JP2004021887A - 不良債権オークションシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】ある特定の者(企業など)に不良債権化した債権を有しその売却を希望する債権者(債権売却希望者)と、その債権の購入を希望する▲1▼当該特定の者に対し債務を負う者▲2▼他者(共に債権購入希望者)とを、マッチングさせ、当該債権を売買する技術を提供する。当該特定の者に対し債務を負う者は、不良債権オークションサイトを通じ取得した債権と債務との相殺をなすため、当該特定の者のバランスシートの圧縮を効率的に行うことを実現する。
【解決手段】債権売却希望者A1,A2,…Anと、債権購入希望者B1,B2,…Bnとは、各々取引相手を探し出すために、不良債権オークションサイトXにデータ入力をする(1)。すると、不良債権オークションサイトXにおいて、A1とB1とは、双方自身の条件に合致する取引相手として見つけ出される(2)。そして、サイト運営者Dの媒介によりB1はC1に対する債権をA1から譲り受けることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】債権売却希望者A1,A2,…Anと、債権購入希望者B1,B2,…Bnとは、各々取引相手を探し出すために、不良債権オークションサイトXにデータ入力をする(1)。すると、不良債権オークションサイトXにおいて、A1とB1とは、双方自身の条件に合致する取引相手として見つけ出される(2)。そして、サイト運営者Dの媒介によりB1はC1に対する債権をA1から譲り受けることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
金銭債権の売却希望者と金銭債権の購入希望者との間で、不良債権である金銭債権のオークションを可能とする技術である。
【0002】
【従来の技術】
図29(I)は、三者間の金銭債権の債権債務関係を示したものである。すなわち、Cは、Aに対して債務を負う債務者であり、Bに対して債権を有する債権者である。言い方を変えれば、AはCに対して債権を有する債権者であり、BはCに対して債務を負う債務者である。また、Bは、Aに対する債務者であるCの債務者であるから、BはAとの関係では債務者の債務者である。ここでは、第三債務者という。
【0003】
図29(I)のような場合、Cの信用状態が悪化すると、Aはディスカウントされた額であってもCに対する金銭債権をBへ売却し、資金を回収したい場合もある。一方、BがCに負っている債務の額は、Cの信用状況にかかわらずそのままである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
こうした場合、AとBとの間で、AのCに対して有する金銭債権を売買できれば、Aは資金の回収を図ることができる。また、Bは購入した金銭債権によって債務を相殺し、債務の履行を果たすことができる。従って、AとBの両者にとってメリットのあることである。
また、図29(II)は、(I)とは別の三者間の関係を示したものである。すなわち、Cは、Aに対して債務を負う債務者である。一方、Bは、C又はAに対して債権債務を有する者ではなく、第三者(他者)である。この場合であっても、BはCの年間返済実績(事業価値)又は担保等価値(保全等状況)を検討し、AのCに対する金銭債権の購入を希望する場合もある。
【0005】
しかし、現状において、個別にAがBを見つけ出し、あるいはBがAを見つけ出し、金銭債権の売買交渉をすることは困難であった。また、AとBとが金銭債権の売買のできるような市場も存在していなかった。
そこで、本発明は、金銭債権の売却希望者である債権者と金銭債権の購入希望者である第三債務者又は第三者(他者)とをマッチングさせ、当該金銭債権を売買する技術を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(請求項1:一次オークション)
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、
金銭債権の売却希望者である債権者に対して、金銭債権売却データとして当該金銭債権についての属性データ、売却希望金額、売却希望単価、債務の返済スピード、具体的な返済スケジュール、担保等価値、キャッシュフローからの年間返済実績、決済時期及び当該売却希望者の属性データの入力を可能とする金銭債権売却データ入力手段と、
金銭債権の購入希望者に対して、金銭債権購入データとして当該金銭債権についての属性データ、購入希望金額、購入希望単価、債務の返済スピード、決済時期及び当該購入希望者の属性データの入力を可能とする金銭債権購入データ入力手段と、
入力された金銭債権売却データと金銭債権購入データとから、金銭債権の売却希望者及び購入希望者それぞれに適合する取引対象者を算出する取引対象者算出手段と、
算出された適合する取引対象者の入力データを出力する入力データ出力手段とを備えた不良債権オークションシステムである。
【0007】
(用語説明)
「金銭債権についての属性データ」とは、当該金銭債権の債務者である法人・個人を特定する上で、前者は商業登記簿謄本等で登記されている住所・名称、後者は住民票・戸籍上で特定される住所・氏名などをいう。
「売却・購入希望金額」とは、取引の対象となる金銭債権の金額をいう。売却希望者・購入希望者は各々上限金額(額面=par)・下限金額(min)について希望がある。
「売却・購入希望単価」とは、売却・購入金額の売買価格をいい、売却・購入金額に対する割合(%)にて表示する。
「金銭債務の返済スピード」とは、契約上債務者が債権者に対し負う金銭債務の返済条件をいう。金銭債務の返済期限が早期に到来すればするほど、またその金額が多額であれば多額であるほど、相殺適状となる金額が額面を最大値として早期に確定する。相殺適状となる金額が早期に・多額に確定するものほど、その金銭債権の価値は高いことになる。
「具体的な返済スケジュール」とは、「金銭債務の返済スピード」がオークション上でデフォルメされた形状にて表現されるので、相殺行為において期限の到来する自働債権を的確に把握するため、債務者が債権者に対し負う金銭債務の契約上の返済条件を表示するものである。
「担保等価値」とは、担保権等または保証等の市場価格・市場価値をいう。なお、金銭債権の売却希望者である債権者から、金銭債権の購入希望者である第三債務者又は他者への債権譲渡において、当該担保権等または保証等は随伴性・附従性あるもの、または債権者から債務者・担保権等設定者(提供者)等・保証人等他への通知にて移転が可能であるものなどを想定する。
「キャッシュフローからの年間返済実績」とは、債務者の債権者への返済能力を示すものである。通常キャッシュフローは(経常利益+減価償却費)として捉えられ、債務者から債権者へのキャシュフローからの年間返済実績が表示される。
「決済時期」とは、対価の受払いと債権譲渡他が同時に履行される時期のことをいう。債権者は売却の対価を受領するため早期を望み、第三債務者は購入代金を手元資金でなければ他者から調達する必要があるため時間を要する場合があるが、いずれにせよ売買成立のためには双方の決済時期が一致する必要があるもの。
「当該売却・購入希望者の属性データ」とは、法人については住所・名称、個人については住所・氏名、共通するものとしてメールアドレス、電話番号等、特定し、連絡するに必要なデータをいう。
「〜の入力を可能とする」とは、ここに列記されたデータ全てを必ず入力しなければならないというわけではなく、売却希望者と購入希望者の属性によって、例えば、下記表1のように決まっていく。
【表1】
【0008】
(作用)
請求項1記載の発明によれば、金銭債権売却データ入力手段によって、金銭債権の売却希望者である債権者から、当該金銭債権についての属性データ、売却希望価格、売却希望単価などの金銭債権売却データを入手することが可能となる。また、金銭債権購入データ入力手段によって、金銭債権の購入希望者から、当該金銭債権についての属性データ、購入希望金額、購入希望単価などの金銭債権購入データを入手することが可能となる。そして、取引対象者算出手段が、入手した金銭債権売却データと金銭債権購入データとから、金銭債権の売却希望者及び購入希望者それぞれに適合する取引対象者を算出することができ、これを出力することで、金銭債権の取引交渉可能な相手を知ることができる。
【0009】
(請求項2:入力データ変更機能)
請求項2記載の発明は、請求項1記載の不良債権オークションシステムに入力データ変更機能を付加したものであって、
入力された金銭債権売却データ及び金銭債権購入データを変更するための変更データの入力を促す変更データ入力手段と、
入力された変更データから、適合する取引対象者を新たに算出する取引対象者新算出手段とを備える。
【0010】
(作用)
請求項2記載の発明によれば、変更データ入力手段によって、金銭債権の売却希望者又は購入希望者が入力した金銭債権売却データ又は金銭債権購入データの変更を可能とする。そして、入力された変更データから、取引対象者新算出手段が適合する取引対象者を新たに算出することで、様々な条件の下に売買可能な取引対象者を見つけだすことが可能となる。
【0011】
(請求項3:入力データ変更督促機能)
請求項3記載の発明は、請求項1記載の不良債権オークションシステムに入力データ変更督促機能を付加したものであって、
金銭債権の売却希望者からその金銭債権の内容が変更された変更情報を受信する変更情報受信手段と、
変更された金銭債権の内容に対応して、入力された金銭債権売却データ及び金銭債権購入データを変更するための変更データの入力を促す変更データ入力督促手段と、
入力された変更データから、適合する取引対象者を新たに算出する取引対象者新算出手段とを備える。
【0012】
(作用)
請求項3記載の発明によれば、変更情報受信手段によって、金銭債権の売却希望者から約定弁済期日到来・延滞・期限前弁済・期限の利益喪失などによりその金銭債権の内容が変更された変更情報を受信する。そして、変更データ入力督促手段が、変更された金銭債権の内容に対応して、入力された金銭債権売却データ及び金銭債権購入データを変更するための変更データの入力を促し、取引対象者新算出手段が入力された変更データから、適合する取引対象者を新たに算出する。これにより、時間の経過に対応した金銭債権の売買が可能となる。
【0013】
(請求項4:検索機能)
請求項4記載の発明は、請求項1から3記載の不良債権オークションシステムに検索機能を付加したものであって、
取引対象者を検索するために、取引対象者の入力する入力データ項目を入力可能とする検索データ入力手段と、
入力されたデータから取引対象者を検索する取引対象者検索手段と、
検索された取引対象者の入力された入力データを出力する検索結果出力手段とを備える。
【0014】
(用語説明)
ここで、「取引対象者の入力する入力データ項目」とは、取引対象者が金銭債権の売却希望者であれば、金銭債権売却データ入力手段によって入力を促される当該売却希望金銭債権についての属性データ、売却希望価格、売却希望単価、金銭債務の返済スピード、具体的な返済スケジュール、担保等価値、キャッシュフローからの年間返済実績、決済時期などである。また、取引対象者が金銭債権の購入希望者であれば、金銭債権購入データ入力手段によって入力を促される当該購入希望金銭債権についての属性データ、購入希望金額、購入希望単価、金銭債務の返済スピード、決済時期などである。
【0015】
(作用)
請求項4記載の発明によれば、取引対象者を検索するために、検索データ入力手段によって取引対象者の入力する入力データ項目の入力が可能となる。そして、取引対象者検索手段によって、入力されたデータから取引対象者を検索し、検索結果として出力する。これにより、所定条件の取引対象者の有無を検索して確認することが可能となる。
【0016】
(請求項5:競合者表示機能)
請求項5記載の発明は、請求項1から4記載の不良債権オークションシステムに競合者表示機能を付加したものであって、
金銭債権売却データを入力した売却希望者へは、同一債務者に対する金銭債権の金銭債権売却データを入力した競合者の金銭債権売却データを、又は/及び金銭債権購入データを入力した購入希望者へは、同一債権者に対する金銭債権の金銭債権購入データを入力した競合者の金銭債権購入データを算出する競合者データ算出手段と、
算出された競合者データを出力する競合者データ出力手段とを備える。
【0017】
(用語説明)
ここで、「競合者」とは、売却希望者であれば、同一債務者についての金銭債権の売却を希望する債権者である。また、購入希望者であれば、同一債権者(第三債務者に対する債権者)についての金銭債権の購入を希望する第三債務者または他者である。
【0018】
(作用)
請求項5記載の発明によれば、競合者データ算出手段によって、金銭債権売却データを入力した売却希望者へは、同一債務者に対する金銭債権の金銭債権売却データを入力した競合者の金銭債権売却データを、また、金銭債権購入データを入力した購入希望者へは、同一債権者に対する金銭債権の金銭債権購入データを入力した競合者の金銭債権購入データを算出し、算出された競合者データが出力される。これにより、金銭債権の売却希望者及び金銭債権の購入希望者は、それぞれ競合者の存在及び金銭債権の売却条件、購入条件を知ることができ、売却希望者と購入希望者間での金銭債権売買交渉のための重要な情報となる。
