JP4066740B2 - 信号再生装置及び方法、信号記録装置及び方法、並びに符号列生成方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、信号再生装置及び方法、信号記録装置及び方法、並びに符号列生成方法及び装置に関するものであり、例えば、試し視聴が可能なように信号を符号化するとともに、その結果、試し視聴者が購入を決めれば、少ない情報量のデータを追加して高品質での再生や記録を可能にするような信号再生装置及び方法、信号記録装置及び方法、並びに符号列生成方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば音響などの信号を暗号化して放送したり、記録媒体に記録して、暗号解読用の鍵を購入した者に対してのみ、その視聴を許可するというコンテンツ(ソフトウェア)の流通方法が知られている。
【0003】
暗号化の方法としては、例えば、PCMの音響信号のビット列に対して鍵信号として乱数系列の初期値を与え、発生した0/1の乱数系列と上記PCMのビット列との排他的論理和をとったビット列を送信したり記録媒体に記録する方法が知られている。この方法を使用することにより、鍵信号を入手した者のみがその音響信号を正しく再生できるようにし、鍵信号を入手しなかった者は雑音しか再生できないようにすることができる。もちろん、暗号化方法としては、いわゆるDES(Data Encryption Standard)等のような、より複雑な方法を用いることも可能である。なお、DESの規格については、文献「Federal Information Processing Standards Publication 46,Specifications for the DATA ENCRYPTION STANDARD,1977, January 15」に、その内容が開示されている。
【0004】
一方、音響信号を圧縮して放送したり、記録媒体に記録する方法が、普及しており、符号化されたオーディオ或いは音声等の信号を記録可能な光磁気ディスク等の記録媒体が広く使用されている。
【0005】
オーディオ或いは音声等の信号の高能率符号化の手法には種々あるが、例えば、時間軸上のオーディオ信号等をブロック化しないで、複数の周波数帯域に分割して符号化する非ブロック化周波数帯域分割方式である、帯域分割符号化(サブ・バンド・コーディング:SBC)や、時間軸の信号を周波数軸上の信号に変換(スペクトル変換)して複数の周波数帯域に分割し、各帯域毎に符号化するブロック化周波数帯域分割方式、いわゆる変換符号化等を挙げることができる。また、上述の帯域分割符号化と変換符号化とを組み合わせた高能率符号化の手法も考えられており、この場合には、例えば、上記帯域分割符号化で帯域分割を行った後、該各帯域毎の信号を周波数軸上の信号にスペクトル変換し、このスペクトル変換された各帯域毎に符号化が施される。
【0006】
ここで、上述したフィルタとして、例えばQMFフィルタがあり、このQMFフィルタについては、文献「1976, R.E.Crochiere, Digital coding of speech in subbands, Bell Syst. Tech. J. Vol.55, No.8, 1976」 に述べられている。
また、文献「ICASSP 83, BOSTON, Polyphase Quadrature filters-A new subband coding technique, Joseph H. Rothweiler」には、等バンド幅のフィルタ分割手法が述べられている。
【0007】
また、上述したスペクトル変換としては、例えば、入力オーディオ信号を所定単位時間(フレーム)でブロック化し、当該ブロック毎に離散フーリエ変換(DFT)、離散コサイン変換(DCT)、モディファイドDCT(MDCT)等を行うことで時間軸を周波数軸に変換するようなスペクトル変換がある。MDCTについては、文献「ICASSP, 1987, Subband/Transform Coding Using Filter Bank Designs Based on Time Domain Aliasing Cancellation, J.P.Princen, A.B.Bradley, Univ. of Surrey Royal Melbourne Inst. of Tech.」 に述べられている。
【0008】
波形信号をスペクトルに変換する方法として、上述のDFTやDCTを使用した場合には、M個のサンプルからなる時間ブロックで変換を行うとM個の独立な実数データが得られる。時間ブロック間の接続歪みを軽減するために、通常、両隣のブロックとそれぞれM1個のサンプルずつオーバーラップさせるので、平均して、DFTやDCTでは(M−M1)個のサンプルに対してM個の実数データを量子化して符号化することになる。
【0009】
これに対してスペクトルに変換する方法として上述のMDCTを使用した場合には、両隣の時間とM個ずつオーバーラップさせた2M個のサンプルから、独立なM個の実数データが得られるので、平均して、MDCTではM個のサンプルに対してM個の実数データを量子化して符号化することになる。復号装置においては、このようにしてMDCTを用いて得られた符号から各ブロックにおいて逆変換を施して得られた波形要素を互いに干渉させながら加え合わせることにより、波形信号を再構成することができる。
【0010】
一般に変換のための時間ブロックを長くすることによって、スペクトルの周波数分解能が高まり、特定のスペクトル成分にエネルギーが集中する。したがって、両隣のブロックと半分ずつオーバーラップさせて長いブロック長で変換を行い、しかも得られたスペクトル信号の個数が、元の時間サンプルの個数に対して増加しないMDCTを使用することにより、DFTやDCTを使用した場合よりも効率の良い符号化を行うことが可能となる。また、隣接するブロック同士に十分長いオーバーラップを持たせることによって、波形信号のブロック間歪みを軽減することもできる。
【0011】
このようにフィルタやスペクトル変換によって帯域毎に分割された信号を量子化することにより、量子化雑音が発生する帯域を制御することができ、マスキング効果などの性質を利用して聴覚的により高能率な符号化を行なうことができる。また、ここで量子化を行なう前に、各帯域毎に、例えばその帯域における信号成分の絶対値の最大値で正規化を行なうようにすれば、さらに高能率な符号化を行なうことができる。
【0012】
周波数帯域分割された各周波数成分を量子化する場合の周波数分割幅としては、例えば人間の聴覚特性を考慮した帯域分割が行われる。すなわち、一般に臨界帯域(クリティカルバンド)と呼ばれている高域程帯域幅が広くなるような帯域幅で、オーディオ信号を複数(例えば25バンド)の帯域に分割することがある。また、この時の各帯域毎のデータを符号化する際には、各帯域毎に所定のビット配分或いは、各帯域毎に適応的なビット割当て(ビットアロケーション)による符号化が行われる。例えば、上記MDCT処理されて得られた係数データを上記ビットアロケーションによって符号化する際には、上記各ブロック毎のMDCT処理により得られる各帯域毎のMDCT係数データに対して、適応的な割当てビット数で符号化が行われることになる。
【0013】
このようなビット割当手法としては、次の2手法が知られている。すなわち、先ず文献「Adaptive Transform Coding of Speech Signals, R. Zelinski and P. Noll, IEEE Transactions of Acoustics, Speech, and Signal Processing, vol.ASSP-25, No.4, August 1977」では、各帯域毎の信号の大きさをもとに、ビット割当を行なっている。この方式では、量子化雑音スペクトルが平坦となり、雑音エネルギー最小となるが、聴感覚的にはマスキング効果が利用されていないために実際の雑音感は最適ではない。また、文献「ICASSP 1980, The critical band coder -- digital encoding of the perceptual requirements of the auditory system, M.A.Kransner MIT」 では、聴覚マスキングを利用することで、各帯域毎に必要な信号対雑音比を得て固定的なビット割当を行なう手法が述べられている。しかしこの手法ではサイン波入力で特性を測定する場合でも、ビット割当が固定的であるために特性値が、それほど良い値とならない。
【0014】
これらの問題を解決するために、ビット割当に使用できる全ビットが、各小ブロック毎にあらかじめ定められた固定ビット割当パターン分と、各ブロックの信号の大きさに依存したビット配分を行なう分に分割使用され、その分割比を入力信号に関係する信号に依存させ、前記信号のスペクトルが滑らかなほど前記固定ビット割当パターン分への分割比率を大きくする高能率符号化装置が提案されている。
【0015】
この方法によれば、サイン波入力のように、特定のスペクトルにエネルギーが集中する場合にはそのスペクトルを含むブロックに多くのビットを割り当てる事により、全体の信号対雑音特性を著しく改善することができる。一般に、急峻なスペクトル成分をもつ信号に対して人間の聴覚は極めて敏感であるため、このような方法を用いる事により、信号対雑音特性を改善することは、単に測定上の数値を向上させるばかりでなく、聴感上、音質を改善するのに有効である。
【0016】
ビット割り当ての方法にはこの他にも数多くのやり方が提案されており、さらに聴覚に関するモデルが精緻化され、符号化装置の能力があがれば聴覚的にみてより高能率な符号化が可能になる。これらの方法においては、計算によって求められた信号対雑音特性をなるべく忠実に実現するような実数のビット割り当て基準値を求め、それを近似する整数値を割り当てビット数とすることが一般的である。
【0017】
また、本件発明者等が先に提案した特願平5−152865号、又はWO94/28633の明細書及び図面においては、スペクトル信号から聴感上特に重要なトーン性の成分、すなわち特定の周波数周辺にエネルギーが集中している信号成分、を分離して、他のスペクトル成分とは別に符号化する方法が提案されており、これにより、オーディオ信号等を聴感上の劣化を殆ど生じさせずに高い圧縮率で効率的に符号化することが可能になっている。
【0018】
実際の符号列を構成するにあたっては、先ず、正規化および量子化が行なわれる帯域毎に量子化精度情報、正規化係数情報を所定のビット数で符号化し、次に、正規化および量子化されたスペクトル信号を符号化すればよい。また、
ISO/IEC 11172-3: 1993(E), 1993
では、帯域によって量子化精度情報を表すビット数が異なるように設定された高能率符号化方式が記述されており、高域になるにしたがって、量子化精度情報を表すビット数が小さくなるように規格化されている。
【0019】
量子化精度情報を直接符号化するかわりに、復号装置において、例えば、正規化係数情報から量子化精度情報を決定する方法も知られているが、この方法では、規格を設定した時点で正規化係数情報と量子化精度情報の関係が決まってしまうので、将来的にさらに高度な聴覚モデルに基づいた量子化精度の制御を導入することができなくなる。また、実現する圧縮率に幅がある場合には圧縮率毎に正規化係数情報と量子化精度情報との関係を定める必要が出てくる。
