JPWO2002054310A1 - 金融商品等交換取引システム - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、コンピュータネットワークを介して、金融商品及び/又は準金融商品の交換取引市場を創設し、顧客の持高の解消需要と持高の造成需要とを相互にマッチングさせるための金融商品等交換取引システムに関する。
背景の技術
貨幣経済の原理は、購入行為が売却行為から切り離されるところにあり、例えばある商品を売却した時点で購入したい商品が即座に見つからない場合、人は貨幣を保有しながら購買力を維持し、時間をかけて購入したい商品を探す行動が一般的である。従来の金融取引は、この原理を前提としているため、顧客は金融商品の持高の解消時と造成時にそれぞれ手数料を支払わなければならず、また、上下変動が激しい今日の取引市場においては、むしろ、解消行為と造成行為との間のタイムラグが市場リスクを大きくしている。
ところで、土地、建物及び双方の組み合わせである複合不動産は、元来、金融商品とは性質を異にする運用商品であるが、特別目的会社や投資信託を利用した不動産の証券化の普及によって、小口化が可能な共同運用商品としての地位が確立されている。これに伴い資産運用では、不動産担保証券や不動産投資信託などの証券化商品を媒介として、前記不動産運用商品と、貸付債権や債券、株式などの金融運用商品との間に裁定取引の機会が生まれ、最早、不動産運用商品と金融運用商品とを異なった土俵で論じることの意味が薄れてきた。
また、株価指数のように市場全体の上下変動を示す指標が不動産市場でも開発され、これらの不動産投資指数を基礎数値とした派生商品取引も成長が見込まれている。
一方、貴金属や非鉄金属、エネルギー関連、一次産品などの現物商品を基礎商品とした商品先物や商品オプション、商品先物オプション、商品価格スワップなどは、実質的に差金決済を可能とする取引の性格から、準金融商品としての地位が既に確立され、また、これら現物派生商品及び金融派生商品を投資対象とする商品ファンドも、証券投資信託などと同様のファンド型金融商品であると位置付けられている。
しかしながら、今日の取引市場は、金融商品、不動産商品及び現物派生商品で大きくセグメント化され、これらがさらに商品毎に細分化されている。このため、個々の商品の流動性が奪われて持高を解消する際の価額に歪みが生じ、顧客が不利益を被っている。
そこで、本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、コンピュータネットワークを介して金融商品及び/又は準金融商品の交換取引市場を創設し、資産運用者や資金調達者、資金取引者といった顧客の持高の解消需要と持高の造成需要とを相互にマッチングさせる金融商品等交換取引システムを提供することを課題とする。
そして、本発明は、解消行為と造成行為とを同時に行える環境を提供することで、顧客が仲介者等へ支払う手数料を節約でき、解消行為と造成行為との間のタイムラグを排除することで、その間の市場リスクを最小化でき、また、セグメント化され過ぎた取引市場を超越したクロス取引の場を創設することで、個々の商品の流動性を向上できる金融商品等交換取引システムを提供することを課題とする。
さらに、本発明は、資産運用商品や資金調達商品、資金取引商品に関して、新種の裁定取引やキャッシュフローの平準化を可能にし、ポートフォリオの再構築や資産・負債の総合管理の効率性を上昇させ、また、事業支配や株式持合、信用供与、運用委託先の選別などに絡む資産運用の新手法を提供することを課題とする。
発明の開示
本発明は、金融商品等交換取引システムにおいて、コンピュータネットワークを介して、金融商品及び/又は準金融商品の交換取引市場を創設し、利用者同士が交換取引を成立させることができる。
本発明において利用者同士の交換取引とは、資産運用者同士の交換取引や資金調達者同士の交換取引、資金取引者同士の交換取引、資産運用者と資金取引者との交換取引などを指し、実際の取引に際して、特別目的会社や信託、組合などの導管体を利用者間に関与させる場合などをも含む。
また、本発明における資産運用者とは、貸付、預金、株式や債券、コマーシャル・ペーパー、受益権、不動産商品の売買、外国為替商品や金融派生商品、不動産派生商品、現物派生商品の取引などを通じて資産運用を行う国内外の個人や法人をいう。資金調達者とは、借入、預金、株式や債券、コマーシャル・ペーパーの発行、外国為替商品や金融派生商品の取引などを通じて資金調達を行う国内外の個人や法人をいう。そして、本発明では、前記資産運用者としての機能と前記資金調達者としての機能を併せ持つ国内外の個人や法人を資金取引者と呼ぶ。
さらに本発明においては、資産運用の対象となる金融運用商品や不動産運用商品などの基礎商品を資産運用商品といい、資金調達の対象となる金融調達商品などの基礎商品を資金調達商品と呼ぶ。一方、外国為替商品や金融派生商品、不動産派生商品、現物派生商品など、資産運用対象の基礎商品や資金調達対象の基礎商品とは異なる利用のされ方をする各種商品を資金取引商品とする。
また本発明は、金融商品等交換取引システムにおいて、国境及び/又は取引時間の壁を超え、国内外において1日24時間、前記商品の交換取引を成立させることができる。
そして本発明は、金融商品等交換取引システムにおいて、交換取引商品の瑕疵調査の機能及び/又は交換取引価額の鑑定評価の機能を有する。
さらに本発明は、金融商品等交換取引システムにおいて、約定確認、契約書の作成・譲渡、交換差金の決済、現物の授受、キャッシュフローの授受、リスク管理やキャッシュフロー管理のツール提供、法令遵守の検査、信用補完、債権の保全・回収など、交換成立後の決済・管理機能を集約した。
また本発明は、金融商品等交換取引システムにおいて、前記交換取引の種類を資産運用商品の直接交換とする。
そして本発明は、金融商品等交換取引システムにおいて、前記交換取引の種類を資産運用商品のキャッシュフロー交換とする。
本発明におけるキャッシュフローとは資金流入及び資金流出をいう。具体的には、資産運用商品や資金調達商品、資金取引商品における元本部分の資金流出入、並びに元本より生じる利子、配当、地代・家賃を含む賃料などの果実部分の資金流出入を指す。
さらに本発明は、金融商品等交換取引システムにおいて、前記交換取引の種類を評価損益による資産運用商品のキャッシュフロー交換とする。
また本発明は、金融商品等交換取引システムにおいて、資産運用商品を前記直接交換と前記キャッシュフロー交換との折衷方式によって交換できる。
そして本発明は、金融商品等交換取引システムにおいて、前記交換取引の種類を資金調達商品のキャッシュフロー交換とする。
さらに本発明は、金融商品等交換取引システムにおいて、前記交換取引の種類を外国為替商品、金融派生商品及び準金融派生商品のうち、何れか1つ以上の資金取引商品のキャッシュフロー交換とする。
また本発明は、金融商品等交換取引システムにおいて、資産運用商品と資金取引商品とのキャッシュフロー交換ができる。
そして本発明は、金融商品等交換取引システムにおいて、同種商品間、異種商品間及び異業種商品間のうち、何れか1つ以上の交換取引を成立させることができる。
本発明における同種商品とは『株式』と『株式』といった等しい種類の商品を指し、異種商品とは『株式』と『債券』といった異なる種類の商品をいい、また、異業種商品とは『株式』と『土地』といった異なる業種の商品を意味する。
さらに本発明は、金融商品等交換取引システムにおいて、複数商品の抱き合わせによる交換取引を成立させることができる。
また本発明は、金融商品等交換取引システムにおいて、3者以上の利用者間の同時交換取引を成立させることができる。
本発明における3者以上の利用者間の同時交換取引とは、以下の2形態をいう。
(a)一人の交換希望者と複数の交換希望者とがマッチングされる場合、及び複数の交換希望者と複数の交換希望者とがマッチングされる場合に同時成立する交換取引。
(b)交換希望者Xが商品xの提供を希望し、交換希望者Yが商品y、交換希望者Zが商品zの提供をそれぞれ希望しており、さらに交換希望者Xが商品yの入手を希望し、交換希望者Yが商品z、交換希望者Zが商品xの入手をそれぞれ希望している場合など、提供希望と入手希望とが3者以上の交換希望者の間で循環している場合に同時成立する交換取引。
そして本発明は、金融商品等交換取引システムにおいて、資産運用商品の直接交換、資産運用商品のキャッシュフロー交換、資金調達商品のキャッシュフロー交換、資金取引商品のキャッシュフロー交換の種々の組み合わせにより、資産・負債の総合管理ができる。
さらに本発明は、金融商品等交換取引システムにおいて、資産運用商品の前記直接交換を通じて、事業支配に絡む取引、株式持合に絡む取引及び自己株式に絡む取引のうち、何れか1つ以上ができる。
本発明における事業支配に絡む取引とは、事業に対する支配の強化や緩和、さらには事業の買収や売却を指し、株式持合に絡む取引とは、株式の持合の開始や強化、緩和、解消をいい、自己株式に絡む取引とは、自己株式の取得や処分を意味する。
また本発明は、金融商品等交換取引システムにおいて、資産運用商品の前記直接交換を通じて、不動産の持分を集中させることができる。
そして本発明は、金融商品等交換取引システムにおいて、資産運用商品の前記直接交換及び/又は前記キャッシュフロー交換を通じて、求償順位の変更ができる。
さらに本発明は、金融商品等交換取引システムにおいて、資産運用商品の前記直接交換及び/又は前記キャッシュフロー交換を通じて、信用供与に絡む取引ができる。
本発明における信用供与に絡む取引とは、信用供与の開始や拡大、縮小、停止をいう。
また本発明は、金融商品等交換取引システムにおいて、資産運用商品の前記直接交換及び/又は前記キャッシュフロー交換を通じて、ポートフォリオを交換できる。
そして本発明は、金融商品等交換取引システムにおいて、資産運用商品の前記直接交換及び/又は前記キャッシュフロー交換を通じて、運用委託先の選別に絡む取引ができる。
本発明における運用委託先の選別に絡む取引とは、ファンド型運用商品や媒介体における運用受託機関の任命や集中、分散、解任をいう。尚、ファンド型運用商品とは、証券投資信託や不動産投資信託、商品ファンド、貸付信託、狭義の金銭信託など、一般的に不特定多数の資産運用者向けに設定・運用される資産運用商品を指す。また、媒介体とは、特定金銭信託や指定金外信託、運用有価証券信託、投資子会社株式、ファンド型私募債券など、一般的に特定の資産運用者が、簿価分離や果実政策、外部への運用委託などを目的に設定・利用する資産運用商品をいう。
本発明では、資産運用や資金調達、資金取引における交換取引を通じて、新種の裁定取引を行うことができる。
まず本発明は、資産運用商品の直接交換を通じた新種の裁定取引を可能とする。
一つの例として、資産運用者Aが、自分の保有する資産運用商品aの価値以上に、資産運用商品bの価値が今後上昇すると予想している場合、より高い運用利回りを達成するために、資産運用者Aは資産運用商品aを処分して一旦現金化し、その現金を使用して資産運用商品bその物あるいは資産運用商品bと同等の商品を取得しようと試みる。一方、資産運用者Bが、自分の保有する資産運用商品bの価値以上に、資産運用商品aの価値が今後上昇すると予想している場合、より高い利回りを達成するために、資産運用者Bは資産運用商品bを処分して一旦現金化し、その現金を使用して資産運用商品aその物あるいは資産運用商品aと同等の商品を取得しようと試みる。
本発明は、資産運用商品aの所有権を譲渡する替わりに資産運用商品bの所有権を譲り受けたい資産運用者Aと、資産運用商品bの所有権を譲渡する替わりに資産運用商品aの所有権を譲り受けたい資産運用者Bという、対峙する相場観を持つ資産運用者に現物を直接交換させることで、双方による裁定取引を可能にする。
次に本発明は、資産運用商品のキャッシュフロー交換を通じた新種の裁定取引を可能とする。即ち資産運用者は、資産運用商品の現物を直接交換するのではなく、保有を続けながらキャッシュフローを交換することによっても、処分を希望していた資産運用商品を実質的に処分でき、同時に、取得を希望していた資産運用商品を実質的に取得できる。
本発明における資産運用商品のキャッシュフロー交換には、例えば以下のような取引形態がある。
(a)貸付債権や債券、コマーシャル・ペーパー、一部預金債権、一部ファンド型運用商品、一部媒介体など、一般的に満期の存在する資産運用商品がそのまま満期を迎えることを前提として、当該商品の残存期間の資金流入、即ち元本や果実のキャッシュフローを交換する方法。
(b)一般的に満期が存在する前記商品に残存期間より短い特定の期間を設定して、その間の資金流入、即ち果実のみのキャッシュフローを交換する方法。
(c)一般的に満期が存在する前記商品に関し自由処分権を行使することを前提として、当該商品を処分するまでの期間の資金流入、即ち元本や果実のキャッシュフローを交換する方法。この取引形態では、交換成立時に対象商品の自由処分権も交換される。
(d)土地や建物、複合不動産、株式、一部預金債権、一部ファンド型運用商品、一部媒介体など、一般的に満期が存在しない資産運用商品に関し自由処分権を行使することを前提として、当該商品を処分するまでの期間の資金流入、即ち元本や果実のキャッシュフローを交換する方法。この取引形態では、交換成立時に対象商品の自由処分権も交換される。
(e)一般的に満期が存在しない前記商品に特定の期間を設定して、その間の資金流入、即ち果実のみのキャッシュフローを交換する方法。
上記取引形態の内、自由処分権の行使を伴う(c)及び(d)は、交換期間中、対象商品の『キャッシュフローの譲受人』が当該商品の自由処分権を行使した場合、この処分行為を市場で執行する者は当該商品の名目上の保有者である『キャッシュフローの譲渡人』であるため、処分代金は後者が一旦受け取ることになるが、後者がこれを当該商品の実質的な所有者である前者へと支払うことにより、当該商品に関しての取引が終了する。
一方、自由処分権の行使を伴わない(a)、(b)及び(e)は、自分が保有する資産運用商品の現物を以下のような理由から現在処分できないが、他の資産運用者が保有する資産運用商品のキャッシュフローは享受したい場合などに有効である。
(1)資金調達者に対する営業政策上、自分が保有する貸付債権や債券、コマーシャル・ペーパーを現在処分できない。
(2)議決権を保持したいため、自分が保有する株式を現在処分できない。
(3)対抗要件の取得が煩雑であるため、自分が保有する預金債権を現在譲渡できない。
(4)抵当権が既に設定されているため、自分が保有する土地や建物、複合不動産を現在処分できない。
(5)流動性が低いため、自分が保有するファンド型運用商品を現在処分できない。
(6)運用委託先や管理会社に対する政策上、あるいは再設定に要するコストや事務手続きなどの理由で、自分が保有する媒介体を現在処分できない。
ところで本発明では、交換対象商品の残存期間の長短や、商品に付随する各種権利の行使や各種義務の履行までの期間の長短などによって、一方の商品のキャッシュフローの支払又は受取が終了した後も、他方の商品のキャッシュフローの受取又は支払が続く場合がある。よって、キャッシュフローの授受終了が遅い方の商品の授受終了日を、当該交換取引の期末とすることができる。
さらに本発明は、資産運用商品の評価益部分のキャッシュフロー交換を通じた新種の裁定取引を可能とする。即ち、本発明における資産運用商品のキャッシュフロー交換には、商品全体の評価額を基にした交換取引に加え、商品の評価益部分のみの評価額を基にした交換取引が含まれる。
一つの例として、資産運用者Cが保有している資産運用商品cの評価額が1000であり、その構成が簿価800、評価益200であるとする。一方、資産運用者Dが保有している資産運用商品dの評価額が1500であり、その構成が簿価1300、評価益200であるとする。資産運用者Cは、資産運用商品cの評価益以上に資産運用商品dの評価益が今後増加すると予想しており、資産運用者Dは、資産運用商品dの評価益以上に資産運用商品cの評価益が今後増加すると予想している。この場合、本発明では、評価益部分に関し資産運用者Cと資産運用者Dとの間で交換取引が可能となる。
資産運用者Cは、資産運用商品c全体の自由処分権と資産運用商品cの評価益部分の所有権を譲渡する替わりに、資産運用商品d全体の自由処分権と資産運用商品dの評価益部分の所有権を譲り受け、同時に資産運用者Dは、資産運用商品d全体の自由処分権と資産運用商品dの評価益部分の所有権を譲渡する替わりに、資産運用商品c全体の自由処分権と資産運用商品cの評価益部分の所有権を譲り受ける。この際、資産運用商品cの簿価部分の所有権は引き続き資産運用者Cに属し、資産運用商品dの簿価部分の所有権は引き続き資産運用者Dに属する。
即ち、資産運用者Cは資産運用商品cの簿価相当額の価値を確保した上で、資産運用商品dの評価益の増減について市場リスクをとり、資産運用者Dは資産運用商品dの簿価相当額の価値を確保した上で、資産運用商品cの評価益の増減について市場リスクをとることが可能になる。尚、資産運用商品cの果実部分のキャッシュフローは引き続き資産運用者Cに帰属させ、資産運用商品dの果実部分のキャッシュフローは引き続き資産運用者Dに帰属させることができる。
交換期間中、資産運用者Cが自由処分権を行使して資産運用商品dを処分した場合、その処分価額のうち、資産運用者Dが所有している簿価部分についてのキャッシュフローは資産運用者Dに帰属し、資産運用者Cが所有している評価益部分についてのキャッシュフローは資産運用者Cに帰属する。また、処分時に資産運用商品dの評価益が評価損に転じていた場合は、処分価額のうち該評価損相当額が資産運用者Cに帰属する。即ち、資産運用者Cは評価損相当額を資産運用者Dへ支払うことで該評価損が実現損に変わり、資産運用者Dは簿価相当額を確保できることになる。
一方、資産運用者Dが自由処分権を行使して資産運用商品cを処分した場合、その処分価額のうち、資産運用者Cが所有している簿価部分についてのキャッシュフローは資産運用者Cに帰属し、資産運用者Dが所有している評価益部分についてのキャッシュフローは資産運用者Dに帰属する。また、処分時に資産運用商品cの評価益が評価損に転じていた場合は、処分価額のうち該評価損相当額が資産運用者Dに帰属する。即ち、資産運用者Dは評価損相当額を資産運用者Cへ支払うことで該評価損が実現損に変わり、資産運用者Cは簿価相当額を確保できることになる。
また本発明は、資産運用商品の評価損部分のキャッシュフロー交換を通じた新種の裁定取引を可能とする。即ち、本発明では、評価損をマイナスの評価益と見なすことで、資産運用商品の評価損部分を交換することができる。
一つの例として、資産運用者Eが保有している資産運用商品eの評価額が1000であり、その構成が簿価1200、評価損200であるとする。一方、資産運用者Fが保有している資産運用商品fの評価額が1500であり、その構成が簿価1700、評価損200であるとする。資産運用者Eは、資産運用商品eの評価損以上に資産運用商品fの評価損が今後減少し、場合によっては資産運用商品fが評価益に転じると予想しており、資産運用者Fは、資産運用商品fの評価損以上に資産運用商品eの評価損が今後減少し、場合によっては資産運用商品eが評価益に転じると予想している。この場合、本発明では、評価損部分に関し資産運用者Eと資産運用者Fとの間で交換取引が可能となる。
資産運用者Eは、資産運用商品e全体の自由処分権を譲渡して資産運用商品eの評価損を引き渡す替わりに、資産運用商品f全体の自由処分権を譲り受けて資産運用商品fの評価損を引き受けることになり、同時に資産運用者Fは、資産運用商品f全体の自由処分権を譲渡して資産運用商品fの評価損を引き渡す替わりに、資産運用商品e全体の自由処分権を譲り受けて資産運用商品eの評価損を引き受けることになる。
これで評価損がそれぞれ相手方へ移転し、交換取引上、資産運用者Eは資産運用商品eの簿価相当額の価値を回復し、資産運用者Fは資産運用商品fの簿価相当額の価値を回復したと見なすことができる。即ち、資産運用者Eは資産運用商品eの簿価相当額の価値を確保した上で、資産運用商品fの評価損の増減について市場リスクをとり、資産運用者Fは資産運用商品fの簿価相当額の価値を確保した上で、資産運用商品eの評価損の増減について市場リスクをとることが可能になる。尚、資産運用商品eの果実部分のキャッシュフローは引き続き資産運用者Eに帰属させ、資産運用商品fの果実部分のキャッシュフローは引き続き資産運用者Fに帰属させることができる。
交換期間中、資産運用者Eが自由処分権を行使して資産運用商品fを処分した場合、概念的には、その処分価額のうち、資産運用者Fが所有している簿価部分についてのキャッシュフローは資産運用者Fに帰属し、資産運用者Eが所有している評価損部分についてのキャッシュフローは資産運用者Eに帰属する。即ち、資産運用者Eは評価損相当額を資産運用者Fへ支払うことで該評価損が実現損に変わり、資産運用者Fは簿価相当額を確保できることになる。また、処分時に資産運用商品fの評価損が評価益に転じていた場合、資産運用者Eは実現益を享受できることになる。
一方、資産運用者Fが自由処分権を行使して資産運用商品eを処分した場合、概念的には、その処分価額のうち、資産運用者Eが所有している簿価部分についてのキャッシュフローは資産運用者Eに帰属し、資産運用者Fが所有している評価損部分についてのキャッシュフローは資産運用者Fに帰属する。即ち、資産運用者Fは評価損相当額を資産運用者Eへ支払うことで該評価損が実現損に変わり、資産運用者Eは簿価相当額を確保できることになる。また、処分時に資産運用商品eの評価損が評価益に転じていた場合、資産運用者Fは実現益を享受できることになる。
本発明のキャッシュフロー交換における評価損益とは、基本的に『保有している商品の総体の評価額』から『該商品の会計上の簿価もしくは取得価額』を差し引いた金額をいう。但し、交換取引者が機密保持を理由に開示を避けたい場合などにおいては、『保有している商品の総体の評価額』から『自己申告に基づく簿価もしくは取得価額』を差し引いた金額で構わない。即ち、本発明における評価損益は、必ずしも会計上の数値を意味しない。
そして本発明は、評価損益部分のキャッシュフロー交換を通じた空売り商品の新種の裁定取引を可能とする。即ち、本発明の評価損益の交換は、空売りされている資産運用商品の持高も対象になる。
一つの例として、資産運用者Gが空売りしている資産運用商品gの評価益が200であり、その算定根拠が売付価額1000、商品の評価額800であるとする。一方、資産運用者Hが空売りしている資産運用商品hの評価益も200であり、その算定根拠が売付価額1300、商品の評価額1100であるとする。資産運用者Gは、資産運用商品g以上に資産運用商品hの価格が今後下落する、即ち資産運用商品gの評価益以上に資産運用商品hの評価益が今後増加すると予想しており、一方、資産運用者Hは、資産運用商品h以上に資産運用商品gの価格が今後下落する、即ち資産運用商品hの評価益以上に資産運用商品gの評価益が今後増加すると予想している。この場合、本発明では、評価益に関し資産運用者Gと資産運用者Hとの間で交換取引が可能となる。
資産運用者Gは、資産運用商品gを買い戻す権利と資産運用商品gの評価益の所有権を譲渡する替わりに、資産運用商品hを買い戻す権利と資産運用商品hの評価益の所有権を譲り受け、同時に資産運用者Hは、資産運用商品hを買い戻す権利と資産運用商品hの評価益の所有権を譲渡する替わりに、資産運用商品gを買い戻す権利と資産運用商品gの評価益の所有権を譲り受ける。この際、資産運用者Gは資産運用商品hの売付価額が固定された上で、資産運用商品hの評価益の増減について市場リスクをとり、資産運用者Hは資産運用商品gの売付価額が固定された上で、資産運用商品gの評価益の増減について市場リスクをとることが可能になる。
交換期間中、資産運用者Gが権利を行使して資産運用商品hを買い戻した場合、実現した資産運用商品hの実現益についてのキャッシュフローは資産運用者Gに帰属し、資産運用者Hが権利を行使して資産運用商品gを買い戻した場合、実現した資産運用商品gの実現益についてのキャッシュフローは資産運用者Hに帰属する。また、資産運用商品hを買い戻す時点で評価益が評価損に転じていた場合、その実現損は資産運用者Gに帰属し、資産運用商品gを買い戻す時点で評価益が評価損に転じていた場合、その実現損は資産運用者Hに帰属することになる。
ところで一つの例として、資産運用者Iが空売りしている資産運用商品iの評価損が200であり、その算定根拠が売付価額1000、商品の評価額1200であるとする。一方、資産運用者Jが空売りしている資産運用商品jの評価損も200であり、その算定根拠が売付価額1300、商品の評価額1500であるとする。資産運用者Iは、資産運用商品i以上に資産運用商品jの評価額が今後下落する、即ち資産運用商品iの評価損以上に資産運用商品jの評価損が今後減少し、場合によっては資産運用商品jが評価益に転じると予想しており、一方、資産運用者Jは、資産運用商品j以上に資産運用商品iの評価額が今後下落する、即ち資産運用商品jの評価損以上に資産運用商品iの評価損が今後減少し、場合によっては資産運用商品iが評価益に転じると予想している。この場合、本発明では、評価損に関し資産運用者Iと資産運用者Jとの間で交換取引が可能となる。
資産運用者Iは、資産運用商品iを買い戻す権利を譲渡して資産運用商品iの評価損を引き渡す替わりに、資産運用商品jを買い戻す権利を譲り受けて資産運用商品jの評価損を引き受けることになり、同時に資産運用者Jは、資産運用商品jを買い戻す権利を譲渡して資産運用商品jの評価損を引き渡す替わりに、資産運用商品iを買い戻す権利を譲り受けて資産運用商品iの評価損を引き受けることになる。この際、資産運用者Iは資産運用商品jの売付価額が固定された上で、資産運用商品jの評価損の増減について市場リスクをとり、資産運用者Jは資産運用商品iの売付価額が固定された上で、資産運用商品iの評価損の増減について市場リスクをとることが可能になる。
交換期間中、資産運用者Iが権利を行使して資産運用商品jを買い戻した場合、資産運用商品jの実現損は資産運用者Iに帰属し、資産運用者Jが権利を行使して資産運用商品iを買い戻した場合、資産運用商品iの実現損は資産運用者Jに帰属する。しかし、資産運用商品jを買い戻す時点で評価損が評価益に転じていた場合、資産運用者Iは実現益を享受でき、資産運用商品iを買い戻す時点で評価損が評価益に転じていた場合、資産運用者Jは実現益を享受できることになる。
本発明において、空売り商品のキャッシュフロー交換における評価損益とは、基本的に『商品の会計上の売付価額』から『該商品の評価額』を差し引いた金額をいう。但し、交換取引者が機密保持を理由に開示を避けたい場合などにおいては、『商品の自己申告に基づく売付価額』から『該商品の評価額』を差し引いた金額で構わない。即ち、本発明において空売り商品の評価損益は、必ずしも会計上の数値を意味しない。
さらに本発明は、商品を直接交換したい資産運用者と、商品のキャッシュフローを交換したい資産運用者との間で新種の裁定取引を可能とする。即ち、本発明の資産運用商品の交換には、直接交換とキャッシュフロー交換との折衷方式が含まれる。
一つの例として、資産運用者Kが、自分の保有する資産運用商品kの価値以上に資産運用商品lの価値が今後上昇すると予想して、資産運用商品kと資産運用商品lとの直接交換を希望し、且つ、資産運用者Lが、自分の保有する資産運用商品lの価値以上に資産運用商品kの価値が今後上昇すると予想して、資産運用商品kと資産運用商品lとのキャッシュフロー交換を希望している場合、本発明では直接交換とキャッシュフロー交換との折衷方式を用いることが可能である。資産運用者Kは、資産運用商品kの現物を譲渡する替わりに資産運用商品lより生じるキャッシュフローを受け取る権利を譲り受け、同時に資産運用者Lは、資産運用商品lより生じるキャッシュフローを受け取る権利を譲渡する替わりに資産運用商品kの現物を譲り受けることで、両者が妥協点を見出せることになる。
また本発明は、資金調達商品のキャッシュフロー交換を通じた新種の裁定取引を可能とする。即ち、資金調達商品は、資産運用者が信用リスクや資金調達者の名前を選好した上でそれを資産運用商品として取得しており、資金調達者が他の資金調達者と持高を直接交換するのは一般的に困難である。しかし、本発明における資金調達者は、自分が抱えている資金調達商品のキャッシュフローを、他の資金調達者が抱えている資金調達商品のキャッシュフローと交換することによって、直接交換と同様の経済効果を享受することができる。
一つの例として、資金調達者Mが、自分の抱えている資金調達商品mの持高の評価額以上に、資金調達商品nの持高の評価額が今後低下すると予想している場合、一方、資金調達者Nが、自分の抱えている資金調達商品nの持高の評価額以上に、資金調達商品mの持高の評価額が今後低下すると予想している場合、両者は、互いの持高を交換することで、より低い調達コストを達成しようと試みる。あるいは、満期の有無や残存期間の長短、期中償還の有無、元本や果実の性質など商品性の違いから、資金調達者Mが資金調達商品nの持高を欲し、一方、資金調達者Nが資金調達商品mの持高を欲している場合、両者は、互いの持高を交換することで、より選好する持高を造成しようと試みる。
本発明では、資金調達商品nのキャッシュフローを支払う義務を引き受ける替わりに資金調達商品mのキャッシュフローを支払う義務を引き渡したい資金調達者Mと、資金調達商品mのキャッシュフローを支払う義務を引き受ける替わりに資金調達商品nのキャッシュフローを支払う義務を引き渡したい資金調達者Nという、正反対の需要を抱える資金調達者にキャッシュフローを交換させることで、双方による裁定取引が可能となる。尚、この際、期中償還や買入消却が可能な商品の場合には、期中償還や買入消却を実施する権利をも交換することになる。
本発明における資金調達商品のキャッシュフロー交換には、例えば以下のような取引形態がある。
(a)借入債務や債券、コマーシャル・ペーパー、一部預金債務など、一般的に満期の存在する資金調達商品がそのまま満期を迎えることを前提として、当該商品の残存期間の資金流出、即ち元本や果実のキャッシュフローを交換する方法。
(b)一般的に満期が存在する前記商品に残存期間より短い特定の期間を設定して、その間の資金流出、即ち果実のみのキャッシュフローを交換する方法。
(c)一般的に満期が存在する前記商品を期中償還又は買入消却することを前提として、当該商品が消滅するまでの期間の資金流出、即ち元本や果実のキャッシュフローを交換する方法。
