JP2004044410A - ガスタービン発電装置とその起動方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】故障しやすく大型で高価な燃料昇圧装置を用いることなく、約2.0ata前後の低圧の燃料ガスで安定して起動することができ、かつ起動時に過大な起動トルクを必要しないガスタービン発電装置とその起動方法を提供する。
【解決手段】発圧縮機1、燃焼器2及びタービン3からなるガスタービン4と、ガスタービンで駆動される電動機兼用発電機5とを備える。更に、低圧の燃料ガスを起動時にそのまま燃焼器に供給できかつ起動後に燃料ガスを昇圧可能な燃料昇圧装置12と、起動時に圧縮機による圧縮空気の一部を抽気するブリード弁14とを備え、起動時に圧縮機による圧縮空気の一部を抽気し、圧縮空気の圧力を所定の起動圧力まで低減する。
【選択図】 図1
【解決手段】発圧縮機1、燃焼器2及びタービン3からなるガスタービン4と、ガスタービンで駆動される電動機兼用発電機5とを備える。更に、低圧の燃料ガスを起動時にそのまま燃焼器に供給できかつ起動後に燃料ガスを昇圧可能な燃料昇圧装置12と、起動時に圧縮機による圧縮空気の一部を抽気するブリード弁14とを備え、起動時に圧縮機による圧縮空気の一部を抽気し、圧縮空気の圧力を所定の起動圧力まで低減する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスタービン発電装置とその起動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は従来のガスタービン発電装置の模式図である。このガスタービン発電装置は、圧縮機1、燃焼器2及びタービン3からなるガスタービン4と、ガスタービン4で駆動される電動機兼用発電機5と、燃料ガス(例えば都市ガス)を昇圧する燃料昇圧装置6(例えば電動機駆動のルーツブロア)とを備えている。
【0003】
このような燃料ガスを燃料とするガスタービン発電装置の起動は、従来以下のように行っている。
(1)まず、電動機兼用発電機5を起動用電動機として用い、圧縮機1及びこれに連結されたタービン3を低速で回転駆動する。この際、回転速度は定格回転より低い起動可能な速度に設定する。
(2)次に、燃焼器2に燃料ガスを供給し、着火する。この際、燃料ガスはほとんど昇圧せず、元圧(約2.0ata)前後に設定する。また発生する燃焼ガスはタービン3に供給し、回転出力を発させる。
(3)次いで、燃料ガス量を増加し、ガスタービン4が電動機兼用発電機5の動力なしに自立運転できるようになった後、電動機兼用発電機5を遮断し無負荷にする。なお、ガスタービンの回転数の上昇と共に圧力比も高まるため、これに合わせて燃料昇圧装置6で燃料ガスを昇圧する。
(4)次に、燃料ガス量を更に増加し、ガスタービンの回転数(回転速度)を上昇させ、定格回転に達した後、定格運転に切り替える。定格運転では、定格回転数で燃料ガス量を制御し、要求電力に応じた電力を発電機5で発電し外部に取り出す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のガスタービン発電装置において、燃料昇圧装置6(例えば電動機駆動のルーツブロア)は、故障しやすく、大型で高価である。そのため、ガスタービン発電システムの簡略化、低コスト化及び効率向上のために、これを省略し或いは安定性の高い機器に置き換えることが望まれていた。
【0005】
しかし、上述したように、従来のガスタービン発電装置では、起動時に自立運転可能な速度まで圧縮機1及びこれに連結されたタービン3を低速(起動回転数)で回転駆動する必要がある。小型化などにより効率が低下している場合、この起動回転数における圧力比は燃料ガスの元圧(約2.0ata)より高くなり(例えば、圧力比2.2程度)、燃料昇圧装置6が不可欠となる問題点があった。
【0006】
また、起動回転数における圧力比が高いため、起動時に電動機として用いる電動機兼用発電機5の起動トルクを十分大きくする必要があり、その分、電動機兼用発電機が大型・高価となる問題点があった。
【0007】
本発明はかかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、故障しやすく大型で高価な燃料昇圧装置を用いることなく、約2.0ata前後の低圧の燃料ガスで安定して起動することができ、かつ起動時に過大な起動トルクを必要とせず、これによりシステムの簡略化、低コスト化及び効率向上ができるガスタービン発電装置とその起動方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、圧縮機(1)、燃焼器(2)及びタービン(3)からなるガスタービン(4)と、ガスタービンで駆動される電動機兼用発電機(5)とを備えたガスタービン発電装置において、低圧の燃料ガスを起動時にそのまま燃焼器に供給できかつ起動後に燃料ガスを昇圧可能な燃料昇圧装置(12)と、起動時に圧縮機による圧縮空気の一部を抽気するブリード弁(14)とを備える、ことを特徴とするガスタービン発電装置が提供される。