【0020】
量子化されたスペクトル信号を、例えば、文献「D.A.Huffman : A Method for Construction of Minimum Redundancy Codes, Proc.I.R.E., 40, p.1098 (1952)」に述べられている可変長符号を用いて符号化することによって、より効率的に符号化する方法も知られている。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のような方法で符号化された音響などの信号を暗号化して配布したり、記録媒体に記録して、鍵を購入した者に対してのみ、その視聴を許可するというソフトウェアコンテンツの流通方法が知られている。暗号化の方法としては、例えば、PCM(Pulse Code Moduration) の音響信号のビット列に対して、あるいは符号化された信号のビット列に対して、鍵信号として乱数系列の初期値を与え、発生した0/1の乱数系列と上記ビット列との排他的論理和をとったビット列を送信したり記録媒体に記録する方法が知られている。この方法を使用することにより、鍵信号を入手した者のみがその音響信号を正しく再生できるようにし、鍵信号を入手しなかった者は雑音しか再生できないようにすることができる。
【0022】
しかしながら、これらのスクランブル方法では、鍵が無い場合、あるいは通常の再生手段で再生させた場合には、それを再生させると雑音になってしまい、そのソフトの内容把握をすることはできない。このため、例えば、比較的低音質で音楽を記録したディスクを配布し、それを試聴した者が自分の気に入ったものに対してだけ鍵を購入して高音質で再生できるようにする、あるいはそのソフトを試聴してから高音質で記録されたディスクを新たに購入できるようにする、といった用途に利用することができなかった。
【0023】
また従来、高能率符号化を施した信号を暗号化する場合に、通常の再生手段にとって意味のある符号列を与えながら、その圧縮効率を下げないようにすることは困難であった。すなわち、前述のように、高能率符号を施してできた符号列にスクランブルをかけた場合、その符号列を再生しても雑音が発生するばかりではなく、スクランブルによってできた符号列が、元の高能率符号の規格に適合していない場合には、再生手段がまったく動作しないこともありうる。また逆に、PCM信号にスクランブルをかけた後、高能率符号化した場合には例えば聴覚の性質を利用して情報量を削っていると、その高能率符号化を解除した時点で、必ずしも、PCM信号にスクランブルをかけた信号が再現できるわけでは無いので、スクランブルを正しく解除することは困難なものになってしまう。このため、圧縮の方法としては効率は下がっても、スクランブルが正しく解除できる方法を選択する必要があった。
【0024】
これに対して、本発明者等により先に提案された特開平10−135944号公報に記載された技術によれば、例えば音楽信号をスペクトル信号に変換して符号化したもののうち、高域側のみを暗号化して狭帯域の信号であれば、鍵が無くても試聴が可能なオーディオ符号化方式が開示されている。すなわち、この方式では例えば、高域側を暗号化するとともに、高域側のビット割り当て情報等をダミーデータに置き換え、高域側の真のビット割り当て情報は、通常のデコーダが無視する位置に記録している。この方式を採用すれば、例えば、試聴の結果、気に入った音楽だけを高音質で楽しむことが可能となる。
【0025】
ところで、上記特開平10−135944号公報に記載された技術においては、その安全性を暗号化のみに依存しているため、万一、暗号が解読された場合には、料金を徴収できないまま、高音質の音楽を聴くことができてしまう危険性がある。
【0026】
これに対して、高域側のような一部のデータを含まない低音質の試聴用のデータを無料あるいは低価格で提供し、気に入った音楽については少量の高音質化データを入手するだけで高音質化できるような方式が考えられているが、このような方式では、試し試聴の比較的低品質の音質に試聴者が満足してしまうと、高品質化のためのデータを購入してくれない恐れがある、という課題がある。
【0027】
本発明は、上述のような実情に鑑みて提案されたものであって、試し視聴が可能でありながら、比較的少量の追加データを入手するだけで高品質の信号再生が行え、さらに、試し視聴が可能な低品質のデータであっても、それのみでユーザが満足することを防止し得るような信号再生装置及び方法、信号記録装置及び方法、並びに符号列生成方法及び装置を提供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の問題点を考慮して提案されたものであり、音楽等のコンテンツに、例えば「試聴用データです。」といった短いメッセージを繰り返し重ね合わせた音楽等を符号化し、それを試聴したユーザがその曲の購入を決めた時には、メッセージを重ね合わせた部分の符号列に対しては、メッセージが含まれない音楽のみのデータの符号列で置き換えるようにしたものである。また、メッセージを重ね合わせる際の信号レベルを適切なものとして、メッセージがマスクされたりオーバーフローが生じたり、信号切換雑音が乗ったりする等の不具合を解消するようにしたものである。
【0029】
ここで、本件出願人は、先に、PCT/JP02/01106やPCT/JP02/01105(いずれも未公開)等において、試し視聴が可能なように、符号列の一部をダミーデータで置き換えたデータ(試し視聴データ)を配布し、帯域幅の狭い比較的低品質な再生音声や画像の再生を自由に行なわせ、その結果、その内容が気に入り、試し視聴者が購入を決めれば、ダミーデータを置き換える正しいデータ(高品質化データ)を受け取り、高品質での再生が楽しめるような技術を提案している。この場合、音楽信号を所定の長さのブロック毎にスペクトル係数に変換し、トーン性の成分とそれ以外の成分に分割し、トーン性成分はトーン性成分毎に正規化および再量子化し、それ以外の成分は所定の帯域毎に正規化および再量子化し、再量子化して得られたスペクトル信号を可変長符号を用いて低域側から符号化する際に、所定周波数以上にあるトーン性成分およびそれ以外の成分の正規化係数をダミーデータで置き換えるとともに、可変長符号化したスペクトル成分のうち、上記所定周波数以上にあるうちの低域側のスペクトル成分もダミーデータで置き換えるやり方が含まれている。このようにダミーデータを含む試聴用データ列に対して、ダミーデータを置き換える追加用データ列を入手し、両者を統合することにより、帯域の広い音楽信号を再生できるようになる。このような技術において、さらに、一部のフレーム列に対して、上述したような短いメッセージを繰り返し重ね合わせた音楽等を符号化しておき、それを試聴したユーザがその曲の購入を決めた時には、メッセージを重ね合わせた部分の符号列に対しては、メッセージが含まれない音楽のみのデータの符号列で置き換えるようにする。
【0030】
すなわち、本発明に係る信号再生装置は、原信号がフレーム単位で符号化されて得られる符号列を再生する信号再生装置において、第1のフレーム部分と、上記原信号に他の信号が合成された信号を符号化した符号列から成る第2のフレーム部分とを有する符号列を入力する符号列入力手段と、上記第2のフレーム部分を上記原信号の対応するフレーム部分を符号化した符号列で置き換える符号列書き換え手段と、上記第1のフレーム部分と上記符号列書き換え手段により置き換えられた符号列、又は、上記第1のフレーム部分と上記第2のフレーム部分とを復号する復号手段とを有し、上記第1のフレーム部分は、上記原信号の符号列の一部がダミーデータとされた第1の符号列から成り、上記符号列書き換え手段は、上記第2のフレーム部分を上記原信号の対応するフレーム部分を符号化した符号列で置き換えると共に、上記第1の符号列の上記ダミーデータの少なくとも一部を第2の符号列を用いて補完するものであり、上記復号手段は、上記補完された符号列又は上記第1の符号列と、上記置き換えられた符号列又は上記第2のフレームとを復号することを特徴とする。
【0031】
また、本発明に係る信号再生方法は、原信号がフレーム単位で符号化されて得られる符号列を再生する信号再生方法において、第1のフレーム部分と、上記原信号に他の信号が合成された信号を符号化した符号列から成る第2のフレーム部分とを有する符号列を入力する符号列入力工程と、上記第2のフレーム部分を上記原信号の対応するフレーム部分を符号化した符号列で置き換える符号列書き換え工程と、上記第1のフレーム部分と上記符号列書き換え工程により置き換えられた符号列、又は、上記第1のフレーム部分と上記第2のフレーム部分とを復号する復号工程とを有し、上記第1のフレーム部分は、上記原信号の符号列の一部がダミーデータとされた第1の符号列から成り、上記第1の符号列の上記ダミーデータの少なくとも一部を第2の符号列を用いて補完する補完工程を有し、上記復号工程では、上記補完工程により補完された符号列又は上記第1の符号列と、上記置き換えられた符号列又は上記第2のフレームとを復号することを特徴とする。
【0032】
また、本発明に係る信号記録装置は、原信号がフレーム単位で符号化されて得られる符号列を記録する信号記録装置において、第1のフレーム部分と、上記原信号に他の信号が合成された信号を符号化した符号列から成る第2のフレーム部分とを有する符号列を入力する符号列入力手段と、上記第2のフレーム部分を上記原信号の対応するフレーム部分を符号化した符号列で置き換える符号列書き換え手段とを有することを特徴とする。
また、本発明に係る信号記録方法は、原信号がフレーム単位で符号化されて得られる符号列を記録する信号記録方法において、第1のフレーム部分と、上記原信号に他の信号が合成された信号を符号化した符号列から成る第2のフレーム部分とを有する符号列を入力する符号列入力工程と、上記第2のフレーム部分を上記原信号の対応するフレーム部分を符号化した符号列で置き換える符号列書き換え工程とを有することを特徴とする。
【0033】
また、本発明に係る符号列生成方法は、原信号がフレーム単位で符号化されて得られる符号列を生成する符号列生成方法において、第1のフレーム部分と、上記原信号に他の信号が合成された信号を符号化した符号列から成る第2のフレーム部分とを有する符号列を生成する符号列生成工程を有し、上記第1のフレーム部分は、上記原信号の符号列の一部がダミーデータとされた第1の符号列から成り、上記符号列生成工程は、上記原信号を符号化することにより所定フォーマットの符号列を生成する符号化工程と、上記所定フォーマットの符号列の一部をダミーデータに書き換えて第1の符号列を生成する第1の符号列生成工程と、上記第1の符号列の少なくとも一部を補完するための第2の符号列を生成する第2の符号列生成工程とを有することを特徴とする。
