JP2004020287A - 担体、検体の処理方法および検体処理キット - Google Patents

担体、検体の処理方法および検体処理キット Download PDF

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射谷 和徳
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Abstract

【課題】検体中から目的物を、容易かつ確実に採取することができる担体、検体の処理方法および検体処理キットを提供すること。
【解決手段】本発明の担体Pは、検体S中の目的物Qを担持可能であり、比重(4℃の水に対する)が1未満である。この担体Pは、中空体または多孔質体であるのが好ましく、また、粒状をなしているのが好ましい。本発明の検体の処理方法は、かかる担体Pを用いて行われるものであり、ノズル30の先端部に装着したフィルター付部材1(管状部材11)内で、検体S中の目的物Qと担体Pとを接触させ、その後、目的物Qを担持した担体Pが検体Sに浮遊した状態で、検体Sをフィルター付部材1内から排出し、目的物Qを担持した担体Pをフィルター付部材1内に分取する。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、担体、検体の処理方法および検体処理キットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、医療、薬品、生物、食品等の広い分野で、検査、測定、研究を目的として、血液等の検体から、目的物(目的成分)を採取(単離)する作業が必要とされている。
【0003】
例えば、酵素免疫測定法(EIA法)では、抗原または抗体をコーティングした担体(粒子)に、目的物を反応(例えば吸着等)させて、採取する。
【0004】
ところが、従来の方法では、担体の比重(密度)について検討されておらず、一般に、担体には、液体に沈殿するもの、または、分散(懸濁)状態となるものが使用されている。
【0005】
そして、従来の方法では、検体と担体とを混合した混合物中から、目的物を吸着した担体を分取する際には、遠心分離による分取方法や、フィルターによる分取方法が用いられる。
【0006】
ところが、遠心分離による分取方法では、その操作が煩雑であり、手間と時間とを要するという問題がある。
【0007】
また、フィルターによる分取方法では、混合物のろ過が進行すると、次第にフィルター上に目的物を吸着した担体が堆積していき、フィルターに目詰まりが生じる。その結果、混合物の流下速度(ろ過速度)が低下し、ろ過時間(分取時間)が長くなるという問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、検体中から目的物を、容易かつ確実に採取(回収)することができる担体、検体の処理方法および検体処理キットを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(31)の本発明により達成される。
【0010】
(1) 検体中の目的物を担持可能であり、比重(4℃の水に対する)が1未満であることを特徴とする担体。
【0011】
(2) 前記担体は、中空体または多孔質体である上記(1)に記載の担体。
【0012】
(3) 前記担体は、粒状をなしている上記(1)または(2)に記載の担体。
【0013】
(4) 前記担体の平均粒径は、10〜1000μmである上記(3)に記載の担体。
【0014】
(5) 前記担体は、その少なくとも表面が前記目的物を担持し得る物質で構成されたものである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の担体。
【0015】
(6) 前記担体は、その一部が磁石に吸着し得る材料で構成されている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の担体。
【0016】
(7) 前記目的物は、微生物、核酸、タンパク質、糖タンパク質、ホルモン類、アミノ酸、ペプチドまたはヌクレオチドである上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の担体。
【0017】
(8) ノズルの先端部に装着した管状部材内で、液状の検体中の目的物と、上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の担体とを接触させ、
その後、前記目的物を担持した前記担体が前記検体に浮遊した状態で、前記検体を前記管状部材内から排出し、前記目的物を担持した前記担体を前記管状部材内に分取することを特徴とする検体の処理方法。
【0018】
(9) 前記管状部材内で、前記検体と前記担体とを接触させる際に、前記検体に前記担体を懸濁させる上記(8)に記載の検体の処理方法。
【0019】
(10) 前記懸濁は、前記検体を前記管状部材内から排出した後、再度、前記管状部材内に導入する操作を少なくとも1回行うことにより行われる上記(9)に記載の検体の処理方法。
【0020】
(11) 前記検体を加温しつつ、前記担体に前記目的物を担持させる上記(8)ないし(10)のいずれかに記載の検体の処理方法。
【0021】
(12) 前記加温の温度は、20〜100℃である上記(11)に記載の検体の処理方法。
【0022】
(13) 前記検体に電磁波を照射しつつ、前記担体に前記目的物を担持させる上記(8)ないし(12)のいずれかに記載の検体の処理方法。
【0023】
(14) 前記電磁波は、マイクロ波である上記(13)に記載の検体の処理方法。
【0024】
(15) 前記電磁波は、紫外線である上記(13)に記載の検体の処理方法。
【0025】
(16) 分取された前記目的物を担持した前記担体を洗浄する上記(8)ないし(15)のいずれかに記載の検体の処理方法。
【0026】
(17) 前記洗浄は、前記管状部材内に洗浄液を導入し、
次いで、前記目的物を担持した前記担体が前記洗浄液に浮遊した状態で、前記洗浄液を前記管状部材内から排出する操作を少なくとも1回行うことにより行われる上記(16)に記載の検体の処理方法。
【0027】
(18) 分取された前記目的物を担持した前記担体に、前記目的物を前記担体から分離し得る分離液を接触させ、分離した前記目的物を前記分離液中に回収する上記(8)ないし(17)のいずれかに記載の検体の処理方法。
