JP2004029043A - 投写型表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造コストの上昇を伴うことなく、簡単な構成で、照明光束の利用効率を向上する投写型表示装置を提供する。
【解決手段】投写型表示装置は、反射型ライトバルブであるDMD素子2と、このDMD素子2を照明する照明光学系1と、照明光学系1により照明されたDMD素子2の画像をスクリーンに投写する投写光学系3とを備えている。照明光学系1は、光源3と、集光レンズ群6と、光強度均一化素子と、第1及び第2ミラー8,9とを備えている。第2のミラー9は、投写光学系3の鏡筒3cの下側に隣接して設けられ、その反射面9bの法線9aは、DMD素子2の被照明面2bの法線2aに対して所定の角度θをなしている。第1ミラー8は、光強度均一化素子7からの入射光束を、第2ミラー9に向けて反射するようになっている。
【選択図】 図1
【解決手段】投写型表示装置は、反射型ライトバルブであるDMD素子2と、このDMD素子2を照明する照明光学系1と、照明光学系1により照明されたDMD素子2の画像をスクリーンに投写する投写光学系3とを備えている。照明光学系1は、光源3と、集光レンズ群6と、光強度均一化素子と、第1及び第2ミラー8,9とを備えている。第2のミラー9は、投写光学系3の鏡筒3cの下側に隣接して設けられ、その反射面9bの法線9aは、DMD素子2の被照明面2bの法線2aに対して所定の角度θをなしている。第1ミラー8は、光強度均一化素子7からの入射光束を、第2ミラー9に向けて反射するようになっている。
【選択図】 図1
Description
【特許請求の範囲】
【請求項1】光源を含む照明光学系と、
前記照明光学系によって照明される被照射面をなすよう同一面上に配列された複数のマイクロミラーを有し、各マイクロミラーの傾角を変化させることにより照明光束の反射角度を変化させて画像を形成する反射型ライトバルブと、
前記反射型ライトバルブにより形成された画像を投写する投写光学系と、
を備え、
前記照明光学系が、
前記光源から射出された光束を集光させる集光レンズ群と、
前記集光レンズ群から射出された光束の当該光束断面内における強度分布を均一化する光強度均一化素子と、
前記光強度均一化素子から射出された光束の進行方向に配置された第1ミラーと、
前記投写光学系に隣接して配置された第2ミラーと、
をさらに備え、
前記第1ミラーが、前記光強度均一化素子からの光束を前記第2ミラーに向けて反射し、前記第2ミラーが、前記第1ミラーからの光束を前記反射型ライトバルブに向けて反射し、
前記反射型ライトバルブの各マイクロミラーが前記照明光束を前記投射光学系に向けて反射するときの各マイクロミラーの前記被照射面に対する傾角をαとすると、前記被照射面の法線と、前記第2ミラーの反射面の中心を通る法線とのなす角θが、
1.15×α≦θ≦1.27×α
の範囲にあることを特徴とする投写型表示装置。
【請求項2】前記第2ミラーが、前記投写光学系の鏡筒に対し、前記照明光学系の光軸及び前記投写光学系の光軸の双方に略垂直な方向にずれた位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の投写型表示装置。
【請求項3】前記光強度均一化素子から前記第1ミラーまでの光束の進行方向と、前記反射型ライトバルブから前記投写光学系までの光束の進行方向とが、上面視で略直交していることを特徴とする請求項1又は2に記載の投写型表示装置。
【請求項4】前記第1ミラーの反射面が円筒凹面であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の投写型表示装置。
【請求項5】前記第1ミラーの反射面が平面であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の投写型表示装置。
【請求項6】前記第1ミラーの反射面が凹状の非球面であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の投写型表示装置。
【請求項7】前記第2ミラーの反射面が凹状の球面であることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の投写型表示装置。
【請求項8】前記第2ミラーの反射面が凹状の非球面であることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の投写型表示装置。
【請求項9】前記光強度均一化素子は、複数のレンズ要素を平面的に配列したレンズアレイであることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の投写型表示装置。
【請求項10】前記光強度均一化素子は、透明材料よりなる四角柱状の部材であり、内部で光束を反射するよう構成されていることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の投写型表示装置。
【請求項11】前記光強度均一化素子は、管状部材であって、その内面で光束を反射するよう構成されていることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の投写型表示装置。
【請求項12】前記光源と前記集光レンズ群との間に、回転カラーフィルタを配置したことを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の投写型表示装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、スクリーン上に画像を投写する投写型表示装置に関し、より詳細には、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DigitalMicro―mirrorDevice:以下、DMDと略する。)や反射型液晶表示素子等により構成された反射型ライトバルブを用いた投写型表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7は、特開平10−301057号公報等に開示された従来の投写型表示装置の基本構成を示す図である。図7に示す従来の投写型表示装置は、反射型の液晶表示素子95と、この液晶表示素子95を照明する照明光学系90と、照明光学系90により照明された液晶表示素子95の画像をスクリーン(図示せず)に投写する投写光学系96とを備えている。照明光学系90は、光源ランプ91と、この光源ランプ91の周囲に設けられた反射鏡92と、光束の強度分布を均一化するプリズム93とを有している。液晶表示素子95の表面には、入射光束及び反射光束を略平行光束にするためのコリメータレンズ94が取り付けられている。光源ランプ91から射出された光束は、楕円面鏡92、プリズム93及びコリメータレンズ94を介して液晶表示素子95に入射する。液晶表示素子95において反射した光束は、投写光学系96を通過して、図示しないスクリーンに照射される。
【0003】
照明光束を有効利用する(すなわち、より少ないエネルギー消費量でスクリーンへの照射光量を増加させる)ためには、投写光学系96への入射光束は、投写光学系96の光軸99にできるだけ平行に入射することが好ましい。そのためには、照明光学系90からの射出光束(照明光束)は、液晶表示素子95の被照明面に対して直角に近い角度で入射することが好ましい。そのため、従来より、光源ランプ91は、投写光学系96に近接して配置されている。また、光源ランプ91の周囲の楕円面鏡92と鏡筒97との物理的な干渉を回避するため、投写光学系96の鏡筒97の一部98を切り欠いている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の投写型表示装置では、投写光学系96の鏡筒97の一部98を切り欠いている構成のため、光源ランプ90から射出された光束の一部が鏡筒97に遮られてしまい、照明光束の利用効率が低下するという問題があった。
【0005】
