JP2004033160A - Dnaマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析における競合的ハイブリダイゼーションの方法、および、dnaマイクロアレイによる遺伝子発現解析に用いるコントロールrna - Google Patents
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Abstract
【課題】サンプルRNAの発現量とコントロールRNAの発現量が著しく異なり既存のDNAマイクロアレイの測定手法では両者の比を正確に検出することができない遺伝子等についても有効なデータを実測すること。
【解決手段】例えばヒト肝臓組織などのバイオプシー検体から抽出および増幅したサンプルRNAに、逆転写酵素を用いてCy3で標識し試料を調整する。また、例えばヒトの培養細胞等から抽出および増幅したコントロールRNAに、スパイクRNA(サンプルRNAとコントロールRNAの両方に存在するRNAであって、サンプルのシグナル強度がコントロールのシグナル強度に比べて高いもの、または、サンプルRNAに存在するRNAであって、コントロールRNAにおいては存在が認められないもの)を加え、逆転写酵素を用いてCy5で標識し試料を調整する。
【選択図】 図1
【解決手段】例えばヒト肝臓組織などのバイオプシー検体から抽出および増幅したサンプルRNAに、逆転写酵素を用いてCy3で標識し試料を調整する。また、例えばヒトの培養細胞等から抽出および増幅したコントロールRNAに、スパイクRNA(サンプルRNAとコントロールRNAの両方に存在するRNAであって、サンプルのシグナル強度がコントロールのシグナル強度に比べて高いもの、または、サンプルRNAに存在するRNAであって、コントロールRNAにおいては存在が認められないもの)を加え、逆転写酵素を用いてCy5で標識し試料を調整する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析における競合的ハイブリダイゼーションの方法、および、DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析に用いるコントロールRNAに関し、特に、競合的ハイブリダイゼーションによるサンプルとコントロールとの発現量比較による発現解析において、サンプルRNAの発現量とコントロールRNAの発現量が著しく異なり既存のDNAマイクロアレイの測定手法では一方が測定至適範囲外として検出することができない遺伝子等がある場合にも両者の比を得るための有効なデータを実測することのできる、DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析における競合的ハイブリダイゼーションの方法、および、DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析に用いるコントロールRNAに関する。
【0002】
【従来の技術】
スパイクRNAはすでに広く利用されている。しかしそれらは例えばLucydea Microarray ScoreCard(Amersham Pharmacia Biotech社)のように補正用の対照として用いるか、また二蛍光標識法においてスパイクRNAを加え、実験の効率を検証する目的で用いられているにすぎない(DNAマイクロアレイを用いた実験例とその検証;峯野純一ら、「DNAマイクロアレイと最新PCR法」(秀潤社)p35−42)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、測定機器の一般的特性として、至適測定範囲以外での測定は誤差を生じやすいことが知られている。また、遺伝子プロファイリングでは、例えば二蛍光標識法のような競合的ハイブリダイゼーションによってコントロールRNA(例えば培養細胞からの抽出RNA)との比で発現の増減を判断するのが一般的であるが、その場合はサンプルRNAとコントロールRNAの測定レンジが大きくかけはなれているもの、特にサンプルに比較してコントロールRNAの値が極端に低いものは好ましくない。
【0004】
即ち蛍光スキャナーでは測定対象の蛍光強度に合わせてレーザー強度を調整できるが、二蛍光標識法では最終的な判定がサンプルとコントロールとの比で得られるため、サンプルとコントロールのそれぞれのレーザー強度を変化させて得た値は意味のないものとなってしまうため、常に同一レーザー強度下で測定せざるを得ない。
【0005】
しかし乖離度の高い組合せについて同一レーザー強度下で測定した値は、一方にとっては測定至適範囲外となり、必然的に誤差を生じることとなる。また両者の値が極端に異なる場合や、培養細胞では発現していない遺伝子については、対照の測定値がゼロとなり、まったく比がとれなくなる場合も生じる。
【0006】
これらの問題は競合的ハイブリダイゼーションのような比較による発現解析に常に伴う問題である。
【0007】
ここで、解析に用いられるコントロールRNAは、データの比較のためにも各遺伝子の発現がテスト毎で一定している必要があり、そのためには安定して大量に供給できる材料が必要となる。この条件を満たすために、一般的には培養細胞からの抽出RNAを調整して使用している。
【0008】
しかし培養細胞はもともと癌細胞に由来するものであり、DNAマイクロアレイによる解析の対象が癌細胞以外である場合は、その遺伝子発現の様相が異なることは当然である。
【0009】
例えば肝炎患者の肝臓組織では炎症に関与する遺伝子の発現が促進され、それらの遺伝子については対象RNAでの発現とは大きく異なっている。そして、これらの促進された遺伝子発現こそが解析対象の中心であるべきはずなのであるが、実際の測定では上述のような困難が伴うことがしばしば起こっている。
【0010】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、サンプルRNAの発現量とコントロールRNAの発現量が著しく異なり既存のDNAマイクロアレイの測定手法では検出することができない遺伝子等がある場合、特にサンプルRNAと比較してコントロールRNAのシグナル強度の値が極端に低い場合についても有効なデータを実測することのできる、DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析における競合的ハイブリダイゼーションの方法、および、DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析に用いるコントロールRNAを提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するため、請求項1に記載の競合的ハイブリダイゼーションの方法は、DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析において、コントロールRNAに複数種類の特定遺伝子のRNAをそれぞれ一定量加えることを特徴とする。
【0012】
この方法によれば、コントロールRNAに複数種類の特定遺伝子のRNAをそれぞれ一定量加えるので、競合的ハイブリダイゼーションによってサンプルRNAとコントロールRNA(例えば培養細胞からの抽出RNA)との比で発現の増減を判断する場合に、サンプルRNAとコントロールRNAの測定レンジが大きくかけはなれているもの、特にサンプルに比較してコントロールRNAの値が極端に低いものについても、コントロールRNAの発現量を適切なレベルまで押し上げることにより両者の比を得るための有効なデータを取得することができるようになる。
【0013】
すなわち、この方法によれば、サンプルRNAの発現量とコントロールRNAの発現量が著しく異なるため、既存のDNAマイクロアレイの測定手法により同一レーザー強度下で蛍光強度を測定した場合には検出することができなかった遺伝子や、装置などの測定至適範囲外となり誤差が大きくなっていた遺伝子についても有効なデータを取得することができるようになる。
