JP2004044518A - 気体圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【課題】液圧縮運転が行われても油分離器の性能が損なわれない気体圧縮機を提供する。
【解決手段】冷媒ガスを吸入、圧縮、吐出する圧縮機本体5、6、7、11、15と、前記圧縮機本体から吐出された冷媒ガス中の油を分離する油分離器30と、油分離器30を通過した冷媒ガスと油を一時貯留する吐出室8とを有し、油分離器30は、前記吐出室8内で空間形成する筒状体31と、筒状体31の下流側出口を塞ぐように設けられたフィルタ部材32と、フィルタ部材32の一部または全部を可動させることにより、筒状体31の下流側出口を開放するフィルタ部材可動手段34、36とを備える気体圧縮機。
【効果】フィルタ部材を変形や破損から守り、油分離器の性能を損なうことなく安定して運転継続ができる。
【選択図】 図1
【解決手段】冷媒ガスを吸入、圧縮、吐出する圧縮機本体5、6、7、11、15と、前記圧縮機本体から吐出された冷媒ガス中の油を分離する油分離器30と、油分離器30を通過した冷媒ガスと油を一時貯留する吐出室8とを有し、油分離器30は、前記吐出室8内で空間形成する筒状体31と、筒状体31の下流側出口を塞ぐように設けられたフィルタ部材32と、フィルタ部材32の一部または全部を可動させることにより、筒状体31の下流側出口を開放するフィルタ部材可動手段34、36とを備える気体圧縮機。
【効果】フィルタ部材を変形や破損から守り、油分離器の性能を損なうことなく安定して運転継続ができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車や建物などの空調に使用され、冷媒ガス等の気体を圧縮して吐出する気体圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車や建物などの空調に使用される気体圧縮機には、例えば図10に示すものが使用されている。この圧縮機を図に基づいて説明すると、内周が筒状のシリンダ5と、該シリンダ5の軸方向両端部にあるフロントサイドブロック6およびリアサイドブロック7とを備えている。上記シリンダ5内には、ロータ11が回転可能に配置され、該ロータ11に設けられたベーン溝にベーン15が出没自在に収容されている。上記シリンダ5と、フロントサイドブロック6と、リアサイドブロック7と、ロータ11と、ベーン15とで圧縮機本体が構成され、上記ロータ11とベーン15とシリンダ5とで仕切られてシリンダ圧縮室が形成されている。上記各部材はフロントハウジング1aおよびリアハウジング1bに内蔵されており、フロントハウジング1aは冷媒の吸入口2を有し、リアハウジング1bは吐出口3を有している。上記フロントハウジング1a内には、上記吸入口2に連通する吸入室4が設けられており、該吸入室4と上記シリンダ圧縮室とが連通している。また、リアハウジング1bの前方側に内蔵されたリアサイドブロック7と、リアハウジング1bの後方側とで形成される空間内には上記シリンダ圧縮室に連通する吐出室8が設けられており、該吐出室8は上記吐出口3に連通している。また、この吐出室8内において、リアサイドブロック7に筒状体31とデミスタ32とでなる油分離器30が設けられ、シリンダ圧縮室で圧縮された気体はリアサイドブロック7に形成された吐出通路7aから筒状体31内に導かれ、デミスタ32を通過して吐出室8へと放出されるようにしている。
【0003】
上記気体圧縮機では、ロータ11を回転させると上記シリンダ圧縮室の容積が変化し、上記吸入口2および吸入室4を通過して導入された冷媒がシリンダ圧縮室内で圧縮される。圧縮された冷媒は、シリンダ圧縮室から吐出され、リアサイドブロック7の吐出通路7aを通して油分離器30へと放出されて、デミスタ32で圧縮気体に含まれる潤滑油を分離する。分離された潤滑油は油溜まり部18に滴下滞留し、潤滑油が分離された圧縮気体は吐出室8へと吐出され、さらに吐出口3から吐出配管(図示しない)を通じて外部の空調システムに運ばれる。外部に吐出された冷媒は、システムを循環して気体圧縮機の吸入口2に戻り、再度シリンダ圧縮室で圧縮され、さらにシステム内に吐出される。この動作を繰り返すことにより継続して空調が行われる。また、油溜まり部18の油は、圧縮機内部での圧力差により油供給路9を通してシリンダ圧縮室の摺動部分に圧送して摩耗防止や油膜によるシールに供される。この際に一部の潤滑油が圧縮気体に取り込まれて圧縮気体とともに移動する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように従来の気体圧縮機では、圧縮機内部での圧力差を利用して油溜まり部18の潤滑油をシリンダ圧縮室の摺動部分に圧送しており、そして、この潤滑油の圧送は、運転を停止した後でも圧力差がある間、継続することが知られている。したがって、運転の再開時には、吸入室4などに溜まった多量の潤滑油がシリンダ圧縮室に吸い込まれて液圧縮されることとなり、この液圧縮時に、上記油分離器30のデミスタ32に、図11のように高圧の圧縮液体が噴射されて、デミスタ32が変形乃至破損し、油分離器30としての性能が損なわれる問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、液圧縮運転が行われても油分離器の性能が損なわれない気体圧縮機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明の気体圧縮機のうち請求項1記載の発明は、冷媒ガスを吸入、圧縮、吐出する圧縮機本体と、前記圧縮機本体から吐出された冷媒ガス中の油を分離する油分離器と、前記油分離器を通過した冷媒ガスと油を一時貯留する吐出室とを有し、前記油分離器は、前記吐出室内で空間形成する筒状体と、前記筒状体の下流側出口を塞ぐように設けられたフィルタ部材と、前記フィルタ部材の一部または全部を可動させることにより、前記筒状体の下流側出口を開放するフィルタ部材可動手段と、を備えることを特徴とする気体圧縮機。
【0007】