(d)株式や一部預金債務など、一般的に満期が存在しない資金調達商品を買入消却又は解約することを前提として、当該商品が消滅するまでの期間の資金流出、即ち元本や果実のキャッシュフローを交換する方法。
(e)一般的に満期が存在しない前記商品に特定の期間を設定して、その間の資金流出、即ち果実のみのキャッシュフローを交換する方法。
上記取引形態の内、期中償還もしくは解約又は買入消却を伴う(c)及び(d)は、交換期間中、対象商品の『キャッシュフローの引受人』が権利を行使して当該商品を期中償還もしくは解約又は買入消却した場合、この解消行為を市場で執行する者は当該商品の名目上の資金調達者である『キャッシュフローの引渡人』であるため、償還代金又は買付代金は後者が一旦支払うことになるが、後者がこれを当該商品の実質的な資金調達者である前者から受け取ることにより、当該商品に関しての取引が終了する。
尚、本発明において期中償還とは、満期が存在する資金調達商品を、定められた価額で期中に繰り上げて弁済、解約又は償還することを指し、買入消却とは、満期の有無に係わらず、資金調達商品を流通価額などで買い入れて消滅させることをいう。
そして本発明は、資金取引商品のキャッシュフロー交換を通じた新種の裁定取引を可能とする。即ち、外国為替商品や先渡商品、先物商品、オプション商品、スワップ商品などの資金取引商品は、資金取引者が取引の相手方と直接的に、もしくは証券取引所や派生商品取引所を経由して間接的に、対峙する持高を造成し合っており、資金取引者が他の資金取引者と持高を直接交換するのは一般的に困難である。しかし、本発明における資金取引者は、自分が抱えている資金取引商品のキャッシュフローを、他の資金取引者が抱えている資金取引商品のキャッシュフローと交換することによって、直接交換と同様の経済効果を享受することができる。
資金取引商品は当初の投資額が不要か、又は基礎商品に比べて極めて小さく、反対取引によって差金決済もしくは利益の確保、損失の確定ができる。基礎商品を受け渡す場合であっても、流動性の高い売買市場が既に存在しているため、当該市場で基礎商品を購入又は売却することにより、資金取引者を差金決済と実質異ならない状態に置くことができる。即ち、資金取引商品の資産価値は評価益に、また負債価値は評価損にあり、本発明における資金取引商品のキャッシュフロー交換は、評価損益の評価額を基にした交換取引となる。
一つの例として、資金取引者Oが抱えている資金取引商品oの評価益の評価額が200であり、一方、資金取引者Pが抱えている資金取引商品pの評価益の評価額が200であるとする。資金取引者Oは、資金取引商品oの評価益以上に資金取引商品pの評価益が今後増加すると予想しており、資金取引者Pは、資金取引商品pの評価益以上に資金取引商品oの評価益が今後増加すると予想している。この場合、本発明では、資金取引者Oと資金取引者Pとの間で交換取引が可能となる。
資金取引者Oは、資金取引商品oの持高を譲渡する替わりに資金取引商品pの持高を譲り受け、同時に資金取引者Pは、資金取引商品pの持高を譲渡する替わりに資金取引商品oの持高を譲り受ける。この際、資金取引商品oの持高に付随する権利と義務は資金取引者Pへ、資金取引商品pの持高に付随する権利と義務は資金取引者Oへそれぞれ移転。資金取引者Oは資金取引商品pの評価益の増減について市場リスクをとり、資金取引者Pは資金取引商品oの評価益の増減について市場リスクをとることが可能になる。
交換期間中、資金取引者Pが、譲り受けた権利を行使して資金取引商品oの評価益を実現させた場合、あるいは資金取引者Pが、引き受けた義務を履行して資金取引商品oの評価益が実現した場合、資金取引者Pは実現益を享受できる。一方、資金取引者Oが、譲り受けた権利を行使して資金取引商品pの評価益を実現させた場合、あるいは資金取引者Oが、引き受けた義務を履行して資金取引商品pの評価益が実現した場合、資金取引者Oは実現益を享受できる。また、資金取引者Pによる権利行使あるいは義務履行の時点において、資金取引商品oの評価益が評価損に転じていた場合、その実現損は資金取引者Pに帰属し、資金取引者Oによる権利行使あるいは義務履行の時点において、資金取引商品pの評価益が評価損に転じていた場合、その実現損は資金取引者Oに帰属することになる。
ところで一つの例として、資金取引者Qが抱えている資金取引商品qの評価損の評価額が200であり、一方、資金取引者Rが抱えている資金取引商品rの評価損の評価額が200であるとする。資金取引者Qは、資金取引商品qの評価損以上に資金取引商品rの評価損が今後減少し、場合によっては資金取引商品rが評価益に転じると予想しており、資金取引者Rは、資金取引商品rの評価損以上に資金取引商品qの評価損が今後減少し、場合によっては資金取引商品qが評価益に転じると予想している。この場合、本発明では、資金取引者Qと資金取引者Rとの間で交換取引が可能となる。
資金取引者Qは、資金取引商品qの持高を引き渡す替わりに資金取引商品rの持高を引き受け、同時に資金取引者Rは、資金取引商品rの持高を引き渡す替わりに資金取引商品qの持高を引き受ける。この際、資金取引商品qの持高に付随する権利と義務は資金取引者Rへ、資金取引商品rの持高に付随する権利と義務は資金取引者Qへそれぞれ移転。資金取引者Qは資金取引商品rの評価損の増減について市場リスクをとり、資金取引者Rは資金取引商品qの評価損の増減について市場リスクをとることが可能になる。
交換期間中、資金取引者Rが、譲り受けた権利を行使して資金取引商品qの評価損を実現させた場合、あるいは資金取引者Rが、引き受けた義務を履行して資金取引商品qの評価損が実現した場合、その実現損は資金取引者Rに帰属する。一方、資金取引者Qが、譲り受けた権利を行使して資金取引商品rの評価損を実現させた場合、あるいは資金取引者Qが、引き受けた義務を履行して資金取引商品rの評価損が実現した場合、その実現損は資金取引者Qに帰属する。しかし、資金取引者Rによる権利行使あるいは義務履行の時点において、資金取引商品qの評価損が評価益に転じていた場合、資金取引者Rは実現益を享受でき、資金取引者Qによる権利行使あるいは義務履行の時点において、資金取引商品rの評価損が評価益に転じていた場合、資金取引者Qは実現益を享受できることになる。
さらに本発明は、評価損益による資産運用商品と資金取引商品とのキャッシュフロー交換を通じた新種の裁定取引を可能とする。即ち、本発明では、資産運用商品の評価損益部分の交換方式と、評価損益による資金取引商品の交換方式とを併用することによって、資産運用商品の評価損益部分と資金取引商品の評価損益とを交換することができる。
一つの例として、資産運用者Sが保有している資産運用商品sの評価額が1000であり、その構成が簿価800、評価益200であるとする。一方、資金取引者Tが抱えている資金取引商品tの評価益の評価額が200であるとする。資産運用者Sは、資産運用商品sの評価益以上に資金取引商品tの評価益が今後増加すると予想しており、資金取引者Tは、資金取引商品tの評価益以上に資産運用商品sの評価益が今後増加すると予想している。この場合、本発明では、資産運用者Sと資金取引者Tとの間で評価益による交換取引が可能となる。
資産運用者Sは、資産運用商品s全体の自由処分権と資産運用商品sの評価益部分の所有権を譲渡する替わりに、資金取引商品tの持高及びその評価益を譲り受け、同時に資金取引者Tは、資金取引商品tの持高及びその評価益を譲渡する替わりに、資産運用商品s全体の自由処分権と資産運用商品sの評価益部分の所有権を譲り受ける。この際、資産運用商品sの簿価部分の所有権と果実部分のキャッシュフローは引き続き資産運用者Sに帰属し、資金取引商品tの持高に付随する権利と義務は資産運用者Sへ移転する。即ち、資産運用者Sは資産運用商品sの簿価相当額の価値を確保した上で、資金取引商品tの評価益の増減について市場リスクをとり、資金取引者Tは資産運用商品sの評価益の増減について市場リスクをとることが可能になる。
交換期間中、資産運用者Sが、譲り受けた権利を行使して資金取引商品tの評価益を実現させた場合、あるいは資産運用者Sが、引き受けた義務を履行して資金取引商品tの評価益が実現した場合、資産運用者Sは実現益を享受できる。また、権利行使あるいは義務履行の時点において、資金取引商品tの評価益が評価損に転じていた場合、その実現損は資産運用者Sに帰属することになる。
一方、資金取引者Tが自由処分権を行使して資産運用商品sを処分した場合、その処分価額のうち、資産運用者Sが所有している簿価部分についてのキャッシュフローは資産運用者Sに帰属し、資金取引者Tが所有している評価益部分についてのキャッシュフローは資金取引者Tに帰属する。また、処分時に資産運用商品sの評価益が評価損に転じていた場合は、処分価額のうち該評価損相当額が資金取引者Tに帰属する。即ち、資金取引者Tは評価損相当額を資産運用者Sへ支払うことで該評価損が実現損に変わり、資産運用者Sは簿価相当額を確保できることになる。
ところで一つの例として、資産運用者Uが保有している資産運用商品uの評価額が1000であり、その構成が簿価1200、評価損200であるとする。一方、資金取引者Vが抱えている資金取引商品vの評価損の評価額が200であるとする。資産運用者Uは、資産運用商品uの評価損以上に資金取引商品vの評価損が今後減少し、場合によっては資金取引商品vが評価益に転じると予想しており、資金取引者Vは、資金取引商品vの評価損以上に資産運用商品uの評価損が今後減少し、場合によっては資産運用商品uが評価益に転じると予想している。この場合、本発明では、資産運用者Uと資金取引者Vとの間で評価損による交換取引が可能となる。
資産運用者Uは、資産運用商品u全体の自由処分権を譲渡して資産運用商品uの評価損を引き渡す替わりに、資金取引商品vの持高及びその評価損を引き受け、同時に資金取引者Vは、資金取引商品vの持高及びその評価損を引き渡す替わりに、資産運用商品u全体の自由処分権を譲り受けて資産運用商品uの評価損を引き受けることになる。この際、資産運用商品uの果実部分のキャッシュフローは引き続き資産運用者Uに帰属し、資金取引商品vの持高に付随する権利と義務は資産運用者Uへ移転する。
これで評価損がそれぞれ相手方へ移転し、交換取引上、資産運用者Uは資産運用商品uの簿価相当額の価値を回復し、資金取引者Vは資金取引商品vのゼロ相当の価値を回復したと見なすことができる。即ち、資産運用者Uは資産運用商品uの簿価相当額の価値を確保した上で、資金取引商品vの評価損の増減について市場リスクをとり、資金取引者Vは資産運用商品uの評価損の増減について市場リスクをとることが可能になる。
交換期間中、資産運用者Uが、譲り受けた権利を行使して資金取引商品vの評価損を実現させた場合、あるいは資産運用者Uが、引き受けた義務を履行して資金取引商品vの評価損が実現した場合、その実現損は資産運用者Uに帰属する。しかし、権利行使あるいは義務履行の時点において、資金取引商品vの評価損が評価益に転じていた場合、資産運用者Uは実現益を享受できることになる。
一方、資金取引者Vが自由処分権を行使して資産運用商品uを処分した場合、概念的には、その処分価額のうち、資産運用者Uが所有している簿価部分についてのキャッシュフローは資産運用者Uに帰属し、資金取引者Vが所有している評価損部分についてのキャッシュフローは資金取引者Vに帰属する。即ち、資金取引者Vは評価損相当額を資産運用商品Uへ支払うことで該評価損が実現損に変わり、資産運用者Uは簿価相当額を確保できることになる。また、処分時に資産運用商品uの評価損が評価益に転じていた場合、資金取引者Vは実現益を享受できることになる。
本発明では、以上のような裁定取引を繰り返すことにより、資産運用者や資金調達者、資金取引者が自分の持高を漸次有利なものにしていくことができる。即ち、交換相手以上に交換相手の持高を適正に評価でき、該持高の今後の価値の変化について交換相手以上に適切な相場観を構築できれば、交換取引を重ねることで、資産運用商品におけるより高い運用利回り、資金調達商品におけるより低い調達コスト、資金取引商品におけるより多くの取引益やより有利な契約条件を漸次達成していくことが可能になる。そして、本システムにおける交換取引を、伝統的な金融・準金融市場との裁定取引に利用しても、同様の経済効果を享受することができる。
ところで、本発明における資産運用商品や資金調達商品、資金取引商品の交換取引は、兼ね備える以下の特徴によって、取引の確実性や透明性、即時性、経済性、効率性が向上する。
まず、債券や相対で取引される資金取引商品の中には、国内外において1日24時間取引できる商品が既に存在し、株式や上場している資金取引商品も、情報技術の発達と各国の取引所間の提携・合併によって、国境や取引時間の壁を超えた取引が徐々に実現してきている。本発明は、この世界的な傾向と歩調を合わせ、資産運用商品や資金調達商品、資金取引商品の交換取引を国内外において1日24時間成立させることを可能とし、各種相対商品や各種上場商品との裁定取引に即時性を持たせる。
次に本発明は、交換契約書の調印までの過程において交換当事者と利益相反にない鑑定評価者を設置し、交換成立商品の瑕疵調査や交換成立価額の鑑定評価を行うことから、交換当事者が出品・入札した持高の評価額が公正と呼べるものであったこと、交換成立商品が法律的、倫理的、経済的、物理的及び環境的な問題を孕んでいないことなどを確認でき、取引その物の透明性が増す。
また、伝統的な金融取引や伝統的な準金融取引が成立した後に生じる様々な決済業務や管理業務は、その歴史的な経緯から商品又は取引市場によって使用できるシステムが異なり統合が難しく、多種多様な商品を取引したい顧客にとって使い勝手が良いものではない。そこで本発明は、伝統的な金融・準金融取引で扱われる商品との裁定取引を容易にするため、約定確認、契約書の作成・譲渡、交換差金の決済、現物の授受、キャッシュフローの授受、リスク管理やキャッシュフロー管理のツール提供、法令遵守の検査、信用補完、債権の保全・回収など、交換成立後の決済・管理機能を集約した。
さらに本発明では、一人の交換希望者と一人の交換希望者とがマッチングされる場合のみならず、一人の交換希望者と複数の交換希望者とがマッチングされる場合、及び複数の交換希望者と複数の交換希望者とがマッチングされる場合が生じる。即ち、3者以上の利用者間での同時交換取引を可能にすることで、交換成立の確実性や即時性、効率性が増す。
次に本発明では、資産運用や資金調達、資金取引の持高を入れ替える際、既存の持高の解消のために、また、新規の持高の造成のために仲介者などへ支払う売買手数料や契約・解約手数料、償還手数料、引受・販売手数料、委託・仲介手数料、その他の諸費用が節約できる。
尚、ここでいう仲介者とは、個人や事業法人などの取引における伝統的な金融機関や伝統的な不動産会社、並びに金融機関間や不動産会社間などの取引におけるブローカーを指す。また、前記手数料や諸費用には、仲介者が資産運用者や資金調達者、資金取引者を相手に自己取引して実質的に徴収する手数料相当額や費用相当額を含む。
資産運用者は、自分が保有している資産運用商品の持高を他の資産運用商品の持高と入れ替える場合、これまでは、前者を売却又は解約、償還するために、売付手数料又は解約手数料、償還手数料、委託・仲介手数料、その他の諸費用を仲介者などへ支払い、後者を購入又は契約するために、買付手数料又は契約手数料、委託・仲介手数料、その他の諸費用を改めて仲介者などへ支払わなくてはならなかった。
本発明では、前者の処分時又は消滅時と後者の取得時に発生する各種手数料やその他の諸費用を交換取引によって節約できるため、資産運用者がより高い運用利回りを達成できる。
さらに、複数の資産運用商品の持高を抱き合わせで入れ替えることが可能であるため、資産ポートフォリオの再構築に伴う各種手数料やその他の諸費用を節約することができる。例えば、マクロ経済を景気後退期と捉える場合には、貸付債権や債券などの金利商品へとポートフォリオを再構築し、景気回復への移行期と考える場合には株式や株式投資信託などへの入れ替え、景気過熱時のインフレ懸念台頭期には不動産運用商品や商品ファンドなどへの入れ替え需要がそれぞれ生じてくるが、本発明では、相場観が入り乱れるこれら景気の節目に、各種資産運用商品を抱き合わせて交換取引することによって、ポートフォリオ全体の資産配分を効率的に変更することが可能となる。
資産運用者が、保有している貸付債権や不動産などを証券化する場合、これらの資産を直接又は信託受益権化して特別目的会社へ譲渡し、該特別目的会社が資産担保証券を投資家向けに発行する方式が一般的である。この仕組みでは、信託手数料や引受・販売手数料、委託・仲介手数料、信用補完や流動性補完のためのコスト・手数料、譲渡資産の管理・回収手数料、その他の諸費用が生じ、これが譲渡資産の価値の目減りを引き起こしている。また、資産の原保有者である前記資産運用者が、証券化後の譲渡代金で新規に資産を取得する場合は、買付手数料や契約手数料、委託・仲介手数料、その他の諸費用を改めて仲介者などへ支払わなくてはならなかった。
本発明では、交換取引によって既存の資産の譲渡と新規の資産の取得が同時に行えるため、各種手数料やその他の諸費用を節約でき、資産運用者がより高い運用利回りを達成できる。
資金調達者は、自分が抱えている資金調達商品の持高を他の資金調達商品の持高と入れ替える場合、これまでは、前者を繰上弁済又は期中償還、中途解約、買入消却するために、償還手数料又は解約手数料、買付手数料、その他の諸費用を仲介者などへ支払い、後者の持高を造成するために、資金調達に絡む契約手数料又は引受・販売手数料、その他の諸費用を改めて仲介者などへ支払わなくてはならなかった。
本発明では、前者の解消時と後者の造成時に発生する各種手数料やその他の諸費用を交換取引によって節約できるため、資金調達者がより低い調達コストを達成できる。さらに、複数の資金調達商品の持高を抱き合わせで入れ替えることが可能であるため、負債ポートフォリオの再構築に伴う各種手数料やその他の諸費用を節約することができる。
資金取引者は、自分が抱えている資金取引商品の持高を他の資金取引商品の持高と入れ替える場合、これまでは、前者を反対売買又は権利行使、解約するために、あるいは前者の権利行使又は期限到来を待った後に、解約手数料又は委託・仲介手数料、その他の諸費用を仲介者などへ支払い、後者の持高を造成するために、契約手数料又は委託・仲介手数料、その他の諸費用を改めて仲介者などへ支払わなくてはならなかった。
本発明では、前者の解消時と後者の造成時に発生する各種手数料やその他の諸費用を交換取引によって節約できるため、資金取引者がより多くの取引益やより有利な契約条件を達成できる。さらに、複数の資金取引商品の持高を抱き合わせで入れ替えることが可能であるため、ポートフォリオの再構築に伴う各種手数料やその他の諸費用を節約することができる。
さらに本発明では、資産運用や資金調達、資金取引の持高を入れ替える際、既存の持高の解消を待ってから新規の持高を造成する必要がないため、入れ替えの時間が節約でき、その間の市場リスクを回避できる。
資産運用者は、自分が保有している資産運用商品の持高を他の資産運用商品の持高と入れ替える場合、これまでは、前者を売却又は解約、償還することで、あるいは前者の満期を待つことで一旦現金持高とし、それから新たに後者を購入又は契約しなくてはならなかった。
本発明では、前者の処分又は消滅と後者の取得との間に生じる時間を交換取引によって節約できるため、その間に相場水準が変わってしまう市場リスクを回避できる。
さらに、複数の資産運用商品の持高を抱き合わせで入れ替えることが可能であるため、個別に商品を入れ替える場合と比べ、資産ポートフォリオの再構築に伴う市場リスクが減少する。例えば、相場観が入り乱れる景気の節目に、各種資産運用商品を抱き合わせて交換取引することによって、ポートフォリオ全体の資産配分を迅速に変更することが可能となる。
入れ替える資産運用商品の持高が大きい場合、資産運用者は、保有している商品を市場で処分する過程において自ら市場価額を引き下げてしまい、処分が完了した段階で不本意な平均処分価額になることが多かった。これとは逆に、欲している商品を市場で取得する過程においては自ら市場価額を引き上げてしまい、取得が完了した段階で不本意な平均取得価額になることが多かった。本発明では、資産運用者が交換取引によって持高を入れ替えるため、自分の処分行為や取得行為が市場の需給バランスに影響を与えて運用利回りが低下することを回避できる。
資金調達者は、自分が抱えている資金調達商品の持高を他の資金調達商品の持高と入れ替える場合、これまでは、前者を繰上弁済又は期中償還、中途解約、買入消却することで、あるいは前者の満期を待つことで一旦持高を消滅させ、それから新たに後者の持高を造成しなくてはならなかった。
本発明では、前者の解消と後者の造成との間に生じる時間を交換取引によって節約できるため、その間に相場水準が変わってしまう市場リスクを回避できる。さらに、複数の資金調達商品の持高を抱き合わせで入れ替えることが可能であるため、個別に商品を入れ替える場合と比べ、負債ポートフォリオの再構築に伴う市場リスクが減少する。
入れ替える資金調達商品の持高が大きい場合、資金調達者は、改めて資金調達を行った段階で次回以降の調達コストを自ら引き上げてしまうことが多かった。本発明では、資金調達者が交換取引によって持高を入れ替えるため、自分の再調達行為が市場の需給バランスに影響を与えて調達コストが上昇することを回避できる。
資金取引者は、自分が抱えている資金取引商品の持高を他の資金取引商品の持高と入れ替える場合、これまでは、前者を反対売買又は権利行使、解約することで、あるいは前者の権利行使又は期限到来を待つことで一旦持高を消滅させ、それから新たに後者の持高を造成しなくてはならなかった。
本発明では、前者の解消と後者の造成との間に生じる時間を交換取引によって節約できるため、その間に相場水準が変わってしまう市場リスクを回避できる。さらに、複数の資金取引商品の持高を抱き合わせで入れ替えることが可能であるため、個別に商品を入れ替える場合と比べ、ポートフォリオの再構築に伴う市場リスクが減少する。
入れ替える資金取引商品の持高が大きい場合、資金取引者は、抱えている持高を市場で解消する過程において自ら市場価額に影響を与えてしまい、解消が完了した段階で不本意な平均解消価額になることが多かった。また、欲している持高を市場で造成する過程においても自ら市場価額に影響を与えてしまい、造成が完了した段階で不本意な平均造成価額になることが多かった。本発明では、資金取引者が交換取引によって持高を入れ替えるため、自分の解消行為や造成行為が市場の需給バランスに影響を与えて取引益が減少することや、契約条件が不利になることを回避できる。
また、本発明では、特定金銭信託や指定金外信託、運用有価証券信託、投資子会社株式、ファンド型私募債券など、媒介体その物の交換取引によって、資産運用商品や資金取引商品を含む資産ポートフォリオの総体を交換することができるようになる。構成商品を個別に入れ替える場合とは異なり、媒介体の交換取引では資産ポートフォリオの全面的な再構築に伴う各種手数料やその他の諸費用を節約でき、また、そのために要する時間を短縮できることから、市場リスクを減少させることが可能になる。
そして本発明では、資産・負債の総合管理の効率性が上昇する。即ち、資産運用商品や資金調達商品、資金取引商品を抱き合わせで種々交換することにより、また、資産運用商品の直接交換やキャッシュフロー交換、資金調達商品のキャッシュフロー交換、資金取引商品のキャッシュフロー交換を種々組み合わせることにより、貸借対照表における資産、負債、及び資本の構成の改編に伴う各種手数料やその他の諸費用を節約でき、また、その改編に要する時間が短縮されることから、市場リスクを減少させることが可能になる。本発明における資産・負債の総合管理のための交換取引には、例えば以下のような組み合わせがある。
(a)『資産運用商品及び資金取引商品の抱き合わせ』と『資産運用商品』との交換取引。
(b)『資金調達商品及び資金取引商品の抱き合わせ』と『資金調達商品』との交換取引。
(c)『資産運用商品及び資金調達商品の抱き合わせ』と『資産運用商品』との交換取引。
(d)『資産運用商品及び資金調達商品の抱き合わせ』と『資金調達商品』との交換取引。
(e)『資産運用商品及び資金調達商品の抱き合わせ』と『資金取引商品』との交換取引。
(f)『資産運用商品及び資金取引商品、資金調達商品の抱き合わせ』と『資産運用商品』との交換取引。
(g)『資産運用商品及び資金取引商品、資金調達商品の抱き合わせ』と『資金調達商品』との交換取引。
(h)『資産運用商品及び資金取引商品、資金調達商品の抱き合わせ』と『資金取引商品』との交換取引。
(i)『資産運用商品及び資金取引商品、資金調達商品の抱き合わせ』と『資産運用商品及び資金取引商品の抱き合わせ』との交換取引。
(j)『資産運用商品及び資金取引商品、資金調達商品の抱き合わせ』と『資金調達商品及び資金取引商品の抱き合わせ』との交換取引。
(k)『資産運用商品及び資金取引商品、資金調達商品の抱き合わせ』と『資産運用商品及び資金調達商品の抱き合わせ』との交換取引。
次に本発明は、非流動性商品に実質的な流通市場を提供する。即ち、資産運用商品や資金調達商品、資金取引商品の持高を交換取引によって入れ替えることで、実質的に流動性を向上できる。
資産運用商品は、その取引市場が金融運用商品と不動産運用商品とで大きくセグメント化され、それらがさらに商品毎に細分化されていることから、処分需要と取得需要との間に不均衡が生じて商品の流動性が不十分になりやすかった。事業法人が発行する債券、中小企業や非公開企業の株式、貸付債権、土地・建物などは、一旦取得してから処分しようにも市場価額が低く抑えられ、無理な処分が運用利回りの低下を招く傾向が強かった。本発明では、同種商品間のみならず、異種商品間、異業種商品間で資産運用商品を直接交換できるため、選択肢が広がることで処分需要と取得需要との間の不均衡が是正され、運用利回りを低下させることなく商品を処分することが可能になる。
また、営業政策や経営政策、事務手続きの煩雑さやそのコストなどを理由に、保有している資産運用商品を現在処分することが困難な場合でも、本発明では、キャッシュフロー交換を用いることにより、直接交換同様、実質的に流動性を向上できる。
資金調達商品は、繰上弁済条項や期中償還条項が付与された商品を除くと基本的に流動性を備えておらず、持高の無理な解消が調達コストの上昇を招く傾向が強かった。本発明では、自分が抱えている持高のキャッシュフローを他の資金調達者が抱えている持高のキャッシュフローと交換することによって、資金調達商品が実質的に流動性を持つため、調達コストを上昇させることなく持高を解消することが可能になる。
資金取引商品は、一部の外国為替商品や先物商品、先物オプション商品を除くと基本的に流動性を備えていない。非基軸通貨に絡む資金取引商品や各種先渡商品、各種店頭オプション商品、各種スワップ商品、各種合成商品などは、持高の無理な解消が取引益の減少や不利な解約条件を招く傾向が強かった。本発明では、同種商品間のみならず、異種商品間、異業種商品間で持高のキャッシュフローを交換することにより、資金取引商品が実質的に流動性を持つため、取引益を減少させたり、不利な解約条件を被ったりすることなく持高を解消することが可能になる。
そして本発明は、事業に対する支配の強化や緩和、さらには事業の買収や売却に効果を発揮する。
資産運用者が、経営政策の見直しに伴い、特定の資金調達者に対する支配を強化したい場合、本発明における直接交換によって、自分が既に保有している『資産運用商品の何れか』を譲渡する替わりに、他の資産運用者が既に保有している『該資金調達者発行の議決権付き株式』を譲り受けることで、手元流動性を取り崩すことなく、該資金調達者に対する支配を効率的に強化することができる。
資産運用者が、経営政策の見直しに伴い、特定の資金調達者に対する支配を緩和したい場合、本発明における直接交換によって、自分が既に保有している『該資金調達者発行の議決権付き株式』を譲渡する替わりに、他の資産運用者が既に保有している『資産運用商品の何れか』を譲り受けることで、手元流動性に影響を与えることなく、該資金調達者に対する支配を効率的に緩和することができる。
経営政策の見直しに伴い、資産運用者Wが資金調達者Yに対する支配の強化と資金調達者Zに対する支配の緩和を計画し、これとは逆に、資産運用者Xが資金調達者Zに対する支配の強化と資金調達者Yに対する支配の緩和を計画している場合、本発明における直接交換によって、双方は同時に目的を遂げることができる。
即ち、資産運用者Wは『自分が既に保有している資金調達者Z発行の議決権付き株式』を譲渡する替わりに『資産運用者Xが既に保有している資金調達者Y発行の議決権付き株式』を譲り受け、同時に、資産運用者Xは『自分が既に保有している資金調達者Y発行の議決権付き株式』を譲渡する替わりに『資産運用者Wが既に保有している資金調達者Z発行の議決権付き株式』を譲り受けることで、それぞれ手元流動性に影響を与えることなく、資金調達者Yに対する支配の強化・緩和と資金調達者Zに対する支配の緩和・強化とを効率的に実施することができる。
資産運用者が、経営政策の見直しに伴い、特定の資金調達者を買収したい場合、本発明における直接交換によって、自分が既に保有している『資産運用商品の何れか』を譲渡する替わりに、他の資産運用者が既に保有している『該資金調達者発行の議決権付き株式』を譲り受けることで、手元流動性を取り崩すことなく、該資金調達者を効率的に買収することができる。
資産運用者が、経営政策の見直しに伴い、特定の子会社を売却したい場合、本発明における直接交換によって、自分が既に保有している『該子会社発行の議決権付き株式』を譲渡する替わりに、他の資産運用者が既に保有している『資産運用商品の何れか』を譲り受けることで、手元流動性に影響を与えることなく、該子会社を効率的に売却することができる。
経営政策の見直しに伴い、資産運用者(A)が、自分の子会社(C)の売却と資産運用者(B)の子会社(D)の買収を計画し、これとは逆に、資産運用者(B)が、自分の子会社(D)の売却と資産運用者(A)の子会社(C)の買収を計画している場合、本発明における直接交換によって、双方は同時に目的を遂げることができる。
即ち、資産運用者(A)は『自分の子会社(C)発行の議決権付き株式』を譲渡する替わりに『資産運用者(B)の子会社(D)発行の議決権付き株式』を譲り受け、同時に、資産運用者(B)は『自分の子会社(D)発行の議決権付き株式』を譲渡する替わりに『資産運用者(A)の子会社(C)発行の議決権付き株式』を譲り受けることで、それぞれ手元流動性に影響を与えることなく、子会社(D)の買収・売却と子会社(C)の売却・買収とを効率的に実施することができる。
また本発明は、株式持合の開始や強化、緩和、解消、自己株式の取得や処分に効果を発揮する。
