JP2004017483A - 金型 - Google Patents
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Abstract
【課題】例え薄い成形品を成形する場合でも変形や割れのおそれを抑制防止して離型を容易とし、しかも、離型装置等を省略できる金型を提供する。
【解決手段】相対向して成形品の表裏両面に複数の溝3を並設する第一、第二の型10・20と、第一、第二の型10・20の間に着脱自在に介在されて成形品の周囲を成形する中空の中型30と、第一、第二の型10・20の製品形成部11・21を被覆して成形品に密着する離型用の樹脂薄膜40・40Aとを備える。成形品の表裏両面に樹脂薄膜40・40Aを介して複数の溝3を並設するので、離型が容易になる。
【選択図】 図4
【解決手段】相対向して成形品の表裏両面に複数の溝3を並設する第一、第二の型10・20と、第一、第二の型10・20の間に着脱自在に介在されて成形品の周囲を成形する中空の中型30と、第一、第二の型10・20の製品形成部11・21を被覆して成形品に密着する離型用の樹脂薄膜40・40Aとを備える。成形品の表裏両面に樹脂薄膜40・40Aを介して複数の溝3を並設するので、離型が容易になる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、両面に複数の溝を有する成形品を成形する金型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気、電子、電池等の分野においては、溝付きの成形品が使用されている。この成形品は、図示しないが、ゴム、粉体、あるいは樹脂に、カーボンや黒鉛等からなる耐酸性の導電性物質を所定質量部以上含有した材料を用いて基本的には硬い薄板に成形され、表裏両面の大部分に複数の溝が所定のピッチで並設されている。
このような成形品を製造する場合には、図示しない金型を形成する第一、第二の型を用意し、第一の型の凹んだ製品形成部に材料を流し込み、この第一の型に第二の型を型締めしてプレスし、金型を所定時間加熱して冷却した後、型開きする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の金型は、以上のように成形品を製造しているが、成形品の表裏両面に複数の溝がそれぞれ並設されるので、離型がきわめて困難になるという問題がある。特に、肉厚の薄い成形品(例えば2mm)の場合には、変形や割れのおそれが少なくない。また、一般的な成形では、突き出しピンやストリッパープレート等の離型装置を使用して金型から製品を離型するようにしているが、表裏両面の大部分に複数の溝を有する薄い成形品の場合、溝の配置や溝の形状により大きな制約を受けてしまうこととなる。
【0004】
本発明は、上記に鑑みなされたもので、例え薄い成形品を成形する場合でも変形や割れのおそれを抑制防止して離型を容易とし、しかも、離型装置等を省略することのできる金型を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明においては、上記課題を達成するため、対向して成形品の両面に複数の溝を並べて形成する第一、第二の型と、これら第一、第二の型の間に着脱自在に介在されて成形品の周囲を成形する中空の中型と、第一、第二の型の製品形成部を被覆して成形品に密着する離型用の樹脂薄膜とを含んでなることを特徴としている。
【0006】
なお、第一の型に接触する中型の接触面に、樹脂薄膜の周囲に嵌まる位置決め凹部を設けることができる。
また、中型を、樹脂薄膜の周囲を挟む第一中型と第二中型とに分割し、これら第一、第二中型の成形面に、成形品を保持するこう配を形成することができる。
【0007】
ここで、特許請求の範囲における成形品は、その両面における複数の溝が同一方向に指向するものでも良いし、一面における複数の溝が一方向に指向し、他面における複数の溝が他方向に指向するものでも良い。この成形品の導電性の有無は特に問うものではない。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明すると、本実施形態における金型は、図1ないし図8に示すように、相対向して成形品1に複数の溝3を並設する相対的に上下動可能な第一、第二の型10・20と、これら第一、第二の型10・20の間に着脱自在に介在される中型30と、成形品1に密着する一対の樹脂薄膜40・40Aとを備えている。
