JP2004028981A - 動的耐震性能診断方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】住宅に加振機20を配置して加振を行い、第1、第2の加速度検出器21、22の加速度検出信号と加振機の加振周波数との関係から住宅の固有周波数fh と、該固有周波数fh での加速度応答倍率τh とを求める。次に、建物の重量Wh 、固有周波数fh 、加速度応答倍率τh を用いてあらかじめ定められた第1の式に基づいて住宅の動的水平剛性Kを算出する。続いて、あらかじめ定められた第2の式に基づいて住宅に作用する地震力Qを算出する。算出された動的水平剛性Kからせん断力Kθを算出して算出されたせん断力Kθと地震力Qとを比較してKθ<Qの場合に補強の必要性ありと判別する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は建物、特に住宅家屋の耐震性能を診断する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、建物の建築に際しては耐震設計が施される。一般住宅家屋でも耐震構造に加えて、免震構造や減震構造を採用した建築が増えつつあるが、免震構造や減震構造は高価であることから、その増加率は新築住宅の増加率に比べればはるかい低い。
【0003】
想定される震度を考慮した耐震構造を採用する場合であっても、住宅が構築される地盤には一種、二種、三種の種別があり、その種別に応じた設計が必要である。しかしながら、このようにして設計された値はあくまでも一般式に基づく設計値であり、設計値が基準を満足していればまったく安全かと言えば、必ずしもそうであるとは言えない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような現状から、新築住宅の購買者には、購入した住宅が実際にどの程度の耐震性能を持つのかを知りたいという欲求がある。つまり、設計値に基づいて求められる耐震性能は、一般式に基づくものであって、実際の住宅構造や地盤状況を考慮したものではないので、あくまでも目安程度のものに過ぎないという心配があるからである。
【0005】
一方、耐震性能数値の取得欲求は新築住宅の購買者に限らず、現在住んでいる住宅、いわば中古住宅の所有者も同様であるが、設計値をそのまま当てはめて計算することは難しい。
【0006】
そこで、本発明の課題は、建物の耐震性能をより高い精度で得ることのできる動的耐震性能診断方法を提供することにある。
【0007】
本発明の他の課題は、新築の建物のみならず、中古の建物にも適用可能な動的耐震性能診断方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、地盤上に建てられた建物に第1の加速度検出器を備えた加振機を配置すると共に第2の加速度検出器を配置して加振を行い、前記第1、第2の加速度検出器の加速度検出信号と前記加振機の加振周波数との関係から前記建物の固有周波数fh と、該固有周波数fh での加速度応答倍率τh とを求めるステップと、あらかじめ知られている建物の重量Wh 、前記固有周波数fh 、前記加速度応答倍率τh を用いてあらかじめ定められた第1の式に基づいて建物の動的水平剛性Kを算出するステップと、あらかじめ定められた第2の式に基づいて建物に作用する地震力Qを算出するステップと、算出された動的水平剛性Kからせん断力Kθを算出して算出されたせん断力Kθと地震力Qとを比較してKθ<Qの場合に補強の必要性ありと判別するステップとを含むことを特徴とする動的耐震性能診断方法が提供される。
【0009】
本動的耐震性能診断方法においては、前記第1の式は、
K=[{(2π・fh )2 ・Wh /g}/τh ]・k(但し、gは重力の加速度980cm/sec2 、kは建物の建築年数、構造によりあらかじめ決められる1以下の係数)で与えられる。
【0010】
本動的耐震性能診断方法の第1の態様においては、前記第2の式は、
Q=Wh ・Ci (但し、Ci は地震層せん断力係数)
で与えられ、
Ci =Z・Rt ・Ai ・Co ・V(但し、Zは地域に応じてあらかじめ設定されている数値、Rt は前記地盤と建物の振動特性に応じて得られる数値、Ai は地震層せん断力係数の高さ方向分布数値、Co は標準せん断力係数、Vは建物の老朽度等の条件によりあらかじめ決められる定数)で与えられる。
【0011】
上記第1の態様においては、前記動的水平剛性K、前記せん断力Kθ、前記地震力Qの算出はそれぞれ、水平面上において互いに直交するX軸、Y軸に関して行われ、前記せん断力Kθと前記地震力Qとの比較もX軸、Y軸に関して行われる。
【0012】
本動的耐震性能診断方法の第2の態様においては、前記第2の式は、
Qm =Wh ・Cmax ・Ai ・V(但し、Cmax は地表面での加速度の最大値、Ai は地震層せん断力係数の高さ方向分布数値、Vは建築年数や建物の構造によりあらかじめ与えられる1以下の係数)
で与えられ、
Cmax =Amax ・τg (但し、Amax はあらかじめ決められている式により与えられる工学的基盤での最大加速度、τg は前記地盤の加速度応答倍率)で与えられる。
【0013】
上記第2の態様においては、前記地盤の加速度応答倍率τg は、地盤上に前記加振機を配置すると共に前記第1、第2の加速度検出器を一定間隔をおいて配置して加振を行い、前記第1、第2の加速度検出器の加速度検出信号と前記加振機の加振周波数との関係から前記地盤の固有周波数fg を求めて、該固有周波数fg での加速度応答倍率をτg として求められる。
【0014】
上記第2の態様においても、前記動的水平剛性K、前記せん断力Kθ、前記地震力Qの算出はそれぞれ、水平面上において互いに直交するX軸、Y軸に関して行われ、前記せん断力Kθと前記地震力Qとの比較もX軸、Y軸に関して行われる。
【0015】
上記第1、第2の態様のいずれにおいても、更に、補強の必要性ありと判定されて建物の壁の補強を壁の一部に施す場合にどの程度にするかを壁の有効壁倍率β´として算出するステップを含むようにしても良く、この場合、
β´={B・(β−1)+b}/b(但し、BはX軸あるいはY軸方向の有効壁倍率1の存在壁量、βは建物の壁全体の有効壁倍率、bはX軸あるいはY軸方向の複数箇所に補強を行う場合の補強壁量)で与えられ、
β=Q/Kθ
L=B・β(但し、LはX軸あるいはY軸方向の補強壁量の総延長量)
で与えられる。
【0016】
上記第1、第2の態様のいずれにおいても、前記加振機は正弦波で加振されても良いし、疑似地震波またはランダム波で加振されても良い。
【0017】
なお、いずれの態様においても、前記第2の加速度検出器を少なくとも2個備え、水平面上において互いに直交するX軸、Y軸の一方の軸上に前記少なくとも2個の第2の加速度検出器を配置し、他方の軸に関する加振を行うと共に前記少なくとも2個の加速度検出器の出力が実質的に等しくなるように前記加振機を前記一方の軸に関して位置決めし、続いて、前記他方の軸上に前記少なくとも2個の第2の加速度検出器を配置し、前記一方の軸に関する加振を行うと共に前記少なくとも2個の加速度検出器の出力が実質的に等しくなるように前記加振機を前記他方の軸に関して位置決めし、X軸、Y軸に関して位置決めされた位置を動的な剛心位置として、該動的な剛心位置と前記加振機の設置面において建物に関して計算された重心位置とから偏心率を算出することができる。
【0018】
また、いずれの態様においても、前記第2の加速度検出器を少なくとも2個備え、前記加振機の設置面においてあらかじめ建物に関して計算された重心位置あるいはその近傍に前記加振機を配置し、水平面上において互いに直交するX軸あるいはY軸軸上に前記少なくとも2個の第2の加速度検出器を配置し、Y軸あるいはX軸に関する加振を行って少なくとも2つの加速度値Yw、YeあるいはXn、Xsを得るようにし、続いて、Y軸あるいはX軸軸上に前記少なくとも2個の第2の加速度検出器を配置し、X軸あるいはY軸に関する加振を行って少なくとも2つの加速度値Xn、XsあるいはYw、Yeを得るようにし、建物の設置地域に予想される推定地震力に対して安全である加速度値または振幅値を計算して該計算された加速度値または振幅値になるような建物の壁の補強を行うことにより、補強の結果、2つの加速度値XnとXsとが略等しくなると共に、2つの加速度値YwとYeとが略等しくなるようにすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