資金取引者(E)と資金取引者(F)とが、経営政策から株式を持ち合うことに合意した場合、本発明における直接交換によって、資金取引者(E)は、自分が既に保有している『資産運用商品の何れか』を譲渡する替わりに、他の資産運用者が既に保有している『資金取引者(F)発行の議決権付き株式』を譲り受け、同様に資金取引者(F)は、自分が既に保有している『資産運用商品の何れか』を譲渡する替わりに、他の資産運用者が既に保有している『資金取引者(E)発行の議決権付き株式』を譲り受けることで、それぞれ手元流動性を取り崩すことなく、効率的に株式を持ち合うことができる。
そして、同様の交換取引により、株式の持合を強化することも可能になる。
資金取引者(G)と資金取引者(H)とが、経営政策から株式の持合を緩和することに合意した場合、本発明における直接交換によって、資金取引者(G)は、自分が既に保有している『資金取引者(H)発行の議決権付き株式』を譲渡する替わりに、他の資産運用者が既に保有している『資産運用商品の何れか』を譲り受け、同様に資金取引者(H)は、自分が既に保有している『資金取引者(G)発行の議決権付き株式』を譲渡する替わりに、他の資産運用者が既に保有している『資産運用商品の何れか』を譲り受けることで、それぞれ手元流動性に影響を与えることなく、効率的に株式の持合を緩和することができる。
そして、同様の交換取引により、株式の持合を解消することも可能になる。
資金取引者(I)が、自社の株価対策や従業員持株会の運営、株式オプション制度の導入などから、自己株式の買入を計画している場合、本発明における直接交換によって、自分が既に保有している『資産運用商品の何れか』を資産運用者へ譲渡する替わりに、該資産運用者が既に保有している『資金取引者(I)発行の議決権付き株式』を譲り受けることで、手元流動性を取り崩すことなく自己株式を取得し、流通市場からの買入と同じ効果を上げることができる。
そして、これとは逆の交換取引により、政策的に保有してきた自己株式を処分することも可能になる。
資金取引者(J)と資金取引者(K)とが、経営政策から株式の持合を解消することに合意し、双方が各自の株価対策や従業員持株会の運営、株式オプション制度の導入などから、自己株式の買入をそれぞれ計画している場合、本発明における直接交換によって、双方は同時に目的を遂げることができる。即ち、資金取引者(J)は、自分が既に保有している『資金取引者(K)発行の議決権付き株式』を譲渡する替わりに、資金取引者(K)が既に保有している『資金取引者(J)発行の議決権付き株式』を譲り受け、同時に、資金取引者(K)は、自分が既に保有している『資金取引者(J)発行の議決権付き株式』を譲渡する替わりに、資金取引者(J)が既に保有している『資金取引者(K)発行の議決権付き株式』を譲り受けることで、それぞれ手元流動性に影響を与えることなく、株式の持合解消と自己株式の取得を効率的に達成して、流通市場における放出・買入と同じ効果を上げることができる。
そして本発明は、各種交換取引により資金流入や資金流出を集中又は分散させることで、将来に渡るキャッシュフローの平準化を可能とする。
資産運用者が、例えば短期の資金流入や長期の資金流入に比して、中期の資金流入が少な過ぎるとの予想を立てている場合、本発明における資産運用商品の直接交換によって、『自分が保有している短期資産運用商品』を譲渡する替わりに『他の資産運用者が保有している中期資産運用商品』を譲り受け、さらに『自分が保有している長期資産運用商品』を譲渡する替わりに『他の資産運用者が保有している中期資産運用商品』を譲り受けることで、短期及び長期の資金流入を一部中期に集中させ、短期から長期に渡り資金流入を平準化することができる。
また、本発明における資産運用商品のキャッシュフロー交換によって、『自分が保有している短期資産運用商品からのキャッシュフロー』を譲渡する替わりに『他の資産運用者が保有している中期資産運用商品からのキャッシュフロー』を譲り受け、さらに『自分が保有している長期資産運用商品からのキャッシュフロー』を譲渡する替わりに『他の資産運用者が保有している中期資産運用商品からのキャッシュフロー』を譲り受けることによっても、同様の経済効果が期待できる。
これとは逆に、資産運用者が、例えば中期の資金流入に比して、短期の資金流入や長期の資金流入が少な過ぎるとの予想を立てている場合、本発明における資産運用商品の直接交換によって、『自分が保有している中期資産運用商品』を譲渡する替わりに『他の資産運用者が保有している短期資産運用商品』を譲り受け、さらに『自分が保有している他の中期資産運用商品』を譲渡する替わりに『他の資産運用者が保有している長期資産運用商品』を譲り受けることで、一部中期の資金流入が短期及び長期に分散され、短期から長期に渡り資金流入を平準化することができる。
また、本発明における資産運用商品のキャッシュフロー交換によって、『自分が保有している中期資産運用商品からのキャッシュフロー』を譲渡する替わりに『他の資産運用者が保有している短期資産運用商品からのキャッシュフロー』を譲り受け、さらに『自分が保有している他の中期資産運用商品からのキャッシュフロー』を譲渡する替わりに『他の資産運用者が保有している長期資産運用商品からのキャッシュフロー』を譲り受けることによっても、同様の経済効果が期待できる。
資金調達者が、例えば中期の資金流出に比して、短期の資金流出や長期の資金流出が多過ぎるとの予想を立てている場合、本発明における資金調達商品のキャッシュフロー交換によって、『他の資金調達者が抱えている中期資金調達商品のキャッシュフロー』を引き受ける替わりに『自分が抱えている短期資金調達商品のキャッシュフロー』を引き渡し、さらに『他の資金調達者が抱えている他の中期資金調達商品のキャッシュフロー』を引き受ける替わりに『自分が抱えている長期資金調達商品のキャッシュフロー』を引き渡すことで、短期及び長期の資金流出を一部中期に集中させ、短期から長期に渡り資金流出を平準化することができる。
これとは逆に、資金調達者が、例えば短期の資金流出や長期の資金流出に比して、中期の資金流出が多過ぎるとの予想を立てている場合、本発明における資金調達商品のキャッシュフロー交換によって、『他の資金調達者が抱えている短期資金調達商品のキャッシュフロー』を引き受ける替わりに『自分が抱えている中期資金調達商品のキャッシュフロー』を引き渡し、さらに『他の資金調達者が抱えている長期資金調達商品のキャッシュフロー』を引き受ける替わりに『自分が抱えている他の中期資金調達商品のキャッシュフロー』を引き渡すことで、一部中期の資金流出が短期及び長期に分散され、短期から長期に渡り資金流出を平準化することができる。
次に本発明は、直接交換を通じた同一資産運用商品の実質的な反対売買によって、収益の確定を可能とする。即ち本発明では、特定の資産運用商品を媒介として直接交換を2回実施することにより、その特定商品に関して取得及び処分と変わらない経済効果が生まれ、資産運用者がキャピタル・ゲインを確定することができる。
資産運用者(L)が、自分の保有している資産運用商品(l)の価値以上に資産運用商品(m)の価値が今後上昇すると予想し、資産運用者(M)が、自分の保有している資産運用商品(m)の価値以上に資産運用商品(l)の価値が今後上昇すると予想している場合、本発明では交換取引が成立する。この結果、資産運用商品(m)を取得した資産運用者(L)は、予想通りの相場展開で、その後、資産運用商品(m)の価値が上昇した場合に資産運用商品(m)を処分しようと試みるが、従来の取引市場が流動性などの問題を抱え、一方で、異なる資産運用商品(n)の価値が今後上昇すると予想できる場合には、資産運用商品(n)を保有している資産運用者(N)と交換取引を行うことが最良の選択肢となる。そして、その資産運用者(N)が、資産運用者(L)とは異なる相場観から、資産運用商品(m)の価値が今後さらに上昇すると予想している場合、本発明では、資産運用者(L)と資産運用者(N)との間で資産運用商品(m)と資産運用商品(n)との交換取引が成立する。この時点で資産運用者(L)は、資産運用者(M)から一旦取得した資産運用商品(m)を実質的な反対売買によって処分したことになり、資産運用商品(m)に関してのキャピタル・ゲインを確定することができる。
さらに本発明は、資産運用商品や資金調達商品のキャッシュフロー交換を通じた果実部分の収益確定を可能とする。即ち資金取引者が、資産運用商品の持高と資金調達商品の持高を同時に抱えている場合、本発明における資産運用商品や資金調達商品のキャッシュフロー交換によって、特定期間のインカム・ゲインを確定することができる。
保有している資産運用商品のキャッシュフローを、抱えている資金調達商品と残存期間が等しい他の資産運用商品のキャッシュフローと交換した場合、該資金調達商品の資金流出と交換後の資産運用商品の資金流入とが相殺され、前者が後者を下回っている状況下で、当該期間のインカム・ゲインを確定することが可能になる。
これとは逆に、抱えている資金調達商品のキャッシュフローを、保有している資産運用商品と残存期間が等しい他の資金調達商品のキャッシュフローと交換した場合は、該資産運用商品の資金流入と交換後の資金調達商品の資金流出とが相殺され、前者が後者を上回っている状況下で、当該期間のインカム・ゲインを確定することが可能になる。
保有している資産運用商品のキャッシュフローを、特定の期間、他の資産運用商品のキャッシュフローと交換し、抱えている資金調達商品のキャッシュフローを、等しい期間、他の資金調達商品のキャッシュフローと交換した場合、交換後の資産運用商品の資金流入と、交換後の資金調達商品の資金流出とが相殺され、前者が後者を上回っている状況下で、当該期間のインカム・ゲインを確定することが可能になる。
また本発明は、評価損益のキャッシュフロー交換を通じた果実部分の収益確定を可能とする。即ち資金取引者が、資産運用商品の評価損益もしくは資金取引商品の評価損益を複数抱えている場合、本発明において、これらの持高を複数のスワップ商品の持高と交換することによって、特定期間のインカム・ゲインを確定することができる。
まず、自分が保有している『資産運用商品の評価損益』もしくは自分が抱えている『資金取引商品の評価損益』を、他の資金取引者が抱えている『固定果実を受け取って変動果実を支払う特定残存期間のスワップ商品の評価損益』とキャッシュフロー交換する。次に、自分が保有している『他の資産運用商品の評価損益』もしくは自分が抱えている『他の資金取引商品の評価損益』を、他の資金取引者が抱えている『前記スワップ商品と元本金額及び残存期間が等しい、固定果実を支払って変動果実を受け取るスワップ商品の評価損益』とキャッシュフロー交換すると、以下の場合に該資金取引者は当該期間のインカム・ゲインを確定することが可能になる。
(a)両者の変動果実が相殺され、前者の固定果実が後者の固定果実を上回っている場合。
(b)両者の固定果実が相殺され、前者の変動果実が後者の変動果実を下回っている場合。
(c)前者の固定果実が後者の固定果実を上回り、且つ前者の変動果実が後者の変動果実を下回っている場合。
(d)前者の変動果実が後者の変動果実を上回っているが、その格差以上に前者の固定果実が後者の固定果実を上回っている場合。
(e)前者の固定果実が後者の固定果実を下回っているが、その格差以上に前者の変動果実が後者の変動果実を下回っている場合。
そして本発明は、資金取引商品の効率的な用途変更を可能にする。
保有している資産運用商品の持高のヘッジを目的に使用してきた資金取引商品が、該資産運用商品の処分又は消滅に伴い不要になった場合、資産運用者は、本発明におけるキャッシュフロー交換により、自分が使用してきた『ヘッジ目的の資金取引商品の持高』を引き渡す替わりに『売買使用が可能な資金取引商品の持高』を他者から引き受けることで、資金取引商品のヘッジ用途から売買用途への迅速な移行が可能になる。
これとは逆に、資産運用商品を新規に保有して持高のヘッジが必要になった場合、資産運用者は、本発明におけるキャッシュフロー交換により、自分が他に抱えている『売買目的の資金取引商品の持高』を引き渡す替わりに『ヘッジ使用が可能な資金取引商品の持高』を他者から引き受けることで、資金取引商品の売買用途からヘッジ用途への迅速な移行が可能になる。
抱えている資金調達商品の持高のヘッジを目的に使用してきた資金取引商品が、該資金調達商品の消滅又は引渡に伴い不要になった場合、資金調達者は、本発明におけるキャッシュフロー交換により、自分が使用してきた『ヘッジ目的の資金取引商品の持高』を引き渡す替わりに『売買使用が可能な資金取引商品の持高』を他者から引き受けることで、資金取引商品のヘッジ用途から売買用途への迅速な移行が可能になる。
これとは逆に、資金調達商品を新規に抱えて持高のヘッジが必要になった場合、資金調達者は、本発明におけるキャッシュフロー交換により、自分が他に抱えている『売買目的の資金取引商品の持高』を引き渡す替わりに『ヘッジ使用が可能な資金取引商品の持高』を他者から引き受けることで、資金取引商品の売買用途からヘッジ用途への迅速な移行が可能になる。
次に本発明は、信用供与に絡み、資産運用の新手法を提供する。
資産運用者が、特定の資金調達者に絡み保有している資産運用商品に関し、運用方針や運用目標の見直しに伴って、より低い運用利回りで構わないため抱える信用リスクをその分低下させたい場合、あるいは逆に、より高い運用利回りを追求したいため抱える信用リスクをその分増大させても構わない場合、優先貸付債権又は優先債券、劣後貸付債権又は劣後債券、優先株式、普通株式、劣後株式などの該資金調達者に絡む資産運用商品を、本発明における直接交換やキャッシュフロー交換によりこれらの範囲内で入れ替えることで、手元流動性に影響を与えることなく、求償順位を効率的に変更することができる。また、同程度の信用リスクを孕んだ他の資金調達者に絡む資産運用商品と、前記資金調達者に絡む上記商品群との間で直接交換やキャッシュフロー交換を行っても、実質的に求償順位を変更できる。
資産運用者が、運用方針や運用目標の確立に伴い、特定の資金調達者に対する信用供与枠を新規設定した場合、本発明における直接交換やキャッシュフロー交換によって、『自分が既に保有している資産運用商品の何れか』を譲渡する替わりに『貸付債権や債券、コマーシャル・ペーパー、預金債権など、該資金調達者に絡み他の資産運用者が既に保有している信用リスク商品』を譲り受けることで、手元流動性を取り崩すことなく、該資金調達者に対する信用供与を効率的に開始することができる。
そして、同様の交換取引により、信用供与を拡大することも可能になる。
資産運用者が、運用方針や運用目標の見直しに伴い、特定の資金調達者に対する信用供与枠を減額した場合、本発明における直接交換やキャッシュフロー交換によって、『該資金調達者に絡み自分が既に保有している信用リスク商品』を譲渡する替わりに『他の資産運用者が既に保有している資産運用商品の何れか』を譲り受けることで、手元流動性に影響を与えることなく、該資金調達者に対する信用供与を効率的に縮小することができる。
そして、同様の交換取引により、信用供与を停止することも可能になる。
さらに本発明は、ファンド型運用商品の運用委託先の選別に絡み、資産運用の新手法を提供する。
資産運用者が、好調な運用実績や評判を基に、証券投資信託や不動産投資信託、商品ファンド、貸付信託、金銭信託など、保有しているファンド型運用商品の運用受託機関を特定の投資信託委託会社や信託銀行などに集中させたい場合、本発明における直接交換やキャッシュフロー交換によって、自分が保有している『排斥したい運用受託機関のファンド型運用商品』を譲渡する替わりに、他の資産運用者が保有している『選好する運用受託機関のファンド型運用商品』を譲り受けることで、手元流動性に影響を与えることなく、運用委託先を特定の機関へ効率的に集中させることができる。
資産運用者が、資産配分の方針や目標の見直しに伴い、保有しているファンド型運用商品の特定の運用受託機関を他の投資信託委託会社や信託銀行などに分散させたい場合、本発明における直接交換やキャッシュフロー交換によって、自分が保有している『特定の運用受託機関のファンド型運用商品』を譲渡する替わりに、他の資産運用者が保有している『様々な運用受託機関のファンド型運用商品』を譲り受けることで、手元流動性に影響を与えることなく、運用委託先を効率的に分散させることができる。
また本発明は、媒介体の運用委託先の選別に絡み、資産運用の新手法を提供する。
資産運用者が、運用委託の方針や目標の確立に伴い、媒介体における運用受託機関として特定の投資顧問会社や保険会社、信託銀行などを任命した場合、本発明における直接交換やキャッシュフロー交換によって、自分が既に保有する『資産運用商品の何れか』を譲渡する替わりに、他の資産運用者が保有する『選好する運用受託機関が運用を担当している媒介体』を譲り受けることで、ポートフォリオを現金持高から構築することなく、特定の機関への運用委託を効率的に開始することができる。
資産運用者が、運用委託の方針や目標の見直しに伴い、保有している媒介体における運用受託機関を特定の投資顧問会社や保険会社、信託銀行などに絞り込みたい場合、本発明における直接交換やキャッシュフロー交換によって、自分が保有する『排斥したい運用受託機関が運用を担当している媒介体』を譲渡する替わりに、他の資産運用者が保有する『選好する運用受託機関が運用を担当している媒介体』を譲り受けることで、ポートフォリオを一旦現金持高にすることなく、運用委託先を特定の機関へ効率的に絞り込むことができる。
資産運用者が、運用委託の方針や目標の見直しに伴い、保有している媒介体における特定の運用受託機関を他の投資顧問会社や保険会社、信託銀行などに開放したい場合、本発明における直接交換やキャッシュフロー交換によって、自分が保有する『特定の運用受託機関が運用を担当している媒介体』を譲渡する替わりに、他の資産運用者が保有する『様々な運用受託機関が運用を担当している媒介体』を譲り受けることで、ポートフォリオを一旦現金持高にすることなく、運用委託先を効率的に開放することができる。
資産運用者が、運用委託の方針や目標の見直しに伴い、保有している媒介体において特定の運用受託機関を解任したい場合、本発明における直接交換やキャッシュフロー交換によって、自分が保有する『特定の運用受託機関が運用を担当している媒介体』を譲渡する替わりに、他の資産運用者が保有する『資産運用商品の何れか』を譲り受けることで、ポートフォリオを現金持高へ戻すことなく、運用委託を効率的に停止することができる。
そして本発明は、不動産運用商品に絡み、資産運用の新手法を提供する。
即ち、資産運用者が、今後の開発又は再開発を目的に、特定の地域全体の土地もしくは特定の複合不動産の総体を取得したい場合、本発明における直接交換によって、『自分が保有している資産運用商品の何れか』を譲渡する替わりに、『該地域において個々の土地所有者が保有している全物件』もしくは『該複合不動産において個々の区分所有者が保有している全物件』を譲り受けることで、又は『自分が保有している資産運用商品の何れか』を譲渡する替わりに、『対象不動産の証券化商品である不動産担保証券の総額又は不動産投資信託の総額』を譲り受けることで、手元流動性を取り崩すことなく、特定の地域全体の土地もしくは特定の複合不動産の総体を直接的又は間接的に取得することができる。
さらに本発明は、資産運用商品の直接交換やキャッシュフロー交換、資金調達商品のキャッシュフロー交換、資金取引商品のキャッシュフロー交換に関して、3者以上の利用者間での同時交換取引を可能とする。
資産運用者(O)が、保有している資産運用商品(o)の処分を希望し、資産運用者(P)が、保有している資産運用商品(p)の処分を、資産運用者(Q)が、保有している資産運用商品(q)の処分を、それぞれ希望しているとする。この際、資産運用者(O)が資産運用商品(p)の取得を希望し、資産運用者(P)が資産運用商品(q)、資産運用者(Q)が資産運用商品(o)の取得をそれぞれ希望して、処分希望と取得希望とが3者間で循環している場合、本システムの運営者は、資産運用者(O)及び資産運用者(P)、資産運用者(Q)の間で資産運用商品の直接交換を同時に成立させることができる。また、本発明は、4者以上の資産運用者間でも、処分希望と取得希望とが循環している場合に、資産運用商品の同時直接交換を可能とする。
資産運用者(R)が『保有している資産運用商品(r)からのキャッシュフロー』の譲渡を希望し、資産運用者(S)が『保有している資産運用商品(s)からのキャッシュフロー』の譲渡を、資産運用者(T)が『保有している資産運用商品(t)からのキャッシュフロー』の譲渡を、それぞれ希望しているとする。この際、資産運用者(R)が『資産運用商品(s)からのキャッシュフロー』の譲受を希望し、資産運用者(S)が『資産運用商品(t)からのキャッシュフロー』、資産運用者(T)が『資産運用商品(r)からのキャッシュフロー』の譲受をそれぞれ希望して、譲渡希望と譲受希望とが3者間で循環している場合、本システムの運営者は、資産運用者(R)及び資産運用者(S)、資産運用者(T)の間で資産運用商品のキャッシュフロー交換を同時に成立させることができる。また、本発明は、4者以上の資産運用者間でも、譲渡希望と譲受希望とが循環している場合に、資産運用商品の同時キャッシュフロー交換を可能とする。
資金調達者(U)が『抱えている資金調達商品(u)のキャッシュフロー』の引渡を希望し、資金調達者(V)が『抱えている資金調達商品(v)のキャッシュフロー』の引渡を、資金調達者(W)が『抱えている資金調達商品(w)のキャッシュフロー』の引渡を、それぞれ希望しているとする。この際、資金調達者(U)が『資金調達商品(v)のキャッシュフロー』の引受を希望し、資金調達者(V)が『資金調達商品(w)のキャッシュフロー』、資金調達者(W)が『資金調達商品(u)のキャッシュフロー』の引受をそれぞれ希望して、引渡希望と引受希望とが3者間で循環している場合、本システムの運営者は、資金調達者(U)及び資金調達者(V)、資金調達者(W)の間で資金調達商品のキャッシュフロー交換を同時に成立させることができる。また、本発明は、4者以上の資金調達者間でも、引受希望と引渡希望とが循環している場合に、資金調達商品の同時キャッシュフロー交換を可能とする。
資金取引者(X)が『抱えている資金取引商品(x)の評価損益』の引渡を希望し、資金取引者(Y)が『抱えている資金取引商品(y)の評価損益』の引渡を、資金取引者(Z)が『抱えている資金取引商品(z)の評価損益』の引渡を、それぞれ希望しているとする。この際、資金取引者(X)が『資金取引商品(y)の評価損益』の引受を希望し、資金取引者(Y)が『資金取引商品(z)の評価損益』、資金取引者(Z)が『資金取引商品(x)の評価損益』の引受をそれぞれ希望して、引渡希望と引受希望とが3者間で循環している場合、本システムの運営者は、資金取引者(X)及び資金取引者(Y)、資金取引者(Z)の間で資金取引商品のキャッシュフロー交換を同時に成立させることができる。また、本発明は、4者以上の資金取引者間でも、引渡希望と引受希望とが循環している場合に、資金取引商品の同時キャッシュフロー交換を可能とする。
また、本発明は、資産運用商品の抱き合わせ交換、資金調達商品の抱き合わせ交換、資金取引商品の抱き合わせ交換、資産運用商品と資金取引商品との抱き合わせ交換、資金調達商品と資金取引商品との抱き合わせ交換、資産運用商品と資金調達商品との抱き合わせ交換、そして資産運用商品及び資金調達商品、資金取引商品の抱き合わせ交換における3者以上の利用者間での同時交換取引を可能とする。
発明を実施するための最良の形態
本発明は金融商品等交換取引システムに関する。即ち、コンピュータネットワークを介して、金融商品及び/又は準金融商品の交換取引市場を創設し、利用者同士が交換取引を成立させることできる。
以下、本発明の実施例として、出品から入札、落札に至る過程を経て交換取引が成立する入札方式の一例を説明する。但し、本発明は持高の解消需要と持高の造成需要との相互マッチングにあり、そのための方式並びにその対象となる商品は、本実施例で説明する入札方式並びに本実施例で挙げる商品に限定されるものではない。
まず、本システムの運営者が、当該サービスを利用したい資産運用者や資金調達者、資金取引者を特定する。これらの利用者は、出品や入札、落札、約定確認、基本合意書の作成・調印、交換取引商品の瑕疵調査や交換取引価額の鑑定評価に関する鑑定評価者とのコミュニケーション、交換契約書の作成・調印、交換差金の決済、現物の授受、交換期間中のキャッシュフローの授受、各種サービス料の受払などを本システム上で行うことができる。
本取引市場における交換希望者には、出品者と入札者の2種類がある。出品者は、本システム上で提供希望商品を出品すると同時に入手希望商品を提示する。一方、入札者は、出品者の提供希望商品が自分の入手希望商品である点、及び、出品者の入手希望商品が自分の提供希望商品である点を確認した上で入札に参加し、交換が成立した段階において落札者と呼ばれる。
各種交換取引において出品者や入札者は、既に抱えている持高を提供希望商品としてもよいし、交換取引を目的に新規造成する予定の持高を提供希望商品としてもよい。
運営者は金融商品等交換取引サーバ(以下、サーバ)を備え、当該サーバは、経路制御装置や専用通信回線を経由して所定のコンピュータネットワークに接続されている。そして、当該サーバ上で本システムが稼働する。資産運用者や資金調達者、資金取引者は、専用通信回線を経由して当該コンピュータネットワークと接続されるクライアント端末を有し、このクライアント端末から本システムへアクセスすることによって、資産運用商品や資金調達商品、資金取引商品の交換取引を成立させることができる。
本サーバは中央演算処理装置などから構成され、各部の制御、情報の転送、種々の演算及び情報の一時的な格納などを行う制御手段、クライアント端末から入力される情報を制御する入力制御手段、当該端末に出力される情報を制御する出力制御手段、並びに各種交換取引に関する情報を記憶する記憶手段を備えている。そしてクライアント端末は、本サーバと接続されて通信を行う。本サーバにクライアント端末が接続されると、制御手段は入力制御手段を介してこの接続を検知し、メインプログラムに従ってクライアント端末を制御する。また、クライアント端末から情報の出力要求が成されると、この制御手段は出力制御手段を介してクライアント端末へ情報の出力を行う。
本サーバとクライアント端末とは、専用通信回線を利用したコンピュータネットワークに接続された構成の他に、公衆電話回線や光ケーブルなどを利用したインターネットを介して接続された構成、その他の通信回線を利用したコンピュータネットワークを介して接続された構成、無線で通信を行えるコンピュータネットワークを介して接続された構成などがある。
また他に、本サーバとクライアント端末とは、無線放送や有線放送の放送網を介し、本サーバと資産運用者、資金調達者、資金取引者の放送受信端末とが情報の送受信を行うことによって本システムを利用できる構成としてもよい。例えば、本サーバで作成したデータを、所定の放送サーバにて放送用データに変換し、電波や通信回線を介して所定のチューナを有する放送受信端末へと送信し、当該チューナにて放送用データを復号することによって、資産運用者や資金調達者、資金取引者が当該データを利用できる。また、これらの利用者が、前記放送受信端末から電波や通信回線を介して、送信したいデータを放送サーバ経由本サーバへ、又は本サーバへ直接送信できる構成としてもよい。
出品者の提供希望商品と入札者の入手希望商品とが一致し、且つ、出品者の入手希望商品と入札者の提供希望商品とが一致して交換が成立した段階で、等価交換の趣旨から、両商品の価額の差は交換差金という形で決済される。
即ち、資産運用商品の現物もしくは総体のキャッシュフローの交換が成立した場合、資産運用商品の評価益の交換が成立した場合、及び資金取引商品の評価益の交換が成立した場合は、『より高額の商品を譲り受けた側即ちより低額の商品を譲渡した側』が、『より低額の商品を譲り受けた側即ちより高額の商品を譲渡した側』に対して差額を交換差金として支払うことで、双方の授受がバランスされる。後者が同意する場合、前者は等しい評価額の他商品で交換差金を代用することができる。
一方、資金調達商品の交換が成立した場合、資産運用商品の評価損の交換が成立した場合、及び資金取引商品の評価損の交換が成立した場合は、『より高額の商品を引き渡した側即ちより低額の商品を引き受けた側』が、『より低額の商品を引き渡した側即ちより高額の商品を引き受けた側』に対して差額を交換差金として支払うことで、双方の授受がバランスされる。後者が同意する場合、前者は等しい評価額の他商品で交換差金を代用することができる。
資産運用商品の現物もしくは総体のキャッシュフローの出品1件、資産運用商品の評価益の出品1件、又は資金取引商品の評価益の出品1件に対して、入札者が複数現われた場合、競争原理が働くことで出品側の希望提供価額が上昇していく。この結果、交換は上昇後の希望提供価額で成立し、この希望提供価額を許容した落札者と出品者との間で交換差金が決済されて、双方の授受がバランスする。
一方、資金調達商品の出品1件、資産運用商品の評価損の出品1件、又は資金取引商品の評価損の出品1件に対して、入札者が複数現われた場合、競争原理が働くことで出品側の希望提供価額が下落していく。この結果、交換は下落後の希望提供価額で成立し、この希望提供価額を許容した落札者と出品者との間で交換差金が決済されて、双方の授受がバランスする。
本発明の実施例における基本合意書とは、落札の約定確認が済んだ段階で、本システムの運営者と出品者とが暫定的に取り交わす契約書、並びに、運営者と落札者とが暫定的に取り交わす契約書を指し、交換契約書とは、商品の瑕疵調査や取引価額の鑑定評価が済んだ段階で、運営者と出品者とが最終的に取り交わす契約書、並びに、運営者と落札者とが最終的に取り交わす契約書を指す。運営者が出品者、落札者と別個に基本合意書や交換契約書を取り交わす理由は、出品者−落札者間の交換取引の匿名性を維持するためである。
尚、双方が合意に達した場合は、出品者と落札者が直接基本合意書や交換契約書を取り交わすことができ、また、基本合意書を取り交わす過程や瑕疵調査・鑑定評価を省略して、約定確認の後、即座に交換契約書を取り交わすことも可能である。
運営者は、クライアント端末上で表示されるスクリーンに、以下のような取引形態別のセクションを設ける。
(a)資産運用商品の直接交換のセクション
該セクションでは、貸付債権や株式、債券、金銭の信託、預金債権などの金融運用商品、土地や建物、複合不動産、不動産担保証券、不動産投資信託などの不動産運用商品といった資産運用商品の出品に対して入札が実施され、出品者と落札者との間で商品の現物が交換される。
