JP2004040908A - インバータスタックの並列運転装置 - Google Patents

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Jun Hirose
廣瀬 順
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Abstract

【課題】複数台のインバータスタックの並列運転台数が奇数であっても交流出力電流のバランスが可能であり、且つ使用する鉄心数の増加も並列運転台数と同じ程度の増加に抑制できるようにすることにある。
【解決手段】第1インバータスタック31から交流電力を出力する第1出力導体36は、磁性材料で作って中央に貫通穴を有する第1鉄心41の穴部を貫通させ、更に同じ構成の第2鉄心42の穴部を貫通させてから母線6に接続し、第2インバータスタック32から交流電力を出力する第2出力導体37は、前記第2鉄心42の穴部を前記第1出力導体36とは逆の方向から貫通させ、更に同じ構成の第3鉄心43の穴部を貫通させてから前記母線6に接続し、第3インバータスタック33以降も同様のことを繰返し、最終の第nインバータスタック34から交流電力を出力する第n出力導体39は、同じ構成の前記第n鉄心44の穴部を第(n−1)出力導体とは逆の方向から貫通させ、更に前記第1鉄心41の穴部を前記第1出力導体36とは逆の方向から貫通させる。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数のインバータスタックを並列運転する際に生じる各インバータスタック間の電流の不平衡を是正するインバータスタックの並列運転装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
交流電力が極めて短い時間でも停電すると支障が生じるような負荷,例えばコンピュータには無停電電源装置を備えることが多い。また、所望の電圧と周波数の交流電力を出力して誘導電動機を可変速運転させるにはVVVFインバータが使われる。これらの装置では、半導体スイッチ素子で構成するインバータスタックが電力を変換して所望の電圧と周波数の交流電力を出力するのであるが、負荷の大容量化に伴って、多数のインバータスタックを並列に接続して運転することが多くなってきた。
【0003】
図3は2組のインバータスタックが並列運転する際の交流出力電流をバランスさせる第1従来例を示した主回路接続図である。
図3の第1従来例回路において、第1インバータスタック1の直流側と第2インバータスタック2の直流側には共通の直流電源3を接続し、第1インバータスタック1が出力する交流電力は第1出力導体4を経て母線6へ送られるし、第2インバータスタック2が出力する交流電力は第2出力導体5を経て母線6へ送られるが、これは第1インバータスタック1と第2インバータスタック2の並列運転である。
【0004】
符号7は磁性材料で作ってその中央部に貫通穴7Aを有する鉄心であって、第1出力導体4と第2出力導体5とをこの貫通穴7Aを貫通させるが、このときの両出力導体に流れる電流が互いに逆方向になるように貫通させる。すなわち図3では、第1出力導体4の電流方向は左から右への方向であるが、第2出力導体5はこれとは逆に右から左への方向へ電流が流れる。通常は両インバータスタックの出力電流は同じであるから、第1出力導体4に流れる電流で鉄心7に生じる磁束と、第2出力導体5に流れる電流で生じる磁束とは打ち消し合い、鉄心7の内部磁束は零である。
【0005】
両インバータスタックの駆動信号を共通にしても、駆動回路の動作のばらつきや、各半導体スイッチ素子の特性のばらつきなどが原因で、過渡的に電流分担が不平衡になる場合があるが、鉄心7は差動方式のバランスコアとなって電流の不平衡を修正する。また、例えば第1インバータスタック1の上側アームと第2インバータスタック2の下側アッムが同時にオンする瞬間があると、直流電源3の正極→第1インバータスタック1の上側アーム→第1出力導体4→母線6→第2出力導体5→第2インバータスタック2の下側アーム→直流電源3の負極の経路で、直流電源3が短絡となる循環電流が流れることになるが、このとき鉄心7には差電圧が印加され、母線6の電圧は第1インバータスタック1の出力電圧と第2インバータスタック2の出力電圧の中間点を維持するように動作するため、出力電流をバランスさせるように作用し、前述の循環電流を抑制する。
【0006】