【0014】
また、この方法によれば、特に、サンプルRNAと比較してコントロールRNAのシグナル強度の値が極端に低いためサンプルとコントロールとの比が正確に実測できない場合においても、コントロールRNA側に一定量のRNAを加えることによって、このようなシグナル強度の乖離度の高い組合せの場合についても両者の比を得るための十分なデータを取得することができるようになる。
【0015】
さらに、この方法によれば、培養細胞では発現していない遺伝子については、コントロール側の測定値がゼロとなるため、従来の手法ではサンプルとコントロールとの比がまったくとれなかった場合においても、両者の比を得るための十分なデータを取得することができるようになる。
【0016】
また、請求項2に記載の方法は、請求項1に記載の方法において、上記競合的ハイブリダイゼーションが、二蛍光標識法であることを特徴とする。
【0017】
これは競合的ハイブリダイゼーションの一例を一層具体的に示すものである。この方法によれば、二蛍光標識法を用いた競合的ハイブリダイゼーションを効率的に実行することができるようになる。
【0018】
また、請求項3に記載の方法は、請求項1または請求項2に記載の方法において、上記複数種類の特定遺伝子のRNAは、サンプルRNAとコントロールRNAの両方に存在するRNAであって、サンプルのシグナル強度がコントロールのシグナル強度に比べて高いもの、または、サンプルRNAに存在するRNAであって、コントロールRNAにおいては存在が認められないものから選択されたものであることを特徴とする。
【0019】
これは複数種類の特定遺伝子のRNAの一例を一層具体的に示すものである。この方法によれば、複数種類の特定遺伝子のRNAは、サンプルRNAとコントロールRNAの両方に存在するRNAであって、サンプルのシグナル強度がコントロールのシグナル強度に比べて高いもの、または、サンプルRNAに存在するRNAであって、コントロールRNAにおいては存在が認められないものから選択されたものであるので、培養細胞では低い発現しか示さないRNAまたは発現が認められないRNAであって、バイオプシー検体では高い発現を示すRNAについて、同一レーザー強度下で正確に実測を行うことができるようになる。
【0020】
また、請求項4に記載の方法は、請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の方法において、上記複数種類の特定遺伝子のRNAは、コントロールRNAの蛍光強度がサンプルRNAの蛍光強度の1/3以下であるRNAから選択されたものであることを特徴とする。
【0021】
これは複数種類の特定遺伝子のRNAの一例を一層具体的に示すものである。この方法によれば、複数種類の特定遺伝子のRNAは、コントロールRNAの蛍光強度がサンプルRNAの蛍光強度の1/3以下(コントロールRNAの蛍光強度が0の場合を含む)であるRNAから選択されたものであるので、このようなRNAの実測を効率化することができるようになる。
【0022】
また、本発明は、DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析に用いるコントロールRNAに関するものであり、請求項5に記載のDNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析に用いるコントロールRNAは、請求項1から請求項4のいずれか一つに記載された上記複数種類の特定遺伝子のRNAをそれぞれ一定量加えたことを特徴とする。
【0023】
このコントロールRNAによれば、従来の培養細胞から抽出および増幅したRNAのみをコントロールRNAとした場合と比べて、上述したような様々の利点を得ることができるようになる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明にかかるDNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析における競合的ハイブリダイゼーションの方法、および、DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析に用いるコントロールRNAの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。特に、以下の実施の形態においては、本発明を、二蛍光標識法を用いたDNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析手法に適用した例について説明するが、この場合に限られず、他の全ての競合的ハイブリダイゼーションを用いたDNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析手法において、同様に適用することができる。
【0025】
またDNAマイクロアレイの支持体はスライドガラスが広く用いられているが、本発明の適用においては必ずしも平板状である必要はなく、例えばビーズのような粒子状のもの等、他の形状でも可能である。
【0026】
[本発明の概要]
以下、本発明の概要について説明し、その後、本発明の構成および処理等について詳細に説明する。図1は本発明の基本原理を示す原理構成図である。
図1では、一例として、各種コントロールRNAなどの内部標準物質を用いた二蛍光標識法を用いた競合的ハイブリダイゼーションを行い、更に検出データをコンピュータを用いて大量解析する手法により、測定の精度や再現性の向上を図る場合を一例に説明する。ここで、「二蛍光標識法」とは、二つのmRNAサンプルをそれぞれ異なる蛍光で標識し、同一マイクロアレイ上で競合的ハイブリダイゼーションを行って、両方の蛍光を測定・比較することで遺伝子発現の差を検出する手法である。
【0027】
本発明は、概略的に、以下の基本的特徴を有する。
まず、例えばヒト肝臓組織などのバイオプシー検体から抽出および増幅したサンプルRNAに、逆転写酵素を用いてCy3で標識し試料を調整する。
【0028】
また、例えばヒト癌細胞などの培養細胞から抽出および増幅したコントロールRNAに、スパイクRNAを加え、逆転写酵素を用いてCy5で標識し試料を調整する。
【0029】
ここで、コントロールRNAに加えるスパイクRNAは、サンプルRNAとコントロールRNAの両方に存在するRNAであって、サンプルのシグナル強度がコントロールのシグナル強度に比べて高い(例えば、コントロールRNAの蛍光強度がサンプルRNAの蛍光強度の1/3以下)もの、または、サンプルRNAに存在するRNAであって、コントロールRNAにおいては存在が認められないものである。
【0030】
すなわち、スパイクRNAは、もともとヒト遺伝子であり、マイクロアレイ上の解析対象遺伝子用スポットとして存在するものであるが、これらのRNAは培養細胞では低い発現しか示さないか、発現が認められないものである。そのため、これらのRNAをサンプルRNA用のCy3の波長で測定したときはある程度のシグナル強度が測定できるが、コントロールRNA用のCy5の波長で測定したときは非常に低いシグナル強度となるため測定誤差を生じたり、または、検出不能である場合が多い。従って、本発明によりスパイクRNAとしてコントロールRNAに加えることにより、コントロール側のシグナル強度の上げ底をすることにより、競合的ハイブリダイゼーションによりサンプルとコントロールとの比の増減をみるための有効なデータを収集することができるようになる。
【0031】
ついで、両ターゲット溶液を混合し、DNAマイクロアレイ上でハイブリダイゼーションを行い洗浄を行う。Cy3とCy5で標識されたRNAは、混合してDNAマイクロアレイ上にのせるので、各スポットに対し競合的に反応(ハイブリダイズ)することになる。これを共焦点レーザー顕微鏡型スキャナー装置等を用いてCy3またはCy5のそれぞれの波長のレーザー光線(励起光線)を照射し発光させシグナル強度を測定し、スポット毎にCy3とCy5の測定値の比を得ることで、スポット差(例えば各スポットのDNA量)に関係なく、コントロールRNAに対する測定対象のRNAの増減が把握できる。