【0009】
上記本発明の構成によれば、燃料昇圧装置(12)が低圧の燃料ガスを起動時にそのまま燃焼器に供給できるので、この状態でブリード弁(14)により圧縮機による圧縮空気の一部を抽気して、起動回転数における圧力比(すなわち燃焼器内圧力)を燃料ガスの圧力以下に下げ、故障しやすく大型で高価な燃料昇圧装置を用いることなく、約2.0ata前後の低圧の燃料ガスで安定して起動することができる。
【0010】
また、圧縮機出口の抽気によりガスタービンの所用動力が減少するので、起動時に過大な起動トルクを必要とせず、発電に必要十分な電動機兼用発電機(5)を用いることができる。
【0011】
従って、燃料昇圧装置(12)の簡略化と電動機兼用発電機(5)の小型化ができ、発電システムの簡略化、低コスト化及び効率向上ができる。
本発明の好ましい実施形態によれば、前記ガスタービン(4)の排気ガスで圧縮空気を加熱する再生熱交換器(15)と、ガスタービン(4)の排気ガスで加圧水蒸気を発生させる排熱回収ボイラ(16)とを備え、前記燃料昇圧装置(12)は、加圧水蒸気で低圧の燃料ガスを昇圧しかつ加圧水蒸気と燃料ガスを混合する燃料昇圧エゼクタ(12a)を有し、加圧水蒸気と燃料ガスの混合ガスを燃焼器(2)に供給する。
この構成により、起動後に再生熱交換器(15)で圧縮空気を加熱・昇温することにより、燃焼の安定性を高め、かつ燃焼ガス温度を高めて、タービン効率を向上させることができる。
【0012】
また、排熱回収ボイラ(16)で加圧水蒸気を発生させ、燃料昇圧エゼクタ(12a)で低圧の燃料ガスを昇圧しかつ加圧水蒸気と燃料ガスを混合して燃焼器(2)に供給することにより、熱効率を高めかつ発電出力を増大することができる。
前記燃料昇圧装置(12)は、その下流側に一体に連結された気液分離装置(12b)を有し、分離された液滴は燃料昇圧エゼクタ(12a)の低圧部にリサイクルされる。
この構成により、気液分離装置(12b)で液滴を除去して、液滴が燃焼器に供給されるのを防ぐことができる。これにより、蒸発時の潜熱によるガスタービンの効率低下を防ぎ、燃焼安定性への悪影響を回避し、失火を防止することができる。
【0013】
また、分離された液滴は燃料昇圧エゼクタ(12a)の低圧部にリサイクルされるので、最終的には蒸発して燃焼器に供給され、停止時にたまる水滴を除去するための蒸気・燃料パージといった操作が不要となり、燃料供給システムと制御を簡略化できる。
また、本発明によれば、電動機兼用発電機(5)を起動用電動機として用い、圧縮機(1)及びこれに連結されたタービン(3)を起動に適した起動回転数で回転駆動する電動機駆動ステップ(A)と、圧縮機による圧縮空気の一部を抽気し、圧縮空気の圧力を所定の起動圧力まで低減する圧縮空気抽気ステップ(B)と、燃焼器(2)に低圧の燃料ガスを供給して着火し、次いで、燃料ガス量を増加して、自立運転する着火・自立運転ステップ(C)と、を有することを特徴とするガスタービン発電装置の起動方法が提供される。
本発明の方法によれば、圧縮空気抽気ステップ(B)において、圧縮機による圧縮空気の一部を抽気し、圧縮空気の圧力を所定の起動圧力まで低減するので、ガスタービンの所用動力を減少し、起動時に過大な起動トルクを必要とせず、電動機兼用発電機(5)の負荷を低減できる。
【0014】
また、この状態で燃焼器(2)に低圧の燃料ガスを供給して着火するので、故障しやすく大型で高価な燃料昇圧装置を用いることなく、約2.0ata前後の低圧の燃料ガスで安定して起動することができる。
本発明の好ましい実施形態によれば、自立運転後にガスタービン(4)の排気ガスで加圧水蒸気を発生させ、加圧水蒸気で低圧の燃料ガスを昇圧しかつ加圧水蒸気と燃料ガスを混合し、混合ガスを燃焼器(2)に供給する出力増大ステップ(D)を有する。
この方法により、自立運転後にガスタービン(4)の排気ガスで加圧水蒸気を発生させ、加圧水蒸気で低圧の燃料ガスを昇圧しかつ加圧水蒸気と燃料ガスを混合し、混合ガスを燃焼器(2)に供給することにより、熱効率を高めかつ発電出力を増大することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
図1は、本発明によるガスタービン発電装置の全体構成図である。この図に示すように、本発明のガスタービン発電装置10は、圧縮機1、燃焼器2及びタービン3からなるガスタービン4と、ガスタービン4で駆動される電動機兼用発電機5とを備える。ガスタービン4は、圧縮機1とタービン3が機械的に連結された通常のガスタービンである。この連結は図のように同軸に直結されていてもよく、或いは減速機等を介して連結されてもよい。また、電動機兼用発電機5は、起動時に電動機として用いる発電機である。本発明においてこの電動機兼用発電機5は、発電に必要十分な出力のものであればよく、起動時の起動トルクを考慮して起動トルクを大きくする必要はない。
本発明のガスタービン発電装置10は、更に燃料昇圧装置12とブリード弁14を備える。図2は、図1の部分構成図である。
