JP2004029274A - 信号パターン評価装置、信号パターン評価方法及び信号パターン評価プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】従来は、入力信号に高周波成分が多く含まれる場合などにおいて、入力信号に含まれる信号パターンの変化を正確に検出することができる信号パターン評価手段がなかった。
【解決手段】入力信号S(t)を受けるステップST1と、入力信号S(t)の周期Tを同定するステップST2と、入力信号S(t)を周期Tごとに複数の部分信号Wi(t)として分割するステップST3と、分割された部分信号Wi(t)に共通する基本信号パターンB(t)を抽出するステップST4と、基本信号パターンB(t)と各部分信号Wi(t)との相違から、入力信号S(t)の信号パターンの変化を検出するステップST5とを含む信号パターン評価方法により上記課題を解決することができる。
【選択図】 図2
【解決手段】入力信号S(t)を受けるステップST1と、入力信号S(t)の周期Tを同定するステップST2と、入力信号S(t)を周期Tごとに複数の部分信号Wi(t)として分割するステップST3と、分割された部分信号Wi(t)に共通する基本信号パターンB(t)を抽出するステップST4と、基本信号パターンB(t)と各部分信号Wi(t)との相違から、入力信号S(t)の信号パターンの変化を検出するステップST5とを含む信号パターン評価方法により上記課題を解決することができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力信号の信号パターンの変化を検出する信号パターン評価装置、信号パターン評価方法及び信号パターン評価プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
音楽の音声信号においては、打楽器などからの一定のリズムによって、似通った信号パターンが周期的に繰り返されることが多い。曲の流れが変化する箇所では、同時に信号パターンの周期が一時的に変化することが多く、またその前後での信号パターンが異なることも多い。
【0003】
また、工場等におけるモータ等の回転機械の動作音やベルトコンベア上を流れる製品の検出信号等においても、似通った周期をもった信号パターンが繰り返されることが多い。このような信号パターンの乱れを検出することによって、これらの機械や装置の故障などの不具合を知ることができる。
【0004】
例えば、図14のように、一定の周期性をもった信号パターンにピーク抜けや余剰ピークが存在した場合、これらの変化を音楽の流れの変化や機械・装置の不具合を示す指標として用いることができる。
【0005】
従って、このような繰り返される信号パターンの乱れ、すなわち信号パターンの変化を正確に検出できる装置が必要とされている。通常、信号パターンの変化を検出するためには、対象とする信号の時間的変化の中で繰り返される基本的な信号パターン、すなわち基本信号パターンを抽出する。この基本信号パターンと実際の信号の時間的変化とを比較することによって、信号中の信号パターンの変化を検出することができる。
【0006】
特開2000−250534号公報の「音楽再生システム、リズム解析方法及び記録媒体」では、時間変化する入力信号をフーリエ変換により周波数スペクトルに変換し、その周波数スペクトルのノイズ成分を除去したのちに逆フーリエ変換することによって、繰り返される信号パターンに共通する基本信号パターンを抽出する技術が開示されている。この基本信号パターンと入力信号とを比較することによって、信号パターンの変化を検出している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術では、入力信号の信号パターンに含まれる各ピークが「鋭い」場合、すなわち信号パターンに高周波成分が多く含まれる場合には、フーリエ変換を用いる方法では高周波成分によるノイズが大きくなり、基本信号パターンの抽出が困難になる問題がある。実際の信号パターンの高周波成分とノイズによる高周波成分が重畳され、ノイズ成分が分離不可能となる。また、高周波成分を除去した場合には、ノイズ成分と共に信号パターンの高周波成分までもが削除されてしまうため、逆フーリエ変換して得られる基本信号パターンはピーク幅が広がり、基本信号パターンを正確に得ることができない問題を生ずる。
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題を鑑み、入力信号に含まれる信号パターンの変化を正確に検出することができる信号パターン評価装置、信号パターン評価方法及び信号パターン評価プログラムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、時間的に変化する入力信号S(t)を受けて、その入力信号の周期的な信号パターンの変化を検出する信号パターン評価装置であって、前記入力信号S(t)の周期Tを求める手段と、前記入力信号S(t)を前記周期T毎に複数の部分信号Wi(t)(iは1以上N以下の整数)に分割する手段と、前記部分信号Wi(t)に共通する信号パターンを基本信号パターンB(t)として抽出する手段と、前記基本信号パターンB(t)と前記部分信号Wi(t)の各々との差異に基づいて、前記入力信号S(t)の周期的な信号パターンの変化を検出する手段とを含むことを特徴とする。
【0010】
さらに、上記信号パターン評価装置において、前記部分信号Wi(t)に共通する信号パターンを基本信号パターンB(t)として抽出する手段は、
【数7】
として前記基本信号パターンB(t)を算出する手段であることが好適である。
【0011】
さらに、上記信号パターン評価装置において、前記基本信号パターンB(t)と前記部分信号Wi(t)の各々との差異に基づいて、前記入力信号S(t)の周期的な信号パターンの変化を検出する手段は、前記基本信号パターンB(t)の平均値がB0、前記部分信号Wi(t)の平均値がWi0である場合に、
【数8】
として前記部分信号Wi(t)の各々と前記基本信号パターンB(t)との相関値Ciを求め、その相関値Ciに基づいて前記入力信号S(t)の周期的な信号パターンの変化を検出する手段であることが好適である。
【0012】
上記課題を解決するための本発明は、時間的に変化する入力信号S(t)を受けて、その入力信号の周期的な信号パターンの変化を検出する信号パターン評価方法であって、前記入力信号S(t)の周期Tを求める工程と、前記入力信号S(t)を前記周期T毎に複数の部分信号Wi(t)(iは1以上N以下の整数)に分割する工程と、前記部分信号Wi(t)に共通する信号パターンを基本信号パターンB(t)として抽出する工程と、前記基本信号パターンB(t)と前記部分信号Wi(t)の各々との差異に基づいて、前記入力信号S(t)の周期的な信号パターンの変化を検出する工程とを含むことを特徴とする。
