JP2004030867A - 記録媒体、再生装置、再生方法、記録媒体製造装置及び記録媒体製造方法 - Google Patents

記録媒体、再生装置、再生方法、記録媒体製造装置及び記録媒体製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】記録媒体において、記録されたデータの他の記録媒体への複写を困難とする記録媒体を提供する。
【解決手段】記録層のビットの一部に段状に形成された段状部に、記録層と異なる位置に合焦されるレーザ光を照射した反射光により基本データに対する付加情報が読み出される。再生情報は、付加情報を係数とした演算処理をなされ、記録媒体1に記録されている基本情報に対して高品質な情報となっているため、基本情報よりも情報量が多く、このままの状態で他の記録媒体に記録しようとすると、多数の記録媒体2が必要となる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、映像信号や音楽信号等の種々の情報信号を記録しておくための記録媒体並びにその再生装置、再生方法、記録媒体製造装置及び記録媒体製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、映像信号や音楽信号、あるいは、コンピュータプログラム等の種々の情報信号を記録しておく記録媒体が提案されている。このような記録媒体は、いわゆる磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいは半導体装置(半導体記憶素子)等として構成されて使用されている。また、このような記録媒体に記録される情報信号としては、デジタルデータ及びアナログデータのいずれも用いられている。
【0003】
例えば、デジタルデータを記録した光ディスクは、透明材料からなるディスク基板上に、デジタルデータである情報信号に対応した微細な凹凸、すなわち、ピットを形成し、このピット上に反射膜を形成して構成されている。この光ディスクにおいては、ディスク基板を透して、ピットに光束を照射し、このピットからの反射光束を検出することによって、このピットによって記録された情報信号の再生を行うことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のような光ディスク等の記録媒体においては、記録されている情報信号をそのままの形態で、すなわち、デジタルデータのままで、他の記録媒体に複写することは容易に行える。例えば、元の光ディスクにピットを形成するための方法、装置を用いれば、この元の光ディスクより再生したデジタルデータに基づいて、他の光ディスクに、元の光ディスクのピットと同一のピットを形成することができる。また、光ディスクより再生したデジタルデータを、光磁気ディスク等、他の方式の記録媒体に記録することもできる。
【0005】
このようにして複写されたデジタルデータは、アナログデータを複製する場合と異なり、このデータから復調された映像や音声の質や、又は、このデータに基づくコンピュータの動作において、複写元のデジタルデータを使用する場合に対する劣化がない。すなわち、複写されたデジタルデータは、複写元のデジタルデータと同一の価値、品質を有するデータであるといえる。
【0006】
このように、価値、品質の低下を生ずることなくデータの複写ができるとすると、複写元となるデジタルデータに係る著作権の保護が十分に図られない事態が招来される虞がある。
【0007】
すなわち、正規にデジタルデータが記録されて正規に販売される記録媒体の価格には、記録されたデジタルデータの使用料としてのいわゆる著作権料が含まれている。この使用料がデジタルデータの著作権者に支払われることにより、著作権の保護が図られる。ところが、著作権者に無断で複写されたデジタルデータが複写元のデジタルデータと同一の価値、品質を有するならば、このデジタルデータを使用しようとする人は、あえて価格に使用料が含まれている正規の記録媒体を購入せずに、複写されたデジタルデータが記録されたより低価格な記録媒体を使用するようになってしまう。そうすると、このデジタルデータに係る著作権者には、このデジタルデータを実際に保有している人の人数や使用された回数に見合った著作権料が支払われなくなってしまう。
【0008】
近年、このようなデジタルデータの複写から著作権者を保護するため、データが容易に複写されないようにした記録媒体の提案が望まれている。
【0009】
そこで、本発明は、上述の実情に鑑みて提案されるものであって、記録されたデータの複写が困難となされた記録媒体並びにその再生装置、再生方法、記録媒体製造装置及び記録媒体製造方法を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するため、本発明に係る記録媒体は、基本データがピットによって記録されている記録層と、上記記録層のピットの一部に段状に形成された段状部とを備え、上記段状部からは、上記記録層とは異なる位置に合焦されるレーザ光を照射しこのレーザ光の反射光により上記基本データに対する付加情報となる付加データが読み出され、上記基本データ及び上記付加データに基づいて所定の処理によって生成される再生情報が、該基本データから生成される基本情報に対してより高品質な情報となることを特徴とするものである。
【0011】
この記録媒体においては、再生情報は、基本情報に対して高品質な情報となっているため、基本情報よりも情報量が多く、このままの状態で記録媒体に記録しようとすると、大量の記録媒体が必要となる。
【0012】
そして、本発明に係る再生装置は、基本データがピットによって記録されている記録層とこの記録層のピットの一部に段状に形成された段状部とを有し上記記録層とは異なる位置に合焦されるレーザ光を照射しこのレーザ光の反射光により上記段状部から上記基本データに対する付加情報となる付加データが読み出され上記基本データ及び上記付加データに基づいて所定の処理によって生成される再生情報が該基本データから生成される基本情報に対してより高品質な情報となる記録媒体が装着され、上記記録媒体に対してレーザ光を照射する照射手段と、上記照射手段により照射されたレーザ光の上記記録媒体からの反射光を検出する検出手段と、上記検出手段による反射光の検出結果に基づいて、上記照射手段から照射されるレーザ光を上記記録媒体の記録層上に集光させる第1のモードと該レーザ光を上記記録媒体の記録層とは異なる位置に集光させる第2のモードとを切り換えるフォーカス制御手段と、上記検出手段による反射光の検出結果に基づいて上記照射手段から照射されるレーザ光の照射位置を上記記録媒体の記録トラック上とするトラッキング制御を行うトラッキング制御手段と、上記フォーカス制御手段が上記第1のモードを選択しているときに上記検出手段による上記反射光の検出結果に基づいて上記基本データから基本情報を復号する第1の復号手段と、上記フォーカス制御手段が上記第2のモードを選択しているときに上記検出手段による上記反射光の検出結果に基づいて上記付加データから上記付加情報を復号する第2の復号手段と、上記第1及び第2の復号手段により復号された基本情報及び付加情報に基づいて上記再生情報を生成する再生手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0013】
この再生装置においては、再生情報は、基本情報に対して高品質な情報となっているため、基本情報よりも情報量が多く、このままの状態で記録媒体に記録しようとすると、大量の記録媒体が必要となる。
【0014】
また、本発明に係る再生方法は、基本データがピットによって記録されている記録層とこの記録層のピットの一部に段状に形成された段状部とを有し上記記録層とは異なる位置に合焦されるレーザ光を照射しこのレーザ光の反射光により上記段状部から上記基本データに対する付加情報となる付加データが読み出され上記基本データ及び上記付加データに基づいて所定の処理によって生成される再生情報が該基本データから生成される基本情報に対してより高品質な情報となる記録媒体から情報を再生する方法であって、上記記録媒体に対してレーザ光を照射し、上記レーザ光の上記記録媒体からの反射光を検出し、上記反射光の検出結果に基づいて上記レーザ光を上記記録媒体の記録層上に集光させる第1のモードと該レーザ光を上記記録媒体の記録層とは異なる位置に集光させる第2のモードとを切り換え、上記第1のモードを選択しているときに上記反射光の検出結果に基づいて上記基本データから基本情報を復号し、上記第2のモードを選択しているときに上記反射光の検出結果に基づいて上記付加データから上記付加情報を復号することを特徴とするものである。
【0015】
この再生方法においては、再生情報は、基本情報に対して高品質な情報となっているため、基本情報よりも情報量が多く、このままの状態で記録媒体に記録しようとすると、大量の記録媒体が必要となる。
【0016】
そして、本発明に係る記録媒体製造装置は、基本情報を符号化して基本データを出力するとともに該基本データに対する付加情報を符号化して付加データを出力する符号化手段と、上記基本データを記録媒体の記録層にピットによって記録する場合の該ピットの形状を演算するとともに該記録層に形成される段状部によって上記付加データを記録する場合の該段状部の形状を演算しこれら演算結果に基づいて該ピット及び段状部が形成された記録層に対して該記録層とは異なる位置に合焦するレーザ光束を照射した場合の反射光束を演算する反射光演算部と、上記反射光演算部により演算された反射光束から読み出されるデータと上記付加データとを比較する比較手段と、上記比較手段による比較結果に基づいて上記付加データを制御して上記段差部の形状を修正し上記反射光演算部により演算される反射光束から読み出されるデータと上記付加データとを一致させる付加データ制御手段と、上記基本データと上記付加データ制御手段により制御された付加データとを合成して合成データを生成する合成データ生成手段と、上記合成データ生成手段により生成された合成データに基づいてマスタディスクの記録層に上記ピット及び上記段状部を形成する記録手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0017】
この記録媒体製造装置によって製造された記録媒体を再生すると、再生情報は、基本情報に対して高品質な情報となっているため、基本情報よりも情報量が多く、このままの状態で記録媒体に記録しようとすると、大量の記録媒体が必要となる。
【0018】
また、本発明に係る記録媒体製造方法は、基本情報を符号化して基本データを得るとともに該基本データに対する付加情報を符号化して付加データを得、上記基本データを記録媒体の記録層にピットによって記録する場合の該ピットの形状を演算するとともに該記録層に形成される段状部によって上記付加データを記録する場合の該段状部の形状を演算し、これら演算結果に基づいて該ピット及び段状部が形成された記録層に対して該記録層とは異なる位置に合焦するレーザ光束を照射した場合の反射光束を演算し、上記演算された反射光束から読み出されるデータと上記付加データとを比較し、上記比較結果に基づいて上記付加データを制御して上記段差部の形状を修正し、上記反射光演算部により演算される反射光束から読み出されるデータと上記付加データとを一致させ、上記基本データと上記制御された付加データとを合成して合成データを生成し、上記生成した合成データに基づいてマスタディスクの記録層に上記ピット及び上記段状部を形成することを特徴とするものである。
【0019】
この記録媒体製造方法によって製造された記録媒体を再生すると、再生情報は、基本情報に対して高品質な情報となっているため、基本情報よりも情報量が多く、このままの状態で記録媒体に記録しようとすると、大量の記録媒体が必要となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0021】
〔記録媒体の概要〕
本発明における記録媒体は、基本データが記録される第1の記録部と、第1の記録部に記録される基本データに対する付加情報となる付加データが記録される第2の記録部とを有して構成される。そして、この記録媒体においては、第1の記録部から読み出された基本データ及び第2の記録部から読み出された付加データに基づいて、所定の処理を行うことにより、再生情報を生成することができる。
【0022】
この再生情報は、第1の記録部に記録された基本データのみから生成される基本情報に対して、より高品質な情報となっている。したがって、再生情報は、基本情報よりも情報量の多い情報となる。また、この再生情報は、この再生情報の生成のために使用された基本情報と付加情報とを合わせた情報量よりも多い情報量となる。そのため、図1及び図2に示すように、1つの記録媒体1を再生することにより再生情報を生成し(図2中のステップst101)、この生成された再生情報をデータとして記録する場合には、元の記録媒体の個数よりも多数の記録媒体が必要となる(図2中のステップst102)。
【0023】
そして、この記録媒体においては、基本データと付加データとが、所定の関係となされて所定の記録方式によって記録されている場合にのみ、それぞれを「所定の処理」が可能な状態で読み出すことができる。
【0024】
すなわち、この記録媒体1からは、図1に示すように、基本データ(コピー可能データ)と付加データ(意味のないデータ)αが再生可能であり、基本データのみは、元の記録媒体1と略々同一の記録容量の記録媒体3への複写が可能である。しかし、この基本データのみから再生される基本情報は、付加データをも用いて生成される再生情報に比較して品質の劣る情報である。また、この記録媒体において、付加データのみも、元の記録媒体と略々同一の記録容量の記録媒体4への複写が可能である。しかし、この付加データのみでは、意味のある情報を再生することができない。
【0025】
したがって、基本データ及び付加データに基づいて再生情報を生成するための「所定の処理」の内容を、非公開で、かつ、解析が困難であるものとしておけば、この記録媒体1に記録されている情報について、完全な形で他の記録媒体へ複写することを極めて困難とすることができる。また、上述のように、記録媒体1の再生によって得られた再生情報をデータとして記録することは、多数の記録媒体2が必要となるので、煩雑、かつ、不便である。
【0026】
このように、記録している情報の他の記録媒体への複写を困難とすることにより、いわゆる「違法コピー」のなされない記録媒体を提供することができる(図2中のステップst103)。
【0027】
この記録媒体における基本情報としては、例えば、映像情報や、音声情報、コンピュータプログラム等とすることができる。そして、付加情報は、基本データに基づいて再生される映像情報、音声情報等の品質、すなわち、例えば画質又は音質等を向上させるための情報である。この付加情報は、後述する「クラス分類適応処理」により生成されて信号処理に用いる係数データや、あるいは、この係数データの生成に用いる係数種データとすることができる。この「クラス分類適応処理」は、後述するプロセッシング部のような回路によって行うことができる。この「クラス分類適応処理」においては、付加情報は、映像データ等である基本データに関する演算を行うための、予め設定された係数情報と考えることができる。
【0028】
また、再生情報と基本情報との差、つまり高品質の内容としては、基本情報が映像情報である場合において、空間的解像度が高いことや、種々の付加的情報が付加されていることなどとすることができる。
【0029】
なお、本発明における記録媒体は、図3及び図4に示すように、基本データ及び付加データは、いわゆるインターネットの如き公衆通信回線を利用した情報網5から取得(ダウンロード)されたものが記録されることとしてもよい(図4中のステップst104)。この場合においても、記録媒体1には、基本データと付加データとは、その後「所定の処理」が可能な状態で読み出すことができる(図4中のステップst105)ように、所定の関係となされて所定の記録方式によって記録される。
【0030】
すなわち、図3に示すように、基本データ(コピー可能データ)と付加データ(tan特では意味のないデータα)を記録媒体のアーキテクチャで記録して始めて再生可能なディスクアーキテクチャとなっており、いわゆる「違法コピー」を行おうした場合、記録媒体の解析及び製造に多大な手間と時間を要することになる。
【0031】
本発明に係る記録媒体は、このように、いわゆる「違法コピー」がなされないことにより、正規に販売される記録媒体に対するユーザの購買意欲の増進を図ることができる(図2中のステップst106)。
【0032】
これら本発明における記録媒体の特徴は、以下に述べる本発明の各実施の形態において共通する特徴である。
【0033】
〔ディスク状記録媒体〕
そして、本発明における記録媒体は、ディスク状記録媒体やカード状記録媒体のような平板状の記録媒体として構成することができる。また、この平板状の記録媒体は、光学ピックアップ装置によって記録されたデータの読み出しがなされる、いわゆる光ディスクであるディスク状記録媒体として構成できる。
【0034】
このディスク状記録媒体は、第1の記録部と第2の記録部とを有している。第1の記録部には、基本データが記録される。第2の記録部には、基本データに対する付加情報となる付加データが記録される。
【0035】
第1の記録部は、光学ピックアップ装置によって光束が照射されたときに、この光束の性質、例えば、光量や偏光方向等を、記録された基本データに応じて変化させて反射する領域となっている。第2の記録部は、光学ピックアップ装置によって光束が照射されたときに、この光束の性質、例えば、光量や偏光方向等を、記録された付加データに応じて変化させて反射する領域となっている。この第2の記録部における付加データは、第1の記録部と同様の記録構造によって記録されることとしてもよいし、第1の記録部と異なる記録構造によって記録されることとしてもよい。
【0036】
なお、以下の説明においては、本発明における記録媒体をディスク状記録媒体として構成したものについて述べているが、この記録媒体は、ディスク状記録媒体に限定されず、種々の形状の記録媒体として構成することができる。
【0037】
〔ディスク状記録媒体の第1の実施の形態〕
この実施の形態においては、本発明におけるディスク状記録媒体を、1層の記録層を有する光ディスクとして構成している。すなわち、図5に示すように、光ディスクとして構成したディスク状記録媒体1は、基本データがピット6によって記録されている記録層を有している。この基本データは、デジタルデータとして記録されており、上述のように、復調することによって映像情報のような基本情報となるものである。ピット6は、所定の高さを有する微細な凹凸列であり、光学ピックアップ装置により集光されたレーザ光束Lが照射されると、このレーザ光束Lを散乱させるので、光学ピックアップ装置においてディスク状記録媒体1よりの反射光を検出することにより、信号の有無が検出される。ピット6の高さは、光学ピックアップ装置により照射されるレーザ光束Lの波長の1/4となっている。
【0038】
そして、この光ディスクとして構成したディスク状記録媒体1において、記録層のピット6の一部には、付加データを記録するための、段状に形成された段状部7が形成されている。この段状部7は、ピット6に重なって形成されており、ピット6よりも低い高さとなっている。段状部7は、ピット6に記録されたデータを読み出す際に、支障を来さない程度の高さである。この付加データは、デジタルデータであってもアナログデータであってもよい。この段状部7からは、記録層とは異なる位置に合焦されるレーザ光束、すなわち、ピット6により記録された基本データを読み取るときのレーザ光束の合焦位置とは異なる位置に合焦されたレーザ光束を照射して、このレーザ光束の反射光により、付加データが読み出される。
【0039】
なお、記録層とは異なる位置にレーザ光束を合焦させるには、後述する再生装置の光学ピックアップ装置25において、ディスク状記録媒体1からの反射光束に非点収差を生じさせこの非点収差の量及び方向をいわゆる4分割フォトセンサである光検出器16によって検出している場合において、この光検出器16からの出力に基づくフォーカスエラー信号が0ではない一定の値になるようにフォーカスサーボをかけることにより実行することができる。
【0040】
このようにして、この光ディスクとして構成したディスク状記録媒体ディスク状記録媒体1からは、光学ピックアップ装置25によって、基本データ及び付加データが読み出される。そして、これら基本データ及び付加データに基づいて、所定の信号処理を行うことにより、再生情報が生成される。この再生情報は、該基本データのみから生成される基本情報に対して、より高品質な情報となる。
【0041】
なお、基本データをデジタルデータとし、付加データをアナログデータとすることもできる。この場合には、空間方向或いは時間方向の付加データの値の変化を示した図7に示すように、アナログデータAを構成する信号の周波数がデジタルデータの周波数よりも高くなることが考えられるが、再生装置側の光学ピックアップ装置25において、このアナログデータの読み取りができるように、レーザ光束を集光させる対物レンズの開口数(NA)及びレーザ光束の波長が設定されていることを前提とする。
【0042】
なお、上述の段状部7は、ピットの一部ではなくピット以外のランド部(ピットのない部分)に形成して付加データを記録することも可能である。
【0043】
基本データの変調及び圧縮処理の方式としては、「EFM」、「CIRC」、「1→7変調」、「ビダビ符号」など、従来より提案されている種々のものを使用することができる。
【0044】
〔ディスク状記録媒体の第2の実施の形態〕