はじめに、本発明を実施するための計測システムについて説明する。計測システムは、任意波発振器11、電力増幅器12、加振機20、第1、第2の加速度検出器21、22、これらの検出信号を増幅するための増幅器13、17、アナログ信号である検出信号をディジタルの加速度信号に変換するA/D変換器14、18、解析器15、パラメータ入力部19を含む。ここでは、本発明を2階建ての住宅に適用する場合について説明するが、1階建てや3階建て以上の建物にも適用可能であることは言うまでもない。また、新築、中古の別は問わない。2階の場合、図2に示すように、住宅1の2階の床面に、第1の加速度検出器21を備えた加振機20と第2の加速度検出器22とを設置する。図2において、以下では、地面G.Lから所定の高さh1 (m)、ここでは1.35mの高さから上の住宅1の重量を住宅1の重量Wh (kN)として扱い、住宅1の地上部分の総荷重(基礎の荷重も含む)をWT (kN)とする。重量Wh 、WT は既知の値であり、家具等の積載重量は勿論、積雪の多い地域では積雪による重量も含めることが望ましい。また、加振機20の重量をWe (kN)とし、これも既知の値である。重量We は、以降で説明される(1)式における上記重量Wh に含まれるが、重量Weが重量Whに比べて十分に小さい場合には省略されても良い。
【0020】
次に、本計測システムによる動的耐震性能診断の解析手法について、その流れを示したフローチャート図である図18〜図20をも参照して説明する。図18〜図20はそれぞれ、解析器15にインストールされている動的耐震性能診断のための第1〜第3の解析処理プログラムに基づく処理の流れを示しているが、第1〜第3の解析処理プログラムは1つの解析処理プログラムとして作成されてインストールされていても良い。
【0021】
(A)図1、図18において、任意波発振器11に対して波形を指定(ステップS1)することにより、任意波発振器11から、ここでは正弦波が発生され、電力増幅器12で増幅されて加振機20に与えられる。加振機20は増幅された正弦波に基づいて住宅1を水平方向に振動させる(ステップS2)。その時の加振機20本体における加速度が第1の加速度検出器21で検出され、住宅1の加速度が第2の加速度検出器22で検出される。第1の加速度検出器21で検出された加速度信号は、第1の増幅器13で増幅され第1のA/D変換器14でディジタル信号に変換されて解析器15に与えられる。第2の加速度検出器22で検出された加速度信号は、第2の増幅器17で増幅され第2のA/D変換器18でディジタル信号に変換されて解析器15に与えられる。解析器15は、前述のように解析処理プログラムに基づいて信号処理及び解析処理を行うものである。解析器15にはパラメータ入力部19が接続され、重量Wh 、We 等の数値情報があらかじめ入力されている。解析器15にはまた、任意波発振器11からの正弦波信号が周波数信号として与えられる。
【0022】
なお、任意波発振器11は周波数の異なる複数種類の正弦波信号を発生することができるほか、ランダム波信号としてマルチサイン信号、スウェプトサイン信号を発生することができる。マルチサイン信号というのは、異なる周波数f1 〜fn の正弦波信号を様々な振幅を持つように合成した信号である。一方、スウェプトサイン信号というのは、異なる周波数f1 〜fn の正弦波信号を振幅が一定の状態になるように合成した信号で、いわば周波数変調波である。マルチサイン信号、スウェプトサイン信号の用途については後述する。
【0023】
第1、第2の加速度検出器21、22で検出される加速度をそれぞれ、Ue 、Uh とすると、加速度Ue と加振機20からの正弦波周波数との関係は図3(a)のようになり、加速度Uh と加振機20からの正弦波周波数との関係は図3(b)のようになる。つまり、加速度Uh は加振機20からの正弦波周波数がある値fh になるとピーク値を示す。
【0024】
ここで、住宅1の加速度応答倍率τh は以下の(1)式で表される。
【0025】
τh =Wh ・Uh /We ・Ue (1)
図4は加速度応答倍率と周波数との関係を示し、住宅1の加速度応答倍率τh がピーク値を示す周波数は住宅1の固有周波数fh と呼ばれる。
【0026】
ところで、加速度応答倍率τh と固有周波数fh の算出は、一軸方向のみについて行われても良いのであるが、水平面上で互いに直交するX軸方向、Y軸方向について行われるのが好ましい、そこで、第1、第2の加速度検出器21、22はそれぞれ、チャンネル切り替えにより、水平面上で互いに直交するX軸方向(通常、東西方向)、Y軸方向(通常、南北方向)のそれぞれについて計測可能としており、ステップS3においてどちらにするかの選択が行われる。X軸方向を東西方向とし、Y軸方向を南北方向とするのは、通常、住宅は南向きに建てられるからである。勿論、X軸方向について加速度検出を行う場合には加振機20はY軸方向に加振を行い、Y軸方向について加速度検出を行う場合には加振機20はX軸方向に加振を行うことは言うまでも無い。以下では、X軸方向に関して計測、算出された値にはxの下付き記号を付し、Y軸方向に関して計測、算出された値にはyの下付き記号を付すものとする。例えば、加速度について言えば、第2の加速度検出器22で検出されたX軸方向の加速度はUhx、Y軸方向の加速度はUhyとする。そして、「X軸方向」、「Y軸方向」という形容は省略される場合がある。
【0027】
いずれにしても、第1、第2の加速度検出器21、22からの2種類の加速度、つまり加振機20の加速度Ue と住宅1の加速度Uhx(Uhy)と任意波発振器11からの周波数信号とが入力されると(ステップS4、S5)、解析器15では診断のための解析を開始する。解析器15は、上記(1)式に基づいて図3(b)に示すようなグラフを生成して(ステップS6)住宅1の加速度応答倍率τhx(τhy)を算出すると共に、住宅1の固有周波数fhx(fhy)を検出する(ステップS7)。固有周波数fhx(fhy)の逆数は固有周期Thx(Thy)となる。
【0028】
なお、ステップS6の前の入力ステップS9は、前述したように、パラメータ入力部19により前もって実行されている。また、上記の動作は、X軸、Y軸に関する計測が終了するまで行われる(ステップS8)。
【0029】
次に、図1、図19を参照して、解析器15では、加速度応答倍率τhx、τhy、固有周波数fhx、fhyが与えられると(ステップS11)、第2の解析処理プログラムに基づく処理を実行する。解析器15は、はじめに重量Wh 、加速度応答倍率τhx、τhy、固有周波数fhx、fhyを用いて、以下の(2)、(3)式により住宅1の動的水平剛性(バネ定数)Kx 、Ky (kN)を算出する(ステップS12)。なお、図19は便宜上、X軸方向についてのみ示している。
【0030】
Kx =[{(2π・fhx)2 ・Wh /g}/τhx]・k (2)
Ky =[{(2π・fhy)2 ・Wh /g}/τhy]・k (3)
なお、gは重力の加速度(cm/sec2 )、kは住宅の建築年数、構造によりあらかじめ決められる1以下の係数であり、これもあらかじめ解析器15に入力される。つまり、条件入力ステップS13は前もって実行されている。
【0031】
これにより、図5に示すような荷重(kg)に対する変位量(cm)の関係において31で示すような近似直線が得られる。一方、図5において曲線32は住宅の壁に対して荷重(kg)を加えた場合の変位量(cm)の関係を実測して得られた荷重変形曲線であり、このような荷重変形曲線32があらかじめ得られている場合にはこれを利用しても良い。住宅の壁に対してこのような荷重変形曲線が実測されることはこれまでほとんど無かったが、最近ではこのような実測が行われるようになってきており、本発明ではこれを想定している。