請求項2記載の気体圧縮機の発明は、請求項1記載の発明において、前記フィルタ部材可動手段は弾性部材を有し、該弾性部材が有する付勢力よりもフィルタ部材に加わる流体圧力の方が大きい場合に、前記フィルタ部材を可動させる構造であることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の気体圧縮機の発明は、請求項2記載の発明において、前記弾性部材は捩りコイルバネであり、前記フィルタ部材可動手段は該捩りコイルバネを捩ることで付勢力を与えられ、前記フィルタ部材を可動させる構造であることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の気体圧縮機の発明は、請求項2記載の発明において、前記弾性部材は圧縮コイルバネであり、前記フィルタ部材可動手段は該圧縮コイルバネを圧縮することで付勢力を与えられ、前記フィルタ部材を可動させる構造であることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の気体圧縮機の発明は、請求項2記載の発明において、前記弾性部材は引張りコイルバネであり、前記フィルタ部材可動手段は該引張りコイルバネを引張ることで付勢力を与えられ、前記フィルタ部材を可動させる構造であることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の気体圧縮機の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記圧縮機本体は、内周が筒状のシリンダと、該シリンダの軸方向両端部にあるサイドブロックと、前記シリンダ内に回転可能に配置されたロータと、前記ロータに半径方向に出没自在に設けられたベーンとを備えていることを特徴とする。
【0012】
このように構成される本発明によれば、フィルタ部材可動手段によってフィルタ部材の一部または全部が筒状体に対して移動して筒状体の下流側出口を開放することができる。これにより、気体冷媒を圧縮する通常の運転時等には、フィルタ部材を通して気体冷媒を吐出室に移動させ、必要に応じて筒状体内と吐出室とを直接連通させてフィルタ部材に掛かる圧力を上記開放によって逃がすことができる。好適にはフィルタ部材が強い圧力を受けた時に筒状体の下流側出口を開放して筒状体内と吐出室が直接連通するようにし、液圧縮時にフィルタ部材が受ける不具合を除くことができる。
【0013】
なお、本発明のフィルタ部材としては、金網や線材をランダムに配したデミスタが例示されるが、本発明としてはフィルタ部材がこれに限定されるものではなく、要は、圧縮気体を通過させて油を分離できるものであればよい。
【0014】
フィルタ部材可動手段は、フィルタ部材に掛かる圧力によってフィルタ部材を移動させるものが望ましく、例えば弾性部材とフィルタ部材の可動取り付け構造により構成することができる。フィルタ部材が上記弾性部材の付勢力より強い圧力を受けた時に下流側へ移動して筒状体内と吐出室とを直接連通させることができる。すなわち、フィルタ部材を付勢している弾性部材の弾力を液圧縮時の強い圧力を受けた時にフィルタ部材が移動するように設定することで、液圧縮時にフィルタ部材が受ける不具合を除くことができる。しかも、気体冷媒を圧縮する通常の運転時には、フィルタ部材本来の油分離の機能を発揮させることができる。
【0015】
油分離器を構成しているフィルタ部材を移動可能にする取り付け構造は、回動可能としても良く、また、筒状体の軸方向で移動可能としても良い。回動可能に取り付ける場合の弾性部材は、実施形態で説明するように、捩りコイルバネを用い、回動可能のフィルタ部材を回動付勢するようにすることができる。筒状体の軸方向で移動可能とした場合の弾性部材には、実施形態で説明するように、コイルバネを用いることができる。コイルバネは圧縮状態で設置してフィルタ部材を付勢しても良く、引張状態で設置してフィルタ部材を付勢しても良い。
【0016】
本発明の気体圧縮機は、冷媒ガスを吸入、圧縮、吐出する圧縮機本体と吐出室を備えている。これらの構成は本発明としては必須であるが、その具体的な構造、形状等は特に限定されるものではなく、上記構成を具備する種々の構造が対象となる。その他には、通常、吸入口、吸入室、吐出口を備えている。本発明の気体圧縮機として、代表的には、請求項6に記載するベーン式の圧縮機が挙げられる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の気体圧縮機の第1の実施形態を図1、2に基づいて説明する。なお、従来例と同一の構造については同一の符号を付している。
図1は気体圧縮機の全体構成を表したものである。該気体圧縮機は、吸入口2を有するフロントハウジング1aと、吐出口3を有するリアハウジング1bとを備えている。上記吸入口2には、外部から圧縮すべき冷媒ガスを吸引するべく吸入配管(図示しない)が接続され、吐出口3には、圧縮された冷媒をコンデンサ等(図示しない)に供給する吐出配管(図示しない)が接続される。
【0018】
上記フロントハウジング1a内部には吸入室4が形成され、この吸入室4に上記吸入口2が連通している。また、リアハウジング1b内には、軸方向と直交する縦断面において略楕円形状の内周面を有する筒状のシリンダ5が配置されており、該シリンダ5の軸方向両端面に互いに平行に固着されたフロントサイドブロック6(吸入口2側)およびリアサイドブロック7(吐出口3側)が配置されている。該フロントサイドブロック6には、上記吸入室4とシリンダ5内とを連通させるように図示しない連通路が形成されている。
【0019】
そしてシリンダ5の内部には、図2に示すように、ロータ軸10で支持された回転可能なロータ11が配設されている。なお、上記ロータ軸10は、気体圧縮機の前方側において、電磁クラッチ20に接続されており、電磁クラッチ20の動作により図示しない内燃機関の駆動力が伝達されるように構成されている。
【0020】