【0032】
なお、スパイクRNAとして用いたRNAのスポットは、元々コントロールRNAに含まれていたものとスパイクRNAとして加えたものが合算されたシグナル強度になり、それらを個別に判別して求めるための手段はない。従って、加えるスパイクRNAの量を常に一定にすることにより、その変動を正確に把握することができるようになる。すなわち、実測されるコントロールとサンプルのシグナル強度の比の値そのものには意味は無く、その比の変動のみが意味を持つことになる(例えば、正常組織とコントロール(+スパイク)との比を、サンプル組織とコントロール(+スパイク)の比と対比することができる)。
【0033】
【実施例】
次に、本発明の具体例を説明する。
【0034】
(実施例1)バックグラウンド等の検証
本発明は競合的ハイブリダイゼーションをより効果的に行うことを目的とするものであるが、ここではサンプルにスパイクを加えることにより予想される効果が得られるかどうかを検証するため、1種類の標識のみによる非競合的なハイブリダイゼーションを行った。
【0035】
(1)コントロールRNAの調整
HepG2(American Type Culture Collectionより購入)、HEp3B(American Type CultureCollectionより購入)、および、Huh7(理研セルバンクより入手)の3種類の培養細胞からRNeasy protect mini キット(QIAGEN社)を用いて常法によりトータルRNA(以下C−RNA)を抽出した。細胞や組織からのRNA抽出の方法は、例えば「新細胞工学実験プロトコール」(秀潤社)に記載されているように、周知技術であり、そのためのキットや試薬も販売されているので、容易に行うことができる。
【0036】
そして、抽出した3種類のRNAの等量を混合してコントロールRNAとし、MessageAmp aRNA キット(Ambion社)の試薬を用い、当該プロトコールに従って増幅した。RNA増幅の方法は周知であり、そのためのキットや試薬も販売されているので、容易に行うことができる。MessageAmp aRNA キットは、T7プロモーターを含んだオリゴdTプライマーを用いてRNAから二本鎖DNAを合成し、その後T7プロモーターを利用してT7 RNAポリメラーゼによってRNAを増幅するものである。増幅したRNAは吸光度測定によってその濃度を、また、Agilent 2100 bioanalyzerによって品質をチェックした(以下C−aRNA)。
【0037】
(2)スパイクRNAの調整
これまでのデータから、バイオプシー検体では強く発現し、一方培養細胞では低い発現を示す遺伝子をいくつか特定し、それらの遺伝子の一部をクローニングした。
【0038】
具体的には2,5−oligo−adenylate synthetase(2,5−AS)、CIS3、IL−4 の遺伝子(すべてヒト遺伝子)の一部(約500〜1200bp)をそれぞれ市販のベクターpCRII−TOPO(Invitrogen社)に挿入した。このベクターにはあらかじめT7プロモーター配列が入っているため、大腸菌内で増殖したベクターを回収して、T7Megasctiptキット(Ambion社)を用いて、インビトロでのRNA転写(RNA増幅)を簡単に行うことができる。T7 Megasctiptキットは、上述のMessageAmp aRNA キットと原理的に同様である。増幅したRNAは、吸光度測定によってその濃度を、また、Agilent 2100 bioanalyzerによって品質をチェックした。
【0039】
(3)DNAマイクロアレイの作製
解析対象の遺伝子(遺伝子の一部、約200−2000bp)および対照用(例えばホタルルシフェラーゼ遺伝子の一部等)のクローンをExTaq(宝酒造社製)を用いてPCRで常法により増幅した。これらのdsDNAを精製後、アレイヤー(Geneqs Arrayer 2000 ;カケンジェネックス社製、松戸市)に移してポリ−L−リジンコートしたスライドガラス上にスポッティングした。スポット数は各遺伝子3個づつとした。
【0040】
その後スポット済みスライドグラスを80℃の恒温槽で2時間ベーキングし、その後UVクロスリンク機(SPECTRO LINKER, Spectronic社製)でUVを照射し、DNAを固定した。
【0041】
(4)RNAの標識とハイブリダイゼーション
上記(1)(2)で調整したRNAをCy3で標識した。RNAの標識法は周知であり、例えば「DNAマイクロアレイと最新PCR法」(秀潤社)等に記載されている。本発明ではまず増幅したコントロールRNA(C−aRNA)及び上記3種類のスパイクRNAを等量混合したもの(SP−aRNA)の2種類を対象として、ランダムプライマー(タカラ)とCy3−dUTP(パーキンエルマー社)を用い、逆転写酵素SuperscriptII(GibcoBRL社)で標識を行った。標識によって得られた一本鎖(ss)DNAを、QIA quick PCR purification kit(Qiagen社)により、製品のプロトコールに従って精製した。
【0042】
標識ssDNAを表1の組み合わせで混合し、上記(3)で調整したDNAマイクロアレイ上でハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーションの方法は周知であり、例えば「DNAマイクロアレイと最新PCR法」(秀潤社)等に記載されている。本発明においては、標識DNAをスライドに滴下し、カバーグラスをのせた後、65℃の恒温槽で14〜18時間ハイブリダイゼーションを行った。洗浄後スライドスキャナー(Scan Array 5000, GSI Lumonics社製)でシグナルを取り込んだ。
【表1】
(マイクロアレイ1と2、3と4は同じものをデユープリケイトで行った)
【0043】
(5)結果
A.スパイクRNAによる蛍光シグナルの上昇の確認
上の表のマイクロアレイ3、4、6について、加えた遺伝子(2,5−AS、CIS3、IL−4)と同種類のDNAスポット(各3スポット)上でのハイブリダイゼーションの結果をスキャナーによって読み取り、その平均値を比較した。結果は表2のとおりである。
【表2】
上記数字は1遺伝子につき3スポットを測定して得られた蛍光強度の平均値である。
【0044】
上記表においては、CIS3にややばらつきが見られたものの(マイクロアレイ1、2)、各遺伝子についてマイクロアレイ1、2では3、4のほぼ10倍の値を示す良好な結果が得られた。またマイクロアレイ5は、必ずしもマイクロアレイ1、2と同値を示さなかったが、これは添加した培養細胞のDNAによるブロッキングの効果がその一因であると推定された。
【0045】
この結果から、コントロール用培養細胞で十分量発現していない遺伝子(マイクロアレイ6でのシグナル)については、スパイクRNAを添加することにより、十分な蛍光強度が得られることが示された(マイクロアレイ1、2、3、4)。
【0046】
B.バックグラウンドへの影響
スパイクRNAのバックグラウンドへの影響を、対照スポットであるホタルルシフェラーゼ遺伝子とラムダファージea22遺伝子を用いて調べた。これらの遺伝子のスポットは、上記3種類のヒト遺伝子(2,5−AS、CIS3、IL−4)とは理論上はハイブリダイズしないはずである。その結果を以下に示す。
【表3】
上記数字は1遺伝子につき3スポットを測定して得られた蛍光強度の平均値である。この結果では、ホタルルシフェラーゼ遺伝子のスポットの蛍光強度はマイクロアレイ1から5まで、スパイクRNAを含まない6とほぼ同じで、スパイクRNAによる影響を受けていないことがわかる。
【0047】
一方ea22遺伝子のスポットでは、スパイクRNA100pg(マイクロアレイ3、4)ではコントロールRNAのみ(6)と変わらないが、1000pgではあきらかな上昇が見られ、また、スパイクRNAのみでは顕著に蛍光強度が上昇した。スパイクRNAのみでの上昇は、コントロールRNAがea22DNAに対してある種のブロッキングの役割を果たしている可能性が考えられた。
