JP2004030853A - 位置決め制限値を決定する方法及び同方法で決定された位置決め制限値を利用するディスク記憶装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高トラック密度下でもヘッドの極端な狭トラック幅化を行うことなく、しかもヘッドによるデータ記録動作を待たせる頻度を低減しながら、ヘッドの隣接トラックへの影響を低減できるようにする。
【解決手段】ヘッドのフリンジ量(Delta−BER)を測定して、その測定結果をもとに当該ヘッドによるデータ記録時の位置決め制限値を決定する(S38)。そして、決定された位置決め制限値が登録されたテーブルを作成して(S40)、そのテーブルを、目標トラックへのデータ記録のために上記ヘッドを当該目標トラックに位置決めする制御時に利用可能なように、保存する(S45)。
【選択図】 図7
【解決手段】ヘッドのフリンジ量(Delta−BER)を測定して、その測定結果をもとに当該ヘッドによるデータ記録時の位置決め制限値を決定する(S38)。そして、決定された位置決め制限値が登録されたテーブルを作成して(S40)、そのテーブルを、目標トラックへのデータ記録のために上記ヘッドを当該目標トラックに位置決めする制御時に利用可能なように、保存する(S45)。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヘッドによりディスクにデータが記録されるディスク記憶装置に係り、特に、高トラック密度下でのデータ記録に好適な、ヘッドによるデータ記録時のヘッド位置決め誤差の上限を示す位置決め制限値を決定する方法及び同方法で決定された位置決め制限値を利用するディスク記憶装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
記憶媒体にディスク(ディスク媒体)を用いたディスク記憶装置として、磁気ディスク装置が知られている。近年の磁気ディスク装置では、記憶容量の増大に伴い、記録密度も急速に向上している。高記録密度のためには、トラック密度と線記録密度とを共に向上させる必要がある。
【0003】
トラック密度の高密度化は、磁気ヘッドのディスク半径方向の幅、つまりトラック幅(記録トラック幅)の狭化により実現される。したがって、トラック密度の高密度化が進むと、ヘッドのトラック幅の加工精度とも相乗し、隣接トラックへの、または隣接トラックからの影響が無視できなくなる。隣接トラックへの影響は、次の2つに大別される。1つは、目標トラック(内の目標セクタ)への磁気ヘッドによるデータ記録時に、当該ヘッドからの磁束の漏洩に起因するフリンジ(サイドフリンジ)により隣接トラックにデータが重ね書きされることである。もう1つは、目標トラック(内の目標セクタ)からの磁気ヘッドによるデータの再生時に隣接トラックのデータが読み込まれることである。特に、目標トラックへのデータ記録時に、隣接トラックへの重ね書きが発生した場合には、当該隣接トラックの信号品質が劣化してしまうので大きな問題となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
高トラック密度下で、サイドフリンジの影響をなくすには、磁気ヘッドのトラック幅を狭くすればよい。しかしながら、ヘッドのトラック幅の狭化を進め過ぎると、つまりヘッドの極端な狭トラック幅化は、ヘッドの記録能力及び再生出力の低下を招く。
【0005】
磁気ヘッドによるデータ記録時に隣接トラックに影響を及ぼす要因は、上述した高トラック密度化のための記録トラック幅(ヘッドのトラック幅)の狭化及びサイドフリンジだけに限らない。例えば、データ記録時のヘッドの位置決め精度も、隣接トラックに影響を及ぼす大きな要因となる。ヘッドが目標トラックの目標範囲から外れた状態、つまりオフトラック状態でのデータ記録行為は、当該ヘッドが近づいてしまった隣接トラックに対して影響を与えてしまうのは当然である。
【0006】
したがって、ヘッドの位置決め誤差をなくすことが理想である。しかし現実には、ヘッドの位置決め誤差(位置決め精度)には、位置情報を含むサーボ情報(サーボ信号)のS/N(SN比)等の影響で限界がある。そこで、従来の磁気ディスク装置では、データ記録時に、当該ディスク装置が属する機種に固有の位置決め誤差の上限値、つまり位置決めの制限値を設定し、位置決め誤差が当該制限値を超えてしまったときにはデータ記録動作を待たせるようにしている。トラック幅の設計時には、この位置決め誤差も考慮しなければならない。
【0007】
本発明は上記事情を考慮してなされたものでその目的は、ヘッドの隣接トラックへの影響の度合いに応じて位置決めの制限値を設定することにより、高トラック密度下でもヘッドの極端な狭トラック幅化を行うことなく、しかもヘッドによるデータ記録動作を待たせる頻度を低減しながら、ヘッドの隣接トラックへの影響を低減できる、位置決め制限値を決定する方法及び同方法で決定された位置決め制限値を利用するディスク記憶装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の1つの観点によれば、2つのディスク面の少なくとも一方が記録面をなす少なくとも1枚のディスクと、この少なくとも1枚のディスクの上記記録面に対応して配置され、当該記録面へのデータの記録及び当該記録面からのデータの再生に用いられるヘッドと、上記ヘッドを支持し、当該ヘッドを上記ディスクの半径方向に移動するアクチュエータとを備えたディスク記憶装置において、ヘッドによるデータ記録時のヘッド位置決め誤差の上限を示す位置決め制限値を決定する方法が提供される。この方法は、上記ヘッドのフリンジ量を測定するステップと、このフリンジ量の測定結果をもとに上記ヘッドによるデータ記録時の位置決め制限値を決定するステップと、決定された位置決め制限値を、目標トラックへのデータ記録のために上記ヘッドを当該目標トラックに位置決めする制御時に利用可能なように、保存するステップとから構成される。
【0009】
上記の構成においては、同一機種のディスク記憶装置であっても、各ディスク記憶装置に実装されるヘッドのトラック幅の加工精度等のばらつきにより、ヘッド毎のフリンジ量(隣接トラックへの影響)が異なることに着目し、ヘッドのフリンジ量を測定して、そのフリンジ量に応じた位置決め制限値(許容される位置決め誤差の上限値)を設定するようにしている。これにより、各ディスク記憶装置におけるデータ記録時の隣接トラックへの影響を均等にできる。つまり、幅広で隣接トラックへの影響が大きいヘッドでは位置決め制限値を小さな値に設定して、データ記録動作を許可する位置決め条件を厳しくすることにより、高トラック密度下でもヘッドの極端な狭トラック幅化を行うことなく、隣接トラックへの書き込み量を低減することが可能となる。逆に幅狭で隣接トラックへの影響が少ないヘッドでは位置決め制限値を大きな値に設定して、データ記録動作を許可する位置決め条件を緩和することにより、ヘッドによるデータ記録動作を待たせる頻度を低減することが可能となる。
【0010】
ここで、複数のヘッドが実装されるディスク記憶装置では、各ヘッドについてフリンジ量を測定して、ヘッド毎に、そのフリンジ量に応じた位置決め制限値を設定すればよい。
【0011】
また、ヘッドをディスクの半径方向に移動するアクチュエータ、即ちロータリ型のアクチュエータを適用したディスク記憶装置では、トラック方向とヘッドとのなす角度(スキュー角)が半径位置によって変わる。この角度によってフリンジ量は変化する。そこで、ディスクの記録面を当該ディスクの半径方向に複数のゾーンに区分して管理する構成を適用し、(各ヘッドについて)ゾーン毎にフリンジ量を測定して、(各ヘッドについて)ゾーン毎に位置決め制限値を設定するならば、ヘッド位置に影響されずに、フリンジの影響を低減する効果を増大できる。
【0012】
ここで、フリンジ量を測定するのに、着目するトラックに隣接する2つのトラックに、対応するヘッドによりデータを記録して、この着目するトラックのエラーレートの落ち込みを測定し、その落ち込み量を当該ヘッドのフリンジ量とみなして処理するとよい。この場合、このエラーレートの落ち込み量を測定する動作を、隣接トラックへのデータ記録時の位置決め制限値をパラメータとして実行し、その位置決め制限値をパラメータとする測定結果をもとに、予め定められたフリンジ量に対応するエラーレートの落ち込み量となる位置決め制限値を目的の位置決め制限値として決定すればよい。このように、隣接トラック記録時の位置決め精度をパラメータにすることにより、容易に位置決め制限値を決定することができる。
【0013】
この他に、上記着目するトラックのエラーレートの落ち込みをヘッドのフリンジ量として測定する動作を、隣接トラックへのデータ記録時のヘッドオフセット量をパラメータとして実行してもよい。ここでは、ヘッドオフセット量をパラメータとする測定結果をもとに、予め定められたフリンジ量に対応するエラーレートの落ち込み量となる位置決め制限値を目的の位置決め制限値として決定すればよい。このように、隣接トラック記録時のオフセット量をパラメータにすることにより、容易に位置決め制限値を決定することができる。しかも、オフセット量をパラメータとすることにより、エラーレートの落ち込みがオフセット量に追従して加速されるため、厳密な位置決め制限値を設定することができる。
【0014】
なお、本発明は、上記の方法(位置決め制限値を決定する方法)で決定されて保存された、ヘッドに固有の位置決め制限値(或いはヘッド及びゾーンの組み合わせに固有の位置決め制限値)を利用して、目標トラックへのデータ記録に際しての位置決め制御でデータ記録動作が可能な状態となったか否かを判定する手段を備えたディスク記憶装置に係る発明としても成立する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を磁気ディスク装置に適用した実施の形態につき図面を参照して説明する。
【0016】
図1は本発明の一実施形態に係る磁気ディスク装置の構成を示すブロック図である。
図1の磁気ディスク装置(以下、HDDと称する)において、ディスク11は上側と下側の2つのディスク面を有している。ディスク11の2つのディスク面の少なくとも一方のディスク面、例えば両方のディスク面は、データが磁気記録される記録面11−0及び11−1をなしている。ディスク11の記録面11−0及び11−1に対応して、それぞれ、当該ディスク11へのデータ記録(書き込み)及び当該ディスク11からのデータ再生(読み出し)に用いられるヘッド(磁気ヘッド)12−0(H0)及び12−1(H1)が配置されている。なお、図1の構成では、単一枚のディスク11を備えたHDDを想定しているが、ディスク11が複数枚積層配置されたHDDであっても構わない。
【0017】
ディスク11の各記録面11−i(i=0,1)には、図2に示すように、複数のサーボ領域110がディスク中心から放射状に且つディスク円周方向に等間隔で配置されている。サーボ領域110には、ヘッド12−iのシーク・位置決め等に用いられるサーボデータが記録されている。このサーボデータは、サーボデータを識別するための特定のパターンであるサーボアドレスマークと、位置情報としてのシリンダコード(トラックコード)及びバーストデータ(バーストパターン)とを含む。シリンダコードは、対応するサーボデータが書き込まれているディスク11上のシリンダ(トラック)位置を示す。バーストデータは、対応するサーボデータが書き込まれているシリンダ内の位置誤差を波形の振幅で示す位置誤差信号(PES)である。