上記ロータ11には、複数のベーン溝12にそれぞれ摺動可能に嵌装されたベーン15が複数枚(図は5枚)放射状に保持されている。ロータ11が回転駆動されることで、ベーン15がその遠心力および背圧室13から供給される潤滑油の油圧によってベーン溝12内を進退してシリンダ5の内周壁に密着しながら回転するように構成されている。これらシリンダ5、ロータ11、ベーン15、フロントサイドブロック6、リアサイドブロック7を主要な構成として圧縮機本体が構成されており、シリンダ5内周面、ベーン15、ロータ11外周面およびフロントサイドブロック6後端面、リアサイドブロック7前端面によってシリンダ圧縮室16が形成されている。
【0021】
なお、シリンダ5の内周側には内外方向に沿って、該圧縮室16に一端が連通するシリンダ吐出孔5aが形成されており、該シリンダ吐出孔5aの他端側はリードバルブ14で開閉可能となっている。該シリンダ吐出孔5aの他端側にはシリンダ吐出空間17が設けられている。またリアサイドブロック7には、厚さ方向に沿って吐出通路7aが形成されており、該吐出通路7aの通路入口7cは、上記シリンダ吐出空間17に開口している。
【0022】
上記リアサイドブロック7とリアハウジング1aとで形成される空間は吐出室8とされ、該吐出室8に油分離器30が設置してある。油分離器30は、筒状体31と、フィルタ部材であるデミスタ32で構成されており、筒状体31が上記リアサイドブロック7に取り付けられて、筒状体31に形成した通路33とリアサイドブロック7に形成した上記吐出通路7aが連通させてある。シリンダ圧縮室16で圧縮された圧縮気体が吐出通路7a及び通路33を通して筒状体31の内側に放出されるようにされている。
【0023】
デミスタ32は、図3、4に示したように、方形の板状をしており、筒状体31の開口端を塞ぐように設けられ、一端縁(上端縁)を基部として軸34の回りで回動可能にされている。また、デミスタ32の他端縁(下端縁)を筒状体31の内壁に形成した係止肩35と対向させて、デミスタ32の反時計回りの方向(図1において)の回動が係止肩35で停止するようにしてある。そして、上記軸34に、弾性部材として捩りバネ36が装着され、該捩りバネ36の一端36が筒状体31の外壁に当接し、他端36bがデミスタ31の側縁に当接して、デミスタ32が反時計回りの方向に回動付勢されている。上記デミスタ32の可動取り付け構造(軸34、係止肩35)と捩りバネ36とによりフィルタ部材可動手段が構成されている。
【0024】
尚、上記デミスタ32は、図示の例では金網で構成されたものを示しているが、線材を面方向及び厚さ方向でランダムに配したフィルタとすることもできる。オイルミストを含んだ圧縮気体が通過する際に、粒子の大きい油分を気体から分離できるものであれば良いものである。
【0025】
上記吐出室8の下方は、油溜まり部18とされ、該油溜まり部18の油は、気体圧縮機内部の圧力差により油供給路9を通して送り出され、圧縮機内での摩耗防止や油膜によるシールに供される。
【0026】
次に、上記気体圧縮機の動作について説明する。
気体圧縮機の動作に際し、電磁クラッチ20を動作させ、図示しない内燃機関によりロータ軸10を回転駆動すると、ロータ軸10の回転に連れてロータ11が回転する。この回転による遠心力と背圧室13への潤滑油の供給によりベーン15に外周側への押出力が作用する。押出力が作用したベーン15は、図2に示すように外周側に移動してシリンダ5の内周壁およびフロントサイドブロック6、リアサイドブロック7の側壁に密着しながらロータ11とともに回転する。この回転によりシリンダ5内への吸引力が発生し、上記吸入口2を通して吸入配管から冷媒ガスを吸引する。冷媒ガスは、吸入室4内に吸引され、さらにシリンダ5内に吸引される。シリンダ5内では、シリンダ圧縮室16によって冷媒ガスが順次圧縮される。
【0027】
圧縮された冷媒ガスは、シリンダ圧縮室16からシリンダ吐出口5aへと送り出され、リードバルブ14が開かれてさらにリアサイドブロック7に形成された吐出空間17、吐出通路7a、及び筒状体31の通路33を通して筒状体31内に放出される。冷媒ガスは上記吸入から圧縮、放出に至る間に、気体圧縮機内部の潤滑油を巻き込んで、潤滑油を含有した状態で放出される。
筒状体31内に放出された冷媒ガスは、デミスタ32を通過して吐出室8へと移動して行く。冷媒ガス中に含まれる油粒子はデミスタ32を通過する際に大部分がデミスタ32で捕らえられ、気体成分と油分が分離される。分離された潤滑油は、デミスタ32から滴下して油溜まり部18に溜まり、気体成分は吐出口3側の空間に移動し、さらに吐出口3から吐出される。
【0028】
一方、運転再開時のように、シリンダ圧縮室16に多量の潤滑油が吸い込まれて液圧縮の運転が行われた時には、油分離器30のデミスタ32が図5のように時計回りの方向に回動する。すなわち、液圧縮によって圧縮された高圧の液体が筒状体31内に噴射されて、デミスタ32が受ける圧力が捩りバネ36の付勢力に打ち勝つようになると、デミスタ32が図示のように回動する。デミスタ32がこのように回動すると、デミスタ32の他端縁(下端縁)が筒状体31の開口端より外側に移動して筒状体31を開放し、筒状体31の内側と吐出室8を直接連通させる。この結果、筒状体31内に放出された高圧の液体を連通部分を通して吐出室8へ逃がし、デミスタ32を高圧液体の噴射による変形や破損から守ることができる。液圧縮の運転から通常の気体圧縮の運転に移行すると、デミスタ32は捩りバネ36の付勢力で図1の状態に復帰し、デミスタ32の油分離の機能を回復することができる。
【0029】
次に、デミスタ32の取り付け構造を変化させた第2の実施形態(図6、7)について説明する。
この実施形態では、デミスタ32が筒状体31の内側に軸方向で移動可能に設けられている。該デミスタ32の下流側には、弾性部材として圧縮状態でコイルバネ(圧縮コイルバネ)37が配置されており、該コイルバネ37の下流側端部は筒状体31の端部に固定され、該コイルバネ37の伸長方向の弾発力でデミスタ32が上流側に付勢されている。上記コイルバネ37と前記したデミスタ32の可動取り付け構造とによりフィルタ部材可動手段が構成されている。
【0030】
