JP2004043694A - フィルム状接着剤並びにそれを用いた半導体装置の製造方法及び半導体装置 - Google Patents
フィルム状接着剤並びにそれを用いた半導体装置の製造方法及び半導体装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】半導体組立工程に際して、ダイアタッチフィルムとダイシングフィルムの機能を併せ持つフィルムをウエハーに常温もしくは温和な条件で貼付けを行うことの出来る耐リフロー、クラック性を有するダイアタッチフィルムを提供すること。
【解決手段】多数の半導体素子が形成されたウエハー裏面に熱可塑性ポリイミド樹脂、及び熱硬化性樹脂からなる260℃での貯蔵弾性率50MPa以上である接着剤を50℃以下の低温で貼付けし接着剤付きウェハーを得ることができるダイシングシート機能つきダイアタッチフィルム。
【解決手段】多数の半導体素子が形成されたウエハー裏面に熱可塑性ポリイミド樹脂、及び熱硬化性樹脂からなる260℃での貯蔵弾性率50MPa以上である接着剤を50℃以下の低温で貼付けし接着剤付きウェハーを得ることができるダイシングシート機能つきダイアタッチフィルム。
Description
【0001】
【発明に属する技術分野】
本発明は、フィルム状接着剤並びにそれを用いた半導体装置の製造方法及び半導体装置に関する。さらに詳しくは、シリコン、ガリウム、ヒ素などの半導体ウェハーを加工する際に使用するウェハー加工用のフィルム状接着剤並びにそれを用いた半導体装置の製造方法及び半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の高機能化とモバイル用途への拡大に対応して半導体装置の高密度化、高集積化の要求が強まり、ICパッケージの大容量高密度化が進んでいる。これらの半導体装置の製造方法としては、ケイ素、ガリウム、ヒ素などからなる半導体ウェハーに粘着シートを貼付し、ダイシングにより個々の半導体素子に切断分離した後、エキスパンディング、個片チップのピックアップを行い、次いで、半導体チップを金属リードフレームあるいはテープ基板または有機硬質基板にダイボンディングする半導体装置の組立工程へ移送される。
【0003】
ピックアップされた半導体チップは、ダイボンディング工程において、液状エポキシ接着剤などのダイアタッチ材を介してリードフレームあるいは基板に接着され、半導体装置が製造されている。
【0004】
しかしながら、モバイル用などチップが小さい場合、適量の接着剤を塗布することが困難であり、チップから接着剤がはみ出したり、大容量用途向けの大きいチップの場合には、反対に接着剤量が不足するなど十分な接着力を有することができないという問題点があった。また、接着剤の塗布工程は繁雑でもあり、プロセスを簡略化するためにも、改善・改良が要求されている。
【0005】
この問題の解決のため、液状ダイアタッチ材の代わりに、フィルム状接着剤をダイアタッチ材として使用することが提案され、一部では、既に使用されているが、半導体パッケージを実装する時の半田リフロー時に樹脂が柔らかくなり封止樹脂にクラックが発生する等の問題が発生していた。
【0006】
またフィルム状接着剤をウェハーに貼り付ける際加熱が必要でありウェハーの薄型化に伴いダイアタッチ材の貼り付け時にウェハーの反りや割れが生じるという問題が起きる。そのため低温での貼りつきも要求されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記のような従来技術を改善・改良するため、ダイアタッチフィルムとダイシングフィルムの機能を併せ持つフィルムをウェハーに常温もしくは温和な条件で貼付けを行うことの出来るダイアタッチフィルムを提供するための技術であり、耐チッピング特性、クラック特性に優れたダイシングシートとしての機能を有し、ダイマウント時には接着剤として使用することができ、しかも、厚みの均一性、接着強度、剪断強度特性に優れ、厳しい湿熱条件に耐える耐リフロー性に優れたダイアタッチフィルム並びにそれを用いた半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(1)熱可塑性ポリイミド樹脂および熱硬化性樹脂を含有してなるフィルム状接着剤であって、硬化後の260℃での貯蔵弾性率が50MPa以上であるフィルム状接着剤、
(2)さらにフィラーを含有してなる(1)記載のフィルム状接着剤、
(3)さらに紫外線硬化成分を含有してなる(1)又は(2)記載のフィルム状接着剤、
(4)多数の半導体素子が形成されたウエハー裏面に(1)〜(3)いずれか記載のフィルム状接着剤を50℃以下の低温で貼付けし接着剤付きウェハーを得ることができるフィルム状接着剤及び光透過性基材からなるダイシングシート機能つきダイアタッチフィルム、
(5)(A)請求項4記載のダイシングシート機能つきダイアタッチフィルムでシリコンウェハー裏面とを50℃以下で貼り合わせる工程、
(B)該シリコンウェハーをダイシングし個片ダイに切り離す工程、
(C)ダイシング後にダイアッタチフィルム面に紫外線を照射して接着剤層の光透過性基材との接触界面を硬化させる工程、
(D)接着剤層を紫外線硬化させた後、裏面に接着剤層を残存させたダイを光透過性基材から剥離し取り出すピックアップ工程、
(E)該ダイを、リードフレームまたは基板に、接着剤層を介して加熱接着する工程とを、含んでなる半導体装置の製造方法、
(6)(1)〜(3)いずれか記載のフィルム状接着剤半導体素子とリードフレーム又は基板とを接着してなる半導体装置、
である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、260℃での貯蔵弾性率が50MPa以上であるダイボンディング材であり熱可塑性ポリイミド樹脂および熱硬化性樹脂からなるフィルム状接着剤であることを特徴とする。
【0010】
また前記ポリイミド樹脂としては、芳香族テトラカルボン酸二無水物と、一般式(1)で表されるジアミノポリシロキサンと、芳香族もしくは脂肪族ジアミンとを反応させて得られる一般式(2)で表されるポリイミド樹脂が、より好ましい。
【0011】
【化1】
【0012】
【化2】
【0013】
(式(1)及び式(2)中、R1及びR2は炭素数1〜4で二価の脂肪族基もしくは芳香族基、R3,R4,R5及びR6は一価の脂肪族基もしくは芳香族基、R7及びR8は四価の脂肪族基もしくは芳香族基、R9は二価の脂肪族もしくは芳香族基を表し、m:nは5〜80:95〜20である。kは、1〜50の整数であり、式(1)、式(2)とも同じ整数を示す。)
【0014】
また、前記ジアミノポリシロキサンは、好ましくは、一般式(1)中のkとして、1〜9および/または10〜50の繰り返し単位を有するジアミノポリシロキサンである。
【0015】
本発明に用いる芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、3,3,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、エチレングリコールビストリトメット酸二無水物、4,4’−(4,4’−イソプロピデンジフェノキシ)フタル酸二無水物などが挙げられる。上記の芳香族テトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよく二種類以上組み合わせてもよい。
【0016】
本発明に用いる一般式(1)で表されるジアミノポリシロキサンとしては、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルシロキサンやα,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。中でも、一般式(1)において、kが1〜9及び/又は10〜50であることが好ましい。1〜9のものを用いれば密着性が向上し、10〜50のものを用いれば流動性が向上し、目的に応じて選択できるが、両者を併用すると、より好ましい。
【0017】