【0018】
ディスク11の各記録面にはまた、同心円状の多数のトラック(図示せず)が配置されている。ディスク11は、トラック(シリンダ)の物理的な周の長さが長くなるディスク11上の外周側の領域を有効に使用して当該ディスク11のフォーマット効率を上げるために、当該ディスク11の各記録面を図2に示すように半径方向に複数トラックからなるn個のゾーンZ1,Z2,…Znに分割して管理される。ここでは、各ゾーンの線記録密度が等しくなるように、ゾーン毎に、トラック(シリンダ)当たりのデータセクタ数が異なる(外周側のゾーンほど多くなる)CDR(Constant Density Recording)方式のフォーマットを適用している。
【0019】
ディスク11はスピンドルモータ(以下、SPMと称する)13により高速に回転する。各ヘッド12−iはヘッド移動機構としてのアクチュエータ(ロータリ型ヘッドアクチュエータ)14に取り付けられており、当該アクチュエータ14の回動に従ってディスク11の半径方向に移動する。これにより、ヘッド12−iは、目標トラック上にシーク・位置決めされるようになっている。アクチュエータ14は、当該アクチュエータ14の駆動源となるボイスコイルモータ(以下、VCMと称する)15を有しており、当該VCM15により駆動される。
【0020】
SPM13及びVCM15は、モータドライバ16からそれぞれ供給される駆動電流(SPM電流及びVCM電流)により駆動される。モータドライバ16からそれぞれSPM13及びVCM15に供給される駆動電流を決定するための値(制御量)は、CPU21により決定される。
【0021】
ヘッド12−iはヘッドIC(Integrated Circuit)17と接続されている。ヘッドIC17はヘッド12−iにより読み出されたリード信号を増幅するリードアンプ(図示せず)、及びライトデータをライト電流に変換するライトアンプ(図示せず)を含む。ヘッドIC17は、R/Wコントローラ(リード/ライトIC)18と接続されている。
【0022】
R/Wコントローラ18は、リード信号に対するA/D(アナログ/デジタル)変換処理、及びリードデータを復号する処理等を実行するリードチャネル機能を有する。R/Wコントローラ18はまた、ライトデータを符号化する処理等を実行するライトチャネル機能も有する。R/Wコントローラ18は更に、サーボ処理回路19からのタイミング信号(サーボゲート信号)に応じてリードデータからサーボデータを検出する機能も有する。検出されたサーボデータはサーボ処理回路19に転送される。
【0023】
サーボ処理回路19は、特定用途向けIC、例えばゲートアレイにより構成される。サーボ処理回路19は、R/Wコントローラ18から転送されるサーボデータからサーボアドレスマークを検出して、次のサーボデータの時間的位置を表すタイミング信号(サーボゲート信号)を生成する機能を有する。サーボ処理回路19は、R/Wコントローラ18から転送されたサーボデータを保持するサーボレジスタ(図示せず)を内蔵する。
【0024】
ディスクコントローラ(以下、HDCと称する)20は、HDDを利用するホストと接続されている。ホストは、パーソナルコンピュータ等の電子機器である。HDC20は、ホストとの間でコマンド(ライトコマンド、リードコマンド等)、及びデータを送受信する。HDC20はまた、R/Wコントローラ18を介してディスク11との間のデータ転送を制御する。
【0025】
CPU21は、不揮発性メモリ、例えば書き換えが可能な不揮発性メモリとしてのFROM(Flash Read Only Memory)22と接続されている。FROM22には、CPU21が実行するヘッド位置決めのための制御ルーチンを含む制御プログラムが予め格納されている。またFROM22には、データ記録(書き込み)時の位置決め制御で使用される位置決め制限値テーブル220も予め格納されている。この位置決め制限値テーブル220は、図3に示すように、対応するHDD内のヘッド12−i(i=0,1)毎で且つゾーンZj(j=1〜n)毎に、そのヘッド12−i(Hi)をそのゾーンZj内の目標トラックに位置決めする際の制限値(位置決め制限値)を登録したエントリから構成される。位置決め制限値とは、ヘッドを目標トラックに位置決めする際の目標範囲を表す値、つまり、ヘッド位置決めが完了したとしてデータ記録の実行を許す位置決め誤差の上限値(許容値)である。CPU21はまた、当該CPU21のワーク領域等を提供するRAM(Random Access Memory)23とも接続されている。
【0026】
CPU21はHDDの主コントローラをなしており、ROM22に格納されている制御プログラムに従ってHDD内の各部、例えばモータドライバ16、ヘッドアンプ17、R/Wコントローラ18及びHDC20等を制御する。CPU21はまた、ヘッド12−iを目標トラックに位置決めする制御等を実行する。この位置決め制御は、サーボ処理回路19内のサーボレジスタに保持されているサーボデータ中の位置情報(シリンダコード及びバーストデータ)に基づいて行われる。CPU21は、データ記録(書き込み)時の位置決め制御では、位置決め制限値テーブル220から目標トラックに対応するヘッド12−i及びゾーンZjに固有の位置決め制限値を読み取り、その制限値を実際の位置決め誤差と比較することでデータ記録動作の実行の可否を判定する。
【0027】
次に、図1の構成のHDDの動作について、データ記録時の動作を例に、図4のフローチャートを適宜参照して説明する。
まず、ホストから図1のHDDに対してライトコマンドが与えられたものとする。このライトコマンドはHDC20で受信されてCPU21に渡される。CPU21は、ホストからのライトコマンドで指定されたディスク11上のトラックを特定する。ここでは、ディスク11の記録面11−0上のゾーンZ0に属するトラックが特定されたものとする。この場合、CPU21は、ヘッドIC17に対し、ヘッド12−0を選択する指示をゲートアレイ19を介して与える(ステップS1)。これによりヘッドIC17は、ヘッド12−0及び12−1のうちのヘッド12−0を選択する。
【0028】
ディスク11はSPM13により高速に回転させられる。ヘッド12−0は、ディスク11が回転している状態では、当該ディスク11上をほぼ一定の距離を保って浮上する。この状態で、ヘッド12−0は、ディスク11の記録面11−0に磁気記録されている信号を読み取り電気信号に変換する。ヘッド12−0により読み取られた信号(リード信号)は、ヘッドIC17(内のリードアンプ)により増幅された後、R/Wコントローラ18に入力される。R/Wコントローラ18は、入力されたリード信号の振幅を一定レベルに保ち、その高域周波数成分をフィルタにより除去することで、その波形を整形する。R/Wコントローラ18は、波形整形後のリード信号をA/D変換処理によりデジタル化する。R/Wコントローラ18は、サーボ処理回路19からのタイミング信号に応じ、上記デジタル化されたリード信号、即ちリードデータからサーボデータを抽出する。このサーボデータはサーボ処理回路19に転送されて、当該サーボ処理回路19内(のサーボレジスタ)に保持される。
【0029】
CPU21は、上記したようにヘッド12−0を選択すると(ステップS1)、当該ヘッド12−0をディスク11(の記録面11−0)上の目標トラックに移動させるシーク制御を実行する(ステップS2)。このシーク制御では、CPU21は、サーボ処理回路19内(のサーボレジスタ)に保持されたサーボデータ中のシリンダコードから、ヘッド12−0が現在位置しているトラック(シリンダ)を判断する。そしてCPU21は、ヘッド12−0が現在位置しているトラックと目標トラックとの差分を算出する。CPU21は、この差分がゼロとなるように、即ちヘッド12−0が目標トラックへ移動するように、モータドライバ16を制御して、VCM15を駆動させる。
【0030】
CPU21は、上記差分がゼロとなると、即ちヘッド12−0が目標トラックに移動されるとシーク完了を判定し(ステップS3)、シーク制御からヘッド位置決め制御に移行する。
【0031】
CPU21は、ヘッド位置決め制御において、サーボ処理回路19内(のサーボレジスタ)に保持されたサーボデータ中のバーストデータをもとに、目標トラックの目標位置からの位置誤差を算出する(ステップS4)。そしてCPU21は、算出した位置誤差をなくすのに必要な当該位置誤差に対応するVCM制御量を決定してモータドライバ16に設定することにより、VCM15を駆動制御する(ステップS5)。この場合、モータドライバ16からVCM15に対し、設定された制御量で決まる値の駆動電流(VCM電流)が供給される。これによりVCM15はヘッド12−0が目標トラックの目標位置に位置決めされる方向にアクチュエータ14を駆動する。
【0032】
またCPU21は、目標トラックに対応するヘッド12−0(H0)及びゾーンZ0を示す番号(ヘッド番号0とゾーン番号0)の組み合わせをキーに位置決め制限値テーブル220を参照して、当該ヘッド12−0(H0)及びゾーンZ0に対応するエントリに設定されている位置決め制限値を読み取る(ステップS6)。CPU21は、ステップS4で算出した位置誤差を位置決め制限値テーブル220から読み取った位置決め制限値と比較する(ステップS7)。そしてCPU21は、位置誤差が位置決め制限値以下であるか否かを判定する(ステップS8)。
【0033】
もし、位置誤差が位置決め制限値を超えているならば(ステップS8のNO)、CPU21はHDC20を制御して、ホストから指定されたデータのR/Wコントローラ18及びヘッドIC17を介して行われるヘッド12−0による書き込み(記録動作)を待たせる(ステップS9)。これにより、データの書き込み時にHDDに対する衝撃または振動が発生して、ヘッド12−0が目標トラックの目標範囲から外れても、つまりヘッド12−0がオフトラックしても、当該ヘッド12−0によりオフトラック記録されてしまうことが防止できる。
【0034】
そこでCPU21は、上記ステップS4〜S8の処理を、当該ステップS8で位置誤差が位置決め制限値内に収まったことを判定されるまで、R/Wコントローラ18により抽出されたサーボデータがサーボ処理回路19(内のサーボレジスタ)に保持される都度繰り返す。
【0035】
やがて、位置誤差が位置決め制限値内に収まるようになると(ステップS8のYES)、CPU21はHDC20に対してデータの書き込みを許可し、ホストから指定されたデータのヘッド12−0による書き込み(記録動作)を実行させる(ステップS10)。この場合、ホストからのライトコマンドで指定された目標トラック上の目標とする開始セクタにヘッド12−0が位置するタイミングで、HDC20からR/Wコントローラ18にライトデータが転送される。このライトデータは、R/WチャネルIC18により符号化(変調)され、更にヘッドIC17(内のライトアンプ)によりライト電流に変換されて、ヘッド12−0によりディスク11上の目標とする開始セクタから順に書き込まれる。