また、本発明に係るディスク状記録媒体1は、図6に示すように、同様の記録層8,9が積層されて構成されている、いわゆる2層ディスクとして構成することもできる。この場合、記録層は、少なくとも第1の記録層8及び第2の記録層9が互いに積層されて構成されることとなる。
【0045】
付加データを段状部によって記録する場合において、この段状部は、第1及び第2の記録層のそれぞれの各ピットの一部に形成される。このような段状部からは、第1の記録層8と第2の記録層9との間に合焦されるレーザ光束の反射光によって、付加データが読み出される。各記録層8,9の間にレーザ光束を合焦させるには、図6に示すように、後述する再生装置の光学ピックアップ装置25において、ディスク状記録媒体1からの反射光束に非点収差を生じさせればよい。この非点収差の量及び方向をいわゆる4分割フォトセンサである光検出器16によって検出し、付加データを読み出すことは、この光検出器16からの出力に基づくフォーカスエラー信号が0ではない一定の値になるようにフォーカスサーボをかけることにより実行することができる。この場合、図6に示すように、4分割センサの位置をずらすことにより、第1層8よりも第2層9に近づいたデフォーカス位置に制御することもできる。
【0046】
〔ディスク状記録媒体の第3の実施の形態〕
また、本発明において、ディスク状記録媒体は、図8に示すように、ディスク基板17上にピットによって基本データが記録された第1の記録層18と、この第1の記録層18に積層されて形成され、透過率の変化により付加データが記録された第2の記録層19とを有する2層ディスクとして構成してもよい。
【0047】
第1の記録層18においては、基本データに対応したピットが形成されることにより、このピットによって基本データが記録されている。そして、この第1の記録層18からは、光学ピックアップ装置により照射されたレーザ光束の反射光における光量の変化により、基本データが読み出される。
【0048】
第1の記録層18において、ピットが形成されている場合には、光学ピックアップ装置により照射されたレーザ光束の反射光の光量は、略々0となる。このときの基本データを、「0」(又は「1」)と定義する。そして、第1の記録層18において、ピットが形成されていない場合には、光学ピックアップ装置により照射されたレーザ光束の反射光の光量は、この反射光が第2の記録層19を略々100%透過する場合には、略々照射光の光量に等しくなる。このときの基本データを、「1」(又は「0」)と定義する。
【0049】
第2の記録層19からは、光学ピックアップ装置により照射されたレーザ光束が透過して第1の記録層18により反射され再びこの第2の記録層19を透過した反射光の光量の変化により、付加データが読み出される。
【0050】
すなわち、第1の記録層18にピットが形成されていない部分では、第2の記録層19の透過率に対応した付加データと、第1の記録層18にピットが形成されていない状態に対応した基本データ(「1」(又は「0」))とが検出される。そして、第1の記録層18にピットが形成されている部分では、第2の記録層19の透過率に拘わらず、反射光の光量は略々0となり、第1の記録層18にピットが形成されている状態に対応した基本データ(「0」(又は「1」))が検出される。
【0051】
第2の記録層19は、例えば、有機色素を含んで構成されたものであり、付加データに対応して、明部(透過率が高い部分)及び暗部(透過率が低い部分)が形成されている。この第2の記録層19は、第1の記録層18に記録されるデータが「1」又は「0」である1ビットのデータであるのに対し、透過率を多段階に設定することにより、多ビットのデータを記録することができる。また、記録データとしては、アナログデータが記録されることとしてもよい。
【0052】
また、この第2の記録層19は、レーザ光束を散乱させる結晶を含んだものとし、この結晶の結晶濃度によって、透過光の光量を変化させるものとしてもよい。
【0053】
このディスク状記録媒体1においても、後述する光学ピックアップ装置25によって、基本データ及び付加データが読み出される。これら基本データ及び付加データに基づいて、所定の信号処理を行うことにより、再生情報が生成される。この再生情報は、該基本データのみから生成される基本情報に対して、より高品質な情報となる。
【0054】
〔ディスク状記録媒体の第4の実施の形態〕
さらに、本発明のおけるディスク状記録媒体1は、図9に示すように、磁化方向の変化によって基本データが記録された第1の記録層20と、この第1の記録層20に積層されて形成され、透過率の変化により付加データが記録された第2の記録層19とを有する光磁気ディスクとして構成してもよい。
【0055】
第1の記録層20は、磁性体によって形成され、磁化方向の変化によって基本データが記録される、いわゆる光磁気記録層である。この第1の記録層20からは、光学ピックアップ装置により直線偏光のレーザ光束を照射し、このレーザ光束の反射光における偏光方向の変化を検出することより、基本データが読み出される。
【0056】
第2の記録層19は、第1の記録層に積層されて形成され、透過率の変化によって、基本データに対する付加情報となる付加データが記録される。この第2の記録層19からは、光学ピックアップ装置により直線偏光のレーザ光束を照射し、このレーザ光束が第2の記録層19を透過して第1の記録層20により反射され再び第2の記録層19を透過した反射光の光量の変化を検出することより、付加データが読み出される。この第2の記録層19は、例えば、有機色素を含んで構成されたものであり、付加データに対応して、明部(透過率が高い部分)及び暗部(透過率が低い部分)が形成されている。また、この第2の記録層19は、レーザ光束を散乱させる結晶を含んだものとし、この結晶の結晶濃度によって、透過光の光量を変化させるものとしてもよい。
【0057】
このようにして、光磁気ディスクとして構成したディスク状記録媒体1からは、後述する光学ピックアップ装置25によって、基本データ及び付加データが読み出される。そして、これら基本データ及び付加データに基づいて、所定の信号処理を行うことにより、再生情報が生成される。この再生情報は、該基本データのみから生成される基本情報に対して、より高品質な情報となる。
【0058】
〔ディスク状記録媒体の第5の実施の形態〕
また、本発明におけるディスク状記録媒体1は、図10に示すように、グルーブGVに挟まれたランド部分を記録トラックTRとし、ピット18Pによって基本データが記録された第1の記録層18と、この第1の記録層18に積層されて形成され、磁化方向の変化によって付加データが記録された第2の記録層21とを有する光磁気ディスクとして構成してもよい。
【0059】
第1の記録層18においては、基本データに対応したピット18Pが形成されることにより、このピット18Pによって基本データが記録されている。そして、この第1の記録層18からは、光学ピックアップ装置により照射されたレーザ光束の反射光における光量の変化により、基本データが読み出される。
【0060】
第2の記録層21は、磁性体によって形成され、磁化方向の変化によって付加データが記録される、いわゆる光磁気記録層である。この第2の記録層21からは、光学ピックアップ装置により直線偏光のレーザ光束を照射し、このレーザ光束の反射光における偏光方向の変化を検出することより、付加データが読み出される。
【0061】
第2の記録層21においては、付加データは、記録トラックTR上、すなわち、第1の記録層18のピット列上に形成される略々円形状の光磁気スポット21Sによって記録される。この光磁気スポット21Sは、すべて略々同一の径を有する円形状の互いに同一形状のものであってもよいし、また、互いに面積、形状が異なってもよい。さらに、この光磁気スポット18Sは、図11に示すように、第1の面積を有する光磁気スポット21a及びこの第1の面積よりも狭い第2面積を有する光磁気スポット21bの少なくとも2種類により構成されているものとしてもよい。光磁気スポットの径(面積)が複数種類ある場合においては、この径(面積)の違いによって、異なる付加データを記録したり、この径(面積)の違いに応じたアナログデータを記録媒体に記録することができる。
【0062】
このように光磁気ディスクとして構成したディスク状記録媒体1においても、後述する光学ピックアップ装置25によって、基本データ及び付加データが読み出される。これら基本データ及び付加データに基づいて、所定の信号処理を行うことにより、再生情報が生成される。この再生情報は、該基本データのみから生成される基本情報に対して、より高品質な情報となる。
【0063】
〔ディスク状記録媒体の第6の実施の形態〕
この第6の実施の形態におけるディスク状記録媒体においては、図12中の(A)に示すように、特定の基本データDBに対応する付加データDAとして、その基本データの記録位置から相対的な所定のアドレス(r,l)分だけ離れた位置に記録された基本データDBを使用する。
【0064】
すなわち、この場合には、図12中の(B)に示すように、特定の基本データDBが記録されている位置には、相対的なアドレスである所定のアドレス(r,l)の値が、上述した付加データDAと同様にして記録されている。そして、このディスク状記録媒体においては、特定の基本データの記録位置から、読み出された所定の相対的アドレス(r,l)だけ隔たった位置に記録された基本データDBが、当該特定の基本データに本来対応される付加データDAに相当するデータとなっている。
【0065】
〔再生装置及び再生方法の概要〕
本発明における再生装置は、上述した記録媒体及び各ディスク状記録媒体から、基本データ及び付加データを読み出し、これら基本データ及び付加データから再生情報を生成する装置である。また、本発明における再生方法は、この再生装置において、上述した記録媒体及び各ディスク状記録媒体を用いて実行される動作として実施される。
【0066】
すなわち、この再生装置には、上述したように基本データが記録される第1の記録部と付加データが記録される第2の記録部とを有する記録媒体が装着される。この再生装置においては、第1のデータ取得手段により、記録媒体から基本データが読み出され、第2のデータ取得手段により、記録媒体から付加データが読み出され、これら基本データ及び付加データに対して所定の信号処理がなされて、再生情報が生成される。この再生装置は、基本データから復調される基本情報及び付加データから復調される付加情報に基づき、再生情報を生成する再生手段を備えている。
【0067】
基本データは、上述したように、映像データや音声データ等である。そして、付加データは、映像データに基づいて再生される情報の品質、すなわち、映像の画質や音質等を向上させるためのデータである。
【0068】
また、この再生装置において、付加データとしては、記録媒体から読み出される付加データの他に、外部から入力されるデータをも使用することができる。この場合、この再生装置は、外部情報が入力される外部情報入力手段を備えている。この外部情報入力手段は、例えば、外部情報として使用者の生体情報を取得する生体情報取得装置や、外部情報として周辺環境に関する情報を取得する周辺環境情報取得装置等である。これら生体情報取得装置や周辺環境情報取得装置等は、光センサ、温度センサ、湿度センサ等を有して構成されるものである。
【0069】
また、外部情報入力手段として、時間を計測し時間情報又は時刻データを出力する時間計測装置を用い、付加データとして、時間データや時刻データを用いることとしてもよい。
【0070】
これらの場合には、再生手段は、基本情報及び付加情報に基づくとともに、さらに、外部情報入力手段から入力された外部情報、あるいは、時間情報、時刻情報にも基づき、再生情報を生成することとなる。
【0071】
なお、このディスク状記録媒体において、基本データ及び付加データは、デジタルデータであってもアナログデータであってもよい。
【0072】
〔再生装置及び再生方法の実施の形態における共通構成〕
本発明に係る再生装置80は、例えば図13に示すように、ディスク状記録媒体1を保持して回転操作する回転操作装置22を有している。この回転操作装置22は、ディスク状記録媒体1を回転操作するスピンドルモータを有し、スピンドル制御回路23を介して、システムコントローラ24によって制御される。
【0073】
また、この再生装置80は、ディスク状記録媒体1に対してレーザ光を照射する照射手段として機能する光学ピックアップ装置25を備えている。この光学ピックアップ装置25は、図14に示すように、レーザダイオードからなる光源10と、この光源10から発せられるレーザ光束をディスク状記録媒体1上に照射する光学系と、ディスク状記録媒体1に照射されたレーザ光束のディスク状記録媒体1からの反射光を検出する検出手段として機能する第1乃至第3の光検出器16,26,27とを備えて構成されている。
【0074】
光源10からの出射光は、コリメータレンズ11により平行光束となされ、回折格子28により3本以上の光束に分割されて、ビームスプリッタ12を経て、対物レンズ14により、ディスク状記録媒体1の信号記録面上に集光される。そして、このディスク状記録媒体1からの反射光束は、対物レンズ14を経てビームスプリッタ12に至り、このビームスプリッタ12により光源10に戻る光路より分岐されて、ハーフミラー29に至る。このハーフミラー29で分岐された反射光束のうちの一方は、λ/2(二分の一波長)板30、コリメータレンズ31を経て、第1の光検出器27により受光される。この第1の光検出器27は、ディスク状記録媒体1からの反射光の光量を検出する。この第1の光検出器27からの出力は、RF信号となる。ディスク状記録媒体1において、ピットによって記録されたデータや、光透過率、又は、反射率の違いによって記録されたデータは、この第1の光検出器27からの出力に基づいて読み出すことができる。
【0075】
また、ハーフミラー29で分岐された反射光束のうちの他方は、補償板32、λ/2(二分の一波長)板33、集光レンズ34及び円柱(シリンドリカル)レンズ35を経て、さらに、偏光ビームスプリッタ36によって分岐されて、第2及び第3の光検出器16,26により受光される。これら第2及び第3の光検出器16,26からの出力からは、光磁気信号及び種々のエラー信号を生成することができる。すなわち、第2及び第3の光検出器16,26からの出力の差は、光磁気信号となる。ディスク状記録媒体1において、光磁気スポットによって記録されたデータは、これら第2の第3の光検出器16,26からの出力に基づいて読み出すことができる。
【0076】
また、第2及び第3の光検出器16,26は、中心から放射状に4分割された受光面を有しており、各受光面ごとに独立して出力する。このように4分割された受光面において、中心を介して対向する受光面からの出力同士を加え、これらの和信号同士の差信号をとると、円柱(シリンドリカル)レンズ35よって生じた非点収支差量を検出することとなり、この信号は、フォーカスエラー信号となる(いわゆる非点収差法)。また、回折格子28によって分岐されたレーザ光束のそれぞれのディスク状記録媒体1からの反射光束の強度の差信号をとると、トラッキングエラー信号となる(いわゆる3ビーム法)。
【0077】
第1の光検出器27からの出力信号は、ディスク状記録媒体1からの反射光の光量を示しており、この信号は、図13に示すように、RF回路37に送られる。
【0078】
RF回路37で増幅された出力は、EFM復調回路38に送られ、EFM復調をなされる。このEFM復調回路38の出力は、「CIRC」デコード回路39及びサブコードデコード回路40に送られる。「CIRC」デコード回路39において「CIRC」デコード(伸長処理)をなされた信号は、ショックプルーフメモリ41及びD/Aコンバータ42を経て、再生手段として機能する再生回路43に出力される。サブコードデコード回路40は、サブコードの復調を行い、システムコントローラ24に送る。
【0079】
また、光学ピックアップ装置25は、送り機構44により、ディスク状記録媒体1の内外周に亘って移動操作される。この送り機構44は、送り制御回路45を介して、システムコントローラ24によって制御される。
【0080】
さらに、この再生装置80は、フォーカス制御手段として機能するフォーカス制御回路46を備えている。このフォーカス制御回路46は、光学ピックアップ装置25の光検出器による反射光の検出結果に基づき、システムコントローラ24によって制御されて、光学ピックアップ装置25におけるフォーカス調整を行う。このフォーカス調整は、光学ピックアップ装置25の対物レンズを光軸方向に移動制御することにより、この光学ピックアップ装置25から出射されるレーザ光束の焦点の位置を、ディスク状記録媒体1の信号記録面に対する所定の位置に位置させる制御である。
【0081】
また、この再生装置80は、トラッキング制御手段として機能するトラッキング制御回路47を備えている。このトラッキング制御回路47は、光学ピックアップ装置25の光検出器による反射光の検出結果に基づき、システムコントローラ24によって制御されて、光学ピックアップ装置25におけるトラッキング調整を行う。このトラッキング調整は、光学ピックアップ装置25の対物レンズを光軸に直交する方向(ディスク状記録媒体1の径方向)に移動制御することにより、この光学ピックアップ装置25から出射されるレーザ光束の焦点の位置を、ディスク状記録媒体1の記録トラック上とする制御である。
【0082】
なお、システムコントローラ24には、操作部48が接続されている。この操作部48からは、手動操作に基づく操作信号がシステムコントローラ24に入力される。
【0083】
また、EFM復調回路38は、第1及び第2の復号手段として機能する。すなわち、EFM復調回路38は、フォーカス制御回路46が第1のモードを選択しているときに、光検出器による反射光の検出結果に基づいて、基本データから基本情報を復号する第1の復号手段として機能する。また、EFM復調回路38は、フォーカス制御回路46が第2のモードを選択しているときに、光検出器による反射光の検出結果に基づいて、付加データから付加情報を復号する第2の復号手段として機能する。
【0084】
そして、再生回路43は、EFM復調回路38により復号された基本情報及び付加情報に基づいて、再生情報を生成する。この再生情報は、基本データから再生される基本情報に対して、高品質の情報となっている。
【0085】
〔再生装置及び再生方法の第1の実施の形態〕
本発明における再生装置は、上述したディスク状記録媒体が装着され、このディスク状記録媒体から情報を再生する装置として構成することができる。すなわち、この実施の形態においては、図13に示した再生装置80に、基本データがピットによって記録されている記録層と、この記録層のピットの一部に段状に形成され付加データを記録している段状部とを有するディスク状記録媒体1が装着される。付加データは、段状部に記録層とは異なる位置に合焦されるレーザ光を照射することにより、このレーザ光の反射光に基づいて、読み出される。そして、基本データ及び付加データに基づいて、所定の処理により、基本データから生成される基本情報に対して、より高品質な情報である再生情報を生成することができる。
【0086】
この実施の形態において、フォーカス制御回路46は、光学ピックアップ装置25から照射されるレーザ光束をディスク状記録媒体1の記録層上に集光させる第1のモードと、レーザ光束をディスク状記録媒体1の記録層とは異なる位置に集光させる第2のモードとを切り換えることができるようになっている。第2のモードは、第2の光検出器16からの出力に基づくフォーカスエラー信号が0ではない一定の値になるようにフォーカスサーボをかけることにより、実行することができる。
【0087】
すなわち、図6に示すように、ディスク状記録媒体1からの反射光束に非点収差を生じさせ、この非点収差の量及び方向を第2の光検出器16によって検出し、この第2の光検出器16からの出力に基づくフォーカスエラー信号が0ではない一定の値になるようにフォーカスサーボをかけることにより、ディスク状記録媒体の各記録層の間にレーザ光束を合焦させ、付加データを読み出すことができる。
【0088】
〔再生装置及び再生方法の第2の実施の形態〕
本発明における再生装置80は、図15に示すように、同様の記録層が積層されて構成されたいわゆる2層ディスクから情報を再生する装置として構成することができる。このディスク状記録媒体1の信号記録層は、少なくとも第1の記録層8及び第2の記録層9が積層されて構成され、段状部がこれら第1及び第2の記録層の各ピットの一部に形成され、該第1の記録層8と第2の記録層9との間に合焦されるレーザ光によって、付加データが読み出されるものである。この再生装置80は、図13に示したように、回転操作装置22及び光学ピックアップ装置25等を備えて構成される。
【0089】
この実施の形態において、フォーカス制御回路46は、光学ピックアップ装置25から照射されるレーザ光束をディスク状記録媒体1のいずれかの記録層上に集光させる第1のモードと、レーザ光束をディスク状記録媒体1の各記録層8,9の間の位置に集光させる第2のモードとを切り換えることができるようになっている。第2のモードは、第2の光検出器16からの出力に基づくフォーカスエラー信号が0ではない一定の値になるようにフォーカスサーボをかけることにより、実行することができる。
【0090】
そして、この実施の形態においてEFM復調回路38は、第1及び第2の復号手段として機能する。すなわち、EFM復調回路38は、フォーカス制御回路46が第1のモードを選択しているときに、光検出器による反射光の検出結果に基づいて、基本データから基本情報を復号する第1の復号手段として機能する。また、EFM復調回路38は、フォーカス制御回路46が第2のモードを選択しているときに、光検出器による反射光の検出結果に基づいて、付加データから付加情報を復号する第2の復号手段として機能する。