【0028】
(19) 前記回収は、前記管状部材内に前記分離液を導入し、
次いで、前記担体が前記分離液に浮遊した状態で、前記分離液を前記管状部材内から排出する操作を少なくとも1回行うことにより行われる上記(18)に記載の検体の処理方法。
【0029】
(20) 前記管状部材の内径および外径は、先端方向に向かって漸減している上記(8)ないし(19)のいずれかに記載の検体の処理方法。
【0030】
(21) 前記管状部材は、その長手方向のほぼ中央部に外径および内径が縮径した縮径部を有する上記(8)ないし(20)のいずれかに記載の検体の処理方法。
【0031】
(22) 前記縮径部の内径および外径は、ほぼ一定である上記(21)に記載の検体の処理方法。
【0032】
(23) 前記縮径部の内径(平均)は、0.1〜2mmである上記(21)または(22)に記載の検体の処理方法。
【0033】
(24) 前記縮径部の容量は、0.1〜100μLである上記(21)ないし(23)のいずれかに記載の検体の処理方法。
【0034】
(25) 前記管状部材は、その流路に、前記担体が通過することができないフィルターを有する上記(8)ないし(24)のいずれかに記載の検体の処理方法。
【0035】
(26) 前記フィルターは、前記目的質を実質的に吸着しない性質を有する上記(25)に記載の検体の処理方法。
【0036】
(27) 前記管状部材は、前記担体およびその流路内に導入した液体が、その基端開口から飛散するのを防止する機能を有する飛散防止部材を有する上記(8)ないし(26)のいずれかに記載の検体の処理方法。
【0037】
(28) 液体を吸引、分注する分注ポンプを備える分注装置の作動により、前記管状部材内に前記検体を吸引、移送して、前記検体の処理を行う上記(8)なし(27)のいずれかに記載の検体の処理方法。
【0038】
(29) 上記(8)ないし(28)のいずれかに記載の検体の処理方法に用いられ、前記担体と前記管状部材とを備えることを特徴とする検体処理キット。
【0039】
(30) 上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の担体と、ノズルの先端に装着可能な管状部材とを備えることを特徴とする検体処理キット。
【0040】
(31) 1回の検体処理毎に使い捨てされる上記(29)または(30)に記載の検体処理キット。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の担体、検体の処理方法および検体処理キットを添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0042】
まず、本発明の検体処理キットおよび本発明の検体の処理方法に用いられる分注装置について説明する。
【0043】
図1は、本発明の検体処理キットおよび本発明の検体の処理方法に用いられる分注装置の構成を示す部分断面図であり、図2は、本発明の担体の実施形態を模式的に示す断面図である。なお、以下の説明では、図1中、上側を「基端」、下側を「先端」と言う。
【0044】
図1に示す分注装置10は、例えば、ピストン型ポンプ、シリンジ型(プランジャー型)ポンプ等で構成され、液体を吸引(導入)、分注する分注ポンプ20と、その下端部(先端部)に設けられたノズル30とを備えている。また、分注装置10は、移動機構(後に説明する)により3次元方向に移動可能とされている。
【0045】
ノズル30は、ほぼ筒状をなし、その長手方向が図1中の上下方向となるように配置されている。このノズル30の内部には、通路31が形成されている。通路31の基端は、分注ポンプ20のポンプ空間(図示せず)に連通しており、この通路31を通って空気がポンプ空間に出入りする。一方、通路31の先端は、ノズル30の先端に開放している。
【0046】
また、ノズル30の外径は、先端方向に向かって漸減するテーパ状をなしており、ノズル30の先端部を、後述するフィルター付部材1(管状部材11)の基端開口19に挿入・嵌合することにより、フィルター付部材1をノズル30の先端部に容易かつ気密的に装着することができる。
【0047】
このような分注装置10では、分注ポンプ20のポンプ空間の容積を増減することにより、液体のフィルター付部材1内への吸引(導入)およびフィルター付部材1内からの排出を行う。
【0048】
さて、図1に示すように、本発明の検体処理キットKは、担体Pとフィルター付部材1とを有している。
【0049】
担体Pは、目的物Qを担持可能であり、液状の検体S(以下、単に、「検体S」と言う。)中の目的物Qと接触することにより、目的物Qを選択的(特異的)に担持することができる。
【0050】
ここで、目的物Qとしては、特に限定されないが、例えば、ウィルス、細菌等の微生物、DNA、RNAのような核酸、抗原、抗体、各種疾患の診断に用いるマーカーのようなタンパク質、各種糖タンパク質、各種ホルモン類、アミノ酸、ペプチド、ヌクレオチド等が挙げられる。
【0051】
また、検体Sも、特に限定されず、例えば、血液、唾液、尿、生物組織、アガロースゲル等の電気泳動媒体が溶解された液体等が挙げられる。
【0052】
本発明の担体Pは、その比重(4℃の水に対する)が1未満であることに特徴を有している。すなわち、担体Pは、液体(検体S、後述する洗浄液W、分離液T等)に浮遊する性質を有するものである。このため、担体Pを液体中に懸濁させた(混合した)場合でも、担体Pは、速やかに液体に浮遊(液体から分離)するので、担体Pの液体(検体S)からの分取(回収)が容易となる。特に、担体Pの比重は、0.3〜0.9程度であるのが好ましく、0.5〜0.8程度であるのがより好ましい。なお、担体Pの比重が小さすぎると、検体Sと担体Pとの混合(検体S中への担体Pの懸濁)が容易に行えず、目的物Qと担体Pとを十分に接触させることができない場合がある。
【0053】
本実施形態では、担体Pは、図2に示すように、基材P1と、その表面に形成された表層P2とで構成されている。
【0054】