【0032】
図5において、変位量が5(cm)程度までは近似直線31と荷重変形曲線32とはほとんど変わらない。これは、図5の場合について言えば、変位量5(cm)程度までは近似直線31を利用しても何ら問題は無いが、5(cm)を越えると誤差が大きくなることを意味する。そこで、後で説明される補強の判定において明らかになるように、変位量5(cm)までは近似直線31(これをリニアと呼ぶ)を用い、5(cm)を越えた場合には曲線32(これをバイリニアと呼ぶ)を用いるようにする。そして、リニアの場合の動的水平剛性はKx 、Ky で示し、バイリニアの場合の動的水平剛性はKxu、Kyuで示すものとする。
【0033】
続いて、動的水平剛性Kx 、Ky を用いて以下の式(4)、(5)により床面せん断力Kθ x 、Kθ y を算出する。
【0034】
Kθ x =Kx ・h・(1/θ) (4)
Kθ y =Ky ・h・(1/θ) (5)
この式で表されるせん断力というのは、X軸方向について言えば、動的水平剛性Kx を持ち、単位長さ、高さhの壁部材に対してその上端において幅方向に一定の荷重を加えた時に、1/θ(rad)の変位量を生ずることを意味する。ここでは、θ=120度として、
K120x=Kx ・h・(1/120)
K120y=Ky ・h・(1/120)
が算出される。壁の高さhは通常、2.4mから3m程度である。
【0035】
(B)次に、図19のステップS14以降で説明されるように、住宅1に作用する地震力Q(kN)をX軸方向、Y軸方向のそれぞれについて算出し、それぞれを上記の床面せん断力K120x、K120yと比較して、比較の結果、X軸方向についてQx >K120xの場合にX軸方向に関する壁の補強を行い、Y軸方向についてQy >K120yの場合にY軸方向に関する壁の補強を行うべきとの診断結果を出す。地震力Qx 、Qy の算出、診断の詳しい内容については後述する。
【0036】
(C)補強を行うべきとの診断結果が出された場合には、図20に示す第3の解析処理プログラムに基づくフローチャート図により後で説明する方法で補強壁量の計算が行われる。
【0037】
以上の手順で動的耐震性能診断が行われる。
【0038】
次に、図19に戻って、住宅1に作用する地震力Qx 、Qy の算出方法について説明する。地震力Qx 、Qy の算出方法には大きくわけて2つの方法があり、ステップS14においていずれを採用するかの指定が行われる。第1の手法は標準手法とも言える方法であり、以下ではこれを指定した場合について説明する。
【0039】
第1の方法はステップS15で実行され、以下の通りである。
【0040】
地震力Qx 、Qy は以下の(6)式、(7)式で与えられる。
【0041】
Qx =Wh ・Cix (6)
Qy =Wh ・Ciy (7)
但し、Cix、Ciyは、住宅1の前に述べた高さhにおけるX軸方向、Y軸方向の地震層せん断力係数を示し、以下の(8)式、(9)式で与えられる。
【0042】
Cix=Z・Rtx・Aix・Co ・V (8)
Ciy=Z・Rty・Aiy・Co ・V (9)
但し、Zは図6に一例を示すように、地域に応じて国土交通省告示(昭和55年建設省告示第1793号)により定められている数値であり、パラメータ入力部19からあらかじめ入力されている。また、Rtx、Rtyは、後述するように、住宅1の直下の地盤と住宅1の振動特性に応じて得られる数値である。Aix、Aiyも後述するように、地震層せん断力係数の高さ方向分布数値である。Co は標準せん断力係数であり、後述する。Vは住宅1の老朽度等の条件によりあらかじめ決められ、パラメータ入力部19からあらかじめ入力されている1以下の定数である。
【0043】
数値Zは、X軸方向、Y軸方向に共通の値であり、図6に示されるように、地域に応じて設定、入力され、例えば福島県の会津若松市では0.9である。
【0044】
次に、数値Rtx、Rtyは、上記告示に基づいて住宅1の固有周期と地盤の固有周期との関係から定められる。住宅1の固有周期は、上記(A)においてThx、Thyとして得られている。一方、地盤の固有周期は、上記告示に基づいて簡便に設定する方法と、実測値を用いて定める方法とがある。
【0045】
上記告示に基づいて簡便に設定する方法では、図7に示すように、第1種〜第3種地盤の種別に応じて地盤の固有周期Tc が定められている。従って、住宅1が構築される地盤が第1種〜第3種地盤のいずれであるかを知って、例えば第2種地盤であれば固有周期Tc として0.6を採用する。
【0046】
上記告示にはまた、下記の比較に基づいて数値Rtx、Rtyを決定すべきことも定められている。例えば、数値Rtxの場合以下のようになり、Rtyについてもまったく同様である。
【0047】
Thx<Tc の場合 Rtx=1
Tc ≦Thx<2Tc の場合 Rtx=1−0.2・{(Thx/Tc )−1}2
2Tc ≦Thxの場合 Rtx=1.6Tc /Thx
以上のようにして、簡便に数値Rtx、Rtyが定められ、パラメータ入力部19から入力される。
【0048】
一方、実測値を用いて数値Rtx、Rtyを定める方法では、図1で説明した測定システムと同様の測定システムを住宅1が構築される地盤上に設置して前述同様の計測が行われる。但し、地盤に対して用いられる測定システムの場合は、加振機が縦方向に加振するためのものであり、2つの加速度検出器は一定距離離され、かつ加振機と2つの加速度検出器が一直線上にあるような配置関係でいずれも地盤上に設置される点、及び得られる値はX軸方向、Y軸方向ともに同じ1つの値である点において図1の計測システムと異なる。その結果、地盤の加速度応答倍率τg 及び固有周波数fg を得ることができる。そして、固有周波数fg の逆数として地盤の固有周期Tg が得られる。前述同様に、例えば、数値Rtxの場合以下のようになり、Rtyについてもまったく同様である。
【0049】
Thx<Tg の場合 Rtx=1
Tg ≦Thx<2Tg の場合 Rtx=1−0.2・{(Thx/Tg )−1}2 2Tg ≦Thxの場合 Rtx=1.6Tg /Thx
以上のようにして、実測により数値Rtx、Rtyが定められ、パラメータ入力部19から入力される。
【0050】
続いて、地震層せん断係数の高さ方向分布数値Aix、Aiyは以下の(10)式、(11)式で与えられる。
【0051】
Aix=1+(1/√αi −αi )・2・Thx/(1+3・Thx) (10)
Aiy=1+(1/√αi −αi )・2・Thy/(1+3・Thy) (11)
但し、αi は、前に述べた住宅1のAi を算出しようとする高さh1 より上部の荷重Wh を住宅1の総荷重WT で除算した値(Wh /WT )である。総荷重WT は条件入力ステップS16においてあらかじめ入力されている。
【0052】
更に、標準せん断力係数Co は、地盤の種別に応じて定められるX軸方向、Y軸方向に共通の値であり、前に述べた地盤の固有周期と同様、上記告示に基づいて簡便に設定する方法と、実測値を用いて定める方法とがある。
【0053】
上記告示に基づいて標準せん断力係数Co を簡便に設定する方法では、図8に示すように、第1種〜第3種地盤の種別に応じて標準せん断力係数Co が定められており、例えば第2種地盤では0.25であり、パラメータ入力部19から入力される。
【0054】
一方、実測値を用いて標準せん断力係数Co を定める方法では、前述の地盤の加速度応答倍率τg を求める方法で説明した測定システムを住宅1が構築される地盤上に設置して、前述同様の計測を行うことで得られた地盤の固有周期Tg を用いて図9に示す条件に基づいて地盤の種別を判定する。つまり、Tg ≦0.2の場合に第1種地盤であり、0.2<Tg ≦0.75の場合には第2種地盤であり、0.75<Tg の場合は第3種地盤である。これは、上記告示の取り扱いとして「通達 昭56住指発第96号」に定められている。これにより判別された地盤種別を図8にあてはめることで標準せん断力係数Co が決定される。