【0009】
成形品1は、特に成形材料2が限定されるものではないが、例えば電気特性、耐熱性、耐薬品性等に優れるフェノール樹脂等からなる所定の樹脂と無機導電物質とを用いて厚さ2mm程度の薄い平板に形成される。この平面略矩形の成形品1は、図1に示すように、表裏両面の大部分に複数の溝3が所定のピッチで等間隔かつ平行に凹設される。
【0010】
第一の型10は、図2等に示すように、金型用の各種鋼材を用いて断面略板形に形成され、上面である対向面の中央部に、複数のリブが所定のピッチで等間隔かつ平行に並設されており、この複数のリブが成形品1の裏面用の製品形成部11(キャビティともいう)として機能する。また、第二の型20は、図2等に示すように、金型用の各種鋼材を用いて断面略凸字形に形成され、下方に突出した下面である対向面に、複数のリブが所定のピッチで等間隔かつ平行に並設されており、この複数のリブが成形品1の表面用の製品形成部21(キャビティともいう)として機能する。
【0011】
中型30は、同図に示すように、金型用の各種鋼材を用いて中空の枠形に形成され、第一の型10の対向面上に配置されるとともに、矩形の成形空間を区画して成形品1の前後左右の周面を直接接触により成形し、下降する第二の型20の製品形成部21に貫通される。この中型30は、第一の型10に接触する下面である接触面に、位置決め凹部31が樹脂薄膜40の厚さに応じて切り欠き形成される。
【0012】
一対の樹脂薄膜40・40Aは、図2ないし図4に示すように、伸びや耐熱性等に優れる所定の合成樹脂薄膜を用いて平面略矩形に成形され、第一、第二の型10・20における製品形成部11・21を被覆して成形品1の表裏両面にそれぞれ密着し、離型を容易にする。この一対の樹脂薄膜40・40Aは、溶融温度が金型や成形品1の成形材料2の温度よりも高く、第一、第二の型10・20に溶着しない厚さ10〜50μm程度のフッ素樹脂やPET樹脂等を用いて成形される。
【0013】
下方の樹脂薄膜40は、第一の型10の製品形成部11上に配置されて前後左右の周縁部が中型30の位置決め凹部31に嵌合され、位置決め保持された状態で第一の型10の製品形成部11と成形品1の成形材料2との間に介在される。これに対し、上方の樹脂薄膜40Aは、中型30の中空部上に配置され、第二の型20の製品形成部21と成形品1の成形材料2との間に介在される。
【0014】
なお、第二の型20における製品形成部21の長さをL1、中型30の製品部の長さをL2、樹脂薄膜40・40Aの肉厚を2Tfとすると、これらの関係は、L2>L1+2Tfとなる。また、金型や成形材料2の寸法が温度や圧力により変化しないという前提で成形品1の厚さをT0、第二の型20の厚さをT1、中型30の厚さをT2とすると、これらと樹脂薄膜40・40Aの肉厚2Tfの関係は、T2≧T1+T0+2Tfとなる。
【0015】
上記構成において、図1の成形品1を製造する場合には、先ず、第一の型10の製品形成部11上に樹脂薄膜40を手動あるいは自動操作により配置(図2参照)し、第一の型10上に中型30を積層配置してその位置決め凹部31に樹脂薄膜40の周縁部を嵌合被覆させる(図3参照)。こうして第一の型10上に中型30を配置したら、中型30の中空内の樹脂薄膜40上に成形材料2を充填し、中型30の中空部上に樹脂薄膜40Aを手動あるいは自動操作により配置(図4参照)し、この中型30の中空部上に上下動可能な第二の型20を配置して第一、第二の型10・20、中型30を成形に必要な温度に加温する。
【0016】
次いで、熱と圧力を作用させて第二の型20を下降させて型締めし、金型を所定時間加熱加圧すると、第一、第二の型10・20における製品形成部11・21の形状が成形材料2に転写(図5参照)され、成形品1が成形される。この際、平らな樹脂薄膜40・40Aは、第二の型20と成形材料2の圧力で屈曲変形し、成形品1の表裏両面に隙間なく密着するとともに、第一、第二の型10・20の製品形成部11・21に密着する。
なお、成形材料2が熱硬化樹脂の場合には、成形材料2がそのまま硬化し、成形品1を得ることができる。
