JP2004020700A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】現像装置14を感光ドラム11に近接対向する現像位置とその像担持体から離れた退避位置との間で変位させる変位機構8を設け、その変位機構8により少なくとも前記クリーニング動作を実行する時間帯には現像装置14を退避位置に変位させるように構成した。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式や静電記録方式等を利用してトナーからなる画像を形成するプリンタ、複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置に係り、特に、トナー像が形成される像担持体にブレード式のクリーニング装置を設置しないタイプの画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子写真方式等を利用した画像形成装置では、トナー像を形成する感光ドラム等からなる像担持体に転写後等において存在する不要トナーを除去するため、その像担持体の表面にゴム等の弾性ブレードを圧接させて不要トナーを機械的に掻き取る、いわゆるブレード式のクリーニング装置を設置している。
【0003】
しかし、このようなクリーニング装置を設置した場合には、その弾性ブレードの圧接により像担持体の表面が磨耗してその像担持体の寿命が短くなったり、あるいは、その表面に圧接時の磨耗や摺擦による傷ができて画像の乱れが発生する等の問題がある。また、トナーとして重合法等により作製される球形に近い外形からなるいわゆる球形トナーを使用すると、その球形トナーに対する弾性ブレードのクリーニング性能が低下して球形トナーを十分に除去できないという問題がある。
【0004】
また、この弾性ブレードによる像担持体表面の摺擦を軽減する観点から、その摺擦の度合いが低い回転ブラシとクリーニングロールとを併用するクリーニング装置を適用することも考えられる(特開昭63−15278号公報など)。
【0005】
しかし、この場合には、像担持体表面の摺擦による磨耗等が抑制されて像担持体の長寿命化が見込める一方で、クリーニング装置そのものが複雑なものとなり、そのコストもかかるという難点がある。
【0006】
そこで、これらの問題を回避するため、像担持体に対してブレード式のクリーニング装置を設置せずに、例えば以下のようなクリーニング動作を実行する画像形成装置が提案されている。
【0007】
すなわち、画像形成部間(インターイメージ部)等の所定の時期に、像担持体上の不要トナーを、ブレード式のクリーニング装置が設置されている中間転写体側に電位勾配の形成によって静電的に転移させ、その中間転写体において当該クリーニング装置により除去して回収するというクリーニング動作を実行するものである(特開平11−7226号公報)。電位勾配は、不要トナーの帯電極性に応じて、転移させる構成部品間で静電的に転移しやすくなるような所定のバイアスを印加すること等により形成される。
【0008】
また、像担持体に接触して不要トナーを一時的に保持するための回転ブラシ等からなるトナー一時保持部材を設置し、そのトナー一時保持部材に像担持体上の不要トナーを一旦付着させておき、画像形成部間や画像形成終了時等の所定の時期が到来した段階で、まずそのトナー一時保持部材に付着している不要トナーを電位勾配の形成により像担持体へ静電的に転移させて戻し、さらに像担持体に戻した不要トナーを、トナー除去回収装置(ブレード式のクリーニング装置を含む)が設置されている転写装置(接触式のもの)や中間転写体等に対して電位勾配の形成により静電的に転移させ、その転写装置、中間転写体等の側において当該トナー除去回収装置により最終的に除去して回収するというクリーニング動作を実行するものである(特開2000−250327号公報、特開2001−75448号公報など)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなクリーニング動作を実行する画像形成装置にあっては次のような課題がある。
【0010】
つまり、像担持体に存在する不要トナーは、転写されなかった未転写トナーがほとんどであり、その未転写トナーについてもトナーの初期帯電極性と同じものがあるほか、転写遍歴によって本来とは異なる極性に帯電するいわゆる逆帯電トナーがある。このため、上記クリーニング動作時には、この極性が異なる不要トナーを中間転写体や転写装置等に電位勾配の形成により転移させるため、電位勾配の向きを両極のトナーに合わせて交互に切り換える必要がある。ところが、この際、逆帯電の不要トナーを前記トナー一時保持部材や帯電部材から像担持体に戻すとともにその像担持体から中間転写体等に転移させるときに、像担持体に近接対向する現像位置に保持されている現像装置(実際には現像ロール上)にその逆極性に帯電の不要トナーが引き込まれてしまう問題が発生する。また、これとは反対に正極性に帯電している不要トナーをトナー一時保持部材や帯電部材から像担持体に戻すとともにその像担持体から中間転写体等に転移させるときに、現像装置(実際には現像ロール上)からトナーが像担持体に同時に引き出されてしまうという問題が発生する。さらに、このような問題は、複数の現像装置を使用する画像形成装置の場合には、その数だけ発生することになる。この場合、現像装置としては、通常磁気ブラシ現像方式のものが使用される。
【0011】
なお、現像装置からのトナーの引き出し現象は、例えばマイナス極性に帯電させる像担持体とマイナス帯電のトナーを使用する現像装置とを備えた画像形成装置を想定して説明すると、その像担持体に接触する一時保持部材や帯電部材表面に存在する不要トナーである正極性の帯電(未転写)トナーを中間転写体等に静電的に転移させるためには、中間転写体側をプラス極性側に保持するとともに像担持体を一時保持部材や帯電部材よりもプラス極性側に帯電させることにより電位勾配を形成する必要がある。この結果、像担持体が画像形成時と異なりプラス極性側に帯電したような状態となるため、現像装置の現像ロールに担持されているマイナス極性のトナーが像担持体に静電的に吸引されて付着してしまうものであると考えられる。
