JP2004032206A - 移動通信システムにおける伝送速度切替制御方法、移動通信システム及び移動通信制御装置 - Google Patents
移動通信システムにおける伝送速度切替制御方法、移動通信システム及び移動通信制御装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】ある移動局に対する伝送速度切替後一定時間の間は、当該移動局に対する次の伝送速度の切替制御を停止することにより、リソースの使用効率の低下を防ぎ、他の高い伝送速度を要求している移動局に高い伝送速度への切替を円滑に行わせ、スループット品質を維持する。
【解決手段】無線基地局１０１又は制御局１０４において、移動局１０２毎に送受信される情報量に応じて伝送速度を切替え、いずれかの移動局に対する伝送速度の切替後には、一定時間の間当該移動局に対する次の伝送速度の切替制御を停止することにより、システム性能を最適化する。切替停止時間は、現在の伝送速度及び切替先が高い伝送速度か低い伝送速度かによって可変設定し、又はリソース残量に応じて可変設定する。
【選択図】 図２
【解決手段】無線基地局１０１又は制御局１０４において、移動局１０２毎に送受信される情報量に応じて伝送速度を切替え、いずれかの移動局に対する伝送速度の切替後には、一定時間の間当該移動局に対する次の伝送速度の切替制御を停止することにより、システム性能を最適化する。切替停止時間は、現在の伝送速度及び切替先が高い伝送速度か低い伝送速度かによって可変設定し、又はリソース残量に応じて可変設定する。
【選択図】 図２
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の移動局で同一のリソースを共有し、移動局毎に送受信される情報量に応じて通信中の伝送速度を切替える移動通信システムにおける伝送速度切替制御方法、移動通信システム及び移動通信制御装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、第３世代の移動通信システムであるＣＤＭＡ（Ｃｏｄｅ Ｄｉｖｉｓｉｏｎ Ｍｕｌｔｉｐｌｅ Ａｃｃｅｓｓ：符号分割多元接続）方式を採用したＦＯＭＡ（商品名）システムにおける伝送速度切替制御技術が知られている。
【０００３】
この従来の移動通信システムは、最大伝送速度３８４ｋｂｐｓのパケット通信サービスを提供している。しかし、最大伝送速度を実現するには多くのリソースを消費するため、同時に３８４ｋｂｐｓの伝送速度で通信可能な移動局数には上限がある。ここで、リソースとは、ＣＤＭＡ方式に固有な送信電力リソースとスクランブルコードリソースとのことであり、いずれも高い伝送速度では多くのリソースを割り当てる必要があるため、同時に３８４ｋｂｐｓの伝送速度で通信可能な移動局数には上限がかかるのである。
【０００４】
そこで、従来の移動通信システムにおいては、限られたリソースを移動局間で効率的にシェアする方法として、伝送速度が高く、多くのリソースを必要とする通信には、リソースの残量に応じて使用する伝送速度を下げて割当を行うことにより、伝送速度の高い少数の移動局によるリソースが占有され、呼損率が増加する事象が発生するのを防いでいる。
【０００５】
また、従来の移動通信システムにおいては、送受信される情報量に応じて伝送速度を切替えることにより、送信バッファに一定量以上の信号が溜まった場合に高い伝送速度に切替え、逆に伝送量が一定量以下になった場合に低い伝送速度に切替えることによって常に必要なリソースのみを割り当てる制御を行い、リソースの効率的利用を実現している。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の移動通信システムでは、送受信される情報量の変動が大きい場合は、その変動に応じて伝送速度を上下する伝送速度切替制御を行うため、移動局及び制御局ともに切替制御負荷を増大させる恐れがあった。
【０００７】
さらに、リソース残量が少ない状況においては、高い伝送速度への切替要求を受けた場合に使用する伝送速度を下げて割当を行うため、その後に高い伝送速度への切替要求が連続して発生する可能性があり、制御負荷を増大させる恐れがあった。
【０００８】
このような問題点に対する対策として、伝送速度の切替を行った後、次の切替制御を一律に一定時間だけ停止する方法が考えられる。しかしながら、このような技術を採用した場合には、高い伝送速度への切替が遅れることによるスループットの低下や、高い伝送速度から低い伝送速度への切替が延びることによってリソースの使用効率が低下し、他の高い伝送速度を要求している移動局に割り当てることができなくなるといった問題が発生することが予想される。