【0091】
そして、再生回路43は、EFM復調回路38により復号された基本情報及び付加情報に基づいて、再生情報を生成する。この再生情報は、基本データから再生される基本情報に対して、高品質の情報となっている。
【0092】
なお、この再生装置80において、光学ピックアップ装置25は、図15に示すように、レーザダイオードからなる光源10から出射された光束が第1乃至第3のビームスプリッタ49a,49b,49cを順次透過して、λ/4板13を経て、三重焦点の対物レンズ14によってディスク状記録媒体1に照射されるように構成してもよい。この光学ピックアップ装置25においては、ディスク状記録媒体1からの反射光束のうち、第1の記録層8からの反射光束が第3のビームスプリッタ49cによって分岐されて光検出器50aにより受光され、第1及び第2の記録層8,9の間で集光された光束の反射光束が第2のビームスプリッタ49bによって分岐されて光検出器50bにより受光され、第2の記録層9からの反射光束が第1のビームスプリッタ49aによって分岐されて光検出器50cにより受光される。
【0093】
〔再生装置及び再生方法の第3の実施の形態〕
また、本発明における再生装置80は、上述した基本データが記録されている第1の記録部となる第1の記録層と付加データが記録されている第2の記録部となる第2の記録層とを有するディスク状記録媒体1が装着される再生装置として構成することができる。
【0094】
このディスク状記録媒体1は、上述したように、基本データが記録されている第1の記録層と、この第1の記録層に積層されて形成され基本データに対する付加情報となる付加データが記録されている第2の記録層とを有し、基本データ及び付加データに基づいて所定の処理によって生成される再生情報が、該基本データから生成される基本情報に対して、より高品質な情報となるものである。
【0095】
このディスク状記録媒体1において、第1の記録層には、基本データに対応したピットが形成され、このピットによって基本データが記録されている。この第1の記録層からは、照射した光束の反射光における光量の変化によって、基本データを読み出すことができる。また、このディスク状記録媒体において、第2の記録層には、透過率の変化によって付加データが記録されている。この第2の記録層からは、照射した光束がこの第2の記録層を透過して第1の記録層により反射され再びこの第2の記録層を透過した反射光の光量の変化によって、付加データを読み出すことができる。
【0096】
この再生装置80は、図13に示したように、回転操作装置22及び光学ピックアップ装置25等を備えて構成される。
【0097】
そして、この実施の形態においては、光学ピックアップ装置25は、ディスク状記録媒体1の第1の記録層から光検出器による反射光の検出結果に基づいて基本データを取得する第1のデータ取得手段及びディスク状記録媒体1の第2の記録層から光検出器による反射光の検出結果に基づいて付加データを取得する第2のデータ取得手段として機能する。
【0098】
また、この実施の形態においては、EFM復調回路38は、第1のデータ取得手段が取得した基本データから基本情報を復号する第1の復号手段及び第2のデータ取得手段が取得した付加データから付加情報を復号する第2の復号手段として機能する。
【0099】
そして、再生回路43は、EFM復調回路38により復号された基本情報及び付加情報に基づいて、再生情報を生成する。
【0100】
〔再生装置及び再生方法の第4の実施の形態〕
また、本発明における再生装置80は、磁性体によって形成され磁化方向の変化によって基本データが記録された第1の記録層と、透過率の変化によって付加データが記録された第2の記録層とを有するディスク状記録媒体1が装着される再生装置として構成することができる。
【0101】
このディスク状記録媒体1においては、第1の記録層からは、照射した光束の反射光における偏光方向の変化によって基本データを読み出すことができる。また、このディスク状記録媒体においては、第2の記録層からは、照射した光束の反射光における光量の変化によって付加データを読み出すことができる。
【0102】
この再生装置80は、図13に示したように、回転操作装置22及び光学ピックアップ装置25等を備えて構成される。
【0103】
この実施の形態において、光学ピックアップ装置25における検出部51は、図16に示すように、反射光が入射されこの反射光を偏光方向成分に応じて第1の反射光と第2の反射光とに分離させる偏光ビームスプリッタ36と、第1の反射光の光量を検出する第1の光検出器26と、第2の反射光の光量を検出する第2の光検出器16と、第1及び第2の光検出器26,16の検出結果を比較する比較器52とを備えて構成されている。そして、この検出部51においては、比較器52による比較結果によって、反射光の偏光方向が検出される。
【0104】
また、この実施の形態においては、光学ピックアップ装置25は、検出部51による反射光の偏光方向の検出結果に基づいて、基本データを読み出すとともに、検出部51による反射光の強度の検出結果に基づいて付加データを読み出す。そして、EFM復調回路38は、基本データから基本情報を復号する第1の復号手段及び付加データから付加情報を復号する第2の復号手段として機能する。
【0105】
そして、再生回路43は、EFM復調回路38により復号された基本情報及び付加情報に基づいて、再生情報を生成する。
【0106】
〔再生装置及び再生方法の第5の実施の形態〕
また、本発明における再生装置80は、ピットによって基本データが記録されるとともに、磁性体によって形成され磁化方向の変化によって付加データが記録された記録トラックを有するディスク状記録媒体1が装着される再生装置として構成することができる。
【0107】
このディスク状記録媒体1においては、記録トラックには、ピットによって基本データが記録されているとともに、磁化方向の変化により基本データに対する付加情報となる付加データが記録される。この記録トラックにおいて、付加データは、記録トラック上に形成される略々円形状の光磁気スポットによって記録される。この光磁気スポットは、第1の面積を有するもの及びこの第1の面積よりも狭い第2面積を有するものの少なくとも2種類により構成されている。このディスク状記録媒体においては、基本データ及び付加データに基づいて所定の処理によって生成される再生情報が、基本データから生成される基本情報に対して、より高品質な情報となる。
【0108】
この再生装置80は、図13に示したように、回転操作装置22及び光学ピックアップ装置25等を備えて構成される。
【0109】
この実施の形態において、ピットによって記録された基本データは、図14に示すように、第1の光検出器27により検出される光量変化によって読み出される。そして、この光学ピックアップ装置25における検出部51は、図16に示すように、反射光が入射されこの反射光を偏光方向成分に応じて第1の反射光と第2の反射光とに分離させる偏光ビームスプリッタ36と、第1の反射光の光量を検出する第1の光検出器26と、第2の反射光の光量を検出する第2の光検出器16と、第1及び第2の光検出器26,16の検出結果を比較する比較器52とを備えて構成されている。そして、この検出部51においては、比較器52による比較結果によって、反射光の偏光方向が検出されるとともに、さらに、光磁気スポットの面積が判別される。検出部51における光磁気スポットの面積の判別は、比較器52による比較結果に基づく第1及び第2の光検出器26,16の検出結果の比率を検出することにより行われる。
【0110】
また、この実施の形態においては、光学ピックアップ装置25は、検出部51による反射光の強度の検出結果に基づいて、基本データを読み出すとともに、検出部51による反射光の偏光方向及び光磁気スポットの面積の検出結果に基づいて付加データを読み出す。そして、EFM復調回路38は、基本データから基本情報を復号する第1の復号手段及び付加データから付加情報を復号する第2の復号手段として機能する。
【0111】
そして、再生回路43は、EFM復調回路38により復号された基本情報及び付加情報に基づいて、再生情報を生成する。
【0112】
〔ディスク状記録媒体製造装置の実施の形態〕
そして、本発明におけるディスク状記録媒体製造装置90は、図17に示すように、基本データがピットによって記録されるとともにこのピットの一部に形成される段状部によって付加データが記録されるディスク状記録媒体の製造のためのマスタディスク1aを製造する装置である。
【0113】
このディスク状記録媒体は、基本データ及び付加データに基づいて所定の処理によって生成される再生情報が、基本データから生成される基本情報に対してより高品質な情報となるものである。
【0114】
このディスク状記録媒体製造装置90においては、基本情報は、符号化手段として機能する第1のデジタルデータ入力部53において、符号化される。また、この記録装置においては、付加情報は、符号化手段として機能する第2のデジタルデータ入力部54において、符号化される。ここで、第2のデジタルデータ入力部54においては、後述するクラス分類適応処理により、付加データを生成することとしてもよい。この「クラス分類適応処理」は、後述するプロセッシング部のような回路によって行うことができる。なお、付加データをアナログ信号、若しくは、アナログ量を示す第3のデジタルデータとする場合には、この付加データは、アナログデータ入力部55を介して、外部より入力される。
【0115】
第1及び第2のデジタルデータ入力部53,54からの出力は、誤り訂正符号化回路56に送られる。この誤り訂正符号化回路56にて誤り訂正された符号化信号は、EFM変調回路57に送られ、EFM変調をなされ、サブコーディング回路58に送られる。このサブコーディング回路58においてサブコードを付された基本データ及び付加データは、合成データ生成手段として機能する合成デジタルデータ生成部59に送られる。この合成デジタルデータ生成部59は、基本データと、付加データとを合成して、合成データを生成する。
【0116】
また、サブコーディング回路58の出力データは、再生時RF信号生成回路60に送られる。この再生時RF信号生成回路60は、反射光演算部となる。この再生時RF信号生成回路60は、基本データをディスク状記録媒体の記録層にピットによって記録する場合のピットの形状を演算するとともに、記録層に形成される段状部によって付加データを記録する場合の該段状部の形状を演算し、さらに、これら演算結果に基づいて、ピット及び段状部が形成された記録層に対して記録層とは異なる位置に合焦するレーザ光束を照射した場合の反射光束の状態を演算する。
【0117】
再生時RF信号生成回路60が演算した結果は、比較手段として機能する比較部61に送られる。この比較部61は、再生時RF信号生成回路60により演算された反射光束から読み出されるデータと付加データとを比較する。
【0118】
この比較部61による比較結果は、ランドグルーブ高さ調整部62に送られる。ここでは、ランドグルーブ高さ調整部62は、付加データを制御する付加データ制御手段としての役割をもつ。ランドグルーブ高さ調整部62は、比較部61による比較結果に基づいて、合成デジタルデータ生成部59における付加データを制御して、段状部の形状を修正し、再生時RF信号生成回路60により演算される反射光束から読み出されるデータと付加データとを一致させる。
【0119】
合成デジタルデータ生成部59の出力は、光学ピックアップ装置25に送られる。光学ピックアップ装置25は、合成データ生成手段により生成された合成データに基づいて、マスタディスク1aの記録層にピット及び段状部を形成する記録手段として機能する。すなわち、光学ピックアップ装置25は、マスタディスク1aの記録層に、合成データに基づくピット及び段状部を形成する。
【0120】
このディスク状記録媒体製造装置90においては、光学ピックアップ装置25は、図18に示すように、必要な光出力を得るために、外部レーザ発振器(例えば、He−CdレーザやArガスレーザなど)63及び光変調部64を有する。外部レーザ発振器63から出力されたレーザ光束は、合成データに基づいて制御される光変調部64を経て、光学ピックアップ装置25内の光学系25aに入射され、マスタディスク1aの記録層上に集光される。
【0121】
このディスク状記録媒体製造装置90は、マスタディスク1aを保持して回転操作する回転操作装置22を有している。この回転操作装置22は、マスタディスク1aを回転操作するスピンドルモータを有し、スピンドル制御回路23を介して、システムコントローラ24によって制御される。
【0122】
また、光学ピックアップ装置25は、図示しない送り機構により、マスタディスク1aの内外周に亘って移動操作される。この送り機構は、送り制御回路を介して、システムコントローラ24によって制御される。
【0123】
さらに、このディスク状記録媒体製造装置90は、フォーカス制御回路46を備えている。このフォーカス制御回路46は、光学ピックアップ装置25の光検出器による反射光の検出結果に基づき、システムコントローラ24によって制御されて、光学ピックアップ装置25におけるフォーカス調整を行う。このフォーカス調整は、光学ピックアップ装置25の対物レンズを光軸方向に移動制御することにより、この光学ピックアップ装置25から出射されるレーザ光束の焦点の位置を、マスタディスク1aの信号記録面に対する所定の位置に位置させる制御である。
【0124】
また、このディスク状記録媒体製造装置90は、トラッキング制御回路47を備えている。このトラッキング制御回路47は、光学ピックアップ装置25の光検出器による反射光の検出結果に基づき、システムコントローラ24によって制御されて、光学ピックアップ装置25におけるトラッキング調整を行う。このトラッキング調整は、光学ピックアップ装置25の対物レンズを光軸に直交する方向(マスタディスク1aの径方向)に移動制御することにより、この光学ピックアップ装置25から出射されるレーザ光束の焦点の位置を、マスタディスク1aの記録トラック上とする制御である。
【0125】
なお、2層ディスク用のマスタディスクを製造する場合においては、再生時RF信号生成回路60は、記録層は少なくとも第1の記録層及び第2の記録層が積層されているものとし、レーザ光束がこれら第1及び第2の記録層の間に合焦するものとして演算を行う。そして、光学ピックアップ装置25は、マスタディスクの第1の記録層に、この第1の記録層に形成されるべきピット及び段状部を形成し、マスタディスクの第2の記録層に、この第2の記録層に形成されるべきピット及び段状部を形成する。
【0126】
〔記録装置の実施の形態〕
また、本発明における記録装置95は、基本データが記録される第1の記録層と付加データが記録される第2の記録層とを有するディスク状記録媒体1に対して、各データを記録する装置として構成することができ、基本的に、上述した図17に示したディスク状記録媒体製造装置90と同様に構成される。
【0127】
基本データ及び付加データに基づいて所定の処理によって生成される再生情報が、基本データから生成される基本情報に対してより高品質な情報となるものである。
【0128】
この記録装置95においては、図19に示すように、基本情報は、符号化手段として機能する第1層記録用デジタルデータ入力部53において、符号化される。また、この記録装置においては、付加データ(第2層記録用信号)は、アナログデータ入力部55を介して、外部より入力される。
【0129】
第1層記録用デジタルデータ入力部53からの出力は、誤り訂正符号化回路56に送られる。この誤り訂正符号化回路56にて誤り訂正された符号化信号は、EFM変調回路57に送られ、EFM変調をなされ、サブコーディング回路58に送られる。このサブコーディング回路58においてサブコードを付されたデータが、基本データ(第1層記録用信号)となる。
【0130】
なお、付加データ(第2層記録用信号)は、基本データと同様の符号化回路を経てデジタル信号化されるものとしてもよい。
【0131】
基本データは、第1の記録手段として機能する光学ピックアップ装置25に送られる。この光学ピックアップ装置25は、ディスク状記録媒体1の第1の記録層に対して光束を照射して、この第1の記録層に基本データを記録する。すなわち、光学ピックアップ装置25は、第1の記録層に対し、この第1の記録層上に形成される記録トラックに沿って、所定長のチャンネルビットを有するデジタルデータとして基本データを記録する。
【0132】
ここで、光学ピックアップ装置25による第1の記録層に対する基本データの記録は、第1の記録層の磁化方向を変化させることによってもよく、また、この第1の記録層上にピットを形成することによってもよい。
【0133】
そして、付加データは、第2の記録手段として機能する光学ピックアップ装置25に送られる。この光学ピックアップ装置25は、ディスク状記録媒体1の第2の記録層に対して光束を照射して、この第2の記録層に付加データを記録する。光学ピックアップ装置25は、第2の記録層に対し、この第2の記録層上に形成される記録トラックに沿って、アナログデータ、又は、基本データのチャンネルビットよりも短い所定長のチャンネルビットを有するデジタルデータとして、付加データを記録する。
【0134】
ここで、光学ピックアップ装置25による第2の記録層に対する付加データの記録は、第1の記録層に対する基本データの記録がピットの形成による場合には、第2の記録層の磁化方向を変化させることによってもよく、また、この第2の記録層の透過率を変化させることによってもよい。
【0135】
第2の記録層の磁化方向を変化させることにより付加データを記録する場合において、光学ピックアップ装置25は、光出力を調整することにより、第2の記録層に対して、少なくとも2種類の異なる面積を有する光磁気スポットを用いて付加データを記録することができる。
【0136】
そして、第2の記録層に対する付加データの記録は、第1の記録層に対する基本データの記録が磁化方向の変化による場合には、第2の記録層の透過率を変化させることによるとよい。この場合には、第2の記録層は、有機色素を含んで構成されたもの、あるいは、結晶を含んだものとし、付加データに対応して、明部(透過率が高い部分)及び暗部(透過率が低い部分)が形成される。
【0137】
〔半導体装置の第1の実施の形態〕
本発明における記録媒体は、半導体装置として構成することもできる。この半導体装置85は、図20に示すように、データ記録部65とプロセッシング部66とを有して構成されている。データ記録部65は、複数のデータ記録部からなる。すなわち、データ記録部65は、入力部から入力された基本情報を記録する基本データ記録部67と、基本情報に対する付加情報となる付加データが記録された付加データ記録部68と、プロセッシング部66により符号化された演算データを記録する演算データ記録部69とを有する。
【0138】
この半導体装置85においては、入力部70から基本情報が入力され、基本データとして基本データ記録部67に記録される。プロセッシング部66は、基本データと、付加データ記録部68に記録された付加データとに基づいて、所定の信号処理を行う。プロセッシング部66における付加データの選択及び信号処理の選択は、外部選択入力部71から入力される外部選択信号に応じて、付加情報選択部72及び信号処理選択部73を介して制御される。
【0139】
プロセッシング部66は、後述する「クラス分類適応処理」を行う回路であり、図21に示すように、基本データが入力されてブロック化するブロック化回路74を有する。このブロック化回路74から出力されるブロック化された基本データは、クラス分類回路75に送られるとともに、第1、第2乃至第nの演算回路76a,76b,・・・76nに送られる。クラス分類回路75は、ブロック化されて送られた基本データをクラス分類して、その結果によってデータ記録部65の付加データ記録部68を制御する。この付加データ記録部68からは、クラス分類回路75による制御及び外部選択信号に応じた付加情報選択部72の制御に従って、所定の付加データを各演算回路76a,76b,・・・76nに送る。各演算回路76a,76b,・・・76nのうちの外部選択信号に応じて信号処理選択部73が選択した演算回路は、送られているブロック化された基本データについて、送られた付加データを係数として演算を行い、演算データとしてデータ記録部65の演算データ記録部69に送る。
【0140】
この演算データ記録部69に蓄積された演算データは、この演算データ記録部69に接続された出力部77aを介して、適宜外部に出力される。
【0141】
すなわち、「クラス分類適応処理」は、ブロック化した基本データをクラス分類し、この分類されたクラスに応じた付加データを係数として用いて処理するものであるが、この内容についてはさらに後述する。このようにしてプロセッシング部66より出力された演算データは、基本情報に対して、より高品質な情報に対応したデータとなっている。
【0142】
この半導体装置85において、基本情報は、上述したディスク状記録媒体等と同じく、映像情報とすることができる。そして、この場合において、演算データは、基本情報よりも高解像度を有し、又は、階調特性が向上された映像情報に対応したデータとすることができる。また、演算データは、基本情報よりもノイズが除去された映像情報に対応したデータとすることができる。さらに、演算データは、基本情報よりも時間的解像度が向上された映像情報に対応したデータとすることができる。例えば、映像信号を高解像度化する場合には、外部選択入力部71に対する入力情報に応じて、解像度が選択される。付加データは、これらの機能に対応したものが用いられる。
【0143】