【0036】
従来、上記ステップS7で位置決め誤差と比較される位置決め制限値(位置決め誤差の上限値)は、HDDの機種毎に予め1つに定められていた。これに対して本実施形態においては、位置決め制限値を、各HDDについて、当該HDDにおけるヘッド毎で且つゾーン毎に決定している。そして、図1のHDDでは、ヘッド12−0(H0)及び12−1(H1)とゾーンZ1〜Znとの全ての組み合わせ毎に、その組み合わせとその組み合わせで決まる位置決め制限値との組が登録された位置決め制限値テーブル220が、予めFROM22に格納されている。ここでは、ヘッド12−iを目標トラックの目標位置に位置決めするヘッド位置決め制御時には、ヘッド12−iと目標トラックが属するゾーンZjの組み合わせに対応する位置決め制限値が位置決め制限値テーブル220から読み取られて、位置決め誤差との比較に用いられる。
【0037】
ここで使用される位置決め制限値は、後述するように、ヘッド12−iによりゾーンZj内の目標トラックにデータを記録する際の、当該ヘッド12−iのサイドフリンジ量(隣接トラックへの影響)に対応した値に決定されている。これにより、ヘッド12−iとゾーンZjとの組み合わせ毎に対応するフリンジ量が異なっていても、隣接トラックへの影響が均等となるようにしている。
【0038】
例えば、サイドフリンジ量が大きいヘッド12−iとゾーンZjとの組み合わせでは、そのヘッド12−iによりゾーンZj内のトラックにデータを記録した場合に隣接トラックへの影響が大きいため、その組み合わせに対応する位置決め制限値は小さな値に決定される。この小さな値の位置決め制限値を適用した場合、位置決め制御の条件は厳しくなり、隣接トラックへの書き込み量を低減することができる。
【0039】
これに対し、サイドフリンジ量が小さいヘッド12−iとゾーンZjとの組み合わせでは、そのヘッド12−iによりゾーンZj内のトラックにデータを記録した場合に隣接トラックへの影響は小さいため、その組み合わせに対応する位置決め制限値は大きな値に決定される。この大きな値の位置決め制限値を適用した場合、位置決め制御の条件が緩和されるため、いたずらにデータ書き込みが待たされることを解消できる。
【0040】
次に、位置決め制限値テーブル220に登録される位置決め制限値を決定する処理について、図5乃至図7のフローチャートを参照して説明する。
図1のHDDにおける位置決め制限値決定処理は、当該HDDの出荷時の検査の中で、ホストからの特定のコマンドに応じて実行される。まずCPU21は、ヘッドを指定する変数iを初期値0に設定し、当該変数iで指定されるヘッドHi、つまりヘッド12−iを、ヘッドIC17により選択させる(ステップS11,S12)。
【0041】
次にCPU21は、ゾーンを指定する変数jを初期値1に設定する(ステップS13)。そしてCPU21は、位置決め制限値を予め定められている特定値に設定すると共に、エラー数をカウントするエラーカウンタECNT及び測定回数をカウントする測定回数カウンタMCNTを初期値0に設定する(ステップS14)。
【0042】
次にCPU21は、ディスク11の記録面11−i上のゾーンZj内の所定(着目する)トラックにヘッドHiを位置決めするための制御を行う(ステップS15)。そしてCPU21は、ヘッドHiのゾーンZj内の上記所定トラックに対する位置決め誤差が上記特定値以下になると、HDC20を制御して、ヘッドHiによる当該所定トラックへのデータ書き込みを行わせる(ステップS16)。その後、CPU21は、HDC20を制御して、ヘッドHiによるゾーンZj内の上記所定トラックからのデータ読み出しを行わせ(ステップS17)、リードエラーが発生したか否かを判定する(ステップS18)。もし、リードエラーが発生したならば、CPU21はエラーカウンタECNTのカウント値を1インクリメントし(ステップS19)、しかる後にステップS20に進む。これに対し、リードエラーが発生しなかったならば、CPU21はステップS19をスキップしてステップS20に進む。
【0043】
CPU21は、ステップS20で、測定回数カウンタMCNTのカウント値を1インクリメントする。そしてCPU21は、インクリメント後の測定回数カウンタMCNTの値が所定回数に達したか否かを判定する(ステップS21)。もし、インクリメント後の測定回数カウンタMCNTの値が所定回数に達していないならば、CPU21はステップS17以降の処理を再度実行する。これに対し、ステップS17以降の処理を所定回数実行した結果、インクリメント後の測定回数カウンタMCNTの値が所定回数に達したならば、CPU21は、その時点における測定回数カウンタMCNTの値(測定回数)及びエラーカウンタECNTの値(エラー回数)をもとに、エラーレートを算出する(ステップS22)。ここでは、MCNTの値(測定回数)に対するエラーカウンタECNTの値(エラー回数)の割合の対数をとった値(log(ECNT/MCNT))をエラーレートとしている。CPU21は、算出したエラーレート(基準となるエラーレート)を、その時点におけるヘッドHi及びゾーンZjを示す番号と組にしてRAM23に格納する(ステップS23)。
【0044】
次にCPU21は、位置決め制限値を予め定められた最小値に設定すると共に、エラーカウンタECNT及び測定回数カウンタMCNTを初期値0に設定する(ステップS24)。
【0045】
次にCPU21は、ゾーンZj内の上記所定トラックに隣接する2つのトラックのうちの一方にヘッドHiを位置決めするための制御を行う(ステップS15)。そしてCPU21は、ヘッドHiのゾーンZj内の上記一方の隣接トラックに対する位置決め誤差が、現在設定されている位置決め制限値以下になると、HDC20を制御して、ヘッドHiによる当該隣接トラックへのデータ書き込みを行わせる(ステップS26)。次にCPU21は、ゾーンZj内の上記所定トラックに隣接する2つのトラックのうちの他方にヘッドHiを位置決めするための制御を行う(ステップS27)。そしてCPU21は、ヘッドHiのゾーンZj内の上記他方の隣接トラックに対する位置決め誤差が、現在設定されている位置決め制限値以下になると、HDC20を制御して、ヘッドHiによる当該隣接トラックへのデータ書き込みを行わせる(ステップS28)。即ちCPU21は、ゾーンZj内の上記所定トラックに隣接する2つのトラックへのデータ書き込みを制御する。
【0046】
次に、CPU21は、HDC20を制御して、ヘッドHiによるゾーンZj内の上記所定トラック(センタートラック)からのデータ読み出しを行わせ(ステップS29)、リードエラーが発生したか否かを判定する(ステップS30)。もし、リードエラーが発生したならば、CPU21はエラーカウンタECNTのカウント値を1インクリメントし(ステップS31)、しかる後にステップS32に進む。これに対し、リードエラーが発生しなかったならば、CPU21はステップS31をスキップしてステップS32に進む。
【0047】
CPU21は、ステップS32で、測定回数カウンタMCNTのカウント値を1インクリメントする。もし、インクリメント後の測定回数カウンタMCNTの値が所定回数に達していないならば(ステップS33)、CPU21はステップS25以降の処理を再度実行する。
【0048】
これに対し、ステップS25以降の処理を所定回数実行した結果、インクリメント後の測定回数カウンタMCNTの値が所定回数に達したならば(ステップS33)、CPU21は、その時点における測定回数カウンタMCNTの値(測定回数)及びエラーカウンタECNTの値(エラー回数)をもとに、先のステップS22と同様にしてエラーレートを算出する(ステップS34)。次にCPU21は、ステップS22で算出した基準となるエラーレートに対する、ステップS34で算出したエラーレート(隣接トラックにデータを書き込んだ際のセンタートラックのエラーレート)の落ち込み量Delta−BERを算出する。そしてCPU21は、算出したDelta−BERを、その時点におけるヘッドHi及びゾーンZjを示す番号及び位置決め制限値と組にしてRAM23に格納する(ステップS36)。
【0049】
次にCPU21は、現在設定されている位置決め制限値を予め定められた可変量Δだけ増加する(ステップS37)。そしてCPU21は、Δだけ増加した後の位置決め制限値が予め定められた最大値を超えているか否かを判定する(ステップS38)。もし、増加後の位置決め制限値が最大値を超えていないならば、CPU21は増加後の位置決め制限値のもとで、ステップS25以降の処理を再度実行する。
【0050】
これに対し、増加後の位置決め制限値が最大値を超えているならば、CPU21は、その時点におけるヘッドHi及びゾーンZjのヘッド番号と組にしてRAM23に格納されている、位置決め制限値毎のDelta−BERから、位置決め制限値を決定する(ステップS39)。ここでは、Delta−BER(エラーレートの落ち込み量)の許容される値(限界値)をLとすると、Delta−BERの値がLに一致する位置決め制限値が、ヘッドHiによりゾーンZj内のトラックにデータを書き込む際に適用すべき位置決め制限値として決定される。
【0051】
図8に、位置決め制限値と、当該位置決め制限値をパラメータとして取得されたDelta−BER(エラーレートの落ち込み量)との関係の一例を示す。図から明らかなように、位置決め制限値が大きくなるほど、即ち位置決め制限を緩和するほど、Delta−BERは低下する。この位置決め制限値をパラメータとするDelta−BERの値は、ヘッドHi及びゾーンZjにおける、当該位置決め制限値に対応するヘッドHiのフリンジ量(隣接トラックへの影響の程度)を表しているといえる。したがって、上記ステップS39で決定される位置決め制限値は、図1のHDDにおいてヘッドHiによりゾーンZj上のトラックにデータを書き込む際の、当該ヘッドHiのフリンジ量に対応したものとなる。
【0052】
CPU21は、ヘッドHiによりゾーンZj内のトラックにデータを書き込む際に適用すべき位置決め制限値を決定すると、その位置決め制限値を、例えばRAM23に格納されている(図3中の位置決め制限値テーブル220と同一構造の)位置決め制限値テーブル中の、そのヘッドHi及びゾーンZjを示す番号で特定されるエントリに登録する(ステップS40)。
【0053】
次にCPU21は、変数jを1だけインクリメントし(ステップS41)、そのインクリメント後の変数jがjmax(ここではjmax=n)を超えているか否かを判定する(ステップS42)。もし、jがjmaxを超えていないならば、CPU21はヘッドHi側の記録面11−i上に位置決め制限値が決定されていないゾーンが残されていると判断し、インクリメント後の変数jで指定されるゾーンZjを対象に、上記ステップS14以降の処理を再度実行する。
【0054】
