JP2004018055A - カートン形成用厚紙 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】比圧縮強度並びに比破裂強度が明確に規定されているJIS規格P3902(2000)に定められた段ボール用ライナのうち、性能AA級、A級、B級、C級のライナを選択し、これを二層以上積層しエマルジョン糊等を用いて合紙することにより得られるカートン形成用厚紙。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉体、粒体或いは液体等の大容量容器等に使用されるカートンや、ベアリング用ボール等重量物の包装素材として使用される厚紙に関し、さらに詳しくは、内容物に応じた外装容器の強度を安定的に保持できる厚紙素材で、しかも生産性、経済性に優れた包装容器用厚紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、粉体、粒体或いは液体等をポリプロピレン製の袋等の内装容器に充填し、段ボール或いは積層合紙した厚紙を使用した函体に収納するいわゆるバッグインボックスが業務用紙製容器として広く使用されている。またベアリング用ボール等重量物を積層厚紙により製作されたカートンに入れて包装されることも行われている。
【0003】
さらに、重量物や特殊な条件下例えば高湿度下で使用される包装容器用には、ポリプロピレン製の段ボールや、スチールを中芯として作られた段ボールなども市場化されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記紙製容器は段ボールや一般的板紙の積層合紙による厚紙使用が一般的で、大容量の内容物に対しては強度面での問題が多く、輸送時の落下や衝撃等により、外装容器の破損しいては内袋の破損、内容物の流出までの危険が考えられた。また内袋が与える内圧で外装容器が変形する、一般に胴膨れと呼ばれる現象も、変形の著しい場合破損につながる危険が考えられた。これらは外装容器が紙製であることから、高湿度下や屋外での雨水等の影響、輸送保管時の積み上げ等、さらに苛酷な条件となることがあった。また、ベアリング用ボール等重量物のカートン包装は小型ながら非常に重量が有り、その自重によるカートンの変形・破損、落下・衝撃等による易損度が高かった。
【0005】
また一般に使用されている板紙を積層合紙したものについては、基本的に比圧縮強度が弱く、又抄造ロット並びに抄造条件による品質のばらつきも有り、上記強度要請に対し安定的に応えることが出来ないという欠点があった。
【0006】
強度面解消や高湿度下等苛酷な条件下での対応用に供されるポリプロピレン製の段ボールや、スチールを中芯として作られた段ボールは、その加工面での取り扱いにくさや素材自体の重量が大きい問題と、コスト面でも高価格になるなど、生産性、経済性の面から問題があった。
【0007】
そこで本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、内容物に応じた外装容器の強度を安定的に保持できる厚紙素材で、しかも生産性、経済性に優れたカートン形成用厚紙を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する為に、本発明ではJIS規格P3902(2000)に定められた段ボール用ライナのうち、性能がAA級、A級、B級、C級のライナを選択し、これを二層以上積層しエマルジョン糊等を用いて接着合紙することとした。
【0009】
段ボール用ライナを選択使用した理由は、規格によって比圧縮強度並びに比破裂強度が明確に規定されていることで、被包装物の包装条件に合わせて材料設計が可能であること並びに、材料の品質安定による設計包装容器の品質安定が得られることにある。
【0010】
JIS規格P3902(2000)に定められた段ボール用ライナは280g/m2を上限としている為、課題解決のためには少なくとも二層以上の積層合紙を行うこととしたが、通常この種の積層合紙については五層までの製造ラインが存在する。尚、軽量内容物を包装するカートン形成に使用される板紙坪量は、210g/m2から600g/m2が通常使用されているが、重量物や大容量の製品を収納するカートンを形成する厚紙の坪量の範囲は、およそ400g/m2から1200g/m2と考えられることから、少なくとも二層以上の積層合紙を行うこととし、例えば400g/m2の場合、200g/m2を二層合紙することも出来るし、180g/m2と220g/m2との合紙によることも考えられる。
