JP2004018973A - 水素吸蔵炭素材料の製造方法および水素吸蔵方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高性能の水素吸蔵炭素材料の製造方法を提供する。
【解決手段】ガス吸着法で測定した平均細孔直径が3.5〜100Åで、比表面積が400〜3500m2 /gである多孔質炭素材料の表面に、無電解メッキ法により、水素吸蔵金属または水素吸蔵合金を、該水素吸蔵金属または水素吸蔵合金の保持量が多孔質炭素材料に対して0.1〜50質量%となるように被覆する。
【選択図】 なし
【解決手段】ガス吸着法で測定した平均細孔直径が3.5〜100Åで、比表面積が400〜3500m2 /gである多孔質炭素材料の表面に、無電解メッキ法により、水素吸蔵金属または水素吸蔵合金を、該水素吸蔵金属または水素吸蔵合金の保持量が多孔質炭素材料に対して0.1〜50質量%となるように被覆する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高容量水素吸蔵炭素材料の製造方法および水素吸蔵方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水素吸蔵材料はエネルギー貯蔵材料として重要な材料で、特に、燃料電池自動車等のエネルギー貯蔵方法を考える場合、欠かすことのできないものである。代表的な水素吸蔵材料としてはLaNi合金等が挙げられ、二次電池として広い分野で使われている。
しかし、これらの金属系水素吸蔵材料では、吸蔵水素量に対する質量が大きすぎ、特に燃料電池自動車等の用途としては適さないという問題があった。
【0003】
近年、カーボンナノチューブ等の新しい炭素系材料が見出され、軽量で、水素を多量に吸蔵することから、次世代のエネルギー貯蔵方法として注目を集めている。しかしながら、高価であること、水素吸蔵能がまだ不十分であること、などから安価な多孔質吸着材を利用してより高いレベルの水素吸蔵能を実現することが求められていた。
また、炭素材料単体だけでなく、他の金属元素を加えた場合の水素吸蔵能も研究されている。第28回炭素材料学会年会要旨集 1A21に記載されるように金属元素の添加方法としては含浸法が試みられており、活性炭素繊維にPtやPdを微粒子として担持した場合の水素吸蔵能が評価されているが、未だ有用な効果は得られていない。
【0004】
また、特開平10−72201号公報に記載されるように、真空蒸着でPd膜を成膜する方法も試みられているが、全面に均一な膜を形成するのが困難な点、および工業プロセスの量産化、低コスト化が困難な点が課題として残っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、水素吸蔵能に優れる水素吸蔵炭素材料を容易に提供することのできる水素吸蔵炭素材料の製造方法および該水素吸蔵炭素材料を用いる水素吸蔵方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は第一に、ガス吸着法で測定した平均細孔直径が3.5〜100Åで、比表面積が400〜3500m2 /gである多孔質炭素材料の表面に、無電解メッキ法により、水素吸蔵金属または水素吸蔵合金を、該水素吸蔵金属または水素吸蔵合金の保持量が多孔質炭素材料に対して0.1〜50質量%となるように被覆することを特徴とする水素吸蔵炭素材料の製造方法に関する。
【0007】
本発明は第二に、上記の水素吸蔵金属または水素吸蔵合金が、Pd,Pd−Ag合金またはPd−Cu合金であることを特徴とする水素吸蔵炭素材料の製造方法に関する。
本発明は第三に、上記の方法で得られた水素吸蔵炭素材料をボンベに充填して水素ガスを封入することを特徴とする水素吸蔵方法に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明では水素吸蔵材料としてガス吸着法で測定した平均細孔直径が3.5〜100Åで、比表面積が400〜3500m2 /gである多孔質炭素材料を用いる。このような多孔質炭素材料を用いることにより、軽量にして、単位質量当たりの水素吸蔵量を大きくすることができる。
【0009】
本発明で用いる多孔質吸着材の具体例としては、活性炭、活性炭素繊維、カーボンエアロゲル、単層カーボンナノチューブ、複層カーボンナノチューブ、黒鉛層間化合物等が挙げられる。
上記の黒鉛層間化合物としては、例えば黒鉛−Li、黒鉛−Na、黒鉛−K、黒鉛−Rb、黒鉛−Cs、黒鉛−Ca、黒鉛−Sr、黒鉛−Ba、黒鉛−HNO3 、黒鉛−H2 SO4 、黒鉛−HClO4 、黒鉛−F、黒鉛酸等が挙げられる。
【0010】