しかしながら図3で既述の第1従来例回路は、インバータスタックの並列数が2組の場合であって、2組を超えて並列運転する場合には適用できない欠点があった。
図4は2組を超えるインバータスタックを並列運転する際の交流出力電流をバランスさせる第2従来例を示した主回路接続図であって、インバータスタックが6台の場合を図示しているが、これは「特開平11−299252号」公報に記載のものである。従ってこの第2従来例は概要のみを記載し、詳細な説明は省略する。
【0007】
例えば6台のインバータスタック11,12,13,14,15,16を並列運転する場合は、これらを第1組(インバータスタック11,12,13)と第2組(インバータスタック14,15,16)に2分割し、第1組に属するインバータスタック11の出力導体を3個の鉄心21,22,23に貫通させた後に母線6に接続すると共に、それぞれの鉄心21,22,23には逆方向から第2組に属するインバータスタック14,15,16の出力導体を別個に貫通させている。第1組に属するインバータスタック12の出力導体も3個の鉄心24,25,26に貫通した後に母線6に接続し、また第1組に属するインバータスタック13の出力導体も3個の鉄心27,28,29に貫通した後に母線6に接続し、それぞれの鉄心には逆方向から第2組に属するインバータスタック14,15,16の出力導体を別個に貫通させている。よってインバータスタック14の出力導体は、3個の鉄心21,24,27に逆方向から別個に貫通してから母線6と接続し、インバータスタック15の出力導体は、3個の鉄心22,25,28に逆方向から別個に貫通してから母線6と接続し、インバータスタック16の出力導体は3個の鉄心23,26,29に逆方向から別個に貫通してから母線6に接続する構成となる。よって6台のインバータスタックを並列運転する場合に使用する鉄心の数量は、(6/2)2 =9個である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、負荷の容量は増大する一方であるが、半導体スイッチ素子の単体容量を増大させるのは簡単ではない。そこで複数台のインバータスタックを並列運転することで負荷の容量増加に対応したいが、図3に図示の第1従来例では並列運転台数は2台である。
【0009】
そこで2台を超えるインバータスタックの並列運転を可能にしているのが、図4に図示の第2従来例である。しかしながら、この第2従来例は奇数台の並列運転ができない欠点がある。例えば負荷の容量から、インバータスタックの5台を並列運転するのが最適な場合でも、6台を並列運転しなければならないから、余分なインバータスタックを設置しなければならない欠点があるし、装置が大形化して使用効率が低下するし、広い設置スペースが必要になるなど、無駄な費用がかかる欠点がある。更に電流をバランスさせるために使用する鉄心の数量が、インバータスタックの並列運転台数の増加と共に飛躍的に増える欠点もある。例えば並列運転台数が4台のときの使用鉄心数は(4/2)2 =4個であるが、並列運転台数が6台のときは、前述したように使用鉄心数は9個であり、並列運転台数が8台になると、使用鉄心数は(8/2)2 =16個となる。
【0010】
そこでこの発明は、複数台のインバータスタックの並列運転台数が奇数であっても交流出力電流のバランスが可能であり、且つ使用する鉄心数の増加も並列運転台数と同じ程度の増加に抑制できるようにすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、この発明のインバータスタックの並列運転装置は、
第1インバータスタックから交流電力を引き出している第1出力導体は、磁性材料で作って中央に貫通穴を有する第1鉄心の穴部を貫通し、更に同じ構成の第2鉄心の穴部を貫通してから前記母線に接続し、第2インバータスタックから交流電力を引き出している第2出力導体は、前記第2鉄心の穴部を前記第1出力導体とは逆の方向から貫通し、更に同じ構成の第3鉄心の穴部を貫通してから前記母線に接続し、第3インバータスタック以降も同様のことを繰返し、最終の第nインバータスタックから交流電力を引き出している第n出力導体は、同じ構成の前記第n鉄心の穴部を第(n−1)出力導体とは逆の方向から貫通し、更に前記第1鉄心の穴部を前記第1出力導体とは逆の方向から貫通する。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1実施例を表した主回路接続図であって、並列運転するインバータスタックがn台の場合である。
