JP2004020501A - 磁気式多回転エンコーダ装置および磁気歯車の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高速や高加速時でも多回転検出の誤動作がなく、小型化が可能な磁気式多回転エンコーダ装置を得る。
【解決手段】本発明の磁気式多回転エンコーダ装置は、回転軸に取り付けられた一回転以内の絶対値回転角度を検出するエンコーダと、回転軸に直結した第一の磁気歯車と第一の磁気歯車に対向して非接触で配置された第一の磁気歯車よりも磁極数が多いひとつ以上の第二の磁気歯車(5)から構成され、第二の磁気歯車の回転の絶対角度から多回転量を検出する磁気式多回転検出部からなるもので、第二の磁気歯車が、第二の磁気歯車の回転軸に平行な方向に磁化した永久磁石と、永久磁石の両面に配置した1/2ピッチずらした一組の歯車形状の強磁性体(51a,51b)とから構成されたものである。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の磁気式多回転エンコーダ装置は、回転軸に取り付けられた一回転以内の絶対値回転角度を検出するエンコーダと、回転軸に直結した第一の磁気歯車と第一の磁気歯車に対向して非接触で配置された第一の磁気歯車よりも磁極数が多いひとつ以上の第二の磁気歯車(5)から構成され、第二の磁気歯車の回転の絶対角度から多回転量を検出する磁気式多回転検出部からなるもので、第二の磁気歯車が、第二の磁気歯車の回転軸に平行な方向に磁化した永久磁石と、永久磁石の両面に配置した1/2ピッチずらした一組の歯車形状の強磁性体(51a,51b)とから構成されたものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロボットや工作機などに使用する回転機器の多回転量を検出するバッテリレスの多回転エンコーダ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の磁気カップリングによる減速機構を用いた磁気式多回転エンコーダ装置として図9に示すものがある。図9は従来の磁気式多回転エンコーダ装置を示す斜視図、図9はその断面図である。図において、1は回転軸、2は第一の磁気歯車、3は第一の角度検出器、5は第二の磁気歯車、6は第二の角度検出器である。52は第二の磁気歯車5の永久磁石である。21は第一の磁気歯車2の永久磁石、7は永久磁石21の磁化方向,8は第二の磁気歯車5の磁化方向である。第二の磁気歯車5は斜視図を図11に示すように、多極着磁を施し磁極数を多くした円柱または円筒形状の永久磁石が用いられる。
以上の構成において、回転軸1の回転は、第一の磁気歯車2に非接触で対向している第一の磁気歯車よりも磁極数の多い第二の磁気歯車5に伝達され、角度検出器6で回転数が検出される。
このように、非接触の磁気歯車2,5で構成される磁気カップリングにより、回転軸1の回転を大きな減速比で減速できるので、機械歯車式の多回転エンコーダ装置と比較して、小型で、軸受以外に機械的接触部がないので、信頼性が高く長寿命で、バッテリレスにすることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の磁気式多回転エンコーダ装置においては、高速または高加速度で回転させた場合に磁気カップリングが滑るなどして回転の伝達に不具合が生じるという問題を有する。また、永久磁石への多極着磁の細かさや位置精度には工業上制約があり、小型化や高精度化に限界があるという問題がある。
そこで、本発明はこのような問題点を解決するもので、その目的とするところは、高速や高加速時でも多回転検出の誤動作がなく、小型化が可能な磁気式多回転エンコーダ装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、第1の発明の磁気式多回転エンコーダ装置は、回転軸に取り付けられた一回転以内の絶対値回転角度を検出するエンコーダと、回転軸に直結した第一の磁気歯車と前記第一の磁気歯車に対向して非接触で配置された前記第一の磁気歯車よりも磁極数が多いひとつ以上の第二の磁気歯車から構成され、前記第二の磁気歯車の回転の絶対角度から多回転量を検出する磁気式多回転検出部からなり、前記第二の磁気歯車が、前記第二の磁気歯車の回転軸に平行な方向に磁化した永久磁石と、前記永久磁石の両面に配置した1/2ピッチずらした一組の歯車形状の強磁性体とから構成されたものである。
