JP2004034367A - 結晶性樹脂押出成形体及びその製造方法 - Google Patents

結晶性樹脂押出成形体及びその製造方法 Download PDF

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【課題】結晶性の熱可塑性樹脂を主体とする結晶性樹脂押出成形体およびその製造方法、ならびにその成形体を用いた複合成形品を提供する。
【解決手段】成形体100は、ポリアミド樹脂等の結晶性樹脂を主体に構成されており、その表層部102は内方部104に比べて結晶化度が抑えられている。かかる成形体100は、例えば、押出ダイのオリフィスからサイジング装置の流路出口に至る成形材料流路に溶融状態の成形材料を供給し、その流路通過中に成形材料の表層部位(流路内壁に接する部分)を前記樹脂の結晶化速度が最も高い温度以下の温度域まで急冷して流路出口から押し出すことにより得られる。任意の時期に結晶化促進処理(例えば、結晶化速度が最も高い温度±20℃の温度域に保持する処理)を施すことにより、成形体100の表層部102及び/又は成形体全体の結晶化度を向上させることができる。
【選択図】 図7

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、結晶性の熱可塑性樹脂を主体に構成された結晶性樹脂押出成形体及びその製造方法に関する。また本発明は、その結晶性樹脂押出成形体を含んで構成された複合成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】結晶性の熱可塑性樹脂(以下、単に「結晶性樹脂」ともいう。)を主体とする成形材料を押出成形してなる樹脂押出成形体が知られている。このような押出成形体を製造する従来の一般的な方法では、押出機内にある溶融状態の成形材料が、製造工程(大気中への押出し、サイジング、冷却層通過等)の進行につれて徐々に冷却される。
このようにして製造された樹脂押出成形体は、その主体をなす結晶性樹脂の本来的な性質により、種々の好ましい特性(高硬度、高曲げ弾性、高融点等)を示し得る。その一方で、一般に結晶性樹脂を主体とする成形体は、非結晶性の熱可塑性樹脂を主体とする成形体に比べて、その結晶性樹脂の本来的な性質として脆くなる傾向にある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】結晶性樹脂を主体に構成された樹脂押出成形体において、その結晶性樹脂本来の好ましい特性と脆性(脆さ)とを高度にバランスさせることができれば、かかる成形体の利用可能性が拡がるので好ましい。また、必要に応じて結晶性樹脂本来の特性を発揮させ得る構成(組成)でありながら、その本来の特性が発揮される状態よりも部分的及び/又は一時的に軟質な状態とされた(脆性が抑えられた、又は柔軟な状態とした)樹脂押出成形体を提供することができれば有用である。本発明は、これらのうち少なくとも一つの課題を解決することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】上記課題を解決すべく提供される請求項1の発明は、結晶性の熱可塑性樹脂(結晶性樹脂)を主体に構成された長尺な結晶性樹脂押出成形体に関する。この成形体は、その表層部の結晶化度が該表層部よりも内方にある領域(内方部)の結晶化度よりも小さい部分を有する。
ここで、成形体の「表層部」とは、押出成形体の横断面において、その成形体の外表面を含む環状の領域(即ち、横断面における外縁部)をいう。また、「内方部」とは、押出成形体の横断面において表層部に囲まれた内側の領域をいう。
【0005】
一般に、結晶性樹脂を主体とする樹脂成形体は、その結晶性が高く(結晶化度が大きく)なるにつれて脆くなる傾向にある。請求項1の発明では、成形体の内方部の結晶化度に比べて表層部の結晶化度が抑えられているので、この表層部を内方部よりも軟らかい状態とすることができる。これにより、成形体の全体が内方部と同程度の大きな結晶化度を有する場合に比べて、成形体の脆さが改善され得る。このような結晶性樹脂押出成形体は、外力が加わった場合にもクラック等が発生しにくい。あるいは、他の部材と圧接された状態で使用される場合に、当該他の部材との密着性(シール性)が良好である。請求項1の発明によれば、かかる好ましい性質を示す結晶性樹脂押出成形体を提供するという効果が得られる。
【0006】
なお、成形体の表層部の結晶化度が内方部の結晶化度よりも小さいということは、(1).密度測定、(2).比熱測定(一般に、結晶化度が大きいほうが高比熱になる)、(3).融解熱測定(示差走査熱量計(Differential Scannning Calorimetry:DSC)等により測定することができる)、(4).X線回折、(5).赤外線分析、(6).核磁気共鳴(NMR)分析、(7).偏光電子顕微鏡による観察、等のうち一又は二以上の結果を解析することによって確認することができる。あるいは、成形体の表層部が内方部よりも(1).光透過率(透明性)が高いこと、(2).融点(Tm)が低いこと、(3).弾性率(例えば曲げ弾性率)が小さいこと、(4).硬度が低いこと、等のうち一又は二以上の測定によって決定することができる。
また、成形体の表層部が内方部よりも軟らかい(軟質である)ということは、その表層部が内方部に比べて(1).柔軟性が高い、(2).耐衝撃性に優れる、(3).靭性が高い、等のうち一又は二以上の事象として観察され得る。
【0007】
請求項2の発明では、請求項1の結晶性樹脂押出成形体において、前記樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアセタール樹脂及びポリエチレンテレフタレート樹脂からなる群から選択される。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、更に(1).押出成形方法に対する適性が高い、(2).結晶性樹脂の入手が容易である、のうち少なくとも一つの効果が得られる。
【0008】
請求項3の発明では、請求項2の結晶性樹脂押出成形体において、前記樹脂が、ポリプロピレン樹脂を主体とするとともにポリエチレン樹脂を含有する。
成形体の主構成材料としてポリオレフィンを用いることは、この成形体のリサイクル性等の観点から好ましい。また、ポリプロピレン樹脂に加えてポリエチレン樹脂を用いる(混入する)と、成形体を構成する樹脂全体の結晶化速度が最も高い温度が上昇する。これにより、ポリエチレンを用いない成形体に比べて、この成形体を例えば常温で保存(通常の保管状態で保存)する場合に結晶化度の上昇(結晶化の進行)を抑えることができる。したがって、請求項3の発明によると、請求項2の発明の効果に加えて、保存時等における性質(品質や特性等)の変化が抑制された(保存安定性が改善された)成形体を提供できるという効果が得られる。
【0009】
請求項4の発明では、請求項1,2又は3の結晶性樹脂押出成形体において、前記樹脂が粉状及び/又は繊維状の固形充填材を含有する。
請求項4の発明によれば、請求項1,2又は3の発明の効果に加えて、更に成形体の機械的(物理的)強度を向上させるという効果が得られる。
なお、本明細書において「固形充填材」とは、それを含む成形材料の主成分たる結晶性樹脂が溶融し得る温度域(即ち押出成形の際に常用される温度域)において、溶けたり分解したりせずに固体状態を保ち得る充填材をいう。また、「粉状」とは、樹脂成形や強度保持に支障のない程度に細かい塊状物(繊維状の細長いものを除く)を指す用語であり、特定の粒径のものや形状に限定されない。例えば、細かい片状、棒状、球状、粒状又は中空状の破砕物はいずれも本明細書における粉状固形充填材の範疇に包含される。
【0010】
請求項1〜4の結晶性樹脂押出成形体は、いずれも、後述する請求項6〜9のいずれかの方法等によって好適に製造することができる。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の結晶性樹脂押出成形体を部材として含む複合成形品である。
ここで「複合成形品」とは、材質の異なる複数の部分(部材)が合わさってなる成形品をいう。例えば、独立して成形された本発明の成形体を芯材として他の樹脂にインサート成形することによって得られた押出成形品は、このような複合成形品の典型例である。
請求項1〜4の成形体は、物性のバランス(例えば、結晶性樹脂本来の特性と脆性とのバランス)が良好である。請求項5の発明によれば、このように優れた性質の部材(典型的には芯材)を備える複合成形品を提供できるという効果が得られる。
【0012】
請求項6の発明は、結晶性樹脂押出成形体を製造する方法に関する。その製造方法は、押出ダイのオリフィスに連なるサイジング装置の成形材料流路に、結晶性の熱可塑性樹脂を主体とする成形材料を溶融状態で供給する工程と、前記材料を成形材料流路に通過させて、固化した状態の該成形材料からなる成形体を該流路出口から押し出す工程とを包含する。ここで、前記材料を圧縮状態で前記流路に通過させるとともに、前記成形材料の横断面において、該成形材料流路の内壁に接する表層部位を急冷して中心部よりも先に固化させ、且つ、表層部の結晶化度が内方部よりも低くなっている状態で前記流路出口から前記成形体を押し出す。
【0013】
成形材料のうち成形材料流路の内壁に接する表層部位(主として成形体の表層部を形成することとなる部分)を急冷すると、この表層部位を中心部(主として成形体の内方部を形成することとなる部分)よりも結晶化度の低い状態(その端的な例は非晶質状態である)で固化させることができる。したがって、請求項6の発明によれば、表層部の結晶化度が内方部の結晶化度よりも低い結晶性樹脂押出成形体を製造し得るという効果が得られる。請求項6の発明により製造される成形体の典型例は、請求項1〜4のいずれかの結晶性樹脂押出成形体である。