【0019】
(請求項6:表示順選択機能)
請求項6記載の発明は、請求項1から5記載の不良債権オークションシステムに表示順選択機能を付加したものであって、
出力する取引対象者又は競合者の表示順を設定することの可能な表示順設定手段と、
設定された表示順で取引対象者又は競合者を表示する表示順出力手段とを備える。
【0020】
(用語説明)
ここで、「表示順の設定」とは、取引対象者又は競合者のデータをある条件の下でソートする設定をいう。例えば、取引対象者として複数の債権者が出力された場合に、売却希望金額高低順に債権者を表示する設定や返済スピード高低順に債権者を表示する設定などである。
【0021】
(作用)
請求項6記載の発明によれば、表示順設定手段によって、出力する取引対象者又は競合者の表示順を設定することが可能となり、この設定された表示順で取引対象者又は競合者を表示する。これにより、複数の取引対象者又は競合者が出力された場合の整理が容易となる。
【0022】
(請求項7:二次オークション)
請求項7記載の発明は、請求項1から6記載の不良債権オークションシステムに取引機能を付加したものであって、
取引対象者と取引交渉を行うための取引データとして、少なくとも取引交渉を希望する相手方と申込金額並びに申込単価の入力を促す取引データ入力手段と、
取引データを入力した取引データ入力者間で入力データが一致すると、売買成立として当該取引データ入力者双方の出力データを消除する出力データ消除手段とを備える。
【0023】
(用語説明)
ここで、「少なくとも取引交渉を希望する相手方と申込金額並びに申込単価」としたのは、これ以外にも、例えば決済時期などの入力を促す場合も含まれることを意味する。
【0024】
(作用)
請求項7記載の発明によれば、取引データ入力手段によって、取引対象者と取引交渉を行うための取引データとして、少なくとも取引交渉を希望する相手方と申込金額並びに申込単価が入力される。そして、取引データを入力した取引データ入力者間、すなわち、売却希望者と購入希望者との間で入力データが一致すると、売買成立として当該取引データ入力者双方の出力データを消除する。これにより、その後当該金銭債権については売買不可能となる。
【0025】
(請求項8:取引データ再入力機能)
請求項8記載の発明は、請求項7記載の不良債権オークションシステムに取引データ再入力機能を付加したものであって、
入力された取引データが取引交渉を希望する相手方と一致しない場合には、再度取引データの入力を促す取引データ再入力手段を備える。
【0026】
(用語説明)
ここで、「入力された取引データが取引交渉を希望する相手方と一致しない場合」には、取引データが数値的に一致しない場合の他に、取引交渉を希望する相手方から取引データの入力がない場合も含まれる(但し、担保等価値のデータ、キャッシュフローからの年間返済実績のデータを除く)。
【0027】
(作用)
請求項8記載の発明によれば、入力された取引データが取引交渉を希望する相手方と一致しない場合には、取引データ再入力手段による再度の取引データの入力で、取引交渉の相手方との交渉継続が可能となる。
【0028】
(請求項9:証書類自動作成機能)
請求項9記載の発明は、請求項7又は8記載の不良債権オークションシステムに証書類自動作成機能を付加したものであって、
売買成立に伴う契約証書類のひな形を蓄積した契約証書類ひな形データベースと、
売買成立した取引の売買データを、契約証書類ひな形の所定箇所に挿入して、契約証書類を作成する契約証書類作成手段と、
作成した契約証書類を売買成立に関係した関係者へ出力する契約証書類出力手段とを備える。
【0029】
(用語説明)
ここで、「契約証書類」には、債権媒介契約(当該契約締結まで債権者・第三債務者は匿名にてオークションを行う)、守秘義務契約書、(条件付)債権譲渡契約書、預託契約書(売買金額について中立的な金融機関へ一定期間預託)、債権譲渡通知書、相殺通知書 などをいう。
【0030】
(作用)
請求項9記載の発明によれば、契約証書類作成手段によって、売買成立した取引の売買データを、契約証書類ひな形データベースに蓄積された契約証書類のひな形の所定箇所に挿入して契約証書類を作成する。そして、契約証書類出力手段によって、作成された契約証書類が売買成立した当事者双方へ出力される。これにより、金銭債権売買のための契約を迅速に進めることができるようになる。
【0031】
(請求項10:適正価格算出機能)
請求項10記載の発明は、請求項7記載の不良債権オークションシステムに適正価格算出機能を付加したものであって、
取引データの単価の要因を分析し、当該債務者に対する金銭債権の適正価格を算出する適正価格算出手段と、
算出した適正価格を出力する適正価格出力手段とを備える。
【0032】
(用語説明)
ここで、「取引データの単価」には、売買成立した取引データの他に、売買成立しない取引データも含まれる。
また、「分析」とは、例えば、以下のようなものをいう。
▲1▼ 需給の分析(売買成立した取引データの時点修正、売却者の売り急ぎ・購入者の買い急ぎについての修正を含む)。
▲2▼ 売買成立した金銭債権の債務者の財務・収支状況分析。
▲3▼ 売却者の売買成立した金銭債権の債務者に対する評価を分析(売却者の売買成立した金銭債権の債務者に対する財務・収支状況分析、金銭債権引当状況、担保・保証状況についての推定他を含む)。
▲4▼ 購入者の売買成立した金銭債権の債務者に対する評価を分析(相殺により、購入者は売買成立した金銭債権の債務者との取引継続は困難になり取引打切りになると考えられるが、そこまで購入者が判断した理由を含む)。
【0033】
(作用)
取引データの単価は、取引される金銭債権の債務者の市場における信用力の評価を反映したものであり、この成立要因を分析することで当該債務者に対する金銭債権の適正価格を算出することが可能となる。そして、この適正価格が出力されることで、当該債務者に対する金銭債権の取引における指針となる。
【0034】
(請求項11:入力データ自動変更機能)
請求項11記載の発明は、請求項1又は7記載の不良債権オークションシステムに入力データ自動変更機能を付加したものであって、
取引データの単価の要因を分析し、当該債務者に対する金銭債権の適正価格を算出する適正価格算出手段と、
金銭債権の売却希望者又は/及び購入希望者の入力データのうち、少なくとも売却・購入希望金額又は/及び売却・購入希望単価を、入力データ及び算出された当該金銭債権の適正価格に基づいて自動的に変更する入力データ自動変更手段を備える。
【0035】
(作用)
入力データ及び算出された適正価格を利用して、時間の経過に対応した金銭債権の売却希望者又は/及び購入希望者の入力データを自動的に変更できる。なお、ここにおいて、期日に約定弁済がなされ金銭債権の内容が変更した場合には、入力データの具体的な返済スケジュールに基づいて売却・購入希望金額についてのみ数値を調整することも含まれる。
【0036】
(請求項12:データ提供機能)
請求項12記載の発明は、請求項1又は7記載の不良債権オークションシステムにデータ提供機能を付加したものであって、
入力された金銭債権売却データ・金銭債権購入データ及び/又は取引データを他の不良債権オークションシステムへ提供し、及び/又は、他の不良債権オークションシステムにおいて入力された金銭債権売却データ、金銭債権購入データ及び/又は取引データの提供を受けるデータ提供手段を備える。
【0037】
(作用)
他の不良債権オークションシステムへデータを提供し、他の不良債権オークションシステムからデータの提供を受けることで、取引相手方の数が増大し、売買成立の可能性が高まることとなる。
【0038】
(請求項13:パッケージング機能)
請求項13記載の発明は、請求項1記載の不良債権オークションシステムにパッケージング機能を付加したものであって、
入力された金銭債権売却データ・金銭債権購入データから一部の入力データをパッケージングする入力データパッケージング手段と、
パッケージングされたロットからそれぞれに適合する取引対象者を算出するパッケージング用取引対象者算出手段を備える。
【0039】
(請求項14)
請求項14記載の発明は、請求項1記載の不良債権オークションシステムに細分化機能を付加したものであって、
入力された金銭債権売却データ・金銭債権購入データから一部の入力データのロットを細分化する入力データ細分化手段と、
細分化されたロットからそれぞれに適合する取引対象者を算出する細分化用取引対象者算出手段を備える。
【0040】
(作用)
前記「一部の入力データをパッケージング/細分化する」とは、例えば以下のようなものをいう。なお、ここで表記する「A」「B」「C」は、図29に図示したA,B,Cを意味する。
金額についてAの売却希望金額の下限金額(min)に満たない最大(max)購入希望金額のBが複数存在し、当該複数のBの最大購入希望金額の合計がAの売却希望金額の下限金額(min)を上回る場合に、複数のBをパッケージングすることにより、Aと複数のB間で取引が成立する。逆に、まとまったAのロットを細分化して、Aと複数のB間で取引が成立する。ただし、他の売買の要素(売却・購入希望単価、債務の返済スピード、具体的な返済スケジュール、担保等価値、キャッシュフローからの年間返済実績、決済時期など)についてAとBが合意できる状態にあることが前提である。
【0041】
また、単価について、A1の売却希望単価の下限単価(min)をB1の購入希望単価は上回るものの、最大(max)購入希望金額でA1の売却希望金額の下限金額(min)を満たさないB1と、B2単独ではA1の売却希望単価の下限単価(min)を満たさないがB1との合計平均単価ではA1の売却希望単価の下限単価(min)を上回り、かつ金額もB1とB2合計でA1の売却希望金額の下限金額(min)を上回る場合に、B1とB2をパッケージングすることによりA1とB1・B2間で取引が成立する。逆に、まとまったA1のロットを細分化して、A1とB1・B2間で取引が成立する。ただし、他の売買の要素についてA1とB1・B2が合意できることが前提である。
なお、返済のスピードが異なるものについて、同様の展開をするのは妥当ではない。なぜならば、期限到来の早いものと遅いものとを平均しても意味がなく、期限到来が遅いものは早いものに比べCの法的破綻時に否認される可能性がより高くなるため、そもそもBの購入意図にそぐわないからである。
【0042】
(請求項15:返済スピード)
請求項15記載の発明は、請求項1,7又は8記載の不良債権オークションシステムに返済スピードが適合する取引対象者を算出する機能を付加したものであって、
金銭債権の売却希望者によって入力された具体的な返済スケジュールから、金銭債権の購入希望者が入力した債務の返済スピードに適合する取引対象者を算出する取引対象者算出手段とを備える。
【0043】
(作用)
「返済のスピード」は額面(=par)についての返済平均で表わされているものの、サイト運営者は「具体的返済スケジュール」のデータを有しているため、金銭債権購入希望者の条件とする(=入力した)「返済のスピード」に適合する金銭債権売却希望者を選択することが可能である。
なお、ここで「具体的な返済スケジュール」とは、Cの金銭債権の内容が変更されたことによってAが再入力した返済スケジュール、入力データ自動変更機能により変更されたデータなども含まれる。
【0044】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、本発明の不良債権オークションシステムを使った金銭債権の譲渡手続ならびに相殺手続の概要を説明する。ここで使用する図面は、図1から図3である。
【0045】
(図1)
図1は、その概要を示す概念図である。サイト運営者Dは、本発明の不良債権オークションシステムに係る不良債権オークションサイトXを提供している。また、金銭債権の売却を希望する金銭債権売却希望者A1,A2,A3,…Anと、金銭債権の購入を希望する金銭債権購入希望者B1,B2,B3,…Bnが存在する。
【0046】
このような状況下で、金銭債権の売却を希望する金銭債権売却希望者A1,A2,A3,…Anと、金銭債権の購入を希望する金銭債権購入希望者B1,B2,B3,…Bnとは、それぞれ金銭債権の取引相手を探し出すために、不良債権オークションサイトXにデータ入力をする(1)。すると、不良債権オークションサイトXにおいて、金銭債権売却希望者及び金銭債権購入希望者双方の条件に合致する取引相手A1とB1とが見つけ出される(2)。なお、不良債権オークションサイトXがこの取引相手を見つけ出す方法については、後ほど詳細に説明する。
【0047】