本構成によれば、第二の磁気歯車の磁極をより精細により高精度にできるので、磁気カップリングによる減速機構における脱調や誤回転などによる回転の伝達の不具合の可能性を大きく低減でき、大幅な小型化が可能となる。
第2の発明の磁気式多回転エンコーダ装置は、回転軸に取り付けられた一回転以内の絶対値回転角度を検出するエンコーダと、回転軸に直結した第一の磁気歯車と前記第一の磁気歯車に対向して非接触で配置された前記第一の磁気歯車よりも磁極数が多いひとつ以上の第二の磁気歯車から構成され、前記第二の磁気歯車の回転の絶対角度から多回転量を検出する磁気式多回転検出部からなる磁気式多回転エンコーダ装置において、前記第一の磁気歯車の表面磁束の半値幅の割合を75%以上としたものである。
本構成によれば、第1の発明の磁気式多回転エンコーダ装置と同様な効果が得られる
第3の発明の磁気歯車の製造方法は、強磁性体で囲まれた円筒形状または円柱形状の空隙に永久磁石粉末を充填し、前記円筒形状または円柱形状の半径方向に平行な配向磁界を印加させながら成形し、永久磁石とした後、前記半径方向に着磁するものである。
本構成によれば、第一の磁気歯車の表面磁束が低い領域が少なくなることから、磁気カップリングによる減速機構における脱調や誤回転などによる回転の伝達の不具合の可能性を大きく低減することができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳細に説明する。
(第1実施例)
本発明の第1実施例を図1に示す。本発明の全体構成は、従来(図9)と同じである。図1は第二の磁気歯車を示す斜視図、図2は図1の側断面図である。図中の符号において共通するものは説明を省く。図2において、51a,51bは、歯車形状の純鉄からなる強磁性体、52は永久磁石、8は永久磁石52の磁化方向、9は強磁性体51a,51bを通る磁束である。第二の磁気歯車5は、図1に示すように、二つの強磁性体51a、51bからなり、相対的に1/2ピッチずらして組み立てている。永久磁石52は、軸長が短い図2(a)の構造のものと、軸長が長い図2(b)の構造の二種類を作製した。図2(a)では強磁性体51aおよび51bで挟む構造が簡便であり、図2(b)では永久磁石52の量を増やすことができ、磁気伝達力を強めることができる。
磁気カップリングの形成状態を図3に示す。図3は、二つの強磁性体51a、51bを磁化方向7の永久磁石21からなる第一の磁気歯車と対向させたときの模式図である。 第二の磁気歯車5において、永久磁石52から発生した磁束8は、強磁性体51a、51bを磁路として歯の先端に収束され、対向する第一の磁気歯車2と磁気カップリングを形成する。この時、一方の強磁性体51aは、例えばN極のみとなるが、他方の強磁性体51bはS極で、かつ1/2ピッチずれているため、第二の磁気歯車5全体では、N極とS極が交互に発生できる。したがって、第二の磁気歯車5と非接触で対向する第一の磁気歯車2とから磁気カップリングが形成される。
つぎに動作について説明する。
減速比が1:8のときの第一の回転軸1の回転量を図4(a)に、減速した第二の回転軸4の回転量を図4(b)に示した。一回転が一周期の正弦波波形の信号なので、絶対値回転角度を得ることができる。また、回転軸1が8回転で第二の回転軸4が一回転している。すなわち、一回転以内の絶対値回転角度と8回転までの多回転量を検出できる多回転エンコーダ装置を得る事ができる。
外径5mmの第二の磁気歯車5を作製したが、本発明によれば32極が形成でき、従来の第二の磁気歯車を用いたもの(図11)では、16極しか形成できなかった。つまり、本発明のものは、倍の多回転量まで検出するできることになる。これは、従来例が多極着磁用の着磁ヨークの仕様上、コイルに流すことのできる電流量の制約により着磁幅が限定されるからである。さらに、本発明では第二の磁気歯車の外径精度が機械加工精度により決定するため、従来例の永久磁石の外径精度よりも高く、第一の磁気歯車2と第二の磁気歯車5の間のギャップ長を狭めることができ、その分磁気伝達力を高めることができた。