【0017】
次いで、金型を所定時間冷却し、中型30に嵌入している第二の型20を上昇させて型開きするが、成形品1との間に樹脂薄膜40Aが介在するので、第二の型20の製品形成部21、具体的には複数のリブ間に成形材料2が食い込んで付着することがなく、第二の型20のみをきわめて容易に型開きすることができる(図6参照)。この際、成形品1は、中型30に直接接触しているので、中型30内に保持されたまま第一の型10上に留まることとなる。
【0018】
そして、第二の型20を型開きしたら、第一の型10と中型30とを分離するが、この際、成形品1は、一対の樹脂薄膜40・40Aの間に介在されるので、第一の型10から分離するものの、直接接触している中型30内に保持される(図7参照)。その後、中型30から成形品1を押圧して樹脂薄膜40・40A毎取り出し、樹脂薄膜40・40Aをその周縁部から剥離すれば、成形品1を得ることができる(図8参照)。
【0019】
上記構成によれば、成形品1の表裏両面に樹脂薄膜40・40Aを介して複数の溝3を間接的に並設するので、離型が実に容易になる。したがって、例え2mm程度の薄い成形品1を製造する場合でも、そり等の変形や割れのおそれのない成形品1をきわめて効率的に量産することができる。また、樹脂薄膜40・40Aを利用すれば離型が容易になるから、突き出しピン等の離型装置を使用する必要性が全くない。したがって、表裏両面の大部分に複数の溝3を有する薄い成形品1を製造する場合でも、成形品1の形状決定の自由度が著しく高まり、装置構成の著しい簡素化を図ることができる。
【0020】
また、成形材料2の圧縮時に成形材料2自体から、あるいは材料粒子間からガスが発生するが、着脱自在の第一の型10と中型30との僅かな隙間からガスが漏れ出るので、材料の充填にも良い影響を与え、しかも、成形品1の品質をも大幅に向上させることが可能になる。さらに、中型30の接触面に、樹脂薄膜40の厚さ相当の位置決め凹部31が切り欠き形成されるので、型締め時の圧力が樹脂薄膜40に伝わるのを有効に抑制防止し、加えて樹脂薄膜40の位置決めの容易化も大いに期待できる。
【0021】
次に、図9は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、中型30を上下方向に分割して樹脂薄膜40の周縁部を挟持する第一中型32と第二中型33とを形成し、これら第一、第二中型32・33の内周面である成形面に、成形品1を保持するこう配34・34A(slope)を断面略く字形に連続的に形成するようにしている。第一中型32のこう配34は下方から上方に向かうに従い徐々に広がるよう傾斜形成され、第二中型33のこう配34Aは下方から上方に向かうに従い徐々に狭まるよう傾斜形成される。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0022】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、第一、第二中型32・33が樹脂薄膜40を位置決め挟持するので、位置決め凹部31の加工を省略することができ、第一の型10から樹脂薄膜40を確実に剥離することができるのは明らかである。また、こう配34・34Aがチャック機能を発揮するので、第一、第二中型32・33の成形面から成形品1が脱落することもない。
【0023】
なお、上記実施形態ではプレス成形を例に説明したが、何らこれに限定されるものではない。例えば図10に示すように、型締めしてから成形材料2を圧入する圧縮成形の場合にも本実施形態に係る金型を応用することができる。さらに、突き出しピン等の離型装置を使用して金型から製品を離型する製造方法の場合でも、本実施形態に係る金型を併用すれば、離型装置の構成が簡素化し、製品設計の自由度をより向上させることができる。
【0024】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、対向して成形品の両面に複数の溝を並べて形成する第一、第二の型と、これら第一、第二の型の間に着脱自在に介在されて成形品の周囲を成形する中空の中型と、第一、第二の型の製品形成部を被覆して成形品に密着する離型用の樹脂薄膜とを備えるので、例え薄い成形品を成形する場合でも変形や割れのおそれを有効に抑制あるいは防止して成形品の離型を容易にすることができるという効果がある。また、離型装置等を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る金型の実施形態における成形品を示す断面説明図である。