これに対し、jがjmaxを超えているならば、CPU21はヘッドHi側の記録面11−i上の全ゾーンZ1〜Znについて位置決め制限値が決定されているものと判断する。この場合、CPU21は変数iを1だけインクリメントし(ステップS43)、そのインクリメント後の変数iがimax(ここではimax=1)を超えているか否かを判定する(ステップS44)。もし、iがimaxを超えていないならば、CPU21は位置決め制限値が決定されていないヘッドが残されていると判断し、インクリメント後の変数iで指定されるヘッドHiを対象に、上記ステップS12以降の処理を再度実行する。
【0055】
これに対し、iがimaxを超えているならば、CPU21は全ヘッドについて、ゾーンZ1〜Zn毎の位置決め制限値が決定されているものと判断する。この場合、CPU21はその時点においてRAM23に格納されている位置決め制限値テーブルを、位置決め制限値テーブル220としてFROM22に保存して(ステップS45)、位置決め制限値決定処理を終了する。
【0056】
このように本実施形態においては、データ記録(データ書き込み)時に適用する位置決め制限値を、各HDDで、ヘッド毎で且つゾーン毎に決定している。ここで決定される位置決め制限値は、図1のHDDにおいてヘッドHiによりゾーンZj上のトラックにデータを書き込む際の、当該ヘッドHiのフリンジ量に応じたものとなる。これにより、ヘッドH0(12−0)またはH1(12−1)を用いてディスク11の対応する記録面上の目標トラックにデータを書き込む場合の隣接トラックへの影響を、ヘッド及びゾーンに無関係にほぼ均等にできる。
【0057】
あるトラックに隣接する2つのトラックにデータを書き込んだ際の、当該あるトラック(センタートラック)のエラーレートの落ち込みには、ヘッドHi(ヘッド12−i)のトラック幅及びフリンジ量が影響する。また、上記エラーレートの落ち込みには、本実施形態のようにロータリ型のアクチュエータ14を適用したHDDの場合は、更にヘッドとトラック方向のなす角度、即ちスキュー(skew)角も影響する。このスキュー角は、ディスク11上の半径位置により異なり、したがってゾーンZ1〜Zn毎に異なる。そこで、本実施形態では、上述のように、各ヘッドについて、ゾーン毎に位置決め制限値をパラメータとしてフリンジ量に相当するエラーレートの落ち込み量を測定している。そして、この測定結果からゾーン毎の位置決め制限値を決定し、その決定した制限値をヘッド毎に且つゾーン毎に位置決め制限値テーブル220に登録している。したがって、データ書き込み時に、位置決め制限値テーブル220を参照して、目標トラックに対応するヘッド及びゾーンの組み合わせで特定される位置決め制限値を用いることにより、ヘッド及びゾーンに無関係に、隣接トラックへの影響を均等にできる。
【0058】
上述したように本実施形態では、各ヘッドについてゾーン毎の位置決め制限値を決定するために、位置決め制限値をパラメータとして着目するトラック(センタートラック)に隣接するトラックにデータを書き込んで、当該センタートラックのエラーレートを測定することにより、Delta−BER(エラーレートの落ち込み量)を算出している。しかし、隣接トラックの目標位置に対してヘッドを故意にオフセットさせてデータを書き込んで、センタートラックのエラーレートを測定してもよい。即ち、隣接トラックに対するヘッド位置のオフセット量をパラメータとして当該隣接トラックにデータを書き込んで、センタートラックのエラーレートを測定することにより、Delta−BERを算出してもよい。図9に、隣接トラックに対するヘッド位置のオフセット量とDelta−BERとの関係の一例を示す。図から明らかなように、隣接トラックに対するヘッド位置をオフセットさせることでデータ書き込み位置をセンタートラックに近づけるならばエラーレートの落ち込みは大きくなる。したがって、エラーレートの落ち込みの許容値Lを決定すれば、それに対応するオフセット量を位置決め制限値として決定できる。
【0059】
また、上記実施形態では、位置決め制限値テーブル220をFROM22に保存している。しかし位置決め制限値テーブル220を保存するのに、必ずしもFROM22を用いる必要はない。一般に、ディスク11の記録面には、ユーザから利用可能なユーザ領域とは別に、システムのみが使用する、つまりユーザからは見えない、システム領域と呼ばれる非ユーザ領域が確保されている。そこで、この非ユーザ領域に位置決め制限値テーブル220を保存してもよい。このようにすると、制御プログラムの格納にROMを用いたHDDでも、位置決め制限値テーブル220を利用できる。
【0060】
また、上記実施形態においては、本発明をCDR方式のフォーマットを適用するディスクを備えた磁気ディスク装置に適用した。しかし本発明は、CDR方式を適用しない磁気ディスク装置にも適用可能である。この場合、ディスクの記録面を、線記録密度とは無関係に、半径方向に複数トラックからなるn個のゾーンに分割して管理し、上記実施形態と同様に、ヘッド毎で且つゾーン毎に、そのゾーン内のトラックにデータを書き込む際のフリンジ量(隣接トラックへの影響)に対応した位置決め制限値を設定するとよい。
【0061】
また、上記実施形態においては、本発明を磁気ディスク装置(HDD)に適用した。しかし本発明は、光磁気ディスク装置など、記録媒体にディスクを用い、且つ当該ディスクへのデータ書き込みにヘッドが用いられるディスク記憶装置全般に適用することができる。
【0062】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0063】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、ヘッドのフリンジ量、即ち隣接トラックへの影響の度合いに応じて位置決めの制限値を設定するようにしたので、高トラック密度下でもヘッドの極端な狭トラック幅化を行うことなく、しかもヘッドによるデータ記録動作を待たせる頻度を低減しながら、ヘッドの隣接トラックへの影響を低減できる、
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る磁気ディスク装置の構成を示すブロック図。
【図2】図1中のディスク11のフォーマット例を示す概念図。
【図3】図1中の位置決め制限値テーブル220のデータ構造例を示す図。
【図4】同実施形態におけるデータ記録時の動作を説明するためのフローチャート。
【図5】同実施形態における位置決め制限値決定処理を説明するためのフローチャートの一部を示す図。
【図6】同実施形態における位置決め制限値決定処理を説明するためのフローチャートの他の一部を示す図。
【図7】同実施形態における位置決め制限値決定処理を説明するためのフローチャートの残りを示す図。
【図8】位置決め制限値と、当該位置決め制限値をパラメータとして取得されたDelta−BER(エラーレートの落ち込み量)との関係の一例を示す図。
【図9】隣接トラックにデータを書き込む際のヘッド位置のオフセット量と、当該オフセット量をパラメータとして取得されたDelta−BERとの関係の一例を示す図。
【符号の説明】
11…ディスク
12−0,12−1…ヘッド
14…アクチュエータ
15…VCM(ボイスコイルモータ)
16…モータドライバ
21…CPU
22…FROM
110…サーボ領域
220…位置決め制限値テーブル
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヘッドによりディスクにデータが記録されるディスク記憶装置に係り、特に、高トラック密度下でのデータ記録に好適な、ヘッドによるデータ記録時のヘッド位置決め誤差の上限を示す位置決め制限値を決定する方法及び同方法で決定された位置決め制限値を利用するディスク記憶装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
記憶媒体にディスク(ディスク媒体)を用いたディスク記憶装置として、磁気ディスク装置が知られている。近年の磁気ディスク装置では、記憶容量の増大に伴い、記録密度も急速に向上している。高記録密度のためには、トラック密度と線記録密度とを共に向上させる必要がある。
【0003】
トラック密度の高密度化は、磁気ヘッドのディスク半径方向の幅、つまりトラック幅(記録トラック幅)の狭化により実現される。したがって、トラック密度の高密度化が進むと、ヘッドのトラック幅の加工精度とも相乗し、隣接トラックへの、または隣接トラックからの影響が無視できなくなる。隣接トラックへの影響は、次の2つに大別される。1つは、目標トラック(内の目標セクタ)への磁気ヘッドによるデータ記録時に、当該ヘッドからの磁束の漏洩に起因するフリンジ(サイドフリンジ)により隣接トラックにデータが重ね書きされることである。もう1つは、目標トラック(内の目標セクタ)からの磁気ヘッドによるデータの再生時に隣接トラックのデータが読み込まれることである。特に、目標トラックへのデータ記録時に、隣接トラックへの重ね書きが発生した場合には、当該隣接トラックの信号品質が劣化してしまうので大きな問題となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
高トラック密度下で、サイドフリンジの影響をなくすには、磁気ヘッドのトラック幅を狭くすればよい。しかしながら、ヘッドのトラック幅の狭化を進め過ぎると、つまりヘッドの極端な狭トラック幅化は、ヘッドの記録能力及び再生出力の低下を招く。
【0005】
磁気ヘッドによるデータ記録時に隣接トラックに影響を及ぼす要因は、上述した高トラック密度化のための記録トラック幅(ヘッドのトラック幅)の狭化及びサイドフリンジだけに限らない。例えば、データ記録時のヘッドの位置決め精度も、隣接トラックに影響を及ぼす大きな要因となる。ヘッドが目標トラックの目標範囲から外れた状態、つまりオフトラック状態でのデータ記録行為は、当該ヘッドが近づいてしまった隣接トラックに対して影響を与えてしまうのは当然である。
【0006】
したがって、ヘッドの位置決め誤差をなくすことが理想である。しかし現実には、ヘッドの位置決め誤差(位置決め精度)には、位置情報を含むサーボ情報(サーボ信号)のS/N(SN比)等の影響で限界がある。そこで、従来の磁気ディスク装置では、データ記録時に、当該ディスク装置が属する機種に固有の位置決め誤差の上限値、つまり位置決めの制限値を設定し、位置決め誤差が当該制限値を超えてしまったときにはデータ記録動作を待たせるようにしている。トラック幅の設計時には、この位置決め誤差も考慮しなければならない。
【0007】
本発明は上記事情を考慮してなされたものでその目的は、ヘッドの隣接トラックへの影響の度合いに応じて位置決めの制限値を設定することにより、高トラック密度下でもヘッドの極端な狭トラック幅化を行うことなく、しかもヘッドによるデータ記録動作を待たせる頻度を低減しながら、ヘッドの隣接トラックへの影響を低減できる、位置決め制限値を決定する方法及び同方法で決定された位置決め制限値を利用するディスク記憶装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の1つの観点によれば、2つのディスク面の少なくとも一方が記録面をなす少なくとも1枚のディスクと、この少なくとも1枚のディスクの上記記録面に対応して配置され、当該記録面へのデータの記録及び当該記録面からのデータの再生に用いられるヘッドと、上記ヘッドを支持し、当該ヘッドを上記ディスクの半径方向に移動するアクチュエータとを備えたディスク記憶装置において、ヘッドによるデータ記録時のヘッド位置決め誤差の上限を示す位置決め制限値を決定する方法が提供される。この方法は、上記ヘッドのフリンジ量を測定するステップと、このフリンジ量の測定結果をもとに上記ヘッドによるデータ記録時の位置決め制限値を決定するステップと、決定された位置決め制限値を、目標トラックへのデータ記録のために上記ヘッドを当該目標トラックに位置決めする制御時に利用可能なように、保存するステップとから構成される。
