JP2004033254A - 呼吸音可視化モニタ装置、呼吸音可視化方法及び呼吸音可視化プログラム - Google Patents
呼吸音可視化モニタ装置、呼吸音可視化方法及び呼吸音可視化プログラム Download PDFInfo
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Abstract
【課題】リアルタイムで呼吸の様子を確認することができ、客観的で且つ迅速な診察・処置が可能で、呼吸音を聴き取るのと同様な感覚で、呼吸音を目視しつつ呼吸音の全体像を容易に把握することができる呼吸音可視化モニタ装置、呼吸音可視化方法及び呼吸音可視化プログラムを提供することにある。
【解決手段】呼吸音を集音しアナログ電気信号に変換するための集音器と、アナログ電気信号をデジタルデータである呼吸音データに変換するA/D変換手段と、呼吸音データに聴感補正を施し表示呼吸音データを生成する聴感補正手段と、周波数成分、時間及び波高値を基に表示呼吸音データを三次元表示する表示手段とを備え、少なくとも一周期の呼吸の呼吸音を実時間で時系列的に三次元表示することを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】呼吸音を集音しアナログ電気信号に変換するための集音器と、アナログ電気信号をデジタルデータである呼吸音データに変換するA/D変換手段と、呼吸音データに聴感補正を施し表示呼吸音データを生成する聴感補正手段と、周波数成分、時間及び波高値を基に表示呼吸音データを三次元表示する表示手段とを備え、少なくとも一周期の呼吸の呼吸音を実時間で時系列的に三次元表示することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、呼吸音を電気的に集音し、CRT等の表示器に表示させるための呼吸音可視化モニタ装置、呼吸音可視化方法及び呼吸音可視化プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、麻酔中の患者の気道が十分に確保されて正常な呼吸が継続的に行われているか否かを瞬時に判断するために、医師が聴診器を用いて患者の呼吸音を継続的に聴いて、その異常の有無を確認している。また、患者に取り付けたマイクで、集音した呼吸音をスピーカで再生し監視したり、振幅対時間をオシロスコープやペンレコーダ等で2次元的に表示することも行われている。
【0003】
また、夜間の呼吸困難等の呼吸器系の疾患を診断するためには、睡眠中の患者の体に複数のマイクやセンサーを取り付け、夜間連続的に呼吸音等を記録し、記録したデータを基に呼吸症状の診断を行っている。この診断は、記録した呼吸音等のデータを、後日改めて分析することによって行う。この呼吸音等を分析する手段として例えば、特表2001−505085号公報に示されるフォノニューモグラフ・システムがある。
【0004】
同公報に記載のフォノニューモグラフ・システムは、呼吸音等のデータの時間的パターン及びスペクトルパターンに特徴付けを行い、通常の呼吸音と異常な呼吸音とを区別する特徴を抽出することにより、呼吸症状の分析を行っている。具体的には、呼吸音や胸部運動のデータ等が所定の種類の呼吸音(呼吸タイプ)の特性を満たすか否かを識別し、その識別された特性により呼吸タイプを確認している。呼吸タイプとしては、例えば、いびき音、低周波笛音、咳(湿性咳、乾性咳、犬吠咳)等である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のように医師が聴診器を用いて患者の呼吸音を継続的に聴いて、その異常の有無を確認する方法では、一人の医師がその患者に常時付き添って診断にあたる必要があり、医師を長時間拘束してしまうという問題点がある。
このような問題を解決するために、前記フォノニューモグラフ・システムを用いることも可能であるが、あくまでも記録した呼吸音等のデータを分析する装置であり、麻酔中の患者の急変を監視し迅速な処置を促す装置とすることは困難である。
【0006】
また、聴診器による場合は、診断できるのは一人の医師のみであり、多くの医師や看護婦により監視することができない。患者に取り付けたマイクで集音した呼吸音をスピーカで再生する場合、医療現場では他の騒音もあり正確な監視を行うことが困難である。
また、医師は呼吸音の音の大小を聴き分けているのみならず、呼吸音に含まれる周波数成分の強弱の変化を音色の変化として聴き取っいるのであって、呼吸音のある一瞬の周波数成分の表示や特定の周波数の音の大きさ(波高値)を時間的に連続して表示したにすぎないものでは、呼吸音の音色を監視することはできない。このため、呼吸音をオシロスコープやペンレコーダ等で2次元的に表示するのみでは、呼吸音の異常を正確に判断することは困難である。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、リアルタイムで呼吸の様子を確認することができ、客観的で且つ迅速な診察・処置が可能で、呼吸音を聴き取るのと同様な感覚で、呼吸音を目視しつつ呼吸音の全体像を容易に把握することができる呼吸音可視化モニタ装置、呼吸音可視化方法及び呼吸音可視化プログラムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の呼吸音可視化モニタ装置は、呼吸音を集音しアナログ電気信号に変換するための集音器と、アナログ電気信号をデジタルデータである呼吸音データに変換するA/D変換手段と、呼吸音データに聴感補正を施し表示呼吸音データを生成する聴感補正手段と、周波数成分、時間及び波高値を基に表示呼吸音データを三次元表示する表示手段とを備え、少なくとも一周期の呼吸の呼吸音を実時間で時系列的に三次元表示することを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の呼吸音可視化モニタ装置は、聴感補正手段が、呼吸音データの周波数成分を、低い周波数から高い周波数に向かって幅が拡がる周波数幅で区画されると共に相異なる重み付け値が設定された周波数帯域に割り振り、表示手段が、重み付け値を周波数成分として、表示呼吸音データを三次元表示することを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の呼吸音可視化モニタ装置は、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを検出したとき、呼吸音データ以降所定時間に渡って呼吸音データを破棄する大音響破棄手段を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の呼吸音可視化モニタ装置は、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを、所定の圧縮率で所定レベル以下に圧縮する高レベル圧縮手段を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の呼吸音可視化モニタ装置は、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを検出したとき、呼吸音データ全体を所定の圧縮率で圧縮する圧縮手段を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の呼吸音可視化モニタ装置は、所定レベル以下の波高値の呼吸音データを、所定の拡大率で該所定レベル以上に伸張する低レベル伸張手段を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の呼吸音可視化モニタ装置は、呼吸音データ又は表示呼吸音データをアナログ電気信号に変換するD/A変換器と、アナログ電気信号を再生するスピーカとを備えることを特徴とする。
【0015】
請求項8記載の呼吸音可視化モニタ装置は、呼気中の二酸化炭素濃度を計測しデジタルデータである二酸化炭素濃度データを生成する二酸化炭素濃度計測手段を備え、表示手段が、呼吸音データに併せて、二酸化炭素濃度データを実時間で時系列的に二次元表示することを特徴とする。
【0016】
請求項9記載の呼吸音可視化モニタ装置は、呼吸流速を計測しデジタルデータである呼吸流速データを生成する呼吸流速計測手段を備え、表示手段が、呼吸音データに併せて、呼吸流速データを実時間で時系列的に二次元表示することを特徴とする。
【0017】
請求項10記載の呼吸音可視化モニタ装置は、心電図を計測しデジタルデータである心電図データを生成する心電図計測手段を備え、表示手段が、呼吸音データに併せて、心電図データを基に心電図波形を実時間で時系列的に二次元表示することを特徴とする。
【0018】
請求項11記載の呼吸音可視化方法は、呼吸音を集音しアナログ電気信号に変換し、アナログ電気信号をデジタルデータである呼吸音データに変換し、呼吸音データに聴感補正を施し表示呼吸音データを生成した後、周波数成分、時間及び波高値を基に表示呼吸音データを、少なくとも一周期の呼吸の呼吸音を実時間で時系列的に三次元表示することを特徴とする。
【0019】
請求項12記載の呼吸音可視化方法は、聴感補正として、呼吸音データの周波数成分を、低い周波数から高い周波数に向かって幅が拡がる周波数幅で区画されると共に相異なる重み付け値が設定された周波数帯域に割り振った後、重み付け値を周波数成分として、表示呼吸音データを三次元表示することを特徴とする。
【0020】
請求項13記載の呼吸音可視化方法は、アナログ電気信号をデジタルデータである呼吸音データに変換した後、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを検出したとき、当該呼吸音データ以降所定時間に渡って呼吸音データを破棄することを特徴とする。
【0021】
請求項14記載の呼吸音可視化方法は、アナログ電気信号をデジタルデータである呼吸音データに変換した後、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを、所定の圧縮率で所定レベル以下に圧縮することを特徴とする。
【0022】
請求項15記載の呼吸音可視化方法は、アナログ電気信号をデジタルデータである呼吸音データに変換した後、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを検出したとき、呼吸音データ全体を所定の圧縮率で圧縮することを特徴とする。
【0023】
請求項16記載の呼吸音可視化方法は、アナログ電気信号をデジタルデータである呼吸音データに変換した後、所定レベル以下の波高値の呼吸音データを、所定の拡大率で該所定レベル以上に伸張することを特徴とする。
【0024】
請求項17記載の呼吸音可視化方法は、呼吸音データに併せて、呼気中の二酸化炭素濃度を計測したデジタルデータである二酸化炭素濃度データを実時間で時系列的に二次元表示することを特徴とする。
【0025】