上記係止肩35で上流方向への移動が停止されているデミスタ32の下流側に隣接するようにして、筒状体31の下側壁31aには透孔38が形成されており、デミスタ32はこの透孔38を挟んで上流側と下流側の間を移動するようにされている。尚、この透孔38の形成位置は、必ずしも下側壁31aとしなくても良いものであるが、デミスタ32で捕らえた油分を油溜まり部18へ滴下させる点で、下側壁31aに設けるのが望ましい。下側壁31aに形成するのに加えて側壁に設けるようにすることもできる。
【0031】
油分離器30のデミスタ32の取り付け構造以外の部分は、第1の実施形態と同様に構成されているので、同一の部材には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0032】
上記第2の実施形態では、液圧縮の運転によってデミスタ32がコイルバネ37による付勢力に打ち勝つ圧力を受けると、デミスタ32が図7に示したように、筒状体31の軸方向に沿って下流側に移動し、透孔38はデミスタ32より上流側に位置するようになる。このようにデミスタ32が移動することによって、筒状体31の内側と吐出室8が透孔38を介して直接連通するようになり、筒状体31内に噴射された高圧の液体を透孔38を通して吐出室8へ逃がし、デミスタ32を高い圧力から守り、変形、破損を避けることができる。
また、液圧縮の運転から通常の気体圧縮の運転に移行してデミスタ32が受ける圧力が低下すると、デミスタ32はコイルバネ37の付勢力で係止肩35と係合する位置まで復帰し、透孔38を塞いで本来の油分離機能を発揮するようにできる。
【0033】
次に、さらにデミスタ32の取り付け構造を変化させた第3の実施形態(図8、9)について説明する。
この実施形態でも、デミスタ32が筒状体31の内側に、軸方向で移動可能に設けられている。該デミスタ32の上流側には、引張状態でコイルバネ(引張りコイルバネ)47が配置されており、該コイルバネ47の上流側端部は筒状体31に固定され、該コイルバネ47の収縮方向の弾発力でデミスタ32が上流側に付勢されている。上記コイルバネ47と前記したデミスタ32の可動取り付け構造とによりフィルタ部材可動手段が構成されている。
【0034】
この実施形態においても、上記係止肩35で上流方向への移動が停止されているデミスタ32の下流側に隣接するようにして、筒状体31の下側壁31aには透孔38が形成されており、デミスタ32はこの透孔38を挟んで上流側と下流側の間を移動するようにされている。
【0035】
デミスタ32への付勢手段が異なる以外の部分は、第2の実施形態と同様に構成されているので、同一の部材には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0036】
上記第3の実施形態でも、液圧縮の運転によってデミスタ32がコイルバネ37による付勢力に打ち勝つ圧力を受けると、該デミスタ32は図9に示したように、筒状体31の軸方向に沿って下流側に移動する。このデミスタ32の移動により、筒状体31の内側と吐出室8が透孔38を介して直接連通するようになる。上記動作により、筒状体31内に噴射された高圧の液体を透孔38を通して吐出室8へ逃がし、デミスタ32を高い圧力から守り、変形、破損を避けることができる。また、液圧縮の運転から通常の気体圧縮の運転に移行してデミスタ32が受ける圧力が低下すると、デミスタ32はコイルバネ47の付勢力で係止肩35と係合する位置まで復帰し、本来の油分離機能を発揮するようにできる。
【0037】
なお、上記各実施形態では、筒状体を独立に設けた場合について説明したが、リアハウジングの内壁の一部を利用して筒状体とするものであってもよい。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の気体圧縮機によれば、油分離器を構成したフィルタ部材が高い圧力を受けた時には移動して、高圧の液体を直接吐出室へ逃がすようにできるので、フィルタ部材を変形や破損から守り、油分離器の性能を損なうことなく安定して運転継続ができる気体圧縮機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における気体圧縮機全体を示す正面断面図である。
【図2】同じくシリンダ内部を示す側面断面図である。
【図3】同じく油分離器の正面図である。
【図4】同じく油分離器を構成したデミスタの正面図である。
【図5】第1の実施形態の液圧縮運転時にデミスタが移動した状態を示す正面断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態における気体圧縮機全体を示す正面断面図である。
【図7】第2の実施形態の液圧縮運転時にデミスタが移動した状態を示す正面断面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態における気体圧縮機全体を示す正面断面図である。
【図9】第3の実施形態の液圧縮運転時にデミスタが移動した状態を示す正面断面図である。
【図10】従来の気体圧縮機全体を示す正面断面図である。
【図11】同じく従来の気体圧縮機の液圧縮運転時の正面断面図である。
【符号の説明】
1a フロントハウジング
1b リアハウジング
2 吸入口
3 吐出口
4 吸入室
5 シリンダ
5a シリンダ吐出孔
6 フロントサイドブロック
7 リアサイドブロック
7a 吐出通路
7c 通路入口
8 吐出室
9 油供給路
10 回転軸
11 ロータ
12 ベーン溝
15 ベーン
16 シリンダ圧縮室
17 シリンダ吐出空間
18 油溜まり部
20 電磁クラッチ
30 油分離器
31 筒状体
32 デミスタ
33 通路
34 軸
35 係止肩
36 捩りバネ
37 コイルバネ
38 透孔
47 コイルバネ
