JP2004023600A - 中継装置 - Google Patents

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Abstract

【目的】従来のディジタル放送に比べて安定性、品質およびセキュリティに優れるディジタル放送を実現する中継装置を提供することを目的とする。
【構成】中継装置であって、一連の映像・音声に関する複数のMPEG2パケットが1つのMPEG2トランスポートストリームとして1つのチャンネルに変調されている放送信号を受信する放送受信器と、前記放送受信器から出力される複数のMPEG2パケットを、複数のIP(インターネットプロトコル)パケット(当該IPパケットのペイロードには、各MPEG2パケットの一部またはすべてが格納され、当該IPパケットのIPヘッダには、宛先アドレスとして、IPマルチキャストアドレスが格納される。)に変換し、当該複数のIPパケットをIPストリームとして、受信装置が接続されたIP網に出力する、変換器と、を備えるように構成する。
【選択図】     図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、中継装置に関し、特に、ディジタル放送を、IP(インターネットプロトコル)で動作する通信網を介して配信する中継装置に関する。
以下、本明細書においては、ディジタルに係るテレビ放送をディジタル放送といい、アナログに係るテレビ放送をアナログ放送という。
【0002】
【従来の技術】
[ディジタル放送と、衛星放送・地上波放送・CATVなど]
近年、衛星放送や地上波放送などの無線媒体に係るディジタル放送は、無線媒体に係るアナログ放送と同様に、アンテナと所定の受信機を設置することにより、視聴できる。
【0003】
また、電波による受信を補完する手段としての有線媒体に係るディジタル放送(たとえば、CATV(Cable Television:ケーブルテレビ)などを用いたディジタル放送など)は、有線媒体に係るアナログ放送と同様に、受信点で受信した信号を伝送品質の安定した有線媒体で受信でき、良好な受信点を選択すれば、新たなビルの建築などにより視聴者の周辺の電波環境が変化しても、安定してテレビ放送を視聴できる。
【0004】
[ディジタル放送と、ADSL・FTTHなど]
また、近年、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)やFTTH(Fiber To The Home)などのブロードバンドと呼ばれる安価で広帯域の通信サービスが普及しつつあり、インターネット上では、動画・音声のストリーム配信が行われている。
従来より、ディジタル放送を、このインターネット上で配信することが考えられている。
【0005】
[ディジタル放送と、暗号化]
また、ディジタル放送では、有料番組における視聴管理などのため、放送コンテンツに暗号処理を行う場合がある。この場合、放送事業者は、伝送路上での放送信号の蓄積の困難さに期待して、比較的強度の低い暗号処理を行っている。
【0006】
[アナログからディジタルへ]
したがって、近年は、テレビ放送が、アナログからディジタルに移行しつつある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
[衛星放送・地上波放送・CATVなどでディジタル放送を行う場合の問題]しかし、近年は、都市開発の進捗などにより、アンテナの設置およびアンテナによる放送電波の受信が困難になりつつある。したがって、近年、衛星放送や地上波放送などでは、デジタル放送どころか、アナログ放送でさえも、その受信が困難になりつつある。
【0008】
また、CATVなどで使用する同軸ケーブルは、使用できる周波数帯域が限られている。したがって、近年、CATVなどでは、放送メディアの増大により、デジタル放送どころか、アナログ放送についてさえも、新たに使用できる帯域の枯渇が問題になっている。
【0009】
[ADSL・FTTHなどでディジタル放送を行う場合の問題]
また、ADSL・FTTHなどでは、Webページを用いて番組表が提供されるが、この提供される番組表には、各番組名が、各番組の配信先であるマルチキャストアドレスと対応付けられて記載されている。
したがって、ADSL・FTTHなどでディジタル放送を行う場合には、ザッピングなどのようにテレビ特有の視聴動作について支障の出ることが考えられる。
【0010】
他方、ディジタル放送では、符号化された映像・音声の情報とともに、電子番組表(EPG:Electronic Program Guide)を生成する情報(以下、「番組配列情報」という。)が同時に伝送され、視聴者は、電子番組表により番組選択を行っている。
【0011】