本発明に用いる芳香族もしくは脂肪族ジアミンとしては、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,6−ジメチル−m−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノメシチレン、4,4’−メチレンジ−o−トルイジン、4,4’−メチレンジアミン−2,6−キシリジン、4,4’−メチレン−2,6−ジエチルアニリン、2,4−トルエンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、3,3’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、3,3’−ジアミノジフェニルエ−テル、ベンジジン、3,3’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシベンジジン、ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p−β−アミノ−t−ブチルフェニル)エ−テル、ビス(p−β−メチル−δ−アミノペンチル)ベンゼン、p−ビス(2−メチル−4−アミノペンチル)ベンゼン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,4−ビス(β−アミノ−t−ブチル)トルエン、2,4−ジアミノトルエン、m−キシレン−2,5−ジアミン、p−キシレン−2,5−ジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2,6−ジアミノピリジン、2,5−ジアミノピリジン、2,5−ジアミノ−1,3,4−オキサジアゾ−ル、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス−4−(4−アミノフェノキシ)フェニルスルフォン、ビス−4−(3−アミノフェノキシ)フェニルスルフォンなどを挙げることができる。上記のジアミンは、単独で用いても良く、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
通常、ポリイミド樹脂を合成する際に、使用される溶剤は、N−メチルピロリドンのような、非常に沸点の高い溶剤であるため、従来、半導体装置の製造で使用することは困難である。しかし、本発明で用いるポリイミド樹脂の溶媒として、アニソールなど低沸点溶媒を用いることで、フィルム加工時の乾燥温度を低く設定できる。
【0019】
本発明において、一般式(2)で表されるポリイミド樹脂のように、シリコーン変性されたポリイミド樹脂が、より好ましいが、アニソールなど低沸点溶媒に可溶であることが、更に好ましく、シリコーン変性の割合としては、溶媒への溶解性やフィルム特性から、一般式(2)におけるmとnの割合が、5〜80:95〜20であることが好ましい。
【0020】
本発明に用いる熱硬化性樹脂は、紫外線照射により硬化しないが、加熱により熱硬化反応が進行し、三次元網目状化し、被着体である金属リードフレーム及びテープまたは有機硬質基板を強固に接着する。
【0021】
このような熱硬化性樹脂としては、一般的に、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂と、それぞれに対して適当な硬化促進剤とから形成されている。このような熱硬化型接着成分は、種々知られていおり、本発明では、特に制限されることなく、周知の種々の熱硬化型接着成分を用いることができる。この様な接着成分として、例えば、エポキシ樹脂(B−1)と熱活性型潜在性エポキシ樹脂硬化剤(B−2)との樹脂組成物を挙げることができる。
【0022】
エポキシ樹脂(B−1)としては、周知の種々のエポキシ樹脂が用いられるが、通常は、分子量300〜2000程度のものが好ましく、特に好ましくは、分子量300〜800の常温液状のエポキシ樹脂と、分子量400〜2000、好ましくは500〜1500の常温固体のエポキシ樹脂とをブレンドした形で用いるのが望ましい。
また、本発明に、特にこのましく使用されるエポキシ樹脂のエポキシ当量は、通常50〜8000g/eqである。
【0023】
このようなエポキシ樹脂としては、具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂などを挙げることができる。これらは、1種単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
上記の中でも、ビスフェノール型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂及びフェノールノボラック型エポキシ樹脂が特に好ましい。
【0024】
本発明において、熱活性型潜在性エポキシ樹脂硬化剤(B−2)とは、室温ではエポキシ樹脂と反応せず、ある温度以上の加熱により活性化し、エポキシ樹脂と反応するタイプの硬化剤である。
【0025】
熱活性型潜在性エポキシ樹脂硬化剤(B−2)の活性化方法には、加熱による化学反応で活性種(アニオンまたはカチオン)を生成する方法と、室温付近ではエポキシ樹脂と相溶、溶解し硬化反応を開始する方法と、モレキュラーシーブ封入するタイプの硬化剤で、高温で溶出して、硬化反応を開始する方法と、マイクロカプセルによる方法などが存在する。
【0026】
熱活性型潜在性エポキシ樹脂硬化剤としては、ジシアンジアミド、イミダゾール化合物や、これらの混合物が好ましく、2−メチルイミダゾールとイソシアネートとの付加物であっても良い。これらは、単独で、又は2種以上で用いても良い。
【0027】
本発明に用いる熱硬化型接着成分において、上記の熱活性型潜在性エポキシ樹脂硬化剤(B−2)は、エポキシ樹脂(B−1)100重量部に対して、通常1〜20重量部が好ましく、5〜15重量部の割合が、特に好ましく用いられる。1重量部未満であると樹脂硬化剤の効果が少なく20重量部を超えると反応性が高くなり保存性が悪くなる。
【0028】
本発明に用いるフィラーとして平均粒径は0.1〜25μmであることが好ましい。平均粒径が0.1μm未満であるとフィラー添加の効果が少なく、25μmを超えるとフィルムとしての接着力の低下をもたらす可能性がある。
【0029】
本発明の接着剤層に用いるフィラーとしては、銀、酸化チタン、シリカ、マイカ等が好ましい。
【0030】
フィラーの含有量は0%〜50重量%が好ましく、フィラーを添加することで貯蔵弾性率の上昇が期待できるが50%を超えるとフィルムとしてもろくなり接着性が低下する。
【0031】
本発明に用いる紫外線硬化成分としては、アクリル系化合物(A−1)が好ましく、例えば、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステルモノマーやアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体の共重合体などが挙げられる。
【0032】
アクリル酸またはメタクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル等のアルキルエステル、ベンジルエステル、シクロアルキルエステル、ジアクリル酸エチレングリコール、ジメタクリ酸エチレングリコール、ジアクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジメタクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジアクリル酸グリセリン、ジメタクリル酸グリセリン、ジアクリル酸1,10−デカンジオール、ジメタクリル酸1,10−デカンジオール等の2官能アクリレート、トリアクリル酸トリメチロールプロパン、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、トリアクリ酸ペンタエリスリトール、トリメタクリ酸ペンタエリスリトール、ヘキサアクリル酸ジペンタエリスリトール、ヘキサメタクリル酸ジペンタエリスリトール等の多官能アクリレートなどが挙げられる。これらの内、アルキルエステルが好ましく、特に好ましくはエステル部位の炭素数が1〜15のアクリル酸、メタクリル酸アルキルエステルである。
【0033】
本発明に用いるモノマー以外のアクリル系化合物(A−1)の分子量は、好ましくは8万以上であり、特に好ましくは15万〜50万である。また、アクリル系化合物のガラス転移温度は、通常30℃以下、好ましくは−50〜0℃程度であり、室温近辺の温度領域で粘着性を示す化合物が良い。
【0034】