また、上述したように光源ランプ91を投写光学系96に近接配置する代わりに、TIR(全反射)プリズムもしくはPBS(偏光ビームスプリッタ)プリズムを用いることも考えられるが、これらTIRプリズム及びPBSプリズムは高価であることから、装置の製造コストが上昇するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、製造コストの上昇を伴うことなく、簡単な構成で、照明光束の利用効率を向上する投写型表示装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る投写型表示装置は、光源を含む照明光学系と、前記照明光学系によって照明される被照射面をなすよう同一面上に配列された複数のマイクロミラーを有し、各マイクロミラーの傾角を変化させることにより照明光束の反射角度を変化させ、画像を形成する反射型ライトバルブと、前記反射型ライトバルブにより形成された画像を投写する投写光学系とを備えて構成されている。前記照明光学系は、前記光源から射出された光束を集光させる集光レンズ群と、前記集光レンズ群から射出された光束の当該光束断面内における強度分布を均一化する光強度均一化素子と、前記光強度均一化素子から射出された光束の進行方向に配置された第1ミラーと、前記投写光学系に隣接して配置された第2ミラーとを備えている。前記第1ミラーは、前記光強度均一化素子からの光束を前記第2ミラーに向けて反射し、前記第2ミラーは、前記第1ミラーからの光束を前記反射型ライトバルブに向けて反射する。前記反射型ライトバルブの各マイクロミラーが前記照明光束を前記投射光学系に向けて反射するときの各マイクロミラーの前記被照射面に対する傾角をαとすると、前記被照射面の法線と、前記第2ミラーの反射面の中心を通る法線とのなす角θは、1.15×α≦θ≦1.27×αの範囲にある。
【0008】
請求項2に係る投写型表示装置は、前記第2ミラーを、前記投写光学系の鏡筒に対し、前記照明光学系の光軸及び前記投写光学系の光軸の双方に略垂直な方向にずれた位置に配置したものである。
【0009】
請求項3に係る投写型表示装置は、前記光強度均一化素子から前記第1ミラーまでの光束の進行方向と、前記反射型ライトバルブから前記投写光学系までの光束の進行方向とが、上面視で直交するようにしたものである。
【0010】
請求項4に係る投写型表示装置は、前記第1ミラーの反射面を円筒凹面としたものである。
【0011】
また、請求項5に係る投写型表示装置は、前記第1ミラーの反射面を平面としたものである。
【0012】
また、請求項6に係る投写型表示装置は、前記第1ミラーの反射面を凹状の非球面としたものである。
【0013】
また、請求項7に係る投写型表示装置は、前記第2ミラーの反射面を凹状の球面としたものである。
【0014】
また、請求項8に係る投写型表示装置は、前記第2ミラーの反射面を凹状の非球面としたものである。
【0015】
また、請求項9に係る投写型表示装置は、前記光強度均一化素子を、複数のレンズ要素を平面的に配列したレンズアレイにより構成したものである。
【0016】
また、請求項10に係る投写型表示装置は、前記光強度均一化素子を、透明材料よりなる四角柱状の部材により構成し、その部材の内部で光束を反射する構成したものである。
【0017】
また、請求項11に係る投写型表示装置は、前記光強度均一化素子を、管状部材であって、その内面で光束を反射するよう構成したものである。
【0018】
また、請求項12に係る投写型表示装置は、前記光源と前記集光レンズ群との間に、回転カラーフィルタを配置したものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る投写型表示装置の基本構成を示す平面図である。なお、この図1に示す投写型表示装置の各構成部品の配置は、投写型表示装置を実際の使用状態において上方から見た配置、すなわち上面視における配置である。投写型表示装置は、反射型ライトバルブとしてのDMD素子2と、DMD素子2を照明する照明光学系1と、照明光学系1により照明されたDMD素子2の画像を図示しないスクリーンに投写する投写光学系3とを備えている。
【0020】
照明光学系1は、光源ランプ4と、この光源ランプ4から射出された光束のうち特定の波長帯域の光束を通過させる回転カラーフィルタ5と、回転カラーフィルタ5を通過した光束を集光する集光レンズ群6と、集光レンズ群6を通過した光束の当該光束断面内における強度分布を均一化する光強度均一化素子7と、光強度均一化素子7から射出された光束をDMD素子2に向けて反射する第1ミラー8及び第2ミラー9とを有している。
【0021】
光源ランプ4は、例えば白色光を射出する発光体4Aと、この発光体4Aの周囲に設けられた楕円面鏡4Bとから構成されている。楕円面鏡4Bは、楕円の第1中心に対応する第1焦点から射出された光束を反射して、楕円の第2中心に対応する第2焦点に収束させるものである。発光体4Aは、楕円面鏡4Bの第1焦点の近傍に配置されており、この発光体4Aから射出された光束は、楕円鏡4Bの第2焦点の近傍に収束される。楕円鏡4Bの第1焦点と第2焦点とを通る軸線により、照明光学系1の光軸1aが規定される。
【0022】
なお、光源ランプ4は、図1に示した構成に限られず、例えば楕円面鏡4Bに代えて放物面鏡を用いてもよい。この場合には、発光体4Aから射出された光束を放物面鏡により略平行化したのち、コンデンサレンズにより収束させることができる。
【0023】
回転カラーフィルタ5は、円板状の部材を例えば扇状に3分割して、それぞれ赤、緑及び青の3つのフィルタ領域としたものである。赤、緑及び青の3つのフィルタ領域は、それぞれ、赤色、緑色及び青色の各波長帯域に対応する光束のみを透過するものである。回転カラーフィルタ5は、上記の光軸1aと平行な軸線5aを中心として回転し、それぞれのフィルタ領域が光源ランプ4の光軸1a上で且つ楕円面鏡4Bの第2焦点の近傍に順に位置するように構成されている。この回転カラーフィルタ5を画像信号に同期して回転させることにより、赤色光、緑色光及び青色光が順に(フィールドシーケンシャルに)反射型ライトバルブ2に照射される。
【0024】
集光レンズ群6は、上記の光軸1aに沿って配置された第1集光レンズ6A及び第2集光レンズ6Bにより構成されている。第1集光レンズ6Aは、入射側(すなわち光源ランプ4側)が平面となっており、射出側(すなわち光源ランプ4とは反対の側)が凸面となっている。第2集光レンズ6Bは、入射側が凸面となっており、射出側が平面となっている。この集光レンズ群6は、楕円面鏡4Bの第2焦点(すなわち、回転カラーフィルタ5の近傍)にて収束された光束を、略平行光束として射出するものである。
【0025】
光強度均一化素子7は、集光レンズ群6から射出された光束の、当該光束断面内における強度分布を均一化する(すなわち、輝度むらを低減する)ものであり、上記の光軸1aに沿って配置された第1レンズアレイ7A及び第2レンズアレイ7Bから構成されている。第1レンズアレイ7A及び第2レンズアレイ7Bは、いずれも、上記の光軸1aに直交する面内に多数の微小レンズ要素を平面的に配列したものである。第1レンズアレイ7Aの各レンズ要素は、入射側が凸面となっており、射出側が平面となっている。第2レンズアレイ7Bの各レンズ要素は、入射側が平面となっており、射出側が凸面となっている。第1レンズアレイ7Aは、集光レンズ群6から射出された略平行光束を多数の光束に分割する。第2レンズアレイ7Bは、第1レンズアレイ7Aから入射した多数の分割光束を、DMD素子2上で互いに重なり合うように射出する。
【0026】
図2は、光強度均一化素子7のレンズアレイ7A,7Bの各レンズ要素を通過した光束の収束状態を模式的に示す図である。第1ミラー8及び第2ミラー9は、第1レンズアレイ7AとDMD素子2の被照明面2bとが光学的に共役な関係になるような反射面(凹面)を有している。すなわち、第1レンズアレイ7Aに形成される光源の像が、DMD素子2の被照明面2bの近傍に形成されるようになっている。第1レンズアレイ7Aの各レンズ要素の対角寸法をhとし、DMD素子2の被照明面2bの対角寸法をHとすると、第1ミラー8及び第2ミラー9の各凹面は、これらの合成結像倍率MがH/hとほぼ等しくなるように設計されている。
【0027】
DMD素子2は、各画素に対応する可動式のマイクロミラーを多数(例えば数十万個)平面的に配列したものであり、画像情報に応じて各マイクロミラーの傾角(チルト)を変化させるよう構成されている。マイクロミラーの配列された面を基準面とすると、DMD素子2は、各マイクロミラーを基準面に対して一定の方向に角度α(例えば12度)だけ傾けることにより、入射光束を投写光学系3に向けて反射する。DMD素子2は、また、各マイクロミラーを基準面に対して反対方向に角度αだけ傾けることにより、入射光束を、投写光学系3から離れた位置に設けられた光吸収板(図示せず)に向けて反射する。一般的なDMD素子の構成は、文献“L.H.Hornbeck,Prog.SPIE,vol.3013,pp.27―401997)”に開示されている。なお、反射型ライトバルブとしては、DMD素子2の代わりに、例えば反射型液晶表示素子を用いることができる。
【0028】
図3は、本実施の形態1に係る投写型表示装置を、図1におけるIII−III線に沿って矢視方向から見た図である。図4は、本実施の形態1に係る投写型表示装置について、図1におけるIV−IV線に沿って矢視方向から見た図である。DMD素子2は、光軸1aよりも上方に配置されている。投写光学系3は、鏡筒3c内に図示しないレンズ群を配置したものであり、その入射側開口部3bがDMD素子2に略対向している。投写光学系3のレンズ群の光軸3aは、DMD素子2の被照明面2bの中心を通る法線2aに対して平行で且つ所定量ずれている。