しかし、ADSL・FTTHなどを用いた従来のディジタル放送では、Webページにより番組表が提供されているのみで、上記電子番組表を生成する番組配列情報の伝送については何らの対策が採られていなかった。
【0012】
したがって、ADSLやFTTHなどを用いた従来のディジタル放送と、衛星放送や地上波放送やCATVなどを用いたディジタル放送とでは、視聴者の番組選択について、差異を生じさせていた。
【0013】
[従来のディジタル放送で用いられている暗号方式の問題点]
また、インターネットプロトコルによる伝送路では市販のパソコンなどにより容易にパケットの蓄積およびモニタが可能である。このため、従来の暗号方式では、パソコンなどにパケットを一旦蓄積した後、暗号化の行われている放送コンテンツを時間をかけて解読することにより、平分の放送コンテンツが得られる。したがって、従来の暗号方式では、放送事業者の意図しない放送コンテンツの複製が行われる可能性がある。
【0014】
[ディジタル化の障害]
以上説明したように、従来のディジタル放送には数多くの問題があったため、これらの問題が、テレビ放送のアナログ放送からディジタル放送への移行にとって、大きな障害になっていた。
【0015】
[本発明の目的]
そこで、本発明は、かかる事情に鑑み、従来のディジタル放送に比べて安定性、品質およびセキュリティに優れるディジタル放送を実現する中継装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記課題は、前記特許請求の範囲に記載の手段により解決される。
【0017】
すなわち、請求項1に記載の発明は、1つのMPEG2トランスポートストリーム(当該1つのMPEG2トランスポートストリームには、複数のサービスに関するMPEG2パケットが混在する。)が、1つのチャンネルに変調されている放送信号を受信する放送受信器と、
前記放送受信器から出力される複数のMPEG2パケットを、複数のIP(インターネットプロトコル)パケット(当該IPパケットのペイロードには、各MPEG2パケットの一部またはすべてが格納され、当該IPパケットのIPヘッダには、宛先アドレスとして、IPマルチキャストアドレスが格納される。)に変換し、当該複数のIPパケットをIPストリームとして、受信装置が接続されたIP網に出力する、変換器と、を備えたことを特徴とする中継装置である。
【0018】
ここで、ペイロードとは、ATMセルやフレームなどで、ヘッダ部分を除いた実データ伝送する情報フィールドをいう。
【0019】
請求項1に記載の発明によれば、中継装置は、インターネットプロトコルで動作するIP網の一端に設置され、放送信号を受信し、これをIPマルチキャストで視聴者に配信する。したがって、請求項1に記載の発明によれば、放送信号を多くの視聴者に効率的に配信することができる。
【0020】
請求項1に記載の発明によれば、中継装置が、放送受信器から出力される各MPEG2パケットを各IPパケットにそのまま格納する。したがって、請求項1に記載の発明によれば、衛星放送やCATVなどにおける放送の品質(たとえば、画質など)を維持しつつ、IP網においてディジタル放送を配信できる。
【0021】
請求項2に記載の発明は、前記変換器からIP網に出力される1つのIPストリームは、1つのMPEG2トランスポートストリームに対応することを特徴とする請求項1に記載の中継装置である。
【0022】
請求項2に記載の発明によれば、中継装置において、1つのMPEG2トランスポートストリームが1つのIPストリームに変換される。したがって、請求項2に記載の発明によれば、放送事業者によるテレビ放送を、その番組編成を崩すことなく、そのままIP網上で配信できる。
【0023】
請求項3に記載の発明は、前記放送受信器が受信する放送信号は、第1のネットワーク情報テーブルを含み、前記変換器は、当該第1のネットワーク情報テーブルを、新たに定義される第2のネットワーク情報テーブルに置換える、ことを特徴とする請求項1に記載の中継装置である。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、ネットワーク情報テーブル(以下、「NIT:Network Information Table」という。)がIP網において置換えられる。したがって、請求項3に記載の発明によれば、視聴者宅などに設置された受信装置は、番組の配信条件が変更されても、この番組に関するMPEG2トランスポートストリームのサービスIDのみを手掛かりに、番組選択のために必要な動作を行うことができる。
【0025】
請求項4に記載の発明は、前記第2のネットワーク情報テーブルは、前記MPEG2トランスポートストリームに含まれる各サービスを特定するサービスID、および当該MPEG2トランスポートストリームの配信先のIPマルチキャストアドレスまたはポート番号のどちらか一方あるいは両方、を含むことを特徴とする請求項3に記載の中継装置である。
