JP2004016585A - 磁気共鳴撮影装置、磁気回路装置、および周波数特性調整方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低コストで簡便にRFコイルの周波数特性を調整可能な磁気共鳴撮影装置、および周波数特性調整方法を提供する。
【解決手段】垂直磁場内に配置され、高周波磁界信号の送信および受信の少なくともどちらか一方を行なうRFコイル部263bと、RFコイル部263bから所定距離離れて、このRFコイル部263bに対向して配置され、RFコイル部263bへの磁気的な干渉を防止するRFシールド部262bとの間の距離を、例えばモータ360によって回転するシャフト330に設けられている順ねじ部330aと逆ねじ部330bの作用により近づく方向もしくは遠ざかる方向にスライドするスライド部材320のスライドにより調整し、RFコイル部263bのインダクタンスを変化させることによってRFコイル部263bの周波数特性を調整する。
【選択図】 図3
【解決手段】垂直磁場内に配置され、高周波磁界信号の送信および受信の少なくともどちらか一方を行なうRFコイル部263bと、RFコイル部263bから所定距離離れて、このRFコイル部263bに対向して配置され、RFコイル部263bへの磁気的な干渉を防止するRFシールド部262bとの間の距離を、例えばモータ360によって回転するシャフト330に設けられている順ねじ部330aと逆ねじ部330bの作用により近づく方向もしくは遠ざかる方向にスライドするスライド部材320のスライドにより調整し、RFコイル部263bのインダクタンスを変化させることによってRFコイル部263bの周波数特性を調整する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、周波数特性に応じた磁界を発生するコイルを含む磁気回路と、この磁気回路における周波数特性調整方法に関する。より特定的には、磁気共鳴を利用して被検体の被検部位を撮影する磁気共鳴撮影(MRI)装置に使用する高周波(RF)コイルと、このRFコイルへの磁気的な干渉を防止するRFシールドとの間の距離を変化させて周波数特性を調整するMRI装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
MRI装置は、静磁場空間内に収容した被検体の被検部位を、磁気共鳴を利用して撮影する装置である。
被検体の体軸方向にほぼ直交する静磁場、即ち垂直磁場を発生させるMRI装置として、被検体を収容し垂直磁場が形成されているボアの大部分が開放されているオープンタイプの装置がある。
【0003】
図8(a)に、オープンタイプのMRI装置の構成の一例を、要部の模式的な斜視透視図として示す。
図8(a)に示すMRI装置140は、MRI装置本体の筐体141と、この筐体141内に、片方ずつが対向して配置される、それぞれ1対の静磁場発生用マグネット部150a,150b、勾配コイル部160a,160b、RFシールド部170a,170bおよびRFコイル部180a,180bを有する。
これらのうち、RFコイル部180a,180bが最も内側に配置され、RFコイル部180aと180bとの間にボア141aが形成される。
【0004】
図8(b)は、上記各構成要素の配置を示す側面図である。ただし、図8(b)には、ボア141aを中心に図8(a)中下側に配置された構成要素のみを示す。
図8(b)に示すように、ボア141aを中心として、RFコイル部180bから外側に向かって順にRFシールド部170b、勾配コイル部160b、静磁場発生用マグネット部150bが配置されている。これらはそれぞれ所定の距離をおいて配置、固定されている。ボア141aを挟んで対向する静磁場発生用マグネット部150aと150bとにより、垂直磁場が形成される。また、RFコイル部180a,180bは、銅等の導電体を例えばリング状に巻回したコイル部181と、このコイル部181に設置され、コイル部181によって形成される回路の静電容量部として用いられる所定個数のチップコンデンサ185を有し、通常はこれらを硬質のケーシングで覆うことにより構成されるが、図8(b)においてはこのケーシングは図示していない。
【0005】
磁気共鳴撮影時には、RFコイル部180a,180bは、垂直磁場を形成する垂直磁界の強度によって規定される共鳴周波数の高周波磁界信号を送信あるいは受信する。ところが、垂直磁界の強度は、被検体が垂直磁場内に収容されたときに変化する。そのため、垂直磁界強度に応じて、RFコイル部180a,180bを構成する回路の周波数特性を変更して、RFコイル部180a,180bが送信または受信する磁界信号の周波数を、共鳴周波数に合わせる必要がある。
【0006】
従来は、RFコイル部180a,180b中の静電容量(キャパシタ)部の容量を変化させて、RFコイル部180a,180bの周波数特性を変更していた。そのために、チップコンデンサ185の数を増減させていた。もしくは、チップコンデンサ185として、静電容量を変更可能な可変コンデンサを用いていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、可変コンデンサは非常に高価である。従って、MRI装置の価格上昇の大きな原因となる。