さらに、本発明に係る符号列生成装置は、原信号がフレーム単位で符号化されて得られる符号列を生成する符号列生成装置において、第1のフレーム部分と、上記原信号に他の信号が合成された信号を符号化した符号列から成る第2のフレーム部分とを有する符号列を生成する符号列生成手段を有し、上記第1のフレーム部分は、上記原信号の符号列の一部がダミーデータとされた第1の符号列から成り、上記符号列生成手段は、上記原信号を符号化することにより所定フォーマットの符号列を生成する符号化手段と、上記所定フォーマットの符号列の一部をダミーデータに書き換えて第1の符号列を生成する第1の符号列生成手段と、上記第1の符号列の少なくとも一部を補完するための第2の符号列を生成する第2の符号列生成手段とを有することを特徴とする。
【0035】
ここで、上記第1のフレーム部分は、上記原信号の符号列の一部がダミーデータとされた第1の符号列から成ることが挙げられる。上記他の信号はメッセージ信号であることが挙げられ、上記第2のフレーム部分を置き換える上記原信号を符号化した符号列は暗号化されていることが挙げられ、また、上記第2のフレーム部分は、所定の間隔毎に与えられることが挙げられる。
【0036】
また、上記符号化においては、入力信号をスペクトル変換し、帯域分割して、各帯域毎の量子化精度情報、正規化係数情報、及びスペクトル係数情報を含む所定フォーマットの符号列を生成し、上記ダミーデータは、上記スペクトル係数情報の一部に対応するものを含むことが挙げられる。
【0037】
さらに、音楽信号とメッセージ信号をそのまま重ね合わせた場合、音楽信号のレベルが高いと、メッセージ信号が音楽信号によってマスクされてしまい、メッセージ信号を明瞭に聞き取れないという問題点があり、また、レベルの高い二つの音楽信号を単純に足し合わせると、レベルのレンジをオーバーフローを起こしてしまう場合があり、オーバーフローを起こした場合にはレベルの最大値または最小値で置き換えるという方法をとっても、ブチブチといった雑音がのってしまう場合があるという問題点があることを考慮し、本発明においては、メッセージ信号を重ね合わせる箇所において、元のオーディオ信号のレベルを下げてメッセージ信号を重ね合わせることによって上記のメッセージがマスクされたりオーバーフローが発生するような問題点を解決し、さらにこのレベルの変化を急激に行なうのではなく、滑らかにレベル変化をさせることにより、レベルが急激に変化する場合に生じるプチッといったような雑音が発生することを防止する。
【0039】
また、本発明に係る信号重畳符号化方法及び装置は、第1の信号の少なくとも一部分に対してメッセージ信号を重畳し、重畳された信号を符号化する際に、上記第1の信号にメッセージ信号を重畳する部分の少なくとも一部では、上記第1の信号に対する第1の合成係数R1と、上記メッセージ信号に対する第2の合成係数R2について、
|R1|<|R2|
の関係を満足することを特徴とする。
【0040】
【発明の実施の形態】
先ず、本発明に係る実施の形態を説明するに先立ち、本発明の実施の形態の説明に供する一般の圧縮データ記録再生装置としての光ディスク記録再生装置について、図面を参照しながら説明する。
【0041】
図1は、光ディスク記録再生装置の一例を示すブロック図である。この図1に示す装置において、先ず記録媒体としては、スピンドルモータ51により回転駆動される光磁気ディスク1が用いられる。光磁気ディスク1に対するデータの記録時には、例えば光学ヘッド53によりレーザ光を照射した状態で記録データに応じた変調磁界を磁気ヘッド54により印加することによって、いわゆる磁界変調記録を行い、光磁気ディスク1の記録トラックに沿ってデータを記録する。また再生時には、光磁気ディスク1の記録トラックを光学ヘッド53によりレーザ光でトレースして磁気光学的に再生を行う。
【0042】
光学ヘッド53は、例えば、レーザダイオード等のレーザ光源、コリメータレンズ、対物レンズ、偏光ビームスプリッタ、シリンドリカルレンズ等の光学部品及び所定パターンの受光部を有するフォトディテクタ等から構成されている。この光学ヘッド53は、光磁気ディスク1を介して上記磁気ヘッド54と対向する位置に設けられている。光磁気デイスク1にデータを記録するときには、後述する記録系のヘッド駆動回路66により磁気ヘッド54を駆動して記録データに応じた変調磁界を印加すると共に、光学ヘッド53により光磁気ディスク1の目的トラックにレーザ光を照射することによって、磁界変調方式により熱磁気記録を行う。またこの光学ヘッド53は、目的トラックに照射したレーザ光の反射光を検出し、例えばいわゆる非点収差法によりフォーカスエラーを検出し、例えばいわゆるプッシュプル法によりトラッキングエラーを検出する。光磁気ディスク1からデータを再生するとき、光学ヘッド53は上記フォーカスエラーやトラッキングエラーを検出すると同時に、レーザ光の目的トラックからの反射光の偏光角(カー回転角)の違いを検出して再生信号を生成する。
【0043】
光学ヘッド53の出力は、RF回路55に供給される。このRF回路55は、光学ヘッド53の出力から上記フォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号を抽出してサーボ制御回路56に供給するとともに、再生信号を2値化して後述する再生系のデコーダ71に供給する。
【0044】
サーボ制御回路56は、例えばフォーカスサーボ制御回路やトラッキングサーボ制御回路、スピンドルモータサーボ制御回路、スレッドサーボ制御回路等から構成される。上記フォーカスサーボ制御回路は、上記フォーカスエラー信号がゼロになるように、光学ヘッド53の光学系のフォーカス制御を行う。また上記トラッキングサーボ制御回路は、上記トラッキングエラー信号がゼロになるように光学ヘッド53の光学系のトラッキング制御を行う。さらに上記スピンドルモータサーボ制御回路は、光磁気ディスク1を所定の回転速度(例えば一定線速度)で回転駆動するようにスピンドルモータ51を制御する。また、上記スレッドサーボ制御回路は、システムコントローラ57により指定される光磁気ディスク1の目的トラック位置に光学ヘッド53及び磁気ヘッド54を移動させる。このような各種制御動作を行うサーボ制御回路56は、該サーボ制御回路56により制御される各部の動作状態を示す情報をシステムコントローラ57に送る。
【0045】
システムコントローラ57にはキー入力操作部58や表示部59が接続されている。このシステムコントローラ57は、キー入力操作部58による操作入力情報により操作入力情報により記録系及び再生系の制御を行う。またシステムコントローラ57は、光磁気ディスク1の記録トラックからヘッダタイムやサブコードのQデータ等により再生されるセクタ単位のアドレス情報に基づいて、光学ヘッド53及び磁気ヘッド54がトレースしている上記記録トラック上の記録位置や再生位置を管理する。さらにシステムコントローラ57は、本圧縮データ記録再生装置のデータ圧縮率と上記記録トラック上の再生位置情報とに基づいて表示部59に再生時間を表示させる制御を行う。
【0046】
この再生時間表示は、光磁気ディスク1の記録トラックからいわゆるヘッダタイムやいわゆるサブコードQデータ等により再生されるセクタ単位のアドレス情報(絶対時間情報)に対し、データ圧縮率の逆数(例えば1/4圧縮のときには4)を乗算することにより、実際の時間情報を求め、これを表示部59に表示させるものである。なお、記録時においても、例えば光磁気ディスク等の記録トラックに予め絶対時間情報が記録されている(プリフォーマットされている)場合に、このプリフォーマットされた絶対時間情報を読み取ってデータ圧縮率の逆数を乗算することにより、現在位置を実際の記録時間で表示させることも可能である。
【0047】
次に、この図1に示す光ディスク記録再生装置の記録系において、入力端子60からのアナログオーディオ入力信号AINがローパスフイルタ61を介してA/D変換器62に供給され、このA/D変換器62は、上記アナログオーディオ入力信号AINを量子化する。A/D変換器62から得られたデジタルオーディオ信号は、ATC(適応変換符号化:Adaptive Transform Coding) エンコーダ63に供給される。また、入力端子67からのデジタルオーディオ入力信号DINがデジタル入力インターフェース回路68を介してATCエンコーダ63に供給される。ATCエンコーダ63は、上記入力信号AINを上記A/D変換器62により量子化した所定転送速度のデジタルオーディオPCMデータについて、所定のデータ圧縮率に応じたビット圧縮(データ圧縮)処理を行うものであり、ATCエンコーダ63から出力される圧縮データ(ATCデータ)は、メモリ(RAM)64に供給される。例えばデータ圧縮率が1/8の場合について説明すると、ここでのデータ転送速度は、標準的なデジタルオーディオCDのフォーマットであるいわゆるCD−DAフォーマットのフオーマットのデータ転送速度(75セクタ/秒)の1/8(9.375セクタ/秒)に低減されている。
【0048】
次に、メモリ(RAM)64は、データの書き込み及び読み出しがシステムコントローラ57により制御され、ATCエンコーダ63から供給されるATCデータを一時的に記憶しておき、必要に応じてディスク上に記録するためのバッファメモリとして用いられている。すなわち、例えばデータ圧縮率が1/8の場合において、ATCエンコーダ63から供給される圧縮オーディオデータは、そのデータ転送速度が、標準的なCD−DAフォーマットのデータ転送速度(75セクタ/秒)の1/8、すなわち9.375セクタ/秒に低減されており、この圧縮データがメモリ64に連続的に書き込まれる。この圧縮データ(ATCデータ)は、前述したように8セクタにつき1セクタの記録を行えば足りるが、このような8セクタおきの記録は事実上不可能に近いため、後述するようなセクタ連続の記録を行うようにしている。
【0049】
この記録は、休止期間を介して、所定の複数セクタ(例えば32セクタ+数セクタ)から成るクラスタを記録単位として、標準的なCD−DAフォーマットと同じデータ転送速度(75セクタ/秒)でバースト的に行われる。すなわちメモリ64においては、上記ビット圧縮レートに応じた9.375(=75/8)セクタ/秒の低い転送速度で連続的に書き込まれたデータ圧縮率1/8のATCオーディオデータが、記録データとして上記75セクタ/秒の転送速度でバースト的に読み出される。この読み出されて記録されるデータについて、記録休止期間を含む全体的なデータ転送速度は、上記9.375セクタ/秒の低い速度となっているが、バースト的に行われる記録動作の時間内での瞬時的なデータ転送速度は上記標準的な75セクタ/秒となっている。従って、ディスク回転速度が標準的なCD−DAフォーマットと同じ速度(一定線速度)のとき、該CD−DAフォーマットと同じ記録密度、記録パターンの記録が行われることになる。
【0050】
メモリ64から上記75セクタ/秒の(瞬時的な)転送速度でバースト的に読み出されたATCオーディオデータすなわち記録データは、エンコーダ65に供給される。ここで、メモリ64からエンコーダ65に供給されるデータ列において、1回の記録で連続記録される単位は、複数セクタ(例えば32セクタ)から成るクラスタ及び該クラスタの前後位置に配されたクラスタ接続用の数セクタとしている。このクラスタ接続用セクタは、エンコーダ65でのインターリーブ長より長く設定しており、インターリーブされても他のクラスタのデータに影響を与えないようにしている。
【0051】