燃料昇圧装置12は、図2に示すように、燃料昇圧エゼクタ12aとその下流側に一体に連結された気液分離装置12bとからなる。
【0016】
燃料昇圧エゼクタ12aは、加圧水蒸気で低圧の燃料ガスを昇圧しかつ加圧水蒸気と燃料ガスを混合する機能を有する。また、この例で燃料ガスは燃料遮断弁11aと燃料制御弁11bを介して供給され、加圧水蒸気は、後述する排熱回収ボイラ16から蒸気遮断弁13aと蒸気制御弁13bを介して供給される。
燃料ガスは例えば都市ガスであり、約2.0ata前後の元圧で供給される。
蒸気遮断弁13aは、遠隔制御の開閉弁であり、これを閉じることにより、加圧水蒸気の供給を遮断し、燃料昇圧エゼクタ12aの内部を介して低圧の燃料ガスを起動時にそのまま燃焼器2に供給することができる。
【0017】
また、蒸気制御弁13bは遠隔制御の流量調節弁であり、加圧水蒸気の流量を可変調節して昇圧後の混合ガス(加圧水蒸気と燃料ガス)の圧力と流量を調整することができる。
気液分離装置12bは、燃料昇圧エゼクタ12aに一体に連結された例えばサイクロン分離器であり、内部に形成される回転渦により、液滴を外周部に移動させ、中央部から液滴を含まない加圧水蒸気と燃料ガスの混合ガスのみを図2の上方に送り、液滴は自重で下降し下端から燃料昇圧エゼクタ12aの低圧部にリサイクルされる。リサイクルされた液滴は、最終的には蒸発して混合ガスとして燃焼器2に供給される。
図1において、ブリード弁14は、圧縮機1による圧縮空気の一部を抽気するように構成されている。ブリード弁14は、遠隔制御の流量調節弁であり、本発明では、起動時に所定の流量を抽気するように制御される。
本発明のガスタービン発電装置10は、更にガスタービン4の排気ガスで圧縮空気を加熱する再生熱交換器15と、この下流側に設けられガスタービン4の排気ガスで加圧水蒸気を発生させる排熱回収ボイラ16とを備える。
再生熱交換器15は、隔壁式の熱交換器(例えば、シェルアンドチューブ型、プレートフィン型)であり、圧縮空気を加熱し昇温することにより、燃焼の安定性を高め、かつ燃焼ガス温度を高めて、タービン効率を向上させるようになっている。
排熱回収ボイラ16は、熱交換部16a、気水分離器(ドラム)16b及び給水ポンプ16cからなる。熱交換部16aは一種の熱交換器であり、内部を通過する排気ガスにより、給水ポンプ16cで供給される給水を間接加熱して蒸発させ、ドラム16bで気水分離して加圧水蒸気を形成する。加圧水蒸気はこの例では飽和蒸気であるが、過熱管を用いて過熱蒸気としてもよい。
【0018】
なお、加圧水蒸気は前述した蒸気遮断弁13aと蒸気制御弁13bを介して燃料昇圧装置12に供給される。
上述した本発明の構成によれば、燃料昇圧装置12が低圧の燃料ガスを起動時にそのまま燃焼器2に供給できるので、この状態でブリード弁14により圧縮機による圧縮空気の一部を抽気して、起動回転数における圧力比(すなわち燃焼器内圧力)を燃料ガスの圧力以下に下げ、故障しやすく大型で高価な燃料昇圧装置を用いることなく、約2.0ata前後の低圧の燃料ガスで安定して起動することができる。
【0019】
また、圧縮機出口の抽気によりガスタービンの所用動力が減少するので、起動時に過大な起動トルクを必要とせず、発電に必要十分な電動機兼用発電機5を用いることができる。
さらに、起動後に再生熱交換器15で圧縮空気を加熱・昇温することにより、燃焼の安定性を高め、かつ燃焼ガス温度を高めて、タービン効率を向上させることができる。
【0020】
また、排熱回収ボイラ16で加圧水蒸気を発生させ、燃料昇圧エゼクタ12aで低圧の燃料ガスを昇圧しかつ加圧水蒸気と燃料ガスを混合して燃焼器2に供給することにより、熱効率を高めかつ発電出力を増大することができる。
さらに、気液分離装置12bで液滴を除去して、液滴が燃焼器に供給されるのを防ぐことができ、蒸発時の潜熱によるガスタービンの効率低下を防ぎ、燃焼安定性への悪影響を回避し、失火を防止することができる。
【0021】
また、分離された液滴は燃料昇圧エゼクタ12aの低圧部にリサイクルされるので、最終的には蒸発して燃焼器に供給され、停止時にたまる水滴を除去するための蒸気・燃料パージといった操作が不要となり、燃料供給システムと制御を簡略化できる。
次に本発明の起動方法を説明する。図3は、本発明による起動方法を示すフロー図である。
【0022】
この図に示すように、本発明の起動方法は、電動機駆動ステップ(A)、圧縮空気抽気ステップ(B)、着火・自立運転ステップ(C)及び出力増大ステップ(D)を有する。
ガスタービン発電装置全体が停止している状態で、起動スタート信号が入力されると、上記(A)〜(D)の順で起動が開始される。
電動機駆動ステップ(A)では、電動機兼用発電機5を起動用電動機として用い、圧縮機1及びこれに連結されたタービン3を起動に適した起動回転数で回転駆動する。この回転駆動は着火・自立運転ステップ(C)が終了するまで継続する。
