JP2004021026A - シート状感光材料用化粧遮光箱 - Google Patents

シート状感光材料用化粧遮光箱 Download PDF

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Teruyoshi Makino
牧野 輝義
Fumiko Inoue
井上 文子
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Abstract

【課題】クルミ貼遮光箱の篏合力を低目のレベルに安定させて、開封性を良化すると同時に、遮光性の観点から問題となる開封用切り欠き(ペンチ)を無くしたシート状感光材料用化粧箱を提供すること。
【解決手段】シート状感光材料を収納するためのクルミ貼化粧遮光箱であって、四隅テープ止めされたボール生地に貼り付けられるクルミ上貼紙のコーナーラップ部縁折り部分を切り欠いたことを特徴とするシート状感光材料用化粧遮光箱。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カットフィルムと総称されるシート状感光材料を収納する遮光化粧箱に関する。
【0002】
【従来の技術】
シート状感光材料は、遮光性、防湿性や感光材料に悪影響を及ぼす活性ガスを遮断するための内装袋に密閉され、物流時或いは保管時に与えられる外力や衝撃力から保護するために、遮光性を付与したクルミ貼化粧箱に入れられユーザーに供給される。
シート状感光材料はユーザーが撮影後現像されるまでの期間開封した内装袋に入れられる以外に、直接化粧遮光箱に入れられて収納される。そのためこの化粧箱の遮光特性は必要機能となっている。
化粧箱は光の表面反射を防ぐために、内面に感光材料が有する感光領域の光を吸収する黒色層を有する2重あるいは3重の遮光性嵌合箱からなっており、また各箱の外側となるクルミ紙の表面には表示が必要な外箱を除き内面と同じく感光材料が有する感光領域の光を吸収する黒色層を有している。
また、遮光性に関しては、三重箱を例に採ると、外箱、中箱、内箱相互間のクリアランスがポイントである。当然クリアランスが狭い方が遮光性の観点からは有利である。典型的には、外箱内寸と中箱外寸差は1.5〜2.5mmに製作される。しかし、クリアランスが狭いと、箱同士の篏合度が向上するものの、嵌合箱を開く際に箱内部の空気圧が下がり、箱の開放が困難となる。
従来は、ユーザーが箱を空け易くするために、箱側端部に手掛け切り欠き(ペンチ)を設けていたが、特に箱高さが低い場合感材までの光路が短いため、高照度長時間の露光により切り欠き部からの光の侵入を防止できず光カブリ故障を発生させることがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の解決しようとする課題は、クルミ貼遮光箱の篏合力を低目のレベルに安定させて、開封性を良化すると同時に遮光性の観点から問題となる開封用切り欠きを無くすことである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討の結果、嵌合箱のクリアランスを広げても、箱の篏合度が思いのほか下がらず篏合力の変動が大きいことを見いだし、篏合力に影響する要因としてクルミ貼箱のコーナー部分の仕上げが悪いために蓋の四隅のクリアランスが変動していることを見いだした。そこで、クルミ貼箱の篏合力を低目のレベルに安定させることにより、開封性を良化すると同時に、遮光性に問題となる開封用切り欠き(ペンチ)を無くすことのできる、下記の本発明(1)を完成するに至った。
(1)シート状感光材料を収納するためのクルミ貼化粧遮光箱であって、四隅テープ止めされたボール生地に貼り付けられるクルミ上貼紙のコーナーラップ部縁折り部分を切り欠いたことを特徴とするシート状感光材料用化粧遮光箱。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の感光材料用化粧遮光箱について図面を参照しながら説明する。図1は、三重遮光箱1の分解斜視図である。三重遮光箱1は、外箱2、中箱4及び内箱3より構成されている。
