JP2004033850A - 電解槽内の流路切替バルブ - Google Patents
電解槽内の流路切替バルブ Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004033850A JP2004033850A JP2002192220A JP2002192220A JP2004033850A JP 2004033850 A JP2004033850 A JP 2004033850A JP 2002192220 A JP2002192220 A JP 2002192220A JP 2002192220 A JP2002192220 A JP 2002192220A JP 2004033850 A JP2004033850 A JP 2004033850A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- switching valve
- valve
- electrolytic cell
- electrolytic
- electrolysis
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Water Treatment By Electricity Or Magnetism (AREA)
Abstract
【課題】有隔膜電解槽の槽内の流路を切替える切替バルブをコンパクトに構成して、切替バルブを配設する場合の電解水生成装置の大型化を防止する。
【解決手段】電解槽の各電解室と生成される各電解生成水を流出する各流出口の連通を、両電解室内の電極の極性切替へに応じて切替える切替バルブであり、電解槽内に軸回り方向へ回転可能に組込まれるバルブ本体25を備え、バルブ本体25は、中央の画壁にて区画されて左右の電解室の流出路に開口する各凹所25b1,25b2と、各凹所25b1,25b2に流入した各電解生成水を、互いに異なる一方の流出口に導びく各第1の導出流路および互いに異なる他方の流出口に導びく各第2の導出流路を備え、これら各導出流路の各流出口に対する連通状態を、バルブ本体25の所定量の回転動作によって切替可能に構成した。
【選択図】 図3
【解決手段】電解槽の各電解室と生成される各電解生成水を流出する各流出口の連通を、両電解室内の電極の極性切替へに応じて切替える切替バルブであり、電解槽内に軸回り方向へ回転可能に組込まれるバルブ本体25を備え、バルブ本体25は、中央の画壁にて区画されて左右の電解室の流出路に開口する各凹所25b1,25b2と、各凹所25b1,25b2に流入した各電解生成水を、互いに異なる一方の流出口に導びく各第1の導出流路および互いに異なる他方の流出口に導びく各第2の導出流路を備え、これら各導出流路の各流出口に対する連通状態を、バルブ本体25の所定量の回転動作によって切替可能に構成した。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解槽内の流路切替バルブに関する。
【0002】
【従来の技術】
電解水生成装置の一形式として、例えば特開平10−156359号公報に開示されているように、槽本体内をイオン透過可能な隔膜で区画して形成された一対の電解室を有する有隔膜電解槽を備える電解水生成装置がある。当該形式の電解水生成装置は、例えば希薄食塩水を被電解水とするもので、希薄食塩水である被電解水を電解槽の両電解室に供給して両電解室内で同時に電解し、陽極側の電解室内では酸性の電解水(電解生成酸性水)を生成し、かつ、陰極側の電解室内ではアルカル性の電解水(電解生成アルカリ性水)を生成する。生成された電解生成酸性水は、殺菌能を有することから殺菌用水として広く利用され、また、生成された電解生成アルカリ性水は、洗浄能を有することから洗浄用水として広く利用されている。
【0003】
当該形式の電解水生成装置におては、その電解運転中、電解生成酸性水が生成される陽極側の電解室内では、その酸性に起因して、被電解水に混在している各種の金属イオン等が不溶性のスケールとなって漸次析出して電極や隔膜等に付着するおそれがある。スケールが電極や隔膜に付着すると、電解槽での電解効率が大きく低下することになる。当該形式の電解槽では、陽極側の電解室内でのスケールの電極および隔膜への付着に対処するため、電解運転中に、電解運転が所定時間経過する毎に、両電解室に配設されている各電極の極性を切替えて、陽極側の電解室を陰極側に変換するとともに陰極側の電解室を陽極側に変換し、陽極側であった電解室でのそれ以上のスケールの析出を防止するとともに、析出しているスケールを電解生成アルカリ性水に溶解して除去する電解運転方式が採られている。
【0004】
当該電解運転方式を採る場合には、各電解室が陽極側および陰極側に交互に変換されると、各電解室内で生成される電解生成水も酸性水およびアルカリ性水に交互に変換される。しかしながら、この場合であっても、電解生成酸性水は常に専用の一方の流出口から流出させ、かつ、電解生成アルカリ性水は常に専用の他方の流出口から流出させるようにすることが要請される。かかる要請に対処するには、各電解室から各流出口へ電解生成水を導く両導出流路を、各電解室の陽極側および陰極側への交互の変換に応じて切替える必要があり、各導出流路をこのように切替るには、流路切替バルブの設置が不可欠である。図7には、当該流路切替バルブを備える従来の有隔膜電解槽を有する電解水生成装置を模式的に示している。
【0005】
当該電解水生成装置は、有隔膜式の電解槽10aと、流路切替バルブ10b(以下単に切替バルブという)を備えている。電解槽10aは、イオン透過可能な隔膜11を挟持する左右一対のセル12a,12bにて形成されているもので、隔膜11にて区画された一対の各区画室は、その内部に各電極13a1,13b1を配設されて第1,第2電解室13a2,13b2に形成されている。各電極13a1,13b1には、電解運転では、所定電圧の所定電流が印加されるが、電解運転が所定時間経過する毎に、各電極13a1,13b1の極性が切替えられて、例えば、第1電解室13a2が陽極側と陰極側に交互に変換され、かつ、第2電解室13b2が陰極側と陽極側に交互に変換される。各電解室13a2,13b2には、被電解水の供給管路14の分岐管路が接続されている。
【0006】
切替バルブ10bは、円筒状のハウジング15内にゴム製のインペラ16(バルブ本体)を備えるもので、インペラ16はハイジング15内で同心的に回転可能に支持されている。切替バルブ10bのハウジング15は、一対の流入口15a1,15a2と、一対の第1,第2流出口15b1,15b2を備えている。ハウジング15の各流入口15a1,15a2には、各電解室13a2,13b2の流出口に接続している各第2流入管路17a1,17a2が接続されており、また、各流出口15b1,15b2には、各流出管路17b1,17b2が接続されている。