表層P2は、目的物Qを担持し得る物質で構成(目的物Qを担持し得る物質が固相)されたものである。この目的物Qを担持し得る物質としては、目的物Qの種類により異なるが、例えば、アガロース、セルロース、ニトロセルロース等に対して各種荷電を有する基(例えば、スルフォン基、カルボキシル基、トリメチルアンモニオメチル基等)を導入したイオン交換樹脂、ガラス材料、アルミナ、リン酸カルシウムのようなセラミックス材料、アモルファスシリカ、アルキルシリカのようなシリカ化合物、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンのような樹脂材料等が挙げられる。また、▲1▼目的物Qが核酸である場合、この核酸と相補的な構造を有する核酸が、▲2▼目的物Qが抗原である場合、この抗原に特異的に結合し得る抗体が、▲3▼目的物Qが抗体である場合、この抗体に特異的に結合し得る抗原が、基材P1の表面に固相(固定)するようにしてもよい。
【0055】
基材P1は、担体Pの骨格を形成する部分(担体Pの主要部)である。したがって、担体Pの比重は、基材P1の比重に大きく依存する。このため、基材P1の比重を設定することにより、担体Pの比重を目的の比重とすることができる。
【0056】
この基材P1の比重は、その形態とその構成材料とを適宜組み合わせることにより設定される。すなわち、基材P1の形態としては、図2(a)に示すような中実体、図2(b)に示すような中空体、図2(c)に示すような多孔質体(発砲体)が挙げられるが、この基材P1の形態を、用いる材料自体の比重に応じて適宜選択することにより、基材P1の比重を設定することができる。
【0057】
基材P1の構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、変性ポリオレフィン、ポリアミド、熱可塑性ポリイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂のような各種樹脂材料、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、ヒドリンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムのような各種ゴム材料、各種ガラス材料等が挙げられる。
【0058】
これらの材料のうち、例えばエチレン−プロピレンゴム(比重:0.85程度)のような比重の比較的小さい材料を用いる場合には、基材P1の形態としては、中実体を採用することができる。なお、この場合でも、基材P1の形態として中空体または多孔質体を採用してよいことは、言うまでもない。
【0059】
また、これらの材料のうち、例えばフッ素ゴム系熱可塑性エラストマー(比重:1.9程度)、各種ガラス材料(比重:2以上)のような比重の比較的大きい材料を用いる場合には、基材P1の形態を中実体とすると、担体Pの比重が1を超えるようになるため、中空体または多孔質体を採用するようにする。これにより、目的の比重の基材P1(担体P)を比較的容易に得ることができる。なお、中空体の場合は、中空部の容積および図2(b)中厚さLを設定することにより、また、多孔質体の場合は、空孔率(気孔率)を調整することにより、基材P1の比重を調整することができる。
【0060】
特に、基材P1をガラス材料で構成する場合には、製造が容易であることから、中空体を採用するのが好ましい。このような基材P1(ガラス材料で構成された中空体)としては、次のような市販品を用いることもできる。その具体例としては、例えば、いずれも住友スリーエム株式会社製の「グラス バブルズ K1」、「グラス バブルズ K15」、「グラス バブルズ K20」、「グラスバブルズ K25」、「グラス バブルズ K37」、「グラス バブルズ K46」、「グラス バブルズ S22」、「グラス バブルズ S38」、「グラス バブルズ S60」、「グラス バブルズ A16」、「グラス バブルズ A20」、「グラス バブルズ D32」等が挙げられる。
【0061】
また、ガラス材料で構成された基材P1を用いることにより、基材P1と表層P2との密着性を向上することができるという効果もある。特に、目的物Qを担持し得る物質が前記▲1▼〜▲3▼の場合、これらを基材P1の表面に容易に固相(固定)することができる。
【0062】
ここで、ガラス材料で構成された基材P1の表面に、抗IgG抗体を固相する場合(前記▲2▼の場合)の一例について説明する。この固相(固定)方法には、例えば、A:化学的結合(共有結合)による方法、B:物理的吸着(物理的結合)による方法等を用いることができる。以下、AおよびBの方法について、それぞれ説明する。
【0063】
A:化学的結合(共有結合)による方法
まず、基材P1の表面に存在する水酸基(OH)に対して、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシランを反応させてアミノアルキル基を導入する。
【0064】
次に、このアミノアルキル基に、例えば、p−ニトロベンゾイルクロリドを結合させた後、還元してp−アミノベンゾイル化合物とする。
【0065】
次に、このp−アミノベンゾイル化合物をジアゾニウム塩とし、抗IgG抗体を結合させる。
【0066】
これにより、基材P1の表面に、架橋剤(架橋物質)を介して、抗IgG抗体が固相(固定)された担体Pが得られる。なお、この架橋剤としては、例えば、グルタルアルデヒド等の二価性架橋剤を用いることもできる。
【0067】
B:物理的吸着(物理的結合)による方法
洗浄した基材P1を、抗IgG抗体を溶解したリン酸ナトリウム緩衝液に加え、例えば0〜10℃程度で1日以上、攪拌しつつ放置する。
【0068】
これにより、基材P1の表面に、抗IgG抗体が吸着により固相(固定)された担体Pが得られる。
【0069】
なお、本発明では、目的物Qを担持し得る物質の種類や、目的物Qの種類に応じて、担体Pの全体を、目的物Qを担持し得る物質で構成することもできる。この場合も、目的物Qを担持し得る物質自体の比重に応じて、担体Pの形態を適宜選択すればよい。
【0070】
以上のようなことから、基材P1(担体P)を中空体または多孔質体とする場合には、その構成材料の選択の幅の拡大を図ることができるという利点もある。
【0071】
このような担体Pとしては、例えば、粒状(粉状)、鱗片状等のいかなる形状のものも使用可能であるが、特に、図2に示すような粒状であるのが好ましい。担体Pとして粒状のものを用いることにより、担体Pの表面積を増大させることができ、その結果、担体Pの目的物Qを担持する効率を向上させることができる。