また、コンデンサの数を変更する場合には、コンデンサの着脱が非常に煩雑である。例えば、コンデンサを増やす場合には、新たなチップコンデンサ187が設けられたボード回路をコイル部181に接続し、RFコイル部180a,180bの静電容量を増加させる。その際には、MRI装置140の運転を停止し、例えば筐体141の一部を開放してRFコイル部180a,180bを露出させてボード回路を接続する必要性が生じる可能性もあり、手間がかかる。また、垂直磁界強度に応じて、容量の異なるチップコンデンサ187を有するボード回路を順次接続し、試行錯誤的にRFコイル部180a,180bの周波数特性を調整するという手間がかかる。
【0008】
さらに、図8(b)に図解のように、新たなチップコンデンサ187を追加、または削除した場合、RFコイル部180a,180bの回路内において静電容量部が不均一な間隔で配置され、RFコイル部180a,180b内の位置によって回路の電気的安定性が異なることにもつながる。
【0009】
従って、本発明は、低コストで簡便にRFコイルの周波数特性を調整可能な磁気共鳴撮影装置、または磁気回路装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、低コストで簡便な、RFコイルの周波数特性調整方法を提供することをも目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願発明に係る磁気共鳴撮影装置は、垂直磁場内に配置され、高周波磁界信号の送信および受信の少なくともいずれか一方を行なうRFコイルと、前記RFコイルから所定距離離れて、当該RFコイルに対向して配置され、当該RFコイルへの磁気的な干渉を防止する磁気シールド手段と、前記RFコイルおよび前記磁気シールド手段の少なくともいずれか一方を移動させる移動手段とを有し、前記移動手段により、前記RFコイルと前記磁気シールド手段との間の距離を相対的に変化させて、前記RFコイルの周波数特性を調整する磁気共鳴撮影装置である。
【0011】
また、本願発明に係る磁気回路装置は、磁界の発生と、当該磁界によって励起される磁界信号の受信の少なくともいずれか一方を行なうコイルと、前記コイルから所定距離離れて、当該コイルに対向して配置され、当該コイルへの磁気的な干渉を防止する磁気シールド手段と、前記コイルおよび前記磁気シールド手段の少なくともいずれか一方を移動させる移動手段とを有し、前記移動手段により、前記コイルと前記磁気シールド手段との間の距離を相対的に変化させて、前記コイルの周波数特性を調整する磁気回路装置である。
【0012】
本願発明に係る周波数特性調整方法は、磁気共鳴撮影に用いられ、垂直磁場内に配置されて高周波磁界信号の送信および受信の少なくともいずれか一方を行なうRFコイルの周波数特性を、前記RFコイルから所定距離離れて、当該RFコイルに対向して配置され、当該RFコイルへの磁気的な干渉を防止する磁気シールド手段と前記RFコイルとの間の距離を相対的に変化させて調整する周波数特性調整方法である。
【0013】
また、本願発明に係る周波数特性調整方法は、磁界の発生と、当該磁界によって励起される磁界信号の受信の少なくともいずれか一方を行なうコイルの周波数特性を、前記コイルから所定距離離れて、当該コイルに対向して配置され、当該コイルへの磁気的な干渉を防止する磁気シールド手段と前記コイルとの間の距離を相対的に変化させて調整する周波数特性調整方法であってもよい。
【0014】
本発明においては、好適には垂直磁場内において、RFコイルと磁気シールド手段とが、所定距離離れて配置される。
RFコイルは、好適には磁気共鳴撮影に用いられ、それ自身の周波数特性に応じた高周波の磁界信号の、送信および受信の少なくともどちらか一方を行なう。
磁気シールド手段は、RFコイルから所定の範囲内に配置されることによって、RFコイルへのノイズによる磁気的な干渉を防ぐ。また、磁気シールド手段は、RFコイルとの距離が変化することによってRFコイルからの磁束の鎖交数が変化する。これにより、RFコイルが構成する共振回路中のインダクタンスが変化する。従って、RFコイルと磁気シールド手段との間の距離に応じて、RFコイルの共振周波数が調整される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に述べる。
【0016】
第1実施形態
図1は本発明に係るMRI装置の外観斜視図であり、図2は図1に示すMRI装置の要部の概略構成図である。
図1および図2に示すMRI装置200は、クレードル装置240とMRI装置本体210を有する。
【0017】
クレードル装置240は、被検体を載置するクレードル243と、このクレードル243をMRI装置本体210のボア94内に搬送するクレードル駆動装置241を有する。クレードル装置240は、被検体の被検部位をボア94内に位置決め可能なように、MRI装置本体210の近傍に設置される。
【0018】