カットフィルムと総称されるシート状感光材料を収納するために使用される嵌合性遮光箱1は、一般的に堅牢性や遮光性の必要から、貼函或いは箱の外側全面及び内側側面にかけくるむように遮光性黒紙又は化粧紙を貼ることからクルミ貼箱と呼ばれている。
【0006】
クルミ貼箱2、3、4の構造材は板紙の中でも特に厚い9号〜16号(450〜800g/m)の黒チップボール、或いは、黒着色紙との貼合ボールが使われることが多い。18号(900g/m)以上は貼合ボールとなるが、24号(1200g/m)までが多く使われ、中には30号(1500g/m)以上の厚い板紙を使用したクルミ貼箱もある。
構造材となるチップボールは、新聞古紙や雑誌古紙を原材料として使用し、7〜8層の丸網抄紙機にて生産される。密度の基準は0.6g/cmであるが、平均は一般に0.7g/cmとなっている。色チップボールは最下層に、上白古紙や晒パルプを施した裏白チップボール、段ボール古紙、クラフト古紙、未晒パルプを施したクラフトチップボールや、本件に使用される最下層に上白古紙や晒しパルプにカーボン単体やカーボンと染料を抄き込んだ黒チップボールが使用される。また、最近は色チップボールの需要が減り上質紙やライナー表面にカーボン単体やカーボンと染料を抄き込んだ紙を貼合した板紙を使用しても良い。
【0007】
黒抄込み層としては、特開平8−254793公報の段落0191〜0198に記載されたカーボンブラックを用いアニオン系分散剤を用いスラリー状の分散物とし、対パルプに対し3%以上好ましくは4.5%以上添加し、その後添加される硫酸バンドやカチオン系定着剤にてパルプに定着され、層の坪量としては、コスト的にも30g/m〜50g/mが一般的である。黒層としては300nm〜800nmの波長領域で反射率を15%以下好ましくは10%以下になるよう顔料及び染料を添加することが好ましく、また、色調から赤色或いは青色の直接染料をカーボンと併用しても良い。
【0008】
本発明の化粧遮光箱に使用できる好ましいカーボンブラックの市販品の代表例としては、例えば三菱化成(株)製のカーボンブラック#20(B),#30(B),#33(B),#40(B),#41(B),#44(B),#45(B),#50,#55,#100,#600,#950,#1000,#2200(B),#2400(B),MA8,MA11,MA100等が挙げられる。海外の製品としては、例えばキャボット社のBlack Pearls 2,46,70,71,74,80,81,607等、Regal300,330,400,660,991,SRF−S等、Vulcan 3,6等、Sterling 10, SO,V,S,FT−FF,MT−FF等が挙げられる。さらに、アシュランドケミカル社のUnited R,BB,15,102,3001,3004,3006,3007,3008,3009,3011,3012,XC−3016,XC−3017,3020等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0009】
カーボンブラックの原料による分類例をあげるとガスブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アントラセンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンカーボンブラック、サーマルブラック、ランプブラック、油煙、松煙、アニマルブラック、ベジタブルブラック等がある。本発明では遮光性確保、低コスト、写真特性に悪影響を及ぼさない等の目的ではファーネスカーボンブラックが好ましく、高価であるが帯電防止効果を有する遮光性物質としてはアセチレンカーボンブラック、導電性カーボンブラック、グラファイト、変性副生カーボンブラックであるケッチェンカーボンブラックが好ましい。必要により前者と後者を必要特性に従ってミックスすることも好ましい。
【0010】
