伝送媒体10bを用いている。
【0040】
図4に例示する接続例
(構成)は、図3に例示した接続例
(構成)と比べて、少なくとも1つの光電変換素子30の代わりに別の形態の光電変換素子30aを用いた点で相違する。この光電変換素子30aは、その光誘導部33の凹面部分にアクリル樹脂等の透明な材料からなる接着剤34が平坦に充填されている。他の構成及びその材料、各構成部材間に維持すべき屈折率の関係等については、図3の場合と同じであるので、その説明は省略する。
【0041】
図4に示す接続例では、プリント基板40(電極パッド41)上に外部接続端子(金属バンプ22)を介して実装された各半導体装置20a,20bにそれぞれ金属バンプ32を介して搭載された各々の光電変換素子の光誘導部33の凹面部分を、光電変換素子30については導光体11aの対応する凸レンズ部12の凸面部分に透明な接着剤(アクリル樹脂等)により接着し、他方、光電変換素子30aについては導光体11aの露出している平坦部分R(所定の領域)に接着剤34により接着することで、光伝送媒体10bと各半導体装置20a,20bとを相互に接続(光インタコネクション)している。
【0042】
図5は図1に示した光伝送媒体10を用いた光送受信装置50の断面的な構成を模式的に示したものであり、基本的には図3に例示した接続例に従って構成することができる。また、特に図示はしていないが、光伝送媒体10の導光体11を図2(b)に例示したような形態(導光体11a)に変形したものを用いた場合には、図4に例示した接続例に従って構成することができる。なお、図5において、51及び52はそれぞれ光伝送媒体10の両面に配設された遮光性の板材又はフィルム状部材を示す。
【0043】
図6は図2に示した光伝送媒体10a又は10bを用いた光送受信装置50aの断面的な構成を模式的に示したものであり、図3に例示した接続例又は図4に例示した接続例に従って構成することができる。
【0044】
図5(図6)に示す光送受信装置50(50a)によれば、図1の光伝送媒体10に関連して説明した効果に加えて、さらに、導光体11(11a)内を伝搬してきた光信号を凸レンズ部を通して導光体11(11a)の外部に取り出す部分(すなわち、各半導体装置20a,20bに搭載された光電変換素子30(30a)の光誘導部33)の屈折率を導光体11(11a)の屈折率以上の値に選定しているので、当該信号の取り出し(光信号の受信)を簡単に行うことができる。
【0045】
また、両面が平行に成形された導光体11(11a)を光導波路として利用しているので、従来用いられていたような光合分岐器を必要とすることなく、導光体11(11a)の同一面に形成された各凸レンズ部を通して複数の半導体装置に同時に光信号伝達を行うことが可能となる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、両面が平行に成形された透明な材料からなる板状の導光体を光導波路(従来の光ファイバに相当)として利用することにより、光学的な設計や調整等を必要とすることなく光伝送媒体を簡易に製造することができ、また、低コストで光インタコネクションを実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る光伝送媒体の構成を示す断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態に係る光伝送媒体の構成を示す断面図である。
【図3】光伝送媒体とボード上に実装された複数の半導体装置とを接続する際の接続例(その1)を模式的に示す断面図である。
【図4】光伝送媒体とボード上に実装された複数の半導体装置とを接続する際の接続例(その2)を模式的に示す断面図である。
【図5】図1の光伝送媒体を用いた光送受信装置の構成例を示す断面図である。
【図6】図2の光伝送媒体を用いた光送受信装置の構成例を示す断面図である。
【符号の説明】
10,10a,10b…光伝送媒体、
11,11a…導光体、
12…凸レンズ部(光入出力部)、
13…光散乱防止部(第1の光吸収部)、
14…光吸収部(第2の光吸収部)、
15…光反射部、
20a,20b…半導体装置(LSIチップ)、
21…配線層、
22,32…金属バンプ、
23…(内面にめっき膜が形成されている)スルーホール、
30,30a…光電変換素子(光送信素子、光受信素子、光送受信素子)、
31…光電変換(O/E)部、
33…光誘導部、
34…光誘導部の凹面部分に充填された接着剤、
40…プリント基板、
41…電極パッド、
50,50a…光送受信装置、
51,52…遮光性の板材又はフィルム状部材、
LT…導光体内を伝搬する光信号、
