JP2004025001A - 廃液処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】有害物質を含む廃液を常温常圧で、かつコンパクトな装置で処理廃棄物量の削減を図る。
【解決手段】廃液2を貯留する廃液受け入れタンク1、電解槽4内に陽極8と陰極9を有する電解部5と隔板7で仕切られた沈降部6を有する電解装置3、電解装置3で処理された電解処理水12を流入し曝気処理する曝気装置14、電解装置3で発生するスラッジ水18を濃縮する濃縮装置22を具備している。
【選択図】 図1
【解決手段】廃液2を貯留する廃液受け入れタンク1、電解槽4内に陽極8と陰極9を有する電解部5と隔板7で仕切られた沈降部6を有する電解装置3、電解装置3で処理された電解処理水12を流入し曝気処理する曝気装置14、電解装置3で発生するスラッジ水18を濃縮する濃縮装置22を具備している。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は廃液処理装置に係り、特に廃液中に油分や粘性のある有機物、重金属、窒素またはリンなどの有害物質を含む廃液処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、油分や粘性のある有機物、窒素またはリンを含む廃液処理としては、微生物処理法が主流である。これは微生物の生息する汚泥を入れた処理装置において、廃液中に含まれる有機分を微生物が餌として分解消費、または窒素を嫌気性および好気性の微生物が呼吸分解、リンを微生物の体内摂取で除去するものである。
【0003】
重金属を含む廃液処理には、従来から主流として薬剤沈殿法が知られている。これは重金属の種類に対応して何種類かの薬剤を添加することで、重金属を不溶性沈殿物とするものである。重金属を含む廃液処理プロセスは煩雑であり、また最終的に重金属のすべてを沈降させるまでにはかなりの時間を要し、また、近年強化されてきた排水基準に対しては、十分な処理性能が得られない課題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、水温や有機物濃度、溶存酸素濃度あるいは非定常の混入物質などが微生物の生息に大きく影響するため、これらを厳密に管理する必要があり、仮に一度微生物が死滅すると、その処理装置に含まれる全ての微生物汚泥を二次廃棄物として排出し、新規な汚泥と交換する必要がある。
【0005】
また、生物を利用する方法であるために迅速な処理速度を得ることが難しく、そのため処理装置の規模が必然的に巨大なものとなり、近年強化されていきた排水基準に対して、安定して十分な水質を維持することが困難であり、特に最近注目される塩素系有機物に対しては処理性能が非常に低く、さらに微生物を死滅させてしまうなど多くの課題がある。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、特に一般的に処理が難しいとされる油分や粘性を有する有機物、または重金属あるいは窒素、リンなどを含む廃液に対して、常温常圧で、優れた処理性能を発揮するコンパクトな装置で処理廃棄物量の削減を図ることができる廃液処理装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、廃液受け入れタンクと、このタンクで攪拌,加熱された廃液を流入し、電解部と沈降部が隔板で隔てられ、前記電解部に陰極とイオンが凝集作用を有する陽極が交互に複数配置された電解装置と、この電解装置の電解処理水を受け入れ、内部に散気管を有する内槽とオーバーフロー水を受ける外槽とからなる曝気装置と、前記電解装置で発生するスラッジ水を濃縮する濃縮装置と、前記電解装置で発生するスラッジ水を前記廃液受け入れタンクまたは前記曝気装置の内槽に戻す戻しラインとを具備したことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、廃液受け入れタンクと、このタンクで攪拌,加熱された廃液を流入し、電解部と沈降部が隔板で隔てられ、前記電解部に陰極とイオンが凝集作用を有する陽極が交互に複数配置された電解装置と、この電解装置の電解処理水を受け入れ、内部に散気管を有する内槽とオーバーフロー水を受ける外槽とからなる曝気装置と、この曝気装置の曝気処理水をろ過するろ過装置と、前記電解装置で発生するスラッジ水または前記ろ過装置で発生する逆洗水を濃縮する濃縮装置と、前記電解装置で発生するスラッジ水または前記ろ過装置で発生する逆洗水を前記廃液受け入れタンクまたは前記曝気装置の内槽に戻す戻しラインとを具備したことを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記電解装置は直列に複数段配置されてなることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、前記散気管の散気ノズルから空気またはオゾンを散気することを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、前記電解装置で発生するスラッジ水またはろ過装置で発生する逆洗水を廃液受け入れタンクに入れる戻しラインを設けてなることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、前記濃縮装置において、前記電解装置で発生するスラッジ水または前記ろ過装置で発生する逆洗水を濃縮する中空糸膜を組み込んでなることを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、前記電解装置の電解部の底部に散気管を設置してなることを特徴とする。
請求項8に係る発明は、前記電解装置で発生するスラッジ水または前記ろ過装置で発生する逆洗水を前記曝気装置の内槽に入れる系路を設けてなることを特徴とする。
【0013】
請求項9に係る発明は、前記廃液受け入れタンクに、廃液を受け入れる内槽と前記オーバーフロー水を受ける外槽とを設けた二重構造とし、前記内槽の底部に散気管を配置してなることを特徴とする。
【0014】