チャンネルカーボンブラックは高価な上に、pHが3前後と酸性であり、且つ揮発成分が5.0%をこえるものがほとんどで感光材料にカブリや感度異常を発生させるものが多く好ましくない。ランプブラックもpHが5.0以下のものがほとんどで写真性に悪影響を及ぼすので、どうしても使用する必要がある場合でも写真性に悪影響を及ぼさないように、写真性に悪影響を及ぼす物質と反応したり、吸着する物質と併用したり、写真性に及ぼす影響を調査して使用可能なものだけを選択すべきである。また、ASTM D 1619−60の測定方法による硫黄成分は0.9%以下、好ましくは0.7%以下にしないとカブリや感度異常の発生等写真性に悪影響を及ぼす場合がある。特に、感光材料の写真性に悪影響を及ぼす遊離硫黄成分は0.1%以下、最も好ましくは0.05%以下のものを選択することが好ましい。写真性を悪化させるシアン化合物含有量(測定方法は後述する)は、20ppm以下、好ましくは10ppm以下、より好ましくは5ppm以下のファーネスカーボンブラックを選択する。写真性を悪化させるホルムアルデヒド含有量は60ppm以下、好ましくは50ppm以下、より最も
好ましくは40ppm以下、最も好ましくは30ppm以下のカーボンブラックを選択することが好ましい。
【0011】
特に写真性、コスト、遮光能力、安定入手性等も考えるとpHが6.0〜9.0、平均粒子径が12〜70mμで且つ上記ヨウ素吸着量とDBP吸油量を有するファーネスカーボンブラックが最適である。
【0012】
図2は遮光箱1を構成する外箱2、中箱4及び内箱3を製造する工程の一実施態様を示す概略図である。
クルミ箱の構造体として必要な厚みをもたせるために、或いはクルミ箱の内面に着色紙を貼り合せるためには、チップボール同士或いはチープボールと着色紙をシート状で貼り合わせるシート貼合法があり、或いはロール形態で供給される板紙同士を、連続ウェブで貼り合わせた後シート状に裁断するロール貼合法があり、2〜5層までの板紙が貼り合され目的の厚みを持たせたり、或いは着色紙と組み合わせられ構造体のチップボール原紙となる。貼り合せ時の接着剤としては、酢ビ系のエマルジョン(例えば、ボンドCF−777 コニシ(株)、244AL 高圧ガス工業(株))が好ましく使用される。
【0013】
シート状に仕上げられたチップボールは、ビクトリア打抜機や平盤打抜機、或いは、ロータリー押切機を用い、所定のボール生地の形状に打ち抜かれ、箱の陵部分はハーフカットされる。ハーフカットは生地の厚みに対し20〜40%の深さが好ましく、少なくとも30%程度の厚さを残してカットされる。
四辺を直角に折り曲げ直方体の筺体としたコーナー部分は、突き合わせた状態で、外側から綿テープや熱着クラフトテープに代表されるテープまたは針金で接合される。テープ止機、ワイヤーステッチャーによって一箇所ずつ接合される場合と四隅止機により四辺同時に接合される場合がある。
【0014】
四隅止された筺体は表面全体に化粧紙が貼られる。化粧紙としては印刷されたアート紙や上質紙が使われるが、特性として柔軟で折り曲げやすいが適度な剛性と強度を有しているのが好ましい。このため一般的に上質紙ベースで64g〜128g/mの範囲の紙が使用されるが、100g/mを越すと剛性が強くなりあまり厚いと反発が強くなり箱の縁や折り込み部が浮いたりしやすいので70g〜100g/mの坪量の紙が使用される。シート状感光材料の収納箱としての化粧紙としては、外箱はその美粧性の必要性から80g〜90g/mのアート紙に社名や品種表示等の印刷を施したものが使用され、3重箱の中箱及び内箱の化粧紙(クルミ貼紙)は、300nm〜800nmの波長領域で反射率を15%以下好ましくは10%以下になるように、上質紙に黒層をオフセット印刷或いはグラビア印刷で施すか、カーボンを練り込んだ遮光紙が使用される。
【0015】
図3は遮光箱に使用するクルミ貼紙の一例を示す斜視図である。
シート状に仕上げられた化粧紙原反はビクトリア打抜機等により図3に示した形状に打ち抜かれる。機能面から打ち抜かれた化粧紙形状を各部位に分解して説明すると、先ずは箱の底面に該当する底面部16と側面部17は底面部陵の部分でつながっており、ボール生地のハーフカット部をクルミ紙によりくるむことにより、このハーフカット部分を補強することとなる。
本発明の収納箱に使用するクルミ紙においては、側面部の相対する2面は四隅のコーナー部分をくるむコーナーラップ部18が横方向に延長し設けられる。本発明のこのクルミ紙においては、このコーナーラップ部の縁折り部は、相対する2面の側面部において、その高さが、側面部の高さにほぼ一致するよう切り欠かれていることが特徴であり、4辺の側面部のみで縁折り部を構成している。このために、四辺の縁折り部はコーナーラップ部で重ならず箱の内側に折り返される際、収納箱の4隅内側に置いてクルミ紙の各辺が単独で折り曲げられることとなる。
