JP2004022222A - 色素増感光電変換素子 - Google Patents
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Abstract
Description
【本発明の属する技術分野】
本発明は有機色素で増感された半導体微粒子、光電変換素子および太陽電池に関し、詳しくは特定の構造を有する色素によって増感された酸化物半導体微粒子、およびそれを用いることを特徴とする光電変換素子及びそれを利用した太陽電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
石油、石炭等の化石燃料に代わるエネルギー資源として太陽光を利用する太陽電池が注目されている。現在、結晶またはアモルファスのシリコンを用いたシリコン太陽電池、あるいはガリウム、ヒ素等を用いた化合物半導体太陽電池等について盛んに高効率化など、開発検討がなされている。しかしそれらは製造に要するエネルギー及びコストが高いため、汎用的に使用するのが困難であるという問題点がある。また色素で増感した半導体微粒子を用いた光電変換素子、あるいはこれを用いた太陽電池も知られ、これを作成する材料、製造技術が開示されている。(B.O’Regan and M.Graetzel Nature, 353, 737 (1991), M.K.Nazeeruddin, A.Kay, I.Rodicio, R.Humphry−Baker, E.Muller, P.Liska, N.Vlachopoulos, M.Gratzel, J.Am.Chem.Soc., 115, 6382 (1993) e.t.c.) この光電変換素子は酸化チタン等の比較的安価な酸化物半導体を用いて製造され、従来のシリコン等を用いた太陽電池に比べコストの安い光電変換素子が得られる可能性があり注目を集めている。しかし変換効率の高い素子を得るために増感色素としてルテニウム系の錯体を使用されており、色素自体のコストが高く、またその供給にも問題が残っている。また増感色素として有機色素を用いる試みも既に行われているが、変換効率が低いなどまだ実用化には至らない現状にある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
有機色素増感半導体を用いた光電変換素子において、安価な有機色素を用い、変換効率の高く、安定性に優れ実用性の高い光電変換素子の開発が求められている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記の課題を解決するために鋭意努力した結果、特定の部分構造を有する色素を用いて半導体微粒子を増感し、光電変換素子を作成する事により変換効率の高い光電変換素子が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、
(1)一般式(1)で表されるメチン系の色素によって増感された酸化物半導体微粒子を用いることを特徴とする光電変換素子。
【0005】
【化4】
【0006】
(式中、A1およびA2はそれぞれ独立に水素原子または置換基をあらわす。Xはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、ーCRR’−基、−CR=CR’−基またはーNR’’−基をあらわす(式中R、R’およびR’’はそれぞれ独立に水素原子または置換基を示す)。Yはサリチル酸およびポリ置換ヒドロキシベンゼンで表される構造を除く置換基を有してもよい芳香族炭化水素残基または置換基を有してもよい有機錯体残基をあらわす。R1は置換基を有してもよい脂肪族炭化水素残基、置換基を有してもよい芳香族炭化水素残基、置換基を有してもよい複素環残基、水素原子を表す。またはR1が存在せず窒素原子が4級化されていなくてもよい。R2は水素原子または置換基を表す。R3はカルボキシル基、アルコキシカルボニル基またはアリールオキシカルボニル基を表す。nは1〜4の整数を示す。mは0、1/2、1の数を示す。Zは対イオンをあらわす。また、nが2以上でA1およびA2が複数存在する場合、それぞれのA1およびそれぞれのA2は互いに独立に同じ又は異なってもよい前記の基を示す。またA1、若しくはA1が複数存在する場合にはそれぞれのA1、A2若しくはA2が複数存在する場合にはそれぞれのA2の中の2者は結合して置換基を有してもよい環を形成してもよい。)
(2)色素が下記式(2)で表されることを特徴とする(1)記載の光電変換素子。
【0007】
【化5】
【0008】
(式中の置換基は一般式(1)と同じ)
(3)(1)記載の一般式(1)および(2)の置換基Yが下記一般式(3)で示されることを特徴とする光電変換素子。
【0009】
【化6】
【0010】
(式中、Y1は置換基をあらわし、複数個あっても良く、複数個存在するときは同じでも異なってもよく、互いに連結してまたはR4,R5と置換基を有してもよい環を形成しても良い。R4、R5はそれぞれ水素原子、置換基を有してもよい脂肪族炭化水素残基、置換基を有してもよい芳香族炭化水素残基または置換基を有してもよい複素環残基を表す。)
(4)一般式(1)および(2)のnが1〜3で表されることを特徴とする(1)乃至(3)の光電変換素子。
(5)(1)ないし(4)記載の一般式(1)および(2)の対イオンZがハロゲン原子であることを特徴とする光電変換素子。
(6)(1)〜(5)記載の色素を少なくとも1つ含み、かつ他の金属錯体色素および他の構造を有する有機色素によりなる群から選ばれた色素のうち、2種以上の色素の併用により増感された酸化物半導体微粒子を用いることを特徴とする光電変換素子。
(7)酸化物半導体微粒子が二酸化チタンを必須成分として含有する(1)乃至(6)のいずれか1項に記載の光電変換素子。