【0029】
第1ミラー8は、円筒凹面(図4参照)よりなる反射面8bを有しており、その反射面8bの中心が照明光学系1の光軸1a上に位置している。図1に示すように、第1ミラー8の反射面8bの中心を通る法線8aは、光軸1aに対して傾斜しており、これにより、当該反射面8bは、光強度均一化素子7から入射した光束を第2ミラー9に向けて反射するようになっている。
【0030】
第2ミラー9は、投写光学系3の下側に隣接して配置されている。第2ミラー9と投写光学系3の鏡筒3cとは、図3に円Aで示したように互いに干渉し合わない範囲で、できるだけ近接するように配置されている。第2ミラー9の向きは、その反射面9bの中心を通る法線9aと、DMD素子2の被照明面2bの中心を通る法線2aとが所定の角度θをなすように設定されている。このDMD素子2の反射面9bにより反射された光束は、DMD素子2の被照明面2bにて反射され、投写光学系3の入射側開口部3bに入射する。上記の法線2a,9aのなす角度θは、投写光学系3への入射角度が、この投写光学系3の光軸3aとできるだけ平行に近づくように設定される。この角度θの具体例については、後述する。
【0031】
なお、図1に示すように、DMD素子2から投写光学系3までの光束の進行方向は、光源ランプ4から第1ミラー8までの光束の進行方向に対し、上面視で直交するようになっている。また、DMD素子2の被照明面2bの法線2a及び投写光学系3の光軸3aは、いずれも、上面視では、光軸1aに対して直交している。
【0032】
図5は、投写光学系3のイメージサークル(すなわち、DMD素子2の被照明面と同一の面において、反射光束が投写光学系3に入射する範囲)を示す。投写光学系3の光軸3aとDMD素子2の被照明面2bの中心を通る法線2aとが偏心している(平行で且つずれている)ため、投写光学系3のイメージサークルの直径Ciは、DMD素子2の対角寸法Hより大きく形成されている。図5において、DMD素子2の長手方向の寸法をS、短手方向の寸法をT、投写光学系3の光軸3aとDMD素子2の被照明面2bの中心を通る法線2aとの間隔をDyとした時、投写光学系3のイメージサークルの直径をCiとすると、以下の式(1)により算出される。
【0033】
Ci=2×((S/2)2+(T/2+Dy)2)1/2 ・・・(1)
【0034】
式(1)は、上記の法線2aと光軸3aとの間隔Dyが大きいほど、イメージサークルの直径Ciが大きくなることを表している。一般に、投写光学系3のイメージサークルCiが大きくなるほど、投写光学系3の設計の難易度が増すため、上記の法線2aと光軸3aとの間隔Dyは、できるだけ小さいことが好ましい。
【0035】
本実施の形態1に係る投写型表示装置によれば、照明光束を、第1ミラー8及び第2ミラー9を用いてDMD素子2及び投写光学系3に入射させるようにしたので、第2ミラー9と投写光学系3とを互いに干渉しない範囲で近接配置することが可能になる。すなわち、投写光学系3や第2ミラー9に切り欠きを設ける必要がなくなる上、投写光学系3への入射角度を投写光学系3の光軸に対して平行に近づけることができる。これにより、照明光束の利用効率を向上することができる。
【0036】
特に、第2ミラー9を投写光学系3の下側に配置するようにしたので、投写型表示装置の小型化が容易になる。
【0037】
また、光源ランプ4から第1ミラー8までの光束の進行方向と、DMD素子2から投写光学系3までの光束の進行方向とが、上面視において直交するようにしたので、光源ランプ4、第1ミラー8、第2ミラー9、DMD素子2及び投写光学系3を、それぞれ光路を遮らないように配置することができる。
【0038】
更に、第1ミラー8を円筒凹面とし、第2ミラー9を凹球面としたので、光強度均一化素子7から射出された光束を、光量損失を生じることなくDMD素子2の被照明面2bに収束させることができ、照明光束の利用効率をより高くすることができる。また、光強度均一化素子7としてレンズアレイ7a,7bを用いることにより、照明光束の光束断面内における輝度のむらを抑制することができる。
【0039】
ここで、実施の形態1の変形例について説明する。この実施の形態1では、第1ミラー8の反射面8bを円筒凹面としたが、この第1ミラー8の反射面8bは平面であってもよい。この場合には、第2ミラー9の凹球面の曲率を適宜設定することにより、光強度均一化素子7からの光束をDMD素子2の被照明面2bに収束させることができる。平板ミラーは、円筒凹面ミラーに比べて安価であることから、投写型表示装置の製造コストを低減することができる。
【0040】
また、第1ミラー8の反射面8bまたは第2ミラー9の反射面9bを、凹状の非球面としても良い。この非球面は、以下に示す式(2)で表現される。
Z=cY2/{1−(1+K)c2Y2}1/2}+AY4+BY6+CY8+DY10・・・(2)
ここで、Zは光軸方向の距離、Yは光軸に垂直な方向への距離、cは中心曲率、Aは非球面多項式の4次の係数、Bは6次係数、Cは8次の係数、Dは10次の係数、Kはコーニック定数を示している。
【0041】
このような非球面レンズを用いることにより、各種の収差の発生を抑制し、良好な結像特性を得ることができる。
【0042】
また、光強度均一化素子7としては、上記のレンズアレイ7a,7bの代わりに、ガラスや樹脂等の透明材料よりなる四角柱状の部材(ロッド)を用いることもできる。この場合、ロッドを構成する透明材料と空気との界面における全反射作用により、光束断面内における強度が均一化される。このようなロッドを用いることにより、光強度均一化素子7の設計が容易になる。
【0043】
また、光強度均一化素子7としては、内面に反射面を設けた筒状部材(パイプ)を用いることもできる。この場合、パイプの内面での全反射により光束断面内における強度が均一化される。光強度均一化素子7としてレンズアレイやロッドを用いた場合には、光強度均一化素子7自体が入射光束により加熱されやすいのに対し、パイプを用いた場合にはこのような加熱が生じにくいため、冷却および保持が簡単になる。
【0044】
【実施例】
次に、本実施の形態1における具体的な実施例について説明する。
【0045】
(実施例1〜6)
実施例1〜6として、上記の法線2a,9aのなす角度θを6通りに変え、DMD素子2への到達光量及び投写光学系3への入射光量をそれぞれ測定した。なお、DMD素子2への到達光量は被照明面2bにて測定し、投写光学系3への入射光量は入射側開口部3bにて測定した。法線2a,9aのなす角度θの変更は、第2ミラー9の取り付け角度の調節により行った。法線2aと光軸3aとの間隔Dyの変更は、角度θに応じて、投写光学系3の鏡筒3cの取り付け位置の調節により行った。DMD素子2のマイクロミラー2mの傾角α(図3)は12度とし、DMD素子2の被照明面2bの長手方向の寸法Sは17.51mmとし、短手方向の寸法Tは9.85mmとした。
【0046】
実施例1〜6について、法線2a,9aのなす角度θ、法線2aと光軸3aとの間隔Dy、測定されたDMD素子2への到達光量Pdmd、投写光学系3への到達光量Ppu、これらの比Ppu/Pdmdを表1に示す。なお、表1において、法線2a,9aのなす角度θは、DMD素子2のマイクロミラーの傾角α(12度)に対する比として表す。また、法線2aと光軸3aとの間隔Dyは、DMD素子2の被照明面2bの短手方向の寸法Tとの比として現す。光量Pdmd,Ppは、いずれも光源ランプ4からの射出光量を1とした場合の相対値で表す。
【0047】
【表1】
【0048】
表2に、上記実施例1〜6において用いた第1ミラー8及び第2ミラー9の各反射面についての数値例を示す。表2において、R1,R2は、第1ミラー8及び第2ミラー9の各反射面8b,9bの曲率を表す。Fnoは照明光学系1および投写光学系3のFナンバーである。fは、第1ミラー8及び第2ミラー9の合成焦点距離である。
【0049】
【表2】
【0050】
表1に示すように、上記の法線2a,9aのなす角度θが1.15×α〜1.27×αの範囲にある実施例2,3,4,5において、光量比Ppu/Pdmdが0.9以上となっている。照明光束の実用上好ましい利用効率が得られる光量比は0.9以上であることが知られており、これら実施例2〜5では、この条件を満たしていることがわかる。このことから、良好な照明光束の利用効率が得られる角度θの範囲は、以下の式(3)により表される。
1.15×α≦θ≦1.27×α ・・・(3)
【0051】
上記の法線2a,9aのなす角度θが式(3)で表される範囲にあるときに良好な結果が得られるのは、このような範囲であれば、第2ミラー9と投写光学系3とを互いに干渉しないように配置して投写光学系3等に切り欠きを形成する必要を無くすことができること、及び、投写光学系3への入射光束を当該投写光学系3の光軸3aに対して平行に近い角度にすることができることによる。