【0026】
請求項4に記載の発明によれば、第2のNITの中に、サービスIDとマルチキャストアドレスまたはポート番号を含ませることにより、サービスIDをキーとして、該当するマルチキャストアドレスとポート番号を検索できる。
【0027】
請求項5に記載の発明は、前記第2のネットワーク情報テーブルは、前記MPEG2トランスポートストリームと関連付けられた第1および第2の記述子を含み、
前記第1の記述子は、当該MPEG2トランスポートストリームに含まれる各サービスを特定するサービスIDを含み、
前記第2の記述子は、当該MPEG2トランスポートストリームの配信先のIPマルチキャストアドレスあるいはポート番号のどちらか一方あるいは両方を含む、ことを特徴とする請求項4に記載の中継装置である。
【0028】
請求項5に記載の発明は、第2のNITの中に、サービスIDとマルチキャストアドレスまたはポート番号を記述子として記述する。
したがって、請求項5に記載の発明によれば、他の放送媒体とNIT本体を共通化することができ、送信手段の変化に対応する柔軟性を持つディジタル放送を実現できる。
【0029】
請求項6に記載の発明は、前記端末は、番組視聴に係るIPストリームを受信していない場合には、マルチキャストのストリームであって、少なくともネットワーク情報テーブルを含む番組視聴に係らないストリーム(以下、「番組視聴に係らないIPマルチキャストストリーム」という。)を受信する、ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のIP放送中継装置である。
【0030】
本発明に係る受信装置は、起動時などでは特定の番組を視聴しておらず、このため番組が含まれているマルチキャストのストリームを受信していないことが予想される。
請求項6に記載の発明によれば、受信装置は、上記のような場合には少なくともNITを含むマルチキャストのストリームを受信するため、サービスIDを検索し、どのマルチキャストのストリームに属するかを特定できる。
【0031】
請求項7に記載の発明は、前記番組視聴に係らないIPマルチキャストストリームは、そのIPヘッダに、宛先アドレスとして、224.0.0.1のマルチキャストアドレスが格納されていることを特徴とする請求項6に記載の中継装置である。
【0032】
請求項7に記載の発明によれば、請求項6に記載のマルチキャストのストリームの配信先のアドレスが224.0.0.1とされるため、このストリームをすべての受信装置に配信できる。
【0033】
請求項8に記載の発明は、前記端末は、番組視聴に係るIPストリームを受信していない場合には、ブロードキャストのストリームであって、少なくともネットワーク情報テーブルを含む番組視聴に係らないストリーム(以下、「番組視聴に係らないIPブロードキャストストリーム」という。)を受信する、ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の中継装置である。
【0034】
請求項8に記載の発明によれば、受信装置が起動時に参照するNITを含むストリームを、ブロードキャストによりすべての受信装置に配信できる。
【0035】
請求項9に記載の発明は、前記変換器は、前記放送受信器から出力され各MPEG2パケットの一部またはすべてを暗号化する暗号処理手段を有し、
前記受信装置は、前記IP網を介して受信したIPパケットのペイロードに格納される前記MPEG2パケットに係る暗号を、前記暗号処理手段が施した暗号化に対応する方法で解読する暗号解読手段を有する、ことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の中継装置である。
【0036】
請求項9に記載の発明によれば、放送網での配信とは異なる強度をもつ暗号を放送信号に施すことができるため、IP網において、パケットの蓄積による放送コンテンツの不正なコピーを防止できる。
【0037】
請求項10に記載の発明は、前記変換器は、前記IP網に出力するIPパケットのペイロードの一部またはすべてを暗号化する暗号処理手段を有し、
前記受信装置は、前記IP網を介して受信したIPパケットのペイロードに係る暗号を、前記暗号処理手段が施した暗号化に対応する方法で解読する暗号解読手段を有する、ことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の中継装置である。
【0038】