【図2】本発明に係る金型の実施形態における第一の型の製品形成部に樹脂薄膜をセットした状態を示す断面説明図である。
【図3】本発明に係る金型の実施形態における第一の型に中型を重ねてその位置決め凹部で樹脂薄膜の周縁部を被覆した状態を示す断面説明図である。
【図4】本発明に係る金型の実施形態における中型に成形材料を充填し、中型上に樹脂薄膜をセットした状態を示す断面説明図である。
【図5】本発明に係る金型の実施形態における第二の型を型締めして第一、第二の型の製品形成部を成形材料に転写した状態を示す断面説明図である。
【図6】本発明に係る金型の実施形態における第二の型を上昇させて型開きした状態を示す断面説明図である。
【図7】図6の第一の型と中型とを分離した状態を示す断面説明図である。
【図8】図7の中型から成形品を取り出し、各樹脂薄膜を剥がす状態を示す断面説明図である。
【図9】本発明に係る金型の第2の実施形態を示す断面説明図である。
【図10】本発明に係る金型の第3の実施形態を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 成形品
3 溝
10 第一の型
11 製品形成部
20 第二の型
21 製品形成部
30 中型
31 位置決め凹部
32 第一中型
33 第二中型
34 こう配
34A こう配
40 樹脂薄膜
40A 樹脂薄膜
【発明の属する技術分野】
本発明は、両面に複数の溝を有する成形品を成形する金型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気、電子、電池等の分野においては、溝付きの成形品が使用されている。この成形品は、図示しないが、ゴム、粉体、あるいは樹脂に、カーボンや黒鉛等からなる耐酸性の導電性物質を所定質量部以上含有した材料を用いて基本的には硬い薄板に成形され、表裏両面の大部分に複数の溝が所定のピッチで並設されている。
このような成形品を製造する場合には、図示しない金型を形成する第一、第二の型を用意し、第一の型の凹んだ製品形成部に材料を流し込み、この第一の型に第二の型を型締めしてプレスし、金型を所定時間加熱して冷却した後、型開きする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の金型は、以上のように成形品を製造しているが、成形品の表裏両面に複数の溝がそれぞれ並設されるので、離型がきわめて困難になるという問題がある。特に、肉厚の薄い成形品(例えば2mm)の場合には、変形や割れのおそれが少なくない。また、一般的な成形では、突き出しピンやストリッパープレート等の離型装置を使用して金型から製品を離型するようにしているが、表裏両面の大部分に複数の溝を有する薄い成形品の場合、溝の配置や溝の形状により大きな制約を受けてしまうこととなる。
【0004】
本発明は、上記に鑑みなされたもので、例え薄い成形品を成形する場合でも変形や割れのおそれを抑制防止して離型を容易とし、しかも、離型装置等を省略することのできる金型を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明においては、上記課題を達成するため、対向して成形品の両面に複数の溝を並べて形成する第一、第二の型と、これら第一、第二の型の間に着脱自在に介在されて成形品の周囲を成形する中空の中型と、第一、第二の型の製品形成部を被覆して成形品に密着する離型用の樹脂薄膜とを含んでなることを特徴としている。
【0006】
なお、第一の型に接触する中型の接触面に、樹脂薄膜の周囲に嵌まる位置決め凹部を設けることができる。
また、中型を、樹脂薄膜の周囲を挟む第一中型と第二中型とに分割し、これら第一、第二中型の成形面に、成形品を保持するこう配を形成することができる。
【0007】
