JP2004043413A - Viii族金属錯体およびヒドロホルミル化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】エチレン性不飽和化合物のヒドロホルミル化反応において経済的に優れ、かつ、直鎖状アルデヒドを高選択的に与えるVIII族金属錯体を提供し、該VIII族金属錯体を用いるヒドロホルミル化反応によりアルデヒド化合物の簡便かつ工業的有利な製造方法を提供し、かつヒドロホルミル化反応混合物から触媒成分を、高収率で容易に回収し得る方法を提供すること。
【解決手段】一般式(I)
【化1】
(式中、R1 およびR2 はそれぞれ置換基を有していてもよいアリール基を表す。)で示される有機リン化合物がVIII族金属化合物に配位してなるVIII族金属錯体、該VIII族金属錯体を使用したヒドロホルミル化方法によるアルデヒドの製造方法、およびヒドロホルミル化反応混合物からの触媒成分の回収方法。
【選択図】 なし
【解決手段】一般式(I)
【化1】
(式中、R1 およびR2 はそれぞれ置換基を有していてもよいアリール基を表す。)で示される有機リン化合物がVIII族金属化合物に配位してなるVIII族金属錯体、該VIII族金属錯体を使用したヒドロホルミル化方法によるアルデヒドの製造方法、およびヒドロホルミル化反応混合物からの触媒成分の回収方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なVIII族金属錯体に関する。本発明のVIII族金属錯体は、エチレン性不飽和化合物を一酸化炭素および水素によりヒドロホルミル化して、相当するアルデヒドを製造する際のヒドロホルミル化触媒として有用である。また、本発明は、該VIII族金属錯体を用いてアルデヒドを製造する方法に関する。さらに、本発明は、ヒドロホルミル化反応混合物から触媒成分を回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エチレン性不飽和化合物を、VIII族金属化合物または該VIII族金属化合物を有機リン化合物などの配位子で修飾してなる触媒の存在下に水素および一酸化炭素と反応させてアルデヒドに変換する反応は、ヒドロホルミル化反応またはオキソ反応と称され、この反応を利用してアルデヒドを製造することは、工業的に極めて価値の高いものとなっている。
【0003】
VIII族金属化合物は極めて高価なものであり、これをヒドロホルミル化触媒として工業的に用いる場合には、それを高収率で回収して再使用することが必要となる。そのため、ヒドロホルミル化触媒を回収する方法として、生成物と未反応原料を反応混合物から蒸留し、蒸発残分としてヒドロホルミル化触媒を回収する蒸発分離法が行われている。
【0004】
しかしながら、ヒドロホルミル化触媒は熱に対して不安定であり、生成物の沸点が高い場合には熱による活性低下が無視できない。通常、蒸発分離法は炭素数5までのエチレン性不飽和化合物をヒドロホルミル化する場合にのみ有用であると言われている。
【0005】
そこで、炭素数6以上のエチレン性不飽和化合物をヒドロホルミル化する工業的プロセスとして、水溶性の配位子で修飾したVIII族金属化合物からなる触媒を用いる方法が注目された。しかし、この方法が工業的に成立するには、相反する原理、すなわち、反応速度を上げるためには水溶性の触媒と脂溶性の原料が同じ相に存在し、触媒の回収時には水溶性の触媒と脂溶性の生成物がそれぞれ別々の相に存在することを両立させる必要があることから、様々な方法が提案されている。
【0006】
例えば、(1)ロジウム化合物、スルホン酸基を有するリン配位子およびポリアルキレングリコール誘導体の存在下に、7−オクテン−1−アールをヒドロホルミル化し、反応混合液に水を加えて触媒成分を抽出分離し、分離された水層の水を除去して得られる触媒成分を含むポリアルキレングリコール誘導体を反応器へ循環して再使用すると共に、有機層より1,9−ノナンジアールを取得する方法(特許第2857055号公報参照)、(2)パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸カリウム塩配位子と錯形成したVIII族貴金属−配位子錯体触媒を用いるヒドロホルミル化方法(特表平8−506110号公報参照)が知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の方法(1)は、その実施例によれば、水溶性配位子としてメタ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を用いて、25ppm以下の低いロジウム濃度でヒドロホルミル化反応を行うことができ、かつ、触媒の回収再使用ができる。また、反応混合物は、未反応原料と反応生成物以外に約10%のポリアルキレングリコール誘導体を含むだけであり、容積効率の点でも優れた方法である。しかしながら、本方法においては、分岐鎖状アルデヒドに対する直鎖状アルデヒドの比率が高くても3.5までに留まるという問題がある。
【0008】
上記の方法(2)は、その実施例によれば、水溶性配位子としてパラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸カリウム塩を用いて、ラウリン酸を溶解した炭酸水素ナトリウム水溶液および補助溶剤であるイソプロピルアルコールの存在下に、不均一系でヒドロホルミル化反応が行われている。本方法には、分岐鎖状アルデヒドに対する直鎖状アルデヒドの比率が約13と高い利点があるが、水層中のロジウム濃度が500ppmと高い上に、原料オレフィン1重量部に対して約0.5重量部の水層を存在させており、容積効率が悪い問題がある。さらに、触媒回収効率に関する記載は無い。なお、本発明者らの知見によれば、パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸カリウム塩を上記の方法(1)に用いた場合、パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸カリウム塩は水に対する溶解度が低く、ヒドロホルミル化反応後の反応混合物から同塩を抽出回収するには多量の水を要するなど回収工程が煩雑であり、その回収率も低い。
【0009】
そこで、これらの問題点を解決し得る方法、すなわち、低ロジウム濃度で反応を行うことができ、容積効率が高く、触媒回収効率が良いことから経済性に優れ、かつ、高選択的に直鎖状アルデヒドを得る方法の開発が望まれていた。
【0010】
本発明の目的は、エチレン性不飽和化合物のヒドロホルミル化反応において経済性に優れ、かつ、直鎖状アルデヒドを高選択的に与えるVIII族金属錯体を提供することにある。
本発明の他の目的は、該VIII族金属錯体を用いるヒドロホルミル化反応によりアルデヒド化合物の簡便かつ工業的に有利な製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、ヒドロホルミル化反応混合物から触媒成分を高収率で容易に回収し得る方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一般式(I)
【0012】
【化2】
【0013】
(式中、R1 およびR2 はそれぞれ置換基を有していてもよいアリール基を表す。)
で示される有機リン化合物[以下、これを有機リン化合物(I)と略記することがある]がVIII族金属化合物に配位してなるVIII族金属錯体[以下、これをVIII族金属錯体(I)と略記することがある]である。
【0014】
そして、本発明は、エチレン性不飽和化合物を触媒の存在下に一酸化炭素および水素によりヒドロホルミル化して、相当するアルデヒドを製造するに際し、触媒としてVIII族金属錯体(I)を使用することを特徴とするアルデヒドの製造方法である。
【0015】
本発明は、上記のアルデヒドの製造方法により得られる反応混合物から触媒成分を回収するに際し、該反応混合物を水と接触させて、該触媒成分を水層に抽出し、該水層から水を除去することを特徴とする上記の触媒成分の回収方法をも含む。
【0016】
【発明の実施の形態】
上記一般式において、R1 およびR2 がそれぞれ表すアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基などが挙げられる。これらのアリール基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基などのアルキル基;ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、1,1−ジフルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、1−フルオロプロピル基などのフルオロアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基などのアルコキシ基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基などのアシル基;アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基などのアシルオキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、s−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基;アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アセチルアミノ基などのアミノ基;カルボン酸基またはその金属塩;スルホン酸基またはその金属塩;亜リン酸基またはその金属塩などが挙げられる。
