JP2004045166A - 芳香族ポリエーテルケトン類の分子量測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】PEEKに代表される芳香族ポリエーテルケトン類の簡便かつ再現性の高い分子量測定方法を提供すること。
【解決手段】ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる芳香族ポリエーテルケトン類の分子量測定に於いて、溶離液としてクロロフェノールとハロゲン化ベンゼン類(クロロフェノールとハロゲン化ベンゼン類の混合液が、クロロフェノール:ハロゲン化ベンゼン類=20:80〜60:40(重量比))の混合液を用いる。
【選択図】 なし
【解決手段】ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる芳香族ポリエーテルケトン類の分子量測定に於いて、溶離液としてクロロフェノールとハロゲン化ベンゼン類(クロロフェノールとハロゲン化ベンゼン類の混合液が、クロロフェノール:ハロゲン化ベンゼン類=20:80〜60:40(重量比))の混合液を用いる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、芳香族ポリエーテルケトン類の分子量測定方法に関する。特に、一般的な溶剤に溶解しないポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトンの分子量測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
Victrex社のPEEKに代表される芳香族ポリエーテルケトン類は、結晶性の熱可塑性スーパーエンジニアリングプラスチックとして知られ、その結晶性に由来する高い耐熱性と耐薬品性を生かし、様々な用途に用いられている。ところが、芳香族ポリエーテルケトンは、その高い耐薬品性故に良溶媒がほとんどなく、分子量、分子量分布を測定することが困難であった。一般的な樹脂類の分子量、分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、別称:サイズ排除クロマトグラフィー(SEC))により評価される。しかしながら、芳香族ポリエーテルケトン類は、一般的なGPC測定時の溶離液であるジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、クロロホルム等に溶解しないため、通常のGPC測定はできなかった。
【0003】
従来、芳香族ポリエーテルケトン類の分子量は、濃硫酸溶液中での固有粘度あるいは還元粘度により示されてきた(T.E.Attwood etc., Polymer, 1981, 22, p1096等参照)。しかしながら、この方法では、樹脂の溶融成形性や機械物性に影響する分子量分布やオリゴマー含有量の評価ができなかった。そのため、特殊な条件下でのGPC測定が試みられてきた。
【0004】
J.Devaux etc., Polymer, 26, p1994 (1985)および J.Devaux etc., Bull. Soc.Chim. Belg, 98, p677 (1989)には、溶離液としてフェノール/1,2,4−トリクロロベンゼン(50/50)混合液を用いたPEEKの115℃での高温GPC測定が開示されている。また、D. Daoust etc., Polymer, 35, p5498 (1994)には溶離液としてメタンスルホン酸を用いたPEEKの115℃での高温GPC測定が開示されている。更に、S. Kinugasa, 原子力工学, 42(5), p18 (1996)にはPEEKの250℃での超高温GPC測定が開示されている。
【0005】
しかしながら、これらの方法は、測定温度が高いため、特殊な装置を用いる必要があり、汎用性が低かった。すなわち、前述の溶離液は常温での粘度が高く、PEEKの溶解能が低いため、カラム温度が最高80℃、検出器温度が最高60℃程度であり、さらに配管類の加熱もなされていない一般的なGPC装置では、カラムに最大使用圧力以上の圧がかかる、カラム、検出器、配管中で樹脂が析出するといった問題を生じるため用いることができなかった。また、高温GPC装置を用いた場合にも、測定温度が常温より著しく高いため、その温度が変動しやすく、その結果、分析の再現性が低かった。
【0006】
常温付近でのGPC測定方法としては、溶離液として塩素系炭化水素溶媒とジクロロ酢酸との混合液を用いる方法が報告されている(特開平2−8740号公報参照)。しかしながら、この方法は、溶離液として強酸を用いるため、カラムの劣化が著しく、かつ配管類の腐食による装置破損が頻発し、実用的でなかった。
【0007】
また、A. Jonas etc., Macromolecules, 26, p2674 (1993) には、溶離液としてN−メチル−2−ピロリドンを用いた室温でのスルホン化PEEKのGPC測定が開示されている。この方法は、PEEKをスルホン化することで、常温のN−メチル−2−ピロリドンに可溶としている。しかしながら、この方法は、サンプルのスルホン化の程度により結果に差が出てしまうため、分析の再現性が低かった。