本発明において多孔質炭素材料の細孔構造としては平均細孔直径が前記したように3.5〜100Åであることを要するが、好ましくは3.5〜20Å、より好ましくは3.5〜15Åの範囲にあることが望ましい。
上記の範囲に満たないときは、細孔容積が小さくなるため水素吸蔵量が低くなり好ましくなく、上記の範囲を超えるときは水素吸蔵金属または水素吸蔵合金による水素吸蔵能増加効果がなくなり好ましくない。
【0011】
また本発明において多孔質炭素材料の比表面積は前記したように400〜3500m2 /gであることを要するが、好ましくは800〜3500m2 /g、より好ましくは900〜3500m2 /gの範囲にあることが望ましい。
上記の範囲に満たないときは、吸着サイトが減少するため好ましくない。また比表面積は高いほど良いが、高すぎても水素吸蔵金属または水素吸蔵合金層による水素吸蔵能増加効果がなくなり好ましくなく、また通常は上記の範囲を超える多孔質炭素材料吸着材はほとんど入手できない。
本発明において、多孔質炭素材料吸着材の平均細孔直径および比表面積の測定は、ガス吸着法、特に窒素ガスによるBETガス吸着法により行う。
【0012】
本発明で用いる水素吸蔵金属または水素吸蔵合金は、単一の金属元素から成るものでも、2種類以上の金属元素から成るものでもよいが、水素吸蔵金属または水素吸蔵合金の水素吸蔵能が、室温で5MPaの水素圧をかけた時、水素吸蔵金属または水素吸蔵合金の質量に対して通常0.1〜2質量%、好ましくは0.2〜1質量%であるような水素吸蔵金属または水素吸蔵合金を使用することが望ましい。
【0013】
本発明において使用する水素吸蔵金属または水素吸蔵合金としては、貴金属族系の金属またはその合金、例えばPd,Pd合金等やV−Ni系合金、La−Ni系合金、Ti−V系合金、Mg−Ni系合金、Zr系合金等が挙げられ、PdおよびPd合金がより好ましい。
Pd合金としてはPd−Ag,Pd−Cu等が、V−Ni系合金としてはV60Ni40、V63Ti21Ni16等が、La−Ni系合金としてはLaNi5 、LaNi4 Pd等が、Ti−V系合金としてはV63Ti21Ni16、V66Ti22Ni12等が、Mg−Ni系合金としては、Mg2 Ni等が、またZr系合金としてはZrMn2 等が使用できる。
【0014】
本発明においては水素吸蔵金属または水素吸蔵合金の成膜方法として無電解メッキ法を用いる。これにより全面に均一な膜を容易に形成することができ、多孔質炭素材料に対する成膜処理後の水素吸蔵炭素材料の比表面積および平均細孔直径の低下を最小に抑えることができ、さらに工業プロセスの量産化、低コスト化も容易であるという顕著な効果が得られる。これに対し成膜方法として蒸着やスパッタを用いると、ターゲットの方向から陰になる部分、およびジグや粘着テープなどで固定した部分には水素吸蔵金属または水素吸蔵合金膜が付着しないという問題が生ずる。また、蒸着やスパッタの場合、多孔質炭素材料の成膜処理後の比表面積の維持が困難で低下してしまうため、水素の吸着サイトが減少するという問題を生ずる。
【0015】
多孔質炭素材料への水素吸蔵金属または水素吸蔵合金の無電解メッキ方法の条件としては公知の無電解メッキ方法の条件を適宜利用できる。例えばPdの場合、〔Pd(NH3 )4 〕Cl2 をヒドラジンで還元する方法を用いることができる。
多孔質炭素材料は、例えば平滑な板状の金属材料など他の材料と比較してメッキ膜が付着しにくいため、メッキの前処理段階で成長核を付着させることが好ましい。その方法としては、例えばPdをメッキする場合、Sn2+溶液とPd2+溶液に多孔質炭素材料を交互に浸漬する方法がある。Sn2+溶液およびPd2+溶液への浸漬時間は、それぞれ通常30秒以上、好ましくは1分以上である。浸漬回数は、Sn2+溶液とPd2+溶液への浸漬を1サイクルとした場合、通常5サイクル以上、好ましくは10サイクル以上である。
【0016】
本発明における水素吸蔵金属または水素吸蔵合金の保持量は、多孔質炭素材料吸着材に対して0.1〜50質量%であり、好ましくは0.2〜20質量%、より好ましくは0.5〜10質量%の範囲にあることが望ましい。
上記の範囲に満たないときは細孔と水素吸蔵金属または水素吸蔵合金膜との相互作用が小さく、水素吸蔵量の増加効果が出ないことがある。また上記の範囲を超えるときは質量が大きくなるため、単位質量当たりの水素吸蔵量が小さくなるため好ましくない。
水素吸蔵金属または水素吸蔵合金の保持量は、膜形成前の乾燥質量と膜形成後の乾燥質量を比較して、質量増加から算出することができる。
【0017】
本発明で得られる水素吸蔵炭素材料による水素の吸蔵は上記した本発明の水素吸蔵炭素材料と水素を接触させればよく、水素圧は常圧、加圧のいずれでもよい。例えばボンベに水素吸蔵炭素材料を充填し、水素ガスを室温で圧入することにより実施することができる。