【0072】
この場合、担体Pの平均粒径は、特に限定されないが、10〜1000μm程度であるのが好ましく、50〜500μm程度であるのがより好ましい。担体Pの平均粒径を前記範囲とすることにより、十分な表面積を確保することができ、担体Pに、より効率よく目的物Qを担持させることができる。
【0073】
このような担体Pは、フィルター付部材1内に収納されている。具体的には、フィルター付部材1は、細長い管状部材11と、管状部材11の内腔(流路)を分断する(仕切る)ように設けられたフィルター12とを有し、管状部材11とフィルター12とで画成される空間13内に担体Pが収納されている。
【0074】
管状部材11は、その外径および内径が先端方向に向かって漸減して(テーパ状をなして)いる。これにより、フィルター付部材1の先端部を、比較的開口径の小さい容器へ、容易に挿入することができる。
【0075】
この管状部材11の構成材料としては、それぞれ、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド等の各種樹脂が挙げられる。
【0076】
なお、管状部材11には、市販のチップを用いることもできる。この場合、フィルター付部材1の製造コストの低減を図ることができるという利点がある。
【0077】
フィルター12は、複数の細孔121を有し、ほぼ円盤状をなす部材で構成されている。フィルター12の細孔121の孔径は、担体Pが通過することができない程度に(すなわち、フィルター12により担体Pの大部分のものが捕捉され得るように)設定されている。これにより、フィルター12の液体の透過性を確保しつつ、フィルター12は、目的物Qを担持した担体Pの通過を阻止することができる。
【0078】
また、フィルター12は、目的物Qを実質的に吸着しない(すなわち、目的物Qを殆ど吸着しないか、または、吸着しても極僅かである)性質を有するのが好ましい。これにより、後述する工程[S3]において、目的物Qを回収する操作を行う際に、フィルター12に目的物Qが吸着してしまい、目的物Qの回収量(収率)が低下するのを防止することができる。
【0079】
このようなフィルター12は、例えば、目的物Qを吸着し難い材料で構成したり、基材の表面に目的物Qを吸着し難くなるような表面処理を施したり等することにより得ることができる。
【0080】
前記材料としては、目的物Qの種類により異なるが、例えば、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12)、ポリプロピレン、テトラフルオロエチレン(PTFE)のような合成樹脂、ガラス繊維等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0081】
また、前記表面処理方法としては、例えば、シリコーン樹脂、テトラフルオロエチレン等により、基材の表面を被覆(コーティング)する方法等が挙げられる。
【0082】
なお、フィルター12は、前記担体Pと同様の性質、すなわち、目的物Qを吸着し得る性質を有するもの(例えば、目的物Qが核酸の場合には、シラン処理等)とすることもできる。この場合、担体Pが担持しきれない目的物Qをも回収することができるという利点がある。
【0083】
また、フィルター12の形態としては、特に限定されず、例えば、織布、不織布、発泡体(連通孔を有するスポンジ状多孔質体)等のいずれであってもよい。
【0084】
なお、フィルター12の設置位置は、図示のものに限定されず、管状部材11の流路に設置されていればよい。すなわち、フィルター12は、管状部材11の内腔の上下方向の任意の位置や、管状部材11の先端位置に先端開口を塞ぐように設置することができる。
【0085】
このような検体処理キットKおよび分注装置10を用いて、本発明の検体の処理方法が行われる。次に、本発明の検体の処理方法について説明する。
【0086】
図3〜図5は、それぞれ、本発明の検体の処理方法の実施形態の工程を示す概略図である。なお、以下の説明では、図3〜図5中、上側を「基端」、下側を「先端」と言う。
【0087】
図3〜図5に示す検体の処理方法は、液状の検体S中の目的物(目的成分)Qを担体Pに担持させ、その後、目的物Qを担持した担体Pを分取する担持・分取工程[S1]と、目的物Qを担持した担体Pを洗浄する洗浄工程[S2]と、目的物Qを回収する回収工程[S3]とを有している。
【0088】
本実施形態では、分注装置10の作動により、フィルター付部材1内に検体Sを吸引、移送して、以下に示す各工程(検体Sの処理)を行う。以下、各工程について順次説明する。
【0089】
[S1] 担持・分取工程(担持・分取操作)
まず、図1に示すように、分注装置10が備えるノズル30の先端部に、フィルター付部材1を装着する。すなわち、分注装置10に検体処理キットKをセットする。
【0090】
次いで、ノズル30の先端部に装着したフィルター付部材1内に、検体Sを吸引(導入)する。これにより、フィルター付部材1内で、検体S中の目的物Qと担体Pとを接触させ、担体Pに目的物Qの一部を担持させる。
【0091】
また、この際、フィルター付部材1内に吸引(導入)された検体Sに担体Pを懸濁させる。これにより、担体Pと目的物Qとをより均一に接触させることができるので、担体Pに、より多くの目的物Qを効率よく担持させることができる。
【0092】
この懸濁(懸濁操作)は、図3に示すように、検体Sをフィルター付部材1内から容器(処理用チューブ)X内に排出した後、再度、容器X内からフィルター付部材1内に吸引(導入)する操作により行われる。懸濁操作には、いかなる方法を用いてもよいが、かかる方法によれば、担体Pと目的物Qとをより容易に接触させることできる。
【0093】
なお、このような懸濁操作は、1回のみ行ってもよく、必要に応じて、複数回繰り返すようにしてもよい。すなわち、懸濁操作は、少なくとも1回行うようにすればよい。懸濁操作を繰り返して行うことにより、担体Pと目的物Qとの接触の機会をより増大させることができるので、担体Pに、さらに多くの目的物Qを効率よく担持させることができる。
【0094】
また、この懸濁操作は、必要に応じて(例えば、目的物Qの種類、担体Pの目的物Qの担持能等に応じて)、省略することもできる。
【0095】