第1インバータスタック31と母線6とを接続する第1出力導体36は、中央に貫通穴を有する第1鉄心41の穴部と,同じ構造の第2鉄心42の穴部を貫通する。第2インバータスタック32と母線6とを接続する第2出力導体37は、前記の第2鉄心42の穴部と,同じ構造の第3鉄心43の穴部を貫通するが、このとき第2鉄心42の穴部は前記第1出力導体36とは逆の方向から第2出力導体37が貫通する。第3インバータスタック33と母線6とを接続する第3出力導体38は、前記の第3鉄心43の穴部と,同じ構造の第4鉄心(図示せず)の穴部を貫通するが、このとき第3鉄心43の穴部は前記第2出力導体37とは逆の方向から第3出力導体38が貫通する。同様にして第nインバータスタック34と母線6とを接続する第n出力導体39は、同じ構造の第n鉄心の穴部と,前記第1鉄心41の穴部を貫通するが、このとき第1鉄心41の穴部は前記第1出力導体36とは逆の方向から第n出力導体39が貫通する。
【0013】
図2は本発明の第2実施例を表した主回路接続図であるが、この図2では、各インバータスタックに接続しているすべての出力導体が、各鉄心の穴部を2回貫通しているところが図1に図示の第1実施例とは異なっている。なお、各鉄心の穴部貫通回数がすべて同数であるならば、貫通回数は何回であっても良いのは勿論である。
【0014】
【発明の効果】
インバータスタックを並列運転する際は、従来は奇数台数を選択することができなかったので、余分なインバータスタックを設置せねばならず、また電流平衡用鉄心の使用数はインバータスタック台数よりも大幅に増加する不都合があった。これに対して本発明では、負荷の容量に適合したインバータスタック台数を選定できるし、電流平衡用鉄心の使用数もインバータスタック台数と同数で賄えることから、負荷の容量に見合った適切な台数を選択できるので、従来に比べて設置台数や設置スペースを削減できる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を表した主回路接続図
【図2】本発明の第2実施例を表した主回路接続図
【図3】2組のインバータスタックが並列運転する際の交流出力電流をバランスさせる第1従来例を示した主回路接続図
【図4】2組を超えるインバータスタックを並列運転する際の交流出力電流をバランスさせる第2従来例を示した主回路接続図
【符号の説明】
1,2  第1,第2インバータスタック
3    直流電源
4,5  第1,第2出力導体
6    母線
7    鉄心
7A   貫通穴
11〜16 インバータスタック
21〜29 鉄心
31〜34 第1〜第nインバータスタック
36〜39 第1〜第n出力導体
41〜44 第1〜第n鉄心
46〜49 第1〜第n出力導体

Claims (2)

  1. 直流電力を交流電力に変換するn台のインバータスタックを備え、各インバータスタックの直流側を共通の直流電源に接続すると共に、それぞれの交流側を共通の母線に接続して運転するインバータスタックの並列運転装置において、
    第1インバータスタックから交流電力を引き出している第1出力導体は、磁性材料で作って中央に貫通穴を有する第1鉄心の穴部を貫通し、更に同じ構成の第2鉄心の穴部を貫通してから前記母線に接続し、
    第2インバータスタックから交流電力を引き出している第2出力導体は、前記第2鉄心の穴部を前記第1出力導体とは逆の方向から貫通し、更に同じ構成の第3鉄心の穴部を貫通してから前記母線に接続し、
    第3インバータスタックから交流電力を引き出している第3出力導体は、前記第3鉄心の穴部を前記第2出力導体とは逆の方向から貫通し、更に同じ構成の第4鉄心の穴部を貫通してから前記母線に接続し、
    第nインバータスタックから交流電力を引き出している同じ構成の第n出力導体は、前記第n鉄心の穴部を同じ構成の第(n−1)出力導体とは逆の方向から貫通し、更に前記第1鉄心の穴部を前記第1出力導体とは逆の方向から貫通してから前記母線に接続することを特徴とするインバータスタックの並列運転装置。
  2. 請求項1に記載の発明において、
    前記各出力導体の前記各鉄心の穴部の貫通回数を、すべて同じ回数にすることを特徴とするインバータスタックの並列運転装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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