【0055】
以上のようにして決定された各種数値を用いて上記(6)式、(7)式を基に得られた地震力Qx 、Qy と、上記(4)式、(5)式を基に得られた床面せん断力K120x、K120yとを比較して補強の必要性の有無の判定を行う(ステップS21)。つまり、Qx /K120x>1であるかどうかの判別を行い、1以下であれば補強の必要無し、1を越えていれば補強の検討を行う。
【0056】
図10は、上記の判定のためにステップS21に先立って行われた計算結果のテーブルを示す。つまり、上記の判定のために、前に述べたように式(4)、(5)を基に与えられる2階床面せん断力K120x、K120yが算出される(ステップS19)と共に、出力される(ステップS20)。
【0057】
図10では地盤種別が第2種地盤であることを示しており、この場合、標準せん断力係数Co =0.25を用いて、ステップS19の前に以下の式によりX軸方向の変位量dx0.25 がリニア、バイリニアのそれぞれについて算出される(ステップS17)。
【0058】
リニアの場合 dx0.25 =Q0.25x /Kx
バイリニアの場合 dx0.25u=Q0.25x /Kxu
同様にして、以下の式によりY軸方向の変位量dy0.25 がリニア、バイリニアのそれぞれについて算出される。
【0059】
リニアの場合 dy0.25 =Q0.25y /Ky
バイリニアの場合 dy0.25 =Q0.25y /Kyu
ここで、変位量dx0.25 、dy0.25 がh/60(つまり、θ=60度)以内の時、動的水平剛性Kx 、Ky にはリニアの値、つまり式(2)、(3)で算出された値が用いられ(ステップS19)、h/60を越える時にはバイリニアの値、つまり図5の荷重変形曲線32から読み取った値Kxu、Kyuが用いられる(ステップS18)。これは以下の理由による。図5で説明した通り、図5のような近似直線31、荷重変形曲線32の場合、近似直線31を利用できるのはせいぜい変位量5cm程度までであり、それを越えると誤差が徐々に大きくなる。一方、上記の壁の高さhを3mとすると、変位量300/60=5cmであり、図5の近似直線31、荷重変形曲線32のいずれを用いるかのしきい値として適している。
【0060】
いずれにしても、変位量dが以下の条件のどれに属するかを知ることで、損傷がどの程度かを知ることもできる。
【0061】
変位量d≦h/240(つまり、θ=240度)の場合、軽微な損傷限度の範囲内である。
h/240<変位量d≦h/120の場合、損傷限界の範囲内である。
h/120<変位量d≦h/60の場合、安全限界の範囲内である。
なお、変位量d>h/60の場合には倒壊の危険があることになる。
地盤種別が第1種、第3種の場合も同様である。
【0062】
以上のように、解析器15に第2の解析処理プログラムによる上記各式の演算処理機能を持たせていることにより、パラメータ入力部19から固定値や計測数値を入力するだけで上記の判別結果を出力することができる。
【0063】
住宅1に作用する地震力Qを算出するための第2の方法は図19のステップS22で実行され、以下の通りである。第2の方法では、前に述べた、地盤の加速度応答倍率τg 算出のための測定システムを住宅1が構築される地盤上に設置して前述同様の計測を行うことで得られた地盤の固有周期Tg を用いて図9に示す条件に基づいて地盤の種別を判定する。なお、本第2の方法ではまた、重複反射理論に基づいて工学的地盤から地表面までの加速度応答倍率τg が求められる。また、以下では第1の方法による地震力Qx 、Qy と区別するために、地震力Qmx、Qmyを用いることとする。
【0064】
地震力Qmx、Qmyは以下の式(12)、(13)により与えられる。
【0065】
Qmx=Wh ・Cmax ・Aix・V (12)
Qmy=Wh ・Cmax ・Aiy・V (13)
ここで、Cmax は地表面での最大加速度(cm/sec2 )であり、以下の式(14)で与えられる。
【0066】
Cmax =Amax ・τg (14)
なお、Amax は工学的地盤での最大加速度であり、以下の式(15)で計算できることが知られている(例えば、「地震の辞典」宇津徳治著、朝倉書店)。
【0067】
Amax =640・10{(−0.1036M 2+1.7244M−7.604)(0.4+R)/100} (15)
これは、地震の規模と震源を想定し、震源でのマグニチュードMと震央からの距離R(km)により工学的地盤を伝播する地震の加速度は上記式(15)に基づいて減衰して到達することを意味する。
【0068】
図11は、上記の第2の方法で求められた地震力Qmx、Qmyを用いる場合の判定のためのテーブルを示す。この判定でも、図10と同様に、2階床面せん断力K120x、K120yが計算される(ステップS19)。
【0069】
図11でも地盤種別が第2種地盤であることを示しており、この場合、以下の式によりX軸方向の変位量dx ´がリニア、バイリニアのそれぞれについて算出される(ステップS17)。
【0070】
リニアの場合 dx ´=Qmx/Kx
バイリニアの場合 dxu´=Qmx/Kxu
同様にして、以下の式によりY軸方向の変位量dy ´がリニア、バイリニアのそれぞれについて算出される。
【0071】
リニアの場合 dy ´=Qmy/Ky
バイリニアの場合 dyu´=Qmy/Kyu
ここでも、変位量dx ´、dy ´がh/60以内の時、動的水平剛性Kx 、Ky にはリニアの値、つまり式(2)、(3)で算出された値が用いられ(ステップS19)、h/60を越える時にはバイリニアの値、つまり図5の荷重変形曲線32から読み取った値Kxu、Kyuが用いられる(ステップ18)。
【0072】
そして、変位量dが以下の条件のどれに属するかを知ることで、損傷がどの程度かを知ることもできる。
【0073】
変位量d´≦h/240の場合、軽微な損傷限度の範囲内である。
h/240<変位量d´≦h/120の場合、損傷限界の範囲内である。
h/120<変位量d´≦h/60の場合、安全限界の範囲内である。
なお、変位量d´>h/60の場合には倒壊の危険があることになる。
地盤種別が第1種、第3種の場合も同様である。
【0074】
以上のような計算及び判別も、解析器15が第2の解析処理プログラムによる演算処理機能を持つことで、パラメータ入力部19から固定値や測定数値を入力するだけで上記の判別結果を出力することができる。
【0075】
次に、図12を参照して、補強が必要であると判定された場合の壁の補強方法の一例について、第3の解析処理プログラムに基づく流れを示した図20をも参照して説明する。図20も、便宜上、X軸方向の場合のみについて示している。なお、計測システムによる計測が2階で行われた場合の壁の補強は1階の壁自体、壁と土台との間の連結部、壁とはりとの間の連結部に対して行われ、土台が脆弱化している場合には基礎に補強が施される。計測が3階で行われた場合には、1階、2階の壁に対して補強が行われることになる。また、補強の検討を行う場合には、変位量dx の設計値を損傷限界値以内のh/120とするか安全限界値以内のh/60とするかの選択が可能である(ステップS31)。h/120とする場合(ステップS32)、設計動的水平耐力K120xに基づいて補強の検討が行われ(ステップS33)、h/60とする場合(ステップS34)には、設計動的水平耐力K60x に基づいて補強の検討が行われる(ステップS35)。
【0076】
図12は住宅1における2階の壁の平面図を示し、太い実線はX軸方向の有効壁倍率1の存在壁量Bx (m)を示し、細い実線はY軸方向の有効壁倍率1の存在壁量By (m)を示す。また、太い破線はX軸方向の部分的な補強壁量bx (m)を示し、細い破線はY軸方向の部分的な補強壁量by (m)を示す。更に、X軸方向の補強壁量の総延長をLx (m)とし、Y軸方向の補強壁量の総延長をLy (m)とする。以下では、便宜上、X軸方向の場合について説明するが、Y軸方向の場合もまったく同じである。
【0077】
