JP2004018852A5 - - Google Patents

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Description

【0002】
【従来の技術】
コークス炉において、炭化炉の出入口を開閉する炉蓋は、炭化炉内に装入された石炭粒
子を900℃以上の高温度で乾留する製造条件から、高温度に耐え、しかも高い熱を炭化
炉内で消費するために、例えば特公昭60−25072号公報や実開平5−56940号
公報など多くの特許公報で掲載される様に、炭化炉の炉内側に大きな重量の耐火煉瓦で封
印し、その周辺部にナイフエッジ状断面のシール用押圧条片を設けた、密閉式の構造物で
ある。実に、剛強な鋼鉄製フレーム構造に作られた炉蓋である。しかしながら、厚さ40
0mm程度の大きな重量の耐火煉瓦が、炭化炉に隣接する加熱室(炉)から石炭粒子を乾
留するために供給された高温度の熱を吸熱し、特に炉蓋を閉塞した後の昇温時にかなりの
熱を吸熱する。このため炭化炉の出入口側すなわち炉蓋近傍部に装入された石炭粒子は、
充分な乾留温度と乾留時間が得られず不良コークスのまま他の乾留コークスに混ざり込ん
で窯出しされるため、コークスの品質劣化を招く原因から、コークス選別作業を行わねば
ならないなど、生産性に大きな影響を及ぼす問題があった。
この様な問題を解消する理由から、炭化炉内の熱効率を向上するコースス炭化炉蓋の開発が多く試みられ、多くの特許後方がある。例えば特公平3−40074号公報(昭和55年出願)には「装入物から生成する熱い気体を、該装入物と接触する少なくとも一つの扉の熱伝導性金属隔壁で炭化室の内部と分離する扉の中の垂直な通路を通して送気管へ送り、該気体の通路での上昇と該隔壁の熱伝導性によって、該隔壁を介し該隔壁接触する上記装入物の上末端領域に該気体の熱の一部を移して該装入物をコークス化する方法」が開示されている。この方法に基づいて、特公昭61−49353号公報(昭和57年出願)には「炉内側に、スペーサ片を介してコーキングプレートを結合した個々の遮蔽部材を重なり合う様に設けた炉内発生ガス通過用の遮蔽体を取り付けた、コークス炉」、特開昭62−72782号公報(昭和60年出願)には「遮蔽体を、高さ方向に区分されたU字状断面をもつ複数の遮蔽体で構成した、コークス炉の炉蓋」、実公平6−43146号公報には「金属製ガス通路遮蔽体のコークス炉壁に対向する両側に、耐熱性で可撓性を有するパッキンを取付けたコークス炉の炉蓋」、特許第2894065号公報には「金属製ガス通路構成部材の装入炭接する部分の内面を、温度差の大きい気体との接触から保護する断熱材で被覆した、コークス炉の炉蓋」、さらにはガス通路を構成するコーキングプレートに、厚さ25mm以下のセラミックスを使用する「実開平2−69946号公報」、酸化亜鉛あるいはアルミナファイバーを含有するコーディエライト複合体セラミックスを使用する「実開平3−18150号公報」など、多くの構造と適用材質の技術が特許公報によって開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この様に炉内発生ガスを通過させる空間ボックス型の遮蔽体技術の出現によって、高温
度の熱を保有する炉内発生ガスの熱損失は、それ以前の炉蓋に較べ、軽減されている。し
かしながら、実用化に供されていないのが現状である。
その理由は定かではないが、本発明者らの推測によると、次の様な問題があったものと
考えられる。実開平1−147236号公報の様に、断熱板の炉内側に炉内発生ガスを通
過させる遮蔽体を設け、その炉内側に耐火煉瓦の内張りを施した炭化炉では、炉内発生ガ
スの高い保有熱を効果的に消費しているが、耐火煉瓦の吸熱量が依然と大きいため、炉蓋
近傍部に装入された石炭粒子の加熱温度が上がらず、不良コークスが製造される問題があ
る。さらに、炉蓋の開閉作業の際に耐火煉瓦が何かに衝突して一部を剥離する問題、剥離
した耐火煉瓦の破片がコークスに混ざり込む問題があったものと考えられる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明はこの知見に基づいて構成したもので、その要旨は、石炭粒子を装入する炭化炉
の炉口枠を押圧するナイフエッジ断面形状のフランジ部材を周縁部に接合したシールプレ
ートを介して炭化炉の出入口を開閉する炉蓋構造体の炉内側に断熱ボックスを設け、さら
に該断熱ボックスの炉高方向を複数段に分割する位置に間隔横体枠を設けると共に、該間
隔横体枠の上下離隔間に石炭粒子侵入遮蔽用短冊板を左右に微小な通気用間隙を設けて縦