【0052】
さらに、上記の法線2a,9aのなす角度θが式(3)の範囲内にあれば、投写光学系3の光軸3aとDMD素子2の被照明面2bの中心を通る法線2aとの距離Dyが比較的小さくて済むため、投写光学系3のイメージサークルを大きく設計する必要がなくなり、投写光学系3の設計を簡易化することもできる。
【0053】
なお、上記の法線2a,9aのなす角θを1.27×αよりも大きくした実施例6において、実施例2〜5よりも光量比Ppu/Pdmdが小さくなった理由は、投写光学系3への入射角度の光軸3aに対する傾きが比較的大きくなったことにより、投写光学系3への入射光量に損失が生じたためである。
【0054】
<比較例>
次に、比較例として、図6に示したように、DMD素子2の被照明面2bの中心を通る法線2aと、投写光学系3の光軸3aとを一致させた場合の測定結果について説明する。ここでは、DMD素子2が、その被照明面2bの法線2aと同一方向に光線を反射するように構成している。すなわち、被照明面2bの法線2aと投写光学系9の法線9aとのなす角θが、DMD素子2のマイクロミラー2mの傾角αと略等しくなるようにしている。この場合、図6に円Bで囲んで示すように、第2ミラー9が投写光学系3の鏡筒3cに対して干渉する(あるいは、第2ミラー9が投写光学系3への入射光束の一部を遮る)ため、第2ミラー9又は投写光学系3の一部を切り欠く必要がある。このような比較例につき、実施例1〜6と同様に、光量Pdmd,Ppu及び光量比Ppu/Pdmdを測定した。その結果を、表1に合わせて示す。
【0055】
表1に示すように、この比較例においては、実施例1〜6よりもPpu/Pdmdの値が小さくなっている。これは、第2ミラー9の一部を切り欠いたことにより、投写光学系3の入射側開口部4bに到達する光量の損失が発生したことによるものである。
【0056】
<実施例7>
次に、上述した実施の形態1の変形例に係る実施例について説明する。上述した実施の形態1においては、第1ミラー8の反射面8bを円筒凹面としたが、この第1ミラー8の反射面8bは、平面とすることもできる。実施例7として、第1ミラー8の反射面8bを平面とすると共に、第2ミラー9の反射面9bの曲率を上記実施例1〜6(表2)と異ならせた場合における、光量Pdmd,Ppu及び光量比Ppu/Pdmdの測定結果を示す。なお、第1ミラー8及び第2ミラー9の反射面8b,9b以外の条件は、実施例1〜6と同様とした。また、上記の法線2a,9aのなす角度θ及び法線2aと光軸3aとの間隔Dyは、実施例3と同様とした。
【0057】
【表3】
【0058】
表3においては、表1に示した実施例3に比べて、光量比Ppu/Pdmdが若干減少しているものの、0.9より大きな値が得られており、良好な照明光束の利用効率が得られていることがわかる。
【0059】
上述した実施の形態は、反射型ライトバルブとしてDMD素子を用いたものとして説明したが、本発明は、DMD素子の代わりに反射型液晶表示素子を用いた投写型表示装置についても同様に適用することができる。
【0060】
また、上述した実施の形態の説明において、投写型表示装置に関して「上」、「下」と説明したが、本発明は、図示の投写型表示装置をどのような向きに置いても適用できる。この場合、例えば、「第2ミラー9が、投写光学系3の鏡筒3cの下側に配置されている」との説明は、「第2ミラー9が、投写光学系3の鏡筒3cに対し、照明光学系1の光軸1a及び投写光学系3の光軸3aの双方に対して略垂直な方向にずれた位置に配置されている」と一般化して解すべきである。
【0061】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
【0062】
請求項1に記載の発明によれば、照明光学系の照明光束を、第1ミラー及び第2ミラーを用いて反射型ライトバルブ及び投写光学系に入射させるよう構成し、さらに、マイクロミラーの被照射面の法線と第2ミラーの反射面の中心を通る法線とのなす角θを1.15×α≦θ≦1.27×αの範囲内とすることにより、第2ミラーと投写光学系とを互いに干渉しない範囲で近接配置することが可能になり、その結果、投写光学系等に切り欠きを設けることなく、投写光学系への入射光束を投写光学系の光軸に対して平行に近い角度にすることができる。これにより、照明光束の利用効率を、実用上好ましい範囲まで向上することができる。また、投写光学系の光軸と反射型ライトバルブの被照明面の中心を通る法線との距離が比較的小さくなるため、投写光学系の設計が容易になる。
【0063】
請求項2に記載の発明によれば、第2ミラーを、投写光学系の鏡筒に対し、照明光学系の光軸及び投写光学系の光軸の双方に垂直な方向にずれた位置に配置するようにしたので、投写型表示装置の小型化が容易になる。
【0064】
請求項3に記載の発明によれば、光強度均一化素子から第1ミラーまでの光束の進行方向と、反射型ライトバルブから投写光学系までの光束の進行方向とが、上面視において直交するようにしたので、光源、第1ミラー、第2ミラー、反射型ライトバルブ及び投写光学系を、それぞれ光路を遮らないように配置することができる。
【0065】
請求項4及び7に記載の発明によれば、第1ミラーの反射面を円筒凹面とし、また、第2ミラーの反射面を凹状の球面としたので、照明光束の利用効率の高い投写型表示装置が得られる。
【0066】
請求項5に記載の発明によれば、第1ミラーの反射面を平面としたので、低コストで照明光束の利用効率の高い投写型表示装置が得られる。
【0067】
請求項6及び8に記載の発明によれば、第1ミラーの反射面を凹状の非球面とし、また、第2ミラーの反射面を凹状の非球面としたので、各種の収差の発生を抑えて、良好な結像特性を実現することができる。
【0068】
請求項9に記載の発明によれば、光強度均一化素子を、複数のレンズ要素を平面的に配列したレンズアレイにより構成したので、照明光束の断面内の強度分布を均一にし、輝度むらを抑えることが可能になる。
【0069】
請求項10に記載の発明によれば、光強度均一化素子を、透明材料よりなる四角柱状の部材により構成したので、光強度均一化素子の設計が容易になる。
【0070】
請求項11に記載の発明によれば、光強度均一化素子を、管状部材により構成したので、入射光束による素子自身の加熱が生じにくくなり、光強度均一化素子の冷却および保持が簡単になる。
【0071】
請求項12に記載の発明によれば、光源と集光レンズ群の間に回転カラーフィルタを配置したので、コンパクトな構成でカラー画像を表示することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る投写型表示装置を概略的に示す構成図である。
【図2】本実施の形態1の光強度均一化素子、およびDMD素子の関係を概念的に示す図である。
【図3】本実施の形態1に係る投写型表示装置の図1における線分III−IIIにおける矢視方向の側面図である。
【図4】本実施の形態1に係る投写型表示装置の図1における線分IV−IVにおける矢視方向の側面図である。
【図5】本実施の形態1における、投写光学系のイメージサークルを概念的に示す図である。
【図6】本実施の形態1に対する比較例を説明するための図である。
【図7】従来の投写型表示装置の基本構成を示す図である。
【符号の説明】
1 照明光学系、 2 DMD素子、 3 投写光学系、 4 ランプ、 5 カラーフィルタ、 6 集光レンズ群、 7 光強度均一化素子、 8 第1ミラー、 9 第2ミラー。
【請求項1】光源を含む照明光学系と、
前記照明光学系によって照明される被照射面をなすよう同一面上に配列された複数のマイクロミラーを有し、各マイクロミラーの傾角を変化させることにより照明光束の反射角度を変化させて画像を形成する反射型ライトバルブと、
前記反射型ライトバルブにより形成された画像を投写する投写光学系と、
を備え、
前記照明光学系が、
前記光源から射出された光束を集光させる集光レンズ群と、
前記集光レンズ群から射出された光束の当該光束断面内における強度分布を均一化する光強度均一化素子と、
前記光強度均一化素子から射出された光束の進行方向に配置された第1ミラーと、
前記投写光学系に隣接して配置された第2ミラーと、
をさらに備え、
前記第1ミラーが、前記光強度均一化素子からの光束を前記第2ミラーに向けて反射し、前記第2ミラーが、前記第1ミラーからの光束を前記反射型ライトバルブに向けて反射し、
前記反射型ライトバルブの各マイクロミラーが前記照明光束を前記投射光学系に向けて反射するときの各マイクロミラーの前記被照射面に対する傾角をαとすると、前記被照射面の法線と、前記第2ミラーの反射面の中心を通る法線とのなす角θが、