請求項10に記載の発明によれば、放送網における暗号とは異なる強度をもつ暗号を放送信号に施すことができる。また、請求項10に記載の発明によれば、IPパケットに暗号処理を施すことにより、MPEG2ヘッダも含めたコンテンツ全体を不正なモニタや複製などから守ることができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下に、添付した図面を参照しつつ、本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0040】
図9は、本発明の実施の形態に係る中継装置を用いたIP放送配信システムの構成例を示す図である。
放送センタは、放送衛星に放送電波を送信し、放送衛星は、放送センタから送信された放送電波を受信して、これを中継装置に送信する。
そして、中継装置は、放送衛星から送信された放送電波を受信し、IP網(インターネットプロトコルによるパケット通信が行われる網)を介して接続された視聴者宅の受信装置に、IPマルチキャストによる放送信号の配信を行う。
なお、上記中継装置およびIP網は配信会社により、上記放送センタは放送会社により、それぞれ個別に管理運営される。
【0041】
図3は、図9のIP放送配信システムにおける放送センタの構成例を示す図である。
放送センタは、放送番組を構成する映像・音声を符号化し、これを電波によって放送衛星に送信する機能をもつ。
【0042】
テレビカメラやビデオレコーダなどの映像ソースから送られた映像信号は、MPEG2エンコーダにより、符号化され、MPEG2トランスポートストリーム(以下、単に「MPEG2ストリーム」という。)を構成する複数のパケット(以下、このパケットを「MPEG2パケット」という。)に変換される。
【0043】
MPEG2システムでは、1つのMPEG2ストリームに複数の番組を多重して伝送できる。このため、図3に示すように、映像ソースやMPEG2エンコーダなどは、放送センタにおいて、並列に複数設置することができる。
【0044】
各映像ソースのMPEG2パケットをMPEG2ストリームのなかから一意に識別できるように、各パケットには、それぞれ識別子(以下、「PID」という。)が付与されている。MPEG2エンコーダから出力されるMPEG2ストリームは、コンテンツCAS(限定受信システム)処理部に入力される。
【0045】
図4は、図3の放送センタにおけるコンテンツCAS処理部の構成例を示す図である。
放送されている番組の視聴を限定できるように、コンテンツCAS処理部に入力されたMPEG2ストリームを構成する各MPEG2パケットは、図4の暗号処理手段において、そのペイロードが暗号化される。この暗号化は、第1の鍵管理手段が管理する鍵Ksにより行われる。
【0046】
この鍵Ksや番組に関連する情報などに基づいて、ECM(Entitlement Control Message)が、ECM生成手段において生成される。生成されたECMは、第2の鍵管理手段が管理する鍵Kwにより暗号化される。
【0047】
また、この鍵Kwや番組を視聴できる視聴者に関する情報などに基づいて、EMM(Entitlement Management Message)が、EMM生成手段により生成される。生成されたEMMは、第3の鍵管理手段が管理する各視聴者のもつ鍵Kmiにより暗号化される。
【0048】
暗号化された、MPEG2ストリーム、ECM、およびEMMは、図4の多重処理手段によって、多重処理された後、コンテンツCAS処理部から出力され、図3に示す多重処理部に入力される。
【0049】
図3に示す多重処理部に入力されたMPEG2ストリームは、PSI/SI生成部が生成したPSI/SIと多重され、変調処理部に入力される。
なお、PSI/SIとは、(Program Specific Information/Service Information)の略であり、番組を特定するためにMPEG2のストリームに付加される番組配列情報である。PSI/SIはプログラムアソシエーションテーブル(PAT)、プログラムマップテーブル(PMT)、限定受信テーブル(CAT)、NITなどディジタル放送システムで標準的に用いられている。
【0050】
変調処理部に入力されたMPEG2ストリームは、変調された後、アンテナから放送衛星へ送信される。
なお、放送センタは、必要により、MPEG2ストリーム本体以外の制御信号などをMPEG2ストリームとともに送信してもよい。また、図3の変調処理部は、必要に応じて、電力拡散やインターリーブなどの処理を行うことができる。
【0051】
放送センタから送信された放送電波は、放送衛星を経て、中継装置に受信される。
【0052】
図1は、本発明の実施の形態に係る中継装置の構成例を示す図である。
放送受信器のアンテナで受信された放送電波は、放送受信器の周波数選択復調部により、周波数選択および所定の復調方式による復調がなされ、MPEG2ストリームとなる。
【0053】