【0017】
VIII族金属錯体(I)は、エチレン性不飽和化合物のヒドロホルミル化反応を促進させる触媒能を有する。VIII族金属錯体(I)は水溶性であり、例えば、水溶性の配位子で修飾したVIII族金属化合物からなる触媒を用いる文献公知のヒドロホルミル化反応に用いることができる。
【0018】
VIII族金属化合物としては、エチレン性不飽和化合物のヒドロホルミル化反応を促進させる触媒能を当初から有するか、またはヒドロホルミル化反応条件下でそのような触媒能を獲得する化合物であり、従来からヒドロホルミル化反応において触媒として使用されているロジウム化合物、コバルト化合物、ルテニウム化合物、鉄化合物などが挙げられる。ロジウム化合物としては、例えば、RhO、Rh2 O、Rh2 O3 、RhO2 などの酸化ロジウム;硝酸ロジウム、硫酸ロジウム、塩化ロジウム、ヨウ化ロジウム、酢酸ロジウムなどのロジウム塩;Rh4 (CO)12、Rh6 (CO)16、RhCl(CO)(PPh3 )2 [ここで、Phはフェニル基を表す。以下同様。]、RhCl(PPh3 )3 、RhBr(CO)(PPh3 )2 、RhCl(CO)(AsPPh3 )2 、Rh(acac)(CO)2 [ここで、acacはアセチルアセトナト配位子を表す。以下同様。]などのロジウム錯化合物などが挙げられる。コバルト化合物としては、例えばHCo(CO)4 、Co2 (CO)8 、HCo(CO)3 、HCo3 (CO)9 などのコバルト錯化合物などが挙げられる。ルテニウム化合物としては、例えばRu3 (CO)12、Ru(CO)3 (PPh3 )2 、RuCl3 (PPh3 )3 、RuCl2 (PPh3 )3 などのルテニウム錯化合物などが挙げられる。また、鉄化合物としては、例えばFe(CO)5 、Fe(CO)4 PPh3 、Fe(CO)4 (PPh3 )2 などの鉄錯化合物などが挙げられる。これら化合物の中でも、ヒドロホルミル化反応の反応条件が温和である観点から、ロジウム化合物を使用するのが好ましく、Rh(acac)(CO)2 [ロジウム(I)アセチルアセトナトジカルボニル]を使用するのが特に好ましい。
【0019】
有機リン化合物(I)としては、例えばパラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩、パラ−ビス(オルト−トルイル)ホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩、パラ−ビス(メタ−トルイル)ホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩、パラ−ビス(パラ−トルイル)ホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩、パラ−ビス(パラ−メトキシフェニル)ホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩、パラ−ビス(パラ−フルオロフェニル)ホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩、パラ−ビス(パラ−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩、ビス(パラ−スルホフェニル)フェニルホスフィン ジリチウム塩、ビス(パラ−スルホフェニル)(パラ−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィン ジリチウム塩などが使用される。
【0020】
上記の有機リン化合物(I)は単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよく、さらには、例えばトリイソプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィン、トリベンジルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(パラ−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(パラ−N,N−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン、トリス(パラ−フルオロフェニル)ホスフィン、トリス(パラ−クロロフェニル)ホスフィン、トリ−オルト−トルイルホスフィン、トリ−メタ−トルイルホスフィン、トリ−パラ−トルイルホスフィン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィン、ビス(ペンタフルオロフェニル)フェニルホスフィン、ジフェニル(ペンタフルオロフェニル)ホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジエチルフェニルホスフィン、2−フリルジフェニルホスフィン、2−ピリジルジフェニルホスフィン、4−ピリジルジフェニルホスフィン、メタ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸またはその金属塩、パラ−ジフェニルホスフィノ安息香酸またはその金属塩、パラ−ジフェニルホスフィノフェニルホスホン酸またはその金属塩などのホスフィン;トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(パラ−メトキシフェニル)ホスファイト、トリス(パラ−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(パラ−トリフルオロメチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどのホスファイトなどと組み合わせて用いることができる。
【0021】
有機リン化合物(I)の使用量は、VIII族金属原子換算でVIII族金属化合物1モルに対して、リン原子換算で1〜10000モルの範囲であるのが好ましく、2〜1000モルの範囲であるのがより好ましい。有機リン化合物(I)の使用量がこの範囲を下回る場合には、触媒の安定性が損なわれ、また、この範囲を超える場合には、反応速度が低下する傾向にある。
【0022】
VIII族金属錯体(I)の調製方法に特に制限はないが、例えばヒドロホルミル化反応に影響を及ぼさない溶媒を用いて別途調製された、VIII族金属化合物溶液および有機リン化合物(I)溶液をヒドロホルミル化反応系に別個に導入し、その系中で両者を反応させて錯体化することにより調製することができる。また、上記のVIII族金属化合物溶液に有機リン化合物(I)を入れ、次いでヒドロホルミル化反応に影響を及ぼさない溶媒を添加して均一な溶液とすることにより調製することもできる。
【0023】
次に、本発明のアルデヒドの製造方法について説明する。
エチレン性不飽和化合物は、直鎖状、分岐鎖状または環状の末端オレフィンまたは内部オレフィンのいずれでもよい。エチレン性不飽和化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、2−ブテン、イソブテン、2−オクテン、1,7−オクタジエン、ビニルシクロヘキセン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、ブタジエン重合物、イソプレン重合物などの不飽和脂肪族炭化水素類;スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、アルキル基核置換スチレン、ジビニルベンゼンなどのスチレン類;シクロペンテン、シクロヘキセン、1−メチルシクロヘキセン、シクロオクテン、リモネンなどの脂環式オレフィン系炭化水素類;アリルアルコール、クロチルアルコール、3−メチル−3−ブテン−1−オール、7−オクテン−1−オール、2,7−オクタジエノール、ビニルアセテート、アリルアセテート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、アリルアクリレート、ビニルメチルエーテル、アリルエチルエーテル、5−ヘキセンアミド、アクリロニトリル、7−オクテン−1−アールなどの官能基を含有するオレフィン類などが挙げられる。
【0024】
ヒドロホルミル化反応に使用される水素と一酸化炭素との混合ガスのH2 /COモル比は、入りガス組成として、0.1〜10の範囲であるのが好ましく、0.5〜2の範囲であるのが混合ガス組成の維持が容易である観点からより好ましい。反応圧力は、0.1〜10MPaの範囲であるのが好ましく、0.5〜5MPaの範囲であるのが反応速度の観点から好ましい。反応温度は、40〜150℃の範囲であるのが好ましく、60〜130℃の範囲であるのが触媒の失活を抑制する観点などからより好ましい。反応は、攪拌型反応槽、液循環型反応槽、ガス循環型反応槽、気泡塔型反応槽などを用いて行うことができる。また、反応は、連続方式またはバッチ方式で行うことができる。
【0025】
VIII族金属錯体(I)の使用量は、反応液1リットル当たり、VIII族金属原子換算で0.0001〜1000ミリグラム原子の範囲となるような量を選択するのが好ましく、0.005〜10ミリグラム原子の範囲となるような量を選択するのがより好ましい。VIII族金属錯体(I)の使用量がこの範囲を下回る場合には、反応速度が遅すぎ、また、この範囲を超えて使用してもそれ以上反応速度を効果的に速めることができず、触媒コストが増大し好ましくない。