本発明に用いるアクリル酸又はメタクリル酸誘導体を構成単位とする共重合体としては、少なくとも1種類のアクリル酸またはメタクリル酸アルキルエステルと、ビスフェノールA型(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体が好ましい。また、2官能ジ(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸グリシジルとの組み合わせも好ましい。
【0035】
熱可塑性ポリイミド樹脂100重量部に対して、アクリル酸またはメタクリル酸エステルから誘導される成分単位の含有量は、通常20〜55モル%、好ましくは30〜40モル%である。またアクリル酸およびメタクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられる。20モル%未満であると粘着力に乏しくなり55モル%を超えると保護フィルムとの密着力が必要以上となる。
【0036】
また、分子内にヒドロキシ基などの水酸基を有する紫外線硬化型樹脂のアクリル酸又はメタクリル酸エステルを導入することで被着体との密着性や粘接着剤の特性を容易に制御することができる。
【0037】
紫外線硬化粘着成分には、更に、光重合開始剤(A−2)を混在させることにより、紫外線照射時の硬化時間および光線照射量を減らすことができる。また、基材から剥離し、ダイアタッチフィルムとして使用するためにも、重要な成分である。
【0038】
このような光重合開始剤(A−2)としては、具体的にはベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾインメチルエーテル、ベンジルフィニルサルファイド、ベンジル、ジベンジル、ジアセチルなどが挙げられる。
【0039】
本発明で用いられる紫外線硬化成分は、好ましくは上記成分(A−1)〜(A−2)からなり、それらの配合比は各成分の特性に応じて、適宜に設定されるが、一般的には成分(A−1)100重量部に対して、成分(A−2)は好ましくは3〜30重量部、より好ましくは5〜15重量部程度で用いることが好ましい。3重量部未満であると光開始剤の効果が弱く30重量部を超えると反応性が高くなり保存性が悪くなる。
【0040】
本発明は粘接着層、光透過性基材からなるダイシング機能付きダイアタッチフィルムであり、粘接着層は25℃においてもタック性を有し50℃以下の低温でウエハーを貼り付けることを特徴とする。
【0041】
本発明に用いられる光透過性基材の膜厚は、20〜200μmであることが好ましく、特に好ましくは25〜150μmである。
【0042】
本発明に用いる光透過性基材としては、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、等があげられるが、30〜70重量部、好ましくは40〜60重量部のポリプロピレン樹脂と70〜30重量部、好ましくは60〜40重量部のポリスチレンブロックとビニルイソプレンブロックからなる共重合体との混合物であることが好ましい。
【0043】
本発明において、粘接着層に用いる粘接着剤は、未硬化時に十分な粘接着性を有し、370nm以下の紫外線を照射することにより硬化する成分を含み、紫外線照射され硬化した粘接着層と被接着物との界面において粘着性を持たなくなるという特徴を有することが好ましい。
【0044】
粘接着層は370nm以下の紫外光の吸収率が60%以上であることが好ましく、紫外光照射された面のみ硬化が進行する。吸収率は、より好ましくは70%以上であり、更に好ましくは80%以上である。
【0045】
本発明に用いる粘接着剤としては、ポリイミド樹脂を含んでいるが、イミド環を有することにより、より紫外光の吸収が促進され、紫外光の吸収率を前記数値以上とすることができ、紫外光照射面で光が吸収される。
【0046】
本発明に用いる粘接着剤は、熱可塑性ポリイミド樹脂100重量部に対して、紫外線硬化型粘着成分を好ましくは20〜80重量部、特に好ましくは30〜60重量部添加し、熱硬化型接着成分を好ましくは20〜80重量部、特に好ましくは30〜50重量部添加して、粘着性、接着性及び耐熱性を発現させることができる。
【0047】
本発明のダイシングシート機能つきダイアタッチフィルムの製造方法としては、先ず離型シート上に、上記成分からなる粘接着剤樹脂組成物をワニス状で、コンマコーター、ダイコーター、グラビアコーターなど、一般に周知の方法に従って、塗工し、乾燥させて粘接着剤層を形成する。その後離型シートを除去することによって粘接着剤フィルムとし、これに光透過性基材に積層し、更に接着剤フィルムに保護フィルムを積層して保護フィルム、粘接着層、及び光透過性基材からなるダイシングシート機能つきダイアタッチフィルムを得ることができる。
又は、離型シート上に形成された粘接着剤層に、光透過性基材に積層して、保護フィルム(離型シート)、粘接着層、及び光透過性基材からなるダイシングシート機能つきダイアタッチフィルムを得ることができる。
【0048】
または、光透過性基材上に、直接、粘接着剤組成物を同様の方法で塗工し、乾燥させて、接着剤フィルムに保護フィルムを積層して保護フィルム、粘接着層、及び光透過性基材からなるダイシングシート機能つきダイアタッチフィルムに得ることができる。
【0049】
このようにして形成される粘接着層の厚さは、好ましくは3〜100μmで、10〜75μmであることがより好ましい。厚さが3μm未満であると粘接着剤としての効果が少なくなり、100μmを超えると製品の作成上難しく厚み精度が悪くなる。
【0050】
本発明の半導体装置の製造方法は、まず、シリコンウエハーの裏面に本発明のダイシングシート機能つきダイアタッチフィルムの粘接着層を室温あるいは温和な条件で貼付した後、ダイアタッチフィルム付きシリコンウエハーを、ダイアタッチフィルムをダイシングフィルムとして介してダイシング装置上に固定し、ダイシングソーなどの切断手段を用いて、上記のダイアタッチフィルム付きシリコンウエハーを、個片単位に切断して個片ダイとした半導体チップを得る。
【0051】
続いて、上記のようにして得られた半導体チップに貼付したダイアタッチフィルムの光透過性基材面に、紫外線(中心波長=約365nm)を照射する。通常、照度は20〜500mJ/cm2、さらに照射時間は、5〜600秒の範囲内に設定される。上記の紫外線照射の場合準じて諸条件を設定することができる。次いで、ダイアタッチフィルムを半導体チップの裏面に固着残存させたままで、光透過性基材のみを剥離する。
【0052】
このようにして、ダイアタッチフィルムの粘接着層が固着されている半導体チップを、そのまま金属リードフレームや基板に、粘接着層を介して、加熱・圧着することで、ダイボンディングすることができる。加熱・圧着の条件として、通常は、100〜300℃の加熱温度、1〜10秒の圧着時間であり、好ましくは100〜200℃の加熱、1〜5秒の圧着時間である。つづいて、ダイアタッチフィルムに熱硬化型接着成分を含む場合、後処理として、更に加熱にすることにより、ダイアタッチフィルム中の熱硬化型接着成分を硬化させ、半導体チップとリードフレームや基板等とを、強固に接着させた半導体装置を得ることができる。この場合の加熱温度は、通常は100〜300℃程度、好ましくは150〜250℃程度であり、加熱時間は通常は1〜240分間、好ましくは10〜60分間である。
【0053】
最終的に硬化したダイアタッチフィルムは、高い耐熱性を有するとともに、該ダイアタッチフィルム中に含まれる熱硬化に関与しないイミド環を有する樹脂成分、例えば、耐熱性の高いポリイミド樹脂の硬化物は、脆質性が低く、優れた剪断強度と高い耐衝撃性、耐熱性を有する。
【0054】
半導体チップを基板にマウント後、半導体用封止樹脂でモールドし半導体装置とする。その後、半導体パッケージを実装する時の半田リフロー時にフィルム状接着剤が柔らかくなり封止樹脂にクラックが発生する場合がある。このため、フィルム状接着剤の硬化後の260℃での貯蔵弾性率は、50MPa以上であることが必要である。50MPa未満では、封止樹脂にクラックが発生しやすくなる。
【0055】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0056】
(A)紫外線硬化型粘着成分
〔(A−1)(メタ)アクリル酸エステルモノマー〕1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート(メーカー:共栄社化学(株))