エンコーダ65は、メモリ64から上述したようにバースト的に供給される記録データについて、エラー訂正のための符号化処理(パリテイ付加及びインターリーブ処理)やEFM符号化処理などを施す。このエンコーダ65による符号化処理の施された記録データが磁気ヘッド駆動回路66に供給される。この磁気ヘッド駆動回路66は、磁気ヘッド54が接続されており、上記記録データに応じた変調磁界を光磁気ディスク1に印加するように磁気ヘッド54を駆動する。
【0052】
また、システムコントローラ57は、メモリ64に対する上述の如きメモリ制御を行うとともに、このメモリ制御によりメモリ64からバースト的に読み出される上記記録データを光磁気ディスク1の記録トラックに連続的に記録するように記録位置の制御を行う。この記録位置の制御は、システムコントローラ57によりメモリ64からバースト的に読み出される上記記録データの記録位置を管理して、光磁気ディスク1の記録トラック上の記録位置を指定する制御信号をサーボ制御回路56に供給することによって行われる。
【0053】
次に、図1に示す光ディスク記録再生装置の再生系について説明する。この再生系は、上述の記録系により光磁気ディスク1の記録トラック上に連続的に記録された記録データを再生するためのものであり、光学ヘッド53によって光磁気ディスク1の記録トラックをレーザ光でトレースすることにより得られる再生出力がRF回路55により2値化されて供給されるデコーダ71を備えている。この場合、光磁気ディスクのみではなく、いわゆるCD(コンパクトディスク:Compact Disc)と同じ再生専用光ディスクや、いわゆるCD−Rタイプの光ディスクの読み出しも行なうことができる。
【0054】
デコーダ71は、上述の記録系におけるエンコーダ65に対応するものであって、RF回路55により2値化された再生出力について、エラー訂正のための上述の如き復号処理やEFM復号処理などの処理を行い、上述のデータ圧縮率1/8のATCオーディオデータを、正規の転送速度よりも早い75セクタ/秒の転送速度で再生する。このデコーダ71により得られる再生データは、メモリ(RAM)72に供給される。
【0055】
メモリ(RAM)72は、データの書き込み及び読み出しがシステムコントローラ57により制御され、デコーダ71から75セクタ/秒の転送速度で供給される再生データがその75セクタ/秒の転送速度でバースト的に書き込まれる。また、このメモリ72は、上記75セクタ/秒の転送速度でバースト的に書き込まれた上記再生データがデータ圧縮率1/8に対応する9.375セクタ/秒の転送速度で連続的に読み出される。
【0056】
システムコントローラ57は、再生データをメモリ72に75セクタ/秒の転送速度で書き込むとともに、メモリ72から上記再生データを上記9.375セクタ/秒の転送速度で連続的に読み出すようなメモリ制御を行う。また、システムコントローラ57は、メモリ72に対する上述の如きメモリ制御を行うとともに、このメモリ制御によりメモリ72にバースト的に書き込まれる上記再生データを光磁気ディスク1の記録トラックから連続的に再生するように再生位置の制御を行う。この再生位置の制御は、システムコントローラ57によりメモリ72から連続的に読み出される上記再生データの再生位置を管理して、光磁気ディスク1もしくは光ディスク1の記録トラック上の再生位置を指定する制御信号をサーボ制御回路56に供給することによって行われる。
【0057】
メモリ72から9.375セクタ/秒の転送速度で連続的に読み出された再生データとして得られるATCオーディオデータは、ATCデコーダ73に供給される。このATCデコーダ73は、上記記録系のATCエンコーダ63に対応するもので、例えばATCデータを8倍にデータ伸張(ビット伸張)することで16ビットのデジタルオーディオデータを再生する。このATCデコーダ73からのデジタルオーディオデータは、D/A変換器74に供給される。
【0058】
D/A変換器74は、ATCデコーダ73から供給されるデジタルオーディオデータをアナログ信号に変換して、アナログオーディオ出力信号AOUT を形成する。このD/A変換器74により得られるアナログオーディオ信号AOUTは、ローパスフイルタ75を介して出力端子76から出力される。
【0059】
次に、信号の高能率圧縮符号化について詳述する。すなわち、オーディオPCM信号等の入力デジタル信号を、帯域分割符号化(SBC)、適応変換符号化(ATC)及び適応ビット割当ての各技術を用いて高能率符号化する技術について、図2以降を参照しながら説明する。
【0060】
図2は、本発明の実施の形態の説明に供する音響波形信号の符号化装置の具体例を示すブロック図である。この例において、入力された信号波形101は変換手段1101によって信号周波数成分の信号102に変換された後、信号成分符号化手段1102によって各成分が符号化され、符号列生成手段1103によって符号列104が生成される。
【0061】
図3は図2の変換手段1101の具体例を示し、帯域分割フィルタによって二つの帯域に分割された信号がそれぞれの帯域においてMDCT等の順スペクトル変換手段1211、1212により、スペクトル信号成分221、222に変換されている。図3の信号201は図2の信号101に対応し、図3の各信号221、222は図2の信号102に対応している。図3の変換手段で、信号211、212の帯域幅は信号201の帯域幅の1/2となっており、信号201の1/2に間引かれている。変換手段としてはこの具体例以外にも種々考えられ、例えば、入力信号を直接、MDCTによってスペクトル信号に変換してもよいし、MDCTではなく、DFT(離散フーリエ変換)やDCT(離散コサイン変換)によって変換してもよい。いわゆる帯域分割フィルタによって信号を帯域成分に分割することも可能であるが、多数の周波数成分が比較的少ない演算量で得られる上記のスペクトル変換によって周波数成分に変換する方法をとると都合がよい。
【0062】
図4は、図2の信号成分符号化手段1102の具体例を示し、入力信号301は、正規化手段1301によって所定の帯域毎に正規化が施された後(信号302)、量子化精度決定手段1302によって計算された量子化精度情報303に基づいて量子化手段1303によって量子化され、信号304として取り出される。図4の信号301は図2の信号102に、図4の信号304は図2の信号103に対応しているが、ここで、信号304には量子化された信号成分に加え、正規化係数情報や量子化精度情報も含まれている。
【0063】
図5は、図2に示す符号化装置によって生成された符号列から音響信号を出力する復号装置の具体例を示すブロック図である。この具体例において、符号列401から符号列分解手段1401によって各信号成分の符号402が抽出され、それらの符号402から信号成分復号手段1402によって各信号成分403が復元された後、逆変換手段1403によって音響波形信号404が出力される。
【0064】
図6は、図5の逆変換手段1403の具体例であるが、これは図3の変換手段の具体例に対応したもので、逆スペクトル変換手段1501、1502によって得られた各帯域の信号511、512が、帯域合成フィルタ1511によって合成されている。図6の各信号501、502は図5の信号403に対応し、図6の信号521は図5の信号404に対応している。
【0065】
図7は、図5の信号成分復号手段1402の具体例で、図7の信号551は図5の信号402に対応し、図7の信号553は図5の信号403に対応する。スペクトル信号551は逆量子化手段1551によって逆量子化された後(信号552)、逆正規化手段1552によって逆正規化され、信号553として取り出される。
【0066】
図8は、図2に示される符号化装置において、従来行なわれてきた符号化の方法について説明を行なうための図である。この図の例において、スペクトル信号は図3の変換手段によって得られたものであり、図8はMDCTのスペクトルの絶対値をレベルをdBに変換して示したものである。入力信号は所定の時間ブロック毎に例えば64個のスペクトル信号に変換されており、それが例えば8つの帯域b1からb8まで(以下、これらを符号化ユニットと呼ぶ)にまとめて正規化および量子化が行なわれる。量子化精度は周波数成分の分布の仕方によって符号化ユニット毎に変化させることにより、音質の劣化を最小限に押さえる聴覚的に効率の良い符号化が可能である。
【0067】
図9は、上述のように符号化された信号を記録媒体に記録する場合の具体例を示したものである。この具体例では、各フレームの先頭に同期信号SCを含む固定長のヘッダがついており、ここに符号化ユニット数UNも記録されている。ヘッダの次には量子化精度情報QNが上記符号化ユニット数だけ記録され、その後に正規化精度情報NPが上記符号化ユニット数だけ記録されている。正規化および量子化されたスペクトル係数情報SPはその後に記録されるが、フレームの長さが固定の場合、スペクトル係数情報SPの後に、空き領域ができてもよい。この図の例は、図8のスペクトル信号を符号化したもので、量子化精度情報QNとしては、最低域の符号化ユニットの例えば6ビットから最高域の符号化ユニットの例えば2ビットまで、図示されたように割り当てられ、正規化係数情報NPとしては、最低域の符号化ユニットの例えば46という値から最高域の符号化ユニットの例えば22の値まで、図示されたように割り当てられている。なお、この正規化係数情報NPとしては、例えばdB値に比例した値が用いられている。
【0068】
以上述べた方法に対して、さらに符号化効率を高めることが可能である。例えば、量子化されたスペクトル信号のうち、頻度の高いものに対しては比較的短い符号長を割り当て、頻度の低いものに対しては比較的長い符号長を割り当てることによって、符号化効率を高めることができる。また例えば、変換ブロック長を長くとることによって、量子化精度情報や正規化係数情報といったサブ情報の量を相対的に削減でき、また周波数分解能を上がるので、周波数軸上で量子化精度をよりこまやかに制御できるため、符号化効率を高めることができる。
【0069】
さらにまた、本件発明者等が先に提案した特願平5−152865号、又はWO94/28633の明細書及び図面においては、スペクトル信号から聴感上特に重要なトーン性の成分、すなわち特定の周波数周辺にエネルギーが集中している信号成分、を分離して、他のスペクトル成分とは別に符号化する方法が提案されており、これにより、オーディオ信号等を聴感上の劣化を殆ど生じさせずに高い圧縮率で効率的に符号化することが可能になっている。
【0070】
図10は、このような方法を用いて符号化を行なう場合の方法を説明するための図で、スペクトル信号から、特にレベルが高いものをトーン成分、例えばトーン成分Tn1〜Tn3として分離して符号化する様子を示している。各トーン成分Tn1〜Tn3に対しては、その位置情報、例えば位置データPos1〜Pos3も必要となるが、トーン成分Tn1〜Tn3を抜き出した後のスペクトル信号は少ないビット数で量子化することが可能となるので、特定のスペクトル信号にエネルギが集中する信号に対して、このような方法をとると、特に効率の良い符号化が可能となる。
【0071】