以上のことから、PEEKに代表される芳香族ポリエーテルケトン類の簡便かつ再現性の高いGPC測定方法が求められていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、PEEKに代表される芳香族ポリエーテルケトン類の簡便かつ再現性の高いGPC測定方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、芳香族ポリエーテルケトン類がクロロフェノールとハロゲン化ベンゼン類の混合液に溶解すること、溶離液としてクロロフェノールとハロゲン化ベンゼン類の混合液を用いた場合、30〜80℃の低温でのGPC測定が可能であること、溶離液の混合組成の変動が分析に影響を与えにくいことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる芳香族ポリエーテルケトン類の分子量測定に於いて、溶離液としてクロロフェノールとハロゲン化ベンゼン類の混合液を用いることを特徴とする芳香族ポリエーテルケトン類の分子量測定方法に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる芳香族ポリエーテルケトン類の分子量測定に於いて、溶離液としてクロロフェノールとハロゲン化ベンゼン類の混合液を用いることを特徴とする芳香族ポリエーテルケトン類の分子量測定方法である。
【0012】
本発明における芳香族ポリエーテルケトン類とは、下記一般式(4)
【化4】
(式中、Arは、従来公知のジヒドロキシ化合物から誘導される2価の基を示す。)で示される繰り返し単位を有するポリエーテルケトン類である。
【0013】
芳香族ポリエーテルケトン類の好ましい具体例としては、例えば、下記式(1)
【化5】
で示される繰り返し単位を有するポリエーテルエーテルケトン、下記式(2)
【0014】
【化6】
で示される繰り返し単位を有するポリエーテルケトン、および/または下記式(3)
【0015】
【化7】
で示される繰り返し単位を有するポリエーテルケトンケトン等が挙げられる。
【0016】
これら芳香族ポリエーテルケトン類は、高い結晶化度を有し、そのため、耐薬品性に優れる。故に、強酸以外の良溶媒がほとんどなく、一般的なGPC測定は困難である。
【0017】
本発明におけるGPC測定とは、高分子試料の溶液を多孔性の架橋ゲルを高密度に充填したカラム中に流し、高分子試料を分子量(分子サイズ)の違いにより分離する分子量測定方法である。この測定方法においては、高分子成分の分子量(分子サイズ)により、カラムからの溶出時間が異なることを利用して分子量および分子量分布を測定する。溶離液の流量の変動は溶出時間を変動させ、分析結果の信頼性を低下させるため、測定時の温度、圧力は極力一定であることが好ましい。
【0018】
本発明で用いるGPC測定装置に特に制限はなく、市販されている一般的なGPC装置、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)装置を用いることができる。
【0019】
本発明の分子量測定は30〜80℃の低温かつ10〜150MPaの一般的なカラム圧力で実施できるため、高温GPC装置、超高圧ポンプ、超耐圧カラム等の特殊な設備を必要としない。
【0020】
本発明において、GPC測定の溶離液としては、クロロフェノールとハロゲン化ベンゼン類の混合液を用いる。クロロフェノールは芳香族ポリエーテルケトン類の溶解性が高く、ハロゲン化ベンゼン類と混合しても該樹脂が析出し難いため好ましい。一方、フェノール、クレゾール等も該樹脂を溶解するが、これらの溶剤はその溶解性が低いため、ハロゲン化ベンゼン類と混合した際に該樹脂が析出し、好ましくない。
【0021】
ハロゲン化ベンゼン類としては、例えば、クロロベンゼン、クロロトルエン、ブロモベンゼン、ブロモトルエン、ジクロロベンゼン、ジクロロトルエン、ジブロモベンゼン、ジブロモトルエン等が挙げらる。また、溶離液としてクロロフェノールを単独で用いた場合は、溶離液の粘度が著しく高く、30〜80℃の低温ではカラムの耐圧範囲内の圧力で測定を行うことができない。溶離液としてハロゲン化ベンゼン類を単独で用いた場合は、芳香族ポリエーテルケトン類が溶解しない。
【0022】
本発明において、溶離液として用いる混合液の組成比は、クロロフェノール:ハロゲン化ベンゼン類=20:80〜60:40(重量比)が好ましく、更に好ましくはクロロフェノール:ハロゲン化ベンゼン類=20:80〜40:60(重量比)である。ハロゲン化ベンゼン類の比率が低い場合、溶離液の粘度が著しく高くなることがあり、30〜80℃の低温ではカラムの耐圧範囲内の圧力で測定を行うことができないことがあり、あまり好ましくない。ハロゲン化ベンゼン類の比率が高い場合には、芳香族ポリエーテル類が溶離液中で一部あるいは全部析出することがあり、正確な分子量を求めることができない場合がある。
【0023】