〔(A−2)光重合開始剤〕2,2−ジメトキシキ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(メーカー:チバガイギ(株))
【0057】
(B)熱硬化型接着成分
〔(B−1)エポキシ樹脂〕
(B−1−1)クレゾールノボラックエポキシ樹脂(商品名:EOCN−1020−80、エポキシ当量:200g/eq、メーカー:日本化薬(株))
〔(B−2)熱活性型潜在性エポキシ樹脂硬化剤〕
(B−2−1)イミダゾール化合物(商品名:1B2MZ、メーカー:四国化成)
【0058】
(C)イミド基を含む樹脂成分
(C−1)シリコーン変性ポリイミド樹脂、詳しくは、ジアミン成分として、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(0.15モル)とα,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(平均分子量837)(0.15モル)に対して、酸成分に4,4’−オキシジフタル酸二無水物(0.30モル)を用いたアニソールに可溶なポリイミド樹脂を得た。分子量はMw=60000である。
(C−2)シリコーン変性ポリイミド樹脂、詳しくは、ジアミン成分として2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(0.15モル)とα,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(平均分子量837)(0.15モル)に対して、酸成分に3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(0.30モル)を用いたアニソールに可溶なポリイミド樹脂を得た。分子量はMw=50000である。
(C−3)シリコーン変性ポリイミド樹脂、詳しくは、ジアミン成分として1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(0.15モル)とα,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(平均分子量837)(0.15モル)に対して酸成分に4,4’−オキシジフタル酸二無水物(0.30モル)を用いたアニソールに可溶なポリイミド樹脂を得た。分子量はMw=60000である。
【0059】
(D)フィラー
(D−1)シリカフィラーSP−4B(平均粒径4μm)(メーカー:扶桑化学(株) )
【0060】
光透過性基材
ハイブラ60重量部ポリプロピレン40重量部からなるクリアテックCT−H817(クラレ製)を、押し出し機で、厚み100μmのフィルムを形成した。
【0061】
《実施例1》
表1に記載の割合で各成分を調合し、粘接着剤組成物を得た。この粘接着剤組成物を、ポリエチレンテレフタレート基材100μmに塗布し、乾燥し粘接着剤フィルムを得た。この粘接着剤フィルムに、光透過性基材を合わせてラミネートすることで保護フィルム(ポリエチレンテレフタレート基材)、粘接着層、及び光透過性基材からなるダイシングシート機能つきダイアタッチフィルムを作製した。
このダイアタッチフィルムの保護フィルムを剥離した後、粘接着層面に半導体ウエハーを貼り付け、固定保持しダイシングソーを用いて、スピンドル回転数50,000rpm、カッティングスピード50mm/secで、5×5mm角のチップサイズにカットした。次いで、紫外線を20秒で250mJ/cm2の積算光量を照射後ダイアタッチフィルムの残着した半導体チップから、光透過性基材を剥離し、次いで、半導体チップを粘接着層を介して、42−アロイ合金のリードフレームに、180℃−1MPa−1.0secの条件で圧着して、ダイボンディングし、ダイシングシート及びダイアタッチフィルムとしての各項目の評価を行った。結果を表2、3に示す。
【0062】
《実施例2》
粘接着剤成分の配合割合を表1のように変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。
【0063】
《比較例1》
粘接着剤成分の配合割合を、表1のように変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
実施例および比較例の評価は、以下の評価方法を用いた。
(1)260℃での貯蔵弾性率
セイコーインスツルメント社製動的粘弾性装置を用い、フィルム状接着剤を180℃1時間で処理を行い昇温速度3℃/min、周波数10Hzで動的粘弾性を測定し260℃での貯蔵弾性率を測定した。
(2)接着層剥離率
ウエハー裏面にダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムを25℃で貼り付けダイシング後紫外線照射し、ダイアタッチフィルム付き半導体チップを光透過性基材からピックアップしリードフレームに温度180℃−1MPa−1sでマウントし住友ベークライト株式会社製封止材でモールドし半導体装置とした。封止後のサンプルを85℃/85%Rhの恒温恒湿器中で168時間処理した後IRリフロー炉で240℃で処理した。その後断面を顕微鏡で観察し接着剤層の剥離率とリフロークラックの発生率の評価を行った。
(3) ダイシング後のチップの飛散
半導体ウェハーをダイシングした後に、粘着が弱いためにダイアタッチフィルム上から剥離する半導体チップの個数を計測することにより評価した。(3)チッピング特性
○:チップのかけの幅が最大で30μm以下のもの。
△:チップのかけの幅が最大で30〜50μmのもの。
×:チップのかけの幅が最大で50μm以上のもの。
(4) ピックアップ性
半導体ウェハーのダイシング後に紫外線照射し、ダイアタッチフィルム付き半導体チップを光透過性基材から取り上げること(ピックアップ)ができるかを評価した。
○:ほぼ全てのチップがピックアップ可能なもの
△:ダイシングしたチップの50〜90%がピックアップ可能なもの
×:ピックアップが50%以下のもの
(5) ダイアタッチフィルムとしての初期接着性
ダイアタッチフィルム付き半導体チップを42−アロイ合金のリードフレームに180℃−1MPa−1.0secの条件でダイボンディングし、そのまま未処理の状態でチップとリードフレームとの剪断強度を測定し評価した。
(6) 吸湿後の接着性
上記(2)でダイボンディングした測定サンプルを85℃/85%RH/168時間吸湿処理をした後、チップとリードフレームとの剪断強度を測定し評価した。
○:剪断強度が1MPa以上
△:剪断強度が0.5〜1.0MPa
×:剪断強度が0.5MPa未満
(7)UV吸収率
UV吸収率の測定方法は、紫外光吸収率として、200nmから375nmの紫外光を粘接着層にあて、吸光度計により、その吸収率を測定した。
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば、ウエハーを温和な条件で貼付を行いダイシング時にはダイシングフィルムとして耐チッピング特性、クラック特性に優れたダイシングシートとしての機能を有し、ダイマウント時には接着剤として使用することができ、しかも、厚みの均一性、接着強度、剪断強度特性に優れ、厳しい湿熱条件に耐えるフィルム状接着剤を提供できる。また、これを用いた半導体装置は、これまでの液状エポキシ系のダイアタッチ材と同等または、それ以上の耐衝撃性、耐熱性を有する。
【発明に属する技術分野】
本発明は、フィルム状接着剤並びにそれを用いた半導体装置の製造方法及び半導体装置に関する。さらに詳しくは、シリコン、ガリウム、ヒ素などの半導体ウェハーを加工する際に使用するウェハー加工用のフィルム状接着剤並びにそれを用いた半導体装置の製造方法及び半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の高機能化とモバイル用途への拡大に対応して半導体装置の高密度化、高集積化の要求が強まり、ICパッケージの大容量高密度化が進んでいる。これらの半導体装置の製造方法としては、ケイ素、ガリウム、ヒ素などからなる半導体ウェハーに粘着シートを貼付し、ダイシングにより個々の半導体素子に切断分離した後、エキスパンディング、個片チップのピックアップを行い、次いで、半導体チップを金属リードフレームあるいはテープ基板または有機硬質基板にダイボンディングする半導体装置の組立工程へ移送される。