高速回転試験を施したところ、従来例が0.2mmのギャップ長で6000rpmを越えると脱調してしまったのに対し、本発明では0.05mmのギャップ長で15000rpmまで問題なく、高い信頼性が確認できた。
次に多回転エンコーダ装置を作製した。第二の磁気歯車5を3個準備し、各々42極、44極、46極とした。比較例では第二の磁気歯車5の外径が最小でも15mmにしかならなかったのに対し、本発明での第二の磁気歯車5の外径は7mmにすることができた。いずれの場合も2極着磁した第一の磁気歯車2と対向させて、10626回転までの多回転量を検出できる磁気式多回転エンコーダ装置が得られた。このとき、バッテリによる多回転量の保持も不要であり、バッテリレス化も実現した。
この時、比較例の多回転エンコーダ装置の外径が38mmであったのに対し、本発明の多回転エンコーダ装置の外径は22mmと小さくでき、体積で約3/4と大幅な小型化を実現できた。
多回転量の検出は、第二の磁気歯車5の極ピッチ精度に影響されるため、比較例では多回転量の検出に誤差を生じることがあった。もちろん、本発明では何ら問題が生じることはなかった。
また、第二の磁気歯車の歯車形状として、いわゆるクローポール型のものを採用した一例を図5に示す。この場合でも何ら問題がなく、より高速、高加速度での多回転検出が可能となった。
なお、本実施例では第二の磁気歯車5の強磁性体の歯車形状を矩形にしたが、図6に示すような形状のものでもよい。また、歯車形状の強磁性体および永久磁石の形状や材料の種類については、これ以外のものでも本発明は有効であり、これらの実施例に限定されるものではない。
【0006】
(第2実施例)
本発明の第2実施例の全体構成は、第1実施例と同様であるが、第一の磁気歯車2の表面磁束を台形に近い形状にし半値幅の割合を高くしたものである。
第一の磁気歯車2に用いる永久磁石の製造方法について、本発明の製法である図7(a)および従来の製法である図7(b)を用いて説明する。図において、11は磁石粉末を充填する空隙、12は強磁性体、13は配向磁界である。
従来の永久磁石は、空隙11に磁石粉末を入れ、一方向の配向磁界13中で成形して作製するため、直線異方性となり、着磁後の永久磁石の表面磁束は正弦波となる。一方、本発明の第一の磁気歯車に用いる永久磁石は、空隙11の周囲を強磁性体12とすることにより、配向磁界13は永久磁石の半径方向に印加することから、着磁後の永久磁石の表面磁束は台形波となる。この時、強磁性体12の形状や空隙11からの距離を変えることにより、着磁後の永久磁石の表面磁束波形の形状をある程度自由に調整することができる。
第一の磁気歯車2の表面磁束分布の例を図8に示す。図8(a)は本発明の表面磁束分布の例、図8(b)は従来の表面磁束分布の例である。従来の表面磁束分布は直線異方性であるため正弦波形状を示し、その半値幅の割合は2/3≒67%である。つまり、1/3は表面磁束が小さく、高速や高加速時には回転伝達に脱調など不具合などが生じることがある。
これに対して、本発明の第一の磁気歯車2の表面磁束は台形に近い形状を示し、その半値幅の割合は75%、望ましくは85%以上であるので、回転伝達の弱い領域が少なく、減速伝達時の誤動作はなくなる。
以下に、高速回転試験結果を示したが、半値幅の割合が75%以上、または85%以上にしたときには、それ未満のときよりもより高速回転を実現している。
半値幅の割合 最大回転速度
66.7% 5800rpm
72.3% 6100rpm
75.2% 8900rpm
85.5% 12800rpm
90.3% 13100rpm
次に多回転エンコーダ装置を作製した。第二の磁気歯車5を3個準備し、各々42極、44極、46極とし、2極着磁した第一の磁気歯車2と対向させて、10626回転までの多回転量を検出できる磁気式多回転エンコーダ装置とできた。このとき、バッテリによる多回転量の保持も不要であり、バッテリレス化も実現した。