請求項18記載の呼吸音可視化方法は、呼吸音データに併せて、呼吸流速を計測したデジタルデータである呼吸流速データを実時間で時系列的に二次元表示することを特徴とする。
【0026】
請求項19記載の呼吸音可視化方法は、呼吸音データに併せて、心電図を計測したデジタルデータである心電図データを基に心電図波形を実時間で時系列的に二次元表示することを特徴とする。
【0027】
請求項20記載の呼吸音可視化プログラムは、コンピュータを、呼吸音を集音したアナログ電気信号をデジタルデータで変換した呼吸音データに聴感補正を施し表示呼吸音データを生成する聴感補正手段と、周波数成分、時間及び波高値を基に該表示呼吸音データを、少なくとも一周期の呼吸の該呼吸音を実時間で時系列的に三次元表示する表示手段として機能させることを特徴とする。
【0028】
請求項21記載の呼吸音可視化プログラムは、聴感補正手段が、呼吸音データの周波数成分を、低い周波数から高い周波数に向かって幅が拡がる周波数幅で区画されると共に相異なる重み付け値が設定された周波数帯域に割り振り、表示手段が、重み付け値を周波数成分として、表示呼吸音データを三次元表示することを特徴とする。
【0029】
請求項22記載の呼吸音可視化プログラムは、コンピュータを、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを検出したとき、当該呼吸音データ以降所定時間に渡って呼吸音データを破棄する大音響破棄手段として機能させることを特徴とする。
【0030】
請求項23記載の呼吸音可視化プログラムは、コンピュータを、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを、所定の圧縮率で該所定レベル以下に圧縮する高レベル圧縮手段として機能させることを特徴とする。
【0031】
請求項24記載の呼吸音可視化プログラムは、コンピュータを、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを検出したとき、呼吸音データ全体を所定の圧縮率で圧縮する圧縮手段として機能させることを特徴とする。
【0032】
請求項25記載の呼吸音可視化プログラムは、コンピュータを、所定レベル以下の波高値の呼吸音データを、所定の拡大率で該所定レベル以上に伸張する低レベル伸張手段として機能させることを特徴とする。
【0033】
請求項26記載の呼吸音可視化プログラムは、コンピュータを、呼吸音データ又は表示呼吸音データをアナログ電気信号に変換した呼吸音として再生する呼吸音再生手段として機能させることを特徴とする。
【0034】
請求項27記載の呼吸音可視化プログラムは、コンピュータを、呼気中の二酸化炭素濃度を計測したデジタルデータである二酸化炭素濃度データを、呼吸音データに併せて実時間で時系列的に二次元表示する表示手段として機能させることを特徴とする。
【0035】
請求項28記載の呼吸音可視化プログラムは、コンピュータを、呼吸流速を計測したデジタルデータである呼吸流速データを、呼吸音データに併せて実時間で時系列的に二次元表示する表示手段として機能させることを特徴とする。
【0036】
請求項29記載の呼吸音可視化プログラムは、コンピュータを、心電図を計測したデジタルデータである心電図データを、呼吸音データに併せて実時間で時系列的に二次元表示する前記表示手段として機能させることを特徴とする。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、本発明の実施の形態における呼吸音可視化モニタ装置の一例を示す構成図である。図2は、同呼吸音可視化モニタ装置の動作を示すフローチャートである。図3は、聴感補正の一例を示す説明図である。図4は呼吸音の三次元表示の一例を示す説明図、図5は呼吸音に加え他の情報を表示した場合の一例を示す説明図である。
【0038】
図1〜図5において、呼吸音可視化モニタ装置は、呼吸音を電気的に集音し、CRT等の表示器に表示させるための装置である。この呼吸音可視化モニタ装置は、基本的には、呼吸音可視化部10、マイク15、CRT5から成り立っている。マイク15は、呼吸音を集音しアナログ電気信号に変換するための集音器である。例えば、全身麻酔施行患者の胸骨切痕上の気管皮膚上にマイク15を貼付したような形で設置してもいいし、一般的な聴診器のチューブ部分にマイク15を埋め込み聴診器を気管皮膚上にあてがってもいいし、また、呼吸音のアナログ電気信号が得られる電子聴診器を用いてもよい。また、呼吸音を集音しアナログ電気信号に変換できるものであれば、マイクに限られるものではない。
【0039】
呼吸音可視化部10は、電気回路で構成されるもので、マイク15から入力される呼吸音のアナログ電気信号を、CRT5で表示可能な情報に処理するものである。図1における呼吸音可視化部10は、後述する各回路を論理素子で構成し、各回路で電子的な処理を施す構成としているが、他の態様については後述する。呼吸音可視化部10は、A/D変換器16、大音響破棄回路21、圧縮回路22、低レベル伸張回路23、聴感補正回路20、表示回路24、D/A変換器17及びスイッチ25,26から構成されている。
【0040】
A/D変換器16は、マイク15で得られた呼吸音のアナログ電気信号を、デジタルデータである呼吸音データに変換するためのものである。反対に、D/A変換器17は、A/D変換器16で変換され、又は各回路で処理された呼吸音データをスピーカ7で再生可能なアナログ電気信号に変換するためのものである。
【0041】
表示手段24は、後述する各回路で処理が施された呼吸音データ(表示呼吸音データ)を、医師や看護婦が目視可能にするものである。具体的には、周波数成分、時間及び波高値を基に呼吸音データ(表示呼吸音データ)をCRT5の画面上に三次元表示するもので、少なくとも一周期の呼吸の呼吸音を実時間で時系列的に三次元する。尚、表示手段としてはCRT5に限られるものではなく、呼吸音を立体的に表示できる手段であれはよく、他の例としては、液晶表示器、プラズマディスプレイ等がある。
【0042】
大音響破棄回路21は、所定レベル(以降「大音響破棄レベル」と記載する。)以上の波高値の呼吸音データを検出したとき、この大音響破棄レベル以上を検出した以降の所定時間の呼吸音データを破棄するものである。具体的な大音響破棄レベルとは、呼吸音以外の呼吸音をかき消してしまう音の波高値のレベルであり、例えば、ドアを閉めたときの音や機械・器具等を落としたときの音等のレベルである。また、破棄する時間は、呼吸音以外の大音響を除去可能な時間であるが、不必要に長いと有用な呼吸音まで破棄してしまうため、患者の周囲の環境を考慮し任意に定めるものとする。
【0043】
圧縮回路22は、所定レベル(以降「圧縮レベル」と記載する。)以上の波高値の呼吸音データを検出したとき、呼吸音データ全体を所定の圧縮率で圧縮するためのものである。この圧縮レベルとは、呼吸音としては、有効なものでありながら、他の低いレベルの波高値を有する呼吸音データを有効に表示しようとすると、画面からはみ出してしまうようなレベルである。また、所定の圧縮率とは、圧縮レベル以上の波高値の呼吸音データを含めて、1つの画面上にすべてのレベルの呼吸音データを表示可能な程度にまで呼吸音データを圧縮できる圧縮率である。
【0044】
低レベル伸張回路23は、所定レベル(以降「伸張レベル」と記載する。)以下の波高値の呼吸音データを、所定の拡大率で伸張レベル以上に伸張するものである。この伸張レベルとは、すべてのレベルの波高値の呼吸音データを1つの画面上に表示すると、もっとも高いレベルの波高値の呼吸音データに比べてあまりにも小さいために、画面上では存在の確認が困難になるおそれのある波高値のレベルである。また、所定の拡大率とは、この伸張レベル以下の波高値の呼吸音データを画面上で目視可能なレベルまで伸張可能な拡大率である。
【0045】
聴感補正回路20は、呼吸音データに聴感補正を施すためのものであり、人間の耳の可聴特性に相当する補正を施し、呼吸音の表示を、人間の聞いた感じにより近づけるためのものである。尚、呼吸音可視化モニタ装置として最低限の機能のみで構成させる場合には、呼吸音可視化部10としては、A/D変換器16、聴感補正回路20及び表示回路24を備えていればよい。
【0046】
図1の呼吸音可視化モニタ装置は、この他にCO2濃度計40、CO2センサー41、呼吸流速計42、呼吸流速センサー43、心電図計44及び心電図センサー45を備えている。CO2濃度計40及びCO2センサー41は、吸気、呼気中の二酸化炭素濃度を計測し、デジタルデータである二酸化炭素濃度データを生成して表示回路24に入力するためのものである。呼吸流速計42及び呼吸流速センサー43は、呼吸流速を計測し、デジタルデータである呼吸流速データ生成して表示回路24に入力するためのものである。心電図計44及び心電図センサー45は、心電図を計測し、デジタルデータである心電図データを生成して表示回路24に入力するためのものである。
【0047】
次に、以上説明した構成を備える本実施形態の呼吸音可視化モニタ装置における動作について詳細に説明する。尚、以後の本実施の形態の説明において、括弧内の符号は図2のフローチャートの符号に対応している。
【0048】
まず、マイク15で、患者の呼吸音を集音し(S101)、A/D変換器16でマイク15からの呼吸音のアナログ電気信号をデジタルデータである呼吸音データに変換する(S102)。
【0049】
次に、大音響破棄回路21で、大音響破棄レベル以上の波高値の呼吸音データではないか否かの判断を行う(S103)。大音響破棄レベル以上の大音響が含まれている場合には(S103のYes)、所定時間の経過を待って(S110)から再びマイク15での集音に戻る(S110のYes)。所定時間の経過後に、呼吸音データの処理を行わないことにより、実質的に呼吸音データの破棄を行っている。大音響破棄回路21により、不必要な音を予め破棄し、より正確な呼吸音の表示が可能となる。
【0050】
呼吸音データに大音響が含まれていない場合には(S103のNo)、圧縮回路22で、圧縮レベル以上の波高値の呼吸音データではないか否かの判断を行う(S104)。圧縮レベル以上の呼吸音が含まれている場合には(S104のYes)、所定の圧縮率で呼吸音データを圧縮する(S105)。圧縮回路22により、大きな音の呼吸音が表示からはみ出すことなく、呼吸音の全体像を適格に把握することが可能となる。次に、低レベル伸張回路23で、伸張レベル以下の波高値の呼吸音データを、所定の拡大率で伸張レベル以上に伸張する(S106)。低レベル伸張回路23により、小さな大きさの呼吸音を目視しやすい大きさに強調して表示でき、呼吸音の全体像を適格に把握することが可能となる。
【0051】