【０００９】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、ある移動局に対する伝送速度切替後一定時間の間は、当該移動局に対する次の伝送速度の切替制御を停止することにより、制御負荷を抑制しつつ、リソースの使用効率の低下を防ぎ、他の高い伝送速度を要求している移動局に高い伝送速度への切替を円滑に行わせることができる移動通信システムにおける伝送速度切替制御技術を提供することを目的とする。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
請求項１の発明は、複数の移動局で同一のリソースを共有し、移動局毎に送受信される情報量に応じて伝送速度を切替える移動通信システムにおける伝送速度切替制御方法であって、移動局毎に送受信される情報量に応じて伝送速度を切替えるステップと、いずれかの移動局に対する伝送速度の切替後一定時間の間、当該移動局に対する次の伝送速度の切替制御を停止するステップとを有することを特徴とする。
【００１１】
請求項１の発明の移動通信システムにおける伝送速度制御方法では、移動局毎に送受信される情報量に応じて伝送速度を切替え、いずれかの移動局に対する伝送速度の切替後には、一定時間の間、当該移動局に対する次の伝送速度の切替制御を停止することにより、スループット品質、リソース効率化、制御負荷の３つの観点でシステム性能の最適化を図る。
【００１２】
請求項２の発明は、請求項１の移動通信システムにおける伝送速度切替制御方法において、前記一定時間は、現在の伝送速度毎及び次の伝送速度毎に設定することを特徴とし、現在の伝送速度及び切替先が高い伝送速度か低い伝送速度かによって切替停止時間を変更することによって、スループット品質、リソース効率化、制御負荷の３つの観点でシステム性能の最適化を図る。
【００１３】
請求項３の発明は、請求項１又は２の移動通信システムにおける伝送速度切替制御方法において、前記一定時間は、リソース残量に応じて設定することを特徴とし、リソース残量に応じて切替停止時間を変更することによって、スループット品質、リソース効率化、制御負荷の３つの観点でシステム性能の最適化を図る。
【００１４】
請求項４の発明は、複数の移動局で同一のリソースを共有し、移動局毎に送受信される情報量に応じて伝送速度を切替える移動通信システムであって、移動局毎に送受信される情報量に応じて伝送速度を切替える伝送速度切替制御手段と、いずれかの移動局に対する伝送速度の切替後一定時間の間、当該移動局に対する次の伝送速度の切替制御を停止する切替制御停止手段とを備えたものである。
【００１５】
請求項４の発明の移動通信システムでは、伝送速度切替制御手段が移動局毎に送受信される情報量に応じて伝送速度を切替え、切替制御停止手段がいずれかの移動局に対する伝送速度の切替後には、一定時間の間、当該移動局に対する次の伝送速度の切替制御を停止することにより、スループット品質、リソース効率化、制御負荷の３つの観点でシステム性能の最適化を図る。
【００１６】
請求項５の発明は、請求項４の移動通信システムにおいて、前記伝送速度切替制御手段は、前記一定時間を現在の伝送速度毎及び次の伝送速度毎に設定することを特徴とするものであり、現在の伝送速度及び切替先が高い伝送速度か低い伝送速度かによって切替停止時間を変更することによって、スループット品質、リソース効率化、制御負荷の３つの観点でシステム性能の最適化を図る。
【００１７】
請求項６の発明は、請求項５又は６の移動通信システムにおいて、前記伝送速度切替制御手段は、前記一定時間をリソース残量に応じて設定することを特徴とするものであり、リソース残量に応じて切替停止時間を変更することによって、スループット品質、リソース効率化、制御負荷の３つの観点でシステム性能の最適化を図る。
【００１８】
請求項７の発明は、複数の移動局で同一のリソースを共有し、移動局毎に送受信される情報量に応じて伝送速度を切替える制御をする移動通信制御装置であって、移動局毎に送受信される情報量に応じて伝送速度を切替える伝送速度切替制御手段と、いずれかの移動局に対する伝送速度の切替後一定時間の間、当該移動局に対する次の伝送速度の切替制御を停止する切替制御停止手段とを備えたものである。
【００１９】
請求項７の発明の移動通信制御装置では、伝送速度切替制御手段が移動局毎に送受信される情報量に応じて伝送速度を切替え、切替制御停止手段がいずれかの移動局に対する伝送速度の切替後には、一定時間の間、当該移動局に対する次の伝送速度の切替制御を停止することにより、スループット品質、リソース効率化、制御負荷の３つの観点でシステム性能の最適化を図る。
【００２０】