なお、本実施例では2極の永久磁石の場合を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、ラジアル異方性磁石を用いれば、4極以上の第一の磁気歯車を作製することができる。また、磁石の成形方法については、圧縮によるもの、射出によるもの、押出しによるもの、トランスファーによるもの、その他いずれの方法を用いてもよい。
【0007】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば第二の磁気歯車を回転軸に平行な方向に磁化した永久磁石と、この永久磁石の両面に配置した1/2ピッチずらした一組の歯車形状の強磁性体(51a,51b)とから構成したので、高速や高加速度の回転時でも誤動作することがなく、小型で、高信頼性で、バッテリが不要な磁気式多回転エンコーダ装置を得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第二の磁気歯車の斜視図。
【図2】本発明の第二の磁気歯車の側断面図。
【図3】本発明の第一の磁気歯車と第二の磁気歯車の関係を説明する図。
【図4】本発明の磁気式多回転エンコーダ装置の回転角度と検出信号の特性
図。
【図5】本発明の第二の磁気歯車の斜視図。
【図6】本発明の歯車形状の強磁性体の上面図。
【図7】本発明の第一の磁気歯車の製造方法を説明する図。
【図8】本発明の第一の磁気歯車の表面磁束波形を示す図。
【図9】従来の磁気式多回転エンコーダ装置構成を示す斜視図。
【図10】従来の第一の磁気歯車と第二の磁気歯車の関係を説明する図。
【図11】従来の第二の磁気歯車の斜視図。
【符号の説明】
1 回転軸
2 第一の磁気歯車
21 永久磁石
3 第一の角度検出器
5 第二の磁気歯車
51,51a,51b 強磁性体
52 永久磁石
6 第二の角度検出器
7,8 磁化方向
9 磁束
10,10a,10b クローポール型の強磁性体
11 磁石粉末を充填する空隙
12 強磁性体
13 配向磁界
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロボットや工作機などに使用する回転機器の多回転量を検出するバッテリレスの多回転エンコーダ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の磁気カップリングによる減速機構を用いた磁気式多回転エンコーダ装置として図9に示すものがある。図9は従来の磁気式多回転エンコーダ装置を示す斜視図、図9はその断面図である。図において、1は回転軸、2は第一の磁気歯車、3は第一の角度検出器、5は第二の磁気歯車、6は第二の角度検出器である。52は第二の磁気歯車5の永久磁石である。21は第一の磁気歯車2の永久磁石、7は永久磁石21の磁化方向,8は第二の磁気歯車5の磁化方向である。第二の磁気歯車5は斜視図を図11に示すように、多極着磁を施し磁極数を多くした円柱または円筒形状の永久磁石が用いられる。
以上の構成において、回転軸1の回転は、第一の磁気歯車2に非接触で対向している第一の磁気歯車よりも磁極数の多い第二の磁気歯車5に伝達され、角度検出器6で回転数が検出される。
このように、非接触の磁気歯車2,5で構成される磁気カップリングにより、回転軸1の回転を大きな減速比で減速できるので、機械歯車式の多回転エンコーダ装置と比較して、小型で、軸受以外に機械的接触部がないので、信頼性が高く長寿命で、バッテリレスにすることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の磁気式多回転エンコーダ装置においては、高速または高加速度で回転させた場合に磁気カップリングが滑るなどして回転の伝達に不具合が生じるという問題を有する。また、永久磁石への多極着磁の細かさや位置精度には工業上制約があり、小型化や高精度化に限界があるという問題がある。
