JP2004022565A - 受光素子及びそれを用いたカラーセンサ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高解像度で、同時に多色を検出する受光素子及びそれを用いたカラーセンサ装置を提供する。
【解決手段】接合面にて入射光9により起電力を発生するp型半導体(受光層3、5、7)及びn型半導体(受光層4、6、8)を、交互に複数積層することで接合面S1〜S5を形成するとともに、接合面S1〜S5を受光素子の表面から任意の位置に配置することで異なる波長の光の量を検出するようにした受光素子及びその受光素子を平面上に碁盤の目状に複数配列したカラーセンサ装置。
【選択図】 図1
【解決手段】接合面にて入射光9により起電力を発生するp型半導体(受光層3、5、7)及びn型半導体(受光層4、6、8)を、交互に複数積層することで接合面S1〜S5を形成するとともに、接合面S1〜S5を受光素子の表面から任意の位置に配置することで異なる波長の光の量を検出するようにした受光素子及びその受光素子を平面上に碁盤の目状に複数配列したカラーセンサ装置。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、受光素子及びそれを用いたカラーセンサ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ディジタルスチルカメラの普及に伴い、画像入力装置としてCCD(Charge−Coupled Device:電荷結合素子)などのデバイスが多く用いられている。これらは、従来のフィルムカメラのフィルムの位置する場所に、CCDなどの光電変換装置を置くことにより、光学系から得られた画像を電気信号に変換する役割を持つ。
【0003】
光電変換装置となるCCDは、受光素子として多数の画素により構成されている。この画素自体は色を識別することができず、光の強さ(光量)しか検出することができない。そこで、CCDを用いて画像を電気信号に変換する場合、色を識別するために、各画素上にカラーフィルタを被せて、各画素で光の3原色である緑、赤、青の光量を検出することで、画像の色信号を取得する。一般的には、ベイヤー配列と呼ばれるモザイク状に緑、赤、青を配置したカラーフィルタを用いる。ベイヤー配列では、輝度情報及び人間の目の感度特性により緑のカラーフィルタを最も密に、4画素のブロック中2画素配置する。残った1画素ずつに青と赤のカラーフィルタをそれぞれ配置する。上記構造のカラーフィルタを有するCCDを用いて画像の色信号を検出する。その際の色信号を得る方式に関して図8を用いて説明する。
【0004】
図8(a)〜図8(h)は、CCDの画素において色信号を得る手順を示す模式図である。
【0005】
光学系を通った画像は、カラーフィルタを介してCCDの受光素子の画素上に結像する。図8(a)は、モザイク状のベイヤー配列のカラーフィルタを有するCCDの画素上で検出された画像情報である。CCDを構成する各画素では、各々の画素の位置に対応した画像の、各々の画素に配置されたカラーフィルタに対応する色の光量が検出される。例えば、赤色フィルタを有する画素であれば、その位置に対応する画像の赤の光量を検出し、緑色フィルタを有する画素であれば、その位置に対応する画像の緑の光量を検出し、青色フィルタを有する画素であれば、その位置に対応する画像の青の光量を検出する。
【0006】
各画素で検出された画像情報は、各画素のカラーフィルタの色成分毎に分解される。図8(b)は緑成分の画素での画像情報、図8(c)は赤成分の画素での画像情報、図8(d)は青成分の画素での画像情報である。この状態では、各々の画素の位置において、各々の画素の色成分の光量の信号しか存在しない。そのため、これらの信号のみを用いて画像を合成しても、色再現性が低く、解像度が粗い画像しか得られない。
【0007】
そこで、各画素で検出した色成分の信号を利用して、その色成分の画素が存在しない位置の光量を補間する。具体的には、緑成分を検出しない赤成分、青成分の画素の位置の緑成分の光量を、緑成分の画素で検出された光量を用いて補間を行う。他の赤成分、青成分も同様に補間を行う。図8(e)は補間後の緑成分の画像情報、図8(f)は補間後の赤成分の画像情報、図8(g)は補間後の青成分の画像情報である。このように、各画素の位置において、各色成分の光量の検出若しくは補間を行うことで、全画素の位置における全色成分の情報を得ることができる。それらの全画素の位置における全色成分の画像情報を合成することで、図8(h)に示すカラー画像情報を得ることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記モザイク状のカラーフィルタを用いた方式の場合、コストが高いCCDの受光素子が1枚で済むこと、従来のフィルムを用いたカメラの光学系を流用できることから、高画素化を進めることができ、更に大量生産による低コスト化から広く普及している。しかしながら、画素の実際の色情報としては、全画素数の1/2から1/4しか得られず、色再現性、偽色の発生、エッジ部分の再現性などに問題がある。更に、単板の受光素子上に4色以上のカラーフィルタを配置する場合、色数が増えれば増えるほど、全画素数に対する各色の画素数が相対的に減少することになり、より多くの補間が必要になるため、解像度が犠牲となり、色再現性等の問題が不可避となり、現実的には実用不可能であると考えられる。
【0009】
上記方式の他に、プリズムを用いて光の3原色に分光し、それぞれの色を3枚のCCDで受光し処理する方式もあり、プロフェッショナル用途のビデオカメラでは一般的に用いられている。しかしながら、画素数の多いディジタルスチルカメラでは、CCDのプリズムへの張り合わせのコストの問題や熱対策等の技術的困難さから普及には至っていない。又、プリズムの構成及び光の減衰量などから、得られる色数は3色が限界である。
【0010】
更に、上記方式の他に、カラーフィルタを入れていないCCDを組み込んだカメラのレンズの前で、3原色のフィルタを回転させ、3回シャッターを切ることにより、カラー画像を得る方式もある。この場合、シャッターを切る回数及びフィルタの色を増やすことにより、4色以上の色信号を得ることが可能であり、多色のカラーフィルタを回転させて4色以上の多色画像を得る方式が、一部の研究機関で用いられている。
【0011】
この方式では、必要な色信号の回数だけシャッターを切る必要があるため、動きのある被写体を撮影することは原理的に不可能である。更に、非常に古い書物などの文化財は、状態保護の観点からストロボなどの強い光を当てる回数をできるだけ少なくする必要があり、1枚のカラー画像のために3回以上の強い光を当てる必要のあるこの方式は、ストロボ光による被写体へのダメージが大きく、好ましくない。又、この方式で用いる4色以上のカラーフィルタは、セロハンなどの透明な薄膜を着色したものであり、正確な光の波長に沿った色情報の取得は不可能であるため、色の再現性に難がある。
【0012】
従来の技術を用いてディジタル形式でできるだけ多色のカラー画像を撮影するためには、上述のように、色再現性や解像度を犠牲にしてベイヤー配列等のカラーフィルタを用いたCCDカメラを使うか、一般に出回っていないコストの非常にかかる3枚方式のCCDカメラを使うか、被写体に多数回のストロボ光が当たることによるダメージを無視して、回転式カラーフィルタを用いたCCDカメラを使うかしかなかった。
【0013】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、高解像度で、同時に多色を検出する受光素子及びそれを用いたカラーセンサ装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明に係る受光素子は、接合面にて光により起電力を発生するp型半導体及びn型半導体を、交互に複数積層することで前記接合面を複数形成するとともに、前記接合面を前記受光素子の表面から任意の位置に配置することで異なる波長の光の量を検出するようにしたことを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決する本発明に係る受光素子は、接合面にて光により起電力を発生するp型半導体及びn型半導体を、交互に複数積層することで前記接合面を複数形成するとともに、前記接合面の前記受光素子の表面からの配置位置を、前記半導体における複数の波長の光の透過深度の位置とすることで、前記複数の波長の光の量を検出するようにしたことを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決する本発明に係る受光素子は、前記接合面を4以上とし、4種類以上の異なる波長の光を検出することを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決する本発明に係るカラーセンサ装置は、上記いずれかの受光素子を平面上に複数配列したことを特徴とする。