請求項10に係る発明は、前記廃液受け入れタンク内に沈降した沈降物と前記電解装置で発生するスラッジ水または前記ろ過装置で発生する逆洗水とを混ぜ合わせ前記濃縮装置で濃縮する系路を設けてなることを特徴とする。
【0015】
つぎに、請求項1に係る発明の作用について説明する。
廃液受け入れタンクに攪拌機および加熱機を設置する。攪拌機は廃液を水質を均一化し、あるいはタンク底部への沈降物の蓄積を防止する。また、必要に応じて加熱することも可能で、この場合は反応効率がより優れる。
【0016】
電解処理を行う電解槽には電解部と沈降部が設けられており、廃液は電解部を通り沈降部へ進む構造となっている。電解部には陰極とイオンが凝集作用を有する陽極が交互に複数段配置されている。電解部の上部は開口しており、その開口部を移動可能な掻き取り板が設置されている。
【0017】
前記電解部において電気分解を行うと、陽極から発生するイオンによって廃液中の有機物は凝集し、リンは不溶物化する。また、電気分解による酸化還元作用または水酸化物化作用によって廃液中の重金属は不溶物化し、窒素は窒素ガス化あるいは不溶物化する。さらに、電気分解により陰極から発生する気泡が付着することによって廃液中の有機物の凝集物、リンや重金属、窒素などの不溶物は、スラッジとして電解部の開口部へ浮上する。
【0018】
電解部と沈降部は上層部が通水可能な邪魔板と下層部が通水可能な邪魔板で仕切られているため、浮上スラッジが電解処理水に混入することを防止できる。電解部の開口部に設置された掻き取り板が移動すると、開口部より上方のスラッジが系外に運ばれることになる。
【0019】
曝気を行う曝気装置は、その底部に散気管を持ち、電解処理水を受け入れる内槽と、オーバーフロー水を受ける外槽により構成されている。内槽では、その底部の散気管より空気等の散気がなされ、それによって電解処理水のpH調整、または発泡成分や揮発成分等の除去が行われる。
【0020】
濃縮装置では電解装置で発生するスラッジ水を固液分離あるいは蒸発乾固等によって脱水濃縮し、最終的に発生する廃棄物量を減少できる。戻しラインでは電解装置で発生するスラッジ水を廃液受け入れタンクまたは曝気装置の内槽に戻し、本来廃棄されるスラッジの凝集効果を活用することで廃棄物量の削減することができる。
【0021】
つぎに、請求項2に係る発明の作用について説明する。
廃液受け入れタンクに攪拌機および加熱機を設置する。攪拌機は廃液を水質を均一化し、タンク底部への沈降物の蓄積を防止する。また、必要に応じて加熱することも可能で、この場合は反応効率がより優れる。
【0022】
電解装置において電解を行う電解槽には電解部と沈降部があり、廃液は電解部を通り沈降部へ進む構造となっている。電解部には陰極とイオンが凝集作用を有する陽極が交互に複数段配置されている。電解部の上部は開口しており、その開口部を移動可能な掻き取り板が設置されている。前記電解部において電気分解を行うと、陽極から発生するイオンによって廃水中の有機物は凝集し、リンは不溶物化する。
【0023】
また、電気分解による酸化還元作用あるいは水酸化物化作用によって廃液中の重金属は不溶物化し、窒素は窒素ガス化あるいは不溶物化する。さらに、電気分解により陰極から発生する気泡が付着することによって廃液中の有機物の凝集物、リンや重金属、窒素の不溶物は、スラッジとして電解部の開口部へ浮上する。
【0024】
電解部と沈降部は上層部が通水可能な邪魔板と下層部が通水可能な邪魔板で仕切られているため、浮上スラッジが電解処理水に混入することを防止できる。電解部の開口部に設置された掻き取り板が移動すると、開口部より上方のスラッジが系外に運ばれることになる。
【0025】
曝気装置において、曝気を行う曝気槽は、その底部に散気管を持ち、電解処理水を受け入れる内槽と、オーバーフロー水を受ける外槽により構成されている。内槽では、その底部の散気管より空気等の散気がなされ、それによって電解処理水のpH調整、あるいは発泡成分や揮発成分等の除去が行われる。
【0026】
ろ過装置では曝気処理水に含まれる固形分が、ろ過膜によりろ過されることで除去される。濃縮装置では電解装置で発生するスラッジ水またはろ過装置で発生する逆洗水を固液分離または蒸発乾固等によって脱水濃縮し、最終的に発生する廃棄物量を減ずる。
【0027】
戻しラインでは電解装置で発生するスラッジ水またはろ過装置で発生する逆洗水を廃液受け入れタンクあるいは曝気装置の内槽に戻し、本来廃棄されるスラッジの凝集効果を活用することで廃棄物量の削減することができる。
【0028】
電解装置において電解部と沈降部を有する電解槽を直列に複数段配置することにより、初段の電解槽において廃液の大きな水質変動やリーク、あるいは電極の不調等の予想外の事象があったとしても安定した電解処理水質を維持できる。
【0029】
また、曝気装置において、曝気装置の内槽の底部に設置された散気管から散気する気体として空気を使用することで、電解処理水がアルカリ性である場合、空気中の炭酸イオンが溶解することで電解処理水を中和できる。電解処理水中に発泡成分が含まれる場合には、泡沫分離する。揮発成分が含まれる場合には気層へと排出する。また、散気管から散気する気体としてはオゾンを使用する。オゾンを使用した場合、電解処理水に含まれる有機成分は二酸化炭素まで分解され、溶解金属成分はオゾンによる酸化反応によって不溶解成分化できる。
【0030】
電解装置で発生するスラッジ水、またはろ過装置で発生する逆洗水に含まれる陽極溶出成分には凝集効果が残存しているため、それらを廃液受け入れタンクまたは曝気装置の内槽に入れて廃液中の有機物を凝集させることで電解による陽極成分の溶出を抑制し、それによって廃棄物量を削減することが可能となる。
【0031】
廃液受け入れタンクにおいて、加熱機により廃液を加熱すると、凝集効果を持つ陽極溶出成分による廃液中の有機物の凝集またはリンの不溶物化、あるいは電解酸化還元作用や水酸化物化作用による重金属の不溶物化、窒素の窒素ガス化あるいは不溶物化などが熱力学的に加速されるため、反応効率が向上する。この場合、反応温度は50℃以上とすることが望ましい。
【0032】
濃縮装置において、電解装置で発生するスラッジ水あるいはろ過装置で発生する逆洗水の濃縮には中空糸膜型ろ過膜を使用する。中空糸膜は逆洗により再利用でき、また通常のろ過膜と比べても多大な表面積を持つため、大きな処理能力を有する濃縮装置またはろ過装置を構成することができる。