圧縮空気抽気ステップ(B)では、圧縮機による圧縮空気の一部を抽気し、圧縮空気の圧力を所定の起動圧力まで低減する。これにより、ガスタービンの所用動力を減少し、起動時に過大な起動トルクを必要とせず、電動機兼用発電機5の負荷を低減できる。この圧縮空気抽気ステップ(B)は、電動機駆動ステップ(A)と同時に開始するのがよい。
着火・自立運転ステップ(C)では、燃焼器2に低圧の燃料ガスを供給して着火し、次いで、燃料ガス量を増加して、自立運転する。この自立運転が安定した後、電動機兼用発電機5を遮断し無負荷にする。これにより、故障しやすく大型で高価な燃料昇圧装置を用いることなく、約2.0ata前後の低圧の燃料ガスで安定して起動することができる。
出力増大ステップ(D)では、自立運転後にガスタービン4の排気ガスで加圧水蒸気を発生させ、加圧水蒸気で低圧の燃料ガスを昇圧し、かつ加圧水蒸気と燃料ガスを混合し、混合ガスを燃焼器2に供給し、起動を完了する。これにより、熱効率を高めかつ発電出力を増大することができる。
起動を完了は、定格回転に達した後、定格運転(定常発電運転)に切り替える。定格運転では、定格回転数で燃料ガス量を制御し、要求電力に応じた電力を発電機5で発電し外部に取り出す。
【0023】
【実施例】
次に、本発明の実施例をシミュレーション結果に基づき説明する。
図4は、本発明の実施例を示す圧縮機の特性図である。この特性図は起動時における特性をタービン入口温度を変化させてシミュレーションしたものである。なおこのシミュレーションは、アイドル時の作動点が圧力比2.2と高い既存のガスタービンを用い、電動機兼用発電機5の無発電時のステータ損失、圧縮機出口とタービン入口間の差圧を一定として実施した。
図4において、横軸はタービン入口温度、縦軸は、圧力比、圧縮機流量、およびブリード流量(抽気流量)である。
【0024】
この図から、本発明による抽気の効果は大きく、圧力比を大幅に低減可能であることがわかった。
図5は、本発明の実施例を示すブリード比率と圧力比の関係図である。この図は、図4と同一にシミュレーション結果をブリード比率と圧力比の関係として整理したものである。この図において、横軸はブリード比率(抽気比率)、縦軸は圧力比と回転数、図中の数字はタービン入口温度である。
この図から、例えばタービン入口温度500℃の場合、抽気比率を約4%とすることにより、回転数を約4万rpmに保持したままで、圧力比を2.0以下にできることがわかる。なお、抽気をしない場合には、タービン入口温度445℃で既に圧力比は上限の2.2に達しており、タービン入口温度を高めればそれ以上となる。
【0025】
同様にタービン入口温度の上限である900℃の場合でも、抽気比率を約16%とすることにより、回転数を約3万rpmに保持したままで、圧力比を約1.5まで下げられることがわかる。
なお本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0026】
【発明の効果】
上述したように、本発明のガスタービン発電装置とその起動方法は、故障しやすく大型で高価な燃料昇圧装置を用いることなく、約2.0ata前後の低圧の燃料ガスで安定して起動することができ、かつ起動時に過大な起動トルクを必要とせず、これによりシステムの簡略化、低コスト化及び効率向上ができる、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるガスタービン発電装置の全体構成図である。
【図2】図1の部分構成図である。
【図3】本発明による起動方法を示すフロー図である。
【図4】本発明の実施例を示す圧縮機の特性図である。
【図5】本発明の実施例を示すブリード比率と圧力比の関係図である。
【図6】従来のガスタービン発電装置の模式図である。
【符号の説明】
1 圧縮機、2 燃焼器、3 タービン、
4 ガスタービン、5 発電機(電動機兼用発電機)、6 燃料昇圧装置、
10 ガスタービン発電装置、12 燃料昇圧装置、
12a 燃料昇圧エゼクタ、12b 気液分離装置、
14 ブリード弁、15 再生熱交換器、
16 排熱回収ボイラ、
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスタービン発電装置とその起動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は従来のガスタービン発電装置の模式図である。このガスタービン発電装置は、圧縮機1、燃焼器2及びタービン3からなるガスタービン4と、ガスタービン4で駆動される電動機兼用発電機5と、燃料ガス(例えば都市ガス)を昇圧する燃料昇圧装置6(例えば電動機駆動のルーツブロア)とを備えている。
【0003】
このような燃料ガスを燃料とするガスタービン発電装置の起動は、従来以下のように行っている。
(1)まず、電動機兼用発電機5を起動用電動機として用い、圧縮機1及びこれに連結されたタービン3を低速で回転駆動する。この際、回転速度は定格回転より低い起動可能な速度に設定する。
