JP2004041580A - 外科手術用器具と外科手術システム - Google Patents

外科手術用器具と外科手術システム Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、内視鏡下手術において、体壁に開ける穴を減らして低侵襲化をはかり、より少ない術者で手術器具の操作を可能とし、処置具を動かす際の自由度を高め、作業性を高めて複雑で高度な外科手術を行い、かつその外科手術の手術時間を短縮できる外科手術用器具を提供することを最も主要な特徴とする。
【解決手段】外套管12の軸方向に略平行な1つのチャンネル12aにCCDカメラ14が挿入され、他の1つのチャンネル12bに関節付きの多自由度鉗子である第1鉗子15が、他の1つのチャンネル12cに第2鉗子16が挿入される。外套管12は支持部3により移動可能に保持され、先端ストッパピン49、後端ストッパピン50により、外套管12に挿入されたCCDカメラ14と、第1鉗子15および第2鉗子16とが一体的に移動操作可能となっている。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外科手術を行う際に術者が把持して使用する外科手術用器具と外科手術システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、内視鏡を使用した外科手術が広く行なわれている。この種の外科手術では患者の体壁に複数の穴をあけ、その1つから内視鏡を体内に挿入するとともに、他の穴から処置具を体内に挿入するようにしている。そして、内視鏡の観察視野内に処置具の先端部を収めることにより、内視鏡による体内の生体組織の観察を行ないながら同時に処置具による生体組織の処置が行なわれるようになっている。
【0003】
この外科手術時には、1本または複数本の処置具が内視鏡と同時に使用される。そのため、1人の術者が内視鏡と処置具とを同時に操作することは困難であるので、例えば助手に内視鏡を操作させながら、術者が処置具を操作するなどの作業が通常は行なわれている。
【0004】
また、例えば、米国特許第6,221,007号明細書には体内に挿入される挿入チューブに軸方向に伸びる2つの貫通孔を設け、その1つの貫通孔に内視鏡を挿入し、他方の貫通孔に処置具を挿入させた構成の外科用処置具が示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来の外科手術のように助手に内視鏡を操作させながら、術者が処置具を操作するなどの作業を行う場合には術者が助手に指示を出して内視鏡を移動させる操作を行なうことになる。そのため、内視鏡の向きを変更する作業に手間がかかるので、内視鏡の向きを術者が望む方向に正しく向ける作業が難しく、その作業に時間がかかり、外科手術全体の手術時間が長くなる問題がある。さらに、この場合には患者の体壁に内視鏡を挿入する穴と、処置具を挿入する穴とをそれぞれ別に設ける必要があるので、患者の体壁にあける穴の数が多くなる問題がある。
【0006】
また、米国特許第6,221,007号明細書の外科用処置具では、挿入チューブの貫通孔に挿入された外科用処置具は貫通孔の軸線方向に沿って移動させることしかできない。そのため、外科用処置具を貫通孔の軸線方向から外れた方向に移動させる場合には挿入チューブ全体の向きを変更しなければならず、狭い体腔内においては作業が難しくなる場合がある。さらに、挿入チューブ全体の向きを変更した場合には内視鏡の観察方向も同時に変更されるので、体内の処置対象となる生体組織の位置が観察装置の視野内で移動してしまい、生体組織の処置状態を確認し難くなるなど、外科手術の作業性が低下する問題がある。
【0007】
また、米国特許第6,221,007号明細書の外科用処置具では、内視鏡の動きと処置具の動きとが互いに拘束されているので、それぞれの操作時の作業範囲が比較的狭い問題がある。そのため、処置具を動かす際の自由度が小さいので、例えば生体組織の縫合・結紮操作などの複雑な作業を行なうことが難しい問題がある。
【0008】
本発明は、上記事情に着眼してなされたもので、その目的は、内視鏡下手術において、体壁に開ける穴を減らすことにより低侵襲化をはかり、かつより少ない術者で手術器具の操作を可能とし、さらに、処置具を動かす際の自由度を高め、作業性を高めることにより、複雑で高度な外科手術を行うことができ、かつその外科手術の手術時間を短縮することができる外科手術用器具を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、術者と助手などの複数の作業者が連携して外科手術を能率よく行なうことができる外科手術システムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1の発明は、細長い略軸上の挿入部の先端部に開閉可能な処置部が配置され、前記処置部が前記挿入部の軸心方向から外れた方向に屈曲操作可能に連結された処置具と、
体内腔を観察する観察手段と、
内腔に、前記観察手段と前記処置具が配置され、体内に挿入される長尺な挿入手段と、
前記挿入手段に挿入された前記観察手段と前記処置具とを一体的に操作可能とする連動手段と、
前記挿入手段に挿入された前記観察手段と前記処置具を互いに独立して操作可能とする支持手段とを備えることを特徴とする外科手術用器具である。
【0011】
そして、本請求項1の発明では、挿入手段に挿入される処置具の先端部の処置部を挿入部の軸心方向から外れた方向に屈曲操作させることにより、処置具を動かす際の自由度を高め、処置具の操作性を高めるとともに、観察手段と処置具とを、一体的に操作可能とする連動手段と、互いに独立して操作可能とする支持手段を備えたことにより、処置具の操作性をさらに高めるようにしたものである。
【0012】
請求項2の発明は、細長い略軸上の挿入部の先端部に開閉可能な処置部が配置され、前記処置部が前記挿入部の軸心方向から外れた方向に屈曲操作可能に連結された処置具と、
体内腔を観察する観察手段と、
内腔に、前記観察手段と前記処置具が配置され、体内に挿入される長尺な挿入手段と、
前記挿入手段に挿入された前記観察手段と前記処置具とを一体的に操作可能とする連動手段と、
前記挿入手段に挿入された前記観察手段と前記処置具を互いに独立して操作可能とする支持手段とを備えることを特徴とする器具ユニットを複数設け、
その中の1つの器具ユニットの作業状態を、別の器具ユニットの操作者へ画像情報で伝達する画像伝達手段を設けたことを特徴とする外科手術システムである。
【0013】
そして、本請求項2の発明では、1つの器具ユニットを術者が使用し、他の器具ユニットを助手などが使用して外科手術を行う際に、観察システムによって1つの器具ユニットの作業状態を、他の器具ユニット側でも画像情報として観察できるようにすることにより、術者と助手などの複数の作業者が連携して外科手術を能率よく行なうことができるようにしたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態を図1乃至図16を参照して説明する。図1は本実施の形態の外科手術用器具1のシステム全体の概略構成を示すものである。この外科手術用器具1には1つの操作ユニット(器具ユニット)2と、この操作ユニット2の支持部(支持手段)3とが設けられている。ここで、支持部3には例えば手術用ベッドや、手術室の床などの固定部に固定されるベース4が設けられている。このベース4には略鉛直方向に支軸5が立設されている。この支軸5はベース4に対して軸回り方向に回転可能に支持されている。
【0015】
また、支軸5の上端部には略平行四辺形状のリンク機構部6が配設されている。このリンク機構部6には2本の横リンクアーム6a,6bと、2本の縦リンクアーム6c,6dとがそれぞれそれぞれ平行に配置されている。さらに、平行四辺形状の上辺位置に配置された横リンクアーム6aの先端部は横方向に延出され、この延出端部には操作ユニット2を取付けるための取付け部材7が配設されている。
【0016】
また、リンク機構部6の平行四辺形状の下辺位置に配置された横リンクアーム6bの後端部にはバランス用第1錘8、平行四辺形状の縦リンクアーム6dの下端部にはバランス用第2錘9がそれぞれ配設されている。これらのバランス用第1錘8およびバランス用第2錘9は取付け部材7に取付けられる操作ユニット2とバランスをとるように設定されている。
【0017】
さらに、支持部3には縦リンクアーム6dと横リンクアーム6bとの交差部の関節部に第1調整ノブ10、ベース4に支軸5の動きを調整する第2調整ノブ11がそれぞれ取付けられている。そして、これらの第1調整ノブ10および第2調整ノブ11の締め込み量によってリンク機構部6を動かす際の動きやすさ(重さ)などを調整するようになっている。
【0018】
また、操作ユニット2には体内に挿入される外套管(挿入手段)12が設けられている。図2に示すようにこの外套管12は予め患者の体壁Hに刺入されたトロッカー13内に挿入され、このトロッカー13内を通して体内に挿入されるようになっている。
【0019】
そして、支持部3のリンク機構部6の動きによって、外套管12は、図2に示すように患者の体壁Hにおけるトロッカー13の刺入点Oを中心に図2中に矢印Aで示す第1の首振り方向と、同図中に矢印Bで示すように第1の首振り方向と直交する第2の首振り方向、および、同図中に矢印Cで示すように、トロッカー13に沿った軸方向とにそれぞれ移動可能に支持されている。
【0020】
また、図3は外套管12の先端面、図4は図3のIV−IV線断面図、図5は図3のV−V線断面図をそれぞれ示すものである。これらの図3〜図5に示すように外套管12にはその軸方向に対して略平行な複数、本実施の形態では7つのチャンネル12a〜12gが形成されている。
【0021】
ここで、外套管12の軸心位置に配置されたチャンネル12a内にはCCDカメラ(観察手段)14のカメラ保持シャフト14aが挿入されている。そして、このチャンネル12aによってカメラガイド穴が形成されている。さらに、軸心位置のチャンネル12aの両側のチャンネル(連動手段)12b,12cには処置具としての後述する関節付きの第1鉗子15および第2鉗子16がそれぞれ挿入されるようになっている。そして、一方のチャンネル12bによって第1鉗子15用の鉗子ガイド穴、他方のチャンネル12cによって第2鉗子16用の鉗子ガイド穴がそれぞれ形成されている。鉗子ガイド穴は、鉗子の軸方向の移動および軸回りの回転以外の動きを規制しているため、鉗子の軸方向の移動および軸回りの回転以外の動きは、外套管12全体の動きとして伝えられる。つまり、この鉗子ガイド穴は、鉗子と外套管12との連動手段として機能する。
【0022】