【0007】
当該切替バルブ10bにおいては、各電極13a1,13b1の極性の切替えに応じて、インペラ16が実線状態の位置と2点鎖線状態の位置の間を交互に回転動作する。これにより、インペラ16が実線状態の位置にある場合には、第1電解室13a2を第1流入管路17a1を介して第1流出管路17b1に連通させるとともに、第2電解室13b2を第2流入管路17a2を介して第2流出管路17b2に連通させる。また、当該切替バルブ10bが切替動作して、インペラ16が2点鎖線状態に位置した場合には、第1電解室13a2を第1流入管路17a1を介して第2流出管路17b2に連通させるとともに、第2電解室13b2を第2流入管路17a2を介して第1流出管路17b1に連通させる。
【0008】
これにより、当該切替バルブ10bは、各電解室13a2,13b2の陽極側および陰極側の交互の変換に関わらず、電解生成酸性水は、常に専用の第1流出管路17b1から流出させ、かつ、電解生成アルカリ性水は、常に専用の第2流出管路17b2から流出させる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように、当該電解水生成装置においては、切替バルブを備えていることから、各電解室の陽極側および陰極側の交互の極性変換にも関わらず、一方の専用の流出管路からは常に電解生成酸性水を流出させることができ、かつ、他方の専用の流出管路からは常に電解生成アルカリ性水を流出させることができる。
【0010】
しかしながら、当該電解水生成装置においては、切替バルブは、電解槽とは独立して構成されていて電解槽とは別に配設されることから、切替バルブや、これに付随する各流入管路および各流出管路を配設するための専用のスペースを確保する必要がある。このため、当該電解水生成装置では、装置が必然的に大型化するとともに複雑な構成となる。また、ゴム製のインペラを不可欠の構成部材としている切替バルブでは、インペラが電解生成水に長時間曝されることから、インペラが早期に劣化して作動不良を引き起こす原因ともなる。
【0011】
従って、本発明の目的は、これの問題に対処することにあり、これらの問題に対処するために、電解槽内にコンパクトに配設し得る切替バルブを提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電解槽内の流路切替バルブに関するもので、本発明に係る流路切替バルブは、有隔膜電解槽の各電解室と各電解室で生成される各電解生成水を流出するための各流出口の連通を、前記両電解室内の電極の極性切替へに応じて切替える流路切替バルブである。
【0013】
しかして、本発明に係る流路切替バルブにおいては、前記有隔膜電解槽内に軸回り方向へ回転可能に組込まれる円筒状のバルブ本体を備え、当該バルブ本体は、軸方向の中央にて画壁にて区画されて同隔壁の左右に位置して前記各電解室の流出路に開口する一対の凹所を有するとともに、各凹所に流入した各電解生成水を、互いに異なる一方の流出口に導びく一対の第1の導出流路と互いに異なる他方の流出口に導びく一対の第2の導出流路を有し、これらの各導出流路の前記各流出口に対する連通が当該バルブ本体の所定量の回転動作によって切替え可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0014】
本発明に係る流路切替バルブにおいて、当該バルブ本体が有する各第1の導出流路については、前記各凹所に互いに偏倚して形成した周方向に所定幅の起立壁部に設けられて他方の凹所に連通する連通孔と同凹所にて形成し、かつ、当該バルブ本体が有する各第2の導出流路につていは、各凹所のみにて形成するようにすることができる。
【0015】
また、本発明に係る流路切替バルブにおいては、当該バルブ本体を回転動作させる駆動手段として電動モータを採用して、同電動モータを、有隔膜電解槽の外側に取付けて、当該バルブ本体の支持軸に駆動力伝達可能に連結させるようにすることができる。
【0016】
【発明の作用・効果】
本発明に係る流路切替バルブにおいては、電解槽を構成する両セル内にて、各電解室と各流出口間に組込まれて構成されるもので、両セルをバルブハウジングとして共用し、かつ、両電解室に接続するための一対の流入管路、および、各電解生成水の供給管路に接続するための一対の流出管路を不要としている。このため、当該流路切替バルブはコンパクトな構成で電解槽内に組込むことができて、切替バルブを配設することに起因する電解水生成装置の大型化を大幅に抑制することができる。特に、電解水生成装置においては、切替バルブを配設するための大きな専用の配設スペースを確保することは全く不要である。
【0017】
また、当該流路切替バルブにおいては、電解生成水に曝される弁本体を電解槽を構成するセルと同様、合成樹脂や金属等の電解生成水によっては劣化し難い材料で形成することができることから、切替バルブの早期の劣化を大幅に抑制することができる。
【0018】
なお、当該バルブ本体は、耐腐食性の高い合成樹脂や金属等、電解生成水に長時間曝されても劣化し難い材料で形成することが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明は、電解槽内の流路切替バルブに関するものであり、図1には、本発明の一例に係る流路切替バルブのバルブ本体を組込んだ電解槽の外側正面を示している。図2は、当該電解槽を構成する一方のセルを取り外した状態の内側正面図であり、図2(a),(b)の正面図は、流路切替バルブが互いに異なる動作状態にある場合の内側正面図である。また、図3(a),(b)は、当該電解槽の図2(a)および図2(b)における矢印A−A線方向に見た縦断面図である。また、図4(a),(b)は、当該電解槽の図2(a),(b)の矢印B−B線方向に見た縦断面図である。なお、当該電解槽は、縦置き、横置きのいずれの使用態様も採ることができるが、本実施形態では、図面の表示の便宜上、縦置き型のものとして説明する。
【0020】
当該電解槽20aは、左右一対の合成樹脂製のセル21a,21bを互いに重合して連結することによって構成されているもので、両セル21a,21bにより挟持されて槽本体内を2つの区画室に区画しているイオン透過可能な隔膜22と、各区画室に配設されて各区画室をそれぞれ第1,第2電解室23a1,23b1に形成している一対の第1,第2電極23a2,23b2を備えている。当該電解槽20aにおいては、各セル21a,21bの側部の下方の部位に被電解水の供給口21a1,21b1を備えるとともに、各セル21a,21bの側部の上方の部位に電解生成水を流出させる第1,第2流出口21a2,21b2を備えている。切替バルブ20bは、各電解室23a1,23b1の上方の部位に、切替バルブ20bを構成するバルブ本体が組込まれている。