【0014】
請求項7の発明は、結晶性樹脂押出成形体を製造する他の方法に関する。その製造方法は、押出ダイのオリフィスに連なるサイジング装置の成形材料流路に、結晶性の熱可塑性樹脂を主体とする成形材料を溶融状態で供給する工程と、前記材料を成形材料流路に通過させて、固化した状態の該成形材料からなる成形体を該流路出口から押し出す工程とを包含する。ここで、前記材料を圧縮状態で前記流路に通過させるとともに、前記成形材料の横断面において、該成形材料流路の内壁に接する表層部位を、前記樹脂の結晶化速度が最も高い温度以下の温度域まで急冷する。
【0015】
なお、非晶質の部分と結晶質の部分とを含む樹脂(合成高分子固体)を加熱すると、ある温度域でその結晶質部分が増大する。これを「結晶化速度が最も高い温度」という。この温度は、例えばDSC測定において結晶化速度が最も高いピーク(通常、結晶化の進行は発熱変化(exothermic change)である)の現れる温度域から知ることができる。
成形材料の表層部位を前記ピークの温度を下回る温度まで急冷することにより、この表層部位を中心部よりも軟らかい状態(典型的には、中心部よりも結晶化度の低い状態)で固化させることができる。したがって、請求項7の発明によれば、内方部よりも表層部が軟らかい(軟質な)結晶性樹脂押出成形体を製造し得るという効果が得られる。なお、前述の急冷は、成形材料の表層部位を結晶化が実質的に進行しない温度まで急冷するように行うことが好ましい。
【0016】
請求項8の発明では、請求項6または7の製造方法において、成形材料流路内の成形材料が、該成形材料流路の内壁面に圧接された状態で通過する。
成形材料流路の内壁面(流路内壁)に成形材料が圧接されていると、材料内及びこの成形材料と流路内壁との間に隙間がないので熱伝導率(熱伝導性)を良好なものとすることができる。したがって、請求項8の発明によれば、請求項6または7の発明の効果に加えて、成形材料の熱を外部から(例えば流路内壁の温度を調節することにより)取り去って温度を制御しやすいという効果が更に得られる。特に、成形材料のうち内壁面に接する表面側を急速に冷却することが容易となるので好ましい。
また、このように流路内壁に圧接された状態で成形材料を通過させることにより、その流路内壁の形状を転写して平滑な表面が形成される。したがって、流路内壁を鏡面のように平滑にしておくと、表面が平滑な成形体を押し出すことができる。成形材料が固形充填材を含有する場合には、充填材が成形体表面から突出することがなく、この効果が特によく発揮される。
【0017】
請求項9の発明では、請求項6〜8の製造方法において、前記成形材料流路が、前記流路出口の開口形状と略同一の横断面形状に形成された整形流路部と、その整形流路部の上流側に設けられるとともにその整形流路部に向けて横断面積が拡大していく拡大流路部とを備える。
かかる構成の製造方法とすることにより、成形材料が流路内壁に適切に圧接された状態を実現しやすく、かつ押出方向の力が作用したときに内壁面から剥がれやすく、材料の通過抵抗が減少する。したがって、請求項9の発明によると、請求項6〜8の発明の効果をいっそう高めることができる。
【0018】
請求項10の発明は、請求項6〜9のいずれかに記載の方法により製造された結晶性樹脂押出成形体である。
このような成形体は、典型的には(1).内方部に比べて表層部の結晶化度が低い)、(2).内方部に比べて表層部が軟質である、の少なくとも一方の条件を満たす状態にある。したがって、外力が加わった場合にもクラック等が発生しにくい。あるいは、他の部材と圧接された状態で使用される場合に、当該他の部材との密着性(シール性)が良好である。請求項10の発明によれば、かかる好ましい性質を示す結晶性樹脂押出成形体を提供するという効果が得られる。
【0019】
請求項11の発明は、請求項1〜4及び10のいずれかに記載の結晶性樹脂押出成形体を用意する工程と、その成形体の少なくとも一部の形状を変更する工程とを包含する結晶性樹脂押出成形体製造方法である。
請求項11の製造方法によると、その製造に用いる成形体の表層部の結晶化度が内方部の結晶化度よりも低いこと及び/又は表層部が内方部よりも軟質であることから、この成形体に対してその形状を変更する工程を行うにあたって、意図しない箇所で割れ等の欠陥が生じることが起こり難いという効果を得ることができる。
【0020】
なお、本明細書中で「形状を変更する」とは、成形体を切断する操作、成形体に孔を開ける操作、成形体を変形(長尺体の軸線の曲げ変形、同捻り変形、圧縮変形等)させる操作等のうち一又は二以上の操作によって成形体の外観形状を変えることをいう。前記「形状を変更する工程」は、これらの操作のうち一又は二以上の操作を含むことができる。二以上の操作を含む場合には、これらの操作を同時に実施してもよく、順に実施してもよい。
【0021】
請求項12の発明は、請求項11の製造方法において、形状を変更した成形体に結晶化促進処理を施す工程を更に包含する。
かかる工程により、成形体の表層部及び/又は成形体全体の結晶化度を向上させると、成形体の主体をなす結晶性樹脂本来の特性がよりよく発揮されるようになる。例えば、結晶化促進処理を施す前に比べて、成形体の硬度、曲げ弾性、融点、耐薬品性等の特性のうち一又は二以上を向上させることができる。このように、請求項12の発明によれば、請求項11の発明の効果に加えて、かかる好ましい性質を有する結晶性樹脂押出成形体を製造し得るという効果が得られる。
【0022】
請求項13の発明では、請求項12の製造方法において、前記結晶化促進処理では、形状を変更した成形体を、該成形体を構成する樹脂の結晶化を促進する温度域に保持する。
かかる温度域に成形体を保持することにより、成形体の表層部及び/又は成形体全体の結晶化度を効果的に向上させることができる。このことによって、成形体の主体をなす結晶性樹脂本来の特性がよりよく発揮されるようになる。したがって、請求項13の発明によれば、請求項12の発明の効果に加えて、より効率よく結晶性樹脂押出成形体を製造し得るという効果が得られる。
【0023】
請求項14の発明では、請求項13の製造方法において、前記結晶化を促進する温度域が、前記結晶性樹脂押出成形体を構成する樹脂の結晶化速度が最も高い温度±20℃の温度域である。
このような温度範囲に成形体を保持することにより、成形体の表層部及び/又は成形体全体の結晶化度を特に効率よく向上させ得る。したがって、請求項14の発明によれば、請求項13の発明の効果に加えて、上記「結晶化を促進する温度域に保持する工程」に要する時間を短縮するという効果が得られる。
【0024】
なお、このような工程により成形体の表層部及び/又は成形体全体の結晶化度が向上したことは、その工程を実施する前後で成形体の表層部又は全体について(1).密度測定、(2).比熱測定、(3).融解熱測定、(4).X線回折、(5).赤外線分析、(6).NMR分析、(7).偏光電子顕微鏡による観察、等のうち一又は二以上を実施し、その結果を解析することによって確認することができる。あるいは、その工程を行う前に比べて表層部及び/又は全体の(1).光透過率(透明性)が低下したこと、(2).融点(Tm)が上昇したこと、(3).弾性率が高くなったこと、(4).硬度が高くなったこと、(5).柔軟性が低くなったこと、(6).耐衝撃性が低下したこと、(7).靭性が低下したこと、等のうち一又は二以上の事象によって確認することができる。
【0025】
請求項15の発明は、請求項11〜14のいずれかの方法により製造された結晶性樹脂押出成形体を部材として含む複合成形品である。
請求項11〜14のいずれかの方法により製造された成形体は、結晶性樹脂本来の特性(高硬度、高曲げ弾性等)がよく発揮されている。請求項15の発明によれば、このような優れた性質の部材(典型的には芯材)を備える複合成形品を提供できるという効果が得られる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば押出機の操作法のような押出成形に関する一般的な事項)は、いずれも従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書及び図面によって開示されている事項と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0027】
本発明に係る成形体及び/又は成形材料の主体をなす結晶性樹脂(結晶性の熱可塑性樹脂)としては、6ナイロン、66ナイロン、46ナイロン、芳香族ナイロンなどのポリアミド(PA)樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂;ポリオキシメチレン(POM)等のポリアセタール樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の飽和ポリエステル樹脂等を用いることができる。
好ましく選択され得る結晶性樹脂は、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂(特に、アイソタクチックポリプロピレン又はシンジオタクチックポリプロピレンが好ましい)、ポリエチレン樹脂(特に、高密度ポリエチレンが好ましい)、ポリアセタール樹脂(典型的にはポリオキシメチレン)及びポリエチレンテレフタレート樹脂からなる群から選択される結晶性樹脂である。これらのうち一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0028】
成形体及び/又は成形材料を構成する樹脂成分は、結晶化を阻止することのない限度で、結晶性樹脂以外の樹脂(典型的には、非結晶性の熱可塑性樹脂;以下、「補助樹脂」ともいう。)を含有することができる。なお、本明細書において「熱可塑性樹脂」とは、熱可塑性を示す合成樹脂、ゴム及びエラストマーを包含する用語である。