また、図3中で、軸心位置のチャンネル12aの上側のチャンネル12dには導光用の光ファイバによって形成されるライトガイド17が挿入されている。さらに、図3中で、軸心位置のチャンネル12aの下側の3つのチャンネル12e,12f,12gは他の処置具が挿入される処置具ポートとして使用されるようになっている。
【0023】
また、図4に示すように外套管12の基端部外周面には支持部3への取付け用のフランジ部18が形成されている。さらに、外套管12の基端部端末部には2本のハンドル19が取り付けられている。なお、外套管12の基端部内周面側には気密部材20が配設されている。
【0024】
また、支持部3の取付け部材7には図6に示すようにフランジ受け21が設けられている。フランジ受け21の内周面にはフランジ挿入溝21aが形成されている。図4、図5に示すようにこのフランジ挿入溝21aには外套管12のフランジ部18が挿入されている。そして、外套管12は支持部3の取付け部材7におけるフランジ受け21のフランジ挿入溝21aに沿って軸回り方向に回転可能に支持されている。
【0025】
さらに、図6に示すようにフランジ受け21の外周面には支持部3の取付け部材7が固定されている。このフランジ受け21の外端面には図5に示すようにスコープ保持台22Aが設けられている。このスコープ保持台22Aにはフランジ受け21の外端面に突設されたスコープ保持アーム22が設けられている。このスコープ保持アーム22の先端部には第1のスコープ保持部材23aの一端部が連結されている。この第1のスコープ保持部材23aの他端部側には略L字状の第2のスコープ保持部材23bが対向配置されている。そして、第1のスコープ保持部材23aと第2のスコープ保持部材23bとの間にカメラ保持シャフト14aが挟持されている。なお、第1のスコープ保持部材23aと第2のスコープ保持部材23bとの間にはスコープ固定ねじ24が取付けられている。これにより、外套管12が支持部3の取付け部材7におけるフランジ受け21のフランジ挿入溝21aに沿って軸回り方向に回転される際にカメラ保持シャフト14aは固定状態で保持されるようになっている。
【0026】
また、カメラ保持シャフト14aの基端部には光ケーブル接続部25と、電気接点部26とが設けられている。光ケーブル接続部25には一端が光源装置27に接続された光ケーブル28の他端が接続されている。さらに、電気接点部26には一端がカメラコントロールユニット(CCU)29に接続された電気ケーブル30の他端が接続されている。カメラコントロールユニット29にはモニタ31が接続されている。そして、CCDカメラ14による観察画像がモニタ31に表示されるようになっている。
【0027】
また、本実施の形態では第1鉗子15および第2鉗子16は略同一構成になっている。そのため、ここでは第1鉗子15の構成のみを説明し、第2鉗子16における第1鉗子15と同一部分には同一の符号付してその説明を省略する。
【0028】
図7は本実施の形態の第1鉗子15の全体の外観を示すものである。すなわち、本実施の形態の第1鉗子15は、細長い略軸状の挿入部32と、この挿入部32の先端部に設けられた処置部33と、挿入部32の基端部に設けられた操作部34とから構成されている。そして、この第1鉗子15は、例えば特開2001−299768号公報に示されているように処置部33が挿入部32の軸心方向から外れた方向に屈曲操作可能に連結された多自由度鉗子によって形成されている。
【0029】
挿入部32は長尺の細径パイプによって構成され、この内部には細径棒からなる開閉リンクを構成する第1の駆動棒35と、回動リンクを構成する第2の駆動棒36および第3の駆動棒37とがほぼ平行に挿通されている。この第1の駆動棒35は挿入部32の軸心より上側に偏って配置され、第2および第3の駆動棒36,37は挿入部32の軸心より下側で左右対称的に配置され、かつ軸方向に独立して進退自在である。
【0030】
また、処置部33は次の通り構成されている。すなわち、挿入部32の先端部には前方に向かって突出し、剛性を有する支持部38が一体に設けられている。この支持部38の先端部には開閉可能な一対の処置片39a,39bを備えたジョー39と、このジョー39の処置片39a,39b間を開閉操作し、かつジョー39全体を挿入部32の軸心方向から外れた方向に屈曲操作可能に連結させる先端側リンク機構40とが設けられている。この先端側リンク機構40には処置片39a,39bの基端部が連結されているとともに、第1の駆動棒35と第2および第3の各駆動棒36,37の先端部がそれぞれ連結されている。
【0031】
また、操作部34には処置部33を操作するハンドルユニット41が設けられている。このハンドルユニット41にはジョー39の処置片39a,39b間を開閉操作する2つの鉗子ハンドル(第1ハンドル42および第2ハンドル43)と、これらのハンドル42,43間を開閉可能に、かつハンドルユニット41全体を挿入部32の軸心方向から外れた方向に屈曲操作可能に連結させる手元側リンク機構44とが設けられている。
【0032】
さらに、ハンドルユニット41には2つのハンドル42,43の一端部側間を枢軸45によって回動自在に連結させるハンドル支持部46が設けられている。また、第1ハンドル42の他端部には術者が操作時に親指以外の指を掛ける指掛けリング42aが設けられ、第2ハンドル43には術者が操作時に親指を掛ける指掛けリング43aが設けられている。
【0033】
さらに、手元側リンク機構44には2つのハンドル42,43の各一端部が連結されているとともに、第1の駆動棒35と第2および第3の各駆動棒36,37の基端部がそれぞれ連結されている。
【0034】
そして、第1鉗子15の操作時には2つのハンドル42,43間を枢軸45を中心に開閉操作することにより、第1の駆動棒35が軸方向に移動されるようになっている。このとき、2つのハンドル42,43間を開操作することにより、第1の駆動棒35を前進させ、第1および第2の処置片39a,39bが開くようになっている。逆に、2つのハンドル42,43間を閉操作することにより、第1の駆動棒35を後退させ、第1および第2の処置片39a,39bが閉じるようになっている。
【0035】
また、本実施の形態では第1鉗子15のハンドルユニット41は挿入部32の軸心方向から外れた2方向(図8(A),(B)に示す第1の屈曲方向と、図9(A),(B)に示す第2の屈曲方向と)にそれぞれ首振り状態で屈曲操作可能になっている。ここで、図8(A),(B)に示す第1の屈曲方向では図8(A)に示すようにこのハンドルユニット41全体を挿入部32の軸心方向に沿って真っ直ぐに伸ばした基準位置と、図8(B)に示すようにハンドルユニット41全体を挿入部32の軸心方向から第1ハンドル42の方向に2つのハンドル42,43の開閉操作方向の面に沿って略直角に屈曲させた屈曲位置とに屈曲操作可能になっている。このとき、ハンドルユニット41が図8(A)に示すように基準位置で保持されている状態では処置部33のジョー39も挿入部32の軸心方向に沿って真っ直ぐに伸ばした基準位置で保持されるようになっている。そして、ハンドルユニット41が図8(A)に示す基準位置から図8(B)に示す屈曲位置に屈曲操作された場合にはこのハンドルユニット41の動作に連動して処置部33のジョー39が図8(B)中に矢印で示すようにハンドルユニット41の動作方向と同方向に挿入部32の軸心方向から略直角に屈曲させた屈曲位置に屈曲操作されるようになっている。これにより、処置部33のジョー39を挿入部32の軸心方向から外れる方向に屈曲操作させる1軸方向の自由度が確保されている。
【0036】
さらに、図9(A),(B)に示す第2の屈曲方向では図8(A),(B)に示す第1の屈曲方向の状態から第1鉗子15が挿入部32の軸回り方向に90°回転操作させた方向に配置される。この方向から見て図9(A)に示すようにこのハンドルユニット41全体を挿入部32の軸心方向に沿って真っ直ぐに伸ばした基準位置と、ハンドルユニット41全体を上下方向に回動操作させた屈曲位置とに屈曲操作可能になっている。なお、図9(B)はハンドルユニット41全体を例えば斜め下方向に回動操作させた屈曲位置を示す。このとき、ハンドルユニット41が図9(A)に示すように基準位置で保持されている状態では処置部33のジョー39も挿入部32の軸心方向に沿って真っ直ぐに伸ばした基準位置で保持されるようになっている。
【0037】
そして、ハンドルユニット41が図9(A)に示す基準位置から図9(B)に示す屈曲位置に屈曲操作された場合にはこのハンドルユニット41の動作に連動して処置部33のジョー39が図9(B)中に矢印で示すようにハンドルユニット41の動作方向と同方向に挿入部32の軸心方向から外れる斜め上方向に屈曲させた屈曲位置に屈曲操作されるようになっている。これにより、処置部33のジョー39を挿入部32の軸心方向から外れる方向(図8(A),(B)に示す第1の屈曲方向とは異なる方向)に屈曲操作させる他の1軸方向の自由度が確保されている。したがって、本実施の形態の第1鉗子15では処置部33のジョー39を挿入部32の軸心方向から外れた2方向(図8(A),(B)に示す第1の屈曲方向と、図9(A),(B)に示す第2の屈曲方向)に首振り状態で屈曲させる2軸方向の自由度が確保されている。
【0038】
また、第2鉗子16の挿入部32の先端部外周面には外套管12の鉗子ガイド穴の先端部周縁部位に突き当たる状態で係合される先端ストッパピン(連動手段)49が突設されている。さらに、第2鉗子16の挿入部32の後端部側の外周面には外套管12の鉗子ガイド穴の後端部周縁部位に突き当たる状態で係合される後端ストッパピン(連動手段)50が突設されている。ここで、先端ストッパピン49と後端ストッパピン50との間の間隔は外套管12のチャンネル12cの鉗子ガイド穴の両端間の長さよりも大きくなるように設定されている。そして、第2鉗子16は図4に示すように先端ストッパピン49が外套管12の鉗子ガイド穴の先端部周縁部位に突き当たる状態で係合された先端係合位置と、図10に示すように後端ストッパピン50が鉗子ガイド穴の後端部周縁部位に突き当たる状態で係合された後端係合位置との間の範囲で軸方向に移動可能に支持されている。第1鉗子15、第2鉗子16ともに外套管12の鉗子ガイド穴に挿入されていることにより、図11中に矢印Aで示すように外套管12に対して第1鉗子15および第2鉗子16はそれぞれ独立に軸方向に移動可能に支持される。この時、ハンドル19の位置は次のように設定されている。
【0039】
第2鉗子16の挿入部32の先端部外周面に突設された先端ストッパピン49が、外套管12の鉗子ガイドの穴の先端部周縁部位に突き当たった時、第2鉗子16上に設けたある基準点は、図10に示す点Cの位置に来る。また、第2鉗子16の挿入部32の後端部外周面に突設された後端ストッパピン50が、外套管12の鉗子ガイド穴の後端部周縁部位に突き当たった時、第2鉗子16上に設けたある基準点は、図10に示す点Bの位置に来る。ハンドル19の位置は、点Cと点Bの中間である、点Aの位置と、外套管12の軸方向では同一となるよう設定されている。