【0018】
上記課題を解決する本発明に係るカラーセンサ装置は、互いに異なる波長の光を検出する上記いずれかの受光素子を2種類以上有し、前記受光素子を平面上に複数配列したことを特徴とする。
【0019】
上記課題を解決する本発明に係るカラーセンサ装置は、前記受光素子の配列を碁盤の目状としたことを特徴とする。
【0020】
上記課題を解決する本発明に係るカラーセンサ装置は、互いに異なる波長の光を検出する前記受光素子を、交互に配列したことを特徴とする。
【0021】
上記課題を解決する本発明に係るカラーセンサ装置は、前記受光素子を、撮影する被写体に応じて、適切な形状に形成し、適切な配置に配列することを特徴とする。
【0022】
上記課題を解決する本発明に係るカラーセンサ装置は、前記受光素子の形状及び配列に、ボロノイ線図を用いたことを特徴とする。
【0023】
上記課題を解決する本発明に係るカラーセンサ装置は、前記受光素子の各接合面にて発生した入射光による起電力の電流値を測定し、前記電流値を用いて前記入射光の異なる波長の光の強度を算出する演算手段を有することを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施形態となる受光素子及びカラーセンサ装置の例を、図及び表を用いて説明する。なお、本発明は図に示すもののみに限定されるものではない。
【0025】
図1は、本発明に係る実施形態の一例を示す受光素子及びカラーセンサ装置である。(a)は受光素子を構成する一つの画素を表す断面図であり、(b)はその受光素子を用いたカラーセンサ装置の平面構成図である。
【0026】
図1(a)に示すように、本実施例の受光素子を構成する画素1は、P型の半導体基板3に深さD5のN型の第5波長受光層4が形成され、その第5波長受光層4内に、深さD5より浅い深さD4のP型の第4波長受光層5が形成され、その第4波長受光層5内に、深さD4より浅い深さD3のN型の第3波長受光層6が形成され、その第3波長受光層6内に、深さD3より浅い深さD2のP型の第4波長受光層7が形成され、その第4波長受光層7内に、深さD2より浅い深さD1のN型の第1波長受光層8が形成されている。
【0027】
つまり、光の波長に対応する受光層の接合面S1〜S5が各波長の透過深度になるように、半導体基板3の厚さ方向に各受光層4〜8が積層されている。これらの積層された受光層4〜8及び半導体基板3は、隣り合う受光層等とpn接合を形成することで、入射光9により光起電力を発生するフォトダイオードが形成されることとなる。その起電力は半導体基板3及び各受光層4〜8に設けられた電極10により外部に出力され、それぞれの電流I1〜I5が電流計等により計測され、各受光層で検出した光量を算出する。
【0028】
近年の半導体素子の製作技術は、非常な微細化が進み、更に、半導体中に積層する層の数も大幅に増えている。これに伴い、数10nm(ナノメートル、1nm=10−9m)の微細な製作制御が可能である。本発明では、半導体素子の作製技術を用いて、例えば、図1(a)に示すように、半導体基板3上に5層の微細な半導体層、第1波長受光層4〜第5波長受光層8を作製する。これらの層をひとつの領域に積層して形成することにより、ディジタルカメラなどに用いる受光素子の1画素を形成する。
【0029】
本発明では、原画像に対して、解像度を犠牲にすることなく、できるだけ正確な色情報を、できるだけ多く検出するために、受光素子が直接検出する色、即ち光の波長を、光の3原色である緑、赤、青に限定しない。例えば本実施例では、検出する色数を5色(紫、青、緑、黄、赤)として、受光層を5つ、即ち接合面を5つ設け、同一の画素1に入射した入射光9を、それぞれの色(光の波長)に対応する電気信号に変換する受光素子とした。
【0030】
物質、例えば半導体に入射された光は、その光の波長の違いにより、それぞれ異なる反射率、透過率、吸収率を有する。可視領域の波長を持つ光も同様であり、透過光は最終的には半導体中の表面近くの薄い部分に吸収される。本発明では、異なる波長の可視光の、半導体に対する透過率の違いに着眼し、異なる波長の可視光の透過深度の違いを利用することで、異なる波長の可視光、即ち異なる色に対応する電気信号を検出する構造とした。異なる波長の可視光の透過深度を、色名、色に対応する可視光の波長、Si半導体中へ透過深度として表1に示す。なお、表1に示す透過深度は、Si半導体において、各波長の光が透過して到達する凡の深さである。
【0031】
【表1】
【0032】
表1に示すように、半導体に入射された光は、波長の短い光ほど透過深度が浅く、波長の長い光ほど透過深度が深くなる。本発明では、この透過深度の違いを利用して、各光の波長、つまり、各色に対応する透過深度の位置に受光層の接合面を配置することにより、各接合面近辺に透過してくる波長の光を検出し、各色の強度に応じた電気信号を得ることができるようにした。例えば、色として波長の短い順に紫、青、緑、黄、赤の5色を選んだ場合、受光層の接合面S1〜S5の深さD1〜D5は、それぞれ、300nm、400nm、1100nm、1800nm、3000nmとなる。各受光層4〜8の半導体の上部には、それぞれ電流を取り出す電極10を有しており、各層間(接合面)の電流を取り出すことができ、電流I1〜I5がそれぞれ紫から赤までの色に対応した波長の光量を表す電気信号となる。
【0033】
図1(b)は、上記構造を有する画素を、平面上に複数碁盤の目状に配列させて作製したカラーセンサ装置の平面構成図である。各画素1からは、各受光層4〜8からの出力値を検出するために、複数の配線を有する画素1横方向信号線15と画素1縦方向信号線16が、縦横に形成されている。図示していないが、各画素1は、CCDのように、検出した光の電気信号を蓄積したり、転送したりする素子を有しており、これらの素子が、各画素の各接合面S1〜S5に対応するように組み込まれている。これらの素子が、画素1横方向信号線15により、各波長別(各接合面別)に連続して接続されており、それらを走査用の信号線である画素1縦方向信号線16より走査するようにして、出力値が検出されている。上記転送用、蓄積用の素子は、後述する図2〜6のカラーセンサ装置でも、出力値の走査用に用いられている。
【0034】
上記カラーセンサ装置では、各画素が異なる色を検出するCCDとは異なり、1画素で複数の色を検出することができるため、単位面積当たりの画素数を多くすることができ、高解像度のカラーセンサ装置とすることができる。又、各画素が複数の色を同時に検出するため、色情報の補間が必要であったCCDと比較して、原画像に忠実な色再現性を得ることができる。
【0035】
図2は、本発明に係る実施形態の他の一例を示す受光素子及びカラーセンサ装置である。(a)、(b)は受光素子を構成する2種類の画素を表す断面図であり、(c)はその受光素子を用いたカラーセンサ装置の平面構成図である。
【0036】
図1に示すカラーセンサ装置は、5色を検出する画素を一種類のみ用い、これを平面上に一様に配置することにより、マルチカラー画像を得るものである。これに対して、本実施例のカラーセンサ装置は、互いに異なる波長を検出する画素を2種類以上用い、これらを平面上に一様に配置することで、更に多色のマルチカラー画像を得ることを特徴とするものである。
【0037】
本実施例のカラーセンサ装置は、具体的には、受光素子となる画素1と、画素2の2種類を有している。図2(a)に示す画素1は図1(a)において説明したものと同等の構成であるため、具体的な説明は省略する。
【0038】
画素2は、図2(b)に示すように、画素1とは異なる波長の光を検出するために、各受光層の接合面の深さが画素1と異なっており、検出する色数も異なる。具体的な構成は、P型の半導体基板3に深さD9のN型の第4波長受光層11が形成され、その第4波長受光層11内に、深さD9より浅い深さD8のP型の第3波長受光層12が形成され、その第3波長受光層12内に、深さD8より浅い深さD7のN型の第2波長受光層13が形成され、その第2波長受光層13内に、深さD7より浅い深さD6のP型の第4波長受光層14が形成されている。
【0039】