そこで、本発明はこのような問題点を解決するもので、その目的とするところは、高速や高加速時でも多回転検出の誤動作がなく、小型化が可能な磁気式多回転エンコーダ装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、第1の発明の磁気式多回転エンコーダ装置は、回転軸に取り付けられた一回転以内の絶対値回転角度を検出するエンコーダと、回転軸に直結した第一の磁気歯車と前記第一の磁気歯車に対向して非接触で配置された前記第一の磁気歯車よりも磁極数が多いひとつ以上の第二の磁気歯車から構成され、前記第二の磁気歯車の回転の絶対角度から多回転量を検出する磁気式多回転検出部からなり、前記第二の磁気歯車が、前記第二の磁気歯車の回転軸に平行な方向に磁化した永久磁石と、前記永久磁石の両面に配置した1/2ピッチずらした一組の歯車形状の強磁性体とから構成されたものである。
本構成によれば、第二の磁気歯車の磁極をより精細により高精度にできるので、磁気カップリングによる減速機構における脱調や誤回転などによる回転の伝達の不具合の可能性を大きく低減でき、大幅な小型化が可能となる。
第2の発明の磁気式多回転エンコーダ装置は、回転軸に取り付けられた一回転以内の絶対値回転角度を検出するエンコーダと、回転軸に直結した第一の磁気歯車と前記第一の磁気歯車に対向して非接触で配置された前記第一の磁気歯車よりも磁極数が多いひとつ以上の第二の磁気歯車から構成され、前記第二の磁気歯車の回転の絶対角度から多回転量を検出する磁気式多回転検出部からなる磁気式多回転エンコーダ装置において、前記第一の磁気歯車の表面磁束の半値幅の割合を75%以上としたものである。
本構成によれば、第1の発明の磁気式多回転エンコーダ装置と同様な効果が得られる
第3の発明の磁気歯車の製造方法は、強磁性体で囲まれた円筒形状または円柱形状の空隙に永久磁石粉末を充填し、前記円筒形状または円柱形状の半径方向に平行な配向磁界を印加させながら成形し、永久磁石とした後、前記半径方向に着磁するものである。
本構成によれば、第一の磁気歯車の表面磁束が低い領域が少なくなることから、磁気カップリングによる減速機構における脱調や誤回転などによる回転の伝達の不具合の可能性を大きく低減することができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳細に説明する。
(第1実施例)
本発明の第1実施例を図1に示す。本発明の全体構成は、従来(図9)と同じである。図1は第二の磁気歯車を示す斜視図、図2は図1の側断面図である。図中の符号において共通するものは説明を省く。図2において、51a,51bは、歯車形状の純鉄からなる強磁性体、52は永久磁石、8は永久磁石52の磁化方向、9は強磁性体51a,51bを通る磁束である。第二の磁気歯車5は、図1に示すように、二つの強磁性体51a、51bからなり、相対的に1/2ピッチずらして組み立てている。永久磁石52は、軸長が短い図2(a)の構造のものと、軸長が長い図2(b)の構造の二種類を作製した。図2(a)では強磁性体51aおよび51bで挟む構造が簡便であり、図2(b)では永久磁石52の量を増やすことができ、磁気伝達力を強めることができる。
磁気カップリングの形成状態を図3に示す。図3は、二つの強磁性体51a、51bを磁化方向7の永久磁石21からなる第一の磁気歯車と対向させたときの模式図である。 第二の磁気歯車5において、永久磁石52から発生した磁束8は、強磁性体51a、51bを磁路として歯の先端に収束され、対向する第一の磁気歯車2と磁気カップリングを形成する。この時、一方の強磁性体51aは、例えばN極のみとなるが、他方の強磁性体51bはS極で、かつ1/2ピッチずれているため、第二の磁気歯車5全体では、N極とS極が交互に発生できる。したがって、第二の磁気歯車5と非接触で対向する第一の磁気歯車2とから磁気カップリングが形成される。
つぎに動作について説明する。
減速比が1:8のときの第一の回転軸1の回転量を図4(a)に、減速した第二の回転軸4の回転量を図4(b)に示した。一回転が一周期の正弦波波形の信号なので、絶対値回転角度を得ることができる。また、回転軸1が8回転で第二の回転軸4が一回転している。すなわち、一回転以内の絶対値回転角度と8回転までの多回転量を検出できる多回転エンコーダ装置を得る事ができる。