【0021】
当該電解槽20aにおいては、被電解水は供給管路24を通して各電解室23a1,23b1に供給され、供給された被電解水は各電解室23a1,23b1内で有隔膜電解を受ける。当該電解では、陽極側の電解室では電解生成酸性水が生成され、また、陰極側の電解室では電解生成アルカリ性水が生成される。生成された電解生成酸性水は、切替バルブ20bを通して専用の流出口(例えば第1流出口)21a2)から外部へ流出される。また、生成された電解生成アルカリ性水は、切替バルブ20bを通して専用の流出口(例えば第2流出口21b2)から外部へ流出される。
【0022】
当該電解槽20aを備える電解水生成装置の電解運転では、電解運転中、電解運転が所定時間経過する毎に、各電極23a2,23b2の極性を切替えて、各電解室23a1,23b1の極性状態を陽極側および陰極側に交互に変換し、これに応じて切替バルブ20bを切替動作させて、各電解室23a1,23b1から各流出口21a2,21b2に至る導出流路を切替える。
【0023】
これにより、陽極側から陰極側に変換された第1電解室23a1では、生成される電解生成水が電解生成酸性水から電解生成アルカリ性水に変換され、生成される電解生成アルカリ性水は、その専用の流出口である第2流出口21b2を経て外部に流出される。また、陰極側から陽極側に変換された第2電解室23b1では、生成される電解生成水が電解生成アルカリ性水から電解生成酸性水に変換され、生成される電解生成酸性水は、その専用の流出口である第1流出口21a2を経て外部に流出されることになる。
【0024】
しかして、切替バルブ20bは、図5に示すバルブ本体25と、バルブ本体25を収容する両セル21a,21bが構成するハウジングと、一方のセル21aの外側面に取付けられている電動モータ26とにより構成されている。バルブ本体25は、両セル21a,21bと同様に合成樹脂を原料とする成形体であって円筒状のものである。
【0025】
バルブ本体25は、図5および図6に示すように、所定長さの円筒状の筒状本体25aと、筒状本体25aの軸方向の中央部に位置して左右に円柱状の第1,第2凹所25b1、25b2を形成している区画壁25cと、各凹所25b1,25b2の底部から筒状本体25aの左右の各第1,第2外壁25a1,25a2に至る扇形状の第1,第2起立壁25d1,25d2と、区画壁25cの中央部を貫通して筒状本体25aの各外壁25a1,25a2に至る角筒状の支持軸25eにて構成されている。
【0026】
バルブ本体25においては、筒状本体25aの周壁25a3に、周回りの略1/3に達する一対の第1,第2開口部25a4,25a5が形成されている。各開口部25a4,25a5は、各第1,第2凹所25b1,25b2の下向きに開口する開口部を構成しており、以下では、当該開口部25a4,25a5を、各凹所25b1,25b2の開口部と称する。各凹所25b1,25b2に形成されている扇形状の第1,第2起立壁25d1,25d2においては、第1起立壁25d1は第1凹所25b1の第1開口部25a4間の周方向の略中央部に位置し、第2起立壁25d2は第1起立壁25d2に対して周方向へ略90度偏倚して位置している。
【0027】
バルブ本体25においては、各起立壁25d1,25d2の略中央部に第1貫通孔25f1,25f2が形成されているとともに、各外壁25a1,25a2に第2貫通孔25g1,25g2が形成されている。各第1貫通孔25f1,25f2は、互いに並列した状態にあって、一方の第1貫通孔25f1は第2凹所25b2に開口するとともに、一方のセル21aに設けてある第1流出口21a2に対向し得る位置に開口し、他方の第1貫通孔25f2は第1凹所25b1に開口するとともに、他方のセル21bに設けてある第2流出口21b2に対向し得る位置に開口している。セル21aに設けてある第1流出口21a2と、セル21bに設けてある第2流出口21b2との位置関係は、各第1貫通孔25f1,25f2間の位置関係、および、各第2貫通孔25g1,25g2間の位置関係と同様の関係になっている。
【0028】
バルブ本体25は、両セル21a,21bが形成する上方の収容室Rに収容されて、両セル21a,21bに支持軸25eを介して回転可能に支持されている。支持軸25eは、この状態で、一方の軸部が一方のセル21aを貫通していて、同セル21aの外側面に取付けらている電動モータ26の出力軸に動力伝達可能に連結している。バルブ本体25は、電動モータ26の所定量の正逆回転により、略90度正逆回転するようになっている。
【0029】
バルブ本体25は、この組込み状態においては、図2(a),図3(a)および図4(a)に示す状態にあり、切替バルブ20bの切替操作によって、バルブ本体25が周方向へ略90度回転動作して、図2(b),図3(b)および図4(b)に示す状態となる。また、次の切替バルブ20bの切替操作によっては、バルブ本体25は周方向へ略90度逆回転動作して、図2(a),図3(a)および図4(a)に示す状態に復帰する。
【0030】
当該切替バルブ20bのバルブ本体25を組込んで形成されている電解槽20aを有する電解水生成装置においては、すでに詳述しているように電解運転されて、電解運転が所定時間経過する毎に各電解室23a1,23b1内の各電極23a2,23b2の極性を切替えて反転させ、第1電解室23a1を陽極側、陰極側、陽極側等に順次極性変換し、同時に、第2電解室23b1を陰極側、陽極側、陰極側等に順位極性変換する手段が採られる。切替バルブ20bは、これらの電解室23a1,23b1の極性変換に応じて切替動作して、電解槽20a内の各電解生成水の流路を切替える。これにより、電解室23a1,23b1の極性の変換に関わらず、例えば、電解生成酸性水の専用の流出口21a2からは常に電解生成酸性水を流出させることができ、また、電解生成アルカリ性水の専用の流出口21b2からは常に電解生成アルカリ性水を流出させることができる。
【0031】
図2〜図4には、当該切替バルブ20bの切替動作による電解槽20a内の流路の切替状態を示している。当該電解槽20aにおいては、第1流出口21a2を電解生成酸性水の専用の流出口に設定し、第2流出口21b2を電解生成アルカリ性水の専用の流出口に設定している。また、電解槽20aにおいては、図3(a)および図4(a)に示す状態は、第1電解室23a1が陰極側、第2電解室23b1が陽極側にある状態を示し、かつ、図3(b)および図4(b)に示す状態は、第1電解室23a1が陽極側、第2電解室23b1が陰極側にある状態を示している。
【0032】