B1は、サイト運営者Dの媒介により、C1に対する不良金銭債権をA1から譲り受ける。個々の金銭債権について、全部譲渡である場合も一部譲渡(全部譲渡し一部戻し譲渡する場合も含む)である場合もある。B1の対価支払いはA1へ行われる。ここで、不良金銭債権購入希望者B1,B2,B3,…Bnは、(i)第三債務者(通常の相殺を目的とする第三債務者)、(ii)第三債務者(債権の購入希望者で、かつ自身の負う債務以上の債権の購入を図ろうとする第三債務者)、(iii)他者(第三債務者でない他者が債権の購入希望者)に分けられる。B1が、(i)(ii)の場合は、直後に当該金員は、供託するなど第三者たる預託等機関Eへ預託等(エスクロー勘定、信託などあらゆる預け金を含む)される。譲渡債権の対価支払いは、B1からEに設けられたA1名義の口座に入金される方法によりなされ、その直後払出されEが設けたA1B1の共有口座等にて当該金員は管理される。一定期間(原則1年間)共有口座等に当該金員は留まる(当該手続は、A1B1(D)E間の預託契約等に定めがなされる。なお、DがEと一致する場合もある。)。なお、B1が(iii)の場合に預託は不要であり、対価を支払い受領して終わる。
【0048】
また、A1はC1に対して、譲渡通知を(内容証明郵便にて)送付する。一方、B1が(i)(ii)の場合は、譲受債権の額面にて、C1への債権債務が相殺適状であることを要件として、額面にて相殺を行なう(内容証明郵便にて相殺通知を送付する)。なお、B1が(iii)の場合は関係ない。
【0049】
(図2)
図2は、A1からB1の(i)(ii)へ金銭債権譲渡後に、C1の破産等法的手続開始に伴う破産管財人等の否認権行使がなされた場合の概念図である。
C1が破産等法的手続申立を行い開始決定がなされ、破産管財人等からの否認権の行使がなされた場合には、譲渡された金銭債権についてA1はB1より買戻しを行い、原状回復を行う。買戻しの対価は、共有口座等に留まる金員を、B1が受領することにより支払われる。B1は、破産管財人等への内容証明郵便にての譲渡通知を行う。また、B1は、裁判所への債権者名義変更届出等、債権譲渡に必要な手続を行う。
【0050】
(図3)
図3は、A1からB1の(i)(ii)へ金銭債権譲渡後に、C1の破産等法的手続の申立がなされなかった場合の概念図である。
一定期間(原則1年間)、C1により破産等法的手続の申立がなされなかった場合には、共有口座等に留まる金員を、A1が受領する。
【0051】
次に、不良債権オークションシステムについて説明する。ここで使用する図面は、図4から図22である。
【0052】
(図4)
図4は、金銭債権売却希望者A1,A2,A3,…Anが金銭債権売却データを入力する画面である。金銭債権売却データとして入力する項目は、▲1▼当該不良金銭債権についての属性データ、▲2▼売却希望金額、▲3▼売却希望単価、▲4▼債務の返済スピード、▲5▼具体的な返済スケジュール、▲6▼担保等価値、キャッシュフローからの年間返済実績、▲7▼決済時期及び▲8▼当該売却希望者の属性データである。ここで、C1の金銭債権の売却を希望している金銭債権売却希望者A1は、▲1▼〜▲8▼の項目に図4に示すような金銭債権売却データを入力した。なお、A1はC1に対して有する複数の金銭債権について、各々を別個に入力することは可能である。
【0053】
(図5)
図5は、金銭債権購入希望者B1,B2,B3,…Bnが金銭債権購入データを入力する画面である。金銭債権購入データとして入力する項目は、▲1▼当該金銭債権についての属性データ、▲2▼購入希望金額、▲3▼購入希望単価、▲4▼債務の返済スピード、▲5▼決済時期及び▲6▼当該購入希望者の属性データである。ここで、C1の金銭債権の購入を希望している金銭債権購入希望者B1は、▲1▼〜▲6▼の項目に図5に示すような金銭債権購入データを入力した。なお、B1はC1に対して負う複数の金銭債務について、各々を別個に入力することは可能である。
【0054】
金銭債権売却希望者A1,A2,A3,…Anと金銭債権購入希望者B1,B2,B3,…Bnは、その後▲2▼売却・購入希望金額、▲3▼売却・購入希望単価や▲4▼債務の返済スピード等の入力データを変更できる。この変更には、相手方との関係で自主的に変更する場合の他、約定弁済期日到来のため変更する場合がある。約定弁済期日到来のための変更について詳しく説明すると、サイト運営者Dは、分割弁済条件が付されている金銭債権について、システムに登録された弁済条件に従い、約定弁済期日到来の都度、金額(par、min)のデータ変更を金銭債権売却希望者A及び金銭債権購入希望者Bへ促す。デフォルトに至るまで、弁済が継続されているならば、約定弁済により金銭債権売却希望者Aが債務者Cに対して有する金銭債権の金額が異動するため、数値を調整しなければならないことと、当該数値的調整により金銭債権売却希望者Aや金銭債権購入希望者Bがpar、minを見直す場合があるからである(例えば、金銭債権売却希望者Aはminを当初かなり低い金額に設定していたが、多額の約定弁済が実現したため、残額を少ない回数の売却で完了しようとしてminの金額を引上げる場合がある)。金銭債権売却希望者Aは、正常な弁済が見込まれている前者については、予め登録された分割弁済条件に従い自動的に金額や単価を調整するようにしてもよい。なお、後者についてはさらに後述の単価(max、min)の見直しにも影響を与える場合がある(例えば、多額の約定弁済が実現し少額の金銭債権が残額となった場合には、単価を下げ早期売却をAが図ることがある)。
サイト運営者Dは、約定弁済期日到来の都度、単価(max、min)のデータ変更を金銭債権売却希望者A及び金銭債権購入希望者Bへ促す。また、単価に係る適正価格についての助言を、金銭債権売却希望者Aや金銭債権購入希望者Bへ与える。単価に係る適正価格についての助言については、次に説明する。
【0055】
(図6及び図7)
図6及び図7は、約定弁済の形状について示したものである。図6は通常の場合、図7は期限の利益喪失時と一部(括弧部分)期限を前倒しへ変更した場合を示す。
不良債権オークションシステムへの参加者金銭債権売却希望者A及び金銭債権購入希望者Bは共に、当然のことながら、債務者Cならびに市況・経済情勢一般等について、現在ならびに将来の全ての情報を有していないし、一部有しているものについても、個々の金銭債権売却希望者A及び金銭債権購入希望者Bでは偏頗性がある。
しかし、債務者Cについての情報のディスクローズならびに市況・経済情勢一般等の情報が流布すれば、不良債権オークションシステムで売買成立する取引の単価は、債務者Cについて、売買当事者が期待するコンセンサスの水準に、次第に収束していく。後述の適正価格とは、その水準のことである。現実には、個々成立する売買取引単価は相互に、個々引合いの単価も相互に、また個々成立する売買取引単価と個々引合いの単価も相互に、時間を軸に相対的に影響を与えながら進行する。
収束していく過程においては、相殺は債務者Cの法的手続開始如何に左右されるのであるから、金銭債権売却希望者Aと金銭債権購入希望者Bともに相殺の効果の確定如何について不安定な状況にあることになる。図6と図7は、金銭債権売却希望者Aが債務者Cに対して有する債権の約定弁済のうち、相殺の効果が確定したものとそうでないものとが結果的に存在することを示すが、(イ)点ではその正確な予測は不可能であり、後に(ロ)点に至った時に結果的に確定する。相殺の効果が非確定となる部分は、即ち価値を有しない部分であり、収束していく過程において、単価で勘案され、何らかのショック(メイン銀行の支援打切り発表など)がない限り、通常は漸次調整されていくべきものである。実は、前段落(0054)において、債務者Cにより約定弁済が期日になされた事実は、上記の適正価格に影響を与える一情報でもあるのである。
【0056】
(図8)
図8は、C1がA1に負う債務の返済スピードを示したグラフである。C1は自ら期限の利益を放棄することはない。よって、C1のA1に対する債務の返済期限が早く到来すればするほど、相殺適状となる金額が額面を最大値として早く確定する(期限にCが返済しないことを前提。そもそも期限にCが返済すれば、相殺とならない)。上図のa、b、cは、額面の返済に何ヶ月を要するか、を平均で表している(以下、返済平均という)。傾きが急であればあるほど、債務の返済のスピードが早いことを示す。aはb、cよりも額面に対し期限到来が早いことになる。同一額面、同一単価間では、a(傾き100/3)の価値が、b(傾き100/6)、c(傾き100/15)よりも高い。具体的表示としての「傾きの種別」は、100/1、100/2、100/3、・・・100/15 のようになる。なお、全ての金銭債権の期限が到来し延滞となった債務者への債務の「傾きの種別」は、∞(無限大)として表される。
【0057】
また、金銭債権購入希望者B1,B2,B3,…Bnが前記(ii)(iii)の場合には、担保権の移転が必要となる。そこで、この移転費が金銭債権売却希望者A1,A2,A3,…An又は金銭債権購入希望者B1,B2,B3,…Bnのいずれが負担するか、予め決めておくとよい。例えば、「移転費用負担は一律に不良金銭債権購入希望者側が支払う」旨を画面上に明示する。
【0058】
(図9)
図9は、入力された金銭債権売却データ及び金銭債権購入データから、取引の対象となる金銭債権の債務者C1,C2,C3,…Cnごとに名寄せを行い、データベースを構築するものである。
【0059】
(図10及び図11)
図10は、名寄せされたデータの中から、金銭債権売却希望者と金銭債権購入希望者との間で売買成立可能な取引対象者を、金額ベースで算出するものである。ここで、前記金銭債権売却希望者A1は、売却希望金額がpar900、min500である。一方、前記金銭債権購入希望者B1は、購入希望金額がpar600、min400である。これであると、図10に示す▲4▼条件に合致する。従って、金額ベースでは金銭債権売却希望者A1と金銭債権購入希望者B1とは売買成立可能な取引対象者となる。なお、図11は、図10に示す▲4▼のケースの主要個所を具体的に示したものである。
【0060】
(図12及び図13)
図12は、名寄せされたデータの中から、金銭債権売却希望者と金銭債権購入希望者との間で売買成立可能な取引対象者を、単価ベースで算出するものである。ここで、前記金銭債権売却希望者A1は、売却希望単価がmax97%、min95%である。一方、前記金銭債権購入希望者B1は、購入希望単価がmax96%、min94%である。これであると、図12に示す▲4▼条件に合致する。従って、単価ベースでも金銭債権売却希望者A1と金銭債権購入希望者B1とは売買成立可能な取引対象者となる。なお、図13は、図12に示す表示法をイメージさせたものである。
【0061】
(図14)
図14は、図12に示す単価における売買成立可能性について説明したものである。
単価における売買成立可能性が、金額における売買成立可能性と異なる点は以下の通りである。
(1)重複する部分を考慮するのでなく、単価でAmin≦Bmaxを満たせば良い(Aは売手、Bは買手だから)。
下限単価についてまず述べる。
(2)相手側が複数存在し、各相手側は各下限単価(=上限単価の場合もある)を有しているため、単価が複数存在することになる。
(3)複数存在する単価が平均値で最小となるには、下限単価のうち、より低い方の単価を金額の上限に至るまでまず使い、使い切った後に次に低い下限単価を金額の上限に至るまで用いる。
▲8▼の*3について図14に図示してある(三次元なので、座標軸が三つある)。今、単価でA1min<A2minとし、金額でA1minは90、A1parは100、A2minは70、A2parは110だとする。この場合、まずA1minの単価より用いる。図では太線(イ)になる。 続いて、A2minの単価を用いる。図では太線(ロ)になる。B1minの単価が120なら、うち100はA1minの単価を用い、続いて残る20はA2minの単価を用いる。以上により、「A1min+A2min」が最小となる。
次に上限単価についてだが、上記の下限単価に準じて考えることとなる。ここでは説明を省略する。
【0062】
(図15)
図15は、名寄せされたデータの中から、金銭債権売却希望者と金銭債権購入希望者との間で売買成立可能な取引対象者を、返済スピードベースで算出するものである。ここで、前記金銭債権売却希望者A1は、返済スピードが100/3である。一方、前記金銭債権購入希望者B1は、返済スピードが100/2である。これであると、図15に示す▲1▼条件に合致しない。従って、返済スピードベースでは金銭債権売却希望者A1と金銭債権購入希望者B1とは売買成立可能な取引対象者とはならない。
【0063】
ところでサイト運営者Dは、A1がC1に対して有する債権についての「具体的返済スケジュール」をデータとして有しており、額面相当金額が何ヶ月後に期限到来するか表示する機能を有している。前記図8においてa、b、cはまっすぐな直線なので、それ自体は額面の返済に必要な月数を平均して表している。しかし、現実の返済は曲がった直線であるd、eの場合もある。そこで、例えば、A1はC1に対し100百万円の債権を有し、par100百万円、min80百万円での売却希望があるとする。一方、B1はpar80百万円、返済のスピード100/9での購入希望があるとする。この場合はB1へd上のポイントである(イ)を表示する。一方、eにおいては、B1に対し表示し得るポイントは存在しない。つまり、「返済のスピード」は額面(=par)についての返済平均で表わされているものの、サイト運営者Dは「具体的返済スケジュール」のデータを有しており、B1の条件とする(=入力した)「返済のスピード」に適合するA1を選択する機能を有しているのである。