(8)酸化物半導体微粒子に包摂化合物の存在下、色素を担持させた(1)乃至(7)のいずれか1項に記載の光電変換素子。
(9)(1)乃至(8)記載のいずれか1項に記載の光電変換素子を用いる事を特徴とする太陽電池。
(10)(1)乃至(9)記載の一般式(1)または(2)で表されるメチン系の色素により増感された酸化物半導体微粒子、
に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。本発明の光電変換素子は特定の部分構造を有する色素によって増感された酸化物半導体を用いる。本発明に用いられる特定の部分構造を有する色素は下記一般式(1)で表されることを特徴とする。
【0012】
【化7】
【0013】
一般式(1)においてA1およびA2はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。この置換基としては特に制限はないが置換基を有してもよい芳香族炭化水素残基、置換基を有してもよい複素環残基、置換基を有してもよいアミノ基、水素原子、ハロゲン原子又は置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられる。またA1およびA2が複数存在する場合、それぞれのA1およびそれぞれのA2は互いに独立に同じ又は異なってもよい前記の基を示す。
上記芳香族炭化水素残基は芳香族炭化水素から水素原子を1つ除いた基を意味し、例えばベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、インデン、アズレン、フルオレン等の芳香族炭化水素から水素原子1つを除いた基が挙げられる。
複素環残基は複素環化合物から水素原子を1つ除いた基を意味し、例えばピリジン、ピラジン、ピペリジン、モルホリン、インドリン、チオフェン、フラン、オキサゾール、チアゾール、インドール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、キノリン等の複素環化合物から水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
アルキル基としては置換基を有してもよい直鎖、分岐及び環状のアルキル基が挙げられ、炭素数は1から36が好ましく、さらに好ましくは置換基を有しても良い飽和の直鎖アルキル基で、炭素数は1から20であるものが挙げられる。環状のものとして例えば炭素数3乃至8のシクロアルキルなどが挙げられる。これらのアルキル基は以下に示すような置換基で更に置換されていてもよい。
アミノ基としては非置換のアミノ基、モノまたはジアルキルアミノ基、モノまたはジ芳香族アミノ基などが挙げられる。
ハロゲン原子としては塩素、臭素、ヨウ素等の原子が挙げられる。
置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよい芳香族炭化水素残基、置換基を有してもよい複素環残基における置換基としては、特に制限はないが、アルキル基、アリール基、シアノ基、イソシアノ基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、ニトロ基、ニトロシル基、アシル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、リン酸基、リン酸エステル基、置換もしくは非置換メルカプト基、置換もしくは非置換アミノ基、置換もしくは非置換アミド基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルキル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基等が挙げられる。
以上に示したアルキル基としては置換基を有してもよい直鎖、分岐及び環状のアルキル基が挙げられ、炭素数は1から36が好ましく、さらに好ましくは置換基を有しても良い飽和の直鎖アルキル基で、炭素数は1から20であるものが挙げられる。環状のものとして例えば炭素数3乃至8のシクロアルキルなどが挙げられる。これらのアルキル基は上記の置換基(アルキル基を除く)で更に置換されていてもよい。
アリール基としては、前記芳香族炭化水素残基の項で挙げられる芳香環から水素原子をとった基等が挙げられる。アリール基は更に上記の基などで置換されていてもよい。
アシル基としては例えば炭素数1乃至10のアルキルカルボニル基、アリールカルボニル基等が挙げられ、好ましくは炭素数1乃至4のアルキルカルボニル基、具体的にはアセチル基、プロピオニル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては塩素、臭素、ヨウ素等の原子が挙げられる。
リン酸エステル基としてはリン酸(C1−C4)アルキルエステル基などが挙げられる。
置換若しくは非置換メルカプト基としてはメルカプト基、アルキルメルカプト基などが挙げられる。
置換若しくは非置換アミノ基としてはアミノ基、モノまたはジアルキルアミノ基、モノまたはジ芳香族アミノ基などが挙げられ、モノまたはジメチルアミノ基、モノまたはジエチルアミノ基、モノまたはジプロピルアミノ基、モノまたはジフェニルアミノ基、またはベンジルアミノ基等が挙げられる。
置換若しくは非置換のアミド基としてはアミド基、アルキルアミド基、芳香族アミド基等が挙げられる。
アルコキシル基としては、例えば炭素数1乃至10のアルコキシル基などが挙げられる。
アルコキシアルキル基としては、例えば(C1−C10)アルコキシ(C1−C10)アルキル基などが挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、例えば炭素数1乃至10のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。