画素2においても、画素1と同様に、光の波長に対応する受光層11〜14の接合面S6〜S9が、各波長の透過深度になるように、半導体基板3の深さ方向に各受光層11〜14が積層されている。これらの積層された受光層11〜14及び半導体基板3は、隣り合う受光層等とpn接合を形成することで、入射光9により光起電力を発生するフォトダイオードが形成されることとなる。その起電力は半導体基板3及び各受光層11〜14に設けられた電極10により外部に出力され、それぞれの電流I6〜I9が電流計等により計測される。
【0040】
図2(c)は、上記構造を有する2種類の画素1、2を平面上に、碁盤の目状に交互に複数配列させて作製したカラーセンサ装置の平面構成図である。各画素1の各受光層4〜8、各画素2の各受光層11〜14からの出力値を検出するために、複数の配線を有する画素1横方向信号線15、画素2横方向信号線17と画素1縦方向信号線16、画素2縦方向信号線18が、縦横に形成されている。各画素の各接合面S1〜S9に対応するように組み込まれた蓄積、転送用の素子が、画素1横方向信号線15、画素2横方向信号線17により、各波長別(各接合面別)に連続して接続されており、それらを走査用の信号線である画素1縦方向信号線16、画素2縦方向信号線18により走査するようにして、出力値が検出されている。
【0041】
本実施例では、5色を検出する画素1と、別の4色を検出する画素2を交互に配置することで、9色を検出するカラーセンサ装置とすることができる。色の選び方としては、画素1及び画素2の2種類で多くの色数をカバーできるように選ぶ。例えば、深さD6〜D9としては、順に500nm、1500nm、2000nm、8000nmとし、検出する色としては、緑青、黄緑、橙、赤紫とする(表1参照)。上記構成により、単一の画素のみに多くの色数を集積することが技術上困難な場合にも、解像度を犠牲にすることなく多くの色を得ることができ、原画像に、より忠実な色再現性を得ることができる。
【0042】
現在、古い書物や絵画などを、劣化しないディジタル情報として記録して、破損しやすく取り扱いが難しい古い書物や絵画の現物を展示する替わりに、これらのディジタル情報を画像として公開することが行われている。このような、古い書物や絵画の場合、できるだけ現物に忠実な画像にするため、それを撮影する画像入力装置にも様々な能力が要求される。特に、微妙な色の違いを検出する能力や精細な解像度に対する要望が強い。そのため、本発明では、画素の構造のみならず、その形状や配置にも工夫を行った。その例のいくつかを、図3〜図6において説明する。
【0043】
図3は、本発明に係る実施形態の他の一例を示すカラーセンサ装置の平面構成図である。
【0044】
被写体によっては、被写体の周辺に画像の色情報が乏しく、中央部に様々な色情報を有するものがある。このような被写体をカラーセンサ装置で撮影する場合、中央部において、できるだけ多くの色情報を検出する必要性がある。このような状況に対処するため、図3に示すカラーセンサ装置では、互いに異なる波長の光(色)を検出する画素1、画素2を用いて、特に、画像の中央部において、多くの色情報を検出できるように、5色を検出する画素1を集中的に配置し、逆に、画像の周辺部においては、4色を検出する画素2を配置した。
【0045】
図3に示すように、2種類以上の画素を特定部分に集中して配置することなどにより、例えば、被写体の中央部分に色情報が多く、周辺には薄茶色系の紙の色が多いような古い文化財クラスの書物撮影でも、被写体の中央部分の色信号を集中的に得ることができ、効率よくマルチカラー画像を得ることが可能となる。上記構成では、カラーセンサ装置の周辺部分の複雑度などを下げることが可能となり、又、被写体の画像情報のメモリーも効率的に使用することができる。
【0046】
本実施例のカラーセンサ装置の各々の画素1、2の周囲には、各画素1の各受光層4〜8、各画素2の各受光層11〜14からの出力値を検出するために、複数の配線を有する画素1横方向信号線19、画素2横方向信号線21と画素1縦方向信号線20、画素2縦方向信号線22が、縦横に形成されている。各画素の各接合面に対応するように組み込まれた蓄積、転送用の素子が、画素1横方向信号線19、画素2横方向信号線21により、各波長別(各接合面別)に連続して接続されており、それらを走査用の信号線である画素1縦方向信号線20、画素2縦方向信号線22により走査するようにして、出力値が検出されている。
【0047】
図4は、本発明に係る実施形態の他の一例を示すカラーセンサ装置の平面構成図である。
【0048】
一般的にカラーセンサ装置では、正方形の画素が用いられており、その正方形の画素が碁盤の目状に平面上に配列されている。そのため、カラーセンサ装置の周辺、中央を問わず、同一の色情報、同一の解像度の検出能力を有している。しかしながら、被写体によっては、被写体の周辺部の画像情報が乏しく、中央部に様々な画像情報を有するものもある。このような対象物を上記構成のカラーセンサ装置で測定する場合、中央部においては、画像情報に対する画素の数が不足し、周辺部において画像情報に対する画素が余剰となり、画像情報の処理能力として不足な部分と無駄な部分が発生する。
【0049】
このような状況に対処するため、同一種類もしくは複数種類の適切な形状の画素を、平面上の適切な位置に配置することにより、例えば、中央部分の画像情報を集中的に得ることを可能にする。適切な形状の画素を、平面上の適切な位置に配置する代表的な例として、ボロノイ線図を利用したものが有り、この一例を示したものが図4である。
【0050】
ボロノイ線図は、平面上に任意に置かれた各点23を中心として、全体をそれぞれの点から均一に凸多角形でボロノイ領域24を占めるように、ボロノイ領域24の境界となるボロノイ辺25を決定するものである。例えば、図4に示すボロノイ線図は、中央部分の画像情報を集中的に得る場合、画素の中心点の相当する点23を、画像の中央部分に密になるように配置し、画像の周辺部分に粗になるように配置し、その場合の最適な画素の形状及び配置を示すものである。
【0051】
図4においては、画像情報に場所の偏りがある場合の、画素の形状及びその配置の一例を示したが、画素数(解像度)を犠牲にすることなく、画像の色情報をできるだけ多く検出したい場合もある。そのような場合の画素の形状及びその配置の例を図5、図6に示す。
【0052】
図5は、本発明に係る実施形態の他の一例を示すカラーセンサ装置の平面構成図である。
【0053】
本実施例では、図4に示した画素ほどの形状の自由度は持たせないまでも、通常正方形である画素の縦方向もしくは横方向の半分の形状とした2種類の画素1、2を、並べて配置することにより、画素1、2を1つの画素として画素ペア26を構成し、更に、それらの画素ペア26を平面上に碁盤の目状に配置することでカラーセンサ装置を構成した。
【0054】
各々の画素ペア26の周囲には、画素1の接合面からの出力値を検出する信号線となる画素1横方向信号線27、画素1縦方向信号線28が縦横に形成されており、又、画素2の接合面からの出力値を検出する信号線となる画素2横方向信号線29、画素2縦方向信号線30が形成されており、各画素の各接合面に対応するように設けられた蓄積、転送用の素子を、これらの信号線により走査することで、出力値を検出している。
【0055】
図6は、本発明に係る実施形態の他の一例を示すカラーセンサ装置の平面構成図である。
【0056】
本実施例も、2種類の画素1、2を用いて、より多くの色数を得るカラーセンサ装置を示すものである。本実施例では、画素1と画素2の間に適切な間隔を取ることにより、四角の画素1の3方を取り囲むように画素2を形成し、上記構成の画素1、画素2により画素ペア31を構成し、更に、それらの画素ペア31をひとつの画素として、平面上に碁盤の目状に配置することでカラーセンサ装置を構成した。
【0057】
各々の画素ペア31の周囲には、画素1からの出力値を検出する信号線となる画素1横方向信号線32、画素1縦方向信号線33が縦横に形成されており、又、画素2からの出力値を検出する信号線となる画素2横方向信号線34、画素2縦方向信号線35が形成されており、各画素の各接合面に対応するように設けられた蓄積、転送用の素子を、これらの信号線により走査することで、出力値を検出している。
【0058】
図5、図6に示すカラーセンサ装置では、2種類の画素の形状を工夫し、この2種類の画素を1つの画素として、2種類の画素から、それぞれ得られる色信号を処理することで、各画素の位置において、画素数(解像度)を犠牲にすることなく、より多くの色数の画像を得ることができる。この方式では、例えば、白い紙に文字が書かれているような、非常に高コントラストの画像においても、より多くの色を直接的に検出できるため、エッジ部分での偽色は発生しないという特徴も持つ。