図11は、このようにトーン性成分を分離して符号化する場合の、図2の信号成分符号化手段1102の構成を示したものである。図2の変換手段1101の出力信号102(図11の信号601)は、トーン成分分離手段1601によって、トーン成分(信号602)と非トーン成分(信号603)とに分離され、それぞれ、トーン成分符号化手段1602および非トーン成分符号化手段1603によって符号化され、それぞれ信号604および605として取り出される。トーン成分符号化手段1602および非トーン成分符号化手段1603は、図4と同様の構成をとるが、トーン成分符号化手段1602はトーン成分の位置情報の符号化も行なう。
【0072】
同様に図12は、上述のようにトーン性成分を分離して符号化されたものを復号する場合の、図5の信号成分復号手段1402の構成を示したものである。図12の信号701は図11の信号604に対応し、図12の信号702は図11の信号605に対応する。信号701はトーン成分復号手段1701により復号され、信号703としてスペクトル信号合成手段1703に送られ、信号702は非トーン成分復号手段1702により復号され、信号704としてスペクトル信号合成手段1703に送られる。スペクトル信号合成手段1703は、トーン成分(信号703)と非トーン成分(信号704)とを合成し、信号705として出力する。
【0073】
図13は、上述のように符号化された信号を記録媒体に記録する場合の具体例を示したものである。この具体例では、トーン成分を分離して符号化しており、その符号列がヘッダ部と量子化精度情報QNの間の部分に記録されている。トーン成分列に対しては、先ず、トーン成分数情報TNが記録され、次に各トーン成分のデータが記録されている。トーン成分のデータとしては、位置情報P、量子化精度情報QN、正規化係数情報NP、スペクトル係数情報SPが挙げられる。この具体例ではさらに、スペクトル信号に変換する変換ブロック長を、図9の具体例の場合の2倍にとって周波数分解能も高めてあり、さらに可変長符号も導入することによって、図9の具体例に比較して、同じバイト数のフレームに2倍の長さに相当する音響信号の符号列を記録している。
【0074】
以上の説明は、本発明の実施の形態の説明に先立つ技術を説明したものであるが、本発明の実施の形態においては、例えばオーディオに適用する場合に、比較的低品質のオーディオ信号は内容の試聴用として自由に聞くことができるようにし、高品質のオーディオ信号は、比較的小量の追加データを購入などして入手することで聴けるようにするものであり、さらに、追加データ量を減らすために、試聴用のオーディオ信号に上記追加データの一部をそのままあるいは暗号化して埋め込むようにしている。
【0075】
すなわち、本発明の実施の形態の前提技術においては、例えば、上記図9のように符号化されるべきところに、図14に示すように、量子化精度情報QNの内のダミーの量子化精度データとして、高域側の4つの符号化ユニットに対して0ビット割り当てを示すデータを符号化し、また、正規化係数情報NPの内のダミーの正規化係数データとして高域側の4つの符号化ユニットには最小の値の正規化係数情報0を符号化する(この具体例では正規化係数はdB値に比例した値をとるものとする)。このように、高域側の量子化精度情報を0にすることによって、試聴時に無視されるデータ係数情報の領域Neg、実際には図14の領域Negの部分のスペクトル係数情報は無視され、これを通常の再生装置で再生すると、図15に示したようなスペクトルを持つ狭帯域のデータが再生される。これを試聴用のデータとすることができる。また、正規化係数情報もダミーのデータを符号化することによって、量子化精度情報を推測して不正に高品質再生をすることが一層、困難になる。
【0076】
なお、上記の例では、量子化精度情報と正規化係数情報の両者をダミーデータで置き換えているが、どちらか一方のみをダミーデータで置き換えるようにしてもよい。量子化精度情報のみを0ビットデータのダミーデータとした場合には、上記図15に示したようなスペクトルを持つ狭帯域のデータが再生される。一方、正規化係数情報のみを0の値を持つダミーデータとした場合には、図16に示したようなスペクトルを持つことになり、高域側のスペクトルは厳密には0にはならないが、可聴性という観点からは実質的には0と同じであり、本発明の実施の形態においては、この場合も含めて狭帯域信号と呼ぶことにする。
【0077】
量子化精度情報および正規化係数情報のうち、どのデータをダミーデータにするかという点に関しては、これらの真の値を推測されて高品質再生されてしまうというリスクに関して差異がある。量子化精度情報と正規化係数情報の両者がダミーデータとなっている場合、これらの真の値を推測するためのデータが全く無いため、一番、安全である。量子化精度情報のみダミーデータにした場合には、例えば、元のビット割り当てアルゴリズムが正規化係数を元に量子化精度情報を求めるものである場合、正規化係数情報を手掛かりにして量子化精度情報を推測される危険性があるため、リスクは比較的高くなる。これに対して、量子化精度情報から正規化係数情報を求めることは比較的困難であるから、正規化係数情報のみをダミーデータとする方法は量子化精度情報のみをダミーデータとする方法と比較してリスクは低くなる。なお、帯域によって、量子化精度情報または正規化係数情報を選択的にダミーデータとするようにしてもよい。
【0078】
この外、スペクトル係数情報の一部を0のダミーデータで置き換えるようにしてもよい。特に中域のスペクトルは音質上、重要な意味を持つので、この部分を0のダミーデータで置き換え、中高域部分はダミー量子化精度情報やダミー正規化係数情報で置き換えるようにしてもよい。このダミーデータは、必ずしも0で置き換える必要はなく、例えば可変長符号化する際に真の数値を表す符号より短くなるような任意の符号で置き換えるようにしてもよい。その場合、ダミー量子化精度情報やダミー正規化係数情報で置き換える帯域はスペクトル係数情報の一部をダミーデータに置き換える帯域をカバーさせるようにして、正しく狭帯域再生が行われるようにする。特にスペクトル係数情報の符号化に可変長符号を用いた場合、中域の一部の情報が欠落することによって、それより高域のデータは全て解読ができなくなる。
【0079】
何れにしても、信号の内容に立ち入った比較的大きなデータを推測することは、通常の暗号化で用いる比較的短い鍵長を解読することに比べて困難であり、例えば、その曲の著作権者の権利が不正に侵されるリスクは低くなると言える。また、仮にある曲に対して、ダミーデータを推測されても、暗号アルゴリズムの解読方法が知られる場合と異なり、他の曲に対して被害が拡大する恐れはないので、その点からも特定の暗号化を施した場合よりも安全性が高いと言うことができる。
【0080】
しかしながら、上記の方法では、試し視聴用の狭帯域の信号にユーザが満足してしまい、高品質化のためのデータの購入を行なわないで済ませるというリスクがある。そこで本発明の実施の形態では、帯域を制限すると共に、視聴内容とは異なる信号、例えば、オーディオ信号の場合に「試聴データです。」といった短いメッセージ信号を、部分的に重ね合わせるようにしている。具体的には、例えば、「試聴データです。」といった短いメッセージ信号を20秒間毎に繰り返し音楽信号に重ね合わせた信号を試聴用として使用し、このメッセージを外すためには、この信号が重ね合わせられているフレームのみ、真の音楽信号(原信号)を符号化して得られる符号列で置き換えることによって、音楽の販売を行なう。ここで例えば、「試聴データです。」というメッセージが2秒間で、それが20秒間隔で繰り返し再生されるとすると、このメッセージ部分を置き換えるためのデータ量は、高品質化されたデータの1/10程度の大きさである。従って、ユーザが高品質化データを入手するのに要する時間は、上述した広帯域化のデータ量に加えて、このメッセージ部分の置き換えのためのデータ量を入手するために高品質化されたデータを入手する時間の1/10程度が必要となるのみであり、全体でも高品質化されたデータを入手する時間の数分の一以下程度で済むことになる。なお、後述するように、ダミーデータを含まない広帯域の信号を符号化した部分と、この広帯域の信号に上記メッセージ等の他の信号が合成された信号を符号化した部分とを有する符号列を用いるようにしてもよい。
【0081】
ここで、図17は、本発明の実施の形態にて用いられる試聴用ファイルの一例を示したもので、一定の間隔を空けて音楽に上記「試聴データです。」というメッセージ信号を重ね合わせた信号を符号化したものを符号列の中に埋め込んでいる。この図17の斜線部が、上述した音楽にメッセージ信号が重ね合わされたフレームFAが配列された部分(第2のフレーム部分)であり、他の部分は上述したような符号列の一部がダミーデータとされた低音質のフレームFBが配列された上記第1の符号列に相当する部分(第1のフレーム部分)である。なお、第1のフレーム部分は、ダミーデータを含まない高音質の再生が可能な符号列から成るようにしたり、高音質のフレームと低音質のフレームとが混在するようにしてもよい。
【0082】
図18は、図17の試聴用ファイルのうち、音楽信号にメッセージ信号を重ね合わされたフレームの符号列を音楽信号のみの符号列に置換するための書き換え用フレームデータ列の部分と、上記低音質部分のダミーデータを置換するための真のデータを含む高音質化用フレームデータ列の部分とから成る高品質化ファイルの符号列の具体例である。各メッセージが付加された部分(図17のフレームFAが配列された部分)に対し、書き換え開始フレームIDおよび書き換え終了フレームIDが符号化され、続いて実際の音楽信号のみを符号化した符号列(書き換え用フレームデータ列)が並んでいる。これに続いて、上記低音質部分(図17のフレームFBが配列された部分、上記試し視聴用の第1の符号列に相当)を高音質化するためのフレームデータ列(上記第2の符号列に相当)が並んでいる。この高音質化フレームデータ列の1フレーム分の一例を図19に示す。なお、この図18の具体例では書き換え開始フレームIDおよび書き換え終了フレームIDが符号化されているが、メッセージを重ね合わされる部分が最初から決まっている場合には、これらの情報を符号化していなくても良い。
【0083】
図19は、上記高音質化フレームデータ列の1フレーム分の真の符号列の一例を示し、図14に示されるN番フレームの情報を図9に示す情報に変更するためのものである。これにより、ダミーデータの入ったままの符号列(図17のフレームFBが配列された部分)では図15に示されるスペクトルを持つ再生音が、図8に示すスペクトルを持つ再生音に変化することになる。なお、ここで図14のNegの部分の一部のスペクトル係数情報はダミーデータで置き換えられているものとしてある。
【0084】
ここで、上記実施の形態においては、上記第1のフレーム部分は、上記ダミーデータを含む上記試し視聴用の第1の符号列としているが、上記ダミーデータを含まない高音質の(広帯域の)符号列を用いるようにしてもよく、この場合には、上記図19に示す高音質化フレームデータ列は不要となる。また、上記第1のフレーム部分は、ダミーデータを含む上記試し視聴用の第1の符号列とダミーデータを含まない高音質の符号列とを混在させてもよい。
【0085】
このように、第1のフレーム部分の少なくとも一部に上記ダミーデータを含まない高音質の(広帯域の)符号列が用いられる場合には、広帯域のデータの音質を確認できるという利点がある。