水素の吸蔵および放出の方法は、室温下で行うことに限らず、適宜冷却や加熱を組み合わせることもできる。例えば水素吸蔵・水素放出の際の温度制御方法としては、吸蔵・放出ともに室温近傍、吸蔵は低温・放出は室温近傍、吸蔵は低温・放出は高温、吸蔵は室温近傍・放出は高温、などがある。ここで室温近傍、低温、高温はそれぞれの操作時の温度に対する相対的な温度を意味するが、例えば室温近傍とは0〜40℃、低温とは−190〜0℃、高温とは40〜500℃を好適な温度として設定することができる。
【0018】
【発明の効果】
本発明の水素吸蔵炭素材料の製造方法により、従来の真空蒸着法では困難であった、多孔質炭素材料全面への均一な膜形成、および工業プロセスの量産化、低コスト化が可能となる。
【0019】
【実施例】
以下本発明を実施例および比較例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(平均細孔直径および比表面積の測定)窒素ガスによるBETガス吸着法により測定した。200℃、1時間の真空脱気処理(乾燥)を行った後、日本ベル(株)製のBELSORP36を使用して、液体窒素温度での窒素ガス吸着を行い、吸着等温曲線、BETプロットを求めた。これをMP法で解析して平均細孔直径と比表面積を測定した。
【0020】
(実施例1)
SnCl2 ・2H2 O 0.5g、37%HCl 0.3mlを混合してSn前処理液を調製した。また、PdCl2 0.03g、37%HCl 0.1mlを混合してPd前処理液を調製した。活性炭素繊維(BET比表面積1100m2 /g、平均細孔直径8.5Å)をSn前処理液に1分間、Pd前処理液に1分間、交互に10サイクル浸漬し、活性炭素繊維の前処理を行った。
【0021】
〔Pd(NH3 )4 〕Cl2 ・H2 O 3g、2Na・EDTA 29g、25%アンモニア水300ml、ヒドラジン0.5mlを混合し、メッキ溶液を調製した。活性炭素繊維をメッキ溶液に入れて50℃で15分間攪拌した後、材料を取り出して水洗、真空乾燥を行いPd膜付活性炭素繊維を得た。メッキ前後の質量を比較してPd保持量を測定した結果、原料の活性炭素繊維に対して3質量%保持されていた。また、無電解メッキ後の材料をSEM観察したところ、活性炭素繊維の全表面がPd膜で覆われていた。
【0022】
Pd膜付活性炭素繊維を破断して、断面のSEM観察した結果、Pd膜の厚さは70〜130μmであった。
Pd膜付活性炭素繊維のBET比表面積、平均細孔直径を測定した結果、それぞれ1000m2 /g、8.1Åであり、原料活性炭素繊維とほぼ同等であった。
本材料の水素吸蔵能を容量法で評価した。測定を行う前に、材料を150℃、真空で2時間処理した。室温で9.5MPaまで昇圧して水素吸蔵能を測定した結果、9.5MPaで1.4質量%の水素を吸蔵した。結果を図1に示す。
比較として原料の活性炭素繊維の水素吸蔵量も測定したが、9.5MPaで0.4質量%しか吸蔵しなかった。
【0023】
(実施例2)
SnCl2 ・2H2 O 0.5g、37%HCl 0.3mlを混合してSn前処理液を調製した。また、PdCl2 0.03g、37%HCl 0.1mlを混合してPd前処理液を調製した。単層カーボンナノチューブ(BET比表面積1000m2 /g、平均細孔直径10Å)をSn前処理液に1分間、Pd前処理液に1分間、交互に10サイクル浸漬し、単層カーボンナノチューブの前処理を行った。
【0024】
〔Pd(NH3 )4 〕Cl2 ・H2 O 3g、2Na・EDTA 29g、25%アンモニア水300ml、ヒドラジン0.5mlを混合し、メッキ溶液を調製した。単層カーボンナノチューブをメッキ溶液に入れて50℃で5分間攪拌した後、材料を取り出して水洗、真空乾燥を行いPd膜付単層カーボンナノチューブを得た。メッキ前後の質量を比較してPd保持量を測定した結果、原料の単層カーボンナノチューブに対して5質量%保持されていた。また、無電解メッキ後の材料をTEM観察したところ、単層カーボンナノチューブの全表面がPd膜で覆われていた。
【0025】
Pd膜付単層カーボンナノチューブのTEMを観察した結果、Pd膜の厚さは20〜60Åであった。
Pd膜付単層カーボンナノチューブのBET比表面積、平均細孔直径を測定した結果、それぞれ850m2 /g、9.3Åであり、原料単層カーボンナノチューブとほぼ同等であった。
本材料の水素吸蔵能を容量法で評価した。測定を行う前に、材料を150℃、真空で2時間処理した。室温で9.5MPaまで昇圧して水素吸蔵能を測定した結果、9.5MPaで1.9質量%の水素を吸蔵した。結果を図2に示す。
比較として原料の活性炭素繊維の水素吸蔵量も測定したが、9.5MPaで0.6質量%しか吸蔵しなかった。
【0026】
(比較例1)