次に、聴感補正回路20で、呼吸音データに聴感補正を施す(S107)。具具体的な聴感補正方法は、図3も基に説明する。まず、可聴周波数帯域全域を、いくつかの周波数帯域に分割する(図3では、11個に分割)。分割する周波数幅は、低い周波数から高い周波数に向かって幅が拡がる周波数幅である。そして、それぞれに区画された周波数帯域に相異なる重み付け値を設定する。具体的には、図3に示すように、もっとも低い周波数には1を、もっとも高い周波数には11を順次割り付けている。そして、この割り付けた値の単位としてBarkを用いている。尚、この周波数帯域の分割の周波数幅は、人間の聴感特性に合致したもので、低い周波数では周波数の違いを聞き分けやすく、高い周波数では周波数の違いを聞き分けにくい特性を考慮したものである。聴感補正回路20では、入力された呼吸音データが図3に示すどの周波数帯域に該当するかを判断し、呼吸音データの周波数情報をBarkで示される値に変換する。ここまでの処理により、呼吸音データは、人間の聴感に相応する処理が施された表示呼吸音データとなる。
【0052】
次に、表示回路24で、図4に示すように、表示呼吸音データを、Bark(周波数成分)、時間及び波高値を基にCRT5上に三次元表示する(S109)。少なくとも一周期の呼吸の呼吸音を実時間で時系列的に三次元表示することにより実際に生じている(実時間で)患者の呼吸の様子を呼吸音を可視化することで表示することができるようになる。ここで、時系列的な表示とは、例えば、図4の右上から左下に向かって三次元波形が流れるように表示されることであり、集音した呼吸音を次から次へと連続的に表示を行うことである。尚、1つの画面で表示できる時間的な期間は、少なくとも一周期の呼吸の呼吸音が表示できる期間が必要であるが、患者の診断の便宜を考慮すると20秒〜30秒の期間が望ましい。尚、時系列的な表示とは、必ずしも波形が流れるように推移するものに限らず、断続的に画面全体が切り替わるようなものであっても構わない。また、波高値や周波数成分により三次元表示全体に着色し、より立体感を強調するようにしてもよい。
【0053】
尚、図5に示すように、呼吸音の三次元表示に併せて、二酸化炭素濃度データ(図5中ではCO2と表記)、呼吸流速データ(図5中ではGasFlowと表記)又は心電図波形(図5中ではECGと表記)を実時間で時系列的に二次元表示することができる。二酸化炭素濃度や呼吸流速の表示から吸気・呼気のタイミングを判別でき、より正確な呼吸音の監視が可能であり、心電図を基に患者の異変を、より正確に把握できる。尚、これらのデータは必ずしも同時に表示できなければならないものではなく、いずれか1つまたは2つを表示するようにしてもよい。また、二酸化炭素濃度、呼吸流速、心電図に限られるものではなく、他の身体的なパラメータを、呼吸音に併せて表示することは可能である。また、呼吸音の可視化だけを考慮すれば、図1に示すCO2濃度計40、CO2センサー41、呼吸流速計42、呼吸流速センサー43、心電図計44及び心電図センサー45を必ずしも備えている必要はない。
【0054】
また、図1に示すように、各回路から出力される呼吸音データを、スイッチ25,26で選択的に切り換えてD/A変換器17に供給し、アナログ電気信号に変換した後にスピーカー7で再生するようにしてもよい。呼吸音をスピーカー7で再生することにより、呼吸音の表示から目を離して他の作業をしている時でも、呼吸音の監視が可能であり、医師や看護婦の不安を解消し、呼吸音に異常があった場合には迅速な処置が可能である。
【0055】
また、呼吸音データの処理として、圧縮回路22に代えて、高レベル圧縮手段を用いることも可能である。この高レベル圧縮手段は、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを、所定の圧縮率で該所定レベル以下に圧縮するものである。高レベル圧縮手段を用いることで、所定レベル以下であった呼吸音の表示精度を確保しつつ、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを含めて呼吸音の全体像を適格に把握することが可能である。
【0056】
尚、図1の呼吸音可視化モニタ装置では、コンピュータを用いずに実現した呼吸音可視化部10で構成する場合を説明したが、これに限られるものではなく、例えば図6及び図7に示すように、コンピュータ3,4により実現してもよい。図6の呼吸音可視化モニタ装置では、呼吸音データを処理する部分を図1の呼吸音可視化部10と同様に電子回路で構成した呼吸音可視化基板11で実現し、表示手段に関しては、コンピュータ3を用いている。すなわち、コンピュータ3内のプログラムにより表示手段24を実現させ、コンピュータ5に接続されたCRT5に呼吸音を三次元で表示するようにしている。
【0057】
また、図7に示すように、呼吸音の処理及び三次元表示をすべて1台のコンピュータ4で実現することも可能である。図7の例では、ノートパソコンのような表示器6も一体になったものを示しており、小型化、携帯性に優れた形態としたものである。1台のコンピュータ4で、呼吸音可視化モニタ装置を実現する場合には、呼吸音の処理を行う大音響処理回路21をはじめとする回路は、それぞれプログラムで実現された、大音響破棄手段31、圧縮手段32、低レベル伸張手段33及び聴感補正手段30により実現する。それぞれの手段の動作は、各回路と同様である。また、スイッチ25,26に関しても、プログラムで実現されるスイッチ35,36に置き換わることとなる。
【0058】
尚、呼吸音可視化部10及び呼吸音可視化基板11を、プログラムで処理する電子回路で構成することも可能である。具体的には、DSP(Digiral Signal Processor)で処理を行うことが考えられる。
【0059】
以上のように、本実施の形態における呼吸音可視化モニタ装置のよれば、少なくとも一周期の呼吸の呼吸音を実時間で時系列的に三次元表示することで、多くの医師や看護婦が同時にかつリアルタイムで呼吸の様子を確認することができ、客観的で且つ迅速な診察・処置が可能である。
【0060】
また、聴感補正を行った呼吸音データをBark(周波数成分)、時間及び波高値を基に三次元表示することから、呼吸音に含まれる周波数成分の強弱の変化を音色の変化として聴き取るのと同様な感覚で、呼吸音を目視しつつ呼吸音の全体像を容易に把握することができる。
【0061】
尚、実時間で呼吸音を三次元表示するのみではなく、記憶装置に呼吸音データを保存しておき、記憶されたものも事後的に表示しても良い。また、マイク15とA/D変換器16とを直結するだけでなく、FMラジオ等の無線手段で接続したり、LAN等の電気通信回線を用いてネットワークを介して接続してもよい。
【0062】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、少なくとも一周期の呼吸の呼吸音を実時間で時系列的に三次元表示することで、多くの医師や看護婦が同時にかつリアルタイムで呼吸の様子を確認することができ、客観的で且つ迅速な診察・処置が可能である。また、聴感補正を行った呼吸音データを周波数成分、時間及び波高値を基に三次元表示することから、呼吸音に含まれる周波数成分の強弱の変化を音色の変化として聴き取るのと同様な感覚で、呼吸音を目視しつつ呼吸音の全体像を容易に把握することができる。
【0063】
請求項2の発明によれば、聴感補正手段が、呼吸音データの周波数成分を、低い周波数から高い周波数に向かって幅が拡がる周波数幅で区画された周波数帯域に割り振ることから、高音に比べ低音を細密に表示することができる。このため、人間が周波数の違いを把握しにくい高音に比べ、周波数の違いを把握し易い低音では細密な表示となり、より聴感に近い呼吸音の表示を行うことが可能である。
【0064】
請求項3の発明によれば、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを検出したとき、呼吸音データ以降所定時間に渡って呼吸音データを破棄する大音響破棄手段を備えることから、不必要な音を予め破棄し、より正確な呼吸音の表示が可能である。
【0065】
請求項4の発明によれば、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを、所定の圧縮率で所定レベル以下に圧縮する高レベル圧縮手段を備えることから、所定レベル以下であった呼吸音の表示精度を確保しつつ、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを含めて呼吸音の全体像を適格に把握することが可能である。
【0066】
請求項5の発明によれば、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを検出したとき、呼吸音データ全体を所定の圧縮率で圧縮する圧縮手段を備えることから、大きな音の呼吸音が表示からはみ出すことなく、呼吸音の全体像を適格に把握することが可能である。
【0067】
請求項6の発明によれば、所定レベル以下の波高値の呼吸音データを、所定の拡大率で所定レベル以上に伸張する低レベル伸張手段を備えることから、小さな大きさの呼吸音を目視しやすい大きさに強調して表示でき、呼吸音の全体像を適格に把握することが可能である。
【0068】
請求項7の発明によれば、呼吸音データ又は表示呼吸音データをアナログ電気信号に変換するD/A変換器と、スピーカとを備え、呼吸音を再生できることから、呼吸音の表示から目を離している時でも、呼吸音の監視が可能であり、呼吸音に異常があった場合には迅速な処置が可能である。
【0069】
請求項8の発明によれば、呼吸音データに併せて、二酸化炭素濃度データを実時間で時系列的に二次元表示することから、二酸化炭素濃度の表示から吸気・呼気のタイミングを判別でき、より正確な呼吸音の監視が可能である。
【0070】
請求項9の発明によれば、呼吸音データに併せて、呼吸流速データを実時間で時系列的に二次元表示することから、呼吸流速の表示から吸気・呼気のタイミングを判別でき、より正確な呼吸音の監視が可能である。
【0071】
請求項10の発明によれば、呼吸音データに併せて、心電図データを基に心電図波形を実時間で時系列的に二次元表示することから、呼吸音に併せて、心電図を基に患者の異変を、より正確に把握できる。
【0072】
請求項11の発明によれば、少なくとも一周期の呼吸の呼吸音を実時間で時系列的に三次元表示することで、多くの医師や看護婦が同時にかつリアルタイムで呼吸の様子を確認することができ、客観的で且つ迅速な診察・処置が可能である。
また、聴感補正を行った呼吸音データを周波数成分、時間及び波高値を基に三次元表示することから、呼吸音に含まれる周波数成分の強弱の変化を音色の変化として聴き取るのと同様な感覚で、呼吸音を目視しつつ呼吸音の全体像を容易に把握することができる。
【0073】
請求項12の発明によれば、聴感補正として、呼吸音データの周波数成分を、低い周波数から高い周波数に向かって幅が拡がる周波数幅で区画された周波数帯域に割り振ることから、高音に比べ低音を細密に表示することができる。このため、人間が周波数の違いを把握しにくい高音に比べ、周波数の違いを把握し易い低音では細密な表示となり、より聴感に近い呼吸音の表示を行うことが可能である。