【0059】
上記実施例1〜6では、わかりやすいように前述の画素1と画素2を用いて説明を行ったが、本発明に係るカラーセンサ装置で用いる画素は、前述の画素1、画素2に限るものではない。つまり、1つの画素が検出可能な色数を限定するものではなく、又、カラーセンサ装置で用いる画素の種類を2つに限定するものでもない。
【0060】
なお、上記画素1、画素2では色に対応する光の波長の透過深度から、各受光層の接合面の深さを決定したが、逆に、各受光層の接合面の深さを任意に設定し、その深さに等しい透過深度の光の波長(色)を求めて、画像の再生時に、その光の波長(色)に忠実に画像を表示するようにしてもよい。例えば、人間の目は、緑色の感度特性が高いので、受光素子に同等の機能を持たせるために、緑色近辺の光の波長480nm〜580nmの光の透過深度400nm〜1800nm(表1参照)近辺に、受光層の接合面を多数設けることで、緑色の対する受光素子の検出能力を向上させるようにしてもよい。
【0061】
図7は、本発明に係る実施形態の一例を示すもので、図1(a)に示す受光素子の等価的な回路を表す回路図である。
【0062】
図1(a)にて示した受光素子は、隣り合う受光層同士により連続するpn接合のフォトダイオードが形成されている。これを等価的な回路として示したものが図7であり、フォトダイオードの従属接続となる。つまり、第1波長受光層と第2波長受光層により第1波長受光部36となるフォトダイオードが形成され、第2波長受光層と第3波長受光層により第2波長受光部37なるフォトダイオードが形成され、第3波長受光層と第4波長受光層により第3波長受光部38となるフォトダイオードが形成され、第4波長受光層と第5波長受光層により第4波長受光部39となるフォトダイオードが形成され、第5波長受光層と第6波長受光層により第5波長受光部40となるフォトダイオードが形成される。
【0063】
入射光により各受光層が形成する接合面に光起電力が発生し、図7に示す電流I1〜I5が矢印の方向にそれぞれ流れる。これらの電流I1〜I5は、演算手段となる信号処理装置46が有する第1波長信号処理装置41〜第5波長信号処理装置45にて測定され、更に演算処理をされることで、入射光の異なる波長の光の強度に相当する電気信号に変換する。上記電流I1〜I5、特に受光素子の表面側の接合面の電流には、その接合面を透過する他の波長の光による電流成分も含まれるため、他の波長の光による電流を排除して、特定の波長の光の強度(色信号)を得るようにする必要がある。そのため、上記演算手段となる信号処理装置46では、各接合面での特定の波長の光の強度(色信号)を正確に算出するため、各接合面で得られた電流I1〜I5同士の差分、比例等の演算処理が行われており、各信号処理装置41〜45は互いに接続を持つことも許される。上記演算処理等を行うことで、各接合面で得られた入射光の第1波長から第5波長までの光の強度を、それぞれ電気信号に変換し、各画素に対する同期信号を得て、電気信号としてA/D変換装置などに転送され、原画像により正確な色再現性と、高解像度の画像を再生することができる。
【0064】
【発明の効果】
請求項1又は請求項3に係る発明によれば、接合面にて光により起電力を発生するp型半導体及びn型半導体を、交互に複数積層することで前記接合面を複数形成するとともに、前記接合面を前記受光素子の表面から任意の位置に配置することで異なる波長の光の量を検出するようにしたので、任意の色に相当する任意の光の波長の光量を、1つの受光素子にて、複数検出することができ、解像度を落とすことなく、同時に多色の検出をすることができる。又、従来は、あいまいであった光の波長の検出を、より厳密に行うことができ、原画像に忠実な色を再現することができる。
【0065】
請求項2又は請求項3に係る発明によれば、接合面にて光により起電力を発生するp型半導体及びn型半導体を、交互に複数積層することで前記接合面を複数形成するとともに、前記接合面の前記受光素子の表面からの配置位置を、前記半導体における複数の波長の光の透過深度の位置とすることで、前記複数の波長の光の量を検出するようにしたので、特定の色に相当する光の波長の光量を、1つの受光素子にて、複数検出することができ、解像度を落とすことなく、同時に多色の検出をすることができる。又、従来は、あいまいであった光の波長の検出を、より厳密に行うことができ、原画像に忠実な色を再現することができる。
【0066】
請求項4に係る発明によれば、上記いずれかの受光素子を平面上に複数配列したので、高解像度で、同時に多色の画像情報を取得することができる。これにより、ワンショットで被写体を撮影できるため、従来不可能であった、動体や一度きりのストロボ発光のみ許される文化財のようなもののマルチカラー撮影を行うことができる。
【0067】
請求項5に係る発明によれば、互いに異なる波長の光を検出する上記いずれかの受光素子を2種類以上有し、前記受光素子を平面上に複数配列したので、一つの受光素子にて多くの色の検出が難しい場合でも、互いに異なる波長の光を検出する2種類以上の受光素子を、平面上に配置することにより、解像度の犠牲を少なくして、より多くの色数を取得することができる。
【0068】
請求項6に係る発明によれば、前記受光素子の配列を碁盤の目状としたので、受光素子の解像度、色再現性を、カラーセンサ装置全面において一様に得ることができる。
【0069】
請求項7に係る発明によれば、互いに異なる波長の光を検出する前記受光素子を、交互に配列したので、解像度を犠牲にすることなく、より多くの色を取得することができる。
【0070】
請求項8又は請求項9に係る発明によれば、前記受光素子を、撮影する被写体に応じて、適切な形状に形成し、適切な配置に配列するので、被写体の画像情報に偏りがある場合でも、特に取得した画像情報の部分に、受光素子を集中的に配置することで、受光素子の解像度、色再現性を有効に用いることができる。
【0071】
請求項10に係る発明によれば、前記受光素子の各接合面にて発生した入射光による起電力の電流値を測定し、前記電流値を用いて前記入射光の異なる波長の光の強度を算出する演算手段を有するので、各接合面の深さに対応する波長の光の強度を、正確に算出することができ、その算出結果にもとづき、被写体の原画像に忠実な色を再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態の一例を示す受光素子及びカラーセンサ装置である。(a)は受光素子を構成する一つの画素を表す断面図であり、(b)はその受光素子を用いたカラーセンサ装置の平面構成図である。
【図2】本発明に係る実施形態の他の一例を示す受光素子及びカラーセンサ装置である。(a)、(b)は受光素子を構成する2種類の画素を表す断面図であり、(c)はその受光素子を用いたカラーセンサ装置の平面構成図である。
【図3】本発明に係る実施形態の他の一例を示すカラーセンサ装置の平面構成図である。
【図4】本発明に係る実施形態の他の一例を示すカラーセンサ装置の平面構成図である。
【図5】本発明に係る実施形態の他の一例を示すカラーセンサ装置の平面構成図である。
【図6】本発明に係る実施形態の他の一例を示すカラーセンサ装置の平面構成図である。
【図7】本発明に係る実施形態の一例を示すもので、図1(a)に示す受光素子の等価的な回路を表す回路図である。
【図8】CCDの画素において色信号を得る手順を示す模式図である。
【符号の説明】
1 画素
2 画素
3 半導体基板
4 第5波長受光層
5 第4波長受光層
6 第3波長受光層
7 第2波長受光層
8 第1波長受光層
9 入射光
10 電極
11 第4波長受光層
12 第3波長受光層
13 第2波長受光層
14 第1波長受光層
15 画素1横方向信号線
16 画素1縦方向信号線
17 画素2横方向信号線
18 画素2縦方向信号線
D1〜D9 深さ
I1〜I9 電流
S1〜S9 接合面
【発明の属する技術分野】
本発明は、受光素子及びそれを用いたカラーセンサ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ディジタルスチルカメラの普及に伴い、画像入力装置としてCCD(Charge−Coupled Device:電荷結合素子)などのデバイスが多く用いられている。これらは、従来のフィルムカメラのフィルムの位置する場所に、CCDなどの光電変換装置を置くことにより、光学系から得られた画像を電気信号に変換する役割を持つ。
【0003】