外径5mmの第二の磁気歯車5を作製したが、本発明によれば32極が形成でき、従来の第二の磁気歯車を用いたもの(図11)では、16極しか形成できなかった。つまり、本発明のものは、倍の多回転量まで検出するできることになる。これは、従来例が多極着磁用の着磁ヨークの仕様上、コイルに流すことのできる電流量の制約により着磁幅が限定されるからである。さらに、本発明では第二の磁気歯車の外径精度が機械加工精度により決定するため、従来例の永久磁石の外径精度よりも高く、第一の磁気歯車2と第二の磁気歯車5の間のギャップ長を狭めることができ、その分磁気伝達力を高めることができた。
高速回転試験を施したところ、従来例が0.2mmのギャップ長で6000rpmを越えると脱調してしまったのに対し、本発明では0.05mmのギャップ長で15000rpmまで問題なく、高い信頼性が確認できた。
次に多回転エンコーダ装置を作製した。第二の磁気歯車5を3個準備し、各々42極、44極、46極とした。比較例では第二の磁気歯車5の外径が最小でも15mmにしかならなかったのに対し、本発明での第二の磁気歯車5の外径は7mmにすることができた。いずれの場合も2極着磁した第一の磁気歯車2と対向させて、10626回転までの多回転量を検出できる磁気式多回転エンコーダ装置が得られた。このとき、バッテリによる多回転量の保持も不要であり、バッテリレス化も実現した。
この時、比較例の多回転エンコーダ装置の外径が38mmであったのに対し、本発明の多回転エンコーダ装置の外径は22mmと小さくでき、体積で約3/4と大幅な小型化を実現できた。
多回転量の検出は、第二の磁気歯車5の極ピッチ精度に影響されるため、比較例では多回転量の検出に誤差を生じることがあった。もちろん、本発明では何ら問題が生じることはなかった。
また、第二の磁気歯車の歯車形状として、いわゆるクローポール型のものを採用した一例を図5に示す。この場合でも何ら問題がなく、より高速、高加速度での多回転検出が可能となった。
なお、本実施例では第二の磁気歯車5の強磁性体の歯車形状を矩形にしたが、図6に示すような形状のものでもよい。また、歯車形状の強磁性体および永久磁石の形状や材料の種類については、これ以外のものでも本発明は有効であり、これらの実施例に限定されるものではない。
【0006】
(第2実施例)
本発明の第2実施例の全体構成は、第1実施例と同様であるが、第一の磁気歯車2の表面磁束を台形に近い形状にし半値幅の割合を高くしたものである。
第一の磁気歯車2に用いる永久磁石の製造方法について、本発明の製法である図7(a)および従来の製法である図7(b)を用いて説明する。図において、11は磁石粉末を充填する空隙、12は強磁性体、13は配向磁界である。
従来の永久磁石は、空隙11に磁石粉末を入れ、一方向の配向磁界13中で成形して作製するため、直線異方性となり、着磁後の永久磁石の表面磁束は正弦波となる。一方、本発明の第一の磁気歯車に用いる永久磁石は、空隙11の周囲を強磁性体12とすることにより、配向磁界13は永久磁石の半径方向に印加することから、着磁後の永久磁石の表面磁束は台形波となる。この時、強磁性体12の形状や空隙11からの距離を変えることにより、着磁後の永久磁石の表面磁束波形の形状をある程度自由に調整することができる。
第一の磁気歯車2の表面磁束分布の例を図8に示す。図8(a)は本発明の表面磁束分布の例、図8(b)は従来の表面磁束分布の例である。従来の表面磁束分布は直線異方性であるため正弦波形状を示し、その半値幅の割合は2/3≒67%である。つまり、1/3は表面磁束が小さく、高速や高加速時には回転伝達に脱調など不具合などが生じることがある。
これに対して、本発明の第一の磁気歯車2の表面磁束は台形に近い形状を示し、その半値幅の割合は75%、望ましくは85%以上であるので、回転伝達の弱い領域が少なく、減速伝達時の誤動作はなくなる。
以下に、高速回転試験結果を示したが、半値幅の割合が75%以上、または85%以上にしたときには、それ未満のときよりもより高速回転を実現している。
半値幅の割合 最大回転速度