本発明において、測定対象である芳香族ポリエーテルケトン類は、クロロフェノールあるいはクロロフェノールとハロゲン化ベンゼン類の混合溶媒に溶解した溶液として、GPC装置あるいはHPLC装置のインジェクターよりGPCカラムに導入される。ここで、芳香族ポリエーテルケトン類は常温でクロロフェノールに溶解し難いため、通常、100〜200℃程度の加熱攪拌下に溶解させ、冷却後、そのまま、あるいはハロゲン化ベンゼン類に希釈した状態で、GPC測定に供されることが好ましい。
【0024】
本発明で用いるGPCカラムに特に制限はなく、通常のGPCカラムを用いることができる。また、本発明で用いる溶離液は粘度が低くカラムにかかる圧力が低いため、分離能向上のためにカラムを2本以上つなげて用いることもできる。なお、本発明のGPC測定条件は特異なものではないため、高耐熱カラム、高耐圧カラムや耐酸性カラム等の特殊なカラムを用いる必要はない。
【0025】
本発明のGPC測定時のカラム温度は30〜80℃であることが好ましい。80℃より高温で測定する場合、汎用のカラムオーブンを用いることができないことがある、カラム寿命が短い等の問題が生じる場合があり、あまり好ましくない。
【0026】
本発明のGPC測定において用いる検出器は、示差屈折(RI)検出器であることが好ましい。本発明においては、芳香環を有する溶離液を用いるため、紫外可視分光高度計(UV検出器)は用いることができない。すなわち、本発明で用いる溶離液は、芳香族ポリエーテルケトンのUV吸収領域に吸収を有するため、UV吸収変化による分子量測定の感度は極めて低い。RI検出器においては、芳香族ポリエーテルケトン類を溶離液との屈折率差により検出する。そのため、溶離液の屈折率の変動は分析精度に大きく影響する。本発明で用いるクロロフェノールとハロゲン化ベンゼン類はその屈折率が近く、測定中に溶離液組成が変動しても、溶離液の屈折率変化が小さく、高感度での分析が可能である。
【0027】
一方、芳香族ポリエーテルケトン類は、クロロフェノールと他の炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、例えばトルエン、テトラヒドロフラン、クロロホルム等との混合液にも、その混合組成により溶解する場合がある。しかしながら、これら炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類の屈折率はクロロフェノール類のものより著しく小さく、測定時の溶離液の僅かな組成変動が屈折率を大きく変動させる。そのため、RI検出器によるGPC分析において、クロロフェノール類と炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類の混合液を溶離液として用いることはできない。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
実施例において用いた装置構成を以下に示す。
デガッサー:日本分光社製 DG−980−50
ポンプ:日本分光社製 PU−980
インジェクター:レオダイン社製 7125
カラム:昭和電工製 Shodex GPC
K−G、K−800D、K−805L×2本を直列に接続
分離範囲:100〜5×106、カラム耐圧:7.0MPa
カラムオーブン:日本分光社製 CO−965
検出器:日本分光社製示差屈折計 RI−930
データ処理装置:日本分光社製 JASCO−JMBS/BORWIN
【0029】
実施例において校正曲線は次のようにして作成した。標準ポリスチレン(分子量1.26×103、3.79×103、1.30×104、3.03×104、6.55×104、1.85×105、6.68×105、3.90×106)各約10mgを溶離液20mLに溶解、GPC測定を行って作成した。
【0030】
実施例において、GPC測定用サンプル溶液は次のようにして作成した。還留管付き3角フラスコに、芳香族ポリエーテルケトン類0.1gおよびクロロフェノール10mlを装入、オイルバスにて180℃に加熱、マグネチックスラーラーにて撹拌し、20分間かけて溶解した。ついで、該溶液を室温になるまで放冷した。該溶液3mLをハロゲン化ベンゼン類7mLで希釈して用いた。
【0031】
実施例1
市販のポリエーテルエーテルケトン(Victrex社製 PEEK 450P)のGPC測定を行った。GPC測定条件を以下に示す。
溶離液 クロロフェノール:オルソジクロロベンゼン=30:70(重量比)
溶離液流速 0.5ml/min
カラム温度 40℃
測定時のポンプ指示圧力は2.5MPaであり、カラムの耐圧力7MPa(1本当たり3.5MPa)に対し、十分に低かった。
得られた測定チャートを図1に、算出された測定結果(標準ポリスチレン換算)を以下に示す。
【0032】
数平均分子量 Mn =39×103g/mol
重量平均分子量 Mw =254×103g/mol
分散度 Mw/Mn =6.5
【0033】
実施例2
実施例1と同一のGPC測定条件下で、市販のポリエーテルケトン(Victrex社製 PEK 220)のGPC測定を行った。