【0012】
ちなみに、この現象を防止するため、現像装置に印加する現像バイアスの極性を、上記クリーニング動作時の電位勾配のために印加するバイアスの極性に応じて切り換えるという対策も考えられる。しかし、かかる対策では、現像装置のバイアス電源に逆極性の電源を追加しなければならず、また、逆極性の現像バイアスを印加することは現像装置内のトナーの帯電極性に影響等を与えるおそれがあり好ましくない。
【0013】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その主な目的とするところは、特に像担持体にブレード式のクリーニング装置を設置せず、その像担持体に存在する不要トナーを上記した電位勾配を利用して他の構成部品に静電的に転移させて排除するクリーニング動作を実行する場合、少なくともクリーニング動作を実行する際における現像装置からのトナーの引き出し等を簡易に防止することができる画像形成装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像形成装置は、帯電後に静電潜像が形成される像担持体と、この像担持体上の静電潜像を現像バイアス印加の下でトナーの供給により現像してトナー像とする現像装置と、この現像装置により現像して形成した前記像担持体上のトナー像を記録用紙若しくは用紙搬送体にて搬送される記録用紙に直接または中間転写体を介して静電的に転写させる転写装置とを備え、その像担持体上に存在する不要トナーを電位勾配の形成により用紙搬送体、中間転写体または転写装置に静電的に転移させて排除するクリーニング動作を実行する画像形成装置において、前記現像装置を前記像担持体に近接対向する現像位置とその像担持体から離れた退避位置との間で変位させる変位機構を設け、その変位機構は少なくとも前記クリーニング動作を実行する時間帯には現像装置を退避位置に変位させることを特徴とするものである。
【0015】
このような画像形成装置によれば、少なくともクリーニング動作実行時には現像装置が退避位置に変位して像担持体から離れた状態に置かれるため、像担持体上の不要トナーを電位勾配の利用により用紙搬送体、中間転写体または転写装置へ転移させる際に、その像担持体と現像装置の間の電位関係に起因して現像装置のトナーが像担持体側に引き出されてしまうことはない。また、像担持体にブレード式のクリーニング装置を設置しないため、像担持体の表面磨耗等の発生を低減でき、その長寿命化が可能になる。ちなみに、クリーニング動作の実行により像担持体上にある不要トナーについては電位勾配の形成により用紙搬送体、中間転写体または転写装置に静電的に転移させた後、その各構成部品に設置するトナー除去回収装置等によって最終的に除去および回収するようにすればよい。
【0016】
この画像形成装置において、その現像位置とは、現像装置の現像ロール上に担持される現像剤(トナー)の先端部が少なくとも像担持体に接触して現像し得る位置をいい、退避位置とはその現像剤の先端部が少なくとも像担持体から離れかつその現像剤が像担持体側に静電的に引き寄せられる作用の影響を受けないような距離だけ像担持体から離れた位置をいう。ちなみに、現像装置については、本来の現像動作を実行する観点から、変位機構により像担持体の静電潜像が形成された領域(換言すれば潜像書き込み開始位置から書き込み終了位置までの領域)が現像装置を通過する間は現像位置に変位されることはいうまでもない。
【0017】
上記変位機構は、像担持体の未帯電領域および帯電未達成領域が通過する時間帯には現像装置を退避位置に変位させるように構成(制御)するとよい。帯電未達成領域とは、像担持体の表面電位が所定の帯電電位までに十分に帯電されていない状況にある領域である。このように構成した場合には、その未帯電領域および帯電未達成領域が現像位置にある現像装置を通過する場合において発生し得る当該現像装置からのトナーの引き出し現象を回避することができる。
【0018】
また、上記変位機構は、電源投入時または緊急停止時に現像装置が退避位置に変位しているか否かを検知し、退避位置に変位していない場合には当該現像装置を退避位置に変位させるように構成(制御)するとよい。緊急停止時とは、紙詰まり(ジャム)等の非常現象が発生して装置動作の停止が必要な場合に装置動作が強制的に停止されるときをいう。上記検知は、一般的な位置検知センサを用いて行うようにすればよい。このように構成した場合には、現像装置が退避位置にない状態において電源投入後や緊急停止後に実行される予定の動作(例えば上記クリーニング動作、像担持体の帯電動作など)が開始されることはない。これによっても現像装置から像担持体へトナーが引き出される現象が発生することはない。
【0019】
上記現像装置は、少なくとも退避位置に変位している時間帯には当該現像装置に現像バイアスを印加しないように構成するとよい。現像バイアスを印加しないとはゼロ電位に保持することをいう。これにより、現像装置からのトナー引き出しがより発生しにくくなり、また、現像バイアスの印加を複雑に制御する必要もなくなる。
【0020】
そして、このような画像形成装置において、上記像担持体としてはドラム状、ベルト状等からなる感光体、誘電体等が使用される。この像担持体を帯電させる帯電装置としては、例えばロール状の接触型のものを使用すると、その帯電ロールに付着する不要トナーをクリーニング動作時に除去することができる。上記現像装置としては、例えばトナーとキャリアを含む二成分現像剤を使用して磁気ブラシ現像を行うものが使用される。この現像装置は、像担持体を複数使用する場合には、通常その像担持体に数に相応した数のものが使用される。上記変位機構は、現像装置を現像位置と退避位置との間で変位させることができるものであればよく、その形式等については特に制約されない。上記記録用紙は、普通紙、塗工紙、厚紙、OHPシート等であるが、画像形成装置内で搬送が可能であってトナー像の静電的な転写が可能なものであれば他のものであってものであってもよい。