【0086】
次に、図20は、本発明の実施の形態に用いられる再生装置の例を示すブロック図であり、上記図5の従来の復号手段を改良したものである。この図20の再生装置には、上記図17に示したような、メッセージが重ね合わされた信号の符号列(フレームFAが配列された部分)と、一部をダミーデータで置き換えられた符号列(上記フレームFBが配列された部分、上記低音質の第1の符号列に相当)とが所定間隔で交互に配置された符号列801が入力されている。この入力符号列801は、例えば、上記メッセージが重ね合わされたフレームFAの列が2秒間続いたものと、上記低音質のフレームFBの列が18秒間続いたものとが、交互に(全体として20秒周期で)現れる符号列、等が挙げられる。周期は任意に設定でき、また、周期的でなくともよい。
【0087】
このような入力符号列801は、先ず符号列書き換え手段1801に送られる。一方、制御手段1804には、図18に示されるフォーマットの符号列(高品質化用の符号列)805が入力される。制御手段1804は、符号列書き換え手段1801を制御して、上記入力符号列801中の上記メッセージが重ね合わされた信号の符号列(上記図17のフレームFAが配列された部分)を、図18の書き換え用フレームデータ列で書き換え、また上記入力符号列801中の上記一部がダミーデータで置き換えられた符号列(上記図17のフレームFBが配列された部分)のダミーデータの部分を、図18の高音質化用フレームデータ列で書き換え、その結果を信号成分復号手段1802にデータ802として送る。信号成分復号手段1802は、このデータ802をスペクトル・データ803に復号し、逆変換手段1803はこれを時系列データ804に変換して、メッセージを含まない、また、広い帯域の高音質のオーディオ信号を再生する。ただし、制御手段1804の制御によっては、符号列の書き換えは行わずに、入力符号列801がそのまま、復号され、再生される。
【0088】
図21は、本発明の実施の形態に用いられる記録装置の一例を示すブロック図である。図21において、入力符号列821は、上記図20の入力符号列801と同様に、上記図17に示したようなフレームFAが配列された部分と、フレームFBが配列された部分とが交互に配置された符号列であり、符号列書き換え手段1821に送られる。制御手段1823に入力される符号列824は、上記図20の制御手段1804に入力される符号列805と同様に、図18に示されるフォーマットの高品質化用の符号列である。制御手段1823は、符号列書き換え手段1821を制御して、上記入力符号列821中の上記メッセージが重ね合わされた信号の符号列(上記図17のフレームFAの部分)を、図18の書き換え用フレームデータ列で書き換え、また上記入力符号列821中の一部がダミーデータで置き換えられた符号列(上記図17のフレームFBの部分)のダミーデータの部分を、図18の高音質化用フレームデータ列で書き換え、その結果の符号列822を記録手段1822に送る。記録手段1822は符号列823を記録メディアに記録を行なう。なお、ここで符号列823を記録する記録メディアは、元々符号列821を記録していた記録メディアであるとしても良い。また、制御手段1823の制御によっては、符号列の書き換えは行わずに、入力符号列821がそのまま、他の記録メディアに記録される。
【0089】
図22は、本発明の実施の形態として、ソフトウェアを用いて再生を行なう場合の例を説明するためのフローチャートである。
【0090】
先ずステップS11において変数(フレーム番号)Jを初期化(J=1)し、次のステップS12にて、入力符号列中の現時点での処理対象フレームである第J番フレームが上記メッセージ信号を重ね合わされた信号のフレームであるメッセージ付きフレーム(図17のフレームFA)か否かを判別する。NOのときには後述するステップS15aに進み、YESのときは次のステップS13に進む。ステップS13では、音楽のみの再生(メッセージを含まない音楽の再生)を行なうか否かの判断を行ない、YESのときは次のステップS14に進み、NOのときには後述するステップS15aに進む。ステップS14では、上記メッセージ付きフレーム(図17のフレームFA)の符号列の内容を音楽信号だけのもの(図18の書き換え用フレームデータ)に書き換え、次のステップS15aに進む。ステップS15aでは、上記入力符号列中の現フレームである第J番フレームに対して高音質再生を行なうか否か、すなわち、現フレームが上記一部をダミーデータで置き換えられた低音質部分のフレーム(図17のフレームFB)であって広帯域化(高音質化)を行うか否か、を判別する。高音質再生を行なうYESの場合には、上記図18中の高音質化フレームデータ列中の該当フレームについての上記図19に示された符号列を受け取り、ステップS15bに進み、NOの場合にはステップS15cに進む。ステップS15bでは、ダミーデータ部分を真のデータで書き換え、ステップS15cに進む。ステップS15cでは信号成分の復号を行ない、スペクトル信号を構成し、ステップS16に進んでこれを時系列のオーディオ信号に逆変換し、ステップS17に進む。ステップS17では最終フレームであるかどうかのチェックを行ない、YESであれば処理を終了し、NOであれば、ステップS18においてフレーム番号Jの値を1だけ増加し、ステップS12に戻って上記の処理を繰り返す。このようにして、メッセージ付きで低音質の音楽を聞くか、あるいは代金を払うなどして余分なメッセージの付かない高音質の音楽だけを聞くか、選択的にオーディオ信号の再生を行なうことができる。この場合、低音質の音楽ではある程度満足できるユーザに対しても、メッセージが付加されていると満足できないことが多く、高品質化データの購買意欲を喚起することができるようになる。
【0091】
図23は、本発明の実施の形態に用いる記録方法で、ソフトウェアを用いて記録を行なう場合の手順を示したフローチャートの例である。この図23において、ステップS21では、変数(フレーム番号)Jを初期化(J=1)し、次のステップS22にて、現フレームである第J番フレームが上記メッセージ付きフレーム(図17のフレームFA)か否かを判別する。NOのときには後述するステップS25aに進み、YESのときは次のステップS23に進む。ステップS23では、メッセージを含まない音楽のみの再生を行なうかどうかの判断を行ない、YESのときは次のステップS24に進み、NOのときには後述するステップS25aに進む。ステップS24では、上記メッセージ付きフレームの符号列の内容を音楽信号だけのものに書き換え、次のステップS25aに進む。ステップS25aでは、高音質再生を行なうか否か、すなわち、現フレームが上記一部をダミーデータで置き換えられた低音質部分のフレーム(図17のフレームFB)であって広帯域化を行うか否かを判別する。YESの場合には、ステップS25bに進み、上記図18中の高音質化フレームデータ列中の該当フレームについての上記図19に示された符号列を受け取り、NOの場合にはステップS25cに進む。ステップS25bでは、さらに、ダミーデータ部分を真のデータで書き換え、ステップS25cに進む。ステップS25cではそのフレームの符号列の記録を行ない、ステップS26に進む。ステップS26では最終フレームであるかどうかのチェックを行ない、YESであれば処理を終了し、NOであれば、ステップS27に進んでフレーム番号Jの値を1だけ増加し、上記ステップS22に戻って上述の処理を繰り返す。このようにして、メッセージ付きで低音質の音楽を記録するか、あるいは代金を払うなどして余分なメッセージの付かない高音質の音楽だけを記録するか、選択的にオーディオ信号の記録を行なうことができる。この場合、低音質の音楽ではある程度満足できるユーザに対しても、メッセージが付加されていると満足できないことが多く、高品質化データの購買意欲を喚起することができるようになる。
【0092】
なお、本発明の実施の形態において、図18に示されるようなメッセージ信号のついた音楽信号を音楽信号のみに置き換える符号列は暗号化などして、安全性を高めるようにすることが望ましい。
【0093】
また、上記実施の形態においては、上記第1のフレーム部分は、上記ダミーデータを含む上記試し視聴用の第1の符号列としているが、上記ダミーデータを含まない高品質の(広帯域の)符号列を用いるようにしてもよく、あるいは、ダミーデータを含む上記試し視聴用の第1の符号列とダミーデータを含まない高品質の符号列とを混在させてもよい。
【0094】
次に、上述した実施の形態における音楽信号とメッセージ信号を合成する際に、例えば、音楽信号とメッセージ信号を単純に足し合わせたりすると、音楽信号のレベルが高い場合、メッセージ信号が音楽信号によってマスクされてしまい、メッセージ信号を明瞭に聞き取れないという問題点があった。さらにまた、レベルの高い二つの音楽信号を単純に足し合わせると、レベルのレンジをオーバーフローを起こしてしまう場合があり、オーバーフローを起こした場合にはレベルの最大値または最小値で置き換えるという方法をとっても、ブチブチといった雑音がのってしまう場合があるという問題点があった。
【0095】
そこで、本発明の実施の形態では、メッセージ信号を重ね合わせる箇所において、例えば元のオーディオ信号のレベルを下げてメッセージ信号を重ね合わせることによって上記の問題点を解決するようにしている。さらに、このレベルの変化を急激に行なうのではなく、滑らかにレベル変化をさせることにより、レベルが急激に変化する場合に生じるプチッといったような雑音が発生することを防止している。
【0096】
すなわち、一般的に第1の信号(例えば音楽信号)の少なくとも一部分に対してメッセージ信号を重畳する際に、上記第1の信号にメッセージ信号を重畳する部分の少なくとも一部では、上記第1の信号に対する第1の合成係数R1と、上記メッセージ信号に対する第2の合成係数R2について、
|R1|<|R2|
の関係を満足するようにしている。また、上記第1の信号にメッセージ信号を重畳する部分では、上記第1の信号のみの部分との境界位置での上記第2の合成係数R2が0近傍の値となるように連続的に変化する係数値をとるようにしている。具体的には、例えば、メッセージ信号の重畳開始点から第2の合成係数R2を0から徐々に増加して行き、また、メッセージ信号の重畳終了点に向かっては第2の合成係数R2を徐々に0にまで減少させるようにすることが挙げられる。さらに、上記第1の信号に対する第1の合成係数R1と、上記メッセージ信号に対する第2の合成係数R2とについて、共に0以上の値とし、各合成係数R1、R2の合計を1とする(R1+R2=1)ことが挙げられる。
【0097】
図24は、上述した音楽信号にメッセージ信号を重畳する方法の実施の形態を説明するための説明図であり、この実施の形態では、メッセージ重畳区間において、音楽信号に掛ける係数R1とメッセージ信号に掛ける係数R2は共に0以上の値をとり、その両者の合計(R1+R2)が丁度、1になるように設定されている。これにより、先ず、両者の信号の合成により、オーバーフローが生じることがなくなる。また、この実施の形態では、実際のメッセージが入っている部分では、メッセージ信号に掛ける係数の値の方が、音楽信号に掛ける係数よりも大きくなっているので、元々のメッセージ信号をフル・レベルに近い大きさにしておけば、メッセージ信号が音楽信号によってマスキングされて聞こえなくなることがない。さらに、この実施の形態においては、音楽信号に掛ける係数R1が、メッセージ信号重畳部以外の部分とメッセージ信号重畳部分との間で、1.0から0.25に少しずつ滑らかに(連続的に)変化しているため、レベルが急激に変化する場合に生じるプチッといったような雑音が発生することを防止することができる。