【0016】
上記のような形状に打ち抜かれたクルミ貼紙(化粧紙)に、膠系の接着剤がロール糊付機で均一に薄く塗布される。膠は加温しながら5%〜75%に好ましくは55〜70%に加熱しながら溶解され、糊付機では膠が60±3℃に保温され加温されたローラーで20g〜50g/m、好ましくは25〜40g/m(wet)塗布されるのが好ましい。一般的には高濃度の膠を薄く均一に塗布するのが望ましい。糊付けされたクルミ貼紙に四隅止されたボール生地が位置を合せて置かれ、底辺部16が接着される。その後、コーナーラップ部が設けられた相対する2側面が貼合された後、四隅のコーナーラップ部18が貼られ、他の相対する二側面がコーナーラップ部を覆うように貼合されて四辺ラッピングが終了する。その後、縁折込部は箱の内面に向けて折り返し箱内面と接着される。以上の工程はストークフィード社等の自動貼函機或いは生産量が少ない場合手加工で生産される。
【0017】
従来技術のクルミ上貼紙のコーナーラップ部縁折り部分を切り欠かない場合は、縁折込部はコーナーラップ部で四辺が結合されているためコーナー部分の折り込み反発が大きくなり浮き等が発生しやすくなる。
遮光箱は少なくても身と蓋のクリアランスにより開閉力が決まるが、通常身の外寸と蓋の内寸の差は縦横とも1.5〜3mmのクリアランスを設けるのが一般的であり、通常2mmのクリアランスが最適である。しかし開閉力はクリアランス以外にコーナー部分の浮き等により大きく影響されることは前述した通りである。
【実施例】
(実施例1)
4インチ×5インチのシートフィルム(富士写真フイルム(株)製カラーネガNS160)10枚を収納する本発明に係る3重箱をコーナーラップ部を切り欠いたクルミ紙を使用して製造した。比較用として、コーナーラップ部に切り欠きを有しないクルミ紙を使用して同様の3重箱を製造し、箱の側端部には手掛け切り欠き(ペンチ)を設けた。
また本発明の三重箱は、外箱、中箱及び内箱間のクリアランスを比較用の従来品と同一にした場合、図4に結果を示すように嵌合力を低い値に安定して維持することができた。このために、従来品に対して設けていたペンチを設けなくても開閉が容易であった。
図4は本発明の3重遮光箱の中箱と内箱の嵌合力を示すグラフである。外箱と中箱の嵌合力についても同様の結果が得られた。すなわち、従来品の3重遮光箱においては中箱と内箱の嵌合力が約88g重(0.86N)であったのに対して、本発明品は2つのロット共に約20g重(0.20N)であった。
強制爆光試験を10万ルックスの光を10分間行ったところ、比較用の三重箱に収納したフィルムにはカブリが見られたが、本発明の三重箱に収納したフィルムには、カブリが見られなかった。
【発明の効果】
本発明のクルミ貼遮光箱は、その篏合力を低いレベルに安定させることができるので、開封性が良化すると同時に、開封用切り欠きを無くすことができるので、遮光性を高めることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る遮光箱の一実施態様を示す3重遮光箱の分解斜視図である。
【図2】本発明に係る遮光箱の内箱(身)又は蓋を製造する工程を示す一実施態様である。
【図3】本発明に係る遮光箱に使用するクルミ貼紙の一例を示す斜視図である。コーナーラップ部に切り欠きを有する。
【図4】4インチ×5インチシートフィルム10枚入りの3重遮光箱の中箱と内箱の嵌合力を示すグラフである。
【符号の説明】
1  三重遮光箱
2  外箱
3  内箱
4  中箱
5  打ち抜かれたボール生地
6  四隅テープ止め工程
8  コーナー切り欠き上貼り紙
10 位置合わせ工程
12 コーナーラップ工程
14 四辺ラッピング工程
16 底面部
17 側面部
18 コーナーラップ部
19 縁折り部
20 切り欠き部

Claims (1)

  1. シート状感光材料を収納するためのクルミ貼化粧遮光箱であって、四隅テープ止めされたボール生地に貼り付けられるクルミ上貼紙のコーナーラップ部縁折り部分を切り欠いたことを特徴とするシート状感光材料用化粧遮光箱。
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