【0009】
上記の構成においては、同一機種のディスク記憶装置であっても、各ディスク記憶装置に実装されるヘッドのトラック幅の加工精度等のばらつきにより、ヘッド毎のフリンジ量(隣接トラックへの影響)が異なることに着目し、ヘッドのフリンジ量を測定して、そのフリンジ量に応じた位置決め制限値(許容される位置決め誤差の上限値)を設定するようにしている。これにより、各ディスク記憶装置におけるデータ記録時の隣接トラックへの影響を均等にできる。つまり、幅広で隣接トラックへの影響が大きいヘッドでは位置決め制限値を小さな値に設定して、データ記録動作を許可する位置決め条件を厳しくすることにより、高トラック密度下でもヘッドの極端な狭トラック幅化を行うことなく、隣接トラックへの書き込み量を低減することが可能となる。逆に幅狭で隣接トラックへの影響が少ないヘッドでは位置決め制限値を大きな値に設定して、データ記録動作を許可する位置決め条件を緩和することにより、ヘッドによるデータ記録動作を待たせる頻度を低減することが可能となる。
【0010】
ここで、複数のヘッドが実装されるディスク記憶装置では、各ヘッドについてフリンジ量を測定して、ヘッド毎に、そのフリンジ量に応じた位置決め制限値を設定すればよい。
【0011】
また、ヘッドをディスクの半径方向に移動するアクチュエータ、即ちロータリ型のアクチュエータを適用したディスク記憶装置では、トラック方向とヘッドとのなす角度(スキュー角)が半径位置によって変わる。この角度によってフリンジ量は変化する。そこで、ディスクの記録面を当該ディスクの半径方向に複数のゾーンに区分して管理する構成を適用し、(各ヘッドについて)ゾーン毎にフリンジ量を測定して、(各ヘッドについて)ゾーン毎に位置決め制限値を設定するならば、ヘッド位置に影響されずに、フリンジの影響を低減する効果を増大できる。
【0012】
ここで、フリンジ量を測定するのに、着目するトラックに隣接する2つのトラックに、対応するヘッドによりデータを記録して、この着目するトラックのエラーレートの落ち込みを測定し、その落ち込み量を当該ヘッドのフリンジ量とみなして処理するとよい。この場合、このエラーレートの落ち込み量を測定する動作を、隣接トラックへのデータ記録時の位置決め制限値をパラメータとして実行し、その位置決め制限値をパラメータとする測定結果をもとに、予め定められたフリンジ量に対応するエラーレートの落ち込み量となる位置決め制限値を目的の位置決め制限値として決定すればよい。このように、隣接トラック記録時の位置決め精度をパラメータにすることにより、容易に位置決め制限値を決定することができる。
【0013】
この他に、上記着目するトラックのエラーレートの落ち込みをヘッドのフリンジ量として測定する動作を、隣接トラックへのデータ記録時のヘッドオフセット量をパラメータとして実行してもよい。ここでは、ヘッドオフセット量をパラメータとする測定結果をもとに、予め定められたフリンジ量に対応するエラーレートの落ち込み量となる位置決め制限値を目的の位置決め制限値として決定すればよい。このように、隣接トラック記録時のオフセット量をパラメータにすることにより、容易に位置決め制限値を決定することができる。しかも、オフセット量をパラメータとすることにより、エラーレートの落ち込みがオフセット量に追従して加速されるため、厳密な位置決め制限値を設定することができる。
【0014】
なお、本発明は、上記の方法(位置決め制限値を決定する方法)で決定されて保存された、ヘッドに固有の位置決め制限値(或いはヘッド及びゾーンの組み合わせに固有の位置決め制限値)を利用して、目標トラックへのデータ記録に際しての位置決め制御でデータ記録動作が可能な状態となったか否かを判定する手段を備えたディスク記憶装置に係る発明としても成立する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を磁気ディスク装置に適用した実施の形態につき図面を参照して説明する。
【0016】
図1は本発明の一実施形態に係る磁気ディスク装置の構成を示すブロック図である。
図1の磁気ディスク装置(以下、HDDと称する)において、ディスク11は上側と下側の2つのディスク面を有している。ディスク11の2つのディスク面の少なくとも一方のディスク面、例えば両方のディスク面は、データが磁気記録される記録面11−0及び11−1をなしている。ディスク11の記録面11−0及び11−1に対応して、それぞれ、当該ディスク11へのデータ記録(書き込み)及び当該ディスク11からのデータ再生(読み出し)に用いられるヘッド(磁気ヘッド)12−0(H0)及び12−1(H1)が配置されている。なお、図1の構成では、単一枚のディスク11を備えたHDDを想定しているが、ディスク11が複数枚積層配置されたHDDであっても構わない。
【0017】
ディスク11の各記録面11−i(i=0,1)には、図2に示すように、複数のサーボ領域110がディスク中心から放射状に且つディスク円周方向に等間隔で配置されている。サーボ領域110には、ヘッド12−iのシーク・位置決め等に用いられるサーボデータが記録されている。このサーボデータは、サーボデータを識別するための特定のパターンであるサーボアドレスマークと、位置情報としてのシリンダコード(トラックコード)及びバーストデータ(バーストパターン)とを含む。シリンダコードは、対応するサーボデータが書き込まれているディスク11上のシリンダ(トラック)位置を示す。バーストデータは、対応するサーボデータが書き込まれているシリンダ内の位置誤差を波形の振幅で示す位置誤差信号(PES)である。
【0018】
ディスク11の各記録面にはまた、同心円状の多数のトラック(図示せず)が配置されている。ディスク11は、トラック(シリンダ)の物理的な周の長さが長くなるディスク11上の外周側の領域を有効に使用して当該ディスク11のフォーマット効率を上げるために、当該ディスク11の各記録面を図2に示すように半径方向に複数トラックからなるn個のゾーンZ1,Z2,…Znに分割して管理される。ここでは、各ゾーンの線記録密度が等しくなるように、ゾーン毎に、トラック(シリンダ)当たりのデータセクタ数が異なる(外周側のゾーンほど多くなる)CDR(Constant Density Recording)方式のフォーマットを適用している。
【0019】
ディスク11はスピンドルモータ(以下、SPMと称する)13により高速に回転する。各ヘッド12−iはヘッド移動機構としてのアクチュエータ(ロータリ型ヘッドアクチュエータ)14に取り付けられており、当該アクチュエータ14の回動に従ってディスク11の半径方向に移動する。これにより、ヘッド12−iは、目標トラック上にシーク・位置決めされるようになっている。アクチュエータ14は、当該アクチュエータ14の駆動源となるボイスコイルモータ(以下、VCMと称する)15を有しており、当該VCM15により駆動される。
【0020】
SPM13及びVCM15は、モータドライバ16からそれぞれ供給される駆動電流(SPM電流及びVCM電流)により駆動される。モータドライバ16からそれぞれSPM13及びVCM15に供給される駆動電流を決定するための値(制御量)は、CPU21により決定される。
【0021】
ヘッド12−iはヘッドIC(Integrated Circuit)17と接続されている。ヘッドIC17はヘッド12−iにより読み出されたリード信号を増幅するリードアンプ(図示せず)、及びライトデータをライト電流に変換するライトアンプ(図示せず)を含む。ヘッドIC17は、R/Wコントローラ(リード/ライトIC)18と接続されている。
【0022】
R/Wコントローラ18は、リード信号に対するA/D(アナログ/デジタル)変換処理、及びリードデータを復号する処理等を実行するリードチャネル機能を有する。R/Wコントローラ18はまた、ライトデータを符号化する処理等を実行するライトチャネル機能も有する。R/Wコントローラ18は更に、サーボ処理回路19からのタイミング信号(サーボゲート信号)に応じてリードデータからサーボデータを検出する機能も有する。検出されたサーボデータはサーボ処理回路19に転送される。
【0023】
サーボ処理回路19は、特定用途向けIC、例えばゲートアレイにより構成される。サーボ処理回路19は、R/Wコントローラ18から転送されるサーボデータからサーボアドレスマークを検出して、次のサーボデータの時間的位置を表すタイミング信号(サーボゲート信号)を生成する機能を有する。サーボ処理回路19は、R/Wコントローラ18から転送されたサーボデータを保持するサーボレジスタ(図示せず)を内蔵する。
【0024】
ディスクコントローラ(以下、HDCと称する)20は、HDDを利用するホストと接続されている。ホストは、パーソナルコンピュータ等の電子機器である。HDC20は、ホストとの間でコマンド(ライトコマンド、リードコマンド等)、及びデータを送受信する。HDC20はまた、R/Wコントローラ18を介してディスク11との間のデータ転送を制御する。
【0025】
CPU21は、不揮発性メモリ、例えば書き換えが可能な不揮発性メモリとしてのFROM(Flash Read Only Memory)22と接続されている。FROM22には、CPU21が実行するヘッド位置決めのための制御ルーチンを含む制御プログラムが予め格納されている。またFROM22には、データ記録(書き込み)時の位置決め制御で使用される位置決め制限値テーブル220も予め格納されている。この位置決め制限値テーブル220は、図3に示すように、対応するHDD内のヘッド12−i(i=0,1)毎で且つゾーンZj(j=1〜n)毎に、そのヘッド12−i(Hi)をそのゾーンZj内の目標トラックに位置決めする際の制限値(位置決め制限値)を登録したエントリから構成される。位置決め制限値とは、ヘッドを目標トラックに位置決めする際の目標範囲を表す値、つまり、ヘッド位置決めが完了したとしてデータ記録の実行を許す位置決め誤差の上限値(許容値)である。CPU21はまた、当該CPU21のワーク領域等を提供するRAM(Random Access Memory)23とも接続されている。
【0026】
CPU21はHDDの主コントローラをなしており、ROM22に格納されている制御プログラムに従ってHDD内の各部、例えばモータドライバ16、ヘッドアンプ17、R/Wコントローラ18及びHDC20等を制御する。CPU21はまた、ヘッド12−iを目標トラックに位置決めする制御等を実行する。この位置決め制御は、サーボ処理回路19内のサーボレジスタに保持されているサーボデータ中の位置情報(シリンダコード及びバーストデータ)に基づいて行われる。CPU21は、データ記録(書き込み)時の位置決め制御では、位置決め制限値テーブル220から目標トラックに対応するヘッド12−i及びゾーンZjに固有の位置決め制限値を読み取り、その制限値を実際の位置決め誤差と比較することでデータ記録動作の実行の可否を判定する。