活性炭(BET比表面積1000m2 /g、平均細孔直径9.7Å)をEB蒸着装置にセットし、Pdをターゲットとして活性炭表面にPd膜を形成した。活性炭は粘着テープで基板に固定した。また、Pd膜厚は装置の設定値で1000Åとした。蒸着前後の質量を比較してPd保持量を測定した結果、原料の活性炭に対して0.8質量%保持されていた。またPd蒸着後の材料をSEM観察したところ、基板に固定されていた部分を中心にPd膜の付着していない領域があった。
【0027】
Pd膜付活性炭を破断して、断面のSEM観察した結果、Pd膜の厚さは2〜3μmであった。
Pd膜付活性炭のBET比表面積、平均細孔直径を測定した結果、それぞれ570m2 /g、8.7Åであり、原料活性炭と比較して比表面積が大きく低下した。
本材料の水素吸蔵能を容量法で評価した。測定を行う前に、材料を150℃、真空で2時間処理した。室温で9.5MPaまで昇圧して水素吸蔵能を測定した結果、9.5MPaで0.6質量%の水素を吸蔵した。
比較として原料の活性炭の水素吸蔵量も測定したが、9.5MPaで0.5質量%であった。
【0028】
(比較例2)
SnCl2 ・2H2 O 0.5g、37%HCl 0.3mlを混合してSn前処理液を調製した。また、PdCl2 0.03g、37%HCl 0.1mlを混合してPd前処理液を調製した。複層カーボンナノチューブ(BET比表面積800m2 /g、平均細孔直径10Å)をSn前処理液に1分間、Pd前処理液に1分間、交互に10サイクル浸漬し、複層カーボンナノチューブの前処理を行った。
【0029】
〔Pd(NH3 )4 〕Cl2 ・H2 O 3g、2Na・EDTA 29g、25%アンモニア水300ml、ヒドラジン0.5mlを混合し、メッキ溶液を調製した。複層カーボンナノチューブをメッキ溶液に入れて50℃で5分間攪拌した後、材料を取り出して水洗、真空乾燥を行いPd膜付複層カーボンナノチューブを得た。メッキ前後の質量を比較してPd保持量を測定した結果、原料の複層カーボンナノチューブに対して5質量%保持されていた。また、無電解メッキ後の材料をTEM観察したところ、活性炭素繊維の全表面がPd膜で覆われていた。
【0030】
Pd膜付複層カーボンナノチューブのTEMを観察した結果、Pd膜の厚さは30〜80Åであった。
Pd膜付複層カーボンナノチューブのBET比表面積、平均細孔直径を測定した結果、それぞれ710m2 /g、9.1Åであり、原料複層カーボンナノチューブとほぼ同等であった。
本材料の水素吸蔵能を容量法で評価した。測定を行う前に、材料を150℃、真空で2時間処理した。室温で9.5MPaまで昇圧して水素吸蔵能を測定した結果、9.5MPaで0.3質量%の水素を吸蔵した。
比較として原料の複層カーボンナノチューブの水素吸蔵量も測定したが、9.5MPaで0.2質量%であった。
【0031】
(比較例3)
SnCl2 ・2H2 O 0.5g、37%HCl 0.3mlを混合してSn前処理液を調製した。また、PdCl2 0.03g、37%HCl 0.1mlを混合してPd前処理液を調製した。カーボンエアロゲル(BET比表面積1300m2 /g、平均細孔直径110Å)をSn前処理液に1分間、Pd前処理液に1分間、交互に10サイクル浸漬し、複層カーボンナノチューブの前処理を行った。
【0032】
〔Pd(NH3 )4 〕Cl2 ・H2 O 3g、2Na・EDTA 29g、25%アンモニア水300ml、ヒドラジン0.5mlを混合し、メッキ溶液を調製した。カーボンエアロゲルをメッキ溶液に入れて50℃で15分間攪拌した後、材料を取り出して水洗、真空乾燥を行いPd薄膜付カーボンエアロゲルを得た。メッキ前後の質量を比較してPd保持量を測定した結果、原料のカーボンエアロゲルに対して4質量%保持されていた。また、無電解メッキ後の材料をSEM観察したところ、カーボンエアロゲルの全表面がPd膜で覆われていた。
【0033】
Pd膜付カーボンエアロゲルを破断して、断面のSEMを観察した結果、Pd膜の厚さは100〜120μmであった。
Pd膜付カーボンエアロゲルのBET比表面積、平均細孔直径を測定した結果、それぞれ1170m2 /g、103Åであり、原料カーボンエアロゲルとほぼ同等であった。
本材料の水素吸蔵能を容量法で評価した。測定を行う前に、材料を150℃、真空で2時間処理した。室温で9.5MPaまで昇圧して水素吸蔵能を測定した結果、9.5MPaで0.3質量%の水素を吸蔵した。
比較として原料のカーボンエアロゲルの水素吸蔵量も測定したが、9.5MPaで0.3質量%であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における水素吸蔵能の測定結果を示すグラフ。