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車や建物などの空調に使用され、冷媒ガス等の気体を圧縮して吐出する気体圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車や建物などの空調に使用される気体圧縮機には、例えば図10に示すものが使用されている。この圧縮機を図に基づいて説明すると、内周が筒状のシリンダ5と、該シリンダ5の軸方向両端部にあるフロントサイドブロック6およびリアサイドブロック7とを備えている。上記シリンダ5内には、ロータ11が回転可能に配置され、該ロータ11に設けられたベーン溝にベーン15が出没自在に収容されている。上記シリンダ5と、フロントサイドブロック6と、リアサイドブロック7と、ロータ11と、ベーン15とで圧縮機本体が構成され、上記ロータ11とベーン15とシリンダ5とで仕切られてシリンダ圧縮室が形成されている。上記各部材はフロントハウジング1aおよびリアハウジング1bに内蔵されており、フロントハウジング1aは冷媒の吸入口2を有し、リアハウジング1bは吐出口3を有している。上記フロントハウジング1a内には、上記吸入口2に連通する吸入室4が設けられており、該吸入室4と上記シリンダ圧縮室とが連通している。また、リアハウジング1bの前方側に内蔵されたリアサイドブロック7と、リアハウジング1bの後方側とで形成される空間内には上記シリンダ圧縮室に連通する吐出室8が設けられており、該吐出室8は上記吐出口3に連通している。また、この吐出室8内において、リアサイドブロック7に筒状体31とデミスタ32とでなる油分離器30が設けられ、シリンダ圧縮室で圧縮された気体はリアサイドブロック7に形成された吐出通路7aから筒状体31内に導かれ、デミスタ32を通過して吐出室8へと放出されるようにしている。
【0003】
上記気体圧縮機では、ロータ11を回転させると上記シリンダ圧縮室の容積が変化し、上記吸入口2および吸入室4を通過して導入された冷媒がシリンダ圧縮室内で圧縮される。圧縮された冷媒は、シリンダ圧縮室から吐出され、リアサイドブロック7の吐出通路7aを通して油分離器30へと放出されて、デミスタ32で圧縮気体に含まれる潤滑油を分離する。分離された潤滑油は油溜まり部18に滴下滞留し、潤滑油が分離された圧縮気体は吐出室8へと吐出され、さらに吐出口3から吐出配管(図示しない)を通じて外部の空調システムに運ばれる。外部に吐出された冷媒は、システムを循環して気体圧縮機の吸入口2に戻り、再度シリンダ圧縮室で圧縮され、さらにシステム内に吐出される。この動作を繰り返すことにより継続して空調が行われる。また、油溜まり部18の油は、圧縮機内部での圧力差により油供給路9を通してシリンダ圧縮室の摺動部分に圧送して摩耗防止や油膜によるシールに供される。この際に一部の潤滑油が圧縮気体に取り込まれて圧縮気体とともに移動する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように従来の気体圧縮機では、圧縮機内部での圧力差を利用して油溜まり部18の潤滑油をシリンダ圧縮室の摺動部分に圧送しており、そして、この潤滑油の圧送は、運転を停止した後でも圧力差がある間、継続することが知られている。したがって、運転の再開時には、吸入室4などに溜まった多量の潤滑油がシリンダ圧縮室に吸い込まれて液圧縮されることとなり、この液圧縮時に、上記油分離器30のデミスタ32に、図11のように高圧の圧縮液体が噴射されて、デミスタ32が変形乃至破損し、油分離器30としての性能が損なわれる問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、液圧縮運転が行われても油分離器の性能が損なわれない気体圧縮機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明の気体圧縮機のうち請求項1記載の発明は、冷媒ガスを吸入、圧縮、吐出する圧縮機本体と、前記圧縮機本体から吐出された冷媒ガス中の油を分離する油分離器と、前記油分離器を通過した冷媒ガスと油を一時貯留する吐出室とを有し、前記油分離器は、前記吐出室内で空間形成する筒状体と、前記筒状体の下流側出口を塞ぐように設けられたフィルタ部材と、前記フィルタ部材の一部または全部を可動させることにより、前記筒状体の下流側出口を開放するフィルタ部材可動手段と、を備えることを特徴とする気体圧縮機。
【0007】
請求項2記載の気体圧縮機の発明は、請求項1記載の発明において、前記フィルタ部材可動手段は弾性部材を有し、該弾性部材が有する付勢力よりもフィルタ部材に加わる流体圧力の方が大きい場合に、前記フィルタ部材を可動させる構造であることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の気体圧縮機の発明は、請求項2記載の発明において、前記弾性部材は捩りコイルバネであり、前記フィルタ部材可動手段は該捩りコイルバネを捩ることで付勢力を与えられ、前記フィルタ部材を可動させる構造であることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の気体圧縮機の発明は、請求項2記載の発明において、前記弾性部材は圧縮コイルバネであり、前記フィルタ部材可動手段は該圧縮コイルバネを圧縮することで付勢力を与えられ、前記フィルタ部材を可動させる構造であることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の気体圧縮機の発明は、請求項2記載の発明において、前記弾性部材は引張りコイルバネであり、前記フィルタ部材可動手段は該引張りコイルバネを引張ることで付勢力を与えられ、前記フィルタ部材を可動させる構造であることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の気体圧縮機の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記圧縮機本体は、内周が筒状のシリンダと、該シリンダの軸方向両端部にあるサイドブロックと、前記シリンダ内に回転可能に配置されたロータと、前記ロータに半径方向に出没自在に設けられたベーンとを備えていることを特徴とする。
【0012】