光電変換装置となるCCDは、受光素子として多数の画素により構成されている。この画素自体は色を識別することができず、光の強さ(光量)しか検出することができない。そこで、CCDを用いて画像を電気信号に変換する場合、色を識別するために、各画素上にカラーフィルタを被せて、各画素で光の3原色である緑、赤、青の光量を検出することで、画像の色信号を取得する。一般的には、ベイヤー配列と呼ばれるモザイク状に緑、赤、青を配置したカラーフィルタを用いる。ベイヤー配列では、輝度情報及び人間の目の感度特性により緑のカラーフィルタを最も密に、4画素のブロック中2画素配置する。残った1画素ずつに青と赤のカラーフィルタをそれぞれ配置する。上記構造のカラーフィルタを有するCCDを用いて画像の色信号を検出する。その際の色信号を得る方式に関して図8を用いて説明する。
【0004】
図8(a)〜図8(h)は、CCDの画素において色信号を得る手順を示す模式図である。
【0005】
光学系を通った画像は、カラーフィルタを介してCCDの受光素子の画素上に結像する。図8(a)は、モザイク状のベイヤー配列のカラーフィルタを有するCCDの画素上で検出された画像情報である。CCDを構成する各画素では、各々の画素の位置に対応した画像の、各々の画素に配置されたカラーフィルタに対応する色の光量が検出される。例えば、赤色フィルタを有する画素であれば、その位置に対応する画像の赤の光量を検出し、緑色フィルタを有する画素であれば、その位置に対応する画像の緑の光量を検出し、青色フィルタを有する画素であれば、その位置に対応する画像の青の光量を検出する。
【0006】
各画素で検出された画像情報は、各画素のカラーフィルタの色成分毎に分解される。図8(b)は緑成分の画素での画像情報、図8(c)は赤成分の画素での画像情報、図8(d)は青成分の画素での画像情報である。この状態では、各々の画素の位置において、各々の画素の色成分の光量の信号しか存在しない。そのため、これらの信号のみを用いて画像を合成しても、色再現性が低く、解像度が粗い画像しか得られない。
【0007】
そこで、各画素で検出した色成分の信号を利用して、その色成分の画素が存在しない位置の光量を補間する。具体的には、緑成分を検出しない赤成分、青成分の画素の位置の緑成分の光量を、緑成分の画素で検出された光量を用いて補間を行う。他の赤成分、青成分も同様に補間を行う。図8(e)は補間後の緑成分の画像情報、図8(f)は補間後の赤成分の画像情報、図8(g)は補間後の青成分の画像情報である。このように、各画素の位置において、各色成分の光量の検出若しくは補間を行うことで、全画素の位置における全色成分の情報を得ることができる。それらの全画素の位置における全色成分の画像情報を合成することで、図8(h)に示すカラー画像情報を得ることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記モザイク状のカラーフィルタを用いた方式の場合、コストが高いCCDの受光素子が1枚で済むこと、従来のフィルムを用いたカメラの光学系を流用できることから、高画素化を進めることができ、更に大量生産による低コスト化から広く普及している。しかしながら、画素の実際の色情報としては、全画素数の1/2から1/4しか得られず、色再現性、偽色の発生、エッジ部分の再現性などに問題がある。更に、単板の受光素子上に4色以上のカラーフィルタを配置する場合、色数が増えれば増えるほど、全画素数に対する各色の画素数が相対的に減少することになり、より多くの補間が必要になるため、解像度が犠牲となり、色再現性等の問題が不可避となり、現実的には実用不可能であると考えられる。
【0009】
上記方式の他に、プリズムを用いて光の3原色に分光し、それぞれの色を3枚のCCDで受光し処理する方式もあり、プロフェッショナル用途のビデオカメラでは一般的に用いられている。しかしながら、画素数の多いディジタルスチルカメラでは、CCDのプリズムへの張り合わせのコストの問題や熱対策等の技術的困難さから普及には至っていない。又、プリズムの構成及び光の減衰量などから、得られる色数は3色が限界である。
【0010】
更に、上記方式の他に、カラーフィルタを入れていないCCDを組み込んだカメラのレンズの前で、3原色のフィルタを回転させ、3回シャッターを切ることにより、カラー画像を得る方式もある。この場合、シャッターを切る回数及びフィルタの色を増やすことにより、4色以上の色信号を得ることが可能であり、多色のカラーフィルタを回転させて4色以上の多色画像を得る方式が、一部の研究機関で用いられている。
【0011】
この方式では、必要な色信号の回数だけシャッターを切る必要があるため、動きのある被写体を撮影することは原理的に不可能である。更に、非常に古い書物などの文化財は、状態保護の観点からストロボなどの強い光を当てる回数をできるだけ少なくする必要があり、1枚のカラー画像のために3回以上の強い光を当てる必要のあるこの方式は、ストロボ光による被写体へのダメージが大きく、好ましくない。又、この方式で用いる4色以上のカラーフィルタは、セロハンなどの透明な薄膜を着色したものであり、正確な光の波長に沿った色情報の取得は不可能であるため、色の再現性に難がある。
【0012】
従来の技術を用いてディジタル形式でできるだけ多色のカラー画像を撮影するためには、上述のように、色再現性や解像度を犠牲にしてベイヤー配列等のカラーフィルタを用いたCCDカメラを使うか、一般に出回っていないコストの非常にかかる3枚方式のCCDカメラを使うか、被写体に多数回のストロボ光が当たることによるダメージを無視して、回転式カラーフィルタを用いたCCDカメラを使うかしかなかった。
【0013】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、高解像度で、同時に多色を検出する受光素子及びそれを用いたカラーセンサ装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明に係る受光素子は、接合面にて光により起電力を発生するp型半導体及びn型半導体を、交互に複数積層することで前記接合面を複数形成するとともに、前記接合面を前記受光素子の表面から任意の位置に配置することで異なる波長の光の量を検出するようにしたことを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決する本発明に係る受光素子は、接合面にて光により起電力を発生するp型半導体及びn型半導体を、交互に複数積層することで前記接合面を複数形成するとともに、前記接合面の前記受光素子の表面からの配置位置を、前記半導体における複数の波長の光の透過深度の位置とすることで、前記複数の波長の光の量を検出するようにしたことを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決する本発明に係る受光素子は、前記接合面を4以上とし、4種類以上の異なる波長の光を検出することを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決する本発明に係るカラーセンサ装置は、上記いずれかの受光素子を平面上に複数配列したことを特徴とする。
【0018】
上記課題を解決する本発明に係るカラーセンサ装置は、互いに異なる波長の光を検出する上記いずれかの受光素子を2種類以上有し、前記受光素子を平面上に複数配列したことを特徴とする。
【0019】
上記課題を解決する本発明に係るカラーセンサ装置は、前記受光素子の配列を碁盤の目状としたことを特徴とする。
【0020】
上記課題を解決する本発明に係るカラーセンサ装置は、互いに異なる波長の光を検出する前記受光素子を、交互に配列したことを特徴とする。
【0021】
上記課題を解決する本発明に係るカラーセンサ装置は、前記受光素子を、撮影する被写体に応じて、適切な形状に形成し、適切な配置に配列することを特徴とする。
【0022】
上記課題を解決する本発明に係るカラーセンサ装置は、前記受光素子の形状及び配列に、ボロノイ線図を用いたことを特徴とする。
【0023】
上記課題を解決する本発明に係るカラーセンサ装置は、前記受光素子の各接合面にて発生した入射光による起電力の電流値を測定し、前記電流値を用いて前記入射光の異なる波長の光の強度を算出する演算手段を有することを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施形態となる受光素子及びカラーセンサ装置の例を、図及び表を用いて説明する。なお、本発明は図に示すもののみに限定されるものではない。
【0025】