当該電解槽20aにおいて、第1電解室23a1が陰極側、第2電解室23b1が陽極側にある場合には、第1電解室23a1では電解生成アルカリ性水が生成され、かつ、第2電解室23b1では電解生成酸性水が生成される。また、第1電解室23a1が陽極側、第2電解室23b1が陰極側に変換された場合には、第1電解室23a1では電解生成酸性水が生成され、かつ、第2電解室23b1では電解生成アルカリ性水が生成される。
【0033】
先ず、電解運転中に生成される電解生成酸性水に着目すると、図3(a)に示す状態の電解槽20aにおいては、電解生成酸性水は陽極側である第2電解室23b1内で生成される。第2電解室23b1内で生成された電解生成酸性水は、切替バルブ20bにおけるバルブ本体25の第2開口部25a5から第2凹所25b2に流入し、第1起立壁25d1の第1貫通孔25f1を通って第1流出口21a2から流出する。一方、両電解室23a1,23b1の極性が反転した場合に、電解生成酸性水は、陽極側である第1電解室23a1内で生成される。第1電解室23a1内で生成された電解生成酸性水は、図3(b)に示すように、切替バルブ20bにおけるバルブ本体25の第1開口部25a4から第1凹所25b1に流入し、第2貫通孔25g1を通って第1流出口21a2から流出する。
【0034】
次ぎに、電解運転中の電解生成アルカリ性水に着目すると、図4(a)に示す状態の電解槽20aにおいては、電解生成アルカリ性水は陰極側である第1電解室23a1内で生成される。第1電解室23a1内で生成された電解生成アルカリ性水は、切替バルブ20bにおけるバルブ本体25の第1開口部25a4から第1凹所25b1に流入し、第2起立壁25d2の第1貫通孔25f2を通って第2流出口21b2から流出される。一方、両電解室23a1,23b1の極性が反転した場合に、電解生成アルカリ性水は、陰極側である第2電解室23b1内で生成される。第2電解室23b1内で生成された電解生成アリカリ性水は、図4(b)に示すように、切替バルブ20bにおけるバルブ本体25の第2開口部25a5から第2凹所25b2に流入し、第2貫通孔25g2を通って第2流出口21b2から流出される。
【0035】
このように、当該切替バルブ20bにおいては、バルブ本体25が電解槽20a内に組込まれて形成されるものであって、電解槽20a内の流路を良好に切替動作する有用な切替バルブである。当該切替バルブ20bは、下記に示す優れた作用効果を奏するものである。
【0036】
すなわち、当該切替バルブ20bにおいては、そのバルブ本体25を、電解槽20aを構成する両セル21a,21b内に収容されて構成されるものであって、両セル21a,21bをバルブハウジングとして共用している。また、当該切替バルブ20bは、両電解室23a1,23b1に接続するための一対の流入管路や、各電解生成水を流出するための一対の流出管路を不要としている。このため、当該切替バルブ20bは、コンパクトな構成で電解槽20a内に組込むことができて、切替バルブを配設することに起因する電解水生成装置の大型化を大幅に抑制することができる。特に、当該切替バルブ20bを採用する電解水生成装置においては、切替バルブや、流入管路および流出管路を配設するための大きな専用の配設スペースを確保することは全く不要である。
【0037】
また、当該切替バルブ20bにおいては、電解生成水に曝されるバルブ本体25を、電解槽20aを構成する両セル21a,21bと同様に、合成樹脂や金属等の電解生成水によっては劣化し難い材料で形成することができることから、切替バルブ20bの早期の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る流路切替バルブを組込んで形成した電解槽の一側からみた正面図である。
【図2】同電解槽を構成する左右のセルの一側のセルを取外して他側のセルを内面側からみた正面図であって、同図(a)は同流路切替バルブが第1の切替動作状態における正面図、同図(b)は同流路切替バルブが切替動作した第2の切替動作状態における正面図である。
【図3】同電解槽を図2(a)の矢印A−A線方向にみた縦断側面図(a)、および、図2(b)の矢印A−A線方向にみた縦断側面図(b)である。
【図4】同電解槽を図2(a)の矢印B−B線方向にみた縦断側面図(a)、および、図2(b)の矢印B−B線方向にみた縦断側面図(b)である。
【図5】同流路切替バルブを構成するバルブ本体の斜視図である。
【図6】同バルブ本体の他側の外側壁を除去した状態の同外側壁側からみた斜視図(a)、および、一側の外側壁を除去した状態の同外側壁側からみた斜視図(a)である。
【図7】従来の有隔膜電解槽を有する電解水生成装置の概略的構成図である。
【符号の説明】
10a…電解槽、10b…切替バルブ、11…隔膜、12a,12b…セル、13a1,13b1…電極、13a2,13b2…第1,第2電解室、14…供給管路、15…ハウジング、15a1,15a2…第1,第2流入口、15b1,15b2…第1,第2流出口、16…インペラ、17a1、17a2…第1,第2流入管路、17b1,17b2…第1,第2流出管路、20a…電解槽、20b…切替バルブ、21a,21b…セル、21a1,21b1…供給口、21a2,21b2…流出口、22…隔膜、23a1,23b1…第1,第2電解室、23a2,23b2…第1,第2電極、24…供給管路、25…バルブ本体、25a…筒状本体、25a1,25a2…第1,第2外側壁、25a3…周壁、25a4,25a5…第1,第2開口部、25b1,25b2…第1,第2円柱状凹所、25c…区画壁、25d1,25d2…第1,第2起立壁、25e…支持軸、25f1,25f2…第1貫通孔、25g1,25g2…第2貫通孔、26…電動モータ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解槽内の流路切替バルブに関する。
【0002】
【従来の技術】
電解水生成装置の一形式として、例えば特開平10−156359号公報に開示されているように、槽本体内をイオン透過可能な隔膜で区画して形成された一対の電解室を有する有隔膜電解槽を備える電解水生成装置がある。当該形式の電解水生成装置は、例えば希薄食塩水を被電解水とするもので、希薄食塩水である被電解水を電解槽の両電解室に供給して両電解室内で同時に電解し、陽極側の電解室内では酸性の電解水(電解生成酸性水)を生成し、かつ、陰極側の電解室内ではアルカル性の電解水(電解生成アルカリ性水)を生成する。生成された電解生成酸性水は、殺菌能を有することから殺菌用水として広く利用され、また、生成された電解生成アルカリ性水は、洗浄能を有することから洗浄用水として広く利用されている。
【0003】