このように構成される本発明によれば、フィルタ部材可動手段によってフィルタ部材の一部または全部が筒状体に対して移動して筒状体の下流側出口を開放することができる。これにより、気体冷媒を圧縮する通常の運転時等には、フィルタ部材を通して気体冷媒を吐出室に移動させ、必要に応じて筒状体内と吐出室とを直接連通させてフィルタ部材に掛かる圧力を上記開放によって逃がすことができる。好適にはフィルタ部材が強い圧力を受けた時に筒状体の下流側出口を開放して筒状体内と吐出室が直接連通するようにし、液圧縮時にフィルタ部材が受ける不具合を除くことができる。
【0013】
なお、本発明のフィルタ部材としては、金網や線材をランダムに配したデミスタが例示されるが、本発明としてはフィルタ部材がこれに限定されるものではなく、要は、圧縮気体を通過させて油を分離できるものであればよい。
【0014】
フィルタ部材可動手段は、フィルタ部材に掛かる圧力によってフィルタ部材を移動させるものが望ましく、例えば弾性部材とフィルタ部材の可動取り付け構造により構成することができる。フィルタ部材が上記弾性部材の付勢力より強い圧力を受けた時に下流側へ移動して筒状体内と吐出室とを直接連通させることができる。すなわち、フィルタ部材を付勢している弾性部材の弾力を液圧縮時の強い圧力を受けた時にフィルタ部材が移動するように設定することで、液圧縮時にフィルタ部材が受ける不具合を除くことができる。しかも、気体冷媒を圧縮する通常の運転時には、フィルタ部材本来の油分離の機能を発揮させることができる。
【0015】
油分離器を構成しているフィルタ部材を移動可能にする取り付け構造は、回動可能としても良く、また、筒状体の軸方向で移動可能としても良い。回動可能に取り付ける場合の弾性部材は、実施形態で説明するように、捩りコイルバネを用い、回動可能のフィルタ部材を回動付勢するようにすることができる。筒状体の軸方向で移動可能とした場合の弾性部材には、実施形態で説明するように、コイルバネを用いることができる。コイルバネは圧縮状態で設置してフィルタ部材を付勢しても良く、引張状態で設置してフィルタ部材を付勢しても良い。
【0016】
本発明の気体圧縮機は、冷媒ガスを吸入、圧縮、吐出する圧縮機本体と吐出室を備えている。これらの構成は本発明としては必須であるが、その具体的な構造、形状等は特に限定されるものではなく、上記構成を具備する種々の構造が対象となる。その他には、通常、吸入口、吸入室、吐出口を備えている。本発明の気体圧縮機として、代表的には、請求項6に記載するベーン式の圧縮機が挙げられる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の気体圧縮機の第1の実施形態を図1、2に基づいて説明する。なお、従来例と同一の構造については同一の符号を付している。
図1は気体圧縮機の全体構成を表したものである。該気体圧縮機は、吸入口2を有するフロントハウジング1aと、吐出口3を有するリアハウジング1bとを備えている。上記吸入口2には、外部から圧縮すべき冷媒ガスを吸引するべく吸入配管(図示しない)が接続され、吐出口3には、圧縮された冷媒をコンデンサ等(図示しない)に供給する吐出配管(図示しない)が接続される。
【0018】
上記フロントハウジング1a内部には吸入室4が形成され、この吸入室4に上記吸入口2が連通している。また、リアハウジング1b内には、軸方向と直交する縦断面において略楕円形状の内周面を有する筒状のシリンダ5が配置されており、該シリンダ5の軸方向両端面に互いに平行に固着されたフロントサイドブロック6(吸入口2側)およびリアサイドブロック7(吐出口3側)が配置されている。該フロントサイドブロック6には、上記吸入室4とシリンダ5内とを連通させるように図示しない連通路が形成されている。
【0019】
そしてシリンダ5の内部には、図2に示すように、ロータ軸10で支持された回転可能なロータ11が配設されている。なお、上記ロータ軸10は、気体圧縮機の前方側において、電磁クラッチ20に接続されており、電磁クラッチ20の動作により図示しない内燃機関の駆動力が伝達されるように構成されている。
【0020】
上記ロータ11には、複数のベーン溝12にそれぞれ摺動可能に嵌装されたベーン15が複数枚(図は5枚)放射状に保持されている。ロータ11が回転駆動されることで、ベーン15がその遠心力および背圧室13から供給される潤滑油の油圧によってベーン溝12内を進退してシリンダ5の内周壁に密着しながら回転するように構成されている。これらシリンダ5、ロータ11、ベーン15、フロントサイドブロック6、リアサイドブロック7を主要な構成として圧縮機本体が構成されており、シリンダ5内周面、ベーン15、ロータ11外周面およびフロントサイドブロック6後端面、リアサイドブロック7前端面によってシリンダ圧縮室16が形成されている。
【0021】
なお、シリンダ5の内周側には内外方向に沿って、該圧縮室16に一端が連通するシリンダ吐出孔5aが形成されており、該シリンダ吐出孔5aの他端側はリードバルブ14で開閉可能となっている。該シリンダ吐出孔5aの他端側にはシリンダ吐出空間17が設けられている。またリアサイドブロック7には、厚さ方向に沿って吐出通路7aが形成されており、該吐出通路7aの通路入口7cは、上記シリンダ吐出空間17に開口している。
【0022】
上記リアサイドブロック7とリアハウジング1aとで形成される空間は吐出室8とされ、該吐出室8に油分離器30が設置してある。油分離器30は、筒状体31と、フィルタ部材であるデミスタ32で構成されており、筒状体31が上記リアサイドブロック7に取り付けられて、筒状体31に形成した通路33とリアサイドブロック7に形成した上記吐出通路7aが連通させてある。シリンダ圧縮室16で圧縮された圧縮気体が吐出通路7a及び通路33を通して筒状体31の内側に放出されるようにされている。
【0023】
デミスタ32は、図3、4に示したように、方形の板状をしており、筒状体31の開口端を塞ぐように設けられ、一端縁(上端縁)を基部として軸34の回りで回動可能にされている。また、デミスタ32の他端縁(下端縁)を筒状体31の内壁に形成した係止肩35と対向させて、デミスタ32の反時計回りの方向(図1において)の回動が係止肩35で停止するようにしてある。そして、上記軸34に、弾性部材として捩りバネ36が装着され、該捩りバネ36の一端36が筒状体31の外壁に当接し、他端36bがデミスタ31の側縁に当接して、デミスタ32が反時計回りの方向に回動付勢されている。上記デミスタ32の可動取り付け構造(軸34、係止肩35)と捩りバネ36とによりフィルタ部材可動手段が構成されている。