請求項８の発明は、請求項７の移動通信制御装置において、前記伝送速度切替制御手段は、前記一定時間を現在の伝送速度毎及び次の伝送速度毎に設定することを特徴とするものであり、現在の伝送速度及び切替先が高い伝送速度か低い伝送速度かによって切替停止時間を変更することによって、スループット品質、リソース効率化、制御負荷の３つの観点でシステム性能の最適化を図る。
【００２１】
請求項９の発明は、請求項７又は８の移動通信制御装置において、前記伝送速度切替制御手段は、前記一定時間をリソース残量に応じて設定することを特徴とするものであり、リソース残量に応じて切替停止時間を変更することによって、スループット品質、リソース効率化、制御負荷の３つの観点でシステム性能の最適化を図る。
【００２２】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。図１に本発明の１つの実施の形態の移動通信システムの構成を示している。１０１は無線基地局であり、当該無線基地局がカバーする無線ゾーン（セル）１００に在圏する複数の移動局１０２それぞれと通信を行う。１０３は無線基地局１０１と移動局１０２と間で設定される無線チャネル、１０４は無線基地局１０１と接続され無線基地局１０１や移動局１０２を制御する制御局、１０５は制御局１０４と接続される交換局である。
【００２３】
無線チャネル１０３は移動局１０２毎に設定され、通信中に伝送速度を切替えることが可能で、無線チャネルを設定するための無線リソースは複数の移動局１０２間で共有される。
【００２４】
図２に無線基地局１０１と制御局１０４の機能構成を示してある。送受信処理部２０１を除いては、無線基地局１０１と制御局１０４とのどちらに備えても同様である。図中の実線矢印は通信信号の流れを示し、破線矢印は各処理部の制御に必要な情報の流れを示す。
【００２５】
送受信処理部２０１は各無線チャネル１０３の多重分離やＣＤＭＡ方式のベースバンド処理及び変復調処理を行う。無線チャネル制御部２０２は、移動局１０２と無線基地局１０１と間の無線チャネル１０３の設定制御を行う。通信信号処理部２０３は、制御局１０４経由で交換局１０５と送受信される音声やパケットデータなどの通信信号の無線チャネル１０３ヘの中継処理、通信信号の送信バッファリング処理を行う。
【００２６】
信号量測定部２０４は、通信信号処理部２０３によって送受信される情報量や送信バッファに格納される情報量から信号量を測定し、規定値を超えた場合は伝送速度切替制御部２０５に対して高い伝送速度または低い伝送速度への切替を要求する働きをする。但し、伝送速度切替制御部２０５から切替要求停止を指示された場合は、高い伝送速度、低い伝送速度毎の切替停止時間に合わせて、それぞれの切替要求を停止する。
【００２７】
伝送速度切替制御部２０５は、信号量測定部２０４からの切替要求に応じて無線チャネル１０３の伝送速度を切替える処理と、伝送速度切替後、切替要求停止を信号量測定部２０４に対して指示する処理を行う。
【００２８】
切替停止時間管理部２０６は、高い伝送速度に切替える場合の切替停止時間と低い伝送速度に切替える場合の切替停止時間とを、それぞれ伝送速度毎、リソース測定部２０７の情報毎に応じて管理する。リソース測定部２０７は、該当セル１００で使用している無線リソース量を管理し、切替停止時間管理部２０６に通知する。
【００２９】
図３の表には、切替停止時間管理部２０６が管理する切替停止時間管理テーブル２１０の設定例が示してある。この切替停止時間管理テーブル２１０には、現在の伝送速度の高速／中速／低速、かつ、リソース残量が大／小に応じて停止時間の値が設定されている。伝送切替制御部２０５は、このテーブル値を参照し、信号量測定部２０４に切替要求停止を指示する。
【００３０】
次に、上記構成の移動通信システムによる伝送速度切替制御動作を、図４のシーケンス図を用いて説明する。
【００３１】
＜シーケンスＱ１，Ｑ２＞信号量測定部２０４は、伝送速度切替条件を満たした場合、伝送速度切替制御部２０５に対して切替要求を出す。
【００３２】
＜シーケンスＱ３，Ｑ４＞伝送速度切替制御部２０５は、リソース測定部２０７にリソース残量を問い合せた後、伝送速度切替制御を行う。この伝送速度切替制御では、リソース残量が少ない場合には、伝送速度を減少させる制御を行う。
【００３３】
＜シーケンスＱ５，Ｑ６＞伝送速度切替制御部２０５は、伝送速度を切替えた後に、切替停止時間管理テーブル２１０を参照して該当伝送速度の高い伝送速度への切替停止時間、低い伝送速度への切替停止時間を決定して信号量測定部２０４に通知する。
【００３４】