(2)次に、燃焼器2に燃料ガスを供給し、着火する。この際、燃料ガスはほとんど昇圧せず、元圧(約2.0ata)前後に設定する。また発生する燃焼ガスはタービン3に供給し、回転出力を発させる。
(3)次いで、燃料ガス量を増加し、ガスタービン4が電動機兼用発電機5の動力なしに自立運転できるようになった後、電動機兼用発電機5を遮断し無負荷にする。なお、ガスタービンの回転数の上昇と共に圧力比も高まるため、これに合わせて燃料昇圧装置6で燃料ガスを昇圧する。
(4)次に、燃料ガス量を更に増加し、ガスタービンの回転数(回転速度)を上昇させ、定格回転に達した後、定格運転に切り替える。定格運転では、定格回転数で燃料ガス量を制御し、要求電力に応じた電力を発電機5で発電し外部に取り出す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のガスタービン発電装置において、燃料昇圧装置6(例えば電動機駆動のルーツブロア)は、故障しやすく、大型で高価である。そのため、ガスタービン発電システムの簡略化、低コスト化及び効率向上のために、これを省略し或いは安定性の高い機器に置き換えることが望まれていた。
【0005】
しかし、上述したように、従来のガスタービン発電装置では、起動時に自立運転可能な速度まで圧縮機1及びこれに連結されたタービン3を低速(起動回転数)で回転駆動する必要がある。小型化などにより効率が低下している場合、この起動回転数における圧力比は燃料ガスの元圧(約2.0ata)より高くなり(例えば、圧力比2.2程度)、燃料昇圧装置6が不可欠となる問題点があった。
【0006】
また、起動回転数における圧力比が高いため、起動時に電動機として用いる電動機兼用発電機5の起動トルクを十分大きくする必要があり、その分、電動機兼用発電機が大型・高価となる問題点があった。
【0007】
本発明はかかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、故障しやすく大型で高価な燃料昇圧装置を用いることなく、約2.0ata前後の低圧の燃料ガスで安定して起動することができ、かつ起動時に過大な起動トルクを必要とせず、これによりシステムの簡略化、低コスト化及び効率向上ができるガスタービン発電装置とその起動方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、圧縮機(1)、燃焼器(2)及びタービン(3)からなるガスタービン(4)と、ガスタービンで駆動される電動機兼用発電機(5)とを備えたガスタービン発電装置において、低圧の燃料ガスを起動時にそのまま燃焼器に供給できかつ起動後に燃料ガスを昇圧可能な燃料昇圧装置(12)と、起動時に圧縮機による圧縮空気の一部を抽気するブリード弁(14)とを備える、ことを特徴とするガスタービン発電装置が提供される。
【0009】
上記本発明の構成によれば、燃料昇圧装置(12)が低圧の燃料ガスを起動時にそのまま燃焼器に供給できるので、この状態でブリード弁(14)により圧縮機による圧縮空気の一部を抽気して、起動回転数における圧力比(すなわち燃焼器内圧力)を燃料ガスの圧力以下に下げ、故障しやすく大型で高価な燃料昇圧装置を用いることなく、約2.0ata前後の低圧の燃料ガスで安定して起動することができる。
【0010】
また、圧縮機出口の抽気によりガスタービンの所用動力が減少するので、起動時に過大な起動トルクを必要とせず、発電に必要十分な電動機兼用発電機(5)を用いることができる。
【0011】
従って、燃料昇圧装置(12)の簡略化と電動機兼用発電機(5)の小型化ができ、発電システムの簡略化、低コスト化及び効率向上ができる。
本発明の好ましい実施形態によれば、前記ガスタービン(4)の排気ガスで圧縮空気を加熱する再生熱交換器(15)と、ガスタービン(4)の排気ガスで加圧水蒸気を発生させる排熱回収ボイラ(16)とを備え、前記燃料昇圧装置(12)は、加圧水蒸気で低圧の燃料ガスを昇圧しかつ加圧水蒸気と燃料ガスを混合する燃料昇圧エゼクタ(12a)を有し、加圧水蒸気と燃料ガスの混合ガスを燃焼器(2)に供給する。
この構成により、起動後に再生熱交換器(15)で圧縮空気を加熱・昇温することにより、燃焼の安定性を高め、かつ燃焼ガス温度を高めて、タービン効率を向上させることができる。
【0012】
また、排熱回収ボイラ(16)で加圧水蒸気を発生させ、燃料昇圧エゼクタ(12a)で低圧の燃料ガスを昇圧しかつ加圧水蒸気と燃料ガスを混合して燃焼器(2)に供給することにより、熱効率を高めかつ発電出力を増大することができる。
前記燃料昇圧装置(12)は、その下流側に一体に連結された気液分離装置(12b)を有し、分離された液滴は燃料昇圧エゼクタ(12a)の低圧部にリサイクルされる。
この構成により、気液分離装置(12b)で液滴を除去して、液滴が燃焼器に供給されるのを防ぐことができる。これにより、蒸発時の潜熱によるガスタービンの効率低下を防ぎ、燃焼安定性への悪影響を回避し、失火を防止することができる。
【0013】