【0033】
電解装置において、電解部の底部に散気管を設置することで、散気によって陰極および陽極へのスケールを抑制できる。また、散気による電解部の攪拌効果により凝集効果を持つ陽極溶出成分が廃液中の有機物の凝集またはリンの不溶物化、あるいは電解酸化還元作用や水酸化物化作用による重金属の不溶物化、窒素の窒素ガス化あるいは不溶物化などの反応効率を向上できる。
【0034】
曝気装置において、曝気装置の内槽に電解装置で発生するスラッジ水あるいはろ過装置で発生する逆洗水を入れ曝気すると、電解処理水中の有機物とスラッジ水あるいは逆洗水に含まれる陽極溶出成分が凝集結合して高分子で軽い特性を持つ凝集物となるため、これらを容易に曝気槽の外槽へとオーバーフローすることができる。
【0035】
廃液受け入れタンクの構造を、廃液を受け入れる内槽とオーバーフロー水を受ける外槽の二重構造としてその内槽の底部に散気管を配置したものにすれば、廃液受け入れタンクの内槽での散気によって軽い懸濁分や発泡成分など外槽へと分離することが可能となる。
【0036】
廃液受け入れタンク内の廃液の上澄み水だけを電解装置に送ることにより、廃液中の不溶解成分による電解槽底部への沈殿物の堆積、または電極表面へのスケーリングなどのトラブルを抑制できる。
【0037】
廃液受け入れタンクにおいて、タンク底部に沈降した沈降物に電解装置で発生するスラッジ水またはろ過装置で発生する逆洗水を混ぜ合わせれば、沈降物の主成分である有機物とスラッジ水あるいは逆洗水に含まれる陽極溶出成分が凝集結合するため、濃縮装置での濃縮を容易にすることができる。前記沈降物とスラッジ水または逆洗水の凝集結合物は高分子でかつ軽いという特性を有している。そのため、廃液受け入れタンクの底部に散気管を設置して散気することで、容易に系外へオーバーフローさせることができる。
【0038】
ろ過装置において、ろ過装置のろ過膜に中空糸膜を使用することにより、平面状のろ過膜に対して大きい表面積が得られるため、処理流量を増加することができる。
【0039】
ろ過装置と濃縮装置で使用する中空糸膜を同一のものとすれば、ろ過装置の規模を縮小することができ、濃縮装置で電解装置で発生したスラッジ水を濃縮した場合、またはろ過装置逆洗水に含まれる凝集効果を有する陽極溶出成分によって中空糸膜表面の付着物を凝集除去する効果が得られる。
【0040】
【発明の実施の形態】
図1により本発明に係る廃液処理装置の第1の実施の形態を説明する。
図1中、符号1は廃液受け入れタンクで、このタンク1内には有害物質を含んだ廃液2が収納される。廃液受け入れタンク1には、攪拌機または加熱機(図示せず)が設置される。符号3は廃液2を電解処理するための電解装置で、この電解装置3の電解槽4内は電解部5と沈降部6が隔板7により隔てられている。電解部5はイオンが凝集作用を有する陽極8と陰極9が交互に複数配置され、陽極8と陰極9に直流電圧を印加する直流電源10が設置され、電解部5上方の開口部に掻き取り板11が設けられたものからなっている。
【0041】
電解装置3には電解時に発生するスラッジ水を受け入れるスラッジ水受け入れタンク13が設けられている。電解槽4の電解処理水12は曝気装置14へ送られる。曝気装置14は電解処理水12を受け入れる内槽15と、曝気処理時のオーバーフロー水を受ける外槽16で構成されている。内槽15内には底部に散気ノズル17aを有する散気管17が配置されている。電解装置3で発生するスラッジ水はスラッジ水タンク18に受け入れられる。
【0042】
スラッジ水タンク18は廃液受け入れタンク戻しライン19、曝気装置戻しライン20および濃縮装置供給ライン21を接続し、スラッジ水は廃液受け入れタンク1、曝気装置14または濃縮装置24に必要に応じて供給される。
【0043】
この第1の実施の形態において、廃液受け入れタンク1には攪拌機または加熱機を配置することで、攪拌および加熱ができる。廃液2の上澄み液のみを電解装置3に送ることもできる。また、電解槽4を内槽と外槽の二重構造とし、内槽内部に散気ノズルを有する散気管を設置することもでき、この場合には電解槽4内で発生するスラッジ水を混ぜ合わせ、さらに散気処理することも可能である。
【0044】
電解槽4の電解部5の陽極8としては、イオンが凝集作用を有するものを使用し、特に鉄あるいはアルミニウムを主成分とするものが実用的で、電解部5の陰極9としてはステンレス鋼(SUS)等の安価な材質が実用的である。電解装置3は処理性能を向上させるために直列に複数段配置することが望ましく、また、電解部5の底部に散気管を配置して散気することも可能である。
【0045】
曝気装置14では散気管17の散気ノズル17aから空気を曝気するものが標準的であるが、必要に応じてオゾンを使用することもできる。また、電解槽4内で発生するスラッジ水18を曝気装置14の内槽15に入れて処理することもできる。濃縮装置22では中空糸膜を使用すると効率が優れる。また、廃液受け入れタンク1の底部に沈降する沈降物は電解装置3で発生するスラッジ水を混ぜ合わせると処理しやすい。
【0046】
この第1の実施の形態において、廃液2はまず廃液受け入れタンク1に通水され、続いて電解槽4の電解部5から沈降部6、次いで曝気装置14の内槽15を通水して曝気処理水24となる。
【0047】
つぎに、本実施の形態の具体的な実施例を図1により説明する。
廃液2として作業用衣服と下着および靴下を合わせた被洗物を中性洗剤で洗濯した廃液を使用した。電解槽4内の電解部5の陽極8としてアルミニウム電極、陰極9としてSUS電極を使用した。印加電流の密度を1.5A/m2、曝気装置14の曝気に空気、曝気流量を20〜30L/minとし、装置全体の処理流量を20L/hとして試験を実施した。その結果、廃液2の化学的酸素要求量(以下、CODと記す)濃度が170.4ppmであったのに対し、処理水12のCOD濃度は24.4ppmと減少させることができた。
【0048】