測定時のポンプ指示圧力は2.5MPaであり、カラムの耐圧力7MPa(1本当たり3.5MPa)に対し、十分に低かった。
得られた測定チャートを図2に、算出された測定結果(標準ポリスチレン換算)を以下に示す。
【0034】
数平均分子量 Mn =31×103g/mol
重量平均分子量 Mw =163×103g/mol
分散度 Mw/Mn =5.2
【0035】
比較例1
実施例1と同一のポリエーテルエーテルケトン(Victrex社製 PEEK 450P)のGPC測定を行った。GPC測定条件を以下に示す。
溶離液 クロロフェノール:クロロホルム=30:70(重量比)
溶離液流速 0.5ml/min
カラム温度 40℃
測定時のポンプ指示圧力は2.8MPaであり、カラムの耐圧力7MPa(1本当たり3.5MPa)に対し、十分に低かった。
得られた測定チャートを図3に示す。本比較例においては、ベースラインの変動が著しく、分子量を算出できなかった。
【0036】
比較例2
実施例1と同一のポリエーテルエーテルケトン(Victrex社製 PEEK 450P)のGPC測定を行った。GPC測定条件を以下に示す。
溶離液 クロロフェノール:クロロホルム=50:50(重量比)
溶離液流速 0.5ml/min
カラム温度 40℃
測定時のポンプ指示圧力は5.2MPaであり、カラムの耐圧力7MPa(1本当たり3.5MPa)に対し低かった。しかしながら、本比較例においては、比較例1の場合と同様、ベースラインの変動が著しく、分子量を算出できなかった。
【0037】
実施例3
実施例1と同一のポリエーテルエーテルケトン(Victrex社製 PEEK 450P)のGPC測定を行った。GPC測定条件を以下に示す。
溶離液 クロロフェノール:オルソジクロロベンゼン=50:50(重量比)
溶離液流速 0.5ml/min
カラム温度 40℃
測定時のポンプ指示圧力は4.9MPaと低く、ベースラインの変動もなかった。得られた測定結果(標準ポリスチレン換算)を以下に示す。
数平均分子量 Mn =40×103g/mol
重量平均分子量 Mw =261×103g/mol
分散度 Mw/Mn =6.5
【0038】
実施例4
実施例1と同一のポリエーテルエーテルケトン(Victrex社製 PEEK 450P)のGPC測定を行った。GPC測定条件を以下に示す。
溶離液 クロロフェノール:クロロベンゼン=30:70(重量比)
溶離液流速 0.5ml/min
カラム温度 40℃
測定時のポンプ指示圧力は2.3MPaと十分に低く、ベースラインの変動もなかった。得られた測定結果(標準ポリスチレン換算)を以下に示す。
数平均分子量 Mn =39×103g/mol
重量平均分子量 Mw =255×103g/mol
分散度 Mw/Mn =6.5
【0039】
比較例3
以下の条件でGPC装置の起動を試みた。
溶離液 クロロフェノール=100%
溶離液流速 0.5ml/min
カラム温度 80℃
溶離液の置換と共にポンプ指示圧力が上昇、カラムの耐圧力7MPa(1本当たり3.5MPa)を越え、運転できなかった。
【0040】
比較例4
実施例1と同一のポリエーテルエーテルケトン(Victrex社製 PEEK 450P)のGPC測定を行った。GPC測定条件を以下に示す。
溶離液 オルソジクロロベンゼン=100%
溶離液流速 0.5ml/min
カラム温度 40℃
測定時のポンプ指示圧力は1.8MPaと十分に低く、ベースラインの変動もなかった。しかしながら、ポリエーテルエーテルケトンに相当するピークは得られなかった。インジェクターより導入されたポリエーテルエーテルケトンが流路あるいはカラム中で析出したものと思われる。
【0041】
比較例5
実施例1と同一のポリエーテルエーテルケトン(Victrex社製 PEEK 450P)のGPC測定を行った。GPC測定条件を以下に示す。
溶離液 クロロホルム=100%
溶離液流速 0.5ml/min
カラム温度 40℃
測定時のポンプ指示圧力は2.1MPaと十分に低く、ベースラインの変動もなかった。得られた測定結果(標準ポリスチレン換算)を以下に示す。
数平均分子量 Mn =3×103g/mol
重量平均分子量 Mw =10×103g/mol
分散度 Mw/Mn =3.4
得られた分子量は著しく低かった。このことから、本比較例条件下では、低分子量物は検出されるものの、高分子量のポリエーテルエーテルケトンは流路あるいはカラム中で析出しているものと思われる。
【0042】
【発明の効果】
本発明により、PEEKに代表される芳香族ポリエーテルケトン類の簡便かつ再現性の高い分子量測定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた溶出曲線およびGPCチャート
【図2】実施例2で得られた溶出曲線およびGPCチャート
【図3】実施例3で得られた溶出曲線およびGPCチャート
【発明の属する技術分野】
本発明は、芳香族ポリエーテルケトン類の分子量測定方法に関する。特に、一般的な溶剤に溶解しないポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトンの分子量測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