【0098】
この図24の例において、メッセージ重畳区間Tmx内の実メッセージ区間Tm では、音楽信号用係数R1が一定の0.25となり、メッセージ信号用係数R2が一定の0.75となっており、この実メッセージ区間Tm では、音楽信号用係数R1がメッセージ信号用係数R2より小さい(R1<R2)ため、メッセージ信号が音楽信号によってマスキングされて聞こえなくなることがない。メッセージ重畳区間Tmxの開始点ts から実メッセージ区間Tm の先端までは、音楽信号用係数R1が1.0から0.25まで徐々に連続的に変化しており、またメッセージ信号用係数R2は、0.0から0.75まで徐々に連続的に変化している。同様に、実メッセージ区間Tm の後端からメッセージ重畳区間Tmxの終了点te までは、音楽信号用係数R1が0.25から1.0まで徐々に連続的に変化しており、またメッセージ信号用係数R2は、0.75から0.0まで徐々に連続的に変化している。これによって信号切換雑音等の発生が防止される。
【0099】
なお、これらの信号を合成する場合に用いる係数は、合成する際に、計算式から求めても良いし、予め計算しておいた係数値をメモリーに格納しておき、合成の際に読みだすようにしても良い。また、この実施の形態では、メッセージ重畳区間Tmxの内、実メッセージ区間Tm でない区間には、メッセージ信号として無音信号が入っているものとする。
【0100】
また、上記各合成係数R1,R2は、上述したように時間経過に従って変化するものであり、具体的には例えばディジタル信号のメッセージ重畳区間内のサンプル位置Kを用いて、R1(K),R2(K)のように表されるものであるが、説明を容易化するために簡易的にR1,R2で表し、時間変化を説明する必要のある部分でR1(K),R2(K)のように表すものとする。
【0101】
次に、図25は、本発明の信号重畳装置の実施の形態の一例の概略構成を示すものである。この図25において、信号合成手段1841には、音楽信号841及びメッセージ信号842が入力され、これらの信号が、メッセージ重畳区間において、制御手段1843の制御の下、合成される。制御手段1843はこの合成のために、係数記憶手段1842からメッセージ信号に掛ける係数844(係数R2)を読み出すとともに、音楽信号に掛ける係数R1を、1.0からメッセージ信号に掛ける係数R2を引き算して求め(R1=1.0−R2)、これらの係数に基づいて、制御信号845により、メッセージ重畳区間における信号合成を信号合成手段1841において行なわせる。信号合成手段1841からは、音楽信号にメッセージ信号が重畳された信号843が取り出される。これにより、このPCM信号を聞いてみて、気に入ったら購入するような場合、メッセージ信号重畳区間のサンプル信号のみを元の音楽信号に入れ替えるだけで、高速に、音楽鑑賞の妨げとなるメッセージ信号を消すことができる。
【0102】
次に、図26は、音楽信号にメッセージ信号を重畳して符号化する信号重畳符号化装置の実施の形態の一例の概略構成を示すブロック図である。この図26に示す信号重畳符号化装置は、上記図25に示した信号重畳装置に符号化手段が付加されたものである。
【0103】
この図26において、信号合成手段1861には、音楽信号861及びメッセージ信号862が入力され、これらの信号が、メッセージ重畳区間において、制御手段1863の制御の下、合成される。制御手段1863はこの合成のために、係数記憶手段1862からメッセージ信号に掛ける係数864(係数R2)を読み出すとともに、音楽信号に掛ける係数R1を、1.0からメッセージ信号に掛ける係数R2を引き算して求め(R1=1.0−R2)、これらの係数に基づいて、制御信号865により、メッセージ重畳部分における信号合成を信号合成手段1861において行なわせる。信号合成手段1861からの出力863は、例えば上記図2に示されるような符号化手段1864に送られ、符号列866が生成される。これにより、この符号列を復号して聞いてみて、気に入ったら購入するような場合、メッセージ信号重畳区間を含む符号化フレームのみを元の音楽信号に入れ替えるだけで、高速に、音楽鑑賞の妨げとなるメッセージ信号を消すことができる。
【0104】
次に、図27は、本発明の実施の形態に用いられる信号重畳方法を説明するためのフローチャートである。この図27において、先ずステップS31では、最初のサンプルを読み込むと同時に、サンプル番号を表す変数Jの値を1に設定し、次に、ステップS32において、このサンプルをメッセージ信号付きのサンプルにするかどうかを判定する。この判定の規準としては、例えば、モノラルで44.1kHzサンプリングの信号で20秒間に2秒間ずつのメッセージを入れるものとして、上記変数Jを(44100×20)で割り、その余りが(44100×3)以上、(44100×5)未満であれば、メッセージ重畳区間のサンプルであると判定し、そうでなければメッセージ重畳区間の最初のサンプルでないと判定するようにしてもよい。また、別の判定規準として、例えば記憶手段に予めメッセージ重畳区間の開始位置と終了位置のサンプル番号を記憶手段に記憶させておき、変数Jの値がこの範囲に収まっているかどうかから判定するようにしてもよい。
【0105】
上記ステップS32においてYes(メッセージ信号付きのサンプル)と判定されれば、ステップS33に進み、上記サンプルが、メッセージ信号重畳区間で最初のサンプルであるかどうかを判定する。この判定の規準としては、例えば、モノラルで44.1kHzサンプリングの信号で20秒間に2秒ずつのメッセージを入れるものとして、上記変数Jを(44100×20)で割り、その余りが(44100×3)であれば、メッセージ重畳区間の最初のサンプルであると判定し、そうでなければ音楽のみのフレームであると判定するようにしてもよい。また、別の判定規準として、例えば記憶手段に予めメッセージ重畳区間の開始位置のサンプル番号を記憶させておき、上記変数Jの値がこのサンプル番号と等しいかどうかから判定するようにしても良い。
【0106】
ステップS33においてYes(メッセージ信号重畳区間で最初のサンプル)であれば、ステップS34に進んでメッセージ重畳区間内のサンプル番号を表す変数Kの値を1としてステップS36に進み、ステップS33においてNoであれば、ステップS35に進んで変数Kの値を1だけ増やして(K=K+1)、ステップS36に進む。ステップS36では、係数記憶手段から現在のサンプルに対するメッセージ信号用係数R2(K)を読み出し、ステップS37に進む。ステップS37では、現在のサンプルに対する音楽信号用係数R1(K)を、1.0からR2(K)を引くことにより求め(R1(K)=1.0−R2(K))、ステップS38に進む。
【0107】
ステップS38においては、R2(K)、R1(K)の値を信号合成手段に送り、メッセージ信号と音楽信号の両信号をこれらの係数R2(K)、R1(K)を用いて合成するように指示を出し、ステップS39に進む。一方、ステップS32において、このサンプルがメッセージ重畳区間のサンプルと判定されなかった場合には、ステップS41に進み、信号合成手段に対して、音楽信号のみのPCM信号を出力するよう指示を出し、その後、ステップS39に進む。ステップS39では、次サンプルが読み込み可能かどうかどうかを判定し、Noであれば処理を終了し、Yesであれば、ステップS40に進んで、次サンプルを読み込むとともに、上記変数Jの値を1だけ増やして(J=J+1)、ステップS32に戻り、上記の処理を繰り返す。
【0108】
以上説明した本発明に係る信号重畳方法及び装置、あるいは信号重畳符号化方法及び装置の実施の形態によれば、音楽にメッセージを重ね合わせた部分において、メッセージ信号がマスクされて聞こえにくくなったり、雑音が生じてしまうことが無くなり、ソフトの内容を確認してから高品質再生に必要な情報を入手すべきかどうかを判断する上において、より快適な試聴音を提供することが可能となり、より円滑なソフトウェアの配布をすることが可能となる。特に、帯域幅が狭くなっても満足してしまうユーザに対してもより円滑に高品質化データの購買意欲を喚起することができる。
【0109】
なお、以上の説明においては、同一のメッセージ信号を繰り返し、使用する場合について説明を行なったが、もちろん、メッセージ信号の内容は重畳部分の場所によって異なるようにしてもよい。また、メッセージ信号の配置間隔やメッセージ重畳区間の長さ等は、一定であっても、なくてもよい。さらに、音楽信号全般にわたってメッセージが重畳されている場合に対しても本発明の方法を適用可能である。
【0110】
また、上述の実施の形態においては、符号化されたビットストリームを記録媒体に記録する場合について説明を行なったが、本発明の方法はビットストリームを伝送する場合にも適用可能であり、これにより、例えば、放送されているメッセージ付きのオーディオ信号を、通常の音楽信号に置き換える符号列を入手した者のみが音楽信号だけを再生ができるようにし、その他の聴取者に対してはその内容が十分把握できるが、余分なメッセージの付いた音楽の再生ができるようにすることも可能である。
【0111】
さらに、上述の実施の形態においては、オーディオ信号を用いた場合を例にとって説明を行なったが、本発明は、画像信号に対しても適用することが可能である。すなわち、例えば、画像信号の一部に、メッセージ付きの画像を重ね合わせ、その一部のメッセージ信号を置き換える符号列で高品質化を図るようにしてもよい。また、元の画像信号の一部にメッセージ文字の輝度の高い画像信号を重ね合わせる場合、元の画像信号の輝度を下げてメッセージ文字の信号を重ね合わせることにより、元の画像信号によって、メッセージ文字が見えにくくなることを防止することができる。
【0112】
さらにまた、上記実施の形態における上記第1のフレーム部分は、上記ダミーデータを含む上記試し視聴用の第1の符号列としているが、上記ダミーデータを含まない高品質の(広帯域の)符号列を用いるようにしてもよく、あるいは、ダミーデータを含む上記試し視聴用の第1の符号列とダミーデータを含まない高品質の符号列とを混在させてもよい。
【0113】
【発明の効果】
本発明によれば、原信号がフレーム単位で符号化されて得られる符号列を再生あるいは記録する際に、第1のフレーム部分と、上記原信号に他の信号が合成された信号を符号化した符号列から成る第2のフレーム部分とを有する符号列を入力し、上記第2のフレーム部分を上記原信号の対応するフレーム部分を符号化した符号列で置き換ることにより、ソフトの内容を確認してから高品質再生に必要な情報を入手すべきかどうかを判断することが可能となり、より円滑なソフトウェアの配布をすることが可能となる。
【0114】