【0064】
(図16)
図16は、名寄せされたデータの中から、金銭債権売却希望者と金銭債権購入希望者との間で売買成立可能な取引対象者を、決済時期ベースで算出するものである。ここで、前記金銭債権売却希望者A1は、決済時期がH14年6月である。一方、前記金銭債権購入希望者B1は、決済時期の希望が今のところH14年7月である。しかし、これをH14年5月とすると、図16に示す▲1▼条件に合致する。従って、返済スピードベースでも金銭債権売却希望者A1と金銭債権購入希望者B1とは売買成立可能な取引対象者となる。
【0065】
(図17)
図17は、金銭債権売却希望者が金銭債権売却データを入力した後に、その金銭債権売却希望者に適合する取引対象者等が出力される1次オークションサイトの画面である。ここでは、金銭債権売却希望者A1に適合する金銭債権購入希望者B2,B3などが表示される。しかし、金銭債権売却希望者A1が「3.A1検索」で「返済のスピード」を100/2に変化させると、金銭債権購入希望者B1が新たに表示され、金銭債権売却希望者A1は金銭債権購入希望者B1の存在を知ることとなる。なお、「返済のスピード」は所与のため(期限の利益は債務者C1のためにあるため)、金銭債権売却希望者A1は「返済のスピード」を変えることは通常できない。
【0066】
(図18)
図18は、金銭債権購入希望者が金銭債権購入データを入力した後に、その金銭債権購入希望者に適合する取引対象者等が出力される1次オークションサイトの画面である。ここでは、金銭債権購入希望者B1に適合する金銭債権売却希望者A2が表示される。しかし、金銭債権購入希望者B1が「3.B1検索」で「返済のスピード」を100/3に、「決済時期」をH14年5月に変化させると、金銭債権売却希望者A1が新たに表示され、金銭債権購入希望者B1は金銭債権売却希望者A1の存在を知ることとなる(現在をH14/3月とする)。
【0067】
(図19)
図19は、金銭債権売却希望者が、取引対象者の中から特定の相手方へ取引データを提示して、金銭債権の売却申込をする場合の取引データ入力画面である。ここで、金銭債権売却希望者A1は、金銭債権購入希望者B1に対して、売却申込金額600、売却申込単価96、決済時期H14/6を入力して、売却の意思表示をしている。
【0068】
(図20)
図20は、金銭債権購入希望者が、取引対象者の中から特定の相手方へ取引データを提示して、金銭債権の購入申込をする場合の取引データ入力画面である。ここで、金銭債権購入希望者B1は、金銭債権売却希望者A1に対して、売却申込金額600、売却申込単価95、決済時期H14/6を入力して、購入の意思表示をしている。
【0069】
(図21)
図21は、金銭債権売却希望者が取引データを入力し、売却申込をした後の申込状況が出力される2次オークションサイトの画面である。ここでは、金銭債権売却希望者A1はB1に売却申込をしているのに対して、金銭債権売却希望者A1へは、金銭債権購入希望者B1、B2とB3などが購入申込をしている。金銭債権売却希望者A1と金銭債権購入希望者B1とでは、売却申込単価96と購入申込単価95とで一致していない。仮りに、金銭債権売却希望者A1が売却申込単価96を95に変更すると、双方の意思が全て合致し(売買の要素が一致)し、売買が成立する。そして、金銭債権売却希望者A1と金銭債権購入希望者B1とは、このオークションサイトから即座に消除される。
【0070】
(図22)
図22は、金銭債権購入希望者が取引データを入力し、購入申込をした後の申込状況が出力される2次オークションサイトの画面である。ここでは、金銭債権購入希望者B1はA1に購入申込をしているのに対して、金銭債権購入希望者B1へは、金銭債権売却希望者A1とA2などが売却申込をしている。金銭債権購入希望者B1と金銭債権売却希望者A1とでは、購入申込単価95と売却申込単価96とで一致していない。仮りに、金銭債権購入希望者B1が購入申込単価95を96に変更すると、双方の意思が全て合致し(売買の要素が一致)し、売買が成立する。そして、金銭債権売却希望者A1と金銭債権購入希望者B1とは、このオークションサイトから即座に消除される。
【0071】
(図23〜図28)
A1とB1との間で売買が成立すると、図23から図28に示すような各種契約書類が自動的に作成される。ここで、当該不良債権オークションサイトXは、金銭債権売却希望者A1,A2,A3,…Anと金銭債権購入希望者B1,B2,B3,…Bnに対して、当該不良債権オークションに参加する前に、売買成立の際に前記各種契約を締結する義務を負うことに同意すること(守秘義務契約は売買成立如何を問わず締結)、また前記各種契約内容を画面上に明示し同意することを確認するようにしてもよい。こうすることで、売買成立後の契約締結におけるトラブルを事前に防止できる。
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、以下のような効果を有する。
▲1▼ インターネットサイト上で行われる意義として、金銭債権売却希望者と金銭債権購入希望者とは現状では出会う術はないが、本件サイトによりマリーが可能となる。また、金銭債権売却希望者と金銭債権購入希望者の募集を本件サイトにて行うことにより、例えば一般紙等の広告を経由し募集することに比べ対象が限定的となることから、売買される金銭債権の債務者に係る情報が流布することを相対的に減じる効果がある。さらに、債権の売買当事者を債権者・第三債務者に限定し、第三債務者は債務者からの残高証明等、債権者は金銭消費貸借契約など原因証書等又は債務者の債務承認書等の呈示を義務付けることによってのみ、本件サイトに参加できることとすれば、より狭い範囲に、売買される債務者の債権に係る情報が限定されることになる。
さらに、金銭債権売却希望者の債務者に係る財務・収支情報についての守秘義務遵守(あるいは、債務者に係る風評被害を防ぐため)の観点からは、例えばインターネットサイト上の表示を下表2の通り行うことも可能である。
【表2】
金銭債権購入希望者は、1次・2次オークションにおいて、最初は相手方の表示が一切ない。よって、オークションの作動は、金銭債権売却希望者から金銭債権購入希望者に対して申込がなされることにより始まる。当然のことながら、最初の申込において、金銭債権購入希望者は金銭債権売却希望者に対してオークションに係る守秘義務を負うことにサイト上既に同意するなどしている。これにより、金銭債権売却希望者の債務者に係る財務・収支情報についての守秘義務遵守(あるいは、債務者に係る風評被害を防止)は実現されると考えられる。
▲2▼ 不良債権オークションに早期に参加した債権者のみが、債権額面に対し、Cの清算価値からの配当率を上回る弁済率を実現できるケースがでてくる。本来であれば、Cについて将来配当がなされる清算価値を現在価値に割り引いたものが債権額に対する配当の理論値であるが、情報の偏頗性などから、本件オークションに参加した債権者は先行して当該債権を売却する分、弁済率が配当率より高くなることになる。
▲3▼ サイト運営者Dが仲介者としてA、Bら(複数のA1、A2…、B1、B2…のこと)をパッケージングしてまとまったロットとし仲介を行うこと、また逆にまとまったロットを細分化して仲介を行うことが可能となる。さらに、前項で、サイト運営者Dが自らAらから債権の購入をまとめて行いポジションをとり、Bへ当該債権の売却すること、またAから債権の購入を行いポジションをとり、Bへロットを細分化して売却することが可能となる。
▲4▼ 売買成立した取引データの単価は、売買成立した金銭債権の債務者の市場における信用力の評価を反映したものであり、この成立要因を分析することで当該債務者に対する債権の適正価格を算出することが可能となる。そして、この適正価格が出力されることで、当該債務者に対する金銭債権の取引における指針となる。出力される適正価格により金銭債権の債務者の格付も可能であり、また他の信用格付情報とも有機的に結合させ、その情報を提供すれば、債務者の社債・株式市場等に相互に影響を与えあう。
▲5▼ 第三債務者が不良債権オークションシステムを繰り返し利用し債権譲渡を完結することにより、返済負担が軽減する。
▲6▼ 社会的意義として、不良債権の債務者の外部にて、当該債務者の市場における信用力を反映した債権の売買・相殺が市場原理に基づき迅速に行われることから、不良債権の流動性が高まる。そのような機能のある市場が存在することは、国内外の信任を得られることとなり、資本主義の発展に資する。なお、不良債権オークションシステムは、経済環境を勘案し充分配慮し、実施されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【図1】不良債権オークションシステムの概要を示す概念図。
【図2】不良債権オークションシステムの概要を示す概念図。
【図3】不良債権オークションシステムの概要を示す概念図。
【図4】金銭債権売却希望者が金銭債権売却データを入力する画面。
【図5】金銭債権購入希望者が金銭債権購入データを入力する画面。
【図6】約定弁済の形状について示した説明図。
【図7】約定弁済の形状について示した説明図。
【図8】債務の返済スピードを示したグラフ。
【図9】入力された金銭債権売却データ及び金銭債権購入データからデータベースの構築を示す概念図。
【図10】売買成立可能な取引対象者を金額ベースで算出する算出法。
【図11】売買成立可能な取引対象者を金額ベースで算出する算出法の具体例。
【図12】売買成立可能な取引対象者を単価ベースで算出する算出法。
【図13】売買成立可能な取引対象者を単価ベースで算出する算出法のイメージ図。
【図14】単価における売買成立可能性について説明図。
【図15】売買成立可能な取引対象者を返済スピードベースで算出する算出法。
【図16】売買成立可能な取引対象者を決済時期ベースで算出する算出法。
【図17】金銭債権売却希望者側の1次オークションサイトの画面。
【図18】金銭債権購入希望者側の1次オークションサイトの画面。
【図19】金銭債権の売却申込をする場合の取引データ入力画面。
【図20】金銭債権の購入申込をする場合の取引データ入力画面。
【図21】金銭債権売却希望者側の2次オークションサイトの画面。
【図22】金銭債権購入希望者側の2次オークションサイトの画面。
【図23】債権媒介契約書のサンプル。
【図24】債権譲渡通知書のサンプル。
【図25】債権譲渡契約書のサンプル。
【図26】相殺通知書のサンプル。
【図27】預託契約書のサンプル。
【図28】守秘義務契約書のサンプル。
【図29】三者間の金銭債権の債権債務関係を示したもの。
【発明の属する技術分野】
金銭債権の売却希望者と金銭債権の購入希望者との間で、不良債権である金銭債権のオークションを可能とする技術である。
【0002】
【従来の技術】
図29(I)は、三者間の金銭債権の債権債務関係を示したものである。すなわち、Cは、Aに対して債務を負う債務者であり、Bに対して債権を有する債権者である。言い方を変えれば、AはCに対して債権を有する債権者であり、BはCに対して債務を負う債務者である。また、Bは、Aに対する債務者であるCの債務者であるから、BはAとの関係では債務者の債務者である。ここでは、第三債務者という。
【0003】
図29(I)のような場合、Cの信用状態が悪化すると、Aはディスカウントされた額であってもCに対する金銭債権をBへ売却し、資金を回収したい場合もある。一方、BがCに負っている債務の額は、Cの信用状況にかかわらずそのままである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
こうした場合、AとBとの間で、AのCに対して有する金銭債権を売買できれば、Aは資金の回収を図ることができる。また、Bは購入した金銭債権によって債務を相殺し、債務の履行を果たすことができる。従って、AとBの両者にとってメリットのあることである。
また、図29(II)は、(I)とは別の三者間の関係を示したものである。すなわち、Cは、Aに対して債務を負う債務者である。一方、Bは、C又はAに対して債権債務を有する者ではなく、第三者(他者)である。この場合であっても、BはCの年間返済実績(事業価値)又は担保等価値(保全等状況)を検討し、AのCに対する金銭債権の購入を希望する場合もある。
【0005】
しかし、現状において、個別にAがBを見つけ出し、あるいはBがAを見つけ出し、金銭債権の売買交渉をすることは困難であった。また、AとBとが金銭債権の売買のできるような市場も存在していなかった。
そこで、本発明は、金銭債権の売却希望者である債権者と金銭債権の購入希望者である第三債務者又は第三者(他者)とをマッチングさせ、当該金銭債権を売買する技術を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(請求項1:一次オークション)