Victrex社のPEEKに代表される芳香族ポリエーテルケトン類は、結晶性の熱可塑性スーパーエンジニアリングプラスチックとして知られ、その結晶性に由来する高い耐熱性と耐薬品性を生かし、様々な用途に用いられている。ところが、芳香族ポリエーテルケトンは、その高い耐薬品性故に良溶媒がほとんどなく、分子量、分子量分布を測定することが困難であった。一般的な樹脂類の分子量、分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、別称:サイズ排除クロマトグラフィー(SEC))により評価される。しかしながら、芳香族ポリエーテルケトン類は、一般的なGPC測定時の溶離液であるジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、クロロホルム等に溶解しないため、通常のGPC測定はできなかった。
【0003】
従来、芳香族ポリエーテルケトン類の分子量は、濃硫酸溶液中での固有粘度あるいは還元粘度により示されてきた(T.E.Attwood etc., Polymer, 1981, 22, p1096等参照)。しかしながら、この方法では、樹脂の溶融成形性や機械物性に影響する分子量分布やオリゴマー含有量の評価ができなかった。そのため、特殊な条件下でのGPC測定が試みられてきた。
【0004】
J.Devaux etc., Polymer, 26, p1994 (1985)および J.Devaux etc., Bull. Soc.Chim. Belg, 98, p677 (1989)には、溶離液としてフェノール/1,2,4−トリクロロベンゼン(50/50)混合液を用いたPEEKの115℃での高温GPC測定が開示されている。また、D. Daoust etc., Polymer, 35, p5498 (1994)には溶離液としてメタンスルホン酸を用いたPEEKの115℃での高温GPC測定が開示されている。更に、S. Kinugasa, 原子力工学, 42(5), p18 (1996)にはPEEKの250℃での超高温GPC測定が開示されている。
【0005】
しかしながら、これらの方法は、測定温度が高いため、特殊な装置を用いる必要があり、汎用性が低かった。すなわち、前述の溶離液は常温での粘度が高く、PEEKの溶解能が低いため、カラム温度が最高80℃、検出器温度が最高60℃程度であり、さらに配管類の加熱もなされていない一般的なGPC装置では、カラムに最大使用圧力以上の圧がかかる、カラム、検出器、配管中で樹脂が析出するといった問題を生じるため用いることができなかった。また、高温GPC装置を用いた場合にも、測定温度が常温より著しく高いため、その温度が変動しやすく、その結果、分析の再現性が低かった。
【0006】
常温付近でのGPC測定方法としては、溶離液として塩素系炭化水素溶媒とジクロロ酢酸との混合液を用いる方法が報告されている(特開平2−8740号公報参照)。しかしながら、この方法は、溶離液として強酸を用いるため、カラムの劣化が著しく、かつ配管類の腐食による装置破損が頻発し、実用的でなかった。
【0007】
また、A. Jonas etc., Macromolecules, 26, p2674 (1993) には、溶離液としてN−メチル−2−ピロリドンを用いた室温でのスルホン化PEEKのGPC測定が開示されている。この方法は、PEEKをスルホン化することで、常温のN−メチル−2−ピロリドンに可溶としている。しかしながら、この方法は、サンプルのスルホン化の程度により結果に差が出てしまうため、分析の再現性が低かった。
以上のことから、PEEKに代表される芳香族ポリエーテルケトン類の簡便かつ再現性の高いGPC測定方法が求められていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、PEEKに代表される芳香族ポリエーテルケトン類の簡便かつ再現性の高いGPC測定方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、芳香族ポリエーテルケトン類がクロロフェノールとハロゲン化ベンゼン類の混合液に溶解すること、溶離液としてクロロフェノールとハロゲン化ベンゼン類の混合液を用いた場合、30〜80℃の低温でのGPC測定が可能であること、溶離液の混合組成の変動が分析に影響を与えにくいことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる芳香族ポリエーテルケトン類の分子量測定に於いて、溶離液としてクロロフェノールとハロゲン化ベンゼン類の混合液を用いることを特徴とする芳香族ポリエーテルケトン類の分子量測定方法に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる芳香族ポリエーテルケトン類の分子量測定に於いて、溶離液としてクロロフェノールとハロゲン化ベンゼン類の混合液を用いることを特徴とする芳香族ポリエーテルケトン類の分子量測定方法である。