当該形式の電解水生成装置におては、その電解運転中、電解生成酸性水が生成される陽極側の電解室内では、その酸性に起因して、被電解水に混在している各種の金属イオン等が不溶性のスケールとなって漸次析出して電極や隔膜等に付着するおそれがある。スケールが電極や隔膜に付着すると、電解槽での電解効率が大きく低下することになる。当該形式の電解槽では、陽極側の電解室内でのスケールの電極および隔膜への付着に対処するため、電解運転中に、電解運転が所定時間経過する毎に、両電解室に配設されている各電極の極性を切替えて、陽極側の電解室を陰極側に変換するとともに陰極側の電解室を陽極側に変換し、陽極側であった電解室でのそれ以上のスケールの析出を防止するとともに、析出しているスケールを電解生成アルカリ性水に溶解して除去する電解運転方式が採られている。
【0004】
当該電解運転方式を採る場合には、各電解室が陽極側および陰極側に交互に変換されると、各電解室内で生成される電解生成水も酸性水およびアルカリ性水に交互に変換される。しかしながら、この場合であっても、電解生成酸性水は常に専用の一方の流出口から流出させ、かつ、電解生成アルカリ性水は常に専用の他方の流出口から流出させるようにすることが要請される。かかる要請に対処するには、各電解室から各流出口へ電解生成水を導く両導出流路を、各電解室の陽極側および陰極側への交互の変換に応じて切替える必要があり、各導出流路をこのように切替るには、流路切替バルブの設置が不可欠である。図7には、当該流路切替バルブを備える従来の有隔膜電解槽を有する電解水生成装置を模式的に示している。
【0005】
当該電解水生成装置は、有隔膜式の電解槽10aと、流路切替バルブ10b(以下単に切替バルブという)を備えている。電解槽10aは、イオン透過可能な隔膜11を挟持する左右一対のセル12a,12bにて形成されているもので、隔膜11にて区画された一対の各区画室は、その内部に各電極13a1,13b1を配設されて第1,第2電解室13a2,13b2に形成されている。各電極13a1,13b1には、電解運転では、所定電圧の所定電流が印加されるが、電解運転が所定時間経過する毎に、各電極13a1,13b1の極性が切替えられて、例えば、第1電解室13a2が陽極側と陰極側に交互に変換され、かつ、第2電解室13b2が陰極側と陽極側に交互に変換される。各電解室13a2,13b2には、被電解水の供給管路14の分岐管路が接続されている。
【0006】
切替バルブ10bは、円筒状のハウジング15内にゴム製のインペラ16(バルブ本体)を備えるもので、インペラ16はハイジング15内で同心的に回転可能に支持されている。切替バルブ10bのハウジング15は、一対の流入口15a1,15a2と、一対の第1,第2流出口15b1,15b2を備えている。ハウジング15の各流入口15a1,15a2には、各電解室13a2,13b2の流出口に接続している各第2流入管路17a1,17a2が接続されており、また、各流出口15b1,15b2には、各流出管路17b1,17b2が接続されている。
【0007】
当該切替バルブ10bにおいては、各電極13a1,13b1の極性の切替えに応じて、インペラ16が実線状態の位置と2点鎖線状態の位置の間を交互に回転動作する。これにより、インペラ16が実線状態の位置にある場合には、第1電解室13a2を第1流入管路17a1を介して第1流出管路17b1に連通させるとともに、第2電解室13b2を第2流入管路17a2を介して第2流出管路17b2に連通させる。また、当該切替バルブ10bが切替動作して、インペラ16が2点鎖線状態に位置した場合には、第1電解室13a2を第1流入管路17a1を介して第2流出管路17b2に連通させるとともに、第2電解室13b2を第2流入管路17a2を介して第1流出管路17b1に連通させる。
【0008】
これにより、当該切替バルブ10bは、各電解室13a2,13b2の陽極側および陰極側の交互の変換に関わらず、電解生成酸性水は、常に専用の第1流出管路17b1から流出させ、かつ、電解生成アルカリ性水は、常に専用の第2流出管路17b2から流出させる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように、当該電解水生成装置においては、切替バルブを備えていることから、各電解室の陽極側および陰極側の交互の極性変換にも関わらず、一方の専用の流出管路からは常に電解生成酸性水を流出させることができ、かつ、他方の専用の流出管路からは常に電解生成アルカリ性水を流出させることができる。
【0010】
しかしながら、当該電解水生成装置においては、切替バルブは、電解槽とは独立して構成されていて電解槽とは別に配設されることから、切替バルブや、これに付随する各流入管路および各流出管路を配設するための専用のスペースを確保する必要がある。このため、当該電解水生成装置では、装置が必然的に大型化するとともに複雑な構成となる。また、ゴム製のインペラを不可欠の構成部材としている切替バルブでは、インペラが電解生成水に長時間曝されることから、インペラが早期に劣化して作動不良を引き起こす原因ともなる。
【0011】
従って、本発明の目的は、これの問題に対処することにあり、これらの問題に対処するために、電解槽内にコンパクトに配設し得る切替バルブを提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電解槽内の流路切替バルブに関するもので、本発明に係る流路切替バルブは、有隔膜電解槽の各電解室と各電解室で生成される各電解生成水を流出するための各流出口の連通を、前記両電解室内の電極の極性切替へに応じて切替える流路切替バルブである。
【0013】
しかして、本発明に係る流路切替バルブにおいては、前記有隔膜電解槽内に軸回り方向へ回転可能に組込まれる円筒状のバルブ本体を備え、当該バルブ本体は、軸方向の中央にて画壁にて区画されて同隔壁の左右に位置して前記各電解室の流出路に開口する一対の凹所を有するとともに、各凹所に流入した各電解生成水を、互いに異なる一方の流出口に導びく一対の第1の導出流路と互いに異なる他方の流出口に導びく一対の第2の導出流路を有し、これらの各導出流路の前記各流出口に対する連通が当該バルブ本体の所定量の回転動作によって切替え可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0014】
本発明に係る流路切替バルブにおいて、当該バルブ本体が有する各第1の導出流路については、前記各凹所に互いに偏倚して形成した周方向に所定幅の起立壁部に設けられて他方の凹所に連通する連通孔と同凹所にて形成し、かつ、当該バルブ本体が有する各第2の導出流路につていは、各凹所のみにて形成するようにすることができる。
【0015】
また、本発明に係る流路切替バルブにおいては、当該バルブ本体を回転動作させる駆動手段として電動モータを採用して、同電動モータを、有隔膜電解槽の外側に取付けて、当該バルブ本体の支持軸に駆動力伝達可能に連結させるようにすることができる。
【0016】
【発明の作用・効果】