(b)資産運用商品のキャッシュフロー交換のセクション
該セクションでは、前記資産運用商品の出品に対して入札が実施され、出品者と落札者との間で商品のキャッシュフローが交換される。
(c)資産運用商品の直接交換・キャッシュフロー交換の折衷セクション
該セクションでは、前記資産運用商品の出品に対して入札が実施され、出品者と落札者との間で、直接交換とキャッシュフロー交換との折衷方式により商品が交換される。
(d)資金調達商品のキャッシュフロー交換のセクション
該セクションでは、借入債務や株式、債券、コマーシャル・ペーパー、預金債務などの資金調達商品の出品に対して入札が実施され、出品者と落札者との間で商品のキャッシュフローが交換される。
(e)資金取引商品のキャッシュフロー交換のセクション
該セクションでは、外国為替商品や金融派生商品、不動産派生商品、現物派生商品などの資金取引商品の出品に対して入札が実施され、出品者と落札者との間で商品のキャッシュフローが交換される。
(f)資産運用商品と資金取引商品とのキャッシュフロー交換のセクション
該セクションでは、前記資産運用商品の出品や前記資金取引商品の出品に対して入札が実施され、出品者と落札者との間で、評価損益を基に商品のキャッシュフローが交換される。
(g)資産・負債の総合管理のセクション
該セクションでは、資産運用商品の直接交換、資産運用商品のキャッシュフロー交換、資金調達商品のキャッシュフロー交換、資金取引商品のキャッシュフロー交換の種々の組み合わせ出品に対して入札が実施され、出品者と落札者との間で商品の現物やキャッシュフローが交換される。
運営者は、最近交換取引が成立した各種商品の名称・銘柄や種類・属性、諸条件、交換期間、交換成立価額、価格商品の場合は交換成立数量などを、また、今後出品が予定されている商品の概要又は詳細を、前記取引形態別のセクションでリアルタイムに表示する。資産運用者や資金調達者、資金取引者は、これらの情報を基に各種交換取引の相場水準や需給バランスを把握し、入札へ参加するタイミングを窺う。尚、成立した交換取引についての詳細は、交換取引の相場水準や需給バランスを本システムの利用者に示すことを目的として公開されるが、交換成立者の個人名・法人名や交換契約の特別条項などの機密情報は基本的に公開されない。
また、運営者は、本システムと伝統的な金融・準金融市場との間で利用者が裁定取引を行うための参考データとして、各種金融・準金融商品の約定価額や気配価額、理論価額などを併せてリアルタイムに表示する。
スクリーン上で交換取引の相場水準を確認して出品を決意したシステム利用者は、提供希望商品の名称・銘柄や種類・属性、諸条件、入手希望商品の名称・銘柄や種類・属性、諸条件、許容できる交換相手の信用力、希望交換価額、価格商品の場合は希望交換数量、希望交換期間、希望する出品期間並びにその自動延長又は早期終了の可否、入札者に対する諸要求などを運営者に告げる。本発明では、提供希望商品のこの段階における情報開示を、出品者による第一次情報開示と呼ぶ。
運営者は、出品者の信用力に問題がないこと、提供希望商品についての告知に虚偽がないこと、希望交換価額が最適な評価方法に基づく公正な評価額であることを証拠書類などで確認して出品を承諾。出品者の個人名・法人名は伏せて、前記商品情報を取引形態別のセクションに表示する。提供希望商品に絡む情報の中には、出品者がぎりぎりまで開示を避けたい機密情報もあるが、基本的に第一次情報開示が充実している程、入札者に安心感を与え、より多くの入札者を招聘することが可能になる。
出品者は運営者へ取引証拠金を振り込み、運営者はそれを出品者別に開設した口座に保管する。取引証拠金の金額は、今回の交換取引における交換希望商品やその希望交換価額、希望交換期間、出品者の信用力、出品者との過去の取引実績などを考慮して運営者が決定する。
前記出品をスクリーン上で確認して入札を決意したシステム利用者は、自分の提供希望商品の名称・銘柄や種類・属性、諸条件、希望交換価額並びに交換差金の希望金額、価格商品の場合は希望交換数量、希望交換期間、希望する入札参加の時期、出品者に対する諸要求などを運営者に告げる。本発明では、提供希望商品のこの段階における情報開示を、入札者による第一次情報開示と呼ぶ。
運営者は、入札者の信用力に問題がないこと、提供希望商品についての告知に虚偽がないこと、希望交換価額が最適な評価方法に基づく公正な評価額であることを証拠書類などで確認して入札を承諾。入札者の個人名・法人名は伏せて、前記商品情報を出品者にフィードバックする。提供希望商品に絡む情報の中には、入札者がぎりぎりまで開示を避けたい機密情報もあるが、基本的に第一次情報開示が充実している程、出品者に安心感を与え、交換の成立する可能性が高まる。
入札者は運営者へ取引証拠金を振り込み、運営者はそれを入札者別に開設した口座に保管する。取引証拠金の金額は、今回の交換取引における交換希望商品やその希望交換価額、希望交換期間、入札者の信用力、入札者との過去の取引実績などを考慮して運営者が決定する。
本発明では、交換希望商品の評価額の大きさや種類・属性などに応じて、一人の出品者に対して複数の入札者がマッチングされる場合、複数の出品者に対して一人の入札者がマッチングされる場合、及び複数の出品者に対して複数の入札者がマッチングされる場合が生じる。即ちこれらの場合には、3者以上の利用者間で交換取引が同時に成立することになる。
また、交換希望商品が複数の資産運用商品である場合、複数の資金調達商品である場合、複数の資金取引商品である場合、もしくは資産運用商品と資金取引商品との抱き合わせである場合、資金調達商品と資金取引商品との抱き合わせである場合、資産運用商品と資金調達商品との抱き合わせである場合、又は資産運用商品及び資金調達商品、資金取引商品の抱き合わせである場合には、それぞれを構成商品に一旦分解して入札を行う方法と、複数商品のキャッシュフローを合成した正味ベースのキャッシュフローを用いて入札を行う方法とがある。
交換希望者[A]が商品[a]の提供を希望し、交換希望者[B]が商品[b]、交換希望者[C]が商品[c]の提供をそれぞれ希望しており、さらに交換希望者[A]が商品[b]の入手を希望し、交換希望者[B]が商品[c]、交換希望者[C]が商品[a]の入手をそれぞれ希望して、提供希望と入手希望とが交換希望者間で循環している場合、本システムの運営者は、3者間の同時交換取引をアレンジすることがある。また、4者以上の交換希望者の間で提供希望と入手希望とが循環している場合にも、同時交換取引を実施することがある。
入札方式において、希望交換価額の算定方法や交換差金の金額、希望交換期間、交換希望商品の合成や分解、交換成立のための追加条件、出品期間や入札参加の時期などに関して、出品者−入札者間の交渉が必要な場合は、出品者−運営者間の交渉及び入札者−運営者間の交渉がこれに代わり、基本的に取引の匿名性が維持される。
交換取引が成立しなかった場合、出品者は時期を変えて同じ提供希望商品を再出品できる。その際は、第一次情報開示の情報量、許容できる取引相手の信用力、希望交換価額、価格商品の場合は希望交換数量、希望交換期間、提供希望商品の合成や分解の方法、交換成立のための諸条件、入手希望商品の名称・銘柄や種類・属性、諸条件などを事前に見直すことになる。
交換取引が成立した場合、運営者は約定確認を出品者、落札者の双方に対して行う。確認がとれた段階で運営者は、運営者−出品者間の基本合意書と運営者−落札者間の基本合意書を作成。それぞれが調印する。運営者は取引形態別のマスター合意書を保有しており、成立した交換取引に応じて該マスター合意書を補正し、それを実際の基本合意書とする。
該基本合意書には、双方の交換成立商品の名称・銘柄や種類・属性、諸条件、交換取引の形態、交換契約の特別条項、交換期間、交換成立価額、価格商品の場合は交換成立数量、交換差金の金額、交換契約書締結までのスケジュール、商品の瑕疵調査や取引価額の鑑定評価の方法、瑕疵調査・鑑定評価を担当する鑑定評価者に関する情報、瑕疵調査・鑑定評価の結果によっては交換契約が変更もしくは無効となる旨、該基本合意書の有効期限などが盛り込まれる。
基本合意書の調印後、交換成立商品の瑕疵調査や交換成立価額の鑑定評価が行われる。これは、出品者や落札者と利益相反にない鑑定評価者が担当し、入札の出発点だった双方の希望交換価額が公正と呼べるものであったこと、交換成立商品が法律的、倫理的、経済的、物理的及び環境的な問題を孕んでいないことなどが確認される。瑕疵調査・鑑定評価の精度を上げるため、希望交換価額の算定根拠や現存する契約書など、交換成立者は自分が提供した商品に絡む全ての情報を鑑定評価者に提出しなくてはならない。本発明では、交換成立商品のこの段階における情報開示を、出品者及び落札者による第二次情報開示と呼ぶ。尚、場合によっては、本システムの運営者が鑑定評価者を兼任することがある。
第二次情報開示に基づく瑕疵調査・鑑定評価の結果、交換成立商品に瑕疵の認められないことや希望交換価額が公正な評価額であったことが確認された段階で、運営者−出品者間の交換契約と運営者−落札者間の交換契約がそれぞれ締結される。その際、出品者と落札者は、交換成立商品の現物の授受や交換差金の決済、期中のキャッシュフロー交換が完了するまで商品を杜撰に管理しない旨を誓約する。尚、交換契約書は、調印済みの基本合意書を補正して使用される。
瑕疵調査・鑑定評価の結果、交換成立商品に瑕疵が認められた場合、又は希望交換価額が不公正な評価額であったことが判明した場合、鑑定評価者は該商品の元来の提供者、その交換相手、及び本システムの運営者にその瑕疵内容又は鑑定評価の結果をフィードバックし、元来の提供者と運営者、該交換相手と運営者が、それぞれ交換成立価額や交換差金の金額、交換期間、交換契約の特別条項などについて再検討を行う。その結果、運営者を仲介に該提供者と該交換相手が合意に達した場合は、基本合意書の内容を補正した上で交換契約を締結し、双方が合意に達しなかった場合は交換成立そのものを白紙に戻すことになる。
交換契約書の調印後、運営者は以下の件などに関して管理業務を行う。
(a)交換成立商品の現物の授受に介在する。
(b)交換成立者間の交換差金の決済を、本システム上の口座振替によって行う。
(c)交換期間中、交換成立者間のキャッシュフローの授受を、本システム上の口座振替によって行う。
尚、運営者自身が交換成立者より受け取るサービス提供料や回線使用料は、交換成立者間でキャッシュフローが本システム経由授受される際にその過程で控除する方法と、交換成立者より別途徴収する方法とがある。また、交換成立者間において、キャッシュフローの受取と支払がタイミング的に一致した場合、運営者はこれらを相殺した上で口座振替を行う。
(d)交換契約に基づく自由処分権などの各種権利の行使や各種義務の履行において、交換成立者間に生じる事務手続きを行う。
(e)交換契約に絡み、双方の交換成立者が法令の遵守、当局への取引報告、一般への情報開示などを適宜行っているか否かを検査する。また、運営者は、必要に応じて、自ら当局への報告や一般への開示などを行う。
(f)交換取引に絡み、リスク管理やキャッシュフロー管理に使えるソフトウエアなどのツールを交換成立者に提供する。
(g)交換期間中、交換当事者が直接的又は間接的に信用リスクをとり合うことになるため、当事者の間に介在する運営者は、信用力格付けや各種財務指標、ビジネスの規模・将来性、市場における認知度などを基に当事者の信用力を把握し、信用力が不十分な場合は、これを補完するため、交換取引の形態や徴収済みの取引証拠金の金額に応じて、現金担保又は債券、株式、受益証券、譲渡性預金、コマーシャル・ペーパーなどの有価証券担保を請求したり、銀行や保険会社、その他保証人などによる保証を要求したりできる。
また、期中、交換取引商品の評価額の変動や、元本・果実の授受の進捗状況などによって、取引相手に対する信用リスクの露出が増減した場合、運営者は、追加担保の請求や追加保証の要求、余剰担保の返還や余剰保証の解除などにより、その都度担保や保証の程度を調節し適正な信用補完を維持する。尚、場合によっては、信用力の不足分を、授受するキャッシュフローの金額に反映させることがある。
それでも、交換成立者が契約不履行に陥った場合、運営者は、その交換相手のために債権の保全・回収や法的手続に関し指導的な役割を果たす。
(h)交換成立者が交換契約を解除する場合や、該契約を第三者へ譲渡する場合などに生じる事務手続きを行う。
(i)鑑定評価料や広告料などの受払を、本システムの当事者間の口座振替によって行う。
交換の成立を円滑に進めるため、出品者や入札者が運営者に告げる希望交換価額は、公正な評価額でなくてはならない。流動性を備えた価格商品の場合、公正な評価額とは市場価額を指し、証券取引所や派生商品取引所、店頭市場、金融機関間市場、不動産会社間市場、電子取引市場などで公表される約定価額や気配価額をいう。
一方、非流動性の価格商品や非価格商品の場合、公正な評価額とは恣意性を排除して合理的に算定される理論価額を指す。理論価額の合理的な算定方法には、類似商品の市場価額に利子率や満期、信用リスクなどの変動要因や個別の商品特性を加味して算定する方法、商品から将来発生するキャッシュフローを利子率などで割り戻して現在価値を算定する方法、市場で認知されている理論値モデルを使用する方法などがある。また、構成部分がそれぞれに市場価額を有している複合商品などの場合には、それらの市場価額を合成して算定する方法がある。
価格商品、非価格商品を問わず、1つの商品に公正な評価額が複数存在する場合、これら複数の評価方法を併用した上で加重平均値などを算定する方法、もしくは、これら複数の評価額の中で最も公正と判断される価額のみを使用する方法により希望交換価額を決定する。
提示される複数の希望交換価額を比較しやすくするために、本システムの運営者は、出品者や入札者がベースの等しい評価方法を採用するよう指導し、交換取引時に運営者へ支払われる交換取引手数料や、交換期間中、持高の維持や権利の行使、義務の履行に要する諸費用、交換終了時に要する諸費用などを予め希望交換価額に含めるか否かといった算定ベースの一本化についても、運営者は指導的な役割を果たす。尚、運営者は、評価額の算定に使えるソフトウエアなどのツールを、本システム上で交換希望者に提供することができる。
本発明では、個々の金融商品や準金融商品の希望交換価額を、例えば以下のような方法で認識又は算定することが可能である。
貸付債権は、債券のように流通市場で売買されている場合、その市場価額をもって希望交換価額とする。非流動性の貸付債権は、その取得価額をもって希望交換価額とすることが可能だが、貸付先の経営状況や財務内容に問題がある場合、信用リスクのランク付けや将来のキャッシュフローの予測などを基に貸倒見積高を算定し、前記取得価額より該貸倒見積高を控除した金額を希望交換価額とする。
普通預金や定期預金、譲渡性預金などの各種預金は、預入金額をもって希望交換価額とすることが可能である。しかし、預入金額が元利保証の上限を超え、預入先である金融機関の経営状況や財務内容に問題がある場合、信用リスクのランク付けや将来のキャッシュフローの予測などを基に、該預金が倒産債権となる見積高を算定し、前記預入価額より該倒産債権見積高を控除した金額を希望交換価額とする。
ファンド型運用商品は、証券投資信託や不動産投資信託、商品ファンドなどに見られる価格商品の場合、市場価額をもって希望交換価額とする。貸付信託や狭義の金銭信託、公社債投資信託などのうち、元本保証や運用方針などによって準預金商品と呼べる商品の場合は、受益権の取得価額をもって希望交換価額とすることが可能である。また媒介体は、基本的にポートフォリオの商品構成や個々の商品の評価額を併せて開示した上で、その運用財産の評価額の総和をもって希望交換価額とする。
非公開株式は、流動性を備えている銘柄の場合、売買が随時行える取引システムなどで公表される約定価額や気配価額を希望交換価額とし、非流動性銘柄の場合は、純資産価額方式や収益力方式、市場株価比較方式などで算定できる理論価額を希望交換価額とする。
純資産価額方式には、帳簿上の純資産価額を用いる簿価純資産法、資産の現在の再調達価格の総和から負債を控除する再調達現価純資産法、資産の現在の売却可能価格の総和から負債を控除する清算価値純資産法などがある。また、収益力方式には、将来の予想利益を資本還元率などで割る収益還元法、将来の予想配当を資本還元率などで割る配当還元法、将来の予想キャッシュフローを資本還元率などで現在価値に割り戻した総和から負債を控除する割引キャッシュフロー法などがある。そして、市場株価比較方式には、配当や利益、純資産価額を照らし合わせて、類似業種に属する複数の上場会社の平均株価から対象会社の株価を算定する類似業種比準法、売上高や利益、純資産価額を照らし合わせて、複数の類似会社の平均株価から対象会社の株価を算定する類似会社比準法などがある。
土地、建物、双方の組み合わせである複合不動産及び区分所有建物は、原価法や取引事例比較法、収益還元法などの評価方法で希望交換価額を算定する。原価法とは不動産の再調達コストを評価額とする方法、取引事例比較法とは他の物件の取引事例に見られる価額を評価額の基準とする方法である。また、ここでいう収益還元法とは、賃料や売却価額といった将来のキャッシュフローを現在価値に割り戻した総和を評価額とする方法である。
一方、不動産を裏付け資産とした貸付債権や不動産担保証券、不動産投資信託の受益権、不動産投資法人が発行する出資証券や投資法人債は、金融運用商品に準じて希望交換価額を算定することができる。
資金調達商品は、将来のキャッシュフローを、信用リスクを加味した利子率などで割り戻して現在価値を算定し、それをもって希望交換価額とすることができる。
外国為替商品や金融派生商品、不動産派生商品、現物派生商品は、上場商品の場合、派生商品取引所や証券取引所で公表される約定値や気配値を用いて評価損益を算定し、それをもって希望交換価額とする。非上場商品の場合は、金融機関間市場、不動産会社間市場や電子取引市場などで公表される約定値や気配値を用いる方法、商品の将来のキャッシュフローを、信用リスクを加味した利子率などで割り戻して現在価値を算定する方法、市場で認知されている理論値モデルを使用する方法などで評価損益を算定し、それをもって希望交換価額とする。
本発明をより詳細に説明するために、添付の図面に従ってこれを説明する。
まず第1図は、資産運用商品の直接交換の一実施例であり、同種の金融運用商品が交換対象である場合を示す。
ここでは、資産運用者1が貸付債権12を保有し、資産運用者2が貸付債権11を保有していたが、直接交換が成立した結果、資産運用者1は貸付債権12を譲渡する替わりに貸付債権11を譲り受け、同時に、資産運用者2は貸付債権11を譲渡する替わりに貸付債権12を譲り受けることができた。
同様に、資産運用者3と資産運用者4とが株式14と株式13とを、資産運用者5と資産運用者6とが債券16と債券15とを、資産運用者7と資産運用者8とが証券投資信託18と証券投資信託17とを、また、資産運用者9と資産運用者10とが預金債権20と預金債権19とを、それぞれ直接交換している。
第2図は、資産運用商品の直接交換の他の実施例であり、異種の金融運用商品が交換対象である場合を示す。
ここでは、資産運用者1が債券15を保有し、資産運用者2が貸付債権11を保有していたが、直接交換が成立した結果、資産運用者1は債券15を譲渡する替わりに貸付債権11を譲り受け、同時に、資産運用者2は貸付債権11を譲渡する替わりに債券15を譲り受けることができた。
同様に、資産運用者3と資産運用者4とが証券投資信託17と株式13とを、資産運用者5と資産運用者6とが株式14と債券16とを、資産運用者7と資産運用者8とが預金債権19と証券投資信託18とを、また、資産運用者9と資産運用者10とが貸付債権12と預金債権20とを、それぞれ直接交換している。
第3図は、資産運用商品の直接交換の他の実施例であり、異種の預金タイプの金融運用商品が交換対象である場合を示す。
ここでは、資産運用者1が貸付信託23を保有し、資産運用者2が定期預金21を保有していたが、直接交換が成立した結果、資産運用者1は貸付信託23を譲渡する替わりに定期預金21を譲り受け、同時に、資産運用者2は定期預金21を譲渡する替わりに貸付信託23を譲り受けることができた。
同様に、資産運用者3と資産運用者4とが公社債投資信託27と譲渡性預金25とを、資産運用者5と資産運用者6とが金銭信託29と公社債投資信託28とを、資産運用者7と資産運用者8とが定期預金22と金銭信託30とを、また、資産運用者9と資産運用者10とが譲渡性預金26と貸付信託24とを、それぞれ直接交換している。
第4図は、資産運用商品の直接交換の他の実施例であり、異種の株式タイプの金融運用商品が交換対象である場合を示す。
ここでは、資産運用者1が株式投資信託の受益権33を保有し、資産運用者2が非公開企業の株式31を保有していたが、直接交換が成立した結果、資産運用者1は株式投資信託の受益権33を譲渡する替わりに非公開企業の株式31を譲り受け、同時に、資産運用者2は非公開企業の株式31を譲渡する替わりに株式投資信託の受益権33を譲り受けることができた。
同様に、資産運用者3と資産運用者4とが資産担保出資証券37とプロジェクト・ファイナンス出資証券35とを、資産運用者5と資産運用者6とが会社型投資信託の出資証券39と資産担保出資証券38とを、資産運用者7と資産運用者8とが非公開企業の株式32と会社型投資信託の出資証券40とを、また、資産運用者9と資産運用者10とがプロジェクト・ファイナンス出資証券36と株式投資信託の受益権34とを、それぞれ直接交換している。
第5図は、資産運用商品の直接交換の他の実施例であり、同一資金調達者からの異種の株式絡み運用商品が交換対象である場合を示す。
ここでは、資産運用者1が転換株式43を保有し、資産運用者2が償還株式41を保有していたが、直接交換が成立した結果、資産運用者1は転換株式43を譲渡する替わりに償還株式41を譲り受け、同時に、資産運用者2は償還株式41を譲渡する替わりに転換株式43を譲り受けることができた。
同様に、資産運用者3と資産運用者4とが転換社債45と転換株式44とを、資産運用者5と資産運用者6とが償還株式42と株式預託証書47とを、資産運用者7と資産運用者8とがワラント債49と転換社債46とを、また、資産運用者9と資産運用者10とが株式預託証書48とワラント債50とを、それぞれ直接交換している。
第6図は、資産運用商品の直接交換の他の実施例であり、同一資金調達者からの求償順位が異なる金融運用商品が交換対象である場合を示す。
ここでは、資産運用者1が劣後貸付債権53を保有し、資産運用者2が優先債券51を保有していたが、直接交換が成立した結果、資産運用者1は劣後貸付債権53を譲渡する替わりに優先債券51を譲り受け、同時に、資産運用者2は優先債券51を譲渡する替わりに劣後貸付債権53を譲り受けることができた。
同様に、資産運用者3と資産運用者4とが劣後株式55と劣後貸付債権54とを、資産運用者5と資産運用者6とが普通株式59と優先株式57とを、資産運用者7と資産運用者8とが優先債券52と普通株式60とを、また、資産運用者9と資産運用者10とが優先株式58と劣後株式56とを、それぞれ直接交換している。
第7図は、資産運用商品の直接交換の他の実施例であり、同種の不動産運用商品が交換対象である場合を示す。
ここでは、資産運用者1が土地62を保有し、資産運用者2が土地61を保有していたが、直接交換が成立した結果、資産運用者1は土地62を譲渡する替わりに土地61を譲り受け、同時に、資産運用者2は土地61を譲渡する替わりに土地62を譲り受けることができた。
同様に、資産運用者3と資産運用者4とが建物64と建物63とを、資産運用者5と資産運用者6とが複合不動産66と複合不動産65とを、資産運用者7と資産運用者8とが不動産担保証券68と不動産担保証券67とを、また、資産運用者9と資産運用者10とが不動産投資信託70と不動産投資信託69とを、それぞれ直接交換している。
第8図は、資産運用商品の直接交換の他の実施例であり、異種の不動産運用商品が交換対象である場合を示す。
ここでは、資産運用者1が建物63を保有し、資産運用者2が土地61を保有していたが、直接交換が成立した結果、資産運用者1は建物63を譲渡する替わりに土地61を譲り受け、同時に、資産運用者2は土地61を譲渡する替わりに建物63を譲り受けることができた。
同様に、資産運用者3と資産運用者4とが不動産投資信託69と建物64とを、資産運用者5と資産運用者6とが不動産担保証券67と複合不動産65とを、資産運用者7と資産運用者8とが土地62と不動産担保証券68とを、また、資産運用者9と資産運用者10とが複合不動産66と不動産投資信託70とを、それぞれ直接交換している。
第9図は、資産運用商品の直接交換の他の実施例であり、同一特別目的会社からの異種の不動産担保商品が交換対象である場合を示す。
ここでは、資産運用者1が特定目的優先貸付債権73を保有し、資産運用者2が特定劣後社債71を保有していたが、直接交換が成立した結果、資産運用者1は特定目的優先貸付債権73を譲渡する替わりに特定劣後社債71を譲り受け、同時に、資産運用者2は特定劣後社債71を譲渡する替わりに特定目的優先貸付債権73を譲り受けることができた。
同様に、資産運用者3と資産運用者4とが転換特定社債77と特定普通株式75とを、資産運用者5と資産運用者6とがワラント特定社債79と転換特定社債78とを、資産運用者7と資産運用者8とが特定劣後社債72とワラント特定社債80とを、また、資産運用者9と資産運用者10とが特定普通株式76と特定目的優先貸付債権74とを、それぞれ直接交換している。
第10図は、資産運用商品の直接交換の他の実施例であり、異業種の商品が交換対象である場合を示す。
ここでは、資産運用者1が建物63を保有し、資産運用者2が貸付債権11を保有していたが、直接交換が成立した結果、資産運用者1は建物63を譲渡する替わりに貸付債権11を譲り受け、同時に、資産運用者2は貸付債権11を譲渡する替わりに建物63を譲り受けることができた。
同様に、資産運用者3と資産運用者4とが土地61と株式13とを、資産運用者5と資産運用者6とが複合不動産65と債券15とを、資産運用者7と資産運用者8とが不動産投資信託69と証券投資信託17とを、また、資産運用者9と資産運用者10とが不動産担保証券67と預金債権19とを、それぞれ直接交換している。
第11図は、資産運用商品の直接交換の他の実施例であり、異種又は異業種のファンド型運用商品や媒介体が交換対象である場合を示す。
ここでは、資産運用者1が指定金外信託83を保有し、資産運用者2が特定金銭信託81を保有していたが、直接交換が成立した結果、資産運用者1は指定金外信託83を譲渡する替わりに特定金銭信託81を譲り受け、同時に、資産運用者2は特定金銭信託81を譲渡する替わりに指定金外信託83を譲り受けることができた。
同様に、資産運用者3と資産運用者4とが不動産投資信託69と指定金外信託84とを、資産運用者5と資産運用者6とが特定金銭信託82と商品ファンド85とを、資産運用者7と資産運用者8とがファンド型私募債券87と不動産投資信託70とを、また、資産運用者9と資産運用者10とが商品ファンド86とファンド型私募債券88とを、それぞれ直接交換している。
第12図は、資産運用商品の直接交換の他の実施例であり、商品を抱き合わせで交換する場合を示す。
ここでは、資産運用者1が『貸付債権11及び債券15』を保有し、資産運用者2が『株式13及び証券投資信託17』を保有していたが、直接交換が成立した結果、資産運用者1は『貸付債権11及び債券15』を抱き合わせで譲渡する替わりに、『株式13及び証券投資信託17』を抱き合わせで譲り受け、同時に、資産運用者2は『株式13及び証券投資信託17』を抱き合わせで譲渡する替わりに、『貸付債権11及び債券15』を抱き合わせで譲り受けることができた。
同様に、資産運用者3と資産運用者4とが『複合不動産65単独』と『不動産担保証券67及び不動産投資信託69の抱き合わせ』とを、また、資産運用者5と資産運用者6とが『証券投資信託18及び不動産投資信託70の抱き合わせ』と『株式14及び土地61、建物63の抱き合わせ』とを、それぞれ直接交換している。
第13図は、資産運用商品の直接交換の他の実施例であり、商品を3者で交換する場合を示す。
左図では、資産運用者1が債券15を保有し、資産運用者2が債券16を保有していたが、直接交換が成立した結果、資産運用者1は債券15を譲渡する替わりに債券16を譲り受け、同時に、資産運用者2は債券16を譲渡する替わりに債券15を譲り受けることができた。
次に、債券16を譲り受けた資産運用者1が債券89を保有する資産運用者3と直接交換を成立させ、その結果、資産運用者1は債券16を譲渡する替わりに債券89を譲り受け、同時に、資産運用者3は債券89を譲渡する替わりに債券16を譲り受けることができた。
左図は2つの段階を経て3者による直接交換が成立しているが、本発明では、これを同時に成立させることも可能である。右図では、資産運用者4が債券90を保有し、資産運用者5が債券91、資産運用者6が債券92をそれぞれ保有していたが、3者による同時直接交換が成立した結果、資産運用者4は債券90を譲渡する替わりに債券92を譲り受け、資産運用者5は債券91を譲渡する替わりに債券90を譲り受け、また、資産運用者6は債券92を譲渡する替わりに債券91を譲り受けることができた。
第14図は、資産運用商品の直接交換における資金の流れと課金の仕組みの一実施例である。
図中▲1▼は、直接交換が成立した結果、資産運用者である出品者94が資産運用者である落札者95へ交換差金を支払う。
▲2▼は、出品者94や落札者95、入札者96、交換希望者97、鑑定評価者98が本システムの運営者93へサービス提供料や回線使用料などを支払う。
▲3▼は、出品者94及び落札者95が鑑定評価者98へ鑑定評価料を支払う。
▲4▼は、広告主99が本システムの運営者93へバナー広告やポップアップ広告掲載のための広告料を支払う。
本実施例における資産運用商品の直接交換のメリットは次の点にある。
まず、新種の裁定取引を可能とする。
一つの例として、資産運用者Aが、自分の保有する資産運用商品aの価値以上に、資産運用商品bの価値が今後上昇すると予想している場合、より高い運用利回りを達成するために、資産運用者Aは資産運用商品aを処分して一旦現金化し、その現金を使用して資産運用商品bその物あるいは資産運用商品bと同等の商品を取得しようと試みる。一方、資産運用者Bが、自分の保有する資産運用商品bの価値以上に、資産運用商品aの価値が今後上昇すると予想している場合、より高い利回りを達成するために、資産運用者Bは資産運用商品bを処分して一旦現金化し、その現金を使用して資産運用商品aその物あるいは資産運用商品aと同等の商品を取得しようと試みる。