【0013】
さらに、上記信号パターン評価方法において、前記部分信号Wi(t)に共通する信号パターンを基本信号パターンB(t)として抽出する工程は、
【数9】
として前記基本信号パターンB(t)を算出する工程であることが好適である。
【0014】
さらに、上記信号パターン評価方法において、前記基本信号パターンB(t)と前記部分信号Wi(t)の各々との差異に基づいて、前記入力信号S(t)の周期的な信号パターンの変化を検出する工程は、前記基本信号パターンB(t)の平均値がB0、前記部分信号Wi(t)の平均値がWi0である場合に、
【数10】
として前記部分信号Wi(t)の各々と前記基本信号パターンB(t)との相関値Ciを求め、その相関値Ciに基づいて前記入力信号S(t)の周期的な信号パターンの変化を検出する工程であることが好適である。
【0015】
上記課題を解決するための本発明は、時間的に変化する入力信号S(t)を受けて、その入力信号の周期的な信号パターンの変化を検出する信号パターン評価プログラムであって、コンピュータに、前記入力信号S(t)の周期Tを求める工程と、前記入力信号S(t)を前記周期T毎に複数の部分信号Wi(t)(iは1以上N以下の整数)に分割する工程と、前記部分信号Wi(t)に共通する信号パターンを基本信号パターンB(t)として抽出する工程と、前記基本信号パターンB(t)と前記部分信号Wi(t)の各々との差異に基づいて、前記入力信号S(t)の周期的な信号パターンの変化を検出する工程とを含む処理を実行させることを特徴とする。
【0016】
さらに、上記信号パターン評価プログラムにおいて、前記部分信号Wi(t)に共通する信号パターンを基本信号パターンB(t)として抽出する工程は、
【数11】
として前記基本信号パターンB(t)を算出する工程であることが好適である。
【0017】
さらに、上記信号パターン評価プログラムにおいて、前記基本信号パターンB(t)と前記部分信号Wi(t)の各々との差異に基づいて、前記入力信号S(t)の周期的な信号パターンの変化を検出する工程は、前記基本信号パターンB(t)の平均値がB0、前記部分信号Wi(t)の平均値がWi0である場合に、
【数12】
として前記部分信号Wi(t)の各々と前記基本信号パターンB(t)との相関値Ciを求め、その相関値Ciに基づいて前記入力信号S(t)の周期的な信号パターンの変化を検出する工程であることが好適である。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明における実施の形態における信号パターン評価装置を、図を参照して詳細に説明する。
【0019】
本実施の形態における信号パターン評価装置100は、図1のように、制御部10、記憶部12、出力部14、入力部16、データインターフェース部18及びバス20から基本的に構成される。制御部10、記憶部12、出力部14、入力部16及びデータインターフェース部18はバス20を介して相互に情報(データ)伝達可能に接続されている。
【0020】
また、信号パターン評価装置100は、データインターフェース部18を介して外部のマイクロフォン22に接続されている。
【0021】
制御部10は、入力部16からのコマンドを受けて、記憶部12に記憶されている信号パターン評価プログラムを実行し、記憶部12に格納されている入力信号のデータまたはデータインターフェース部18から入力される入力信号のデータを処理することによって、入力信号に含まれる信号パターンの変化を検出する。また、処理結果を記憶部12へ格納し、または出力部14を用いてユーザに提示する。制御部10には、一般的なコンピュータのCPUを用いることができる。
【0022】
記憶部12は、制御部10で実行される信号パターン評価プログラムを格納及び保持する。また、データインターフェース部18を介して入力される入力信号をデータとして格納及び保持する。格納及び保持されたプログラムまたはデータは、バス20を介して、制御部10や出力部14から適宜参照することができる。記憶部12には、半導体メモリ、ハードディスク、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ディジタルオーディオテープまたは磁気テープなどの一般的な記憶装置を適宜選択して用いることができる。
【0023】
出力部14は、制御部10から処理結果を受けて、その処理結果をユーザが確認可能な態様で表示する。また、入力部16からコマンドを受け付ける際のユーザインターフェースの表示を行う。出力部14には、ディスプレイ、タッチパネルまたはプリンタなどの一般的な表示装置を適宜選択して用いることができる。
【0024】
入力部16は、信号パターン評価装置100での処理を制御するためのコマンドや処理に用いられるデータを入力するために用いられる。例えば、ユーザが信号パターン評価プログラムの実行開始コマンドを入力する際に用いられる。入力部16には、キーボード、マウスまたはタッチパネルなどの一般的な入力装置を適宜選択して用いることができる。
【0025】
データインターフェース部18は、外部からの信号を信号パターン評価装置100で処理可能なデータに変換して取り込む。例えば、本実施の形態では、マイクロフォン22により外部の音声信号を受け、所定の時間間隔でサンプリングして取り込み、さらにアナログ/ディジタル変換(A/D変換)によって信号パターン評価装置100で処理可能なデジタルデータとして変換する。取り込まれた入力信号のデータは、記憶部12に転送され、格納及び保持される。
【0026】
また、信号パターン評価装置100でのデータの処理を簡易にするために、データインターフェース部18に周波数フィルタや平滑化機能等の予備的な処理機能を含めても良い。これらの処理機能は、良く知られた既存の電子回路またはコンピュータ処理によって実現できる。
【0027】
<第1の信号パターン評価方法>
以下、信号パターン評価装置100を用いた第1の信号パターンの評価方法について、図2のフローチャートに基づいて詳細に説明する。以下の手順は、コンピュータで実行可能なプログラムとすることによって、信号パターン評価装置100によって実行される。
【0028】
入力部16からプログラムの実行開始コマンドが入力されると、制御部10は記憶部12に格納された信号パターン評価プログラムを実行して処理を開始する。処理は直ちにステップST1へ移行する。
【0029】
ステップST1では、マイクロフォン22から、図14に例示されるような、音声信号S(t)が入力される。信号S(t)は、データインターフェース部18を介して信号パターン評価装置100へ入力される。このとき、信号S(t)を所定の時間間隔でサンプリングし、アナログ/ディジタル変換を行うことによって、信号パターン評価装置100で処理可能なディジタル信号に変換しておくことが好適である。信号S(t)は、記憶部12に格納される。