【0074】
請求項13の発明によれば、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを検出したとき、呼吸音データ以降所定時間に渡って呼吸音データを破棄することから、不必要な音を予め破棄し、より正確な呼吸音の表示が可能である。
【0075】
請求項14の発明によれば、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを、所定の圧縮率で所定レベル以下に圧縮することから、所定レベル以下であった呼吸音の表示精度を確保しつつ、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを含めて呼吸音の全体像を適格に把握することが可能である。
【0076】
請求項15の発明によれば、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを検出したとき、呼吸音データ全体を所定の圧縮率で圧縮することから、大きな音の呼吸音が表示からはみ出すことなく、呼吸音の全体像を適格に把握することが可能である。
【0077】
請求項16の発明によれば、所定レベル以下の波高値の呼吸音データを、所定の拡大率で所定レベル以上に伸張することから、小さな大きさの呼吸音を目視しやすい大きさに強調して表示でき、呼吸音の全体像を適格に把握することが可能である。
【0078】
請求項17の発明によれば、呼吸音データに併せて、二酸化炭素濃度データを実時間で時系列的に二次元表示することから、二酸化炭素濃度の表示から吸気・呼気のタイミングを判別でき、より正確な呼吸音の監視が可能である。
【0079】
請求項18の発明によれば、呼吸音データに併せて、呼吸流速データを実時間で時系列的に二次元表示することから、呼吸流速の表示から吸気・呼気のタイミングを判別でき、より正確な呼吸音の監視が可能である。
【0080】
請求項19の発明によれば、呼吸音データに併せて、心電図データを基に心電図波形を実時間で時系列的に二次元表示することから、呼吸音に併せて、心電図を基に患者の異変を、より正確に把握できる。
【0081】
請求項20の発明に係るプログラムによれば、少なくとも一周期の呼吸の呼吸音を実時間で時系列的に三次元表示することで、多くの医師や看護婦が同時にかつリアルタイムで呼吸の様子を確認することができ、客観的で且つ迅速な診察・処置が可能である。
また、聴感補正を行った呼吸音データを周波数成分、時間及び波高値を基に三次元表示することから、呼吸音に含まれる周波数成分の強弱の変化を音色の変化として聴き取るのと同様な感覚で、呼吸音を目視しつつ呼吸音の全体像を容易に把握することができる。
【0082】
請求項21の発明に係るプログラムによれば、聴感補正手段が、呼吸音データの周波数成分を、低い周波数から高い周波数に向かって幅が拡がる周波数幅で区画された周波数帯域に割り振ることから、高音に比べ低音を細密に表示することができる。このため、人間が周波数の違いを把握しにくい高音に比べ、周波数の違いを把握し易い低音では細密な表示となり、より聴感に近い呼吸音の表示を行うことが可能である。
【0083】
請求項22の発明に係るプログラムによれば、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを検出したとき、呼吸音データ以降所定時間に渡って呼吸音データを破棄する大音響破棄手段を備えることから、不必要な音を予め破棄し、より正確な呼吸音の表示が可能である。
【0084】
請求項23の発明に係るプログラムによれば、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを、所定の圧縮率で所定レベル以下に圧縮する高レベル圧縮手段を備えることから、所定レベル以下であった呼吸音の表示精度を確保しつつ、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを含めて呼吸音の全体像を適格に把握することが可能である。
【0085】
請求項24の発明に係るプログラムによれば、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを検出したとき、呼吸音データ全体を所定の圧縮率で圧縮する圧縮手段を備えることから、大きな音の呼吸音が表示からはみ出すことなく、呼吸音の全体像を適格に把握することが可能である。
【0086】
請求項25の発明に係るプログラムによれば、所定レベル以下の波高値の呼吸音データを、所定の拡大率で所定レベル以上に伸張する低レベル伸張手段を備えることから、小さな大きさの呼吸音を目視しやすい大きさに強調して表示でき、呼吸音の全体像を適格に把握することが可能である。
【0087】
請求項26の発明に係るプログラムによれば、呼吸音を再生できることから、呼吸音の表示から目を離している時でも、呼吸音の監視が可能であり、呼吸音に異常があった場合には迅速な処置が可能である。
【0088】
請求項27の発明に係るプログラムによれば、呼吸音データに併せて、二酸化炭素濃度データを実時間で時系列的に二次元表示することから、二酸化炭素濃度の表示から吸気・呼気のタイミングを判別でき、より正確な呼吸音の監視が可能である。
【0089】
請求項28の発明に係るプログラムによれば、呼吸音データに併せて、呼吸流速データを実時間で時系列的に二次元表示することから、呼吸流速の表示から吸気・呼気のタイミングを判別でき、より正確な呼吸音の監視が可能である。
【0090】
請求項29の発明に係るプログラムによれば、呼吸音データに併せて、心電図データを基に心電図波形を実時間で時系列的に二次元表示することから、呼吸音に併せて、心電図を基に患者の異変を、より正確に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における呼吸音可視化モニタ装置の一例を示す構成図である。
【図2】同呼吸音可視化モニタ装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】聴感補正の一例を示す説明図である。
【図4】呼吸音の三次元表示の一例を示す説明図である。
【図5】呼吸音に加え他の情報を表示した場合の一例を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態における呼吸音可視化モニタ装置の他の例を示す構成図である。
【図7】本発明の実施の形態における呼吸音可視化モニタ装置のさらに他の例を示す構成図である。
【符号の説明】
3,4・・・・・コンピュータ
5・・・・・・・CRT
6・・・・・・・表示器
7・・・・・・・スピーカ
10・・・・・・呼吸音可視化部
11・・・・・・呼吸音可視化基板
15・・・・・・マイク
16・・・・・・A/D変換器
17・・・・・・D/A変換器
20・・・・・・聴感補正回路
21・・・・・・大音響破棄回路
22・・・・・・圧縮回路
23・・・・・・低レベル伸張回路
24・・・・・・表示回路
25,26・・・スイッチ
30・・・・・・聴感補正手段
31・・・・・・大音響破棄手段
32・・・・・・圧縮手段
33・・・・・・低レベル伸張手段
34・・・・・・表示手段
35,36・・・スイッチ
40・・・・・・CO2濃度計
41・・・・・・CO2センサー
42・・・・・・呼吸流速計
43・・・・・・呼吸流速センサー
44・・・・・・心電図計
45・・・・・・心電図センサー
【発明の属する技術分野】
本発明は、呼吸音を電気的に集音し、CRT等の表示器に表示させるための呼吸音可視化モニタ装置、呼吸音可視化方法及び呼吸音可視化プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、麻酔中の患者の気道が十分に確保されて正常な呼吸が継続的に行われているか否かを瞬時に判断するために、医師が聴診器を用いて患者の呼吸音を継続的に聴いて、その異常の有無を確認している。また、患者に取り付けたマイクで、集音した呼吸音をスピーカで再生し監視したり、振幅対時間をオシロスコープやペンレコーダ等で2次元的に表示することも行われている。
【0003】
また、夜間の呼吸困難等の呼吸器系の疾患を診断するためには、睡眠中の患者の体に複数のマイクやセンサーを取り付け、夜間連続的に呼吸音等を記録し、記録したデータを基に呼吸症状の診断を行っている。この診断は、記録した呼吸音等のデータを、後日改めて分析することによって行う。この呼吸音等を分析する手段として例えば、特表2001−505085号公報に示されるフォノニューモグラフ・システムがある。
【0004】
同公報に記載のフォノニューモグラフ・システムは、呼吸音等のデータの時間的パターン及びスペクトルパターンに特徴付けを行い、通常の呼吸音と異常な呼吸音とを区別する特徴を抽出することにより、呼吸症状の分析を行っている。具体的には、呼吸音や胸部運動のデータ等が所定の種類の呼吸音(呼吸タイプ)の特性を満たすか否かを識別し、その識別された特性により呼吸タイプを確認している。呼吸タイプとしては、例えば、いびき音、低周波笛音、咳(湿性咳、乾性咳、犬吠咳)等である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のように医師が聴診器を用いて患者の呼吸音を継続的に聴いて、その異常の有無を確認する方法では、一人の医師がその患者に常時付き添って診断にあたる必要があり、医師を長時間拘束してしまうという問題点がある。
このような問題を解決するために、前記フォノニューモグラフ・システムを用いることも可能であるが、あくまでも記録した呼吸音等のデータを分析する装置であり、麻酔中の患者の急変を監視し迅速な処置を促す装置とすることは困難である。
【0006】
また、聴診器による場合は、診断できるのは一人の医師のみであり、多くの医師や看護婦により監視することができない。患者に取り付けたマイクで集音した呼吸音をスピーカで再生する場合、医療現場では他の騒音もあり正確な監視を行うことが困難である。