また、プロセッシング部66は、基本データの所定の特徴を検出して付加データを選択する回路とすることができる。この場合に、プロセッシング部66が検出する基本データの特徴としては、例えば、画像の動き量がある。そして、プロセッシング部は、画像の動き量対応する係数を読み出すことができる。
【0144】
そして、演算データは、外部の加振器によって生じさせる振動に関する情報に対応したデータとすることができる。また、演算データは、外部の音響再生装置によって再生する音響の音量に関する情報に対応したデータとすることができる。さらに、演算データは、外部の送風機によって行う送風に関する情報に対応したデータとすることができる。すなわち、プロセッシング部66における信号処理は、様々なアプリケーションに応じて、異なる形態とすることができる。
【0145】
〔半導体装置の第2の実施の形態〕
また、この半導体装置85は、図22に示すように、データ記録部65、プロセッシング部66及び基本データが入力される入力部70を有し、プロセッシング部66における演算処理によって得られた演算データを直接外部に出力する出力部77bを有するものとして構成してもよい。また、入力部70には、既に符号化された基本データが外部から入力されることとしてもよいし、この入力部70の前段に基本情報を符号化して基本データとする符号化手段を有していてもよい。
【0146】
この場合には、プロセッシング部66における演算処理によって得られた演算データは、演算データ記録部69に蓄積されることなく、出力部77bを介して、外部に出力される。すなわち、この半導体装置85においては、プロセッシング部66における演算処理は、演算データが必要なときに、この演算データを出力する直前に行われることになる。その他の動作、内容は、上述した半導体装置の第1の実施の形態と同様である。
【0147】
〔クラス分類適応処理について〕
上述の再生装置80や半導体装置85において行われる「クラス分類適応処理」の内容について、以下に説明する。以下の説明では、「クラス分類適応処理」の内容を明らかにするため、この「クラス分類適応処理」を映像信号について行う例について説明する。以下の説明においては、SD(Standard Definition)信号が本発明における基本データに対応し、このSD信号を付加データを用いてSD信号よりも高品質なHD(High Definition)信号とする処理を「クラス分類適応処理」で行っているものである。
【0148】
基本データは、記録媒体に記録されこの記録媒体から読み出したデータを用いる。以下の説明では、係数データは係数生成回路により生成しているが、本発明においては、係数データは、予め係数生成回路により生成され記録媒体に付加データとして記録しておいたものを読み出して用いる。
【0149】
なお、本発明においても、基本データを記録媒体に記録しておくとともに、後述する「係数種データ」を付加データとして記録媒体に記録しておき、係数データは再生操作のときにこの「係数種データ」(付加データ)から生成することとしてもよい。
【0150】
この「クラス分類適応処理」について、SD信号のHD信号への変換を例に説明する。この「クラス分類適応処理」は、図23に示すように、SD信号より選択的に取り出されたHD信号の注目画素に対応するタップの画素データより空間クラスや動きクラスを検出し、当該HD信号の注目画素のクラスを示すクラスコードCLを得て、各クラスの付加データを生成し、データ記録部65に含まれる係数メモリ68に格納するものである。この係数メモリ68は、付加データ記録部68に相当するものである。
【0151】
そして、演算回路127で、タップ選択回路121でSD信号より選択的に取り出された、HD信号の注目画素に対応するタップのデータxiと、係数メモリ68よりクラスコードCLで読み出された付加データWiとから、推定式を使用して、HD信号の注目画素の画素データを演算するものである。なお、メモリバンク135には、各クラスの係数種データが格納されている。
【0152】
以下、図面を参照しながら、この「クラス分類適応処理」について説明する。図23に示すように、この「クラス分類適応処理」を行う再生装置100は、記録媒体から読み取られた基本データとなるSD(Standard Definition)信号としての525i信号を得、この525i信号をHD(High Definition)信号としての525p信号又は1050i信号に変換し、その525p信号又は1050i信号による画像を表示するものである。
【0153】
ここで、525i信号は、ライン数が525本でインタレース方式の映像信号を意味し、525p信号は、ライン数が525本でプログレッシブ方式(ノンインタレース方式)の映像信号を意味し、さらに1050i信号はライン数が1050本でインタレース方式の映像信号を意味している。
【0154】
再生装置100は、マイクロコンピュータを備え、システム全体の動作を制御するためのシステムコントローラ101を有している。
【0155】
また、再生装置100は、SD信号Va(525i信号)が入力される入力部107と、このSD信号Vaが入力部70を介して入力され、このSD信号Vaを一時的に保存するための基本データ記録部67に相当するバッファメモリ67とを有している。また、再生装置100は、バッファメモリ67に一時的に保存されるSD信号(525i信号)を、HD信号(525p信号又は1050i信号)に変換するプロセッシング部66を有し、このプロセッシング部66より出力部77bを介して出力されるHD信号による画像をディスプレイ部111に表示する。このディスプレイ部111としては、例えばCRT(cathode−ray tube)ディスプレイ、あるいはLCD(liquid crystal display)等のフラットパネルディスプレイで構成されているものを用いる。
【0156】
入力部107より入力されたSD信号(525i信号)は、バッファメモリ67に記憶されて一時的に保存される。そして、このバッファメモリ67に一時的に保存されたSD信号は、プロセッシング部66に供給され、HD信号(525p信号又は1050i信号)に変換される。すなわち、プロセッシング部66では、SD信号を構成する画素データ(以下、「SD画素データ」という)から、HD信号を構成する画素データ(以下、「HD画素データ」という)が得られる。このプロセッシング部66より出力されるHD信号がディスプレイ部111に供給され、ディスプレイ部111の画面上にはそのHD信号による画像が表示される。
【0157】
次に、図23において、プロセッシング部66の詳細を説明する。このプロセッシング部66は、バッファメモリ67に記憶されているSD信号(525i信号)より、HD信号(1050i信号又は525p信号)に係る注目画素の周辺に位置する複数のSD画素のデータを選択的に取り出して出力する第1〜第3のタップ選択回路121〜123を有している。
【0158】
第1のタップ選択回路121は、予測に使用するSD画素(「予測タップ」と称する)のデータを選択的に取り出すものである。第2のタップ選択回路122は、SD画素データのレベル分布パターンに対応するクラス分類に使用するSD画素(「空間クラスタップ」と称する)のデータを選択的に取り出すものである。第3のタップ選択回路123は、動きに対応するクラス分類に使用するSD画素(「動きクラスタップ」と称する)のデータを選択的に取り出するものである。
【0159】
なお、空間クラスを複数フィールドに属するSD画素データを使用して決定する場合には、この空間クラスにも動き情報が含まれることになる。
【0160】
図24は、525i信号及び525p信号の、あるフレーム(F)の奇数(o)フィールドの画素位置関係を示している。大きなドットが525i信号の画素であり、小さいドットが出力される525p信号の画素である。偶数(e)フィールドでは、525i信号のラインが空間的に0.5ラインずれたものとなる。図24から分かるように、525p信号の画素データとしては、525i信号のラインと同一位置のラインデータL1と、525i信号の上下のラインの中間位置のラインデータL2とが存在する。また、525p信号の各ラインの画素数は、525i信号の各ラインの画素数の2倍である。
【0161】
図25は、525i信号及び1050i信号のあるフレーム(F)の画素位置関係を示すものであり、奇数(o)フィールドの画素位置を実線で示し、偶数(e)フィールドの画素位置を破線で示している。大きなドットが525i信号の画素であり、小さいドットが出力される1050i信号の画素である。図25から分かるように、1050i信号の画素データとしては、525i信号のラインに近い位置のラインデータL1,L1′と、525i信号のラインから遠い位置のラインデータL2,L2′とが存在する。ここで、L1,L2は奇数フィールドのラインデータ、L1′,L2′は偶数フィールドのラインデータである。また、1050i信号の各ラインの画素数は、525i信号の各ラインの画素数の2倍である。
【0162】
図26及び図27は、525i信号から525p信号に変換する場合に、第1のタップ選択回路121で選択される予測タップ(SD画素)の具体例を示している。図26及び図27は、時間的に連続するフレームF−1,F,F+1の奇数(o)、偶数(e)のフィールドの垂直方向の画素位置関係を示している。
【0163】
図26に示すように、フィールドF/oのラインデータL1,L2を予測するときの予測タップは、次のフィールドF/eに含まれ、作成すべき525p信号の画素(注目画素)に対して空間的に近傍位置のSD画素T1,T2,T3と、フィールドF/oに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T4,T5,T6と、前のフィールドF−1/eに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T7,T8,T9と、さらに前のフィールドF−1/oに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T10である。
【0164】
図27に示すように、フィールドF/eのラインデータL1,L2を予測するときの予測タップは、次のフィールドF+1/oに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T1,T2,T3と、フィールドF/eに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T4,T5,T6と、前のフィールドF/oに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T7,T8,T9と、さらに前のF−1/eに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T10である。
【0165】
なお、ラインデータL1を予測する際には、SD画素T9を予測タップとして選択しないようにし、一方、ラインデータL2を予測する際には、SD画素T4を予測タップとして選択しないようにしてもよい。
【0166】
図28及び図29は、525i信号から1050i信号に変換する場合に、第1のタップ選択回路121で選択される予測タップ(SD画素)の具体例を示している。図28及び図29は、時間的に連続するフレームF−1,F,F+1の奇数(o)、偶数(e)のフィールドの垂直方向の画素位置関係を示している。
【0167】
図28に示すように、フィールドF/oのラインデータL1,L2を予測するときの予測タップは、次のフィールドF/eに含まれ、作成すべき1050i信号の画素(注目画素)に対して空間的に近傍位置のSD画素T1,T2と、フィールドF/oに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T3,T4,T5,T6と、前のフィールドF−1/eに含まれ、作成すべき1050i信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T7,T8である。
【0168】
図29に示すように、フィールドF/eのラインデータL1′,L2′を予測するときの予測タップは、次のフィールドF+1/oに含まれ、作成すべき1050ip信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T1,T2と、フィールドF/eに含まれ、作成すべき1050i信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T3,T4,T5,T6と、前のフィールドF/oに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T7,T8である。
【0169】
なお、ラインデータL1,L1′を予測する際には、SD画素T6を予測タップとして選択しないようにし、一方、ラインデータL2,L2′を予測する際には、SD画素T3を予測タップとして選択しないようにしてもよい。
【0170】
さらに、図26乃至図29に示すように、複数フィールドの同一位置にあるSD画素に加えて、水平方向の一又は複数のSD画素を、予測タップとして選択するようにしてもよい。
【0171】
図30及び図31は、525i信号から525p信号に変換する場合に、第2のタップ選択回路122で選択される空間クラスタップ(SD画素)の具体例を示している。図30及び図31は、時間的に連続するフレームF−1,F,F+1の奇数(o)、偶数(e)のフィールドの垂直方向の画素位置関係を示している。
【0172】
図30に示すように、フィールドF/oのラインデータL1,L2を予測するときの空間クラスタップは、次のフィールドF/eに含まれ、作成すべき525p信号の画素(注目画素)に対して空間的に近傍位置のSD画素T1,T2と、フィールドF/oに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T3,T4,T5と、前のフィールドF−1/eに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T6,T7である。
【0173】
図31に示すように、フィールドF/eのラインデータL1,L2を予測するときの空間クラスタップは、次のフィールドF+1/oに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T1,T2と、フィールドF/eに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T3,T4,T5,T6と、前のフィールドF/oに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T6,T7である。
【0174】
なお、ラインデータL1を予測する際には、SD画素T7を空間クラスタップとして選択しないようにし、一方、ラインデータL2を予測する際には、SD画素T6を空間クラスタップとして選択しないようにしてもよい。
【0175】
図32及び図33は、525i信号から1050i信号に変換する場合に、第2のタップ選択回路122で選択される空間クラスタップ(SD画素)の具体例を示している。図32及び図33は、時間的に連続するフレームF−1,F,F+1の奇数(o)、偶数(e)のフィールドの垂直方向の画素位置関係を示している。
【0176】
図32に示すように、フィールドF/oのラインデータL1,L2を予測するときの空間クラスタップは、フィールドF/oに含まれ、作成すべき1050i信号の画素(注目画素)に対して空間的に近傍位置のSD画素T1,T2,T3と、前のフィールドF−1/eに含まれ、作成すべき1050i信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T4,T5,T6,T7である。
【0177】
図33に示すように、フィールドF/eのラインデータL1′,L2′を予測するときの空間クラスタップは、フィールドF/eに含まれ、作成すべき1050i信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T1,T2,T3と、前のフィールドF/oに含まれ、作成すべき1050i信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素T4,T5,T6,T7である。
【0178】
なお、ラインデータL1,L1′を予測する際には、SD画素T7を空間クラスタップとして選択しないようにし、一方、ラインデータL2,L2′を予測する際には、SD画素T4を空間クラスタップとして選択しないようにしてもよい。
【0179】
さらに、図30乃至図33に示すように、複数フィールドの同一位置にあるSD画素に加えて、水平方向の一又は複数のSD画素を、空間クラスタップとして選択するようにしてもよい。
【0180】
図34は、525i信号から525p信号に変換する場合に、第3のタップ選択回路123で選択される動きクラスタップ(SD画素)の具体例を示している。図34は、時間的に連続するフレームF−1,Fの奇数(o)、偶数(e)のフィールドの垂直方向の画素位置関係を示している。図34に示すように、フィールドF/oのラインデータL1,L2を予測するときの動きクラスタップは、次のフィールドF/eに含まれ、作成すべき525p信号の画素(注目画素)に対して空間的に近傍位置のSD画素n2,n4,n6と、フィールドF/oに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素n1,n3,n5と、前のフィールドF−1/eに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素m2,m4,m6と、さらに前のフィールドF−1/oに含まれ、作成すべき525p信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素m1,m3,m5である。SD画素n1〜n6のそれぞれの垂直方向の位置は、SD画素m1〜m6のそれぞれの垂直方向の位置は一致する。
【0181】
図35は、525i信号から1050i信号に変換する場合に、第3のタップ選択回路123で選択される動きクラスタップ(SD画素)の具体例を示している。図35は、時間的に連続するフレームF−1,Fの奇数(o)、偶数(e)のフィールドの垂直方向の画素位置関係を示している。図35に示すように、フィールドF/oのラインデータL1,L2を予測するときの動きクラスタップは、次のフィールドF/eに含まれ、作成すべき1050i信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素n2,n4,n6と、フィールドF/oに含まれ、作成すべき1050i信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素n1,n3,n5と、前のフィールドF−1/eに含まれ、作成すべき1050i信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素m2,m4,m6と、さらに前のフィールドF−1/oに含まれ、作成すべき1050i信号の画素に対して空間的に近傍位置のSD画素m1,m3,m5である。SD画素n1〜n6のそれぞれの垂直方向の位置は、SD画素m1〜m6のそれぞれの垂直方向の位置は一致する。
【0182】
図23に戻って、また、プロセッシング部66は、第2のタップ選択回路122で選択的に取り出される空間クラスタップのデータ(SD画素データ)のレベル分布パターンを検出し、このレベル分布パターンに基づいて空間クラスを検出し、そのクラス情報を出力する空間クラス検出回路124を有している。
【0183】
空間クラス検出回路124では、例えば、各SD画素データを、8ビットデータから2ビットデータに圧縮するような演算が行われる。そして、空間クラス検出回路124からは、各SD画素データに対応した圧縮データが空間クラスのクラス情報として出力される。本実施の形態においては、「ADRC」(AdaptiveDynamic Range Coding)によって、データ圧縮が行われる。なお、情報圧縮手段としては、「ADRC」以外に「DPCM」(予測符号化)、「VQ」(ベクトル量子化)等を用いてもよい。
【0184】
本来、「ADRC」は、VTR(Video Tape Recorder)向け高性能符号化用に開発された適応再量子化法であるが、信号レベルの局所的なパターンを短い語長で効率的に表現できるので、上述したデータ圧縮に使用して好適なものである。「ADRC」を使用する場合、空間クラスタップのデータ(SD画素データ)の最大値をMAX、その最小値をMIN、空間クラスタップのデータのダイナミックレンジをDR(=MAX−MIN+1)、再量子化ビット数をPとすると、空間クラスタップのデータとしての各SD画素データkiに対して、(1)式の演算により、圧縮データとしての再量子化コードQiが得られる。ただし、(1)式において、〔 〕は切捨て処理を意味している。空間クラスタップのデータとして、Na個のSD画素データがあるとき、i=1〜Naである。
【0185】
Qi=〔(ki−MIN+0.5).2P/DR〕 ・・・(1)
また、プロセッシング部66は、第3のタップ選択回路123で選択的に取り出される動きクラスタップのデータ(SD画素データ)より、主に動きの程度を表すための動きクラスを検出し、そのクラス情報を出力する動きクラス検出回路125を有している。
【0186】
この動きクラス検出回路125では、第3のタップ選択回路123で選択的に取り出される動きクラスタップのデータ(SD画素データ)mi,niからフレーム間差分が算出され、さらにその差分の絶対値の平均値に対して閾値処理が行われて、動きの指標である動きクラスが検出される。すなわち、動きクラス検出回路125では、(2)式によって、差分の絶対値の平均値AVが算出される。第3のタップ選択回路123で、例えば上述したように12個のSD画素データm1〜m6,n1〜n6が取り出されるとき、(2)式におけるNbは6である。