【0012】
本発明における芳香族ポリエーテルケトン類とは、下記一般式(4)
【化4】
(式中、Arは、従来公知のジヒドロキシ化合物から誘導される2価の基を示す。)で示される繰り返し単位を有するポリエーテルケトン類である。
【0013】
芳香族ポリエーテルケトン類の好ましい具体例としては、例えば、下記式(1)
【化5】
で示される繰り返し単位を有するポリエーテルエーテルケトン、下記式(2)
【0014】
【化6】
で示される繰り返し単位を有するポリエーテルケトン、および/または下記式(3)
【0015】
【化7】
で示される繰り返し単位を有するポリエーテルケトンケトン等が挙げられる。
【0016】
これら芳香族ポリエーテルケトン類は、高い結晶化度を有し、そのため、耐薬品性に優れる。故に、強酸以外の良溶媒がほとんどなく、一般的なGPC測定は困難である。
【0017】
本発明におけるGPC測定とは、高分子試料の溶液を多孔性の架橋ゲルを高密度に充填したカラム中に流し、高分子試料を分子量(分子サイズ)の違いにより分離する分子量測定方法である。この測定方法においては、高分子成分の分子量(分子サイズ)により、カラムからの溶出時間が異なることを利用して分子量および分子量分布を測定する。溶離液の流量の変動は溶出時間を変動させ、分析結果の信頼性を低下させるため、測定時の温度、圧力は極力一定であることが好ましい。
【0018】
本発明で用いるGPC測定装置に特に制限はなく、市販されている一般的なGPC装置、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)装置を用いることができる。
【0019】
本発明の分子量測定は30〜80℃の低温かつ10〜150MPaの一般的なカラム圧力で実施できるため、高温GPC装置、超高圧ポンプ、超耐圧カラム等の特殊な設備を必要としない。
【0020】
本発明において、GPC測定の溶離液としては、クロロフェノールとハロゲン化ベンゼン類の混合液を用いる。クロロフェノールは芳香族ポリエーテルケトン類の溶解性が高く、ハロゲン化ベンゼン類と混合しても該樹脂が析出し難いため好ましい。一方、フェノール、クレゾール等も該樹脂を溶解するが、これらの溶剤はその溶解性が低いため、ハロゲン化ベンゼン類と混合した際に該樹脂が析出し、好ましくない。
【0021】
ハロゲン化ベンゼン類としては、例えば、クロロベンゼン、クロロトルエン、ブロモベンゼン、ブロモトルエン、ジクロロベンゼン、ジクロロトルエン、ジブロモベンゼン、ジブロモトルエン等が挙げらる。また、溶離液としてクロロフェノールを単独で用いた場合は、溶離液の粘度が著しく高く、30〜80℃の低温ではカラムの耐圧範囲内の圧力で測定を行うことができない。溶離液としてハロゲン化ベンゼン類を単独で用いた場合は、芳香族ポリエーテルケトン類が溶解しない。
【0022】
本発明において、溶離液として用いる混合液の組成比は、クロロフェノール:ハロゲン化ベンゼン類=20:80〜60:40(重量比)が好ましく、更に好ましくはクロロフェノール:ハロゲン化ベンゼン類=20:80〜40:60(重量比)である。ハロゲン化ベンゼン類の比率が低い場合、溶離液の粘度が著しく高くなることがあり、30〜80℃の低温ではカラムの耐圧範囲内の圧力で測定を行うことができないことがあり、あまり好ましくない。ハロゲン化ベンゼン類の比率が高い場合には、芳香族ポリエーテル類が溶離液中で一部あるいは全部析出することがあり、正確な分子量を求めることができない場合がある。
【0023】
本発明において、測定対象である芳香族ポリエーテルケトン類は、クロロフェノールあるいはクロロフェノールとハロゲン化ベンゼン類の混合溶媒に溶解した溶液として、GPC装置あるいはHPLC装置のインジェクターよりGPCカラムに導入される。ここで、芳香族ポリエーテルケトン類は常温でクロロフェノールに溶解し難いため、通常、100〜200℃程度の加熱攪拌下に溶解させ、冷却後、そのまま、あるいはハロゲン化ベンゼン類に希釈した状態で、GPC測定に供されることが好ましい。
【0024】
本発明で用いるGPCカラムに特に制限はなく、通常のGPCカラムを用いることができる。また、本発明で用いる溶離液は粘度が低くカラムにかかる圧力が低いため、分離能向上のためにカラムを2本以上つなげて用いることもできる。なお、本発明のGPC測定条件は特異なものではないため、高耐熱カラム、高耐圧カラムや耐酸性カラム等の特殊なカラムを用いる必要はない。
【0025】
本発明のGPC測定時のカラム温度は30〜80℃であることが好ましい。80℃より高温で測定する場合、汎用のカラムオーブンを用いることができないことがある、カラム寿命が短い等の問題が生じる場合があり、あまり好ましくない。
【0026】
本発明のGPC測定において用いる検出器は、示差屈折(RI)検出器であることが好ましい。本発明においては、芳香環を有する溶離液を用いるため、紫外可視分光高度計(UV検出器)は用いることができない。すなわち、本発明で用いる溶離液は、芳香族ポリエーテルケトンのUV吸収領域に吸収を有するため、UV吸収変化による分子量測定の感度は極めて低い。RI検出器においては、芳香族ポリエーテルケトン類を溶離液との屈折率差により検出する。そのため、溶離液の屈折率の変動は分析精度に大きく影響する。本発明で用いるクロロフェノールとハロゲン化ベンゼン類はその屈折率が近く、測定中に溶離液組成が変動しても、溶離液の屈折率変化が小さく、高感度での分析が可能である。