また、医師は呼吸音の音の大小を聴き分けているのみならず、呼吸音に含まれる周波数成分の強弱の変化を音色の変化として聴き取っいるのであって、呼吸音のある一瞬の周波数成分の表示や特定の周波数の音の大きさ(波高値)を時間的に連続して表示したにすぎないものでは、呼吸音の音色を監視することはできない。このため、呼吸音をオシロスコープやペンレコーダ等で2次元的に表示するのみでは、呼吸音の異常を正確に判断することは困難である。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、リアルタイムで呼吸の様子を確認することができ、客観的で且つ迅速な診察・処置が可能で、呼吸音を聴き取るのと同様な感覚で、呼吸音を目視しつつ呼吸音の全体像を容易に把握することができる呼吸音可視化モニタ装置、呼吸音可視化方法及び呼吸音可視化プログラムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の呼吸音可視化モニタ装置は、呼吸音を集音しアナログ電気信号に変換するための集音器と、アナログ電気信号をデジタルデータである呼吸音データに変換するA/D変換手段と、呼吸音データに聴感補正を施し表示呼吸音データを生成する聴感補正手段と、周波数成分、時間及び波高値を基に表示呼吸音データを三次元表示する表示手段とを備え、少なくとも一周期の呼吸の呼吸音を実時間で時系列的に三次元表示することを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の呼吸音可視化モニタ装置は、聴感補正手段が、呼吸音データの周波数成分を、低い周波数から高い周波数に向かって幅が拡がる周波数幅で区画されると共に相異なる重み付け値が設定された周波数帯域に割り振り、表示手段が、重み付け値を周波数成分として、表示呼吸音データを三次元表示することを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の呼吸音可視化モニタ装置は、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを検出したとき、呼吸音データ以降所定時間に渡って呼吸音データを破棄する大音響破棄手段を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の呼吸音可視化モニタ装置は、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを、所定の圧縮率で所定レベル以下に圧縮する高レベル圧縮手段を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の呼吸音可視化モニタ装置は、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを検出したとき、呼吸音データ全体を所定の圧縮率で圧縮する圧縮手段を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の呼吸音可視化モニタ装置は、所定レベル以下の波高値の呼吸音データを、所定の拡大率で該所定レベル以上に伸張する低レベル伸張手段を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の呼吸音可視化モニタ装置は、呼吸音データ又は表示呼吸音データをアナログ電気信号に変換するD/A変換器と、アナログ電気信号を再生するスピーカとを備えることを特徴とする。
【0015】
請求項8記載の呼吸音可視化モニタ装置は、呼気中の二酸化炭素濃度を計測しデジタルデータである二酸化炭素濃度データを生成する二酸化炭素濃度計測手段を備え、表示手段が、呼吸音データに併せて、二酸化炭素濃度データを実時間で時系列的に二次元表示することを特徴とする。
【0016】
請求項9記載の呼吸音可視化モニタ装置は、呼吸流速を計測しデジタルデータである呼吸流速データを生成する呼吸流速計測手段を備え、表示手段が、呼吸音データに併せて、呼吸流速データを実時間で時系列的に二次元表示することを特徴とする。
【0017】
請求項10記載の呼吸音可視化モニタ装置は、心電図を計測しデジタルデータである心電図データを生成する心電図計測手段を備え、表示手段が、呼吸音データに併せて、心電図データを基に心電図波形を実時間で時系列的に二次元表示することを特徴とする。
【0018】
請求項11記載の呼吸音可視化方法は、呼吸音を集音しアナログ電気信号に変換し、アナログ電気信号をデジタルデータである呼吸音データに変換し、呼吸音データに聴感補正を施し表示呼吸音データを生成した後、周波数成分、時間及び波高値を基に表示呼吸音データを、少なくとも一周期の呼吸の呼吸音を実時間で時系列的に三次元表示することを特徴とする。
【0019】
請求項12記載の呼吸音可視化方法は、聴感補正として、呼吸音データの周波数成分を、低い周波数から高い周波数に向かって幅が拡がる周波数幅で区画されると共に相異なる重み付け値が設定された周波数帯域に割り振った後、重み付け値を周波数成分として、表示呼吸音データを三次元表示することを特徴とする。
【0020】
請求項13記載の呼吸音可視化方法は、アナログ電気信号をデジタルデータである呼吸音データに変換した後、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを検出したとき、当該呼吸音データ以降所定時間に渡って呼吸音データを破棄することを特徴とする。
【0021】
請求項14記載の呼吸音可視化方法は、アナログ電気信号をデジタルデータである呼吸音データに変換した後、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを、所定の圧縮率で所定レベル以下に圧縮することを特徴とする。
【0022】
請求項15記載の呼吸音可視化方法は、アナログ電気信号をデジタルデータである呼吸音データに変換した後、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを検出したとき、呼吸音データ全体を所定の圧縮率で圧縮することを特徴とする。
【0023】
請求項16記載の呼吸音可視化方法は、アナログ電気信号をデジタルデータである呼吸音データに変換した後、所定レベル以下の波高値の呼吸音データを、所定の拡大率で該所定レベル以上に伸張することを特徴とする。
【0024】
請求項17記載の呼吸音可視化方法は、呼吸音データに併せて、呼気中の二酸化炭素濃度を計測したデジタルデータである二酸化炭素濃度データを実時間で時系列的に二次元表示することを特徴とする。
【0025】
請求項18記載の呼吸音可視化方法は、呼吸音データに併せて、呼吸流速を計測したデジタルデータである呼吸流速データを実時間で時系列的に二次元表示することを特徴とする。
【0026】
請求項19記載の呼吸音可視化方法は、呼吸音データに併せて、心電図を計測したデジタルデータである心電図データを基に心電図波形を実時間で時系列的に二次元表示することを特徴とする。
【0027】
請求項20記載の呼吸音可視化プログラムは、コンピュータを、呼吸音を集音したアナログ電気信号をデジタルデータで変換した呼吸音データに聴感補正を施し表示呼吸音データを生成する聴感補正手段と、周波数成分、時間及び波高値を基に該表示呼吸音データを、少なくとも一周期の呼吸の該呼吸音を実時間で時系列的に三次元表示する表示手段として機能させることを特徴とする。
【0028】
請求項21記載の呼吸音可視化プログラムは、聴感補正手段が、呼吸音データの周波数成分を、低い周波数から高い周波数に向かって幅が拡がる周波数幅で区画されると共に相異なる重み付け値が設定された周波数帯域に割り振り、表示手段が、重み付け値を周波数成分として、表示呼吸音データを三次元表示することを特徴とする。
【0029】
請求項22記載の呼吸音可視化プログラムは、コンピュータを、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを検出したとき、当該呼吸音データ以降所定時間に渡って呼吸音データを破棄する大音響破棄手段として機能させることを特徴とする。
【0030】
請求項23記載の呼吸音可視化プログラムは、コンピュータを、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを、所定の圧縮率で該所定レベル以下に圧縮する高レベル圧縮手段として機能させることを特徴とする。
【0031】
請求項24記載の呼吸音可視化プログラムは、コンピュータを、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを検出したとき、呼吸音データ全体を所定の圧縮率で圧縮する圧縮手段として機能させることを特徴とする。
【0032】
請求項25記載の呼吸音可視化プログラムは、コンピュータを、所定レベル以下の波高値の呼吸音データを、所定の拡大率で該所定レベル以上に伸張する低レベル伸張手段として機能させることを特徴とする。
【0033】
請求項26記載の呼吸音可視化プログラムは、コンピュータを、呼吸音データ又は表示呼吸音データをアナログ電気信号に変換した呼吸音として再生する呼吸音再生手段として機能させることを特徴とする。
【0034】
請求項27記載の呼吸音可視化プログラムは、コンピュータを、呼気中の二酸化炭素濃度を計測したデジタルデータである二酸化炭素濃度データを、呼吸音データに併せて実時間で時系列的に二次元表示する表示手段として機能させることを特徴とする。
【0035】
請求項28記載の呼吸音可視化プログラムは、コンピュータを、呼吸流速を計測したデジタルデータである呼吸流速データを、呼吸音データに併せて実時間で時系列的に二次元表示する表示手段として機能させることを特徴とする。
【0036】
請求項29記載の呼吸音可視化プログラムは、コンピュータを、心電図を計測したデジタルデータである心電図データを、呼吸音データに併せて実時間で時系列的に二次元表示する前記表示手段として機能させることを特徴とする。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、本発明の実施の形態における呼吸音可視化モニタ装置の一例を示す構成図である。図2は、同呼吸音可視化モニタ装置の動作を示すフローチャートである。図3は、聴感補正の一例を示す説明図である。図4は呼吸音の三次元表示の一例を示す説明図、図5は呼吸音に加え他の情報を表示した場合の一例を示す説明図である。
【0038】
図1〜図5において、呼吸音可視化モニタ装置は、呼吸音を電気的に集音し、CRT等の表示器に表示させるための装置である。この呼吸音可視化モニタ装置は、基本的には、呼吸音可視化部10、マイク15、CRT5から成り立っている。マイク15は、呼吸音を集音しアナログ電気信号に変換するための集音器である。例えば、全身麻酔施行患者の胸骨切痕上の気管皮膚上にマイク15を貼付したような形で設置してもいいし、一般的な聴診器のチューブ部分にマイク15を埋め込み聴診器を気管皮膚上にあてがってもいいし、また、呼吸音のアナログ電気信号が得られる電子聴診器を用いてもよい。また、呼吸音を集音しアナログ電気信号に変換できるものであれば、マイクに限られるものではない。
【0039】
呼吸音可視化部10は、電気回路で構成されるもので、マイク15から入力される呼吸音のアナログ電気信号を、CRT5で表示可能な情報に処理するものである。図1における呼吸音可視化部10は、後述する各回路を論理素子で構成し、各回路で電子的な処理を施す構成としているが、他の態様については後述する。呼吸音可視化部10は、A/D変換器16、大音響破棄回路21、圧縮回路22、低レベル伸張回路23、聴感補正回路20、表示回路24、D/A変換器17及びスイッチ25,26から構成されている。
【0040】