【0024】
尚、上記デミスタ32は、図示の例では金網で構成されたものを示しているが、線材を面方向及び厚さ方向でランダムに配したフィルタとすることもできる。オイルミストを含んだ圧縮気体が通過する際に、粒子の大きい油分を気体から分離できるものであれば良いものである。
【0025】
上記吐出室8の下方は、油溜まり部18とされ、該油溜まり部18の油は、気体圧縮機内部の圧力差により油供給路9を通して送り出され、圧縮機内での摩耗防止や油膜によるシールに供される。
【0026】
次に、上記気体圧縮機の動作について説明する。
気体圧縮機の動作に際し、電磁クラッチ20を動作させ、図示しない内燃機関によりロータ軸10を回転駆動すると、ロータ軸10の回転に連れてロータ11が回転する。この回転による遠心力と背圧室13への潤滑油の供給によりベーン15に外周側への押出力が作用する。押出力が作用したベーン15は、図2に示すように外周側に移動してシリンダ5の内周壁およびフロントサイドブロック6、リアサイドブロック7の側壁に密着しながらロータ11とともに回転する。この回転によりシリンダ5内への吸引力が発生し、上記吸入口2を通して吸入配管から冷媒ガスを吸引する。冷媒ガスは、吸入室4内に吸引され、さらにシリンダ5内に吸引される。シリンダ5内では、シリンダ圧縮室16によって冷媒ガスが順次圧縮される。
【0027】
圧縮された冷媒ガスは、シリンダ圧縮室16からシリンダ吐出口5aへと送り出され、リードバルブ14が開かれてさらにリアサイドブロック7に形成された吐出空間17、吐出通路7a、及び筒状体31の通路33を通して筒状体31内に放出される。冷媒ガスは上記吸入から圧縮、放出に至る間に、気体圧縮機内部の潤滑油を巻き込んで、潤滑油を含有した状態で放出される。
筒状体31内に放出された冷媒ガスは、デミスタ32を通過して吐出室8へと移動して行く。冷媒ガス中に含まれる油粒子はデミスタ32を通過する際に大部分がデミスタ32で捕らえられ、気体成分と油分が分離される。分離された潤滑油は、デミスタ32から滴下して油溜まり部18に溜まり、気体成分は吐出口3側の空間に移動し、さらに吐出口3から吐出される。
【0028】
一方、運転再開時のように、シリンダ圧縮室16に多量の潤滑油が吸い込まれて液圧縮の運転が行われた時には、油分離器30のデミスタ32が図5のように時計回りの方向に回動する。すなわち、液圧縮によって圧縮された高圧の液体が筒状体31内に噴射されて、デミスタ32が受ける圧力が捩りバネ36の付勢力に打ち勝つようになると、デミスタ32が図示のように回動する。デミスタ32がこのように回動すると、デミスタ32の他端縁(下端縁)が筒状体31の開口端より外側に移動して筒状体31を開放し、筒状体31の内側と吐出室8を直接連通させる。この結果、筒状体31内に放出された高圧の液体を連通部分を通して吐出室8へ逃がし、デミスタ32を高圧液体の噴射による変形や破損から守ることができる。液圧縮の運転から通常の気体圧縮の運転に移行すると、デミスタ32は捩りバネ36の付勢力で図1の状態に復帰し、デミスタ32の油分離の機能を回復することができる。
【0029】
次に、デミスタ32の取り付け構造を変化させた第2の実施形態(図6、7)について説明する。
この実施形態では、デミスタ32が筒状体31の内側に軸方向で移動可能に設けられている。該デミスタ32の下流側には、弾性部材として圧縮状態でコイルバネ(圧縮コイルバネ)37が配置されており、該コイルバネ37の下流側端部は筒状体31の端部に固定され、該コイルバネ37の伸長方向の弾発力でデミスタ32が上流側に付勢されている。上記コイルバネ37と前記したデミスタ32の可動取り付け構造とによりフィルタ部材可動手段が構成されている。
【0030】
上記係止肩35で上流方向への移動が停止されているデミスタ32の下流側に隣接するようにして、筒状体31の下側壁31aには透孔38が形成されており、デミスタ32はこの透孔38を挟んで上流側と下流側の間を移動するようにされている。尚、この透孔38の形成位置は、必ずしも下側壁31aとしなくても良いものであるが、デミスタ32で捕らえた油分を油溜まり部18へ滴下させる点で、下側壁31aに設けるのが望ましい。下側壁31aに形成するのに加えて側壁に設けるようにすることもできる。
【0031】
油分離器30のデミスタ32の取り付け構造以外の部分は、第1の実施形態と同様に構成されているので、同一の部材には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0032】
上記第2の実施形態では、液圧縮の運転によってデミスタ32がコイルバネ37による付勢力に打ち勝つ圧力を受けると、デミスタ32が図7に示したように、筒状体31の軸方向に沿って下流側に移動し、透孔38はデミスタ32より上流側に位置するようになる。このようにデミスタ32が移動することによって、筒状体31の内側と吐出室8が透孔38を介して直接連通するようになり、筒状体31内に噴射された高圧の液体を透孔38を通して吐出室8へ逃がし、デミスタ32を高い圧力から守り、変形、破損を避けることができる。
また、液圧縮の運転から通常の気体圧縮の運転に移行してデミスタ32が受ける圧力が低下すると、デミスタ32はコイルバネ37の付勢力で係止肩35と係合する位置まで復帰し、透孔38を塞いで本来の油分離機能を発揮するようにできる。
【0033】
次に、さらにデミスタ32の取り付け構造を変化させた第3の実施形態(図8、9)について説明する。
この実施形態でも、デミスタ32が筒状体31の内側に、軸方向で移動可能に設けられている。該デミスタ32の上流側には、引張状態でコイルバネ(引張りコイルバネ)47が配置されており、該コイルバネ47の上流側端部は筒状体31に固定され、該コイルバネ47の収縮方向の弾発力でデミスタ32が上流側に付勢されている。上記コイルバネ47と前記したデミスタ32の可動取り付け構造とによりフィルタ部材可動手段が構成されている。