横に並列しかつ該石炭粒子侵入遮蔽用短冊板の上方端部を間隔横体枠に遊動可能に吊設し
た無底構造の炉内発生ガス回遊隔離室を設けて構成したコークス炭化炉蓋近傍部の昇温促
進用コークス炉蓋である。
さらに本発明においては、上記の様な構造に組立てられた炉蓋構造体3の炉内側に、 熱ボックス11を介して炭化炉1で発生した高温度の熱を保有するガスを流通(回遊)する無底構造の炉内発生ガス回遊隔離室15を設ける。無底構造の炉内発生ガス回遊隔離室15は、炉高方向を複数段に分割する位置に袋状、筒状などの抱持形状あるいは任意な形状の中空フレーム部材に加工または組立てられて石炭粒子2の押圧力やその他の外圧に変形する事がない耐熱性の鋼鉄製あるいはその他の耐熱性金属材料製の間隔横体枠16を断熱ボックス11に取付けると共に、該間隔横体枠16に、同様の該材料からなる石炭粒子侵入遮蔽用短冊板17を左右に微小な通気用の隙間18を設けて図示する様な格子状の配列にあるいは上下交互に間欠する配列で並列し、かつ該石炭粒子侵入遮蔽用短冊板17の上方端部が間隔横体枠16にボルトやその他の係合具19を介して揺動可能に吊設されている。尚、本発明においては、石炭粒子侵入遮蔽用短冊板17を縦横に並列する場合、縦方向の上下間で該短冊板の膨張代に相当する隙間を設ける事が好ましく、横方向の通気用隙間18についても、該短冊板の膨張代と石炭粒子2が侵入しない程度の大きさを考慮して設ける事が好ましい。また無底構造の炉内発生ガス回遊隔離室15には、炉内発生ガスが円滑に流入しかつ回遊する様に、必要によっては上方側に炉内発生ガスの排気パイプを設けてもよい。すなわち、無底構造の炉内発生ガス回遊隔離室15は、炭化炉1で流動する炉内発生ガスを左右に配列する石炭粒子侵入遮蔽用短冊板17の間の微小な通気用隙間18から流入し、該室内を回遊した後、別の通気用隙間18から炭化炉1にあるいは排気ハイプに流出する様に設けられている。
上記の様に構成された本発明のコークス炉蓋は、従来のコークス化操業と同様に、炭化炉1の出入口4をシールプレート7で密閉しつつ炉蓋構造体3で閉塞した後、石炭粒子2を炭化炉1に装入する。炭化炉1に装入された石炭粒子2は、隣接する加熱炉から供給される高温度の熱で乾留されながら、徐々にコークス化する。このとき炭化炉1の中央部に装入された石炭粒子2から発生した高温度の炉内発生ガスは、石炭粒子侵入遮蔽用短冊板17流動しつつ、乾留温度に未到達の石炭粒子2を加熱しまた昇温しながら石炭粒子侵入遮蔽用短冊板17の微小な通気用隙間18から無底構造の炉内発生ガス回遊隔離室15に流入する。炉内発生ガスの流入で高温度に昇温された無底構造の炉内発生ガス回遊隔離室15は、石炭粒子侵入遮蔽用短冊板17を介して、炉蓋近傍部に装入された石炭粒子2を加熱する。この様に炉蓋近傍部に装入された石炭粒子2は、炉内発生ガスが炭化炉1の中央部から無底構造の炉内発生ガス回遊隔離室15へ流動する際に加熱され、高温度に加熱された該隔離室の石炭粒子侵入遮蔽用短冊板17から放出する熱によって加熱される。すなわち、本発明は、炉蓋近傍部に装入された石炭粒子2を炉内側と炉蓋側の両方向から熱で挟み込む加熱方式の炉蓋構造に構成されているため、炉蓋近傍部の石炭粒子2の乾留を促進し、炭化炉1の中央部に装入された石炭粒子に追従して早い時期にコークス化温度に到達する作用を奏する。また低温域で生成する泥状のタールは、凝固する事なくガス化するか、無底構造の炉内発生ガス回遊隔離室15の底部から外部へ自然排出される。

Claims (1)

  1. 石炭粒子(2)を装入する炭化炉(1)の炉口枠(6)するナイフエッジ断面形状のフランジ部材(9)を周縁部に接合したシールプレート(7)を介して炭化炉(1)の出入口(4)を開閉する炉蓋構造体(3)の炉内側に断熱ボックス(11)を設け、さらに該断熱ボックス(11)の炉高方向を複数段に分割する位置に間隔横体枠(16)を設けると共に、該間隔横体枠(16)の上下離隔間に石炭粒子侵入遮蔽用短冊板(17)を左右に微小な通気用間隙(18)を設けて縦横に並列しかつ該石炭粒子侵入遮蔽用短冊板(17)の上方端部を間隔横体枠(16)に遊動可能に吊設した無底構造の炉内発生ガス回遊隔離室(15)を設けて構成した事を特徴とするコークス炭化炉蓋近傍部の昇温促進用コークス炉蓋。
JP2002210272A 2002-06-13 2002-06-13 コークス炭化炉蓋近傍部の昇温促進用コークス炉蓋 Expired - Lifetime JP3937156B2 (ja)

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