本発明に係る流路切替バルブにおいては、電解槽を構成する両セル内にて、各電解室と各流出口間に組込まれて構成されるもので、両セルをバルブハウジングとして共用し、かつ、両電解室に接続するための一対の流入管路、および、各電解生成水の供給管路に接続するための一対の流出管路を不要としている。このため、当該流路切替バルブはコンパクトな構成で電解槽内に組込むことができて、切替バルブを配設することに起因する電解水生成装置の大型化を大幅に抑制することができる。特に、電解水生成装置においては、切替バルブを配設するための大きな専用の配設スペースを確保することは全く不要である。
【0017】
また、当該流路切替バルブにおいては、電解生成水に曝される弁本体を電解槽を構成するセルと同様、合成樹脂や金属等の電解生成水によっては劣化し難い材料で形成することができることから、切替バルブの早期の劣化を大幅に抑制することができる。
【0018】
なお、当該バルブ本体は、耐腐食性の高い合成樹脂や金属等、電解生成水に長時間曝されても劣化し難い材料で形成することが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明は、電解槽内の流路切替バルブに関するものであり、図1には、本発明の一例に係る流路切替バルブのバルブ本体を組込んだ電解槽の外側正面を示している。図2は、当該電解槽を構成する一方のセルを取り外した状態の内側正面図であり、図2(a),(b)の正面図は、流路切替バルブが互いに異なる動作状態にある場合の内側正面図である。また、図3(a),(b)は、当該電解槽の図2(a)および図2(b)における矢印A−A線方向に見た縦断面図である。また、図4(a),(b)は、当該電解槽の図2(a),(b)の矢印B−B線方向に見た縦断面図である。なお、当該電解槽は、縦置き、横置きのいずれの使用態様も採ることができるが、本実施形態では、図面の表示の便宜上、縦置き型のものとして説明する。
【0020】
当該電解槽20aは、左右一対の合成樹脂製のセル21a,21bを互いに重合して連結することによって構成されているもので、両セル21a,21bにより挟持されて槽本体内を2つの区画室に区画しているイオン透過可能な隔膜22と、各区画室に配設されて各区画室をそれぞれ第1,第2電解室23a1,23b1に形成している一対の第1,第2電極23a2,23b2を備えている。当該電解槽20aにおいては、各セル21a,21bの側部の下方の部位に被電解水の供給口21a1,21b1を備えるとともに、各セル21a,21bの側部の上方の部位に電解生成水を流出させる第1,第2流出口21a2,21b2を備えている。切替バルブ20bは、各電解室23a1,23b1の上方の部位に、切替バルブ20bを構成するバルブ本体が組込まれている。
【0021】
当該電解槽20aにおいては、被電解水は供給管路24を通して各電解室23a1,23b1に供給され、供給された被電解水は各電解室23a1,23b1内で有隔膜電解を受ける。当該電解では、陽極側の電解室では電解生成酸性水が生成され、また、陰極側の電解室では電解生成アルカリ性水が生成される。生成された電解生成酸性水は、切替バルブ20bを通して専用の流出口(例えば第1流出口)21a2)から外部へ流出される。また、生成された電解生成アルカリ性水は、切替バルブ20bを通して専用の流出口(例えば第2流出口21b2)から外部へ流出される。
【0022】
当該電解槽20aを備える電解水生成装置の電解運転では、電解運転中、電解運転が所定時間経過する毎に、各電極23a2,23b2の極性を切替えて、各電解室23a1,23b1の極性状態を陽極側および陰極側に交互に変換し、これに応じて切替バルブ20bを切替動作させて、各電解室23a1,23b1から各流出口21a2,21b2に至る導出流路を切替える。
【0023】
これにより、陽極側から陰極側に変換された第1電解室23a1では、生成される電解生成水が電解生成酸性水から電解生成アルカリ性水に変換され、生成される電解生成アルカリ性水は、その専用の流出口である第2流出口21b2を経て外部に流出される。また、陰極側から陽極側に変換された第2電解室23b1では、生成される電解生成水が電解生成アルカリ性水から電解生成酸性水に変換され、生成される電解生成酸性水は、その専用の流出口である第1流出口21a2を経て外部に流出されることになる。
【0024】
しかして、切替バルブ20bは、図5に示すバルブ本体25と、バルブ本体25を収容する両セル21a,21bが構成するハウジングと、一方のセル21aの外側面に取付けられている電動モータ26とにより構成されている。バルブ本体25は、両セル21a,21bと同様に合成樹脂を原料とする成形体であって円筒状のものである。
【0025】
バルブ本体25は、図5および図6に示すように、所定長さの円筒状の筒状本体25aと、筒状本体25aの軸方向の中央部に位置して左右に円柱状の第1,第2凹所25b1、25b2を形成している区画壁25cと、各凹所25b1,25b2の底部から筒状本体25aの左右の各第1,第2外壁25a1,25a2に至る扇形状の第1,第2起立壁25d1,25d2と、区画壁25cの中央部を貫通して筒状本体25aの各外壁25a1,25a2に至る角筒状の支持軸25eにて構成されている。
【0026】
バルブ本体25においては、筒状本体25aの周壁25a3に、周回りの略1/3に達する一対の第1,第2開口部25a4,25a5が形成されている。各開口部25a4,25a5は、各第1,第2凹所25b1,25b2の下向きに開口する開口部を構成しており、以下では、当該開口部25a4,25a5を、各凹所25b1,25b2の開口部と称する。各凹所25b1,25b2に形成されている扇形状の第1,第2起立壁25d1,25d2においては、第1起立壁25d1は第1凹所25b1の第1開口部25a4間の周方向の略中央部に位置し、第2起立壁25d2は第1起立壁25d2に対して周方向へ略90度偏倚して位置している。
【0027】
バルブ本体25においては、各起立壁25d1,25d2の略中央部に第1貫通孔25f1,25f2が形成されているとともに、各外壁25a1,25a2に第2貫通孔25g1,25g2が形成されている。各第1貫通孔25f1,25f2は、互いに並列した状態にあって、一方の第1貫通孔25f1は第2凹所25b2に開口するとともに、一方のセル21aに設けてある第1流出口21a2に対向し得る位置に開口し、他方の第1貫通孔25f2は第1凹所25b1に開口するとともに、他方のセル21bに設けてある第2流出口21b2に対向し得る位置に開口している。セル21aに設けてある第1流出口21a2と、セル21bに設けてある第2流出口21b2との位置関係は、各第1貫通孔25f1,25f2間の位置関係、および、各第2貫通孔25g1,25g2間の位置関係と同様の関係になっている。