【0040】
さらに、第1鉗子15は図11中に矢印Bで示すように外套管12のチャンネル12b内でその軸回り方向に回転自在に支持されている。同様に、第2鉗子16は外套管12のチャンネル12c内でその軸回り方向に回転自在に支持されている。これにより、第1鉗子15および第2鉗子16はそれぞれ独立に軸回り方向に回転可能に支持されている。
【0041】
次に、上記構成の本実施の形態の作用について説明する。本実施の形態の外科手術用器具1の使用時には支持部3のリンク機構部6の取付け部材7に操作ユニット2が取付けられる。この操作ユニット2の外套管12におけるチャンネル12aのカメラガイド穴内にはCCDカメラ14が挿入された状態で装着されている。この状態で、予め患者の体壁Hに刺入されたトロッカー13内に操作ユニット2が挿入され、このトロッカー13内を通して体内に挿入される。
【0042】
続いて、外套管12におけるチャンネル12bの鉗子ガイド穴内に第1鉗子15、チャンネル12cの鉗子ガイド穴内に第2鉗子16がそれぞれ挿入される。この状態で、術者が鉗子のハンドルユニット41を握り、操作ユニット2全体を次の通り、自由に動かすことができる。
【0043】
術者は、第1鉗子15および第2鉗子16に設けられたハンドルユニット41を持ち、それを上下左右に動かすことで、図2に示すように、患者の体壁Hにおけるトロッカー13の刺入点Oを中心に、図2中に矢印Aで示す第1の首振り方向と、同図中に矢印Bで示すように第1の首振り方向と直交する第2の首振り方向、およびこれ以外の任意の首振り方向にそれぞれ移動させることができる。さらに、第2鉗子16の挿入部32の先端部外周面に突設された、先端ストッパピン49が、外套管12の鉗子ガイド穴の先端部周縁部位に突き当たる状態まで第2鉗子を手前側に引き、その状態でさらに第2鉗子16を手元側に引くことにより、外套管12を、図2中に矢印Cで示す方向で、手元側に移動させることができる。同様に、第2鉗子16の挿入部32の後端部外周面に突設された、後端ストッパピン50が、外套管12の鉗子ガイド穴の後端部周縁部位に突き当たる状態まで第2鉗子16を押していき、その状態で、さらに第2鉗子16を押すことにより、外套管12を、図2中に矢印Cで示す方向で、術者から遠ざかる向きに移動させることができる。これにより、操作ユニット2の外套管12に装着されているCCDカメラ14と、第1鉗子15および第2鉗子16とを一緒に同時に同方向に移動させることができる。尚、これらと同様の動きは、術者がハンドル19を握り、それを操作することによっても可能である。
【0044】
以上、CCDカメラ(観察手段)と鉗子(処置具)とが連動した動きについて説明した。
【0045】
次に、図12(A)〜(C)は操作ユニット2全体が支持部3のリンク機構部6のフランジ受け21間で回動する回動動作を説明する説明図である。ここで、図12(A)は支持部3のリンク機構部6のフランジ受け21間で操作ユニット2全体が軸回り方向の回転角度が0°の定位置で保持されている状態を示す。この状態で、術者が第1鉗子15および第2鉗子16を握り、操作ユニット2全体を時計回り方向、或いは反時計回り方向に回転させることができる。
【0046】
図12(B)は同図中に矢印Aで示すように操作ユニット2全体を定位置から反時計回り方向に軸回りに回転駆動させた状態、図12(C)は同図中に矢印Bで示すように操作ユニット2全体が定位置から時計回り方向に軸回りに回転駆動させた状態をそれぞれ示す。このとき、CCDカメラ14はスコープ保持台22Aによって非回転状態で保持されている。そのため、操作ユニット2の回転によって第1鉗子15および第2鉗子16を一緒に同時に同方向に回転させた場合であってもCCDカメラ14の観察視野は固定したままの状態で保持することができる。この動きは術者がハンドル19を握り、それを操作することによっても可能である。
【0047】
また、操作ユニット2の外套管12内に装着されているCCDカメラ14と、第1鉗子15および第2鉗子16とは次の通り、それぞれ独立に動かこともできる。すなわち、CCDカメラ14は、外套管12のチャンネル12a内で、その軸回りに回転、固定することができる。また、第1鉗子15および第2鉗子16は図11中に矢印Aで示すように外套管12に対してそれぞれ独立に軸方向に移動させることができる。
【0048】
さらに、第1鉗子15は図11中に矢印Bで示すように外套管12のチャンネル12b内でその軸回り方向に回転させることができる。同様に、第2鉗子16は外套管12のチャンネル12c内でその軸回り方向に回転させることができる。これにより、第1鉗子15および第2鉗子16はそれぞれ独立に軸回り方向に回転させることができる。
【0049】
また、第1鉗子15および第2鉗子16はそれぞれハンドルユニット41の第1ハンドル42および第2ハンドル43を開閉操作することにより、ジョー39の処置片39a,39b間を開閉操作することができる。
【0050】
さらに、第1鉗子15のハンドルユニット41を図8(A)に示す真っ直ぐに伸ばした基準位置から図8(B)に示す第1の屈曲方向に屈曲操作した場合にはこのハンドルユニット41の動作に連動して処置部33のジョー39が図8(B)中に矢印で示すようにハンドルユニット41の動作方向と同方向に挿入部32の軸心方向から略直角に屈曲させた屈曲位置に屈曲操作される。
【0051】
また、第1鉗子15のハンドルユニット41を図9(A)に示す真っ直ぐに伸ばした基準位置から図9(B)に示す屈曲位置に屈曲操作した場合にはこのハンドルユニット41の動作に連動して処置部33のジョー39が図9(B)中に矢印で示すようにハンドルユニット41の動作方向と同方向に挿入部32の軸心方向から外れる斜め上方向に屈曲させた屈曲位置に屈曲操作される。なお、第2鉗子16もこの第1鉗子15と同様に操作可能である。鉗子がこれらの動きをするときでも、外套管12は、支持部3により保持されているため動くことはない。
【0052】
以上が、CCDカメラ(観察手段)と鉗子(処置具)とのそれぞれ独立した動きである。
【0053】
また、本実施の形態の外科手術用器具1では上述した操作ユニット2の動きと、第1鉗子15および第2鉗子16の動きとを組み合わせることにより、さらに多彩に第1鉗子15および第2鉗子16をそれぞれ操作することができる。例えば、図13は第1鉗子15における処置部33のジョー39を首振り状態に屈曲させるとともに、操作ユニット2が回転していない状態で第1鉗子15のみを軸回り方向に回転させた状態を示す。この状態では、第1鉗子15における処置部33のジョー39の先端の回転範囲M1は比較的小さな範囲で保持される。
【0054】
また、図14は図13と同様に第1鉗子15における処置部33のジョー39を首振り状態に屈曲させた状態で、外科手術用器具1における操作ユニット2全体を回転させるとともに、第1鉗子15を同時に軸回り方向に回転させた状態を示す。この状態では、第1鉗子15における処置部33のジョー39の先端の回転範囲M2は図13の回転範囲M1よりも大きな範囲に変更することができる。
【0055】
また、図15は本実施の形態の外科手術用器具1の使用例を示すものである。ここでは、第2鉗子16で患者の体内臓器などの処置対象組織H1の一部を把持させる。この状態で、外套管12の処置具ポートのチャンネル12eを通して例えば電気メス51などの処置具を体内に挿入させる。その後、この電気メス51を第1鉗子15によって把持し、処置対象組織H1に導いて処置対象組織H1を電気メス51によって処置するようになっている。
【0056】
また、図16は外科手術用器具1の使用時にトロッカー13とは別の場所から患者の体壁Hに刺入された外付けの処置具ポート52を通して電気メス51を体内に挿入させている。その後、この電気メス51を第1鉗子15によって把持し、処置対象組織H1に導いて処置対象組織H1を電気メス51によって処置するようになっている。
【0057】
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態の外科手術用器具1では外套管12の1つのチャンネル12bに挿入される第1鉗子15の先端部の処置部33を挿入部32の軸心方向から外れた方向に首振り状態で屈曲操作させることにより、第1鉗子15を動かす際の自由度を高め、第1鉗子15の操作性を高めることができる。なお、第2鉗子16も同様である。
【0058】
また、本実施の形態の外科手術用器具1では1つの操作ユニット2の外套管12の内部にCCDカメラ14と第1鉗子15および第2鉗子16とを挿入して組み込んだので、これらを1人の作業者が同時に移動させるなどの操作を行うことができる。さらにこの移動をおこなったときでも、CCDカメラ14と第1鉗子15および第2鉗子16との位置関係が変わることがなく、腹腔内の作業をあたかも作業者が直接自分の目で見ながら、直接自分の手で行っているかのように作業をすることができる。そのため、患者の体壁にあける穴を減らし、かつ処置具の操作性を高めて外科手術の作業性を高めることができる。
【0059】
さらに、第2鉗子16は、図4に示すように、先端ストッパピン49が外套管12の鉗子ガイド穴の先端部周縁部位に突き当たる位置と、後端ストッパピン50が外套管12の鉗子ガイド穴の後端部周縁部位に突き当たる位置との範囲で、軸方向に移動可能に支持されている。先端ストッパピン49が、外套管12の鉗子ガイド穴の先端部周縁部位に突き当たる位置まで第2鉗子16を手元側に引き、その状態からさたに第2鉗子16を手元側に引く、もしくは、後端ストッパピン50が、外套管12の鉗子ガイド穴の後端部周縁部位に突き当たる位置まで第2鉗子16を押し、その状態からさらに第2鉗子16を押していくことにより、鉗子から手を離さずに、操作ユニット2をその軸方向に移動することが可能となる。また、鉗子ハンドル19の位置が、図10中に示す位置、すなわち、第2鉗子16の先端ストッパピン49が、外套管12の鉗子ガイド穴の先端部周縁部位に突き当たる時の第2鉗子16上に設けたある基準点の位置Cと、第2鉗子16の後端ストッパピン50が、外套管12の鉗子ガイド穴の後端部周縁部位に突き当たるときの第2鉗子16上に設けたある基準点の位置Bとの中間位置Aと、ハンドル19の位置とが、外套管12の軸方向で同一となるように設定したことにより、作業者は、第2鉗子16の先端ストッパピン49が、外套管12の先端部周縁部位に突き当たる位置、および第2鉗子16の後端ストッパピン50が、外套管12の後端部周縁部位に突き当たる位置とを把握しやすくなり、鉗子の操作により操作ユニット2が、その軸方向に意図せず移動するのを防ぐことができる。この、第2鉗子16の操作による操作ユニット2の軸方向の移動に加え、第1鉗子15および第2鉗子16の操作により、操作ユニット2を図2中に示すように、患者の体壁Hにおけるとロッカー13の刺入点Oを中心に、図2中の矢印Aで示す第1の首振り方向と、同図中に矢印Bで示すような第2の首振り方向、およびこれ以外の任意の首振り方向にそれぞれ移動させることが可能であり、作業者は、第1鉗子15および第2鉗子16から手を離すことなく操作ユニット2の操作をできる。これにより、外科手術の作業性をさらに高めることができる。