【0021】
上記用紙搬送体は、記録用紙を担持して像担持体上のトナー像が転写される位置等に搬送するものであり、通常はベルト状またはドラム状のものが使用される。上記中間転写体は、像担持体上のトナーを担持して記録用紙へ転写する位置まで搬送し得るものであればよく、例えばベルト状、ドラム状等のものが使用される。上記転写装置は、像担持体上のトナー像または中間転写体上のトナー像を記録用紙に静電的に転写させるためのものであって、通常はロール式の接触型転写装置であるが、他の形式のものであっても構わない。これらのうち転写装置は、用紙搬送体および中間転写体の有無に関係なく常備されるものであるのに対し、用紙搬送体および中間転写体は任意であっていずれか一方が装備されることがある。
【0022】
また、この画像形成装置では、用紙搬送体および中間転写体を設けない場合は転写装置にクリーニング動作時に転移される不要トナーを除去して回収するためのトナー除去回収装置を設けるとよい。また、用紙搬送体または中間転写体の少なくとも一方を設ける場合には、その少なくとも一方または転写装置ならびそのいずれにクリーニング動作時に転移される不要トナーを除去回収するためのトナー除去回収装置を設けるとよい。
【0023】
また、この画像形成装置では、クリーニング動作の実行時に必要な電位勾配を形成するために、像担持体、中間転写体、用紙搬送体、転写装置等の少なくとも1つに所定のクリーニング用バイアスを印加したりまたは電圧の印加をしないように構成する。
【0024】
また、像担持体、用紙搬送体および中間転写体のうちの少なくとも1つに不要トナーを電位勾配の利用により一時的に保持するとともにクリーニング動作時に像担持体等に吐き出すように戻すトナー一時保持部材を設けるとよい。また、像担持体、用紙搬送体および中間転写体のうちの少なくとも1つに、トナー一時保持部材と併せてまたは単独で、不要トナーを電位勾配の利用によりトナー回収部に回収するためのトナー回収ロールを設けるとよい。
【0025】
さらに、この画像形成装置においては、必要であれば、像担持体に対してブレード式以外であって像担持体の表面に圧接して表面を磨耗させることが少ないクリーニング装置(例えば回転ブラシ式のクリーニング装置など)を設置しても構わない。
【0026】
【発明の実施の形態】
図1は本発明を適用したカラープリンタの1例を示す概略構成図である。図中の実線矢印は各構成部品の回転方向を示している。
【0027】
<プリンタの全体構成>
このフルカラープリンタは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、ブラック(K)及びシアン(C)の各色専用の作像エンジン1Y,1M,1K,1Cを並列的に配置してなる所謂タンデム型のプリンタであり、かかる4色のトナー像からなるフルカラーの画像をプリントすることができるほか、単色の画像をプリントすることもできるものである。また、このプリンタは、各作像エンジン1の感光ドラム11上に形成するトナー像を中間転写ドラム21〜23を介して記録用紙Pに転写する中間転写方式を採用している。
【0028】
このプリンタによるフルカラー画像のプリントは概略以下のようにして行われる。まず各作像エンジン1において上記色毎の画情報に応じたトナー像を所定のタイミングで感光体ドラム11上に形成した後、その各感光体ドラム11上のトナー像を第1中間転写ドラム21、22にそれぞれ一次転写してから第2中間転写ドラム23へ二次転写し、最後に、第2中間転写ドラム23に接する最終転写ロール25によって第2中間転写ドラム23から記録用紙Pへ最終転写されることによって行われる。
【0029】
詳しくは、イエロー及びマゼンタの作像エンジン1Y,1Mで形成されるトナー像が一方の第1中間転写ドラム21に順次転写される一方で、ブラック及びシアンの作像エンジン1K,1Cで形成されるトナー像が他方の第1中間転写ドラム22に順次転写される。次いで、この各第1中間転写ドラム21、22上で重ね合わせられた2色のトナー像が第2中間転写ドラム23に転写されて4色のトナー像が重ね合わせられ、その4色のトナー像がレジロール対31により所定の送り込まれる記録用紙Pに最終的に転写される。このように4色のトナー像が転写された記録用紙Pは定着装置32を経由して図示外の排紙トレーに排出される。以上によりフルカラーの画像が記録用紙P上に形成される。
【0030】
各作像エンジン1はいずれも、感光ドラム11と、この感光体ドラム11を所定の背景部電位に帯電させる帯電ロール12と、画情報で変調された光ビームBmで感光ドラム11を露光する不図示のレーザ光学ユニットと、露光によって感光ドラム11上に形成された静電潜像をトナーにより現像する現像装置14と、トナー像を一次転写した後の感光ドラム11の表面から不要トナーを除去して一時的に保持しておくトナー一時保持ブラシロール16とから構成されており、感光ドラム11の現像装置14よりも回転下流側となる転写部位で第1中間転写ドラム21,22と接するようになっている。そして、この各作像エンジン1では、感光ドラム11の回転に伴い、その感光ドラム11の表面に対して帯電、露光、現像、転写の各工程が連続して行われ、各色の画情報に応じたトナー像が第1中間転写ドラム21,22にそれぞれ一次転写される。
【0031】