【0026】
本発明のVIII族金属錯体(I)を用いて脂溶性のエチレン性不飽和化合物をヒドロホルミル化する場合には、反応系に溶媒を存在させるのが好ましい。溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロリジノン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランのような非プロトン性極性溶媒;メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコール、テトラエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテルなどのポリアルキレングリコール類などを挙げることができる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、ポリアルキレングリコール類を用いるのが、触媒抽出時の触媒成分の析出を防ぎ、触媒成分の回収効率を向上させる観点から好ましく、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールジメチルエーテルなどが好ましく使用される。これらの溶媒の使用量は、ヒドロホルミル化反応混合液中2〜50容量%の範囲となるような量を選択するのが好ましく、5〜20容量%の範囲となるような量を選択するのがより好ましい。
【0027】
原料の仕込み方法に特に制限はないが、エチレン性不飽和化合物、別途調製されたVIII族金属錯体(I)溶液および必要に応じて溶媒を仕込み、次いで、水素と一酸化炭素との混合ガスを所定圧力で導入し、所定温度で撹拌して均一系で反応を行うのが好ましい。
【0028】
上記の方法により得られたアルデヒドは、通常の有機化合物の単離・精製に用いられる方法により単離・精製することができる。例えば、後述する触媒成分の回収工程を経て得られた有機層から蒸留、再結晶、カラムクトマトグラフィーなどにより単離・精製する。
【0029】
次に、触媒成分の回収方法について説明する。
本発明において、触媒成分とは、VIII族金属錯体(I)、およびVIII族金属化合物に対して、通常、過剰に用いられる有機リン化合物(I)を意味する。
【0030】
ヒドロホルミル化反応混合物からの触媒成分の回収は、まずヒドロホルミル化反応後の反応混合物に水を加える。反応混合物に対する水の使用量は特に制限されないが、操作性や触媒成分の水への溶解性などを考慮すれば、反応混合物に対し1〜200容量%の範囲となるような量を選択するのが好ましく、5〜50容量%の範囲となるような量を選択するのがより好ましい。
【0031】
反応混合物と水を撹拌することなどにより接触させ、触媒成分を水で抽出する。この際、温度は20〜90℃の範囲とするのが好ましく、また、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスまたは水素と一酸化炭素からなる混合ガスの雰囲気下で行うのが好ましい。
【0032】
次に、ヒドロホルミル化反応生成物を含有する有機層と、触媒成分を含有する水層を分離する。抽出操作において、静置により有機層と水層が十分に層分離しない場合には、層分離を促進させるために遠心分離操作などを併用することができる。また、ヘキサン、シクロヘキサンのような比重が水よりも小さい炭化水素類を添加することにより層分離を促進させることもできる。
【0033】
有機層には反応生成物の他に未反応のエチレン性不飽和化合物と少量の触媒成分が含まれており、触媒成分の回収率を高めるためには、有機層を水で洗浄し、その洗浄水を水層に合せるのが好ましい。
【0034】
得られた水層から水を除去することにより、触媒成分を回収することができる。水の除去は、減圧留去などの常法により行う。減圧留去を行う場合、VIII族金属錯体(I)の熱劣化などを未然に防ぐために低い温度で実施するのが好ましく、30〜100℃の温度で10〜300mmHgの圧力条件下に行うのが好ましい。水の留去の程度は、触媒成分を含有する濃縮物をヒドロホルミル化反応に再使用した場合に、反応系に分離した水が存在しないような程度とするのが好ましい。得られた触媒成分はヒドロホルミル化反応に再使用できる。
【0035】
本発明において使用される有機リン化合物(I)、例えば、パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩は、パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸カリウム塩を、水または水および水混和性の有機溶媒の存在下に、硫酸リチウムなどの酸リチウム塩と反応させる方法などにより製造できる。パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸カリウム塩は、例えば、(1)クロロジアリールホスフィンを金属ナトリウムと反応させてジアリールホスフィンナトリウム塩を得、該ジアリールホスフィンナトリウム塩とパラ−クロロベンゼンスルホン酸リチウム塩を酸カリウム塩の存在下または不存在下に反応させ、得られた反応混合液に酸カリウム塩水溶液または酸カリウム塩および水を加えて反応させる方法、(2)クロロジアリールホスフィンを金属カリウムと反応させてジアリールホスフィンカリウム塩を得、該ジアリールホスフィンカリウム塩とパラ−クロロベンゼンスルホン酸リチウム塩を反応させる方法(特表平8−506110号公報参照)などにより製造することができる。
【0036】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。なお、以下の実施例において、特に断りのない限り、リン化合物の合成操作は窒素またはアルゴン雰囲気下で行い、ヒドロホルミル化反応および水抽出操作は、すべて一酸化炭素と水素からなり、H2 /COモル比が1の混合ガス雰囲気下で行った。
【0037】
塩素、リチウム、ナトリウムおよびカリウムの定量は、イオンクロマトグラフィー(日本ダイオネクス株式会社製、DX−120型)を用いて行った。パラ−クロロベンゼンスルホン酸塩の定量は、 1H−NMR分光装置(日本電子株式会社製、ラムダ500型)を用いて行い、パラ−ジアリールホスフィノベンゼンスルホン酸塩およびその酸化物の定量は、31P−NMR分光装置(日本電子株式会社製、ラムダ500型)を用いて行った。また、7−オクテン−1−アールのヒドロホルミル化反応における生成物の定量は、ガスクロマトグラフィー(株式会社島津製作所製、GC−14B型)を用いて行った。
【0038】
参考例1
パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸カリウム塩の合成
還流管、滴下ロート、温度計および磁気回転子を備えた内容積1Lの3ツ口フラスコに、テトラヒドロフラン700mlを入れ、さらに金属カリウム29g(0.74mol)を加えた後、0.5時間還流して金属カリウムの分散液を得た。この分散液にクロロジフェニルホスフィン83g(0.376mol)を1.2時間かけて滴下した後、さらに1時間還流を行い、ジフェニルホスフィンのカリウム塩の溶液を得た。この溶液の温度を35℃にし、該溶液にパラ−クロロベンゼンスルホン酸リチウム塩74g(0.373mol)を加えた後、浴温50℃で45分間攪拌した。反応終了後、得られた反応混合物からテトラヒドロフラン350mlを留去し、得られた溶液にジイソプロピルエーテル300mlおよび水700mlを加え、抽出操作を行い、水層およびテトラヒドロフラン層からなる混合層を得た。この混合層をジイソプロピルエーテル300mlで洗浄し、水層を得た。この水層をろ過した後、容量が3分の2になるまで濃縮し、次いで、10℃まで氷冷し、析出した無色固体をろ取した。この無色固体をさらに水を用いて2回再結晶することにより、下記の物性を有するパラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸カリウム塩73g(クロロジフェニルホスフィン基準で収率51%)を得た。
【0039】
陽イオンはすべてカリウムイオンであり、塩素イオン含量は0.006mol%、パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸カリウム塩の酸化物の含量は0.47mol%、パラ−クロロベンゼンスルホン酸カリウム塩の含量は0.03mol%以下であった。
【0040】
1H−NMR(500MHz、重水、TSP、ppm):δ=7.3ppm(m,14H)、7.7ppm(d,2H)
31P−NMR(500MHz、重水、りん酸、ppm):δ=−5.37ppm(s,P)
【0041】
参考例2
パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩の合成
還流管、温度計および磁気回転子を備えた内容積500mlの3ツ口フラスコに水200mlを入れ、さらに参考例1と同様にして得られたパラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸カリウム塩50g(130mmol)および硫酸リチウム1水和物50g(390mmol)を加えた後、2時間還流した。得られた反応混合物を室温に冷却した後、該反応混合物にアセトン2Lを加え、次いで、固形分をろ別した。得られたろ液をロータリーエバポレーターを用いて濃縮乾固し、白色固体として、下記の物性を有するパラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩42g(収率92%)を得た。