MRI装置本体210は、図1および図2に示すように、垂直方向(Z方向)に対向して配置されている上側マグネットケース220aと下側マグネットケース220bに収容されているマグネットシステムと、RFコイル駆動部271と、勾配コイル駆動部272と、データ収集部273と、制御部274とを有する。
上側マグネットケース220aと下側マグネットケース220bとの間の空間が、ボア94を規定している。
【0019】
マグネットシステムは、上側マグネットケース220aと下側マグネットケース220b内にそれぞれ収容されている各1組ずつ上下の、静磁場発生用マグネット部260a,260bと、勾配コイル部261a,261bと、RFシールド部262a,262bと、RFコイル部263a,263bとを有する。
【0020】
本実施形態においては、静磁場発生用マグネット部260a,260bと、勾配コイル部261a,261bと、RFシールド部262a,262bと、RFコイル部263a,263bはいずれも平坦な円盤状、矩形などの形状を有し、Z方向における中心軸が同軸に配設されている。
また、ボア94を挟んで最も外側に静磁場発生用マグネット部260a,260bが1組配設され、そこから内側のボア94側に向かって順に、勾配コイル部261a,261bと、RFシールド部262a,262bと、RFコイル部263a,263bが、各1組ずつ配設されている。
これらのうち、RFシールド部262a,262bおよびRFコイル部263a,263bは、個々に独立してZ方向に移動可能に配設される。
【0021】
このように対向して配置される1組の静磁場発生用マグネット部260a,260bにより、ボア94に均一な静磁場が形成される。このようにして形成される静磁場の向きは、図2に示すように被検体99の体軸方向、即ちY方向にほぼ直交するので、直交磁場または垂直磁場とも呼ばれる。
垂直磁場を発生する静磁場発生用マグネット部260a,260bは、例えば永久磁石を用いて構成される。永久磁石の他に、超伝導磁石や常伝導磁石などの磁場発生用磁石を用いて静磁場発生用マグネット部260a,260bを構成することも可能である。
なお、被検体99の被検部位は、良好な磁気共鳴画像を入手するために、最も均一な垂直磁場が形成されている、静磁場発生用マグネット部260a,260bのZ方向の中心軸上に、クレードル243によって移動される。
【0022】
勾配コイル部261a,261bは、RFコイルが受信する磁気共鳴信号に3次元の位置情報を持たせるために勾配磁場コイルを3系統有する。勾配コイル部261a,261bは、これらの勾配磁場コイルを用いて、静磁場発生用マグネット部260a,260bが形成した静磁界の強度に勾配を付ける勾配磁場を発生させる。
【0023】
RFシールド部262a,262bは、本発明における磁気シールド手段の一実施態様に相当する。
RFシールド部262a,262bは、例えば銅によって形成される薄いシートを用いて構成される。この銅シートをマグネットシステムの外部に接地することによって、外部からマグネットシステムに混入するノイズとしてのRF信号を取り除き、勾配コイル部261a,261bおよびRFコイル部263a,263bへのノイズによる磁気的な干渉を防止することができる。
【0024】
RFコイル部263a,263bは、1組の静磁場発生用マグネット部260a,260bにより静磁場が形成されているボア94内において、被検体99の被検部位のスピンを励起するために高周波の回転磁場を送信する送信用RFコイルと、送信用RFコイルからのRF信号の送信を停止した際に被検部位から再放射される、被検部位のスピンに起因して生じる共鳴周波数を有するRFエネルギを受信する受信用RFコイルとを有する。
送信用コイルと受信用コイルを同じコイルで兼用してもよいし、例えばRFコイル部263aのRFコイルを送信用コイルとし、RFコイル部263bのRFコイルを受信用コイルとするように、それぞれ専用のコイルを用いてもよい。
なお、回転磁場としては、一般的には2.13MHzから85MHzの範囲の高周波の磁場が用いられる。
【0025】
これらのRFコイルは、図8(b)に例示した従来のRFコイル部180bと同様に、銅等の導電体を平坦なリング状に巻回したコイル部と、このコイル部に設けられた静電容量部とを有し、共振回路を構成している。
【0026】
RFコイル駆動部271はRFコイル部263a,263bにRF信号励起駆動信号を与えることによりボア94にRF信号による高周波磁界を発生させ、被検体99の被検部位のスピンを励起する。
【0027】
勾配コイル駆動部272は勾配コイル部261a,261bに勾配磁場励起駆動信号を与えることによりボア94内に勾配磁場を発生させる。勾配コイル駆動部272は、勾配コイル部261a,261bの3系統の勾配コイルに対応して、図示しない3系統の駆動回路を有する。
【0028】
データ収集部273は、RFコイル部263a,263bにおける受信用のRFコイルに接続され、受信信号を取り込み、それを磁気共鳴画像生成のためのデータとして収集する。データ収集部273は、図2に示すように、好適にはMRI装置本体からは離れた場所に設置されているオペレータ装置280に、収集したデータを送信する。
【0029】