補助樹脂に用いる熱可塑性樹脂としては、汎用樹脂でもエンジニアリング樹脂(所謂エンプラ)でもよい。例えば、エチレン−プロピレン共重合体(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリルエチレンプロピレンゴムスチレン樹脂(AES)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のうち一種又は二種以上を選択することができる。
【0029】
このような補助樹脂は、樹脂成分の全体(結晶性樹脂と補助樹脂との合計)に占める含有割合が、例えば40質量%以下(典型的には0.1〜40質量%)となる範囲で用いることができる。補助樹脂の好ましい含有割合は20質量%以下(典型的には0.1〜20質量%)の範囲であり、より好ましい範囲は10質量%以下(典型的には0.1〜10質量%)である。成形体が結晶性樹脂及び補助樹脂を含有する場合、その成形体中においてこれらの樹脂成分は、結晶性樹脂が連続相となり、補助樹脂が分散相となるような構造をとっていることが好ましい。この場合には本発明の適用効果がよりよく発揮される。
【0030】
成形体及び/又は成形材料を構成する樹脂成分(結晶性樹脂および補助樹脂)の好ましい一例として、熱可塑性エラストマー(例えばオレフィン系、スチレン系)を挙げることができる。例えば、結晶性樹脂としてのポリオレフィン樹脂(ポリプロピレン樹脂及び/又はポリエチレン樹脂)をハードセグメントとし、補助樹脂としてのエチレン−プロピレン共重合体(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)をエラストマー成分とするオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)が好ましく用いられる。
【0031】
成形体及び/又は成形材料を構成する結晶性樹脂の結晶化速度が最も高い温度は、常温以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましい。この場合には、成形体を常温で保存してもその性質が変化しにくいので好都合である。当該温度の異なる二種以上の結晶化樹脂を組み合わせて用いることによって、結晶化速度が最も高い温度を高温側に調整することができる。例えば、ポリプロピレン樹脂に加えてポリエチレン樹脂(特に高密度ポリエチレン)を用いることにより結晶化速度が最も高い温度を上昇させ得る。
【0032】
成形体及び/又は成形材料には種々の副成分を含有させ得る。そのような副成分として好適なものに、上述の粉状及び/又は繊維状の固形充填材が挙げられる。この種の固形充填材としては、安定した物性を有するもの(典型的には従来から充填材として使用されているもの)であれば特に制限なく使用することができる。例えば、セラミック粉(タルク等の種々の無機化合物粉を包含する。以下同じ。)、カーボン粉、木粉、セラミックファイバー、カーボンファイバーが例示される。あるいは、鉄粉等の金属粉や植物等(例えば木綿)から成る繊維状有機物粉であってもよい。好ましいセラミック粉としては、酸化物、ケイ酸塩、炭酸塩等の粉状物(典型的には粒径1〜1000μm)が挙げられる。ケイ酸塩としてはタルク、クレー、マイカ、ガラスビーズ等があり、強度向上の観点から特にタルクが好ましい。酸化物としてはシリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、軽石等が挙げられる。炭酸塩としては炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。また、セラミックファイバーの好適例としては、直径が0.1〜500μm程度のガラスファイバー、ボロンファイバー、炭化ケイ素ファイバーが挙げられ、ガラスファイバーが特に好ましい。
【0033】
成形体及び/又は成形材料の全体に占める上記固形充填材の含有割合は、用いる充填材の種類や成形体の用途等に応じて異なり得る。本発明の製造方法によると、固形充填材の含有率が30質量%以上(例えば30〜50質量%)、あるいは40質量%以上(例えば40〜60質量%)であっても、表面が平滑な成形体を製造することができる。
上述したものの他、成形体及び/又は成形材料には種々の補助成分を含有させることができる。かかる補助成分としては、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、難燃剤等が挙げられる。
【0034】
なお、成形材料は、従来公知の種々の方法によって所望する形態に調製することができる。例えば、所定の比率で樹脂成分と粉末状充填材とを配合したものを混練押出機にて混練し、ストランドに押出した後にペレット形状とすることができる。
このような成形材料を用いて、好適には本発明のいずれかの製造方法を実施することにより、本発明に係る結晶性樹脂押出成形体を得ることができる。
【0035】
本発明に係る結晶性樹脂押出成形体は、表層部が内方部よりも軟らかいことが好ましい。このような構成は、例えば、表層部の結晶化度を内方部の結晶化度よりも小さくすることにより実現し得る。
本発明に係る成形体の典型例では、その表層部と内方部とで樹脂成分の組成が実質的に同一である。即ち、樹脂成分の組成を変えることなく(組成の異なる二層構造にするのではなく)、その結晶化度の違いによって、表層部を内方部よりも軟らかい状態としている。したがって、組成の異なる二種類の材料を押し出す場合に比べて押出機の構成を簡略化することが可能である。成形材料の調製も容易である。また、表層部と内方部の間で組成の差異に起因する剥がれ等が生じにくい。更に、成形体を押し出した後、経時的にあるいは任意のタイミングで(例えば、成形体に所定の形状変更を施した後に)、その成形体の表層部の結晶化度を向上させることが可能である。これにより表層部と内方部の結晶化度を近づけることができる。ここで、表層部と内方部とで樹脂成分の組成は実質的に同一であるので、結晶化度を近づけることにより成形体全体の物性を均一化することができる。また、成形体の表層部及び/又は成形体全体の結晶化度を向上させて、結晶化樹脂本来の特性が(押出直後、又は結晶化度を向上させる前と比較して)よりよく発揮されるようにすることができる。
【0036】
本明細書において「結晶化促進処理」とは、成形体の表層部及び/又は成形体全体の結晶化度を向上させる処理をいう。例えば、成形体を所定の温度域(結晶化が進行し得る温度域)に保持する処理をいう。
また、本発明の製造方法において実施され得る形状変更処理としては、成形体に引張応力を加える処理(例えば、成形体を軸方向に延伸する処理)、成形体に圧縮応力を加える処理(例えば、型締めや静水圧プレス)等のうち一種又は二種以上の処理を採用することができる。成形体の組成、成形体の表層部及び内方部の結晶化度、形状変更の程度等に応じて、適切な処理方法及びその処理条件(温度、時間等)を定めることができる。
【0037】
成形体の表層部及び/又は成形体全体の結晶化度を向上させる好適な方法の一例は、この成形体を「結晶化を促進する温度域」に保持する方法である。樹脂成分の組成にもよるが、通常は、その樹脂成分を構成する結晶性樹脂の結晶化速度が最も高い温度±20℃の範囲で結晶化を促進する効果が得られ、結晶化速度が最も高い温度±10℃の範囲ではより高い促進効果が得られ、結晶化速度が最も高い温度±5℃の範囲では更に高い効果が得られる。
また、成形体を、その樹脂成分を構成する結晶性樹脂のガラス転移温度(Tg)以上であって融点(Tm)以下の温度に保持することによって、成形体の表層部及び/又は成形体全体の結晶化を促進し得る。なお、ポリプロピレン樹脂の代表的なガラス転移温度(Tg)は約−10〜−35℃であり、融点(Tm)は約175〜186℃である。また、ポリアミド樹脂(6ナイロン)の代表的なTgは約40〜50℃であり、Tmは約225℃である。
【0038】
本発明の結晶性樹脂押出成形体は、これら以外の成形部分(部材)とともに複合成形品を構成することができる。このような複合成形品の好適例としては、(1).本発明の成形体を芯材とし、その周囲に他の樹脂成形部を形成してなるもの、(2).本発明の成形体の表面に他の樹脂成形部を(例えばリップ状に)形成してなるもの等が例示される。「他の樹脂成形部」の典型例としては、非結晶性の熱可塑性樹脂を主体とする樹脂成形部が挙げられる。このような構成によると、結晶性樹脂を主体とする第一樹脂成形部と、その樹脂成形部よりも柔軟性に優れた第二樹脂成形部とを備えた複合成形品を提供することができる。
【0039】
<第一の実施形態>
次に、本発明の好適な一実施形態を図面を参照しつつ詳細に説明する。
本実施形態は、図7に示す横断面形状を有する長尺状の結晶性樹脂押出成形体からなる成形体100およびその製造方法に関する。この成形体100は、図9に示す横断面形状を有する二つの長尺状の金属部材(ここでは建材の窓枠用アルミサッシ)210を連結するとともに、それらの金属部材210の間の熱伝導を抑制するために用いられる。
【0040】
図9に示すように、この成形体(以下、「連結部材」ともいう。)100は、その横断面形状において、二つのアルミサッシ210にそれぞれ設けられた所定の装着溝212に挿入される二つの固定部112と、それらの固定部112を結ぶ連絡部114とから構成されている。各固定部112は、連絡部114から離れるにつれてその厚みが増している。即ち、固定部112は連絡部114に比べて厚肉である。