＜シーケンスＱ７，Ｑ８＞信号量測定部２０４は、該当する時間の間は切替要求を停止する。図４では、低い伝送速度への停止時間が、高い伝送速度への停止時間より長い例を示している。
【００３５】
例えば、（１）現在の伝送速度が高速、リソース残量が小の状況で、伝送速度を中速に低下させる速度切替制御をした場合には、切替停止時間は３秒間であり、（２）現在の伝送速度が中速、リソース残量が小の状況で、伝送速度を低速に低下させる速度切替制御をした場合には、切替停止時間は１５秒間に決定するのである。
【００３６】
また、上記の例とは別に、例えば、（３）現在速度が中速、リソース残量が大の状況で、伝送速度を高速に上昇させる速度切替制御をした場合には、切替停止時間は１秒間に決定し、（４）現在速度が高速、リソース残量が大の状況で、伝送速度を中速に低下させる速度切替制御をした場合には、切替停止時間は５秒間に決定するのである。
【００３７】
以上の伝送速度切替制御方法を採用することにより、本実施の形態の移動通信システムでは、無線基地局１０１は伝送速度切替直後に、次の伝送速度切替制御をリソース残量に応じて一定時間の切替停止時間を制御することができ、さらに停止時間は現在の伝送速度及び切替先が高い伝送速度か低い伝送速度かによって変更することができ、この切替停止時間を適切な値に設定することにより、スループット品質、リソース効率化、制御負荷の３つの観点でシステム性能を最適化できるようになる。
【００３８】
具体的な設定例は以下の通りとなる。
【００３９】
（Ｉ）スループット品質、リソース効率化を最優先とする場合は、全ての伝送速度における高速側への速度切替後の切替停止時間、低速側への速度切替後の切替停止時間を最短にする。但し、この場合、制御負荷は最大になる。
【００４０】
（ＩＩ）スループット品質を最優先し、リソース効率化と制御負荷抑制のバランスを取る場合は、高速側への速度切替後の切替停止時間は全ての伝送速度において最短に設定して、より高い伝送速度への切替は情報量に応じてすみやかに行われるようにし、一方、低速側への速度切替後の切替停止時間については、現在速度が高い伝送速度の場合には最短にして早めにリソースを開放させ、中間の伝送速度では長めに設定することにより、低い伝送速度と中間の伝送速度との間の切替の制御負荷を抑えることが可能になる。
【００４１】
（ＩＩＩ）また、移動局１０２間のリソースのシェアリングを優先する場合は、高速側への速度切替後の切替停止時間を伝送速度が高くなるに応じて長めに設定することで、低〜中間の伝送速度でリソースをシェアする効果が期待できる。
【００４２】
なお、上記（Ｉ）〜（ＩＩＩ）のいずれの場合も、リソース残量が少なくなり、切替要求が多発する場合には全て長めに設定することで、制御負荷を抑えることが可能である。
【００４３】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、移動局毎に送受信される情報量に応じて伝送速度を切替え、いずれかの移動局に対する伝送速度の切替後には、一定時間の間、当該移動局に対する次の伝送速度の切替制御を停止することにより、スループット品質、リソース効率化、制御負荷の３つの観点でシステム性能の最適化が図れる。特に、現在の伝送速度及び切替先が高い伝送速度か低い伝送速度かによって切替停止時間を変更することによって、また、リソース残量に応じて切替停止時間を変更することによって、スループット品質、リソース効率化、制御負荷の３つの観点でシステム性能の最適化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の１つの実施の形態の移動通信システムのブロック図。
【図２】上記の実施の形態の移動通信システムにおいて、無線基地局及び制御局のいずれか又は両方が分担して備える速度切替制御機能のブロック図。
【図３】上記の実施の形態の移動通信システムにおいて、切替停止時間管理部が管理する切替停止時間管理テーブルの説明図。
【図４】上記の実施の形態の移動通信システムによる伝送速度切替制御のシーケンス図。
【符号の説明】
１００ セル
１０１ 無線基地局
１０２ 移動局
１０３ 無線チャネル
１０４ 制御局
１０５ 交換局
２０１ 送受信処理部
２０２ 無線チャネル制御部
２０３ 通信信号処理部
２０４ 信号量測定部
２０５ 伝送速度切替制御部
２０６ 切替停止時間管理部
２０７ リソース測定部
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の移動局で同一のリソースを共有し、移動局毎に送受信される情報量に応じて通信中の伝送速度を切替える移動通信システムにおける伝送速度切替制御方法、移動通信システム及び移動通信制御装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、第３世代の移動通信システムであるＣＤＭＡ（Ｃｏｄｅ Ｄｉｖｉｓｉｏｎ Ｍｕｌｔｉｐｌｅ Ａｃｃｅｓｓ：符号分割多元接続）方式を採用したＦＯＭＡ（商品名）システムにおける伝送速度切替制御技術が知られている。