担体Pによる目的物Qの担持は、検体Sを加温しつつ行うのが好ましい。この検体Sの加温は、フィルター付部材1または前記容器Xのいずれかを加温するか、もしくは、これらの双方を加温することにより行うことができる。これにより、担体Pに、目的物Qをより効率よく担持させることができる。
【0096】
この加温の温度は、目的物Qの種類等により異なり特に限定されないが、20〜100℃程度であるのが好ましく、37〜95℃程度であるのがより好ましい。加温の温度が低すぎると、目的物Qの種類等によっては、担体Pに、目的物Qを効率よく担持させることができない場合があり、一方、加温の温度が高すぎると、目的物Qの種類等によっては、目的物Qが変質、劣化等してしまう場合がある。
【0097】
また、担体Pによる目的物Qの担持は、検体Sに電磁波を照射しつつ行うのが好ましい。この電磁波としては、例えば、マイクロ波、紫外線等が挙げられる。なお、これらは、併用することもできる。
【0098】
マイクロ波を用いると、担体Pによる目的物Qの担持の効率をより高めることができる。また、紫外線を用いると、目的物Qがウィルス等の微生物である場合、その不活化を行うことができる。
【0099】
このように、担体Pに目的物Qを担持させる操作(担持操作)は、フィルター付部材1内に収納可能な量の検体Sに対して行われるので、少量の検体Sの処理が可能となる。
【0100】
少量の検体Sを処理する観点からは、フィルター付部材1(管状部材11)の容量は、50〜500μL程度とするのが好ましく、100〜300μL程度とするのがより好ましい。
【0101】
次いで、目的物Qを担持した担体Pが懸濁した検体Sをしばらく放置すると、目的物Qを担持した担体Pは、その浮力により検体Sに浮遊する。この状態で、検体Sをフィルター付部材1内から排出し、目的物Qを担持した担体Pをフィルター12上に残す(フィルター付部材1内に分取する)。
【0102】
このとき、目的物Qを担持した担体Pは、フィルター12を通過することができないが、検体S中の液性成分および目的物Q以外の不要物(不要成分)Oは、フィルター12を通過して、フィルター付部材1外に排出され、廃棄される。
【0103】
[S2] 洗浄工程(洗浄操作)
次に、分取された目的物Qを担持した担体Pを洗浄する。
【0104】
この洗浄(洗浄操作)は、図4に示すように、洗浄液Wをフィルター付部材1内に吸引(導入)し、次いで、目的物Qを担持した担体Pが懸濁した洗浄液Wをしばらく放置することにより、目的物Qを担持した担体Pを、その浮力により洗浄液Wに浮遊した状態とし、この状態で、洗浄液Wを排出する操作により行われる。洗浄操作には、いかなる方法を用いてもよいが、かかる方法によれば、目的物Qを担持した担体Pをより容易に洗浄することできる。なお、洗浄液Wをフィルター付部材1内に吸引(導入)した後、必要に応じて、目的物Qを担持した担体Pを洗浄液Wに懸濁させる懸濁操作を行うようにしてもよい。
【0105】
このとき、目的物Qを担持した担体Pは、フィルター12を通過することができないが、担体Pやフィルター付部材1内に非特異的に付着した不要物(不要成分)Oは、洗浄液Wとともにフィルター付部材1外に排出される。
【0106】
このような洗浄操作を行うことにより、得られる目的物Qに不要物(不要成分)Oが混入するのを防止または抑制することができる。
【0107】
この洗浄液Wとしては、特に限定されないが、例えば、蒸留水、イオン交換水、RO水、純水、超純水のような各種水、エタノールのような各種アルコール、リン酸バッファーのような各種バッファー(緩衝液)等が挙げられる。
【0108】
なお、このような洗浄操作は、1回のみ行ってもよく、必要に応じて、複数回繰り返すようにしてもよい。すなわち、洗浄操作は、少なくとも1回行うようにすればよい。洗浄操作を繰り返し行うことにより、不要物(不要成分)Oの除去率を向上させることができる。
【0109】
また、洗浄操作を繰り返して行う場合には、洗浄液Wは、1回の洗浄操作毎に、新たな洗浄液Wに交換して行うのが好ましい。これにより、前記不要物(不要成分)Oをより確実に除去することができる。
【0110】
[S3] 回収工程(回収操作)
次に、目的物Qを担持した担体Pに、目的物Qを担体Pから分離し得る分離液Tを接触させ、分離した目的物Qを分離液T中に回収する。
【0111】
この回収(回収操作)は、図5に示すように、分離液Tをフィルター付部材1内に吸引(導入)し、次いで、担体Pが懸濁した検体Sをしばらく放置することにより、担体Pを、その浮力により分離液Tに浮遊した状態とし、この状態で、分離液Tを排出する操作により行われる。回収操作には、いかなる方法を用いてもよいが、かかる方法によれば、目的物Qを担体Pからより容易に分離することできる。なお、分離液Tをフィルター付部材1内に吸引(導入)した後、必要に応じて、担体Pを分離液Tに懸濁させる懸濁操作を行うようにしてもよい。
【0112】
このとき、分離液Tにより目的物Qが取り除かれた担体Pは、フィルター12を通過することができないが、目的物Qは、分離液Tとともにフィルター付部材1外に排出され、回収される。
【0113】
この分離液Tとしては、特に限定されないが、例えば、蒸留水、イオン交換水、RO水、純水、超純水のような各種水、所定のpHに調整された各種バッファー(緩衝液)等が挙げられる。
【0114】
なお、このような回収操作は、1回のみ行ってもよく、必要に応じて、複数回繰り返すようにしてもよい。すなわち、回収操作は、少なくとも1回行うようにすればよい。回収操作を繰り返して行うことにより、目的物Qの回収率を向上させることができる。
【0115】
また、回収操作を繰り返して行う場合には、分離液Tは、交換することなく行うようにしてもよく、1回の回収操作毎に、新たな分離液Tに交換して行うようにしてもよい。
【0116】
以上のような工程を経て、検体S中から目的物Qを採取(回収)することができる。
【0117】
そして、1回の検体の処理操作を終了すると、フィルター付部材1および担体P(検体処理キットK)は、分注装置10から取り外されて廃棄される。すなわち、検体処理キットKは、1回の検体処理毎に使い捨てされるものであるのが好ましい。これにより、一の検体Sから得られる目的物Qへの、例えば、他の検体Sから得られる目的物Qの混入(コンタミネーション)等を好適に防止することができる。
【0118】