【0042】
陽イオンはすべてリチウムイオンであり、塩素イオン含量は0.0133mol%、パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩の酸化物の含量は0.30mol%、パラ−クロロベンゼンスルホン酸リチウム塩の含量は0.03mol%以下であった。
【0043】
1H−NMR(500MHz、重水、TSP、ppm):δ=7.3ppm(m,14H)、7.7ppm(d,2H)
31P−NMR(500MHz、重水、りん酸、ppm):δ=−5.39ppm(s,P)
【0044】
参考例3
メタ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸ナトリウム塩の合成
滴下ロート、温度計および磁気回転子を備えた内容積1Lの3ツ口フラスコに濃硫酸150mlを入れ、さらにトリフェニルホスフィン150g(0.57mol)を、液温が30℃以下の温度を維持するように加え、トリフェニルホスフィンの濃硫酸溶液を得た。この濃硫酸溶液に25重量%の三酸化硫黄を含む発煙硫酸285mlを、液温が30℃以下の温度を維持するように、2時間かけて滴下した。滴下終了後、液温30℃以下で14時間攪拌した。得られた溶液を、液温10℃以下を維持するように、氷冷した水5Lに、2時間かけて希釈した。得られた希硫酸溶液にメチルイソブチルケトン4Lを加えて抽出操作を行い、有機層を得た。この有機層に5重量%の水酸化ナトリウム水溶液約300mlを加えて中和した。中和終了後、溶液は2層に分離しており、そのうちの水層を得た。水層をメチルイソブチルケトン250mlで洗浄した。水層を約200mlまで濃縮し、10℃まで氷冷し、析出した無色固体をろ取した。この無色固体をさらに水を用いて2回再結晶することにより、メタ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸ナトリウム塩35g(収率17%)を得た。
【0045】
陽イオンはナトリウムイオン100%であり、塩素イオン含量は0.002mol%、メタ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸ナトリウム塩の酸化物の含量は0.5mol%であった。
【0046】
実施例1
パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩−ロジウム錯体触媒を用いたヒドロホルミル化反応および触媒成分の回収
テフロン(登録商標)製磁気回転子を備えた内容積100mlの3ツ口フラスコに、Rh(acac)(CO)2 3.9mg(0.015mmol)および参考例2で合成したパラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩421mg(1.2mmol)を入れ、さらにポリエチレングリコールジメチルエーテル6mlを加えた後、50℃で30分間攪拌して均一な触媒溶液を調製した。テフロン(登録商標)製磁気回転子を備えた内容積50mlの3つ口フラスコに、上記の触媒溶液3mlおよび7−オクテン−1−アール27ml(0.167mol、純度93%)を入れて得られた混合液を、ガス導入口およびサンプリング口を備えた内容積100mlのオートクレーブに仕込んだ。全圧を3.0MPaにし、攪拌しながら内温を85℃に昇温した後、7時間反応を行い、1,9−ノナンジアール20.6g(0.132mol、収率79%)および2−メチル−1,8−オクタンジアール4.4g(0.028mol、収率17%)を得た。7−オクテン−1−アールの転化率は96%であり、直鎖状アルデヒド化合物と分岐鎖状アルデヒド化合物の生成比は4.65対1であった。なお、本実施例におけるロジウム濃度は約20ppmである。
【0047】
次いで、反応混合液を、予め水素/一酸化炭素の混合ガスで充分に置換した内容積50mlの3ツ口フラスコに、空気に触れないように圧送し、水9mlを加え、内温を30℃に保ちながら上記組成の混合ガス雰囲気下で20分間撹拌した。撹拌を停止した後に、下層の水層を抜き取った。液体クロマトグラフ分析の結果、パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩の回収率は82%であった。また、ICP発光分析の結果、ロジウムの回収率は97%であった。
【0048】
実施例2
パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩−ロジウム錯体触媒を用いたヒドロホルミル化反応および触媒成分の回収
実施例1において、パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩の421mg(1.2mmol)を105mg(0.3mmol)とし、圧力を1MPaとし、反応時間を4時間とした以外は同様の操作を行い、1,9−ノナンジアール21.1g(0.135mol、収率81%)および2−メチル−1,8−オクタンジアール4.1g(0.026mol、収率16%)を得た。7−オクテン−1−アールの転化率は97%であり、直鎖状アルデヒド化合物と分岐鎖状アルデヒド化合物の生成比は5.06対1であった。
【0049】
次いで、実施例1と同様の操作を行い、有機層と水層とを分離した。液体クロマトグラフ分析の結果、パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩の回収率は83%であった。また、ICP発光分析の結果、ロジウムの回収率は97%であった。
【0050】
比較例1
パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸カリウム塩−ロジウム錯体触媒を用いたヒドロホルミル化反応および触媒成分の回収
実施例1において、パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩421mg(1.2mmol)に代えて、参考例1で合成したパラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸カリウム塩460mg(1.2mmol)を用い、反応時間を3時間とした以外は同様の操作を行い、1,9−ノナンジアール18.8g(0.121mol、収率72%)および2−メチル−1,8−オクタンジアール6.0g(0.039mol、収率23%)を得た。7−オクテン−1−アールの転化率は95%であり、直鎖状アルデヒド化合物と分岐鎖状アルデヒド化合物の生成比は3.13対1であった。
【0051】
次いで、実施例1と同様の操作を行い、有機層と水層とを分離した。液体クロマトグラフ分析の結果、パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸カリウム塩の回収率は33%であった。また、ICP発光分析の結果、ロジウムの回収率は40%であった。
【0052】
比較例2
メタ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸ナトリウム塩−ロジウム錯体触媒を用いたヒドロホルミル化反応および触媒成分の回収
実施例1において、パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩421mg(1.2mmol)に代えて、参考例3で合成したメタ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸ナトリウム塩440mg(1.2mmol)を用い、反応時間を8時間とした以外は同様の操作を行い、1,9−ノナンジアール20.1g(0.129mol、収率73%)および2−メチル−1,8−オクタンジアール7.0g(0.045mol、収率27%)を得た。7−オクテン−1−アールの転化率は100%であり、直鎖状アルデヒド化合物と分岐鎖状アルデヒド化合物の生成比は2.70対1であった。
【0053】
次いで、実施例1と同様の操作を行い、有機層と水層とを分離した。液体クロマトグラフ分析の結果、メタ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸ナトリウム塩の回収率は70%であった。また、ICP発光分析の結果、ロジウムの回収率は94%であった。
【0054】