またカルボキシル基、スルホ基およびリン酸基等の酸性基はリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどの金属塩やテトラメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ピリジニウム、イミダゾリウムなどの4級アンモニウム塩のような塩を形成していても良い。
【0014】
またA1およびA2として好ましいものは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基などが挙げられ、より好ましくは水素原子または置換基を有してもよいアルキル基である。
またA1およびA2はこのうち任意の2者を用いて置換基を有してもよい環を形成してもよい。特にnが2以上で、A1とA2がそれぞれ複数存在する場合には任意のA1および任意のA2を利用して、環を形成してもよい。置換基を有する場合の置換基としては前記置換基を有してもよい芳香族炭化水素残基の項で述べた置換基を挙げることができる。形成する環としては不飽和炭化水素環または複素環が挙げられる。不飽和炭化水素環としてはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナンスレン環、ピレン環、インデン環、アズレン環、フルオレン環、シクロブテン環、シクロヘキセン環、シクロペンテン環、シクロヘキサジエン環、シクロペンタジエン環等が挙げられ、複素環としてはピリジン環、ピラジン環、インドリン環、チオフェン環、フラン環、ピラン環、オキサゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ピラジン環、キノリン環、カルバゾール環、ベンゾピラン環等が挙げられる。またこれらのうちの好ましい物はシクロブテン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、ピラン環などが挙げられる。また、置換基としてカルボニル基、チオカルボニル基等を有することが出来、その場合には環状ケトン又は環状チオケトンなどを形成してもよい。
【0015】
Xはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、ーCRR’−基、−CR=CR’−基または―NR’’−基をあらわす。好ましくは、酸素原子、硫黄原子、−CRR’−基または−CR=CR’−基で、さらに好ましくは酸素原子、硫黄原子、−CRR’−基または−CR=CR’−基である。
式中に示したRおよびR’はそれそれ独立に水素原子または置換基を示す。好ましくは水素原子、置換基を有してもよい脂肪族炭化水素残基、置換基を有してもよい芳香族炭化水素残基およびハロゲン原子、ヒドロキシル基、リン酸基、リン酸エステル基、アルコキシル基またはカルボンアミド基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基等のカルボニル基が挙げられる。さらに好ましくは水素原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基および置換基を有してもよい脂肪族炭化水素残基などが挙げられる。 R’’は水素原子または置換基を示す。好ましくは水素原子、置換基を有してもよい脂肪族炭化水素残基および置換基を有してもよい芳香族炭化水素残基が挙げられ、さらに好ましくは水素原子および置換基を有してもよい脂肪族炭化水素残基が挙げられる。ここで示した置換基の意味は前述のA1およびA2の項で説明した内容と同意である。
【0016】
Yはサリチル酸およびポリ置換ヒドロキシベンゼンで表される構造を除く置換基を有してもよい芳香族炭化水素残基、置換基を有してもよい有機錯体残基を表す。ここで挙げる芳香族炭化水素残基は芳香族炭化水素から水素原子を1つ除いた基を意味し、例えばベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、インデン、アズレン、フルオレン等の芳香族炭化水素から水素原子1つを除いた基が挙げられ、これらは前記したようにいずれも置換基を有してもよい。通常炭素数6〜16の芳香環(芳香環及び芳香環を含む縮合環等)を有する芳香族炭化水素残基である。
置換基を有してもよい有機金属錯体残基としては、有機金属錯体から水素原子1つを除いた基を挙げることができ、これらの有機金属錯体化合物としてはフェロセン、ルテノセン、チタノセン、ジルコノセン、ポルフィリン、フタロシアニン、ビピリジル錯体などが挙げられる。
Yとして好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、インデン環、フタロシアニン環、ポルフィリン環、フェロセンなどが挙げられる。さらに好ましくはベンゼン環、ナフタレン環が挙げられ、最も好ましくはベンゼン環が挙げられる。
またこの時のYが有しても良い置換基としては前述の置換基を有してもよい芳香族炭化水素残基で述べた置換基と同様で良い。好ましくは置換しても良いアミノ基、置換してもよいアルキル基、アルコキシル基、アシル基、アミド基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子が挙げられる。さらに好ましくは置換しても良いアミノ基、置換してもよいアルキル基、アルコキシル基が挙げられる。ここで置換基を有しても良いアミノ基として好ましくはモノ又はジアルキル置換アミノ基、モノアルキルモノアリール置換、モノ又はジアリール置換、モノ又はジアルキレン置換等が挙げられるが、ジアルキル置換、ジアリール置換の誘導体が好ましい。置換してもよいアルキル基の置換基として好ましい物はアリール基、ハロゲン原子、アルコキシル基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等が挙げられる。置換してもよいアルコキシル基としてはアルコキシ置換、ハロゲン置換、アリール置換などが挙げられる。その他、置換基を有してもよい芳香族アゾ基が置換していても良い。