【0027】
次に、図1の構成のHDDの動作について、データ記録時の動作を例に、図4のフローチャートを適宜参照して説明する。
まず、ホストから図1のHDDに対してライトコマンドが与えられたものとする。このライトコマンドはHDC20で受信されてCPU21に渡される。CPU21は、ホストからのライトコマンドで指定されたディスク11上のトラックを特定する。ここでは、ディスク11の記録面11−0上のゾーンZ0に属するトラックが特定されたものとする。この場合、CPU21は、ヘッドIC17に対し、ヘッド12−0を選択する指示をゲートアレイ19を介して与える(ステップS1)。これによりヘッドIC17は、ヘッド12−0及び12−1のうちのヘッド12−0を選択する。
【0028】
ディスク11はSPM13により高速に回転させられる。ヘッド12−0は、ディスク11が回転している状態では、当該ディスク11上をほぼ一定の距離を保って浮上する。この状態で、ヘッド12−0は、ディスク11の記録面11−0に磁気記録されている信号を読み取り電気信号に変換する。ヘッド12−0により読み取られた信号(リード信号)は、ヘッドIC17(内のリードアンプ)により増幅された後、R/Wコントローラ18に入力される。R/Wコントローラ18は、入力されたリード信号の振幅を一定レベルに保ち、その高域周波数成分をフィルタにより除去することで、その波形を整形する。R/Wコントローラ18は、波形整形後のリード信号をA/D変換処理によりデジタル化する。R/Wコントローラ18は、サーボ処理回路19からのタイミング信号に応じ、上記デジタル化されたリード信号、即ちリードデータからサーボデータを抽出する。このサーボデータはサーボ処理回路19に転送されて、当該サーボ処理回路19内(のサーボレジスタ)に保持される。
【0029】
CPU21は、上記したようにヘッド12−0を選択すると(ステップS1)、当該ヘッド12−0をディスク11(の記録面11−0)上の目標トラックに移動させるシーク制御を実行する(ステップS2)。このシーク制御では、CPU21は、サーボ処理回路19内(のサーボレジスタ)に保持されたサーボデータ中のシリンダコードから、ヘッド12−0が現在位置しているトラック(シリンダ)を判断する。そしてCPU21は、ヘッド12−0が現在位置しているトラックと目標トラックとの差分を算出する。CPU21は、この差分がゼロとなるように、即ちヘッド12−0が目標トラックへ移動するように、モータドライバ16を制御して、VCM15を駆動させる。
【0030】
CPU21は、上記差分がゼロとなると、即ちヘッド12−0が目標トラックに移動されるとシーク完了を判定し(ステップS3)、シーク制御からヘッド位置決め制御に移行する。
【0031】
CPU21は、ヘッド位置決め制御において、サーボ処理回路19内(のサーボレジスタ)に保持されたサーボデータ中のバーストデータをもとに、目標トラックの目標位置からの位置誤差を算出する(ステップS4)。そしてCPU21は、算出した位置誤差をなくすのに必要な当該位置誤差に対応するVCM制御量を決定してモータドライバ16に設定することにより、VCM15を駆動制御する(ステップS5)。この場合、モータドライバ16からVCM15に対し、設定された制御量で決まる値の駆動電流(VCM電流)が供給される。これによりVCM15はヘッド12−0が目標トラックの目標位置に位置決めされる方向にアクチュエータ14を駆動する。
【0032】
またCPU21は、目標トラックに対応するヘッド12−0(H0)及びゾーンZ0を示す番号(ヘッド番号0とゾーン番号0)の組み合わせをキーに位置決め制限値テーブル220を参照して、当該ヘッド12−0(H0)及びゾーンZ0に対応するエントリに設定されている位置決め制限値を読み取る(ステップS6)。CPU21は、ステップS4で算出した位置誤差を位置決め制限値テーブル220から読み取った位置決め制限値と比較する(ステップS7)。そしてCPU21は、位置誤差が位置決め制限値以下であるか否かを判定する(ステップS8)。
【0033】
もし、位置誤差が位置決め制限値を超えているならば(ステップS8のNO)、CPU21はHDC20を制御して、ホストから指定されたデータのR/Wコントローラ18及びヘッドIC17を介して行われるヘッド12−0による書き込み(記録動作)を待たせる(ステップS9)。これにより、データの書き込み時にHDDに対する衝撃または振動が発生して、ヘッド12−0が目標トラックの目標範囲から外れても、つまりヘッド12−0がオフトラックしても、当該ヘッド12−0によりオフトラック記録されてしまうことが防止できる。
【0034】
そこでCPU21は、上記ステップS4〜S8の処理を、当該ステップS8で位置誤差が位置決め制限値内に収まったことを判定されるまで、R/Wコントローラ18により抽出されたサーボデータがサーボ処理回路19(内のサーボレジスタ)に保持される都度繰り返す。
【0035】
やがて、位置誤差が位置決め制限値内に収まるようになると(ステップS8のYES)、CPU21はHDC20に対してデータの書き込みを許可し、ホストから指定されたデータのヘッド12−0による書き込み(記録動作)を実行させる(ステップS10)。この場合、ホストからのライトコマンドで指定された目標トラック上の目標とする開始セクタにヘッド12−0が位置するタイミングで、HDC20からR/Wコントローラ18にライトデータが転送される。このライトデータは、R/WチャネルIC18により符号化(変調)され、更にヘッドIC17(内のライトアンプ)によりライト電流に変換されて、ヘッド12−0によりディスク11上の目標とする開始セクタから順に書き込まれる。
【0036】
従来、上記ステップS7で位置決め誤差と比較される位置決め制限値(位置決め誤差の上限値)は、HDDの機種毎に予め1つに定められていた。これに対して本実施形態においては、位置決め制限値を、各HDDについて、当該HDDにおけるヘッド毎で且つゾーン毎に決定している。そして、図1のHDDでは、ヘッド12−0(H0)及び12−1(H1)とゾーンZ1〜Znとの全ての組み合わせ毎に、その組み合わせとその組み合わせで決まる位置決め制限値との組が登録された位置決め制限値テーブル220が、予めFROM22に格納されている。ここでは、ヘッド12−iを目標トラックの目標位置に位置決めするヘッド位置決め制御時には、ヘッド12−iと目標トラックが属するゾーンZjの組み合わせに対応する位置決め制限値が位置決め制限値テーブル220から読み取られて、位置決め誤差との比較に用いられる。
【0037】
ここで使用される位置決め制限値は、後述するように、ヘッド12−iによりゾーンZj内の目標トラックにデータを記録する際の、当該ヘッド12−iのサイドフリンジ量(隣接トラックへの影響)に対応した値に決定されている。これにより、ヘッド12−iとゾーンZjとの組み合わせ毎に対応するフリンジ量が異なっていても、隣接トラックへの影響が均等となるようにしている。
【0038】
例えば、サイドフリンジ量が大きいヘッド12−iとゾーンZjとの組み合わせでは、そのヘッド12−iによりゾーンZj内のトラックにデータを記録した場合に隣接トラックへの影響が大きいため、その組み合わせに対応する位置決め制限値は小さな値に決定される。この小さな値の位置決め制限値を適用した場合、位置決め制御の条件は厳しくなり、隣接トラックへの書き込み量を低減することができる。
【0039】
これに対し、サイドフリンジ量が小さいヘッド12−iとゾーンZjとの組み合わせでは、そのヘッド12−iによりゾーンZj内のトラックにデータを記録した場合に隣接トラックへの影響は小さいため、その組み合わせに対応する位置決め制限値は大きな値に決定される。この大きな値の位置決め制限値を適用した場合、位置決め制御の条件が緩和されるため、いたずらにデータ書き込みが待たされることを解消できる。
【0040】
次に、位置決め制限値テーブル220に登録される位置決め制限値を決定する処理について、図5乃至図7のフローチャートを参照して説明する。
図1のHDDにおける位置決め制限値決定処理は、当該HDDの出荷時の検査の中で、ホストからの特定のコマンドに応じて実行される。まずCPU21は、ヘッドを指定する変数iを初期値0に設定し、当該変数iで指定されるヘッドHi、つまりヘッド12−iを、ヘッドIC17により選択させる(ステップS11,S12)。
【0041】
次にCPU21は、ゾーンを指定する変数jを初期値1に設定する(ステップS13)。そしてCPU21は、位置決め制限値を予め定められている特定値に設定すると共に、エラー数をカウントするエラーカウンタECNT及び測定回数をカウントする測定回数カウンタMCNTを初期値0に設定する(ステップS14)。
【0042】
次にCPU21は、ディスク11の記録面11−i上のゾーンZj内の所定(着目する)トラックにヘッドHiを位置決めするための制御を行う(ステップS15)。そしてCPU21は、ヘッドHiのゾーンZj内の上記所定トラックに対する位置決め誤差が上記特定値以下になると、HDC20を制御して、ヘッドHiによる当該所定トラックへのデータ書き込みを行わせる(ステップS16)。その後、CPU21は、HDC20を制御して、ヘッドHiによるゾーンZj内の上記所定トラックからのデータ読み出しを行わせ(ステップS17)、リードエラーが発生したか否かを判定する(ステップS18)。もし、リードエラーが発生したならば、CPU21はエラーカウンタECNTのカウント値を1インクリメントし(ステップS19)、しかる後にステップS20に進む。これに対し、リードエラーが発生しなかったならば、CPU21はステップS19をスキップしてステップS20に進む。
【0043】
CPU21は、ステップS20で、測定回数カウンタMCNTのカウント値を1インクリメントする。そしてCPU21は、インクリメント後の測定回数カウンタMCNTの値が所定回数に達したか否かを判定する(ステップS21)。もし、インクリメント後の測定回数カウンタMCNTの値が所定回数に達していないならば、CPU21はステップS17以降の処理を再度実行する。これに対し、ステップS17以降の処理を所定回数実行した結果、インクリメント後の測定回数カウンタMCNTの値が所定回数に達したならば、CPU21は、その時点における測定回数カウンタMCNTの値(測定回数)及びエラーカウンタECNTの値(エラー回数)をもとに、エラーレートを算出する(ステップS22)。ここでは、MCNTの値(測定回数)に対するエラーカウンタECNTの値(エラー回数)の割合の対数をとった値(log(ECNT/MCNT))をエラーレートとしている。CPU21は、算出したエラーレート(基準となるエラーレート)を、その時点におけるヘッドHi及びゾーンZjを示す番号と組にしてRAM23に格納する(ステップS23)。