1.15×α≦θ≦1.27×α
の範囲にあることを特徴とする投写型表示装置。
【請求項2】前記第2ミラーが、前記投写光学系の鏡筒に対し、前記照明光学系の光軸及び前記投写光学系の光軸の双方に略垂直な方向にずれた位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の投写型表示装置。
【請求項3】前記光強度均一化素子から前記第1ミラーまでの光束の進行方向と、前記反射型ライトバルブから前記投写光学系までの光束の進行方向とが、上面視で略直交していることを特徴とする請求項1又は2に記載の投写型表示装置。
【請求項4】前記第1ミラーの反射面が円筒凹面であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の投写型表示装置。
【請求項5】前記第1ミラーの反射面が平面であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の投写型表示装置。
【請求項6】前記第1ミラーの反射面が凹状の非球面であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の投写型表示装置。
【請求項7】前記第2ミラーの反射面が凹状の球面であることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の投写型表示装置。
【請求項8】前記第2ミラーの反射面が凹状の非球面であることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の投写型表示装置。
【請求項9】前記光強度均一化素子は、複数のレンズ要素を平面的に配列したレンズアレイであることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の投写型表示装置。
【請求項10】前記光強度均一化素子は、透明材料よりなる四角柱状の部材であり、内部で光束を反射するよう構成されていることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の投写型表示装置。
【請求項11】前記光強度均一化素子は、管状部材であって、その内面で光束を反射するよう構成されていることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の投写型表示装置。
【請求項12】前記光源と前記集光レンズ群との間に、回転カラーフィルタを配置したことを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の投写型表示装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、スクリーン上に画像を投写する投写型表示装置に関し、より詳細には、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DigitalMicro―mirrorDevice:以下、DMDと略する。)や反射型液晶表示素子等により構成された反射型ライトバルブを用いた投写型表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7は、特開平10−301057号公報等に開示された従来の投写型表示装置の基本構成を示す図である。図7に示す従来の投写型表示装置は、反射型の液晶表示素子95と、この液晶表示素子95を照明する照明光学系90と、照明光学系90により照明された液晶表示素子95の画像をスクリーン(図示せず)に投写する投写光学系96とを備えている。照明光学系90は、光源ランプ91と、この光源ランプ91の周囲に設けられた反射鏡92と、光束の強度分布を均一化するプリズム93とを有している。液晶表示素子95の表面には、入射光束及び反射光束を略平行光束にするためのコリメータレンズ94が取り付けられている。光源ランプ91から射出された光束は、楕円面鏡92、プリズム93及びコリメータレンズ94を介して液晶表示素子95に入射する。液晶表示素子95において反射した光束は、投写光学系96を通過して、図示しないスクリーンに照射される。
【0003】
照明光束を有効利用する(すなわち、より少ないエネルギー消費量でスクリーンへの照射光量を増加させる)ためには、投写光学系96への入射光束は、投写光学系96の光軸99にできるだけ平行に入射することが好ましい。そのためには、照明光学系90からの射出光束(照明光束)は、液晶表示素子95の被照明面に対して直角に近い角度で入射することが好ましい。そのため、従来より、光源ランプ91は、投写光学系96に近接して配置されている。また、光源ランプ91の周囲の楕円面鏡92と鏡筒97との物理的な干渉を回避するため、投写光学系96の鏡筒97の一部98を切り欠いている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の投写型表示装置では、投写光学系96の鏡筒97の一部98を切り欠いている構成のため、光源ランプ90から射出された光束の一部が鏡筒97に遮られてしまい、照明光束の利用効率が低下するという問題があった。
【0005】
また、上述したように光源ランプ91を投写光学系96に近接配置する代わりに、TIR(全反射)プリズムもしくはPBS(偏光ビームスプリッタ)プリズムを用いることも考えられるが、これらTIRプリズム及びPBSプリズムは高価であることから、装置の製造コストが上昇するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、製造コストの上昇を伴うことなく、簡単な構成で、照明光束の利用効率を向上する投写型表示装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る投写型表示装置は、光源を含む照明光学系と、前記照明光学系によって照明される被照射面をなすよう同一面上に配列された複数のマイクロミラーを有し、各マイクロミラーの傾角を変化させることにより照明光束の反射角度を変化させ、画像を形成する反射型ライトバルブと、前記反射型ライトバルブにより形成された画像を投写する投写光学系とを備えて構成されている。前記照明光学系は、前記光源から射出された光束を集光させる集光レンズ群と、前記集光レンズ群から射出された光束の当該光束断面内における強度分布を均一化する光強度均一化素子と、前記光強度均一化素子から射出された光束の進行方向に配置された第1ミラーと、前記投写光学系に隣接して配置された第2ミラーとを備えている。前記第1ミラーは、前記光強度均一化素子からの光束を前記第2ミラーに向けて反射し、前記第2ミラーは、前記第1ミラーからの光束を前記反射型ライトバルブに向けて反射する。前記反射型ライトバルブの各マイクロミラーが前記照明光束を前記投射光学系に向けて反射するときの各マイクロミラーの前記被照射面に対する傾角をαとすると、前記被照射面の法線と、前記第2ミラーの反射面の中心を通る法線とのなす角θは、1.15×α≦θ≦1.27×αの範囲にある。
【0008】
請求項2に係る投写型表示装置は、前記第2ミラーを、前記投写光学系の鏡筒に対し、前記照明光学系の光軸及び前記投写光学系の光軸の双方に略垂直な方向にずれた位置に配置したものである。
【0009】
請求項3に係る投写型表示装置は、前記光強度均一化素子から前記第1ミラーまでの光束の進行方向と、前記反射型ライトバルブから前記投写光学系までの光束の進行方向とが、上面視で直交するようにしたものである。
【0010】
請求項4に係る投写型表示装置は、前記第1ミラーの反射面を円筒凹面としたものである。
【0011】
また、請求項5に係る投写型表示装置は、前記第1ミラーの反射面を平面としたものである。
【0012】
また、請求項6に係る投写型表示装置は、前記第1ミラーの反射面を凹状の非球面としたものである。
【0013】
また、請求項7に係る投写型表示装置は、前記第2ミラーの反射面を凹状の球面としたものである。
【0014】
また、請求項8に係る投写型表示装置は、前記第2ミラーの反射面を凹状の非球面としたものである。
【0015】
また、請求項9に係る投写型表示装置は、前記光強度均一化素子を、複数のレンズ要素を平面的に配列したレンズアレイにより構成したものである。
【0016】
また、請求項10に係る投写型表示装置は、前記光強度均一化素子を、透明材料よりなる四角柱状の部材により構成し、その部材の内部で光束を反射する構成したものである。
【0017】
また、請求項11に係る投写型表示装置は、前記光強度均一化素子を、管状部材であって、その内面で光束を反射するよう構成したものである。
【0018】