【0187】
【数1】
Figure 2004030867
【0188】
そして、動きクラス検出回路125では、上述したように算出された平均値AVが1個又は複数個の閾値と比較されて、動きクラスのクラス情報MVが得られる。例えば、3個の閾値th1,th2,th3(th1<th2<th3)が用意され、4つの動きクラスを検出する場合、AV≦th1のときは、MV=0、th1<AV≦th2のときは、MV=1、th2<AV≦th3のときは、MV=2、th3<AVのときは、MV=3とされる。
【0189】
また、プロセッシング部66は、空間クラス検出回路124より出力される空間クラスのクラス情報としての再量子化コードQiと、動きクラス検出回路125より出力される動きクラスのクラス情報MVに基づき、作成すべきHD信号(525p信号又は1050i信号)の画素(注目画素)が属するクラスを示すクラスコードCLを得るためのクラス合成回路126を有している。
【0190】
このクラス合成回路126では、(3)式によって、クラスコードCLの演算が行われる。なお、(3)式において、Naは空間クラスタップのデータ(SD画素データ)の個数、Pは「ADRC」における再量子化ビット数を示している。
【0191】
【数2】
Figure 2004030867
【0192】
また、プロセッシング部66は、レジスタ130〜133と、係数メモリ68とを有している。後述する線順次変換回路129は、525p信号を出力する場合と、1050i信号を出力する場合とで、その動作を切り換える必要がある。レジスタ130は、線順次変換回路129の動作を指定する動作指定情報を格納するものである。線順次変換回路129は、レジスタ130より供給される動作指定情報に従った動作をする。
【0193】
レジスタ131は、第1のタップ選択回路121で選択される予測タップのタップ位置情報を格納するものである。第1のタップ選択回路121は、レジスタ131より供給されるタップ位置情報に従って予測タップを選択する。タップ位置情報は、例えば選択される可能性のある複数のSD画素に対して番号付けを行い、選択するSD画素の番号を指定するものである。以下のタップ位置情報においても同様である。
【0194】
レジスタ132は、第2のタップ選択回路122で選択される空間クラスタップのタップ位置情報を格納するものである。第2のタップ選択回路122は、レジスタ132より供給されるタップ位置情報に従って空間クラスタップを選択する。
【0195】
ここで、レジスタ132には、動きが比較的小さい場合のタップ位置情報Aと、動きが比較的大きい場合のタップ位置情報Bとが格納される。これらタップ位置情報A,Bのいずれを第2のタップ選択回路122に供給するかは、動きクラス検出回路125より出力される動きクラスのクラス情報MVによって選択される。
【0196】
すなわち、動きがないか、あるいは動きが小さいためにMV=0又はMV=1であるときは、タップ位置情報Aが第2のタップ選択回路122に供給され、この第2のタップ選択回路122で選択される空間クラスタップは、図30乃至図33に示すように、複数フィールドに跨るものとされる。また、動きが比較的大きいためにMV=2又はMV=3であるときは、タップ位置情報Bが第2のタップ選択回路122に供給され、この第2のタップ選択回路122で選択される空間クラスタップは、図示せずも、作成すべき画素と同一フィールド内のSD画素のみとされる。
【0197】
なお、上述したレジスタ131にも動きが比較的小さい場合のタップ位置情報と、動きが比較的大きい場合のタップ位置情報が格納されるようにし、第1のタップ選択回路121に供給されるタップ位置情報が動きクラス検出回路125より出力される動きクラスのクラス情報MVによって選択されるようにしてもよい。
【0198】
レジスタ133は、第3のタップ選択回路123で選択される動きクラスタップのタップ位置情報を格納するものである。第3のタップ選択回路123は、レジスタ133より供給されるタップ位置情報に従って動きクラスタップを選択する。
【0199】
さらに、係数メモリ68は、後述する推定予測演算回路127で使用される推定式の付加データを、クラス毎に、格納するものである。この付加データは、SD信号としての525i信号を、HD信号としての525p信号又は1050i信号に変換するための情報である。
【0200】
係数メモリ68には、上述したクラス合成回路126より出力されるクラスコードCLが読み出しアドレス情報として供給され、この係数メモリ68からはクラスコードCLに対応した付加データが読み出され、推定予測演算回路127に供給されることとなる。
【0201】
また、プロセッシング部66は、情報メモリバンク135を有している。この情報メモリバンク135には、レジスタ130に格納するための動作指定情報と、レジスタ131〜133に格納するためのタップ位置情報が予め蓄えられている。
【0202】
ここで、レジスタ130に格納するための動作指定情報として、情報メモリバンク135には、線順次変換回路129を525p信号を出力するように動作させるための第1の動作指定情報と、線順次変換回路129を1050i信号を出力するように動作させるための第2の動作指定情報とが予め蓄えられている。
【0203】
また、情報メモリバンク135には、レジスタ131に格納するための予測タップのタップ位置情報として、第1の変換方法(525p)に対応する第1のタップ位置情報と、第2の変換方法(1050i)に対応する第2のタップ位置情報とが予め蓄えられている。この情報メモリバンク135よりレジスタ131には、上述した変換方法の選択情報に従って第1のタップ位置情報又は第2のタップ位置情報がロードされる。
【0204】
また、情報メモリバンク135には、レジスタ132に格納するための空間クラスタップのタップ位置情報として、第1の変換方法(525p)に対応する第1のタップ位置情報と、第2の変換方法(1050i)に対応する第2のタップ位置情報とが予め蓄えられている。なお、第1及び第2のタップ位置情報は、それぞれ動きが比較的小さい場合のタップ位置情報と、動きが比較的大きい場合のタップ位置情報とからなっている。この情報メモリバンク135よりレジスタ132には、上述した変換方法の選択情報に従って第1のタップ位置情報又は第2のタップ位置情報がロードされる。
【0205】
また、情報メモリバンク135には、レジスタ133に格納するための動きクラスタップのタップ位置情報として、第1の変換方法(525p)に対応する第1のタップ位置情報と、第2の変換方法(1050i)に対応する第2のタップ位置情報とが予め蓄えられている。この情報メモリバンク135よりレジスタ133には、上述した変換方法の選択情報に従って第1のタップ位置情報又は第2のタップ位置情報がロードされる。
【0206】
また、情報メモリバンク135には、第1及び第2の変換方法のそれぞれに対応した各クラスの係数種データが予め蓄えられている。この係数種データは、上述した係数メモリ68に格納するための付加データを生成するための生成式の付加データである。
【0207】
後述する推定予測演算回路127では、予測タップのデータ(SD画素データ)xiと、係数メモリ68より読み出される付加データWiとから、(4)式の推定式によって、作成すべきHD画素データyが演算される。第1のタップ選択回路121で選択される予測タップが、図24及び図27に示すように10個であるとき、(4)式におけるnは10となる。
【0208】
【数3】
Figure 2004030867
【0209】
そして、この推定式の付加データWi(i=1〜n)は、(5)式に示すように、外部から入力され、あるいは、予め設定されたパラメータh,vを含む生成式によって生成される。情報メモリバンク135には、この生成式の付加データである係数種データw10〜wn9が、変換方法毎かつクラス毎に、記憶されている。この係数種データの生成方法については後述する。
【0210】
【数4】
Figure 2004030867
【0211】
また、プロセッシング部66は、各クラスの係数種データ及びパラメータh,vの値とを用い、(5)式によって、クラス毎に、パラメータh,vの値に対応した推定式の付加データWi(i=1〜n)を生成する係数生成回路136を有している。この係数生成回路136には、情報メモリバンク135より、上述した変換方法の選択情報に従って第1の変換方法又は第2の変換方法に対応した各クラスの係数種データがロードされる。また、この係数生成回路136には、システムコントローラ101より、パラメータh,vの値が供給される。
【0212】
この係数生成回路136で生成される各クラスの付加データWi(i=1〜n)は、上述した係数メモリ68に格納される。この係数生成回路136における各クラスの付加データWiの生成は、例えば各垂直ブランキング期間で行われる。これにより、パラメータh,vの値が変更されても、係数メモリ68に格納される各クラスの付加データWiを、そのパラメータh,vの値に対応したものに即座に変更でき、解像度の調整がスムーズに行われる。
【0213】
また、プロセッシング部66は、係数生成回路136で生成される各クラスの付加データWi(i=1〜n)に対応した正規化係数Sを、(6)式によって、演算する正規化係数生成回路137と、ここで生成された正規化係数Sを、クラス毎に格納する正規化係数メモリ138を有している。正規化係数メモリ138には上述したクラス合成回路126より出力されるクラスコードCLが読み出しアドレス情報として供給され、この正規化係数メモリ138からはクラスコードCLに対応した正規化係数Sが読み出され、後述する正規化演算回路128に供給されることとなる。
【0214】
【数5】
Figure 2004030867
【0215】
また、プロセッシング部66は、第1のタップ選択回路121で選択的に取り出される予測タップのデータ(SD画素データ)xiと、係数メモリ68より読み出される付加データWiとから、作成すべきHD信号の画素(注目画素)のデータを演算する推定予測演算回路127を有している。
【0216】
この推定予測演算回路127では、525p信号を出力する場合、上述した図24に示すように、奇数(o)フィールド及び偶数(e)フィールドで、525i信号のラインと同一位置のラインデータL1と、525i信号の上下のラインの中間位置のラインデータL2とを生成し、また各ラインの画素数を2倍とする必要がある。また、この推定予測演算回路127では、1050i信号を出力する場合、上述した図25に示すように、奇数(o)フィールド及び偶数(e)フィールドで、525i信号のラインに近い位置のラインデータL1,L1′と、525i信号のラインから遠い位置のラインデータL2,L2′とを生成し、また各ラインの画素数を2倍とする必要がある。
【0217】
従って、推定予測演算回路127では、HD信号を構成する4画素のデータが同時的に生成される。例えば、4画素のデータはそれぞれ付加データを異にする推定式を使用して同時的に生成されるものであり、係数メモリ68からはそれぞれの推定式の付加データが供給される。ここで、推定予測演算回路127では、予測タップのデータ(SD画素データ)xiと、係数メモリ68より読み出される付加データWiとから、上述の(4)式の推定式によって、作成すべきHD画素データyが演算される。
【0218】
また、プロセッシング部66は、推定予測演算回路127より出力されるラインデータL1,L2(L1′,L2′)を構成する各HD画素データyを、正規化係数メモリ138より読み出され、それぞれの生成に使用された付加データWi(i=1〜n)に対応した正規化係数Sで除算して正規化する正規化演算回路128を有している。上述せずも、係数生成回路136で係数種データより生成式で推定式の付加データを求めるものであるが、生成される付加データは丸め誤差を含み、付加データWi(i=1〜n)の総和が1.0になることは保証されない。そのため、推定予測演算回路127で演算されるHD画素データyは、丸め誤差によってレベル変動したものとなる。上述したように、正規化演算回路128で正規化することで、その変動を除去できる。
【0219】
また、プロセッシング部66は、水平周期を1/2倍とするライン倍速処理を行って、推定予測演算回路127より正規化演算回路128を介して供給されるラインデータL1,L2(L1′,L2′)を線順次化する線順次変換回路129を有している。
【0220】
図36は、525p信号を出力する場合のライン倍速処理をアナログ波形を用いて示すものである。上述したように、推定予測演算回路127によってラインデータL1,L2が生成される。ラインデータL1には順にa1,a2,a3,・・・のラインが含まれ、ラインデータL2には順にb1,b2,b3,・・・のラインが含まれる。線順次変換回路129は、各ラインのデータを時間軸方向に1/2に圧縮し、圧縮されたデータを交互に選択することによって、線順次出力a0,b0,a1,b1,・・・を形成する。
【0221】
なお、1050i信号を出力する場合には、奇数フィールド及び偶数フィールドでインタレース関係を満たすように、線順次変換回路129が線順次出力を発生する。したがって、線順次変換回路129は、525p信号を出力する場合と、1050i信号を出力する場合とで、その動作を切り換える必要がある。その動作指定情報は、上述したようにレジスタ130より供給される。
【0222】
次に、図23によりプロセッシング部66の動作を説明する。
【0223】
バッファメモリ67に記憶されているSD信号(525i信号)より、第2のタップ選択回路122で、空間クラスタップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。この場合、第2のタップ選択回路122では、レジスタ132より供給される、予め選択された変換方法、及び動きクラス検出回路125で検出される動きクラスに対応したタップ位置情報に基づいて、タップの選択が行われる。
【0224】
この第2のタップ選択回路122で選択的に取り出される空間クラスタップのデータ(SD画素データ)は空間クラス検出回路124に供給される。この空間クラス検出回路124では、空間クラスタップのデータとしての各SD画素データに対してADRC処理が施されて空間クラス(主に空間内の波形表現のためのクラス分類)のクラス情報としての再量子化コードQiが得られる((1)式参照)。
【0225】
また、バッファメモリ67に記憶されているSD信号(525i信号)より、第3のタップ選択回路123で、動きクラスタップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。この場合、第3のタップ選択回路123では、レジスタ133より供給される、予め選択された変換方法に対応したタップ位置情報に基づいて、タップの選択が行われる。
【0226】
この第3のタップ選択回路123で選択的に取り出される動きクラスタップのデータ(SD画素データ)は動きクラス検出回路125に供給される。この動きクラス検出回路125では、動きクラスタップのデータとしての各SD画素データより動きクラス(主に動きの程度を表すためのクラス分類)のクラス情報MVが得られる。
【0227】
この動き情報MVと上述した再量子化コードQiはクラス合成回路126に供給される。このクラス合成回路126では、これら動き情報MVと再量子化コードQiとから、作成すべきHD信号(525p信号又は1050i信号)の画素(注目画素)が属するクラスを示すクラスコードCLが得られる((3)式参照)。そして、このクラスコードCLは、係数メモリ68及び正規化係数メモリ138に読み出しアドレス情報として供給される。
【0228】
係数メモリ68には、例えば各垂直ブランキング期間に、予め設定されたパラメータh,vの値及び変換方法に対応した各クラスの推定式の付加データWi(i=1〜n)が係数生成回路136で生成されて格納される。また、正規化係数メモリ138には、上述したように係数生成回路136で生成された各クラスの付加データWi(i=1〜n)に対応した正規化係数Sが正規化係数生成回路137で生成されて格納される。
【0229】
係数メモリ68に上述したようにクラスコードCLが読み出しアドレス情報として供給されることで、この係数メモリ68からクラスコードCLに対応した付加データWiが読み出されて推定予測演算回路127に供給される。また、バッファメモリ67に記憶されているSD信号(525i信号)より、第1のタップ選択回路121で、予測タップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。この場合、第1のタップ選択回路121では、レジスタ131より供給される、予め選択された変換方法に対応したタップ位置情報に基づいて、タップの選択が行われる。この第1のタップ選択回路121で選択的に取り出される予測タップのデータ(SD画素データ)xiは推定予測演算回路127に供給される。
【0230】
推定予測演算回路127では、予測タップのデータ(SD画素データ)xiと、係数メモリ68より読み出される付加データWiとから、作成すべきHD信号の画素(注目画素)のデータ(HD画素データ)yが演算される((4)式参照)。この場合、HD信号を構成する4画素のデータが同時的に生成される。
【0231】
これにより、525p信号を出力する第1の変換方法が選択されているときは、奇数(o)フィールド及び偶数(e)フィールドで、525i信号のラインと同一位置のラインデータL1と、525i信号の上下のラインの中間位置のラインデータL2とが生成される(図24参照)。また、1050i信号を出力する第2の変換方法が選択されているときは、奇数(o)フィールド及び偶数(e)フィールドで、525i信号のラインに近い位置のラインデータL1,L1′と、525i信号のラインから遠い位置のラインデータL2,L2′とが生成される(図25参照)。
【0232】
このように、推定予測演算回路127で生成されたラインデータL1,L2(L1′,L2′)は、正規化演算回路128に供給される。正規化係数メモリ138に上述したようにクラスコードCLが読み出しアドレス情報として供給されることで、この正規化係数メモリ138からクラスコードCLに対応した正規化係数S、つまり推定予測演算回路127より出力されるラインデータL1,L2(L1′,L2′)を構成する各HD画素データyの生成に使用された付加データWi(i=1〜n)に対応した正規化係数Sが読み出されて推定予測演算回路127に供給される。正規化演算回路128では、推定予測演算回路127より出力されるラインデータL1,L2(L1′,L2′)を構成する各HD画素データyがそれぞれ対応する正規化係数Sで除算されて正規化される。これにより、係数種データを用いて生成式((5)式参照)で推定式((4)式参照)の付加データを求める際の丸め誤差による注目点の情報データのレベル変動が除去される。
【0233】
このように正規化演算回路128で正規化されたラインデータL1,L2(L1′,L2′)は、線順次変換回路129に供給される。そして、この線順次変換回路129では、ラインデータL1,L2(L1′,L2′)が線順次化されてHD信号が生成される。この場合、線順次変換回路129は、レジスタ130より供給される、予め選択された変換方法に対応した動作指示情報に従った動作をする。そのため、第1の変換方法(525p)が選択されているときは、線順次変換回路129より525p信号が出力される。一方、第2の変換方法(1050i)が選択されているときは、線順次変換回路129より1050i信号が出力される。
【0234】
上述したように、係数生成回路136で、情報メモリバンク135よりロードされる係数種データを用いて、クラス毎に、パラメータh,vの値に対応した推定式の付加データWi(i=1〜n)が生成され、これが係数メモリ68に格納される。そして、この係数メモリ68より、クラスコードCLに対応して読み出される付加データWi(i=1〜n)を用いて推定予測演算回路127でHD画素データyが演算される。したがって、パラメータh,vの値を調整することで、HD信号によって得られる画像の水平及び垂直の画質を調整することができる。なお、この場合、調整されたパラメータh,vの値に対応した各クラスの付加データをその都度係数生成回路136で生成して使用するものであり、大量の付加データを格納しておくメモリを必要としない。
【0235】
上述したように、情報メモリバンク135には、係数種データが、変換方法毎かつクラス毎に、記憶されている。この係数種データは、予め学習によって生成されたものである。
【0236】
まず、この生成方法の一例について説明する。(5)式の生成式における付加データである係数種データw10〜wn9を求める例を示すものとする。
【0237】
ここで、以下の説明のため、(7)式のように、ti(i=0〜9)を定義する。
【0238】
t0=1,t1=v,t2=h,t3=v2,t4=vh,t5=h2,t6=v3,t7=v2h,t8=vh2,t9=h3・・・(7)
この(7)式を用いると、(5)式は、(8)式のように書き換えられる。
【0239】
【数6】
Figure 2004030867
【0240】
最終的に、学習によって未定係数wxyを求める。すなわち、変換方法毎かつクラス毎に、複数のSD画素データとHD画素データを用いて、二乗誤差を最小にする係数値を決定する。いわゆる最小二乗法による解法である。学習数をm、k(1≦k≦m)番目の学習データにおける残差をek、二乗誤差の総和をEとすると、(4)式及び(5)式を用いて、Eは(9)式で表される。ここで、xikはSD画像のi番目の予測タップ位置におけるk番目の画素データ、ykはそれに対応するk番目のHD画像の画素データを表している。