ここで、特許請求の範囲における成形品は、その両面における複数の溝が同一方向に指向するものでも良いし、一面における複数の溝が一方向に指向し、他面における複数の溝が他方向に指向するものでも良い。この成形品の導電性の有無は特に問うものではない。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明すると、本実施形態における金型は、図1ないし図8に示すように、相対向して成形品1に複数の溝3を並設する相対的に上下動可能な第一、第二の型10・20と、これら第一、第二の型10・20の間に着脱自在に介在される中型30と、成形品1に密着する一対の樹脂薄膜40・40Aとを備えている。
【0009】
成形品1は、特に成形材料2が限定されるものではないが、例えば電気特性、耐熱性、耐薬品性等に優れるフェノール樹脂等からなる所定の樹脂と無機導電物質とを用いて厚さ2mm程度の薄い平板に形成される。この平面略矩形の成形品1は、図1に示すように、表裏両面の大部分に複数の溝3が所定のピッチで等間隔かつ平行に凹設される。
【0010】
第一の型10は、図2等に示すように、金型用の各種鋼材を用いて断面略板形に形成され、上面である対向面の中央部に、複数のリブが所定のピッチで等間隔かつ平行に並設されており、この複数のリブが成形品1の裏面用の製品形成部11(キャビティともいう)として機能する。また、第二の型20は、図2等に示すように、金型用の各種鋼材を用いて断面略凸字形に形成され、下方に突出した下面である対向面に、複数のリブが所定のピッチで等間隔かつ平行に並設されており、この複数のリブが成形品1の表面用の製品形成部21(キャビティともいう)として機能する。
【0011】
中型30は、同図に示すように、金型用の各種鋼材を用いて中空の枠形に形成され、第一の型10の対向面上に配置されるとともに、矩形の成形空間を区画して成形品1の前後左右の周面を直接接触により成形し、下降する第二の型20の製品形成部21に貫通される。この中型30は、第一の型10に接触する下面である接触面に、位置決め凹部31が樹脂薄膜40の厚さに応じて切り欠き形成される。
【0012】
一対の樹脂薄膜40・40Aは、図2ないし図4に示すように、伸びや耐熱性等に優れる所定の合成樹脂薄膜を用いて平面略矩形に成形され、第一、第二の型10・20における製品形成部11・21を被覆して成形品1の表裏両面にそれぞれ密着し、離型を容易にする。この一対の樹脂薄膜40・40Aは、溶融温度が金型や成形品1の成形材料2の温度よりも高く、第一、第二の型10・20に溶着しない厚さ10〜50μm程度のフッ素樹脂やPET樹脂等を用いて成形される。
【0013】
下方の樹脂薄膜40は、第一の型10の製品形成部11上に配置されて前後左右の周縁部が中型30の位置決め凹部31に嵌合され、位置決め保持された状態で第一の型10の製品形成部11と成形品1の成形材料2との間に介在される。これに対し、上方の樹脂薄膜40Aは、中型30の中空部上に配置され、第二の型20の製品形成部21と成形品1の成形材料2との間に介在される。
【0014】
なお、第二の型20における製品形成部21の長さをL1、中型30の製品部の長さをL2、樹脂薄膜40・40Aの肉厚を2Tfとすると、これらの関係は、L2>L1+2Tfとなる。また、金型や成形材料2の寸法が温度や圧力により変化しないという前提で成形品1の厚さをT0、第二の型20の厚さをT1、中型30の厚さをT2とすると、これらと樹脂薄膜40・40Aの肉厚2Tfの関係は、T2≧T1+T0+2Tfとなる。
【0015】
上記構成において、図1の成形品1を製造する場合には、先ず、第一の型10の製品形成部11上に樹脂薄膜40を手動あるいは自動操作により配置(図2参照)し、第一の型10上に中型30を積層配置してその位置決め凹部31に樹脂薄膜40の周縁部を嵌合被覆させる(図3参照)。こうして第一の型10上に中型30を配置したら、中型30の中空内の樹脂薄膜40上に成形材料2を充填し、中型30の中空部上に樹脂薄膜40Aを手動あるいは自動操作により配置(図4参照)し、この中型30の中空部上に上下動可能な第二の型20を配置して第一、第二の型10・20、中型30を成形に必要な温度に加温する。
【0016】