【0028】
バルブ本体25は、両セル21a,21bが形成する上方の収容室Rに収容されて、両セル21a,21bに支持軸25eを介して回転可能に支持されている。支持軸25eは、この状態で、一方の軸部が一方のセル21aを貫通していて、同セル21aの外側面に取付けらている電動モータ26の出力軸に動力伝達可能に連結している。バルブ本体25は、電動モータ26の所定量の正逆回転により、略90度正逆回転するようになっている。
【0029】
バルブ本体25は、この組込み状態においては、図2(a),図3(a)および図4(a)に示す状態にあり、切替バルブ20bの切替操作によって、バルブ本体25が周方向へ略90度回転動作して、図2(b),図3(b)および図4(b)に示す状態となる。また、次の切替バルブ20bの切替操作によっては、バルブ本体25は周方向へ略90度逆回転動作して、図2(a),図3(a)および図4(a)に示す状態に復帰する。
【0030】
当該切替バルブ20bのバルブ本体25を組込んで形成されている電解槽20aを有する電解水生成装置においては、すでに詳述しているように電解運転されて、電解運転が所定時間経過する毎に各電解室23a1,23b1内の各電極23a2,23b2の極性を切替えて反転させ、第1電解室23a1を陽極側、陰極側、陽極側等に順次極性変換し、同時に、第2電解室23b1を陰極側、陽極側、陰極側等に順位極性変換する手段が採られる。切替バルブ20bは、これらの電解室23a1,23b1の極性変換に応じて切替動作して、電解槽20a内の各電解生成水の流路を切替える。これにより、電解室23a1,23b1の極性の変換に関わらず、例えば、電解生成酸性水の専用の流出口21a2からは常に電解生成酸性水を流出させることができ、また、電解生成アルカリ性水の専用の流出口21b2からは常に電解生成アルカリ性水を流出させることができる。
【0031】
図2〜図4には、当該切替バルブ20bの切替動作による電解槽20a内の流路の切替状態を示している。当該電解槽20aにおいては、第1流出口21a2を電解生成酸性水の専用の流出口に設定し、第2流出口21b2を電解生成アルカリ性水の専用の流出口に設定している。また、電解槽20aにおいては、図3(a)および図4(a)に示す状態は、第1電解室23a1が陰極側、第2電解室23b1が陽極側にある状態を示し、かつ、図3(b)および図4(b)に示す状態は、第1電解室23a1が陽極側、第2電解室23b1が陰極側にある状態を示している。
【0032】
当該電解槽20aにおいて、第1電解室23a1が陰極側、第2電解室23b1が陽極側にある場合には、第1電解室23a1では電解生成アルカリ性水が生成され、かつ、第2電解室23b1では電解生成酸性水が生成される。また、第1電解室23a1が陽極側、第2電解室23b1が陰極側に変換された場合には、第1電解室23a1では電解生成酸性水が生成され、かつ、第2電解室23b1では電解生成アルカリ性水が生成される。
【0033】
先ず、電解運転中に生成される電解生成酸性水に着目すると、図3(a)に示す状態の電解槽20aにおいては、電解生成酸性水は陽極側である第2電解室23b1内で生成される。第2電解室23b1内で生成された電解生成酸性水は、切替バルブ20bにおけるバルブ本体25の第2開口部25a5から第2凹所25b2に流入し、第1起立壁25d1の第1貫通孔25f1を通って第1流出口21a2から流出する。一方、両電解室23a1,23b1の極性が反転した場合に、電解生成酸性水は、陽極側である第1電解室23a1内で生成される。第1電解室23a1内で生成された電解生成酸性水は、図3(b)に示すように、切替バルブ20bにおけるバルブ本体25の第1開口部25a4から第1凹所25b1に流入し、第2貫通孔25g1を通って第1流出口21a2から流出する。
【0034】
次ぎに、電解運転中の電解生成アルカリ性水に着目すると、図4(a)に示す状態の電解槽20aにおいては、電解生成アルカリ性水は陰極側である第1電解室23a1内で生成される。第1電解室23a1内で生成された電解生成アルカリ性水は、切替バルブ20bにおけるバルブ本体25の第1開口部25a4から第1凹所25b1に流入し、第2起立壁25d2の第1貫通孔25f2を通って第2流出口21b2から流出される。一方、両電解室23a1,23b1の極性が反転した場合に、電解生成アルカリ性水は、陰極側である第2電解室23b1内で生成される。第2電解室23b1内で生成された電解生成アリカリ性水は、図4(b)に示すように、切替バルブ20bにおけるバルブ本体25の第2開口部25a5から第2凹所25b2に流入し、第2貫通孔25g2を通って第2流出口21b2から流出される。
【0035】
このように、当該切替バルブ20bにおいては、バルブ本体25が電解槽20a内に組込まれて形成されるものであって、電解槽20a内の流路を良好に切替動作する有用な切替バルブである。当該切替バルブ20bは、下記に示す優れた作用効果を奏するものである。
【0036】
すなわち、当該切替バルブ20bにおいては、そのバルブ本体25を、電解槽20aを構成する両セル21a,21b内に収容されて構成されるものであって、両セル21a,21bをバルブハウジングとして共用している。また、当該切替バルブ20bは、両電解室23a1,23b1に接続するための一対の流入管路や、各電解生成水を流出するための一対の流出管路を不要としている。このため、当該切替バルブ20bは、コンパクトな構成で電解槽20a内に組込むことができて、切替バルブを配設することに起因する電解水生成装置の大型化を大幅に抑制することができる。特に、当該切替バルブ20bを採用する電解水生成装置においては、切替バルブや、流入管路および流出管路を配設するための大きな専用の配設スペースを確保することは全く不要である。
【0037】
また、当該切替バルブ20bにおいては、電解生成水に曝されるバルブ本体25を、電解槽20aを構成する両セル21a,21bと同様に、合成樹脂や金属等の電解生成水によっては劣化し難い材料で形成することができることから、切替バルブ20bの早期の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る流路切替バルブを組込んで形成した電解槽の一側からみた正面図である。
【図2】同電解槽を構成する左右のセルの一側のセルを取外して他側のセルを内面側からみた正面図であって、同図(a)は同流路切替バルブが第1の切替動作状態における正面図、同図(b)は同流路切替バルブが切替動作した第2の切替動作状態における正面図である。
【図3】同電解槽を図2(a)の矢印A−A線方向にみた縦断側面図(a)、および、図2(b)の矢印A−A線方向にみた縦断側面図(b)である。