このようにして得られた目的物Qに対しては、その種類、目的等に応じて適宜選択された後処理を行う。これにより、例えば、目的物Qの定性、定量等の分析、濃縮、単離等を行うことができる。
【0119】
以上説明したような検体の処理方法によれば、分注装置10と検体処理キットKとを用いた簡単な方法で、検体S中から目的物Qを、容易かつ確実に採取(回収)することができる。
【0120】
ここで、仮に、担体が前記各液体(検体S、洗浄液W、分離液T)に浮遊しないものである場合、すなわち、担体が前記各液体に沈殿、分散(懸濁)するものである場合、フィルター付部材1内から各液体を排出する際に、次第にフィルター12上に目的物Qを担持した担体(または担体自体)が堆積していき、フィルター12に目詰まりが生じ、その結果、徐々に流下速度(ろ過速度)が低下していく。また、フィルター12に目詰まりが生じると、フィルター付部材1内への前記各液体の吸引も効率よく行うことができなくなる。
【0121】
これに対し、本発明の担体Pは、液体に浮遊するので、前述したような不都合が防止され、前記各液体の排出および吸引を円滑に行うことができる。これにより、検体Sの処理時間の短縮を図ることができる。
【0122】
また、本発明の担体Pは、液体に浮遊する性質を有することから、担体Pの位置を確認することにより、前記各液体と担体Pとの界面の位置を知ることができる。したがって、管状部材11を実質的に透明なものとしておくと、フィルター付部材1の外部から担体Pの位置を確認することにより、前記界面の位置、すなわち、フィルター部材1内に前記各液体が入っているのか否かを一目で知ることができ便利である。特に、担体Pに、蛍光物質、染料や顔料のような色素等により着色を施しておけば、より効果的である。
【0123】
また、本発明の検体の処理方法では、容量(容積)の小さいフィルター付部材1内で、前記各操作(処理)が行われるので、少量の検体Sであっても効率よく処理することができ、また、洗浄液Wおよび分離液Tの使用量も少量とすることができる。
【0124】
このようなことから、本発明の検体の処理方法は、容易、確実、かつ極めて安価に行うことができる。
【0125】
なお、本実施形態の検体の処理方法では、工程[S1]〜[S3]で構成されていたが、本発明では、これに限定されず、必要に応じて、前記工程[S2]および工程[S3]の一方、または、これらの双方を省略することができ、また、任意の目的の工程を追加することもできる。
【0126】
次に、検体処理キットKの他の構成例について説明する。
図6〜図8は、それぞれ、本発明の検体処理キットの他の構成例を示す断面図である。なお、図6では、液体を吸引(導入)した状態を示す。また、以下の説明では、図6〜図8中、上側を「基端」、下側を「先端」と言う。
【0127】
以下、図6〜図8に示す検体処理キットKについて、それぞれ、前記検体処理キットKとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0128】
図6に示す検体処理キットKでは、フィルター付部材1のフィルター12が省略され、それ以外は、前記検体処理キットKと同様である。
【0129】
このような構成とすることにより、検体処理キットKの部品点数を削減し、製造コストの低減を図ることができる。
【0130】
なお、この場合、各操作(担持・分取操作、洗浄操作、回収操作)に際し、目的物Qを担持した担体P(または担体P自体)が、管状部材11内から排出されないよう各液体(検体S、洗浄液W、分離液T)の排出量を適宜設定すればよい。本発明によれば、目的物Qを担持した担体P(または担体P自体)は、前記各液体に浮遊するので、前記排出量の設定が容易である。
【0131】
また、この場合、担体P(基材P1)の一部を磁石に吸着し得る材料(磁性材料)で構成すると、前記各操作の際に、例えば管状部材11の外部側方から磁石を接近(当接)させておくことにより、かかる磁石の磁力により担体Pを管状部材11内により確実に保持することができる。このため、目的物Qを担持した担体P(または担体P自体)が管状部材11内から、不本意に排出されるのを防止することができ、前記各操作をより確実に行うことができる。
【0132】
なお、このような検体処理キットKの構成は、図1、図7および図8に示す検体処理キットKにそれぞれ適用することもできる。
【0133】
図7に示す検体処理キットKでは、フィルター付部材1が、その長手方向のほぼ中央部に外径および内径が縮径した縮径部1aを有し、それ以外は、前記検体処理キットKと同様である。
【0134】
フィルター付部材1に縮径部1aを設けることにより、より少量の検体Sを処理することが可能となる。
【0135】
かかる観点からは、縮径部1aのサイズ(寸法)は、例えば、次のようにするのが好ましい。
【0136】
縮径部1aの内径は、0.1〜2mm程度であるのが好ましく、0.3〜0.7mm程度であるのがより好ましい。
【0137】
なお、図示の構成では、縮径部1aの内径および外径は、ほぼ一定となっているが、連続的または段階的に変化するものであってもよい。この場合、縮径部1aの内径の平均を、前記範囲となるように設定すればよい。
【0138】
また、縮径部1aの容量は、0.1〜100μL程度とするのが好ましく、1〜50μL程度であるのがより好ましく、5〜10μL程度であるのがさらに好ましい。
【0139】
このような検体処理キットKでは、フィルター付部材1の縮径部1aのサイズを適宜設定することにより、検体Sの処理量を任意のものに設定することができる。
【0140】
なお、このような検体処理キットKの構成は、図6および図8に示す検体処理キットKにそれぞれ適用することもできる。
【0141】
図8に示す検体処理キットKでは、フィルター付部材1が、その基端部内腔に前記空間13を塞ぐようにして設けられた飛散防止部材14を有し、それ以外は、前記検体処理キットKと同様である。
【0142】
この飛散防止部材14は、担体Pおよびフィルター付部材1(管状部材11)の流路内に吸引(導入)した液体(検体S等)が、フィルター付部材1の基端開口19から飛散するのを防止する機能を有するものである。
【0143】
フィルター付部材1に飛散防止部材14を設けることにより、検体Sの処理の際に、ノズル30へ担体Pや検体Sが付着するのを防止することができる。これにより、一の検体S中へ、例えば他の検体S中の目的物Qが混入(コンタミネーション)等するのを好適に防止することができる。