なお、周波数選択復調部は、放送センタからの送信条件に合わせてデインタリーブや電力拡散などの処理を行うことができる。
【0054】
周波数選択復調部から出力されるMPEG2ストリームは、変換器に入力され、パケットフィルタリング部により、ヌルパケットがフィルタリングされる。
インターネットプロトコルを用いたパケット伝送路では、伝送レートが一定である衛星放送とは異なり、ノード間のリンク速度が一定だとしても実効的な伝送速度を一定にする必要はない。したがって、このフィルタリングにより、不要なヌルパケットがフィルタリングされ、帯域の有効利用が図られる。
【0055】
また、パケットフィルタリング部は、フィルタリングによりPSI/SIを抽出する。この抽出されたPSI/SIは、PSI/SI分析部に入力され、原則として、図1の多重処理部に入力される。ただし、NITについては、PSI/SI分析部から、多重処理部ではなく、NIT変換部に入力される。
【0056】
受信装置は、周波数や変調方式などチャンネル選択のために必要な伝送路の物理的条件をNITの記述内容に基づき取得するところ、NITの記述方式は、伝送路の伝送方式により異なる。したがって、NITについては、多重処理部に入力する前に、その記述内容を、衛星放送の記述方式によるものからIP網の記述方式によるものへ変更する必要があるからである。
【0057】
図10は、NITの構造を示す図である。NITの第2ループ中には、伝送媒体に対応した分配システム記述子が記述されている。
本実施の形態においては、この分配システム記述子の記述内容を、衛星放送の記述方式によるものからIP網の記述方式によるものへ変更する必要がある。
【0058】
図11は、IP網で用いる分配システム記述子を示す図である。
以下、この分配システム記述子をIPマルチキャスト分配システム記述子とする。
コンテンツIP網では、IPマルチキャストによりコンテンツを配信する。したがって、MPEG2パケットには、受信機が所定のコンテンツを選択できるように、IPマルチキャストアドレスとポート番号が含まれている。
【0059】
図1の中継装置において、パケットフィルタリング部から出力されるパケット、PSI/SI分析部から出力されるPSI/SI、およびNIT変換部から出力されるNITは、多重処理部で多重されて、再びMPEG2ストリームとなり、IPパケット処理部に出力される。
【0060】
IPパケット処理部に入力されたMPEG2パケットは、IPヘッダおよびUDPヘッダを付与され、IPパケットとして、ネットワークCAS処理部に出力される。なお、上記IPヘッダにおける宛先IPアドレスは、あらかじめ設定されたIPマルチキャストアドレスである。
【0061】
ネットワークCAS処理部に入力されたIPパケットは、図3の放送センタで施されたCASとは異なる暗号化処理を施される。
【0062】
図2は、図1の中継装置のネットワークCAS処理部の構成例を示す図である。
図1のネットワークCAS処理部に入力されたIPパケットは、暗号処理手段に入力され、そのペイロード分が、第1の鍵管理手段が管理する鍵Kdで暗号化され、パケット多重処理手段に入力される。
【0063】
鍵Kdは、鍵配信メッセージ生成手段において、第2の鍵管理手段が有する鍵Koiで暗号化され、鍵配信メッセージとして、パケット多重処理手段に入力される。鍵Koiは視聴者ごとに異なるため、この鍵Koiを用いて生成される鍵配信メッセージも視聴者ごとに異なる。
【0064】
パケット多重処理手段に入力された、暗号化後のIPパケットと鍵配信メッセージとは、IP網に出力され、図9の視聴者宅に設置される受信装置に配信される。
【0065】
図5は、図9のIP放送配信システムにおける受信装置の構成例を示す図である。
受信装置に入力されたIPパケットは、まずネットワークCAS処理部に入力され、そのペイロード分の暗号が解読される。
【0066】
図6は、図5の受信装置におけるネットワークCAS処理部の構成例を示す図である。図5のネットワークCAS処理部に入力されたIPパケットは、IPパケットフィルタリング手段に入力され、フィルタリングされる。このフィルタリング後のIPパケットは、鍵抽出手段と暗号解読手段との双方に入力される。
【0067】
鍵抽出手段は、入力されたIPパケットから、鍵管理手段で管理されている鍵Kpiを用いて、CAS処理のために必要な鍵Kdを抽出する。この鍵Kpiは、中継装置で使用される鍵Koiと同一でもよいし、公開鍵暗号方式を利用することで異なる鍵にしてもよい。
【0068】
このように抽出された鍵Kdは、鍵抽出手段から暗号解読手段部に入力される。
暗号解読手段は、鍵抽出手段から出力された鍵Kdを用いて、IPパケットフィルタリング手段から出力されたIPパケットのペイロードを解読する。
【0069】