A/D変換器16は、マイク15で得られた呼吸音のアナログ電気信号を、デジタルデータである呼吸音データに変換するためのものである。反対に、D/A変換器17は、A/D変換器16で変換され、又は各回路で処理された呼吸音データをスピーカ7で再生可能なアナログ電気信号に変換するためのものである。
【0041】
表示手段24は、後述する各回路で処理が施された呼吸音データ(表示呼吸音データ)を、医師や看護婦が目視可能にするものである。具体的には、周波数成分、時間及び波高値を基に呼吸音データ(表示呼吸音データ)をCRT5の画面上に三次元表示するもので、少なくとも一周期の呼吸の呼吸音を実時間で時系列的に三次元する。尚、表示手段としてはCRT5に限られるものではなく、呼吸音を立体的に表示できる手段であれはよく、他の例としては、液晶表示器、プラズマディスプレイ等がある。
【0042】
大音響破棄回路21は、所定レベル(以降「大音響破棄レベル」と記載する。)以上の波高値の呼吸音データを検出したとき、この大音響破棄レベル以上を検出した以降の所定時間の呼吸音データを破棄するものである。具体的な大音響破棄レベルとは、呼吸音以外の呼吸音をかき消してしまう音の波高値のレベルであり、例えば、ドアを閉めたときの音や機械・器具等を落としたときの音等のレベルである。また、破棄する時間は、呼吸音以外の大音響を除去可能な時間であるが、不必要に長いと有用な呼吸音まで破棄してしまうため、患者の周囲の環境を考慮し任意に定めるものとする。
【0043】
圧縮回路22は、所定レベル(以降「圧縮レベル」と記載する。)以上の波高値の呼吸音データを検出したとき、呼吸音データ全体を所定の圧縮率で圧縮するためのものである。この圧縮レベルとは、呼吸音としては、有効なものでありながら、他の低いレベルの波高値を有する呼吸音データを有効に表示しようとすると、画面からはみ出してしまうようなレベルである。また、所定の圧縮率とは、圧縮レベル以上の波高値の呼吸音データを含めて、1つの画面上にすべてのレベルの呼吸音データを表示可能な程度にまで呼吸音データを圧縮できる圧縮率である。
【0044】
低レベル伸張回路23は、所定レベル(以降「伸張レベル」と記載する。)以下の波高値の呼吸音データを、所定の拡大率で伸張レベル以上に伸張するものである。この伸張レベルとは、すべてのレベルの波高値の呼吸音データを1つの画面上に表示すると、もっとも高いレベルの波高値の呼吸音データに比べてあまりにも小さいために、画面上では存在の確認が困難になるおそれのある波高値のレベルである。また、所定の拡大率とは、この伸張レベル以下の波高値の呼吸音データを画面上で目視可能なレベルまで伸張可能な拡大率である。
【0045】
聴感補正回路20は、呼吸音データに聴感補正を施すためのものであり、人間の耳の可聴特性に相当する補正を施し、呼吸音の表示を、人間の聞いた感じにより近づけるためのものである。尚、呼吸音可視化モニタ装置として最低限の機能のみで構成させる場合には、呼吸音可視化部10としては、A/D変換器16、聴感補正回路20及び表示回路24を備えていればよい。
【0046】
図1の呼吸音可視化モニタ装置は、この他にCO2濃度計40、CO2センサー41、呼吸流速計42、呼吸流速センサー43、心電図計44及び心電図センサー45を備えている。CO2濃度計40及びCO2センサー41は、吸気、呼気中の二酸化炭素濃度を計測し、デジタルデータである二酸化炭素濃度データを生成して表示回路24に入力するためのものである。呼吸流速計42及び呼吸流速センサー43は、呼吸流速を計測し、デジタルデータである呼吸流速データ生成して表示回路24に入力するためのものである。心電図計44及び心電図センサー45は、心電図を計測し、デジタルデータである心電図データを生成して表示回路24に入力するためのものである。
【0047】
次に、以上説明した構成を備える本実施形態の呼吸音可視化モニタ装置における動作について詳細に説明する。尚、以後の本実施の形態の説明において、括弧内の符号は図2のフローチャートの符号に対応している。
【0048】
まず、マイク15で、患者の呼吸音を集音し(S101)、A/D変換器16でマイク15からの呼吸音のアナログ電気信号をデジタルデータである呼吸音データに変換する(S102)。
【0049】
次に、大音響破棄回路21で、大音響破棄レベル以上の波高値の呼吸音データではないか否かの判断を行う(S103)。大音響破棄レベル以上の大音響が含まれている場合には(S103のYes)、所定時間の経過を待って(S110)から再びマイク15での集音に戻る(S110のYes)。所定時間の経過後に、呼吸音データの処理を行わないことにより、実質的に呼吸音データの破棄を行っている。大音響破棄回路21により、不必要な音を予め破棄し、より正確な呼吸音の表示が可能となる。
【0050】
呼吸音データに大音響が含まれていない場合には(S103のNo)、圧縮回路22で、圧縮レベル以上の波高値の呼吸音データではないか否かの判断を行う(S104)。圧縮レベル以上の呼吸音が含まれている場合には(S104のYes)、所定の圧縮率で呼吸音データを圧縮する(S105)。圧縮回路22により、大きな音の呼吸音が表示からはみ出すことなく、呼吸音の全体像を適格に把握することが可能となる。次に、低レベル伸張回路23で、伸張レベル以下の波高値の呼吸音データを、所定の拡大率で伸張レベル以上に伸張する(S106)。低レベル伸張回路23により、小さな大きさの呼吸音を目視しやすい大きさに強調して表示でき、呼吸音の全体像を適格に把握することが可能となる。
【0051】
次に、聴感補正回路20で、呼吸音データに聴感補正を施す(S107)。具具体的な聴感補正方法は、図3も基に説明する。まず、可聴周波数帯域全域を、いくつかの周波数帯域に分割する(図3では、11個に分割)。分割する周波数幅は、低い周波数から高い周波数に向かって幅が拡がる周波数幅である。そして、それぞれに区画された周波数帯域に相異なる重み付け値を設定する。具体的には、図3に示すように、もっとも低い周波数には1を、もっとも高い周波数には11を順次割り付けている。そして、この割り付けた値の単位としてBarkを用いている。尚、この周波数帯域の分割の周波数幅は、人間の聴感特性に合致したもので、低い周波数では周波数の違いを聞き分けやすく、高い周波数では周波数の違いを聞き分けにくい特性を考慮したものである。聴感補正回路20では、入力された呼吸音データが図3に示すどの周波数帯域に該当するかを判断し、呼吸音データの周波数情報をBarkで示される値に変換する。ここまでの処理により、呼吸音データは、人間の聴感に相応する処理が施された表示呼吸音データとなる。
【0052】
次に、表示回路24で、図4に示すように、表示呼吸音データを、Bark(周波数成分)、時間及び波高値を基にCRT5上に三次元表示する(S109)。少なくとも一周期の呼吸の呼吸音を実時間で時系列的に三次元表示することにより実際に生じている(実時間で)患者の呼吸の様子を呼吸音を可視化することで表示することができるようになる。ここで、時系列的な表示とは、例えば、図4の右上から左下に向かって三次元波形が流れるように表示されることであり、集音した呼吸音を次から次へと連続的に表示を行うことである。尚、1つの画面で表示できる時間的な期間は、少なくとも一周期の呼吸の呼吸音が表示できる期間が必要であるが、患者の診断の便宜を考慮すると20秒〜30秒の期間が望ましい。尚、時系列的な表示とは、必ずしも波形が流れるように推移するものに限らず、断続的に画面全体が切り替わるようなものであっても構わない。また、波高値や周波数成分により三次元表示全体に着色し、より立体感を強調するようにしてもよい。
【0053】
尚、図5に示すように、呼吸音の三次元表示に併せて、二酸化炭素濃度データ(図5中ではCO2と表記)、呼吸流速データ(図5中ではGasFlowと表記)又は心電図波形(図5中ではECGと表記)を実時間で時系列的に二次元表示することができる。二酸化炭素濃度や呼吸流速の表示から吸気・呼気のタイミングを判別でき、より正確な呼吸音の監視が可能であり、心電図を基に患者の異変を、より正確に把握できる。尚、これらのデータは必ずしも同時に表示できなければならないものではなく、いずれか1つまたは2つを表示するようにしてもよい。また、二酸化炭素濃度、呼吸流速、心電図に限られるものではなく、他の身体的なパラメータを、呼吸音に併せて表示することは可能である。また、呼吸音の可視化だけを考慮すれば、図1に示すCO2濃度計40、CO2センサー41、呼吸流速計42、呼吸流速センサー43、心電図計44及び心電図センサー45を必ずしも備えている必要はない。
【0054】
また、図1に示すように、各回路から出力される呼吸音データを、スイッチ25,26で選択的に切り換えてD/A変換器17に供給し、アナログ電気信号に変換した後にスピーカー7で再生するようにしてもよい。呼吸音をスピーカー7で再生することにより、呼吸音の表示から目を離して他の作業をしている時でも、呼吸音の監視が可能であり、医師や看護婦の不安を解消し、呼吸音に異常があった場合には迅速な処置が可能である。
【0055】
また、呼吸音データの処理として、圧縮回路22に代えて、高レベル圧縮手段を用いることも可能である。この高レベル圧縮手段は、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを、所定の圧縮率で該所定レベル以下に圧縮するものである。高レベル圧縮手段を用いることで、所定レベル以下であった呼吸音の表示精度を確保しつつ、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを含めて呼吸音の全体像を適格に把握することが可能である。
【0056】
尚、図1の呼吸音可視化モニタ装置では、コンピュータを用いずに実現した呼吸音可視化部10で構成する場合を説明したが、これに限られるものではなく、例えば図6及び図7に示すように、コンピュータ3,4により実現してもよい。図6の呼吸音可視化モニタ装置では、呼吸音データを処理する部分を図1の呼吸音可視化部10と同様に電子回路で構成した呼吸音可視化基板11で実現し、表示手段に関しては、コンピュータ3を用いている。すなわち、コンピュータ3内のプログラムにより表示手段24を実現させ、コンピュータ5に接続されたCRT5に呼吸音を三次元で表示するようにしている。
【0057】
また、図7に示すように、呼吸音の処理及び三次元表示をすべて1台のコンピュータ4で実現することも可能である。図7の例では、ノートパソコンのような表示器6も一体になったものを示しており、小型化、携帯性に優れた形態としたものである。1台のコンピュータ4で、呼吸音可視化モニタ装置を実現する場合には、呼吸音の処理を行う大音響処理回路21をはじめとする回路は、それぞれプログラムで実現された、大音響破棄手段31、圧縮手段32、低レベル伸張手段33及び聴感補正手段30により実現する。それぞれの手段の動作は、各回路と同様である。また、スイッチ25,26に関しても、プログラムで実現されるスイッチ35,36に置き換わることとなる。
【0058】