次いで、熱と圧力を作用させて第二の型20を下降させて型締めし、金型を所定時間加熱加圧すると、第一、第二の型10・20における製品形成部11・21の形状が成形材料2に転写(図5参照)され、成形品1が成形される。この際、平らな樹脂薄膜40・40Aは、第二の型20と成形材料2の圧力で屈曲変形し、成形品1の表裏両面に隙間なく密着するとともに、第一、第二の型10・20の製品形成部11・21に密着する。
なお、成形材料2が熱硬化樹脂の場合には、成形材料2がそのまま硬化し、成形品1を得ることができる。
【0017】
次いで、金型を所定時間冷却し、中型30に嵌入している第二の型20を上昇させて型開きするが、成形品1との間に樹脂薄膜40Aが介在するので、第二の型20の製品形成部21、具体的には複数のリブ間に成形材料2が食い込んで付着することがなく、第二の型20のみをきわめて容易に型開きすることができる(図6参照)。この際、成形品1は、中型30に直接接触しているので、中型30内に保持されたまま第一の型10上に留まることとなる。
【0018】
そして、第二の型20を型開きしたら、第一の型10と中型30とを分離するが、この際、成形品1は、一対の樹脂薄膜40・40Aの間に介在されるので、第一の型10から分離するものの、直接接触している中型30内に保持される(図7参照)。その後、中型30から成形品1を押圧して樹脂薄膜40・40A毎取り出し、樹脂薄膜40・40Aをその周縁部から剥離すれば、成形品1を得ることができる(図8参照)。
【0019】
上記構成によれば、成形品1の表裏両面に樹脂薄膜40・40Aを介して複数の溝3を間接的に並設するので、離型が実に容易になる。したがって、例え2mm程度の薄い成形品1を製造する場合でも、そり等の変形や割れのおそれのない成形品1をきわめて効率的に量産することができる。また、樹脂薄膜40・40Aを利用すれば離型が容易になるから、突き出しピン等の離型装置を使用する必要性が全くない。したがって、表裏両面の大部分に複数の溝3を有する薄い成形品1を製造する場合でも、成形品1の形状決定の自由度が著しく高まり、装置構成の著しい簡素化を図ることができる。
【0020】
また、成形材料2の圧縮時に成形材料2自体から、あるいは材料粒子間からガスが発生するが、着脱自在の第一の型10と中型30との僅かな隙間からガスが漏れ出るので、材料の充填にも良い影響を与え、しかも、成形品1の品質をも大幅に向上させることが可能になる。さらに、中型30の接触面に、樹脂薄膜40の厚さ相当の位置決め凹部31が切り欠き形成されるので、型締め時の圧力が樹脂薄膜40に伝わるのを有効に抑制防止し、加えて樹脂薄膜40の位置決めの容易化も大いに期待できる。
【0021】
次に、図9は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、中型30を上下方向に分割して樹脂薄膜40の周縁部を挟持する第一中型32と第二中型33とを形成し、これら第一、第二中型32・33の内周面である成形面に、成形品1を保持するこう配34・34A(slope)を断面略く字形に連続的に形成するようにしている。第一中型32のこう配34は下方から上方に向かうに従い徐々に広がるよう傾斜形成され、第二中型33のこう配34Aは下方から上方に向かうに従い徐々に狭まるよう傾斜形成される。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0022】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、第一、第二中型32・33が樹脂薄膜40を位置決め挟持するので、位置決め凹部31の加工を省略することができ、第一の型10から樹脂薄膜40を確実に剥離することができるのは明らかである。また、こう配34・34Aがチャック機能を発揮するので、第一、第二中型32・33の成形面から成形品1が脱落することもない。
【0023】
なお、上記実施形態ではプレス成形を例に説明したが、何らこれに限定されるものではない。例えば図10に示すように、型締めしてから成形材料2を圧入する圧縮成形の場合にも本実施形態に係る金型を応用することができる。さらに、突き出しピン等の離型装置を使用して金型から製品を離型する製造方法の場合でも、本実施形態に係る金型を併用すれば、離型装置の構成が簡素化し、製品設計の自由度をより向上させることができる。