【0044】
次にCPU21は、位置決め制限値を予め定められた最小値に設定すると共に、エラーカウンタECNT及び測定回数カウンタMCNTを初期値0に設定する(ステップS24)。
【0045】
次にCPU21は、ゾーンZj内の上記所定トラックに隣接する2つのトラックのうちの一方にヘッドHiを位置決めするための制御を行う(ステップS15)。そしてCPU21は、ヘッドHiのゾーンZj内の上記一方の隣接トラックに対する位置決め誤差が、現在設定されている位置決め制限値以下になると、HDC20を制御して、ヘッドHiによる当該隣接トラックへのデータ書き込みを行わせる(ステップS26)。次にCPU21は、ゾーンZj内の上記所定トラックに隣接する2つのトラックのうちの他方にヘッドHiを位置決めするための制御を行う(ステップS27)。そしてCPU21は、ヘッドHiのゾーンZj内の上記他方の隣接トラックに対する位置決め誤差が、現在設定されている位置決め制限値以下になると、HDC20を制御して、ヘッドHiによる当該隣接トラックへのデータ書き込みを行わせる(ステップS28)。即ちCPU21は、ゾーンZj内の上記所定トラックに隣接する2つのトラックへのデータ書き込みを制御する。
【0046】
次に、CPU21は、HDC20を制御して、ヘッドHiによるゾーンZj内の上記所定トラック(センタートラック)からのデータ読み出しを行わせ(ステップS29)、リードエラーが発生したか否かを判定する(ステップS30)。もし、リードエラーが発生したならば、CPU21はエラーカウンタECNTのカウント値を1インクリメントし(ステップS31)、しかる後にステップS32に進む。これに対し、リードエラーが発生しなかったならば、CPU21はステップS31をスキップしてステップS32に進む。
【0047】
CPU21は、ステップS32で、測定回数カウンタMCNTのカウント値を1インクリメントする。もし、インクリメント後の測定回数カウンタMCNTの値が所定回数に達していないならば(ステップS33)、CPU21はステップS25以降の処理を再度実行する。
【0048】
これに対し、ステップS25以降の処理を所定回数実行した結果、インクリメント後の測定回数カウンタMCNTの値が所定回数に達したならば(ステップS33)、CPU21は、その時点における測定回数カウンタMCNTの値(測定回数)及びエラーカウンタECNTの値(エラー回数)をもとに、先のステップS22と同様にしてエラーレートを算出する(ステップS34)。次にCPU21は、ステップS22で算出した基準となるエラーレートに対する、ステップS34で算出したエラーレート(隣接トラックにデータを書き込んだ際のセンタートラックのエラーレート)の落ち込み量Delta−BERを算出する。そしてCPU21は、算出したDelta−BERを、その時点におけるヘッドHi及びゾーンZjを示す番号及び位置決め制限値と組にしてRAM23に格納する(ステップS36)。
【0049】
次にCPU21は、現在設定されている位置決め制限値を予め定められた可変量Δだけ増加する(ステップS37)。そしてCPU21は、Δだけ増加した後の位置決め制限値が予め定められた最大値を超えているか否かを判定する(ステップS38)。もし、増加後の位置決め制限値が最大値を超えていないならば、CPU21は増加後の位置決め制限値のもとで、ステップS25以降の処理を再度実行する。
【0050】
これに対し、増加後の位置決め制限値が最大値を超えているならば、CPU21は、その時点におけるヘッドHi及びゾーンZjのヘッド番号と組にしてRAM23に格納されている、位置決め制限値毎のDelta−BERから、位置決め制限値を決定する(ステップS39)。ここでは、Delta−BER(エラーレートの落ち込み量)の許容される値(限界値)をLとすると、Delta−BERの値がLに一致する位置決め制限値が、ヘッドHiによりゾーンZj内のトラックにデータを書き込む際に適用すべき位置決め制限値として決定される。
【0051】
図8に、位置決め制限値と、当該位置決め制限値をパラメータとして取得されたDelta−BER(エラーレートの落ち込み量)との関係の一例を示す。図から明らかなように、位置決め制限値が大きくなるほど、即ち位置決め制限を緩和するほど、Delta−BERは低下する。この位置決め制限値をパラメータとするDelta−BERの値は、ヘッドHi及びゾーンZjにおける、当該位置決め制限値に対応するヘッドHiのフリンジ量(隣接トラックへの影響の程度)を表しているといえる。したがって、上記ステップS39で決定される位置決め制限値は、図1のHDDにおいてヘッドHiによりゾーンZj上のトラックにデータを書き込む際の、当該ヘッドHiのフリンジ量に対応したものとなる。
【0052】
CPU21は、ヘッドHiによりゾーンZj内のトラックにデータを書き込む際に適用すべき位置決め制限値を決定すると、その位置決め制限値を、例えばRAM23に格納されている(図3中の位置決め制限値テーブル220と同一構造の)位置決め制限値テーブル中の、そのヘッドHi及びゾーンZjを示す番号で特定されるエントリに登録する(ステップS40)。
【0053】
次にCPU21は、変数jを1だけインクリメントし(ステップS41)、そのインクリメント後の変数jがjmax(ここではjmax=n)を超えているか否かを判定する(ステップS42)。もし、jがjmaxを超えていないならば、CPU21はヘッドHi側の記録面11−i上に位置決め制限値が決定されていないゾーンが残されていると判断し、インクリメント後の変数jで指定されるゾーンZjを対象に、上記ステップS14以降の処理を再度実行する。
【0054】
これに対し、jがjmaxを超えているならば、CPU21はヘッドHi側の記録面11−i上の全ゾーンZ1〜Znについて位置決め制限値が決定されているものと判断する。この場合、CPU21は変数iを1だけインクリメントし(ステップS43)、そのインクリメント後の変数iがimax(ここではimax=1)を超えているか否かを判定する(ステップS44)。もし、iがimaxを超えていないならば、CPU21は位置決め制限値が決定されていないヘッドが残されていると判断し、インクリメント後の変数iで指定されるヘッドHiを対象に、上記ステップS12以降の処理を再度実行する。
【0055】
これに対し、iがimaxを超えているならば、CPU21は全ヘッドについて、ゾーンZ1〜Zn毎の位置決め制限値が決定されているものと判断する。この場合、CPU21はその時点においてRAM23に格納されている位置決め制限値テーブルを、位置決め制限値テーブル220としてFROM22に保存して(ステップS45)、位置決め制限値決定処理を終了する。
【0056】
このように本実施形態においては、データ記録(データ書き込み)時に適用する位置決め制限値を、各HDDで、ヘッド毎で且つゾーン毎に決定している。ここで決定される位置決め制限値は、図1のHDDにおいてヘッドHiによりゾーンZj上のトラックにデータを書き込む際の、当該ヘッドHiのフリンジ量に応じたものとなる。これにより、ヘッドH0(12−0)またはH1(12−1)を用いてディスク11の対応する記録面上の目標トラックにデータを書き込む場合の隣接トラックへの影響を、ヘッド及びゾーンに無関係にほぼ均等にできる。
【0057】
あるトラックに隣接する2つのトラックにデータを書き込んだ際の、当該あるトラック(センタートラック)のエラーレートの落ち込みには、ヘッドHi(ヘッド12−i)のトラック幅及びフリンジ量が影響する。また、上記エラーレートの落ち込みには、本実施形態のようにロータリ型のアクチュエータ14を適用したHDDの場合は、更にヘッドとトラック方向のなす角度、即ちスキュー(skew)角も影響する。このスキュー角は、ディスク11上の半径位置により異なり、したがってゾーンZ1〜Zn毎に異なる。そこで、本実施形態では、上述のように、各ヘッドについて、ゾーン毎に位置決め制限値をパラメータとしてフリンジ量に相当するエラーレートの落ち込み量を測定している。そして、この測定結果からゾーン毎の位置決め制限値を決定し、その決定した制限値をヘッド毎に且つゾーン毎に位置決め制限値テーブル220に登録している。したがって、データ書き込み時に、位置決め制限値テーブル220を参照して、目標トラックに対応するヘッド及びゾーンの組み合わせで特定される位置決め制限値を用いることにより、ヘッド及びゾーンに無関係に、隣接トラックへの影響を均等にできる。
【0058】
上述したように本実施形態では、各ヘッドについてゾーン毎の位置決め制限値を決定するために、位置決め制限値をパラメータとして着目するトラック(センタートラック)に隣接するトラックにデータを書き込んで、当該センタートラックのエラーレートを測定することにより、Delta−BER(エラーレートの落ち込み量)を算出している。しかし、隣接トラックの目標位置に対してヘッドを故意にオフセットさせてデータを書き込んで、センタートラックのエラーレートを測定してもよい。即ち、隣接トラックに対するヘッド位置のオフセット量をパラメータとして当該隣接トラックにデータを書き込んで、センタートラックのエラーレートを測定することにより、Delta−BERを算出してもよい。図9に、隣接トラックに対するヘッド位置のオフセット量とDelta−BERとの関係の一例を示す。図から明らかなように、隣接トラックに対するヘッド位置をオフセットさせることでデータ書き込み位置をセンタートラックに近づけるならばエラーレートの落ち込みは大きくなる。したがって、エラーレートの落ち込みの許容値Lを決定すれば、それに対応するオフセット量を位置決め制限値として決定できる。
【0059】
また、上記実施形態では、位置決め制限値テーブル220をFROM22に保存している。しかし位置決め制限値テーブル220を保存するのに、必ずしもFROM22を用いる必要はない。一般に、ディスク11の記録面には、ユーザから利用可能なユーザ領域とは別に、システムのみが使用する、つまりユーザからは見えない、システム領域と呼ばれる非ユーザ領域が確保されている。そこで、この非ユーザ領域に位置決め制限値テーブル220を保存してもよい。このようにすると、制御プログラムの格納にROMを用いたHDDでも、位置決め制限値テーブル220を利用できる。
【0060】
また、上記実施形態においては、本発明をCDR方式のフォーマットを適用するディスクを備えた磁気ディスク装置に適用した。しかし本発明は、CDR方式を適用しない磁気ディスク装置にも適用可能である。この場合、ディスクの記録面を、線記録密度とは無関係に、半径方向に複数トラックからなるn個のゾーンに分割して管理し、上記実施形態と同様に、ヘッド毎で且つゾーン毎に、そのゾーン内のトラックにデータを書き込む際のフリンジ量(隣接トラックへの影響)に対応した位置決め制限値を設定するとよい。
【0061】
また、上記実施形態においては、本発明を磁気ディスク装置(HDD)に適用した。しかし本発明は、光磁気ディスク装置など、記録媒体にディスクを用い、且つ当該ディスクへのデータ書き込みにヘッドが用いられるディスク記憶装置全般に適用することができる。