【0241】
【数7】
Figure 2004030867
【0242】
最小二乗法による解法では、(9)式のwxyによる偏微分が0になるようなwxyを求める。これは、(10)式で示される。
【0243】
【数8】
Figure 2004030867
【0244】
以下、(11)式、(12)式のように、Xipjq、Yipを定義すると、(10)式は、行列を用いて(13)式のように書き換えられる。
【0245】
【数9】
Figure 2004030867
【0246】
【数10】
Figure 2004030867
【0247】
この方程式は、一般に正規方程式と呼ばれている。この正規方程式は、掃き出し法(Gauss−Jordanの消去法)等を用いて、wxyについて解かれ、係数種データが算出される。
【0248】
図37は、上述した係数種データの生成方法の概念を示している。HD信号から複数のSD信号を生成する。例えば、HD信号からSD信号を生成する際に使用するフィルタの水平帯域と垂直帯域を可変するパラメータh,vをそれぞれ9段階に可変して、合計81種類のSD信号を生成している。このようにして生成した複数のSD信号とHD信号との間で学習を行って係数種データを生成する。
【0249】
図38は、上述した概念で係数種データを生成する係数種データ生成装置150の構成を示している。
【0250】
この係数種データ生成装置150は、教師信号としてのHD信号(525p信号/1050i信号)が入力される入力端子151と、このHD信号に対して水平及び垂直の間引き処理を行って、入力信号としてのSD信号を得るSD信号生成回路152とを有している。
【0251】
このSD信号生成回路152には、変換方法選択信号が制御信号として供給される。第1の変換方法(図23のプロセッシング部66で525i信号より525p信号を得る)が選択される場合、SD信号生成回路152では525p信号に対して間引き処理が施されてSD信号が生成される(図24参照)。一方、第2の変換方法(図23のプロセッシング部66で525i信号より1050i信号を得る)が選択される場合、SD信号生成回路152では1050i信号に対して間引き処理が施されてSD信号が生成される(図25参照)。
【0252】
また、SD信号生成回路152には、パラメータh,vが制御信号として供給される。このパラメータh,vに対応して、HD信号からSD信号を生成する際に使用するフィルタの水平帯域と垂直帯域とが可変される。ここで、フィルタの詳細について、幾つかの例を示す。
【0253】
例えば、フィルタを、水平帯域を制限する帯域フィルタと垂直帯域を制限する帯域フィルタとから構成することが考えられる。この場合、図39に示すように、パラメータh又はvの段階的な値に対応した周波数特性を設計し、逆フーリエ変換をすることにより、パラメータh又はvの段階的な値に対応した周波数特性を持つ1次元フィルタを得ることができる。
【0254】
また例えば、フィルタを、水平帯域を制限する1次元ガウシアンフィルタと垂直帯域を制限する1次元ガウシアンフィルタとから構成することが考えられる。この1次元ガウシアンフィルタは(14)式で示される。この場合、パラメータh又はvの段階的な値に対応して標準偏差σの値を段階的に変えることにより、パラメータh又はvの段階的な値に対応した周波数特性を持つ1次元ガウシアンフィルタを得ることができる。
【0255】
【数11】
Figure 2004030867
【0256】
また、例えば、フィルタを、パラメータh,vの両方で水平及び垂直の周波数特性が決まる2次元フィルタF(h,v)で構成することが考えられる。この2次元フィルタの生成方法は、上述した1次元フィルタと同様に、パラメータh,vの段階的な値に対応した2次元周波数特性を設計し、2次元の逆フーリエ変換をすることにより、パラメータh,vの段階的な値に対応した2次元周波数特性を持つ2次元フィルタを得ることができる。
【0257】
また、係数種データ生成装置150は、SD信号生成回路152より出力されるSD信号(525i信号)より、HD信号(1050i信号又は525p信号)に係る注目画素の周辺に位置する複数のSD画素のデータを選択的に取り出して出力する第1〜第3のタップ選択回路153〜155を有している。
【0258】
これら第1〜第3のタップ選択回路153〜155は、上述したプロセッシング部66の第1〜第3のタップ選択回路121〜123と同様に構成される。これら第1〜第3のタップ選択回路153〜155で選択されるタップは、タップ選択制御部156からのタップ位置情報によって指定される。
【0259】
タップ選択制御回路156には、変換方法選択信号が制御信号として供給される。第1の変換方法が選択される場合と第2の変換方法が選択される場合とで、第1〜第3のタップ選択回路153〜155に供給されるタップ位置情報が異なるようにされている。また、タップ選択制御回路156には後述する動きクラス検出回路158より出力される動きクラスのクラス情報MVが供給される。これにより、第2のタップ選択回路154に供給されるタップ位置情報が動きが大きいか小さいかによって異なるようにされる。
【0260】
また、係数種データ生成装置150は、第2のタップ選択回路154で選択的に取り出される空間クラスタップのデータ(SD画素データ)のレベル分布パターンを検出し、このレベル分布パターンに基づいて空間クラスを検出し、そのクラス情報を出力する空間クラス検出回路157を有している。この空間クラス検出回路157は、上述したプロセッシング部66の空間クラス検出回路124と同様に構成される。この空間クラス検出回路157からは、空間クラスタップのデータとしての各SD画素データ毎の再量子化コードQiが空間クラスを示すクラス情報として出力される。
【0261】
また、係数種データ生成装置150は、第3のタップ選択回路155で選択的に取り出される動きクラスタップのデータ(SD画素データ)より、主に動きの程度を表すための動きクラスを検出し、そのクラス情報MVを出力する動きクラス検出回路158を有している。この動きクラス検出回路158は、上述したプロセッシング部66の動きクラス検出回路125と同様に構成される。この動きクラス検出回路158では、第3のタップ選択回路155で選択的に取り出される動きクラスタップのデータ(SD画素データ)からフレーム間差分が算出され、さらにその差分の絶対値の平均値に対して閾値処理が行われて動きの指標である動きクラスが検出される。
【0262】
また、係数種データ生成装置150は、空間クラス検出回路157より出力される空間クラスのクラス情報としての再量子化コードQiと、動きクラス検出回路158より出力される動きクラスのクラス情報MVに基づき、HD信号(525p信号又は1050i信号)に係る注目画素が属するクラスを示すクラスコードCLを得るためのクラス合成回路159を有している。このクラス合成回路159も、上述したプロセッシング部66のクラス合成回路126と同様に構成される。
【0263】
また、係数種データ生成装置150は、入力端子151に供給されるHD信号より得られる注目画素データとしての各HD画素データyと、この各HD画素データyにそれぞれ対応して第1のタップ選択回路153で選択的に取り出される予測タップのデータ(SD画素データ)xiと、各HD画素データyにそれぞれ対応してクラス合成回路159より出力されるクラスコードCLとから、各クラス毎に、係数種データw10〜wn9を得るための正規方程式((13)式参照)を生成する正規方程式生成部160を有している。
【0264】
この場合、一個のHD画素データyとそれに対応するn個の予測タップ画素データとの組合せで学習データが生成されるが、SD信号生成回路152へのパラメータh,vが順次変更されていって水平及び垂直の帯域が段階的に変化した複数のSD信号が順次生成されていき、これにより正規方程式生成部160では多くの学習データが登録された正規方程式が生成される。
【0265】
ここで、HD信号と、そのHD信号から帯域が狭いフィルタを作用させて生成したSD信号との間で学習して算出した係数種データは、解像度の高いHD信号を得るためのものとなる。逆に、HD信号と、そのHD信号から帯域が広いフィルタを作用させて生成したSD信号との間で学習して算出した係数種データは解像度の低いHD信号を得るためのものとなる。上述したように複数のSD信号を順次生成して学習データを登録することで、連続した解像度のHD信号を得るための係数種データを求めることが可能となる。
【0266】
なお、第1のタップ選択回路153の前段に時間合わせ用の遅延回路を配置することで、この第1のタップ選択回路153から正規方程式生成部160に供給されるSD画素データxiのタイミング合わせを行うことができる。
【0267】
また、係数種データ生成装置150は、正規方程式生成部160でクラス毎に生成された正規方程式のデータが供給され、クラス毎に正規方程式を解いて、各クラスの係数種データw10〜wn9を求める係数種データ決定部161と、この求められた係数種データw10〜wn9を記憶する係数種メモリ162とを有している。係数種データ決定部161では、正規方程式が例えば掃き出し法などによって解かれて、付加データw10〜wn9が求められる。
【0268】
図38に示す係数種データ生成装置150の動作を説明する。入力端子151には教師信号としてのHD信号(525p信号又は1050i信号)が供給され、そしてこのHD信号に対してSD信号生成回路152で水平及び垂直の間引き処理が行われて入力信号としてのSD信号(525i信号)が生成される。
【0269】
この場合、第1の変換方法(図23のプロセッシング部66で525i信号より525p信号を得る)が選択される場合、SD信号生成回路152では525p信号に対して間引き処理が施されてSD信号が生成される。一方、第2の変換方法(図23のプロセッシング部66で525i信号より1050i信号を得る)が選択される場合、SD信号生成回路152では1050i信号に対して間引き処理が施されてSD信号が生成される。またこの場合、SD信号生成回路152にはパラメータh,vが制御信号として供給され、水平及び垂直の帯域が段階的に変化した複数のSD信号が順次生成されていく。
【0270】
このSD信号(525i信号)より、第2のタップ選択回路154で、HD信号(525p信号又は1050i信号)に係る注目画素の周辺に位置する空間クラスタップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。この第2のタップ選択回路154では、タップ選択制御回路156より供給される、選択された変換方法、及び動きクラス検出回路158で検出される動きクラスに対応したタップ位置情報に基づいて、タップの選択が行われる。
【0271】
この第2のタップ選択回路154で選択的に取り出される空間クラスタップのデータ(SD画素データ)は空間クラス検出回路157に供給される。この空間クラス検出回路157では、空間クラスタップのデータとしての各SD画素データに対してADRC処理が施されて空間クラス(主に空間内の波形表現のためのクラス分類)のクラス情報としての再量子化コードQiが得られる((1)式参照)。
【0272】
また、SD信号生成回路152で生成されたSD信号より、第3のタップ選択回路155で、HD信号に係る注目画素の周辺に位置する動きクラスタップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。この場合、第3のタップ選択回路155では、タップ選択制御回路156より供給される、選択された変換方法に対応したタップ位置情報に基づいて、タップの選択が行われる。
【0273】
この第3のタップ選択回路155で選択的に取り出される動きクラスタップのデータ(SD画素データ)は動きクラス検出回路158に供給される。この動きクラス検出回路158では、動きクラスタップのデータとしての各SD画素データより動きクラス(主に動きの程度を表すためのクラス分類)のクラス情報MVが得られる。
【0274】
この動き情報MVと上述した再量子化コードQiはクラス合成回路159に供給される。このクラス合成回路159では、これら動き情報MVと再量子化コードQiとから、HD信号(525p信号又は1050i信号)に係る注目画素が属するクラスを示すクラスコードCLが得られる((3)式参照)。
【0275】
また、SD信号生成回路152で生成されるSD信号より、第1のタップ選択回路153で、HD信号に係る注目画素の周辺に位置する予測タップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。この場合、第1のタップ選択回路153では、タップ選択制御回路156より供給される、選択された変換方法に対応したタップ位置情報に基づいて、タップの選択が行われる。
【0276】
そして、入力端子151に供給されるHD信号より得られる注目画素データとしての各HD画素データyと、この各HD画素データyにそれぞれ対応して第1のタップ選択回路153で選択的に取り出される予測タップのデータ(SD画素データ)xiと、各HD画素データyにそれぞれ対応してクラス合成回路159より出力されるクラスコードCLとから、正規方程式生成部160では、各クラス毎に、係数種データw10〜wn9を生成するための正規方程式((13)式参照)が生成される。
【0277】
そして、係数種データ決定部161でその正規方程式が解かれ、各クラス毎の係数種データw10〜wn9が求められ、その係数種データw10〜wn9はクラス別にアドレス分割された係数種メモリ162に記憶される。
【0278】
このように、図38に示す係数種データ生成装置150においては、図23のプロセッシング部66の情報メモリバンク135に記憶される各クラスの係数種データw10〜wn9を生成することができる。この場合、SD信号生成回路152では、選択された変換方法によって525p信号又は1050i信号を使用してSD信号(525i信号)が生成されるものであり、第1の変換方法(プロセッシング部66で525i信号より525p信号を得る)及び第2の変換方法(プロセッシング部66で525i信号より1050i信号を得る)に対応した係数種データを生成できる。
【0279】
次に、係数種データの生成方法の他の例について説明する。この例においても、上述した(5)式の生成式における付加データである係数種データw10〜wn9を求める例を示すものとする。
【0280】
図40は、この例の概念を示している。HD信号から複数のSD信号を生成する。例えば、HD信号からSD信号を生成する際に使用するフィルタの水平帯域と垂直帯域を可変するパラメータh,vをそれぞれ9段階に可変して、合計81種類のSD信号を生成する。このようにして生成した各SD信号とHD信号との間で学習を行って、(4)式の推定式の付加データWiを生成する。そして、各SD信号に対応して生成された付加データWiを使用して係数種データを生成する。
【0281】
まず、推定式の付加データの求め方を説明する。ここでは、(4)式の推定式の付加データWi(i=1〜n)を最小二乗法により求める例を示すものとする。一般化した例として、Xを入力データ、Wを付加データ、Yを予測値として、(15)式の観測方程式を考える。この(15)式において、mは学習データの数を示し、nは予測タップの数を示している。
【0282】
【数12】
Figure 2004030867
【0283】
(15)式の観測方程式により収集されたデータに最小二乗法を適用する。この(15)式の観測方程式をもとに、(16)式の残差方程式を考える。
【0284】
【数13】
Figure 2004030867
【0285】
(16)式の残差方程式から、各Wiの最確値は、(17)式のe2を最小にする条件が成り立つ場合と考えられる。すなわち、(18)式の条件を考慮すればよいわけである。
【0286】
【数14】
Figure 2004030867
【0287】
つまり、(18)式のiに基づくn個の条件を考え、これを満たす、W1,W2,・・・,Wnを算出すればよい。そこで、(16)式の残差方程式から、(19)式が得られる。さらに、(19)式と(15)式とから、(20)式が得られる。
【0288】
【数15】
Figure 2004030867
【0289】
そして、(16)式と(20)式とから、(21)式の正規方程式が得られる。
【0290】
【数16】
Figure 2004030867
【0291】
(21)式の正規方程式は、未知数の数nと同じ数の方程式を立てることが可能であるので、各Wiの最確値を求めることができる。この場合、掃き出し法等を用いて連立方程式を解くことになる。
【0292】
次に、各SD信号に対応して生成された付加データを使用して、係数種データの求め方を説明する。
【0293】
パラメータh,vに対応したSD信号を用いた学習による、あるクラスの付加データが、kvhiとなったとする。ここで、iは予測タップの番号である。このkvhiから、このクラスの係数種データを求める。
【0294】
各付加データWi(i=1〜n)は、係数種データw10〜wn9を使って、上述した(5)式で表現される。ここで、付加データWiに対して最小二乗法を使用することを考えると、残差は、(22)式で表される。
【0295】
【数17】
Figure 2004030867
【0296】
ここで、tjは、上述の(7)式に示されている。(22)式に最小二乗法を作用させると、(23)式が得られる。
【0297】
【数18】
Figure 2004030867
【0298】
ここで、Xjk,Yjをそれぞれ(24)式、(25)式のように定義すると、(23)式は(26)式のように書き換えられる。この(26)式も正規方程式であり、この式を掃き出し法等の一般解法で解くことにより、係数種データw10〜wn9を算出することができる。
【0299】
【数19】
Figure 2004030867
【0300】
図41は、図40に示す概念に基づいて係数種データを生成する係数種データ生成装置150′の構成を示している。この図41において、図40と対応する部分には同一符号を付し、その詳細説明は省略する。
【0301】
係数種データ生成装置150′は、入力端子151に供給されるHD信号より得られる注目画素データとしての各HD画素データyと、この各HD画素データyにそれぞれ対応して第1のタップ選択回路153で選択的に取り出される予測タップのデータ(SD画素データ)xiと、各HD画素データyにそれぞれ対応してクラス合成回路159より出力されるクラスコードCLとから、クラス毎に、付加データWi(i=1〜n)を得るための正規方程式((21)式参照)を生成する正規方程式生成部171を有している。
【0302】
この場合、一個のHD画素データyとそれに対応するn個の予測タップ画素データとの組合せで学習データが生成されるが、SD信号生成回路152へのパラメータh,vが順次変更されていって水平及び垂直の帯域が段階的に変化した複数のSD信号が順次生成されていき、HD信号と各SD信号との間でそれぞれ学習データの生成が行われる。これにより、正規方程式生成部171では、各SD信号のそれぞれ対応して、クラス毎に、付加データWi(i=1〜n)を得るための正規方程式が生成される。
【0303】
また、係数種データ生成装置150′は、正規方程式生成部171で生成された正規方程式のデータが供給され、その正規方程式を解いて、各SD信号にそれぞれ対応した各クラスの付加データWiを求める付加データ決定部172と、この各SD信号に対応した各クラスの付加データWiを使用して、クラス毎に、係数種データw10〜wn9を得るための正規方程式((26)式参照)を生成する正規方程式生成部173とを有している。
【0304】
また、係数種データ生成装置150′は、正規方程式生成部173でクラス毎に生成された正規方程式のデータが供給され、クラス毎に正規方程式を解いて、各クラスの係数種データw10〜wn9を求める係数種データ決定部174と、この求められた係数種データw10〜wn9を記憶する係数種メモリ162とを有している。
【0305】
図41に示す係数種データ生成装置150′のその他は、図38に示す係数種データ生成装置150と同様に構成される。
【0306】
図41に示す係数種データ生成装置150′の動作を説明する。入力端子151には教師信号としてのHD信号(525p信号又は1050i信号)が供給され、そしてこのHD信号に対してSD信号生成回路152で水平及び垂直の間引き処理が行われて入力信号としてのSD信号(525i信号)が生成される。
【0307】
この場合、第1の変換方法(図23のプロセッシング部66で525i信号より525p信号を得る)が選択される場合、SD信号生成回路152では525p信号に対して間引き処理が施されてSD信号が生成される。一方、第2の変換方法(図23のプロセッシング部66で525i信号より1050i信号を得る)が選択される場合、SD信号生成回路152では1050i信号に対して間引き処理が施されてSD信号が生成される。またこの場合、SD信号生成回路152にはパラメータh,vが制御信号として供給され、水平及び垂直の帯域が段階的に変化した複数のSD信号が順次生成されていく。
【0308】
このSD信号(525i信号)より、第2のタップ選択回路154で、HD信号(525p信号又は1050i信号)に係る注目画素の周辺に位置する空間クラスタップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。この第2のタップ選択回路154では、タップ選択制御回路156より供給される、選択された変換方法、及び動きクラス検出回路158で検出される動きクラスに対応したタップ位置情報に基づいて、タップの選択が行われる。