ここで、全体の有効壁倍率βx は、βx =Qx /Kθ x で表される。前に説明したように、Qx は地震力(kN)であり、Kθ x はX軸方向に(1/θ)(rad)変形する時の2階床面せん断力(kN)である。これは、X軸方向の壁の全長にわたって補強を行う場合には、すべての壁倍率がβx となるように補強すれば良いことを意味する(ステップS37)。しかしながら、壁の全長を補強することは現実的ではなく、通常は、図12に太い破線で示す一部のみを補強するようにされる(ステップS38)。そこで、ステップS37、S38に先立って壁の一部あるいは全部のいずれを補強するのかの選択が行われ(ステップS36)、壁の一部のみを補強する場合の有効壁倍率をβx ´とすると、
Lx =Bx ・βx (16)
Lx =βx ´・bx +Bx −bx (17)
と表すことができる。
【0078】
よって、
βx ´={Bx ・(β−1)+bx }/bx (18)
であり、補強する壁の壁倍率がβx ´となるように補強すれば良いことになる (ステップS38)。
【0079】
上述のようにして、想定される地震に対してどの程度壁が変形するのか、またどの程度の補強対策を講じれば、軽微な損傷、損傷限界値内、あるいは安全限界値内で収まるのかが求まる。また、式(16)におけるLx はX軸方向の補強壁量の総延長である。また、壁のバランスを考慮して部分的に補強するためには、式(17)からβx ´を算出することにより、有効壁倍率を決めることができる。なお、条件入力ステップS42、S43における数値入力は前もって行われている。
【0080】
参考のために、テストハウスに対して行われた計算結果について説明する。テストハウスの条件は、WT =210(kN)、Wh =180(kN)、fhx=5.1(Hz)、Bx =25.48(m)、床面積54.0(m2 )、τhx=6.5、h=3.0(m)、k=1、V=1とする。
【0081】
式(2)に基づく動的水平剛性Kx は、
兵庫県南部地震の実波をテストハウスに加えた時の2階床面上での加速度値は、下記の通りである。
【0082】
地表面上818(Gal)の時、
2階床北 943(Gal)
2階床南 1077(Gal)
平均 1010(Gal)
判定解析は以下の通りである。
【0083】
式(12)より、
リニアでの変位量dx0.8´は、
ここで、変位量dx0.8´がh/60(=5cm)を越えているので、バイリニアの場合の変位量を考える。例えば、バイリニアでの荷重変形曲線がリニアの近似曲線に対し、0.667倍の勾配(図19のステップS18におけるiに対応する)を持っていた場合、バイリニアでの変位量dxu0.8 ´は、
従って、兵庫県南部地震クラスの規模においてはテストハウスは安全限界値であるh/60(cm)をはるかに越えていて危険である。また、地盤種別による地震力Qは、Z=1、Rt =1とすると、
従って、各段階におけるせん断力はリニアの場合、変位量をh/120(cm)とすると、
標準せん断力係数0.2で設計時、K0.20x の値は、
標準せん断力係数0.25で設計時、K0.25x の値は、
標準せん断力係数0.30で設計時、K0.30x の値は、
なお、変位量は、場合によってはh/200、h/240を用いる場合もある。一方、バイリニアの場合は、その勾配iにより同様の計算を行えば良い。
【0084】
以上の結果をまとめると、図13のようになる。
【0085】
次に、上記のテストハウスに対して、兵庫県南部地震に対しても安全限界値内に抑える場合の補強をX軸方向について考察してみると、安全限界値5(cm)以内のせん断力K60x は、バイニリアの場合、
この場合、有効壁倍率βx は2.0にされる。
【0086】
一方、リニアの場合は、
この場合、有効壁倍率βx は1.5にされる。このように大き目の値にするのは、実際の壁は0.5きざみの壁倍率で作られているからである。
【0087】
そして、壁全体ではなく、一部を補強する場合、例えば部分的な補強壁量bx を有効壁倍率1の存在壁量Bx (25.48m)の半分である12.74(m)として補強する場合には、バイリニアの場合は、
よって、12.74(m)分の壁の有効壁倍率を3倍とするように補強する。
【0088】
一方、リニアの場合は、
よって、12.74(m)分の壁の有効壁倍率を2倍とするように補強する。
【0089】
更に、参考のために、再び図20を参照して、壁量バランスの検討について説明する。
【0090】
ステップS39における壁量バランスの検討は、国土交通省告示(平成12年建設省告示第1352号)による1/4ルールにより以下のようにして行われる。
【0091】
▲1▼各階毎の張り間方向、桁行方向の1/4の部分(側端部分)を図上に示す。
▲2▼1/4エリア内に実際に存在する壁量(存在壁量)を算出する。
▲3▼必要壁量(=1/4エリアの面積×単位壁量)を算出する。
▲4▼それぞれの1/4エリアでの壁量充足率(=存在壁量/必要壁量)を算出する。
▲5▼壁率比(=壁量充足率の小さい方/壁量充足率の大きい方)を算出する。
▲6▼壁率比がそれぞれ0.5以上であることを確認する。
【0092】
続いて、建築基準法施工令第82条の3による偏心率による検討を行う。これは、各階の偏心率を求め、それらの偏心率がそれぞれ15/100以内であることを確認することで行われる。
【0093】
次に、ステップS40において国土交通省告示(平成12年建設省告示第1460号)の「木造の継手及び仕口の構造方法を定める件」に準じて補強方法を決定する。
【0094】
また、住宅の垂直方向のバランスからモーメントを求め、各柱に作用する軸力を算出し、各々の引抜き力を求め、補強金具の選定及び補強方法を決定する(ステップS41)。
【0095】
例えば、図14を参照して、2階建て住宅の高さhの部分に水平地震力H1が作用する場合を考える。
【0096】
はじめに、垂直成分の重心位置(X,Y)を算出する。
【0097】
1階の重心位置(X1,Y1)、2階の重心位置(X2,Y2)とすると、合成重心位置(X,Y)が以下のようにして求められる。
【0098】
X=(W1・X1+W2・X2)/(W1+W2)
Y=(W1・Y1+W2・Y2)/(W1+W2)
但し、W1は高さhより下の部分の荷重であり、W2は高さhより上の部分の荷重である。
【0099】
次に、水平地震力とカウンターウエイト(W+ΣP)のモーメントは以下の式で表される。
【0100】
(W+ΣP)・X=H1・h
よって、ΣP=(H1・h)/X−W
Pi=ΣP/n(但し、nは補強金具の数)
以上により算出されたPiより大きい耐力を持つ補強金具を選定して、補強を行う。
【0101】
図15〜図17はそれぞれ、補強の具体例を示した図である。図15は、柱41を支えている土台42が脆弱化していることにより、布基礎43をも含めて補強を施した例を示している。つまり、布基礎43の外面側に鉄筋51を介在させてコンクリートの打増し部52を設けている。打増し部52の上端には補強土台53を設け、この補強土台53と柱41との間をL形の補強金具54で連結するようにしている。なお、補強金具54はボルト55で柱41に固定されると共に、アンカーボルト56で補強金具54と補強土台53と打増し部52とが緊密固定される。
【0102】
図16は、はり61と壁62との間を壁62の両面側においてL形の補強金具63で補強する場合の例を示している。
【0103】
また、図17は、基礎71上の土台72と柱73との間をT形の補強金具74で緊結する場合の例を示している。
【0104】
図15〜図17はあくまでも一例であって、補強構造やそれに使用される補強金具は様々な形態のものが知られており、どれを使用するかは住宅の構造や補強に必要な強度等を考慮して選定される。
【0105】