図7に示すように、この連結部材100の表層部(点線Sよりも外側の環状部分)102は、内方部(点線Iで囲まれた部分)104よりも結晶化度が低く、内方部104に比べて軟質である。ここで、点線S及び点線Iは、表層部102と内方部104との位置関係を大まかに示すものであって、必ずしもこれらの点線を境に結晶化度等の特性が非連続的に変化することを意味するものではない。
【0041】
なお、特に限定することを企図したものではないが、本実施形態では25質量%のガラス短繊維を含むポリアミド樹脂(例えば6ナイロン)ベースの成形材料を用いるものとして説明する。また、便宜上、以下の説明では固化した成形体のみならず当該成形体を構成する成形材料そのものに言及する場合にも、溶融状態又は固化状態を問わず成形体と同一の符号を付与するものとする。
【0042】
図1は、本実施形態に係る押出製造ライン(押出成形装置1)の概要を示す説明図である。図示するように、この押出成形装置1は大まかにいって、ホッパ11を備えた押出機10と、該押出機10の先端に連結されたダイ20と、該ダイ20に連結するサイジング装置30とを備えている。また、サイジング装置30の下流側には、本発明の実施における好適な付加的装置として、引抜装置40が装備されている。
押出機10は、一般的な単軸押出機であり、ペレットその他の形状の成形材料を供給するホッパ11とその材料を溶融しつつ先端方向に送出する加熱シリンダ(図示せず)とが備えられている。加熱シリンダの先端には、ダイ20が取り付けられている。なお、同図において「IN」と「OUT」は、サイジング装置30を所定温度に冷却する冷媒の入口と出口をそれぞれ示している。
【0043】
図2に示すように、ダイ20の内部には、シリンダの流路に連通するダイ流路22が形成されている。流路22の後半部分(下流側)は、前半部分(上流側)よりも径の小さいランド部26を構成している。そのランド部26の先端には、成形材料を排出する開放口即ちオリフィス27が形成されている。このオリフィス27の形状は、固化が完了した最終形態の連結部材100の横断面形状(図7)よりも小さくかつ相似形状となるように形成されている(後述する図3参照)。また、ダイ流路22(少なくともランド部26)の内壁面24は、平滑な面となっていることが好ましい。
【0044】
ダイ20の外面及び本体内部には、ダイ流路22を流れる成形材料を加熱するために、バンドヒータ23がダイ20の外周に、パイプヒータ21がオリフィス27の近傍にそれぞれ設けられている。本実施形態に係るダイ20では、かかるバンドヒータ23によって、流路22のランド部26を含むダイ20全体を加熱することができる。更に、パイプヒータ21及び後述する断熱部38によって、連結するサイジング装置30によりダイ20の熱が奪われて溶融樹脂の温度が下がり粘度が上がるのを防止してランド部26及びオリフィス27周辺を所望する適温の溶融状態に保つことができる。また、逆にサイジング装置30の温度が過度に上昇するのを抑制できる。
【0045】
一方、図2に示すように、ダイ20に隣接するサイジング装置30の内側には、オリフィス27に連通する成形材料流路31が形成されている。ダイ20とサイジング装置30とはオリフィス27を囲う面で接しており、他の対向する面(典型的にはオリフィス27周囲)には断熱部(本実施形態では非接触の空間部)38が設けられている。また、断熱部38の表面及びダイ20に面する表面は、いわゆる金属光輝面を形成しておくのが好ましい。このことにより、ダイからの輻射熱を反射し、サイジング装置30の温度上昇を更に効果的に抑えることができる。
図2、図5及び図6に示されるように、かかる流路31の後半部分(下流側)は、成形体100(図7)の横断面形状と略同一の横断面形状に形成された整形流路部33を構成しており、流路31の前半部分(上流側)は、該整形流路部33に向かって横断面積が拡大していく拡大流路部32を構成している。
【0046】
そして、図2に示すサイジング装置30の整形流路部33の末端(下流側)の出口である排出口37から、所望する最終形状の成形体100が押し出される。このようにして押し出された成形体100は所定の長さに切断されて、そのまま、又は必要により所定の後加工を施して製品(ここでは連結部材100)となる。本実施形態においては、拡大流路部32は、上記オリフィス27の開口形状に対して略相似的形状を維持しつつ整形流路部33に向かって横断面積が次第に拡大(断面形状も次第に拡大)するように形成されている(後述する図3〜図5参照)。
特に限定しないが、成形材料の主体をなす結晶性樹脂としてポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系樹脂あるいは6ナイロン、66ナイロン等のポリアミド系樹脂を使用する場合、上記拡大流路部32をダイ20のオリフィス27の軸芯方向(材料の流れる方向)に対して0.2〜10°程度の角度を有して拡大するように形成するとよい。かかる拡大角度は、ポリプロピレン等の硬質樹脂の自然膨張率を下回る。ここで自然膨張率とは、ダイ20内で圧縮された状態のペースト状樹脂成分が上記オリフィス27から押し出された直後に当該圧縮状態が開放されて膨張するときの膨張の大きさをいう。具体的には、膨張した成形材料の断面積をオリフィスの断面積で割った値として表すことができる。上述した拡大角度の拡大流路部32を設けることにより、自然膨張率が比較的低い硬質樹脂を主体とする成形材料であっても、オリフィス27から押し出された直後から拡大流路部32の内壁面32aに確実に圧接させることができる。
【0047】
また、サイジング装置30内の成形材料流路31(拡大流路部32及び整形流路部33の内壁面32a,33a)は、鏡面加工が施され、表面粗さ(最大高さ:Rmax)が0.1〜1μm程度の平滑な面となっている。
かかる流路内壁面32a,33aの平滑度(粗さ)は、得ようとする製品(成形体)の表面粗さ(例えば最大高さRmaxを指標とする)と同一かそれ以下にしておくのが好ましい。これにより、後述するように平滑な表面の成形品が得られかつ成形材料が流路内を下流に移動するときに引っかかり等が生じないので流路内壁面32a,33aとの摺動抵抗が減少される。
【0048】
サイジング装置30の本体内には、冷却手段として複数の冷媒用通路34,35が成形材料流路31(拡大流路部32及び整形流路部33)を囲むようにして設けられている。これら冷媒用通路34,35のそれぞれに水等の冷媒を通すことによって、サイジング装置30の内部(拡大流路部32及び整形流路部33の内壁面)を所望する温度まで冷却することができる。この成形材料流路31の温度及び成形材料100の移動速度(押出速度)を適当に調節することによって(具体的な制御例については後述する)、成形材料100が流路31を通過する間に、流路の内壁面に接する表層部位を中心部よりも早く(より上流側で)固化させる。あるいは、その表層部位を、成形材料100の中心部に未だ溶融部分が残っている間に、結晶化速度が最も高い温度以下の温度域まで冷却する。このことによって、成形材料の表層部位が比較的結晶化度の低い(非晶質部分の多い)状態で固化する。一方、成形材料100の中心部は、表層部位よりも遅れて(ゆっくりと)固化し、冷却される。これにより、表層部位に比べて中心部の結晶化度が高くなる(非晶質部分が少なくなる)。このようにして、図7に示すように、表層部102の結晶化度が内方部104の結晶化度よりも低い(表層部102が内方部104よりも軟らかい)成形体100を押し出すことができる。
【0049】
引抜装置40は、サイジング装置30から成形体100を引き抜く装置である。図示されるように、本実施形態に係る引抜装置40は、内蔵する駆動源(典型的には回転数制御可能なサーボモータ)によって回転駆動する一対のローラ41,42を備えている。図2に示すように、成形体100は、これらローラ41,42に圧接されて挟まれた状態でそれらの回転速度に応じてサイジング装置30から引き抜かれる。
かかる引抜装置40を設けることによって、サイジング装置内の摩擦が大きくても引抜力を与えて安定して成形材料(成形体)を押し出すことができる。
また、ローラ41,42の回転速度を制御することによって、ダイ20内及びサイジング装置30内の溶融樹脂の圧力を一定に保つように成形体100の排出(引抜)速度を調節することができる。また、引抜装置40をサイジング装置30の直後に配備することにより、成形体に予測不能な伸びを生じさせず引抜力を効果的に伝えることができる。
【0050】
図2に示すように、ダイ20の流路22の側壁には圧力センサ25が設けられている。このセンサ25は、図1に示すように、別途設けた制御装置(典型的にはCPU等を備えて成るマイコン部)50と電気的に接続する。更に制御装置50は、上記引抜装置40のローラ41,42を回転駆動させる駆動源(典型的にはACサーボモータ等の回転数制御可能な高精度モータ)とも電気的に接続する。即ち、制御装置50は引抜装置40のローラ41,42を駆動させるためのモータドライバとして機能する。かかる構成の結果、ダイ流路22の内壁面に付与される成形材料100の圧力を測定し、その測定値をベースにして引抜装置40の駆動源(モータの回転数)を制御し、圧力の増減に応じてローラ41,42の回転速度を適宜増減制御することができる。この結果、ダイ流路22を流れる成形材料100の圧力を安定化させることができる。また、拡大流路部32及び整形流路部33の内壁面32a,33aに対する成形材料100の圧力を、安定した横断面形状の成形体100を押し出すことのできる好適な範囲に自動的に維持することができる。
【0051】
以上の構成の結果、本実施形態に係る押出成形装置1によると、図7に示すように、表層部102の結晶化度が内方部104の結晶化度よりも低い(表層部が内方部よりも軟質な)状態の成形体100を排出口37から押し出すことができる。また、成形体100表面に意図しない窪み(所謂「ヒケ(sink mark)」)が生じるのを防止して、形状精度のよい成形体100を押し出すことができる。更には、多量の固形充填材を含有する成形材料からでも優れた平滑表面を有する高精度の成形体100を製造することができる。以下、このことを説明する。