また、分離された液滴は燃料昇圧エゼクタ(12a)の低圧部にリサイクルされるので、最終的には蒸発して燃焼器に供給され、停止時にたまる水滴を除去するための蒸気・燃料パージといった操作が不要となり、燃料供給システムと制御を簡略化できる。
また、本発明によれば、電動機兼用発電機(5)を起動用電動機として用い、圧縮機(1)及びこれに連結されたタービン(3)を起動に適した起動回転数で回転駆動する電動機駆動ステップ(A)と、圧縮機による圧縮空気の一部を抽気し、圧縮空気の圧力を所定の起動圧力まで低減する圧縮空気抽気ステップ(B)と、燃焼器(2)に低圧の燃料ガスを供給して着火し、次いで、燃料ガス量を増加して、自立運転する着火・自立運転ステップ(C)と、を有することを特徴とするガスタービン発電装置の起動方法が提供される。
本発明の方法によれば、圧縮空気抽気ステップ(B)において、圧縮機による圧縮空気の一部を抽気し、圧縮空気の圧力を所定の起動圧力まで低減するので、ガスタービンの所用動力を減少し、起動時に過大な起動トルクを必要とせず、電動機兼用発電機(5)の負荷を低減できる。
【0014】
また、この状態で燃焼器(2)に低圧の燃料ガスを供給して着火するので、故障しやすく大型で高価な燃料昇圧装置を用いることなく、約2.0ata前後の低圧の燃料ガスで安定して起動することができる。
本発明の好ましい実施形態によれば、自立運転後にガスタービン(4)の排気ガスで加圧水蒸気を発生させ、加圧水蒸気で低圧の燃料ガスを昇圧しかつ加圧水蒸気と燃料ガスを混合し、混合ガスを燃焼器(2)に供給する出力増大ステップ(D)を有する。
この方法により、自立運転後にガスタービン(4)の排気ガスで加圧水蒸気を発生させ、加圧水蒸気で低圧の燃料ガスを昇圧しかつ加圧水蒸気と燃料ガスを混合し、混合ガスを燃焼器(2)に供給することにより、熱効率を高めかつ発電出力を増大することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
図1は、本発明によるガスタービン発電装置の全体構成図である。この図に示すように、本発明のガスタービン発電装置10は、圧縮機1、燃焼器2及びタービン3からなるガスタービン4と、ガスタービン4で駆動される電動機兼用発電機5とを備える。ガスタービン4は、圧縮機1とタービン3が機械的に連結された通常のガスタービンである。この連結は図のように同軸に直結されていてもよく、或いは減速機等を介して連結されてもよい。また、電動機兼用発電機5は、起動時に電動機として用いる発電機である。本発明においてこの電動機兼用発電機5は、発電に必要十分な出力のものであればよく、起動時の起動トルクを考慮して起動トルクを大きくする必要はない。
本発明のガスタービン発電装置10は、更に燃料昇圧装置12とブリード弁14を備える。図2は、図1の部分構成図である。
燃料昇圧装置12は、図2に示すように、燃料昇圧エゼクタ12aとその下流側に一体に連結された気液分離装置12bとからなる。
【0016】
燃料昇圧エゼクタ12aは、加圧水蒸気で低圧の燃料ガスを昇圧しかつ加圧水蒸気と燃料ガスを混合する機能を有する。また、この例で燃料ガスは燃料遮断弁11aと燃料制御弁11bを介して供給され、加圧水蒸気は、後述する排熱回収ボイラ16から蒸気遮断弁13aと蒸気制御弁13bを介して供給される。
燃料ガスは例えば都市ガスであり、約2.0ata前後の元圧で供給される。
蒸気遮断弁13aは、遠隔制御の開閉弁であり、これを閉じることにより、加圧水蒸気の供給を遮断し、燃料昇圧エゼクタ12aの内部を介して低圧の燃料ガスを起動時にそのまま燃焼器2に供給することができる。
【0017】
また、蒸気制御弁13bは遠隔制御の流量調節弁であり、加圧水蒸気の流量を可変調節して昇圧後の混合ガス(加圧水蒸気と燃料ガス)の圧力と流量を調整することができる。
気液分離装置12bは、燃料昇圧エゼクタ12aに一体に連結された例えばサイクロン分離器であり、内部に形成される回転渦により、液滴を外周部に移動させ、中央部から液滴を含まない加圧水蒸気と燃料ガスの混合ガスのみを図2の上方に送り、液滴は自重で下降し下端から燃料昇圧エゼクタ12aの低圧部にリサイクルされる。リサイクルされた液滴は、最終的には蒸発して混合ガスとして燃焼器2に供給される。
図1において、ブリード弁14は、圧縮機1による圧縮空気の一部を抽気するように構成されている。ブリード弁14は、遠隔制御の流量調節弁であり、本発明では、起動時に所定の流量を抽気するように制御される。
本発明のガスタービン発電装置10は、更にガスタービン4の排気ガスで圧縮空気を加熱する再生熱交換器15と、この下流側に設けられガスタービン4の排気ガスで加圧水蒸気を発生させる排熱回収ボイラ16とを備える。
再生熱交換器15は、隔壁式の熱交換器(例えば、シェルアンドチューブ型、プレートフィン型)であり、圧縮空気を加熱し昇温することにより、燃焼の安定性を高め、かつ燃焼ガス温度を高めて、タービン効率を向上させるようになっている。