以上、本発明の好ましい実施の形態を耐震性能診断だけでなく、それに伴う補強方法の選定や補強構造の例をも含めて説明したが、本発明は上記の形態に限定されるものではない。例えば、図1に示した測定システムでは、任意波発振器11により正弦波を発生して加振機21による加振を行うようにしているが、加振機21は正弦波に限らず、ランダム波で励振されても良い。この場合、任意波発振器11はランダム波、つまりマルチサイン信号あるいはスウェプトサイン信号更には疑似地震波を発生し、この周波数信号が電力増幅器12と解析器15に送られる。疑似地震波というのは、これまでの大地震において得られている地震波をいくつか人為的に生成した波形であり、任意波発振器11に記憶装置を内蔵し、この記憶装置にこれらの波形を保存しておくことで生成される。解析器15では、FFTあるいはDFTによるスペクトル解析が行われる。例えば、X軸方向の加速度検出信号について言えば、解析器15では入力された2つのディジタル加速度検出信号をフーリエ変換してスペクトル解析を行い、図3に示された波形と類似したような、横軸が周波数、縦軸が振幅のフーリエスペクトル波形を生成する。続いて、解析器15では2つのフーリエスペクトル波形から伝達関数を計算して図4に示された波形と類似したような、加速度応答倍率τ−周波数fの特性を生成する。このようにして得られた加速度応答倍率τ−周波数fの特性において加速度応答倍率τがピーク値を示す周波数が固有周波数fx として得られる。
【0106】
以上、加振機に備えられた1個の第1の加速度検出器とこれとは別に設置される1個の第2の加速度検出器による耐震性能診断について説明したが、第2の加速度検出器を少なくとも2個備えることで偏心率の算出を行うこともできる。第2の加速度検出器を2個備える場合、図1に示された解析器15には3種類の加速度検出信号がそれぞれ増幅器、A/D変換器を介して入力される。偏心率の算出及びこれに基づく補強は、図21をも参照して、以下のようにして実施される。図21は、図2に示された建物における2階の平面図を示すものとする。
【0107】
▲1▼まず、図2で説明した加振機20の設置面において静的に計算された建物の剛心位置101に加振機20を配置し、X軸あるいはY軸上(ここではX軸とする)の2箇所に2個の第2の加速度検出器22−1,22−2を配置する。そして、加振機20によりY軸に関する加振を行うと共に2個の加速度検出器22−1,22−2の出力Ye、Ywが実質的に等しくなるように加振機20をX軸に関して位置決めする。なお、静的な剛心位置の計算は、建物の設計図面等から周知の計算方法により容易に計算できる。また、最初に加振機20を置く位置は静的な剛心位置が最も好ましいが、この限りではなく、図2に示された加振機の設置面であればどこでも良い。
【0108】
▲2▼続いて、Y軸上に2個の第2の加速度検出器22−1,22−2を移動配置し、X軸に関する加振を行うと共に2個の加速度検出器22−1,22−2の出力Xn、Xsが実質的に等しくなるように加振機20をY軸に関して位置決めする。なお、2個の加速度検出器の配置位置は、X軸、Y軸上のどこでも良いが、建物の床面の端部に近い方が好ましい。
【0109】
▲3▼その結果、加振機20が位置102に移動したものとすると、上記のようにしてX軸、Y軸に関して位置決めされた位置102が動的な剛心位置となる。
【0110】
▲4▼上記のようにして得られた動的な剛心位置と、加振機20の設置面において建物に関して計算された重心位置とから偏心率を算出する。重心位置の計算も建物の設計図面等から周知の計算方法により容易に計算できる。偏心率の計算については、例えば建築基準法施行令第82条の3に定められており、あるいはまたインターネットのホームページ「ホームズ君.com」にも開示されている。
【0111】
▲5▼上記▲1▼、▲2▼で得られたYe,Yw,Xn,Xsに基づいて前述した計算方法により偏心率を0.3以下にし得るような剛性壁量を計算する。
【0112】
▲6▼つまり、前述したように、X軸、Y軸のそれぞれについて変位dx、dyを算出し、損傷限界範囲としてh/240<変位量≦h/120、安全限界としてh/120<変位量≦h/60、倒壊の危険ありとして変位量>h/60を決定し、それぞれに見合う壁量の補強を行う。この場合、必要な金具等によって、より剛性のとれるような他の補強も追加することが望ましい。
【0113】
上記のような診断結果に基づく補強にもかかわらず、YeとYw、あるいはまた,XnとXsとが実質上等しくならずバランスが悪い場合には、エポキシ樹脂材とFRPやグラスファイバー等を接着することにより強度不足部分の強度を高めることができる。また、建物に付随する基礎の劣化や亀裂等により、上記のアンバランスが生じていると思われる場合には、同じくエポキシ樹脂材を含む熱可塑性樹脂等による繊維を素材とする不織布あるいは金属板を基礎表面に接着して補強するかあるいは基礎を鉄筋入りコンクリート等により打ち増して補強しても良い。
【0114】
上記のような偏心率の算出に加えて、本願発明は、建物のねじれの算出も可能である。この場合、図21に示した建物の4つのコーナーにそれぞれ第2の加速度検出器を配置する。つまり、この場合には2本のX軸あるいはY軸上にそれぞれ2個ずつ第2の加速度検出器を配置する。そして、X軸、Y軸のそれぞれについて加振を行うことで得られた加速度検出信号から変位量を算出して建物のねじれを算出することができる。勿論、この場合にもねじれの程度に応じた補強が施される。
【0115】
また、少なくとも2個の第2の加速度検出器22−1,22−2を備える場合、動的耐震補強は以下のようにして実施されても良い。図21を参照して、加振機20の設置面においてあらかじめ建物に関して計算された重心位置あるいはその近傍に加振機20を配置する。そして、X軸(あるいはY軸)軸上に2個の第2の加速度検出器22−1,22−2を配置し、Y軸(あるいはX軸)に関する加振を行って2つの加速度値Yw、Ye(あるいはXn、Xs)を得る。続いて、Y軸(あるいはX軸)軸上に2個の第2の加速度検出器22−1,22−2を配置し、X軸(あるいはY軸)に関する加振を行って2つの加速度値Xn、Xs(あるいはYw、Ye)を得る。更に、建物の設置地域に予想される推定地震力に対して安全である加速度値または振幅値を計算し、前述した方法により計算された加速度値または振幅値になるような建物の壁の補強を行う。そして、補強の結果として、2つの加速度値XnとXsとが略等しくなると共に、2つの加速度値YwとYeとが略等しくなるようにすれば良い。
【0116】
以下に、この動的耐震性能診断及び補強例を詳しく説明する。
【0117】
図21と同様の建物の平面図である図22を用いて説明すると、本例では加振機20を建物の2階の床面上の重心位置200に設置してX軸方向、Y軸方向の加振を行い、水平方向の動的剛性値を求める。勿論、X軸、Y軸共、2個以上(ここでは、2個)の加速度検出器22−1、22−2を用いて同時計測を行う。前述したように、Xn、Xsは、それぞれX軸方向に加振させた時の北側、南側での加速度検出値であり、Ye、Ywは、それぞれY軸方向に加振させた時の東側、西側での加速度検出値である。
【0118】
イ.はじめに、動的水平剛性値の算出を行う。図22において、Kxn、Kxs、Kye、Kywは建物の四方のそれぞれ一辺の動的水平剛性値であり、例えばKywについて言えば、以下の式により算出される。
【0119】
Kyw=(2πfyw)2 ・Wh/(g・τyw)
上式において、fは加速度検出値Ywを得た時の建物の卓越周波数(Hz)であり、Whは図2で説明したように建物の1階半ばから上部の建物重量である。また、gは重力加速度(980cm/sec2 )であり、τは加振機20の動的重量と加振加速度の積で建物重量とその加速度の積を除した値であり、以下の式で表される。
【0120】
τyw=(Wh・Uhyw)/(We・Ueyw)
但し、加速度検出器22−1で検出されたUhywは加振時の建物の加速度、Weは加振機20の重量、Ueywは加速度検出器21(図1参照)で検出された加振機20の加速度である。
【0121】
Kxn、Kxs、Kyeについても、上記の式により算出される。
【0122】
ロ.続いて、地震時の損傷防止の計算を行う。つまり、建物に地震が作用した時、どの程度で損傷を食い止めるかの検討を行う。
【0123】
図21でも説明したように、▲1▼軽微な損傷範囲として変位量h/240以内、▲2▼安全な損傷範囲として変位量h/120以内、▲3▼損傷の限界値h/60以内を想定し、前述した動的水平剛性値Kから上記▲1▼〜▲3▼におけるせん断力Sを算出する。例えば、上記の▲2▼を選択した場合、せん断力Sは以下の式で表される。