図1は、本発明に係る実施形態の一例を示す受光素子及びカラーセンサ装置である。(a)は受光素子を構成する一つの画素を表す断面図であり、(b)はその受光素子を用いたカラーセンサ装置の平面構成図である。
【0026】
図1(a)に示すように、本実施例の受光素子を構成する画素1は、P型の半導体基板3に深さD5のN型の第5波長受光層4が形成され、その第5波長受光層4内に、深さD5より浅い深さD4のP型の第4波長受光層5が形成され、その第4波長受光層5内に、深さD4より浅い深さD3のN型の第3波長受光層6が形成され、その第3波長受光層6内に、深さD3より浅い深さD2のP型の第4波長受光層7が形成され、その第4波長受光層7内に、深さD2より浅い深さD1のN型の第1波長受光層8が形成されている。
【0027】
つまり、光の波長に対応する受光層の接合面S1〜S5が各波長の透過深度になるように、半導体基板3の厚さ方向に各受光層4〜8が積層されている。これらの積層された受光層4〜8及び半導体基板3は、隣り合う受光層等とpn接合を形成することで、入射光9により光起電力を発生するフォトダイオードが形成されることとなる。その起電力は半導体基板3及び各受光層4〜8に設けられた電極10により外部に出力され、それぞれの電流I1〜I5が電流計等により計測され、各受光層で検出した光量を算出する。
【0028】
近年の半導体素子の製作技術は、非常な微細化が進み、更に、半導体中に積層する層の数も大幅に増えている。これに伴い、数10nm(ナノメートル、1nm=10−9m)の微細な製作制御が可能である。本発明では、半導体素子の作製技術を用いて、例えば、図1(a)に示すように、半導体基板3上に5層の微細な半導体層、第1波長受光層4〜第5波長受光層8を作製する。これらの層をひとつの領域に積層して形成することにより、ディジタルカメラなどに用いる受光素子の1画素を形成する。
【0029】
本発明では、原画像に対して、解像度を犠牲にすることなく、できるだけ正確な色情報を、できるだけ多く検出するために、受光素子が直接検出する色、即ち光の波長を、光の3原色である緑、赤、青に限定しない。例えば本実施例では、検出する色数を5色(紫、青、緑、黄、赤)として、受光層を5つ、即ち接合面を5つ設け、同一の画素1に入射した入射光9を、それぞれの色(光の波長)に対応する電気信号に変換する受光素子とした。
【0030】
物質、例えば半導体に入射された光は、その光の波長の違いにより、それぞれ異なる反射率、透過率、吸収率を有する。可視領域の波長を持つ光も同様であり、透過光は最終的には半導体中の表面近くの薄い部分に吸収される。本発明では、異なる波長の可視光の、半導体に対する透過率の違いに着眼し、異なる波長の可視光の透過深度の違いを利用することで、異なる波長の可視光、即ち異なる色に対応する電気信号を検出する構造とした。異なる波長の可視光の透過深度を、色名、色に対応する可視光の波長、Si半導体中へ透過深度として表1に示す。なお、表1に示す透過深度は、Si半導体において、各波長の光が透過して到達する凡の深さである。
【0031】
【表1】
【0032】
表1に示すように、半導体に入射された光は、波長の短い光ほど透過深度が浅く、波長の長い光ほど透過深度が深くなる。本発明では、この透過深度の違いを利用して、各光の波長、つまり、各色に対応する透過深度の位置に受光層の接合面を配置することにより、各接合面近辺に透過してくる波長の光を検出し、各色の強度に応じた電気信号を得ることができるようにした。例えば、色として波長の短い順に紫、青、緑、黄、赤の5色を選んだ場合、受光層の接合面S1〜S5の深さD1〜D5は、それぞれ、300nm、400nm、1100nm、1800nm、3000nmとなる。各受光層4〜8の半導体の上部には、それぞれ電流を取り出す電極10を有しており、各層間(接合面)の電流を取り出すことができ、電流I1〜I5がそれぞれ紫から赤までの色に対応した波長の光量を表す電気信号となる。
【0033】
図1(b)は、上記構造を有する画素を、平面上に複数碁盤の目状に配列させて作製したカラーセンサ装置の平面構成図である。各画素1からは、各受光層4〜8からの出力値を検出するために、複数の配線を有する画素1横方向信号線15と画素1縦方向信号線16が、縦横に形成されている。図示していないが、各画素1は、CCDのように、検出した光の電気信号を蓄積したり、転送したりする素子を有しており、これらの素子が、各画素の各接合面S1〜S5に対応するように組み込まれている。これらの素子が、画素1横方向信号線15により、各波長別(各接合面別)に連続して接続されており、それらを走査用の信号線である画素1縦方向信号線16より走査するようにして、出力値が検出されている。上記転送用、蓄積用の素子は、後述する図2〜6のカラーセンサ装置でも、出力値の走査用に用いられている。
【0034】
上記カラーセンサ装置では、各画素が異なる色を検出するCCDとは異なり、1画素で複数の色を検出することができるため、単位面積当たりの画素数を多くすることができ、高解像度のカラーセンサ装置とすることができる。又、各画素が複数の色を同時に検出するため、色情報の補間が必要であったCCDと比較して、原画像に忠実な色再現性を得ることができる。
【0035】
図2は、本発明に係る実施形態の他の一例を示す受光素子及びカラーセンサ装置である。(a)、(b)は受光素子を構成する2種類の画素を表す断面図であり、(c)はその受光素子を用いたカラーセンサ装置の平面構成図である。
【0036】
図1に示すカラーセンサ装置は、5色を検出する画素を一種類のみ用い、これを平面上に一様に配置することにより、マルチカラー画像を得るものである。これに対して、本実施例のカラーセンサ装置は、互いに異なる波長を検出する画素を2種類以上用い、これらを平面上に一様に配置することで、更に多色のマルチカラー画像を得ることを特徴とするものである。
【0037】
本実施例のカラーセンサ装置は、具体的には、受光素子となる画素1と、画素2の2種類を有している。図2(a)に示す画素1は図1(a)において説明したものと同等の構成であるため、具体的な説明は省略する。
【0038】
画素2は、図2(b)に示すように、画素1とは異なる波長の光を検出するために、各受光層の接合面の深さが画素1と異なっており、検出する色数も異なる。具体的な構成は、P型の半導体基板3に深さD9のN型の第4波長受光層11が形成され、その第4波長受光層11内に、深さD9より浅い深さD8のP型の第3波長受光層12が形成され、その第3波長受光層12内に、深さD8より浅い深さD7のN型の第2波長受光層13が形成され、その第2波長受光層13内に、深さD7より浅い深さD6のP型の第4波長受光層14が形成されている。
【0039】
画素2においても、画素1と同様に、光の波長に対応する受光層11〜14の接合面S6〜S9が、各波長の透過深度になるように、半導体基板3の深さ方向に各受光層11〜14が積層されている。これらの積層された受光層11〜14及び半導体基板3は、隣り合う受光層等とpn接合を形成することで、入射光9により光起電力を発生するフォトダイオードが形成されることとなる。その起電力は半導体基板3及び各受光層11〜14に設けられた電極10により外部に出力され、それぞれの電流I6〜I9が電流計等により計測される。
【0040】
図2(c)は、上記構造を有する2種類の画素1、2を平面上に、碁盤の目状に交互に複数配列させて作製したカラーセンサ装置の平面構成図である。各画素1の各受光層4〜8、各画素2の各受光層11〜14からの出力値を検出するために、複数の配線を有する画素1横方向信号線15、画素2横方向信号線17と画素1縦方向信号線16、画素2縦方向信号線18が、縦横に形成されている。各画素の各接合面S1〜S9に対応するように組み込まれた蓄積、転送用の素子が、画素1横方向信号線15、画素2横方向信号線17により、各波長別(各接合面別)に連続して接続されており、それらを走査用の信号線である画素1縦方向信号線16、画素2縦方向信号線18により走査するようにして、出力値が検出されている。
【0041】
本実施例では、5色を検出する画素1と、別の4色を検出する画素2を交互に配置することで、9色を検出するカラーセンサ装置とすることができる。色の選び方としては、画素1及び画素2の2種類で多くの色数をカバーできるように選ぶ。例えば、深さD6〜D9としては、順に500nm、1500nm、2000nm、8000nmとし、検出する色としては、緑青、黄緑、橙、赤紫とする(表1参照)。上記構成により、単一の画素のみに多くの色数を集積することが技術上困難な場合にも、解像度を犠牲にすることなく多くの色を得ることができ、原画像に、より忠実な色再現性を得ることができる。