【0048】
上記の結果から、スパイクRNAを添加する際には、解析対象となる各スポットについて、非特異的ハイブリダイゼーションの有無の確認や添加量の調整を慎重に行う必要があると考えられた。
【0049】
(実施例2)サンプルへの応用
以上の結果を踏まえて、スパイクRNAを二蛍光標識法に応用した。
【0050】
(1)サンプルRNAの調整
方法は実施例1の培養細胞と同様である。即ち、バイオプシーによる肝臓組織からRNeasy protect mini キット(QIAGEN社)を用いて常法によりトータルRNAを抽出した。その後MessageAmp aRNA キット(Ambion社)の試薬を用い、当該プロトコールに従って増幅し、濃度と品質をチェックしてサンプルRNAとした。
【0051】
(2)DNAマイクロアレイの作製
DNAマイクロアレイは実施例1(3)で作製したものと同じものを用いた。
【0052】
(3)RNAの標識とハイブリダイゼーション
方法は実施例1(4)と同様である。
上記(1)で調整した組織サンプルRNA4μgをCy3で、実施例1(1)(2)で調整したコントロールRNA4μgとスパイクRNA100pgを混合したものをCy5で標識した。精製後両方のssDNAを混合し、上記(2)のDNAマイクロアレイにのせ、ハイブリダイゼーションを行った後洗浄した。スキャナーにより蛍光強度をとりこみ、スパイクRNAの遺伝子のスポットについて得られた蛍光強度を、以前の結果と比較した。以下の表に示された数字は1遺伝子につき3スポットを測定して得られた蛍光強度の平均値である。
【0053】
A.スパイクRNAなし
【表4】
サンプルに比較し、コントロールの値が低く、サンプルとコントロールを同じレーザーパワーでスキャニングすると、コントロールは感度の低い領域で測定せざるをえなく、最終的に得られた比は誤差が予想される。
【0054】
B.コントロールRNAにスパイクRNAを加えた場合
【表5】
サンプルとコントロールの値が近づいており、測定範囲の相違によるスキャニングの誤差がAより少なくなっていると考えられる。サンプルが異なるので(バイオプシーのサンプルでは1回の測定のみ可能)単純にAの値と比較することはできないが、コントロールが至適測定範囲からはずれるという問題がスパイクRNA添加によって解決されることが示された。
【0055】
[他の実施の形態]
さて、これまで本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態以外にも、上記特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施の形態にて実施されてよいものである。
【0056】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、コントロールRNAに複数種類の特定遺伝子のRNAをそれぞれ一定量加えるので、競合的ハイブリダイゼーションによってサンプルRNAとコントロールRNA(例えば培養細胞からの抽出RNA)との比で発現の増減を判断する場合に、サンプルRNAとコントロールRNAの測定レンジが大きくかけはなれているもの、特にサンプルに比較してコントロールRNAの値が極端に低いものについても、コントロールRNAの発現量を適切なレベルまで押し上げることにより両者の比を得るための有効なデータを取得することができる、DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析における競合的ハイブリダイゼーションの方法、および、DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析に用いるコントロールRNAを提供することができる。
【0057】
また、本発明によれば、サンプルRNAの発現量とコントロールRNAの発現量が著しく異なるため、既存のDNAマイクロアレイの測定手法により同一レーザー強度下で蛍光強度を測定した場合には検出することができなかった遺伝子や、装置などの測定至適範囲外となり誤差が大きくなっていた遺伝子についても有効なデータを取得することができる、DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析における競合的ハイブリダイゼーションの方法、および、DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析に用いるコントロールRNAを提供することができる。
【0058】
また、本発明によれば、特に、サンプルRNAと比較してコントロールRNAのシグナル強度の値が極端に低いためサンプルとコントロールとの比が正確に実測できない場合においても、コントロールRNA側に一定量のRNAを加えることによって、このようなシグナル強度の乖離度の高い組合せの場合についても両者の比を得るための十分なデータを取得することができる、DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析における競合的ハイブリダイゼーションの方法、および、DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析に用いるコントロールRNAを提供することができる。
【0059】
また、本発明によれば、培養細胞では発現していない遺伝子については、コントロール側の測定値がゼロとなるため、従来の手法ではサンプルとコントロールとの比がまったくとれなかった場合においても、両者の比を得るための十分なデータを取得することができる、DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析における競合的ハイブリダイゼーションの方法、および、DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析に用いるコントロールRNAを提供することができる。
【0060】
また、本発明によれば、二蛍光標識法を用いた競合的ハイブリダイゼーションを効率的に実行することができる、DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析における競合的ハイブリダイゼーションの方法、および、DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析に用いるコントロールRNAを提供することができる。
【0061】
また、本発明によれば、複数種類の特定遺伝子のRNAは、サンプルRNAとコントロールRNAの両方に存在するRNAであって、サンプルのシグナル強度がコントロールのシグナル強度に比べて高いもの、または、サンプルRNAに存在するRNAであって、コントロールRNAにおいては存在が認められないものから選択されたものであるので、培養細胞では低い発現しか示さないRNAまたは発現が認められないRNAであって、バイオプシー検体では高い発現を示すRNAについて、同一レーザー強度下で正確に実測を行うことができる、DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析における競合的ハイブリダイゼーションの方法、および、DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析に用いるコントロールRNAを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本原理を示す原理構成図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析における競合的ハイブリダイゼーションの方法、および、DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析に用いるコントロールRNAに関し、特に、競合的ハイブリダイゼーションによるサンプルとコントロールとの発現量比較による発現解析において、サンプルRNAの発現量とコントロールRNAの発現量が著しく異なり既存のDNAマイクロアレイの測定手法では一方が測定至適範囲外として検出することができない遺伝子等がある場合にも両者の比を得るための有効なデータを実測することのできる、DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析における競合的ハイブリダイゼーションの方法、および、DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析に用いるコントロールRNAに関する。