【０００３】
この従来の移動通信システムは、最大伝送速度３８４ｋｂｐｓのパケット通信サービスを提供している。しかし、最大伝送速度を実現するには多くのリソースを消費するため、同時に３８４ｋｂｐｓの伝送速度で通信可能な移動局数には上限がある。ここで、リソースとは、ＣＤＭＡ方式に固有な送信電力リソースとスクランブルコードリソースとのことであり、いずれも高い伝送速度では多くのリソースを割り当てる必要があるため、同時に３８４ｋｂｐｓの伝送速度で通信可能な移動局数には上限がかかるのである。
【０００４】
そこで、従来の移動通信システムにおいては、限られたリソースを移動局間で効率的にシェアする方法として、伝送速度が高く、多くのリソースを必要とする通信には、リソースの残量に応じて使用する伝送速度を下げて割当を行うことにより、伝送速度の高い少数の移動局によるリソースが占有され、呼損率が増加する事象が発生するのを防いでいる。
【０００５】
また、従来の移動通信システムにおいては、送受信される情報量に応じて伝送速度を切替えることにより、送信バッファに一定量以上の信号が溜まった場合に高い伝送速度に切替え、逆に伝送量が一定量以下になった場合に低い伝送速度に切替えることによって常に必要なリソースのみを割り当てる制御を行い、リソースの効率的利用を実現している。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の移動通信システムでは、送受信される情報量の変動が大きい場合は、その変動に応じて伝送速度を上下する伝送速度切替制御を行うため、移動局及び制御局ともに切替制御負荷を増大させる恐れがあった。
【０００７】
さらに、リソース残量が少ない状況においては、高い伝送速度への切替要求を受けた場合に使用する伝送速度を下げて割当を行うため、その後に高い伝送速度への切替要求が連続して発生する可能性があり、制御負荷を増大させる恐れがあった。
【０００８】
このような問題点に対する対策として、伝送速度の切替を行った後、次の切替制御を一律に一定時間だけ停止する方法が考えられる。しかしながら、このような技術を採用した場合には、高い伝送速度への切替が遅れることによるスループットの低下や、高い伝送速度から低い伝送速度への切替が延びることによってリソースの使用効率が低下し、他の高い伝送速度を要求している移動局に割り当てることができなくなるといった問題が発生することが予想される。
【０００９】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、ある移動局に対する伝送速度切替後一定時間の間は、当該移動局に対する次の伝送速度の切替制御を停止することにより、制御負荷を抑制しつつ、リソースの使用効率の低下を防ぎ、他の高い伝送速度を要求している移動局に高い伝送速度への切替を円滑に行わせることができる移動通信システムにおける伝送速度切替制御技術を提供することを目的とする。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
請求項１の発明は、複数の移動局で同一のリソースを共有し、移動局毎に送受信される情報量に応じて伝送速度を切替える移動通信システムにおける伝送速度切替制御方法であって、移動局毎に送受信される情報量に応じて伝送速度を切替えるステップと、いずれかの移動局に対する伝送速度の切替後一定時間の間、当該移動局に対する次の伝送速度の切替制御を停止するステップとを有することを特徴とする。
【００１１】
請求項１の発明の移動通信システムにおける伝送速度制御方法では、移動局毎に送受信される情報量に応じて伝送速度を切替え、いずれかの移動局に対する伝送速度の切替後には、一定時間の間、当該移動局に対する次の伝送速度の切替制御を停止することにより、スループット品質、リソース効率化、制御負荷の３つの観点でシステム性能の最適化を図る。
【００１２】
請求項２の発明は、請求項１の移動通信システムにおける伝送速度切替制御方法において、前記一定時間は、現在の伝送速度毎及び次の伝送速度毎に設定することを特徴とし、現在の伝送速度及び切替先が高い伝送速度か低い伝送速度かによって切替停止時間を変更することによって、スループット品質、リソース効率化、制御負荷の３つの観点でシステム性能の最適化を図る。
【００１３】