【0024】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、対向して成形品の両面に複数の溝を並べて形成する第一、第二の型と、これら第一、第二の型の間に着脱自在に介在されて成形品の周囲を成形する中空の中型と、第一、第二の型の製品形成部を被覆して成形品に密着する離型用の樹脂薄膜とを備えるので、例え薄い成形品を成形する場合でも変形や割れのおそれを有効に抑制あるいは防止して成形品の離型を容易にすることができるという効果がある。また、離型装置等を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る金型の実施形態における成形品を示す断面説明図である。
【図2】本発明に係る金型の実施形態における第一の型の製品形成部に樹脂薄膜をセットした状態を示す断面説明図である。
【図3】本発明に係る金型の実施形態における第一の型に中型を重ねてその位置決め凹部で樹脂薄膜の周縁部を被覆した状態を示す断面説明図である。
【図4】本発明に係る金型の実施形態における中型に成形材料を充填し、中型上に樹脂薄膜をセットした状態を示す断面説明図である。
【図5】本発明に係る金型の実施形態における第二の型を型締めして第一、第二の型の製品形成部を成形材料に転写した状態を示す断面説明図である。
【図6】本発明に係る金型の実施形態における第二の型を上昇させて型開きした状態を示す断面説明図である。
【図7】図6の第一の型と中型とを分離した状態を示す断面説明図である。
【図8】図7の中型から成形品を取り出し、各樹脂薄膜を剥がす状態を示す断面説明図である。
【図9】本発明に係る金型の第2の実施形態を示す断面説明図である。
【図10】本発明に係る金型の第3の実施形態を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 成形品
3 溝
10 第一の型
11 製品形成部
20 第二の型
21 製品形成部
30 中型
31 位置決め凹部
32 第一中型
33 第二中型
34 こう配
34A こう配
40 樹脂薄膜
40A 樹脂薄膜
Claims (3)
- 対向して成形品の両面に複数の溝を並べて形成する第一、第二の型と、これら第一、第二の型の間に着脱自在に介在されて成形品の周囲を成形する中空の中型と、第一、第二の型の製品形成部を被覆して成形品に密着する離型用の樹脂薄膜とを含んでなることを特徴とする金型。
- 第一の型に接触する中型の接触面に、樹脂薄膜の周囲に嵌まる位置決め凹部を設けた請求項1記載の金型。
- 中型を、樹脂薄膜の周囲を挟む第一中型と第二中型とに分割し、これら第一、第二中型の成形面に、成形品を保持するこう配を形成した請求項1記載の金型。
Priority Applications (1)
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JP2002175762A JP2004017483A (ja) | 2002-06-17 | 2002-06-17 | 金型 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009539658A (ja) * | 2006-06-15 | 2009-11-19 | イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー | 分割されたリングの圧縮成形方法 |
JP2020152101A (ja) * | 2019-03-20 | 2020-09-24 | 株式会社コバヤシ | 金型と離型フィルムとの組合せ、離型フィルム、金型、及び成形体の製造方法 |
-
2002
- 2002-06-17 JP JP2002175762A patent/JP2004017483A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP7347803B2 (ja) | 2019-03-20 | 2023-09-20 | 株式会社コバヤシ | 金型と離型フィルムとの組合せ、離型フィルム、金型、及び成形体の製造方法 |
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