【0017】
さらにYの好ましい例として一般式(2)の構造が挙げられる。
Y1は置換基をあらわし、好ましくは前述のYが有してもよい置換基の項で述べたものと同様で良い。好ましくはアルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換もしくは非置換アミノ基、置換もしくは非置換アミド基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルキル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基等が挙げられる。置換基は複数個あっても良く、複数個存在するときは同じでも異なってもよく、以下に述べるように互いに連結してまたはR2,R3と置換基を有してもよい環を形成しても良い。
またR4、R5はそれぞれ水素原子、置換基を有してもよい脂肪族炭化水素残基、置換基を有してもよい芳香族炭化水素残基または置換基を有してもよい複素環残基を表す。
上記脂肪族炭化水素残基としては飽和及び不飽和の直鎖、分岐及び環状の脂肪族炭化水素から水素原子1つを除いた残基が挙げられ、炭素数は特に制限はないが通常1から36程度のものが挙げられ、好ましくは炭素数1から20程度の直鎖アルキル基が挙げられる。環状のものとして例えば炭素数3乃至8のシクロアルキルなどが挙げられる。芳香族炭化水素残基及び複素環残基としては前述のAの置換基の項で述べたものと同様で良い。これらは前述のAの置換基を有してもよいアルキル基で述べた置換基で置換されていてもよい。
R2とR3は互いに連結して置換基を有してもよい環を形成しても良く、R2およびR3がそれぞれ独立にY1と結合しジュロリジン環やキノリン環、カルバゾール環などの環を形成することも出来る。
【0018】
R1は水素原子、置換基を有してもよい脂肪族炭化水素残基、置換基を有してもよい芳香族炭化水素残基または置換基を有してもよい複素環残基をあらわす。またはR1が存在せず窒素原子が4級化されていなくてもよい。脂肪族炭化水素残基、芳香族炭化水素残基及び複素環残基としては前述のR4およびR5の項で述べたものと同様で良い。また置換基R1が有してもよい置換基としては前述のAの置換基を有してもよいアルキル基で述べた置換基と同様で良く、好ましくは、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、リン酸基、リン酸エステル基、アルコキシル基またはカルボンアミド基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基等のカルボニル基が挙げられ、さらに好ましくはアセチル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基等のカルボニル基が挙げられる。R1として好ましくは置換基を有してもよい脂肪族炭化水素残基、置換基を有してもよい芳香族炭化水素残基が挙げられる。
R2は水素原子または置換基を表す。この置換基としては前述のAの置換基を有してもよいアルキル基で述べた置換基と同様で良く、好ましくは、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、リン酸基、リン酸エステル基、アルコキシル基またはカルボンアミド基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基等のカルボニル基が挙げられる。R2としてさらに好ましくは水素原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基およびアルキル基などが挙げられる。最も好ましくはカルボキシル基である。
R3はカルボキシル基、アルコキシカルボニル基またはアリールオキシカルボニル基を表す。
好ましくはカルボキシル基が挙げられる。またカルボキシル基等の酸性基の場合はリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどの金属塩やテトラメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ピリジニウム、イミダゾリウムなどの4級アンモニウム塩のような塩を形成していても良い。
【0019】
nは1〜4の整数を示す。好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2を挙げることが出来る。
またZは対イオンをあらわし、分子全体の電荷に応じて対イオン有することが出来る。その価数に合わせ、mは0、1/2、1の数を示す。対イオンとして具体的には特に限定はされないが、一般的なアニオンで良い。具体例としては、F−, Cl−, Br−, I−, ClO4 −, BF4 −, PF6 −, SbF6 −, OH−, SO4 2−, CH3SO4 −, トルエンスルホン酸イオン等が挙げられ、Br−, I−, ClO4 −, BF4 −, PF6 −, CH3SO4 −, トルエンスルホン酸イオンが好ましい。さらに好ましくはBr−, I−−,などのハロゲン原子である。また対イオンではなく分子内または分子間のカルボキシル基などの酸性基により中和されていても良い。
一般式(1)で示される化合物はシス体、トランス体などの構造異性体をとり得るが、特に限定されず、いずれも光増感用色素として良好に使用しうるものである。