【0027】
一方、芳香族ポリエーテルケトン類は、クロロフェノールと他の炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、例えばトルエン、テトラヒドロフラン、クロロホルム等との混合液にも、その混合組成により溶解する場合がある。しかしながら、これら炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類の屈折率はクロロフェノール類のものより著しく小さく、測定時の溶離液の僅かな組成変動が屈折率を大きく変動させる。そのため、RI検出器によるGPC分析において、クロロフェノール類と炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類の混合液を溶離液として用いることはできない。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
実施例において用いた装置構成を以下に示す。
デガッサー:日本分光社製 DG−980−50
ポンプ:日本分光社製 PU−980
インジェクター:レオダイン社製 7125
カラム:昭和電工製 Shodex GPC
K−G、K−800D、K−805L×2本を直列に接続
分離範囲:100〜5×106、カラム耐圧:7.0MPa
カラムオーブン:日本分光社製 CO−965
検出器:日本分光社製示差屈折計 RI−930
データ処理装置:日本分光社製 JASCO−JMBS/BORWIN
【0029】
実施例において校正曲線は次のようにして作成した。標準ポリスチレン(分子量1.26×103、3.79×103、1.30×104、3.03×104、6.55×104、1.85×105、6.68×105、3.90×106)各約10mgを溶離液20mLに溶解、GPC測定を行って作成した。
【0030】
実施例において、GPC測定用サンプル溶液は次のようにして作成した。還留管付き3角フラスコに、芳香族ポリエーテルケトン類0.1gおよびクロロフェノール10mlを装入、オイルバスにて180℃に加熱、マグネチックスラーラーにて撹拌し、20分間かけて溶解した。ついで、該溶液を室温になるまで放冷した。該溶液3mLをハロゲン化ベンゼン類7mLで希釈して用いた。
【0031】
実施例1
市販のポリエーテルエーテルケトン(Victrex社製 PEEK 450P)のGPC測定を行った。GPC測定条件を以下に示す。
溶離液 クロロフェノール:オルソジクロロベンゼン=30:70(重量比)
溶離液流速 0.5ml/min
カラム温度 40℃
測定時のポンプ指示圧力は2.5MPaであり、カラムの耐圧力7MPa(1本当たり3.5MPa)に対し、十分に低かった。
得られた測定チャートを図1に、算出された測定結果(標準ポリスチレン換算)を以下に示す。
【0032】
数平均分子量 Mn =39×103g/mol
重量平均分子量 Mw =254×103g/mol
分散度 Mw/Mn =6.5
【0033】
実施例2
実施例1と同一のGPC測定条件下で、市販のポリエーテルケトン(Victrex社製 PEK 220)のGPC測定を行った。
測定時のポンプ指示圧力は2.5MPaであり、カラムの耐圧力7MPa(1本当たり3.5MPa)に対し、十分に低かった。
得られた測定チャートを図2に、算出された測定結果(標準ポリスチレン換算)を以下に示す。
【0034】
数平均分子量 Mn =31×103g/mol
重量平均分子量 Mw =163×103g/mol
分散度 Mw/Mn =5.2
【0035】
比較例1
実施例1と同一のポリエーテルエーテルケトン(Victrex社製 PEEK 450P)のGPC測定を行った。GPC測定条件を以下に示す。
溶離液 クロロフェノール:クロロホルム=30:70(重量比)
溶離液流速 0.5ml/min
カラム温度 40℃
測定時のポンプ指示圧力は2.8MPaであり、カラムの耐圧力7MPa(1本当たり3.5MPa)に対し、十分に低かった。
得られた測定チャートを図3に示す。本比較例においては、ベースラインの変動が著しく、分子量を算出できなかった。
【0036】
比較例2
実施例1と同一のポリエーテルエーテルケトン(Victrex社製 PEEK 450P)のGPC測定を行った。GPC測定条件を以下に示す。
溶離液 クロロフェノール:クロロホルム=50:50(重量比)
溶離液流速 0.5ml/min
カラム温度 40℃
測定時のポンプ指示圧力は5.2MPaであり、カラムの耐圧力7MPa(1本当たり3.5MPa)に対し低かった。しかしながら、本比較例においては、比較例1の場合と同様、ベースラインの変動が著しく、分子量を算出できなかった。
【0037】
実施例3