【0030】
また、以後の処理を容易にするために、予備的な処理を行っておくことも好適である。例えば、信号S(t)を周波数フィルタに通し、不要な高周波成分及び低周波成分を除去しておくことによって、周期の検出の確度を向上することができる。また、信号S(t)を二乗処理することで負の値とならないようにしたり、平滑化処理によって信号変化を滑らかにすることも好ましい。
【0031】
ステップST2では、入力信号S(t)の周期Tが同定される。周期Tの同定には、一般的な自己相関関数を用いることができる。自己相関関数を用いる方法では、数式(1)のように、入力信号S(t)をシフト時間τだけシフトさせ、シフト前の入力信号とシフト後の信号の相関値C(τ)を求める。シフト時間τを順次変更してそれぞれ相関値を求め、最大の相関値C(τ)を与えるシフト時間τを入力信号S(t)の周期Tとして採用する。
【数13】
【0032】
また、特開平5−265490号公報に開示された「ピッチ周期抽出装置」のような既存の周期の同定手段を用いることもできる。また、予め入力信号の周期Tが既知である場合には、ユーザが入力部16から周期Tを入力しても良い。
【0033】
ステップST3では、入力信号S(t)を周期Tごとに連続的に部分信号Wi(t)へ分割する。例えば、入力信号S(t)が図14に示す信号パターンを含むものである場合、入力信号S(t)の先頭から順に周期T(0≦t<T)ごとに分割する。その結果、入力信号S(t)は、図3に示すように、それぞれが先頭時刻0から始まる複数(N個)の部分信号W1(t),W2(t)・・・WN(t)に分割される。
【0034】
実際の処理では、記憶部12には既に入力信号S(t)が保持されているため、それぞれの周期の開始時刻を求めるだけで良い。すなわち、分割開始時刻を時刻t0とすると、時刻t0,t0+T,t0+2T・・・を求め、記憶部12に格納する。
【0035】
ここで、任意の時刻から分割を開始しても良いが、処理対象からの漏れを防ぐために入力信号S(t)の先頭を分割開始時刻t0とすることが好ましい。
【0036】
ステップST4では、分割して得られた部分信号に共通する信号パターンを基本信号パターンB(t)として抽出する。最も単純で効果的な基本信号パターンB(t)の抽出方法は、数式(2)のように、各部分信号Wi(t)を重ね合わせて加算平均を演算することである。例えば、図3に示す部分信号Wi(t)に対しては、図4に示す基本信号パターンB(t)となる。
【数14】
【0037】
ステップST5では、各部分信号Wi(t)について基本信号パターンB(t)との一致箇所又は相違箇所を検出する。一致箇所及び相違箇所は、各時刻における部分信号Wi(t)と基本信号パターンB(t)との信号強度の差異、ピークの出現時刻の差などに基づいて検出することができる。
【0038】
例えば、図5のように、部分信号Wi(t)と基本信号パターンB(t)とに含まれるピークを抽出し、各部分信号Wi(t)と基本信号パターンB(t)とのピークの出現時刻の差が所定の時間差Δtよりも小さければ一致箇所として検出することができる。図5において、実線で示したピークは一致箇所として検出される。また、ピークの出現時刻の差が所定の時間差Δtよりも大きければ相違箇所として検出できる。図5において点線で示したピークは相違箇所として検出される。
【0039】
また、図6のように、数式(3)を用いて、部分信号Wi(t)と基本信号パターンB(t)とを乗算して評価信号Ei(t)を算出し、その結果について所定の閾値を超えるピークを抽出することによって、一致箇所としても良い。例えば、図6において、矢印で示したピークが一致箇所として検出される。
【数15】
【0040】
さらに、図7のように、数式(4)を用いて、部分信号Wi(t)と基本信号パターンB(t)との差分した評価信号Ei(t)を算出し、その結果の絶対値から所定の閾値を超えるピークを抽出することによって、相違箇所としても良い。例えば、図7において、矢印で示したピークが相違箇所として検出される。
【数16】
【0041】
部分信号Wi(t)と基本信号パターンB(t)との一致箇所及び相違箇所の検出方法は、上記のものに限られるものではなく、その他の既存の信号比較方法によって検出しても良い。
【0042】
検出された一致箇所または相違箇所は、出力部14においてユーザが確認可能な態様で表示される。その際、各部分信号Wi(t)における相対的な時刻で一致箇所または相違箇所を表示しても良いし、各部分信号Wi(t)を元の入力信号S(t)における時刻に変換して表示しても良い。すなわち、入力信号の先頭から部分信号Wi(t)に分割した場合には、部分信号Wi(t)での相対的な時刻tは、元の入力信号S(t)における時刻t+i×周期Tに変換することができる。また、検出された一致箇所又は相違箇所は、記憶部12にデータとして記憶することも好適である。記憶された一致箇所又は相違箇所のデータは、他の信号処理プログラムによって用いることができる。さらに、信号パターン評価装置100に既知のデータインターフェースを設け、検出された一致箇所又は相違箇所をディジタル信号として外部へ出力することも好適である。このディジタル信号は、他の外部装置において信号処理に用いることができる。
【0043】
ステップST6では、全ての部分信号について一致箇所または相違箇所の検出が行われたか否かが判断される。全ての部分信号について検出が行われたなら、処理を終了する。検出を行う部分信号が残っている場合には、ステップST5に戻り、次の部分信号について基本信号パターンとの一致箇所または相違箇所を検出する。
【0044】
以上のように、第1の信号パターン評価方法によれば、入力信号に「鋭い」ピークが含まれ、高周波成分が多い場合でも、入力信号の各周期に共通する基本信号パターンを適切に抽出することができる。その結果、入力信号に含まれる周期的な信号パターンの中の変化を、基本信号パターンとの一致箇所または相違箇所として正確に検出することができる。
【0045】
<第2の信号パターン評価方法>
以下、信号パターン評価装置100を用いた第2の信号パターンの評価方法について、図8のフローチャートに基づいて詳細に説明する。以下の手順は、コンピュータで実行可能なプログラムとすることによって、信号パターン評価装置100によって実行される。
【0046】
ステップST1からST4までは、第1の信号パターン評価方法と同様の処理を行う。従って、ここでの説明は省略する。
【0047】
ステップST5では、基本信号パターンB(t)と各部分信号Wi(t)との関係から、数式(5)の相関関数を用いて、各部分信号Wi(t)に対する相関値Ciを算出する。但し、Wi0及びB0は、それぞれWi(t)及びB(t)の時間平均値である。
【数17】