【0020】
一般式(1)の化合物は一般式(3)’で示される化合物と、式(4)で示されるカルボニル誘導体を必要であればナトリウムエトキシド、ピペリジン、ピペラジンなどの塩基性触媒の存在下、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコールやジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶媒や無水酢酸などの溶媒中、20℃〜120℃好ましくは50℃〜80℃程度で縮合することにより得られる。
【0021】
【化8】
【0022】
【化9】
【0023】
以下に化合物例を列挙する。化合物(1)のA1およびA2が水素でXが4−アミノベンゼンの誘導体である一般式(5)の化合物例を表1にあらわす。
表中に書かれた誘導体中の置換基R1,R4,R5,R6,R7,R8,R9,XおよびZは下記式(5)で示される。また4−トルエンスルホン酸イオンをTS、4−トリル基をTol、フェニル基をPh、ナフタレン基をNpと略する。
【0024】
【化10】
【0025】
【表1】
その他の例を以下にあらわす。
【0026】
【化11】
【0027】
【化12】
【0028】
【化13】
【0029】
【化14】
【0030】
【化15】
【0031】
本発明の色素増感光電変換素子は例えば酸化物半導体微粒子を用いて基板上に酸化物半導体の薄膜を製造し、次いでこの薄膜に色素を担持させたものである。
本発明で酸化物物半導体の薄膜を設ける基板としては、その表面が導電性であるものが好ましいが、そのような基板は市場で容易に入手可能である。具体的には、例えばガラスの表面又はポリエチレンテレフタレート若しくはポリエーテルスルフォン等の透明性のある高分子材料の表面にインジウム、フッ素、アンチモン、をドープした酸化スズなどの導電性金属酸化物や金、銀、銅等の金属の薄膜を設けたものを用いることができる。その導電性としては、通常1000Ω以下であればよく、100Ω以下のものが好ましい。
酸化物半導体の微粒子としては金属酸化物が好ましく、その具体例としてはチタン、スズ、亜鉛、タングステン、ジルコニウム、ガリウム、インジウム、イットリウム、ニオブ、タンタル、バナジウムなどの酸化物が挙げられる。これらのうちチタン、スズ、亜鉛、ニオブ、タングステン等の酸化物が好ましく、これらのうち酸化チタンが最も好ましい。これらの酸化物半導体は単一で使用することも出来るが、混合して使用することも出来る。また酸化物半導体の微粒子の粒径は平均粒径として、通常1〜500nmで、好ましくは5〜100nmである。またこの酸化物半導体の微粒子は大きな粒径のものと小さな粒径のものを混合して使用することも可能である。
酸化物半導体薄膜は酸化物半導体微粒子を蒸着させ直接基板上に薄膜として形成する方法、基板を電極として電気的に半導体微粒子薄膜を析出させる方法、半導体微粒子のスラリーを基板上に塗布した後、乾燥、硬化もしくは焼成することによって製造することが出来る。酸化物半導体電極の性能上、スラリーを用いる方法等が好ましい。この方法の場合、スラリーは2次凝集している酸化物半導体微粒子を常法により分散媒中に平均1次粒子径が1〜200nmになるように分散させることにより得られる。
【0032】
スラリーを分散させる分散媒としては半導体微粒子を分散させ得るものであれば何でも良く、水あるいはエタノール等のアルコール、アセトン、アセチルアセトン等のケトンもしくはヘキサン等の炭化水素等の有機溶媒が用いられ、これらは混合して用いても良く、また水を用いることはスラリーの粘度変化を少なくするという点で好ましい。
スラリーを塗布した基板の焼成温度は通常300℃以上、好ましくは400℃以上で、かつ上限はおおむね基材の融点(軟化点)以下であり、通常上限は900℃であり、好ましくは600℃以下である。また焼成時間には特に限定はないがおおむね4時間以内が好ましい。基板上の薄膜の厚みは通常1〜200μmで好ましくは5〜50μmである。
【0033】
酸化物半導体薄膜に2次処理を施してもよい。すなわち例えば半導体と同一の金属のアルコキサイド、塩化物、硝化物、硫化物等の溶液に直接、基板ごと薄膜を浸積させて乾燥もしくは再焼成することにより半導体薄膜の性能を向上させることもできる。金属アルコキサイドとしてはチタンエトキサイド、チタンイソプロポキサイド、チタンtーブトキサイド、n−ジブチルージアセチルスズ等が挙げられ、そのアルコール溶液が用いられる。塩化物としては例えば四塩化チタン、四塩化スズ、塩化亜鉛等が挙げられ、その水溶液が用いられる。
【0034】
次に酸化物半導体薄膜に色素を担持させる方法について説明する。前記の色素を担持させる方法としては、色素を溶解しうる溶媒にて色素を溶解して得た溶液、又は溶解性の低い色素にあっては色素を分散せしめて得た分散液に上記酸化物半導体薄膜の設けられた基板を浸漬する方法が挙げられる。溶液又は分散液中の濃度は色素によって適宜決める。その溶液中に基板上に作成した半導体薄膜を浸す。浸積時間はおおむね常温から溶媒の沸点までであり、また浸積時間は1時間から48時間程度である。色素を溶解させるのに使用しうる溶媒の具体例として、例えば、メタノール、エタノール、アセトニトリル、ジメチルスルホキサイド、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。溶液の色素濃度は通常1×10−6M〜1Mが良く、好ましくは1×10−4M〜1×10−1Mである。この様にして色素で増感した酸化物半導体微粒子薄膜の光電変換素子が得られる。
【0035】