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、
金銭債権の売却希望者である債権者に対して、金銭債権売却データとして当該金銭債権についての属性データ、売却希望金額、売却希望単価、債務の返済スピード、具体的な返済スケジュール、担保等価値、キャッシュフローからの年間返済実績、決済時期及び当該売却希望者の属性データの入力を可能とする金銭債権売却データ入力手段と、
金銭債権の購入希望者に対して、金銭債権購入データとして当該金銭債権についての属性データ、購入希望金額、購入希望単価、債務の返済スピード、決済時期及び当該購入希望者の属性データの入力を可能とする金銭債権購入データ入力手段と、
入力された金銭債権売却データと金銭債権購入データとから、金銭債権の売却希望者及び購入希望者それぞれに適合する取引対象者を算出する取引対象者算出手段と、
算出された適合する取引対象者の入力データを出力する入力データ出力手段とを備えた不良債権オークションシステムである。
【0007】
(用語説明)
「金銭債権についての属性データ」とは、当該金銭債権の債務者である法人・個人を特定する上で、前者は商業登記簿謄本等で登記されている住所・名称、後者は住民票・戸籍上で特定される住所・氏名などをいう。
「売却・購入希望金額」とは、取引の対象となる金銭債権の金額をいう。売却希望者・購入希望者は各々上限金額(額面=par)・下限金額(min)について希望がある。
「売却・購入希望単価」とは、売却・購入金額の売買価格をいい、売却・購入金額に対する割合(%)にて表示する。
「金銭債務の返済スピード」とは、契約上債務者が債権者に対し負う金銭債務の返済条件をいう。金銭債務の返済期限が早期に到来すればするほど、またその金額が多額であれば多額であるほど、相殺適状となる金額が額面を最大値として早期に確定する。相殺適状となる金額が早期に・多額に確定するものほど、その金銭債権の価値は高いことになる。
「具体的な返済スケジュール」とは、「金銭債務の返済スピード」がオークション上でデフォルメされた形状にて表現されるので、相殺行為において期限の到来する自働債権を的確に把握するため、債務者が債権者に対し負う金銭債務の契約上の返済条件を表示するものである。
「担保等価値」とは、担保権等または保証等の市場価格・市場価値をいう。なお、金銭債権の売却希望者である債権者から、金銭債権の購入希望者である第三債務者又は他者への債権譲渡において、当該担保権等または保証等は随伴性・附従性あるもの、または債権者から債務者・担保権等設定者(提供者)等・保証人等他への通知にて移転が可能であるものなどを想定する。
「キャッシュフローからの年間返済実績」とは、債務者の債権者への返済能力を示すものである。通常キャッシュフローは(経常利益+減価償却費)として捉えられ、債務者から債権者へのキャシュフローからの年間返済実績が表示される。
「決済時期」とは、対価の受払いと債権譲渡他が同時に履行される時期のことをいう。債権者は売却の対価を受領するため早期を望み、第三債務者は購入代金を手元資金でなければ他者から調達する必要があるため時間を要する場合があるが、いずれにせよ売買成立のためには双方の決済時期が一致する必要があるもの。
「当該売却・購入希望者の属性データ」とは、法人については住所・名称、個人については住所・氏名、共通するものとしてメールアドレス、電話番号等、特定し、連絡するに必要なデータをいう。
「〜の入力を可能とする」とは、ここに列記されたデータ全てを必ず入力しなければならないというわけではなく、売却希望者と購入希望者の属性によって、例えば、下記表1のように決まっていく。
【表1】
【0008】
(作用)
請求項1記載の発明によれば、金銭債権売却データ入力手段によって、金銭債権の売却希望者である債権者から、当該金銭債権についての属性データ、売却希望価格、売却希望単価などの金銭債権売却データを入手することが可能となる。また、金銭債権購入データ入力手段によって、金銭債権の購入希望者から、当該金銭債権についての属性データ、購入希望金額、購入希望単価などの金銭債権購入データを入手することが可能となる。そして、取引対象者算出手段が、入手した金銭債権売却データと金銭債権購入データとから、金銭債権の売却希望者及び購入希望者それぞれに適合する取引対象者を算出することができ、これを出力することで、金銭債権の取引交渉可能な相手を知ることができる。
【0009】
(請求項2:入力データ変更機能)
請求項2記載の発明は、請求項1記載の不良債権オークションシステムに入力データ変更機能を付加したものであって、
入力された金銭債権売却データ及び金銭債権購入データを変更するための変更データの入力を促す変更データ入力手段と、
入力された変更データから、適合する取引対象者を新たに算出する取引対象者新算出手段とを備える。
【0010】
(作用)
請求項2記載の発明によれば、変更データ入力手段によって、金銭債権の売却希望者又は購入希望者が入力した金銭債権売却データ又は金銭債権購入データの変更を可能とする。そして、入力された変更データから、取引対象者新算出手段が適合する取引対象者を新たに算出することで、様々な条件の下に売買可能な取引対象者を見つけだすことが可能となる。
【0011】
(請求項3:入力データ変更督促機能)
請求項3記載の発明は、請求項1記載の不良債権オークションシステムに入力データ変更督促機能を付加したものであって、
金銭債権の売却希望者からその金銭債権の内容が変更された変更情報を受信する変更情報受信手段と、
変更された金銭債権の内容に対応して、入力された金銭債権売却データ及び金銭債権購入データを変更するための変更データの入力を促す変更データ入力督促手段と、
入力された変更データから、適合する取引対象者を新たに算出する取引対象者新算出手段とを備える。
【0012】
(作用)
請求項3記載の発明によれば、変更情報受信手段によって、金銭債権の売却希望者から約定弁済期日到来・延滞・期限前弁済・期限の利益喪失などによりその金銭債権の内容が変更された変更情報を受信する。そして、変更データ入力督促手段が、変更された金銭債権の内容に対応して、入力された金銭債権売却データ及び金銭債権購入データを変更するための変更データの入力を促し、取引対象者新算出手段が入力された変更データから、適合する取引対象者を新たに算出する。これにより、時間の経過に対応した金銭債権の売買が可能となる。
【0013】
(請求項4:検索機能)
請求項4記載の発明は、請求項1から3記載の不良債権オークションシステムに検索機能を付加したものであって、
取引対象者を検索するために、取引対象者の入力する入力データ項目を入力可能とする検索データ入力手段と、
入力されたデータから取引対象者を検索する取引対象者検索手段と、
検索された取引対象者の入力された入力データを出力する検索結果出力手段とを備える。
【0014】
(用語説明)
ここで、「取引対象者の入力する入力データ項目」とは、取引対象者が金銭債権の売却希望者であれば、金銭債権売却データ入力手段によって入力を促される当該売却希望金銭債権についての属性データ、売却希望価格、売却希望単価、金銭債務の返済スピード、具体的な返済スケジュール、担保等価値、キャッシュフローからの年間返済実績、決済時期などである。また、取引対象者が金銭債権の購入希望者であれば、金銭債権購入データ入力手段によって入力を促される当該購入希望金銭債権についての属性データ、購入希望金額、購入希望単価、金銭債務の返済スピード、決済時期などである。
【0015】
(作用)
請求項4記載の発明によれば、取引対象者を検索するために、検索データ入力手段によって取引対象者の入力する入力データ項目の入力が可能となる。そして、取引対象者検索手段によって、入力されたデータから取引対象者を検索し、検索結果として出力する。これにより、所定条件の取引対象者の有無を検索して確認することが可能となる。
【0016】
(請求項5:競合者表示機能)
請求項5記載の発明は、請求項1から4記載の不良債権オークションシステムに競合者表示機能を付加したものであって、
金銭債権売却データを入力した売却希望者へは、同一債務者に対する金銭債権の金銭債権売却データを入力した競合者の金銭債権売却データを、又は/及び金銭債権購入データを入力した購入希望者へは、同一債権者に対する金銭債権の金銭債権購入データを入力した競合者の金銭債権購入データを算出する競合者データ算出手段と、
算出された競合者データを出力する競合者データ出力手段とを備える。
【0017】
(用語説明)
ここで、「競合者」とは、売却希望者であれば、同一債務者についての金銭債権の売却を希望する債権者である。また、購入希望者であれば、同一債権者(第三債務者に対する債権者)についての金銭債権の購入を希望する第三債務者または他者である。
【0018】
(作用)
請求項5記載の発明によれば、競合者データ算出手段によって、金銭債権売却データを入力した売却希望者へは、同一債務者に対する金銭債権の金銭債権売却データを入力した競合者の金銭債権売却データを、また、金銭債権購入データを入力した購入希望者へは、同一債権者に対する金銭債権の金銭債権購入データを入力した競合者の金銭債権購入データを算出し、算出された競合者データが出力される。これにより、金銭債権の売却希望者及び金銭債権の購入希望者は、それぞれ競合者の存在及び金銭債権の売却条件、購入条件を知ることができ、売却希望者と購入希望者間での金銭債権売買交渉のための重要な情報となる。
【0019】
(請求項6:表示順選択機能)
請求項6記載の発明は、請求項1から5記載の不良債権オークションシステムに表示順選択機能を付加したものであって、
出力する取引対象者又は競合者の表示順を設定することの可能な表示順設定手段と、
設定された表示順で取引対象者又は競合者を表示する表示順出力手段とを備える。
【0020】
(用語説明)
ここで、「表示順の設定」とは、取引対象者又は競合者のデータをある条件の下でソートする設定をいう。例えば、取引対象者として複数の債権者が出力された場合に、売却希望金額高低順に債権者を表示する設定や返済スピード高低順に債権者を表示する設定などである。
【0021】
(作用)
請求項6記載の発明によれば、表示順設定手段によって、出力する取引対象者又は競合者の表示順を設定することが可能となり、この設定された表示順で取引対象者又は競合者を表示する。これにより、複数の取引対象者又は競合者が出力された場合の整理が容易となる。
【0022】
(請求項7:二次オークション)
請求項7記載の発明は、請求項1から6記載の不良債権オークションシステムに取引機能を付加したものであって、
取引対象者と取引交渉を行うための取引データとして、少なくとも取引交渉を希望する相手方と申込金額並びに申込単価の入力を促す取引データ入力手段と、
取引データを入力した取引データ入力者間で入力データが一致すると、売買成立として当該取引データ入力者双方の出力データを消除する出力データ消除手段とを備える。
【0023】
(用語説明)
ここで、「少なくとも取引交渉を希望する相手方と申込金額並びに申込単価」としたのは、これ以外にも、例えば決済時期などの入力を促す場合も含まれることを意味する。
【0024】
(作用)
請求項7記載の発明によれば、取引データ入力手段によって、取引対象者と取引交渉を行うための取引データとして、少なくとも取引交渉を希望する相手方と申込金額並びに申込単価が入力される。そして、取引データを入力した取引データ入力者間、すなわち、売却希望者と購入希望者との間で入力データが一致すると、売買成立として当該取引データ入力者双方の出力データを消除する。これにより、その後当該金銭債権については売買不可能となる。
【0025】
(請求項8:取引データ再入力機能)
請求項8記載の発明は、請求項7記載の不良債権オークションシステムに取引データ再入力機能を付加したものであって、
入力された取引データが取引交渉を希望する相手方と一致しない場合には、再度取引データの入力を促す取引データ再入力手段を備える。
【0026】
(用語説明)
ここで、「入力された取引データが取引交渉を希望する相手方と一致しない場合」には、取引データが数値的に一致しない場合の他に、取引交渉を希望する相手方から取引データの入力がない場合も含まれる(但し、担保等価値のデータ、キャッシュフローからの年間返済実績のデータを除く)。
【0027】
(作用)
請求項8記載の発明によれば、入力された取引データが取引交渉を希望する相手方と一致しない場合には、取引データ再入力手段による再度の取引データの入力で、取引交渉の相手方との交渉継続が可能となる。
【0028】
(請求項9:証書類自動作成機能)
請求項9記載の発明は、請求項7又は8記載の不良債権オークションシステムに証書類自動作成機能を付加したものであって、
売買成立に伴う契約証書類のひな形を蓄積した契約証書類ひな形データベースと、
売買成立した取引の売買データを、契約証書類ひな形の所定箇所に挿入して、契約証書類を作成する契約証書類作成手段と、
作成した契約証書類を売買成立に関係した関係者へ出力する契約証書類出力手段とを備える。