【0048】
この場合、各部分信号Wi(t)に“余剰ピーク”がある場合及び“ピーク抜け”がある場合のいずれの場合も相関値Ciは低下する。従って、相関値Ciを比較することによって、各部分信号Wi(t)の基本信号パターンB(t)からの差異を確認することができる。
【0049】
また、相関関数を用いることなく、基本信号パターンB(t)に含まれるピークと、それに対応する各部分信号Wi(t)に含まれるピークとの出現時刻の差に基づいて、相関値Ciを求めることも好適である。
【0050】
例えば、基本信号パターンB(t)に含まれるピークp1,p2・・・pkが時刻tb1,tb2・・・tbkに出現し、各部分信号Wi(t)に含まれるピークqi1,qi2・・・qikが時刻twi1,twi2・・・twikに出現した場合には、数式(6)を用いて相関値Ciを算出することもできる。
【数18】
【0051】
以上のように、第2の信号パターン評価方法によれば、各部分信号Wi(t)における信号パターンの周期性の乱れ具合を、相関値Ciとして算出することができる。この第2の信号パターン評価方法では、第1の信号パターン評価方のように“ピーク抜け”や“余剰ピーク”を個々に抽出する必要がなく、各部分信号Wi(t)全体として、周期性の乱れを評価できれば良いというときに有効な方法である。
【0052】
上記第1及び第2の信号パターン評価方法では、各工程をプログラム化してコンピュータで実行することによって入力信号の信号パターン評価を行ったが、各工程を良く知られた電子回路によって実現することもできる。
【0053】
【実施例】
本発明によって音楽信号における信号パターンの変化の検出を行った例を以下に示す。
【0054】
対象とした音楽信号は、図9に示すように、ドラム演奏による時間長が約42秒の信号である。図9の音楽信号では、第5小節、第9小節及び第17小節において周期的な信号パターンの変化が存在する。
【0055】
音声信号は、マイクロフォン22によって受信され、データインターフェース部18において、サンプリング周波数410Hz及び16ビットの量子化によってディジタル化して取り込んだ。
【0056】
さらに、入力信号S(t)に対して、前処理としてハイパスフィルタ、2乗処理及び平滑化処理を行った。ハイパスフィルタを使用したのは、ドラムのような低音打楽器の演奏による音楽信号では、高周波成分が信号の周期を示すことが多いからである。ハイパスフィルタのカットオフ周波数は200Hzとした。さらに、2乗処理を行い、前後24点に対する重み付き移動平均により平滑化処理を行った。重み関数は、中心時間から離れるごとに正規分布的に減衰する関数を使用した。図10に、前処理を行った後の入力信号S(t)を示す。図10において、時間の単位は1サンプリング時間=2.44msである。
【0057】
入力信号S(t)に対する自己相関関数を求めた結果を図11に示す。この結果から、入力信号S(t)の基本信号パターンの周期Tは889サンプリング時間と決定した。
【0058】
次に、入力信号S(t)を周期T=889サンプリング時間毎に切り出し、それらを加算平均して基本信号パターンB(t)を算出した。図12に、算出された基本信号パターンB(t)を示す。
【0059】
本実施例では、入力信号S(t)は21小節からなる音楽信号であることが予め判明しているので、入力信号S(t)を21の部分信号パターンWi(t)(i=1,2・・・21)に分割し、数式(5)を用いて、それぞれについて基本信号パターンB(t)との相関値Ci(i=1,2・・・21)を算出した。
【0060】
図13に、各部分信号Wi(t)について算出した相関値Ciを示す。図13において、音楽信号の周期性が変化する第5小節、第9小節及び第17小節の相関値が小さい値として算出されていることが分かる。例えば、信号の周期性の変化を検出するための閾値として、相関値Ciの平均値μ、又は、相関値Ciの平均値μから標準偏差σを引いたθ(=μ−σ)を用いることによって、入力信号S(t)の周期性の変化部を検出することができる。
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、入力信号に含まれるピークが鋭く、高周波成分が多い場合においても、入力信号の各周期に共通する基本信号パターンを適切に抽出することができる。その結果、各周期の信号パターンの変化を正確に検出及び評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における信号パターン評価装置の構成のブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における第1の信号パターン評価方法のフローチャートを示す図である。
【図3】本発明の実施の形態における部分信号Wi(t)への分割結果の例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態における基本信号パターンB(t)の抽出結果の例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における基本信号パターンB(t)と部分信号Wi(t)との一致又は相違するピークの検出作用を説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態における基本信号パターンB(t)と部分信号Wi(t)との一致するピークの検出作用を説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態における基本信号パターンB(t)と部分信号Wi(t)との相違するピークの検出作用を説明する図である。
【図8】本発明の実施の形態における第2の信号パターン評価方法のフローチャートを示す図である。
【図9】本発明の実施例におけるドラム演奏のためのスコアを示す図である。
【図10】本発明の実施例における入力信号S(t)の入力例を示す図である。
【図11】本発明の実施例における自己相関関数値からの周期Tの抽出作用を示す図である。
【図12】本発明の実施例における基本信号パターンB(t)の算出例を示す図である。
【図13】本発明の実施例における各小節に対する相関値Ciの算出結果例を示す図である。
【図14】周期性を有する入力信号S(t)の信号パターンの変化の例を示す図である。
【符号の説明】
10 制御部、12 記憶部、14 出力部、16 入力部、18 データインターフェース部、20 バス、22 マイクロフォン、100 信号パターン評価装置。
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力信号の信号パターンの変化を検出する信号パターン評価装置、信号パターン評価方法及び信号パターン評価プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