なお、鍵Kdの配布は、http(HyperText Transfer Protocol)、tftp(Trivial File TransferProtocol)などのインターネットで汎用的に用いられているプロトコルにより行うことができる。
【0070】
図5のネットワークCAS処理部から出力されたIPパケットは、IPパケット分解部に入力される。IPパケット分解部は、入力されたIPパケットから、このIPパケットにおいてペイロードとして搭載されているMPEG2パケットを抽出し、抽出したMPEG2パケットをMPEG2パケット分離部に出力する。
【0071】
MPEG2パケット分離部に入力されたMPEG2パケットは、PSI/SI、ECMやEMMなどコンテンツ暗号に関する情報、およびエンコードされている映像や音声などのコンテンツの部分に分離される。
【0072】
分離されたPSI/SIは、PSI/SI分析部に入力され、解析される。
分離されたECMやEMMなどコンテンツ暗号に関する情報は、コンテンツCAS処理部へ送られ、必要に応じて放送センタで用いられた鍵Ksを生成するために用いられる。
【0073】
図7は、図5の受信装置におけるコンテンツCAS処理部の構成例を示す図である。
MPEG2のストリームから分離されたEMMは、EMM解析手段に入力される。EMM解析手段は、鍵管理手段で管理されている鍵Kmを用いて、入力されたEMMから鍵Kwを抽出し、これを鍵保持手段に出力する。鍵保持手段は、入力された鍵Kwを一時的に保持し、これを必要に応じてECM解析手段に出力する。
【0074】
MPEG2のストリームから分離されたEMMは、ECM解析手段に入力される。ECM解析手段は、鍵保持手段から出力される鍵Kwを用いて、入力されたECMから鍵Ksを抽出し、これを図5の暗号解読部に出力する。鍵Ksを用いれば、上記分離されたエンコードされている映像や音声などのコンテンツの部分を解読できる。
【0075】
分離された、エンコードされている映像・音声などのコンテンツの部分は、必要に応じて暗号解読部に送られ、コンテンツCAS処理部から出力される鍵Ksを用いて暗号解読される。
【0076】
暗号解読された映像・音声などのコンテンツは、MPEG2デコード部を介して表示処理部に入力される。
表示処理部に入力された映像・音声などのコンテンツは、必要な処理が行われた後、映像・音声としてテレビ画面やスピーカなどの映像音声出力部から出力される。
【0077】
以上説明したように、図5の受信装置は、ネットワークCAS処理部とコンテンツCAS処理部という2つのCAS処理部を有している。これらCAS処理部は、それぞれ別の鍵を有している。
【0078】
ネットワークCAS処理部でIPパケットの暗号解読に用いられる鍵Kdは、コンテンツ配信会社により管理され、コンテンツ配信会社から、コンテンツの配信に関する契約をした視聴者宅の受信装置に配信される。
【0079】
したがって、本実施の形態によれば、コンテンツ配信会社は、未契約や料金未納などの視聴者がある場合には、上記受信装置においてIPパケットの暗号解読に用いられる鍵Kdを、この視聴者宅の受信装置に配信しないことにより、この視聴者に対してコンテンツの配信を拒絶できる。
【0080】
よって、本実施の形態によれば、視聴者による映像・音声の不正な視聴を防止できる。
【0081】
また、コンテンツ配信会社は、コンテンツの配信に関する契約をした視聴者の鍵Kpiを登録しており、IPパケットの暗号解読に用いられる鍵Kdは、この登録している鍵Kpiで暗号化された後にIP網に出力される。
【0082】
したがって、視聴者が他の視聴者に配信される鍵KdをIPパケットレベルでモニタしても、この鍵Kdは、上述のように、鍵Kpiにより暗号化されているため、鍵Kpiを有しない他の視聴者は、配信されるIPパケットから鍵Kdを抽出できない。
【0083】
図5のコンテンツCAS処理部で用いられる鍵Ks、Kw、Kmも、鍵Kdと同様の方法で放送会社により管理されているため、放送会社は、視聴者が番組を不正に視聴することを防止できる。
【0084】
したがって、本実施の形態によれば、視聴者は、配信会社、放送会社の両者と合意した場合のみ番組を視聴することができる。
よって、本実施の形態によれば、少なくともどちらか一方と契約しない視聴者による、番組の不正な視聴を防止できる。
【0085】
なお、本実施の形態においては、ネットワークCASとしてIPパケットのペイロードに暗号処理が行われるが、本発明においては、MPEG2パケットのペイロードに暗号処理を行うこともできる。この場合は、中継装置が多重化処理、およびIPパケット処理部の間で暗号化処理を行い、受信装置がIPパケット分解の後に解読処理を行う。
【0086】
図8は、図5の受信装置の番組選択動作を説明する図である。