比較例1から明らかなように、パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸カリウム塩を用いた場合には、分岐鎖状アルデヒドに対する直鎖状アルデヒドの比率は3.13と低く、さらに触媒成分の回収率は低い。これに対して、本発明のパラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩を用いた場合には、分岐鎖状アルデヒドに対する直鎖状アルデヒドの比率は4.65以上であり、さらに触媒成分の回収率は高い。一方、比較例2に示したように、メタ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を用いた場合には、触媒成分の回収率は高いものの、分岐鎖状アルデヒドに対する直鎖状アルデヒドの比率は2.70と低い。以上より、本発明の方法は直鎖状アルデヒドの選択性と経済性の両面で優れている。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、エチレン性不飽和化合物のヒドロホルミル化反応において経済性に優れ、かつ、直鎖状アルデヒドを高選択的に与えるVIII族金属錯体(I)が得られる。また、本発明によれば、VIII族金属錯体(I)を用いるヒドロホルミル化反応によりアルデヒド化合物を簡便かつ工業的有利に製造することができる。さらに、本発明によれば、ヒドロホルミル化反応混合物から触媒成分を、高収率で容易に回収することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なVIII族金属錯体に関する。本発明のVIII族金属錯体は、エチレン性不飽和化合物を一酸化炭素および水素によりヒドロホルミル化して、相当するアルデヒドを製造する際のヒドロホルミル化触媒として有用である。また、本発明は、該VIII族金属錯体を用いてアルデヒドを製造する方法に関する。さらに、本発明は、ヒドロホルミル化反応混合物から触媒成分を回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エチレン性不飽和化合物を、VIII族金属化合物または該VIII族金属化合物を有機リン化合物などの配位子で修飾してなる触媒の存在下に水素および一酸化炭素と反応させてアルデヒドに変換する反応は、ヒドロホルミル化反応またはオキソ反応と称され、この反応を利用してアルデヒドを製造することは、工業的に極めて価値の高いものとなっている。
【0003】
VIII族金属化合物は極めて高価なものであり、これをヒドロホルミル化触媒として工業的に用いる場合には、それを高収率で回収して再使用することが必要となる。そのため、ヒドロホルミル化触媒を回収する方法として、生成物と未反応原料を反応混合物から蒸留し、蒸発残分としてヒドロホルミル化触媒を回収する蒸発分離法が行われている。
【0004】
しかしながら、ヒドロホルミル化触媒は熱に対して不安定であり、生成物の沸点が高い場合には熱による活性低下が無視できない。通常、蒸発分離法は炭素数5までのエチレン性不飽和化合物をヒドロホルミル化する場合にのみ有用であると言われている。
【0005】
そこで、炭素数6以上のエチレン性不飽和化合物をヒドロホルミル化する工業的プロセスとして、水溶性の配位子で修飾したVIII族金属化合物からなる触媒を用いる方法が注目された。しかし、この方法が工業的に成立するには、相反する原理、すなわち、反応速度を上げるためには水溶性の触媒と脂溶性の原料が同じ相に存在し、触媒の回収時には水溶性の触媒と脂溶性の生成物がそれぞれ別々の相に存在することを両立させる必要があることから、様々な方法が提案されている。
【0006】
例えば、(1)ロジウム化合物、スルホン酸基を有するリン配位子およびポリアルキレングリコール誘導体の存在下に、7−オクテン−1−アールをヒドロホルミル化し、反応混合液に水を加えて触媒成分を抽出分離し、分離された水層の水を除去して得られる触媒成分を含むポリアルキレングリコール誘導体を反応器へ循環して再使用すると共に、有機層より1,9−ノナンジアールを取得する方法(特許第2857055号公報参照)、(2)パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸カリウム塩配位子と錯形成したVIII族貴金属−配位子錯体触媒を用いるヒドロホルミル化方法(特表平8−506110号公報参照)が知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の方法(1)は、その実施例によれば、水溶性配位子としてメタ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を用いて、25ppm以下の低いロジウム濃度でヒドロホルミル化反応を行うことができ、かつ、触媒の回収再使用ができる。また、反応混合物は、未反応原料と反応生成物以外に約10%のポリアルキレングリコール誘導体を含むだけであり、容積効率の点でも優れた方法である。しかしながら、本方法においては、分岐鎖状アルデヒドに対する直鎖状アルデヒドの比率が高くても3.5までに留まるという問題がある。
【0008】
上記の方法(2)は、その実施例によれば、水溶性配位子としてパラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸カリウム塩を用いて、ラウリン酸を溶解した炭酸水素ナトリウム水溶液および補助溶剤であるイソプロピルアルコールの存在下に、不均一系でヒドロホルミル化反応が行われている。本方法には、分岐鎖状アルデヒドに対する直鎖状アルデヒドの比率が約13と高い利点があるが、水層中のロジウム濃度が500ppmと高い上に、原料オレフィン1重量部に対して約0.5重量部の水層を存在させており、容積効率が悪い問題がある。さらに、触媒回収効率に関する記載は無い。なお、本発明者らの知見によれば、パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸カリウム塩を上記の方法(1)に用いた場合、パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸カリウム塩は水に対する溶解度が低く、ヒドロホルミル化反応後の反応混合物から同塩を抽出回収するには多量の水を要するなど回収工程が煩雑であり、その回収率も低い。
【0009】
そこで、これらの問題点を解決し得る方法、すなわち、低ロジウム濃度で反応を行うことができ、容積効率が高く、触媒回収効率が良いことから経済性に優れ、かつ、高選択的に直鎖状アルデヒドを得る方法の開発が望まれていた。
【0010】
本発明の目的は、エチレン性不飽和化合物のヒドロホルミル化反応において経済性に優れ、かつ、直鎖状アルデヒドを高選択的に与えるVIII族金属錯体を提供することにある。
本発明の他の目的は、該VIII族金属錯体を用いるヒドロホルミル化反応によりアルデヒド化合物の簡便かつ工業的に有利な製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、ヒドロホルミル化反応混合物から触媒成分を高収率で容易に回収し得る方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一般式(I)
【0012】
【化2】
【0013】
(式中、R1 およびR2 はそれぞれ置換基を有していてもよいアリール基を表す。)
で示される有機リン化合物[以下、これを有機リン化合物(I)と略記することがある]がVIII族金属化合物に配位してなるVIII族金属錯体[以下、これをVIII族金属錯体(I)と略記することがある]である。
【0014】
そして、本発明は、エチレン性不飽和化合物を触媒の存在下に一酸化炭素および水素によりヒドロホルミル化して、相当するアルデヒドを製造するに際し、触媒としてVIII族金属錯体(I)を使用することを特徴とするアルデヒドの製造方法である。
【0015】
本発明は、上記のアルデヒドの製造方法により得られる反応混合物から触媒成分を回収するに際し、該反応混合物を水と接触させて、該触媒成分を水層に抽出し、該水層から水を除去することを特徴とする上記の触媒成分の回収方法をも含む。
【0016】
【発明の実施の形態】
上記一般式において、R1 およびR2 がそれぞれ表すアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基などが挙げられる。これらのアリール基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基などのアルキル基;ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、1,1−ジフルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、1−フルオロプロピル基などのフルオロアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基などのアルコキシ基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基などのアシル基;アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基などのアシルオキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、s−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基;アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アセチルアミノ基などのアミノ基;カルボン酸基またはその金属塩;スルホン酸基またはその金属塩;亜リン酸基またはその金属塩などが挙げられる。
【0017】
VIII族金属錯体(I)は、エチレン性不飽和化合物のヒドロホルミル化反応を促進させる触媒能を有する。VIII族金属錯体(I)は水溶性であり、例えば、水溶性の配位子で修飾したVIII族金属化合物からなる触媒を用いる文献公知のヒドロホルミル化反応に用いることができる。
【0018】