【0029】
(用語説明)
ここで、「契約証書類」には、債権媒介契約(当該契約締結まで債権者・第三債務者は匿名にてオークションを行う)、守秘義務契約書、(条件付)債権譲渡契約書、預託契約書(売買金額について中立的な金融機関へ一定期間預託)、債権譲渡通知書、相殺通知書 などをいう。
【0030】
(作用)
請求項9記載の発明によれば、契約証書類作成手段によって、売買成立した取引の売買データを、契約証書類ひな形データベースに蓄積された契約証書類のひな形の所定箇所に挿入して契約証書類を作成する。そして、契約証書類出力手段によって、作成された契約証書類が売買成立した当事者双方へ出力される。これにより、金銭債権売買のための契約を迅速に進めることができるようになる。
【0031】
(請求項10:適正価格算出機能)
請求項10記載の発明は、請求項7記載の不良債権オークションシステムに適正価格算出機能を付加したものであって、
取引データの単価の要因を分析し、当該債務者に対する金銭債権の適正価格を算出する適正価格算出手段と、
算出した適正価格を出力する適正価格出力手段とを備える。
【0032】
(用語説明)
ここで、「取引データの単価」には、売買成立した取引データの他に、売買成立しない取引データも含まれる。
また、「分析」とは、例えば、以下のようなものをいう。
▲1▼ 需給の分析(売買成立した取引データの時点修正、売却者の売り急ぎ・購入者の買い急ぎについての修正を含む)。
▲2▼ 売買成立した金銭債権の債務者の財務・収支状況分析。
▲3▼ 売却者の売買成立した金銭債権の債務者に対する評価を分析(売却者の売買成立した金銭債権の債務者に対する財務・収支状況分析、金銭債権引当状況、担保・保証状況についての推定他を含む)。
▲4▼ 購入者の売買成立した金銭債権の債務者に対する評価を分析(相殺により、購入者は売買成立した金銭債権の債務者との取引継続は困難になり取引打切りになると考えられるが、そこまで購入者が判断した理由を含む)。
【0033】
(作用)
取引データの単価は、取引される金銭債権の債務者の市場における信用力の評価を反映したものであり、この成立要因を分析することで当該債務者に対する金銭債権の適正価格を算出することが可能となる。そして、この適正価格が出力されることで、当該債務者に対する金銭債権の取引における指針となる。
【0034】
(請求項11:入力データ自動変更機能)
請求項11記載の発明は、請求項1又は7記載の不良債権オークションシステムに入力データ自動変更機能を付加したものであって、
取引データの単価の要因を分析し、当該債務者に対する金銭債権の適正価格を算出する適正価格算出手段と、
金銭債権の売却希望者又は/及び購入希望者の入力データのうち、少なくとも売却・購入希望金額又は/及び売却・購入希望単価を、入力データ及び算出された当該金銭債権の適正価格に基づいて自動的に変更する入力データ自動変更手段を備える。
【0035】
(作用)
入力データ及び算出された適正価格を利用して、時間の経過に対応した金銭債権の売却希望者又は/及び購入希望者の入力データを自動的に変更できる。なお、ここにおいて、期日に約定弁済がなされ金銭債権の内容が変更した場合には、入力データの具体的な返済スケジュールに基づいて売却・購入希望金額についてのみ数値を調整することも含まれる。
【0036】
(請求項12:データ提供機能)
請求項12記載の発明は、請求項1又は7記載の不良債権オークションシステムにデータ提供機能を付加したものであって、
入力された金銭債権売却データ・金銭債権購入データ及び/又は取引データを他の不良債権オークションシステムへ提供し、及び/又は、他の不良債権オークションシステムにおいて入力された金銭債権売却データ、金銭債権購入データ及び/又は取引データの提供を受けるデータ提供手段を備える。
【0037】
(作用)
他の不良債権オークションシステムへデータを提供し、他の不良債権オークションシステムからデータの提供を受けることで、取引相手方の数が増大し、売買成立の可能性が高まることとなる。
【0038】
(請求項13:パッケージング機能)
請求項13記載の発明は、請求項1記載の不良債権オークションシステムにパッケージング機能を付加したものであって、
入力された金銭債権売却データ・金銭債権購入データから一部の入力データをパッケージングする入力データパッケージング手段と、
パッケージングされたロットからそれぞれに適合する取引対象者を算出するパッケージング用取引対象者算出手段を備える。
【0039】
(請求項14)
請求項14記載の発明は、請求項1記載の不良債権オークションシステムに細分化機能を付加したものであって、
入力された金銭債権売却データ・金銭債権購入データから一部の入力データのロットを細分化する入力データ細分化手段と、
細分化されたロットからそれぞれに適合する取引対象者を算出する細分化用取引対象者算出手段を備える。
【0040】
(作用)
前記「一部の入力データをパッケージング/細分化する」とは、例えば以下のようなものをいう。なお、ここで表記する「A」「B」「C」は、図29に図示したA,B,Cを意味する。
金額についてAの売却希望金額の下限金額(min)に満たない最大(max)購入希望金額のBが複数存在し、当該複数のBの最大購入希望金額の合計がAの売却希望金額の下限金額(min)を上回る場合に、複数のBをパッケージングすることにより、Aと複数のB間で取引が成立する。逆に、まとまったAのロットを細分化して、Aと複数のB間で取引が成立する。ただし、他の売買の要素(売却・購入希望単価、債務の返済スピード、具体的な返済スケジュール、担保等価値、キャッシュフローからの年間返済実績、決済時期など)についてAとBが合意できる状態にあることが前提である。
【0041】
また、単価について、A1の売却希望単価の下限単価(min)をB1の購入希望単価は上回るものの、最大(max)購入希望金額でA1の売却希望金額の下限金額(min)を満たさないB1と、B2単独ではA1の売却希望単価の下限単価(min)を満たさないがB1との合計平均単価ではA1の売却希望単価の下限単価(min)を上回り、かつ金額もB1とB2合計でA1の売却希望金額の下限金額(min)を上回る場合に、B1とB2をパッケージングすることによりA1とB1・B2間で取引が成立する。逆に、まとまったA1のロットを細分化して、A1とB1・B2間で取引が成立する。ただし、他の売買の要素についてA1とB1・B2が合意できることが前提である。
なお、返済のスピードが異なるものについて、同様の展開をするのは妥当ではない。なぜならば、期限到来の早いものと遅いものとを平均しても意味がなく、期限到来が遅いものは早いものに比べCの法的破綻時に否認される可能性がより高くなるため、そもそもBの購入意図にそぐわないからである。
【0042】
(請求項15:返済スピード)
請求項15記載の発明は、請求項1,7又は8記載の不良債権オークションシステムに返済スピードが適合する取引対象者を算出する機能を付加したものであって、
金銭債権の売却希望者によって入力された具体的な返済スケジュールから、金銭債権の購入希望者が入力した債務の返済スピードに適合する取引対象者を算出する取引対象者算出手段とを備える。
【0043】
(作用)
「返済のスピード」は額面(=par)についての返済平均で表わされているものの、サイト運営者は「具体的返済スケジュール」のデータを有しているため、金銭債権購入希望者の条件とする(=入力した)「返済のスピード」に適合する金銭債権売却希望者を選択することが可能である。
なお、ここで「具体的な返済スケジュール」とは、Cの金銭債権の内容が変更されたことによってAが再入力した返済スケジュール、入力データ自動変更機能により変更されたデータなども含まれる。
【0044】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、本発明の不良債権オークションシステムを使った金銭債権の譲渡手続ならびに相殺手続の概要を説明する。ここで使用する図面は、図1から図3である。
【0045】
(図1)
図1は、その概要を示す概念図である。サイト運営者Dは、本発明の不良債権オークションシステムに係る不良債権オークションサイトXを提供している。また、金銭債権の売却を希望する金銭債権売却希望者A1,A2,A3,…Anと、金銭債権の購入を希望する金銭債権購入希望者B1,B2,B3,…Bnが存在する。
【0046】
このような状況下で、金銭債権の売却を希望する金銭債権売却希望者A1,A2,A3,…Anと、金銭債権の購入を希望する金銭債権購入希望者B1,B2,B3,…Bnとは、それぞれ金銭債権の取引相手を探し出すために、不良債権オークションサイトXにデータ入力をする(1)。すると、不良債権オークションサイトXにおいて、金銭債権売却希望者及び金銭債権購入希望者双方の条件に合致する取引相手A1とB1とが見つけ出される(2)。なお、不良債権オークションサイトXがこの取引相手を見つけ出す方法については、後ほど詳細に説明する。
【0047】
B1は、サイト運営者Dの媒介により、C1に対する不良金銭債権をA1から譲り受ける。個々の金銭債権について、全部譲渡である場合も一部譲渡(全部譲渡し一部戻し譲渡する場合も含む)である場合もある。B1の対価支払いはA1へ行われる。ここで、不良金銭債権購入希望者B1,B2,B3,…Bnは、(i)第三債務者(通常の相殺を目的とする第三債務者)、(ii)第三債務者(債権の購入希望者で、かつ自身の負う債務以上の債権の購入を図ろうとする第三債務者)、(iii)他者(第三債務者でない他者が債権の購入希望者)に分けられる。B1が、(i)(ii)の場合は、直後に当該金員は、供託するなど第三者たる預託等機関Eへ預託等(エスクロー勘定、信託などあらゆる預け金を含む)される。譲渡債権の対価支払いは、B1からEに設けられたA1名義の口座に入金される方法によりなされ、その直後払出されEが設けたA1B1の共有口座等にて当該金員は管理される。一定期間(原則1年間)共有口座等に当該金員は留まる(当該手続は、A1B1(D)E間の預託契約等に定めがなされる。なお、DがEと一致する場合もある。)。なお、B1が(iii)の場合に預託は不要であり、対価を支払い受領して終わる。
【0048】
また、A1はC1に対して、譲渡通知を(内容証明郵便にて)送付する。一方、B1が(i)(ii)の場合は、譲受債権の額面にて、C1への債権債務が相殺適状であることを要件として、額面にて相殺を行なう(内容証明郵便にて相殺通知を送付する)。なお、B1が(iii)の場合は関係ない。
【0049】
(図2)
図2は、A1からB1の(i)(ii)へ金銭債権譲渡後に、C1の破産等法的手続開始に伴う破産管財人等の否認権行使がなされた場合の概念図である。
C1が破産等法的手続申立を行い開始決定がなされ、破産管財人等からの否認権の行使がなされた場合には、譲渡された金銭債権についてA1はB1より買戻しを行い、原状回復を行う。買戻しの対価は、共有口座等に留まる金員を、B1が受領することにより支払われる。B1は、破産管財人等への内容証明郵便にての譲渡通知を行う。また、B1は、裁判所への債権者名義変更届出等、債権譲渡に必要な手続を行う。
【0050】
(図3)
図3は、A1からB1の(i)(ii)へ金銭債権譲渡後に、C1の破産等法的手続の申立がなされなかった場合の概念図である。
一定期間(原則1年間)、C1により破産等法的手続の申立がなされなかった場合には、共有口座等に留まる金員を、A1が受領する。
【0051】
次に、不良債権オークションシステムについて説明する。ここで使用する図面は、図4から図22である。
【0052】
(図4)
図4は、金銭債権売却希望者A1,A2,A3,…Anが金銭債権売却データを入力する画面である。金銭債権売却データとして入力する項目は、▲1▼当該不良金銭債権についての属性データ、▲2▼売却希望金額、▲3▼売却希望単価、▲4▼債務の返済スピード、▲5▼具体的な返済スケジュール、▲6▼担保等価値、キャッシュフローからの年間返済実績、▲7▼決済時期及び▲8▼当該売却希望者の属性データである。ここで、C1の金銭債権の売却を希望している金銭債権売却希望者A1は、▲1▼〜▲8▼の項目に図4に示すような金銭債権売却データを入力した。なお、A1はC1に対して有する複数の金銭債権について、各々を別個に入力することは可能である。
【0053】
(図5)
図5は、金銭債権購入希望者B1,B2,B3,…Bnが金銭債権購入データを入力する画面である。金銭債権購入データとして入力する項目は、▲1▼当該金銭債権についての属性データ、▲2▼購入希望金額、▲3▼購入希望単価、▲4▼債務の返済スピード、▲5▼決済時期及び▲6▼当該購入希望者の属性データである。ここで、C1の金銭債権の購入を希望している金銭債権購入希望者B1は、▲1▼〜▲6▼の項目に図5に示すような金銭債権購入データを入力した。なお、B1はC1に対して負う複数の金銭債務について、各々を別個に入力することは可能である。
【0054】