【0002】
【従来の技術】
スパイクRNAはすでに広く利用されている。しかしそれらは例えばLucydea Microarray ScoreCard(Amersham Pharmacia Biotech社)のように補正用の対照として用いるか、また二蛍光標識法においてスパイクRNAを加え、実験の効率を検証する目的で用いられているにすぎない(DNAマイクロアレイを用いた実験例とその検証;峯野純一ら、「DNAマイクロアレイと最新PCR法」(秀潤社)p35−42)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、測定機器の一般的特性として、至適測定範囲以外での測定は誤差を生じやすいことが知られている。また、遺伝子プロファイリングでは、例えば二蛍光標識法のような競合的ハイブリダイゼーションによってコントロールRNA(例えば培養細胞からの抽出RNA)との比で発現の増減を判断するのが一般的であるが、その場合はサンプルRNAとコントロールRNAの測定レンジが大きくかけはなれているもの、特にサンプルに比較してコントロールRNAの値が極端に低いものは好ましくない。
【0004】
即ち蛍光スキャナーでは測定対象の蛍光強度に合わせてレーザー強度を調整できるが、二蛍光標識法では最終的な判定がサンプルとコントロールとの比で得られるため、サンプルとコントロールのそれぞれのレーザー強度を変化させて得た値は意味のないものとなってしまうため、常に同一レーザー強度下で測定せざるを得ない。
【0005】
しかし乖離度の高い組合せについて同一レーザー強度下で測定した値は、一方にとっては測定至適範囲外となり、必然的に誤差を生じることとなる。また両者の値が極端に異なる場合や、培養細胞では発現していない遺伝子については、対照の測定値がゼロとなり、まったく比がとれなくなる場合も生じる。
【0006】
これらの問題は競合的ハイブリダイゼーションのような比較による発現解析に常に伴う問題である。
【0007】
ここで、解析に用いられるコントロールRNAは、データの比較のためにも各遺伝子の発現がテスト毎で一定している必要があり、そのためには安定して大量に供給できる材料が必要となる。この条件を満たすために、一般的には培養細胞からの抽出RNAを調整して使用している。
【0008】
しかし培養細胞はもともと癌細胞に由来するものであり、DNAマイクロアレイによる解析の対象が癌細胞以外である場合は、その遺伝子発現の様相が異なることは当然である。
【0009】
例えば肝炎患者の肝臓組織では炎症に関与する遺伝子の発現が促進され、それらの遺伝子については対象RNAでの発現とは大きく異なっている。そして、これらの促進された遺伝子発現こそが解析対象の中心であるべきはずなのであるが、実際の測定では上述のような困難が伴うことがしばしば起こっている。
【0010】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、サンプルRNAの発現量とコントロールRNAの発現量が著しく異なり既存のDNAマイクロアレイの測定手法では検出することができない遺伝子等がある場合、特にサンプルRNAと比較してコントロールRNAのシグナル強度の値が極端に低い場合についても有効なデータを実測することのできる、DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析における競合的ハイブリダイゼーションの方法、および、DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析に用いるコントロールRNAを提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するため、請求項1に記載の競合的ハイブリダイゼーションの方法は、DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析において、コントロールRNAに複数種類の特定遺伝子のRNAをそれぞれ一定量加えることを特徴とする。
【0012】
この方法によれば、コントロールRNAに複数種類の特定遺伝子のRNAをそれぞれ一定量加えるので、競合的ハイブリダイゼーションによってサンプルRNAとコントロールRNA(例えば培養細胞からの抽出RNA)との比で発現の増減を判断する場合に、サンプルRNAとコントロールRNAの測定レンジが大きくかけはなれているもの、特にサンプルに比較してコントロールRNAの値が極端に低いものについても、コントロールRNAの発現量を適切なレベルまで押し上げることにより両者の比を得るための有効なデータを取得することができるようになる。
【0013】
すなわち、この方法によれば、サンプルRNAの発現量とコントロールRNAの発現量が著しく異なるため、既存のDNAマイクロアレイの測定手法により同一レーザー強度下で蛍光強度を測定した場合には検出することができなかった遺伝子や、装置などの測定至適範囲外となり誤差が大きくなっていた遺伝子についても有効なデータを取得することができるようになる。
【0014】
また、この方法によれば、特に、サンプルRNAと比較してコントロールRNAのシグナル強度の値が極端に低いためサンプルとコントロールとの比が正確に実測できない場合においても、コントロールRNA側に一定量のRNAを加えることによって、このようなシグナル強度の乖離度の高い組合せの場合についても両者の比を得るための十分なデータを取得することができるようになる。
【0015】
さらに、この方法によれば、培養細胞では発現していない遺伝子については、コントロール側の測定値がゼロとなるため、従来の手法ではサンプルとコントロールとの比がまったくとれなかった場合においても、両者の比を得るための十分なデータを取得することができるようになる。
【0016】
また、請求項2に記載の方法は、請求項1に記載の方法において、上記競合的ハイブリダイゼーションが、二蛍光標識法であることを特徴とする。
【0017】
これは競合的ハイブリダイゼーションの一例を一層具体的に示すものである。この方法によれば、二蛍光標識法を用いた競合的ハイブリダイゼーションを効率的に実行することができるようになる。
【0018】
また、請求項3に記載の方法は、請求項1または請求項2に記載の方法において、上記複数種類の特定遺伝子のRNAは、サンプルRNAとコントロールRNAの両方に存在するRNAであって、サンプルのシグナル強度がコントロールのシグナル強度に比べて高いもの、または、サンプルRNAに存在するRNAであって、コントロールRNAにおいては存在が認められないものから選択されたものであることを特徴とする。
【0019】
これは複数種類の特定遺伝子のRNAの一例を一層具体的に示すものである。この方法によれば、複数種類の特定遺伝子のRNAは、サンプルRNAとコントロールRNAの両方に存在するRNAであって、サンプルのシグナル強度がコントロールのシグナル強度に比べて高いもの、または、サンプルRNAに存在するRNAであって、コントロールRNAにおいては存在が認められないものから選択されたものであるので、培養細胞では低い発現しか示さないRNAまたは発現が認められないRNAであって、バイオプシー検体では高い発現を示すRNAについて、同一レーザー強度下で正確に実測を行うことができるようになる。
【0020】