また、請求項12に係る投写型表示装置は、前記光源と前記集光レンズ群との間に、回転カラーフィルタを配置したものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る投写型表示装置の基本構成を示す平面図である。なお、この図1に示す投写型表示装置の各構成部品の配置は、投写型表示装置を実際の使用状態において上方から見た配置、すなわち上面視における配置である。投写型表示装置は、反射型ライトバルブとしてのDMD素子2と、DMD素子2を照明する照明光学系1と、照明光学系1により照明されたDMD素子2の画像を図示しないスクリーンに投写する投写光学系3とを備えている。
【0020】
照明光学系1は、光源ランプ4と、この光源ランプ4から射出された光束のうち特定の波長帯域の光束を通過させる回転カラーフィルタ5と、回転カラーフィルタ5を通過した光束を集光する集光レンズ群6と、集光レンズ群6を通過した光束の当該光束断面内における強度分布を均一化する光強度均一化素子7と、光強度均一化素子7から射出された光束をDMD素子2に向けて反射する第1ミラー8及び第2ミラー9とを有している。
【0021】
光源ランプ4は、例えば白色光を射出する発光体4Aと、この発光体4Aの周囲に設けられた楕円面鏡4Bとから構成されている。楕円面鏡4Bは、楕円の第1中心に対応する第1焦点から射出された光束を反射して、楕円の第2中心に対応する第2焦点に収束させるものである。発光体4Aは、楕円面鏡4Bの第1焦点の近傍に配置されており、この発光体4Aから射出された光束は、楕円鏡4Bの第2焦点の近傍に収束される。楕円鏡4Bの第1焦点と第2焦点とを通る軸線により、照明光学系1の光軸1aが規定される。
【0022】
なお、光源ランプ4は、図1に示した構成に限られず、例えば楕円面鏡4Bに代えて放物面鏡を用いてもよい。この場合には、発光体4Aから射出された光束を放物面鏡により略平行化したのち、コンデンサレンズにより収束させることができる。
【0023】
回転カラーフィルタ5は、円板状の部材を例えば扇状に3分割して、それぞれ赤、緑及び青の3つのフィルタ領域としたものである。赤、緑及び青の3つのフィルタ領域は、それぞれ、赤色、緑色及び青色の各波長帯域に対応する光束のみを透過するものである。回転カラーフィルタ5は、上記の光軸1aと平行な軸線5aを中心として回転し、それぞれのフィルタ領域が光源ランプ4の光軸1a上で且つ楕円面鏡4Bの第2焦点の近傍に順に位置するように構成されている。この回転カラーフィルタ5を画像信号に同期して回転させることにより、赤色光、緑色光及び青色光が順に(フィールドシーケンシャルに)反射型ライトバルブ2に照射される。
【0024】
集光レンズ群6は、上記の光軸1aに沿って配置された第1集光レンズ6A及び第2集光レンズ6Bにより構成されている。第1集光レンズ6Aは、入射側(すなわち光源ランプ4側)が平面となっており、射出側(すなわち光源ランプ4とは反対の側)が凸面となっている。第2集光レンズ6Bは、入射側が凸面となっており、射出側が平面となっている。この集光レンズ群6は、楕円面鏡4Bの第2焦点(すなわち、回転カラーフィルタ5の近傍)にて収束された光束を、略平行光束として射出するものである。
【0025】
光強度均一化素子7は、集光レンズ群6から射出された光束の、当該光束断面内における強度分布を均一化する(すなわち、輝度むらを低減する)ものであり、上記の光軸1aに沿って配置された第1レンズアレイ7A及び第2レンズアレイ7Bから構成されている。第1レンズアレイ7A及び第2レンズアレイ7Bは、いずれも、上記の光軸1aに直交する面内に多数の微小レンズ要素を平面的に配列したものである。第1レンズアレイ7Aの各レンズ要素は、入射側が凸面となっており、射出側が平面となっている。第2レンズアレイ7Bの各レンズ要素は、入射側が平面となっており、射出側が凸面となっている。第1レンズアレイ7Aは、集光レンズ群6から射出された略平行光束を多数の光束に分割する。第2レンズアレイ7Bは、第1レンズアレイ7Aから入射した多数の分割光束を、DMD素子2上で互いに重なり合うように射出する。
【0026】
図2は、光強度均一化素子7のレンズアレイ7A,7Bの各レンズ要素を通過した光束の収束状態を模式的に示す図である。第1ミラー8及び第2ミラー9は、第1レンズアレイ7AとDMD素子2の被照明面2bとが光学的に共役な関係になるような反射面(凹面)を有している。すなわち、第1レンズアレイ7Aに形成される光源の像が、DMD素子2の被照明面2bの近傍に形成されるようになっている。第1レンズアレイ7Aの各レンズ要素の対角寸法をhとし、DMD素子2の被照明面2bの対角寸法をHとすると、第1ミラー8及び第2ミラー9の各凹面は、これらの合成結像倍率MがH/hとほぼ等しくなるように設計されている。
【0027】
DMD素子2は、各画素に対応する可動式のマイクロミラーを多数(例えば数十万個)平面的に配列したものであり、画像情報に応じて各マイクロミラーの傾角(チルト)を変化させるよう構成されている。マイクロミラーの配列された面を基準面とすると、DMD素子2は、各マイクロミラーを基準面に対して一定の方向に角度α(例えば12度)だけ傾けることにより、入射光束を投写光学系3に向けて反射する。DMD素子2は、また、各マイクロミラーを基準面に対して反対方向に角度αだけ傾けることにより、入射光束を、投写光学系3から離れた位置に設けられた光吸収板(図示せず)に向けて反射する。一般的なDMD素子の構成は、文献“L.H.Hornbeck,Prog.SPIE,vol.3013,pp.27―401997)”に開示されている。なお、反射型ライトバルブとしては、DMD素子2の代わりに、例えば反射型液晶表示素子を用いることができる。
【0028】
図3は、本実施の形態1に係る投写型表示装置を、図1におけるIII−III線に沿って矢視方向から見た図である。図4は、本実施の形態1に係る投写型表示装置について、図1におけるIV−IV線に沿って矢視方向から見た図である。DMD素子2は、光軸1aよりも上方に配置されている。投写光学系3は、鏡筒3c内に図示しないレンズ群を配置したものであり、その入射側開口部3bがDMD素子2に略対向している。投写光学系3のレンズ群の光軸3aは、DMD素子2の被照明面2bの中心を通る法線2aに対して平行で且つ所定量ずれている。
【0029】
第1ミラー8は、円筒凹面(図4参照)よりなる反射面8bを有しており、その反射面8bの中心が照明光学系1の光軸1a上に位置している。図1に示すように、第1ミラー8の反射面8bの中心を通る法線8aは、光軸1aに対して傾斜しており、これにより、当該反射面8bは、光強度均一化素子7から入射した光束を第2ミラー9に向けて反射するようになっている。
【0030】
第2ミラー9は、投写光学系3の下側に隣接して配置されている。第2ミラー9と投写光学系3の鏡筒3cとは、図3に円Aで示したように互いに干渉し合わない範囲で、できるだけ近接するように配置されている。第2ミラー9の向きは、その反射面9bの中心を通る法線9aと、DMD素子2の被照明面2bの中心を通る法線2aとが所定の角度θをなすように設定されている。このDMD素子2の反射面9bにより反射された光束は、DMD素子2の被照明面2bにて反射され、投写光学系3の入射側開口部3bに入射する。上記の法線2a,9aのなす角度θは、投写光学系3への入射角度が、この投写光学系3の光軸3aとできるだけ平行に近づくように設定される。この角度θの具体例については、後述する。
【0031】
なお、図1に示すように、DMD素子2から投写光学系3までの光束の進行方向は、光源ランプ4から第1ミラー8までの光束の進行方向に対し、上面視で直交するようになっている。また、DMD素子2の被照明面2bの法線2a及び投写光学系3の光軸3aは、いずれも、上面視では、光軸1aに対して直交している。
【0032】
図5は、投写光学系3のイメージサークル(すなわち、DMD素子2の被照明面と同一の面において、反射光束が投写光学系3に入射する範囲)を示す。投写光学系3の光軸3aとDMD素子2の被照明面2bの中心を通る法線2aとが偏心している(平行で且つずれている)ため、投写光学系3のイメージサークルの直径Ciは、DMD素子2の対角寸法Hより大きく形成されている。図5において、DMD素子2の長手方向の寸法をS、短手方向の寸法をT、投写光学系3の光軸3aとDMD素子2の被照明面2bの中心を通る法線2aとの間隔をDyとした時、投写光学系3のイメージサークルの直径をCiとすると、以下の式(1)により算出される。
【0033】
Ci=2×((S/2)2+(T/2+Dy)2)1/2 ・・・(1)
【0034】
式(1)は、上記の法線2aと光軸3aとの間隔Dyが大きいほど、イメージサークルの直径Ciが大きくなることを表している。一般に、投写光学系3のイメージサークルCiが大きくなるほど、投写光学系3の設計の難易度が増すため、上記の法線2aと光軸3aとの間隔Dyは、できるだけ小さいことが好ましい。
【0035】