【0052】
図2に示すように、押出機10から押し出された圧縮圧力が掛かった状態の成形材料100は、樹脂成分が溶融しかつ固形充填材が分散した状態(典型的にはスラリー又はペースト状態)で、オリフィス27からサイジング装置30の成形材料流路31に押し出される。その際、成形材料流路31の内面を、本体部成形材料100のマトリックス成分(樹脂成分;ここではポリアミド等の結晶性樹脂)の融点を下回る温度(好ましくは熱変形温度以下、より好ましくは結晶化速度が最も高い温度以下)に調節しておく。このことによって、サイジング装置30の成形材料流路31に押し出された成形材料100のうち、成形材料流路31の内面に接する表層部位を急冷して固化させ、更にその表層部位から中心部に向かって固化を進行させることができる。なお、この時点での固化は、外部から力を加えることによって変形可能な固化状態である。
【0053】
図2に示す点線は、成形材料100の固化部分100aと溶融部分100bの境界を模式的に示したものである。その境界(点線)よりも上流側の点々で示す部分が溶融状態の部分100bであり、点線よりも下流側が固化状態の部分100aである。図2に示すように、成形材料100の表層部位が固化状態の部分100aとなっても、成形材料100の中心部(成形材料流路31の内部側)には未だ溶融状態の部分100bが残っている。この成形材料100は、中心部に向けて徐々に固化しつつサイジング装置30内を移動する。即ち、成形材料流路31を通過する成形材料100は、まず表層部位が融点以下の温度まで速やかに冷却されて非晶質部分が比較的多い状態(相対的に低結晶化度の状態)で固化した後、中心部(内部側)が表層部位よりも遅れて非晶質部分が比較的少ない状態(相対的に高結晶化度の状態)で固化する。
【0054】
図2に示した状態では、オリフィス27から押し出された成形材料100は、押出機10側から溶融部分100bを介する押圧力によって拡大流路部32の平滑な内壁面32aに圧接される。このことによって、成形材料100が内壁面32aに隙間なく接触(密着)するので、成形材料100とサイジング装置30との間で高い熱伝導効率を実現することができる。即ち、成形材料100と内壁面32aとの間に隙間があると、その隙間が断熱層として作用するので熱伝導効率が低下するところ、成形材料100を内壁面32aに圧接することにより両者の間の熱伝導率を向上させることができる。その結果、成形材料100の表層部位を速やかに冷却し、結晶化度の比較的低い状態で固化させることができる。
【0055】
また、成形材料100が拡大流路部32の平滑な内壁面32aに圧接されることにより、当該内壁面32aの平滑性が成形材料の表面に転写される。このことから、表面が当該内壁面32aに圧接されながら固化した成形体100では、内壁面32aの平滑性を反映して、成形体100の表面からの固形充填材の突出が物理的に阻止されて且つマトリックス成分(樹脂成分)に富む平滑な表面が形成される。また、拡大流路部32において流路の横断面積が拡大する結果、成形材料100はオリフィス27から押し出されたときの流速よりも遅い流速で当該流路部32を流れる。このことからも、拡大流路部32の内壁面32aの転写効率を向上させることができる。
更に拡大流路部32は整形流路部33に向かって横断面積が拡大している結果、固化したばかりの表面と当該流路の内壁面32aとの間に生じる摩擦を低減し得、成形材料のスムーズな移動を実現する。このため、拡大流路部32で形成された固化表面の平滑性を維持することができる。
【0056】
本発明の実施即ち成形体100の生産にあたっては、オリフィス27から押し出された成形材料100が拡大流路部32を通過する時点において、その表面部分が既に固化されているとともに、その成形材料100の内部にまだペースト状の溶融部分が残存するように、サイジング装置30の成形材料流路31の温度及び成形材料100の移動速度(押出速度)を適当に調節するとよい。このことによって、厚肉部分である固定部112の固化が完了するまで(即ち横断面を構成する全ての成形材料100が固化するまで)、当該成形材料100の表面を流路内壁面33aに圧接した状態を維持させておくことができる。このことによって形状精度のよい成形体100が得られる。
即ち、オリフィス27を通過した成形材料100は冷却された拡大流路部32の内壁面32aに接触してその表層部位が固化するが、その内部(中心部分)は圧縮された溶融状態を保っている。このとき、未だ固化していない溶融部分は液状なので、膨張しようとする圧力(押圧力)を内蔵しており、その押圧力は当該溶融部分の全域・全方向に均等に作用する。そこで、かかる押圧力を利用し、成形材料100の固化した表面を拡大流路部32及び/又は整形流路部33の内壁面32a,33aに圧接させるとともに押出方向の力として作用させることができる。
【0057】
特に、図2に示すように、拡大流路部32を通過した時点のみならず、排出口37の近傍(典型的には整形流路部33の全長の3分の2を越える時点)まで、成形材料100の内部(厚肉部分である固定部112を包含する)に溶融部分100bが存在するような条件下で、溶融部分の固化に伴う体積収縮量を補填するのに充分な量の溶融樹脂を強制的に供給、補充しつつ成形材料100の固化を進行させるのが好ましい。この場合には、排出口37から成形体100が排出される直前まで、その表面側を整形流路部33の内壁面33aに圧接し得る圧力を存続させることができる。溶融状態が保持されている限り、最後に固化する部分(中心部;厚肉部分である固定部112を包含する)にダイ20から溶融樹脂が連続して供給・補填される。固定部112が固化する際には当該部分の体積収縮が生じるが、この体積収縮による成形材料の不足は上述の溶融樹脂で補填される。したがって、成形体100表面にヒケが生じるのを防止することができる。その結果、成形体100の形状精度が向上する。好ましくは、溶融樹脂成分が当該最後に固化する部分に過剰に充填される。このとき、サイジング装置30内の成形材の固化した部分の移動速度VS(引抜き又は排出速度と同一)よりも溶融部分の移動速度VCのほうが大となる。
【0058】
以下、図2に示すような状態を具現化するための、成形材料100の移動速度(押出速度)及びサイジング装置30内の流路31の温度調節に関する好適な一具体例を説明する。
例えば、成形材料100を構成する樹脂成分(マトリックス成分)がポリアミド樹脂(例えば6ナイロン)であり、固形充填材としてガラス短繊維を含む場合、当該樹脂成分の融点(ここでは約240℃として説明する)のよりもやや高い温度域(ここでは約260℃)にダイ20の温度を調節する。かかるダイ温度の調節は、図示しないシリンダーバレル、上記パイプヒータ21及びバンドヒータ23を適宜作動させることより容易に行い得る。
【0059】
一方、サイジング装置30の拡大流路部32は、成形材料100の表層部位を相対的に結晶化度の低い(軟質な)状態で固化させるため、成形材料100を構成する樹脂成分の結晶化速度が最も高い温度よりも低い温度(ここでは20℃)に保たれた冷却水を冷媒用通路34に通して冷却されている。
これに対してサイジング装置30の整形流路部33は、成形材料の形状整形を目的とするため、成形材料100が可塑性を失う温度域に調節する。成形材料がガラス短繊維を含有するポリアミド樹脂である場合、典型的には10〜100℃(好ましくは、樹脂成分の結晶化速度が最も高い温度よりも低い温度)に冷却する。
かかるサイジング装置30内の拡大流路部32及び整形流路部33の温度の調節は、これら流路32,33の周囲に設けられた上記冷却用通路34,35に適当な温度に調節された水やオイル等の冷媒(ここでは20℃の冷却水)を流すことにより容易に行い得る。例えば、流路内を100℃以下に保つ場合は水又は湯を用いると良く、100℃を超える温度に保つ場合は沸点が冷却温度よりも高い適当なオイルを用いるとよい。これら冷媒は、別途用意した図示しないチラー等の温度調節機とサイジング装置30(冷却用通路34,35)との間を循環させて使用すると良い。これにより、効率よく成形材料(樹脂)の熱を奪うことができる。
【0060】
また、整形流路部33の温度を一定とせず、拡大流路部32に近い上流域をやや高めの温度に設定し、それよりも下流域は比較的低めの温度に調節してもよい。このような冷却温度勾配を設けることによって、成形材料内部の溶融部分を整形流路部33の上流域及び中流域(好ましくは整形流路部33の全長の上流側入口から3分の2を越える時点)でも維持し得、当該上流域において残存溶融部分を介して強制的に供給・補充される溶融樹脂の押圧力によって、整形流路部33の内壁面33aに成形材料100の表面を効果的に圧接することができる。これにより、成形体表面のより高度な平滑化と形状寸法の正確化(ヒケ等の発生防止)を実現することができる。
【0061】
特に限定するものではないが、ポリアミド樹脂60〜80質量%とガラス短繊維等の固形充填材40〜20質量%とから実質的に構成される成形材料の場合、ならびに、ポリプロピレン等のオレフィン系硬質樹脂40〜50質量%と木粉、タルク等の固形充填材60〜50質量%とから実質的に構成される成形材料の場合には、成形材料流路31において1〜20MPa程度(好ましくは5〜15MPa)の圧力が加わるように、ダイ20の流路22内における成形材料100の圧力を設定することが好ましい。
【0062】