【図4】同電解槽を図2(a)の矢印B−B線方向にみた縦断側面図(a)、および、図2(b)の矢印B−B線方向にみた縦断側面図(b)である。
【図5】同流路切替バルブを構成するバルブ本体の斜視図である。
【図6】同バルブ本体の他側の外側壁を除去した状態の同外側壁側からみた斜視図(a)、および、一側の外側壁を除去した状態の同外側壁側からみた斜視図(a)である。
【図7】従来の有隔膜電解槽を有する電解水生成装置の概略的構成図である。
【符号の説明】
10a…電解槽、10b…切替バルブ、11…隔膜、12a,12b…セル、13a1,13b1…電極、13a2,13b2…第1,第2電解室、14…供給管路、15…ハウジング、15a1,15a2…第1,第2流入口、15b1,15b2…第1,第2流出口、16…インペラ、17a1、17a2…第1,第2流入管路、17b1,17b2…第1,第2流出管路、20a…電解槽、20b…切替バルブ、21a,21b…セル、21a1,21b1…供給口、21a2,21b2…流出口、22…隔膜、23a1,23b1…第1,第2電解室、23a2,23b2…第1,第2電極、24…供給管路、25…バルブ本体、25a…筒状本体、25a1,25a2…第1,第2外側壁、25a3…周壁、25a4,25a5…第1,第2開口部、25b1,25b2…第1,第2円柱状凹所、25c…区画壁、25d1,25d2…第1,第2起立壁、25e…支持軸、25f1,25f2…第1貫通孔、25g1,25g2…第2貫通孔、26…電動モータ。
Claims (3)
- 有隔膜電解槽の各電解室と各電解室で生成される各電解生成水を流出するための各流出口の連通を、前記両電解室内の電極の極性切替へに応じて切替える流路切替バルブであり、当該流路切替バルブは前記有隔膜電解槽内に軸回り方向へ回転可能に組込まれる円筒状のバルブ本体を備え、当該バルブ本体は、軸方向の中央にて画壁にて区画されて同隔壁を基準として左右に位置して前記各電解室の流出路に開口する一対の凹所を有するとともに、各凹所に流入した各電解生成水を、互いに異なる一方の流出口に導びく一対の第1の導出流路と、互いに異なる他方の流出口に導びく一対の第2の導出流路を有し、これら各導出流路の前記各流出口に対する連通状態が当該バルブ本体の所定量の回転動作によって切替可能に構成されていることを特徴とする電解槽内の流路切替バルブ。
- 請求項1に記載の電解槽内の流路切替バルブにおいて、当該バルブ本体が有する各第1の導出流路は、前記各凹所に互いに偏倚して形成した周方向に所定幅の起立壁部に設けられて他方の凹所に連通する連通孔と同凹所にて形成され、かつ、当該バルブ本体が有する各第2の導出流路は、各凹所のみにて形成されていることを特徴とする電解槽内の流路切替バルブ。
- 請求項1または2に記載の電解槽内の流路切替バルブにおいて、当該バルブ本体を回転動作させる駆動手段は、有隔膜電解槽の外側に取付けられて当該バルブ本体の支持軸に駆動力伝達可能に連結する電動モータであることを特徴とする電解槽内の流路切替バルブ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002192220A JP2004033850A (ja) | 2002-07-01 | 2002-07-01 | 電解槽内の流路切替バルブ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002192220A JP2004033850A (ja) | 2002-07-01 | 2002-07-01 | 電解槽内の流路切替バルブ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004033850A true JP2004033850A (ja) | 2004-02-05 |
Family
ID=31701555
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002192220A Pending JP2004033850A (ja) | 2002-07-01 | 2002-07-01 | 電解槽内の流路切替バルブ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004033850A (ja) |
-
2002
- 2002-07-01 JP JP2002192220A patent/JP2004033850A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2016094666A (ja) | オゾン生成のための電解槽 | |
JPH07115017B2 (ja) | 電解水生成用電解ユニツト | |
TWI732958B (zh) | 電解水生成裝置 | |
JPS61269866A (ja) | レドツクスフロ−電池 | |
CN113840995A (zh) | 阀装置以及电解水生成装置 | |
WO2018199099A1 (ja) | 電解水生成装置及び電解水生成方法 | |
JP2004033850A (ja) | 電解槽内の流路切替バルブ | |
WO2013058497A1 (ko) | 3조 1포트식 전기분해 장치 | |
JP6160573B2 (ja) | 水素含有電解水生成装置 | |
CN115161676A (zh) | 一种海水直接制氢装置及方法 | |
US6846394B2 (en) | Electrolytic bath equipped with a waterway converter for ionized water producer | |
JPH09192667A (ja) | 電解水生成装置 | |
JPH08318277A (ja) | 電解槽 | |
JP2619644B2 (ja) | 電解イオン水生成装置 | |
JPH10235356A (ja) | 電解水生成装置 | |
CN217973429U (zh) | 一种海水直接制氢装置 | |
KR20150097104A (ko) | 산성수 전해조 | |
JPH0970579A (ja) | イオン水生成装置 | |
JP2005034767A (ja) | 電解水生成装置 | |
JPH07290062A (ja) | 流路切換弁を有する電解整水用電解槽ユニット及びこ の電解槽ユニットの集合体 | |
JPH06292887A (ja) | 連続式電解水生成装置の電解槽ユニット | |
JPH03157188A (ja) | 電解イオン水生成装置 | |
JPH11158677A (ja) | 縦型電解槽 | |
KR100308448B1 (ko) | 이온수 생성기의 전환장치를 갖춘 전해조. | |
JPH07115018B2 (ja) | 電解イオン水生成装置 |