ここで、感光ドラム11、帯電ロール12及びトナー一時保持ブラシロール16は、単一のドラムユニット10として一体化されている。また、一対の第1中間転写ドラム21,22と第2中間転写ドラム23をメインにしてトナー一時保持ブラシロール26、27及びトナー回収部材28、29は、単一の画像転写ユニット20として一体化されている。これにより、例えば感光ドラム11の劣化等によって画像品質が低下する場合等には、上記ドラムユニット10を帯電ロール12と共にそのまま新品に交換するようになっている。さらに、4つの現像装置14は単一の現像ユニット4として一体化されており、しかも、後述するようにその各現像装置14が感光ドラム11と近接対向する現像位置と感光ドラム11から少し離れた退避位置との間で変位可能に支持されている。
【0032】
また、感光ドラム11は、そのいずれも有機感光材料等からなる感光層が形成された同じ外径の円筒状のドラム本体を回転支軸に支持した構造からなるものである。帯電ロール12は、金属製のロール体の周囲に導電性の弾性体を一定の厚さに被覆形成してなるものであって、その弾性体層が感光ドラム11の回転方向上流側の表面部分に当接して回転するように取り付けられている。また、帯電ロール12は、そのロール体に帯電用電圧としてのDC電圧が印加され、その弾性体層と感光ドラム11の周面との間における微小間隙で放電を発生させることにより感光ドラム11の周面を帯電させるようになっている。
【0033】
トナー一時保持用ブラシロール16は、金属製のロール体の周囲に複数のブラシ毛が所定の分布密度となるように立設されたものであり、感光ドラム11の表面を摺擦することにより一次転写後の感光ドラム11の表面に付着している正極性トナー(この例ではマイナス極性トナー)や逆極性トナー(この例ではプラス極性トナー)、帯電ロール12による帯電時に感光ドラム11に付着した放電生成物を除去し、これらの物質が下流側の帯電ロール12の表面に付着するのを防止している。そして、このブラシロール16は不要トナー等をプリントジョブの実行中に一時的に蓄積しておき、またその蓄積したトナーを後述するクリーニングモードにおいて感光ドラム11上に静電的に転移して吐き出すようになっている。このため、感光ドラム11とブラシロール16の間でトナーを静電的に転移させるために両者間で電位勾配を形成するように、ブラシロール16に可変電源を接続してDC成分からなるクリーニング用のバイアスを印加するようになっている。
【0034】
一方、第1中間転写ドラム21、22および第2中間転写ドラム23は、そのいずれも鉄、アルミニウム等からなる同じ外径の金属パイプに導電性シリコーンゴム等からなる厚さ0.1〜10mm程度の低抵抗弾性層(抵抗値:102〜103Ω)を被覆したうえで、さらにその低抵抗弾性層の表面にフッ素ゴム等からなる厚さ3〜100μmの高離型層(抵抗値:105〜1013Ω程度)を形成してなるドラム本体を回転支軸に支持した構造からなるものである。この例では、第1中間転写ドラム21、22の抵抗値が108Ω程度に、第2中間転写ドラム3の抵抗値は1010Ω程度に設定されている。
【0035】
また、第1中間転写ドラム21、22には、その両転写ドラムに各感光ドラム11上のトナー像を静電的にそれぞれ一次転写させるため、そのドラム本体の表面電位を所定の電位(例えば+250〜500V程度)に保つための第1バイアスが印加されるようになっている。同じく、第2中間転写ドラム23には、そのドラムに前記両転写ドラム21、22上のトナー像を静電的にそれぞれ二次転写させるため、そのドラム本体の表面電位を所定の電位(例えば+600〜1200V程度)に保持するための第2転写バイアスが印加されるようになっている。
【0036】
トナー一時保持用ブラシロール26、27は、感光ドラムユニット10に使用している前記トナー一時保持用ブラシロール16と同じ構造のものであり、各中間転写ドラム21〜23にそれぞれ接触して回転するように取り付けられている。このブラシロール27、27にも可変電源からクリーニング用のバイアスを印加するようになっている。
【0037】
トナー回収部材28、29は、各中間転写ドラム21〜23に接触して回転する金属製のバイアスロールと、そのバイアスロールに吸着回収されたトナーをそのロールに当接して掻き取るクリーニングブレードと、そのブレードで掻き取られたトナーを不図示の回収ボックスまで搬送して送り込む不図示の搬送用オーガーとで構成されている。また、中間転写ドラム21〜23に付着するトナーを静電誘引力でトナー回収部材28,29に転移させるために両者間に電位勾配を形成する必要があり、このためトナー回収部材28,29に可変電源を接続してDC成分からなるクリーニング用のバイアスを印加している。このクリーニングバイアスは可変であり、プリントジョブの実行時と後述するクリーニングモードの実行時とでは、異なる大きさ、異なる極性のクリーニングバイアスを各回収部材のバイアスロールに印加している。
【0038】
現像装置14(Y,M,K,C)はいずれも、所謂磁気ブラシ現像方式を採用するものであり、その装置内部にはトナーとキャリアを含む二成分現像剤が収容されており、2列の現像剤攪拌搬送路内で回転する攪拌搬送部材(例えばオーガー)43a,43bで攪拌搬送されるようになっている。また、各現像装置14は、感光ドラム11に所定の微小間隔を保って近接対向した位置で回転する現像ロール(内部にマグネットロールが配置されて回転する円筒スリーブ)42を備えており、その現像ロール42に所定の現像バイアスを印加するようになっている。そして、この現像ロール42には、前記現像剤が供給された後に層厚規制部材を通過して所定の高さに調整された磁気ブラシが形成され、その磁気ブラシを現像ロール42の回転に伴って感光ドラム11と対向する現像領域に搬送供給してドラム11表面を摺擦するようになっている。また、現像ロール42には、交流成分に直流成分を重畳した現像バイアス電圧が印加されており、これにより感光ドラム11の前記静電潜像(画像部)のみにトナーを静電的に付着させてトナー像の形成を行うようになっている。
【0039】
<現像装置の変位機構等に関する構成>