曝気装置14において、水温を50℃、曝気の気体にオゾンを使用したところ、曝気処理水のCODは5ppm以下となった。廃液受け入れタンク1に電解装置3で発生するスラッジ水を混ぜ合わせ散気処理したところ、廃液2の懸濁固化(以下、SSと記す)濃度が282ppmであったのに対し、曝気処理水24のSS濃度は10ppm以下となった。電解装置3の電解部5の底部に散気ノズル17aを有する散気管17を配置し散気した。その結果、試験後の電解部5には沈降物がほとんど認められなかった。
【0049】
曝気装置14の内槽15に電解槽4内で発生するスラッジ水を曝気装置戻しライン20を通して入れ、散気した。その結果、廃液2のSS濃度が28ppmであったのに対して、曝気処理水24のSS濃度は20ppm以下となったことが認められた。また、同様にして、濃縮装置供給ライン21を通してスラッジ水を濃縮装置22内に流入し中空糸ろ過膜26で濃縮した。その結果、廃液2のSS濃度を5倍以上にできることが認められた。また、中空糸ろ過膜26を逆洗した結果、ろ過差圧は初期状態とほぼ同一となることが認められた。
【0050】
つぎに、図1と同一部分には同一符号を付した図2により本発明に係る廃液処理装置の第2の実施の形態を説明する。なお、図2中、図1と重複する部分の説明は省略する。
本実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、図2に示したように曝気装置14で曝気処理された曝気処理水24をろ過装置25に流入してろ過し、ろ液27を得ることにある。ろ過装置25には中空糸ろ過膜26が組み込まれている。
【0051】
また、ろ過装置25で発生する洗浄水の一部を廃液受け入れタンク1に戻すことができ、さらに、廃液受け入れタンク1に電解装置3で発生するスラッジ水またはろ過装置25で発生する逆洗水を混ぜ合わせ、さらに散気処理できる配管系統にする。
【0052】
電解槽4内の電解部5の陽極8としてはイオンが凝集作用を有するものを使用し、特に鉄あるいはアルミニウムを主成分とするものが実用的で、電解部5の陰極9としてはSUS等の安価な材質が実用的である。電解槽4は処理性能を向上させるために直列に複数段配置することが望ましく、電解部5の底部には散気管を配置して散気することも可能である。
【0053】
本実施の形態によれば、ろ過装置ではろ過膜として中空糸ろ過膜を使用すると処理能力を大きくできる。この中空糸ろ過膜を濃縮装置22においても使用することもできる。曝気装置14では散気管17から空気を曝気するものが標準的であるが、必要に応じて空気の代りにオゾンを使用することもできる。
【0054】
電解装置3で発生するスラッジ水あるいはろ過装置25で発生する逆洗水を曝気装置14の内槽15に入れて曝気処理することもできる。濃縮装置22では中空糸膜を使用すると効率的である。また、廃液受け入れタンク1の底部に沈降する沈降物に電解装置3で発生するスラッジ水またはろ過装置25で発生する逆洗水を混ぜ合わせると処理し易くなる。
【0055】
つぎに、本実施の形態の具体的な実施例を図2により説明する。廃液2はまず廃液受け入れタンク1に通水され、続いて電解装置3の電解槽4の電解部5から沈降部6、次いで曝気装置14の内槽15を通水し、最後にろ過装置24でろ過膜内を通水する。
【0056】
ここで、廃液として作業用衣服を中性洗剤で洗濯した廃液を使用する。電解槽4の電解部5の陽極8としてアルミニウム電極、陰極9としてSUS電極を使用する。印加する電流の密度を1.5A/m2、曝気装置14の曝気に空気、曝気流量を20〜30L/min、ろ過装置25のろ過膜として孔径が0.1μmの中空糸状ろ過膜を使用する。
【0057】
ろ過圧力を1.5kgf/cm2とし、装置全体の処理流量を20L/hとして試験を実施した。その結果、廃液のCOD濃度が116ppm、SS濃度が156ppmであったのに対し、ろ液27のCOD濃度は13ppm、SS濃度は5ppm以下と減少させることができた。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、一般に処理が困難とされる油分や粘性を有する有機物、重金属、窒素、リンなどの有害物質を含む廃液に対して、これらの有害物質を同時に、常温常圧で処理でき、かつ、廃棄物量の削減を図ることができ、しかもコンパクトな廃液処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る廃液処理装置の第1の実施の形態を示す系統図。
【図2】本発明に係る廃液処理装置の第2の実施の形態を示す系統図。
【符号の説明】
1…廃液受け入れタンク、2…廃液、3…電解装置、4…電解槽、5…電解部、6…沈降部、7…隔板、8…陽極、9…陰極、10…直流電源、11…掻き取り板、12…電解処理水、13…スラッジ水受け入れタンク、14…曝気装置、15…内槽、16…外槽、17…散気管、17a…散気ノズル、18…スラッジ水タンク、19…廃液受け入れタンク戻しライン、20…曝気装置戻しライン、21…濃縮装置供給ライン、22…濃縮装置、23…濃縮処理液、24…曝気処理水、25…ろ過装置、26…中空糸ろ過膜、27…ろ液。
【発明の属する技術分野】
本発明は廃液処理装置に係り、特に廃液中に油分や粘性のある有機物、重金属、窒素またはリンなどの有害物質を含む廃液処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、油分や粘性のある有機物、窒素またはリンを含む廃液処理としては、微生物処理法が主流である。これは微生物の生息する汚泥を入れた処理装置において、廃液中に含まれる有機分を微生物が餌として分解消費、または窒素を嫌気性および好気性の微生物が呼吸分解、リンを微生物の体内摂取で除去するものである。
【0003】
重金属を含む廃液処理には、従来から主流として薬剤沈殿法が知られている。これは重金属の種類に対応して何種類かの薬剤を添加することで、重金属を不溶性沈殿物とするものである。重金属を含む廃液処理プロセスは煩雑であり、また最終的に重金属のすべてを沈降させるまでにはかなりの時間を要し、また、近年強化されてきた排水基準に対しては、十分な処理性能が得られない課題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、水温や有機物濃度、溶存酸素濃度あるいは非定常の混入物質などが微生物の生息に大きく影響するため、これらを厳密に管理する必要があり、仮に一度微生物が死滅すると、その処理装置に含まれる全ての微生物汚泥を二次廃棄物として排出し、新規な汚泥と交換する必要がある。