担持する色素は1種類でも良いし、2種類以上混合しても良い。混合する場合は本発明の色素同士でも良いし、他の部分構造(1)を有さない色素(金属錯体色素であっても良い)を混合しても良い。特に吸収波長の異なる色素同士を混合することにより、幅広い吸収波長を用いることが出来、変換効率の高い太陽電池が得られる。3種類以上の色素を混合利用することで更に最適な太陽電池の作成も可能になる。混合利用する金属錯体色素の例としては特に制限は無いが J.Am.Chem.Soc., 115, 6382 (1993)や特開2000−26487に示されているルテニウムビピリジル錯体やフタロシアニン、ポルフィリンなどが好ましく、混合利用する有機色素としては無金属のフタロシアニン、ポルフィリンやシアニン、メロシアニン、オキソノール、トリフェニルメタン系などのメチン系色素や、キサンテン系、アゾ系、アンスラキノン系等の色素が挙げられる。好ましくはルテニウム錯体やメロシアニン等のメチン系色素が挙げられる。混合する色素の比率は特に限定は無く、それぞれの色素により最適化されるが、一般的に等モルずつの混合から、1つの色素につき10%モル程度以上使用するのが好ましい。混合色素を混合溶解若しくは分散した溶液を用いて、酸化物半導体微粒子薄膜に色素を吸着させる場合、溶液中の色素合計の濃度は1種類のみ担持する場合と同様で良い。
【0036】
酸化物半導体微粒子の薄膜に色素を担持する際、色素同士の会合を防ぐために包摂化合物の共存下、色素を担持することが効果的である。ここで包摂化合物としてはコール酸等のステロイド系化合物、クラウンエーテル、シクロデキストリン、カリックスアレン、ポリエチレンオキサイドなどが挙げられるが、好ましいものはコール酸、ポリエチレンオキサイド等である。また色素を担持させた後、4ーt−ブチルピリジン等のアミン化合物で半導体電極表面を処理しても良い。処理の方法は例えばアミンのエタノール溶液に色素を担持した半導体微粒子薄膜の設けられた基板を浸す方法等が採られる。
【0037】
本発明の太陽電池は上記酸化物半導体薄膜に色素を担持させた光電変換素子電極と対極とレドックス電解質または正孔輸送材料から構成される。レドックス電解質は酸化還元対を溶媒中に溶解させた溶液や、ポリマーマトリックスに含浸させたゲル電解質、また溶融塩のような固体電解質であっても良い。正孔輸送材料としてはアミン誘導体やポリアセチレン、ポリアニリン、ポリチオフェンなどの導電性高分子、ポリフェニレンなどのディスコティック液晶相を用いる物などが挙げられる。用いる対極としては導電性を持っており、レドックス電解質の還元反応を触媒的に作用するものが好ましい。例えばガラス、もしくは高分子フィルムに白金、カーボン、ロジウム、ルテニウム等を蒸着したり、導電性微粒子を塗り付けたものが用いうる。
【0038】
本発明の太陽電池に用いるレドックス電解質としてはハロゲンイオンを対イオンとするハロゲン化合物及びハロゲン分子からなるハロゲン酸化還元系電解質、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩やフェロセン−フェリシニウムイオンなどの金属錯体等の金属酸化還元系電解質、アルキルチオール−アルキルジスルフィド、ビオロゲン色素、ヒドロキノン−キノン等の芳香族酸化還元系電解質などをあげることができるが、ハロゲン酸化還元系電解質が好ましい。ハロゲン化合物−ハロゲン分子からなるハロゲン酸化還元系電解質におけるハロゲン分子としては、例えばヨウ素分子や臭素分子等があげられ、ヨウ素分子が好ましい。また、ハロゲンイオンを対イオンとするハロゲン化合物としては、例えばLiI、NaI、KI、CsI、CaI2等のハロゲン化金属塩あるいはテトラアルキルアンモニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイドなどのハロゲンの有機4級アンモニウム塩等があげられるが、ヨウ素イオンを対イオンとする塩類化合物が好ましい。ヨウ素イオンを対イオンとする塩類化合物としては、例えばヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化トリメチルアンモニウム塩等があげられる。
【0039】
また、レドックス電解質はそれを含む溶液の形で構成されている場合、その溶媒には電気化学的に不活性なものが用いられる。例えばアセトニトリル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、3−メトキシプロピオニトリル、メトキシアセトニトリル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、γ−ブチロラクトン、ジメトキシエタン、ジエチルカーボネート、ジエチルエーテル、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、1、2−ジメトキシエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイド、1、3−ジオキソラン、メチルフォルメート、2ーメチルテトラヒドロフラン、3−メトキシーオキサジリジン−2−オン、スルホラン、テトラヒドロフラン、水等が挙げられ、これらの中でも、特に、アセトニトリル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、3−メトキシプロピオニトリル、メトキシアセトニトリル、エチレングリコール、3−メトキシオキサジリジン−2−オン等が好ましい。これらは単独もしくは2種以上組み合わせて用いても良い。ゲル電解質の場合はマトリックスとして、ポリアクリレートやポリメタクリレート樹脂などを使用したものが挙げられる。レドックス電解質の濃度は通常0.01〜99重量%で好ましくは0.1〜90重量%程度である。
【0040】
本発明の太陽電池は、基板上の酸化物半導体薄膜に色素を担持した光電変換素子の電極に、それを挟むように対極を配置する。その間にレドックス電解質を含んだ溶液を充填することにより本発明の太陽電池が得られる。