実施例1と同一のポリエーテルエーテルケトン(Victrex社製 PEEK 450P)のGPC測定を行った。GPC測定条件を以下に示す。
溶離液 クロロフェノール:オルソジクロロベンゼン=50:50(重量比)
溶離液流速 0.5ml/min
カラム温度 40℃
測定時のポンプ指示圧力は4.9MPaと低く、ベースラインの変動もなかった。得られた測定結果(標準ポリスチレン換算)を以下に示す。
数平均分子量 Mn =40×103g/mol
重量平均分子量 Mw =261×103g/mol
分散度 Mw/Mn =6.5
【0038】
実施例4
実施例1と同一のポリエーテルエーテルケトン(Victrex社製 PEEK 450P)のGPC測定を行った。GPC測定条件を以下に示す。
溶離液 クロロフェノール:クロロベンゼン=30:70(重量比)
溶離液流速 0.5ml/min
カラム温度 40℃
測定時のポンプ指示圧力は2.3MPaと十分に低く、ベースラインの変動もなかった。得られた測定結果(標準ポリスチレン換算)を以下に示す。
数平均分子量 Mn =39×103g/mol
重量平均分子量 Mw =255×103g/mol
分散度 Mw/Mn =6.5
【0039】
比較例3
以下の条件でGPC装置の起動を試みた。
溶離液 クロロフェノール=100%
溶離液流速 0.5ml/min
カラム温度 80℃
溶離液の置換と共にポンプ指示圧力が上昇、カラムの耐圧力7MPa(1本当たり3.5MPa)を越え、運転できなかった。
【0040】
比較例4
実施例1と同一のポリエーテルエーテルケトン(Victrex社製 PEEK 450P)のGPC測定を行った。GPC測定条件を以下に示す。
溶離液 オルソジクロロベンゼン=100%
溶離液流速 0.5ml/min
カラム温度 40℃
測定時のポンプ指示圧力は1.8MPaと十分に低く、ベースラインの変動もなかった。しかしながら、ポリエーテルエーテルケトンに相当するピークは得られなかった。インジェクターより導入されたポリエーテルエーテルケトンが流路あるいはカラム中で析出したものと思われる。
【0041】
比較例5
実施例1と同一のポリエーテルエーテルケトン(Victrex社製 PEEK 450P)のGPC測定を行った。GPC測定条件を以下に示す。
溶離液 クロロホルム=100%
溶離液流速 0.5ml/min
カラム温度 40℃
測定時のポンプ指示圧力は2.1MPaと十分に低く、ベースラインの変動もなかった。得られた測定結果(標準ポリスチレン換算)を以下に示す。
数平均分子量 Mn =3×103g/mol
重量平均分子量 Mw =10×103g/mol
分散度 Mw/Mn =3.4
得られた分子量は著しく低かった。このことから、本比較例条件下では、低分子量物は検出されるものの、高分子量のポリエーテルエーテルケトンは流路あるいはカラム中で析出しているものと思われる。
【0042】
【発明の効果】
本発明により、PEEKに代表される芳香族ポリエーテルケトン類の簡便かつ再現性の高い分子量測定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた溶出曲線およびGPCチャート
【図2】実施例2で得られた溶出曲線およびGPCチャート
【図3】実施例3で得られた溶出曲線およびGPCチャート
Claims (5)
- ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる芳香族ポリエーテルケトン類の分子量測定に於いて、溶離液としてクロロフェノールとハロゲン化ベンゼン類の混合液を用いることを特徴とする芳香族ポリエーテルケトン類の分子量測定方法。
- クロロフェノールとハロゲン化ベンゼン類の混合液が、クロロフェノール:ハロゲン化ベンゼン類=20:80〜60:40(重量比)の混合液である請求項1記載の分子量測定方法。
- ハロゲン化ベンゼン類が、クロロベンゼン、クロロトルエン、ブロモベンゼン、ブロモトルエン、ジクロロベンゼン、ジクロロトルエン、ジブロモベンゼン、ジブロモトルエンから選ばれるハロゲン化ベンゼン類である請求項1または2記載の分子量測定方法。
- 測定時のカラム温度が30〜80℃であることを特徴とする請求項1から3記載の分子量測定方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002202076A JP2004045166A (ja) | 2002-07-11 | 2002-07-11 | 芳香族ポリエーテルケトン類の分子量測定方法 |
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WO2011004892A1 (ja) | 2009-07-09 | 2011-01-13 | ダイセル・エボニック株式会社 | 熱可塑性樹脂組成物及びその成形体 |
-
2002
- 2002-07-11 JP JP2002202076A patent/JP2004045166A/ja active Pending
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