【0144】
この飛散防止部材14には、例えば、気体は通過するが液体は遮断する性質を有するもの、液体を吸収する性質を有するもの等を用いることができる。
【0145】
飛散防止手段14の具体例としては、例えば、各種焼結多孔体、親水性不織布、その他の多孔質体が挙げられる。
【0146】
なお、このような検体処理キットKの構成は、図6および図7に示す検体処理キットKにそれぞれ適用することもできる。
【0147】
次に、前述したような分注装置10を備える処理装置100の構成について説明する。
【0148】
図9は、本発明で用いられる分注装置を備える処理装置の全体構成を示す概略図である。なお、以下の説明では、図9中、上側を「上方」、下側を「下方」、紙面左手前側を「前方」、紙面右奥側を「後方」と言う。
【0149】
図9に示す処理装置100は、前方に水平ステージ210と、後方に垂直ステージ220とを備えている。
【0150】
水平ステージ210には、チップを設置するチップ設置部310と、フィルター付部材1(検体処理キットK)を設置するフィルター付部材設置部320と、各液体(洗浄液W、分離液T)を収納した収納容器を設置する容器設置部330と、検体を収納したチューブや、各操作(処理)に用いる処理用チューブ(例えば前述した容器X等)を設置するチューブ設置部340とが設けられている。
【0151】
また、垂直ステージ220には、分注装置10が、x軸方向(図9中左右方向)に移動可能なx軸方向移動機構410と、y軸方向(図9中紙面斜め前後方向)に移動可能なy軸方向移動機構420と、z軸方向(図9中上下方向)に移動可能なz軸方向移動機構430とで構成される移動機構400を介して設置されている。
【0152】
また、処理装置100には、例えば、図示しないパーソナルコンピュータ等で構成される制御手段が電気的に接続されており、この制御手段により、処理装置100の各部の作動が制御されている。
【0153】
このような処理装置100では、移動機構400の作動により、分注装置10を3次元方向に移動し、ノズル30へのチップの装着、ノズル30へのフィルター付部材1(検体処理キットK)の装着、前記各液体の吸引および排出(前記工程[S1]〜[S3]における処理)が行われる。
【0154】
なお、前述したように工程[S1]において、検体Sを加温する場合には、チューブ設置部340のうち担持操作に用いる容器Xを設置する部分の下部、分注装置10の所定位置の一方または双方に、例えばペルチェ素子等で構成される加温手段(温度調整手段)を設けるようにすればよい。
【0155】
また、前述したように工程[S1]において、検体Sに電磁波を照射する場合には、例えば、チューブ設置部340のうち担持操作に用いる容器Xを設置する部分の下部に、電磁波(マイクロ波、紫外線)を発生、照射し得る電磁波照射手段を設けるようにすればよい。
【0156】
また、図6に示す検体処理キットKを用いる場合には、担体Pと各液体(検体S、洗浄液W、分離液T)との界面を検出し得る界面検出手段を設けるようにしてもよい。この界面検出手段の検出情報に基づいて、分注装置10の作動を制御することにより、目的物Qを担持した担体P(または担体P自体)が、管状部材11内から排出されるのをより確実に防止することができる。
【0157】
また、図6に示す検体処理キットKであって、一部が磁石に吸着し得る材料(磁性材料)で構成された担体Pを備えるものを用いる場合には、前述したような工程[S1]〜[S3]において、管状部材11内から各液体を排出する際に、担体Pを磁力により吸着して管状部材11内に保持する磁力保持手段を設けるようにすればよい。このような磁力保持手段は、例えば管状部材11の外部側方から接近するよう構成することができる。この磁力保持手段の磁力により担体Pを管状部材11内により確実に保持することができるため、目的物Qを担持した担体P(または担体P自体)が管状部材11内から、不本意に排出されるのを防止することができ、前記各操作をより確実に行うことができる。
【0158】
なお、以上の説明では、分注装置(自動化装置)を用いて検体を処理する場合について説明したが、本発明は、例えば、ピペット(マイクロピペッター)等を用いて人手により検体を処理する場合に適用することもできる。
【0159】
以上、本発明の担体、検体の処理方法および検体処理キットを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0160】
例えば、本発明の検体処理キットでは、各部の構成は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものに置換することができる。
【0161】
また、本発明では、管状部材内への各種液体の導入は、管状部材の先端開口から行う(吸引する)場合に限定されず、例えば、管状部材の基端開口や側方から行うようにしてもよい。
【0162】
また、分注装置に複数のノズルを有するものを用いる場合には、同時に複数の検体を処理することができる。
【0163】
また、例えば、物理的特性、化学的特性のうちの少なくとも1つが異なるフィルターを備える複数種のフィルター付部材を備える検体処理キットを用いれば、これらを順次交換して、または、同時に使用することにより、1回の検体処理で多種の目的物を採取(回収)することもできる。
【0164】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、大掛かりな装置を必要とせず、検体中から目的物を、容易かつ確実に採取(回収)することができる。
また、管状部材内で各処理を行うので、少量の検体を処理することができる。
【0165】
このようなことから、本発明の検体の処理方法は、容易、確実、かつ安価に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の検体処理キットおよび本発明の検体の処理方法に用いられる分注装置の構成を示す部分断面図である。
【図2】本発明の担体の実施形態を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の検体の処理方法の実施形態の工程(工程[S1])を示す概略図である。
【図4】本発明の検体の処理方法の実施形態の工程(工程[S2])を示す概略図である。