本発明は、資産運用商品aの所有権を譲渡する替わりに資産運用商品bの所有権を譲り受けたい資産運用者Aと、資産運用商品bの所有権を譲渡する替わりに資産運用商品aの所有権を譲り受けたい資産運用者Bという、対峙する相場観を持つ資産運用者に現物を直接交換させることで、双方による裁定取引を可能にする。
次に、事業に対する支配の強化や緩和、さらには事業の買収や売却に効果を発揮する。
資産運用者が、経営政策の見直しに伴い、特定の資金調達者に対する支配を強化したい場合、本発明における直接交換によって、自分が既に保有している『資産運用商品の何れか』を譲渡する替わりに、他の資産運用者が既に保有している『該資金調達者発行の議決権付き株式』を譲り受けることで、手元流動性を取り崩すことなく、該資金調達者に対する支配を効率的に強化することができる。
資産運用者が、経営政策の見直しに伴い、特定の資金調達者に対する支配を緩和したい場合、本発明における直接交換によって、自分が既に保有している『該資金調達者発行の議決権付き株式』を譲渡する替わりに、他の資産運用者が既に保有している『資産運用商品の何れか』を譲り受けることで、手元流動性に影響を与えることなく、該資金調達者に対する支配を効率的に緩和することができる。
経営政策の見直しに伴い、資産運用者Wが資金調達者Yに対する支配の強化と資金調達者Zに対する支配の緩和を計画し、これとは逆に、資産運用者Xが資金調達者Zに対する支配の強化と資金調達者Yに対する支配の緩和を計画している場合、本発明における直接交換によって、双方は同時に目的を遂げることができる。
即ち、資産運用者Wは『自分が既に保有している資金調達者Z発行の議決権付き株式』を譲渡する替わりに『資産運用者Xが既に保有している資金調達者Y発行の議決権付き株式』を譲り受け、同時に、資産運用者Xは『自分が既に保有している資金調達者Y発行の議決権付き株式』を譲渡する替わりに『資産運用者Wが既に保有している資金調達者Z発行の議決権付き株式』を譲り受けることで、それぞれ手元流動性に影響を与えることなく、資金調達者Yに対する支配の強化・緩和と資金調達者Zに対する支配の緩和・強化とを効率的に実施することができる。
資産運用者が、経営政策の見直しに伴い、特定の資金調達者を買収したい場合、本発明における直接交換によって、自分が既に保有している『資産運用商品の何れか』を譲渡する替わりに、他の資産運用者が既に保有している『該資金調達者発行の議決権付き株式』を譲り受けることで、手元流動性を取り崩すことなく、該資金調達者を効率的に買収することができる。
資産運用者が、経営政策の見直しに伴い、特定の子会社を売却したい場合、本発明における直接交換によって、自分が既に保有している『該子会社発行の議決権付き株式』を譲渡する替わりに、他の資産運用者が既に保有している『資産運用商品の何れか』を譲り受けることで、手元流動性に影響を与えることなく、該子会社を効率的に売却することができる。
経営政策の見直しに伴い、資産運用者(A)が、自分の子会社(C)の売却と資産運用者(B)の子会社(D)の買収を計画し、これとは逆に、資産運用者(B)が、自分の子会社(D)の売却と資産運用者(A)の子会社(C)の買収を計画している場合、本発明における直接交換によって、双方は同時に目的を遂げることができる。
即ち、資産運用者(A)は『自分の子会社(C)発行の議決権付き株式』を譲渡する替わりに『資産運用者(B)の子会社(D)発行の議決権付き株式』を譲り受け、同時に、資産運用者(B)は『自分の子会社(D)発行の議決権付き株式』を譲渡する替わりに『資産運用者(A)の子会社(C)発行の議決権付き株式』を譲り受けることで、それぞれ手元流動性に影響を与えることなく、子会社(D)の買収・売却と子会社(C)の売却・買収とを効率的に実施することができる。
さらに、株式持合の開始や強化、緩和、解消、自己株式の取得や処分に効果を発揮する。
資金取引者(E)と資金取引者(F)とが、経営政策から株式を持ち合うことに合意した場合、本発明における直接交換によって、資金取引者(E)は、自分が既に保有している『資産運用商品の何れか』を譲渡する替わりに、他の資産運用者が既に保有している『資金取引者(F)発行の議決権付き株式』を譲り受け、同様に資金取引者(F)は、自分が既に保有している『資産運用商品の何れか』を譲渡する替わりに、他の資産運用者が既に保有している『資金取引者(E)発行の議決権付き株式』を譲り受けることで、それぞれ手元流動性を取り崩すことなく、効率的に株式を持ち合うことができる。
そして、同様の交換取引により、株式の持合を強化することも可能になる。
資金取引者(G)と資金取引者(H)とが、経営政策から株式の持合を緩和することに合意した場合、本発明における直接交換によって、資金取引者(G)は、自分が既に保有している『資金取引者(H)発行の議決権付き株式』を譲渡する替わりに、他の資産運用者が既に保有している『資産運用商品の何れか』を譲り受け、同様に資金取引者(H)は、自分が既に保有している『資金取引者(G)発行の議決権付き株式』を譲渡する替わりに、他の資産運用者が既に保有している『資産運用商品の何れか』を譲り受けることで、それぞれ手元流動性に影響を与えることなく、効率的に株式の持合を緩和することができる。
そして、同様の交換取引により、株式の持合を解消することも可能になる。
資金取引者(I)が、自社の株価対策や従業員持株会の運営、株式オプション制度の導入などから、自己株式の買入を計画している場合、本発明における直接交換によって、自分が既に保有している『資産運用商品の何れか』を資産運用者へ譲渡する替わりに、該資産運用者が既に保有している『資金取引者(I)発行の議決権付き株式』を譲り受けることで、手元流動性を取り崩すことなく自己株式を取得し、流通市場からの買入と同じ効果を上げることができる。
そして、これとは逆の交換取引により、政策的に保有してきた自己株式を処分することも可能になる。
資金取引者(J)と資金取引者(K)とが、経営政策から株式の持合を解消することに合意し、双方が各自の株価対策や従業員持株会の運営、株式オプション制度の導入などから、自己株式の買入をそれぞれ計画している場合、本発明における直接交換によって、双方は同時に目的を遂げることができる。即ち、資金取引者(J)は、自分が既に保有している『資金取引者(K)発行の議決権付き株式』を譲渡する替わりに、資金取引者(K)が既に保有している『資金取引者(J)発行の議決権付き株式』を譲り受け、同時に、資金取引者(K)は、自分が既に保有している『資金取引者(J)発行の議決権付き株式』を譲渡する替わりに、資金取引者(J)が既に保有している『資金取引者(K)発行の議決権付き株式』を譲り受けることで、それぞれ手元流動性に影響を与えることなく、株式の持合解消と自己株式の取得を効率的に達成して、流通市場における放出・買入と同じ効果を上げることができる。
また、直接交換を通じた同一資産運用商品の実質的な反対売買によって、収益の確定を可能とする。即ち本発明では、特定の資産運用商品を媒介として直接交換を2回実施することにより、その特定商品に関して取得及び処分と変わらない経済効果が生まれ、資産運用者がキャピタル・ゲインを確定することができる。
資産運用者(L)が、自分の保有している資産運用商品(l)の価値以上に資産運用商品(m)の価値が今後上昇すると予想し、資産運用者(M)が、自分の保有している資産運用商品(m)の価値以上に資産運用商品(l)の価値が今後上昇すると予想している場合、本発明では交換取引が成立する。この結果、資産運用商品(m)を取得した資産運用者(L)は、予想通りの相場展開で、その後、資産運用商品(m)の価値が上昇した場合に資産運用商品(m)を処分しようと試みるが、従来の取引市場が流動性などの問題を抱え、一方で、異なる資産運用商品(n)の価値が今後上昇すると予想できる場合には、資産運用商品(n)を保有している資産運用者(N)と交換取引を行うことが最良の選択肢となる。そして、その資産運用者(N)が、資産運用者(L)とは異なる相場観から、資産運用商品(m)の価値が今後さらに上昇すると予想している場合、本発明では、資産運用者(L)と資産運用者(N)との間で資産運用商品(m)と資産運用商品(n)との交換取引が成立する。この時点で資産運用者(L)は、資産運用者(M)から一旦取得した資産運用商品(m)を実質的な反対売買によって処分したことになり、資産運用商品(m)に関してのキャピタル・ゲインを確定することができる。
そして、不動産運用商品に絡み、資産運用の新手法を提供する。
即ち、資産運用者が、今後の開発又は再開発を目的に、特定の地域全体の土地もしくは特定の複合不動産の総体を取得したい場合、本発明における直接交換によって、『自分が保有している資産運用商品の何れか』を譲渡する替わりに、『該地域において個々の土地所有者が保有している全物件』もしくは『該複合不動産において個々の区分所有者が保有している全物件』を譲り受けることで、又は『自分が保有している資産運用商品の何れか』を譲渡する替わりに、『対象不動産の証券化商品である不動産担保証券の総額又は不動産投資信託の総額』を譲り受けることで、手元流動性を取り崩すことなく、特定の地域全体の土地もしくは特定の複合不動産の総体を直接的又は間接的に取得することができる。
また、3者以上の利用者間での同時交換取引を可能とする。
資産運用者(O)が、保有している資産運用商品(o)の処分を希望し、資産運用者(P)が、保有している資産運用商品(p)の処分を、資産運用者(Q)が、保有している資産運用商品(q)の処分を、それぞれ希望しているとする。この際、資産運用者(O)が資産運用商品(p)の取得を希望し、資産運用者(P)が資産運用商品(q)、資産運用者(Q)が資産運用商品(o)の取得をそれぞれ希望して、処分希望と取得希望とが3者間で循環している場合、本システムの運営者は、資産運用者(O)及び資産運用者(P)、資産運用者(Q)の間で資産運用商品の直接交換を同時に成立させることができる。また、本発明は、4者以上の資産運用者間でも、処分希望と取得希望とが循環している場合に、資産運用商品の同時直接交換を可能とする。
次に第15図は、資産運用商品のキャッシュフロー交換の一実施例であり、異種の金融運用商品が交換対象である場合を示す。
ここでは、資産運用者1が貸付債権11を保有し、資産運用者2が債券15を保有しているが、キャッシュフロー交換が成立した結果、資産運用者1は『貸付債権11からのキャッシュフロー』を譲渡する替わりに『債券15からのキャッシュフロー』を譲り受け、同時に、資産運用者2は『債券15からのキャッシュフロー』を譲渡する替わりに『貸付債権11からのキャッシュフロー』を譲り受けることができた。
同様に、資産運用者3と資産運用者4とが『株式13からのキャッシュフロー』と『証券投資信託17からのキャッシュフロー』とを、資産運用者5と資産運用者6とが『債券16からのキャッシュフロー』と『株式14からのキャッシュフロー』とを、資産運用者7と資産運用者8とが『証券投資信託18からのキャッシュフロー』と『預金債権19からのキャッシュフロー』とを、また、資産運用者9と資産運用者10とが『預金債権20からのキャッシュフロー』と『貸付債権12からのキャッシュフロー』とを、それぞれ交換している。
第16図は、資産運用商品のキャッシュフロー交換の他の実施例であり、異種の不動産運用商品が交換対象である場合を示す。
ここでは、資産運用者1が土地61を保有し、資産運用者2が建物63を保有しているが、キャッシュフロー交換が成立した結果、資産運用者1は『土地61からのキャッシュフロー』を譲渡する替わりに『建物63からのキャッシュフロー』を譲り受け、同時に、資産運用者2は『建物63からのキャッシュフロー』を譲渡する替わりに『土地61からのキャッシュフロー』を譲り受けることができた。
同様に、資産運用者3と資産運用者4とが『建物64からのキャッシュフロー』と『不動産投資信託69からのキャッシュフロー』とを、資産運用者5と資産運用者6とが『複合不動産65からのキャッシュフロー』と『不動産担保証券67からのキャッシュフロー』とを、資産運用者7と資産運用者8とが『不動産担保3証券68からのキャッシュフロー』と『土地62からのキャッシュフロー』とを、また、資産運用者9と資産運用者10とが『不動産投資信託70からのキャッシュフロー』と『複合不動産66からのキャッシュフロー』とを、それぞれ交換している。
第17図は、資産運用商品のキャッシュフロー交換の他の実施例であり、異業種の商品が交換対象である場合を示す。
ここでは、資産運用者1が貸付債権11を保有し、資産運用者2が建物63を保有しているが、キャッシュフロー交換が成立した結果、資産運用者1は『貸付債権11からのキャッシュフロー』を譲渡する替わりに『建物63からのキャッシュフロー』を譲り受け、同時に、資産運用者2は『建物63からのキャッシュフロー』を譲渡する替わりに『貸付債権11からのキャッシュフロー』を譲り受けることができた。
同様に、資産運用者3と資産運用者4とが『株式13からのキャッシュフロー』と『土地61からのキャッシュフロー』とを、資産運用者5と資産運用者6とが『債券15からのキャッシュフロー』と『複合不動産65からのキャッシュフロー』とを、資産運用者7と資産運用者8とが『証券投資信託17からのキャッシュフロー』と『不動産投資信託69からのキャッシュフロー』とを、また、資産運用者9と資産運用者10とが『預金債権19からのキャッシュフロー』と『不動産担保証券67からのキャッシュフロー』とを、それぞれ交換している。
第18図は、資産運用商品のキャッシュフロー交換の他の実施例であり、異種又は異業種のファンド型運用商品や媒介体が交換対象である場合を示す。
ここでは、資産運用者1が特定金銭信託81を保有し、資産運用者2が指定金外信託83を保有しているが、キャッシュフロー交換が成立した結果、資産運用者1は『特定金銭信託81からのキャッシュフロー』を譲渡する替わりに『指定金外信託83からのキャッシュフロー』を譲り受け、同時に、資産運用者2は『指定金外信託83からのキャッシュフロー』を譲渡する替わりに『特定金銭信託81からのキャッシュフロー』を譲り受けることができた。
同様に、資産運用者3と資産運用者4とが『指定金外信託84からのキャッシュフロー』と『不動産投資信託69からのキャッシュフロー』とを、資産運用者5と資産運用者6とが『商品ファンド85からのキャッシュフロー』と『特定金銭信託82からのキャッシュフロー』とを、資産運用者7と資産運用者8とが『不動産投資信託70からのキャッシュフロー』と『ファンド型私募債券87からのキャッシュフロー』とを、また、資産運用者9と資産運用者10とが『ファンド型私募債券88からのキャッシュフロー』と『商品ファンド86からのキャッシュフロー』とを、それぞれ交換している。
第19図は、資産運用商品のキャッシュフロー交換の他の実施例であり、商品のキャッシュフローを抱き合わせで交換する場合を示す。
ここでは、資産運用者1が『株式13及び証券投資信託17』を保有し、資産運用者2が『貸付債権11及び債券15』を保有しているが、キャッシュフロー交換が成立した結果、資産運用者1は『株式13及び証券投資信託17からのキャッシュフロー』を抱き合わせで譲渡する替わりに、『貸付債権11及び債券15からのキャッシュフロー』を抱き合わせで譲り受け、同時に、資産運用者2は『貸付債権11及び債券15からのキャッシュフロー』を抱き合わせで譲渡する替わりに、『株式13及び証券投資信託17からのキャッシュフロー』を抱き合わせで譲り受けることができた。
同様に、資産運用者3と資産運用者4とが、『複合不動産65単独からのキャッシュフロー』と『不動産担保証券67及び不動産投資信託69の抱き合わせからのキャッシュフロー』とを、また、資産運用者5と資産運用者6とが、『株式14及び土地61、建物63の抱き合わせからのキャッシュフロー』と『証券投資信託18及び不動産投資信託70の抱き合わせからのキャッシュフロー』とを、それぞれ交換している。
第20図は、資産運用商品のキャッシュフロー交換の他の実施例であり、商品のキャッシュフローを3者で交換する場合を示す。
左図では、資産運用者1が債券15を保有し、資産運用者2が債券16を保有しているが、キャッシュフロー交換が成立した結果、資産運用者1は『債券15からのキャッシュフロー』を譲渡する替わりに『債券16からのキャッシュフロー』を譲り受け、同時に、資産運用者2は『債券16からのキャッシュフロー』を譲渡する替わりに『債券15からのキャッシュフロー』を譲り受けることができた。
次に、『債券16からのキャッシュフロー』を譲り受けた資産運用者1が、債券89を保有する資産運用者3とキャッシュフロー交換を成立させ、その結果、資産運用者1は『債券16からのキャッシュフロー』を譲渡する替わりに『債券89からのキャッシュフロー』を譲り受け、同時に、資産運用者3は『債券89からのキャッシュフロー』を譲渡する替わりに『債券16からのキャッシュフロー』を譲り受けることができた。
左図は2つの段階を経て3者によるキャッシュフロー交換が成立しているが、本発明では、これを同時に成立させることも可能である。右図では、資産運用者4が債券90を保有し、資産運用者5が債券91、資産運用者6が債券92をそれぞれ保有しているが、3者によるキャッシュフローの同時交換が成立した結果、資産運用者4は『債券90からのキャッシュフロー』を譲渡する替わりに『債券92からのキャッシュフロー』を譲り受け、資産運用者5は『債券91からのキャッシュフロー』を譲渡する替わりに『債券90からのキャッシュフロー』を譲り受け、また、資産運用者6は『債券92からのキャッシュフロー』を譲渡する替わりに『債券91からのキャッシュフロー』を譲り受けることができた。
第21図は、資産運用商品のキャッシュフロー交換の他の実施例であり、異種又は異業種の商品の評価損益を交換する場合を示す。
ここでは、資産運用者1が貸付債権11を保有し、資産運用者2が不動産担保証券67を保有しているが、評価益部分のキャッシュフロー交換が成立した結果、資産運用者1は貸付債権11の評価益を譲渡する替わりに不動産担保証券67の評価益を譲り受け、同時に、資産運用者2は不動産担保証券67の評価益を譲渡する替わりに貸付債権11の評価益を譲り受けることができた。
同様に、資産運用者3と資産運用者4とが株式13の評価損と複合不動産65の評価損とを、資産運用者5と資産運用者6とが証券投資信託17の評価益と不動産投資信託69の評価益とを、資産運用者7と資産運用者8とが特定金銭信託81の評価損と指定金外信託83の評価損とを、また、資産運用者9と資産運用者10とがファンド型私募債券87の評価益と商品ファンド85の評価益とを、それぞれキャッシュフロー交換している。
第22図は、資産運用商品のキャッシュフロー交換における資金の流れと課金の仕組みの一実施例である。
図中▲2▼は、資産運用者である出品者94や資産運用者である落札者95、入札者96、交換希望者97、鑑定評価者98が本システムの運営者93へサービス提供料や回線使用料などを支払う。
▲3▼は、出品者94及び落札者95が鑑定評価者98へ鑑定評価料を支払う。
▲4▼は、広告主99が本システムの運営者93へバナー広告やポップアップ広告掲載のための広告料を支払う。
▲5▼は、キャッシュフロー交換が成立した結果、出品者94と落札者95との間で、交換差金や資産運用商品のキャッシュフローの授受が行われる。
▲6▼は、出品者94及び落札者95が資産運用商品から受け取っている既存のキャッシュフローである。
本実施例における資産運用商品のキャッシュフロー交換のメリットは次の点にある。
まず、新種の裁定取引を可能とする。即ち資産運用者は、資産運用商品の現物を直接交換するのではなく、保有を続けながらキャッシュフローを交換することによっても、処分を希望していた資産運用商品を実質的に処分でき、同時に、取得を希望していた資産運用商品を実質的に取得できる。
本発明における資産運用商品のキャッシュフロー交換には、例えば以下のような取引形態がある。
(a)貸付債権や債券、コマーシャル・ペーパー、一部預金債権、一部ファンド型運用商品、一部媒介体など、一般的に満期の存在する資産運用商品がそのまま満期を迎えることを前提として、当該商品の残存期間の資金流入、即ち元本や果実のキャッシュフローを交換する方法。
(b)一般的に満期が存在する前記商品に残存期間より短い特定の期間を設定して、その間の資金流入、即ち果実のみのキャッシュフローを交換する方法。
(c)一般的に満期が存在する前記商品に関し自由処分権を行使することを前提として、当該商品を処分するまでの期間の資金流入、即ち元本や果実のキャッシュフローを交換する方法。この取引形態では、交換成立時に対象商品の自由処分権も交換される。
(d)土地や建物、複合不動産、株式、一部預金債権、一部ファンド型運用商品、一部媒介体など、一般的に満期が存在しない資産運用商品に関し自由処分権を行使することを前提として、当該商品を処分するまでの期間の資金流入、即ち元本や果実のキャッシュフローを交換する方法。この取引形態では、交換成立時に対象商品の自由処分権も交換される。
(e)一般的に満期が存在しない前記商品に特定の期間を設定して、その間の資金流入、即ち果実のみのキャッシュフローを交換する方法。
上記取引形態の内、自由処分権の行使を伴う(c)及び(d)は、交換期間中、対象商品の『キャッシュフローの譲受人』が当該商品の自由処分権を行使した場合、この処分行為を市場で執行する者は当該商品の名目上の保有者である『キャッシュフローの譲渡人』であるため、処分代金は後者が一旦受け取ることになるが、後者がこれを当該商品の実質的な所有者である前者へと支払うことにより、当該商品に関しての取引が終了する。
一方、自由処分権の行使を伴わない(a)、(b)及び(e)は、自分が保有する資産運用商品の現物を以下のような理由から現在処分できないが、他の資産運用者が保有する資産運用商品のキャッシュフローは享受したい場合などに有効である。
(1)資金調達者に対する営業政策上、自分が保有する貸付債権や債券、コマーシャル・ペーパーを現在処分できない。
(2)議決権を保持したいため、自分が保有する株式を現在処分できない。
(3)対抗要件の取得が煩雑であるため、自分が保有する預金債権を現在譲渡できない。
(4)抵当権が既に設定されているため、自分が保有する土地や建物、複合不動産を現在処分できない。
(5)流動性が低いため、自分が保有するファンド型運用商品を現在処分できない。
(6)運用委託先や管理会社に対する政策上、あるいは再設定に要するコストや事務手続きなどの理由で、自分が保有する媒介体を現在処分できない。
次に、資産運用商品の評価益部分のキャッシュフロー交換を通じた新種の裁定取引を可能とする。即ち、本発明における資産運用商品のキャッシュフロー交換には、商品全体の評価額を基にした交換取引に加え、商品の評価益部分のみの評価額を基にした交換取引が含まれる。
一つの例として、資産運用者Cが保有している資産運用商品cの評価額が1000であり、その構成が簿価800、評価益200であるとする。一方、資産運用者Dが保有している資産運用商品dの評価額が1500であり、その構成が簿価1300、評価益200であるとする。資産運用者Cは、資産運用商品cの評価益以上に資産運用商品dの評価益が今後増加すると予想しており、資産運用者Dは、資産運用商品dの評価益以上に資産運用商品cの評価益が今後増加すると予想している。この場合、本発明では、評価益部分に関し資産運用者Cと資産運用者Dとの間で交換取引が可能となる。
資産運用者Cは、資産運用商品c全体の自由処分権と資産運用商品cの評価益部分の所有権を譲渡する替わりに、資産運用商品d全体の自由処分権と資産運用商品dの評価益部分の所有権を譲り受け、同時に資産運用者Dは、資産運用商品d全体の自由処分権と資産運用商品dの評価益部分の所有権を譲渡する替わりに、資産運用商品c全体の自由処分権と資産運用商品cの評価益部分の所有権を譲り受ける。この際、資産運用商品cの簿価部分の所有権は引き続き資産運用者Cに属し、資産運用商品dの簿価部分の所有権は引き続き資産運用者Dに属する。
即ち、資産運用者Cは資産運用商品cの簿価相当額の価値を確保した上で、資産運用商品dの評価益の増減について市場リスクをとり、資産運用者Dは資産運用商品dの簿価相当額の価値を確保した上で、資産運用商品cの評価益の増減について市場リスクをとることが可能になる。尚、資産運用商品cの果実部分のキャッシュフローは引き続き資産運用者Cに帰属させ、資産運用商品dの果実部分のキャッシュフローは引き続き資産運用者Dに帰属させることができる。
交換期間中、資産運用者Cが自由処分権を行使して資産運用商品dを処分した場合、その処分価額のうち、資産運用者Dが所有している簿価部分についてのキャッシュフローは資産運用者Dに帰属し、資産運用者Cが所有している評価益部分についてのキャッシュフローは資産運用者Cに帰属する。また、処分時に資産運用商品dの評価益が評価損に転じていた場合は、処分価額のうち該評価損相当額が資産運用者Cに帰属する。即ち、資産運用者Cは評価損相当額を資産運用者Dへ支払うことで該評価損が実現損に変わり、資産運用者Dは簿価相当額を確保できることになる。
一方、資産運用者Dが自由処分権を行使して資産運用商品cを処分した場合、その処分価額のうち、資産運用者Cが所有している簿価部分についてのキャッシュフローは資産運用者Cに帰属し、資産運用者Dが所有している評価益部分についてのキャッシュフローは資産運用者Dに帰属する。また、処分時に資産運用商品cの評価益が評価損に転じていた場合は、処分価額のうち該評価損相当額が資産運用者Dに帰属する。即ち、資産運用者Dは評価損相当額を資産運用者Cへ支払うことで該評価損が実現損に変わり、資産運用者Cは簿価相当額を確保できることになる。
さらに、資産運用商品の評価損部分のキャッシュフロー交換を通じた新種の裁定取引を可能とする。即ち、本発明では、評価損をマイナスの評価益と見なすことで、資産運用商品の評価損部分を交換することができる。
一つの例として、資産運用者Eが保有している資産運用商品eの評価額が1000であり、その構成が簿価1200、評価損200であるとする。一方、資産運用者Fが保有している資産運用商品fの評価額が1500であり、その構成が簿価1700、評価損200であるとする。資産運用者Eは、資産運用商品eの評価損以上に資産運用商品fの評価損が今後減少し、場合によっては資産運用商品fが評価益に転じると予想しており、資産運用者Fは、資産運用商品fの評価損以上に資産運用商品eの評価損が今後減少し、場合によっては資産運用商品eが評価益に転じると予想している。この場合、本発明では、評価損部分に関し資産運用者Eと資産運用者Fとの間で交換取引が可能となる。
資産運用者Eは、資産運用商品e全体の自由処分権を譲渡して資産運用商品eの評価損を引き渡す替わりに、資産運用商品f全体の自由処分権を譲り受けて資産運用商品fの評価損を引き受けることになり、同時に資産運用者Fは、資産運用商品f全体の自由処分権を譲渡して資産運用商品fの評価損を引き渡す替わりに、資産運用商品e全体の自由処分権を譲り受けて資産運用商品eの評価損を引き受けることになる。
これで評価損がそれぞれ相手方へ移転し、交換取引上、資産運用者Eは資産運用商品eの簿価相当額の価値を回復し、資産運用者Fは資産運用商品fの簿価相当額の価値を回復したと見なすことができる。即ち、資産運用者Eは資産運用商品eの簿価相当額の価値を確保した上で、資産運用商品fの評価損の増減について市場リスクをとり、資産運用者Fは資産運用商品fの簿価相当額の価値を確保した上で、資産運用商品eの評価損の増減について市場リスクをとることが可能になる。尚、資産運用商品eの果実部分のキャッシュフローは引き続き資産運用者Eに帰属させ、資産運用商品fの果実部分のキャッシュフローは引き続き資産運用者Fに帰属させることができる。
交換期間中、資産運用者Eが自由処分権を行使して資産運用商品fを処分した場合、概念的には、その処分価額のうち、資産運用者Fが所有している簿価部分についてのキャッシュフローは資産運用者Fに帰属し、資産運用者Eが所有している評価損部分についてのキャッシュフローは資産運用者Eに帰属する。即ち、資産運用者Eは評価損相当額を資産運用者Fへ支払うことで該評価損が実現損に変わり、資産運用者Fは簿価相当額を確保できることになる。また、処分時に資産運用商品fの評価損が評価益に転じていた場合、資産運用者Eは実現益を享受できることになる。
一方、資産運用者Fが自由処分権を行使して資産運用商品eを処分した場合、概念的には、その処分価額のうち、資産運用者Eが所有している簿価部分についてのキャッシュフローは資産運用者Eに帰属し、資産運用者Fが所有している評価損部分についてのキャッシュフローは資産運用者Fに帰属する。即ち、資産運用者Fは評価損相当額を資産運用者Eへ支払うことで該評価損が実現損に変わり、資産運用者Eは簿価相当額を確保できることになる。また、処分時に資産運用商品eの評価損が評価益に転じていた場合、資産運用者Fは実現益を享受できることになる。
本発明のキャッシュフロー交換における評価損益とは、基本的に『保有している商品の総体の評価額』から『該商品の会計上の簿価もしくは取得価額』を差し引いた金額をいう。但し、交換取引者が機密保持を理由に開示を避けたい場合などにおいては、『保有している商品の総体の評価額』から『自己申告に基づく簿価もしくは取得価額』を差し引いた金額で構わない。即ち、本発明における評価損益は、必ずしも会計上の数値を意味しない。
また、評価損益部分のキャッシュフロー交換を通じた空売り商品の新種の裁定取引を可能とする。即ち、本発明の評価損益の交換は、空売りされている資産運用商品の持高も対象になる。
一つの例として、資産運用者Gが空売りしている資産運用商品gの評価益が200であり、その算定根拠が売付価額1000、商品の評価額800であるとする。一方、資産運用者Hが空売りしている資産運用商品hの評価益も200であり、その算定根拠が売付価額1300、商品の評価額1100であるとする。資産運用者Gは、資産運用商品g以上に資産運用商品hの価格が今後下落する、即ち資産運用商品gの評価益以上に資産運用商品hの評価益が今後増加すると予想しており、一方、資産運用者Hは、資産運用商品h以上に資産運用商品gの価格が今後下落する、即ち資産運用商品hの評価益以上に資産運用商品gの評価益が今後増加すると予想している。この場合、本発明では、評価益に関し資産運用者Gと資産運用者Hとの間で交換取引が可能となる。