【0060】
また、外套管12には、他の処置具が挿入される処置具ポートとして使用される3つのチャンネル12e,12f,12gが設けられ、ここから挿入される軟性処置具を第1鉗子15または第2鉗子16で掴んでの処置が可能となっている。よって、作業者は第1鉗子15および第2鉗子16から手を離さずとも、すなわち器具の入れ替えをせずに、様々な処置具を扱うことができる。これにより、手術時間の短縮をはかることができる。さらに第1鉗子15および第2鉗子16は、先端に自由度をもっており、これら第1鉗子15および第2鉗子16と軟性処置具とを組み合わせて使用することにより、非常に高い操作性を得ることができる。
【0061】
したがって、本実施の形態の外科手術用器具1では、体壁に開ける穴を減らすことにより低侵襲化をはかり、かつより少ない術者で手術器具の操作が可能となる。さらに、第1鉗子15や、第2鉗子16の自由度を高め、作業性を高めることにより、複雑で高度な外科手術を行うことができ、かつその外科手術の手術時間を短縮することができる。
【0062】
また、図17は第1の実施の形態(図1乃至図16参照)の外科手術用器具1における第1鉗子15の処置部33の変形例を示す側面図である。本変形例では先端側リンク機構40に処置部33のジョー39の各処置片39a,39bの基端部をねじ式の固定ピン61a,61bによって着脱可能に連結させたものである。この場合には予め複数の種類のジョー39の各処置片39a,39bを準備しておくことにより、先端側リンク機構40に取付けるジョー39の各処置片39a,39bを作業内容に応じて適宜、選択して交換することができる。このとき、第1鉗子15と、第2鉗子16とで、それぞれ異なる処置片を使用しても良い。そのため、作業内容に合わせて好適なジョー39の各処置片39a,39bの形状が選択できる効果がある。
【0063】
また、図18(A),(B)は第1の実施の形態の外科手術用器具1における第1鉗子15の操作部34の変形例を示すものである。本変形例では2つの鉗子ハンドル(第1ハンドル42および第2ハンドル43)の各指掛けリング42a,43aに長穴形状の指穴71a,71bが形成されている。さらに、本変形例では各指掛けリング42a,43aの外枠の外面側に指掛用凹部を備えたグリップ部72a,72bが形成されている。
【0064】
そして、本変形例の外科手術用器具1の使用時には図18(A)に示すように鉗子ハンドル42の長穴形状の指穴71a,71b内に手指を挿入した状態と、図18(B)に示すように鉗子ハンドル42の外枠のグリップ部72a,72bを手指で握った状態とに鉗子ハンドル42の持ち方を切換えることができる。
【0065】
ここで、図18(A)に示すように鉗子ハンドル42の各指掛けリング42a,43aの内部に手指を挿入することにより、第1鉗子15のジョー39の処置片39a,39b間を開きやすい。また、図18(B)に示すように鉗子ハンドル42の外枠のグリップ部72a,72bを手指で握った場合には第1鉗子15のジョー39の処置片39a,39b間を閉じる操作を軽く行なうことができ、その作業が行ないやすい。そのため、例えば本変形例の外科手術用器具1によって生体組織を剥離する作業などを効率よく行なうことができる。
【0066】
また、図19および図20は第1の実施の形態の外科手術用器具1における第1鉗子15と外套管12との位置規制手段(連動手段)の第1の変形例を示す縦断面図である。本変形例では第1鉗子15の操作部34にレバー式の位置規制手段81を設けたものである。このレバー式の位置規制手段81には第1鉗子15に配設された挿入部32の軸方向に沿って移動可能な1本のロック操作部材82が設けられている。このロック操作部材82の先端部には第1鉗子15を外套管12の内周面に固定する爪状のロック部材83が設けられている。
【0067】
そして、本変形例の外科手術用器具1の使用時には図19に示すようにレバー式の位置規制手段81が手元側に引き上げられている状態ではロック部材83の爪部が外套管12の内周面から離れた位置で保持される。これにより、外套管12およびCCDカメラ14に対して第1鉗子15が軸方向および軸回り方向に自由に移動可能な状態で保持される。
【0068】
また、ロック操作部83のレバーを図19の位置から前方に押し出し操作することにより、図20に示すようにロック部材82が外側に拡開する。これにより、ロック部材82の爪部が外套管12の内周面に圧接され、外套管12に対して第1鉗子15の位置が一定位置で移動不能な状態にロックされる。連動手段を、CCDカメラ14と第1鉗子15とが一体的に操作可能な状態と、独立して操作可能な状態とに切替え可能な構成とし、その切替え操作手段である位置規制手段81を第1鉗子15のハンドル付近に設けたため、1人の作業者だけでCCDカメラ(観察手段)14と第1鉗子(処置具)15とを意のままに操作することができるとともに、第1鉗子15および第2鉗子のハンドルから手を離すことなくその操作が可能となる。
【0069】
また、図21は第1の実施の形態の外科手術用器具1における第1鉗子15と外套管12との位置規制手段(連動手段)の第2の変形例を示すものである。これは、外套管12における第1鉗子15用のチャンネル12b内に電磁石91を設けるとともに、挿入部32の基端部にこの電磁石91をオンオフ操作するスイッチ92を設けたものである。
【0070】
そして、本変形例ではスイッチ92の切換え操作によって電磁石91への通電状態を切換えることができる。ここで、電磁石91への通電遮断時には電磁石91による吸着力が作用しないので、外套管12に対して第1鉗子15が軸方向および軸回り方向に自由に移動可能な状態で保持される。さらに、電磁石91への通電時には電磁石91による吸着力によって外套管12に対して第1鉗子15の位置が一定位置で移動不能な状態にロックされる。本変形例においても第1の変形例と同様の効果を得ることができる。
【0071】
また、図22は本発明の第2の実施の形態の外科手術用器具101を示すものである。本実施の形態の外科手術用器具101には手押しなどの操作によって移動可能なテーブル形のカート102が設けられている。このカート102の底部にはキャスタ103が配設されている。
【0072】
さらに、カート102の上面には第1の実施の形態(図1乃至図16参照)と同様の1つの操作ユニット104と、この操作ユニット104の支持部105とが設けられている。この支持部105は第1の実施の形態のリンク機構部6と同様の構成のリンク機構部106によって形成されている。
【0073】
また、カート102の内部の棚上には光源装置107とカメラコントロールユニット(CCU)108とが配設されている。さらに、カメラコントロールユニット108にはモニタ109が接続されている。そして、CCDカメラ14による観察画像がモニタ109に表示されるようになっている。
【0074】
したがって、本実施の形態では手押しなどの操作によって移動可能なテーブル形のカート102に外科手術用器具101の各構成機器を装着したので、外科手術用器具101全体の移動などの作業が容易になる。
【0075】
また、図23は本発明の第3の実施の形態の外科手術用器具111のシステム全体の概略構成を示すものである。本実施の形態では固定式のモニタ109に代えて例えば液晶ディスプレイ112などの表示装置を第2の実施の形態(図22参照)の外科手術用器具101における外套管12の基端部の取付け部材7に設けたものである。
【0076】
したがって、本実施の形態では外科手術用器具101の各構成機器と一緒に液晶ディスプレイ112などの表示装置をカート102によって搬送することができる。そのため、第2の実施の形態の外科手術用器具111のシステムに比べて外科手術用器具101全体の移動などの作業がさらに一層、容易になる。さらに、操作ユニット2の近傍に液晶ディスプレイ112などの表示装置が配設されているので、操作ユニット2を操作する術者がCCDカメラ14による観察像を観察しやすく、かつ術者が操作する第1鉗子15および第2鉗子16の方向と、液晶ディスプレイ112に表示された第1鉗子15および第2鉗子16の映像の方向とが一致するので、あたかも開腹して手術を行なっているような臨場感をもって作業を行なうことができる。
【0077】
また、図24乃至図26は本発明の第4の実施の形態を示すものである。図24は本実施の形態の外科手術用器具121の概略構成を示すものである。この外科手術用器具121には予め患者の体壁Hに刺入されたトロッカー122内に挿入され、このトロッカー122内を通して体内に挿入される1つの外套管(挿入手段)123と、この操作ユニット123の支持部(支持手段)124とが設けられている。この支持部124の先端部には外套管123を取付けるための取付け部材125が配設されている。
【0078】
また、外套管123内には図25に示すようにCCDカメラ(観察手段)126と、処置具としての関節付きの1つの鉗子127と、2つのライトガイド128a,128bとが挿入されている。ここで、外套管123の内部には鉗子ガイド穴(連動手段)123aが形成されている。そして、この鉗子ガイド穴123a内に鉗子127が軸回り方向に回転可能かつ軸方向に移動可能に挿入されている。尚、図示はしていないが、本実施の形態においても、第1の実施の形態およびその第1、第2の変形例における連動手段と同様のものが設けられている。
【0079】
さらに、鉗子127は第1の実施の形態の第1鉗子15と同様に細長い略軸状の挿入部129と、この挿入部129の先端部に設けられた処置部130と、挿入部129の基端部に設けられた操作部131とから構成されている。ここで、図26に示すように挿入部129の先端部の処置部130の外径Bは挿入部129の外径Aよりも大きく、外套管123の内径Cよりも小さくなるように設定されている。
【0080】
そこで、上記構成のものにあたっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態では、図示しない連動手段により、鉗子127と、CCDカメラ126とが図2に矢印A、矢印Bおよび矢印Cで示す方向に、一体的に操作可能な状態をとれるため、1人の作業者が、鉗子127とCCDカメラ126とを同時に操作することができる。さらに、鉗子127が、鉗子ガイド穴123a内で軸回りに回転可能かつ軸方向に移動可能な、CCDカメラ126とは独立して操作可能な状態をとれ、かつ鉗子127の関節の動きが可能であるため、鉗子の自由度が増し、作業性をさらに高めることができる。