VIII族金属化合物としては、エチレン性不飽和化合物のヒドロホルミル化反応を促進させる触媒能を当初から有するか、またはヒドロホルミル化反応条件下でそのような触媒能を獲得する化合物であり、従来からヒドロホルミル化反応において触媒として使用されているロジウム化合物、コバルト化合物、ルテニウム化合物、鉄化合物などが挙げられる。ロジウム化合物としては、例えば、RhO、Rh2 O、Rh2 O3 、RhO2 などの酸化ロジウム;硝酸ロジウム、硫酸ロジウム、塩化ロジウム、ヨウ化ロジウム、酢酸ロジウムなどのロジウム塩;Rh4 (CO)12、Rh6 (CO)16、RhCl(CO)(PPh3 )2 [ここで、Phはフェニル基を表す。以下同様。]、RhCl(PPh3 )3 、RhBr(CO)(PPh3 )2 、RhCl(CO)(AsPPh3 )2 、Rh(acac)(CO)2 [ここで、acacはアセチルアセトナト配位子を表す。以下同様。]などのロジウム錯化合物などが挙げられる。コバルト化合物としては、例えばHCo(CO)4 、Co2 (CO)8 、HCo(CO)3 、HCo3 (CO)9 などのコバルト錯化合物などが挙げられる。ルテニウム化合物としては、例えばRu3 (CO)12、Ru(CO)3 (PPh3 )2 、RuCl3 (PPh3 )3 、RuCl2 (PPh3 )3 などのルテニウム錯化合物などが挙げられる。また、鉄化合物としては、例えばFe(CO)5 、Fe(CO)4 PPh3 、Fe(CO)4 (PPh3 )2 などの鉄錯化合物などが挙げられる。これら化合物の中でも、ヒドロホルミル化反応の反応条件が温和である観点から、ロジウム化合物を使用するのが好ましく、Rh(acac)(CO)2 [ロジウム(I)アセチルアセトナトジカルボニル]を使用するのが特に好ましい。
【0019】
有機リン化合物(I)としては、例えばパラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩、パラ−ビス(オルト−トルイル)ホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩、パラ−ビス(メタ−トルイル)ホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩、パラ−ビス(パラ−トルイル)ホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩、パラ−ビス(パラ−メトキシフェニル)ホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩、パラ−ビス(パラ−フルオロフェニル)ホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩、パラ−ビス(パラ−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩、ビス(パラ−スルホフェニル)フェニルホスフィン ジリチウム塩、ビス(パラ−スルホフェニル)(パラ−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィン ジリチウム塩などが使用される。
【0020】
上記の有機リン化合物(I)は単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよく、さらには、例えばトリイソプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィン、トリベンジルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(パラ−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(パラ−N,N−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン、トリス(パラ−フルオロフェニル)ホスフィン、トリス(パラ−クロロフェニル)ホスフィン、トリ−オルト−トルイルホスフィン、トリ−メタ−トルイルホスフィン、トリ−パラ−トルイルホスフィン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィン、ビス(ペンタフルオロフェニル)フェニルホスフィン、ジフェニル(ペンタフルオロフェニル)ホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジエチルフェニルホスフィン、2−フリルジフェニルホスフィン、2−ピリジルジフェニルホスフィン、4−ピリジルジフェニルホスフィン、メタ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸またはその金属塩、パラ−ジフェニルホスフィノ安息香酸またはその金属塩、パラ−ジフェニルホスフィノフェニルホスホン酸またはその金属塩などのホスフィン;トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(パラ−メトキシフェニル)ホスファイト、トリス(パラ−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(パラ−トリフルオロメチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどのホスファイトなどと組み合わせて用いることができる。
【0021】
有機リン化合物(I)の使用量は、VIII族金属原子換算でVIII族金属化合物1モルに対して、リン原子換算で1〜10000モルの範囲であるのが好ましく、2〜1000モルの範囲であるのがより好ましい。有機リン化合物(I)の使用量がこの範囲を下回る場合には、触媒の安定性が損なわれ、また、この範囲を超える場合には、反応速度が低下する傾向にある。
【0022】
VIII族金属錯体(I)の調製方法に特に制限はないが、例えばヒドロホルミル化反応に影響を及ぼさない溶媒を用いて別途調製された、VIII族金属化合物溶液および有機リン化合物(I)溶液をヒドロホルミル化反応系に別個に導入し、その系中で両者を反応させて錯体化することにより調製することができる。また、上記のVIII族金属化合物溶液に有機リン化合物(I)を入れ、次いでヒドロホルミル化反応に影響を及ぼさない溶媒を添加して均一な溶液とすることにより調製することもできる。
【0023】
次に、本発明のアルデヒドの製造方法について説明する。
エチレン性不飽和化合物は、直鎖状、分岐鎖状または環状の末端オレフィンまたは内部オレフィンのいずれでもよい。エチレン性不飽和化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、2−ブテン、イソブテン、2−オクテン、1,7−オクタジエン、ビニルシクロヘキセン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、ブタジエン重合物、イソプレン重合物などの不飽和脂肪族炭化水素類;スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、アルキル基核置換スチレン、ジビニルベンゼンなどのスチレン類;シクロペンテン、シクロヘキセン、1−メチルシクロヘキセン、シクロオクテン、リモネンなどの脂環式オレフィン系炭化水素類;アリルアルコール、クロチルアルコール、3−メチル−3−ブテン−1−オール、7−オクテン−1−オール、2,7−オクタジエノール、ビニルアセテート、アリルアセテート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、アリルアクリレート、ビニルメチルエーテル、アリルエチルエーテル、5−ヘキセンアミド、アクリロニトリル、7−オクテン−1−アールなどの官能基を含有するオレフィン類などが挙げられる。
【0024】
ヒドロホルミル化反応に使用される水素と一酸化炭素との混合ガスのH2 /COモル比は、入りガス組成として、0.1〜10の範囲であるのが好ましく、0.5〜2の範囲であるのが混合ガス組成の維持が容易である観点からより好ましい。反応圧力は、0.1〜10MPaの範囲であるのが好ましく、0.5〜5MPaの範囲であるのが反応速度の観点から好ましい。反応温度は、40〜150℃の範囲であるのが好ましく、60〜130℃の範囲であるのが触媒の失活を抑制する観点などからより好ましい。反応は、攪拌型反応槽、液循環型反応槽、ガス循環型反応槽、気泡塔型反応槽などを用いて行うことができる。また、反応は、連続方式またはバッチ方式で行うことができる。
【0025】
VIII族金属錯体(I)の使用量は、反応液1リットル当たり、VIII族金属原子換算で0.0001〜1000ミリグラム原子の範囲となるような量を選択するのが好ましく、0.005〜10ミリグラム原子の範囲となるような量を選択するのがより好ましい。VIII族金属錯体(I)の使用量がこの範囲を下回る場合には、反応速度が遅すぎ、また、この範囲を超えて使用してもそれ以上反応速度を効果的に速めることができず、触媒コストが増大し好ましくない。
【0026】
本発明のVIII族金属錯体(I)を用いて脂溶性のエチレン性不飽和化合物をヒドロホルミル化する場合には、反応系に溶媒を存在させるのが好ましい。溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロリジノン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランのような非プロトン性極性溶媒;メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコール、テトラエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテルなどのポリアルキレングリコール類などを挙げることができる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、ポリアルキレングリコール類を用いるのが、触媒抽出時の触媒成分の析出を防ぎ、触媒成分の回収効率を向上させる観点から好ましく、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールジメチルエーテルなどが好ましく使用される。これらの溶媒の使用量は、ヒドロホルミル化反応混合液中2〜50容量%の範囲となるような量を選択するのが好ましく、5〜20容量%の範囲となるような量を選択するのがより好ましい。