【0062】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0063】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、ヘッドのフリンジ量、即ち隣接トラックへの影響の度合いに応じて位置決めの制限値を設定するようにしたので、高トラック密度下でもヘッドの極端な狭トラック幅化を行うことなく、しかもヘッドによるデータ記録動作を待たせる頻度を低減しながら、ヘッドの隣接トラックへの影響を低減できる、
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る磁気ディスク装置の構成を示すブロック図。
【図2】図1中のディスク11のフォーマット例を示す概念図。
【図3】図1中の位置決め制限値テーブル220のデータ構造例を示す図。
【図4】同実施形態におけるデータ記録時の動作を説明するためのフローチャート。
【図5】同実施形態における位置決め制限値決定処理を説明するためのフローチャートの一部を示す図。
【図6】同実施形態における位置決め制限値決定処理を説明するためのフローチャートの他の一部を示す図。
【図7】同実施形態における位置決め制限値決定処理を説明するためのフローチャートの残りを示す図。
【図8】位置決め制限値と、当該位置決め制限値をパラメータとして取得されたDelta−BER(エラーレートの落ち込み量)との関係の一例を示す図。
【図9】隣接トラックにデータを書き込む際のヘッド位置のオフセット量と、当該オフセット量をパラメータとして取得されたDelta−BERとの関係の一例を示す図。
【符号の説明】
11…ディスク
12−0,12−1…ヘッド
14…アクチュエータ
15…VCM(ボイスコイルモータ)
16…モータドライバ
21…CPU
22…FROM
110…サーボ領域
220…位置決め制限値テーブル
Claims (10)
- 2つのディスク面の少なくとも一方が記録面をなす少なくとも1枚のディスクと、前記少なくとも1枚のディスクの前記記録面に対応して配置され、当該記録面へのデータの記録及び当該記録面からのデータの再生に用いられるヘッドと、前記ヘッドを支持し、当該ヘッドを前記ディスクの半径方向に移動するアクチュエータとを備えたディスク記憶装置において、ヘッドによるデータ記録時のヘッド位置決め誤差の上限を示す位置決め制限値を決定する方法であって、
前記ヘッドのフリンジ量を測定するステップと、
前記フリンジ量の測定結果をもとに前記ヘッドによるデータ記録時の位置決め制限値を決定するステップと、
前記決定された位置決め制限値を、目標トラックへのデータ記録のために前記ヘッドを当該目標トラックに位置決めする制御時に利用可能なように、保存するステップと
を具備することを特徴とする位置決め制限値を決定する方法。 - 前記フリンジ量測定ステップでは、前記少なくとも1枚のディスクの前記記録面を当該ディスクの半径方向に区分する複数のゾーン毎に、前記ヘッドのフリンジ量を測定し、
前記位置決め制限値決定ステップでは、前記ゾーン毎のフリンジ量の測定結果をもとに、前記ヘッドによるデータ記録時の位置決め制限値を前記ゾーン毎に決定し、
前記保存ステップでは、前記ゾーン毎に決定された位置決め制限値を、目標トラックへのデータ記録のために前記ヘッドを当該目標トラックに位置決めする制御時に当該目標トラックに対応するゾーンに基づいて特定されて利用可能なように、保存する
ことを特徴とする請求項1記載の位置決め制限値を決定する方法。 - 2つのディスク面がそれぞれ記録面をなす少なくとも1枚のディスクと、前記少なくとも1枚のディスクの前記各記録面に対応してそれぞれ配置され、当該記録面へのデータの記録及び当該記録面からのデータの再生に用いられるヘッドと、前記各ヘッドを支持し、当該ヘッドを前記ディスクの半径方向に移動するアクチュエータとを備えたディスク記憶装置において、ヘッドによるデータ記録時のヘッド位置決め誤差の上限を示す位置決め制限値を決定する方法であって、
前記各ヘッドのフリンジ量を測定するステップと、
前記各ヘッドのフリンジ量の測定結果をもとに当該ヘッドによるデータ記録時の位置決め制限値を決定するステップと、
前記決定された前記各ヘッドの位置決め制限値を、目標トラックへのデータ記録のために当該ヘッドを当該目標トラックに位置決めする制御時に利用可能なように、保存するステップと
を具備することを特徴とする位置決め制限値を決定する方法。 - 前記フリンジ量測定ステップでは、前記各ヘッドについて、前記少なくとも1枚のディスクの前記各記録面を当該ディスクの半径方向に区分する複数のゾーン毎にフリンジ量を測定し、
前記位置決め制限値決定ステップでは、前記各ヘッドのゾーン毎のフリンジ量の測定結果をもとに、当該ヘッドによるデータ記録時の位置決め制限値を前記ヘッド毎で且つ前記ゾーン毎に決定し、
前記保存ステップでは、前記ヘッド毎で且つ前記ゾーン毎に決定された位置決め制限値を、目標トラックへのデータ記録のために当該目標トラックに対応するヘッドを当該目標トラックに位置決めする制御時に当該目標トラックに対応するヘッド及びゾーンに基づいて特定されて利用可能なように、保存する
ことを特徴とする請求項3記載の位置決め制限値を決定する方法。 - 前記フリンジ量測定ステップでは、着目するトラックに隣接する2つのトラックに、対応する前記ヘッドによりデータを記録して、前記着目するトラックのエラーレートの落ち込みを当該ヘッドのフリンジ量として測定する動作を、前記隣接トラックへのデータ記録時の位置決め制限値をパラメータとして実行し、
前記位置決め制限値決定ステップでは、位置決め制限値をパラメータとする測定結果をもとに、予め定められたフリンジ量に対応するエラーレートの落ち込み量となる位置決め制限値を目的の位置決め制限値として決定する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の位置決め制限値を決定する方法。 - 前記フリンジ量測定ステップでは、着目するトラックに隣接する2つのトラックに、対応する前記ヘッドによりデータを記録して、前記着目するトラックのエラーレートの落ち込みを当該ヘッドのフリンジ量として測定する動作を、前記隣接トラックへのデータ記録時のヘッドオフセット量をパラメータとして実行し、
前記位置決め制限値決定ステップでは、ヘッドオフセット量をパラメータとする測定結果をもとに、予め定められたフリンジ量に対応するエラーレートの落ち込み量となる位置決め制限値を目的の位置決め制限値として決定する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の位置決め制限値を決定する方法。 - 2つのディスク面の少なくとも一方が記録面をなす少なくとも1枚のディスクと、
前記少なくとも1枚のディスクの前記記録面に対応して配置され、当該記録面へのデータの記録及び当該記録面からのデータの再生に用いられるヘッドと、
前記ヘッドを支持し、当該ヘッドを前記ディスクの半径方向に移動するアクチュエータと、
データ記録時のヘッド位置決め誤差の上限を示す、前記ヘッドのフリンジ量に対応した位置決め制限値を登録する手段と、
前記アクチュエータを用いて前記ディスクの目標トラックに前記ヘッドを位置決めする制御を、当該ヘッドの前記目標トラックの目標位置からのずれを表す位置誤差に基づいて実行する位置決め制御手段と、
前記ヘッドによる目標トラックへのデータ記録に際し、前記位置誤差を、前記登録手段に登録されている当該ヘッドに固有の位置決め制限値と比較する比較手段と、
前記比較手段の比較結果に応じて前記目標トラックに対するデータ記録動作が可能な状態となったか否かを判定する手段と
を具備することを特徴とするディスク記憶装置。 - 前記登録手段には、前記少なくとも1枚のディスクの前記記録面を当該ディスクの半径方向に区分する複数のゾーン毎に、前記ヘッドのフリンジ量に対応した位置決め制限値が登録されており、
前記比較手段は、前記ヘッドによる目標トラックへのデータ記録に際し、前記位置誤差を、前記登録手段に登録されている位置決め制限値のうち、前記目標トラックに対応するゾーンに固有の位置決め制限値と比較する
ことを特徴とする請求項7記載のディスク記憶装置。 - 2つのディスク面がそれぞれ記録面をなす少なくとも1枚のディスクと、
前記少なくとも1枚のディスクの前記各記録面に対応してそれぞれ配置され、当該記録面へのデータの記録及び当該記録面からのデータの再生に用いられるヘッドと、
前記各ヘッドを支持し、当該ヘッドを前記ディスクの半径方向に移動するアクチュエータと、
前記ヘッド毎に、データ記録時のヘッド位置決め誤差の上限を示す、当該ヘッドのフリンジ量に対応した位置決め制限値を登録する手段と、
前記アクチュエータを用いて前記ディスクの目標トラックに当該目標トラックに対応する前記ヘッドを位置決めする制御を、当該ヘッドの前記目標トラックの目標位置からのずれを表す位置誤差に基づいて実行する位置決め制御手段と、
前記ヘッドによる目標トラックへのデータ記録に際し、前記位置誤差を、前記登録手段に登録されている当該ヘッドに固有の位置決め制限値と比較する比較手段と、
前記比較手段の比較結果に応じて前記目標トラックに対するデータ記録動作が可能な状態となったか否かを判定する手段と
を具備することを特徴とするディスク記憶装置。 - 前記登録手段には、前記各ヘッドについて、前記少なくとも1枚のディスクの対応する記録面を当該ディスクの半径方向に区分する複数のゾーン毎に、当該ヘッドのフリンジ量に対応した位置決め制限値が登録されており、
前記比較手段は、前記ヘッドによる目標トラックへのデータ記録に際し、前記位置誤差を、前記登録手段に登録されている位置決め制限値のうち、前記目標トラックに対応するヘッド及びゾーンに固有の位置決め制限値と比較する
ことを特徴とする請求項9記載のディスク記憶装置。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US8300350B2 (en) | 2010-10-05 | 2012-10-30 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Magnetic disk drive using offset in positioning head to read data and head positioning method |
-
2002
- 2002-06-28 JP JP2002189669A patent/JP2004030853A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US8300350B2 (en) | 2010-10-05 | 2012-10-30 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Magnetic disk drive using offset in positioning head to read data and head positioning method |
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