【0081】
さらに、本実施の形態では図26に示すように挿入部129の先端処置部130の外径Bは挿入部129の外径Aよりも大きく、外套管123の内径Cよりも小さくなるように設定されている。そのため、CCDカメラ126と、関節付きの鉗子127との間の距離を接近させることができ、処置部130の自由度を保ちながら、外套管123の外径を小さくできる効果がある。
【0082】
したがって、本実施の形態の外科手術用器具121では、体壁に開ける穴を減らし、その穴を小さいものとすることにより低侵襲化がはかれ、かつより少ない術者で手術器具の操作が可能となる。さらに、鉗子121の自由度を高め、作業性を高めることにより、複雑で高度な外科手術を行うことができ、かつその外科手術の手術時間を短縮することができる。
【0083】
さらに、片手でCCDカメラ126と鉗子127との2つを独立、連動させて操作することができるため、術者は、もう片方の手で通常のトロッカーを介して、通常の内視鏡下外科手術用器具を使用することができる。この結果、両手で2つの処置具と観察手段の3つの器具を独立、連動させて操作することができる。
【0084】
さらに本実施例においては、片側の通常のトロッカーを介して内視鏡下外科手術等で使用される様々な処置器具を交換して使えるため、手術の作業性が高く、様々な術式の手術に対応しやすいという効果がある。
【0085】
また、図27および図28は本発明の第5の実施の形態を示すものである。図27は本実施の形態の外科手術用器具141の概略構成を示すものである。この外科手術用器具141には予め患者の体壁Hに刺入されたトロッカー142内に挿入され、このトロッカー142内を通して体内に挿入される1つの操作ユニット143が設けられている。このトロッカー142の基端部内周面には操作ユニット143との間に摩擦抵抗が大きい摺動部材(支持手段)144が配設されている。
【0086】
さらに、本実施の形態の操作ユニット143は第1の実施の形態(図1乃至図16参照)の操作ユニット2と略同一構成になっている。ただし、本実施の形態の操作ユニット143には第1の実施の形態の支持部3はない。そして、本実施の形態の操作ユニット143の外套管(挿入手段)145の軸心位置に設けられたカメラガイド穴302には、CCDカメラ(観察手段)146が配置され、このCCDカメラ146の両側に設けられた第1鉗子ガイド穴(連動手段)303および第2鉗子ガイド穴(連動手段)304にはそれぞれ処置具としての関節付きの、第1鉗子147および第2鉗子148がそれぞれ挿入されるようになっている。また、図示はしていないが、本実施の形態においても、第1の実施形態およびその第1、第2の変形例における連動手段と同様のものが設けられている。さらに、外套管145の基端部端末部には2本のハンドル149が取り付けられている。
【0087】
次に、上記構成の本実施の形態の作用について説明する。本実施の形態の外科手術用器具141の使用時には操作ユニット143の外套管145における軸心部のカメラガイド穴内にはCCDカメラ146が挿入された状態で装着されている。この状態で、予め患者の体壁Hに刺入されたトロッカー142内に操作ユニット143が挿入され、このトロッカー142内を通して操作ユニット143が体内に挿入される。
【0088】
続いて、外套管145における2つの鉗子ガイド穴内に第1鉗子147、第2鉗子148がそれぞれ挿入される。この状態で、術者が第1鉗子147および第2鉗子148に設けられたハンドルユニット41を握り、操作ユニット143全体をつぎの通り、自由に動かすことができる。
【0089】
術者は、第1鉗子147および第2鉗子148に設けられたハンドルユニット41を持ち、それを上下左右に動かすことで、図28に示すように患者の体壁Hにおけるトロッカー142の刺入点Oを中心に矢印Aで示す第1の首振り方向と、同図中に矢印Bで示すように第1の首振り方向と直交する第2の首振り方向、およびこれ以外の任意の首振り方向にそれぞれ移動させることができる。さらに、第1鉗子147および第2鉗子148の操作により、外套管145を図28中に矢印Cで示すようにトロッカー142に沿って軸方向に移動させることもできる。以上が、連動手段の作用によるCCDカメラ(観察手段)と鉗子(処置具)との連動した動きである。
【0090】
次に、操作ユニット143の外套管145内に装着されているCCDカメラ146と、第1鉗子147および第2鉗子148とは次の通り、それぞれ独立に動かすこともできる。すなわち、外套管145は、図28に矢印Eで示すように、トロッカー142に沿って軸回りに回転させることができる。また、CCDカメラ146は、外套管145内の軸周りに回転することができる。また、第1鉗子147および第2鉗子148は外套管145に対してそれぞれ独立に軸方向に移動させることができる。
【0091】
さらに、第1鉗子147は外套管145内でその軸回り方向に回転させることができる。同様に、第2鉗子148は外套管145内でその軸回り方向に回転させることができる。これにより、第1鉗子147および第2鉗子148はそれぞれ独立に軸回り方向に回転させることができる。第1鉗子147および第2鉗子148とがこれらの動きをするときでも、外套管12は、摺動部材144により保持されているため不用意に動くことはない。
【0092】
また、第1鉗子147および第2鉗子148はそれぞれ第1の実施の形態と同様にハンドルユニット41の第1ハンドル42および第2ハンドル43を開閉操作することにより、ジョー39の処置片39a,39b間を開閉操作することができる。
【0093】
さらに、第1鉗子147のハンドルユニット41を図8(A)に示す真っ直ぐに伸ばした基準位置から図8(B)に示す第1の屈曲方向に屈曲操作した場合にはこのハンドルユニット41の動作に連動して処置部33のジョー39が図8(B)中に矢印で示すようにハンドルユニット41の動作方向と同方向に挿入部32の軸心方向から略直角に屈曲させた屈曲位置に屈曲操作される。
【0094】
また、第1鉗子147のハンドルユニット41を図9(A)に示す真っ直ぐに伸ばした基準位置から図9(B)に示す屈曲位置に屈曲操作した場合にはこのハンドルユニット41の動作に連動して処置部33のジョー39が図9(B)中に矢印で示すようにハンドルユニット41の動作方向と同方向に挿入部32の軸心方向から外れる斜め上方向に屈曲させた屈曲位置に屈曲操作される。なお、第2鉗子148もこの第1鉗子147と同様に操作可能である。以上が鉗子(処置具)の独立した動きである。
【0095】
また、本実施の形態の外科手術用器具141では上述した操作ユニット143の動きと、第1鉗子147および第2鉗子148の動きとを組み合わせることにより、さらに多彩に第1鉗子147および第2鉗子148をそれぞれ操作することができる。
【0096】
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態の外科手術器具141では第1の形態の形態と同様に1つの動作ユニット143の外套管145の内部にCCDカメラ146と第1鉗子147および第2鉗子148とを挿入し、かつ連動手段により一体的に操作可能な状態をとれるため、1人の作業者でCCDカメラ146と第1鉗子147および第2鉗子148との操作が可能である。さらに、第1鉗子147および第2鉗子148が、どれぞれ第1鉗子ガイド穴303および第2鉗子ガイド穴304内で軸回りに回転可能かつ軸方向に移動可能な、CCDカメラ16とは独立して操作可能な状態をとれ、かつ第1鉗子147および第2鉗子148で、それそれの関節の動きが可能であるため、鉗子の自由度が増し、作業性をさらに高めることができる。
【0097】
したがって、本実施の形態の外科手術用器具141では、体壁に開ける穴を減らすことにより低侵襲化をはかり、かつより少ない術者で手術器具の操作が可能となる。さらに、第1鉗子147や、第2鉗子148の自由度を高め、作業性を高めることにより、複雑で高度な外科手術を行うことができ、かつその外科手術の手術時間を短縮することができる。
【0098】
さらに、本実施の形態の外科手術用器具141ではトロッカー142の基端部内周面には操作ユニット143との間に摩擦抵抗が大きい摺動部材144が配設されているので、この摺動部材144を介してトロッカー142によって操作ユニット143の図28中に示す矢印C方向の動きと、回転方向の動きを支持させることができる。そのため、第1の実施の形態のように操作ユニット2の支持部3を使用する場合に比べて操作ユニット143の支持構造を簡素化することができる。
【0099】
また、図29は本発明の第6の実施の形態を示すものである。本実施の形態の外科手術用器具では第1の実施の形態(図1乃至図16参照)の操作ユニット2を次の通り変更した操作ユニット151が設けられている。
【0100】
すなわち、本実施の形態の操作ユニット151の外套管(挿入手段)152には軸心位置にCCDカメラ153が配置され、この軸心位置のCCDカメラ153の両側には処置具としての関節付きの第1鉗子154および第2鉗子155がそれぞれ挿入されている。そして、本実施の形態では第1鉗子154は外套管152に固定されている(連動手段、支持手段)。また、本実施の形態では第2鉗子155は外套管152に対して図29中に矢印Aで示す軸方向および同図中に矢印Bで示す軸回り方向にそれぞれ移動させることができる。
【0101】
そこで、上記構成の本実施の形態の外科手術用器具では、外套管152と第1鉗子154が固定されているため、第1鉗子154の動きは外套管152の動きに完全に連動させることができる。また、第2鉗子155を、図29中の矢印A方向に動かすときにも、外套管152は、第1鉗子151を持つ作業者により支持されているので、第2鉗子155は、外套管152とは独立して動かすことが可能である。上記の動作に加え、第1鉗子154および第2鉗子155はそれぞれの関節部での独立した動きが可能である。このため、非常に簡単な機構としながらも、鉗子の自由度が増し、作業性をさらに高めることができる。
【0102】
したがって、本実施の形態の外科手術用器具では、体壁に開ける穴を減らすことにより低侵襲化をはかり、かつより少ない術者で手術器具の操作が可能となる。さらに、第1鉗子154や、第2鉗子155の自由度を高め、作業性を高めることにより、複雑で高度な外科手術を行うことができ、かつその外科手術の手術時間を短縮することができる。さらに、本実施の形態の外科手術用具では、第1鉗子154を外套管12に固定する構造をとっており第1の実施の形態と比べ、非常に簡単な機構で上記の効果が実現可能となる。