音楽の音声信号においては、打楽器などからの一定のリズムによって、似通った信号パターンが周期的に繰り返されることが多い。曲の流れが変化する箇所では、同時に信号パターンの周期が一時的に変化することが多く、またその前後での信号パターンが異なることも多い。
【0003】
また、工場等におけるモータ等の回転機械の動作音やベルトコンベア上を流れる製品の検出信号等においても、似通った周期をもった信号パターンが繰り返されることが多い。このような信号パターンの乱れを検出することによって、これらの機械や装置の故障などの不具合を知ることができる。
【0004】
例えば、図14のように、一定の周期性をもった信号パターンにピーク抜けや余剰ピークが存在した場合、これらの変化を音楽の流れの変化や機械・装置の不具合を示す指標として用いることができる。
【0005】
従って、このような繰り返される信号パターンの乱れ、すなわち信号パターンの変化を正確に検出できる装置が必要とされている。通常、信号パターンの変化を検出するためには、対象とする信号の時間的変化の中で繰り返される基本的な信号パターン、すなわち基本信号パターンを抽出する。この基本信号パターンと実際の信号の時間的変化とを比較することによって、信号中の信号パターンの変化を検出することができる。
【0006】
特開2000−250534号公報の「音楽再生システム、リズム解析方法及び記録媒体」では、時間変化する入力信号をフーリエ変換により周波数スペクトルに変換し、その周波数スペクトルのノイズ成分を除去したのちに逆フーリエ変換することによって、繰り返される信号パターンに共通する基本信号パターンを抽出する技術が開示されている。この基本信号パターンと入力信号とを比較することによって、信号パターンの変化を検出している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術では、入力信号の信号パターンに含まれる各ピークが「鋭い」場合、すなわち信号パターンに高周波成分が多く含まれる場合には、フーリエ変換を用いる方法では高周波成分によるノイズが大きくなり、基本信号パターンの抽出が困難になる問題がある。実際の信号パターンの高周波成分とノイズによる高周波成分が重畳され、ノイズ成分が分離不可能となる。また、高周波成分を除去した場合には、ノイズ成分と共に信号パターンの高周波成分までもが削除されてしまうため、逆フーリエ変換して得られる基本信号パターンはピーク幅が広がり、基本信号パターンを正確に得ることができない問題を生ずる。
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題を鑑み、入力信号に含まれる信号パターンの変化を正確に検出することができる信号パターン評価装置、信号パターン評価方法及び信号パターン評価プログラムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、時間的に変化する入力信号S(t)を受けて、その入力信号の周期的な信号パターンの変化を検出する信号パターン評価装置であって、前記入力信号S(t)の周期Tを求める手段と、前記入力信号S(t)を前記周期T毎に複数の部分信号Wi(t)(iは1以上N以下の整数)に分割する手段と、前記部分信号Wi(t)に共通する信号パターンを基本信号パターンB(t)として抽出する手段と、前記基本信号パターンB(t)と前記部分信号Wi(t)の各々との差異に基づいて、前記入力信号S(t)の周期的な信号パターンの変化を検出する手段とを含むことを特徴とする。
【0010】
さらに、上記信号パターン評価装置において、前記部分信号Wi(t)に共通する信号パターンを基本信号パターンB(t)として抽出する手段は、
【数7】
として前記基本信号パターンB(t)を算出する手段であることが好適である。
【0011】
さらに、上記信号パターン評価装置において、前記基本信号パターンB(t)と前記部分信号Wi(t)の各々との差異に基づいて、前記入力信号S(t)の周期的な信号パターンの変化を検出する手段は、前記基本信号パターンB(t)の平均値がB0、前記部分信号Wi(t)の平均値がWi0である場合に、
【数8】
として前記部分信号Wi(t)の各々と前記基本信号パターンB(t)との相関値Ciを求め、その相関値Ciに基づいて前記入力信号S(t)の周期的な信号パターンの変化を検出する手段であることが好適である。
【0012】
上記課題を解決するための本発明は、時間的に変化する入力信号S(t)を受けて、その入力信号の周期的な信号パターンの変化を検出する信号パターン評価方法であって、前記入力信号S(t)の周期Tを求める工程と、前記入力信号S(t)を前記周期T毎に複数の部分信号Wi(t)(iは1以上N以下の整数)に分割する工程と、前記部分信号Wi(t)に共通する信号パターンを基本信号パターンB(t)として抽出する工程と、前記基本信号パターンB(t)と前記部分信号Wi(t)の各々との差異に基づいて、前記入力信号S(t)の周期的な信号パターンの変化を検出する工程とを含むことを特徴とする。
【0013】
さらに、上記信号パターン評価方法において、前記部分信号Wi(t)に共通する信号パターンを基本信号パターンB(t)として抽出する工程は、
【数9】
として前記基本信号パターンB(t)を算出する工程であることが好適である。
【0014】
さらに、上記信号パターン評価方法において、前記基本信号パターンB(t)と前記部分信号Wi(t)の各々との差異に基づいて、前記入力信号S(t)の周期的な信号パターンの変化を検出する工程は、前記基本信号パターンB(t)の平均値がB0、前記部分信号Wi(t)の平均値がWi0である場合に、
【数10】
として前記部分信号Wi(t)の各々と前記基本信号パターンB(t)との相関値Ciを求め、その相関値Ciに基づいて前記入力信号S(t)の周期的な信号パターンの変化を検出する工程であることが好適である。
【0015】
上記課題を解決するための本発明は、時間的に変化する入力信号S(t)を受けて、その入力信号の周期的な信号パターンの変化を検出する信号パターン評価プログラムであって、コンピュータに、前記入力信号S(t)の周期Tを求める工程と、前記入力信号S(t)を前記周期T毎に複数の部分信号Wi(t)(iは1以上N以下の整数)に分割する工程と、前記部分信号Wi(t)に共通する信号パターンを基本信号パターンB(t)として抽出する工程と、前記基本信号パターンB(t)と前記部分信号Wi(t)の各々との差異に基づいて、前記入力信号S(t)の周期的な信号パターンの変化を検出する工程とを含む処理を実行させることを特徴とする。
【0016】
さらに、上記信号パターン評価プログラムにおいて、前記部分信号Wi(t)に共通する信号パターンを基本信号パターンB(t)として抽出する工程は、
【数11】