また、請求項4に記載の方法は、請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の方法において、上記複数種類の特定遺伝子のRNAは、コントロールRNAの蛍光強度がサンプルRNAの蛍光強度の1/3以下であるRNAから選択されたものであることを特徴とする。
【0021】
これは複数種類の特定遺伝子のRNAの一例を一層具体的に示すものである。この方法によれば、複数種類の特定遺伝子のRNAは、コントロールRNAの蛍光強度がサンプルRNAの蛍光強度の1/3以下(コントロールRNAの蛍光強度が0の場合を含む)であるRNAから選択されたものであるので、このようなRNAの実測を効率化することができるようになる。
【0022】
また、本発明は、DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析に用いるコントロールRNAに関するものであり、請求項5に記載のDNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析に用いるコントロールRNAは、請求項1から請求項4のいずれか一つに記載された上記複数種類の特定遺伝子のRNAをそれぞれ一定量加えたことを特徴とする。
【0023】
このコントロールRNAによれば、従来の培養細胞から抽出および増幅したRNAのみをコントロールRNAとした場合と比べて、上述したような様々の利点を得ることができるようになる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明にかかるDNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析における競合的ハイブリダイゼーションの方法、および、DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析に用いるコントロールRNAの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。特に、以下の実施の形態においては、本発明を、二蛍光標識法を用いたDNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析手法に適用した例について説明するが、この場合に限られず、他の全ての競合的ハイブリダイゼーションを用いたDNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析手法において、同様に適用することができる。
【0025】
またDNAマイクロアレイの支持体はスライドガラスが広く用いられているが、本発明の適用においては必ずしも平板状である必要はなく、例えばビーズのような粒子状のもの等、他の形状でも可能である。
【0026】
[本発明の概要]
以下、本発明の概要について説明し、その後、本発明の構成および処理等について詳細に説明する。図1は本発明の基本原理を示す原理構成図である。
図1では、一例として、各種コントロールRNAなどの内部標準物質を用いた二蛍光標識法を用いた競合的ハイブリダイゼーションを行い、更に検出データをコンピュータを用いて大量解析する手法により、測定の精度や再現性の向上を図る場合を一例に説明する。ここで、「二蛍光標識法」とは、二つのmRNAサンプルをそれぞれ異なる蛍光で標識し、同一マイクロアレイ上で競合的ハイブリダイゼーションを行って、両方の蛍光を測定・比較することで遺伝子発現の差を検出する手法である。
【0027】
本発明は、概略的に、以下の基本的特徴を有する。
まず、例えばヒト肝臓組織などのバイオプシー検体から抽出および増幅したサンプルRNAに、逆転写酵素を用いてCy3で標識し試料を調整する。
【0028】
また、例えばヒト癌細胞などの培養細胞から抽出および増幅したコントロールRNAに、スパイクRNAを加え、逆転写酵素を用いてCy5で標識し試料を調整する。
【0029】
ここで、コントロールRNAに加えるスパイクRNAは、サンプルRNAとコントロールRNAの両方に存在するRNAであって、サンプルのシグナル強度がコントロールのシグナル強度に比べて高い(例えば、コントロールRNAの蛍光強度がサンプルRNAの蛍光強度の1/3以下)もの、または、サンプルRNAに存在するRNAであって、コントロールRNAにおいては存在が認められないものである。
【0030】
すなわち、スパイクRNAは、もともとヒト遺伝子であり、マイクロアレイ上の解析対象遺伝子用スポットとして存在するものであるが、これらのRNAは培養細胞では低い発現しか示さないか、発現が認められないものである。そのため、これらのRNAをサンプルRNA用のCy3の波長で測定したときはある程度のシグナル強度が測定できるが、コントロールRNA用のCy5の波長で測定したときは非常に低いシグナル強度となるため測定誤差を生じたり、または、検出不能である場合が多い。従って、本発明によりスパイクRNAとしてコントロールRNAに加えることにより、コントロール側のシグナル強度の上げ底をすることにより、競合的ハイブリダイゼーションによりサンプルとコントロールとの比の増減をみるための有効なデータを収集することができるようになる。
【0031】
ついで、両ターゲット溶液を混合し、DNAマイクロアレイ上でハイブリダイゼーションを行い洗浄を行う。Cy3とCy5で標識されたRNAは、混合してDNAマイクロアレイ上にのせるので、各スポットに対し競合的に反応(ハイブリダイズ)することになる。これを共焦点レーザー顕微鏡型スキャナー装置等を用いてCy3またはCy5のそれぞれの波長のレーザー光線(励起光線)を照射し発光させシグナル強度を測定し、スポット毎にCy3とCy5の測定値の比を得ることで、スポット差(例えば各スポットのDNA量)に関係なく、コントロールRNAに対する測定対象のRNAの増減が把握できる。
【0032】
なお、スパイクRNAとして用いたRNAのスポットは、元々コントロールRNAに含まれていたものとスパイクRNAとして加えたものが合算されたシグナル強度になり、それらを個別に判別して求めるための手段はない。従って、加えるスパイクRNAの量を常に一定にすることにより、その変動を正確に把握することができるようになる。すなわち、実測されるコントロールとサンプルのシグナル強度の比の値そのものには意味は無く、その比の変動のみが意味を持つことになる(例えば、正常組織とコントロール(+スパイク)との比を、サンプル組織とコントロール(+スパイク)の比と対比することができる)。
【0033】
【実施例】
次に、本発明の具体例を説明する。
【0034】
(実施例1)バックグラウンド等の検証
本発明は競合的ハイブリダイゼーションをより効果的に行うことを目的とするものであるが、ここではサンプルにスパイクを加えることにより予想される効果が得られるかどうかを検証するため、1種類の標識のみによる非競合的なハイブリダイゼーションを行った。
【0035】
(1)コントロールRNAの調整
HepG2(American Type Culture Collectionより購入)、HEp3B(American Type CultureCollectionより購入)、および、Huh7(理研セルバンクより入手)の3種類の培養細胞からRNeasy protect mini キット(QIAGEN社)を用いて常法によりトータルRNA(以下C−RNA)を抽出した。細胞や組織からのRNA抽出の方法は、例えば「新細胞工学実験プロトコール」(秀潤社)に記載されているように、周知技術であり、そのためのキットや試薬も販売されているので、容易に行うことができる。
【0036】
そして、抽出した3種類のRNAの等量を混合してコントロールRNAとし、MessageAmp aRNA キット(Ambion社)の試薬を用い、当該プロトコールに従って増幅した。RNA増幅の方法は周知であり、そのためのキットや試薬も販売されているので、容易に行うことができる。MessageAmp aRNA キットは、T7プロモーターを含んだオリゴdTプライマーを用いてRNAから二本鎖DNAを合成し、その後T7プロモーターを利用してT7 RNAポリメラーゼによってRNAを増幅するものである。増幅したRNAは吸光度測定によってその濃度を、また、Agilent 2100 bioanalyzerによって品質をチェックした(以下C−aRNA)。