【0103】
また、図30は本発明の第7の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態の外科手術用器具1の操作ユニット2を次の通り変更したものである。
【0104】
すなわち、本実施の形態では操作ユニット2に組み付けられる第1鉗子(処置具)15の先端側リンク機構40の関節部161の位置をジョー39の先端位置から手元側に離れた位置に配置し、関節部161の位置とジョー39の先端位置との間の距離を大きくしたものである。さらに、第2鉗子(処置具)16も第1鉗子15と同様に構成されている。
【0105】
そこで、上記構成の本実施の形態では第1鉗子15および第2鉗子16の先端側リンク機構40の関節部161の位置とジョー39の先端位置との間の距離を大きくしたので、第1鉗子15および第2鉗子16のジョー39を首振り状態で屈曲操作する際に第1鉗子15および第2鉗子16のジョー39の先端位置を第1鉗子15および第2鉗子16の軸心位置O1から径方向に離れた位置まで到達させることができる。そのため、第1鉗子15および第2鉗子16を軸回り方向に回転させる際にジョー39の先端の回転範囲Mを比較的大きな範囲で動かすことができる。そのため、第1鉗子15および第2鉗子16の作業範囲を広げて外科手術の作業性をさらに高めることができる効果がある。
【0106】
また、図31乃至図34は本発明の第8の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態の外科手術用器具1の操作ユニット2を次の通り変更したものである。
【0107】
すなわち、本実施の形態では図31に示すように操作ユニット2に組み付けられる第1鉗子(処置具)15の先端側リンク機構40に前後方向に2つの関節部171,172を設け、各関節部171,172でそれぞれ屈曲可能にして第1鉗子15の先端部を2段階に屈曲できるようにしたものである。さらに、第2鉗子(処置具)16も第1鉗子15と同様に構成されている。
【0108】
図32(A),(B)は第1鉗子15の先端側リンク機構40の2つの関節部171,172の内部構成を示すものである。ここで、挿入部32の先端部には手元側に配置される第1関節アーム173の基端部が第1プーリ軸174を介して回動自在に連結されている。さらに、第1関節アーム173の先端部には第2関節アーム175の基端部が第2プーリ軸176を介して回動自在に連結されている。この第2関節アーム175の先端部には開閉可能な一対の処置片177a,177bを備えたジョー177と、このジョー177の処置片177a,177b間を支軸178を中心に回動して開閉操作するリンク機構179とが設けられている。
【0109】
また、第1プーリ軸174には第1プーリ180、第2プーリ軸176には第2プーリ181がそれぞれ固定されている。さらに、第1プーリ180には第1駆動ワイヤ182、第2プーリ181には第2駆動ワイヤ183がそれぞれ巻きつけられている。第1駆動ワイヤ182の基端部は図示しない手元側の第1関節アーム駆動部、第2駆動ワイヤ183の基端部は図示しない手元側の第2関節アーム駆動部にそれぞれ連結されている。さらに、リンク機構179の基端部にはジョー駆動ワイヤ184の先端部が固定されている。このジョー駆動ワイヤ184の基端部は図示しない手元側のジョー駆動部に連結されている。
【0110】
また、第2プーリ軸176にはジョー駆動ワイヤ184を挿通する1つのワイヤガイド穴185が形成されている。さらに、第2プーリ軸176には2つのワイヤガイド穴186,187が形成されている。そして、一方のワイヤガイド穴186にはジョー駆動ワイヤ184、他方のワイヤガイド穴187には第2駆動ワイヤ183がそれぞれ挿通されている。
【0111】
また、本実施の形態の第1鉗子15の使用時にはジョー駆動ワイヤ184を牽引操作することにより、ジョー177の処置片177a,177b間が支軸178を中心に回動して開閉操作される。
【0112】
さらに、第1駆動ワイヤ182を図32(C)中に矢印Aで示すように牽引操作することにより、第1関節アーム173の基端部が第1プーリ軸174を介して回動駆動される。同様に、第2駆動ワイヤ183を図32(C)中に矢印Bで示すように牽引操作することにより、第2関節アーム175の基端部が第2プーリ軸176を介して回動駆動される。これにより、第1鉗子15の先端側リンク機構40の前後2つの関節部171,172がそれぞれ屈曲され、図32(C)に示すように第1鉗子15の先端部が2段階に屈曲される。
【0113】
そこで、本実施の形態の外科手術用器具1では図33に示すように生体組織Hなどの操作対象物を第1鉗子15で把持した状態で、そのまま前後2つの関節部171,172をそれぞれ屈曲させることにより、図34に示すように把持した操作対象物を横向きに引き上げるなどの操作を行なうことができる。そのため、第1鉗子15および第2鉗子16の自由度を高めて外科手術の作業性をさらに高めることができる効果がある。
【0114】
また、図35および図36は本発明の第9の実施の形態を示すものである。本実施の形態では第1の実施の形態(図1乃至図16参照)の操作ユニット2と同様の構成の2組の操作ユニット191,192が設けられている。そして、一方の第1の操作ユニット191が術者193用、他方の第2の操作ユニット192が助手194用としてそれぞれ使用される。
【0115】
さらに、第1の操作ユニット191のCCDカメラ14には術者用光源装置195および術者用カメラコントロールユニット(CCU)196がそれぞれ接続されている。術者用カメラコントロールユニット196には術者用モニタ197が接続されている。そして、CCDカメラ14による観察画像が術者用モニタ197に表示されるようになっている。
【0116】
同様に、第2の操作ユニット192のCCDカメラ14には助手用光源装置198および助手用カメラコントロールユニット(CCU)199がそれぞれ接続されている。助手用カメラコントロールユニット199には助手用モニタ200が接続されている。そして、CCDカメラ14による観察画像が助手用モニタ200に表示されるようになっている。
【0117】
また、本実施の形態では2組の操作ユニット191,192のCCDカメラ14による観察画像を同時に観察できる観察システム203が設けられている。この観察システム203には術者用モニタ197の近傍位置に第2の術者用モニタ(画像伝達手段)201、助手用モニタ200の近傍位置に第2の助手用モニタ(画像伝達手段)202がそれぞれ配設されている。第2の術者用モニタ201には助手用カメラコントロールユニット199から出力される観察画像、すなわち助手用モニタ200に表示される観察画像と同様の内容の観察画像が表示されるようになっている。同様に、第2の助手用モニタ202には術者用カメラコントロールユニット196から出力される観察画像、すなわち術者用モニタ197に表示される観察画像と同様の内容の観察画像が表示されるようになっている。
【0118】
そこで、本実施の形態では第1の操作ユニット191を術者193が使用し、第2の操作ユニット192を助手194などが使用して外科手術を行う際に、観察システム203によって2組の操作ユニット191,192のCCDカメラ14による観察画像を他の操作ユニット側でも観察できるようにしている。
【0119】
図36は第9の実施の形態の外科手術用器具による生体組織Hの処置状態を説明するための説明図である。ここでは、第1の操作ユニット191を操作する術者193が第1鉗子15を使用して例えば針糸204によって処置部H1を縫い合わせる作業を行なうとともに、第2の操作ユニット192を操作する助手194が第1鉗子15および第2鉗子16を使用して縫合糸205に結び目を作る作業を行なう状態を示している。このように、本実施の形態では、術者193と助手194などの複数の作業者がお互いの作業状態を確認しながらの作業が可能となり、開腹して行う手術のように、複数の作業者による連携作業を実現し、内視鏡下外科手術を能率よく行うことができる。
【0120】
尚、上記実施の形態においては、助手194の操作する第2の操作ユニット192の状態を術者194に伝えるための画像伝達手段として、第2の術者用モニタ201を設け、術者193の操作する第1の操作ユニット191の状態を助手194に伝えるための画像伝達手段として、第2の助手用モニタ203を設けたが、必ずしもこの形態をとる必要はない。例えば、助手194の操作する第2の操作ユニット192の状態を術者194に伝えるための画像伝達手段として、第1の術者用モニタ197の画面の一部に、助手194が操作する第2の操作ユニット192に設けられたCCDカメラ14による観察画像を表示し、術者193の操作する第1の操作ユニット191の状態を助手194に伝えるための画像伝達手段として、第1の助手用モニタ200の画面の一部に、術者193が操作する第1の操作ユニット191に設けられたCCDカメラ14による観察画像を表示するという形態をとっても、同様の効果を得ることが可能である。この場合は、第2の術者用モニタ201および第2の助手用モニタ202は不要となる。
【0121】
また、図37は本発明の第10の実施の形態を示すものである。本実施の形態では第9の実施の形態(図35および図36参照)の2組の操作ユニット191,192を使用するシステムの変形例を示すものである。
【0122】
すなわち、本実施の形態では各操作ユニット191,192の観察手段として広角な視野が得られる広角レンズタイプの撮像レンズを備えたCCDカメラ211が設けられている。なお、図37中で仮想線P1は第1の操作ユニット191を操作する術者193のCCDカメラ211によって撮像される術者193の観察視野範囲を示す。
【0123】
そこで、上記構成の本実施の形態では第1の操作ユニット191を操作する術者193のCCDカメラ211の観察視野内に第2の操作ユニット192を操作する助手194の第1鉗子15および第2鉗子16の使用状態を収めることができる。同様に、第2の操作ユニット192を操作する助手194のCCDカメラ211の観察視野内に第1の操作ユニット191を操作する術者193の第1鉗子15および第2鉗子16の使用状態を収めることができる。これにより、第1の術者用モニタ(画像伝達手段)197の画面上に、助手194の操作する第2の操作ユニット192に設けられた第1鉗子15および第2鉗子16が表示される。同様に、第1の助手用モニタ(画像伝達手段)200の画面上に、術者193の操作する第1の操作ユニットに設けられた第1鉗子15および第2鉗子16が表示される。
【0124】