また、拡大流路部32及び整形流路部33における成形材料100の流速(押出速度)は、上述したようなダイ20及びサイジング装置30の温度設定に対して、成形材料100が拡大流路部32を通過する時点、更に好ましくは上流側から整形流路部33の全長の半分若しくは3分の2を越える時点において、成形材料100の表層部位が固化されているとともに該表面が流路33の内壁面33aに圧接された状態(即ち図2に示すような溶融部分100bが内部に存在する状態)が維持されるように決定される。そして、典型的には、サイジング装置30を通過するまで(即ち排出口37から排出されるまで)の間に成形材料の固化を完了させるように成形材料100の流速を決定する。
【0063】
更に、拡大流路部32及び整形流路部33における成形材料100の流速(押出速度)は、上述したようなダイ20及びサイジング装置30の温度設定に対して、成形材料100の表層部位(主として成形体の表層部となる部分)が、その成形材料の中心部(主として成形体の内方部となる部分)に未だ溶融部分100bが残っている間に、結晶化速度が最も高い温度以下の温度域まで冷却されるように決定される。成形材料100の表層部位が結晶化速度が最も高い温度以下の温度域まで冷却される位置は、オリフィス27から成形材料の固化が完了する位置までの長さの90%(より好ましくは80%、さらに好ましくは70%)よりも上流側(オリフィス側)とすることが好ましい。
当業者であれば、かかる押出速度の設定や調整は、上記温度設定の他、押出成形品の大きさ、樹脂成分の種類、熱容量等を勘案して事前のシミュレーションやトライで決定することができる。
かかる押出速度は、一般的な押出成形法と同様、押出機10からダイ20への時間当りの成形材料供給量の変更・調整(典型的にはスクリュー回転速度の調節)によって行ってもよいが、本実施形態に係る押出成形装置1では、上記圧力センサ25及び制御装置50を用いて引抜装置40のローラ41,42の回転速度を自動的に調整することによって容易に行うことができる。
【0064】
例えば、一具体例として、以下のような制御を行うことができる。
即ち、図1の押出成形装置1において、制御装置50は圧力センサ25(図2参照)からの圧力検知信号を所定の時間毎に継続して受信する。そして、受信した圧力検知信号が予め設定した圧力レベル(例えば7±0.1MPa:以下「初期圧力レベル」という。)に相当するときは、初期設定されている引抜速度(例えば3m/分:以下「初期引抜速度」という。)で成形体100を引き抜くようにローラ回転用モータの速度制御を行う。
しかし、何らかの原因によって、初期圧力レベルよりも高い圧力を示す圧力検知信号が受信された際には、初期引抜速度よりも大きい引抜速度となるようにローラ41,42の回転速度を上げるためのモータの速度制御を行う。これにより、拡大流路部32及び整形流路部33の内壁面32a,33aに対する成形材料100の圧力が許容レベルよりも継続して上がってしまうこと(例えば7.1MPa超となること)を防止することができる。
【0065】
一方、何らかの原因によって、初期圧力レベルよりも低い圧力を示す圧力検知信号が受信された際には、初期引抜速度よりも小さい引抜速度となるようにローラ41,42の回転速度を下げるためのモータの速度制御を行う。これにより、拡大流路部32及び整形流路部33の内壁面32a,33aに対する成形材料100の圧力が上記許容レベルよりも下がってしまうこと(例えば6.9MPa未満になること)を防止することができる。
このように作動する引抜装置40のモータ駆動制御系を設けることによって、拡大流路部32及び整形流路部33の内壁面32a,33aに対する成形材料100の圧力レベルを、ヒケ発生を防止して成形体の形状安定化に適する範囲内に設定することができる。更には、その圧力を許容範囲内に自動的に維持することができる。なお、かかるモータ駆動制御系は、あえて詳述するまでもなく、従来周知のマイコン制御技術等に基づいて容易に製作することができる。同様に、ダイ20やサイジング装置30の温度調節は、ダイ20やサイジング装置30の壁部に温度センサを設けておき、上記圧力制御と同様の制御系を製作することにより、容易に行うことができる。
【0066】
以上に例示したように、サイジング装置30の流路31(拡大流路部32と整形流路部33)内における温度、成形材料供給量、圧力、押出速度或いは排出(引抜)速度等を適宜調節することにより、好ましくは、以下に説明するようなサイジング装置30内での成形材料の形態(形状及び相)変化を起こさせつつ押出成形を実施するとよい。
即ち、図3に示すように、ダイ20のオリフィス27から押し出されてサイジング装置30の成形材料流路31(拡大流路部32)に導入される位置(オリフィスの位置)では、成形材料100の全体が溶融状態100bである。上述のとおり、オリフィス27の開口形状は、目的の成形体100の横断面を均等に縮小した相似形状となっている。即ち、図中の符号t1及びW1で示す長さは、各々、目的とする成形体100の横断面(図7参照)からみたときの連絡部114の厚み及び成形体100の横幅よりも短い。なお、図2に示す成形材料の状態は、図3〜7に示す成形材料をII−II断面からみた模式的な状態にほぼ相当する。
【0067】
図4に示すように、サイジング装置30の拡大流路部33では、成形材料の表層部位が急冷されて相対的に結晶化度の低い固化部分100aが形成されるが、その内部は溶融部分100bが残っている状態であり、当該溶融部分100bの圧力はパスカルの原理に準じて当該部分100bの外側の全方向に膨張する力として略均一に作用する。これにより、固化した表面の拡大流路内壁面への圧接が実現する。
拡大流路部32の開口形状は、上流側から下流側へ相似的拡大形状を維持しつつオリフィス27の開口形状よりも拡大している。従って、この位置(図2のIV−IV断面)での成形材料における連絡部114の厚み(t2)及び成形材料の横幅(W2)は、図3に示す位置におけるそれらよりも大きい(W2>W1、t2>t1)。他方、図4に示す位置での溶融部分100bの面積は、表面側からの固化が進行するのに伴って、図3に示す位置における溶融部分100bの面積よりも小さくなっている。
【0068】
図5に示すように、成形材料100が整形流路部33に導入された位置では、成形材料の横断面における固化部分100aの面積は、拡大流路部32を通過することによって図4における位置よりも増大している。一方、その内部には依然として溶融部分100bが存在する。これにより、整形流路部33を通過する過程(固化過程)においても、溶融樹脂材料の強制的な供給・補充が行われ、樹脂成形材料の固化に伴う体積収縮を補填することができる。なお、整形流路部33の流路断面形状は、最終的な成形体100の横断面形状と同一に形成してある。従って、図5に示す位置での成形材料の連絡部114の厚み(t3)及び成形材料の横幅(W3)は、図4に示す位置におけるそれらよりも大きい(t3>t2、W3>W2)。他方、図5に示す位置での溶融部分100bの面積は、表面側からの固化が更に進行するので、図4に示す位置における溶融部分100bの面積よりも小さくなっている。
【0069】
図6に示すように、整形流路部33の全長の略3分の2を通過した位置では、表面側からの固化が更に進行し、成形材料における固化部分100aの面積が図5に示す位置よりも更に増大している。このとき、成形材料の表層部位は既にその樹脂成分の結晶化速度が最も高い温度以下の温度域まで冷却されている。一方、成形材料の内部の一部(中心部)には依然として溶融部分100bが残存している。これにより、厚肉部分(固定部112)が固化する直前まで溶融樹脂材料の強制的供給・補充が継続され、図6に示す位置よりも下流側において行われる当該厚肉部分の固化に伴う体積収縮を補填するので、成形体の表面にヒケが生じるのを防止することができる。
而して、整形流路部33の下流側端末を通過するまでに、成形材料100の固化を(固定部112の内部を含めて)完了させた成形体100(図7)を、サイジング装置30の排出口37から排出させる。
【0070】
なお、排出口37から排出される成形体100の内部が完全に固化しているか否かは、種々の装置を用いて容易に判定することができる。例えば、種々の温度センサや赤外線センサを用いて排出口37から排出された直後の成形体100の表面温度を測定したり、或いは、超音波センサによって排出口37から排出された直後の成形体100を調べて、その内部に溶融部分が残存しているか否かを調べることができる。
従って、これらの装置(超音波センサの使用が特に好ましい。)を用いることによって、排出口37の近傍(典型的には上流側から整形流路部の全長の3分の2を越える時点)まで成形材料の内部に溶融部分が存在し且つ排出口37から排出される時点では成形体の内部が完全に固化している状態を維持するのに好適な押出速度や、引抜くときには引抜速度、成形材料のダイへの供給量、ダイ内の圧力等を容易に決定し、調節することができる。
【0071】
成形材料流路を通過する成形材料の形態がこのように変化する間の、その表層部位(図7に示す成形体100の表層部102を形成する部分)および中心部(図7に示す成形体100の内方部104を形成する部分)の温度の推移を図8に模式的に示す。この図8では、成形材料を構成する結晶化樹脂(樹脂成分)の融点(Tm)を240℃とし、その結晶化速度が最も高い温度を140℃として示している。
図示するように、成形材料の表層部位は、拡大流路部に導入されると(オリフィスを通過すると)すぐに融点(Tm)以下の温度まで冷却される。その後、この表面側(表層部位)は更に冷却されつつ拡大流路部および整形流路部を移動し、整形流路部の終端(排出口)では約20℃まで冷却されている。この温度は、樹脂成分の結晶化速度が最も高い温度よりも明らかに低い。このような温度履歴を経ることにより、成形体の表層部は、結晶化速度が最も高い温度域を急速に通り過ぎて結晶化が完了しないままに固化されて相対的に結晶化度の低い状態となる。