【0041】
【実施例】
以下に実施例に基づき、本発明を更に具体的に説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。実施例中、部は特に指定しない限り質量部を、また%は質量%をそれぞれ表す。
【0042】
合成例1
下記化合物(108)3部と4−ジメチルアミノベンズアルデヒド1.5部をエタノール20部に混ぜ、還流で2時間反応させた。その後、冷却し得られた固体を濾過、洗浄した。次いでエタノール30gにこれを溶解し、55%ヨウ化水素酸水溶液4部を更に添加した。1時間静置後、析出した固体を濾過、洗浄、乾燥し、エタノールで再結晶後、再び、濾過、洗浄、乾燥し化合物(2)を3.2部得た。
吸収極大(エタノール):559nm
発光極大(エタノール):603nm
1H−NMR(ppm:d6−DMSO):1.79 (s, C(CH3)2, 6H), 3.20 (S, N(CH3)2, 6H), 3.95 (S, N−CH3, 3H), 6.92 (d, arom, 2H), 7.26 (d, =CH−, 1H), 7.76 (s, arom, 1H), 8.08−8.18 (m, arom, 3H), 8.31 (s, arom, 1H), 8.40 (d, =CH−, 1H)
【0043】
【化16】
【0044】
合成例2
化合物(108)1部と4−ジエチルアミノベンズアルデヒド1.5部をエタノール20部に混ぜ、還流で2時間反応させた。その後、冷却し得られた固体を濾過、洗浄した。次いでエタノール30gにこれを溶解し、55%ヨウ化水素酸水溶液3部を更に添加した。1時間静置後、析出した固体を濾過、洗浄、乾燥し、エタノールで再結晶後、再び、濾過、洗浄、乾燥し化合物(1)を1.9部得た。
吸収極大(エタノール):572nm
【0045】
合成例3
化合物(108)1部と4−ジメチルアミノシンナムアルデヒド0.9部をエタノール20部に混ぜ、還流で2時間反応させた。その後、冷却し得られた固体を濾過、洗浄した。次いでエタノール30gにこれを溶解し、55%ヨウ化水素酸水溶液3部を更に添加した。1時間静置後、析出した固体を濾過、洗浄、乾燥し、エタノールで再結晶後、再び、濾過、洗浄、乾燥し化合物(39)を1.1部得た。
吸収極大(エタノール):639nm
発光極大(エタノール):703nm
1H−NMR(ppm:d6−DMSO):1.75 (s, C(CH3)2, 6H), 3.12 (S, N(CH3)2, 6H), 3.87 (S, N−CH3, 3H), 6.86 (d, arom, 2H), 6.93 (d, =CH−, 1H), 7.31 (dd, =CH−, 1H), 7.62 (d, arom, 2H), 7.79 (d, arom, 1H), 7.84 (d, =CH−, 1H), 8.12 (d,arom, 1H), 8.10 (s, arom, 1H), 8.39 (dd, =CH−, 1H)
【0046】
合成例4
化合物(108)1部と4−ジフェニルアミノシンナムアルデヒド0.8部をエタノール20部に混ぜ、還流で2時間反応させた。その後、冷却し得られた固体を濾過、洗浄した。次いでエタノール30gにこれを溶解し、55%ヨウ化水素酸水溶液3部を更に添加した。1時間静置後、析出した固体を濾過、洗浄、乾燥し、エタノールで再結晶後、再び、濾過、洗浄、乾燥し化合物(37)を1.0部得た。
吸収極大(エタノール):610nm
発光極大(エタノール):727nm
【0047】
合成例5
化合物(108)1部と4−ジエチルアミノサリチルアルデヒド0.6部をエタノール15部に混ぜ、還流で2時間反応させた。その後、冷却し得られた固体を濾過、洗浄した。次いでエタノール30gにこれを溶解し、55%ヨウ化水素酸水溶液3部を更に添加した。1時間静置後、析出した固体を濾過、洗浄、乾燥し、エタノールで再結晶後、再び、濾過、洗浄、乾燥し化合物(18)を1.1部得た。
吸収極大(エタノール):562nm
1H−NMR(ppm:d6−DMSO):1.18 (t, CH3, 6H), 1.72 (s, C(CH3)2, 6H), 3.53 (q, N−CH2−, 4H), 3.81 (S, N−CH3, 3H), 6.23 (S, arom, 1H), 6.58 (d, arom, 1H),7.15 (d, =CH−, 1H), 7.66 (d, arom, 1H), 8.02 (d, arom, 1H), 8.08 (d, arom, 1H), 8.24 (s, arom, 1H), 8.46 (d, =CH−, 1H)
【0048】
合成例6
化合物(108)2部と4−モルホリルノベンズアルデヒド1部をエタノール20部に混ぜ、還流で2時間反応させた。その後、冷却し得られた固体を濾過、洗浄した。次いでエタノール30gにこれを溶解し、55%ヨウ化水素酸水溶液3部を更に添加した。1時間静置後、析出した固体を濾過、洗浄、乾燥し、エタノールで再結晶後、再び、濾過、洗浄、乾燥し化合物(59)を0.9部得た。
吸収極大(エタノール):552nm
発光極大(エタノール):606nm
【0049】
合成例7
化合物(108)1部と2,4,6−トリメトキシベンズアルデヒド1部をエタノール20部に混ぜ、還流で2時間反応させた。その後、冷却し得られた固体を濾過、洗浄した。次いでエタノール30gにこれを溶解し、55%ヨウ化水素酸水溶液3部を更に添加した。1時間静置後、析出した固体を濾過、洗浄、乾燥し、エタノールで再結晶後、再び、濾過、洗浄、乾燥し化合物(68)を1.3部得た。
吸収極大(エタノール):472nm
発光極大(エタノール):526nm
【0050】
合成例8