このように、本実施の形態では、術者193と助手194などの複数の作業者がお互いの作業状態を確認しながらの作業が可能となり、開腹して行う手術のように、複数の作業者による連携作業を実現し、内視鏡下外科手術を能率よく行うことができる。さらに、本実施の形態においては、術者193は、自分で操作する操作ユニット191に設けられたCCDカメラ211の視点で、助手192の操作する操作ユニット192に設けられた第1鉗子15および第2鉗子16を観察することができ、それぞれの位置関係の把握が非常に容易である。同様の効果は、助手194側についても言うことができる。
【0125】
また、図38は本発明の第11の実施の形態を示すものである。本実施の形態では第10の実施の形態(図37参照)の2組の操作ユニット191,192を使用するシステムの第1の変形例を示すものである。
【0126】
すなわち、本実施の形態では第10の実施の形態の各操作ユニット191,192のCCDカメラ211に代えて標準レンズタイプの撮像レンズを備えた標準視野CCDカメラ221と、このCCDカメラ221よりも広角な視野が得られる広角レンズタイプの撮像レンズを備えた広角視野CCDカメラ222とが並設された観察手段が設けられている。観察手段として、標準視野CCDカメラ221を用いるか、広角視野CCDカメラ222を用いるかは、操作者により、選択的に切替え可能となっている。術者193の操作する操作ユニット191に設けられた標準視野CCDカメラ221もしくは広角視野CCDカメラ222で撮像された画像は、第1の術者用モニタ197および第2の助手用モニタ(画像伝達手段)202に表示され、同様に助手194の操作する操作ユニット192に設けられた標準視野CCDカメラ221もしくは広角視野CCDカメラ222で撮像された画像は、第1の助手用モニタ197および第2の術者用モニタ(画像伝達手段)201に表示される。なお、図38中で仮想線P2は第1の操作ユニット191を操作する術者193の標準視野CCDカメラ221によって撮像される術者193の観察視野範囲、P3は広角視野CCDカメラ222によって撮像される術者193の観察視野範囲をそれぞれ示す。
【0127】
そこで、上記構成の本実施の形態では術者193により操作される第1の操作ユニット191の広角視野CCDカメラ222の観察視野内に助手194により操作される第2の操作ユニット192の第1鉗子15および第2鉗子16の作業状態を収めることができる。同様に、助手194により操作される第2の操作ユニット192の広角視野CCDカメラ222の観察視野内に術者193により操作される第1の操作ユニット191の第1鉗子15および第2鉗子16の作業状態を収めることができる。これらの作用により、術者193は、第2の術者用モニタ201の画像により、助手194の操作する第1の鉗子15および第2の鉗子16の作業状態を把握することができ、同様に、助手194は、第2の助手用モニタ202の画像により、術者193の操作する第1の鉗子15および第2の鉗子16の作業状態を把握することができる。
【0128】
このように、本実施の形態では、術者193と助手194などの複数の作業者がお互いの作業状態を確認しながらの作業が可能となり、開腹して行う手術のように、複数の作業者による連携作業を実現し、内視鏡下外科手術を能率よく行うことができる。さらに、観察視野を標準視野CCDカメラとすることで、処置したい部分のみを拡大した状態で鮮明に観察することができるとともに、観察視野を、広角視野CCDカメラ222に切替えるることで、第10の実施の形態と同様に、術者193と助手194とがそれぞれ操作する操作ユニットの位置関係を把握し易くする効果を得ることができる。
【0129】
また、図39は本発明の第12の実施の形態を示すものである。本実施の形態では第10の実施の形態(図37参照)の2組の操作ユニット191,192を使用するシステムの第2の変形例を示すものである。
【0130】
すなわち、本実施の形態では第10の実施の形態の各操作ユニット191,192とは別に患者の体壁Hに刺入される広角視野を観察可能な広角観察装置231を設けたものである。そして、この広角観察装置231の観察画像が第2の術者用モニタ(画像伝達手段)201、第2の助手用モニタ(画像伝達手段)202にそれぞれ表示されるようになっている。なお、本実施の形態では第1の操作ユニット191および第2の操作ユニット192には標準視野のCCDカメラ232が組み込まれている。
【0131】
そこで、上記構成の本実施の形態では広角観察装置231によって第1の操作ユニット191を操作する術者193の第1鉗子15および第2鉗子16の作業状態と、第2の操作ユニット192を操作する助手194の第1鉗子15および第2鉗子16の作業状態とを同時に視野内に収めることができる。そのため、本実施の形態では、術者193と助手194などの複数の作業者がお互いの作業状態を確認しながらの作業が可能となり、開腹して行う手術のように複数の作業者による連携作業を実現し、内視鏡下外科手術を能率よく行うことができる。
【0132】
さらに、本実施の形態では、広角視野観察装置231は、術者193の操作する操作ユニット191および助手194の操作する操作ユニット194とは別に設けられていることにより、安定した広角視野が得られ、複数の作業者がお互いの状態を確認し易くなるという効果がある。
【0133】
また、図40は本発明の第13の実施の形態を示すものである。本実施の形態では第10の実施の形態(図37参照)の2組の操作ユニット191,192を使用するシステムの第3の変形例を示すものである。
【0134】
すなわち、本実施の形態では例えば第1の操作ユニット191を体内に挿入する挿入ガイドとなるトロッカー13の管壁内に第2のチャンネル241を設け、この第2のチャンネル241内に独立の広角観察装置242を挿入したものである。そして、この広角観察装置242の観察画像が第2の術者用モニタ(画像伝達手段)201、第2の助手用モニタ(画像伝達手段)202にそれぞれ表示されるようになっている。
【0135】
そこで、上記構成の本実施の形態ではトロッカー13の第2のチャンネル241内の観察装置242によって第1の操作ユニット191を操作する術者193の第1鉗子15および第2鉗子16の作業状態と、助手194により操作される第2の操作ユニット192の第1鉗子15および第2鉗子16の作業状態とを同時に視野内に収めることができる。そのため、本実施の形態では、術者193と助手194などの複数の作業者がお互いの作業状態を確認しながらの作業が可能となり、開腹して行う手術のように複数の作業者による連携作業を実現し、内視鏡下外科手術を能率よく行うことができる。
【0136】
さらに、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。
次に、本出願の他の特徴的な技術事項を下記の通り付記する。

(付記項1) 細長い略軸上の挿入部の先端部に開閉可能な処置部が配置され、前記処置部が前記挿入部の軸心方向から外れた方向に屈曲操作可能に連結された処置具と、
体内腔を観察する観察手段と、
内腔に、前記観察手段と前記処置具が配置され、体内に挿入される長尺な挿入手段と、
前記挿入手段に挿入された前記観察手段と前記処置具とを一体的に操作可能とする連動手段と、
前記挿入手段に挿入された前記観察手段と前記処置具を互いに独立して操作可能とする支持手段とを備えることを特徴とする外科手術用器具。
【0137】
(付記項2) 付記項1に記載の外科手術用器具において、
前記挿入手段には複数のチャンネルが形成され、その1つのチャンネルに観察手段が挿入されるとともに、少なくとも他の1つのチャンネルに前記処置具が挿入され、これが挿入手段の全体の動作に関して処置具の動きにより連動するように操作可能な連動手段を形成するとともに、さらに前記チャンネルに挿入された前記観察手段と前記処置具がその軸方向に連動して操作可能とする連動手段と、前記挿入手段に挿入された前記観察手段と前記処置具を互いに独立して操作可能とする支持手段とを備えることを特徴とする、付記項1に記載の外科手術用器具。
【0138】
(付記項3) 付記項1に記載の外科手術用器具において、
さらに、前記観察手段と前記処置具とが一体的に操作可能な状態と、前記観察手段と前記処置具とが独立して操作可能な状態とに切替える切替え手段を備え、前記切替え手段により、2つの状態を切替えられることを特徴とする、付記項1に記載の外科手術用器具。
【0139】
(付記項4) 付記項1に記載の外科手術用器具において、
前記観察手段と前記処置具とが独立して操作可能な状態のときに、前記観察手段を保持しておく支持手段を設けたことを特徴とする、付記項1に記載の外科手術用器具。
【0140】
(付記項5) 付記項1に記載の外科手術用器具において、
前記挿入手段は、処置具用のポートを有することを特徴とする付記項1に記載の外科手術用器具。
【0141】
(付記項6) 付記項1に記載の外科手術用器具において、
前記処置具は、先端部に少なくとも2軸以上の自由度を持つことを特徴とする付記項1に記載の外科手術用器具。
【0142】
(付記項7) 付記項1に記載の外科手術用器具において、
前記処置具は、スコープの軸回りに回転可能であることを特徴とする付記項1に記載の外科手術用器具。
【0143】
(付記項8) 付記項1に記載の外科手術用器具において、
前記外科手術用器具およびTVカメラ、CCU部材、光源、電気メスなどの外科手術用機材類を含めて、移動可能なカートに載せられていることを特徴とする付記項1に記載の外科手術用器具。
【0144】
(付記項9) 細長い略軸上の挿入部の先端部に開閉可能な処置部が配置され、前記処置部が前記挿入部の軸心方向から外れた方向に屈曲操作可能に連結された処置具と、
体内腔を観察する観察手段と、
内腔に、前記観察手段と前記処置具が配置され、体内に挿入される長尺な挿入手段と、
前記挿入手段に挿入された前記観察手段と前記処置具とを一体的に操作可能とする連動手段と、
前記挿入手段に挿入された前記観察手段と前記処置具を互いに独立して操作可能とする支持手段とを備えることを特徴とする器具ユニットを複数設け、
その中の1つの器具ユニットの作業状態を、別の器具ユニットの操作者へ画像情報で伝達する画像伝達手段を設けたことを特徴とする外科手術システム。
【0145】
(付記項10) 付記項9に記載の外科手術システムにおいて、
前記画像伝達手段は画像表示装置であり、1つの前記器具ユニットの前記観察手段の観察画像を他の前記器具ユニット側に設けた前記画像表示装置で観察可能としたことを特徴とする付記項9に記載の外科手術システム。
【0146】
(付記項11) 付記項9に記載の外科手術システムにおいて、
少なくとも1つの前記器具ユニットの前記観察手段を広角タイプとし、他の前記器具ユニットの作業状態をその視野に収められることを特徴とする付記項9に記載の外科手術システム。
【0147】