資産運用者Gは、資産運用商品gを買い戻す権利と資産運用商品gの評価益の所有権を譲渡する替わりに、資産運用商品hを買い戻す権利と資産運用商品hの評価益の所有権を譲り受け、同時に資産運用者Hは、資産運用商品hを買い戻す権利と資産運用商品hの評価益の所有権を譲渡する替わりに、資産運用商品gを買い戻す権利と資産運用商品gの評価益の所有権を譲り受ける。この際、資産運用者Gは資産運用商品hの売付価額が固定された上で、資産運用商品hの評価益の増減について市場リスクをとり、資産運用者Hは資産運用商品gの売付価額が固定された上で、資産運用商品gの評価益の増減について市場リスクをとることが可能になる。
交換期間中、資産運用者Gが権利を行使して資産運用商品hを買い戻した場合、実現した資産運用商品hの実現益についてのキャッシュフローは資産運用者Gに帰属し、資産運用者Hが権利を行使して資産運用商品gを買い戻した場合、実現した資産運用商品gの実現益についてのキャッシュフローは資産運用者Hに帰属する。また、資産運用商品hを買い戻す時点で評価益が評価損に転じていた場合、その実現損は資産運用者Gに帰属し、資産運用商品gを買い戻す時点で評価益が評価損に転じていた場合、その実現損は資産運用者Hに帰属することになる。
ところで一つの例として、資産運用者Iが空売りしている資産運用商品iの評価損が200であり、その算定根拠が売付価額1000、商品の評価額1200であるとする。一方、資産運用者Jが空売りしている資産運用商品jの評価損も200であり、その算定根拠が売付価額1300、商品の評価額1500であるとする。資産運用者Iは、資産運用商品i以上に資産運用商品jの評価額が今後下落する、即ち資産運用商品iの評価損以上に資産運用商品jの評価損が今後減少し、場合によっては資産運用商品jが評価益に転じると予想しており、一方、資産運用者Jは、資産運用商品j以上に資産運用商品iの評価額が今後下落する、即ち資産運用商品jの評価損以上に資産運用商品iの評価損が今後減少し、場合によっては資産運用商品iが評価益に転じると予想している。この場合、本発明では、評価損に関し資産運用者Iと資産運用者Jとの間で交換取引が可能となる。
資産運用者Iは、資産運用商品iを買い戻す権利を譲渡して資産運用商品iの評価損を引き渡す替わりに、資産運用商品jを買い戻す権利を譲り受けて資産運用商品jの評価損を引き受けることになり、同時に資産運用者Jは、資産運用商品jを買い戻す権利を譲渡して資産運用商品jの評価損を引き渡す替わりに、資産運用商品iを買い戻す権利を譲り受けて資産運用商品iの評価損を引き受けることになる。この際、資産運用者Iは資産運用商品jの売付価額が固定された上で、資産運用商品jの評価損の増減について市場リスクをとり、資産運用者Jは資産運用商品iの売付価額が固定された上で、資産運用商品iの評価損の増減について市場リスクをとることが可能になる。
交換期間中、資産運用者Iが権利を行使して資産運用商品jを買い戻した場合、資産運用商品jの実現損は資産運用者Iに帰属し、資産運用者Jが権利を行使して資産運用商品iを買い戻した場合、資産運用商品iの実現損は資産運用者Jに帰属する。しかし、資産運用商品jを買い戻す時点で評価損が評価益に転じていた場合、資産運用者Iは実現益を享受でき、資産運用商品iを買い戻す時点で評価損が評価益に転じていた場合、資産運用者Jは実現益を享受できることになる。
本発明において、空売り商品のキャッシュフロー交換における評価損益とは、基本的に『商品の会計上の売付価額』から『該商品の評価額』を差し引いた金額をいう。但し、交換取引者が機密保持を理由に開示を避けたい場合などにおいては、『商品の自己申告に基づく売付価額』から『該商品の評価額』を差し引いた金額で構わない。即ち、本発明において空売り商品の評価損益は、必ずしも会計上の数値を意味しない。
そして、3者以上の利用者間での同時交換取引を可能とする。
資産運用者(R)が『保有している資産運用商品(r)からのキャッシュフロー』の譲渡を希望し、資産運用者(S)が『保有している資産運用商品(s)からのキャッシュフロー』の譲渡を、資産運用者(T)が『保有している資産運用商品(t)からのキャッシュフロー』の譲渡を、それぞれ希望しているとする。この際、資産運用者(R)が『資産運用商品(s)からのキャッシュフロー』の譲受を希望し、資産運用者(S)が『資産運用商品(t)からのキャッシュフロー』、資産運用者(T)が『資産運用商品(r)からのキャッシュフロー』の譲受をそれぞれ希望して、譲渡希望と譲受希望とが3者間で循環している場合、本システムの運営者は、資産運用者(R)及び資産運用者(S)、資産運用者(T)の間で資産運用商品のキャッシュフロー交換を同時に成立させることができる。また、本発明は、4者以上の資産運用者間でも、譲渡希望と譲受希望とが循環している場合に、資産運用商品の同時キャッシュフロー交換を可能とする。
さらに第23図は、直接交換とキャッシュフロー交換との折衷方式による資産運用商品の交換の一実施例であり、異業種の商品が交換対象である場合を示す。
ここでは、資産運用者1が貸付債権11を保有し、資産運用者2が建物63を保有していたが、キャッシュフロー交換と直接交換との折衷方式による交換が成立した結果、資産運用者1は、貸付債権11からのキャッシュフローを譲渡する替わりに建物63を直接譲り受け、同時に資産運用者2は、建物63を直接譲渡する替わりに貸付債権11からのキャッシュフローを譲り受けることができた。
同様に、資産運用者3と資産運用者4とが土地61からのキャッシュフローと株式13の現物とを、資産運用者5と資産運用者6とが債券15からのキャッシュフローと複合不動産65の現物とを、資産運用者7と資産運用者8とが不動産投資信託69からのキャッシュフローと証券投資信託17の現物とを、また、資産運用者9と資産運用者10とが預金債権19からのキャッシュフローと不動産担保証券67の現物とを、それぞれキャッシュフロー交換と直接交換との折衷方式によって交換している。
第24図は、直接交換とキャッシュフロー交換との折衷方式による資産運用商品の交換における資金の流れと課金の仕組みの一実施例である。
図中▲1▼は、交換取引が成立した結果、資産運用者である落札者95が資産運用者である出品者94へ交換差金を支払う。
▲2▼は、出品者94や落札者95、入札者96、交換希望者97、鑑定評価者98が本システムの運営者93へサービス提供料や回線使用料などを支払う。
▲3▼は、出品者94及び落札者95が鑑定評価者98へ鑑定評価料を支払う。
▲4▼は、広告主99が本システムの運営者93へバナー広告やポップアップ広告掲載のための広告料を支払う。
▲5▼は、交換取引が成立した結果、出品者94が落札者95へ資産運用商品のキャッシュフローを提供する。
▲6▼は、出品者94が資産運用商品から受け取っている既存のキャッシュフローである。
本実施例において、直接交換とキャッシュフロー交換との折衷方式による資産運用商品の交換は、商品を直接交換したい資産運用者と、商品のキャッシュフローを交換したい資産運用者との間で新種の裁定取引を可能とする。
一つの例として、資産運用者Kが、自分の保有する資産運用商品kの価値以上に資産運用商品lの価値が今後上昇すると予想して、資産運用商品kと資産運用商品lとの直接交換を希望し、且つ、資産運用者Lが、自分の保有する資産運用商品lの価値以上に資産運用商品kの価値が今後上昇すると予想して、資産運用商品kと資産運用商品lとのキャッシュフロー交換を希望している場合、本発明では直接交換とキャッシュフロー交換との折衷方式を用いることが可能である。資産運用者Kは、資産運用商品kの現物を譲渡する替わりに資産運用商品lより生じるキャッシュフローを受け取る権利を譲り受け、同時に資産運用者Lは、資産運用商品lより生じるキャッシュフローを受け取る権利を譲渡する替わりに資産運用商品kの現物を譲り受けることで、両者が妥協点を見出せることになる。
ところで、本実施例において、資産運用商品の直接交換とキャッシュフロー交換の共通のメリットは次の点にある。
まず、裁定取引を繰り返すことにより、資産運用者が自分の持高を漸次有利なものにしていくことができる。即ち、交換相手以上に交換相手の持高を適正に評価でき、該持高の今後の価値の変化について交換相手以上に適切な相場観を構築できれば、交換取引を重ねることで、資産運用商品におけるより高い運用利回りを漸次達成していくことが可能になる。そして、本システムにおける交換取引を、伝統的な金融・準金融市場との裁定取引に利用しても、同様の経済効果を享受することができる。
次に、資産運用者は、自分が保有している資産運用商品の持高を他の資産運用商品の持高と入れ替える場合、これまでは、前者を売却又は解約、償還するために、売付手数料又は解約手数料、償還手数料、委託・仲介手数料、その他の諸費用を仲介者などへ支払い、後者を購入又は契約するために、買付手数料又は契約手数料、委託・仲介手数料、その他の諸費用を改めて仲介者などへ支払わなくてはならなかった。
本発明では、前者の処分時又は消滅時と後者の取得時に発生する各種手数料やその他の諸費用を交換取引によって節約できるため、資産運用者がより高い運用利回りを達成できる。
さらに、複数の資産運用商品の持高を抱き合わせで入れ替えることが可能であるため、資産ポートフォリオの再構築に伴う各種手数料やその他の諸費用を節約することができる。例えば、マクロ経済を景気後退期と捉える場合には、貸付債権や債券などの金利商品へとポートフォリオを再構築し、景気回復への移行期と考える場合には株式や株式投資信託などへの入れ替え、景気過熱時のインフレ懸念台頭期には不動産運用商品や商品ファンドなどへの入れ替え需要がそれぞれ生じてくるが、本発明では、相場観が入り乱れるこれら景気の節目に、各種資産運用商品を抱き合わせて交換取引することによって、ポートフォリオ全体の資産配分を効率的に変更することが可能となる。
資産運用者が、保有している貸付債権や不動産などを証券化する場合、これらの資産を直接又は信託受益権化して特別目的会社へ譲渡し、該特別目的会社が資産担保証券を投資家向けに発行する方式が一般的である。この仕組みでは、信託手数料や引受・販売手数料、委託・仲介手数料、信用補完や流動性補完のためのコスト・手数料、譲渡資産の管理・回収手数料、その他の諸費用が生じ、これが譲渡資産の価値の目減りを引き起こしている。また、資産の原保有者である前記資産運用者が、証券化後の譲渡代金で新規に資産を取得する場合は、買付手数料や契約手数料、委託・仲介手数料、その他の諸費用を改めて仲介者などへ支払わなくてはならなかった。
本発明では、交換取引によって既存の資産の譲渡と新規の資産の取得が同時に行えるため、各種手数料やその他の諸費用を節約でき、資産運用者がより高い運用利回りを達成できる。
さらに、資産運用者は、自分が保有している資産運用商品の持高を他の資産運用商品の持高と入れ替える場合、これまでは、前者を売却又は解約、償還することで、あるいは前者の満期を待つことで一旦現金持高とし、それから新たに後者を購入又は契約しなくてはならなかった。
本発明では、前者の処分又は消滅と後者の取得との間に生じる時間を交換取引によって節約できるため、その間に相場水準が変わってしまう市場リスクを回避できる。
さらに、複数の資産運用商品の持高を抱き合わせで入れ替えることが可能であるため、個別に商品を入れ替える場合と比べ、資産ポートフォリオの再構築に伴う市場リスクが減少する。例えば、相場観が入り乱れる景気の節目に、各種資産運用商品を抱き合わせて交換取引することによって、ポートフォリオ全体の資産配分を迅速に変更することが可能となる。
入れ替える資産運用商品の持高が大きい場合、資産運用者は、保有している商品を市場で処分する過程において自ら市場価額を引き下げてしまい、処分が完了した段階で不本意な平均処分価額になることが多かった。これとは逆に、欲している商品を市場で取得する過程においては自ら市場価額を引き上げてしまい、取得が完了した段階で不本意な平均取得価額になることが多かった。本発明では、資産運用者が交換取引によって持高を入れ替えるため、自分の処分行為や取得行為が市場の需給バランスに影響を与えて運用利回りが低下することを回避できる。
また、本発明では、特定金銭信託や指定金外信託、運用有価証券信託、投資子会社株式、ファンド型私募債券など、媒介体その物の交換取引によって、資産運用商品や資金取引商品を含む資産ポートフォリオの総体を交換することができるようになる。構成商品を個別に入れ替える場合とは異なり、媒介体の交換取引では資産ポートフォリオの全面的な再構築に伴う各種手数料やその他の諸費用を節約でき、また、そのために要する時間を短縮できることから、市場リスクを減少させることが可能になる。
そして、資産運用商品は、その取引市場が金融運用商品と不動産運用商品とで大きくセグメント化され、それらがさらに商品毎に細分化されていることから、処分需要と取得需要との間に不均衡が生じて商品の流動性が不十分になりやすかった。事業法人が発行する債券、中小企業や非公開企業の株式、貸付債権、土地・建物などは、一旦取得してから処分しようにも市場価額が低く抑えられ、無理な処分が運用利回りの低下を招く傾向が強かった。本発明では、同種商品間のみならず、異種商品間、異業種商品間で資産運用商品を直接交換できるため、選択肢が広がることで処分需要と取得需要との間の不均衡が是正され、運用利回りを低下させることなく商品を処分することが可能になる。
また、営業政策や経営政策、事務手続きの煩雑さやそのコストなどを理由に、保有している資産運用商品を現在処分することが困難な場合でも、本発明では、キャッシュフロー交換を用いることにより、直接交換同様、実質的に流動性を向上できる。
次に、資産運用者が、例えば短期の資金流入や長期の資金流入に比して、中期の資金流入が少な過ぎるとの予想を立てている場合、本発明における資産運用商品の直接交換によって、『自分が保有している短期資産運用商品』を譲渡する替わりに『他の資産運用者が保有している中期資産運用商品』を譲り受け、さらに『自分が保有している長期資産運用商品』を譲渡する替わりに『他の資産運用者が保有している中期資産運用商品』を譲り受けることで、短期及び長期の資金流入を一部中期に集中させ、短期から長期に渡り資金流入を平準化することができる。
また、本発明における資産運用商品のキャッシュフロー交換によって、『自分が保有している短期資産運用商品からのキャッシュフロー』を譲渡する替わりに『他の資産運用者が保有している中期資産運用商品からのキャッシュフロー』を譲り受け、さらに『自分が保有している長期資産運用商品からのキャッシュフロー』を譲渡する替わりに『他の資産運用者が保有している中期資産運用商品からのキャッシュフロー』を譲り受けることによっても、同様の経済効果が期待できる。
これとは逆に、資産運用者が、例えば中期の資金流入に比して、短期の資金流入や長期の資金流入が少な過ぎるとの予想を立てている場合、本発明における資産運用商品の直接交換によって、『自分が保有している中期資産運用商品』を譲渡する替わりに『他の資産運用者が保有している短期資産運用商品』を譲り受け、さらに『自分が保有している他の中期資産運用商品』を譲渡する替わりに『他の資産運用者が保有している長期資産運用商品』を譲り受けることで、一部中期の資金流入が短期及び長期に分散され、短期から長期に渡り資金流入を平準化することができる。
また、本発明における資産運用商品のキャッシュフロー交換によって、『自分が保有している中期資産運用商品からのキャッシュフロー』を譲渡する替わりに『他の資産運用者が保有している短期資産運用商品からのキャッシュフロー』を譲り受け、さらに『自分が保有している他の中期資産運用商品からのキャッシュフロー』を譲渡する替わりに『他の資産運用者が保有している長期資産運用商品からのキャッシュフロー』を譲り受けることによっても、同様の経済効果が期待できる。
さらに、信用供与に絡み、資産運用の新手法を提供する。
資産運用者が、特定の資金調達者に絡み保有している資産運用商品に関し、運用方針や運用目標の見直しに伴って、より低い運用利回りで構わないため抱える信用リスクをその分低下させたい場合、あるいは逆に、より高い運用利回りを追求したいため抱える信用リスクをその分増大させても構わない場合、優先貸付債権又は優先債券、劣後貸付債権又は劣後債券、優先株式、普通株式、劣後株式などの該資金調達者に絡む資産運用商品を、本発明における直接交換やキャッシュフロー交換によりこれらの範囲内で入れ替えることで、手元流動性に影響を与えることなく、求償順位を効率的に変更することができる。また、同程度の信用リスクを孕んだ他の資金調達者に絡む資産運用商品と、前記資金調達者に絡む上記商品群との間で直接交換やキャッシュフロー交換を行っても、実質的に求償順位を変更できる。
資産運用者が、運用方針や運用目標の確立に伴い、特定の資金調達者に対する信用供与枠を新規設定した場合、本発明における直接交換やキャッシュフロー交換によって、『自分が既に保有している資産運用商品の何れか』を譲渡する替わりに『貸付債権や債券、コマーシャル・ペーパー、預金債権など、該資金調達者に絡み他の資産運用者が既に保有している信用リスク商品』を譲り受けることで、手元流動性を取り崩すことなく、該資金調達者に対する信用供与を効率的に開始することができる。
そして、同様の交換取引により、信用供与を拡大することも可能になる。
資産運用者が、運用方針や運用目標の見直しに伴い、特定の資金調達者に対する信用供与枠を減額した場合、本発明における直接交換やキャッシュフロー交換によって、『該資金調達者に絡み自分が既に保有している信用リスク商品』を譲渡する替わりに『他の資産運用者が既に保有している資産運用商品の何れか』を譲り受けることで、手元流動性に影響を与えることなく、該資金調達者に対する信用供与を効率的に縮小することができる。
そして、同様の交換取引により、信用供与を停止することも可能になる。
また、ファンド型運用商品の運用委託先の選別に絡み、資産運用の新手法を提供する。
資産運用者が、好調な運用実績や評判を基に、証券投資信託や不動産投資信託、商品ファンド、貸付信託、金銭信託など、保有しているファンド型運用商品の運用受託機関を特定の投資信託委託会社や信託銀行などに集中させたい場合、本発明における直接交換やキャッシュフロー交換によって、自分が保有している『排斥したい運用受託機関のファンド型運用商品』を譲渡する替わりに、他の資産運用者が保有している『選好する運用受託機関のファンド型運用商品』を譲り受けることで、手元流動性に影響を与えることなく、運用委託先を特定の機関へ効率的に集中させることができる。
資産運用者が、資産配分の方針や目標の見直しに伴い、保有しているファンド型運用商品の特定の運用受託機関を他の投資信託委託会社や信託銀行などに分散させたい場合、本発明における直接交換やキャッシュフロー交換によって、自分が保有している『特定の運用受託機関のファンド型運用商品』を譲渡する替わりに、他の資産運用者が保有している『様々な運用受託機関のファンド型運用商品』を譲り受けることで、手元流動性に影響を与えることなく、運用委託先を効率的に分散させることができる。
そして、媒介体の運用委託先の選別に絡み、資産運用の新手法を提供する。
資産運用者が、運用委託の方針や目標の確立に伴い、媒介体における運用受託機関として特定の投資顧問会社や保険会社、信託銀行などを任命した場合、本発明における直接交換やキャッシュフロー交換によって、自分が既に保有する『資産運用商品の何れか』を譲渡する替わりに、他の資産運用者が保有する『選好する運用受託機関が運用を担当している媒介体』を譲り受けることで、ポートフォリオを現金持高から構築することなく、特定の機関への運用委託を効率的に開始することができる。
資産運用者が、運用委託の方針や目標の見直しに伴い、保有している媒介体における運用受託機関を特定の投資顧問会社や保険会社、信託銀行などに絞り込みたい場合、本発明における直接交換やキャッシュフロー交換によって、自分が保有する『排斥したい運用受託機関が運用を担当している媒介体』を譲渡する替わりに、他の資産運用者が保有する『選好する運用受託機関が運用を担当している媒介体』を譲り受けることで、ポートフォリオを一旦現金持高にすることなく、運用委託先を特定の機関へ効率的に絞り込むことができる。
資産運用者が、運用委託の方針や目標の見直しに伴い、保有している媒介体における特定の運用受託機関を他の投資顧問会社や保険会社、信託銀行などに開放したい場合、本発明における直接交換やキャッシュフロー交換によって、自分が保有する『特定の運用受託機関が運用を担当している媒介体』を譲渡する替わりに、他の資産運用者が保有する『様々な運用受託機関が運用を担当している媒介体』を譲り受けることで、ポートフォリオを一旦現金持高にすることなく、運用委託先を効率的に開放することができる。
資産運用者が、運用委託の方針や目標の見直しに伴い、保有している媒介体において特定の運用受託機関を解任したい場合、本発明における直接交換やキャッシュフロー交換によって、自分が保有する『特定の運用受託機関が運用を担当している媒介体』を譲渡する替わりに、他の資産運用者が保有する『資産運用商品の何れか』を譲り受けることで、ポートフォリオを現金持高へ戻すことなく、運用委託を効率的に停止することができる。
また第25図は、資金調達商品のキャッシュフロー交換の一実施例であり、同種の金融調達商品が交換対象である場合を示す。
ここでは、資金調達者100が資産運用者1からの借入債務110を抱え、資金調達者101が資産運用者2からの借入債務111を抱えているが、キャッシュフロー交換が成立した結果、資金調達者100は『借入債務111のキャッシュフロー』を引き受ける替わりに『借入債務110のキャッシュフロー』を引き渡し、同時に、資金調達者101は『借入債務110のキャッシュフロー』を引き受ける替わりに『借入債務111のキャッシュフロー』を引き渡すことができた。
同様に、資金調達者102と資金調達者103とが、『資産運用者3保有の株式112のキャッシュフロー』と『資産運用者4保有の株式113のキャッシュフロー』とを、資金調達者104と資金調達者105とが、『資産運用者5保有の債券114のキャッシュフロー』と『資産運用者6保有の債券115のキャッシュフロー』とを、資金調達者106と資金調達者107とが、『資産運用者7保有のコマーシャル・ペーパー116のキャッシュフロー』と『資産運用者8保有のコマーシャル・ペーパー117のキャッシュフロー』とを、また、資金調達者108と資金調達者109とが、『資産運用者9からの預金債務118のキャッシュフロー』と『資産運用者10からの預金債務119のキャッシュフロー』とを、それぞれ交換している。
尚、交換当事者となる資金調達者の既存の持高で相手方を務めている資産運用者は、実際の商品によって一人である場合と複数である場合とがある。
第26図は、資金調達商品のキャッシュフロー交換の他の実施例であり、異種の金融調達商品が交換対象である場合を示す。
ここでは、資金調達者100が資産運用者1保有のコマーシャル・ペーパー116を抱えており、資金調達者101が資産運用者2からの借入債務110を抱えているが、キャッシュフロー交換が成立した結果、資金調達者100は『借入債務110のキャッシュフロー』を引き受ける替わりに『コマーシャル・ペーパー116のキャッシュフロー』を引き渡し、同時に、資金調達者101は『コマーシャル・ペーパー116のキャッシュフロー』を引き受ける替わりに『借入債務110のキャッシュフロー』を引き渡すことができた。
同様に、資金調達者102と資金調達者103とが、『資産運用者3からの借入債務111のキャッシュフロー』と『資産運用者4保有の株式112のキャッシュフロー』とを、資金調達者104と資金調達者105とが、『資産運用者5保有の株式113のキャッシュフロー』と『資産運用者6保有の債券114のキャッシュフロー』とを、資金調達者106と資金調達者107とが、『資産運用者7からの預金債務118のキャッシュフロー』と『資産運用者8保有のコマーシャル・ペーパー117のキャッシュフロー』とを、また、資金調達者108と資金調達者109とが、『資産運用者9保有の債券115のキャッシュフロー』と『資産運用者10からの預金債務119のキャッシュフロー』とを、それぞれ交換している。
第27図は、資金調達商品のキャッシュフロー交換の他の実施例であり、商品のキャッシュフローを抱き合わせで交換する場合を示す。
ここでは、資金調達者100が『資産運用者1からの優先借入債務122及び資産運用者2保有の優先債券123』を抱え、資金調達者101が『資産運用者3からの劣後借入債務124及び資産運用者4保有の劣後債券125』を抱えているが、キャッシュフロー交換が成立した結果、資金調達者100は『劣後借入債務124及び劣後債券125のキャッシュフロー』を抱き合わせで引き受ける替わりに、『優先借入債務122及び優先債券123のキャッシュフロー』を抱き合わせで引き渡し、同時に、資金調達者101は『優先借入債務122及び優先債券123のキャッシュフロー』を抱き合わせで引き受ける替わりに、『劣後借入債務124及び劣後債券125のキャッシュフロー』を抱き合わせで引き渡すことができた。
同様に、資金調達者102と資金調達者103とが、『資産運用者5保有の中期債券126単独のキャッシュフロー』と『資産運用者6保有の長期債券127及び資産運用者7保有の短期債券128の抱き合わせのキャッシュフロー』とを、また、資金調達者104と資金調達者105とが、『資産運用者8からの定期預金129及び資産運用者9からの譲渡性預金130、資産運用者10からのコール・マネー131の抱き合わせのキャッシュフロー』と『資産運用者120からの長期借入債務132及び資産運用者121保有のコマーシャル・ペーパー116の抱き合わせのキャッシュフロー』とを、それぞれ交換している。
第28図は、資金調達商品のキャッシュフロー交換の他の実施例であり、商品のキャッシュフローを3者で交換する場合を示す。
左図では、資金調達者100が資産運用者1からの借入債務110を抱え、資金調達者101が資産運用者2からの借入債務111を抱えているが、キャッシュフロー交換が成立した結果、資金調達者100は『借入債務111のキャッシュフロー』を引き受ける替わりに『借入債務110のキャッシュフロー』を引き渡し、同時に、資金調達者101は『借入債務110のキャッシュフロー』を引き受ける替わりに『借入債務111のキャッシュフロー』を引き渡すことができた。
次に、『借入債務111のキャッシュフロー』を引き受けた資金調達者100が、資産運用者3からの借入債務133を抱える資金調達者102とキャッシュフロー交換を成立させ、その結果、資金調達者100は『借入債務133のキャッシュフロー』を引き受ける替わりに『借入債務111のキャッシュフロー』を引き渡し、同時に、資金調達者102は『借入債務111のキャッシュフロー』を引き受ける替わりに『借入債務133のキャッシュフロー』を引き渡すことができた。
左図は2つの段階を経て3者によるキャッシュフロー交換が成立しているが、本発明では、これを同時に成立させることも可能である。右図では、資金調達者103が資産運用者4からの借入債務134を抱え、資金調達者104が資産運用者5からの借入債務135、資金調達者105が資産運用者6からの借入債務136をそれぞれ抱えているが、3者によるキャッシュフローの同時交換が成立した結果、資金調達者103は『借入債務136のキャッシュフロー』を引き受ける替わりに『借入債務134のキャッシュフロー』を引き渡し、資金調達者104は『借入債務134のキャッシュフロー』を引き受ける替わりに『借入債務135のキャッシュフロー』を引き渡し、また、資金調達者105は『借入債務135のキャッシュフロー』を引き受ける替わりに『借入債務136のキャッシュフロー』を引き渡すことができた。
第29図は、資金調達商品のキャッシュフロー交換における資金の流れと課金の仕組みの一実施例である。
図中▲2▼は、資金調達者である出品者137や資金調達者である落札者138、入札者96、交換希望者97、鑑定評価者98が本システムの運営者93へサービス提供料や回線使用料などを支払う。
▲3▼は、出品者137及び落札者138が鑑定評価者98へ鑑定評価料を支払う。
▲4▼は、広告主99が本システムの運営者93へバナー広告やポップアップ広告掲載のための広告料を支払う。
▲5▼は、キャッシュフロー交換が成立した結果、出品者137と落札者138との間で、交換差金や資金調達商品のキャッシュフローの授受が行われる。
▲6▼は、出品者137及び落札者138が資産運用者へ支払っている既存のキャッシュフローである。
本実施例における資金調達商品のキャッシュフロー交換のメリットは次の点にある。
まず、新種の裁定取引を可能とする。
一つの例として、資金調達者Mが、自分の抱えている資金調達商品mの持高の評価額以上に、資金調達商品nの持高の評価額が今後低下すると予想している場合、一方、資金調達者Nが、自分の抱えている資金調達商品nの持高の評価額以上に、資金調達商品mの持高の評価額が今後低下すると予想している場合、両者は、互いの持高を交換することで、より低い調達コストを達成しようと試みる。あるいは、満期の有無や残存期間の長短、期中償還の有無、元本や果実の性質など商品性の違いから、資金調達者Mが資金調達商品nの持高を欲し、一方、資金調達者Nが資金調達商品mの持高を欲している場合、両者は、互いの持高を交換することで、より選好する持高を造成しようと試みる。
本発明では、資金調達商品nのキャッシュフローを支払う義務を引き受ける替わりに資金調達商品mのキャッシュフローを支払う義務を引き渡したい資金調達者Mと、資金調達商品mのキャッシュフローを支払う義務を引き受ける替わりに資金調達商品nのキャッシュフローを支払う義務を引き渡したい資金調達者Nという、正反対の需要を抱える資金調達者にキャッシュフローを交換させることで、双方による裁定取引が可能となる。尚、この際、期中償還や買入消却が可能な商品の場合には、期中償還や買入消却を実施する権利をも交換することになる。
本発明における資金調達商品のキャッシュフロー交換には、例えば以下のような取引形態がある。
(a)借入債務や債券、コマーシャル・ペーパー、一部預金債務など、一般的に満期の存在する資金調達商品がそのまま満期を迎えることを前提として、当該商品の残存期間の資金流出、即ち元本や果実のキャッシュフローを交換する方法。
(b)一般的に満期が存在する前記商品に残存期間より短い特定の期間を設定して、その間の資金流出、即ち果実のみのキャッシュフローを交換する方法。
(c)一般的に満期が存在する前記商品を期中償還又は買入消却することを前提として、当該商品が消滅するまでの期間の資金流出、即ち元本や果実のキャッシュフローを交換する方法。
(d)株式や一部預金債務など、一般的に満期が存在しない資金調達商品を買入消却又は解約することを前提として、当該商品が消滅するまでの期間の資金流出、即ち元本や果実のキャッシュフローを交換する方法。