化合物(108)1部と9−ホルミル−8−ヒドロキシ−1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン1部を無水酢酸10部に混ぜ、還流で2時間反応させた。その後、冷却し得られた固体を濾過、洗浄した。次いでエタノール30gにこれを溶解し、55%ヨウ化水素酸水溶液3部を更に添加した。1時間静置後、析出した固体を濾過、洗浄、乾燥し、エタノールで再結晶後、再び、濾過、洗浄、乾燥し化合物(63)を1.1部得た。
吸収極大(エタノール):592nm
【0051】
合成例9
化合物(108)3.6部と4−ジエチルアミノナフトアルデヒド2部をエタノール30部に混ぜ、還流で2時間反応させた。その後、冷却し得られた固体を濾過、洗浄した。次いでエタノール50gにこれを溶解し、55%ヨウ化水素酸水溶液5部を更に添加した。1時間静置後、析出した固体を濾過、洗浄、乾燥し、エタノールで再結晶後、再び、濾過、洗浄、乾燥し化合物(70)を3.5部得た。
吸収極大(エタノール):621nm
【0052】
合成例10
下記化合物(109)1部と4−ジメチルアミノベンズアルデヒド0.9部をエタノール10部に混ぜ、さらにピペラジン無水物0.1部を加え、還流で2時間反応させた。その後、冷却し得られた固体を濾過、洗浄、乾燥し、エタノールで再結晶後、再び、濾過、洗浄、乾燥し化合物(77)を0.8部得た。
吸収極大(エタノール):537nm
【0053】
【化17】
【0054】
合成例11
化合物(109)1部と4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド1.5部をエタノール15部に混ぜ、さらにピペラジン無水物0.1部を加え、還流で4時間反応させた。その後、冷却し得られた固体を濾過、洗浄、乾燥し、エタノールで再結晶後、再び、濾過、洗浄、乾燥し化合物(79)を1.1部得た。
吸収極大(エタノール):531nm
【0055】
実施例および比較例
実施例1〜11および比較例1,2については色素を3×10−4MになるようにEtOHに溶解した。また、実施例12及び13については、それぞれの色素を1.5×10−4MなるようにEtOHに溶解し混合した。この溶液中に多孔質基板(日本アエロジル社チタニウムジオキサイドP−25を硝酸水溶液中、分散処理し、これを透明導電性ガラス電極上に厚さ50μmになるように塗布し、450℃で30分間焼成した半導体薄膜電極)を室温で一晩浸漬し色素を担持せしめ、溶剤で洗浄し、乾燥させ、色素増感した半導体薄膜の光電変換素子を得た。また実施例3,4,8,9,10,13および比較例2においては半導体薄膜電極の酸化チタン薄膜部分に0.2M四塩化チタン水溶液を滴下し、室温にて24時間静置後、水洗して、再度450度にて30分焼成して得た、四塩化チタン処理半導体薄膜電極を用いて色素を同様に担持した。さらに実施例3については色素の担持時に包摂化合物としてコール酸を3×10−5Mとなるように加えて先の色素溶液を調製し、半導体薄膜に担持して、コール酸処理色素増感半導体薄膜を得た。これと挟むように表面を白金でスパッタされた導電性ガラスを固定してその空隙に電解質を含む溶液を注入した。実施例12および比較例1の電解液Aは3−メトキシプロピオニトリルにヨウ素/ヨウ化リチウム/1、2ージメチルー3ーn−プロピルイミダゾリウムアイオダイド/t−ブチルピリジンをそれぞれ0.1M/0.1M/0.6M/1Mになるように溶解し調製し、実施例1〜11、13および比較例2の電解液Bはエチレンカーボネートとアセトニトリルの6対4の溶液にヨウ素/テトラ−n−プロピルアンモニウムアイオーダイドを0.02M/0.5Mになるように溶解して調製した。
測定する電池の大きさは実行部分を0.25cm22とした。光源は500Wキセノンランプを用いて、AM1.5フィルターを通して100mW/cmとした。短絡電流、解放電圧、変換効率、形状因子はポテンシオ・ガルバノスタットを用いて測定した。
【0056】
【化18】
【0057】
【表2】
【0058】
【発明の効果】本発明の色素増感光電変換素子において、特定の部分構造を有する色素を用いることにより、変換効率が高く安定性の高い太陽電池を提供する事が出来た。さらに2種以上の色素の併用により増感された酸化物半導体微粒子を用いることで、変換効率の向上が見られた。
Claims (10)
- 一般式(1)で表されるメチン系の色素によって増感された酸化物半導体微粒子を用いることを特徴とする光電変換素子。
- 一般式(1)のnが1〜3で表されることを特徴とする請求項1乃至3の光電変換素子。
- 請求項1ないし3記載の一般式(1)および(2)の対イオンZがハロゲン原子であることを特徴とする光電変換素子。
- 請求項1〜5記載の色素を少なくとも1つ含み、かつ他の金属錯体色素および他の構造を有する有機色素によりなる群から選ばれた色素のうち、2種以上の色素の併用により増感された酸化物半導体微粒子を用いることを特徴とする光電変換素子。
- 酸化物半導体微粒子が二酸化チタンを必須成分として含有する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光電変換素子。
- 酸化物半導体微粒子に包摂化合物の存在下、色素を担持させた請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光電変換素子。
- 請求項1乃至8記載のいずれか1項に記載の光電変換素子を用いる事を特徴とする太陽電池。
- 請求項1乃至9記載の一般式(1)または(2)で表されるメチン系の色素により増感された酸化物半導体微粒子。
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