【0309】
この第2のタップ選択回路154で選択的に取り出される空間クラスタップのデータ(SD画素データ)は空間クラス検出回路157に供給される。この空間クラス検出回路157では、空間クラスタップのデータとしての各SD画素データに対してADRC処理が施されて空間クラス(主に空間内の波形表現のためのクラス分類)のクラス情報としての再量子化コードQiが得られる((1)式参照)。
【0310】
また、SD信号生成回路152で生成されたSD信号より、第3のタップ選択回路155で、HD信号に係る注目画素の周辺に位置する動きクラスタップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。この場合、第3のタップ選択回路155では、タップ選択制御回路156より供給される、選択された変換方法に対応したタップ位置情報に基づいて、タップの選択が行われる。
【0311】
この第3のタップ選択回路155で選択的に取り出される動きクラスタップのデータ(SD画素データ)は動きクラス検出回路158に供給される。この動きクラス検出回路158では、動きクラスタップのデータとしての各SD画素データより動きクラス(主に動きの程度を表すためのクラス分類)のクラス情報MVが得られる。
【0312】
この動き情報MVと上述した再量子化コードQiはクラス合成回路159に供給される。このクラス合成回路159では、これら動き情報MVと再量子化コードQiとから、HD信号(525p信号又は1050i信号)に係る注目画素が属するクラスを示すクラスコードCLが得られる((3)式参照)。
【0313】
また、SD信号生成回路152で生成されるSD信号より、第1のタップ選択回路153で、HD信号に係る注目画素の周辺に位置する予測タップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。この場合、第1のタップ選択回路153では、タップ選択制御回路156より供給される、選択された変換方法に対応したタップ位置情報に基づいて、タップの選択が行われる。
【0314】
そして、入力端子151に供給されるHD信号より得られる注目画素データとしての各HD画素データyと、この各HD画素データyにそれぞれ対応して第1のタップ選択回路153で選択的に取り出される予測タップのデータ(SD画素データ)xiと、各HD画素データyにそれぞれ対応してクラス合成回路159より出力されるクラスコードCLとから、正規方程式生成部171では、SD信号生成回路152で生成される各SD信号のそれぞれ対応して、クラス毎に、付加データWi(i=1〜n)を得るための正規方程式((21)式参照)が生成される。
【0315】
そして、付加データ決定部172でその正規方程式が解かれ、各SD信号にそれぞれ対応した各クラスの付加データWiが求められる。正規方程式生成部173では、この各SD信号にそれぞれ対応した各クラスの付加データWiから、クラス毎に、係数種データw10〜wn9を得るための正規方程式((26)式参照)が生成される。
【0316】
そして、係数種データ決定部174でその正規方程式が解かれ、各クラスの係数種データw10〜wn9が求められ、その係数種データw10〜wn9はクラス別にアドレス分割された係数種メモリ162に記憶される。
【0317】
このように、図41に示す係数種データ生成装置150′においても、図23のプロセッシング部66の情報メモリバンク135に記憶される各クラスの係数種データw10〜wn9を生成することができる。この場合、SD信号生成回路152では、選択された変換方法によって525p信号又は1050i信号を使用してSD信号(525i信号)が生成されるものであり、第1の変換方法(プロセッシング部66で525i信号より525p信号を得る)及び第2の変換方法(プロセッシング部66で525i信号より1050i信号を得る)に対応した係数種データを生成できる。
【0318】
なお、図23のプロセッシング部66では、付加データWi(i=1〜n)を生成するために(5)式の生成式を使用したが、例えば、(27)式、(28)式などを使用してもよく、さらに次数の異なった多項式や、他の関数で表現される式でも実現可能である。
【0319】
【数20】
Figure 2004030867
【0320】
また、図23のプロセッシング部66では、水平解像度を指定するパラメータhと垂直解像度を指定するパラメータvとを設定し、これらパラメータh,vの値を調整することで画像の水平及び垂直の解像度を調整し得るものを示したが、例えばノイズ除去度(ノイズ低減度)を指定するパラメータzを設け、このパラメータzの値を調整することで画像のノイズ除去度を調整し得るものも同様に構成することができる。
【0321】
この場合、付加データWi(i=1〜n)を生成する生成式として、例えば、(29)式、(30)式などを使用でき、さらに次数の異なった多項式や、他の関数で表現される式でも実現可能である。
【0322】
【数21】
Figure 2004030867
【0323】
なお、上述したようにパラメータzを含む生成式の付加データである係数種データは、上述したパラメータh,vを含む生成式の付加データである係数種データを生成する場合と同様に、図38に示す係数種データ生成装置150あるいは図41に示す係数種データ生成装置150′により生成できる。
【0324】
その場合、SD信号生成回路152には、パラメータzが制御信号として供給され、このパラメータzの値に対応して、HD信号からSD信号を生成する際に、SD信号に対するノイズ付加状態が段階的に可変される。このようにSD信号に対するノイズ付加状態を段階的に可変させて学習データを登録することで、連続したノイズ除去度を得るための係数種データを生成することができる。
【0325】
ここで、パラメータzの値に対応したノイズ付加方法の詳細について、幾つかの例を示す。
【0326】
例えば、図42中の(A)に示すように、SD信号に振幅レベルを段階的に変化させたノイズ信号を加えて、段階的にノイズレベルが変化するSD信号を生成する。
【0327】
また例えば、図42中の(B)に示すように、SD信号に一定振幅レベルのノイズ信号を加えるが、加える画面領域を段階的に可変する。
【0328】
さらに例えば、図42中の(C)に示すように、SD信号(1画面分)として、ノイズが含まれていないものと、ノイズが含まれているものとを用意する。そして、正規方程式を生成する際に、それぞれのSD信号に対して複数回の学習を行う。
【0329】
例えば、「ノイズ0」ではノイズなしのSD信号に対して100回の学習を行い、「ノイズi」ではノイズなしのSD信号に対して30回の学習を行うと共にノイズありのSD信号に対して70回の学習を行う。この場合、「ノイズi」の方がノイズ除去度が高い係数種データを算出する学習系になる。このように、ノイズなしとノイズありのSD信号に対する学習回数を段階的に変化させて学習を行うことにより、連続したノイズ除去度を得るための係数種データを得ることができる。
【0330】
この手法を、正規方程式の加算という形で実現することもできる。まず、「ノイズ0」〜「ノイズi」における推定式の付加データを算出するような学習を行う。このときの正規方程式は、上述した(21)式に示すようになる。ここで、Pij,Qjをそれぞれ(31)式、(32)式のように定義すると、(21)式は(33)式のように書き換えられる。ここで、xijはj番目の予測タップ位置のSD画素データのi番目の学習値、yiはHD画素データのi番目の学習値、Wiは係数を表している。
【0331】
【数22】
Figure 2004030867
【0332】
このような学習を用いて、ノイズなしのSD信号を学習した場合における、(33)式の左辺を〔P1ij〕、右辺を〔Q1i〕と定義し、同様に、ノイズありのSD信号を学習した場合における、(33)式の左辺を〔P2ij〕、右辺を〔Q2i〕と定義する。このような場合に、(34)式、(35)式のように、〔Paij〕、〔Qai〕を定義する。ただし、a(0≦a≦1)である。
【0333】
〔Paij〕=(1−a)〔P1ij〕+a〔P2ij〕 ・・・(34)
〔Qai〕=(1−a)〔Q1i〕 +a〔Q2i〕 ・・・(35)
ここで、a=0の場合の正規方程式は(36)式で表され、これは図42中のCの「ノイズ0」の場合の正規方程式と等価になり、a=0.7の場合は「ノイズi」の場合の正規方程式と等価になる。
【0334】
〔Paij〕〔Wi〕=〔Qai〕 ・・・(36)
このaを段階的に変化させて各ノイズレベルの正規方程式を作ることにより、目的とする係数種データを得ることができる。この場合、図41の係数種データ生成装置150′で説明したと同様に、各ノイズレベルの正規方程式よりそれぞれ付加データをWiを算出し、この各段階の付加データを使用して係数種データを求めることができる。
【0335】
また、各ノイズレベルの正規方程式を組み合わせることにより、上述した(13)式のような係数種データを得るための正規方程式を生成することも可能である。この手法については、以下に具体的に説明する。ここでは、上述した(30)式を用いて、係数種データを求める正規方程式を生成する場合を考える。
【0336】
予め、予め何種類かのパラメータzに対応したノイズレベルのSD信号を生成して学習を行い、上述した(34)式、(35)式に表される〔P〕、〔Q〕を用意しておく。それらを、〔Pnij〕、〔Qni〕と表す。また、また、上述した(7)式は、(37)式のように書き換えられる。
【0337】
t0=1,t1=z,t2=z2 ・・・(37)
この場合、上述した(24)式、(25)式は、それぞれ(38)式、(39)式のように書き換えられる。これらの式に対し、(40)式を解くことで、係数種データwijを求めることができる。ここで、予測タップの総数を表す変数はmに書き換えている。
【0338】
【数23】
Figure 2004030867
【0339】
また、図23のプロセッシング部66では、水平解像度を指定するパラメータhと垂直解像度を指定するパラメータvとを設定し、これらパラメータh,vの値を調整することで画像の水平及び垂直の解像度を調整し得るものを示したが、水平及び垂直の解像度を1個のパラメータで調整するように構成することもできる。例えば、水平及び垂直の解像度を指定する1個のパラメータrを設定する。この場合、例えば、r=1はh=1、v=1、r=2はh=2、v=2、・・・、あるいはr=1はh=1、v=2、r=2はh=2、v=3、・・・のような対応関係とされる。この場合、付加データWi(i=1〜n)を生成する生成式としては、rの多項式等が使用されることとなる。
【0340】
また、図23のプロセッシング部66では、水平解像度を指定するパラメータhと垂直解像度を指定するパラメータvとを設定し、これら複数種類のパラメータh,vの値を調整することで画像の水平及び垂直の解像度を調整し得るものを示したが、上述した水平及び垂直の解像度を指定するパラメータrと、上述ノイズ除去度(ノイズ低減度)を指定するパラメータzとを設定し、これら複数種類のパラメータr,zの値を調整することで、画像の水平及び垂直の解像度とノイズ除去度とを調整し得るものも同様に構成することができる。
【0341】
この場合、付加データWi(i=1〜n)を生成する生成式として、例えば、(41)式等を使用でき、さらに次数の異なった多項式や、他の関数で表現される式でも実現可能である。
【0342】
【数24】
Figure 2004030867
【0343】
パラメータr,zを含む生成式の付加データである係数種データは、上述したパラメータh,vを含む生成式の付加データである係数種データを生成する場合と同様に、図38に示す係数種データ生成装置150あるいは図41に示す係数種データ生成装置150′により生成できる。
【0344】
その場合、SD信号生成回路152には、パラメータr,zが制御信号として供給され、このパラメータr,zの値に対応して、HD信号からSD信号を生成する際に、SD信号の水平、垂直の帯域と、SD信号に対するノイズ付加状態とが段階的に可変される。
【0345】
図43は、パラメータr,zの値に対応したSD信号の生成例を示している。この例では、パラメータr,zはそれぞれ9段階に可変され、合計81種類のSD信号が生成される。なお、パラメータr,zを9段階よりもさらに多くの段階に可変するようにしてもよい。その場合には、算出される係数種データの精度は良くなるが、計算量は増えることとなる。
【0346】
また、図23のプロセッシング部66では、水平解像度を指定するパラメータhと垂直解像度を指定するパラメータvとを設定し、これら複数種類のパラメータh,vの値を調整することで画像の水平及び垂直の解像度を調整し得るものを示したが、これらパラメータh,vの他に、さらに上述したノイズ除去度(ノイズ低減度)を指定するパラメータzを設定し、これら複数種類のパラメータh,v,zの値を調整することで、画像の水平及び垂直の解像度とノイズ除去度とを調整し得るものも同様に構成することができる。
【0347】
この場合、付加データWi(i=1〜n)を生成する生成式として、例えば、(42)式等を使用でき、さらに次数の異なった多項式や、他の関数で表現される式でも実現可能である。
【0348】
【数25】
Figure 2004030867
【0349】
パラメータh,v,zを含む生成式の付加データである係数種データは、上述したパラメータh,vを含む生成式の付加データである係数種データを生成する場合と同様に、図38に示す係数種データ生成装置150あるいは図41に示す係数種データ生成装置150′により生成できる。
【0350】
その場合、SD信号生成回路152には、パラメータh,v,zが制御信号として供給され、このパラメータh,v,zの値に対応して、HD信号からSD信号を生成する際に、SD信号の水平、垂直の帯域と、SD信号に対するノイズ付加状態とが段階的に可変される。
【0351】
図44は、パラメータh,v,zの値に対応したSD信号の生成例を示している。この例では、パラメータh,v,zはそれぞれ9段階に可変され、合計729種類のSD信号が生成される。なお、パラメータh,v,zを9段階よりもさらに多くの段階に可変するようにしてもよい。その場合には、算出される係数種データの精度は良くなるが、計算量は増えることとなる。
【0352】
なお、図23のプロセッシング部66における処理を、例えば図45に示すような映像信号処理装置300によって、ソフトウェアで実現することも可能である。
【0353】
まず、図45に示す映像信号処理装置300について説明する。この映像信号処理装置300は、装置全体の動作を制御するCPU301と、このCPU301の動作プログラムや係数種データ等が格納されたROM(read only memory)302と、CPU301の作業領域を構成するRAM(random access memory)303とを有している。これらCPU301、ROM302及びRAM303は、それぞれバス304に接続されている。
【0354】
また、映像信号処理装置300は、外部記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)305と、フレキシブルディスク306をドライブするフレキシブルディスクドライブ(FDD)307とを有している。これらドライブ305,307は、それぞれバス304に接続されている。
【0355】
また、映像信号処理装置300は、インターネット等の通信網400に有線又は無線で接続する通信部308を有している。この通信部308は、インタフェース309を介してバス304に接続されている。
【0356】
また、映像信号処理装置300は、SD信号を入力するための入力端子314と、HD信号を出力するための出力端子315とを有している。入力端子314はインタフェース316を介してバス304に接続され、同様に出力端子315はインタフェース317を介してバス304に接続される。
【0357】
ここで、上述したようにROM302に処理プログラムや係数種データ等を予め格納しておく代わりに、例えばインターネットなどの通信網400より通信部308を介してダウンロードし、ハードディスクやRAM303に蓄積して使用することもできる。また、これら処理プログラムや係数種データ等をフレキシブルディスク306で提供するようにしてもよい。
【0358】
また、処理すべきSD信号を入力端子314より入力する代わりに、予めハードディスクに記録しておき、あるいはインターネットなどの通信網400より通信部308を介してダウンロードしてもよい。また、処理後のHD信号を出力端子315に出力する代わり、あるいはそれと並行してディスプレイ311に供給して画像表示をしたり、さらにはハードディスクに格納したり、通信部308を介してインターネットなどの通信網400に送出するようにしてもよい。
【0359】
図46のフローチャートを参照して、図45に示す映像信号処理装置300における、SD信号よりHD信号を得るため処理手順を説明する。
【0360】
まず、ステップST1で、処理を開始し、ステップST2で、SD画素データをフレーム単位又はフィールド単位で入力する。このSD画素データが入力端子314より入力される場合には、このSD画素データをRAM303に一時的に格納する。また、このSD画素データがハードディスクに記録されている場合には、ハードディスクドライブ307でこのSD画素データを読み出し、RAM303に一時的に格納する。そして、ステップST3で、入力SD画素データの全フレーム又は全フィールドの処理が終わっているか否かを判定する。処理が終わっているときは、ステップST4で、処理を終了する。一方、処理が終わっていないときは、ステップST5に進む。
【0361】
このステップST5では、画質指定値(例えばパラメータh,vの値など)を例えばRAM303より読み込む。そして、ステップST6で、読み込んだ画質指定値及び各クラスの係数種データを使用して、生成式(例えば(5)式)によって、各クラスの推定式((4)式参照)の付加データWiを生成する。
【0362】
次に、ステップST7で、ステップST2で入力されたSD画素データより、生成すべき各HD画素データに対応して、クラスタップ及び予測タップの画素データを取得する。そして、ステップST8で、入力されたSD画素データの全領域においてHD画素データを得る処理が終了したか否かを判定する。終了しているときは、ステップST2に戻り、次のフレーム又はフィールドのSD画素データの入力処理に移る。一方、処理が終了していないときは、ステップST9に進む。
【0363】
このステップST9では、ステップST7で取得されたクラスタップのSD画素データからクラスコードCLを生成する。そして、ステップST10で、そのクラスコードCLに対応した付加データと予測タップのSD画素データを使用して、推定式により、HD画素データを生成し、その後にステップST7に戻って、上述したと同様の処理を繰り返す。
【0364】
このように、図46に示すフローチャートに沿って処理をすることで、入力されたSD信号を構成するSD画素データを処理して、HD信号を構成するHD画素データを得ることができる。上述したように、このように処理して得られたHD信号は出力端子315に出力されたり、ディスプレイ311に供給されてそれによる画像が表示されたり、さらにはハードディスクドライブ305に供給されてハードディスクに記録されたりする。
【0365】
また、処理装置の図示は省略するが、図38の係数種データ生成装置150における処理を、ソフトウェアで実現することも可能である。
【0366】
図47のフローチャートを参照して、係数種データを生成するための処理手順を説明する。
【0367】
まず、ステップST21で、処理を開始し、ステップST22で、学習に使われる、画質パターン(例えば、パラメータh,vで特定される)を選択する。そして、ステップST23で、全ての画質パターンに対して学習が終わったか否かを判定する。全ての画質選択パターンに対して学習が終わっていないときは、ステップST24に進む。
【0368】
このステップST24では、既知のHD画素データをフレーム単位又はフィールド単位で入力する。そして、ステップST25で、全てのHD画素データについて処理が終了したか否かを判定する。終了したときは、ステップST22に戻って、次の画質パターンを選択して、上述したと同様の処理を繰り返す。一方、終了していないときは、ステップST26に進む。
【0369】
このステップST26では、ステップST24で入力されたHD画素データより、ステップST22で選択された画質パターンに基づいて、SD画素データを生成する。そして、ステップST27で、ステップST26で生成されたSD画素データより、ステップST24で入力された各HD画素データに対応して、クラスタップ及び予測タップの画素データを取得する。そして、ステップST28で、生成されたSD画素データの全領域において学習処理を終了しているか否かを判定する。学習処理を終了しているときは、ステップST24に戻って、次のHD画素データの入力を行って、上述したと同様の処理を繰り返し、一方、学習処理を終了していないときは、ステップST29に進む。
【0370】
このステップST29では、ステップST27で取得されたクラスタップのSD画素データからクラスコードCLを生成する。そして、ステップST30で、正規方程式((13)式参照)を生成する。その後に、ステップST27に戻る。
【0371】
また、ステップST23で、全ての画質パターンに対して学習が終わったときは、ステップST31に進む。このステップST31では、正規方程式を掃き出し法等で解くことによって各クラスの係数種データを算出し、ステップST32で、その係数種データをメモリに保存し、その後にステップST33で、処理を終了する。