図2は現像ユニット4の斜視図である。図2等における矢印X1およびX2の方向はプリンタのフロント側およびリア側を示し、矢印Y1,Y2はプリンタの上方向および下方向を示し、矢印Z1,Z2はプリンタのフロント側から見て左方向(現像位置側)および右方向(退避位置側)を示す。
【0040】
現像ユニット4の前記4色(Y,M,K,C)に対応した現像装置14(Y,M,K,C)は、現像装置41の長手方向(現像ロール42の軸方向であり、図中の矢印X1およびX2の方向)の一端部側(プリンタフロント側)と他端部側(プリンタリア側)に対向するようにプリンタ本体の内部で立設された2つの支持フレーム40A,40Bの間に、上下方向Y1,Y2方向に並べられた状態であって、感光ドラム11に接近した現像位置とその感光ドラム11から離れた退避位置との間で変位可能に取り付けられている。
【0041】
すなわち、各現像装置41は、その現像装置を保持する保持フレーム45であってその長手方向の両端部にそれぞれ突出形成された支持ピン46を、支持フレーム40等に連結されている変位保持部47に矢印Z2の方向にそって開設された2つのガイド長孔48にスライド可能に差し込んで装着することで、矢印Z1,Z2方向に変位可能に支持されている。また、現像装置41は、変位保持部47において現像位置から退避位置の方向(矢印Z2方向)にむけて不図示のバネにより常に付勢力Fでもって付勢されている。
【0042】
そして、この現像ユニット4には4つの現像装置41を現像位置および退避位置の間で変位させるための変位機構8が装備されている。
【0043】
変位機構8は、図2や図3に示すように、揺動して各現像装置41の両端部を現像位置側にむけてそれぞれ押圧するほぼ逆三角形状からなる複数の押し付け揺動体80と、この複数の押し付け揺動体80を一斉に揺動させるために上下方向Y1,Y2に所定の範囲内で往復動するほぼL字形状からなる2つの連結部材(リンク)83A,83Bと、この2つのリンク83A,83Bをそれぞれ上下方向Y1,Y2に上下動させる2つの偏心カム84A,84Bと、この偏心カム84A,84Bが固定されて回転させられるカム軸85と、このカム軸85を所定の角度だけ矢印J1,J2方向に回転させるため筐体1側に固定設置される駆動モータ86とでその主要部が構成されている。駆動モータ86は、減速ギヤ列機構などとともに駆動源ボックス87内に収容されており、筐体1の所定の部位に固定配置されている。図2において符号88はカム軸85に所定の位置条件下で固定された扇形状の被検出板、89は被検出板88の有無について光学的に検出するセンサを示す。
【0044】
押し付け揺動体80は、逆三角形状の最下部80aが支持フレーム40の支軸40eによって揺動可能に取り付けられている。また、その現像装置41とは反対側に位置する揺動アーム端部80bに突出形成されたピン80cがリンク83の矢印Z1,Z2方向にそって開設されたガイド長孔83aにスライド可能に挿入されている。これにより、押し付け揺動体80は、リンク83が上下方向Y1,Y2に変位すると、その支軸40eを中心にして所定の角度範囲だけ矢印M1,N2方向に同様に揺動するようになっている。
【0045】
そして、この変位機構8による現像装置14の退避位置から現像位置への変位は、次のようにして行われる。
【0046】
まず、駆動モータ86が回転駆動してカム軸85を通じて偏心カム84が矢印J2方向に所定の角度だけ回転する。この際、カム軸85の回転状態は、そのカム軸85の端部に取り付けられた前記した被検出板88の位置をセンサ89で検知することで把握されている。これにより、リンク83が上方方向Y1に上昇移動することによって全押し付け揺動体80が支軸40eを中心にして矢印M1方向に揺動してその押し付け端部が各現像装置14に当接する。この押し付け全揺動体80の揺動により、退避位置にある各現像装置14がいずれも付勢力Fに抗して現像位置側となる矢印Z1方向に押圧され、もって現像位置に変位する。
【0047】
反対に、この変位機構8による現像装置14の現像位置から退避位置への変位は、次のようにして行われる。
【0048】
すなわち、駆動モータ86が回転駆動してカム軸85を通じて偏心カム84が矢印J1方向に所定の角度だけ回転する。これにより、リンク83が下方方向Y2に下降移動することによって全押し付け揺動体80が支軸40eを中心にして矢印M2方向に揺動してその押し付け端部が各現像装置14との当接から開放されるように動く。この全押し付け揺動体80の揺動により、現像位置にある各現像装置14がいずれも付勢力F等により退避位置側となる矢印Z2方向に押圧され、もって退避位置に変位する。
【0049】
<クリーニング動作や現像装置の変位動作に関する構成>
図3は、このカラープリンタにおける各ユニット10、20等の電源部と現像ユニット4の変位機構部に関する制御系の構成を示すブロック図である。
【0050】
図中の符号35は電源部を示す。この電源部35は、感光ドラム11の周囲に配される帯電ロール12への帯電バイアス、現像装置14への現像バイアスおよびトナー一時保持ブラシロール16へのクリーニングバイアスの給電と、各中間転写ドラム21〜23への一次転写又は二次転写バイアス、トナー一時保持ブラシロール26、27へのクリーニングバイアスおよびトナー回収部材28、29へのクリーニングバイアスの給電と、最終転写ロール25への最終転写バイアスの給電等を行うためのDC電源等を備えたものである。また、符号36は現像装置14の変位機構8における駆動モータ86の駆動を制御するモータ制御部である。
【0051】
また、符号50は演算処理装置、記憶装置等にて構成される中央制御部であり、この中央制御部50には上記電源部35およびモータ制御部36が接続されているほか、変位機構8における検知センサ89等が接続されている。そして、この中央制御部50においては、検知センサ89等からの各種検知信号が入力されるとともに、電源部35やモータ駆動部36等に対して図5に示すような動作タイミングや供給電圧値等の条件からなる制御信号が送信されて各バイアスの給電や現像装置の変位動作などの制御が実行されるようになっている。