これに対して、成形材料の中心部は、オリフィスを通過してから整形流路部の全長の略3分の2を通過するまで溶融状態に保たれている。その間、押出時の温度(ここでは約260℃)から融点(ここでは240℃)まで成形材料の中心部の温度が緩やかに低下する。このように、成形材料の中心部は表層部位よりも遅れて(時間をかけて徐々に)固化するので、表層部位に比べて結晶化度の高い状態となる。
そして、図8に示すように、成形材料がその中心部まで固化するとき、表層部位は既に結晶化速度が最も高い温度以下の温度域まで冷却されている。このように制御することによって、表層部の結晶化度が内方部の結晶化度よりも低い成形体を押し出すことができる。
【0072】
以上に説明したように、本実施形態に係る製造方法によると、表層部の結晶化度が内方部よりも低く、かつ、表面が平滑でヒケの発生が認められない成形体(連結部材)100を容易に製造することができる。
【0073】
本発明の製造方法は、上記の実施形態に限らず、種々の形態で行うことができる。
例えば押出成形装置1には、上述した構成の他にも種々の付加的装置を備えることができる。例えば、引抜装置40の下流側にサイジング装置から排出された成形体100を更に冷却するための追加的冷却装置(冷却槽等)を備えてもよい。そのような配置により、成形体100の余熱を除去し、成形体全体を完全に冷却することができる。また、引抜装置40(或いは上記冷却装置)の下流側に適当な切断装置(典型的には回転ソーやプレス型)を配置すれば、押出成形された長尺状成形体100を所望する長さに切断することができる。
【0074】
また、上記押出成形装置1では、引抜装置40によって成形体(形状化成形材料)の移動速度を調節しているが、このような引抜装置40を設けることなく、押出機10からの成形材料の押出量(供給量)の増減調節によって主に成形体(形状化成形材料)の移動速度を調節してもよい。
また、引抜装置40に装備される上記一対のローラ41,42は、成形体100を挟持してスリップを生じることなくその移動速度を調節し得るものであれば、その表面形状や材質に特に制限はない。例えば、外周面にローレット加工等による凹凸面が形成されたローラ(スチール製等)を使用すると、当該ローレット加工面が成形体の表面に食い込んで回転駆動するため、ローラと成形体との間にスリップが無く、確実に引抜き力を付与することができる。なお、ローラは一対に限られず、二対以上設けてもよい。
また、表面が柔らかい材質の成形体に適用する場合には、ローラに挟まれることによって好ましくない痕跡が当該成形体の表面に形成されるのを防止するため、ゴム製のローラを用いるとよい。あるいは、円筒形のローラに代えてゴム製のベルトやクローラ(無限軌道形状)等を用いるとよい。
【0075】
また、上記実施形態におけるダイのオリフィスの形状は、成形体の横断面形状の縮小相似形状に形成されているが、これに限定されない。例えば近似的縮小形状(例えば成形体の横断面の縦方向又は横方向を縮小した形状)であってもよく、或いは成形体の横断面形状を非近似的に縮小したものであってもよい。いずれの場合にもサイジング装置の拡大流路部の流路断面形状をダイのオリフィス形状から徐々に拡大していき、最終的に(即ち整形流路部に至った際に)成形体の横断面と同一となるようにすればよい。
【0076】
このようにして製造された成形体100を所望の長さにカットして連結部材100を得ることができる。この連結部材100は、図9に示すように、二つのアルミサッシ210を対向させてその間に連結部材100を配置し、各サッシ210の装着溝212に連結部材100の固定部112を装着して使用される。この装着は、例えば次のようにして行うことができる。すなわち、図10に示すように、装着溝212を構成する加締爪214が開いた状態(図中に二点差線で示す状態)で固定部112を装着溝212に挿入する。そして、加締爪214を機械的に塑性変形させて連結部材100を加締める。これにより、加締爪214の先端が固定部112の付け根にやや食い込んだ状態で、連結部材100がサッシ210に固着される。
【0077】
このとき、連結部材100の表層部102(図7参照)は内方部104に比べて軟質である(結晶化度が低い)ので、加締爪214により加締められても割れ(クラック)等を生じにくい。また、表層部102が比較的軟質であることにより、加締爪214により加締められた(加締爪214の先端が表層部102に圧接された)ときに、その加締爪214(サッシ210)と連結部材100との間のシール性を良好なものとすることができる。その結果、サッシ210と連結部材100との間を水が通過する等の不具合を抑制し得る。さらに、成形体(連結部材)100はその表層部102が軟質であることから耐衝撃性に優れるので、この成形体100を所定の長さにカットする際や取り扱う際(運搬等)に不測の割れ等を生じ難い。
【0078】
<第二の実施形態>
次に、本発明の他の好適な実施形態を図面を参照しつつ詳細に説明する。本実施形態は、車両のフロントピラーからルーフに沿って連続して設けられるピラーモールおよびその製造方法に関する。この製造方法は、図11に示す横断面形状を有する樹脂成形体を押出形成する第一工程、その成形体を所望の形状に変更する第二工程(後加工工程)、および形状を変更した成形体に熱処理を施す第三工程(後加工工程)を含む。なお、特に限定することを企図したものではないが、本実施形態も第一の実施形態と同様に、25質量%のガラス短繊維を含むポリアミド樹脂(例えば6ナイロン)ベースの成形材料を用いるものとして説明する。
【0079】
まず第一工程として、第一の実施形態と同様に構成された押出製造ラインを用いて(図1参照)、図11に示す横断面形状を有する直線状の長尺状の成形体300を押出形成する。このとき、図2に示すように、成形材料流路31を通過する成形材料100の表層部位が中心部よりも先に固化し、且つその中心部に未だ溶融部分100bが残っている間に表層部位が結晶化速度が最も高い温度以下の温度域まで冷却されるように押出製造ラインを制御する。押し出された成形体300は、図11に示すように、頭部310と、その両側端からその下面側に周り込んで下方に延びる第一脚部(車両に装着されたとき外側に配置される部分)312および第二脚部(装着されたとき内側に配置される部分)314とを有する。第一脚部312の先端には、第二脚部314側(内側)に突出する凸部312aが形成されている。この成形体300は、表層部の結晶化度が内方部の結晶化度よりも低い(軟質な)状態にある。成形体300の全体形状はほぼ直線状であり、所望の長さ(車両の装着部位に合わせた長さ)毎にカットして第二工程へと送られる。
【0080】
第二工程は、成形体300の切断及び穴あけを行う一次形状変更過程と、一次形状変更過程を経た成形体300を曲げ変形及び捻り変形させる二次形状変更過程とを含む。
一次形状変更過程では、この成形体300の長手方向の一部範囲で、第二脚部314の一部を切りとる。すなわち、図12に示すように、直線状の成形体300のうち車両のルーフに取り付けられる部分(ルーフ相当部分)300aでは、図11に示す状態よりも第二脚部314の長さを短くする。一方、ピラーに取り付けられる部分(ピラー相当部分)300bでは、第二脚部314の長さを、ルーフ相当部分300aに向けて次第に短くなるようにする。このような形状となるように第二脚部314の先端を切断除去する。なお、図12には切断前の第二脚部314の形状を二点鎖線で示している。また、第一脚部312には、長手方向の所定の位置に、車両への取付に用いる取付部材(弾性クリップ等)を嵌め込むための嵌合孔316を形成する。この嵌合孔316は、プレス穴あけ加工、ドリル加工等の通常の穴あけ加工方法により行うことができる。このとき、本実施形態の成形体300は、表層部が軟質な状態にあることから、これらの一次形状変更過程(切断、穴あけ等)を実施しても割れ等を生じ難い。
【0081】
二次形状変更過程では、一次形状変更過程を終えた成形体300(ほぼ直線状の全体形状を有する)に対して、その軸線の曲げ及び捻り加工を行う。ここで「軸線」とは、図11および図12に示すように、成形体300の横断面の一点(図11に示すP点)においてその成形体300に沿って延びる仮想の線(図12に示すP線)である。図12に示すように成形体300が直線状を呈する場合には、軸線(P線)はその成形体300と平行に延びている。
この二次形状変更過程には、図13,15および図16に示す成形装置400を使用する。この成形装置400は、開閉可能な上型410および下型420を備える。両型410,420を閉じると、その内部に、図15および図16によく示されるように、長手方向に連続する成形体収容溝430が区画される。図13に示すように、この収容溝430は全体として、成形体のルーフ相当部分300aを収容する部分430aと、成形体のピラー相当部分300bを収容する部分430bとが鈍角で交差する略L字形に形成される。ここで、収容溝430の各部分430a,430bの交差角度や交差部の曲率半径等(交差形状)は、それぞれ最終的な製品(ピラーモール)の形状よりも小さくなっている。これは、成形体300のスプリングバックを考慮したものである。
【0082】
このように構成された収容溝430に、一次形状変更過程を終えた成形体300を弾性変形させて押し込み、両型410,420を閉じる。このとき成形体300は、図13に示すように、ルーフ相当部分300aとピラー相当部分300bとの間で強く曲げられた状態で成形装置400に収容されている。また、車両の左側に装着されるピラーモールの場合、成形体300は、図15に示すルーフ相当部分300aを基準として、図16に示すピラー相当部分300bでは軸線Pが時計方向に角度θだけ捻られるようにして収容されている。そして、図13に示す成形装置400を上から見ると、図14に示すように、成形体300の軸線Pは、ルーフ相当部分300aを基準としてピラー相当部分300bが反時計方向に曲げられている。このとき、本実施形態の成形体300は、表層部が軟質な状態にあることから、このように曲げ変形や捻り変形を加えても割れや折れ等を生じ難い。