また、本発明によれば、原信号がフレーム単位で符号化されて得られる符号列を再生あるいは記録する際に、上記符号列の一部がダミーデータとされた第1の符号列から成る第1のフレーム部分と、上記原信号に他の信号が合成された信号を符号化した符号列から成る第2のフレーム部分とを有する符号列を入力し、上記第2のフレーム部分を上記原信号の対応するフレーム部分を符号化した符号列で置き換え、上記第1の符号列の少なくとも一部を第2の符号列を用いて補完することにより、ソフトの内容を確認してから高品質再生に必要な情報を入手すべきかどうかを判断することが可能となり、より円滑なソフトウェアの配布をすることが可能となり、特に、帯域幅が狭くなっても満足してしまうユーザに対しても高品質化データの購買意欲を喚起することができる。
【0115】
さらに、本発明によれば、第1の信号の少なくとも一部分に対してメッセージ信号を重畳する際に、上記第1の信号にメッセージ信号を重畳する部分では、上記第1の信号に対する第1の合成係数R1と、上記メッセージ信号に対する第2の合成係数R2とについて、
|R1|<|R2|
の関係を満足することにより、音楽等の第1の信号にメッセージ信号を重ね合わせた部分において、メッセージ信号がマスクされて聞こえにくくなったりしてしまうことが無くなる。さらに、上記係数に関して、共に0以上の値をとし、
R1+R2=1
の関係を満足することにより、音楽等の第一の信号にメッセージ信号を重ね合わせた部分において、雑音が生じてしまうことが無くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の説明に供する光ディスク記録再生装置の一例の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態の説明に供する符号化装置の一例の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図2の符号化装置の変換手段の具体例を示すブロック図である。
【図4】図2の符号化装置の信号成分符号化手段の具体例を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態の説明に供する復号装置の一例の概略構成を示すブロック図である。
【図6】図5の復号装置の逆変換手段の具体例を示すブロック図である。
【図7】図5の復号装置の信号成分復号手段の具体例を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態の説明に供する符号化方法を説明するための図である。
【図9】本発明の実施の形態の説明に供する符号化方法により得られた符号列の一例を説明するための図である。
【図10】本発明の実施の形態の説明に供する符号化方法の他の例を説明するための図である。
【図11】図10と共に説明した符号化方法を実現するための信号成分符号化手段の一例を示すブロック図である。
【図12】図10と共に説明した符号化方法により得られた符号列を復号するための復号装置に用いられる信号成分復号手段の一例を示すブロック図である。
【図13】図10と共に説明した符号化方法により得られた符号列の一例を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態の前提技術に用いられる符号化方法により得られた符号列の一例を示す図である。
【図15】図14と共に説明した符号化方法により得られた符号列を再生したときの再生信号のスペクトルの一例を示す図である。
【図16】図14と共に説明した符号化方法の他の例により得られた符号列を再生したときの再生信号のスペクトルの一例を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態に用いられる符号化方法により得られた符号列の一例を示す図である。
【図18】本発明の実施の形態に用いられる符号化方法により得られた符号列を高品質化するための符号列の一例を示す図である。
【図19】本発明に係る実施の形態に用いられる符号化方法により得られた符号列中の低音質部分のフレームのダミーデータを置き換えるための情報の一例を示す図である。
【図20】本発明の実施の形態に用いられる再生装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図21】本発明の実施の形態に用いられる記録装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図22】本発明の実施の形態に用いられる再生方法を説明するためのフローチャートである。
【図23】本発明の実施の形態に用いられる記録方法を説明するためのフローチャートである。
【図24】本発明の実施の形態における音楽信号にメッセージ信号を重畳する方法を説明するための説明図である。
【図25】音楽信号にメッセージ信号を重畳する信号重畳装置の実施の形態の一例の概略構成を示すブロック図である。
【図26】音楽信号にメッセージ信号を重畳して符号化する信号重畳符号化装置の実施の形態の一例の概略構成を示すブロック図である。
【図27】本発明の実施の形態に用いられる信号重畳方法を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1801,1821 符号列書き換え手段、 1802 信号成分復号手段、1803 逆変換手段、 1804,1823,1843,1863 制御手段、 1822 記録手段、 1841,1861 信号合成手段、 1842,1862 係数記憶手段、 1864 符号化手段
Claims (12)
- 原信号がフレーム単位で符号化されて得られる符号列を再生する信号再生装置において、
第1のフレーム部分と、上記原信号に他の信号が合成された信号を符号化した符号列から成る第2のフレーム部分とを有する符号列を入力する符号列入力手段と、
上記第2のフレーム部分を上記原信号の対応するフレーム部分を符号化した符号列で置き換える符号列書き換え手段と、
上記第1のフレーム部分と上記符号列書き換え手段により置き換えられた符号列、又は、上記第1のフレーム部分と上記第2のフレーム部分とを復号する復号手段とを有し、
上記第1のフレーム部分は、上記原信号の符号列の一部がダミーデータとされた第1の符号列から成り、
上記符号列書き換え手段は、上記第2のフレーム部分を上記原信号の対応するフレーム部分を符号化した符号列で置き換えると共に、上記第1の符号列の上記ダミーデータの少なくとも一部を第2の符号列を用いて補完するものであり、
上記復号手段は、上記補完された符号列又は上記第1の符号列と、上記置き換えられた符号列又は上記第2のフレームとを復号すること
を特徴とする信号再生装置。 - 原信号がフレーム単位で符号化されて得られる符号列を再生する信号再生方法において、
第1のフレーム部分と、上記原信号に他の信号が合成された信号を符号化した符号列から成る第2のフレーム部分とを有する符号列を入力する符号列入力工程と、
上記第2のフレーム部分を上記原信号の対応するフレーム部分を符号化した符号列で置き換える符号列書き換え工程と、
上記第1のフレーム部分と上記符号列書き換え工程により置き換えられた符号列、又は、上記第1のフレーム部分と上記第2のフレーム部分とを復号する復号工程とを有し、
上記第1のフレーム部分は、上記原信号の符号列の一部がダミーデータとされた第1の符号列から成り、
上記第1の符号列の上記ダミーデータの少なくとも一部を第2の符号列を用いて補完する補完工程を有し、
上記復号工程では、上記補完工程により補完された符号列又は上記第1の符号列と、上記置き換えられた符号列又は上記第2のフレームとを復号すること
を特徴とする信号再生方法。 - 原信号がフレーム単位で符号化されて得られる符号列を記録する信号記録装置において、
第1のフレーム部分と、上記原信号に他の信号が合成された信号を符号化した符号列から成る第2のフレーム部分とを有する符号列を入力する符号列入力手段と、
上記第2のフレーム部分を上記原信号の対応するフレーム部分を符号化した符号列で置き換える符号列書き換え手段と
を有することを特徴とする信号記録装置。 - 原信号がフレーム単位で符号化されて得られる符号列を記録する信号記録方法において、
第1のフレーム部分と、上記原信号に他の信号が合成された信号を符号化した符号列から成る第2のフレーム部分とを有する符号列を入力する符号列入力工程と、
上記第2のフレーム部分を上記原信号の対応するフレーム部分を符号化した符号列で置き換える符号列書き換え工程と
を有することを特徴とする信号記録方法。 - 原信号がフレーム単位で符号化されて得られる符号列を生成する符号列生成方法において、
第1のフレーム部分と、上記原信号に他の信号が合成された信号を符号化した符号列から成る第2のフレーム部分とを有する符号列を生成する符号列生成工程を有し、
上記第1のフレーム部分は、上記原信号の符号列の一部がダミーデータとされた第1の符号列から成り、
上記符号列生成工程は、
上記原信号を符号化することにより所定フォーマットの符号列を生成する符号化工程と、
上記所定フォーマットの符号列の一部をダミーデータに書き換えて第1の符号列を生成する第1の符号列生成工程と、
上記第1の符号列の少なくとも一部を補完するための第2の符号列を生成する第2の符号列生成工程とを有する
ことを特徴とする符号列生成方法。 - 上記他の信号はメッセージ信号であることを特徴とする請求項5記載の符号列生成方法。
- 上記第2のフレーム部分は、所定の間隔毎に与えられることを特徴とする請求項5記載の符号列生成方法。
- 上記符号化においては、入力信号をスペクトル変換し、帯域分割して、各帯域毎の量子化精度情報、正規化係数情報、及びスペクトル係数情報を含む所定フォーマットの符号列を生成し、
上記ダミーデータは、上記スペクトル係数情報の一部に対応するものを含む
ことを特徴とする請求項5記載の符号列生成方法。 - 上記第2のフレーム部分では、上記原信号に対する第1の合成係数R1と、上記他の信号に対する第2の合成係数R2とについて、
|R1|<|R2|
の関係を満足することを特徴とする請求項5記載の符号列生成方法。 - 上記第2のフレーム部分の少なくとも一部では、上記第1のフレーム部分との境界位置での上記第2の合成係数R2が0近傍の値となるように連続的に変化する係数値をとることを特徴とする請求項9記載の符号列生成方法。
- 上記第1の合成係数R1と、上記第2の合成係数R2とについて、共に0以上の値とし、
R1+R2=1
の関係を満足することを特徴とする請求項9記載の符号列生成方法。 - 原信号がフレーム単位で符号化されて得られる符号列を生成する符号列生成装置において、
第1のフレーム部分と、上記原信号に他の信号が合成された信号を符号化した符号列から成る第2のフレーム部分とを有する符号列を生成する符号列生成手段を有し、
上記第1のフレーム部分は、上記原信号の符号列の一部がダミーデータとされた第1の符号列から成り、
上記符号列生成手段は、
上記原信号を符号化することにより所定フォーマットの符号列を生成する符号化手段と、
上記所定フォーマットの符号列の一部をダミーデータに書き換えて第1の符号列を生成する第1の符号列生成手段と、
上記第1の符号列の少なくとも一部を補完するための第2の符号列を生成する第2の符号列生成手段とを有する
ことを特徴とする符号列生成装置。
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