受信装置は、視聴者が操作により視聴する番組を選択すると、現在受信中のMPEG2ストリームからPATを受信する。PATは、MPEG2ストリーム中の放送コンテンツに多重されており、PATには、現在MPEG2ストリームとして放送されている番組のサービスIDとそのサービスIDに対応するPMTが格納されているMPEG2パケットのPIDが記述されている。
【0087】
受信装置は、PATに記述されている番組のサービスIDを検索することによって、視聴者が選択した番組が、現在受信中のマルチキャストストリームに含まれているかどうかを判断できる。
【0088】
受信装置は、上記検索により、PAT内に視聴者が選択したサービスIDを見つけることができなかった場合、現在受信中のMPEG2ストリームからNITを受信する。NITは、PATと同様にMPEG2ストリーム中の放送コンテンツに多重されている。
【0089】
図10は、NITのフォーマットを示す図である。
NIT内のdescriptor()には、各種記述子が記述される。衛星放送などでは、周波数や変調方式などを指定する分配システム記述子がNITの第2ループ内に記述される。
【0090】
本実施の形態ではこれに代わりIPマルチキャストアドレスなどを記述したIPマルチキャスト分配システム記述子を記述する。
【0091】
図11は、IPマルチキャスト分配システム記述子のフォーマットを示す図である。
受信装置は、このIPマルチキャスト分配システム記述子とサービスリスト記述子とを記述することで、該当する番組が送信されているマルチキャストストリームのIPマルチキャストアドレスを検出できる。
【0092】
受信装置は、NITの検索でIPマルチキャストアドレスが判明すると、IPマルチキャストのjoinメッセージの送信により、マルチキャストストリームの受信を開始する。このマルチキャストストリームには、該当するサービスIDを含んだPATが送信されているので、受信装置は、これを受信しPMTのPIDを検出する。
【0093】
PMTには、該当するサービスIDを構成する映像や音声のPIDが記述されている。したがって、受信装置は、必要に応じてCASの処理を行うことで放送を視聴できる。
受信装置は、電源投入時などでは特定の番組を視聴していないため、映像音声などと多重されて伝送されるNITやPATなどの番組配列情報も受信できない。
【0094】
そこで、NITは、映像音声とは別のマルチキャストのストリームでも伝送される。このとき、当該別のマルチキャストのストリームは、宛先アドレスが、224.0.0.1のマルチキャストアドレスとして、すべての受信装置に常時配信される。
【0095】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、視聴者は、視聴者宅にアンテナを設置することなく、中継装置およびIP網を経由することで、ディジタル放送を視聴できる。したがって、視聴者は、高層ビルなどで電波が遮蔽された環境や集合住宅などでアンテナの設置が困難な環境においても安定したテレビ放送を視聴できる。
【0096】
本発明によれば、視聴者宅には、放送信号が格納されたMPEG2パケットがそのままカプセリングされたIPパケットが届けられる。したがって、本発明によれば、IP網上で、衛星放送やCATVなどにおける放送の品質(たとえば、画質など)を維持しつつ、ディジタル放送を配信できる。
【0097】
本発明によれば、放送事業者が実施する暗号処理とともに、IP網および中継装置を運営する事業者が実施する暗号処理が行われる。したがって、本発明によれば、IP網および中継装置を運営する事業者との契約を締結していない視聴者による、IP網を経由したディジタル放送の視聴を防止できる。
【0098】
本発明によれば、IP網の管理の程度に応じて暗号の強度を選択することができる。したがって、本発明によれば、たとえば、放送中のすべてのパケットをモニタして解析することにより、本来は有料である放送番組の不正な視聴を防止できる。
【0099】
本発明によれば、受信装置は、放送網で使用されるサービスIDで番組選択できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る中継装置の構成例を示す図である。
【図2】図1の中継装置のネットワークCAS処理部の構成例を示す図である。
【図3】図9のIP放送配信システムにおける放送センタの構成例を示す図である。
【図4】図3の放送センタにおけるコンテンツCAS処理部の構成例を示す図である。
【図5】図9のIP放送配信システムにおける受信装置の構成例を示す図である。
【図6】図5の受信装置におけるネットワークCAS処理部の構成例を示す図である。
【図7】図5の受信装置におけるコンテンツCAS処理部の構成例を示す図である。