【0005】
また、生物を利用する方法であるために迅速な処理速度を得ることが難しく、そのため処理装置の規模が必然的に巨大なものとなり、近年強化されていきた排水基準に対して、安定して十分な水質を維持することが困難であり、特に最近注目される塩素系有機物に対しては処理性能が非常に低く、さらに微生物を死滅させてしまうなど多くの課題がある。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、特に一般的に処理が難しいとされる油分や粘性を有する有機物、または重金属あるいは窒素、リンなどを含む廃液に対して、常温常圧で、優れた処理性能を発揮するコンパクトな装置で処理廃棄物量の削減を図ることができる廃液処理装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、廃液受け入れタンクと、このタンクで攪拌,加熱された廃液を流入し、電解部と沈降部が隔板で隔てられ、前記電解部に陰極とイオンが凝集作用を有する陽極が交互に複数配置された電解装置と、この電解装置の電解処理水を受け入れ、内部に散気管を有する内槽とオーバーフロー水を受ける外槽とからなる曝気装置と、前記電解装置で発生するスラッジ水を濃縮する濃縮装置と、前記電解装置で発生するスラッジ水を前記廃液受け入れタンクまたは前記曝気装置の内槽に戻す戻しラインとを具備したことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、廃液受け入れタンクと、このタンクで攪拌,加熱された廃液を流入し、電解部と沈降部が隔板で隔てられ、前記電解部に陰極とイオンが凝集作用を有する陽極が交互に複数配置された電解装置と、この電解装置の電解処理水を受け入れ、内部に散気管を有する内槽とオーバーフロー水を受ける外槽とからなる曝気装置と、この曝気装置の曝気処理水をろ過するろ過装置と、前記電解装置で発生するスラッジ水または前記ろ過装置で発生する逆洗水を濃縮する濃縮装置と、前記電解装置で発生するスラッジ水または前記ろ過装置で発生する逆洗水を前記廃液受け入れタンクまたは前記曝気装置の内槽に戻す戻しラインとを具備したことを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記電解装置は直列に複数段配置されてなることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、前記散気管の散気ノズルから空気またはオゾンを散気することを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、前記電解装置で発生するスラッジ水またはろ過装置で発生する逆洗水を廃液受け入れタンクに入れる戻しラインを設けてなることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、前記濃縮装置において、前記電解装置で発生するスラッジ水または前記ろ過装置で発生する逆洗水を濃縮する中空糸膜を組み込んでなることを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、前記電解装置の電解部の底部に散気管を設置してなることを特徴とする。
請求項8に係る発明は、前記電解装置で発生するスラッジ水または前記ろ過装置で発生する逆洗水を前記曝気装置の内槽に入れる系路を設けてなることを特徴とする。
【0013】
請求項9に係る発明は、前記廃液受け入れタンクに、廃液を受け入れる内槽と前記オーバーフロー水を受ける外槽とを設けた二重構造とし、前記内槽の底部に散気管を配置してなることを特徴とする。
【0014】
請求項10に係る発明は、前記廃液受け入れタンク内に沈降した沈降物と前記電解装置で発生するスラッジ水または前記ろ過装置で発生する逆洗水とを混ぜ合わせ前記濃縮装置で濃縮する系路を設けてなることを特徴とする。
【0015】
つぎに、請求項1に係る発明の作用について説明する。
廃液受け入れタンクに攪拌機および加熱機を設置する。攪拌機は廃液を水質を均一化し、あるいはタンク底部への沈降物の蓄積を防止する。また、必要に応じて加熱することも可能で、この場合は反応効率がより優れる。
【0016】
電解処理を行う電解槽には電解部と沈降部が設けられており、廃液は電解部を通り沈降部へ進む構造となっている。電解部には陰極とイオンが凝集作用を有する陽極が交互に複数段配置されている。電解部の上部は開口しており、その開口部を移動可能な掻き取り板が設置されている。
【0017】
前記電解部において電気分解を行うと、陽極から発生するイオンによって廃液中の有機物は凝集し、リンは不溶物化する。また、電気分解による酸化還元作用または水酸化物化作用によって廃液中の重金属は不溶物化し、窒素は窒素ガス化あるいは不溶物化する。さらに、電気分解により陰極から発生する気泡が付着することによって廃液中の有機物の凝集物、リンや重金属、窒素などの不溶物は、スラッジとして電解部の開口部へ浮上する。
【0018】
電解部と沈降部は上層部が通水可能な邪魔板と下層部が通水可能な邪魔板で仕切られているため、浮上スラッジが電解処理水に混入することを防止できる。電解部の開口部に設置された掻き取り板が移動すると、開口部より上方のスラッジが系外に運ばれることになる。
【0019】
曝気を行う曝気装置は、その底部に散気管を持ち、電解処理水を受け入れる内槽と、オーバーフロー水を受ける外槽により構成されている。内槽では、その底部の散気管より空気等の散気がなされ、それによって電解処理水のpH調整、または発泡成分や揮発成分等の除去が行われる。
【0020】
濃縮装置では電解装置で発生するスラッジ水を固液分離あるいは蒸発乾固等によって脱水濃縮し、最終的に発生する廃棄物量を減少できる。戻しラインでは電解装置で発生するスラッジ水を廃液受け入れタンクまたは曝気装置の内槽に戻し、本来廃棄されるスラッジの凝集効果を活用することで廃棄物量の削減することができる。
【0021】
つぎに、請求項2に係る発明の作用について説明する。