排熱回収ボイラ16は、熱交換部16a、気水分離器(ドラム)16b及び給水ポンプ16cからなる。熱交換部16aは一種の熱交換器であり、内部を通過する排気ガスにより、給水ポンプ16cで供給される給水を間接加熱して蒸発させ、ドラム16bで気水分離して加圧水蒸気を形成する。加圧水蒸気はこの例では飽和蒸気であるが、過熱管を用いて過熱蒸気としてもよい。
【0018】
なお、加圧水蒸気は前述した蒸気遮断弁13aと蒸気制御弁13bを介して燃料昇圧装置12に供給される。
上述した本発明の構成によれば、燃料昇圧装置12が低圧の燃料ガスを起動時にそのまま燃焼器2に供給できるので、この状態でブリード弁14により圧縮機による圧縮空気の一部を抽気して、起動回転数における圧力比(すなわち燃焼器内圧力)を燃料ガスの圧力以下に下げ、故障しやすく大型で高価な燃料昇圧装置を用いることなく、約2.0ata前後の低圧の燃料ガスで安定して起動することができる。
【0019】
また、圧縮機出口の抽気によりガスタービンの所用動力が減少するので、起動時に過大な起動トルクを必要とせず、発電に必要十分な電動機兼用発電機5を用いることができる。
さらに、起動後に再生熱交換器15で圧縮空気を加熱・昇温することにより、燃焼の安定性を高め、かつ燃焼ガス温度を高めて、タービン効率を向上させることができる。
【0020】
また、排熱回収ボイラ16で加圧水蒸気を発生させ、燃料昇圧エゼクタ12aで低圧の燃料ガスを昇圧しかつ加圧水蒸気と燃料ガスを混合して燃焼器2に供給することにより、熱効率を高めかつ発電出力を増大することができる。
さらに、気液分離装置12bで液滴を除去して、液滴が燃焼器に供給されるのを防ぐことができ、蒸発時の潜熱によるガスタービンの効率低下を防ぎ、燃焼安定性への悪影響を回避し、失火を防止することができる。
【0021】
また、分離された液滴は燃料昇圧エゼクタ12aの低圧部にリサイクルされるので、最終的には蒸発して燃焼器に供給され、停止時にたまる水滴を除去するための蒸気・燃料パージといった操作が不要となり、燃料供給システムと制御を簡略化できる。
次に本発明の起動方法を説明する。図3は、本発明による起動方法を示すフロー図である。
【0022】
この図に示すように、本発明の起動方法は、電動機駆動ステップ(A)、圧縮空気抽気ステップ(B)、着火・自立運転ステップ(C)及び出力増大ステップ(D)を有する。
ガスタービン発電装置全体が停止している状態で、起動スタート信号が入力されると、上記(A)〜(D)の順で起動が開始される。
電動機駆動ステップ(A)では、電動機兼用発電機5を起動用電動機として用い、圧縮機1及びこれに連結されたタービン3を起動に適した起動回転数で回転駆動する。この回転駆動は着火・自立運転ステップ(C)が終了するまで継続する。
圧縮空気抽気ステップ(B)では、圧縮機による圧縮空気の一部を抽気し、圧縮空気の圧力を所定の起動圧力まで低減する。これにより、ガスタービンの所用動力を減少し、起動時に過大な起動トルクを必要とせず、電動機兼用発電機5の負荷を低減できる。この圧縮空気抽気ステップ(B)は、電動機駆動ステップ(A)と同時に開始するのがよい。
着火・自立運転ステップ(C)では、燃焼器2に低圧の燃料ガスを供給して着火し、次いで、燃料ガス量を増加して、自立運転する。この自立運転が安定した後、電動機兼用発電機5を遮断し無負荷にする。これにより、故障しやすく大型で高価な燃料昇圧装置を用いることなく、約2.0ata前後の低圧の燃料ガスで安定して起動することができる。
出力増大ステップ(D)では、自立運転後にガスタービン4の排気ガスで加圧水蒸気を発生させ、加圧水蒸気で低圧の燃料ガスを昇圧し、かつ加圧水蒸気と燃料ガスを混合し、混合ガスを燃焼器2に供給し、起動を完了する。これにより、熱効率を高めかつ発電出力を増大することができる。
起動を完了は、定格回転に達した後、定格運転(定常発電運転)に切り替える。定格運転では、定格回転数で燃料ガス量を制御し、要求電力に応じた電力を発電機5で発電し外部に取り出す。
【0023】
【実施例】
次に、本発明の実施例をシミュレーション結果に基づき説明する。
図4は、本発明の実施例を示す圧縮機の特性図である。この特性図は起動時における特性をタービン入口温度を変化させてシミュレーションしたものである。なおこのシミュレーションは、アイドル時の作動点が圧力比2.2と高い既存のガスタービンを用い、電動機兼用発電機5の無発電時のステータ損失、圧縮機出口とタービン入口間の差圧を一定として実施した。
図4において、横軸はタービン入口温度、縦軸は、圧力比、圧縮機流量、およびブリード流量(抽気流量)である。
【0024】
この図から、本発明による抽気の効果は大きく、圧力比を大幅に低減可能であることがわかった。
図5は、本発明の実施例を示すブリード比率と圧力比の関係図である。この図は、図4と同一にシミュレーション結果をブリード比率と圧力比の関係として整理したものである。この図において、横軸はブリード比率(抽気比率)、縦軸は圧力比と回転数、図中の数字はタービン入口温度である。