金銭債権売却希望者A1,A2,A3,…Anと金銭債権購入希望者B1,B2,B3,…Bnは、その後▲2▼売却・購入希望金額、▲3▼売却・購入希望単価や▲4▼債務の返済スピード等の入力データを変更できる。この変更には、相手方との関係で自主的に変更する場合の他、約定弁済期日到来のため変更する場合がある。約定弁済期日到来のための変更について詳しく説明すると、サイト運営者Dは、分割弁済条件が付されている金銭債権について、システムに登録された弁済条件に従い、約定弁済期日到来の都度、金額(par、min)のデータ変更を金銭債権売却希望者A及び金銭債権購入希望者Bへ促す。デフォルトに至るまで、弁済が継続されているならば、約定弁済により金銭債権売却希望者Aが債務者Cに対して有する金銭債権の金額が異動するため、数値を調整しなければならないことと、当該数値的調整により金銭債権売却希望者Aや金銭債権購入希望者Bがpar、minを見直す場合があるからである(例えば、金銭債権売却希望者Aはminを当初かなり低い金額に設定していたが、多額の約定弁済が実現したため、残額を少ない回数の売却で完了しようとしてminの金額を引上げる場合がある)。金銭債権売却希望者Aは、正常な弁済が見込まれている前者については、予め登録された分割弁済条件に従い自動的に金額や単価を調整するようにしてもよい。なお、後者についてはさらに後述の単価(max、min)の見直しにも影響を与える場合がある(例えば、多額の約定弁済が実現し少額の金銭債権が残額となった場合には、単価を下げ早期売却をAが図ることがある)。
サイト運営者Dは、約定弁済期日到来の都度、単価(max、min)のデータ変更を金銭債権売却希望者A及び金銭債権購入希望者Bへ促す。また、単価に係る適正価格についての助言を、金銭債権売却希望者Aや金銭債権購入希望者Bへ与える。単価に係る適正価格についての助言については、次に説明する。
【0055】
(図6及び図7)
図6及び図7は、約定弁済の形状について示したものである。図6は通常の場合、図7は期限の利益喪失時と一部(括弧部分)期限を前倒しへ変更した場合を示す。
不良債権オークションシステムへの参加者金銭債権売却希望者A及び金銭債権購入希望者Bは共に、当然のことながら、債務者Cならびに市況・経済情勢一般等について、現在ならびに将来の全ての情報を有していないし、一部有しているものについても、個々の金銭債権売却希望者A及び金銭債権購入希望者Bでは偏頗性がある。
しかし、債務者Cについての情報のディスクローズならびに市況・経済情勢一般等の情報が流布すれば、不良債権オークションシステムで売買成立する取引の単価は、債務者Cについて、売買当事者が期待するコンセンサスの水準に、次第に収束していく。後述の適正価格とは、その水準のことである。現実には、個々成立する売買取引単価は相互に、個々引合いの単価も相互に、また個々成立する売買取引単価と個々引合いの単価も相互に、時間を軸に相対的に影響を与えながら進行する。
収束していく過程においては、相殺は債務者Cの法的手続開始如何に左右されるのであるから、金銭債権売却希望者Aと金銭債権購入希望者Bともに相殺の効果の確定如何について不安定な状況にあることになる。図6と図7は、金銭債権売却希望者Aが債務者Cに対して有する債権の約定弁済のうち、相殺の効果が確定したものとそうでないものとが結果的に存在することを示すが、(イ)点ではその正確な予測は不可能であり、後に(ロ)点に至った時に結果的に確定する。相殺の効果が非確定となる部分は、即ち価値を有しない部分であり、収束していく過程において、単価で勘案され、何らかのショック(メイン銀行の支援打切り発表など)がない限り、通常は漸次調整されていくべきものである。実は、前段落(0054)において、債務者Cにより約定弁済が期日になされた事実は、上記の適正価格に影響を与える一情報でもあるのである。
【0056】
(図8)
図8は、C1がA1に負う債務の返済スピードを示したグラフである。C1は自ら期限の利益を放棄することはない。よって、C1のA1に対する債務の返済期限が早く到来すればするほど、相殺適状となる金額が額面を最大値として早く確定する(期限にCが返済しないことを前提。そもそも期限にCが返済すれば、相殺とならない)。上図のa、b、cは、額面の返済に何ヶ月を要するか、を平均で表している(以下、返済平均という)。傾きが急であればあるほど、債務の返済のスピードが早いことを示す。aはb、cよりも額面に対し期限到来が早いことになる。同一額面、同一単価間では、a(傾き100/3)の価値が、b(傾き100/6)、c(傾き100/15)よりも高い。具体的表示としての「傾きの種別」は、100/1、100/2、100/3、・・・100/15 のようになる。なお、全ての金銭債権の期限が到来し延滞となった債務者への債務の「傾きの種別」は、∞(無限大)として表される。
【0057】
また、金銭債権購入希望者B1,B2,B3,…Bnが前記(ii)(iii)の場合には、担保権の移転が必要となる。そこで、この移転費が金銭債権売却希望者A1,A2,A3,…An又は金銭債権購入希望者B1,B2,B3,…Bnのいずれが負担するか、予め決めておくとよい。例えば、「移転費用負担は一律に不良金銭債権購入希望者側が支払う」旨を画面上に明示する。
【0058】
(図9)
図9は、入力された金銭債権売却データ及び金銭債権購入データから、取引の対象となる金銭債権の債務者C1,C2,C3,…Cnごとに名寄せを行い、データベースを構築するものである。
【0059】
(図10及び図11)
図10は、名寄せされたデータの中から、金銭債権売却希望者と金銭債権購入希望者との間で売買成立可能な取引対象者を、金額ベースで算出するものである。ここで、前記金銭債権売却希望者A1は、売却希望金額がpar900、min500である。一方、前記金銭債権購入希望者B1は、購入希望金額がpar600、min400である。これであると、図10に示す▲4▼条件に合致する。従って、金額ベースでは金銭債権売却希望者A1と金銭債権購入希望者B1とは売買成立可能な取引対象者となる。なお、図11は、図10に示す▲4▼のケースの主要個所を具体的に示したものである。
【0060】
(図12及び図13)
図12は、名寄せされたデータの中から、金銭債権売却希望者と金銭債権購入希望者との間で売買成立可能な取引対象者を、単価ベースで算出するものである。ここで、前記金銭債権売却希望者A1は、売却希望単価がmax97%、min95%である。一方、前記金銭債権購入希望者B1は、購入希望単価がmax96%、min94%である。これであると、図12に示す▲4▼条件に合致する。従って、単価ベースでも金銭債権売却希望者A1と金銭債権購入希望者B1とは売買成立可能な取引対象者となる。なお、図13は、図12に示す表示法をイメージさせたものである。
【0061】
(図14)
図14は、図12に示す単価における売買成立可能性について説明したものである。
単価における売買成立可能性が、金額における売買成立可能性と異なる点は以下の通りである。
(1)重複する部分を考慮するのでなく、単価でAmin≦Bmaxを満たせば良い(Aは売手、Bは買手だから)。
下限単価についてまず述べる。
(2)相手側が複数存在し、各相手側は各下限単価(=上限単価の場合もある)を有しているため、単価が複数存在することになる。
(3)複数存在する単価が平均値で最小となるには、下限単価のうち、より低い方の単価を金額の上限に至るまでまず使い、使い切った後に次に低い下限単価を金額の上限に至るまで用いる。
▲8▼の*3について図14に図示してある(三次元なので、座標軸が三つある)。今、単価でA1min<A2minとし、金額でA1minは90、A1parは100、A2minは70、A2parは110だとする。この場合、まずA1minの単価より用いる。図では太線(イ)になる。 続いて、A2minの単価を用いる。図では太線(ロ)になる。B1minの単価が120なら、うち100はA1minの単価を用い、続いて残る20はA2minの単価を用いる。以上により、「A1min+A2min」が最小となる。
次に上限単価についてだが、上記の下限単価に準じて考えることとなる。ここでは説明を省略する。
【0062】
(図15)
図15は、名寄せされたデータの中から、金銭債権売却希望者と金銭債権購入希望者との間で売買成立可能な取引対象者を、返済スピードベースで算出するものである。ここで、前記金銭債権売却希望者A1は、返済スピードが100/3である。一方、前記金銭債権購入希望者B1は、返済スピードが100/2である。これであると、図15に示す▲1▼条件に合致しない。従って、返済スピードベースでは金銭債権売却希望者A1と金銭債権購入希望者B1とは売買成立可能な取引対象者とはならない。
【0063】
ところでサイト運営者Dは、A1がC1に対して有する債権についての「具体的返済スケジュール」をデータとして有しており、額面相当金額が何ヶ月後に期限到来するか表示する機能を有している。前記図8においてa、b、cはまっすぐな直線なので、それ自体は額面の返済に必要な月数を平均して表している。しかし、現実の返済は曲がった直線であるd、eの場合もある。そこで、例えば、A1はC1に対し100百万円の債権を有し、par100百万円、min80百万円での売却希望があるとする。一方、B1はpar80百万円、返済のスピード100/9での購入希望があるとする。この場合はB1へd上のポイントである(イ)を表示する。一方、eにおいては、B1に対し表示し得るポイントは存在しない。つまり、「返済のスピード」は額面(=par)についての返済平均で表わされているものの、サイト運営者Dは「具体的返済スケジュール」のデータを有しており、B1の条件とする(=入力した)「返済のスピード」に適合するA1を選択する機能を有しているのである。
【0064】
(図16)
図16は、名寄せされたデータの中から、金銭債権売却希望者と金銭債権購入希望者との間で売買成立可能な取引対象者を、決済時期ベースで算出するものである。ここで、前記金銭債権売却希望者A1は、決済時期がH14年6月である。一方、前記金銭債権購入希望者B1は、決済時期の希望が今のところH14年7月である。しかし、これをH14年5月とすると、図16に示す▲1▼条件に合致する。従って、返済スピードベースでも金銭債権売却希望者A1と金銭債権購入希望者B1とは売買成立可能な取引対象者となる。
【0065】
(図17)
図17は、金銭債権売却希望者が金銭債権売却データを入力した後に、その金銭債権売却希望者に適合する取引対象者等が出力される1次オークションサイトの画面である。ここでは、金銭債権売却希望者A1に適合する金銭債権購入希望者B2,B3などが表示される。しかし、金銭債権売却希望者A1が「3.A1検索」で「返済のスピード」を100/2に変化させると、金銭債権購入希望者B1が新たに表示され、金銭債権売却希望者A1は金銭債権購入希望者B1の存在を知ることとなる。なお、「返済のスピード」は所与のため(期限の利益は債務者C1のためにあるため)、金銭債権売却希望者A1は「返済のスピード」を変えることは通常できない。
【0066】
(図18)
図18は、金銭債権購入希望者が金銭債権購入データを入力した後に、その金銭債権購入希望者に適合する取引対象者等が出力される1次オークションサイトの画面である。ここでは、金銭債権購入希望者B1に適合する金銭債権売却希望者A2が表示される。しかし、金銭債権購入希望者B1が「3.B1検索」で「返済のスピード」を100/3に、「決済時期」をH14年5月に変化させると、金銭債権売却希望者A1が新たに表示され、金銭債権購入希望者B1は金銭債権売却希望者A1の存在を知ることとなる(現在をH14/3月とする)。
【0067】
(図19)
図19は、金銭債権売却希望者が、取引対象者の中から特定の相手方へ取引データを提示して、金銭債権の売却申込をする場合の取引データ入力画面である。ここで、金銭債権売却希望者A1は、金銭債権購入希望者B1に対して、売却申込金額600、売却申込単価96、決済時期H14/6を入力して、売却の意思表示をしている。
【0068】
(図20)
図20は、金銭債権購入希望者が、取引対象者の中から特定の相手方へ取引データを提示して、金銭債権の購入申込をする場合の取引データ入力画面である。ここで、金銭債権購入希望者B1は、金銭債権売却希望者A1に対して、売却申込金額600、売却申込単価95、決済時期H14/6を入力して、購入の意思表示をしている。
【0069】
(図21)
図21は、金銭債権売却希望者が取引データを入力し、売却申込をした後の申込状況が出力される2次オークションサイトの画面である。ここでは、金銭債権売却希望者A1はB1に売却申込をしているのに対して、金銭債権売却希望者A1へは、金銭債権購入希望者B1、B2とB3などが購入申込をしている。金銭債権売却希望者A1と金銭債権購入希望者B1とでは、売却申込単価96と購入申込単価95とで一致していない。仮りに、金銭債権売却希望者A1が売却申込単価96を95に変更すると、双方の意思が全て合致し(売買の要素が一致)し、売買が成立する。そして、金銭債権売却希望者A1と金銭債権購入希望者B1とは、このオークションサイトから即座に消除される。
【0070】
(図22)