尚、呼吸音可視化部10及び呼吸音可視化基板11を、プログラムで処理する電子回路で構成することも可能である。具体的には、DSP(Digiral Signal Processor)で処理を行うことが考えられる。
【0059】
以上のように、本実施の形態における呼吸音可視化モニタ装置のよれば、少なくとも一周期の呼吸の呼吸音を実時間で時系列的に三次元表示することで、多くの医師や看護婦が同時にかつリアルタイムで呼吸の様子を確認することができ、客観的で且つ迅速な診察・処置が可能である。
【0060】
また、聴感補正を行った呼吸音データをBark(周波数成分)、時間及び波高値を基に三次元表示することから、呼吸音に含まれる周波数成分の強弱の変化を音色の変化として聴き取るのと同様な感覚で、呼吸音を目視しつつ呼吸音の全体像を容易に把握することができる。
【0061】
尚、実時間で呼吸音を三次元表示するのみではなく、記憶装置に呼吸音データを保存しておき、記憶されたものも事後的に表示しても良い。また、マイク15とA/D変換器16とを直結するだけでなく、FMラジオ等の無線手段で接続したり、LAN等の電気通信回線を用いてネットワークを介して接続してもよい。
【0062】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、少なくとも一周期の呼吸の呼吸音を実時間で時系列的に三次元表示することで、多くの医師や看護婦が同時にかつリアルタイムで呼吸の様子を確認することができ、客観的で且つ迅速な診察・処置が可能である。また、聴感補正を行った呼吸音データを周波数成分、時間及び波高値を基に三次元表示することから、呼吸音に含まれる周波数成分の強弱の変化を音色の変化として聴き取るのと同様な感覚で、呼吸音を目視しつつ呼吸音の全体像を容易に把握することができる。
【0063】
請求項2の発明によれば、聴感補正手段が、呼吸音データの周波数成分を、低い周波数から高い周波数に向かって幅が拡がる周波数幅で区画された周波数帯域に割り振ることから、高音に比べ低音を細密に表示することができる。このため、人間が周波数の違いを把握しにくい高音に比べ、周波数の違いを把握し易い低音では細密な表示となり、より聴感に近い呼吸音の表示を行うことが可能である。
【0064】
請求項3の発明によれば、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを検出したとき、呼吸音データ以降所定時間に渡って呼吸音データを破棄する大音響破棄手段を備えることから、不必要な音を予め破棄し、より正確な呼吸音の表示が可能である。
【0065】
請求項4の発明によれば、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを、所定の圧縮率で所定レベル以下に圧縮する高レベル圧縮手段を備えることから、所定レベル以下であった呼吸音の表示精度を確保しつつ、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを含めて呼吸音の全体像を適格に把握することが可能である。
【0066】
請求項5の発明によれば、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを検出したとき、呼吸音データ全体を所定の圧縮率で圧縮する圧縮手段を備えることから、大きな音の呼吸音が表示からはみ出すことなく、呼吸音の全体像を適格に把握することが可能である。
【0067】
請求項6の発明によれば、所定レベル以下の波高値の呼吸音データを、所定の拡大率で所定レベル以上に伸張する低レベル伸張手段を備えることから、小さな大きさの呼吸音を目視しやすい大きさに強調して表示でき、呼吸音の全体像を適格に把握することが可能である。
【0068】
請求項7の発明によれば、呼吸音データ又は表示呼吸音データをアナログ電気信号に変換するD/A変換器と、スピーカとを備え、呼吸音を再生できることから、呼吸音の表示から目を離している時でも、呼吸音の監視が可能であり、呼吸音に異常があった場合には迅速な処置が可能である。
【0069】
請求項8の発明によれば、呼吸音データに併せて、二酸化炭素濃度データを実時間で時系列的に二次元表示することから、二酸化炭素濃度の表示から吸気・呼気のタイミングを判別でき、より正確な呼吸音の監視が可能である。
【0070】
請求項9の発明によれば、呼吸音データに併せて、呼吸流速データを実時間で時系列的に二次元表示することから、呼吸流速の表示から吸気・呼気のタイミングを判別でき、より正確な呼吸音の監視が可能である。
【0071】
請求項10の発明によれば、呼吸音データに併せて、心電図データを基に心電図波形を実時間で時系列的に二次元表示することから、呼吸音に併せて、心電図を基に患者の異変を、より正確に把握できる。
【0072】
請求項11の発明によれば、少なくとも一周期の呼吸の呼吸音を実時間で時系列的に三次元表示することで、多くの医師や看護婦が同時にかつリアルタイムで呼吸の様子を確認することができ、客観的で且つ迅速な診察・処置が可能である。
また、聴感補正を行った呼吸音データを周波数成分、時間及び波高値を基に三次元表示することから、呼吸音に含まれる周波数成分の強弱の変化を音色の変化として聴き取るのと同様な感覚で、呼吸音を目視しつつ呼吸音の全体像を容易に把握することができる。
【0073】
請求項12の発明によれば、聴感補正として、呼吸音データの周波数成分を、低い周波数から高い周波数に向かって幅が拡がる周波数幅で区画された周波数帯域に割り振ることから、高音に比べ低音を細密に表示することができる。このため、人間が周波数の違いを把握しにくい高音に比べ、周波数の違いを把握し易い低音では細密な表示となり、より聴感に近い呼吸音の表示を行うことが可能である。
【0074】
請求項13の発明によれば、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを検出したとき、呼吸音データ以降所定時間に渡って呼吸音データを破棄することから、不必要な音を予め破棄し、より正確な呼吸音の表示が可能である。
【0075】
請求項14の発明によれば、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを、所定の圧縮率で所定レベル以下に圧縮することから、所定レベル以下であった呼吸音の表示精度を確保しつつ、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを含めて呼吸音の全体像を適格に把握することが可能である。
【0076】
請求項15の発明によれば、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを検出したとき、呼吸音データ全体を所定の圧縮率で圧縮することから、大きな音の呼吸音が表示からはみ出すことなく、呼吸音の全体像を適格に把握することが可能である。
【0077】
請求項16の発明によれば、所定レベル以下の波高値の呼吸音データを、所定の拡大率で所定レベル以上に伸張することから、小さな大きさの呼吸音を目視しやすい大きさに強調して表示でき、呼吸音の全体像を適格に把握することが可能である。
【0078】
請求項17の発明によれば、呼吸音データに併せて、二酸化炭素濃度データを実時間で時系列的に二次元表示することから、二酸化炭素濃度の表示から吸気・呼気のタイミングを判別でき、より正確な呼吸音の監視が可能である。
【0079】
請求項18の発明によれば、呼吸音データに併せて、呼吸流速データを実時間で時系列的に二次元表示することから、呼吸流速の表示から吸気・呼気のタイミングを判別でき、より正確な呼吸音の監視が可能である。
【0080】
請求項19の発明によれば、呼吸音データに併せて、心電図データを基に心電図波形を実時間で時系列的に二次元表示することから、呼吸音に併せて、心電図を基に患者の異変を、より正確に把握できる。
【0081】
請求項20の発明に係るプログラムによれば、少なくとも一周期の呼吸の呼吸音を実時間で時系列的に三次元表示することで、多くの医師や看護婦が同時にかつリアルタイムで呼吸の様子を確認することができ、客観的で且つ迅速な診察・処置が可能である。
また、聴感補正を行った呼吸音データを周波数成分、時間及び波高値を基に三次元表示することから、呼吸音に含まれる周波数成分の強弱の変化を音色の変化として聴き取るのと同様な感覚で、呼吸音を目視しつつ呼吸音の全体像を容易に把握することができる。
【0082】
請求項21の発明に係るプログラムによれば、聴感補正手段が、呼吸音データの周波数成分を、低い周波数から高い周波数に向かって幅が拡がる周波数幅で区画された周波数帯域に割り振ることから、高音に比べ低音を細密に表示することができる。このため、人間が周波数の違いを把握しにくい高音に比べ、周波数の違いを把握し易い低音では細密な表示となり、より聴感に近い呼吸音の表示を行うことが可能である。
【0083】
請求項22の発明に係るプログラムによれば、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを検出したとき、呼吸音データ以降所定時間に渡って呼吸音データを破棄する大音響破棄手段を備えることから、不必要な音を予め破棄し、より正確な呼吸音の表示が可能である。
【0084】
請求項23の発明に係るプログラムによれば、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを、所定の圧縮率で所定レベル以下に圧縮する高レベル圧縮手段を備えることから、所定レベル以下であった呼吸音の表示精度を確保しつつ、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを含めて呼吸音の全体像を適格に把握することが可能である。
【0085】
請求項24の発明に係るプログラムによれば、所定レベル以上の波高値の呼吸音データを検出したとき、呼吸音データ全体を所定の圧縮率で圧縮する圧縮手段を備えることから、大きな音の呼吸音が表示からはみ出すことなく、呼吸音の全体像を適格に把握することが可能である。
【0086】
請求項25の発明に係るプログラムによれば、所定レベル以下の波高値の呼吸音データを、所定の拡大率で所定レベル以上に伸張する低レベル伸張手段を備えることから、小さな大きさの呼吸音を目視しやすい大きさに強調して表示でき、呼吸音の全体像を適格に把握することが可能である。
【0087】
請求項26の発明に係るプログラムによれば、呼吸音を再生できることから、呼吸音の表示から目を離している時でも、呼吸音の監視が可能であり、呼吸音に異常があった場合には迅速な処置が可能である。
【0088】
請求項27の発明に係るプログラムによれば、呼吸音データに併せて、二酸化炭素濃度データを実時間で時系列的に二次元表示することから、二酸化炭素濃度の表示から吸気・呼気のタイミングを判別でき、より正確な呼吸音の監視が可能である。
【0089】