【0037】
(2)スパイクRNAの調整
これまでのデータから、バイオプシー検体では強く発現し、一方培養細胞では低い発現を示す遺伝子をいくつか特定し、それらの遺伝子の一部をクローニングした。
【0038】
具体的には2,5−oligo−adenylate synthetase(2,5−AS)、CIS3、IL−4 の遺伝子(すべてヒト遺伝子)の一部(約500〜1200bp)をそれぞれ市販のベクターpCRII−TOPO(Invitrogen社)に挿入した。このベクターにはあらかじめT7プロモーター配列が入っているため、大腸菌内で増殖したベクターを回収して、T7Megasctiptキット(Ambion社)を用いて、インビトロでのRNA転写(RNA増幅)を簡単に行うことができる。T7 Megasctiptキットは、上述のMessageAmp aRNA キットと原理的に同様である。増幅したRNAは、吸光度測定によってその濃度を、また、Agilent 2100 bioanalyzerによって品質をチェックした。
【0039】
(3)DNAマイクロアレイの作製
解析対象の遺伝子(遺伝子の一部、約200−2000bp)および対照用(例えばホタルルシフェラーゼ遺伝子の一部等)のクローンをExTaq(宝酒造社製)を用いてPCRで常法により増幅した。これらのdsDNAを精製後、アレイヤー(Geneqs Arrayer 2000 ;カケンジェネックス社製、松戸市)に移してポリ−L−リジンコートしたスライドガラス上にスポッティングした。スポット数は各遺伝子3個づつとした。
【0040】
その後スポット済みスライドグラスを80℃の恒温槽で2時間ベーキングし、その後UVクロスリンク機(SPECTRO LINKER, Spectronic社製)でUVを照射し、DNAを固定した。
【0041】
(4)RNAの標識とハイブリダイゼーション
上記(1)(2)で調整したRNAをCy3で標識した。RNAの標識法は周知であり、例えば「DNAマイクロアレイと最新PCR法」(秀潤社)等に記載されている。本発明ではまず増幅したコントロールRNA(C−aRNA)及び上記3種類のスパイクRNAを等量混合したもの(SP−aRNA)の2種類を対象として、ランダムプライマー(タカラ)とCy3−dUTP(パーキンエルマー社)を用い、逆転写酵素SuperscriptII(GibcoBRL社)で標識を行った。標識によって得られた一本鎖(ss)DNAを、QIA quick PCR purification kit(Qiagen社)により、製品のプロトコールに従って精製した。
【0042】
標識ssDNAを表1の組み合わせで混合し、上記(3)で調整したDNAマイクロアレイ上でハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーションの方法は周知であり、例えば「DNAマイクロアレイと最新PCR法」(秀潤社)等に記載されている。本発明においては、標識DNAをスライドに滴下し、カバーグラスをのせた後、65℃の恒温槽で14〜18時間ハイブリダイゼーションを行った。洗浄後スライドスキャナー(Scan Array 5000, GSI Lumonics社製)でシグナルを取り込んだ。
【表1】
(マイクロアレイ1と2、3と4は同じものをデユープリケイトで行った)
【0043】
(5)結果
A.スパイクRNAによる蛍光シグナルの上昇の確認
上の表のマイクロアレイ3、4、6について、加えた遺伝子(2,5−AS、CIS3、IL−4)と同種類のDNAスポット(各3スポット)上でのハイブリダイゼーションの結果をスキャナーによって読み取り、その平均値を比較した。結果は表2のとおりである。
【表2】
上記数字は1遺伝子につき3スポットを測定して得られた蛍光強度の平均値である。
【0044】
上記表においては、CIS3にややばらつきが見られたものの(マイクロアレイ1、2)、各遺伝子についてマイクロアレイ1、2では3、4のほぼ10倍の値を示す良好な結果が得られた。またマイクロアレイ5は、必ずしもマイクロアレイ1、2と同値を示さなかったが、これは添加した培養細胞のDNAによるブロッキングの効果がその一因であると推定された。
【0045】
この結果から、コントロール用培養細胞で十分量発現していない遺伝子(マイクロアレイ6でのシグナル)については、スパイクRNAを添加することにより、十分な蛍光強度が得られることが示された(マイクロアレイ1、2、3、4)。
【0046】
B.バックグラウンドへの影響
スパイクRNAのバックグラウンドへの影響を、対照スポットであるホタルルシフェラーゼ遺伝子とラムダファージea22遺伝子を用いて調べた。これらの遺伝子のスポットは、上記3種類のヒト遺伝子(2,5−AS、CIS3、IL−4)とは理論上はハイブリダイズしないはずである。その結果を以下に示す。
【表3】
上記数字は1遺伝子につき3スポットを測定して得られた蛍光強度の平均値である。この結果では、ホタルルシフェラーゼ遺伝子のスポットの蛍光強度はマイクロアレイ1から5まで、スパイクRNAを含まない6とほぼ同じで、スパイクRNAによる影響を受けていないことがわかる。
【0047】
一方ea22遺伝子のスポットでは、スパイクRNA100pg(マイクロアレイ3、4)ではコントロールRNAのみ(6)と変わらないが、1000pgではあきらかな上昇が見られ、また、スパイクRNAのみでは顕著に蛍光強度が上昇した。スパイクRNAのみでの上昇は、コントロールRNAがea22DNAに対してある種のブロッキングの役割を果たしている可能性が考えられた。
【0048】
上記の結果から、スパイクRNAを添加する際には、解析対象となる各スポットについて、非特異的ハイブリダイゼーションの有無の確認や添加量の調整を慎重に行う必要があると考えられた。
【0049】
(実施例2)サンプルへの応用
以上の結果を踏まえて、スパイクRNAを二蛍光標識法に応用した。
【0050】
(1)サンプルRNAの調整
方法は実施例1の培養細胞と同様である。即ち、バイオプシーによる肝臓組織からRNeasy protect mini キット(QIAGEN社)を用いて常法によりトータルRNAを抽出した。その後MessageAmp aRNA キット(Ambion社)の試薬を用い、当該プロトコールに従って増幅し、濃度と品質をチェックしてサンプルRNAとした。
【0051】
(2)DNAマイクロアレイの作製
DNAマイクロアレイは実施例1(3)で作製したものと同じものを用いた。
【0052】
(3)RNAの標識とハイブリダイゼーション
方法は実施例1(4)と同様である。
上記(1)で調整した組織サンプルRNA4μgをCy3で、実施例1(1)(2)で調整したコントロールRNA4μgとスパイクRNA100pgを混合したものをCy5で標識した。精製後両方のssDNAを混合し、上記(2)のDNAマイクロアレイにのせ、ハイブリダイゼーションを行った後洗浄した。スキャナーにより蛍光強度をとりこみ、スパイクRNAの遺伝子のスポットについて得られた蛍光強度を、以前の結果と比較した。以下の表に示された数字は1遺伝子につき3スポットを測定して得られた蛍光強度の平均値である。
【0053】
A.スパイクRNAなし
【表4】
サンプルに比較し、コントロールの値が低く、サンプルとコントロールを同じレーザーパワーでスキャニングすると、コントロールは感度の低い領域で測定せざるをえなく、最終的に得られた比は誤差が予想される。
【0054】
B.コントロールRNAにスパイクRNAを加えた場合
【表5】
サンプルとコントロールの値が近づいており、測定範囲の相違によるスキャニングの誤差がAより少なくなっていると考えられる。サンプルが異なるので(バイオプシーのサンプルでは1回の測定のみ可能)単純にAの値と比較することはできないが、コントロールが至適測定範囲からはずれるという問題がスパイクRNA添加によって解決されることが示された。
【0055】