【0003】
ピックアップされた半導体チップは、ダイボンディング工程において、液状エポキシ接着剤などのダイアタッチ材を介してリードフレームあるいは基板に接着され、半導体装置が製造されている。
【0004】
しかしながら、モバイル用などチップが小さい場合、適量の接着剤を塗布することが困難であり、チップから接着剤がはみ出したり、大容量用途向けの大きいチップの場合には、反対に接着剤量が不足するなど十分な接着力を有することができないという問題点があった。また、接着剤の塗布工程は繁雑でもあり、プロセスを簡略化するためにも、改善・改良が要求されている。
【0005】
この問題の解決のため、液状ダイアタッチ材の代わりに、フィルム状接着剤をダイアタッチ材として使用することが提案され、一部では、既に使用されているが、半導体パッケージを実装する時の半田リフロー時に樹脂が柔らかくなり封止樹脂にクラックが発生する等の問題が発生していた。
【0006】
またフィルム状接着剤をウェハーに貼り付ける際加熱が必要でありウェハーの薄型化に伴いダイアタッチ材の貼り付け時にウェハーの反りや割れが生じるという問題が起きる。そのため低温での貼りつきも要求されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記のような従来技術を改善・改良するため、ダイアタッチフィルムとダイシングフィルムの機能を併せ持つフィルムをウェハーに常温もしくは温和な条件で貼付けを行うことの出来るダイアタッチフィルムを提供するための技術であり、耐チッピング特性、クラック特性に優れたダイシングシートとしての機能を有し、ダイマウント時には接着剤として使用することができ、しかも、厚みの均一性、接着強度、剪断強度特性に優れ、厳しい湿熱条件に耐える耐リフロー性に優れたダイアタッチフィルム並びにそれを用いた半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(1)熱可塑性ポリイミド樹脂および熱硬化性樹脂を含有してなるフィルム状接着剤であって、硬化後の260℃での貯蔵弾性率が50MPa以上であるフィルム状接着剤、
(2)さらにフィラーを含有してなる(1)記載のフィルム状接着剤、
(3)さらに紫外線硬化成分を含有してなる(1)又は(2)記載のフィルム状接着剤、
(4)多数の半導体素子が形成されたウエハー裏面に(1)〜(3)いずれか記載のフィルム状接着剤を50℃以下の低温で貼付けし接着剤付きウェハーを得ることができるフィルム状接着剤及び光透過性基材からなるダイシングシート機能つきダイアタッチフィルム、
(5)(A)請求項4記載のダイシングシート機能つきダイアタッチフィルムでシリコンウェハー裏面とを50℃以下で貼り合わせる工程、
(B)該シリコンウェハーをダイシングし個片ダイに切り離す工程、
(C)ダイシング後にダイアッタチフィルム面に紫外線を照射して接着剤層の光透過性基材との接触界面を硬化させる工程、
(D)接着剤層を紫外線硬化させた後、裏面に接着剤層を残存させたダイを光透過性基材から剥離し取り出すピックアップ工程、
(E)該ダイを、リードフレームまたは基板に、接着剤層を介して加熱接着する工程とを、含んでなる半導体装置の製造方法、
(6)(1)〜(3)いずれか記載のフィルム状接着剤半導体素子とリードフレーム又は基板とを接着してなる半導体装置、
である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、260℃での貯蔵弾性率が50MPa以上であるダイボンディング材であり熱可塑性ポリイミド樹脂および熱硬化性樹脂からなるフィルム状接着剤であることを特徴とする。
【0010】
また前記ポリイミド樹脂としては、芳香族テトラカルボン酸二無水物と、一般式(1)で表されるジアミノポリシロキサンと、芳香族もしくは脂肪族ジアミンとを反応させて得られる一般式(2)で表されるポリイミド樹脂が、より好ましい。
【0011】
【化1】
【0012】
【化2】
【0013】
(式(1)及び式(2)中、R1及びR2は炭素数1〜4で二価の脂肪族基もしくは芳香族基、R3,R4,R5及びR6は一価の脂肪族基もしくは芳香族基、R7及びR8は四価の脂肪族基もしくは芳香族基、R9は二価の脂肪族もしくは芳香族基を表し、m:nは5〜80:95〜20である。kは、1〜50の整数であり、式(1)、式(2)とも同じ整数を示す。)
【0014】
また、前記ジアミノポリシロキサンは、好ましくは、一般式(1)中のkとして、1〜9および/または10〜50の繰り返し単位を有するジアミノポリシロキサンである。
【0015】
本発明に用いる芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、3,3,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、エチレングリコールビストリトメット酸二無水物、4,4’−(4,4’−イソプロピデンジフェノキシ)フタル酸二無水物などが挙げられる。上記の芳香族テトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよく二種類以上組み合わせてもよい。
【0016】
本発明に用いる一般式(1)で表されるジアミノポリシロキサンとしては、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルシロキサンやα,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。中でも、一般式(1)において、kが1〜9及び/又は10〜50であることが好ましい。1〜9のものを用いれば密着性が向上し、10〜50のものを用いれば流動性が向上し、目的に応じて選択できるが、両者を併用すると、より好ましい。
【0017】
本発明に用いる芳香族もしくは脂肪族ジアミンとしては、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,6−ジメチル−m−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノメシチレン、4,4’−メチレンジ−o−トルイジン、4,4’−メチレンジアミン−2,6−キシリジン、4,4’−メチレン−2,6−ジエチルアニリン、2,4−トルエンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、3,3’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、3,3’−ジアミノジフェニルエ−テル、ベンジジン、3,3’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシベンジジン、ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p−β−アミノ−t−ブチルフェニル)エ−テル、ビス(p−β−メチル−δ−アミノペンチル)ベンゼン、p−ビス(2−メチル−4−アミノペンチル)ベンゼン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,4−ビス(β−アミノ−t−ブチル)トルエン、2,4−ジアミノトルエン、m−キシレン−2,5−ジアミン、p−キシレン−2,5−ジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2,6−ジアミノピリジン、2,5−ジアミノピリジン、2,5−ジアミノ−1,3,4−オキサジアゾ−ル、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス−4−(4−アミノフェノキシ)フェニルスルフォン、ビス−4−(3−アミノフェノキシ)フェニルスルフォンなどを挙げることができる。上記のジアミンは、単独で用いても良く、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
通常、ポリイミド樹脂を合成する際に、使用される溶剤は、N−メチルピロリドンのような、非常に沸点の高い溶剤であるため、従来、半導体装置の製造で使用することは困難である。しかし、本発明で用いるポリイミド樹脂の溶媒として、アニソールなど低沸点溶媒を用いることで、フィルム加工時の乾燥温度を低く設定できる。