廃液受け入れタンクに攪拌機および加熱機を設置する。攪拌機は廃液を水質を均一化し、タンク底部への沈降物の蓄積を防止する。また、必要に応じて加熱することも可能で、この場合は反応効率がより優れる。
【0022】
電解装置において電解を行う電解槽には電解部と沈降部があり、廃液は電解部を通り沈降部へ進む構造となっている。電解部には陰極とイオンが凝集作用を有する陽極が交互に複数段配置されている。電解部の上部は開口しており、その開口部を移動可能な掻き取り板が設置されている。前記電解部において電気分解を行うと、陽極から発生するイオンによって廃水中の有機物は凝集し、リンは不溶物化する。
【0023】
また、電気分解による酸化還元作用あるいは水酸化物化作用によって廃液中の重金属は不溶物化し、窒素は窒素ガス化あるいは不溶物化する。さらに、電気分解により陰極から発生する気泡が付着することによって廃液中の有機物の凝集物、リンや重金属、窒素の不溶物は、スラッジとして電解部の開口部へ浮上する。
【0024】
電解部と沈降部は上層部が通水可能な邪魔板と下層部が通水可能な邪魔板で仕切られているため、浮上スラッジが電解処理水に混入することを防止できる。電解部の開口部に設置された掻き取り板が移動すると、開口部より上方のスラッジが系外に運ばれることになる。
【0025】
曝気装置において、曝気を行う曝気槽は、その底部に散気管を持ち、電解処理水を受け入れる内槽と、オーバーフロー水を受ける外槽により構成されている。内槽では、その底部の散気管より空気等の散気がなされ、それによって電解処理水のpH調整、あるいは発泡成分や揮発成分等の除去が行われる。
【0026】
ろ過装置では曝気処理水に含まれる固形分が、ろ過膜によりろ過されることで除去される。濃縮装置では電解装置で発生するスラッジ水またはろ過装置で発生する逆洗水を固液分離または蒸発乾固等によって脱水濃縮し、最終的に発生する廃棄物量を減ずる。
【0027】
戻しラインでは電解装置で発生するスラッジ水またはろ過装置で発生する逆洗水を廃液受け入れタンクあるいは曝気装置の内槽に戻し、本来廃棄されるスラッジの凝集効果を活用することで廃棄物量の削減することができる。
【0028】
電解装置において電解部と沈降部を有する電解槽を直列に複数段配置することにより、初段の電解槽において廃液の大きな水質変動やリーク、あるいは電極の不調等の予想外の事象があったとしても安定した電解処理水質を維持できる。
【0029】
また、曝気装置において、曝気装置の内槽の底部に設置された散気管から散気する気体として空気を使用することで、電解処理水がアルカリ性である場合、空気中の炭酸イオンが溶解することで電解処理水を中和できる。電解処理水中に発泡成分が含まれる場合には、泡沫分離する。揮発成分が含まれる場合には気層へと排出する。また、散気管から散気する気体としてはオゾンを使用する。オゾンを使用した場合、電解処理水に含まれる有機成分は二酸化炭素まで分解され、溶解金属成分はオゾンによる酸化反応によって不溶解成分化できる。
【0030】
電解装置で発生するスラッジ水、またはろ過装置で発生する逆洗水に含まれる陽極溶出成分には凝集効果が残存しているため、それらを廃液受け入れタンクまたは曝気装置の内槽に入れて廃液中の有機物を凝集させることで電解による陽極成分の溶出を抑制し、それによって廃棄物量を削減することが可能となる。
【0031】
廃液受け入れタンクにおいて、加熱機により廃液を加熱すると、凝集効果を持つ陽極溶出成分による廃液中の有機物の凝集またはリンの不溶物化、あるいは電解酸化還元作用や水酸化物化作用による重金属の不溶物化、窒素の窒素ガス化あるいは不溶物化などが熱力学的に加速されるため、反応効率が向上する。この場合、反応温度は50℃以上とすることが望ましい。
【0032】
濃縮装置において、電解装置で発生するスラッジ水あるいはろ過装置で発生する逆洗水の濃縮には中空糸膜型ろ過膜を使用する。中空糸膜は逆洗により再利用でき、また通常のろ過膜と比べても多大な表面積を持つため、大きな処理能力を有する濃縮装置またはろ過装置を構成することができる。
【0033】
電解装置において、電解部の底部に散気管を設置することで、散気によって陰極および陽極へのスケールを抑制できる。また、散気による電解部の攪拌効果により凝集効果を持つ陽極溶出成分が廃液中の有機物の凝集またはリンの不溶物化、あるいは電解酸化還元作用や水酸化物化作用による重金属の不溶物化、窒素の窒素ガス化あるいは不溶物化などの反応効率を向上できる。
【0034】
曝気装置において、曝気装置の内槽に電解装置で発生するスラッジ水あるいはろ過装置で発生する逆洗水を入れ曝気すると、電解処理水中の有機物とスラッジ水あるいは逆洗水に含まれる陽極溶出成分が凝集結合して高分子で軽い特性を持つ凝集物となるため、これらを容易に曝気槽の外槽へとオーバーフローすることができる。
【0035】
廃液受け入れタンクの構造を、廃液を受け入れる内槽とオーバーフロー水を受ける外槽の二重構造としてその内槽の底部に散気管を配置したものにすれば、廃液受け入れタンクの内槽での散気によって軽い懸濁分や発泡成分など外槽へと分離することが可能となる。
【0036】
廃液受け入れタンク内の廃液の上澄み水だけを電解装置に送ることにより、廃液中の不溶解成分による電解槽底部への沈殿物の堆積、または電極表面へのスケーリングなどのトラブルを抑制できる。
【0037】
廃液受け入れタンクにおいて、タンク底部に沈降した沈降物に電解装置で発生するスラッジ水またはろ過装置で発生する逆洗水を混ぜ合わせれば、沈降物の主成分である有機物とスラッジ水あるいは逆洗水に含まれる陽極溶出成分が凝集結合するため、濃縮装置での濃縮を容易にすることができる。前記沈降物とスラッジ水または逆洗水の凝集結合物は高分子でかつ軽いという特性を有している。そのため、廃液受け入れタンクの底部に散気管を設置して散気することで、容易に系外へオーバーフローさせることができる。
【0038】
ろ過装置において、ろ過装置のろ過膜に中空糸膜を使用することにより、平面状のろ過膜に対して大きい表面積が得られるため、処理流量を増加することができる。
【0039】