(付記項12) 付記項9に記載の外科手術システムにおいて、
前記観察手段とは別に設けられた広角タイプの観察手段を備え、前記広角タイプの観察手段は、前記複数の器具ユニットの作業状態をその視野に収められることを特徴とする付記項9に記載の外科手術システム。
【0148】
(付記項13) 外科手術方法において、
(1)以下の外科手術用器具を複数用意する段階と、
前記外科手術用器具は、
細長い略軸上の挿入部の先端部に開閉可能な処置部が配置され、前記処置部が前記挿入部の軸心方向から外れた方向に屈曲操作可能に連結された処置具と、
体内腔を観察する観察手段と、
内腔に、前記観察手段と前記処置具が配置され、体内に挿入される長尺な挿入手段と、
前記挿入手段に挿入された前記観察手段と前記処置具とを一体的に操作可能とする連動手段と、
前記挿入手段に挿入された前記観察手段と前記処置具を互いに独立して操作可能とする支持手段とを備えることを特徴とする外科手術用器具であり、
(2)患者の体壁に複数の穴をあける段階と、
(3)患者の体壁にあけられた穴を通して、前記外科手術用器具を体内に挿入する段階と、
(4)体内に挿入された前記外科手術用器具を、複数の術者が連携して操作する段階と
から成る外科手術方法。
【0149】
(付記項14) 外科手術方法において、
(1)以下の外科手術用器具を複数用意する段階と、
前記外科手術用器具は、
細長い略軸上の挿入部の先端部に開閉可能な処置部が配置され、前記処置部が前記挿入部の軸心方向から外れた方向に屈曲操作可能に連結された処置具と、
体内腔を観察する観察手段と、
内腔に、前記観察手段と前記処置具が配置され、体内に挿入される長尺な挿入手段と、
前記挿入手段に挿入された前記観察手段と前記処置具とを一体的に操作可能とする連動手段と、
前記挿入手段に挿入された前記観察手段と前記処置具を互いに独立して操作可能とする支持手段とを備えることを特徴とする外科手術用器具であり、
(2)患者の体壁に複数の穴をあける段階と、
(3)患者の体壁にあけられた穴を通して、前記外科手術用器具を体内に挿入する段階と、
(4)1つの前記観察手段の視野に、他の前記外科手術器具の作業状態を収める段階と、
(5)体内に挿入された前記外科手術用器具を、複数の術者が連携して操作する段階と
から成る外科手術方法。
【0150】
(付記項15) 外科手術方法において、
(1)以下の外科手術システムを用意する段階と、
前記外科手術システムは、
細長い略軸上の挿入部の先端部に開閉可能な処置部が配置され、前記処置部が前記挿入部の軸心方向から外れた方向に屈曲操作可能に連結された処置具と、
体内腔を観察する観察手段と、
内腔に、前記観察手段と前記処置具が配置され、体内に挿入される長尺な挿入手段と、
前記挿入手段に挿入された前記観察手段と前記処置具とを一体的に操作可能とする連動手段と、
前記挿入手段に挿入された前記観察手段と前記処置具を互いに独立して操作可能とする支持手段とを備えることを特徴とする器具ユニットを複数設け、
その中の1つの器具ユニットの作業状態を、別の器具ユニットの操作者へ画像情報で伝達する画像伝達手段を設けたことを特徴とする外科手術システムであり、
(2)患者の体壁に複数の穴をあける段階と、
(3)患者の体壁にあけられた穴を通して、前記複数の器具ユニットを体内に挿入する段階と、
(4)体内に挿入された前記複数の器具ユニットを用いて、複数の術者が前記画像伝達手段によって得られた画像を見ながら連携して操作する段階と
から成る外科手術方法。
【0151】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、体壁に開ける穴を減らすことにより低侵襲化をはかり、かつより少ない術者で手術器具の操作が可能となる。さらに、処置具を動かす際の自由度を高め、作業性を高めることにより、複雑で高度な外科手術を行うことができ、かつその外科手術の手術時間を短縮することができる。
【0152】
また、請求項2の発明によれば、術者と助手などの複数の作業者が連携して外科手術を能率よく行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の外科手術用器具のシステム全体の概略構成図。
【図2】第1の実施の形態の外科手術用器具におけるホルダの作用を説明するための説明図。
【図3】第1の実施の形態の外科手術用器具における外套管の先端部を示す正面図。
【図4】図3のIV−IV線断面図。
【図5】図3のV−V線断面図。
【図6】第1の実施の形態の外科手術用器具における後面のスコープ保持部材の取付け状態を示す平面図。
【図7】第1の実施の形態の外科手術用器具における関節付き鉗子を示す全体の斜視図。
【図8】第1の実施の形態の外科手術用器具における関節付き鉗子の動作状態を示すもので、(A)は処置部を真っ直ぐに伸ばした状態を示す側面図、(B)は処置部を第1の屈曲方向に屈曲させた状態を示す側面図。
【図9】第1の実施の形態の外科手術用器具における関節付き鉗子の動作状態を示すもので、(A)は処置部を真っ直ぐに伸ばした状態を示す平面図、(B)は処置部を第2の屈曲方向に屈曲させた状態を示す平面図。
【図10】第1の実施の形態の外科手術用器具における鉗子に対するハンドルの位置を説明するための説明図。
【図11】第1の実施の形態の外科手術用器具における外套管に対する鉗子の動きを説明するための説明図。
【図12】第1の実施の形態の外科手術用器具における操作ユニットの動きを説明するもので、(A)は操作ユニット全体が定位置で保持している状態を示す正面図、(B)は操作ユニット全体が反時計回り方向に回転した状態を示す正面図、(C)は操作ユニット全体が時計回り方向に回転した状態を示す正面図。
【図13】第1の実施の形態の外科手術用器具における操作ユニットが回転していない状態で第1鉗子のみを軸回り方向に回転させた状態を説明するための説明図。
【図14】第1の実施の形態の外科手術用器具における操作ユニットを回転させるとともに第1鉗子を同時に軸回り方向に回転させた状態を説明するための説明図。
【図15】第1の実施の形態の外科手術用器具の使用時に外套管の処置具ポートを通して電気メスを体内に挿入させた状態を説明するための説明図。
【図16】第1の実施の形態の外科手術用器具の使用時に外付けの処置具ポートを通して電気メスを体内に挿入させた状態を説明するための説明図。
【図17】第1の実施の形態の外科手術用器具における鉗子の処置部の変形例を示す側面図。
【図18】第1の実施の形態の外科手術用器具における鉗子の操作部の変形例を示すもので、(A)は鉗子ハンドルの指穴内に手指を挿入した状態を示す側面図、(B)は鉗子ハンドルの外枠のグリップ部を手指で握った状態を示す側面図。
【図19】第1の実施の形態の外科手術用器具における鉗子と外套管との位置規制手段の第1の変形例を示す縦断面図。
【図20】同変形例の位置規制手段の動作状態を示す縦断面図。
【図21】第1の実施の形態の外科手術用器具における鉗子と外套管との位置規制手段の第2の変形例を示す縦断面図。
【図22】本発明の第2の実施の形態の外科手術用器具のシステム全体の概略構成を示す斜視図。
【図23】本発明の第3の実施の形態の外科手術用器具のシステム全体の概略構成を示す斜視図。
【図24】本発明の第4の実施の形態の外科手術用器具の使用状態を示す側面図。
【図25】第4の実施の形態の外科手術用器具における外套管の先端部を示す正面図。
【図26】第4の実施の形態の外科手術用器具における外套管の先端部を示す側面図。
【図27】本発明の第5の実施の形態の外科手術用器具を示す縦断面図。
【図28】第5の実施の形態の外科手術用器具の作用を説明するための説明図。
【図29】本発明の第6の実施の形態の外科手術用器具を示す縦断面図。
【図30】本発明の第7の実施の形態の外科手術用器具の作用を説明するための説明図。
【図31】本発明の第8の実施の形態の外科手術用器具を示す要部の斜視図。
【図32】第8の実施の形態の外科手術用器具の鉗子の先端部を示すもので、(A)は縦断面図、(B)は(A)の32B−32B線断面図、(C)は鉗子の先端部の動作状態を説明するための説明図。
【図33】第8の実施の形態の外科手術用器具による生体組織の把持状態を説明するための説明図。
【図34】第8の実施の形態の外科手術用器具による生体組織の処置状態を説明するための説明図。
【図35】本発明の第9の実施の形態の外科手術用器具を示す全体の概略構成図。
【図36】第9の実施の形態の外科手術用器具による生体組織の処置状態を説明するための説明図。
【図37】本発明の第10の実施の形態の外科手術用器具による生体組織の処置状態を説明するための説明図。
【図38】本発明の第11の実施の形態の外科手術用器具による生体組織の処置状態を説明するための説明図。
【図39】本発明の第12の実施の形態の外科手術用器具による生体組織の処置状態を説明するための説明図。
【図40】本発明の第13の実施の形態の外科手術用器具による生体組織の処置状態を説明するための説明図。
【符号の説明】
3  支持部(支持手段)
12  外套管(挿入管体)
12a〜12g  チャンネル
14  CCDカメラ(観察手段)
15  第1鉗子(処置具)
16  第2鉗子(処置具)
32  挿入部
33  処置部
49  先端ストッパピン(連動手段)
50  後端ストッパピン(連動手段)

Claims (2)

  1. 細長い略軸上の挿入部の先端部に開閉可能な処置部が配置され、前記処置部が前記挿入部の軸心方向から外れた方向に屈曲操作可能に連結された処置具と、
    体内腔を観察する観察手段と、
    内腔に、前記観察手段と前記処置具が配置され、体内に挿入される長尺な挿入手段と、
    前記挿入手段に挿入された前記観察手段と前記処置具とを一体的に操作可能とする連動手段と、
    前記挿入手段に挿入された前記観察手段と前記処置具を互いに独立して操作可能とする支持手段とを備えることを特徴とする外科手術用器具。
  2. 細長い略軸上の挿入部の先端部に開閉可能な処置部が配置され、前記処置部が前記挿入部の軸心方向から外れた方向に屈曲操作可能に連結された処置具と、
    体内腔を観察する観察手段と、
    内腔に、前記観察手段と前記処置具が配置され、体内に挿入される長尺な挿入手段と、
    前記挿入手段に挿入された前記観察手段と前記処置具とを一体的に操作可能とする連動手段と、
    前記挿入手段に挿入された前記観察手段と前記処置具を互いに独立して操作可能とする支持手段とを備えることを特徴とする器具ユニットを複数設け、
    その中の1つの器具ユニットの作業状態を、別の器具ユニットの操作者へ画像情報で伝達する画像伝達手段を設けたことを特徴とする外科手術システム。
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