【0027】
原料の仕込み方法に特に制限はないが、エチレン性不飽和化合物、別途調製されたVIII族金属錯体(I)溶液および必要に応じて溶媒を仕込み、次いで、水素と一酸化炭素との混合ガスを所定圧力で導入し、所定温度で撹拌して均一系で反応を行うのが好ましい。
【0028】
上記の方法により得られたアルデヒドは、通常の有機化合物の単離・精製に用いられる方法により単離・精製することができる。例えば、後述する触媒成分の回収工程を経て得られた有機層から蒸留、再結晶、カラムクトマトグラフィーなどにより単離・精製する。
【0029】
次に、触媒成分の回収方法について説明する。
本発明において、触媒成分とは、VIII族金属錯体(I)、およびVIII族金属化合物に対して、通常、過剰に用いられる有機リン化合物(I)を意味する。
【0030】
ヒドロホルミル化反応混合物からの触媒成分の回収は、まずヒドロホルミル化反応後の反応混合物に水を加える。反応混合物に対する水の使用量は特に制限されないが、操作性や触媒成分の水への溶解性などを考慮すれば、反応混合物に対し1〜200容量%の範囲となるような量を選択するのが好ましく、5〜50容量%の範囲となるような量を選択するのがより好ましい。
【0031】
反応混合物と水を撹拌することなどにより接触させ、触媒成分を水で抽出する。この際、温度は20〜90℃の範囲とするのが好ましく、また、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスまたは水素と一酸化炭素からなる混合ガスの雰囲気下で行うのが好ましい。
【0032】
次に、ヒドロホルミル化反応生成物を含有する有機層と、触媒成分を含有する水層を分離する。抽出操作において、静置により有機層と水層が十分に層分離しない場合には、層分離を促進させるために遠心分離操作などを併用することができる。また、ヘキサン、シクロヘキサンのような比重が水よりも小さい炭化水素類を添加することにより層分離を促進させることもできる。
【0033】
有機層には反応生成物の他に未反応のエチレン性不飽和化合物と少量の触媒成分が含まれており、触媒成分の回収率を高めるためには、有機層を水で洗浄し、その洗浄水を水層に合せるのが好ましい。
【0034】
得られた水層から水を除去することにより、触媒成分を回収することができる。水の除去は、減圧留去などの常法により行う。減圧留去を行う場合、VIII族金属錯体(I)の熱劣化などを未然に防ぐために低い温度で実施するのが好ましく、30〜100℃の温度で10〜300mmHgの圧力条件下に行うのが好ましい。水の留去の程度は、触媒成分を含有する濃縮物をヒドロホルミル化反応に再使用した場合に、反応系に分離した水が存在しないような程度とするのが好ましい。得られた触媒成分はヒドロホルミル化反応に再使用できる。
【0035】
本発明において使用される有機リン化合物(I)、例えば、パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩は、パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸カリウム塩を、水または水および水混和性の有機溶媒の存在下に、硫酸リチウムなどの酸リチウム塩と反応させる方法などにより製造できる。パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸カリウム塩は、例えば、(1)クロロジアリールホスフィンを金属ナトリウムと反応させてジアリールホスフィンナトリウム塩を得、該ジアリールホスフィンナトリウム塩とパラ−クロロベンゼンスルホン酸リチウム塩を酸カリウム塩の存在下または不存在下に反応させ、得られた反応混合液に酸カリウム塩水溶液または酸カリウム塩および水を加えて反応させる方法、(2)クロロジアリールホスフィンを金属カリウムと反応させてジアリールホスフィンカリウム塩を得、該ジアリールホスフィンカリウム塩とパラ−クロロベンゼンスルホン酸リチウム塩を反応させる方法(特表平8−506110号公報参照)などにより製造することができる。
【0036】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。なお、以下の実施例において、特に断りのない限り、リン化合物の合成操作は窒素またはアルゴン雰囲気下で行い、ヒドロホルミル化反応および水抽出操作は、すべて一酸化炭素と水素からなり、H2 /COモル比が1の混合ガス雰囲気下で行った。
【0037】
塩素、リチウム、ナトリウムおよびカリウムの定量は、イオンクロマトグラフィー(日本ダイオネクス株式会社製、DX−120型)を用いて行った。パラ−クロロベンゼンスルホン酸塩の定量は、 1H−NMR分光装置(日本電子株式会社製、ラムダ500型)を用いて行い、パラ−ジアリールホスフィノベンゼンスルホン酸塩およびその酸化物の定量は、31P−NMR分光装置(日本電子株式会社製、ラムダ500型)を用いて行った。また、7−オクテン−1−アールのヒドロホルミル化反応における生成物の定量は、ガスクロマトグラフィー(株式会社島津製作所製、GC−14B型)を用いて行った。
【0038】
参考例1
パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸カリウム塩の合成
還流管、滴下ロート、温度計および磁気回転子を備えた内容積1Lの3ツ口フラスコに、テトラヒドロフラン700mlを入れ、さらに金属カリウム29g(0.74mol)を加えた後、0.5時間還流して金属カリウムの分散液を得た。この分散液にクロロジフェニルホスフィン83g(0.376mol)を1.2時間かけて滴下した後、さらに1時間還流を行い、ジフェニルホスフィンのカリウム塩の溶液を得た。この溶液の温度を35℃にし、該溶液にパラ−クロロベンゼンスルホン酸リチウム塩74g(0.373mol)を加えた後、浴温50℃で45分間攪拌した。反応終了後、得られた反応混合物からテトラヒドロフラン350mlを留去し、得られた溶液にジイソプロピルエーテル300mlおよび水700mlを加え、抽出操作を行い、水層およびテトラヒドロフラン層からなる混合層を得た。この混合層をジイソプロピルエーテル300mlで洗浄し、水層を得た。この水層をろ過した後、容量が3分の2になるまで濃縮し、次いで、10℃まで氷冷し、析出した無色固体をろ取した。この無色固体をさらに水を用いて2回再結晶することにより、下記の物性を有するパラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸カリウム塩73g(クロロジフェニルホスフィン基準で収率51%)を得た。
【0039】
陽イオンはすべてカリウムイオンであり、塩素イオン含量は0.006mol%、パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸カリウム塩の酸化物の含量は0.47mol%、パラ−クロロベンゼンスルホン酸カリウム塩の含量は0.03mol%以下であった。
【0040】
1H−NMR(500MHz、重水、TSP、ppm):δ=7.3ppm(m,14H)、7.7ppm(d,2H)
31P−NMR(500MHz、重水、りん酸、ppm):δ=−5.37ppm(s,P)
【0041】
参考例2
パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩の合成
還流管、温度計および磁気回転子を備えた内容積500mlの3ツ口フラスコに水200mlを入れ、さらに参考例1と同様にして得られたパラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸カリウム塩50g(130mmol)および硫酸リチウム1水和物50g(390mmol)を加えた後、2時間還流した。得られた反応混合物を室温に冷却した後、該反応混合物にアセトン2Lを加え、次いで、固形分をろ別した。得られたろ液をロータリーエバポレーターを用いて濃縮乾固し、白色固体として、下記の物性を有するパラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩42g(収率92%)を得た。
【0042】
陽イオンはすべてリチウムイオンであり、塩素イオン含量は0.0133mol%、パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩の酸化物の含量は0.30mol%、パラ−クロロベンゼンスルホン酸リチウム塩の含量は0.03mol%以下であった。
【0043】
1H−NMR(500MHz、重水、TSP、ppm):δ=7.3ppm(m,14H)、7.7ppm(d,2H)
31P−NMR(500MHz、重水、りん酸、ppm):δ=−5.39ppm(s,P)
【0044】
参考例3
メタ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸ナトリウム塩の合成