図22は、金銭債権購入希望者が取引データを入力し、購入申込をした後の申込状況が出力される2次オークションサイトの画面である。ここでは、金銭債権購入希望者B1はA1に購入申込をしているのに対して、金銭債権購入希望者B1へは、金銭債権売却希望者A1とA2などが売却申込をしている。金銭債権購入希望者B1と金銭債権売却希望者A1とでは、購入申込単価95と売却申込単価96とで一致していない。仮りに、金銭債権購入希望者B1が購入申込単価95を96に変更すると、双方の意思が全て合致し(売買の要素が一致)し、売買が成立する。そして、金銭債権売却希望者A1と金銭債権購入希望者B1とは、このオークションサイトから即座に消除される。
【0071】
(図23〜図28)
A1とB1との間で売買が成立すると、図23から図28に示すような各種契約書類が自動的に作成される。ここで、当該不良債権オークションサイトXは、金銭債権売却希望者A1,A2,A3,…Anと金銭債権購入希望者B1,B2,B3,…Bnに対して、当該不良債権オークションに参加する前に、売買成立の際に前記各種契約を締結する義務を負うことに同意すること(守秘義務契約は売買成立如何を問わず締結)、また前記各種契約内容を画面上に明示し同意することを確認するようにしてもよい。こうすることで、売買成立後の契約締結におけるトラブルを事前に防止できる。
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、以下のような効果を有する。
▲1▼ インターネットサイト上で行われる意義として、金銭債権売却希望者と金銭債権購入希望者とは現状では出会う術はないが、本件サイトによりマリーが可能となる。また、金銭債権売却希望者と金銭債権購入希望者の募集を本件サイトにて行うことにより、例えば一般紙等の広告を経由し募集することに比べ対象が限定的となることから、売買される金銭債権の債務者に係る情報が流布することを相対的に減じる効果がある。さらに、債権の売買当事者を債権者・第三債務者に限定し、第三債務者は債務者からの残高証明等、債権者は金銭消費貸借契約など原因証書等又は債務者の債務承認書等の呈示を義務付けることによってのみ、本件サイトに参加できることとすれば、より狭い範囲に、売買される債務者の債権に係る情報が限定されることになる。
さらに、金銭債権売却希望者の債務者に係る財務・収支情報についての守秘義務遵守(あるいは、債務者に係る風評被害を防ぐため)の観点からは、例えばインターネットサイト上の表示を下表2の通り行うことも可能である。
【表2】
金銭債権購入希望者は、1次・2次オークションにおいて、最初は相手方の表示が一切ない。よって、オークションの作動は、金銭債権売却希望者から金銭債権購入希望者に対して申込がなされることにより始まる。当然のことながら、最初の申込において、金銭債権購入希望者は金銭債権売却希望者に対してオークションに係る守秘義務を負うことにサイト上既に同意するなどしている。これにより、金銭債権売却希望者の債務者に係る財務・収支情報についての守秘義務遵守(あるいは、債務者に係る風評被害を防止)は実現されると考えられる。
▲2▼ 不良債権オークションに早期に参加した債権者のみが、債権額面に対し、Cの清算価値からの配当率を上回る弁済率を実現できるケースがでてくる。本来であれば、Cについて将来配当がなされる清算価値を現在価値に割り引いたものが債権額に対する配当の理論値であるが、情報の偏頗性などから、本件オークションに参加した債権者は先行して当該債権を売却する分、弁済率が配当率より高くなることになる。
▲3▼ サイト運営者Dが仲介者としてA、Bら(複数のA1、A2…、B1、B2…のこと)をパッケージングしてまとまったロットとし仲介を行うこと、また逆にまとまったロットを細分化して仲介を行うことが可能となる。さらに、前項で、サイト運営者Dが自らAらから債権の購入をまとめて行いポジションをとり、Bへ当該債権の売却すること、またAから債権の購入を行いポジションをとり、Bへロットを細分化して売却することが可能となる。
▲4▼ 売買成立した取引データの単価は、売買成立した金銭債権の債務者の市場における信用力の評価を反映したものであり、この成立要因を分析することで当該債務者に対する債権の適正価格を算出することが可能となる。そして、この適正価格が出力されることで、当該債務者に対する金銭債権の取引における指針となる。出力される適正価格により金銭債権の債務者の格付も可能であり、また他の信用格付情報とも有機的に結合させ、その情報を提供すれば、債務者の社債・株式市場等に相互に影響を与えあう。
▲5▼ 第三債務者が不良債権オークションシステムを繰り返し利用し債権譲渡を完結することにより、返済負担が軽減する。
▲6▼ 社会的意義として、不良債権の債務者の外部にて、当該債務者の市場における信用力を反映した債権の売買・相殺が市場原理に基づき迅速に行われることから、不良債権の流動性が高まる。そのような機能のある市場が存在することは、国内外の信任を得られることとなり、資本主義の発展に資する。なお、不良債権オークションシステムは、経済環境を勘案し充分配慮し、実施されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【図1】不良債権オークションシステムの概要を示す概念図。
【図2】不良債権オークションシステムの概要を示す概念図。
【図3】不良債権オークションシステムの概要を示す概念図。
【図4】金銭債権売却希望者が金銭債権売却データを入力する画面。
【図5】金銭債権購入希望者が金銭債権購入データを入力する画面。
【図6】約定弁済の形状について示した説明図。
【図7】約定弁済の形状について示した説明図。
【図8】債務の返済スピードを示したグラフ。
【図9】入力された金銭債権売却データ及び金銭債権購入データからデータベースの構築を示す概念図。
【図10】売買成立可能な取引対象者を金額ベースで算出する算出法。
【図11】売買成立可能な取引対象者を金額ベースで算出する算出法の具体例。
【図12】売買成立可能な取引対象者を単価ベースで算出する算出法。
【図13】売買成立可能な取引対象者を単価ベースで算出する算出法のイメージ図。
【図14】単価における売買成立可能性について説明図。
【図15】売買成立可能な取引対象者を返済スピードベースで算出する算出法。
【図16】売買成立可能な取引対象者を決済時期ベースで算出する算出法。
【図17】金銭債権売却希望者側の1次オークションサイトの画面。
【図18】金銭債権購入希望者側の1次オークションサイトの画面。
【図19】金銭債権の売却申込をする場合の取引データ入力画面。
【図20】金銭債権の購入申込をする場合の取引データ入力画面。
【図21】金銭債権売却希望者側の2次オークションサイトの画面。
【図22】金銭債権購入希望者側の2次オークションサイトの画面。
【図23】債権媒介契約書のサンプル。
【図24】債権譲渡通知書のサンプル。
【図25】債権譲渡契約書のサンプル。
【図26】相殺通知書のサンプル。
【図27】預託契約書のサンプル。
【図28】守秘義務契約書のサンプル。
【図29】三者間の金銭債権の債権債務関係を示したもの。
Claims (15)
- 金銭債権の売却希望者である債権者に対して、金銭債権売却データとして当該金銭債権についての属性データ、売却希望金額、売却希望単価、債務の返済スピード、具体的な返済スケジュール、担保等価値、キャッシュフローからの年間返済実績、決済時期及び当該売却希望者の属性データの入力を可能とする金銭債権売却データ入力手段と、
金銭債権の購入希望者に対して、金銭債権購入データとして当該金銭債権についての属性データ、購入希望金額、購入希望単価、債務の返済スピード、決済時期及び当該購入希望者の属性データの入力を可能とする金銭債権購入データ入力手段と、
入力された金銭債権売却データと金銭債権購入データとから、金銭債権の売却希望者及び購入希望者それぞれに適合する取引対象者を算出する取引対象者算出手段と、
算出された適合する取引対象者の入力データを出力する入力データ出力手段とを備えた不良債権オークションシステム。 - 入力された金銭債権売却データ及び金銭債権購入データを変更するための変更データの入力を促す変更データ入力手段と、
入力された変更データから、適合する取引対象者を新たに算出する取引対象者新算出手段とを備えた請求項1記載の不良債権オークションシステム。 - 金銭債権の売却希望者からその金銭債権の内容が変更された変更情報を受信する変更情報受信手段と、
変更された金銭債権の内容に対応して、入力された金銭債権売却データ及び金銭債権購入データを変更するための変更データの入力を促す変更データ入力督促手段と、
入力された変更データから、適合する取引対象者を新たに算出する取引対象者新算出手段とを備えた請求項1記載の不良債権オークションシステム。 - 取引対象者を検索するために、取引対象者の入力する入力データ項目を入力可能とする検索データ入力手段と、
入力されたデータから取引対象者を検索する取引対象者検索手段と、
検索された取引対象者の入力された入力データを出力する検索結果出力手段とを備えた請求項1から3のいずれかに記載の不良債権オークションシステム。 - 金銭債権売却データを入力した売却希望者へは、同一債務者に対する金銭債権の金銭債権売却データを入力した競合者の金銭債権売却データを、又は/及び金銭債権購入データを入力した購入希望者へは、同一債権者に対する金銭債権の金銭債権購入データを入力した競合者の金銭債権購入データを算出する競合者データ算出手段と、
算出された競合者データを出力する競合者データ出力手段とを備えた請求項1から4のいずれかに記載の不良債権オークションシステム。 - 出力する取引対象者又は競合者の表示順を設定することの可能な表示順設定手段と、
設定された表示順で取引対象者又は競合者を表示する表示順出力手段とを備えた請求項1から5のいずれかに記載の不良債権オークションシステム。 - 取引対象者と取引交渉を行うための取引データとして、少なくとも取引交渉を希望する相手方と申込金額並びに申込単価の入力を促す取引データ入力手段と、取引データを入力した取引データ入力者間で入力データが一致すると、売買成立として当該取引データ入力者双方の出力データを消除する出力データ消除手段とを備えた請求項1から6のいずれかに記載の不良債権オークションシステム。
- 入力された取引データが取引交渉を希望する相手方と一致しない場合には、再度取引データの入力を促す取引データ再入力手段を備えた請求項7記載の不良債権オークションシステム。
- 売買成立に伴う契約証書類のひな形を蓄積した契約証書類ひな形データベースと、
売買成立した取引の売買データを、契約証書類ひな形の所定箇所に挿入して、契約証書類を作成する契約証書類作成手段と、
作成した契約証書類を売買成立に関係した関係者へ出力する契約証書類出力手段とを備えた請求項7又は8記載の不良債権オークションシステム。 - 取引データの単価の要因を分析し、当該債務者に対する金銭債権の適正価格を算出する適正価格算出手段と、
算出した適正価格を出力する適正価格出力手段とを備えた請求項7記載の不良債権オークションシステム。 - 取引データの単価の要因を分析し、当該債務者に対する金銭債権の適正価格を算出する適正価格算出手段と、
金銭債権の売却希望者又は/及び購入希望者の入力データのうち、少なくとも売却・購入希望金額又は/及び売却・購入希望単価を、入力データ及び算出された当該金銭債権の適正価格に基づいて自動的に変更する入力データ自動変更手段を備えた請求項1又は7記載の不良債権オークションシステム。 - 入力された金銭債権売却データ・金銭債権購入データ及び/又は取引データを他の不良債権オークションシステムへ提供し、及び/又は、他の不良債権オークションシステムにおいて入力された金銭債権売却データ・金銭債権購入データ及び/又は取引データの提供を受けるデータ提供手段を備えた請求項1又は7記載の不良債権オークションシステム。
- 入力された金銭債権売却データ・金銭債権購入データから一部の入力データをパッケージングする入力データパッケージング手段と、
パッケージングされたロットからそれぞれに適合する取引対象者を算出するパッケージング用取引対象者算出手段を備えた請求項1記載の不良債権オークションシステム。 - 入力された金銭債権売却データ・金銭債権購入データから一部の入力データのロットを細分化する入力データ細分化手段と、
細分化されたロットからそれぞれに適合する取引対象者を算出する細分化用取引対象者算出手段を備えた請求項1記載の不良債権オークションシステム。 - 金銭債権の売却希望者によって入力された具体的な返済スケジュールから、金銭債権の購入希望者が入力した債務の返済スピードに適合する取引対象者を算出する取引対象者算出手段とを備えた請求項1,7又は8記載の不良債権オークションシステム。
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2002
- 2002-06-20 JP JP2002179435A patent/JP2004021887A/ja active Pending
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