請求項３の発明は、請求項１又は２の移動通信システムにおける伝送速度切替制御方法において、前記一定時間は、リソース残量に応じて設定することを特徴とし、リソース残量に応じて切替停止時間を変更することによって、スループット品質、リソース効率化、制御負荷の３つの観点でシステム性能の最適化を図る。
【００１４】
請求項４の発明は、複数の移動局で同一のリソースを共有し、移動局毎に送受信される情報量に応じて伝送速度を切替える移動通信システムであって、移動局毎に送受信される情報量に応じて伝送速度を切替える伝送速度切替制御手段と、いずれかの移動局に対する伝送速度の切替後一定時間の間、当該移動局に対する次の伝送速度の切替制御を停止する切替制御停止手段とを備えたものである。
【００１５】
請求項４の発明の移動通信システムでは、伝送速度切替制御手段が移動局毎に送受信される情報量に応じて伝送速度を切替え、切替制御停止手段がいずれかの移動局に対する伝送速度の切替後には、一定時間の間、当該移動局に対する次の伝送速度の切替制御を停止することにより、スループット品質、リソース効率化、制御負荷の３つの観点でシステム性能の最適化を図る。
【００１６】
請求項５の発明は、請求項４の移動通信システムにおいて、前記伝送速度切替制御手段は、前記一定時間を現在の伝送速度毎及び次の伝送速度毎に設定することを特徴とするものであり、現在の伝送速度及び切替先が高い伝送速度か低い伝送速度かによって切替停止時間を変更することによって、スループット品質、リソース効率化、制御負荷の３つの観点でシステム性能の最適化を図る。
【００１７】
請求項６の発明は、請求項５又は６の移動通信システムにおいて、前記伝送速度切替制御手段は、前記一定時間をリソース残量に応じて設定することを特徴とするものであり、リソース残量に応じて切替停止時間を変更することによって、スループット品質、リソース効率化、制御負荷の３つの観点でシステム性能の最適化を図る。
【００１８】
請求項７の発明は、複数の移動局で同一のリソースを共有し、移動局毎に送受信される情報量に応じて伝送速度を切替える制御をする移動通信制御装置であって、移動局毎に送受信される情報量に応じて伝送速度を切替える伝送速度切替制御手段と、いずれかの移動局に対する伝送速度の切替後一定時間の間、当該移動局に対する次の伝送速度の切替制御を停止する切替制御停止手段とを備えたものである。
【００１９】
請求項７の発明の移動通信制御装置では、伝送速度切替制御手段が移動局毎に送受信される情報量に応じて伝送速度を切替え、切替制御停止手段がいずれかの移動局に対する伝送速度の切替後には、一定時間の間、当該移動局に対する次の伝送速度の切替制御を停止することにより、スループット品質、リソース効率化、制御負荷の３つの観点でシステム性能の最適化を図る。
【００２０】
請求項８の発明は、請求項７の移動通信制御装置において、前記伝送速度切替制御手段は、前記一定時間を現在の伝送速度毎及び次の伝送速度毎に設定することを特徴とするものであり、現在の伝送速度及び切替先が高い伝送速度か低い伝送速度かによって切替停止時間を変更することによって、スループット品質、リソース効率化、制御負荷の３つの観点でシステム性能の最適化を図る。
【００２１】
請求項９の発明は、請求項７又は８の移動通信制御装置において、前記伝送速度切替制御手段は、前記一定時間をリソース残量に応じて設定することを特徴とするものであり、リソース残量に応じて切替停止時間を変更することによって、スループット品質、リソース効率化、制御負荷の３つの観点でシステム性能の最適化を図る。
【００２２】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。図１に本発明の１つの実施の形態の移動通信システムの構成を示している。１０１は無線基地局であり、当該無線基地局がカバーする無線ゾーン（セル）１００に在圏する複数の移動局１０２それぞれと通信を行う。１０３は無線基地局１０１と移動局１０２と間で設定される無線チャネル、１０４は無線基地局１０１と接続され無線基地局１０１や移動局１０２を制御する制御局、１０５は制御局１０４と接続される交換局である。
【００２３】
無線チャネル１０３は移動局１０２毎に設定され、通信中に伝送速度を切替えることが可能で、無線チャネルを設定するための無線リソースは複数の移動局１０２間で共有される。
【００２４】
図２に無線基地局１０１と制御局１０４の機能構成を示してある。送受信処理部２０１を除いては、無線基地局１０１と制御局１０４とのどちらに備えても同様である。図中の実線矢印は通信信号の流れを示し、破線矢印は各処理部の制御に必要な情報の流れを示す。
【００２５】