【0034】
この実施形態においても、上記係止肩35で上流方向への移動が停止されているデミスタ32の下流側に隣接するようにして、筒状体31の下側壁31aには透孔38が形成されており、デミスタ32はこの透孔38を挟んで上流側と下流側の間を移動するようにされている。
【0035】
デミスタ32への付勢手段が異なる以外の部分は、第2の実施形態と同様に構成されているので、同一の部材には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0036】
上記第3の実施形態でも、液圧縮の運転によってデミスタ32がコイルバネ37による付勢力に打ち勝つ圧力を受けると、該デミスタ32は図9に示したように、筒状体31の軸方向に沿って下流側に移動する。このデミスタ32の移動により、筒状体31の内側と吐出室8が透孔38を介して直接連通するようになる。上記動作により、筒状体31内に噴射された高圧の液体を透孔38を通して吐出室8へ逃がし、デミスタ32を高い圧力から守り、変形、破損を避けることができる。また、液圧縮の運転から通常の気体圧縮の運転に移行してデミスタ32が受ける圧力が低下すると、デミスタ32はコイルバネ47の付勢力で係止肩35と係合する位置まで復帰し、本来の油分離機能を発揮するようにできる。
【0037】
なお、上記各実施形態では、筒状体を独立に設けた場合について説明したが、リアハウジングの内壁の一部を利用して筒状体とするものであってもよい。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の気体圧縮機によれば、油分離器を構成したフィルタ部材が高い圧力を受けた時には移動して、高圧の液体を直接吐出室へ逃がすようにできるので、フィルタ部材を変形や破損から守り、油分離器の性能を損なうことなく安定して運転継続ができる気体圧縮機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における気体圧縮機全体を示す正面断面図である。
【図2】同じくシリンダ内部を示す側面断面図である。
【図3】同じく油分離器の正面図である。
【図4】同じく油分離器を構成したデミスタの正面図である。
【図5】第1の実施形態の液圧縮運転時にデミスタが移動した状態を示す正面断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態における気体圧縮機全体を示す正面断面図である。
【図7】第2の実施形態の液圧縮運転時にデミスタが移動した状態を示す正面断面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態における気体圧縮機全体を示す正面断面図である。
【図9】第3の実施形態の液圧縮運転時にデミスタが移動した状態を示す正面断面図である。
【図10】従来の気体圧縮機全体を示す正面断面図である。
【図11】同じく従来の気体圧縮機の液圧縮運転時の正面断面図である。
【符号の説明】
1a フロントハウジング
1b リアハウジング
2 吸入口
3 吐出口
4 吸入室
5 シリンダ
5a シリンダ吐出孔
6 フロントサイドブロック
7 リアサイドブロック
7a 吐出通路
7c 通路入口
8 吐出室
9 油供給路
10 回転軸
11 ロータ
12 ベーン溝
15 ベーン
16 シリンダ圧縮室
17 シリンダ吐出空間
18 油溜まり部
20 電磁クラッチ
30 油分離器
31 筒状体
32 デミスタ
33 通路
34 軸
35 係止肩
36 捩りバネ
37 コイルバネ
38 透孔
47 コイルバネ
Claims (6)
- 冷媒ガスを吸入、圧縮、吐出する圧縮機本体と、
前記圧縮機本体から吐出された冷媒ガス中の油を分離する油分離器と、
前記油分離器を通過した冷媒ガスと油を一時貯留する吐出室と、
を有し、
前記油分離器は、前記吐出室内で空間形成する筒状体と、
前記筒状体の下流側出口を塞ぐように設けられたフィルタ部材と、
前記フィルタ部材の一部または全部を可動させることにより、前記筒状体の下流側出口を開放するフィルタ部材可動手段と、
を備えることを特徴とする気体圧縮機。 - 前記フィルタ部材可動手段は弾性部材を有し、該弾性部材が有する付勢力よりもフィルタ部材に加わる流体圧力の方が大きい場合に、前記フィルタ部材を可動させる構造であることを特徴とする請求項1に記載の気体圧縮機。
- 前記弾性部材は捩りコイルバネであり、前記フィルタ部材可動手段は該捩りコイルバネを捩ることで付勢力を与えられ、前記フィルタ部材を可動させる構造であることを特徴とする請求項2に記載の気体圧縮機。
- 前記弾性部材は圧縮コイルバネであり、前記フィルタ部材可動手段は該圧縮コイルバネを圧縮することで付勢力を与えられ、前記フィルタ部材を可動させる構造であることを特徴とする請求項2に記載の気体圧縮機。
- 前記弾性部材は引張りコイルバネであり、前記フィルタ部材可動手段は該引張りコイルバネを引張ることで付勢力を与えられ、前記フィルタ部材を可動させる構造であることを特徴とする請求項2に記載の気体圧縮機。
- 前記圧縮機本体は、内周が筒状のシリンダと、該シリンダの軸方向両端部にあるサイドブロックと、前記シリンダ内に回転可能に配置されたロータと、前記ロータに半径方向に出没自在に設けられたベーンとを備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の気体圧縮機。
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2002
- 2002-07-12 JP JP2002204736A patent/JP2004044518A/ja active Pending
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
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