【0052】
次に、この制御系による各動作について説明する。
【0053】
まず、プリンタがプリントジョブ(印字)の開始信号を受けた場合には、作像エンジン1や中間転写ドラム21〜23等の回転部品を駆動させる駆動モータが始動する。これと同時に、−950Vの帯電バイアスが印加されて感光ドラム11がマイナス極性に帯電され始めるとともに、一時保持ブラシロール16への−650Vのクリーニングバイアスが印加されて感光ドラム11上の逆極性トナーの捕獲がなされる。
【0054】
この際、現像装置14は退避位置にあるとともに、その現像ロール42には現像バイアスが印加されない状態(0Vの状態)に置かれる。これにより、かりに感光ドラム11の帯電が不十分な帯電未到達領域が現像装置14との対向位置を通過するようなことがあっても、現像装置14が退避位置にあるため、現像装置14の現像ロール42に形成されている磁気ブラシ内の正極性トナー(マイナス帯電トナー)が(現像バイアスの印加がないにもかかわらず)感光ドラム11の帯電未達成領域に引き出されることはない。
【0055】
また、各中間転写ドラム21〜23に+450Vの第1転写バイアスと+1000Vの第2転写バイアスがそれぞれ印加される。さらに、各中間転写ドラム21〜23に設置された一時保持ブラシロール26、27に+850Vや+1400Vのクリーニングバイアスがそれぞれ印加されるとともに、一次中間転写ドラム21、22に設置されたトナー回収部材28にはバイアスが印加されない一方で、二次中間転写ドラム29に設置されたトナー回収部材29に+2400Vのクリーニングバイアスが印加される。このような各バイアスの印加により、低い帯電のため一時保持ブラシロール26、27やトナー回収部材28、29で回収されずに各中間転写ドラム21〜23に在留していたトナーは各転写ドラム間のニップ(圧接部)や一時保持ブラシロールとの接触部が通過することによって、強制的に逆極性に帯電されることととなり、電位勾配の関係で第1中間転写ドラム21、22に設置されたトナー回収部材28に回収される。
【0056】
そして、このような印字準備が終了した後に作像プロセスが開始される。この際、まず帯電された感光ドラム11への露光により静電潜像の形成が開始されるが、その露光開始に先立って現像装置14が変位機構8によって退避位置から現像位置に変位させられる。また、露光開始直後に現像バイアスの印加がなされる。この現像装置14は、少なくとも感光ドラム11のうち上記露光の開始された地点からその露光が終了した地点が通過する間は現像位置に保持され、これにより現像が行われる。
【0057】
ここで、図6はプリントジョブ中、すなわち感光体ドラム11で形成されたトナー像が記録シートPに転写されている最中におけるトナーの流れを簡略的に示したものである。図中の数字は各部材に印加されているバイアス電圧である。このジョブ中において、正極性トナーは、感光体ドラム11から第1中間転写ドラム21、22へ一次転写され、更に第2中間転写ドラム23へ二次転写され、最終的に記録用紙Pへ最終転写される。
【0058】
この際、一次転写時に発生した逆極性トナーは、帯電ロール12へ逆流する途中で一時保持ブラシロール16によって捕獲される。また、第1中間転写ドラム21、21から第2中間転写ドラム23へ転写されなかった正極性の残留トナーは、感光体ドラム11へ戻る途中で一時保持ブラシロール(第1クリーナ)26に捕獲される。さらに、第2中間転写ドラム23から記録用紙Pへ転写されなかった正極性の残留トナーは第1中間転写ドラム21、22へ戻る途中でトナー回収部材29によってプロセス外へ排出され、この回収部材29を通り抜けた残留トナーは一時保持ブラシロール26によって捕獲される。一方、最終転写時に極性反転してしまった逆極性トナーは、第2中間転写ドラム23から第1中間転写ドラム21、22へと逆方向に遡るように転写され、トナー回収部材28によってプロセス外へ排出される。
【0059】
このプリンタでは、プリントジョブの実行中において、第1中間転写ドラム21、22に対して設けられたトナー回収部材28が逆極性トナーをその転写ドラム21、22の表面から除去している。これは、トナー像を記録用紙Pへ最終転写する際に生じた逆極性トナー、及びトナー像を第2中間転写ドラム23へ二次転写する際に生じた逆極性トナーが電位勾配を逆上って感光体ドラム11に付着するのを防止するためである、また、これにより特に、マゼンタ及びシアンの現像装置14M,14Cに対する他色トナーの混色を防止することができる。
【0060】
これに対し、第2中間転写ドラム23に対して設けられたトナー回収部材29は、プリントジョブの実行中、正極性トナーをその転写ドラム23の表面から除去している。これは、特にフルカラー画像の形成時には、第2中間転写ドラム23上に4色のトナー像が重ねて形成されているので最終転写後の第2中間転写ドラム23の表面には第1中間転写ドラム21、22に比較して多くの転写残留トナーが発生し易い傾向にある。このため、かりに記録用紙Pへ転写されなかった正極性トナーを第2中間転写ドラム23上から確実に除去しない場合には、かかる正極性トナーが第2中間ドラム23の周囲を一周し、記録用紙P上にゴースト像として転写されてしまう。したがって、このような問題を回避するために行っているものである。
【0061】
また、第1中間転写ドラム21、22に対して設けられた一時保持ブラシロール26は、トナー像の二次転写部とトナー回収部材28との間で各中間転写ドラム21、22の表面を摺擦しており、プリントジョブの実行中はバイアス電圧の印加によって正極性トナーを捕まえている。本来、正極性トナーは第1中間転写ドラム2から第2中間転写ドラム3へ転写されていくので、この第1クリーナ23が捕える正極性トナーは二次転写における転写残留トナーである。しかし、二次転写では2色のトナー像のみが第2中間転写ドラム3へ転写されるので、最終転写に比べて転写残留トナーは少ない。それ故、この一時保持ブラシロール26によって第1中間転写ドラム上の正極性トナーの除去を行うようにしているのである。