【0124】
S=K・(h/120)
一例として、Kを20(KN/cm)、hを300(cm)とすると、
S=20・(300/120)=50(KN)となる。
【0125】
一方、せん断力Sは、2階床面上に(300/120)=2.5(cm)の変位(1階床面上との相対変位)が生じた場合に建物が受ける地震力Qと略等しいと考えられるので、以下の式が導かれる。
【0126】
Q=S=Wh・α
但し、αは2階床面上に加わった加速度値である。
【0127】
ここで、建物重量Whを200(KN)、せん断力Sを50(KN)とおくと、 α=50/200=0.25
すなわち、250(Gal)の加速度が2階床面上に作用した時、1階床面上と2階床面上に2.5cmの相対変位が生じたことになる。
【0128】
参考のために、上記の▲3▼の場合、h/60=5(cm)、S=20(KN/cm)・5(cm)=100(KN)、α=100(KN)/200(KN)=0.50となり、500(Gal)の地震が2階床面上に作用すると、5(cm)の変位を生ずることになる。
【0129】
上記ロにおける流れを図24に示す。
【0130】
ハ.次に、顧客(建物所有者)の希望する耐震補強の選択を行う。
【0131】
例えば、建築基準法による場合、地上での加速度値として、200(Gal)(α=0.2)、250(Gal)(α=0.25)、300(Gal)(α=0.3)の値が設定される。
【0132】
あるいは、実際に発生した地震を参考に補強したいという要望を持つ顧客に対しては、過去の地震に関するデータに基づいて補強を提案する。例えば、神戸地震の場合、地上では818(Gal)の加速度値と発表されているので、2階床面上ではAi(地震層せん断力係数の高さ方向分布数値)を1.2と仮定すると、818・1.2=982(Gal)となる。
【0133】
あるいはまた、レベル3の地震として750(Gal)、レベル2の地震として500(Gal)、レベル1の地震として250(Gal)の地震を想定するようにしても良い。なお、加速度値(Gal)に代えて振幅値が用いられても良い。
【0134】
ニ.続いて、補強壁量の算出を行う。
【0135】
この算出に際しては、補強する建物の周囲四辺の壁量(壁の枚数)を設計図、又は調査により決定する。その一例を図23に示す。図23においては、西側の壁量6枚、東側6枚、北側10枚、南側4枚としている。なお、調査により現存する壁に補強のための筋かい等があった場合は、その側の壁の枚数は壁倍率を考慮して数えることとする。
【0136】
補強壁量の算出に際しては、動的水平剛性値から四辺のそれぞれの面の壁が現在いくらの耐力(壁1枚当たり)を有しているかを計算する。せん断力に対してはすべて内側の壁も周囲の四辺の壁に集約されているものと理解し、壁耐力を算出する。
【0137】
ここで、建築基準法に則り、1/120(rad)時の1枚当たりの壁耐力を西側の壁について考えてみる。
【0138】
この時の西側の壁は6枚であるから、西側の1枚当たりの壁の耐力Pywは以下の式で表される。
【0139】
Pyw=50(KN)/6(枚)=8.3(KN/枚)
そして、この壁は前述した計算式によると、250(Gal)の地震に耐え得るので、顧客が上記ハにおいてα=0.25を選択した場合は、このままで良い。この数値にそって、東側、北側、南側の壁の耐力Pye、Pxn、Pxsは西側の壁の耐力Pywに略等しいものとする。そして、この関係が成立する時、建物の重心と剛心とが一致していることになる。
【0140】
しかし、もし不足している壁があれば、これを補強する必要がある。
【0141】
次に、南側の壁について考える。南側についてはすべて筋かいがあったと仮定すると、壁量は4(枚)・1.5(倍)で6枚に相当する。
【0142】
また、Kxsは15(KN/cm)であったと仮定すると、
従って、
α=37.5/200=0.188
つまり、188(Gal)となる。
【0143】
これを250(Gal)に耐えさせるには、壁倍率Iを、I=250/188=1.4倍とする必要がある。
【0144】
南側の壁1枚について計算すると、
Pxs=37.5(KN)/4(枚)=9.38(KN)
となる。
【0145】
また、新しい動的水平剛性値Kxsnは、以下の式で表される。
【0146】
Kxsn=Kxs・1.4(倍)
従って、南側のうち両サイドの2枚の壁だけ考えてKxsnを得るためには、既存の壁耐力2(枚)・9.38(KN)のものを新たな壁耐力2(枚)・γ(KN)に交換するものとして、Kxs(=15KN/cm)、h/120(=2.5cm)を考慮すると、以下の式が導かれる。
【0147】
1.4倍・15(KN/cm)・2.5(cm)=
2(枚)・γ(KN)+2(枚)・9.38(KN)
交換に必要な壁耐力γは、
γ=(52.5−18.76)/2=16.87(KN)
ここで、南側がすべて通常の壁であり、1枚当たり2(KN)の壁耐力を仮定すると、X軸方向の壁はすべて南側に1つに集約されていて、9.38(KN)/2(KN)=4.69で約5倍の壁に相当していると考えられる。
【0148】
そこで、補強対策としては今回は、16.87/2(KN)=8.435で約8.5倍に補強された壁を両サイドにおいて交換すれば良いことになる。このような補強対策を行うために、現在壁倍率10倍の壁材が市販されているので、これを使用すれば良い。以上の流れを図25に示す。
【0149】
上記と同様にして、北側、東側、西側の壁の補強方法を決定する。なお、壁を交換するのではなく、既存の壁に追加貼りをする補強対策でも良い。
【0150】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、建物の耐震性能をより高い精度で得ることができ、しかも新築の建物のみならず、中古の建物にも適用可能な動的耐震性能診断方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するために使用される計測システムの構成を示したブロック図である。
【図2】本発明において診断の対象となる住宅と計測システムの一部の設置例を示した図である。
【図3】図1に示された2つの加速度検出器で検出される加速度と周波数との関係の例を示した波形図である。
【図4】図3に示された波形から得られる加速度応答倍率と周波数との関係を示した波形図である。
【図5】本発明において住宅の動的水平剛性を直線で近似する場合の近似直線と実測による荷重変形曲線と関係を示した荷重−変位特性図である。
【図6】住宅に対する地震力を算出するために、計算式の1要素として地域に応じて国土交通省告示(昭和55年建設省告示第1793号)により定められている数値の例を示した図である。
【図7】住宅に対する地震力を算出するために、国土交通省告示(昭和55年建設省告示第1793号)により定められている、第1種〜第3種地盤の種別に応じた地盤の固有周期Tc を示した図である。
【図8】住宅に対する地震力を算出するために、国土交通省告示(昭和55年建設省告示第1793号)により定められている、第1種〜第3種地盤の種別に応じた標準せん断力係数Co を示した図である。
【図9】住宅に対する地震力を算出するために、実測により地盤周期を求めて地盤の種別を判定するための方法を説明するための図である。
【図10】本発明の第1の地震力算出方法により動的耐震性能診断を行う際における判定のためのテーブルを示した図である。
【図11】本発明の第2の地震力算出方法により動的耐震性能診断を行う際における判定のためのテーブルを示した図である。
【図12】本発明における動的耐震性能診断において壁の補強の検討を行う場合に用意される、住宅における壁の平面図の一例を示した図である。
【図13】本発明における動的耐震性能診断において実際の震度を当てはめた場合に想定された損傷の程度を説明するための図である。
【図14】テストハウスを用いた本発明における動的耐震性能診断において、2階建て住宅の高さhの部分に水平地震力H1が作用する場合の引抜き力の計算方法について説明するための図である。