【0019】
本発明において、一般式(2)で表されるポリイミド樹脂のように、シリコーン変性されたポリイミド樹脂が、より好ましいが、アニソールなど低沸点溶媒に可溶であることが、更に好ましく、シリコーン変性の割合としては、溶媒への溶解性やフィルム特性から、一般式(2)におけるmとnの割合が、5〜80:95〜20であることが好ましい。
【0020】
本発明に用いる熱硬化性樹脂は、紫外線照射により硬化しないが、加熱により熱硬化反応が進行し、三次元網目状化し、被着体である金属リードフレーム及びテープまたは有機硬質基板を強固に接着する。
【0021】
このような熱硬化性樹脂としては、一般的に、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂と、それぞれに対して適当な硬化促進剤とから形成されている。このような熱硬化型接着成分は、種々知られていおり、本発明では、特に制限されることなく、周知の種々の熱硬化型接着成分を用いることができる。この様な接着成分として、例えば、エポキシ樹脂(B−1)と熱活性型潜在性エポキシ樹脂硬化剤(B−2)との樹脂組成物を挙げることができる。
【0022】
エポキシ樹脂(B−1)としては、周知の種々のエポキシ樹脂が用いられるが、通常は、分子量300〜2000程度のものが好ましく、特に好ましくは、分子量300〜800の常温液状のエポキシ樹脂と、分子量400〜2000、好ましくは500〜1500の常温固体のエポキシ樹脂とをブレンドした形で用いるのが望ましい。
また、本発明に、特にこのましく使用されるエポキシ樹脂のエポキシ当量は、通常50〜8000g/eqである。
【0023】
このようなエポキシ樹脂としては、具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂などを挙げることができる。これらは、1種単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
上記の中でも、ビスフェノール型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂及びフェノールノボラック型エポキシ樹脂が特に好ましい。
【0024】
本発明において、熱活性型潜在性エポキシ樹脂硬化剤(B−2)とは、室温ではエポキシ樹脂と反応せず、ある温度以上の加熱により活性化し、エポキシ樹脂と反応するタイプの硬化剤である。
【0025】
熱活性型潜在性エポキシ樹脂硬化剤(B−2)の活性化方法には、加熱による化学反応で活性種(アニオンまたはカチオン)を生成する方法と、室温付近ではエポキシ樹脂と相溶、溶解し硬化反応を開始する方法と、モレキュラーシーブ封入するタイプの硬化剤で、高温で溶出して、硬化反応を開始する方法と、マイクロカプセルによる方法などが存在する。
【0026】
熱活性型潜在性エポキシ樹脂硬化剤としては、ジシアンジアミド、イミダゾール化合物や、これらの混合物が好ましく、2−メチルイミダゾールとイソシアネートとの付加物であっても良い。これらは、単独で、又は2種以上で用いても良い。
【0027】
本発明に用いる熱硬化型接着成分において、上記の熱活性型潜在性エポキシ樹脂硬化剤(B−2)は、エポキシ樹脂(B−1)100重量部に対して、通常1〜20重量部が好ましく、5〜15重量部の割合が、特に好ましく用いられる。1重量部未満であると樹脂硬化剤の効果が少なく20重量部を超えると反応性が高くなり保存性が悪くなる。
【0028】
本発明に用いるフィラーとして平均粒径は0.1〜25μmであることが好ましい。平均粒径が0.1μm未満であるとフィラー添加の効果が少なく、25μmを超えるとフィルムとしての接着力の低下をもたらす可能性がある。
【0029】
本発明の接着剤層に用いるフィラーとしては、銀、酸化チタン、シリカ、マイカ等が好ましい。
【0030】
フィラーの含有量は0%〜50重量%が好ましく、フィラーを添加することで貯蔵弾性率の上昇が期待できるが50%を超えるとフィルムとしてもろくなり接着性が低下する。
【0031】
本発明に用いる紫外線硬化成分としては、アクリル系化合物(A−1)が好ましく、例えば、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステルモノマーやアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体の共重合体などが挙げられる。
【0032】
アクリル酸またはメタクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル等のアルキルエステル、ベンジルエステル、シクロアルキルエステル、ジアクリル酸エチレングリコール、ジメタクリ酸エチレングリコール、ジアクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジメタクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジアクリル酸グリセリン、ジメタクリル酸グリセリン、ジアクリル酸1,10−デカンジオール、ジメタクリル酸1,10−デカンジオール等の2官能アクリレート、トリアクリル酸トリメチロールプロパン、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、トリアクリ酸ペンタエリスリトール、トリメタクリ酸ペンタエリスリトール、ヘキサアクリル酸ジペンタエリスリトール、ヘキサメタクリル酸ジペンタエリスリトール等の多官能アクリレートなどが挙げられる。これらの内、アルキルエステルが好ましく、特に好ましくはエステル部位の炭素数が1〜15のアクリル酸、メタクリル酸アルキルエステルである。
【0033】
本発明に用いるモノマー以外のアクリル系化合物(A−1)の分子量は、好ましくは8万以上であり、特に好ましくは15万〜50万である。また、アクリル系化合物のガラス転移温度は、通常30℃以下、好ましくは−50〜0℃程度であり、室温近辺の温度領域で粘着性を示す化合物が良い。
【0034】
本発明に用いるアクリル酸又はメタクリル酸誘導体を構成単位とする共重合体としては、少なくとも1種類のアクリル酸またはメタクリル酸アルキルエステルと、ビスフェノールA型(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体が好ましい。また、2官能ジ(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸グリシジルとの組み合わせも好ましい。
【0035】
熱可塑性ポリイミド樹脂100重量部に対して、アクリル酸またはメタクリル酸エステルから誘導される成分単位の含有量は、通常20〜55モル%、好ましくは30〜40モル%である。またアクリル酸およびメタクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられる。20モル%未満であると粘着力に乏しくなり55モル%を超えると保護フィルムとの密着力が必要以上となる。
【0036】
また、分子内にヒドロキシ基などの水酸基を有する紫外線硬化型樹脂のアクリル酸又はメタクリル酸エステルを導入することで被着体との密着性や粘接着剤の特性を容易に制御することができる。
【0037】
紫外線硬化粘着成分には、更に、光重合開始剤(A−2)を混在させることにより、紫外線照射時の硬化時間および光線照射量を減らすことができる。また、基材から剥離し、ダイアタッチフィルムとして使用するためにも、重要な成分である。
【0038】
このような光重合開始剤(A−2)としては、具体的にはベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾインメチルエーテル、ベンジルフィニルサルファイド、ベンジル、ジベンジル、ジアセチルなどが挙げられる。
【0039】
本発明で用いられる紫外線硬化成分は、好ましくは上記成分(A−1)〜(A−2)からなり、それらの配合比は各成分の特性に応じて、適宜に設定されるが、一般的には成分(A−1)100重量部に対して、成分(A−2)は好ましくは3〜30重量部、より好ましくは5〜15重量部程度で用いることが好ましい。3重量部未満であると光開始剤の効果が弱く30重量部を超えると反応性が高くなり保存性が悪くなる。