(e)一般的に満期が存在しない前記商品に特定の期間を設定して、その間の資金流出、即ち果実のみのキャッシュフローを交換する方法。
上記取引形態の内、期中償還もしくは解約又は買入消却を伴う(c)及び(d)は、交換期間中、対象商品の『キャッシュフローの引受人』が権利を行使して当該商品を期中償還もしくは解約又は買入消却した場合、この解消行為を市場で執行する者は当該商品の名目上の資金調達者である『キャッシュフローの引渡人』であるため、償還代金又は買付代金は後者が一旦支払うことになるが、後者がこれを当該商品の実質的な資金調達者である前者から受け取ることにより、当該商品に関しての取引が終了する。
以上のような裁定取引を繰り返すことにより、資金調達者が自分の持高を漸次有利なものにしていくことができる。即ち、交換相手以上に交換相手の持高を適正に評価でき、該持高の今後の価値の変化について交換相手以上に適切な相場観を構築できれば、交換取引を重ねることで、資金調達商品におけるより低い調達コストを漸次達成していくことが可能になる。そして、本システムにおける交換取引を、伝統的な金融・準金融市場との裁定取引に利用しても、同様の経済効果を享受することができる。
次に、資金調達者は、自分が抱えている資金調達商品の持高を他の資金調達商品の持高と入れ替える場合、これまでは、前者を繰上弁済又は期中償還、中途解約、買入消却するために、償還手数料又は解約手数料、買付手数料、その他の諸費用を仲介者などへ支払い、後者の持高を造成するために、資金調達に絡む契約手数料又は引受・販売手数料、その他の諸費用を改めて仲介者などへ支払わなくてはならなかった。
本発明では、前者の解消時と後者の造成時に発生する各種手数料やその他の諸費用を交換取引によって節約できるため、資金調達者がより低い調達コストを達成できる。さらに、複数の資金調達商品の持高を抱き合わせで入れ替えることが可能であるため、負債ポートフォリオの再構築に伴う各種手数料やその他の諸費用を節約することができる。
さらに、資金調達者は、自分が抱えている資金調達商品の持高を他の資金調達商品の持高と入れ替える場合、これまでは、前者を繰上弁済又は期中償還、中途解約、買入消却することで、あるいは前者の満期を待つことで一旦持高を消滅させ、それから新たに後者の持高を造成しなくてはならなかった。
本発明では、前者の解消と後者の造成との間に生じる時間を交換取引によって節約できるため、その間に相場水準が変わってしまう市場リスクを回避できる。さらに、複数の資金調達商品の持高を抱き合わせで入れ替えることが可能であるため、個別に商品を入れ替える場合と比べ、負債ポートフォリオの再構築に伴う市場リスクが減少する。
入れ替える資金調達商品の持高が大きい場合、資金調達者は、改めて資金調達を行った段階で次回以降の調達コストを自ら引き上げてしまうことが多かった。本発明では、資金調達者が交換取引によって持高を入れ替えるため、自分の再調達行為が市場の需給バランスに影響を与えて調達コストが上昇することを回避できる。
また、資金調達商品は、繰上弁済条項や期中償還条項が付与された商品を除くと基本的に流動性を備えておらず、持高の無理な解消が調達コストの上昇を招く傾向が強かった。本発明では、自分が抱えている持高のキャッシュフローを他の資金調達者が抱えている持高のキャッシュフローと交換することによって、資金調達商品が実質的に流動性を持つため、調達コストを上昇させることなく持高を解消することが可能になる。
そして、資金調達者が、例えば中期の資金流出に比して、短期の資金流出や長期の資金流出が多過ぎるとの予想を立てている場合、本発明における資金調達商品のキャッシュフロー交換によって、『他の資金調達者が抱えている中期資金調達商品のキャッシュフロー』を引き受ける替わりに『自分が抱えている短期資金調達商品のキャッシュフロー』を引き渡し、さらに『他の資金調達者が抱えている他の中期資金調達商品のキャッシュフロー』を引き受ける替わりに『自分が抱えている長期資金調達商品のキャッシュフロー』を引き渡すことで、短期及び長期の資金流出を一部中期に集中させ、短期から長期に渡り資金流出を平準化することができる。
これとは逆に、資金調達者が、例えば短期の資金流出や長期の資金流出に比して、中期の資金流出が多過ぎるとの予想を立てている場合、本発明における資金調達商品のキャッシュフロー交換によって、『他の資金調達者が抱えている短期資金調達商品のキャッシュフロー』を引き受ける替わりに『自分が抱えている中期資金調達商品のキャッシュフロー』を引き渡し、さらに『他の資金調達者が抱えている長期資金調達商品のキャッシュフロー』を引き受ける替わりに『自分が抱えている他の中期資金調達商品のキャッシュフロー』を引き渡すことで、一部中期の資金流出が短期及び長期に分散され、短期から長期に渡り資金流出を平準化することができる。
次に、3者以上の利用者間での同時交換取引を可能とする。
資金調達者(U)が『抱えている資金調達商品(u)のキャッシュフロー』の引渡を希望し、資金調達者(V)が『抱えている資金調達商品(v)のキャッシュフロー』の引渡を、資金調達者(W)が『抱えている資金調達商品(w)のキャッシュフロー』の引渡を、それぞれ希望しているとする。この際、資金調達者(U)が『資金調達商品(v)のキャッシュフロー』の引受を希望し、資金調達者(V)が『資金調達商品(w)のキャッシュフロー』、資金調達者(W)が『資金調達商品(u)のキャッシュフロー』の引受をそれぞれ希望して、引渡希望と引受希望とが3者間で循環している場合、本システムの運営者は、資金調達者(U)及び資金調達者(V)、資金調達者(W)の間で資金調達商品のキャッシュフロー交換を同時に成立させることができる。また、本発明は、4者以上の資金調達者間でも、引受希望と引渡希望とが循環している場合に、資金調達商品の同時キャッシュフロー交換を可能とする。
そして第30図は、資金取引商品のキャッシュフロー交換の一実施例であり、同種の外国為替商品や金融派生商品、不動産派生商品、現物派生商品が交換対象である場合を示す。
ここでは、資金取引者139が資金取引者141との為替直物取引159で評価益を保有し、資金取引者140が資金取引者142との為替直物取引160で評価益を保有しているが、キャッシュフロー交換が成立した結果、資金取引者139は為替直物取引159の評価益を譲渡する替わりに為替直物取引160の評価益を譲り受け、同時に、資金取引者140は為替直物取引160の評価益を譲渡する替わりに為替直物取引159の評価益を譲り受けることができた。
同様に、資金取引者143と資金取引者144とが、『資金取引者145との金利先渡取引161で抱えている評価損』と『資金取引者146との金利先渡取引162で抱えている評価損』とを、資金取引者147と資金取引者148とが、『資金取引者149との不動産投資指数先物取引163で保有している評価益』と『資金取引者150との不動産投資指数先物取引164で保有している評価益』とを、資金取引者151と資金取引者152とが、『資金取引者153との株価指数オプション取引165で抱えている評価損』と『資金取引者154との株価指数オプション取引166で抱えている評価損』とを、また、資金取引者155と資金取引者156とが、『資金取引者157との商品先物オプション取引167で保有している評価益』と『資金取引者158との商品先物オプション取引168で保有している評価益』とを、それぞれキャッシュフロー交換している。
尚、交換当事者となる資金取引者の既存の持高で相手方を務めている他の資金取引者は、実際の商品によって一人である場合と複数である場合とがある。また、資金取引商品のうち派生商品取引所や証券取引所に上場している商品では、各々の取引所が資金取引者の相手方を務めているが、実質的には個々の資金取引者が取引所を経由し他の一人又は複数の資金取引者と持高を対峙させているため、本実施例における各図面では、相手方を他の資金取引者として表示した。
第31図は、資金取引商品のキャッシュフロー交換の他の実施例であり、同種のスワップ商品が交換対象である場合を示す。
ここでは、資金取引者139が資金取引者141との金利スワップ取引169で評価益を保有し、資金取引者140が資金取引者142との金利スワップ取引170で評価益を保有しているが、キャッシュフロー交換が成立した結果、資金取引者139は金利スワップ取引169の評価益を譲渡する替わりに金利スワップ取引170の評価益を譲り受け、同時に、資金取引者140は金利スワップ取引170の評価益を譲渡する替わりに金利スワップ取引169の評価益を譲り受けることができた。
同様に、資金取引者143と資金取引者144とが、『資金取引者145との通貨スワップ取引171で抱えている評価損』と『資金取引者146との通貨スワップ取引172で抱えている評価損』とを、資金取引者147と資金取引者148とが、『資金取引者149との金利通貨スワップ取引173で保有している評価益』と『資金取引者150との金利通貨スワップ取引174で保有している評価益』とを、資金取引者151と資金取引者152とが、『資金取引者153との株価指数スワップ取引175で抱えている評価損』と『資金取引者154との株価指数スワップ取引176で抱えている評価損』とを、また、資金取引者155と資金取引者156とが、『資金取引者157との商品価格スワップ取引177で保有している評価益』と『資金取引者158との商品価格スワップ取引178で保有している評価益』とを、それぞれキャッシュフロー交換している。
第32図は、資金取引商品のキャッシュフロー交換の他の実施例であり、異種又は異業種の商品が交換対象である場合を示す。
ここでは、資金取引者139が資金取引者141との金利通貨スワップ取引173で評価益を保有し、資金取引者140が資金取引者142との為替直物取引159で評価益を保有しているが、キャッシュフロー交換が成立した結果、資金取引者139は金利通貨スワップ取引173の評価益を譲渡する替わりに為替直物取引159の評価益を譲り受け、同時に、資金取引者140は為替直物取引159の評価益を譲渡する替わりに金利通貨スワップ取引173の評価益を譲り受けることができた。
同様に、資金取引者143と資金取引者144とが、『資金取引者145との金利スワップ取引169で抱えている評価損』と『資金取引者146との金利先渡取引161で抱えている評価損』とを、資金取引者147と資金取引者148とが、『資金取引者149との通貨スワップ取引171で保有している評価益』と『資金取引者150との不動産投資指数先物取引163で保有している評価益』とを、資金取引者151と資金取引者152とが、『資金取引者153との株価指数スワップ取引175で抱えている評価損』と『資金取引者154との株価指数オプション取引165で抱えている評価損』とを、また、資金取引者155と資金取引者156とが、『資金取引者157との商品価格スワップ取引177で保有している評価益』と『資金取引者158との商品先物オプション取引167で保有している評価益』とを、それぞれキャッシュフロー交換している。
第33図は、資金取引商品のキャッシュフロー交換の他の実施例であり、商品のキャッシュフローを抱き合わせで交換する場合を示す。
左図では、資金取引者139が資金取引者141との株価指数スワップ取引175で評価損を抱え、資金取引者140が資金取引者142との株価指数オプション取引165で評価益、資金取引者143との金利先物取引179で評価損をそれぞれ抱えて合計では評価損となっているが、キャッシュフロー交換が成立した結果、資金取引者139は『株価指数スワップ取引175の評価損』を引き渡す替わりに、『株価指数オプション取引165の評価益及び金利先物取引179の評価損』を抱き合わせで引き受け、同時に、資金取引者140は『株価指数オプション取引165の評価益及び金利先物取引179の評価損』を抱き合わせで引き渡す替わりに、『株価指数スワップ取引141の評価損』を引き受けることになった。
右図では、資金取引者144が資金取引者146との為替先物取引180で評価益、資金取引者147との金利スワップ取引169で評価益、資金取引者148との債券先物オプション取引181では評価損をそれぞれ抱えて合計では評価益となり、資金取引者145が資金取引者149との通貨オプション取引182で評価損、資金取引者150との通貨スワップ取引171では評価益を保有して合計では評価益となっているが、キャッシュフロー交換が成立した結果、資金取引者144は『為替先物取引180の評価益及び金利スワップ取引169の評価益、債券先物オプション取引181の評価損』を抱き合わせで譲渡する替わりに、『通貨オプション取引182の評価損及び通貨スワップ取引171の評価益』を抱き合わせで譲り受け、同時に、資金取引者145は『通貨オプション取引182の評価損及び通貨スワップ取引171の評価益』を抱き合わせで譲渡する替わりに、『為替先物取引180の評価益及び金利スワップ取引169の評価益、債券先物オプション取引181の評価損』を抱き合わせで譲り受けることになった。
第34図は、資金取引商品のキャッシュフロー交換の他の実施例であり、商品のキャッシュフローを3者で交換する場合を示す。
左図では、資金取引者139が資金取引者142との金利通貨スワップ取引173で評価益を保有し、資金取引者140が資金取引者143とのスワップション取引183で評価益を保有しているが、キャッシュフロー交換が成立した結果、資金取引者139は金利通貨スワップ取引173の評価益を譲渡する替わりにスワップション取引183の評価益を譲り受け、同時に、資金取引者140はスワップション取引183の評価益を譲渡する替わりに金利通貨スワップ取引173の評価益を譲り受けることができた。
次に、スワップション取引183の評価益を譲り受けた資金取引者139が、資金取引者144とのスワップション取引184で評価益を保有する資金取引者141とキャッシュフロー交換を成立させ、その結果、資金取引者139はスワップション取引183の評価益を譲渡する替わりにスワップション取引184の評価益を譲り受け、同時に、資金取引者141はスワップション取引184の評価益を譲渡する替わりにスワップション取引183の評価益を譲り受けることができた。
左図は2つの段階を経て3者によるキャッシュフロー交換が成立しているが、本発明では、これを同時に成立させることも可能である。右図では、資金取引者145が資金取引者148との金利通貨スワップ取引174で評価益を保有し、資金取引者146が資金取引者149とのスワップション取引185で評価益、資金取引者147が資金取引者150とのスワップション取引186で評価益をそれぞれ保有しているが、3者によるキャッシュフローの同時交換が成立した結果、資金取引者145は金利通貨スワップ取引174の評価益を譲渡する替わりにスワップション取引186の評価益を譲り受け、資金取引者146はスワップション取引185の評価益を譲渡する替わりに金利通貨スワップ取引174の評価益を譲り受け、また、資金取引者147はスワップション取引186の評価益を譲渡する替わりにスワップション取引185の評価益を譲り受けることができた。
第35図は、資金取引商品のキャッシュフロー交換における資金の流れと課金の仕組みの一実施例である。
図中▲2▼は、資金取引者である出品者187や資金取引者である落札者188、入札者96、交換希望者97、鑑定評価者98が本システムの運営者93へサービス提供料や回線使用料などを支払う。
▲3▼は、出品者187及び落札者188が鑑定評価者98へ鑑定評価料を支払う。
▲4▼は、広告主99が本システムの運営者93へバナー広告やポップアップ広告掲載のための広告料を支払う。
▲5▼は、キャッシュフロー交換が成立した結果、出品者187と落札者188との間で、交換差金や資金取引商品のキャッシュフローの授受が行われる。
▲6▼は、出品者187及び落札者188が他の資金取引者と対峙している既存の持高である。
本実施例における資金取引商品のキャッシュフロー交換のメリットは次の点にある。
まず、新種の裁定取引を可能とする。
一つの例として、資金取引者Oが抱えている資金取引商品oの評価益の評価額が200であり、一方、資金取引者Pが抱えている資金取引商品pの評価益の評価額が200であるとする。資金取引者Oは、資金取引商品oの評価益以上に資金取引商品pの評価益が今後増加すると予想しており、資金取引者Pは、資金取引商品pの評価益以上に資金取引商品oの評価益が今後増加すると予想している。この場合、本発明では、資金取引者Oと資金取引者Pとの間で交換取引が可能となる。
資金取引者Oは、資金取引商品oの持高を譲渡する替わりに資金取引商品pの持高を譲り受け、同時に資金取引者Pは、資金取引商品pの持高を譲渡する替わりに資金取引商品oの持高を譲り受ける。この際、資金取引商品oの持高に付随する権利と義務は資金取引者Pへ、資金取引商品pの持高に付随する権利と義務は資金取引者Oへそれぞれ移転。資金取引者Oは資金取引商品pの評価益の増減について市場リスクをとり、資金取引者Pは資金取引商品oの評価益の増減について市場リスクをとることが可能になる。
交換期間中、資金取引者Pが、譲り受けた権利を行使して資金取引商品oの評価益を実現させた場合、あるいは資金取引者Pが、引き受けた義務を履行して資金取引商品oの評価益が実現した場合、資金取引者Pは実現益を享受できる。一方、資金取引者Oが、譲り受けた権利を行使して資金取引商品pの評価益を実現させた場合、あるいは資金取引者Oが、引き受けた義務を履行して資金取引商品pの評価益が実現した場合、資金取引者Oは実現益を享受できる。また、資金取引者Pによる権利行使あるいは義務履行の時点において、資金取引商品oの評価益が評価損に転じていた場合、その実現損は資金取引者Pに帰属し、資金取引者Oによる権利行使あるいは義務履行の時点において、資金取引商品pの評価益が評価損に転じていた場合、その実現損は資金取引者Oに帰属することになる。
ところで一つの例として、資金取引者Qが抱えている資金取引商品qの評価損の評価額が200であり、一方、資金取引者Rが抱えている資金取引商品rの評価損の評価額が200であるとする。資金取引者Qは、資金取引商品qの評価損以上に資金取引商品rの評価損が今後減少し、場合によっては資金取引商品rが評価益に転じると予想しており、資金取引者Rは、資金取引商品rの評価損以上に資金取引商品qの評価損が今後減少し、場合によっては資金取引商品qが評価益に転じると予想している。この場合、本発明では、資金取引者Qと資金取引者Rとの間で交換取引が可能となる。
資金取引者Qは、資金取引商品qの持高を引き渡す替わりに資金取引商品rの持高を引き受け、同時に資金取引者Rは、資金取引商品rの持高を引き渡す替わりに資金取引商品qの持高を引き受ける。この際、資金取引商品qの持高に付随する権利と義務は資金取引者Rへ、資金取引商品rの持高に付随する権利と義務は資金取引者Qへそれぞれ移転。資金取引者Qは資金取引商品rの評価損の増減について市場リスクをとり、資金取引者Rは資金取引商品qの評価損の増減について市場リスクをとることが可能になる。
交換期間中、資金取引者Rが、譲り受けた権利を行使して資金取引商品qの評価損を実現させた場合、あるいは資金取引者Rが、引き受けた義務を履行して資金取引商品qの評価損が実現した場合、その実現損は資金取引者Rに帰属する。一方、資金取引者Qが、譲り受けた権利を行使して資金取引商品rの評価損を実現させた場合、あるいは資金取引者Qが、引き受けた義務を履行して資金取引商品rの評価損が実現した場合、その実現損は資金取引者Qに帰属する。しかし、資金取引者Rによる権利行使あるいは義務履行の時点において、資金取引商品qの評価損が評価益に転じていた場合、資金取引者Rは実現益を享受でき、資金取引者Qによる権利行使あるいは義務履行の時点において、資金取引商品rの評価損が評価益に転じていた場合、資金取引者Qは実現益を享受できることになる。
以上のような裁定取引を繰り返すことにより、資金取引者が自分の持高を漸次有利なものにしていくことができる。即ち、交換相手以上に交換相手の持高を適正に評価でき、該持高の今後の価値の変化について交換相手以上に適切な相場観を構築できれば、交換取引を重ねることで、資金取引商品におけるより多くの取引益やより有利な契約条件を漸次達成していくことが可能になる。そして、本システムにおける交換取引を、伝統的な金融・準金融市場との裁定取引に利用しても、同様の経済効果を享受することができる。
次に、資金取引者は、自分が抱えている資金取引商品の持高を他の資金取引商品の持高と入れ替える場合、これまでは、前者を反対売買又は権利行使、解約するために、あるいは前者の権利行使又は期限到来を待った後に、解約手数料又は委託・仲介手数料、その他の諸費用を仲介者などへ支払い、後者の持高を造成するために、契約手数料又は委託・仲介手数料、その他の諸費用を改めて仲介者などへ支払わなくてはならなかった。
本発明では、前者の解消時と後者の造成時に発生する各種手数料やその他の諸費用を交換取引によって節約できるため、資金取引者がより多くの取引益やより有利な契約条件を達成できる。さらに、複数の資金取引商品の持高を抱き合わせで入れ替えることが可能であるため、ポートフォリオの再構築に伴う各種手数料やその他の諸費用を節約することができる。
さらに、資金取引者は、自分が抱えている資金取引商品の持高を他の資金取引商品の持高と入れ替える場合、これまでは、前者を反対売買又は権利行使、解約することで、あるいは前者の権利行使又は期限到来を待つことで一旦持高を消滅させ、それから新たに後者の持高を造成しなくてはならなかった。
本発明では、前者の解消と後者の造成との間に生じる時間を交換取引によって節約できるため、その間に相場水準が変わってしまう市場リスクを回避できる。さらに、複数の資金取引商品の持高を抱き合わせで入れ替えることが可能であるため、個別に商品を入れ替える場合と比べ、ポートフォリオの再構築に伴う市場リスクが減少する。
入れ替える資金取引商品の持高が大きい場合、資金取引者は、抱えている持高を市場で解消する過程において自ら市場価額に影響を与えてしまい、解消が完了した段階で不本意な平均解消価額になることが多かった。また、欲している持高を市場で造成する過程においても自ら市場価額に影響を与えてしまい、造成が完了した段階で不本意な平均造成価額になることが多かった。本発明では、資金取引者が交換取引によって持高を入れ替えるため、自分の解消行為や造成行為が市場の需給バランスに影響を与えて取引益が減少することや、契約条件が不利になることを回避できる。
また、資金取引商品は、一部の外国為替商品や先物商品、先物オプション商品を除くと基本的に流動性を備えていない。非基軸通貨に絡む資金取引商品や各種先渡商品、各種店頭オプション商品、各種スワップ商品、各種合成商品などは、持高の無理な解消が取引益の減少や不利な解約条件を招く傾向が強かった。本発明では、同種商品間のみならず、異種商品間、異業種商品間で持高のキャッシュフローを交換することにより、資金取引商品が実質的に流動性を持つため、取引益を減少させたり、不利な解約条件を被ったりすることなく持高を解消することが可能になる。
そして、資金取引商品の効率的な用途変更を可能にする。
保有している資産運用商品の持高のヘッジを目的に使用してきた資金取引商品が、該資産運用商品の処分又は消滅に伴い不要になった場合、資産運用者は、本発明におけるキャッシュフロー交換により、自分が使用してきた『ヘッジ目的の資金取引商品の持高』を引き渡す替わりに『売買使用が可能な資金取引商品の持高』を他者から引き受けることで、資金取引商品のヘッジ用途から売買用途への迅速な移行が可能になる。
これとは逆に、資産運用商品を新規に保有して持高のヘッジが必要になった場合、資産運用者は、本発明におけるキャッシュフロー交換により、自分が他に抱えている『売買目的の資金取引商品の持高』を引き渡す替わりに『ヘッジ使用が可能な資金取引商品の持高』を他者から引き受けることで、資金取引商品の売買用途からヘッジ用途への迅速な移行が可能になる。
抱えている資金調達商品の持高のヘッジを目的に使用してきた資金取引商品が、該資金調達商品の消滅又は引渡に伴い不要になった場合、資金調達者は、本発明におけるキャッシュフロー交換により、自分が使用してきた『ヘッジ目的の資金取引商品の持高』を引き渡す替わりに『売買使用が可能な資金取引商品の持高』を他者から引き受けることで、資金取引商品のヘッジ用途から売買用途への迅速な移行が可能になる。
これとは逆に、資金調達商品を新規に抱えて持高のヘッジが必要になった場合、資金調達者は、本発明におけるキャッシュフロー交換により、自分が他に抱えている『売買目的の資金取引商品の持高』を引き渡す替わりに『ヘッジ使用が可能な資金取引商品の持高』を他者から引き受けることで、資金取引商品の売買用途からヘッジ用途への迅速な移行が可能になる。
また、3者以上の利用者間での同時交換取引を可能とする。
資金取引者(X)が『抱えている資金取引商品(x)の評価損益』の引渡を希望し、資金取引者(Y)が『抱えている資金取引商品(y)の評価損益』の引渡を、資金取引者(Z)が『抱えている資金取引商品(z)の評価損益』の引渡を、それぞれ希望しているとする。この際、資金取引者(X)が『資金取引商品(y)の評価損益』の引受を希望し、資金取引者(Y)が『資金取引商品(z)の評価損益』、資金取引者(Z)が『資金取引商品(x)の評価損益』の引受をそれぞれ希望して、引渡希望と引受希望とが3者間で循環している場合、本システムの運営者は、資金取引者(X)及び資金取引者(Y)、資金取引者(Z)の間で資金取引商品のキャッシュフロー交換を同時に成立させることができる。また、本発明は、4者以上の資金取引者間でも、引渡希望と引受希望とが循環している場合に、資金取引商品の同時キャッシュフロー交換を可能とする。
次に第36図は、資産運用商品と資金取引商品とのキャッシュフロー交換の一実施例であり、異種又は異業種の商品の評価損益を交換する場合を示す。
ここでは、資産運用者1が株式13の評価益を保有し、資金取引者139が資金取引者140との株価指数スワップ取引175で評価益を保有しているが、キャッシュフロー交換が成立した結果、資産運用者1は株式13の評価益を譲渡する替わりに株価指数スワップ取引175の評価益を譲り受け、同時に、資金取引者139は株価指数スワップ取引175の評価益を譲渡する替わりに株式13の評価益を譲り受けることができた。
同様に、資産運用者2と資金取引者141とが、『複合不動産65の評価損』と『資金取引者142との不動産投資指数先物取引163で抱えている評価損』とを、資産運用者3と資金取引者143とが、『貸付債権11の評価益』と『資金取引者144との金利先渡取引161で保有している評価益』とを、資産運用者4と資金取引者145とが、『債券15の評価損』と『資金取引者146との通貨スワップ取引171で抱えている評価損』とを、また、資産運用者5と資金取引者147とが、『商品ファンド85の評価益』と『資金取引者148との為替直物取引159で保有している評価益』とを、それぞれキャッシュフロー交換している。
第37図は、評価損益による資産運用商品と資金取引商品とのキャッシュフロー交換における資金の流れと課金の仕組みの一実施例である。
図中▲2▼は、資産運用者である出品者94や資金取引者である落札者188、入札者96、交換希望者97、鑑定評価者98が本システムの運営者93へサービス提供料や回線使用料などを支払う。
▲3▼は、出品者94及び落札者188が鑑定評価者98へ鑑定評価料を支払う。
▲4▼は、広告主99が本システムの運営者93へバナー広告やポップアップ広告掲載のための広告料を支払う。
▲5▼は、キャッシュフロー交換が成立した結果、出品者94と落札者188との間で、交換差金やキャッシュフローの授受が行われる。
▲6▼は、出品者94が資産運用商品から受け取っている既存のキャッシュフロー、及び落札者188が他の資金取引者と対峙している既存の持高である。
本実施例において、資産運用商品と資金取引商品とのキャッシュフロー交換は、新種の裁定取引を可能とする。
一つの例として、資産運用者Sが保有している資産運用商品sの評価額が1000であり、その構成が簿価800、評価益200であるとする。一方、資金取引者Tが抱えている資金取引商品tの評価益の評価額が200であるとする。資産運用者Sは、資産運用商品sの評価益以上に資金取引商品tの評価益が今後増加すると予想しており、資金取引者Tは、資金取引商品tの評価益以上に資産運用商品sの評価益が今後増加すると予想している。この場合、本発明では、資産運用者Sと資金取引者Tとの間で評価益による交換取引が可能となる。
資産運用者Sは、資産運用商品s全体の自由処分権と資産運用商品sの評価益部分の所有権を譲渡する替わりに、資金取引商品tの持高及びその評価益を譲り受け、同時に資金取引者Tは、資金取引商品tの持高及びその評価益を譲渡する替わりに、資産運用商品s全体の自由処分権と資産運用商品sの評価益部分の所有権を譲り受ける。この際、資産運用商品sの簿価部分の所有権と果実部分のキャッシュフローは引き続き資産運用者Sに帰属し、資金取引商品tの持高に付随する権利と義務は資産運用者Sへ移転する。即ち、資産運用者Sは資産運用商品sの簿価相当額の価値を確保した上で、資金取引商品tの評価益の増減について市場リスクをとり、資金取引者Tは資産運用商品sの評価益の増減について市場リスクをとることが可能になる。
交換期間中、資産運用者Sが、譲り受けた権利を行使して資金取引商品tの評価益を実現させた場合、あるいは資産運用者Sが、引き受けた義務を履行して資金取引商品tの評価益が実現した場合、資産運用者Sは実現益を享受できる。また、権利行使あるいは義務履行の時点において、資金取引商品tの評価益が評価損に転じていた場合、その実現損は資産運用者Sに帰属することになる。
一方、資金取引者Tが自由処分権を行使して資産運用商品sを処分した場合、その処分価額のうち、資産運用者Sが所有している簿価部分についてのキャッシュフローは資産運用者Sに帰属し、資金取引者Tが所有している評価益部分についてのキャッシュフローは資金取引者Tに帰属する。また、処分時に資産運用商品sの評価益が評価損に転じていた場合は、処分価額のうち該評価損相当額が資金取引者Tに帰属する。即ち、資金取引者Tは評価損相当額を資産運用者Sへ支払うことで該評価損が実現損に変わり、資産運用者Sは簿価相当額を確保できることになる。
ところで一つの例として、資産運用者Uが保有している資産運用商品uの評価額が1000であり、その構成が簿価1200、評価損200であるとする。一方、資金取引者Vが抱えている資金取引商品vの評価損の評価額が200であるとする。資産運用者Uは、資産運用商品uの評価損以上に資金取引商品vの評価損が今後減少し、場合によっては資金取引商品vが評価益に転じると予想しており、資金取引者Vは、資金取引商品vの評価損以上に資産運用商品uの評価損が今後減少し、場合によっては資産運用商品uが評価益に転じると予想している。この場合、本発明では、資産運用者Uと資金取引者Vとの間で評価損による交換取引が可能となる。