送受信処理部２０１は各無線チャネル１０３の多重分離やＣＤＭＡ方式のベースバンド処理及び変復調処理を行う。無線チャネル制御部２０２は、移動局１０２と無線基地局１０１と間の無線チャネル１０３の設定制御を行う。通信信号処理部２０３は、制御局１０４経由で交換局１０５と送受信される音声やパケットデータなどの通信信号の無線チャネル１０３ヘの中継処理、通信信号の送信バッファリング処理を行う。
【００２６】
信号量測定部２０４は、通信信号処理部２０３によって送受信される情報量や送信バッファに格納される情報量から信号量を測定し、規定値を超えた場合は伝送速度切替制御部２０５に対して高い伝送速度または低い伝送速度への切替を要求する働きをする。但し、伝送速度切替制御部２０５から切替要求停止を指示された場合は、高い伝送速度、低い伝送速度毎の切替停止時間に合わせて、それぞれの切替要求を停止する。
【００２７】
伝送速度切替制御部２０５は、信号量測定部２０４からの切替要求に応じて無線チャネル１０３の伝送速度を切替える処理と、伝送速度切替後、切替要求停止を信号量測定部２０４に対して指示する処理を行う。
【００２８】
切替停止時間管理部２０６は、高い伝送速度に切替える場合の切替停止時間と低い伝送速度に切替える場合の切替停止時間とを、それぞれ伝送速度毎、リソース測定部２０７の情報毎に応じて管理する。リソース測定部２０７は、該当セル１００で使用している無線リソース量を管理し、切替停止時間管理部２０６に通知する。
【００２９】
図３の表には、切替停止時間管理部２０６が管理する切替停止時間管理テーブル２１０の設定例が示してある。この切替停止時間管理テーブル２１０には、現在の伝送速度の高速／中速／低速、かつ、リソース残量が大／小に応じて停止時間の値が設定されている。伝送切替制御部２０５は、このテーブル値を参照し、信号量測定部２０４に切替要求停止を指示する。
【００３０】
次に、上記構成の移動通信システムによる伝送速度切替制御動作を、図４のシーケンス図を用いて説明する。
【００３１】
＜シーケンスＱ１，Ｑ２＞信号量測定部２０４は、伝送速度切替条件を満たした場合、伝送速度切替制御部２０５に対して切替要求を出す。
【００３２】
＜シーケンスＱ３，Ｑ４＞伝送速度切替制御部２０５は、リソース測定部２０７にリソース残量を問い合せた後、伝送速度切替制御を行う。この伝送速度切替制御では、リソース残量が少ない場合には、伝送速度を減少させる制御を行う。
【００３３】
＜シーケンスＱ５，Ｑ６＞伝送速度切替制御部２０５は、伝送速度を切替えた後に、切替停止時間管理テーブル２１０を参照して該当伝送速度の高い伝送速度への切替停止時間、低い伝送速度への切替停止時間を決定して信号量測定部２０４に通知する。
【００３４】
＜シーケンスＱ７，Ｑ８＞信号量測定部２０４は、該当する時間の間は切替要求を停止する。図４では、低い伝送速度への停止時間が、高い伝送速度への停止時間より長い例を示している。
【００３５】
例えば、（１）現在の伝送速度が高速、リソース残量が小の状況で、伝送速度を中速に低下させる速度切替制御をした場合には、切替停止時間は３秒間であり、（２）現在の伝送速度が中速、リソース残量が小の状況で、伝送速度を低速に低下させる速度切替制御をした場合には、切替停止時間は１５秒間に決定するのである。
【００３６】
また、上記の例とは別に、例えば、（３）現在速度が中速、リソース残量が大の状況で、伝送速度を高速に上昇させる速度切替制御をした場合には、切替停止時間は１秒間に決定し、（４）現在速度が高速、リソース残量が大の状況で、伝送速度を中速に低下させる速度切替制御をした場合には、切替停止時間は５秒間に決定するのである。
【００３７】
以上の伝送速度切替制御方法を採用することにより、本実施の形態の移動通信システムでは、無線基地局１０１は伝送速度切替直後に、次の伝送速度切替制御をリソース残量に応じて一定時間の切替停止時間を制御することができ、さらに停止時間は現在の伝送速度及び切替先が高い伝送速度か低い伝送速度かによって変更することができ、この切替停止時間を適切な値に設定することにより、スループット品質、リソース効率化、制御負荷の３つの観点でシステム性能を最適化できるようになる。
【００３８】
具体的な設定例は以下の通りとなる。
【００３９】
（Ｉ）スループット品質、リソース効率化を最優先とする場合は、全ての伝送速度における高速側への速度切替後の切替停止時間、低速側への速度切替後の切替停止時間を最短にする。但し、この場合、制御負荷は最大になる。
【００４０】
（ＩＩ）スループット品質を最優先し、リソース効率化と制御負荷抑制のバランスを取る場合は、高速側への速度切替後の切替停止時間は全ての伝送速度において最短に設定して、より高い伝送速度への切替は情報量に応じてすみやかに行われるようにし、一方、低速側への速度切替後の切替停止時間については、現在速度が高い伝送速度の場合には最短にして早めにリソースを開放させ、中間の伝送速度では長めに設定することにより、低い伝送速度と中間の伝送速度との間の切替の制御負荷を抑えることが可能になる。