【0040】
本発明は粘接着層、光透過性基材からなるダイシング機能付きダイアタッチフィルムであり、粘接着層は25℃においてもタック性を有し50℃以下の低温でウエハーを貼り付けることを特徴とする。
【0041】
本発明に用いられる光透過性基材の膜厚は、20〜200μmであることが好ましく、特に好ましくは25〜150μmである。
【0042】
本発明に用いる光透過性基材としては、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、等があげられるが、30〜70重量部、好ましくは40〜60重量部のポリプロピレン樹脂と70〜30重量部、好ましくは60〜40重量部のポリスチレンブロックとビニルイソプレンブロックからなる共重合体との混合物であることが好ましい。
【0043】
本発明において、粘接着層に用いる粘接着剤は、未硬化時に十分な粘接着性を有し、370nm以下の紫外線を照射することにより硬化する成分を含み、紫外線照射され硬化した粘接着層と被接着物との界面において粘着性を持たなくなるという特徴を有することが好ましい。
【0044】
粘接着層は370nm以下の紫外光の吸収率が60%以上であることが好ましく、紫外光照射された面のみ硬化が進行する。吸収率は、より好ましくは70%以上であり、更に好ましくは80%以上である。
【0045】
本発明に用いる粘接着剤としては、ポリイミド樹脂を含んでいるが、イミド環を有することにより、より紫外光の吸収が促進され、紫外光の吸収率を前記数値以上とすることができ、紫外光照射面で光が吸収される。
【0046】
本発明に用いる粘接着剤は、熱可塑性ポリイミド樹脂100重量部に対して、紫外線硬化型粘着成分を好ましくは20〜80重量部、特に好ましくは30〜60重量部添加し、熱硬化型接着成分を好ましくは20〜80重量部、特に好ましくは30〜50重量部添加して、粘着性、接着性及び耐熱性を発現させることができる。
【0047】
本発明のダイシングシート機能つきダイアタッチフィルムの製造方法としては、先ず離型シート上に、上記成分からなる粘接着剤樹脂組成物をワニス状で、コンマコーター、ダイコーター、グラビアコーターなど、一般に周知の方法に従って、塗工し、乾燥させて粘接着剤層を形成する。その後離型シートを除去することによって粘接着剤フィルムとし、これに光透過性基材に積層し、更に接着剤フィルムに保護フィルムを積層して保護フィルム、粘接着層、及び光透過性基材からなるダイシングシート機能つきダイアタッチフィルムを得ることができる。
又は、離型シート上に形成された粘接着剤層に、光透過性基材に積層して、保護フィルム(離型シート)、粘接着層、及び光透過性基材からなるダイシングシート機能つきダイアタッチフィルムを得ることができる。
【0048】
または、光透過性基材上に、直接、粘接着剤組成物を同様の方法で塗工し、乾燥させて、接着剤フィルムに保護フィルムを積層して保護フィルム、粘接着層、及び光透過性基材からなるダイシングシート機能つきダイアタッチフィルムに得ることができる。
【0049】
このようにして形成される粘接着層の厚さは、好ましくは3〜100μmで、10〜75μmであることがより好ましい。厚さが3μm未満であると粘接着剤としての効果が少なくなり、100μmを超えると製品の作成上難しく厚み精度が悪くなる。
【0050】
本発明の半導体装置の製造方法は、まず、シリコンウエハーの裏面に本発明のダイシングシート機能つきダイアタッチフィルムの粘接着層を室温あるいは温和な条件で貼付した後、ダイアタッチフィルム付きシリコンウエハーを、ダイアタッチフィルムをダイシングフィルムとして介してダイシング装置上に固定し、ダイシングソーなどの切断手段を用いて、上記のダイアタッチフィルム付きシリコンウエハーを、個片単位に切断して個片ダイとした半導体チップを得る。
【0051】
続いて、上記のようにして得られた半導体チップに貼付したダイアタッチフィルムの光透過性基材面に、紫外線(中心波長=約365nm)を照射する。通常、照度は20〜500mJ/cm2、さらに照射時間は、5〜600秒の範囲内に設定される。上記の紫外線照射の場合準じて諸条件を設定することができる。次いで、ダイアタッチフィルムを半導体チップの裏面に固着残存させたままで、光透過性基材のみを剥離する。
【0052】
このようにして、ダイアタッチフィルムの粘接着層が固着されている半導体チップを、そのまま金属リードフレームや基板に、粘接着層を介して、加熱・圧着することで、ダイボンディングすることができる。加熱・圧着の条件として、通常は、100〜300℃の加熱温度、1〜10秒の圧着時間であり、好ましくは100〜200℃の加熱、1〜5秒の圧着時間である。つづいて、ダイアタッチフィルムに熱硬化型接着成分を含む場合、後処理として、更に加熱にすることにより、ダイアタッチフィルム中の熱硬化型接着成分を硬化させ、半導体チップとリードフレームや基板等とを、強固に接着させた半導体装置を得ることができる。この場合の加熱温度は、通常は100〜300℃程度、好ましくは150〜250℃程度であり、加熱時間は通常は1〜240分間、好ましくは10〜60分間である。
【0053】
最終的に硬化したダイアタッチフィルムは、高い耐熱性を有するとともに、該ダイアタッチフィルム中に含まれる熱硬化に関与しないイミド環を有する樹脂成分、例えば、耐熱性の高いポリイミド樹脂の硬化物は、脆質性が低く、優れた剪断強度と高い耐衝撃性、耐熱性を有する。
【0054】
半導体チップを基板にマウント後、半導体用封止樹脂でモールドし半導体装置とする。その後、半導体パッケージを実装する時の半田リフロー時にフィルム状接着剤が柔らかくなり封止樹脂にクラックが発生する場合がある。このため、フィルム状接着剤の硬化後の260℃での貯蔵弾性率は、50MPa以上であることが必要である。50MPa未満では、封止樹脂にクラックが発生しやすくなる。
【0055】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0056】
(A)紫外線硬化型粘着成分
〔(A−1)(メタ)アクリル酸エステルモノマー〕1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート(メーカー:共栄社化学(株))
〔(A−2)光重合開始剤〕2,2−ジメトキシキ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(メーカー:チバガイギ(株))
【0057】
(B)熱硬化型接着成分
〔(B−1)エポキシ樹脂〕
(B−1−1)クレゾールノボラックエポキシ樹脂(商品名:EOCN−1020−80、エポキシ当量:200g/eq、メーカー:日本化薬(株))
〔(B−2)熱活性型潜在性エポキシ樹脂硬化剤〕
(B−2−1)イミダゾール化合物(商品名:1B2MZ、メーカー:四国化成)
【0058】
(C)イミド基を含む樹脂成分
(C−1)シリコーン変性ポリイミド樹脂、詳しくは、ジアミン成分として、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(0.15モル)とα,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(平均分子量837)(0.15モル)に対して、酸成分に4,4’−オキシジフタル酸二無水物(0.30モル)を用いたアニソールに可溶なポリイミド樹脂を得た。分子量はMw=60000である。
(C−2)シリコーン変性ポリイミド樹脂、詳しくは、ジアミン成分として2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(0.15モル)とα,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(平均分子量837)(0.15モル)に対して、酸成分に3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(0.30モル)を用いたアニソールに可溶なポリイミド樹脂を得た。分子量はMw=50000である。