滴下ロート、温度計および磁気回転子を備えた内容積1Lの3ツ口フラスコに濃硫酸150mlを入れ、さらにトリフェニルホスフィン150g(0.57mol)を、液温が30℃以下の温度を維持するように加え、トリフェニルホスフィンの濃硫酸溶液を得た。この濃硫酸溶液に25重量%の三酸化硫黄を含む発煙硫酸285mlを、液温が30℃以下の温度を維持するように、2時間かけて滴下した。滴下終了後、液温30℃以下で14時間攪拌した。得られた溶液を、液温10℃以下を維持するように、氷冷した水5Lに、2時間かけて希釈した。得られた希硫酸溶液にメチルイソブチルケトン4Lを加えて抽出操作を行い、有機層を得た。この有機層に5重量%の水酸化ナトリウム水溶液約300mlを加えて中和した。中和終了後、溶液は2層に分離しており、そのうちの水層を得た。水層をメチルイソブチルケトン250mlで洗浄した。水層を約200mlまで濃縮し、10℃まで氷冷し、析出した無色固体をろ取した。この無色固体をさらに水を用いて2回再結晶することにより、メタ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸ナトリウム塩35g(収率17%)を得た。
【0045】
陽イオンはナトリウムイオン100%であり、塩素イオン含量は0.002mol%、メタ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸ナトリウム塩の酸化物の含量は0.5mol%であった。
【0046】
実施例1
パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩−ロジウム錯体触媒を用いたヒドロホルミル化反応および触媒成分の回収
テフロン(登録商標)製磁気回転子を備えた内容積100mlの3ツ口フラスコに、Rh(acac)(CO)2 3.9mg(0.015mmol)および参考例2で合成したパラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩421mg(1.2mmol)を入れ、さらにポリエチレングリコールジメチルエーテル6mlを加えた後、50℃で30分間攪拌して均一な触媒溶液を調製した。テフロン(登録商標)製磁気回転子を備えた内容積50mlの3つ口フラスコに、上記の触媒溶液3mlおよび7−オクテン−1−アール27ml(0.167mol、純度93%)を入れて得られた混合液を、ガス導入口およびサンプリング口を備えた内容積100mlのオートクレーブに仕込んだ。全圧を3.0MPaにし、攪拌しながら内温を85℃に昇温した後、7時間反応を行い、1,9−ノナンジアール20.6g(0.132mol、収率79%)および2−メチル−1,8−オクタンジアール4.4g(0.028mol、収率17%)を得た。7−オクテン−1−アールの転化率は96%であり、直鎖状アルデヒド化合物と分岐鎖状アルデヒド化合物の生成比は4.65対1であった。なお、本実施例におけるロジウム濃度は約20ppmである。
【0047】
次いで、反応混合液を、予め水素/一酸化炭素の混合ガスで充分に置換した内容積50mlの3ツ口フラスコに、空気に触れないように圧送し、水9mlを加え、内温を30℃に保ちながら上記組成の混合ガス雰囲気下で20分間撹拌した。撹拌を停止した後に、下層の水層を抜き取った。液体クロマトグラフ分析の結果、パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩の回収率は82%であった。また、ICP発光分析の結果、ロジウムの回収率は97%であった。
【0048】
実施例2
パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩−ロジウム錯体触媒を用いたヒドロホルミル化反応および触媒成分の回収
実施例1において、パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩の421mg(1.2mmol)を105mg(0.3mmol)とし、圧力を1MPaとし、反応時間を4時間とした以外は同様の操作を行い、1,9−ノナンジアール21.1g(0.135mol、収率81%)および2−メチル−1,8−オクタンジアール4.1g(0.026mol、収率16%)を得た。7−オクテン−1−アールの転化率は97%であり、直鎖状アルデヒド化合物と分岐鎖状アルデヒド化合物の生成比は5.06対1であった。
【0049】
次いで、実施例1と同様の操作を行い、有機層と水層とを分離した。液体クロマトグラフ分析の結果、パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩の回収率は83%であった。また、ICP発光分析の結果、ロジウムの回収率は97%であった。
【0050】
比較例1
パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸カリウム塩−ロジウム錯体触媒を用いたヒドロホルミル化反応および触媒成分の回収
実施例1において、パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩421mg(1.2mmol)に代えて、参考例1で合成したパラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸カリウム塩460mg(1.2mmol)を用い、反応時間を3時間とした以外は同様の操作を行い、1,9−ノナンジアール18.8g(0.121mol、収率72%)および2−メチル−1,8−オクタンジアール6.0g(0.039mol、収率23%)を得た。7−オクテン−1−アールの転化率は95%であり、直鎖状アルデヒド化合物と分岐鎖状アルデヒド化合物の生成比は3.13対1であった。
【0051】
次いで、実施例1と同様の操作を行い、有機層と水層とを分離した。液体クロマトグラフ分析の結果、パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸カリウム塩の回収率は33%であった。また、ICP発光分析の結果、ロジウムの回収率は40%であった。
【0052】
比較例2
メタ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸ナトリウム塩−ロジウム錯体触媒を用いたヒドロホルミル化反応および触媒成分の回収
実施例1において、パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩421mg(1.2mmol)に代えて、参考例3で合成したメタ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸ナトリウム塩440mg(1.2mmol)を用い、反応時間を8時間とした以外は同様の操作を行い、1,9−ノナンジアール20.1g(0.129mol、収率73%)および2−メチル−1,8−オクタンジアール7.0g(0.045mol、収率27%)を得た。7−オクテン−1−アールの転化率は100%であり、直鎖状アルデヒド化合物と分岐鎖状アルデヒド化合物の生成比は2.70対1であった。
【0053】
次いで、実施例1と同様の操作を行い、有機層と水層とを分離した。液体クロマトグラフ分析の結果、メタ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸ナトリウム塩の回収率は70%であった。また、ICP発光分析の結果、ロジウムの回収率は94%であった。
【0054】
比較例1から明らかなように、パラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸カリウム塩を用いた場合には、分岐鎖状アルデヒドに対する直鎖状アルデヒドの比率は3.13と低く、さらに触媒成分の回収率は低い。これに対して、本発明のパラ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸リチウム塩を用いた場合には、分岐鎖状アルデヒドに対する直鎖状アルデヒドの比率は4.65以上であり、さらに触媒成分の回収率は高い。一方、比較例2に示したように、メタ−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を用いた場合には、触媒成分の回収率は高いものの、分岐鎖状アルデヒドに対する直鎖状アルデヒドの比率は2.70と低い。以上より、本発明の方法は直鎖状アルデヒドの選択性と経済性の両面で優れている。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、エチレン性不飽和化合物のヒドロホルミル化反応において経済性に優れ、かつ、直鎖状アルデヒドを高選択的に与えるVIII族金属錯体(I)が得られる。また、本発明によれば、VIII族金属錯体(I)を用いるヒドロホルミル化反応によりアルデヒド化合物を簡便かつ工業的有利に製造することができる。さらに、本発明によれば、ヒドロホルミル化反応混合物から触媒成分を、高収率で容易に回収することができる。
Claims (3)
- エチレン性不飽和化合物を触媒の存在下に一酸化炭素および水素によりヒドロホルミル化して、相当するアルデヒドを製造するに際し、触媒として請求項1に記載のVIII族金属錯体を使用することを特徴とするアルデヒドの製造方法。
- 請求項2に記載のアルデヒドの製造方法により得られる反応混合物から触媒成分を回収するに際し、該反応混合物を水と接触させて、該触媒成分を水層に抽出し、該水層から水を除去することを特徴とする上記の触媒成分の回収方法。
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