ろ過装置と濃縮装置で使用する中空糸膜を同一のものとすれば、ろ過装置の規模を縮小することができ、濃縮装置で電解装置で発生したスラッジ水を濃縮した場合、またはろ過装置逆洗水に含まれる凝集効果を有する陽極溶出成分によって中空糸膜表面の付着物を凝集除去する効果が得られる。
【0040】
【発明の実施の形態】
図1により本発明に係る廃液処理装置の第1の実施の形態を説明する。
図1中、符号1は廃液受け入れタンクで、このタンク1内には有害物質を含んだ廃液2が収納される。廃液受け入れタンク1には、攪拌機または加熱機(図示せず)が設置される。符号3は廃液2を電解処理するための電解装置で、この電解装置3の電解槽4内は電解部5と沈降部6が隔板7により隔てられている。電解部5はイオンが凝集作用を有する陽極8と陰極9が交互に複数配置され、陽極8と陰極9に直流電圧を印加する直流電源10が設置され、電解部5上方の開口部に掻き取り板11が設けられたものからなっている。
【0041】
電解装置3には電解時に発生するスラッジ水を受け入れるスラッジ水受け入れタンク13が設けられている。電解槽4の電解処理水12は曝気装置14へ送られる。曝気装置14は電解処理水12を受け入れる内槽15と、曝気処理時のオーバーフロー水を受ける外槽16で構成されている。内槽15内には底部に散気ノズル17aを有する散気管17が配置されている。電解装置3で発生するスラッジ水はスラッジ水タンク18に受け入れられる。
【0042】
スラッジ水タンク18は廃液受け入れタンク戻しライン19、曝気装置戻しライン20および濃縮装置供給ライン21を接続し、スラッジ水は廃液受け入れタンク1、曝気装置14または濃縮装置24に必要に応じて供給される。
【0043】
この第1の実施の形態において、廃液受け入れタンク1には攪拌機または加熱機を配置することで、攪拌および加熱ができる。廃液2の上澄み液のみを電解装置3に送ることもできる。また、電解槽4を内槽と外槽の二重構造とし、内槽内部に散気ノズルを有する散気管を設置することもでき、この場合には電解槽4内で発生するスラッジ水を混ぜ合わせ、さらに散気処理することも可能である。
【0044】
電解槽4の電解部5の陽極8としては、イオンが凝集作用を有するものを使用し、特に鉄あるいはアルミニウムを主成分とするものが実用的で、電解部5の陰極9としてはステンレス鋼(SUS)等の安価な材質が実用的である。電解装置3は処理性能を向上させるために直列に複数段配置することが望ましく、また、電解部5の底部に散気管を配置して散気することも可能である。
【0045】
曝気装置14では散気管17の散気ノズル17aから空気を曝気するものが標準的であるが、必要に応じてオゾンを使用することもできる。また、電解槽4内で発生するスラッジ水18を曝気装置14の内槽15に入れて処理することもできる。濃縮装置22では中空糸膜を使用すると効率が優れる。また、廃液受け入れタンク1の底部に沈降する沈降物は電解装置3で発生するスラッジ水を混ぜ合わせると処理しやすい。
【0046】
この第1の実施の形態において、廃液2はまず廃液受け入れタンク1に通水され、続いて電解槽4の電解部5から沈降部6、次いで曝気装置14の内槽15を通水して曝気処理水24となる。
【0047】
つぎに、本実施の形態の具体的な実施例を図1により説明する。
廃液2として作業用衣服と下着および靴下を合わせた被洗物を中性洗剤で洗濯した廃液を使用した。電解槽4内の電解部5の陽極8としてアルミニウム電極、陰極9としてSUS電極を使用した。印加電流の密度を1.5A/m2、曝気装置14の曝気に空気、曝気流量を20〜30L/minとし、装置全体の処理流量を20L/hとして試験を実施した。その結果、廃液2の化学的酸素要求量(以下、CODと記す)濃度が170.4ppmであったのに対し、処理水12のCOD濃度は24.4ppmと減少させることができた。
【0048】
曝気装置14において、水温を50℃、曝気の気体にオゾンを使用したところ、曝気処理水のCODは5ppm以下となった。廃液受け入れタンク1に電解装置3で発生するスラッジ水を混ぜ合わせ散気処理したところ、廃液2の懸濁固化(以下、SSと記す)濃度が282ppmであったのに対し、曝気処理水24のSS濃度は10ppm以下となった。電解装置3の電解部5の底部に散気ノズル17aを有する散気管17を配置し散気した。その結果、試験後の電解部5には沈降物がほとんど認められなかった。
【0049】
曝気装置14の内槽15に電解槽4内で発生するスラッジ水を曝気装置戻しライン20を通して入れ、散気した。その結果、廃液2のSS濃度が28ppmであったのに対して、曝気処理水24のSS濃度は20ppm以下となったことが認められた。また、同様にして、濃縮装置供給ライン21を通してスラッジ水を濃縮装置22内に流入し中空糸ろ過膜26で濃縮した。その結果、廃液2のSS濃度を5倍以上にできることが認められた。また、中空糸ろ過膜26を逆洗した結果、ろ過差圧は初期状態とほぼ同一となることが認められた。
【0050】
つぎに、図1と同一部分には同一符号を付した図2により本発明に係る廃液処理装置の第2の実施の形態を説明する。なお、図2中、図1と重複する部分の説明は省略する。
本実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、図2に示したように曝気装置14で曝気処理された曝気処理水24をろ過装置25に流入してろ過し、ろ液27を得ることにある。ろ過装置25には中空糸ろ過膜26が組み込まれている。
【0051】
また、ろ過装置25で発生する洗浄水の一部を廃液受け入れタンク1に戻すことができ、さらに、廃液受け入れタンク1に電解装置3で発生するスラッジ水またはろ過装置25で発生する逆洗水を混ぜ合わせ、さらに散気処理できる配管系統にする。
【0052】
電解槽4内の電解部5の陽極8としてはイオンが凝集作用を有するものを使用し、特に鉄あるいはアルミニウムを主成分とするものが実用的で、電解部5の陰極9としてはSUS等の安価な材質が実用的である。電解槽4は処理性能を向上させるために直列に複数段配置することが望ましく、電解部5の底部には散気管を配置して散気することも可能である。
【0053】