この図から、例えばタービン入口温度500℃の場合、抽気比率を約4%とすることにより、回転数を約4万rpmに保持したままで、圧力比を2.0以下にできることがわかる。なお、抽気をしない場合には、タービン入口温度445℃で既に圧力比は上限の2.2に達しており、タービン入口温度を高めればそれ以上となる。
【0025】
同様にタービン入口温度の上限である900℃の場合でも、抽気比率を約16%とすることにより、回転数を約3万rpmに保持したままで、圧力比を約1.5まで下げられることがわかる。
なお本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0026】
【発明の効果】
上述したように、本発明のガスタービン発電装置とその起動方法は、故障しやすく大型で高価な燃料昇圧装置を用いることなく、約2.0ata前後の低圧の燃料ガスで安定して起動することができ、かつ起動時に過大な起動トルクを必要とせず、これによりシステムの簡略化、低コスト化及び効率向上ができる、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるガスタービン発電装置の全体構成図である。
【図2】図1の部分構成図である。
【図3】本発明による起動方法を示すフロー図である。
【図4】本発明の実施例を示す圧縮機の特性図である。
【図5】本発明の実施例を示すブリード比率と圧力比の関係図である。
【図6】従来のガスタービン発電装置の模式図である。
【符号の説明】
1 圧縮機、2 燃焼器、3 タービン、
4 ガスタービン、5 発電機(電動機兼用発電機)、6 燃料昇圧装置、
10 ガスタービン発電装置、12 燃料昇圧装置、
12a 燃料昇圧エゼクタ、12b 気液分離装置、
14 ブリード弁、15 再生熱交換器、
16 排熱回収ボイラ、
Claims (5)
- 圧縮機(1)、燃焼器(2)及びタービン(3)からなるガスタービン(4)と、ガスタービンで駆動される電動機兼用発電機(5)とを備えたガスタービン発電装置において、
低圧の燃料ガスを起動時にそのまま燃焼器に供給できかつ起動後に燃料ガスを昇圧可能な燃料昇圧装置(12)と、起動時に圧縮機による圧縮空気の一部を抽気するブリード弁(14)とを備える、ことを特徴とするガスタービン発電装置。 - 前記ガスタービン(4)の排気ガスで圧縮空気を加熱する再生熱交換器(15)と、ガスタービン(4)の排気ガスで加圧水蒸気を発生させる排熱回収ボイラ(16)とを備え、
前記燃料昇圧装置(12)は、加圧水蒸気で低圧の燃料ガスを昇圧しかつ加圧水蒸気と燃料ガスを混合する燃料昇圧エゼクタ(12a)を有し、加圧水蒸気と燃料ガスの混合ガスを燃焼器(2)に供給する、ことを特徴とする請求項1に記載のガスタービン発電装置。 - 前記燃料昇圧装置(12)は、その下流側に一体に連結された気液分離装置(12b)を有し、分離された液滴は燃料昇圧エゼクタ(12a)の低圧部にリサイクルされる、ことを特徴とする請求項2に記載のガスタービン発電装置。
- 電動機兼用発電機(5)を起動用電動機として用い、圧縮機(1)及びこれに連結されたタービン(3)を起動に適した起動回転数で回転駆動する電動機駆動ステップ(A)と、
圧縮機による圧縮空気の一部を抽気し、圧縮空気の圧力を所定の起動圧力まで低減する圧縮空気抽気ステップ(B)と、
燃焼器(2)に低圧の燃料ガスを供給して着火し、次いで、燃料ガス量を増加して、自立運転する着火・自立運転ステップ(C)と、を有することを特徴とするガスタービン発電装置の起動方法。 - 自立運転後にガスタービン(4)の排気ガスで加圧水蒸気を発生させ、加圧水蒸気で低圧の燃料ガスを昇圧しかつ加圧水蒸気と燃料ガスを混合し、混合ガスを燃焼器(2)に供給する出力増大ステップ(D)を有する、ことを特徴とする請求項4に記載のガスタービン発電装置の起動方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002199948A JP2004044410A (ja) | 2002-07-09 | 2002-07-09 | ガスタービン発電装置とその起動方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014074405A (ja) * | 2012-10-02 | 2014-04-24 | General Electric Co <Ge> | タービン排気プルーム緩和システム |
US9482210B2 (en) | 2012-03-22 | 2016-11-01 | Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. | Solar thermal power generation facility and method of starting up same |
-
2002
- 2002-07-09 JP JP2002199948A patent/JP2004044410A/ja active Pending
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