本実施の形態1に係る投写型表示装置によれば、照明光束を、第1ミラー8及び第2ミラー9を用いてDMD素子2及び投写光学系3に入射させるようにしたので、第2ミラー9と投写光学系3とを互いに干渉しない範囲で近接配置することが可能になる。すなわち、投写光学系3や第2ミラー9に切り欠きを設ける必要がなくなる上、投写光学系3への入射角度を投写光学系3の光軸に対して平行に近づけることができる。これにより、照明光束の利用効率を向上することができる。
【0036】
特に、第2ミラー9を投写光学系3の下側に配置するようにしたので、投写型表示装置の小型化が容易になる。
【0037】
また、光源ランプ4から第1ミラー8までの光束の進行方向と、DMD素子2から投写光学系3までの光束の進行方向とが、上面視において直交するようにしたので、光源ランプ4、第1ミラー8、第2ミラー9、DMD素子2及び投写光学系3を、それぞれ光路を遮らないように配置することができる。
【0038】
更に、第1ミラー8を円筒凹面とし、第2ミラー9を凹球面としたので、光強度均一化素子7から射出された光束を、光量損失を生じることなくDMD素子2の被照明面2bに収束させることができ、照明光束の利用効率をより高くすることができる。また、光強度均一化素子7としてレンズアレイ7a,7bを用いることにより、照明光束の光束断面内における輝度のむらを抑制することができる。
【0039】
ここで、実施の形態1の変形例について説明する。この実施の形態1では、第1ミラー8の反射面8bを円筒凹面としたが、この第1ミラー8の反射面8bは平面であってもよい。この場合には、第2ミラー9の凹球面の曲率を適宜設定することにより、光強度均一化素子7からの光束をDMD素子2の被照明面2bに収束させることができる。平板ミラーは、円筒凹面ミラーに比べて安価であることから、投写型表示装置の製造コストを低減することができる。
【0040】
また、第1ミラー8の反射面8bまたは第2ミラー9の反射面9bを、凹状の非球面としても良い。この非球面は、以下に示す式(2)で表現される。
Z=cY2/{1−(1+K)c2Y2}1/2}+AY4+BY6+CY8+DY10・・・(2)
ここで、Zは光軸方向の距離、Yは光軸に垂直な方向への距離、cは中心曲率、Aは非球面多項式の4次の係数、Bは6次係数、Cは8次の係数、Dは10次の係数、Kはコーニック定数を示している。
【0041】
このような非球面レンズを用いることにより、各種の収差の発生を抑制し、良好な結像特性を得ることができる。
【0042】
また、光強度均一化素子7としては、上記のレンズアレイ7a,7bの代わりに、ガラスや樹脂等の透明材料よりなる四角柱状の部材(ロッド)を用いることもできる。この場合、ロッドを構成する透明材料と空気との界面における全反射作用により、光束断面内における強度が均一化される。このようなロッドを用いることにより、光強度均一化素子7の設計が容易になる。
【0043】
また、光強度均一化素子7としては、内面に反射面を設けた筒状部材(パイプ)を用いることもできる。この場合、パイプの内面での全反射により光束断面内における強度が均一化される。光強度均一化素子7としてレンズアレイやロッドを用いた場合には、光強度均一化素子7自体が入射光束により加熱されやすいのに対し、パイプを用いた場合にはこのような加熱が生じにくいため、冷却および保持が簡単になる。
【0044】
【実施例】
次に、本実施の形態1における具体的な実施例について説明する。
【0045】
(実施例1〜6)
実施例1〜6として、上記の法線2a,9aのなす角度θを6通りに変え、DMD素子2への到達光量及び投写光学系3への入射光量をそれぞれ測定した。なお、DMD素子2への到達光量は被照明面2bにて測定し、投写光学系3への入射光量は入射側開口部3bにて測定した。法線2a,9aのなす角度θの変更は、第2ミラー9の取り付け角度の調節により行った。法線2aと光軸3aとの間隔Dyの変更は、角度θに応じて、投写光学系3の鏡筒3cの取り付け位置の調節により行った。DMD素子2のマイクロミラー2mの傾角α(図3)は12度とし、DMD素子2の被照明面2bの長手方向の寸法Sは17.51mmとし、短手方向の寸法Tは9.85mmとした。
【0046】
実施例1〜6について、法線2a,9aのなす角度θ、法線2aと光軸3aとの間隔Dy、測定されたDMD素子2への到達光量Pdmd、投写光学系3への到達光量Ppu、これらの比Ppu/Pdmdを表1に示す。なお、表1において、法線2a,9aのなす角度θは、DMD素子2のマイクロミラーの傾角α(12度)に対する比として表す。また、法線2aと光軸3aとの間隔Dyは、DMD素子2の被照明面2bの短手方向の寸法Tとの比として現す。光量Pdmd,Ppは、いずれも光源ランプ4からの射出光量を1とした場合の相対値で表す。
【0047】
【表1】
【0048】
表2に、上記実施例1〜6において用いた第1ミラー8及び第2ミラー9の各反射面についての数値例を示す。表2において、R1,R2は、第1ミラー8及び第2ミラー9の各反射面8b,9bの曲率を表す。Fnoは照明光学系1および投写光学系3のFナンバーである。fは、第1ミラー8及び第2ミラー9の合成焦点距離である。
【0049】
【表2】
【0050】
表1に示すように、上記の法線2a,9aのなす角度θが1.15×α〜1.27×αの範囲にある実施例2,3,4,5において、光量比Ppu/Pdmdが0.9以上となっている。照明光束の実用上好ましい利用効率が得られる光量比は0.9以上であることが知られており、これら実施例2〜5では、この条件を満たしていることがわかる。このことから、良好な照明光束の利用効率が得られる角度θの範囲は、以下の式(3)により表される。
1.15×α≦θ≦1.27×α ・・・(3)
【0051】
上記の法線2a,9aのなす角度θが式(3)で表される範囲にあるときに良好な結果が得られるのは、このような範囲であれば、第2ミラー9と投写光学系3とを互いに干渉しないように配置して投写光学系3等に切り欠きを形成する必要を無くすことができること、及び、投写光学系3への入射光束を当該投写光学系3の光軸3aに対して平行に近い角度にすることができることによる。
【0052】
さらに、上記の法線2a,9aのなす角度θが式(3)の範囲内にあれば、投写光学系3の光軸3aとDMD素子2の被照明面2bの中心を通る法線2aとの距離Dyが比較的小さくて済むため、投写光学系3のイメージサークルを大きく設計する必要がなくなり、投写光学系3の設計を簡易化することもできる。
【0053】
なお、上記の法線2a,9aのなす角θを1.27×αよりも大きくした実施例6において、実施例2〜5よりも光量比Ppu/Pdmdが小さくなった理由は、投写光学系3への入射角度の光軸3aに対する傾きが比較的大きくなったことにより、投写光学系3への入射光量に損失が生じたためである。
【0054】
<比較例>
次に、比較例として、図6に示したように、DMD素子2の被照明面2bの中心を通る法線2aと、投写光学系3の光軸3aとを一致させた場合の測定結果について説明する。ここでは、DMD素子2が、その被照明面2bの法線2aと同一方向に光線を反射するように構成している。すなわち、被照明面2bの法線2aと投写光学系9の法線9aとのなす角θが、DMD素子2のマイクロミラー2mの傾角αと略等しくなるようにしている。この場合、図6に円Bで囲んで示すように、第2ミラー9が投写光学系3の鏡筒3cに対して干渉する(あるいは、第2ミラー9が投写光学系3への入射光束の一部を遮る)ため、第2ミラー9又は投写光学系3の一部を切り欠く必要がある。このような比較例につき、実施例1〜6と同様に、光量Pdmd,Ppu及び光量比Ppu/Pdmdを測定した。その結果を、表1に合わせて示す。
【0055】
表1に示すように、この比較例においては、実施例1〜6よりもPpu/Pdmdの値が小さくなっている。これは、第2ミラー9の一部を切り欠いたことにより、投写光学系3の入射側開口部4bに到達する光量の損失が発生したことによるものである。
【0056】
<実施例7>
次に、上述した実施の形態1の変形例に係る実施例について説明する。上述した実施の形態1においては、第1ミラー8の反射面8bを円筒凹面としたが、この第1ミラー8の反射面8bは、平面とすることもできる。実施例7として、第1ミラー8の反射面8bを平面とすると共に、第2ミラー9の反射面9bの曲率を上記実施例1〜6(表2)と異ならせた場合における、光量Pdmd,Ppu及び光量比Ppu/Pdmdの測定結果を示す。なお、第1ミラー8及び第2ミラー9の反射面8b,9b以外の条件は、実施例1〜6と同様とした。また、上記の法線2a,9aのなす角度θ及び法線2aと光軸3aとの間隔Dyは、実施例3と同様とした。
【0057】
【表3】
【0058】