[他の実施の形態]
さて、これまで本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態以外にも、上記特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施の形態にて実施されてよいものである。
【0056】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、コントロールRNAに複数種類の特定遺伝子のRNAをそれぞれ一定量加えるので、競合的ハイブリダイゼーションによってサンプルRNAとコントロールRNA(例えば培養細胞からの抽出RNA)との比で発現の増減を判断する場合に、サンプルRNAとコントロールRNAの測定レンジが大きくかけはなれているもの、特にサンプルに比較してコントロールRNAの値が極端に低いものについても、コントロールRNAの発現量を適切なレベルまで押し上げることにより両者の比を得るための有効なデータを取得することができる、DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析における競合的ハイブリダイゼーションの方法、および、DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析に用いるコントロールRNAを提供することができる。
【0057】
また、本発明によれば、サンプルRNAの発現量とコントロールRNAの発現量が著しく異なるため、既存のDNAマイクロアレイの測定手法により同一レーザー強度下で蛍光強度を測定した場合には検出することができなかった遺伝子や、装置などの測定至適範囲外となり誤差が大きくなっていた遺伝子についても有効なデータを取得することができる、DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析における競合的ハイブリダイゼーションの方法、および、DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析に用いるコントロールRNAを提供することができる。
【0058】
また、本発明によれば、特に、サンプルRNAと比較してコントロールRNAのシグナル強度の値が極端に低いためサンプルとコントロールとの比が正確に実測できない場合においても、コントロールRNA側に一定量のRNAを加えることによって、このようなシグナル強度の乖離度の高い組合せの場合についても両者の比を得るための十分なデータを取得することができる、DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析における競合的ハイブリダイゼーションの方法、および、DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析に用いるコントロールRNAを提供することができる。
【0059】
また、本発明によれば、培養細胞では発現していない遺伝子については、コントロール側の測定値がゼロとなるため、従来の手法ではサンプルとコントロールとの比がまったくとれなかった場合においても、両者の比を得るための十分なデータを取得することができる、DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析における競合的ハイブリダイゼーションの方法、および、DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析に用いるコントロールRNAを提供することができる。
【0060】
また、本発明によれば、二蛍光標識法を用いた競合的ハイブリダイゼーションを効率的に実行することができる、DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析における競合的ハイブリダイゼーションの方法、および、DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析に用いるコントロールRNAを提供することができる。
【0061】
また、本発明によれば、複数種類の特定遺伝子のRNAは、サンプルRNAとコントロールRNAの両方に存在するRNAであって、サンプルのシグナル強度がコントロールのシグナル強度に比べて高いもの、または、サンプルRNAに存在するRNAであって、コントロールRNAにおいては存在が認められないものから選択されたものであるので、培養細胞では低い発現しか示さないRNAまたは発現が認められないRNAであって、バイオプシー検体では高い発現を示すRNAについて、同一レーザー強度下で正確に実測を行うことができる、DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析における競合的ハイブリダイゼーションの方法、および、DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析に用いるコントロールRNAを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本原理を示す原理構成図である。
Claims (5)
- DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析において、コントロールRNAに複数種類の特定遺伝子のRNAをそれぞれ一定量加えることを特徴とする、競合的ハイブリダイゼーションの方法。
- 上記競合的ハイブリダイゼーションが、二蛍光標識法であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 上記複数種類の特定遺伝子のRNAは、サンプルRNAとコントロールRNAの両方に存在するRNAであって、サンプルのシグナル強度がコントロールのシグナル強度に比べて高いもの、または、サンプルRNAに存在するRNAであって、コントロールRNAにおいては存在が認められないものから選択されたものであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
- 上記複数種類の特定遺伝子のRNAは、コントロールRNAの蛍光強度がサンプルRNAの蛍光強度の1/3以下であるRNAから選択されたものであることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の方法。
- 請求項1から請求項4のいずれか一つに記載された上記複数種類の特定遺伝子のRNAをそれぞれ一定量加えた、DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析に用いるコントロールRNA。
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Cited By (2)
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US8389246B2 (en) | 2007-11-29 | 2013-03-05 | Hitachi, Ltd. | Method for nucleic acid quantitation |
CN103529200A (zh) * | 2013-10-25 | 2014-01-22 | 中南大学 | 一种基于竞争杂交反应同时检测多种miRNA序列的比色方法 |
-
2002
- 2002-07-05 JP JP2002197811A patent/JP2004033160A/ja active Pending
Cited By (2)
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CN103529200A (zh) * | 2013-10-25 | 2014-01-22 | 中南大学 | 一种基于竞争杂交反应同时检测多种miRNA序列的比色方法 |
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