として前記基本信号パターンB(t)を算出する工程であることが好適である。
【0017】
さらに、上記信号パターン評価プログラムにおいて、前記基本信号パターンB(t)と前記部分信号Wi(t)の各々との差異に基づいて、前記入力信号S(t)の周期的な信号パターンの変化を検出する工程は、前記基本信号パターンB(t)の平均値がB0、前記部分信号Wi(t)の平均値がWi0である場合に、
【数12】
として前記部分信号Wi(t)の各々と前記基本信号パターンB(t)との相関値Ciを求め、その相関値Ciに基づいて前記入力信号S(t)の周期的な信号パターンの変化を検出する工程であることが好適である。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明における実施の形態における信号パターン評価装置を、図を参照して詳細に説明する。
【0019】
本実施の形態における信号パターン評価装置100は、図1のように、制御部10、記憶部12、出力部14、入力部16、データインターフェース部18及びバス20から基本的に構成される。制御部10、記憶部12、出力部14、入力部16及びデータインターフェース部18はバス20を介して相互に情報(データ)伝達可能に接続されている。
【0020】
また、信号パターン評価装置100は、データインターフェース部18を介して外部のマイクロフォン22に接続されている。
【0021】
制御部10は、入力部16からのコマンドを受けて、記憶部12に記憶されている信号パターン評価プログラムを実行し、記憶部12に格納されている入力信号のデータまたはデータインターフェース部18から入力される入力信号のデータを処理することによって、入力信号に含まれる信号パターンの変化を検出する。また、処理結果を記憶部12へ格納し、または出力部14を用いてユーザに提示する。制御部10には、一般的なコンピュータのCPUを用いることができる。
【0022】
記憶部12は、制御部10で実行される信号パターン評価プログラムを格納及び保持する。また、データインターフェース部18を介して入力される入力信号をデータとして格納及び保持する。格納及び保持されたプログラムまたはデータは、バス20を介して、制御部10や出力部14から適宜参照することができる。記憶部12には、半導体メモリ、ハードディスク、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ディジタルオーディオテープまたは磁気テープなどの一般的な記憶装置を適宜選択して用いることができる。
【0023】
出力部14は、制御部10から処理結果を受けて、その処理結果をユーザが確認可能な態様で表示する。また、入力部16からコマンドを受け付ける際のユーザインターフェースの表示を行う。出力部14には、ディスプレイ、タッチパネルまたはプリンタなどの一般的な表示装置を適宜選択して用いることができる。
【0024】
入力部16は、信号パターン評価装置100での処理を制御するためのコマンドや処理に用いられるデータを入力するために用いられる。例えば、ユーザが信号パターン評価プログラムの実行開始コマンドを入力する際に用いられる。入力部16には、キーボード、マウスまたはタッチパネルなどの一般的な入力装置を適宜選択して用いることができる。
【0025】
データインターフェース部18は、外部からの信号を信号パターン評価装置100で処理可能なデータに変換して取り込む。例えば、本実施の形態では、マイクロフォン22により外部の音声信号を受け、所定の時間間隔でサンプリングして取り込み、さらにアナログ/ディジタル変換(A/D変換)によって信号パターン評価装置100で処理可能なデジタルデータとして変換する。取り込まれた入力信号のデータは、記憶部12に転送され、格納及び保持される。
【0026】
また、信号パターン評価装置100でのデータの処理を簡易にするために、データインターフェース部18に周波数フィルタや平滑化機能等の予備的な処理機能を含めても良い。これらの処理機能は、良く知られた既存の電子回路またはコンピュータ処理によって実現できる。
【0027】
<第1の信号パターン評価方法>
以下、信号パターン評価装置100を用いた第1の信号パターンの評価方法について、図2のフローチャートに基づいて詳細に説明する。以下の手順は、コンピュータで実行可能なプログラムとすることによって、信号パターン評価装置100によって実行される。
【0028】
入力部16からプログラムの実行開始コマンドが入力されると、制御部10は記憶部12に格納された信号パターン評価プログラムを実行して処理を開始する。処理は直ちにステップST1へ移行する。
【0029】
ステップST1では、マイクロフォン22から、図14に例示されるような、音声信号S(t)が入力される。信号S(t)は、データインターフェース部18を介して信号パターン評価装置100へ入力される。このとき、信号S(t)を所定の時間間隔でサンプリングし、アナログ/ディジタル変換を行うことによって、信号パターン評価装置100で処理可能なディジタル信号に変換しておくことが好適である。信号S(t)は、記憶部12に格納される。
【0030】
また、以後の処理を容易にするために、予備的な処理を行っておくことも好適である。例えば、信号S(t)を周波数フィルタに通し、不要な高周波成分及び低周波成分を除去しておくことによって、周期の検出の確度を向上することができる。また、信号S(t)を二乗処理することで負の値とならないようにしたり、平滑化処理によって信号変化を滑らかにすることも好ましい。
【0031】
ステップST2では、入力信号S(t)の周期Tが同定される。周期Tの同定には、一般的な自己相関関数を用いることができる。自己相関関数を用いる方法では、数式(1)のように、入力信号S(t)をシフト時間τだけシフトさせ、シフト前の入力信号とシフト後の信号の相関値C(τ)を求める。シフト時間τを順次変更してそれぞれ相関値を求め、最大の相関値C(τ)を与えるシフト時間τを入力信号S(t)の周期Tとして採用する。
【数13】
【0032】
また、特開平5−265490号公報に開示された「ピッチ周期抽出装置」のような既存の周期の同定手段を用いることもできる。また、予め入力信号の周期Tが既知である場合には、ユーザが入力部16から周期Tを入力しても良い。
【0033】
ステップST3では、入力信号S(t)を周期Tごとに連続的に部分信号Wi(t)へ分割する。例えば、入力信号S(t)が図14に示す信号パターンを含むものである場合、入力信号S(t)の先頭から順に周期T(0≦t<T)ごとに分割する。その結果、入力信号S(t)は、図3に示すように、それぞれが先頭時刻0から始まる複数(N個)の部分信号W1(t),W2(t)・・・WN(t)に分割される。
【0034】