【0062】
そして、このプリンタにおいては、プリントジョブの動作が終了すると、図5に示すようにクリーニング動作(モード)が実行される。このクリーニング動作が実行される前において、現像装置14が変位機構8により現像位置から退避位置に変位させられるとともに、その退避位置への変位後に現像バイアスの印加も停止される。なお、かりに感光ドラム11に一時保持ロール16がない場合においても、このクリーニング動作の実行時における制御内容は同じであって何ら変わらない。
【0063】
図7は、プリントジョブの合間に行われるクリーニングモードを示すものである。このクリーニングモードは2つのステップからなり、同図aは第1ステップにおけるトナーの流れを、同図bは第2ステップにおけるトナーの流れを示している。
【0064】
まず、クリーニングモードの第1ステップでは、一時保持ブラシロール26、27にそれぞれ捕獲されている正極性トナーのプロセス外への排出と、最終転写ロール25に付着している正極性トナーのプロセス外への排出が行われる。前述した通りプリントジョブの実行中は、一時保持ブラシロール26、27では共に正極性トナーを捕獲しているが、最終転写ロール25上にも第2中間転写ドラム23から正極性トナーが転移し、かかる最終転写ロール25の表面には徐々に正極性トナーが蓄積されている。このように最終転写ロール25に付着した正極性トナーは記録用紙Pの裏面汚れを引き起こすほか、記録用紙Pに対するトナー像の転写不良をも引き起こす原因となる。
【0065】
従って、この第1ステップが開始されると、一時保持ブラシロール26、27へのバイアスの印加が停止(0V)される一方で、最終転写ロール25に印加されているバイアスの電圧が低減(+300V)に変更される。これにより、一時保持ブラシロール26に捕獲されていた正極性トナーが第1中間転写ドラム21、22上に吐き出される一方、一時保持ブラシロール27及び最終転写ロール25に付着していた正極性トナーが第2中間転写ドラム23上に吐き出される。そして、第2中間転写ドラム23上に吐き出された正極性トナーはトナー回収部材29によってプロセス外へ排出される。また、トナー回収部材28には+50Vのバイアスが印加される。これにより、かかる回収部材28は一時保持ブラシロール26によって第1中間転写ドラム21、22上に吐き出された正極性トナーをプロセス外へ排出する。
【0066】
続いて、クリーニングモードの第2ステップでは、一時保持ブラシロール16に捕獲された逆極性トナーや帯電ロール11に付着してしまった逆極性トナーのプロセス外への排出が行われる。また、意図せずして一時保持ブラシロール26、27および最終転写ロール25に付着していた逆極性トナーのプロセス外への排出も同時に行われる。
【0067】
この第2ステップが開始されると、感光体ドラム11と一時保持ブラシロール16および帯電ロール12との間に形成されていた電位勾配が逆転され、これら帯電ロール12および一時保持ブラシロール16から感光体ドラム11上に逆極性トナーが吐き出される。吐き出された逆極性トナーは感光体ドラム11から第1中間転写ドラム21、22へ転移した後、トナー回収部材28によってプロセス外へ排出される。また、第2中間転写ドラム23と一時保持ブラシロール27、最終転写ロール25との間にも第1ステップと逆の電位勾配が形成され、これにより一時保持ブラシロール27および最終転写ロール25に付着していた逆極性トナーは第2中間転写ドラム3上に吐き出される。一時保持ブラシロール27から吐き出された逆極性トナーは、第2中間転写ドラム23から第1中間転写ドラム21、22へと転移した後、トナー回収部材28によってプロセス外へ排出される。一方、最終転写ロール25から第2中間転写ドラム23へ吐き出された逆極性トナーは、トナー回収部材29によってプロセス外へ排出される。
【0068】
このようなクリーニングモードの実行により、プリントジョブ中に帯電ロール12、一時保持ブラシロール16、一時保持ブラシロール26、27及び最終転写ロール25に付着していた正極性トナーまたは逆極性トナーをプロセス外へ排出することができ、このクリーニングモードに引き続いて行われる次のプリントジョブでは、リフレッシュされたこれらの部材を用いて画像形成を行うことが可能となる。その結果、濃度むらやゴースト像の発生のない高品位の記録画像を記録シートP上に形成することができる。
【0069】
また、このクリーニングモードのうち特に第2ステップでは、現像装置14が感光ドラム11から離れた退避位置に変位しているため、感光ドラム11と現像ロール42の間において電位勾配があったとしても、かかる静電的な吸引力が及ばないため、その現像装置14の現像ロール42からトナーが感光ドラム11に引き出されることはない。しかも、この際、現像装置14の現像ロール42への現像バイアスは印加されていない状態(0V)にあり、このため、上記した現像装置14からのトナーの引き出し防止効果については現像バイアスとして逆極性のものを印加する等の特別な制御をすることなく容易に得ることができる。
【0070】
<電源投入時および緊急停止時における動作に関する構成>
このカラープリンタにおいては、そのプリンタ本体の電源が投入された時や、記録用紙Pの紙詰まり等の非常事態が発生してプリンタの動作が緊急に停止された時になると、その検知信号E1等が中央制御部50に入力され(図4)、その制御部50によって以下の制御が実行されるようになっている。
【0071】