R…導光体の露出している平坦部分(所定の領域)。

Claims (9)

  1. 透明な材料からなり、両面が平行に成形されていると共に、一方の面の所要の箇所に前記透明な材料の一部からなる凸レンズ部を有する板状の導光体と、
    前記導光体の側面に形成された光吸収部とを備え、
    前記導光体の屈折率が、前記光吸収部の屈折率よりも小さい値又は同じ値に選定されていると共に、空気の屈折率よりも大きい値に選定されていることを特徴とする光伝送媒体。
  2. 透明な材料からなり、両面が平行に成形されていると共に、一方の面の所要の箇所に前記透明な材料の一部からなる凸レンズ部を有する板状の導光体と、
    前記導光体の側面に形成された光吸収部と、
    前記導光体の一方の面の前記凸レンズ部の領域を除いた部分及び前記導光体の他方の面にそれぞれ形成された光反射部とを備え、
    前記導光体の屈折率が、前記光吸収部の屈折率よりも小さい値又は同じ値に選定されていると共に、前記光反射部の屈折率よりも大きい値に選定されていることを特徴とする光伝送媒体。
  3. 前記導光体の一方の面の前記凸レンズ部の領域を除いた部分及び前記導光体の他方の面にそれぞれ形成された光反射部に代えて、
    前記導光体の一方の面の前記凸レンズ部の領域と所定の領域とを除いた部分及び前記導光体の他方の面にそれぞれ形成された光反射部を備えたことを特徴とする請求項2に記載の光伝送媒体。
  4. 前記光吸収部は、前記導光体の側面に形成された第1の光吸収部と、該第1の光吸収部の表面に形成された第2の光吸収部とを有し、該第2の光吸収部の屈折率が、該第1の光吸収部の屈折率よりも大きい値に選定されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の光伝送媒体。
  5. 前記導光体の材料としてアクリル樹脂が用いられ、前記光反射部の材料としてポリフッ化ビニリデン又は酢酸ビニルが用いられ、前記第1の光吸収部の材料としてアクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂が用いられ、前記第2の光吸収部の材料として黒色顔料インクが用いられていることを特徴とする請求項4に記載の光伝送媒体。
  6. 請求項1、2、4又は5に記載の光伝送媒体と、
    プリント基板上に実装され、それぞれ光電変換素子を搭載した複数の半導体装置とを備え、
    前記光電変換素子が、前記導光体の凸レンズ部の凸面の形状に合うように凹面状に成形された透明な材料からなる光誘導部を有し、該光誘導部の屈折率が、前記導光体の屈折率よりも大きい値又は同じ値に選定されており、
    前記光誘導部の凹面部分が、透明な材料からなる接着剤により、前記導光体の凸レンズ部の凸面部分に接着されていることを特徴とする光送受信装置。
  7. 請求項1、3、4又は5に記載の光伝送媒体と、
    プリント基板上に実装され、それぞれ光電変換素子を搭載した複数の半導体装置とを備え、
    前記光電変換素子が、前記導光体の凸レンズ部の凸面の形状に合うように凹面状に成形された透明な材料からなる光誘導部を有し、該光誘導部の屈折率が、前記導光体の屈折率よりも大きい値又は同じ値に選定されており、
    少なくとも1つの光電変換素子の光誘導部の凹面部分が、透明な材料からなる接着剤により、前記導光体の対応する凸レンズ部の凸面部分に接着されていると共に、
    別の少なくとも1つの光電変換素子の光誘導部の凹面部分が、該凹面部分に充填された前記接着剤により、前記導光体の凸レンズ部が形成されている側の面の露出している平坦部分に接着されていることを特徴とする光送受信装置。
  8. 前記光伝送媒体の両面に遮光性の板材又はフィルム状部材が配設されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の光送受信装置。
  9. 前記導光体の材料としてアクリル樹脂が用いられ、前記光反射部の材料としてポリフッ化ビニリデン又は酢酸ビニルが用いられ、前記第1の光吸収部の材料としてアクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂が用いられ、前記第2の光吸収部の材料として黒色顔料インクが用いられ、前記光誘導部の材料としてアクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂が用いられ、前記接着剤の材料としてアクリル樹脂が用いられていることを特徴とする請求項6又は7に記載の光送受信装置。
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