【0372】
このように、図47に示すフローチャートに沿って処理をすることで、図38に示す係数種データ生成装置150と同様の手法によって、各クラスの係数種データを得ることができる。
【0373】
また、処理装置の図示は省略するが、図41の係数種データ生成装置150′における処理も、ソフトウェアで実現可能である。
【0374】
図48のフローチャートを参照して、係数種データを生成するための処理手順を説明する。
【0375】
まず、ステップST41で、処理を開始し、ステップST42で、学習に使われる、画質パターン(例えば、パラメータh,vで特定される)を選択する。そして、ステップST43で、全ての画質パターンに対する付加データの算出処理が終了したか否かを判定する。終了していないときは、ステップST44に進む。
【0376】
このステップST44では、既知のHD画素データをフレーム単位又はフィールド単位で入力する。そして、ステップST45で、全てのHD画素データについて処理が終了したか否かを判定する。終了していないときは、ステップST46で、ステップST44で入力されたHD画素データより、ステップST42で選択された画質パターンに基づいて、SD画素データを生成する。
【0377】
そして、ステップST47で、ステップST46で生成されたSD画素データより、ステップST44で入力された各HD画素データに対応して、クラスタップ及び予測タップの画素データを取得する。そして、ステップST48で、生成されたSD画素データの全領域において学習処理を終了しているか否かを判定する。学習処理を終了しているときは、ステップST44に戻って、次のHD画素データの入力を行って、上述したと同様の処理を繰り返し、一方、学習処理を終了していないときは、ステップST49に進む。
【0378】
このステップST49では、ステップST47で取得されたクラスタップのSD画素データからクラスコードCLを生成する。そして、ステップST50で、付加データを得るための正規方程式((21)式参照)を生成する。その後に、ステップST47に戻る。
【0379】
上述したステップST45で、全てのHD画素データについて処理が終了したときは、ステップST51で、ステップST50で生成された正規方程式を掃き出し法などで解いて、各クラスの付加データを算出する。その後に、ステップST42に戻って、次の画質パターンを選択して、上述したと同様の処理を繰り返し、次の画質パターンに対応した、各クラスの付加データを求める。
【0380】
また、上述のステップST43で、全ての画質パターンに対する付加データの算出処理が終了したときは、ステップST52に進む。このステップST52では、全ての画質パターンに対する付加データから、係数種データを求めるための正規方程式((26)式参照)を生成する。
【0381】
そして、ステップST53で、ステップST52で生成された正規方程式を掃き出し法等で解くことによって各クラスの係数種データを算出し、ステップST54で、その係数種データをメモリに保存し、その後にステップST55で、処理を終了する。
【0382】
このように、図48に示すフローチャートに沿って処理をすることで、図41に示す係数種データ生成装置150′と同様の手法によって、各クラスの係数種データを得ることができる。
【0383】
なお、上述の例においては、HD信号を生成する際の推定式として線形一次方程式を使用したものを挙げたが、これに限定されるものではなく、例えば推定式として高次方程式を使用するものであってもよい。
【0384】
また、上述実施の形態においては、SD信号(525i信号)をHD信号(525p信号又は1050i信号)に変換する例を示したが、本発明はそれに限定されるものでなく、推定式を使用して第1の映像信号を第2の映像信号に変換するその他の場合にも同様に適用できることは勿論である。
【0385】
また、上述の例においては、情報信号が映像信号である場合を示したが、この発明はこれに限定されない。例えば、情報信号が音声信号である場合にも、この発明を同様に適用することができる。
【0386】
上述のように、この「クラス分類適応処理」によれば、第1の情報信号を第2の情報信号に変換する際に使用される推定式の付加データを係数種データを用いて生成するものであり、第2の情報信号によって得られる出力の質、例えば画像の画質を無段階になめらかに調整することができる。この場合、出力の質を決めるパラメータに対応した各クラスの付加データをその都度係数種データを使用して生成できるため、大量の付加データを格納しておくメモリを必要とせず、メモリの節約を図ることができる。
【0387】
また、「クラス分類適応処理」によれば、係数種データを用いて生成された推定式の付加データの総和を求め、推定式を用いて生成された注目点の情報データをその総和で除算して正規化するものであり、係数種データを用いて生成式で推定式の付加データを求める際の丸め誤差による注目点の情報データのレベル変動を除去できる。
【0388】
〔本発明を適用したビジネスモデルについて〕
本発明を適用したビジネスモデルについて、図49に示すように、コンテンツ提供装置510、ディスク作成装置520及び複製装置530との関係において考える。コンテンツ提供装置510は、記録媒体に記録される情報を提供するものである。ディスク作成装置520は、情報の記録されていないディスク状記録媒体を作成するものである。複製装置530は、情報の記録されていないディスク状記録媒体に、コンテンツ提供装置510から提供される情報を記録するものである。ここで、これらコンテンツ提供装置510、ディスク作成装置520及び複製装置530は、それぞれが異なる主体(コンテンツ提供者、ディスク作成者及び複製者)によって所有され運用されているものとする。
【0389】
図50に示すように、ディスク作成装置(ディスク作成者)520は、ディスク状記録媒体を作成し、複製装置(複製者)530に対して、ディスク状記録媒体を提供する。ここで、複製装置(複製者)530に課金され、ディスク作成装置(ディスク作成者)520が徴収する。この課金には、ディスク状記録媒体の作成代金と、後のコンテンツ複製料が含まれている。
【0390】
そして、コンテンツ提供装置(コンテンツ提供者)510から複製装置(複製者)530に対して情報(コンテンツ)が提供され、情報の複製が行われる。ここで複製されるディスク状記録媒体は、基本情報及び付加情報が、上述したような本発明の内容にしたがって記録されたものである。ここで、ディスク作成装置(ディスク作成者)520に課金され、コンテンツ提供装置(コンテンツ提供者)510が徴収する。この課金には、コンテンツ複製料が含まれている。
【0391】
これにより、複製装置(複製者)530は、ディスク作成装置(ディスク作成者)520に対する料金を支払うのみであるが、ディスク作成装置(ディスク作成者)520のみならず、コンテンツ提供装置(コンテンツ提供者)510に対する支払も確保される。
【0392】
【発明の効果】
上述のように、本発明に係る記録媒体、再生装置及び方法においては、再生情報は、基本情報に対して高品質な情報となっているため、基本情報よりも情報量が多く、このままの状態で記録媒体に記録しようとすると、大量の記録媒体が必要となる。
【0393】
また、本発明に係る記録媒体製造装置及び方法において記録された情報を再生した再生情報は、基本情報に対して高品質な情報となっているため、基本情報よりも情報量が多く、このままの状態で記録媒体に記録しようとすると、大量の記録媒体が必要となる。
【0394】
すなわち、本発明は、記録されたデータの複写が困難となされた記録媒体、再生装置及び方法、記録媒体製造装置及び方法を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における記録媒体の構成を示す斜視図である。
【図2】上記記録媒体について複製を行う場合のフローチャートである。
【図3】上記記録媒体のデータをダウンロードする場合の構成を示す斜視図である。
【図4】上記記録媒体についてデータをダウンロードする場合のフローチャートである。
【図5】本発明におけるディスク状記録媒体のピットの構成を示す側面図である。
【図6】本発明におけるディスク状記録媒体であって2層の記録層を有するもの及び光学ピックアップ装置の構成を示す側面図である。
【図7】上記ディスク状記録媒体における付加データを示す側面図である。
【図8】本発明におけるディスク状記録媒体のピット及び光吸収層の構成を示す縦断面図である。
【図9】本発明におけるディスク状記録媒体の光磁気層及び光吸収層の構成を示す縦断面図である。
【図10】本発明におけるディスク状記録媒体のピット及び光磁気層の構成を示す平面図である。
【図11】本発明におけるディスク状記録媒体のピット及び光磁気層の構成の他の例を示す平面図である。
【図12】上記ディスク状記録媒体において基本データと付加データとが所定の相対アドレスを隔てている場合を示す平面図である。
【図13】本発明における再生装置の構成を示すブロック図である。
【図14】上記再生装置における光学ピックアップ装置の構成を示す側面図である。
【図15】上記光学ピックアップ装置の構成を示すブロック図である。
【図16】上記光学ピックアップ装置における光磁気信号検出部の構成を示すブロック図である。
【図17】本発明におけるディスク状記録媒体製造装置の構成を示すブロック図である。
【図18】上記ディスク状記録媒体製造装置の要部の構成を示すブロック図である。
【図19】本発明における記録装置の構成を示すブロック図である。
【図20】上記半導体装置の第1の実施の形態における構成を示すブロック図である。
【図21】上記半導体装置の要部の構成を示すブロック図である。
【図22】上記半導体装置の第2の実施の形態における構成を示すブロック図である。
【図23】クラス分類適応処理を行う再生装置の構成を示すブロック図である。
【図24】525i信号と525p信号の画素位置関係を説明するための図である。
【図25】525i信号と1050i信号の画素位置関係を説明するための図である。
【図26】525iと525pの画素位置関係と、予測タップの一例を示す図である。
【図27】525iと525pの画素位置関係と、予測タップの一例を示す図である。
【図28】525iと1050iの画素位置関係と、予測タップの一例を示す図である。
【図29】525iと1050iの画素位置関係と、予測タップの一例を示す図である。
【図30】525iと525pの画素位置関係と、空間クラスタップの一例を示す図である。
【図31】525iと525pの画素位置関係と、空間クラスタップの一例を示す図である。
【図32】525iと1050iの画素位置関係と、空間クラスタップの一例を示す図である。
【図33】525iと1050iの画素位置関係と、空間クラスタップの一例を示す図である。
【図34】525iと525pの画素位置関係と、動きクラスタップの一例を示す図である。
【図35】525iと1050iの画素位置関係と、動きクラスタップの一例を示す図である。
【図36】525p信号を出力する場合のライン倍速処理を説明するための図である。
【図37】係数種データの生成方法の一例の概念を示す図である。
【図38】係数種データ生成装置の構成例を示すブロック図である。
【図39】帯域フィルタの周波数特性の一例を示す図である。
【図40】係数種データの生成方法の他の例の概念を示す図である。
【図41】係数種データ生成装置の他の構成例を示すブロック図である。
【図42】ノイズ付加方法を説明するための図である。
【図43】SD信号(パラメータr,z)の生成例を示す図である。
【図44】SD信号(パラメータh,v,z)の生成例を示す図である。
【図45】ソフトウェアで実現するための映像信号処理装置の構成例を示すブロック図である。
【図46】映像信号の処理手順を示すフローチャートである。
【図47】係数種データ生成処理(その1)を示すフローチャートである。
【図48】係数種データ生成処理(その2)を示すフローチャートである。
【図49】本発明を適用したビジネスモデルを説明するためのブロック図である。
【図50】上記ビジネスモデルを説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 記録媒体、ディスク状記録媒体、6 ピット、7 段状部、11 光学ピックアップ装置、101 第1の記録層、102 第2の記録層

Claims (15)

  1. 基本データがピットによって記録されている記録層と、
    上記記録層のピットの一部に段状に形成された段状部と
    を備え、
    上記段状部からは、上記記録層とは異なる位置に合焦されるレーザ光を照射し、このレーザ光の反射光により、上記基本データに対する付加情報となる付加データが読み出され、
    上記基本データ及び上記付加データに基づいて所定の処理によって生成される再生情報が、該基本データから生成される基本情報に対して、より高品質な情報となる
    ことを特徴とする記録媒体。
  2. 上記記録層は、少なくとも第1の記録層及び第2の記録層が積層されて構成されており、
    上記段状部は、上記第1及び第2の記録層の各ピットの一部に形成され、該第1の記録層と第2の記録層との間に合焦されるレーザ光によって、上記付加データが読み出されることを特徴とする請求項請求項1記載の記録媒体。
  3. 上記基本情報は、映像情報であり、
    上記再生情報は、上記基本情報よりも空間的解像度が高いことによって高品質であることを特徴とする請求項1記載の記録媒体。
  4. 上記付加情報は、クラス分類適応処理により生成されたものであることを特徴とする請求項1記載の記録媒体。
  5. 基本データがピットによって記録されている記録層と、この記録層のピットの一部に段状に形成された段状部とを有し、上記記録層とは異なる位置に合焦されるレーザ光を照射しこのレーザ光の反射光により、上記段状部から上記基本データに対する付加情報となる付加データが読み出され、上記基本データ及び上記付加データに基づいて所定の処理によって生成される再生情報が、該基本データから生成される基本情報に対して、より高品質な情報となる記録媒体が装着され、
    上記記録媒体に対してレーザ光を照射する照射手段と、
    上記照射手段により照射されたレーザ光の上記記録媒体からの反射光を検出する検出手段と、
    上記検出手段による反射光の検出結果に基づいて、上記照射手段から照射されるレーザ光を上記記録媒体の記録層上に集光させる第1のモードと、該レーザ光を上記記録媒体の記録層とは異なる位置に集光させる第2のモードとを切り換えるフォーカス制御手段と、
    上記検出手段による反射光の検出結果に基づいて、上記照射手段から照射されるレーザ光の照射位置を上記記録媒体の記録トラック上とするトラッキング制御を行うトラッキング制御手段と、
    上記フォーカス制御手段が上記第1のモードを選択しているときに、上記検出手段による上記反射光の検出結果に基づいて、上記基本データから基本情報を復号する第1の復号手段と、
    上記フォーカス制御手段が上記第2のモードを選択しているときに、上記検出手段による上記反射光の検出結果に基づいて、上記付加データから上記付加情報を復号する第2の復号手段と、
    上記第1及び第2の復号手段により復号された基本情報及び付加情報に基づいて、上記再生情報を生成する再生手段と
    を備えたことを特徴とする再生装置。
  6. 上記フォーカス制御手段は、記録媒体からの反射光束に非点収差を生じさせこの非点収差の量及び方向をいわゆる4分割フォトセンサによって検出し、この非点収差の量に基づくフォーカスエラー信号を生成するものであって、
    上記第2のモードは、上記フォーカスエラー信号が0ではない一定の値になるようにフォーカスサーボをかけることにより実行されることを特徴とする請求項5記載の再生装置。
  7. 上記記録媒体の信号記録層は、少なくとも第1の記録層及び第2の記録層が積層されて構成され、上記段状部がこれら第1及び第2の記録層の各ピットの一部に形成され、該第1の記録層と第2の記録層との間に合焦されるレーザ光によって、上記付加データが読み出され、
    上記第2の復号手段は、上記フォーカス制御手段が上記第2のモードを選択して上記レーザ光を上記第1の記録層と上記第2の記録層との間に合焦させているときに、上記検出手段による上記反射光の検出結果に基づいて、上記付加データから上記付加情報を復号することを特徴とする請求項5記載の再生装置。
  8. 上記フォーカス制御手段は、記録媒体からの反射光束に非点収差を生じさせこの非点収差の量及び方向をいわゆる4分割フォトセンサによって検出し、この非点収差の量に基づくフォーカスエラー信号を生成するものであって、
    上記第2のモードは、上記フォーカスエラー信号が0ではない一定の値になるようにフォーカスサーボをかけることにより実行されることを特徴とする請求項5記載の再生装置。
  9. 基本データ及び付加データは、デジタルデータであることを特徴とする請求項5記載の再生装置。
  10. 基本データ及び付加データは、アナログデータであることを特徴とする請求項5記載の再生装置。
  11. 基本データがピットによって記録されている記録層と、この記録層のピットの一部に段状に形成された段状部とを有し、上記記録層とは異なる位置に合焦されるレーザ光を照射しこのレーザ光の反射光により、上記段状部から上記基本データに対する付加情報となる付加データが読み出され、上記基本データ及び上記付加データに基づいて所定の処理によって生成される再生情報が、該基本データから生成される基本情報に対して、より高品質な情報となる記録媒体から情報を再生する方法であって、
    上記記録媒体に対してレーザ光を照射し、
    上記レーザ光の上記記録媒体からの反射光を検出し、
    上記反射光の検出結果に基づいて、上記レーザ光を上記記録媒体の記録層上に集光させる第1のモードと、該レーザ光を上記記録媒体の記録層とは異なる位置に集光させる第2のモードとを切り換え、
    上記第1のモードを選択しているときに、上記反射光の検出結果に基づいて、上記基本データから基本情報を復号し、
    上記第2のモードを選択しているときに、上記反射光の検出結果に基づいて、上記付加データから上記付加情報を復号する
    ことを特徴とする再生方法。
  12. 基本情報を符号化して基本データを出力するとともに、該基本データに対する付加情報を符号化して付加データを出力する符号化手段と、
    上記基本データを記録媒体の記録層にピットによって記録する場合の該ピットの形状を演算するとともに、該記録層に形成される段状部によって上記付加データを記録する場合の該段状部の形状を演算し、これら演算結果に基づいて、該ピット及び段状部が形成された記録層に対して該記録層とは異なる位置に合焦するレーザ光束を照射した場合の反射光束を演算する反射光演算部と、
    上記反射光演算部により演算された反射光束から読み出されるデータと上記付加データとを比較する比較手段と、
    上記比較手段による比較結果に基づいて、上記付加データを制御して上記段差部の形状を修正し、上記反射光演算部により演算される反射光束から読み出されるデータと上記付加データとを一致させる付加データ制御手段と、
    上記基本データと、上記付加データ制御手段により制御された付加データとを合成して合成データを生成する合成データ生成手段と、
    上記合成データ生成手段により生成された合成データに基づいて、マスタディスクの記録層に上記ピット及び上記段状部を形成する記録手段と
    を備えたことを特徴とする記録媒体製造装置。
  13. 上記反射光演算部においては、記録層は、少なくとも第1の記録層及び第2の記録層が積層されて構成されたものとし、上記レーザ光束は、これら第1及び第2の記録層の間に合焦するものとして演算を行い、
    記録手段は、第1のマスタディスクの記録層に、上記第1の記録層に形成される上記ピット及び上記段状部を形成し、第2のマスタディスクの記録層に、上記第2の記録層に形成される上記ピット及び上記段状部を形成する
    ことを特徴とする請求項12記載の記録媒体製造装置。
  14. 上記符号化手段は、デジタルデータである基本情報が入力され、この基本情報を誤り訂正符号化し、この誤り訂正符号化されたデータをEFM変調し、このEFM変調されたデータにサブコードを付加するコーディングすることにより基本データを生成することを特徴とする請求項13記載の記録媒体製造装置。
  15. 基本情報を符号化して基本データを得るとともに、該基本データに対する付加情報を符号化して付加データを得、
    上記基本データを記録媒体の記録層にピットによって記録する場合の該ピットの形状を演算するとともに、該記録層に形成される段状部によって上記付加データを記録する場合の該段状部の形状を演算し、これら演算結果に基づいて、該ピット及び段状部が形成された記録層に対して該記録層とは異なる位置に合焦するレーザ光束を照射した場合の反射光束を演算し、
    上記演算された反射光束から読み出されるデータと上記付加データとを比較し、
    上記比較結果に基づいて、上記付加データを制御して上記段差部の形状を修正し、上記反射光演算部により演算される反射光束から読み出されるデータと上記付加データとを一致させ、
    上記基本データと、上記制御された付加データとを合成して合成データを生成し、
    上記生成した合成データに基づいて、マスタディスクの記録層に上記ピット及び上記段状部を形成する
    ことを特徴とする記録媒体製造方法。
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