殊更に強度を要求される容器や大型容器の場合、例えば表裏に280g/m2、内層二層を200g/m2とすることで、四層で960g/m2の合紙を提供する事ができる等、必要とされる強度に対応して坪量も積層枚数も任意に選択ができる。
【0011】
エマルジョン糊による接着は、ライナ間の全面接着でも良いし、パターン接着でも良い。これは基本的に製造上の問題から、全面接着では乾燥時間を長く必要とすることで製造スピードが上がらず、製造原価の上昇が考えられるためと、乾燥条件の変化等による紙癖例えばカール、波うちを抑えるためである。
【0012】
請求項3の発明の段ボール用ライナは、JIS規格P3902(2000)によれば、坪量280g/m2の場合、性能がAA級では比圧縮強度(単位N・m2/g)が165以上、比破裂強度(単位kPa・m2/g)が3.0以上と規定されるものである。
【0013】
請求項4の発明の段ボール用ライナはJIS規格P3902(2000)によれば、坪量180g/m2乃至220g/m2の場合、性能がAA級では比圧縮強度(単位N・m2/g)が145以上、比破裂強度(単位kPa・m2/g)が3.2以上と規定されるものである。
【0014】
請求項5の発明の段ボール用ライナはJIS規格P3902(2000)によれば、坪量280g/m2の場合、性能がA級では比圧縮強度(単位N・m2/g)が155以上、比破裂強度(単位kPa・m2/g)が2.7以上と規定されるものである。
【0015】
請求項6の発明の段ボール用ライナはJIS規格P3902(2000)によれば、坪量160g/m2乃至220g/m2の場合、性能がA級では比圧縮強度(単位N・m2/g)が135以上、比破裂強度(単位kPa・m2/g)が2.9以上と規定されるものである。
【0016】
請求項7の発明の段ボール用ライナはJIS規格P3902(2000)によれば、坪量280g/m2の場合、性能がB級では比圧縮強度(単位N・m2/g)が145以上、比破裂強度(単位kPa・m2/g)が2.4以上と規定されるものである。
【0017】
請求項8の発明の段ボール用ライナはJIS規格P3902(2000)によれば、坪量180g/m2乃至220g/m2の場合、性能がB級では比圧縮強度(単位N・m2/g)が125以上、比破裂強度(単位kPa・m2/g)が2.6以上と規定されるものである。
【0018】
請求項9の発明の段ボール用ライナはJIS規格P3902(2000)によれば、坪量160g/m2乃至210g/m2の場合、性能がC級では比圧縮強度(単位N・m2/g)が115以上、比破裂強度(単位kPa・m2/g)が2.0以上と規定されるものである。
【0019】
本発明は、上記の段ボール用ライナを積層合紙してなる厚紙であるが、これより製作される包装・容器は、内容物(製品)の形状、サイズ、重量、特性、かつ輸送等使用条件などにより、その構造・形式の適宜な設計が可能である。
【0020】
このように段ボール用ライナを積層合紙した厚紙と、一般板紙を積層合紙した厚紙とを比較試験した結果、座屈強度において約15%〜20%のレベルで段ボール用ライナを積層合紙した厚紙が高い数値を示すことが判明した。しかも一般板紙ではその抄造ロット並びに抄造条件による品質のばらつきが顕著で安定的に強度が維持されない事も判明した。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1、図2は、それぞれ本発明の段ボール用ライナを積層合紙した厚紙の一実施例の構成を示す模式断面図である。
図3は、段ボール用ライナを積層合紙した厚紙と、一般板紙を積層合紙した厚紙とを使用して坪量による座屈強度を比較試験したグラフである。
図4は、本発明の厚紙を使用して製作されるカートンの実施例の参考図。
【0022】
図1は、段ボール用ライナを積層合紙した厚紙の一実施例の構成を示す模式断面図であり、図1に示した段ボール用ライナを積層合紙した厚紙は、坪量200g/m2の段ボール用ライナをエマルジョン糊で接着した構成である。これにより坪量400g/m2相当の厚紙が得られたことになるが、これに替えて坪量180g/m2と坪量220g/m2の段ボール用ライナを使用しても
良い。
【0023】
図2は、段ボール用ライナを積層合紙した厚紙の、別の一実施例の構成を示す模式断面図であり、図2に示した段ボール用ライナを積層合紙した厚紙は、坪量280g/m2の段ボール用ライナを表裏に、坪量200g/m2の段ボ