【図5】本発明の検体の処理方法の実施形態の工程(工程[S3])を示す概略図である。
【図6】本発明の検体処理キットの他の構成例を示す断面図である。
【図7】本発明の検体処理キットの他の構成例を示す断面図である。
【図8】本発明の検体処理キットの他の構成例を示す断面図である。
【図9】本発明で用いられる分注装置を備える処理装置の全体構成を示す概略図である。
【符号の説明】
K      検体処理キット
1      フィルター付部材
1a     縮径部
11     管状部材
12     フィルター
121    細孔
13     空間
14     飛散防止部材
19     基端開口
10     分注装置
20     分注ポンプ
30     ノズル
31     通路
S      検体
Q      目的物
O      不要物
P      担体
P1     基材
P2     表層
W      洗浄液
T      分離液
X      容器
100    処理装置
210    水平ステージ
220    垂直ステージ
310    チップ設置部
320    フィルター付部材設置部
330    容器設置部
340    チューブ設置部
400    移動機構
410    x軸方向移動機構
420    y軸方向移動機構
430    z軸方向移動機構

Claims (31)

  1. 検体中の目的物を担持可能であり、比重(4℃の水に対する)が1未満であることを特徴とする担体。
  2. 前記担体は、中空体または多孔質体である請求項1に記載の担体。
  3. 前記担体は、粒状をなしている請求項1または2に記載の担体。
  4. 前記担体の平均粒径は、10〜1000μmである請求項3に記載の担体。
  5. 前記担体は、その少なくとも表面が前記目的物を担持し得る物質で構成されたものである請求項1ないし4のいずれかに記載の担体。
  6. 前記担体は、その一部が磁石に吸着し得る材料で構成されている請求項1ないし4のいずれかに記載の担体。
  7. 前記目的物は、微生物、核酸、タンパク質、糖タンパク質、ホルモン類、アミノ酸、ペプチドまたはヌクレオチドである請求項1ないし6のいずれかに記載の担体。
  8. ノズルの先端部に装着した管状部材内で、液状の検体中の目的物と、請求項1ないし7のいずれかに記載の担体とを接触させ、
    その後、前記目的物を担持した前記担体が前記検体に浮遊した状態で、前記検体を前記管状部材内から排出し、前記目的物を担持した前記担体を前記管状部材内に分取することを特徴とする検体の処理方法。
  9. 前記管状部材内で、前記検体と前記担体とを接触させる際に、前記検体に前記担体を懸濁させる請求項8に記載の検体の処理方法。
  10. 前記懸濁は、前記検体を前記管状部材内から排出した後、再度、前記管状部材内に導入する操作を少なくとも1回行うことにより行われる請求項9に記載の検体の処理方法。
  11. 前記検体を加温しつつ、前記担体に前記目的物を担持させる請求項8ないし10のいずれかに記載の検体の処理方法。
  12. 前記加温の温度は、20〜100℃である請求項11に記載の検体の処理方法。
  13. 前記検体に電磁波を照射しつつ、前記担体に前記目的物を担持させる請求項8ないし12のいずれかに記載の検体の処理方法。
  14. 前記電磁波は、マイクロ波である請求項13に記載の検体の処理方法。
  15. 前記電磁波は、紫外線である請求項13に記載の検体の処理方法。
  16. 分取された前記目的物を担持した前記担体を洗浄する請求項8ないし15のいずれかに記載の検体の処理方法。
  17. 前記洗浄は、前記管状部材内に洗浄液を導入し、
    次いで、前記目的物を担持した前記担体が前記洗浄液に浮遊した状態で、前記洗浄液を前記管状部材内から排出する操作を少なくとも1回行うことにより行われる請求項16に記載の検体の処理方法。
  18. 分取された前記目的物を担持した前記担体に、前記目的物を前記担体から分離し得る分離液を接触させ、分離した前記目的物を前記分離液中に回収する請求項8ないし17のいずれかに記載の検体の処理方法。
  19. 前記回収は、前記管状部材内に前記分離液を導入し、
    次いで、前記担体が前記分離液に浮遊した状態で、前記分離液を前記管状部材内から排出する操作を少なくとも1回行うことにより行われる請求項18に記載の検体の処理方法。
  20. 前記管状部材の内径および外径は、先端方向に向かって漸減している請求項8ないし19のいずれかに記載の検体の処理方法。
  21. 前記管状部材は、その長手方向のほぼ中央部に外径および内径が縮径した縮径部を有する請求項8ないし20のいずれかに記載の検体の処理方法。
  22. 前記縮径部の内径および外径は、ほぼ一定である請求項21に記載の検体の処理方法。
  23. 前記縮径部の内径(平均)は、0.1〜2mmである請求項21または22に記載の検体の処理方法。
  24. 前記縮径部の容量は、0.1〜100μLである請求項21ないし23のいずれかに記載の検体の処理方法。
  25. 前記管状部材は、その流路に、前記担体が通過することができないフィルターを有する請求項8ないし24のいずれかに記載の検体の処理方法。
  26. 前記フィルターは、前記目的質を実質的に吸着しない性質を有する請求項25に記載の検体の処理方法。
  27. 前記管状部材は、前記担体およびその流路内に導入した液体が、その基端開口から飛散するのを防止する機能を有する飛散防止部材を有する請求項8ないし26のいずれかに記載の検体の処理方法。
  28. 液体を吸引、分注する分注ポンプを備える分注装置の作動により、前記管状部材内に前記検体を吸引、移送して、前記検体の処理を行う請求項8なし27のいずれかに記載の検体の処理方法。
  29. 請求項8ないし28のいずれかに記載の検体の処理方法に用いられ、前記担体と前記管状部材とを備えることを特徴とする検体処理キット。
  30. 請求項1ないし7のいずれかに記載の担体と、ノズルの先端に装着可能な管状部材とを備えることを特徴とする検体処理キット。
  31. 1回の検体処理毎に使い捨てされる請求項29または30に記載の検体処理キット。
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