【0042】
現在、古い書物や絵画などを、劣化しないディジタル情報として記録して、破損しやすく取り扱いが難しい古い書物や絵画の現物を展示する替わりに、これらのディジタル情報を画像として公開することが行われている。このような、古い書物や絵画の場合、できるだけ現物に忠実な画像にするため、それを撮影する画像入力装置にも様々な能力が要求される。特に、微妙な色の違いを検出する能力や精細な解像度に対する要望が強い。そのため、本発明では、画素の構造のみならず、その形状や配置にも工夫を行った。その例のいくつかを、図3〜図6において説明する。
【0043】
図3は、本発明に係る実施形態の他の一例を示すカラーセンサ装置の平面構成図である。
【0044】
被写体によっては、被写体の周辺に画像の色情報が乏しく、中央部に様々な色情報を有するものがある。このような被写体をカラーセンサ装置で撮影する場合、中央部において、できるだけ多くの色情報を検出する必要性がある。このような状況に対処するため、図3に示すカラーセンサ装置では、互いに異なる波長の光(色)を検出する画素1、画素2を用いて、特に、画像の中央部において、多くの色情報を検出できるように、5色を検出する画素1を集中的に配置し、逆に、画像の周辺部においては、4色を検出する画素2を配置した。
【0045】
図3に示すように、2種類以上の画素を特定部分に集中して配置することなどにより、例えば、被写体の中央部分に色情報が多く、周辺には薄茶色系の紙の色が多いような古い文化財クラスの書物撮影でも、被写体の中央部分の色信号を集中的に得ることができ、効率よくマルチカラー画像を得ることが可能となる。上記構成では、カラーセンサ装置の周辺部分の複雑度などを下げることが可能となり、又、被写体の画像情報のメモリーも効率的に使用することができる。
【0046】
本実施例のカラーセンサ装置の各々の画素1、2の周囲には、各画素1の各受光層4〜8、各画素2の各受光層11〜14からの出力値を検出するために、複数の配線を有する画素1横方向信号線19、画素2横方向信号線21と画素1縦方向信号線20、画素2縦方向信号線22が、縦横に形成されている。各画素の各接合面に対応するように組み込まれた蓄積、転送用の素子が、画素1横方向信号線19、画素2横方向信号線21により、各波長別(各接合面別)に連続して接続されており、それらを走査用の信号線である画素1縦方向信号線20、画素2縦方向信号線22により走査するようにして、出力値が検出されている。
【0047】
図4は、本発明に係る実施形態の他の一例を示すカラーセンサ装置の平面構成図である。
【0048】
一般的にカラーセンサ装置では、正方形の画素が用いられており、その正方形の画素が碁盤の目状に平面上に配列されている。そのため、カラーセンサ装置の周辺、中央を問わず、同一の色情報、同一の解像度の検出能力を有している。しかしながら、被写体によっては、被写体の周辺部の画像情報が乏しく、中央部に様々な画像情報を有するものもある。このような対象物を上記構成のカラーセンサ装置で測定する場合、中央部においては、画像情報に対する画素の数が不足し、周辺部において画像情報に対する画素が余剰となり、画像情報の処理能力として不足な部分と無駄な部分が発生する。
【0049】
このような状況に対処するため、同一種類もしくは複数種類の適切な形状の画素を、平面上の適切な位置に配置することにより、例えば、中央部分の画像情報を集中的に得ることを可能にする。適切な形状の画素を、平面上の適切な位置に配置する代表的な例として、ボロノイ線図を利用したものが有り、この一例を示したものが図4である。
【0050】
ボロノイ線図は、平面上に任意に置かれた各点23を中心として、全体をそれぞれの点から均一に凸多角形でボロノイ領域24を占めるように、ボロノイ領域24の境界となるボロノイ辺25を決定するものである。例えば、図4に示すボロノイ線図は、中央部分の画像情報を集中的に得る場合、画素の中心点の相当する点23を、画像の中央部分に密になるように配置し、画像の周辺部分に粗になるように配置し、その場合の最適な画素の形状及び配置を示すものである。
【0051】
図4においては、画像情報に場所の偏りがある場合の、画素の形状及びその配置の一例を示したが、画素数(解像度)を犠牲にすることなく、画像の色情報をできるだけ多く検出したい場合もある。そのような場合の画素の形状及びその配置の例を図5、図6に示す。
【0052】
図5は、本発明に係る実施形態の他の一例を示すカラーセンサ装置の平面構成図である。
【0053】
本実施例では、図4に示した画素ほどの形状の自由度は持たせないまでも、通常正方形である画素の縦方向もしくは横方向の半分の形状とした2種類の画素1、2を、並べて配置することにより、画素1、2を1つの画素として画素ペア26を構成し、更に、それらの画素ペア26を平面上に碁盤の目状に配置することでカラーセンサ装置を構成した。
【0054】
各々の画素ペア26の周囲には、画素1の接合面からの出力値を検出する信号線となる画素1横方向信号線27、画素1縦方向信号線28が縦横に形成されており、又、画素2の接合面からの出力値を検出する信号線となる画素2横方向信号線29、画素2縦方向信号線30が形成されており、各画素の各接合面に対応するように設けられた蓄積、転送用の素子を、これらの信号線により走査することで、出力値を検出している。
【0055】
図6は、本発明に係る実施形態の他の一例を示すカラーセンサ装置の平面構成図である。
【0056】
本実施例も、2種類の画素1、2を用いて、より多くの色数を得るカラーセンサ装置を示すものである。本実施例では、画素1と画素2の間に適切な間隔を取ることにより、四角の画素1の3方を取り囲むように画素2を形成し、上記構成の画素1、画素2により画素ペア31を構成し、更に、それらの画素ペア31をひとつの画素として、平面上に碁盤の目状に配置することでカラーセンサ装置を構成した。
【0057】
各々の画素ペア31の周囲には、画素1からの出力値を検出する信号線となる画素1横方向信号線32、画素1縦方向信号線33が縦横に形成されており、又、画素2からの出力値を検出する信号線となる画素2横方向信号線34、画素2縦方向信号線35が形成されており、各画素の各接合面に対応するように設けられた蓄積、転送用の素子を、これらの信号線により走査することで、出力値を検出している。
【0058】
図5、図6に示すカラーセンサ装置では、2種類の画素の形状を工夫し、この2種類の画素を1つの画素として、2種類の画素から、それぞれ得られる色信号を処理することで、各画素の位置において、画素数(解像度)を犠牲にすることなく、より多くの色数の画像を得ることができる。この方式では、例えば、白い紙に文字が書かれているような、非常に高コントラストの画像においても、より多くの色を直接的に検出できるため、エッジ部分での偽色は発生しないという特徴も持つ。
【0059】
上記実施例1〜6では、わかりやすいように前述の画素1と画素2を用いて説明を行ったが、本発明に係るカラーセンサ装置で用いる画素は、前述の画素1、画素2に限るものではない。つまり、1つの画素が検出可能な色数を限定するものではなく、又、カラーセンサ装置で用いる画素の種類を2つに限定するものでもない。
【0060】
なお、上記画素1、画素2では色に対応する光の波長の透過深度から、各受光層の接合面の深さを決定したが、逆に、各受光層の接合面の深さを任意に設定し、その深さに等しい透過深度の光の波長(色)を求めて、画像の再生時に、その光の波長(色)に忠実に画像を表示するようにしてもよい。例えば、人間の目は、緑色の感度特性が高いので、受光素子に同等の機能を持たせるために、緑色近辺の光の波長480nm〜580nmの光の透過深度400nm〜1800nm(表1参照)近辺に、受光層の接合面を多数設けることで、緑色の対する受光素子の検出能力を向上させるようにしてもよい。
【0061】
図7は、本発明に係る実施形態の一例を示すもので、図1(a)に示す受光素子の等価的な回路を表す回路図である。
【0062】
図1(a)にて示した受光素子は、隣り合う受光層同士により連続するpn接合のフォトダイオードが形成されている。これを等価的な回路として示したものが図7であり、フォトダイオードの従属接続となる。つまり、第1波長受光層と第2波長受光層により第1波長受光部36となるフォトダイオードが形成され、第2波長受光層と第3波長受光層により第2波長受光部37なるフォトダイオードが形成され、第3波長受光層と第4波長受光層により第3波長受光部38となるフォトダイオードが形成され、第4波長受光層と第5波長受光層により第4波長受光部39となるフォトダイオードが形成され、第5波長受光層と第6波長受光層により第5波長受光部40となるフォトダイオードが形成される。