【図2】実施例2における水素吸蔵能の測定結果を示すグラフ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、高容量水素吸蔵炭素材料の製造方法および水素吸蔵方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水素吸蔵材料はエネルギー貯蔵材料として重要な材料で、特に、燃料電池自動車等のエネルギー貯蔵方法を考える場合、欠かすことのできないものである。代表的な水素吸蔵材料としてはLaNi合金等が挙げられ、二次電池として広い分野で使われている。
しかし、これらの金属系水素吸蔵材料では、吸蔵水素量に対する質量が大きすぎ、特に燃料電池自動車等の用途としては適さないという問題があった。
【0003】
近年、カーボンナノチューブ等の新しい炭素系材料が見出され、軽量で、水素を多量に吸蔵することから、次世代のエネルギー貯蔵方法として注目を集めている。しかしながら、高価であること、水素吸蔵能がまだ不十分であること、などから安価な多孔質吸着材を利用してより高いレベルの水素吸蔵能を実現することが求められていた。
また、炭素材料単体だけでなく、他の金属元素を加えた場合の水素吸蔵能も研究されている。第28回炭素材料学会年会要旨集 1A21に記載されるように金属元素の添加方法としては含浸法が試みられており、活性炭素繊維にPtやPdを微粒子として担持した場合の水素吸蔵能が評価されているが、未だ有用な効果は得られていない。
【0004】
また、特開平10−72201号公報に記載されるように、真空蒸着でPd膜を成膜する方法も試みられているが、全面に均一な膜を形成するのが困難な点、および工業プロセスの量産化、低コスト化が困難な点が課題として残っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、水素吸蔵能に優れる水素吸蔵炭素材料を容易に提供することのできる水素吸蔵炭素材料の製造方法および該水素吸蔵炭素材料を用いる水素吸蔵方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は第一に、ガス吸着法で測定した平均細孔直径が3.5〜100Åで、比表面積が400〜3500m2 /gである多孔質炭素材料の表面に、無電解メッキ法により、水素吸蔵金属または水素吸蔵合金を、該水素吸蔵金属または水素吸蔵合金の保持量が多孔質炭素材料に対して0.1〜50質量%となるように被覆することを特徴とする水素吸蔵炭素材料の製造方法に関する。
【0007】
本発明は第二に、上記の水素吸蔵金属または水素吸蔵合金が、Pd,Pd−Ag合金またはPd−Cu合金であることを特徴とする水素吸蔵炭素材料の製造方法に関する。
本発明は第三に、上記の方法で得られた水素吸蔵炭素材料をボンベに充填して水素ガスを封入することを特徴とする水素吸蔵方法に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明では水素吸蔵材料としてガス吸着法で測定した平均細孔直径が3.5〜100Åで、比表面積が400〜3500m2 /gである多孔質炭素材料を用いる。このような多孔質炭素材料を用いることにより、軽量にして、単位質量当たりの水素吸蔵量を大きくすることができる。
【0009】
本発明で用いる多孔質吸着材の具体例としては、活性炭、活性炭素繊維、カーボンエアロゲル、単層カーボンナノチューブ、複層カーボンナノチューブ、黒鉛層間化合物等が挙げられる。
上記の黒鉛層間化合物としては、例えば黒鉛−Li、黒鉛−Na、黒鉛−K、黒鉛−Rb、黒鉛−Cs、黒鉛−Ca、黒鉛−Sr、黒鉛−Ba、黒鉛−HNO3 、黒鉛−H2 SO4 、黒鉛−HClO4 、黒鉛−F、黒鉛酸等が挙げられる。
【0010】
本発明において多孔質炭素材料の細孔構造としては平均細孔直径が前記したように3.5〜100Åであることを要するが、好ましくは3.5〜20Å、より好ましくは3.5〜15Åの範囲にあることが望ましい。
上記の範囲に満たないときは、細孔容積が小さくなるため水素吸蔵量が低くなり好ましくなく、上記の範囲を超えるときは水素吸蔵金属または水素吸蔵合金による水素吸蔵能増加効果がなくなり好ましくない。
【0011】
また本発明において多孔質炭素材料の比表面積は前記したように400〜3500m2 /gであることを要するが、好ましくは800〜3500m2 /g、より好ましくは900〜3500m2 /gの範囲にあることが望ましい。
上記の範囲に満たないときは、吸着サイトが減少するため好ましくない。また比表面積は高いほど良いが、高すぎても水素吸蔵金属または水素吸蔵合金層による水素吸蔵能増加効果がなくなり好ましくなく、また通常は上記の範囲を超える多孔質炭素材料吸着材はほとんど入手できない。