表3においては、表1に示した実施例3に比べて、光量比Ppu/Pdmdが若干減少しているものの、0.9より大きな値が得られており、良好な照明光束の利用効率が得られていることがわかる。
【0059】
上述した実施の形態は、反射型ライトバルブとしてDMD素子を用いたものとして説明したが、本発明は、DMD素子の代わりに反射型液晶表示素子を用いた投写型表示装置についても同様に適用することができる。
【0060】
また、上述した実施の形態の説明において、投写型表示装置に関して「上」、「下」と説明したが、本発明は、図示の投写型表示装置をどのような向きに置いても適用できる。この場合、例えば、「第2ミラー9が、投写光学系3の鏡筒3cの下側に配置されている」との説明は、「第2ミラー9が、投写光学系3の鏡筒3cに対し、照明光学系1の光軸1a及び投写光学系3の光軸3aの双方に対して略垂直な方向にずれた位置に配置されている」と一般化して解すべきである。
【0061】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
【0062】
請求項1に記載の発明によれば、照明光学系の照明光束を、第1ミラー及び第2ミラーを用いて反射型ライトバルブ及び投写光学系に入射させるよう構成し、さらに、マイクロミラーの被照射面の法線と第2ミラーの反射面の中心を通る法線とのなす角θを1.15×α≦θ≦1.27×αの範囲内とすることにより、第2ミラーと投写光学系とを互いに干渉しない範囲で近接配置することが可能になり、その結果、投写光学系等に切り欠きを設けることなく、投写光学系への入射光束を投写光学系の光軸に対して平行に近い角度にすることができる。これにより、照明光束の利用効率を、実用上好ましい範囲まで向上することができる。また、投写光学系の光軸と反射型ライトバルブの被照明面の中心を通る法線との距離が比較的小さくなるため、投写光学系の設計が容易になる。
【0063】
請求項2に記載の発明によれば、第2ミラーを、投写光学系の鏡筒に対し、照明光学系の光軸及び投写光学系の光軸の双方に垂直な方向にずれた位置に配置するようにしたので、投写型表示装置の小型化が容易になる。
【0064】
請求項3に記載の発明によれば、光強度均一化素子から第1ミラーまでの光束の進行方向と、反射型ライトバルブから投写光学系までの光束の進行方向とが、上面視において直交するようにしたので、光源、第1ミラー、第2ミラー、反射型ライトバルブ及び投写光学系を、それぞれ光路を遮らないように配置することができる。
【0065】
請求項4及び7に記載の発明によれば、第1ミラーの反射面を円筒凹面とし、また、第2ミラーの反射面を凹状の球面としたので、照明光束の利用効率の高い投写型表示装置が得られる。
【0066】
請求項5に記載の発明によれば、第1ミラーの反射面を平面としたので、低コストで照明光束の利用効率の高い投写型表示装置が得られる。
【0067】
請求項6及び8に記載の発明によれば、第1ミラーの反射面を凹状の非球面とし、また、第2ミラーの反射面を凹状の非球面としたので、各種の収差の発生を抑えて、良好な結像特性を実現することができる。
【0068】
請求項9に記載の発明によれば、光強度均一化素子を、複数のレンズ要素を平面的に配列したレンズアレイにより構成したので、照明光束の断面内の強度分布を均一にし、輝度むらを抑えることが可能になる。
【0069】
請求項10に記載の発明によれば、光強度均一化素子を、透明材料よりなる四角柱状の部材により構成したので、光強度均一化素子の設計が容易になる。
【0070】
請求項11に記載の発明によれば、光強度均一化素子を、管状部材により構成したので、入射光束による素子自身の加熱が生じにくくなり、光強度均一化素子の冷却および保持が簡単になる。
【0071】
請求項12に記載の発明によれば、光源と集光レンズ群の間に回転カラーフィルタを配置したので、コンパクトな構成でカラー画像を表示することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る投写型表示装置を概略的に示す構成図である。
【図2】本実施の形態1の光強度均一化素子、およびDMD素子の関係を概念的に示す図である。
【図3】本実施の形態1に係る投写型表示装置の図1における線分III−IIIにおける矢視方向の側面図である。
【図4】本実施の形態1に係る投写型表示装置の図1における線分IV−IVにおける矢視方向の側面図である。
【図5】本実施の形態1における、投写光学系のイメージサークルを概念的に示す図である。
【図6】本実施の形態1に対する比較例を説明するための図である。
【図7】従来の投写型表示装置の基本構成を示す図である。
【符号の説明】
1 照明光学系、 2 DMD素子、 3 投写光学系、 4 ランプ、 5 カラーフィルタ、 6 集光レンズ群、 7 光強度均一化素子、 8 第1ミラー、 9 第2ミラー。
Claims (14)
- 光源を含む照明光学系と、
前記照明光学系によって照明される複数の画素を有し、各画素における照明光束の反射状態を変化させることで画像を形成する反射型ライトバルブと、
前記反射型ライトバルブにより形成された画像を投写する投写光学系と、
を備え、
前記照明光学系が、
前記光源から射出された光束を集光させる集光レンズ群と、
前記集光レンズ群から射出された光束の当該光束断面内における強度分布を均一化する光強度均一化素子と、
前記光強度均一化素子から射出された光束の進行方向に配置された第1ミラーと、
前記投写光学系に隣接して配置された第2ミラーと、
をさらに備え、
前記第1ミラーが、前記光強度均一化素子からの光束を前記第2ミラーに向けて反射し、前記第2ミラーが、前記第1ミラーからの光束を前記反射型ライトバルブに向けて反射することを特徴とする投写型表示装置。 - 前記第2ミラーと前記投写光学系の鏡筒とを互いに接触させることなく近接配置できるよう、前記第2ミラーの反射面の中心を通る法線と、前記反射型ライトバルブの被照明面の中心を通る法線とのなす角度が設定されていることを特徴とする請求項1に記載の投写型表示装置。
- 前記第2ミラーが、前記投写光学系の鏡筒に対し、前記照明光学系の光軸及び前記投写光学系の光軸の双方に略垂直な方向にずれた位置に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の投写型表示装置。
- 前記光強度均一化素子から前記第1ミラーまでの光束の進行方向と、前記反射型ライトバルブから前記投写光学系までの光束の進行方向とが、上面視で略直交していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の投写型表示装置。
- 前記第1ミラーの反射面が円筒凹面であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の投写型表示装置。
- 前記第1ミラーの反射面が平面であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の投写型表示装置。
- 前記第1ミラーの反射面が凹状の非球面であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の投写型表示装置。
- 前記第2ミラーの反射面が凹状の球面であることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の投写型表示装置。
- 前記第2ミラーの反射面が凹状の非球面であることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の投写型表示装置。
- 前記反射型ライトバルブの各画素を、反射面の傾角を変化させることができる可動マイクロミラーにより構成したことを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の投写型表示装置。
- 前記光強度均一化素子は、複数のレンズ要素を平面的に配列したレンズアレイであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の投写型表示装置。
- 前記光強度均一化素子は、透明材料よりなる四角柱状の部材であり、内部で光束を反射するよう構成されていることを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の投写型表示装置。
- 前記光強度均一化素子は、管状部材であって、その内面で光束を反射するよう構成されていることを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の投写型表示装置。
- 前記光源と前記集光レンズ群との間に、回転カラーフィルタを配置したことを特徴とする請求項1乃至13の何れかに記載の投写型表示装置。
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