資産運用者Uは、資産運用商品u全体の自由処分権を譲渡して資産運用商品uの評価損を引き渡す替わりに、資金取引商品vの持高及びその評価損を引き受け、同時に資金取引者Vは、資金取引商品vの持高及びその評価損を引き渡す替わりに、資産運用商品u全体の自由処分権を譲り受けて資産運用商品uの評価損を引き受けることになる。この際、資産運用商品uの果実部分のキャッシュフローは引き続き資産運用者Uに帰属し、資金取引商品vの持高に付随する権利と義務は資産運用者Uへ移転する。
これで評価損がそれぞれ相手方へ移転し、交換取引上、資産運用者Uは資産運用商品uの簿価相当額の価値を回復し、資金取引者Vは資金取引商品vのゼロ相当の価値を回復したと見なすことができる。即ち、資産運用者Uは資産運用商品uの簿価相当額の価値を確保した上で、資金取引商品vの評価損の増減について市場リスクをとり、資金取引者Vは資産運用商品uの評価損の増減について市場リスクをとることが可能になる。
交換期間中、資産運用者Uが、譲り受けた権利を行使して資金取引商品vの評価損を実現させた場合、あるいは資産運用者Uが、引き受けた義務を履行して資金取引商品vの評価損が実現した場合、その実現損は資産運用者Uに帰属する。しかし、権利行使あるいは義務履行の時点において、資金取引商品vの評価損が評価益に転じていた場合、資産運用者Uは実現益を享受できることになる。
一方、資金取引者Vが自由処分権を行使して資産運用商品uを処分した場合、概念的には、その処分価額のうち、資産運用者Uが所有している簿価部分についてのキャッシュフローは資産運用者Uに帰属し、資金取引者Vが所有している評価損部分についてのキャッシュフローは資金取引者Vに帰属する。即ち、資金取引者Vは評価損相当額を資産運用商品Uへ支払うことで該評価損が実現損に変わり、資産運用者Uは簿価相当額を確保できることになる。また、処分時に資産運用商品uの評価損が評価益に転じていた場合、資金取引者Vは実現益を享受できることになる。
さらに第38図は、資産運用商品と資金取引商品との抱き合わせによるキャッシュフロー交換の一実施例であり、資産運用者同士が資産運用商品の総体もしくは評価損益と資金取引商品の評価損益とを抱き合わせで交換する場合を示す。
左図では、資産運用者1が『貸付債権11』及び『資金取引者139との金利スワップ取引169における評価益』を保有し、資産運用者2が『複合不動産65』及び『資金取引者140との不動産投資指数先物取引163における評価益』を保有しているが、キャッシュフロー交換が成立した結果、資産運用者1は『貸付債権11からのキャッシュフロー』と『金利スワップ取引169の評価益』とを抱き合わせで譲渡する替わりに、『複合不動産65からのキャッシュフロー』と『不動産投資指数先物取引163の評価益』とを抱き合わせで譲り受け、同時に、資産運用者2は『複合不動産65からのキャッシュフロー』と『不動産投資指数先物取引163の評価益』とを抱き合わせで譲渡する替わりに、『貸付債権11からのキャッシュフロー』と『金利スワップ取引169の評価益』とを抱き合わせで譲り受けることができた。
右図では、資産運用者3が『株式13の評価益』及び『資金取引者141との個別株オプション取引189における評価損』を抱え、資産運用者4が『預金債権19の評価損』及び『資金取引者142との通貨スワップ取引171における評価益』を抱えているが、キャッシュフロー交換が成立した結果、資産運用者3は『株式13の評価益』と『個別株オプション取引189の評価損』とを抱き合わせで引き渡す替わりに、『預金債権19の評価損』と『通貨スワップ取引171の評価益』とを抱き合わせで引き受け、同時に、資産運用者4は『預金債権19の評価損』と『通貨スワップ取引171の評価益』とを抱き合わせで引き渡す替わりに、『株式13の評価益』と『個別株オプション取引189の評価損』とを抱き合わせで引き受けることになった。
第39図は、資産運用商品と資金取引商品との抱き合わせによるキャッシュフロー交換における資金の流れと課金の仕組みの一実施例である。
図中▲2▼は、資産運用者である出品者94や資産運用者である落札者95、入札者96、交換希望者97、鑑定評価者98が本システムの運営者93へサービス提供料や回線使用料などを支払う。
▲3▼は、出品者94及び落札者95が鑑定評価者98へ鑑定評価料を支払う。
▲4▼は、広告主99が本システムの運営者93へバナー広告やポップアップ広告掲載のための広告料を支払う。
▲5▼は、キャッシュフロー交換が成立した結果、出品者94と落札者95との間で、交換差金やキャッシュフローの授受が行われる。
▲6▼は、出品者94及び落札者95が資産運用商品から受け取っている既存のキャッシュフロー及び資金取引者と対峙している既存の持高である。
また第40図は、資金調達商品と資金取引商品との抱き合わせによるキャッシュフロー交換の一実施例であり、資金調達者同士が資金調達商品と資金取引商品の評価損益とを抱き合わせで交換する場合を示す。
左図では、資金調達者100が『資産運用者1保有の債券114』及び『資金取引者139との金利通貨スワップ取引173における評価益』を抱え、資金調達者101が『資産運用者2からの借入債務110』及び『資金取引者140とのカラー取引190における評価益』を抱えているが、キャッシュフロー交換が成立した結果、資金調達者100は『借入債務110のキャッシュフロー』を引き受けて『金利通貨スワップ取引173の評価益』を譲渡する替わりに、『債券114のキャッシュフロー』を引き渡して『カラー取引190の評価益』を譲り受け、同時に、資金調達者101は『債券114のキャッシュフロー』を引き受けて『カラー取引190の評価益』を譲渡する替わりに、『借入債務110のキャッシュフロー』を引き渡して『金利通貨スワップ取引173の評価益』を譲り受けることができた。
右図では、資金調達者102が『資産運用者3からの預金債務118』及び『資金取引者141とのキャップ取引191における評価損』を抱え、資金調達者103が『資産運用者4保有のコマーシャル・ペーパー116』及び『資金取引者142との金利スワップ取引169における評価損』を抱えているが、キャッシュフロー交換が成立した結果、資金調達者102は『コマーシャル・ペーパー116のキャッシュフロー』を引き受けて『キャップ取引191の評価損』を引き渡す替わりに、『預金債務118のキャッシュフロー』を引き渡して『金利スワップ取引169の評価損』を引き受け、同時に、資金調達者103は『預金債務118のキャッシュフロー』を引き受けて『金利スワップ取引169の評価損』を引き渡す替わりに、『コマーシャル・ペーパー116のキャッシュフロー』を引き渡して『キャップ取引191の評価損』を引き受けることになった。
第41図は、資金調達商品と資金取引商品との抱き合わせによるキャッシュフロー交換における資金の流れと課金の仕組みの一実施例である。
図中▲2▼は、資金調達者である出品者137や資金調達者である落札者138、入札者96、交換希望者97、鑑定評価者98が本システムの運営者93へサービス提供料や回線使用料などを支払う。
▲3▼は、出品者137及び落札者138が鑑定評価者98へ鑑定評価料を支払う。
▲4▼は、広告主99が本システムの運営者93へバナー広告やポップアップ広告掲載のための広告料を支払う。
▲5▼は、キャッシュフロー交換が成立した結果、出品者137と落札者138との間で、交換差金やキャッシュフローの授受が行われる。
▲6▼は、出品者137及び落札者138が資産運用者へ支払っている既存のキャッシュフロー及び資金取引者と対峙している既存の持高である。
そして第42図は、資産運用商品と資金調達商品との抱き合わせによるキャッシュフロー交換の一実施例であり、資金取引者同士が資金調達商品と資産運用商品の総体とを抱き合わせで交換する場合を示す。
左図では、資金取引者139が『資産運用者1からの借入債務110』を抱えて『貸付債権11』を保有し、資金取引者140が『資産運用者2保有の債券114』を抱えて『不動産投資信託69』を保有しているが、キャッシュフロー交換が成立した結果、資金取引者139は『債券114のキャッシュフロー』を引き受けて『貸付債権11からのキャッシュフロー』を譲渡する替わりに、『借入債務110のキャッシュフロー』を引き渡して『不動産投資信託69からのキャッシュフロー』を譲り受け、同時に、資金取引者140は『借入債務110のキャッシュフロー』を引き受けて『不動産投資信託69からのキャッシュフロー』を譲渡する替わりに、『債券114のキャッシュフロー』を引き渡して『貸付債権11からのキャッシュフロー』を譲り受けることができた。
右図では、資金取引者141が『資産運用者3保有のコマーシャル・ペーパー116』を抱えて『株式13』を保有し、資金取引者142が『資産運用者4からの預金債務118』を抱えて『コール・ローン192』を保有しているが、キャッシュフロー交換が成立した結果、資金取引者141は『預金債務118のキャッシュフロー』を引き受けて『株式13からのキャッシュフロー』を譲渡する替わりに、『コマーシャル・ペーパー116のキャッシュフロー』を引き渡して『コール・ローン192からのキャッシュフロー』を譲り受け、同時に、資金取引者142は『コマーシャル・ペーパー116のキャッシュフロー』を引き受けて『コール・ローン192からのキャッシュフロー』を譲渡する替わりに、『預金債務118のキャッシュフロー』を引き渡して『株式13からのキャッシュフロー』を譲り受けることができた。
第43図は、資産運用商品と資金調達商品との抱き合わせによるキャッシュフロー交換における資金の流れと課金の仕組みの一実施例である。
図中▲2▼は、資金取引者である出品者187や資金取引者である落札者188、入札者96、交換希望者97、鑑定評価者98が本システムの運営者93へサービス提供料や回線使用料などを支払う。
▲3▼は、出品者187及び落札者188が鑑定評価者98へ鑑定評価料を支払う。
▲4▼は、広告主99が本システムの運営者93へバナー広告やポップアップ広告掲載のための広告料を支払う。
▲5▼は、キャッシュフロー交換が成立した結果、出品者187と落札者188との間で、交換差金やキャッシュフローの授受が行われる。
▲6▼は、出品者187及び落札者188が資産運用者へ支払っている既存のキャッシュフロー及び資産運用商品から受け取っている既存のキャッシュフローである。
次に第44図は、資産運用商品及び資金調達商品、資金取引商品の抱き合わせによるキャッシュフロー交換の一実施例であり、資金取引者同士が資産運用商品の総体及び資金調達商品、資金取引商品の評価損益を抱き合わせで交換する場合を示す。
ここでは、資金取引者139が、『資産運用者1保有の債券114』及び『資金取引者141との金利通貨スワップ取引173における評価損』を抱えて『株式13』を保有し、資金取引者140が、『資産運用者2からの借入債務110』及び『資金取引者142との不動産投資指数先物取引163における評価損』を抱えて『複合不動産65』を保有している。
キャッシュフロー交換が成立した結果、資金取引者139は『借入債務110のキャッシュフローを引き受け、金利通貨スワップ取引173の評価損を引き渡し、株式13からのキャッシュフローを譲渡する』替わりに、『債券114のキャッシュフローを引き渡し、不動産投資指数先物取引163の評価損を引き受け、複合不動産65からのキャッシュフローを譲り受け』、同時に、資金取引者140は『債券114のキャッシュフローを引き受け、不動産投資指数先物取引163の評価損を引き渡し、複合不動産65からのキャッシュフローを譲渡する』替わりに、『借入債務110のキャッシュフローを引き渡し、金利通貨スワップ取引173の評価損を引き受け、株式13からのキャッシュフローを譲り受ける』ことになった。
第45図は、資産運用商品及び資金調達商品、資金取引商品の抱き合わせによるキャッシュフロー交換における資金の流れと課金の仕組みの一実施例である。
図中▲2▼は、資金取引者である出品者187や資金取引者である落札者188、入札者96、交換希望者97、鑑定評価者98が本システムの運営者93へサービス提供料や回線使用料などを支払う。
▲3▼は、出品者187及び落札者188が鑑定評価者98へ鑑定評価料を支払う。
▲4▼は、広告主99が本システムの運営者93へバナー広告やポップアップ広告掲載のための広告料を支払う。
▲5▼は、キャッシュフロー交換が成立した結果、出品者187と落札者188との間で、交換差金やキャッシュフローの授受が行われる。
▲6▼は、出品者187及び落札者188が資産運用者へ支払っている既存のキャッシュフロー及び他の資金取引者と対峙している既存の持高、資産運用商品から受け取っている既存のキャッシュフローである。
さらに第46図は、資産運用商品の直接交換、資産運用商品のキャッシュフロー交換、資金調達商品のキャッシュフロー交換、資金取引商品のキャッシュフロー交換の種々の組み合わせにより、正味ベースで交換取引を行う場合の主な取引形態である。
図中(a)は、『資産運用商品及び資金取引商品の抱き合わせ』を『資産運用商品』と交換取引する。
(b)は、『資金調達商品及び資金取引商品の抱き合わせ』を『資金調達商品』と交換取引する。
(c)は、『資産運用商品及び資金調達商品の抱き合わせ』を『資産運用商品』と交換取引する。
(d)は、『資産運用商品及び資金調達商品の抱き合わせ』を『資金調達商品』と交換取引する。
(e)は、『資産運用商品及び資金調達商品の抱き合わせ』を『資金取引商品』と交換取引する。
(f)は、『資産運用商品及び資金取引商品、資金調達商品の抱き合わせ』を『資産運用商品』と交換取引する。
(g)は、『資産運用商品及び資金取引商品、資金調達商品の抱き合わせ』を『資金調達商品』と交換取引する。
(h)は、『資産運用商品及び資金取引商品、資金調達商品の抱き合わせ』を『資金取引商品』と交換取引する。
(i)は、『資産運用商品及び資金取引商品、資金調達商品の抱き合わせ』を『資産運用商品及び資金取引商品の抱き合わせ』と交換取引する。
(j)は、『資産運用商品及び資金取引商品、資金調達商品の抱き合わせ』を『資金調達商品及び資金取引商品の抱き合わせ』と交換取引する。
(k)は、『資産運用商品及び資金取引商品、資金調達商品の抱き合わせ』を『資産運用商品及び資金調達商品の抱き合わせ』と交換取引する。
本実施例において、資産運用商品や資金調達商品、資金取引商品の抱き合わせによる交換取引のメリットは次の点にある。
まず、資産・負債の総合管理の効率性が上昇する。即ち、資産運用商品や資金調達商品、資金取引商品を抱き合わせで種々交換することにより、また、資産運用商品の直接交換やキャッシュフロー交換、資金調達商品のキャッシュフロー交換、資金取引商品のキャッシュフロー交換を種々組み合わせることにより、貸借対照表における資産、負債、及び資本の構成の改編に伴う各種手数料やその他の諸費用を節約でき、また、その改編に要する時間が短縮されることから、市場リスクを減少させることが可能になる。
次に、資産運用商品や資金調達商品のキャッシュフロー交換を通じた果実部分の収益確定を可能とする。即ち資金取引者が、資産運用商品の持高と資金調達商品の持高を同時に抱えている場合、本発明における資産運用商品や資金調達商品のキャッシュフロー交換によって、特定期間のインカム・ゲインを確定することができる。
保有している資産運用商品のキャッシュフローを、抱えている資金調達商品と残存期間が等しい他の資産運用商品のキャッシュフローと交換した場合、該資金調達商品の資金流出と交換後の資産運用商品の資金流入とが相殺され、前者が後者を下回っている状況下で、当該期間のインカム・ゲインを確定することが可能になる。
これとは逆に、抱えている資金調達商品のキャッシュフローを、保有している資産運用商品と残存期間が等しい他の資金調達商品のキャッシュフローと交換した場合は、該資産運用商品の資金流入と交換後の資金調達商品の資金流出とが相殺され、前者が後者を上回っている状況下で、当該期間のインカム・ゲインを確定することが可能になる。
保有している資産運用商品のキャッシュフローを、特定の期間、他の資産運用商品のキャッシュフローと交換し、抱えている資金調達商品のキャッシュフローを、等しい期間、他の資金調達商品のキャッシュフローと交換した場合、交換後の資産運用商品の資金流入と、交換後の資金調達商品の資金流出とが相殺され、前者が後者を上回っている状況下で、当該期間のインカム・ゲインを確定することが可能になる。
さらに、評価損益のキャッシュフロー交換を通じた果実部分の収益確定を可能とする。即ち資金取引者が、資産運用商品の評価損益もしくは資金取引商品の評価損益を複数抱えている場合、本発明において、これらの持高を複数のスワップ商品の持高と交換することによって、特定期間のインカム・ゲインを確定することができる。
まず、自分が保有している『資産運用商品の評価損益』もしくは自分が抱えている『資金取引商品の評価損益』を、他の資金取引者が抱えている『固定果実を受け取って変動果実を支払う特定残存期間のスワップ商品の評価損益』とキャッシュフロー交換する。次に、自分が保有している『他の資産運用商品の評価損益』もしくは自分が抱えている『他の資金取引商品の評価損益』を、他の資金取引者が抱えている『前記スワップ商品と元本金額及び残存期間が等しい、固定果実を支払って変動果実を受け取るスワップ商品の評価損益』とキャッシュフロー交換すると、以下の場合に該資金取引者は当該期間のインカム・ゲインを確定することが可能になる。
(a)両者の変動果実が相殺され、前者の固定果実が後者の固定果実を上回っている場合。
(b)両者の固定果実が相殺され、前者の変動果実が後者の変動果実を下回っている場合。
(c)前者の固定果実が後者の固定果実を上回り、且つ前者の変動果実が後者の変動果実を下回っている場合。
(d)前者の変動果実が後者の変動果実を上回っているが、その格差以上に前者の固定果実が後者の固定果実を上回っている場合。
(e)前者の固定果実が後者の固定果実を下回っているが、その格差以上に前者の変動果実が後者の変動果実を下回っている場合。
また、資産運用商品の抱き合わせ交換、資金調達商品の抱き合わせ交換、資金取引商品の抱き合わせ交換、資産運用商品と資金取引商品との抱き合わせ交換、資金調達商品と資金取引商品との抱き合わせ交換、資産運用商品と資金調達商品との抱き合わせ交換、そして資産運用商品及び資金調達商品、資金取引商品の抱き合わせ交換における3者以上の利用者間での同時交換取引を可能とする。
ところで、本実施例において、資産運用商品や資金調達商品、資金取引商品の交換取引は、兼ね備える以下の特徴によって、取引の確実性や透明性、即時性、経済性、効率性が向上する。
まず、債券や相対で取引される資金取引商品の中には、国内外において1日24時間取引できる商品が既に存在し、株式や上場している資金取引商品も、情報技術の発達と各国の取引所間の提携・合併によって、国境や取引時間の壁を超えた取引が徐々に実現してきている。本発明は、この世界的な傾向と歩調を合わせ、資産運用商品や資金調達商品、資金取引商品の交換取引を国内外において1日24時間成立させることを可能とし、各種相対商品や各種上場商品との裁定取引に即時性を持たせる。
次に、交換契約書の調印までの過程において交換当事者と利益相反にない鑑定評価者を設置し、交換成立商品の瑕疵調査や交換成立価額の鑑定評価を行うことから、交換当事者が出品・入札した持高の評価額が公正と呼べるものであったこと、交換成立商品が法律的、倫理的、経済的、物理的及び環境的な問題を孕んでいないことなどを確認でき、取引その物の透明性が増す。
また、伝統的な金融取引や伝統的な準金融取引が成立した後に生じる様々な決済業務や管理業務は、その歴史的な経緯から商品又は取引市場によって使用できるシステムが異なり統合が難しく、多種多様な商品を取引したい顧客にとって使い勝手が良いものではない。そこで本発明は、伝統的な金融・準金融取引で扱われる商品との裁定取引を容易にするため、約定確認、契約書の作成・譲渡、交換差金の決済、現物の授受、キャッシュフローの授受、リスク管理やキャッシュフロー管理のツール提供、法令遵守の検査、信用補完、債権の保全・回収など、交換成立後の決済・管理機能を集約した。
さらに、一人の交換希望者と一人の交換希望者とがマッチングされる場合のみならず、一人の交換希望者と複数の交換希望者とがマッチングされる場合、及び複数の交換希望者と複数の交換希望者とがマッチングされる場合が生じる。即ち、3者以上の利用者間での同時交換取引を可能にすることで、交換成立の確実性や即時性、効率性が増す。
産業上の利用可能性
以上のように、本発明による金融商品等交換取引システムは、コンピュータネットワークを介して金融商品及び/又は準金融商品の交換取引市場を創設し、資産運用者や資金調達者、資金取引者といった顧客の持高の解消需要と持高の造成需要とを相互にマッチングさせることができる。そして、本発明による金融商品等交換取引システムは、解消行為と造成行為とを同時に行える環境を提供することで、顧客が仲介者等へ支払う手数料を節約でき、解消行為と造成行為との間のタイムラグを排除することで、その間の市場リスクを最小化でき、また、セグメント化され過ぎた取引市場を超越したクロス取引の場を創設することで、個々の商品の流動性を向上できる。さらに、本発明による金融商品等交換取引システムは、新種の裁定取引やキャッシュフローの平準化を可能にし、ポートフォリオの再構築や資産・負債の総合管理の効率性を上昇させ、また、事業支配や株式持合、信用供与、運用委託先の選別などに絡む資産運用の新手法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施例であって、資産運用商品の直接交換を示した図である。
第2図は、本発明の他の実施例であって、資産運用商品の直接交換を示した図である。
第3図は、本発明の他の実施例であって、資産運用商品の直接交換を示した図である。
第4図は、本発明の他の実施例であって、資産運用商品の直接交換を示した図である。
第5図は、本発明の他の実施例であって、資産運用商品の直接交換を示した図である。
第6図は、本発明の他の実施例であって、資産運用商品の直接交換を示した図である。
第7図は、本発明の他の実施例であって、資産運用商品の直接交換を示した図である。
第8図は、本発明の他の実施例であって、資産運用商品の直接交換を示した図である。
第9図は、本発明の他の実施例であって、資産運用商品の直接交換を示した図である。
第10図は、本発明の他の実施例であって、資産運用商品の直接交換を示した図である。
第11図は、本発明の他の実施例であって、資産運用商品の直接交換を示した図である。
第12図は、本発明の他の実施例であって、資産運用商品の直接交換を示した図である。
第13図は、本発明の他の実施例であって、資産運用商品の直接交換を示した図である。
第14図は、資産運用商品の直接交換における資金の流れと課金の仕組みの一実施例を示した図である。
第15図は、本発明のその他の実施例であって、資産運用商品のキャッシュフロー交換を示した図である。
第16図は、本発明の他の実施例であって、資産運用商品のキャッシュフロー交換を示した図である。
第17図は、本発明の他の実施例であって、資産運用商品のキャッシュフロー交換を示した図である。
第18図は、本発明の他の実施例であって、資産運用商品のキャッシュフロー交換を示した図である。
第19図は、本発明の他の実施例であって、資産運用商品のキャッシュフロー交換を示した図である。
第20図は、本発明の他の実施例であって、資産運用商品のキャッシュフロー交換を示した図である。
第21図は、本発明の他の実施例であって、資産運用商品のキャッシュフロー交換を示した図である。
第22図は、資産運用商品のキャッシュフロー交換における資金の流れと課金の仕組みの一実施例を示した図である。
第23図は、本発明のその他の実施例であって、折衷方式による資産運用商品の交換取引を示した図である。
第24図は、折衷方式による資産運用商品の交換取引における資金の流れと課金の仕組みの一実施例を示した図である。
第25図は、本発明のその他の実施例であって、資産調達商品のキャッシュフロー交換を示した図である。
第26図は、本発明の他の実施例であって、資金調達商品のキャッシュフロー交換を示した図である。
第27図は、本発明の他の実施例であって、資金調達商品のキャッシュフロー交換を示した図である。
第28図は、本発明の他の実施例であって、資金調達商品のキャッシュフロー交換を示した図である。
第29図は、資金調達商品のキャッシュフロー交換における資金の流れと課金の仕組みの一実施例を示した図である。
第30図は、本発明のその他の実施例であって、資金取引商品のキャッシュフロー交換を示した図である。
第31図は、本発明の他の実施例であって、資金取引商品のキャッシュフロー交換を示した図である。
第32図は、本発明の他の実施例であって、資金取引商品のキャッシュフロー交換を示した図である。
第33図は、本発明の他の実施例であって、資金取引商品のキャッシュフロー交換を示した図である。
第34図は、本発明の他の実施例であって、資金取引商品のキャッシュフロー交換を示した図である。
第35図は、資金取引商品のキャッシュフロー交換における資金の流れと課金の仕組みの一実施例を示した図である。
第36図は、本発明のその他の実施例であって、資産運用商品と資金取引商品とのキャッシュフロー交換を示した図である。
第37図は、資産運用商品と資金取引商品とのキャッシュフロー交換における資金の流れと課金の仕組みの一実施例を示した図である。
第38図は、本発明のその他の実施例であって、資産運用商品と資金取引商品との抱き合わせによる交換取引を示した図である。
第39図は、資産運用商品と資金取引商品との抱き合わせによる交換取引における資金の流れと課金の仕組みの一実施例を示した図である。
第40図は、本発明のその他の実施例であって、資金調達商品と資金取引商品との抱き合わせによる交換取引を示した図である。
第41図は、資金調達商品と資金取引商品との抱き合わせによる交換取引における資金の流れと課金の仕組みの一実施例を示した図である。
第42図は、本発明のその他の実施例であって、資産運用商品と資金調達商品との抱き合わせによる交換取引を示した図である。
第43図は、資産運用商品と資金調達商品との抱き合わせによる交換取引における資金の流れと課金の仕組みの一実施例を示した図である。
第44図は、本発明のその他の実施例であって、資産運用商品及び資金調達商品、資金取引商品の抱き合わせによる交換取引を示した図である。
第45図は、資産運用商品及び資金調達商品、資金取引商品の抱き合わせによる交換取引における資金の流れと課金の仕組みの一実施例を示した図である。
第46図は、本発明のその他の実施例であって、正味ベースの交換取引を示した図である。
Claims (21)
- コンピュータネットワークを介して、金融商品及び/又は準金融商品の交換取引市場を創設し、利用者同士が交換取引を成立させることができることを特徴とする金融商品等交換取引システム。
- 国境及び/又は取引時間の壁を超え、国内外において1日24時間、前記商品の交換取引を成立させることができることを特徴とする金融商品等交換取引システム。
- 交換取引商品の瑕疵調査の機能及び/又は交換取引価額の鑑定評価の機能を特徴とする金融商品等交換取引システム。
- 約定確認、契約書の作成・譲渡、交換差金の決済、現物の授受、キャッシュフローの授受、リスク管理やキャッシュフロー管理のツール提供、法令遵守の検査、信用補完、債権の保全・回収など、交換成立後の決済・管理機能を集約したことを特徴とする金融商品等交換取引システム。
- 前記交換取引の種類を資産運用商品の直接交換とすることを特徴とする金融商品等交換取引システム。
- 前記交換取引の種類を資産運用商品のキャッシュフロー交換とすることを特徴とする金融商品等交換取引システム。
- 前記交換取引の種類を評価損益による資産運用商品のキャッシュフロー交換とすることを特徴とする金融商品等交換取引システム。
- 資産運用商品を前記直接交換と前記キャッシュフロー交換との折衷方式によって交換できることを特徴とする金融商品等交換取引システム。
- 前記交換取引の種類を資金調達商品のキャッシュフロー交換とすることを特徴とする金融商品等交換取引システム。
- 前記交換取引の種類を外国為替商品、金融派生商品及び準金融派生商品のうち、何れか1つ以上の資金取引商品のキャッシュフロー交換とすることを特徴とする金融商品等交換取引システム。
- 資産運用商品と資金取引商品とのキャッシュフロー交換ができることを特徴とする金融商品等交換取引システム。
- 同種商品間、異種商品間及び異業種商品間のうち、何れか1つ以上の交換取引を成立させることができることを特徴とする金融商品等交換取引システム。
- 複数商品の抱き合わせによる交換取引を成立させることができることを特徴とする金融商品等交換取引システム。
- 3者以上の利用者間の同時交換取引を成立させることができることを特徴とする金融商品等交換取引システム。
- 資産運用商品の直接交換、資産運用商品のキャッシュフロー交換、資金調達商品のキャッシュフロー交換、資金取引商品のキャッシュフロー交換の種々の組み合わせにより、資産・負債の総合管理ができることを特徴とする金融商品等交換取引システム。
- 資産運用商品の前記直接交換を通じて、事業支配に絡む取引、株式持合に絡む取引及び自己株式に絡む取引のうち、何れか1つ以上ができることを特徴とする金融商品等交換取引システム。
- 資産運用商品の前記直接交換を通じて、不動産の持分を集中させることができることを特徴とする金融商品等交換取引システム。
- 資産運用商品の前記直接交換及び/又は前記キャッシュフロー交換を通じて、求償順位の変更ができることを特徴とする金融商品等交換取引システム。
- 資産運用商品の前記直接交換及び/又は前記キャッシュフロー交換を通じて、信用供与に絡む取引ができることを特徴とする金融商品等交換取引システム。
- 資産運用商品の前記直接交換及び/又は前記キャッシュフロー交換を通じて、ポートフォリオを交換できることを特徴とする金融商品等交換取引システム。
- 資産運用商品の前記直接交換及び/又は前記キャッシュフロー交換を通じて、運用委託先の選別に絡む取引ができることを特徴とする金融商品等交換取引システム。
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