【図8】図5の受信装置の番組選択動作を説明する図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る中継装置を用いたIP放送配信システムの構成例を示す図である。
【図10】NITのフォーマットを示す図である。
【図11】IP網で用いる分配システム記述子を示す図である。

Claims (10)

  1. 1つのMPEG2トランスポートストリーム(当該1つのMPEG2トランスポートストリームには、複数のサービスに関するMPEG2パケットが混在する。)が、1つのチャンネルに変調されている放送信号を受信する放送受信器と、
    前記放送受信器から出力される複数のMPEG2パケットを、複数のIP(インターネットプロトコル)パケット(当該IPパケットのペイロードには、各MPEG2パケットの一部またはすべてが格納され、当該IPパケットのIPヘッダには、宛先アドレスとして、IPマルチキャストアドレスが格納される。)に変換し、当該複数のIPパケットをIPストリームとして、受信装置が接続されたIP網に出力する、変換器と、
    を備えたことを特徴とする中継装置。
  2. 前記変換器からIP網に出力される1つのIPストリームは、1つのMPEG2トランスポートストリームに対応することを特徴とする請求項1に記載の中継装置。
  3. 前記放送受信器が受信する放送信号は、第1のネットワーク情報テーブルを含み、
    前記変換器は、当該第1のネットワーク情報テーブルを、新たに定義される第2のネットワーク情報テーブルに置換える、
    ことを特徴とする請求項1に記載の中継装置。
  4. 前記第2のネットワーク情報テーブルは、
    前記MPEG2トランスポートストリームに含まれる各サービスを特定するサービスID、および当該MPEG2トランスポートストリームの配信先のIPマルチキャストアドレスまたはポート番号のどちらか一方あるいは両方、を含むことを特徴とする請求項3に記載の中継装置。
  5. 前記第2のネットワーク情報テーブルは、前記MPEG2トランスポートストリームと関連付けられた第1および第2の記述子を含み、
    前記第1の記述子は、当該MPEG2トランスポートストリームに含まれる各サービスを特定するサービスIDを含み、
    前記第2の記述子は、当該MPEG2トランスポートストリームの配信先のIPマルチキャストアドレスあるいはポート番号のどちらか一方あるいは両方を含む、
    ことを特徴とする請求項4に記載の中継装置。
  6. 前記端末は、番組視聴に係るIPストリームを受信していない場合には、マルチキャストのストリームであって、少なくともネットワーク情報テーブルを含む番組視聴に係らないストリーム(以下、「番組視聴に係らないIPマルチキャストストリーム」という。)を受信する、ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のIP放送中継装置。
  7. 前記番組視聴に係らないIPマルチキャストストリームは、そのIPヘッダに、宛先アドレスとして、224.0.0.1のマルチキャストアドレスが格納されていることを特徴とする請求項6に記載の中継装置。
  8. 前記端末は、番組視聴に係るIPストリームを受信していない場合には、ブロードキャストのストリームであって、少なくともネットワーク情報テーブルを含む番組視聴に係らないストリーム(以下、「番組視聴に係らないIPブロードキャストストリーム」という。)を受信する、
    ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の中継装置。
  9. 前記変換器は、前記放送受信器から出力され各MPEG2パケットの一部またはすべてを暗号化する暗号処理手段を有し、
    前記受信装置は、前記IP網を介して受信したIPパケットのペイロードに格納される前記MPEG2パケットに係る暗号を、前記暗号処理手段が施した暗号化に対応する方法で解読する暗号解読手段を有する、
    ことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の中継装置。
  10. 前記変換器は、前記IP網に出力するIPパケットのペイロードの一部またはすべてを暗号化する暗号処理手段を有し、
    前記受信装置は、前記IP網を介して受信したIPパケットのペイロードに係る暗号を、前記暗号処理手段が施した暗号化に対応する方法で解読する暗号解読手段を有する、
    ことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の中継装置。
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