本発明において、多孔質炭素材料吸着材の平均細孔直径および比表面積の測定は、ガス吸着法、特に窒素ガスによるBETガス吸着法により行う。
【0012】
本発明で用いる水素吸蔵金属または水素吸蔵合金は、単一の金属元素から成るものでも、2種類以上の金属元素から成るものでもよいが、水素吸蔵金属または水素吸蔵合金の水素吸蔵能が、室温で5MPaの水素圧をかけた時、水素吸蔵金属または水素吸蔵合金の質量に対して通常0.1〜2質量%、好ましくは0.2〜1質量%であるような水素吸蔵金属または水素吸蔵合金を使用することが望ましい。
【0013】
本発明において使用する水素吸蔵金属または水素吸蔵合金としては、貴金属族系の金属またはその合金、例えばPd,Pd合金等やV−Ni系合金、La−Ni系合金、Ti−V系合金、Mg−Ni系合金、Zr系合金等が挙げられ、PdおよびPd合金がより好ましい。
Pd合金としてはPd−Ag,Pd−Cu等が、V−Ni系合金としてはV60Ni40、V63Ti21Ni16等が、La−Ni系合金としてはLaNi5 、LaNi4 Pd等が、Ti−V系合金としてはV63Ti21Ni16、V66Ti22Ni12等が、Mg−Ni系合金としては、Mg2 Ni等が、またZr系合金としてはZrMn2 等が使用できる。
【0014】
本発明においては水素吸蔵金属または水素吸蔵合金の成膜方法として無電解メッキ法を用いる。これにより全面に均一な膜を容易に形成することができ、多孔質炭素材料に対する成膜処理後の水素吸蔵炭素材料の比表面積および平均細孔直径の低下を最小に抑えることができ、さらに工業プロセスの量産化、低コスト化も容易であるという顕著な効果が得られる。これに対し成膜方法として蒸着やスパッタを用いると、ターゲットの方向から陰になる部分、およびジグや粘着テープなどで固定した部分には水素吸蔵金属または水素吸蔵合金膜が付着しないという問題が生ずる。また、蒸着やスパッタの場合、多孔質炭素材料の成膜処理後の比表面積の維持が困難で低下してしまうため、水素の吸着サイトが減少するという問題を生ずる。
【0015】
多孔質炭素材料への水素吸蔵金属または水素吸蔵合金の無電解メッキ方法の条件としては公知の無電解メッキ方法の条件を適宜利用できる。例えばPdの場合、〔Pd(NH3 )4 〕Cl2 をヒドラジンで還元する方法を用いることができる。
多孔質炭素材料は、例えば平滑な板状の金属材料など他の材料と比較してメッキ膜が付着しにくいため、メッキの前処理段階で成長核を付着させることが好ましい。その方法としては、例えばPdをメッキする場合、Sn2+溶液とPd2+溶液に多孔質炭素材料を交互に浸漬する方法がある。Sn2+溶液およびPd2+溶液への浸漬時間は、それぞれ通常30秒以上、好ましくは1分以上である。浸漬回数は、Sn2+溶液とPd2+溶液への浸漬を1サイクルとした場合、通常5サイクル以上、好ましくは10サイクル以上である。
【0016】
本発明における水素吸蔵金属または水素吸蔵合金の保持量は、多孔質炭素材料吸着材に対して0.1〜50質量%であり、好ましくは0.2〜20質量%、より好ましくは0.5〜10質量%の範囲にあることが望ましい。
上記の範囲に満たないときは細孔と水素吸蔵金属または水素吸蔵合金膜との相互作用が小さく、水素吸蔵量の増加効果が出ないことがある。また上記の範囲を超えるときは質量が大きくなるため、単位質量当たりの水素吸蔵量が小さくなるため好ましくない。
水素吸蔵金属または水素吸蔵合金の保持量は、膜形成前の乾燥質量と膜形成後の乾燥質量を比較して、質量増加から算出することができる。
【0017】
本発明で得られる水素吸蔵炭素材料による水素の吸蔵は上記した本発明の水素吸蔵炭素材料と水素を接触させればよく、水素圧は常圧、加圧のいずれでもよい。例えばボンベに水素吸蔵炭素材料を充填し、水素ガスを室温で圧入することにより実施することができる。
水素の吸蔵および放出の方法は、室温下で行うことに限らず、適宜冷却や加熱を組み合わせることもできる。例えば水素吸蔵・水素放出の際の温度制御方法としては、吸蔵・放出ともに室温近傍、吸蔵は低温・放出は室温近傍、吸蔵は低温・放出は高温、吸蔵は室温近傍・放出は高温、などがある。ここで室温近傍、低温、高温はそれぞれの操作時の温度に対する相対的な温度を意味するが、例えば室温近傍とは0〜40℃、低温とは−190〜0℃、高温とは40〜500℃を好適な温度として設定することができる。
【0018】
【発明の効果】
本発明の水素吸蔵炭素材料の製造方法により、従来の真空蒸着法では困難であった、多孔質炭素材料全面への均一な膜形成、および工業プロセスの量産化、低コスト化が可能となる。
【0019】
【実施例】