(C−3)シリコーン変性ポリイミド樹脂、詳しくは、ジアミン成分として1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(0.15モル)とα,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(平均分子量837)(0.15モル)に対して酸成分に4,4’−オキシジフタル酸二無水物(0.30モル)を用いたアニソールに可溶なポリイミド樹脂を得た。分子量はMw=60000である。
【0059】
(D)フィラー
(D−1)シリカフィラーSP−4B(平均粒径4μm)(メーカー:扶桑化学(株) )
【0060】
光透過性基材
ハイブラ60重量部ポリプロピレン40重量部からなるクリアテックCT−H817(クラレ製)を、押し出し機で、厚み100μmのフィルムを形成した。
【0061】
《実施例1》
表1に記載の割合で各成分を調合し、粘接着剤組成物を得た。この粘接着剤組成物を、ポリエチレンテレフタレート基材100μmに塗布し、乾燥し粘接着剤フィルムを得た。この粘接着剤フィルムに、光透過性基材を合わせてラミネートすることで保護フィルム(ポリエチレンテレフタレート基材)、粘接着層、及び光透過性基材からなるダイシングシート機能つきダイアタッチフィルムを作製した。
このダイアタッチフィルムの保護フィルムを剥離した後、粘接着層面に半導体ウエハーを貼り付け、固定保持しダイシングソーを用いて、スピンドル回転数50,000rpm、カッティングスピード50mm/secで、5×5mm角のチップサイズにカットした。次いで、紫外線を20秒で250mJ/cm2の積算光量を照射後ダイアタッチフィルムの残着した半導体チップから、光透過性基材を剥離し、次いで、半導体チップを粘接着層を介して、42−アロイ合金のリードフレームに、180℃−1MPa−1.0secの条件で圧着して、ダイボンディングし、ダイシングシート及びダイアタッチフィルムとしての各項目の評価を行った。結果を表2、3に示す。
【0062】
《実施例2》
粘接着剤成分の配合割合を表1のように変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。
【0063】
《比較例1》
粘接着剤成分の配合割合を、表1のように変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
実施例および比較例の評価は、以下の評価方法を用いた。
(1)260℃での貯蔵弾性率
セイコーインスツルメント社製動的粘弾性装置を用い、フィルム状接着剤を180℃1時間で処理を行い昇温速度3℃/min、周波数10Hzで動的粘弾性を測定し260℃での貯蔵弾性率を測定した。
(2)接着層剥離率
ウエハー裏面にダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムを25℃で貼り付けダイシング後紫外線照射し、ダイアタッチフィルム付き半導体チップを光透過性基材からピックアップしリードフレームに温度180℃−1MPa−1sでマウントし住友ベークライト株式会社製封止材でモールドし半導体装置とした。封止後のサンプルを85℃/85%Rhの恒温恒湿器中で168時間処理した後IRリフロー炉で240℃で処理した。その後断面を顕微鏡で観察し接着剤層の剥離率とリフロークラックの発生率の評価を行った。
(3) ダイシング後のチップの飛散
半導体ウェハーをダイシングした後に、粘着が弱いためにダイアタッチフィルム上から剥離する半導体チップの個数を計測することにより評価した。(3)チッピング特性
○:チップのかけの幅が最大で30μm以下のもの。
△:チップのかけの幅が最大で30〜50μmのもの。
×:チップのかけの幅が最大で50μm以上のもの。
(4) ピックアップ性
半導体ウェハーのダイシング後に紫外線照射し、ダイアタッチフィルム付き半導体チップを光透過性基材から取り上げること(ピックアップ)ができるかを評価した。
○:ほぼ全てのチップがピックアップ可能なもの
△:ダイシングしたチップの50〜90%がピックアップ可能なもの
×:ピックアップが50%以下のもの
(5) ダイアタッチフィルムとしての初期接着性
ダイアタッチフィルム付き半導体チップを42−アロイ合金のリードフレームに180℃−1MPa−1.0secの条件でダイボンディングし、そのまま未処理の状態でチップとリードフレームとの剪断強度を測定し評価した。
(6) 吸湿後の接着性
上記(2)でダイボンディングした測定サンプルを85℃/85%RH/168時間吸湿処理をした後、チップとリードフレームとの剪断強度を測定し評価した。
○:剪断強度が1MPa以上
△:剪断強度が0.5〜1.0MPa
×:剪断強度が0.5MPa未満
(7)UV吸収率
UV吸収率の測定方法は、紫外光吸収率として、200nmから375nmの紫外光を粘接着層にあて、吸光度計により、その吸収率を測定した。
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば、ウエハーを温和な条件で貼付を行いダイシング時にはダイシングフィルムとして耐チッピング特性、クラック特性に優れたダイシングシートとしての機能を有し、ダイマウント時には接着剤として使用することができ、しかも、厚みの均一性、接着強度、剪断強度特性に優れ、厳しい湿熱条件に耐えるフィルム状接着剤を提供できる。また、これを用いた半導体装置は、これまでの液状エポキシ系のダイアタッチ材と同等または、それ以上の耐衝撃性、耐熱性を有する。
Claims (6)
- 熱可塑性ポリイミド樹脂および熱硬化性樹脂を含有してなるフィルム状接着剤であって、硬化後の260℃での貯蔵弾性率が50MPa以上であることを特徴とするフィルム状接着剤。
- さらにフィラーを含有してなる請求項1記載のフィルム状接着剤。
- さらに紫外線硬化成分を含有してなる請求項1又は2記載のフィルム状接着剤。
- 多数の半導体素子が形成されたウエハー裏面に請求項1〜3いずれか記載のフィルム状接着剤を50℃以下の低温で貼付けし接着剤付きウェハーを得ることができるフィルム状接着剤及び光透過性基材からなるダイシングシート機能つきダイアタッチフィルム。
- (A)請求項4記載のダイシングシート機能つきダイアタッチフィルムでシリコンウェハー裏面とを50℃以下で貼り合わせる工程、
(B)該シリコンウェハーをダイシングし個片ダイに切り離す工程、
(C)ダイシング後にダイアッタチフィルム面に紫外線を照射して接着剤層の光透過性基材との接触界面を硬化させる工程、
(D)接着剤層を紫外線硬化させた後、裏面に接着剤層を残存させたダイを光透過性基材から剥離し取り出すピックアップ工程、
(E)該ダイを、リードフレームまたは基板に、接着剤層を介して加熱接着する工程とを、含んでなることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項1〜3いずれか記載のフィルム状接着剤半導体素子とリードフレーム又は基板とを接着してなる半導体装置。
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JP2002205037A JP2004043694A (ja) | 2002-07-15 | 2002-07-15 | フィルム状接着剤並びにそれを用いた半導体装置の製造方法及び半導体装置 |
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KR101375276B1 (ko) | 2013-03-27 | 2014-03-19 | 주식회사 이녹스 | 슬립성이 우수한 열가소성 폴리이미드 접착 필름을 이용한 적층판 제조 방법 |
KR101414393B1 (ko) | 2014-01-09 | 2014-07-10 | 주식회사 이녹스 | 다이싱 다이 어태치 필름 및 그 제조 방법 |
JP2016219619A (ja) * | 2015-05-21 | 2016-12-22 | 日東電工株式会社 | 接着シート、ダイシングテープ一体型接着シート、フィルム、半導体装置の製造方法および半導体装置 |
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- 2002-07-15 JP JP2002205037A patent/JP2004043694A/ja active Pending
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