【0063】
入射光により各受光層が形成する接合面に光起電力が発生し、図7に示す電流I1〜I5が矢印の方向にそれぞれ流れる。これらの電流I1〜I5は、演算手段となる信号処理装置46が有する第1波長信号処理装置41〜第5波長信号処理装置45にて測定され、更に演算処理をされることで、入射光の異なる波長の光の強度に相当する電気信号に変換する。上記電流I1〜I5、特に受光素子の表面側の接合面の電流には、その接合面を透過する他の波長の光による電流成分も含まれるため、他の波長の光による電流を排除して、特定の波長の光の強度(色信号)を得るようにする必要がある。そのため、上記演算手段となる信号処理装置46では、各接合面での特定の波長の光の強度(色信号)を正確に算出するため、各接合面で得られた電流I1〜I5同士の差分、比例等の演算処理が行われており、各信号処理装置41〜45は互いに接続を持つことも許される。上記演算処理等を行うことで、各接合面で得られた入射光の第1波長から第5波長までの光の強度を、それぞれ電気信号に変換し、各画素に対する同期信号を得て、電気信号としてA/D変換装置などに転送され、原画像により正確な色再現性と、高解像度の画像を再生することができる。
【0064】
【発明の効果】
請求項1又は請求項3に係る発明によれば、接合面にて光により起電力を発生するp型半導体及びn型半導体を、交互に複数積層することで前記接合面を複数形成するとともに、前記接合面を前記受光素子の表面から任意の位置に配置することで異なる波長の光の量を検出するようにしたので、任意の色に相当する任意の光の波長の光量を、1つの受光素子にて、複数検出することができ、解像度を落とすことなく、同時に多色の検出をすることができる。又、従来は、あいまいであった光の波長の検出を、より厳密に行うことができ、原画像に忠実な色を再現することができる。
【0065】
請求項2又は請求項3に係る発明によれば、接合面にて光により起電力を発生するp型半導体及びn型半導体を、交互に複数積層することで前記接合面を複数形成するとともに、前記接合面の前記受光素子の表面からの配置位置を、前記半導体における複数の波長の光の透過深度の位置とすることで、前記複数の波長の光の量を検出するようにしたので、特定の色に相当する光の波長の光量を、1つの受光素子にて、複数検出することができ、解像度を落とすことなく、同時に多色の検出をすることができる。又、従来は、あいまいであった光の波長の検出を、より厳密に行うことができ、原画像に忠実な色を再現することができる。
【0066】
請求項4に係る発明によれば、上記いずれかの受光素子を平面上に複数配列したので、高解像度で、同時に多色の画像情報を取得することができる。これにより、ワンショットで被写体を撮影できるため、従来不可能であった、動体や一度きりのストロボ発光のみ許される文化財のようなもののマルチカラー撮影を行うことができる。
【0067】
請求項5に係る発明によれば、互いに異なる波長の光を検出する上記いずれかの受光素子を2種類以上有し、前記受光素子を平面上に複数配列したので、一つの受光素子にて多くの色の検出が難しい場合でも、互いに異なる波長の光を検出する2種類以上の受光素子を、平面上に配置することにより、解像度の犠牲を少なくして、より多くの色数を取得することができる。
【0068】
請求項6に係る発明によれば、前記受光素子の配列を碁盤の目状としたので、受光素子の解像度、色再現性を、カラーセンサ装置全面において一様に得ることができる。
【0069】
請求項7に係る発明によれば、互いに異なる波長の光を検出する前記受光素子を、交互に配列したので、解像度を犠牲にすることなく、より多くの色を取得することができる。
【0070】
請求項8又は請求項9に係る発明によれば、前記受光素子を、撮影する被写体に応じて、適切な形状に形成し、適切な配置に配列するので、被写体の画像情報に偏りがある場合でも、特に取得した画像情報の部分に、受光素子を集中的に配置することで、受光素子の解像度、色再現性を有効に用いることができる。
【0071】
請求項10に係る発明によれば、前記受光素子の各接合面にて発生した入射光による起電力の電流値を測定し、前記電流値を用いて前記入射光の異なる波長の光の強度を算出する演算手段を有するので、各接合面の深さに対応する波長の光の強度を、正確に算出することができ、その算出結果にもとづき、被写体の原画像に忠実な色を再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態の一例を示す受光素子及びカラーセンサ装置である。(a)は受光素子を構成する一つの画素を表す断面図であり、(b)はその受光素子を用いたカラーセンサ装置の平面構成図である。
【図2】本発明に係る実施形態の他の一例を示す受光素子及びカラーセンサ装置である。(a)、(b)は受光素子を構成する2種類の画素を表す断面図であり、(c)はその受光素子を用いたカラーセンサ装置の平面構成図である。
【図3】本発明に係る実施形態の他の一例を示すカラーセンサ装置の平面構成図である。
【図4】本発明に係る実施形態の他の一例を示すカラーセンサ装置の平面構成図である。
【図5】本発明に係る実施形態の他の一例を示すカラーセンサ装置の平面構成図である。
【図6】本発明に係る実施形態の他の一例を示すカラーセンサ装置の平面構成図である。
【図7】本発明に係る実施形態の一例を示すもので、図1(a)に示す受光素子の等価的な回路を表す回路図である。
【図8】CCDの画素において色信号を得る手順を示す模式図である。
【符号の説明】
1 画素
2 画素
3 半導体基板
4 第5波長受光層
5 第4波長受光層
6 第3波長受光層
7 第2波長受光層
8 第1波長受光層
9 入射光
10 電極
11 第4波長受光層
12 第3波長受光層
13 第2波長受光層
14 第1波長受光層
15 画素1横方向信号線
16 画素1縦方向信号線
17 画素2横方向信号線
18 画素2縦方向信号線
D1〜D9 深さ
I1〜I9 電流
S1〜S9 接合面
Claims (10)
- p型半導体及びn型半導体の接合面にて、光により起電力を発生する受光素子において、
前記p型半導体及びn型半導体を交互に複数積層することで前記接合面を複数形成するとともに、前記接合面を前記受光素子の表面から任意の位置に配置することで異なる波長の光の量を検出するようにしたことを特徴とする受光素子。 - p型半導体及びn型半導体の接合面にて、光により起電力を発生する受光素子において、
前記p型半導体及びn型半導体を交互に複数積層することで前記接合面を複数形成するとともに、前記接合面の前記受光素子の表面からの配置位置を、前記半導体における複数の波長の光の透過深度の位置とすることで、前記複数の波長の光の量を検出するようにしたことを特徴とする受光素子。 - 請求項1又は請求項2記載の受光素子において、
前記接合面を4以上とし、4種類以上の異なる波長の光を検出することを特徴とする受光素子。 - 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の受光素子を平面上に複数配列したことを特徴とするカラーセンサ装置。
- 互いに異なる波長の光を検出する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の受光素子を2種類以上有し、前記受光素子を平面上に複数配列したことを特徴とするカラーセンサ装置。
- 請求項4又は請求項5記載のカラーセンサ装置において、前記受光素子の配列を碁盤の目状としたことを特徴とするカラーセンサ装置。
- 請求項5記載のカラーセンサ装置において、
互いに異なる波長の光を検出する前記受光素子を、交互に配列したことを特徴とするカラーセンサ装置。 - 請求項4又は請求項5記載のカラーセンサ装置において、前記受光素子を、撮影する被写体に応じて、適切な形状に形成し、適切な配列に配置することを特徴とするカラーセンサ装置。
- 請求項8記載のカラーセンサ装置において、
前記受光素子の形状及び配列に、ボロノイ線図を用いたことを特徴とするカラーセンサ装置。 - 請求項4乃至請求項9のいずれかに記載のカラーセンサ装置において、
前記受光素子の各接合面にて発生した入射光による起電力の電流値を測定し、前記電流値を用いて前記入射光の異なる波長の光の強度を算出する演算手段を有するカラーセンサ装置。
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