すなわち、このプリンタでは、現像装置14のホームポジションが退避位置とされている関係から、上記電源投入時や緊急停止時になると、図8に示すように、まず現像装置14がホームポジションとしての退避位置に変位しているか否かが判断される(ステップS10)。この際、現像装置14が退避位置に変位しているかについての検知は、例えば変位機構8におけるカム軸に対する検知センサ89からの検知信号E2によって検知される。
【0072】
このとき退避位置にあれば、その後に設定されている制御動作、例えばクリーニング動作等が実行される(S11)。一方、退避位置にない場合には、まず変位機構8により現像装置14をホームポジションである退避位置に変位させた後(S12)、クリーニングモードが実行される(S11)。これにより、電源投入後や非常停止後において実行されるクリーニング動作は、現像装置14が確実に退避位置にある状態で実行されることになるため、特に現像装置14から感光ドラム11へトナーが引き出される現象が発生することを的確に防止することができる。
【0073】
[他の実施の形態]
なお、前記した実施の形態に係るカラープリンタにおいて、ドラム形式の画像転写ユニット20に代えて、ベルト形式の画像転写ユニットを適用してもよい。この場合、中間転写ベルトは、各作像エンジン1の感光ドラム11に接するとともに最終転写ロール25にも接した状態で回転するように配置する。また、各感光ドラム11上のトナー像を中間転写ベルトに一次転写させるための一次転写装置(例えば転写ロールを使用する接触式の転写装置)を配置する。そして、その中間転写ベルトまたは最終転写ロールにトナーを除去して回収する装置を設置し、かかるトナー除去回収装置によって感光ドラムユニット10側で発生する不要なトナーをクリーニング動作の実行により最終的にプロセス外に排出するように構成する。そのうえで、そのクリーニング動作の実行時に少なくとも現像装置14を退避位置に変位させるようにする。これにより、前記実施の形態の場合と同様の作用効果が得られる。
【0074】
また、そのドラム形式の画像転写ユニット20や最終転写ロール25に代えて、用紙搬送ベルトまたはドラム(ユニット)を適用してもよい。この場合、その用紙搬送ベルトまたはドラムは、記録用紙Pを静電的に吸着保持して各作像エンジン1の感光ドラム11に接した状態で回転するように配置する。また、その用紙搬送ベルトまたはドラムに上記トナー除去回収装置を設置する。そして、そのトナー除去回収装置によって感光ドラムユニット10側で発生する不要なトナーを最終的にプロセス外に排出するためのクリーニング動作の実行するように構成する。そのうえで、そのクリーニング動作の実行時に少なくとも現像装置14を退避位置に変位させるようにする。これによっても、前記実施の形態の場合と同様の作用効果が得られる。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の画像形成装置によれば、特に像担持体にブレード式のクリーニング装置を設置せず、その像担持体に存在する不要トナーを電位勾配を利用して他の構成部品に静電的に転移させて排除するクリーニング動作を実行する場合であっても、少なくともそのクリーニング動作を実行する際における現像装置からのトナーの引き出し等を簡易に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係るカラープリンタを示す概略構成図。
【図2】変位機構を備えた現像ユニットを示す概略斜視図。
【図3】図2の変位機構の概略斜視図。
【図4】クリーニング動作や現像装置の変位動作等に係る制御系の構成を示すブロック図。
【図5】プリント動作およびクリーニング動作のタイミングチャート。
【図6】プリントジョブ時のトナーの流れなどを示す説明図。
【図7】(a)はクリーニングモードの第1ステップ時におけるトナーの流れなどを示す説明図、(b)はその第2ステップ時におけるトナーの流れなどを示す説明図。
【図8】電源投入時や緊急停止時における動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
8…変位機構、11…感光ドラム(像担持体)、12…帯電ロール、14…現像装置、21〜23…中間転写ドラム(中間転写体)、16,26,27…トナー一時保持ブラシロール、28,29…トナー回収部材、P…記録用紙。
Claims (4)
- 帯電後に静電潜像が形成される像担持体と、この像担持体上の静電潜像を現像バイアス印加の下でトナーの供給により現像してトナー像とする現像装置と、この現像装置により現像して形成した前記像担持体上のトナー像を記録用紙若しくは用紙搬送体にて搬送される記録用紙に直接または中間転写体を介して静電的に転写させる転写装置とを備え、その像担持体上に存在する不要トナーを電位勾配の形成により用紙搬送体、中間転写体または転写装置に静電的に転移させて排除するクリーニング動作を実行する画像形成装置において、
前記現像装置を前記像担持体に近接対向する現像位置とその像担持体から離れた退避位置との間で変位させる変位機構を設け、その変位機構は少なくとも前記クリーニング動作を実行する時間帯には現像装置を退避位置に変位させることを特徴とする画像形成装置。 - 前記変位機構は、前記像担持体の未帯電領域および帯電未達成領域が通過する時間帯には現像装置を退避位置に変位させる請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記変位機構は、電源投入時または緊急停止時に現像装置が退避位置に変位しているか否かを検知し、退避位置に変位していない場合には当該現像装置を退避位置に変位させる請求項1又は2に記載の画像形成装置。
- 前記現像装置が少なくとも退避位置に変位している時間帯には当該現像装置に現像バイアスを印加しない請求項1に記載の画像形成装置。
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