実際の処理では、記憶部12には既に入力信号S(t)が保持されているため、それぞれの周期の開始時刻を求めるだけで良い。すなわち、分割開始時刻を時刻t0とすると、時刻t0,t0+T,t0+2T・・・を求め、記憶部12に格納する。
【0035】
ここで、任意の時刻から分割を開始しても良いが、処理対象からの漏れを防ぐために入力信号S(t)の先頭を分割開始時刻t0とすることが好ましい。
【0036】
ステップST4では、分割して得られた部分信号に共通する信号パターンを基本信号パターンB(t)として抽出する。最も単純で効果的な基本信号パターンB(t)の抽出方法は、数式(2)のように、各部分信号Wi(t)を重ね合わせて加算平均を演算することである。例えば、図3に示す部分信号Wi(t)に対しては、図4に示す基本信号パターンB(t)となる。
【数14】
【0037】
ステップST5では、各部分信号Wi(t)について基本信号パターンB(t)との一致箇所又は相違箇所を検出する。一致箇所及び相違箇所は、各時刻における部分信号Wi(t)と基本信号パターンB(t)との信号強度の差異、ピークの出現時刻の差などに基づいて検出することができる。
【0038】
例えば、図5のように、部分信号Wi(t)と基本信号パターンB(t)とに含まれるピークを抽出し、各部分信号Wi(t)と基本信号パターンB(t)とのピークの出現時刻の差が所定の時間差Δtよりも小さければ一致箇所として検出することができる。図5において、実線で示したピークは一致箇所として検出される。また、ピークの出現時刻の差が所定の時間差Δtよりも大きければ相違箇所として検出できる。図5において点線で示したピークは相違箇所として検出される。
【0039】
また、図6のように、数式(3)を用いて、部分信号Wi(t)と基本信号パターンB(t)とを乗算して評価信号Ei(t)を算出し、その結果について所定の閾値を超えるピークを抽出することによって、一致箇所としても良い。例えば、図6において、矢印で示したピークが一致箇所として検出される。
【数15】
【0040】
さらに、図7のように、数式(4)を用いて、部分信号Wi(t)と基本信号パターンB(t)との差分した評価信号Ei(t)を算出し、その結果の絶対値から所定の閾値を超えるピークを抽出することによって、相違箇所としても良い。例えば、図7において、矢印で示したピークが相違箇所として検出される。
【数16】
【0041】
部分信号Wi(t)と基本信号パターンB(t)との一致箇所及び相違箇所の検出方法は、上記のものに限られるものではなく、その他の既存の信号比較方法によって検出しても良い。
【0042】
検出された一致箇所または相違箇所は、出力部14においてユーザが確認可能な態様で表示される。その際、各部分信号Wi(t)における相対的な時刻で一致箇所または相違箇所を表示しても良いし、各部分信号Wi(t)を元の入力信号S(t)における時刻に変換して表示しても良い。すなわち、入力信号の先頭から部分信号Wi(t)に分割した場合には、部分信号Wi(t)での相対的な時刻tは、元の入力信号S(t)における時刻t+i×周期Tに変換することができる。また、検出された一致箇所又は相違箇所は、記憶部12にデータとして記憶することも好適である。記憶された一致箇所又は相違箇所のデータは、他の信号処理プログラムによって用いることができる。さらに、信号パターン評価装置100に既知のデータインターフェースを設け、検出された一致箇所又は相違箇所をディジタル信号として外部へ出力することも好適である。このディジタル信号は、他の外部装置において信号処理に用いることができる。
【0043】
ステップST6では、全ての部分信号について一致箇所または相違箇所の検出が行われたか否かが判断される。全ての部分信号について検出が行われたなら、処理を終了する。検出を行う部分信号が残っている場合には、ステップST5に戻り、次の部分信号について基本信号パターンとの一致箇所または相違箇所を検出する。
【0044】
以上のように、第1の信号パターン評価方法によれば、入力信号に「鋭い」ピークが含まれ、高周波成分が多い場合でも、入力信号の各周期に共通する基本信号パターンを適切に抽出することができる。その結果、入力信号に含まれる周期的な信号パターンの中の変化を、基本信号パターンとの一致箇所または相違箇所として正確に検出することができる。
【0045】
<第2の信号パターン評価方法>
以下、信号パターン評価装置100を用いた第2の信号パターンの評価方法について、図8のフローチャートに基づいて詳細に説明する。以下の手順は、コンピュータで実行可能なプログラムとすることによって、信号パターン評価装置100によって実行される。
【0046】
ステップST1からST4までは、第1の信号パターン評価方法と同様の処理を行う。従って、ここでの説明は省略する。
【0047】
ステップST5では、基本信号パターンB(t)と各部分信号Wi(t)との関係から、数式(5)の相関関数を用いて、各部分信号Wi(t)に対する相関値Ciを算出する。但し、Wi0及びB0は、それぞれWi(t)及びB(t)の時間平均値である。
【数17】
【0048】
この場合、各部分信号Wi(t)に“余剰ピーク”がある場合及び“ピーク抜け”がある場合のいずれの場合も相関値Ciは低下する。従って、相関値Ciを比較することによって、各部分信号Wi(t)の基本信号パターンB(t)からの差異を確認することができる。
【0049】
また、相関関数を用いることなく、基本信号パターンB(t)に含まれるピークと、それに対応する各部分信号Wi(t)に含まれるピークとの出現時刻の差に基づいて、相関値Ciを求めることも好適である。
【0050】
例えば、基本信号パターンB(t)に含まれるピークp1,p2・・・pkが時刻tb1,tb2・・・tbkに出現し、各部分信号Wi(t)に含まれるピークqi1,qi2・・・qikが時刻twi1,twi2・・・twikに出現した場合には、数式(6)を用いて相関値Ciを算出することもできる。
【数18】
【0051】
以上のように、第2の信号パターン評価方法によれば、各部分信号Wi(t)における信号パターンの周期性の乱れ具合を、相関値Ciとして算出することができる。この第2の信号パターン評価方法では、第1の信号パターン評価方のように“ピーク抜け”や“余剰ピーク”を個々に抽出する必要がなく、各部分信号Wi(t)全体として、周期性の乱れを評価できれば良いというときに有効な方法である。
【0052】
上記第1及び第2の信号パターン評価方法では、各工程をプログラム化してコンピュータで実行することによって入力信号の信号パターン評価を行ったが、各工程を良く知られた電子回路によって実現することもできる。
【0053】
【実施例】
本発明によって音楽信号における信号パターンの変化の検出を行った例を以下に示す。
【0054】
対象とした音楽信号は、図9に示すように、ドラム演奏による時間長が約42秒の信号である。図9の音楽信号では、第5小節、第9小節及び第17小節において周期的な信号パターンの変化が存在する。