66.7% 5800rpm
72.3% 6100rpm
75.2% 8900rpm
85.5% 12800rpm
90.3% 13100rpm
次に多回転エンコーダ装置を作製した。第二の磁気歯車5を3個準備し、各々42極、44極、46極とし、2極着磁した第一の磁気歯車2と対向させて、10626回転までの多回転量を検出できる磁気式多回転エンコーダ装置とできた。このとき、バッテリによる多回転量の保持も不要であり、バッテリレス化も実現した。
なお、本実施例では2極の永久磁石の場合を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、ラジアル異方性磁石を用いれば、4極以上の第一の磁気歯車を作製することができる。また、磁石の成形方法については、圧縮によるもの、射出によるもの、押出しによるもの、トランスファーによるもの、その他いずれの方法を用いてもよい。
【0007】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば第二の磁気歯車を回転軸に平行な方向に磁化した永久磁石と、この永久磁石の両面に配置した1/2ピッチずらした一組の歯車形状の強磁性体(51a,51b)とから構成したので、高速や高加速度の回転時でも誤動作することがなく、小型で、高信頼性で、バッテリが不要な磁気式多回転エンコーダ装置を得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第二の磁気歯車の斜視図。
【図2】本発明の第二の磁気歯車の側断面図。
【図3】本発明の第一の磁気歯車と第二の磁気歯車の関係を説明する図。
【図4】本発明の磁気式多回転エンコーダ装置の回転角度と検出信号の特性
図。
【図5】本発明の第二の磁気歯車の斜視図。
【図6】本発明の歯車形状の強磁性体の上面図。
【図7】本発明の第一の磁気歯車の製造方法を説明する図。
【図8】本発明の第一の磁気歯車の表面磁束波形を示す図。
【図9】従来の磁気式多回転エンコーダ装置構成を示す斜視図。
【図10】従来の第一の磁気歯車と第二の磁気歯車の関係を説明する図。
【図11】従来の第二の磁気歯車の斜視図。
【符号の説明】
1 回転軸
2 第一の磁気歯車
21 永久磁石
3 第一の角度検出器
5 第二の磁気歯車
51,51a,51b 強磁性体
52 永久磁石
6 第二の角度検出器
7,8 磁化方向
9 磁束
10,10a,10b クローポール型の強磁性体
11 磁石粉末を充填する空隙
12 強磁性体
13 配向磁界
Claims (3)
- 回転軸に取り付けられた一回転以内の絶対値回転角度を検出するエンコーダと、回転軸に直結した第一の磁気歯車と前記第一の磁気歯車に対向して非接触で配置された前記第一の磁気歯車よりも磁極数が多いひとつ以上の第二の磁気歯車から構成され、前記第二の磁気歯車の回転の絶対角度から多回転量を検出する磁気式多回転検出部からなる磁気式多回転エンコーダ装置において、
前記第二の磁気歯車が、前記第二の磁気歯車の回転軸に平行な方向に磁化した永久磁石と、前記永久磁石の両面に配置した1/2ピッチずらした一組の歯車形状の強磁性体とから構成されることを特徴とする磁気式多回転エンコーダ装置。 - 回転軸に取り付けられた一回転以内の絶対値回転角度を検出するエンコーダと、回転軸に直結した第一の磁気歯車と前記第一の磁気歯車に対向して非接触で配置された前記第一の磁気歯車よりも磁極数が多いひとつ以上の第二の磁気歯車から構成され、前記第二の磁気歯車の回転の絶対角度から多回転量を検出する磁気式多回転検出部からなる磁気式多回転エンコーダ装置において、
前記第一の磁気歯車の表面磁束の半値幅の割合が75%以上であることを特徴とする磁気式多回転エンコーダ装置。 - 強磁性体で囲まれた円筒形状または円柱形状の空隙に永久磁石粉末を充填し、前記円筒形状または円柱形状の半径方向に平行な配向磁界を印加させながら成形し、永久磁石とした後、前記半径方向に着磁する事を特徴とする磁気歯車の製造方法。
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