【図15】本発明により補強が施される場合の補強構造の一例を説明するための図である。
【図16】本発明により補強が施される場合の補強構造の他の例を説明するための図である。
【図17】本発明により補強が施される場合の補強構造の更に他の例を説明するための図である。
【図18】図1に示された解析器で実行される第1の解析処理プログラムに基づく解析処理の流れを示したフローチャート図である。
【図19】図1に示された解析器で実行される第2の解析処理プログラムに基づく解析処理の流れを示したフローチャート図である。
【図20】図1に示された解析器で実行される第3の解析処理プログラムに基づく解析処理の流れを示したフローチャート図である。
【図21】本発明による建物の偏心率の算出を説明するための図である。
【図22】本発明による壁の補強の他の例を説明するための建物の平面図である。
【図23】補強が考慮されている建物の現在の壁量を説明するための平面図である。
【図24】本発明の他の例による壁の補強方法の流れを説明するためのフローチャート図である。
【図25】本発明の他の例による壁の補強方法の流れを説明するためのフローチャート図である。
【符号の説明】
20 加振機
21、22 第1、第2の加速度検出器
41、73 柱
42、72 土台
43 布基礎
51 鉄筋
52 コンクリートの打増し部
54、63、74 補強金具
55 ボルト
56 アンカーボルト
61 はり
62 壁
Claims (12)
- 地盤上に建てられた建物に第1の加速度検出器を備えた加振機を配置すると共に第2の加速度検出器を配置して加振を行い、前記第1、第2の加速度検出器の加速度検出信号と前記加振機の加振周波数との関係から前記建物の固有周波数fh と、該固有周波数fh での加速度応答倍率τh とを求めるステップと、
あらかじめ知られている建物の重量Wh 、前記固有周波数fh 、前記加速度応答倍率τh を用いてあらかじめ定められた第1の式に基づいて建物の動的水平剛性Kを算出するステップと、
あらかじめ定められた第2の式に基づいて建物に作用する地震力Qを算出するステップと、
算出された動的水平剛性Kからせん断力Kθを算出して算出されたせん断力Kθと地震力Qとを比較してKθ<Qの場合に補強の必要性ありと判別するステップとを含むことを特徴とする動的耐震性能診断方法。 - 請求項1に記載の動的耐震性能診断方法において、前記第1の式は、
K=[{(2π・fh )2 ・Wh /g}/τh ]・k(但し、gは重力の加速度980cm/sec2 、kは建物の建築年数、構造によりあらかじめ決められる1以下の係数)
で与えられることを特徴とする動的耐震性能診断方法。 - 請求項1あるいは2に記載の動的耐震性能診断方法において、前記第2の式は、
Q=Wh ・Ci (但し、Ci は地震層せん断力係数)
で与えられ、
Ci =Z・Rt ・Ai ・Co ・V(但し、Zは地域に応じてあらかじめ設定されている数値、Rt は前記地盤と建物の振動特性に応じて得られる数値、Ai は地震層せん断力係数の高さ方向分布数値、Co は標準せん断力係数、Vは建物の老朽度等の条件によりあらかじめ決められる定数)
で与えられることを特徴とする動的耐震性能診断方法。 - 請求項3に記載の動的耐震性能診断方法において、前記動的水平剛性K、前記せん断力Kθ、前記地震力Qの算出はそれぞれ、水平面上において互いに直交するX軸、Y軸に関して行われ、前記せん断力Kθと前記地震力Qとの比較もX軸、Y軸に関して行われることを特徴とする動的耐震性能診断方法。
- 請求項1あるいは2に記載の動的耐震性能診断方法において、前記第2の式は、
Qm =Wh ・Cmax ・Ai ・V(但し、Cmax は地表面での加速度の最大値、Ai は地震層せん断力係数の高さ方向分布数値、Vは建築年数や建物の構造によりあらかじめ与えられる1以下の係数)
で与えられ、
Cmax =Amax ・τg (但し、Amax はあらかじめ決められている式により与えられる工学的基盤での最大加速度、τg は前記地盤の加速度応答倍率)で与えられることを特徴とする動的耐震性能診断方法。 - 請求項5に記載の動的耐震性能診断方法において、前記地盤の加速度応答倍率τg は、地盤上に前記加振機を配置すると共に前記第1、第2の加速度検出器を一定間隔をおいて配置して加振を行い、前記第1、第2の加速度検出器の加速度検出信号と前記加振機の加振周波数との関係から前記地盤の固有周波数fg を求めて、該固有周波数fg での加速度応答倍率をτg として求めることを特徴とする動的耐震性能診断方法。
- 請求項5あるいは6に記載の動的耐震性能診断方法において、前記動的水平剛性K、前記せん断力Kθ、前記地震力Qの算出はそれぞれ、水平面上において互いに直交するX軸、Y軸に関して行われ、前記せん断力Kθと前記地震力Qとの比較もX軸、Y軸に関して行われることを特徴とする動的耐震性能診断方法。
- 請求項4あるいは7に記載の動的耐震性能診断方法において、更に、補強の必要性ありと判定されて建物の壁の補強を壁の一部に施す場合にどの程度にするかを壁の有効壁倍率β´として算出するステップを含み、
β´={B・(β−1)+b}/b(但し、BはX軸あるいはY軸方向の有効壁倍率1の存在壁量、βは建物の壁全体の有効壁倍率、bはX軸あるいはY軸方向の複数箇所に補強を行う場合の補強壁量)
で与えられ、
β=Q/Kθ
L=B・β(但し、LはX軸あるいはY軸方向の補強壁量の総延長量)
で与えられることを特徴とする動的耐震性能診断方法。 - 請求項1〜8のいずれかに記載の動的耐震性能診断方法において、前記加振機を正弦波で加振することを特徴とする動的耐震性能診断方法。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の動的耐震性能診断方法において、前記加振機を疑似地震波またはランダム波で加振することを特徴とする動的耐震性能診断方法。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の動的耐震性能診断方法において、
前記第2の加速度検出器を少なくとも2個備え、
水平面上において互いに直交するX軸、Y軸の一方の軸上に前記少なくとも2個の第2の加速度検出器を配置し、他方の軸に関する加振を行うと共に前記少なくとも2個の加速度検出器の出力が実質的に等しくなるように前記加振機を前記一方の軸に関して位置決めし、
続いて、前記他方の軸上に前記少なくとも2個の第2の加速度検出器を配置し、前記一方の軸に関する加振を行うと共に前記少なくとも2個の加速度検出器の出力が実質的に等しくなるように前記加振機を前記他方の軸に関して位置決めし、
X軸、Y軸に関して位置決めされた位置を動的な剛心位置とし、該動的な剛心位置と前記加振機の設置面において建物に関して計算された重心位置とから偏心率を算出することを特徴とする動的耐震性能診断方法。 - 請求項1〜10のいずれかに記載の動的耐震性能診断方法において、
前記第2の加速度検出器を少なくとも2個備え、
前記加振機の設置面においてあらかじめ建物に関して計算された重心位置あるいはその近傍に前記加振機を配置し、
水平面上において互いに直交するX軸あるいはY軸軸上に前記少なくとも2個の第2の加速度検出器を配置し、Y軸あるいはX軸に関する加振を行って少なくとも2つの加速度値Yw、YeあるいはXn、Xsを得るようにし、
続いて、Y軸あるいはX軸軸上に前記少なくとも2個の第2の加速度検出器を配置し、X軸あるいはY軸に関する加振を行って少なくとも2つの加速度値Xn、XsあるいはYw、Yeを得るようにし、
建物の設置地域に予想される推定地震力に対して安全である加速度値または振幅値を計算して該計算された加速度値または振幅値になるような建物の壁の補強を行うことにより、補強の結果、2つの加速度値XnとXsとが略等しくなると共に、2つの加速度値YwとYeとが略等しくなるようにすることを特徴とする動的耐震性能診断方法。
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