請求項28の発明に係るプログラムによれば、呼吸音データに併せて、呼吸流速データを実時間で時系列的に二次元表示することから、呼吸流速の表示から吸気・呼気のタイミングを判別でき、より正確な呼吸音の監視が可能である。
【0090】
請求項29の発明に係るプログラムによれば、呼吸音データに併せて、心電図データを基に心電図波形を実時間で時系列的に二次元表示することから、呼吸音に併せて、心電図を基に患者の異変を、より正確に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における呼吸音可視化モニタ装置の一例を示す構成図である。
【図2】同呼吸音可視化モニタ装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】聴感補正の一例を示す説明図である。
【図4】呼吸音の三次元表示の一例を示す説明図である。
【図5】呼吸音に加え他の情報を表示した場合の一例を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態における呼吸音可視化モニタ装置の他の例を示す構成図である。
【図7】本発明の実施の形態における呼吸音可視化モニタ装置のさらに他の例を示す構成図である。
【符号の説明】
3,4・・・・・コンピュータ
5・・・・・・・CRT
6・・・・・・・表示器
7・・・・・・・スピーカ
10・・・・・・呼吸音可視化部
11・・・・・・呼吸音可視化基板
15・・・・・・マイク
16・・・・・・A/D変換器
17・・・・・・D/A変換器
20・・・・・・聴感補正回路
21・・・・・・大音響破棄回路
22・・・・・・圧縮回路
23・・・・・・低レベル伸張回路
24・・・・・・表示回路
25,26・・・スイッチ
30・・・・・・聴感補正手段
31・・・・・・大音響破棄手段
32・・・・・・圧縮手段
33・・・・・・低レベル伸張手段
34・・・・・・表示手段
35,36・・・スイッチ
40・・・・・・CO2濃度計
41・・・・・・CO2センサー
42・・・・・・呼吸流速計
43・・・・・・呼吸流速センサー
44・・・・・・心電図計
45・・・・・・心電図センサー
Claims (29)
- 呼吸音を集音しアナログ電気信号に変換するための集音器と、該アナログ電気信号をデジタルデータである呼吸音データに変換するA/D変換手段と、
該呼吸音データに聴感補正を施し表示呼吸音データを生成する聴感補正手段と、周波数成分、時間及び波高値を基に該表示呼吸音データを三次元表示する表示手段とを備え、
少なくとも一周期の呼吸の該呼吸音を実時間で時系列的に三次元表示することを特徴とする呼吸音可視化モニタ装置。 - 前記聴感補正手段が、前記呼吸音データの周波数成分を、低い周波数から高い周波数に向かって幅が拡がる周波数幅で区画されると共に相異なる重み付け値が設定された周波数帯域に割り振り、
前記表示手段が、該重み付け値を前記周波数成分として、該表示呼吸音データを三次元表示することを特徴とする請求項1記載の呼吸音可視化モニタ装置。 - 所定レベル以上の波高値の前記呼吸音データを検出したとき、当該呼吸音データ以降所定時間に渡って呼吸音データを破棄する大音響破棄手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の呼吸音可視化モニタ装置。
- 所定レベル以上の波高値の前記呼吸音データを、所定の圧縮率で該所定レベル以下に圧縮する高レベル圧縮手段を備えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の呼吸音可視化モニタ装置。
- 所定レベル以上の波高値の前記呼吸音データを検出したとき、呼吸音データ全体を所定の圧縮率で圧縮する圧縮手段を備えることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の呼吸音可視化モニタ装置。
- 所定レベル以下の波高値の前記呼吸音データを、所定の拡大率で該所定レベル以上に伸張する低レベル伸張手段を備えることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の呼吸音可視化モニタ装置。
- 前記呼吸音データ又は前記表示呼吸音データをアナログ電気信号に変換するD/A変換器と、
該アナログ電気信号を再生するスピーカとを備えることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の呼吸音可視化モニタ装置。 - 呼気中の二酸化炭素濃度を計測しデジタルデータである二酸化炭素濃度データを生成する二酸化炭素濃度計測手段を備え、
前記表示手段が、前記呼吸音データに併せて、該二酸化炭素濃度データを実時間で時系列的に二次元表示することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の呼吸音可視化モニタ装置。 - 呼吸流速を計測しデジタルデータである呼吸流速データを生成する呼吸流速計測手段を備え、
前記表示手段が、前記呼吸音データに併せて、該呼吸流速データを実時間で時系列的に二次元表示することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の呼吸音可視化モニタ装置。 - 心電図を計測しデジタルデータである心電図データを生成する心電図計測手段を備え、
前記表示手段が、前記呼吸音データに併せて、該心電図データを基に心電図波形を実時間で時系列的に二次元表示することを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の呼吸音可視化モニタ装置。 - 呼吸音を集音しアナログ電気信号に変換し、
該アナログ電気信号をデジタルデータである呼吸音データに変換し、
該呼吸音データに聴感補正を施し表示呼吸音データを生成した後、
周波数成分、時間及び波高値を基に該表示呼吸音データを、少なくとも一周期の呼吸の該呼吸音を実時間で時系列的に三次元表示することを特徴とする呼吸音可視化方法。 - 前記聴感補正として、前記呼吸音データの周波数成分を、低い周波数から高い周波数に向かって幅が拡がる周波数幅で区画されると共に相異なる重み付け値が設定された周波数帯域に割り振った後、
該重み付け値を前記周波数成分として、該表示呼吸音データを三次元表示することを特徴とする請求項11記載の呼吸音可視化方法。 - 前記アナログ電気信号をデジタルデータである前記呼吸音データに変換した後、
所定レベル以上の波高値の該呼吸音データを検出したとき、当該呼吸音データ以降所定時間に渡って呼吸音データを破棄することを特徴とする請求項11又は請求項12記載の呼吸音可視化方法。 - 前記アナログ電気信号をデジタルデータである前記呼吸音データに変換した後、
所定レベル以上の波高値の該呼吸音データを、所定の圧縮率で該所定レベル以下に圧縮することを特徴とする請求項11〜請求項13のいずれかに記載の呼吸音可視化方法。 - 前記アナログ電気信号をデジタルデータである前記呼吸音データに変換した後、
所定レベル以上の波高値の該呼吸音データを検出したとき、呼吸音データ全体を所定の圧縮率で圧縮することを特徴とする請求項11〜請求項14のいずれかに記載の呼吸音可視化方法。 - 前記アナログ電気信号をデジタルデータである前記呼吸音データに変換した後、
所定レベル以下の波高値の該呼吸音データを、所定の拡大率で該所定レベル以上に伸張することを特徴とする請求項11〜請求項15のいずれかに記載の呼吸音可視化方法。 - 前記呼吸音データに併せて、呼気中の二酸化炭素濃度を計測したデジタルデータである二酸化炭素濃度データを実時間で時系列的に二次元表示することを特徴とする請求項11〜請求項16のいずれかに記載の呼吸音可視化方法。
- 前記呼吸音データに併せて、呼吸流速を計測したデジタルデータである呼吸流速データを実時間で時系列的に二次元表示することを特徴とする請求項11〜請求項17のいずれかに記載の呼吸音可視化方法。
- 前記呼吸音データに併せて、心電図を計測したデジタルデータである心電図データを基に心電図波形を実時間で時系列的に二次元表示することを特徴とする請求項11〜請求項18のいずれかに記載の呼吸音可視化方法。
- コンピュータを、
呼吸音を集音したアナログ電気信号をデジタルデータで変換した呼吸音データに聴感補正を施し表示呼吸音データを生成する聴感補正手段と、
周波数成分、時間及び波高値を基に該表示呼吸音データを、少なくとも一周期の呼吸の該呼吸音を実時間で時系列的に三次元表示する表示手段として機能させるための呼吸音可視化プログラム。 - 前記聴感補正手段が、前記呼吸音データの周波数成分を、低い周波数から高い周波数に向かって幅が拡がる周波数幅で区画されると共に相異なる重み付け値が設定された周波数帯域に割り振り、
前記表示手段が、該重み付け値を前記周波数成分として、該表示呼吸音データを三次元表示することを特徴とする請求項20記載の呼吸音可視化プログラム。 - コンピュータを、
所定レベル以上の波高値の前記呼吸音データを検出したとき、当該呼吸音データ以降所定時間に渡って呼吸音データを破棄する大音響破棄手段として機能させるための請求項20又は請求項21記載の呼吸音可視化プログラム。 - コンピュータを、
所定レベル以上の波高値の前記呼吸音データを、所定の圧縮率で該所定レベル以下に圧縮する高レベル圧縮手段として機能させるための請求項20〜請求項22のいずれかに記載の呼吸音可視化プログラム。 - コンピュータを、
所定レベル以上の波高値の前記呼吸音データを検出したとき、呼吸音データ全体を所定の圧縮率で圧縮する圧縮手段として機能させるための請求項20〜請求項23のいずれかに記載の呼吸音可視化プログラム。 - コンピュータを、
所定レベル以下の波高値の前記呼吸音データを、所定の拡大率で該所定レベル以上に伸張する低レベル伸張手段として機能させるための請求項20〜請求項24のいずれかに記載の呼吸音可視化プログラム。 - コンピュータを、
前記呼吸音データ又は前記表示呼吸音データをアナログ電気信号に変換した呼吸音として再生する呼吸音再生手段として機能させるための請求項20〜請求項25のいずれかに記載の呼吸音可視化プログラム。 - コンピュータを、
呼気中の二酸化炭素濃度を計測したデジタルデータである二酸化炭素濃度データを、前記呼吸音データに併せて実時間で時系列的に二次元表示する前記表示手段として機能させるための請求項20〜請求項26のいずれかに記載の呼吸音可視化プログラム。 - コンピュータを、
呼吸流速を計測したデジタルデータである呼吸流速データを、前記呼吸音データに併せて実時間で時系列的に二次元表示する前記表示手段として機能させるための請求項20〜請求項27のいずれかに記載の呼吸音可視化プログラム。 - コンピュータを、
心電図を計測したデジタルデータである心電図データを、前記呼吸音データに併せて実時間で時系列的に二次元表示する前記表示手段として機能させるための請求項20〜請求項28のいずれかに記載の呼吸音可視化プログラム。
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