以下本発明を実施例および比較例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(平均細孔直径および比表面積の測定)窒素ガスによるBETガス吸着法により測定した。200℃、1時間の真空脱気処理(乾燥)を行った後、日本ベル(株)製のBELSORP36を使用して、液体窒素温度での窒素ガス吸着を行い、吸着等温曲線、BETプロットを求めた。これをMP法で解析して平均細孔直径と比表面積を測定した。
【0020】
(実施例1)
SnCl2 ・2H2 O 0.5g、37%HCl 0.3mlを混合してSn前処理液を調製した。また、PdCl2 0.03g、37%HCl 0.1mlを混合してPd前処理液を調製した。活性炭素繊維(BET比表面積1100m2 /g、平均細孔直径8.5Å)をSn前処理液に1分間、Pd前処理液に1分間、交互に10サイクル浸漬し、活性炭素繊維の前処理を行った。
【0021】
〔Pd(NH3 )4 〕Cl2 ・H2 O 3g、2Na・EDTA 29g、25%アンモニア水300ml、ヒドラジン0.5mlを混合し、メッキ溶液を調製した。活性炭素繊維をメッキ溶液に入れて50℃で15分間攪拌した後、材料を取り出して水洗、真空乾燥を行いPd膜付活性炭素繊維を得た。メッキ前後の質量を比較してPd保持量を測定した結果、原料の活性炭素繊維に対して3質量%保持されていた。また、無電解メッキ後の材料をSEM観察したところ、活性炭素繊維の全表面がPd膜で覆われていた。
【0022】
Pd膜付活性炭素繊維を破断して、断面のSEM観察した結果、Pd膜の厚さは70〜130μmであった。
Pd膜付活性炭素繊維のBET比表面積、平均細孔直径を測定した結果、それぞれ1000m2 /g、8.1Åであり、原料活性炭素繊維とほぼ同等であった。
本材料の水素吸蔵能を容量法で評価した。測定を行う前に、材料を150℃、真空で2時間処理した。室温で9.5MPaまで昇圧して水素吸蔵能を測定した結果、9.5MPaで1.4質量%の水素を吸蔵した。結果を図1に示す。
比較として原料の活性炭素繊維の水素吸蔵量も測定したが、9.5MPaで0.4質量%しか吸蔵しなかった。
【0023】
(実施例2)
SnCl2 ・2H2 O 0.5g、37%HCl 0.3mlを混合してSn前処理液を調製した。また、PdCl2 0.03g、37%HCl 0.1mlを混合してPd前処理液を調製した。単層カーボンナノチューブ(BET比表面積1000m2 /g、平均細孔直径10Å)をSn前処理液に1分間、Pd前処理液に1分間、交互に10サイクル浸漬し、単層カーボンナノチューブの前処理を行った。
【0024】
〔Pd(NH3 )4 〕Cl2 ・H2 O 3g、2Na・EDTA 29g、25%アンモニア水300ml、ヒドラジン0.5mlを混合し、メッキ溶液を調製した。単層カーボンナノチューブをメッキ溶液に入れて50℃で5分間攪拌した後、材料を取り出して水洗、真空乾燥を行いPd膜付単層カーボンナノチューブを得た。メッキ前後の質量を比較してPd保持量を測定した結果、原料の単層カーボンナノチューブに対して5質量%保持されていた。また、無電解メッキ後の材料をTEM観察したところ、単層カーボンナノチューブの全表面がPd膜で覆われていた。
【0025】
Pd膜付単層カーボンナノチューブのTEMを観察した結果、Pd膜の厚さは20〜60Åであった。
Pd膜付単層カーボンナノチューブのBET比表面積、平均細孔直径を測定した結果、それぞれ850m2 /g、9.3Åであり、原料単層カーボンナノチューブとほぼ同等であった。
本材料の水素吸蔵能を容量法で評価した。測定を行う前に、材料を150℃、真空で2時間処理した。室温で9.5MPaまで昇圧して水素吸蔵能を測定した結果、9.5MPaで1.9質量%の水素を吸蔵した。結果を図2に示す。
比較として原料の活性炭素繊維の水素吸蔵量も測定したが、9.5MPaで0.6質量%しか吸蔵しなかった。
【0026】
(比較例1)
活性炭(BET比表面積1000m2 /g、平均細孔直径9.7Å)をEB蒸着装置にセットし、Pdをターゲットとして活性炭表面にPd膜を形成した。活性炭は粘着テープで基板に固定した。また、Pd膜厚は装置の設定値で1000Åとした。蒸着前後の質量を比較してPd保持量を測定した結果、原料の活性炭に対して0.8質量%保持されていた。またPd蒸着後の材料をSEM観察したところ、基板に固定されていた部分を中心にPd膜の付着していない領域があった。
【0027】
Pd膜付活性炭を破断して、断面のSEM観察した結果、Pd膜の厚さは2〜3μmであった。
Pd膜付活性炭のBET比表面積、平均細孔直径を測定した結果、それぞれ570m2 /g、8.7Åであり、原料活性炭と比較して比表面積が大きく低下した。
本材料の水素吸蔵能を容量法で評価した。測定を行う前に、材料を150℃、真空で2時間処理した。室温で9.5MPaまで昇圧して水素吸蔵能を測定した結果、9.5MPaで0.6質量%の水素を吸蔵した。