ール用ライナを内層二層に、それぞれエマルジョン糊で接着した構成である。これにより坪量960g/m2相当の厚紙が得られたことになる。
【0024】
図3は、段ボール用ライナを積層合紙した厚紙と、一般板紙を積層合紙した厚紙とを使用して坪量による座屈強度を比較試験したグラフであるが、段ボール用ライナを積層合紙した厚紙が、おおよそ15%から20%座屈強度に優れていることを示している。
【0025】
図4は、本発明のカートン形成用厚紙を使用して製作されるカートンの、一実施例の参考斜視図であるが、4は段ボール製の輸送梱包によく見られるA式ケース、5は電気製品の輸送・販売ケースに見られるメイリングロックスタイルのケースである。内容製品の特性、大きさ、重量、用途、使用方法など、カートンの構造・形式に関しては種々のものが考えられる為、適宜設計が必要であり、これを限定するものではない。
【0026】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、規格によって比圧縮強度並びに比破裂強度が明確に規定されていることで、被包装物の包装条件に合わせて材料設計が可能であること並びに、材料の品質安定による設計包装容器の品質安定が得られ、内容物に応じた外装容器の強度を安定的に保持できる厚紙素材で、しかも生産性、経済性に優れた包装容器用厚紙を提供できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の段ボール用ライナを積層合紙した厚紙の一実施例の構成を示す模式断面図である。
【図2】本発明の段ボール用ライナを積層合紙した厚紙の、別の一実施例の構成を示す模式断面図である。
【図3】段ボール用ライナを積層合紙した厚紙と、一般板紙を積層合紙した厚紙とを使用して坪量による座屈強度を比較試験したグラフである。
【図4】本発明のカートン形成用厚紙を使用して作成されたカートンの一実施例の参考斜視図である。
【符号の説明】
1… 坪量200g/m2の段ボール用ライナ
2… 坪量280g/m2の段ボール用ライナ
3… エマルジョン糊層
4… カートン実施例の参考斜視図
5… 他のカートン実施例の参考斜視図
Claims (9)
- 包装容器を形成するための厚紙で、JIS規格P3902(2000)に規定される段ボール用ライナを少なくとも二層以上積層合紙してなる厚紙。
- 請求項1の厚紙において、前記積層合紙された厚紙の坪量が400g/m2乃至1200g/m2であることを特徴とする厚紙。
- 前記段ボール用ライナが坪量280g/m2で、JIS規格P3902(2000)の性能がAA級であることを特徴とする請求項1記載の厚紙。
- 前記段ボール用ライナが坪量180g/m2乃至220g/m2で、JIS規格P3902(2000)の性能がAA級であることを特徴とする請求項1記載の厚紙。
- 前記段ボール用ライナが坪量280g/m2で、JIS規格P3902(2000)の性能がA級であることを特徴とする請求項1記載の厚紙。
- 前記段ボール用ライナが坪量160g/m2乃至220g/m2で、JIS規格P3902(2000)の性能がA級であることを特徴とする請求項1記載の厚紙。
- 前記段ボール用ライナが坪量280g/m2で、JIS規格P3902(2000)の性能がB級であることを特徴とする請求項1記載の厚紙。
- 前記段ボール用ライナが坪量180g/m2乃至220g/m2で、JIS規格P3902(2000)の性能がB級であることを特徴とする請求項1記載の厚紙。
- 前記段ボール用ライナが坪量160g/m2乃至210g/m2で、JIS規格P3902(2000)の性能がC級であることを特徴とする請求項1記載の厚紙。
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JP2002177559A Pending JP2004018055A (ja) | 2002-06-18 | 2002-06-18 | カートン形成用厚紙 |
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- 2002-06-18 JP JP2002177559A patent/JP2004018055A/ja active Pending
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