【００４１】
（ＩＩＩ）また、移動局１０２間のリソースのシェアリングを優先する場合は、高速側への速度切替後の切替停止時間を伝送速度が高くなるに応じて長めに設定することで、低〜中間の伝送速度でリソースをシェアする効果が期待できる。
【００４２】
なお、上記（Ｉ）〜（ＩＩＩ）のいずれの場合も、リソース残量が少なくなり、切替要求が多発する場合には全て長めに設定することで、制御負荷を抑えることが可能である。
【００４３】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、移動局毎に送受信される情報量に応じて伝送速度を切替え、いずれかの移動局に対する伝送速度の切替後には、一定時間の間、当該移動局に対する次の伝送速度の切替制御を停止することにより、スループット品質、リソース効率化、制御負荷の３つの観点でシステム性能の最適化が図れる。特に、現在の伝送速度及び切替先が高い伝送速度か低い伝送速度かによって切替停止時間を変更することによって、また、リソース残量に応じて切替停止時間を変更することによって、スループット品質、リソース効率化、制御負荷の３つの観点でシステム性能の最適化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の１つの実施の形態の移動通信システムのブロック図。
【図２】上記の実施の形態の移動通信システムにおいて、無線基地局及び制御局のいずれか又は両方が分担して備える速度切替制御機能のブロック図。
【図３】上記の実施の形態の移動通信システムにおいて、切替停止時間管理部が管理する切替停止時間管理テーブルの説明図。
【図４】上記の実施の形態の移動通信システムによる伝送速度切替制御のシーケンス図。
【符号の説明】
１００ セル
１０１ 無線基地局
１０２ 移動局
１０３ 無線チャネル
１０４ 制御局
１０５ 交換局
２０１ 送受信処理部
２０２ 無線チャネル制御部
２０３ 通信信号処理部
２０４ 信号量測定部
２０５ 伝送速度切替制御部
２０６ 切替停止時間管理部
２０７ リソース測定部
Claims (9)
- 複数の移動局で同一のリソースを共有し、移動局毎に送受信される情報量に応じて伝送速度を切替える移動通信システムにおける伝送速度切替制御方法であって、
移動局毎に送受信される情報量に応じて伝送速度を切替えるステップと、
いずれかの移動局に対する伝送速度の切替後一定時間の間、当該移動局に対する次の伝送速度の切替制御を停止するステップとを有することを特徴とする移動通信システムにおける伝送速度切替制御方法。 - 前記一定時間は、現在の伝送速度毎及び次の伝送速度毎に設定することを特徴とする請求項１記載の移動通信システムにおける伝送速度切替制御方法。
- 前記一定時間は、リソース残量に応じて設定することを特徴とする請求項１又は２記載の移動通信システムにおける伝送速度切替制御方法。
- 複数の移動局で同一のリソースを共有し、移動局毎に送受信される情報量に応じて伝送速度を切替える移動通信システムであって、
移動局毎に送受信される情報量に応じて伝送速度を切替える伝送速度切替制御手段と、
いずれかの移動局に対する伝送速度の切替後一定時間の間、当該移動局に対する次の伝送速度の切替制御を停止する切替制御停止手段とを備えて成る移動通信システム。 - 前記伝送速度切替制御手段は、前記一定時間を現在の伝送速度毎及び次の伝送速度毎に設定することを特徴とする請求項４記載の移動通信システム。
- 前記伝送速度切替制御手段は、前記一定時間をリソース残量に応じて設定することを特徴とする請求項４又は５記載の移動通信システム。
- 複数の移動局で同一のリソースを共有し、移動局毎に送受信される情報量に応じて伝送速度を切替える制御をする移動通信制御装置であって、
移動局毎に送受信される情報量に応じて伝送速度を切替える伝送速度切替制御手段と、
いずれかの移動局に対する伝送速度の切替後一定時間の間、当該移動局に対する次の伝送速度の切替制御を停止する切替制御停止手段とを備えて成る移動通信制御装置。 - 前記伝送速度切替制御手段は、前記一定時間を現在の伝送速度毎及び次の伝送速度毎に設定することを特徴とする請求項７記載の移動通信制御装置。
- 前記伝送速度切替制御手段は、前記一定時間をリソース残量に応じて設定することを特徴とする請求項７又は８記載の移動通信制御装置。
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