【0055】
音声信号は、マイクロフォン22によって受信され、データインターフェース部18において、サンプリング周波数410Hz及び16ビットの量子化によってディジタル化して取り込んだ。
【0056】
さらに、入力信号S(t)に対して、前処理としてハイパスフィルタ、2乗処理及び平滑化処理を行った。ハイパスフィルタを使用したのは、ドラムのような低音打楽器の演奏による音楽信号では、高周波成分が信号の周期を示すことが多いからである。ハイパスフィルタのカットオフ周波数は200Hzとした。さらに、2乗処理を行い、前後24点に対する重み付き移動平均により平滑化処理を行った。重み関数は、中心時間から離れるごとに正規分布的に減衰する関数を使用した。図10に、前処理を行った後の入力信号S(t)を示す。図10において、時間の単位は1サンプリング時間=2.44msである。
【0057】
入力信号S(t)に対する自己相関関数を求めた結果を図11に示す。この結果から、入力信号S(t)の基本信号パターンの周期Tは889サンプリング時間と決定した。
【0058】
次に、入力信号S(t)を周期T=889サンプリング時間毎に切り出し、それらを加算平均して基本信号パターンB(t)を算出した。図12に、算出された基本信号パターンB(t)を示す。
【0059】
本実施例では、入力信号S(t)は21小節からなる音楽信号であることが予め判明しているので、入力信号S(t)を21の部分信号パターンWi(t)(i=1,2・・・21)に分割し、数式(5)を用いて、それぞれについて基本信号パターンB(t)との相関値Ci(i=1,2・・・21)を算出した。
【0060】
図13に、各部分信号Wi(t)について算出した相関値Ciを示す。図13において、音楽信号の周期性が変化する第5小節、第9小節及び第17小節の相関値が小さい値として算出されていることが分かる。例えば、信号の周期性の変化を検出するための閾値として、相関値Ciの平均値μ、又は、相関値Ciの平均値μから標準偏差σを引いたθ(=μ−σ)を用いることによって、入力信号S(t)の周期性の変化部を検出することができる。
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、入力信号に含まれるピークが鋭く、高周波成分が多い場合においても、入力信号の各周期に共通する基本信号パターンを適切に抽出することができる。その結果、各周期の信号パターンの変化を正確に検出及び評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における信号パターン評価装置の構成のブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における第1の信号パターン評価方法のフローチャートを示す図である。
【図3】本発明の実施の形態における部分信号Wi(t)への分割結果の例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態における基本信号パターンB(t)の抽出結果の例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における基本信号パターンB(t)と部分信号Wi(t)との一致又は相違するピークの検出作用を説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態における基本信号パターンB(t)と部分信号Wi(t)との一致するピークの検出作用を説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態における基本信号パターンB(t)と部分信号Wi(t)との相違するピークの検出作用を説明する図である。
【図8】本発明の実施の形態における第2の信号パターン評価方法のフローチャートを示す図である。
【図9】本発明の実施例におけるドラム演奏のためのスコアを示す図である。
【図10】本発明の実施例における入力信号S(t)の入力例を示す図である。
【図11】本発明の実施例における自己相関関数値からの周期Tの抽出作用を示す図である。
【図12】本発明の実施例における基本信号パターンB(t)の算出例を示す図である。
【図13】本発明の実施例における各小節に対する相関値Ciの算出結果例を示す図である。
【図14】周期性を有する入力信号S(t)の信号パターンの変化の例を示す図である。
【符号の説明】
10 制御部、12 記憶部、14 出力部、16 入力部、18 データインターフェース部、20 バス、22 マイクロフォン、100 信号パターン評価装置。
Claims (9)
- 時間的に変化する入力信号S(t)を受けて、その入力信号の周期的な信号パターンの変化を検出する信号パターン評価装置であって、
前記入力信号S(t)の周期Tを求める手段と、
前記入力信号S(t)を前記周期T毎に複数の部分信号Wi(t)(iは1以上N以下の整数)に分割する手段と、
前記部分信号Wi(t)に共通する信号パターンを基本信号パターンB(t)として抽出する手段と、
前記基本信号パターンB(t)と前記部分信号Wi(t)の各々との差異に基づいて、前記入力信号S(t)の周期的な信号パターンの変化を検出する手段と、
を含むことを特徴とする信号パターン評価装置。 - 時間的に変化する入力信号S(t)を受けて、その入力信号の周期的な信号パターンの変化を検出する信号パターン評価方法であって、
前記入力信号S(t)の周期Tを求める工程と、
前記入力信号S(t)を前記周期T毎に複数の部分信号Wi(t)(iは1以上N以下の整数)に分割する工程と、
前記部分信号Wi(t)に共通する信号パターンを基本信号パターンB(t)として抽出する工程と、
前記基本信号パターンB(t)と前記部分信号Wi(t)の各々との差異に基づいて、前記入力信号S(t)の周期的な信号パターンの変化を検出する工程と、
を含むことを特徴とする信号パターン評価方法。 - 時間的に変化する入力信号S(t)を受けて、その入力信号の周期的な信号パターンの変化を検出する信号パターン評価プログラムであって、
コンピュータに、
前記入力信号S(t)の周期Tを求める工程と、
前記入力信号S(t)を前記周期T毎に複数の部分信号Wi(t)(iは1以上N以下の整数)に分割する工程と、
前記部分信号Wi(t)に共通する信号パターンを基本信号パターンB(t)として抽出する工程と、
前記基本信号パターンB(t)と前記部分信号Wi(t)の各々との差異に基づいて、前記入力信号S(t)の周期的な信号パターンの変化を検出する工程と、
を含む処理を実行させることを特徴とする信号パターン評価プログラム。
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