【0083】
第三工程では、成形装置400に収容された成形体300をこの成形装置400とともに加熱炉に入れる。これにより成形体300を、その成形体を構成する樹脂成分(6ナイロン等のポリアミド樹脂)の結晶化を促進する温度域に保持する。成形体を保持する温度域としては、(1).樹脂成分のガラス転移温度(Tg)以上かつ融点(Tm)以下である、(2).樹脂成分の結晶化速度が最も高い温度±20℃である、の少なくとも一方の条件を満たす温度域が好ましく、これらの両方を満たす温度域に保持することがより好ましい。樹脂成分が6ナイロンである場合には、成形体を保持する温度域を、例えば60〜160℃(好ましくは70〜140℃、より好ましくは80〜120℃)の範囲から選択される任意の温度域とすることができる。かかる温度域に成形体300を保持する時間は、特に限定されないが、通常は5分以上とすることが適当であり、30分以上とすることが好ましく、3時間以上とすることがより好ましい。
【0084】
このような熱処理を施すことによって、成形体の結晶化度を上昇させることができる。熱処理前には相対的に(内方部に比べて)結晶化度が低かった表層部では、熱処理前に比べてその結晶化度が顕著に上昇する。また、この熱処理前によって、成形体の内方部の結晶化度をより上昇させることも可能である。その結果、成形体の全体としての結晶化度が上昇する(非晶質部分の割合が少なくなる)。また、この熱処理によって成形体の全体としての曲げ弾性率および硬度が大きくなる(成形体が硬化する)。
なお、成形体を収容した成形装置を加熱炉に入れる代わりに、成形装置が加熱装置(ヒータ等)を備える構成とし、その加熱装置を稼動させて成形体を加熱(熱処理)してもよい。例えば、上型及び/又は下型にヒータを埋め込んだ構成、上型及び/又は下型の周囲にヒータを設けた構成等とすることができる。また、このように加熱装置を備える成形装置を更に加熱炉に入れてもよい。
【0085】
本実施形態では、6ナイロンを主体に構成された成形体を140℃に100分間加熱した。その後、両型410,420を開いて成形体300を取り出した。このようにして、軸線Pが曲がり且つ捻られた形状の成形体(ピラーモール)を得た。
【0086】
25質量%のガラス短繊維を含む6ナイロンベースの成形材料を、表層部の結晶化度が内方部の結晶化度よりも小さくなるような条件で押出成形して得られた結晶性樹脂押出成形体につき、上記熱処理が曲げ弾性率に及ぼす影響を検討した。なお、曲げ弾性率の測定はJIS K 7171「プラスチック曲げ特性試験方法」に準じて行った。
すなわち、押出成形された成形体につき熱処理前の曲げ弾性率を測定し、さらに120℃、140℃および160℃に所定時間保持した後の曲げ弾性率を測定した。その結果を図17に示す。図17から判るように、この樹脂組成及び熱処理条件では、3〜30分程度の加熱により成形体の(全体としての)曲げ弾性率が顕著に向上した。熱処理を行わない成形体(押出成形後、室温に保持したままの成形体)では、このような曲げ弾性率の向上はみられなかった。なお、加熱時間を延長することによる曲げ弾性率の低下は特に認められなかった。成形体を140℃で30日間保存したところ、30日後にも140℃に300分保持した成形体とほぼ同等の曲げ弾性率が維持されていた。
【0087】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の成形体を製造するための押出成形装置の一例を示す概略説明図である。
【図2】押出成形装置の要部を示す縦断面図である。
【図3】図2のIII−III断面における成形材料の状態を示す断面図である。
【図4】図2のIV−IV断面における成形材料の状態を示す断面図である。
【図5】図2のV−V断面における成形材料の状態を示す断面図である。
【図6】図2のVI−VI断面における成形材料の状態を示す断面図である。
【図7】第一の実施形態に係る成形体の構造を示す横断面図である。
【図8】成形材料流路内における成形材料の各部の温度推移を示す特性図である。
【図9】第一の実施形態に係る成形体の使用例を示す横断面図である。
【図10】図9の部分拡大図である。
【図11】第二の実施形態に係る成形品の構造を示す横断面図である。
【図12】第二の実施形態に係る成形品の構造を示す側面図である。
【図13】第二の実施形態において、成形装置に成形体を収容した状態を示す側面図である。
【図14】図13のXIV方向から見たP線の位置を示す説明図である。
【図15】図13のXV−XV線断面図である。
【図16】図13のXVI−XVI線断面図である。
【図17】成形体の熱処理条件と曲げ弾性率との関係を示す特性図である。
【符号の説明】
20 :ダイ
27 :オリフィス
30 :サイジング装置
31 :成形材料流路
32 :拡大流路部
32a:内壁面(成形材料流路の内壁)
33 :整形流路部
33a:内壁面(成形材料流路の内壁)
37 :排出口(流路出口)
100 :連結部材(結晶性樹脂押出成形体)
102 :表層部
104 :内方部
300 :成型体(結晶性樹脂押出成形体)
400 :成形装置
430 :成型体収容溝

Claims (15)

  1. 長尺な樹脂押出成形体であって、
    その成形体は、結晶性の熱可塑性樹脂を主体に構成されているとともに表層部の結晶化度が該表層部よりも内方にある領域の結晶化度よりも小さい部分を有する結晶性樹脂押出成形体。
  2. 前記樹脂は、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアセタール樹脂及びポリエチレンテレフタレート樹脂からなる群から選択される少なくとも一種である請求項1に記載の結晶性樹脂押出成形体。
  3. 前記樹脂は、ポリプロピレン樹脂を主体とするとともにポリエチレン樹脂を含有する請求項2に記載の結晶性樹脂押出成形体。
  4. 前記樹脂は粉状及び/又は繊維状の固形充填材を含有する請求項1,2又は3に記載の結晶性樹脂押出成形体。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の結晶性樹脂押出成形体を部材として含む複合成形品。
  6. 押出ダイのオリフィスに連なるサイジング装置の成形材料流路に、結晶性の熱可塑性樹脂を主体とする成形材料を溶融状態で供給する工程と、
    前記材料を成形材料流路に通過させて、固化した状態の該成形材料からなる成形体を該流路出口から押し出す工程とを包含し、
    ここで、前記材料を圧縮状態で前記流路に通過させるとともに、前記成形材料の横断面において、該成形材料流路の内壁に接する表層部位を急冷して中心部よりも先に固化させ、且つ、表層部の結晶化度が内方部よりも低くなっている状態で前記流路出口から前記成形体を押し出す結晶性樹脂押出成形体製造方法。
  7. 押出ダイのオリフィスに連なるサイジング装置の成形材料流路に、結晶性の熱可塑性樹脂を主体とする成形材料を溶融状態で供給する工程と、
    前記材料を成形材料流路に通過させて、固化した状態の該成形材料からなる成形体を該流路出口から押し出す工程とを包含し、
    ここで、前記材料を圧縮状態で前記流路に通過させるとともに、前記成形材料の横断面において、該成形材料流路の内壁に接する表層部位を、前記樹脂の結晶化速度が最も高い温度以下の温度域まで急冷する結晶性樹脂押出成形体製造方法。
  8. 成形材料流路内の成形材料は、該成形材料流路の内壁面に圧接された状態で通過する請求項6または7に記載の結晶性樹脂押出成形体製造方法。
  9. 前記成形材料流路は、前記流路出口の開口形状と略同一の横断面形状に形成された整形流路部と、その整形流路部の上流側に設けられるとともにその整形流路部に向けて横断面積が拡大していく拡大流路部とを備える請求項6〜8のいずれか一項に記載の結晶性樹脂押出成形体製造方法。
  10. 請求項6〜9のいずれか一項に記載の方法により製造された結晶性樹脂押出成形体。
  11. 請求項1〜4及び10のいずれか一項に記載の結晶性樹脂押出成形体を用意する工程と、
    その成形体の少なくとも一部の形状を変更する工程と、を包含する結晶性樹脂押出成形体製造方法。
  12. 前記形状を変更した成形体に結晶化促進処理を施す工程を更に包含する請求項11に記載の結晶性樹脂押出成形体製造方法。
  13. 前記処理では、前記形状を変更した成形体を、該成形体を構成する樹脂の結晶化を促進する温度域に保持する請求項12に記載の結晶性樹脂押出成形体製造方法。
  14. 前記結晶化を促進する温度域が、前記成形体を構成する樹脂の結晶化速度が最も高い温度±20℃の温度域である請求項13に記載の結晶性樹脂押出成形体製造方法。
  15. 請求項11〜14のいずれか一項に記載の方法により製造された結晶性樹脂押出成形体を部材として含む複合成形品。
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JP2013253205A (ja) * 2012-06-08 2013-12-19 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology 無機有機複合組成物
JP2021035719A (ja) * 2013-10-21 2021-03-04 キョーセー株式会社 コーナ材の穿孔装置

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