本実施の形態によれば、ろ過装置ではろ過膜として中空糸ろ過膜を使用すると処理能力を大きくできる。この中空糸ろ過膜を濃縮装置22においても使用することもできる。曝気装置14では散気管17から空気を曝気するものが標準的であるが、必要に応じて空気の代りにオゾンを使用することもできる。
【0054】
電解装置3で発生するスラッジ水あるいはろ過装置25で発生する逆洗水を曝気装置14の内槽15に入れて曝気処理することもできる。濃縮装置22では中空糸膜を使用すると効率的である。また、廃液受け入れタンク1の底部に沈降する沈降物に電解装置3で発生するスラッジ水またはろ過装置25で発生する逆洗水を混ぜ合わせると処理し易くなる。
【0055】
つぎに、本実施の形態の具体的な実施例を図2により説明する。廃液2はまず廃液受け入れタンク1に通水され、続いて電解装置3の電解槽4の電解部5から沈降部6、次いで曝気装置14の内槽15を通水し、最後にろ過装置24でろ過膜内を通水する。
【0056】
ここで、廃液として作業用衣服を中性洗剤で洗濯した廃液を使用する。電解槽4の電解部5の陽極8としてアルミニウム電極、陰極9としてSUS電極を使用する。印加する電流の密度を1.5A/m2、曝気装置14の曝気に空気、曝気流量を20〜30L/min、ろ過装置25のろ過膜として孔径が0.1μmの中空糸状ろ過膜を使用する。
【0057】
ろ過圧力を1.5kgf/cm2とし、装置全体の処理流量を20L/hとして試験を実施した。その結果、廃液のCOD濃度が116ppm、SS濃度が156ppmであったのに対し、ろ液27のCOD濃度は13ppm、SS濃度は5ppm以下と減少させることができた。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、一般に処理が困難とされる油分や粘性を有する有機物、重金属、窒素、リンなどの有害物質を含む廃液に対して、これらの有害物質を同時に、常温常圧で処理でき、かつ、廃棄物量の削減を図ることができ、しかもコンパクトな廃液処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る廃液処理装置の第1の実施の形態を示す系統図。
【図2】本発明に係る廃液処理装置の第2の実施の形態を示す系統図。
【符号の説明】
1…廃液受け入れタンク、2…廃液、3…電解装置、4…電解槽、5…電解部、6…沈降部、7…隔板、8…陽極、9…陰極、10…直流電源、11…掻き取り板、12…電解処理水、13…スラッジ水受け入れタンク、14…曝気装置、15…内槽、16…外槽、17…散気管、17a…散気ノズル、18…スラッジ水タンク、19…廃液受け入れタンク戻しライン、20…曝気装置戻しライン、21…濃縮装置供給ライン、22…濃縮装置、23…濃縮処理液、24…曝気処理水、25…ろ過装置、26…中空糸ろ過膜、27…ろ液。
Claims (10)
- 廃液受け入れタンクと、このタンクで攪拌,加熱された廃液を流入し、電解部と沈降部が隔板で隔てられ、前記電解部に陰極とイオンが凝集作用を有する陽極が交互に複数配置された電解装置と、この電解装置の電解処理水を受け入れ、内部に散気管を有する内槽とオーバーフロー水を受ける外槽とからなる曝気装置と、前記電解装置で発生するスラッジ水を濃縮する濃縮装置と、前記電解装置で発生するスラッジ水を前記廃液受け入れタンクまたは前記曝気装置の内槽に戻す戻しラインとを具備したことを特徴とする廃液処理装置。
- 廃液受け入れタンクと、このタンクで攪拌,加熱された廃液を流入し、電解部と沈降部が隔板で隔てられ、前記電解部に陰極とイオンが凝集作用を有する陽極が交互に複数配置された電解装置と、この電解装置の電解処理水を受け入れ、内部に散気管を有する内槽とオーバーフロー水を受ける外槽とからなる曝気装置と、この曝気装置の曝気処理水をろ過するろ過装置と、前記電解装置で発生するスラッジ水または前記ろ過装置で発生する逆洗水を濃縮する濃縮装置と、前記電解装置で発生するスラッジ水または前記ろ過装置で発生する逆洗水を前記廃液受け入れタンクまたは前記曝気装置の内槽に戻す戻しラインとを具備したことを特徴とする廃液処理装置。
- 前記電解装置は直列に複数段配置されてなることを特徴とする請求項1または2記載の廃液処理装置。
- 前記散気管の散気ノズルから空気またはオゾンを散気することを特徴とする請求項1または2記載の廃液処理装置。
- 前記電解装置で発生するスラッジ水またはろ過装置で発生する逆洗水を廃液受け入れタンクに入れる戻しラインを設けてなることを特徴とする請求項1または2記載の廃液処理装置。
- 前記濃縮装置において、前記電解装置で発生するスラッジ水または前記ろ過装置で発生する逆洗水を濃縮する中空糸膜を組み込んでなることを特徴とする請求項1または2記載の廃液処理装置。
- 前記電解装置の電解部の底部に散気管を設置してなることを特徴とする請求項1または2記載の廃液処理装置。
- 前記電解装置で発生するスラッジ水または前記ろ過装置で発生する逆洗水を前記曝気装置の内槽に入れる系路を設けてなることを特徴とする請求項1または2記載の廃液処理装置。
- 前記廃液受け入れタンクに、廃液を受け入れる内槽と前記オーバーフロー水を受ける外槽とを設けた二重構造とし、前記内槽の底部に散気管を配置してなることを特徴とする請求項1または2記載の廃液処理装置。
- 前記廃液受け入れタンク内に沈降した沈降物と前記電解装置で発生するスラッジ水または前記ろ過装置で発生する逆洗水とを混ぜ合わせ前記濃縮装置で濃縮する系路を設けてなることを特徴とする請求項1または2記載の廃液処理装置。
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KR20210033628A (ko) * | 2019-09-19 | 2021-03-29 | 큰산기술 주식회사 | 지하수 처리 시스템 |
WO2023234008A1 (ja) * | 2022-06-03 | 2023-12-07 | 東京応化工業株式会社 | 還元剤供給システム、還元剤供給方法、及びケミカルループ反応システム |
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2002
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