比較として原料の活性炭の水素吸蔵量も測定したが、9.5MPaで0.5質量%であった。
【0028】
(比較例2)
SnCl2 ・2H2 O 0.5g、37%HCl 0.3mlを混合してSn前処理液を調製した。また、PdCl2 0.03g、37%HCl 0.1mlを混合してPd前処理液を調製した。複層カーボンナノチューブ(BET比表面積800m2 /g、平均細孔直径10Å)をSn前処理液に1分間、Pd前処理液に1分間、交互に10サイクル浸漬し、複層カーボンナノチューブの前処理を行った。
【0029】
〔Pd(NH3 )4 〕Cl2 ・H2 O 3g、2Na・EDTA 29g、25%アンモニア水300ml、ヒドラジン0.5mlを混合し、メッキ溶液を調製した。複層カーボンナノチューブをメッキ溶液に入れて50℃で5分間攪拌した後、材料を取り出して水洗、真空乾燥を行いPd膜付複層カーボンナノチューブを得た。メッキ前後の質量を比較してPd保持量を測定した結果、原料の複層カーボンナノチューブに対して5質量%保持されていた。また、無電解メッキ後の材料をTEM観察したところ、活性炭素繊維の全表面がPd膜で覆われていた。
【0030】
Pd膜付複層カーボンナノチューブのTEMを観察した結果、Pd膜の厚さは30〜80Åであった。
Pd膜付複層カーボンナノチューブのBET比表面積、平均細孔直径を測定した結果、それぞれ710m2 /g、9.1Åであり、原料複層カーボンナノチューブとほぼ同等であった。
本材料の水素吸蔵能を容量法で評価した。測定を行う前に、材料を150℃、真空で2時間処理した。室温で9.5MPaまで昇圧して水素吸蔵能を測定した結果、9.5MPaで0.3質量%の水素を吸蔵した。
比較として原料の複層カーボンナノチューブの水素吸蔵量も測定したが、9.5MPaで0.2質量%であった。
【0031】
(比較例3)
SnCl2 ・2H2 O 0.5g、37%HCl 0.3mlを混合してSn前処理液を調製した。また、PdCl2 0.03g、37%HCl 0.1mlを混合してPd前処理液を調製した。カーボンエアロゲル(BET比表面積1300m2 /g、平均細孔直径110Å)をSn前処理液に1分間、Pd前処理液に1分間、交互に10サイクル浸漬し、複層カーボンナノチューブの前処理を行った。
【0032】
〔Pd(NH3 )4 〕Cl2 ・H2 O 3g、2Na・EDTA 29g、25%アンモニア水300ml、ヒドラジン0.5mlを混合し、メッキ溶液を調製した。カーボンエアロゲルをメッキ溶液に入れて50℃で15分間攪拌した後、材料を取り出して水洗、真空乾燥を行いPd薄膜付カーボンエアロゲルを得た。メッキ前後の質量を比較してPd保持量を測定した結果、原料のカーボンエアロゲルに対して4質量%保持されていた。また、無電解メッキ後の材料をSEM観察したところ、カーボンエアロゲルの全表面がPd膜で覆われていた。
【0033】
Pd膜付カーボンエアロゲルを破断して、断面のSEMを観察した結果、Pd膜の厚さは100〜120μmであった。
Pd膜付カーボンエアロゲルのBET比表面積、平均細孔直径を測定した結果、それぞれ1170m2 /g、103Åであり、原料カーボンエアロゲルとほぼ同等であった。
本材料の水素吸蔵能を容量法で評価した。測定を行う前に、材料を150℃、真空で2時間処理した。室温で9.5MPaまで昇圧して水素吸蔵能を測定した結果、9.5MPaで0.3質量%の水素を吸蔵した。
比較として原料のカーボンエアロゲルの水素吸蔵量も測定したが、9.5MPaで0.3質量%であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における水素吸蔵能の測定結果を示すグラフ。
【図2】実施例2における水素吸蔵能の測定結果を示すグラフ。
Claims (3)
- ガス吸着法で測定した平均細孔直径が3.5〜100Åで、比表面積が400〜3500m2 /gである多孔質炭素材料の表面に、無電解メッキ法により、水素吸蔵金属または水素吸蔵合金を、該水素吸蔵金属または水素吸蔵合金の保持量が多孔質炭素材料に対して0.1〜50質量%となるように被覆することを特徴とする水素吸蔵炭素材料の製造方法。
- 水素吸蔵金属または水素吸蔵合金が、Pd,Pd−Ag合金またはPd−Cu合金であることを特徴とする請求項1記載の水素吸蔵炭素材料の製造方法。
- 請求項1または2の方法で得られた水素吸蔵炭素材料をボンベに充填して水素ガスを封入することを特徴とする水素吸蔵方法。
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-
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