制御部274は、オペレータ装置280からの指令信号を受けて、所望のデータが得られるようにRFコイル駆動部271、勾配コイル駆動部272、およびデータ収集部273を制御する。
【0030】
オペレータ装置280は、図示はしないが、データ収集部273からのデータやオペレータから入力される操作信号等の信号に基づいて画像処理を行ない磁気共鳴画像を得るデータ処理部と、得られた画像の表示やMRI装置200の操作のための操作画面を表示する表示部と、制御部274およびデータ処理部にオペレータからの操作信号を入力するための操作部とを備えており、オペレータ装置280を介してMRI装置200が操作される。
【0031】
本実施形態においては、前述のように、RFシールド部262a,262bおよびRFコイル部263a,263bを、Z方向に移動可能に配設する。以下、その移動機構の詳細について述べる。なお、以下では例として下側マグネットケース220bに収容されているRFシールド部262bならびにRFコイル部263bを移動させる場合について述べるが、上側マグネットケース220aに収容されているRFシールド部262aとRFコイル部263aについても同様に移動可能であることは言うまでもない。
【0032】
〔移動機構〕
図3は、RFシールド部262bまたはRFコイル部263bの移動機構の第1実施形態を側面から見た概略構成図である。まず、RFシールド部262b上のRFコイル部263bを移動させる場合について述べる。なお、これ以降の実施形態の記述の際に参照する図における縮尺は必ずしも実際の通りではない。
図3に示すように、第1実施形態の移動機構は、一対の被支持部310と、一対のスライド部材320と、シャフト330を有する。
【0033】
被支持部310は、例えば、図3に示すように側面から見て直角三角形状の形状をしており、その直角部分がRFコイル部263bの中心部側を向いてRFコイル部263bの底面に接触するように、RFコイル部263bに設けられる。2つの被支持部310は、図3に示すように、各々の直角部分を同軸に対向させて設けられる。
被支持部310の斜辺部には、係合部310aが設けられている。
【0034】
スライド部材320は、被支持部310の斜辺部と接触する斜辺部を備える、一例として側面から見て被支持部310と相似な直角三角形状の部材である。スライド部材320は、被支持部310と斜辺部同士を接触させてスライド可能なように、その直角部分をRFシールド部262bの外側に向けて、RFシールド部262b上にスライド可能に設置される。
スライド部材320の斜辺部には、被支持部310の係合部310aを受け入れる係合溝320aが、例えばスライド部材320を切削することにより形成されている。
2つのスライド部材320は、図3に示すように、同軸に対向して配置されており、それぞれ係合溝320aに係合部310aを係合させて、被支持部310を介してRFコイル部263bをRFシールド部262bと平行に支持している。
なお、平坦なRFシールド部262bおよびRFコイル部263bは、その平坦面が垂直磁場の方向であるZ方向と直交するように配置されている。
【0035】
RFシールド部262bにおけるスライド部材320の設置面には、スライド部材320を安定してスライドさせるためのスライド溝340が、例えばRFシールド部262bのケーシングを切削することにより形成されている。このスライド溝340は、スライド部材320の底面全体、もしくはこの底面に設けられるスライド用凸部を受け入れるように形成される。
【0036】
シャフト330は、2つのスライド部材320を貫通するように設置される。シャフト330には、順ねじ部330aと逆ねじ部330bが形成されている。
【0037】
一方のスライド部材320には順ねじ部330aと螺合する雌ねじが形成され、他方のスライド部材320には逆ねじ部330bと螺合する雌ねじが形成されている。
シャフト330を図中矢印RDの向きに回転させると、順ねじ部330aおよび逆ねじ部330bの作用により、スライド部材320は互いに離れるように矢印S1の向きに移動する。これにより、被支持部310がスライド部材320の斜面において滑り落ちるようにスライドし、RFコイル部263bは矢印D側に下がる。反対に、シャフト330を図中矢印RUの向きに回転させると、スライド部材320は互いに近づくように矢印S2の向きに移動する。これにより、被支持部310がスライド部材320の斜面において持ち上げられるようにスライドし、RFコイル部263bは矢印U側に上がる。
【0038】
シャフト330は、例えば歯車350a,350bを介して適宜減速された電動モータ360等のアクチュエータの回転力によって回転される。
モータ360は、制御部274からの駆動信号を受けて駆動される。従って、オペレータはオペレータ装置280の操作部から、モータ360の回転量や回転方向を制御することができる。
なお、シャフトおよび歯車列を適宜構成して、オペレータが、例えばMRI装置本体210の表面部に設けられた調節ツマミを回転させることにより手動でシャフト330を回転させることが可能な構成とすることもできる。
【0039】
また、被支持部310およびスライド部材320において、相互に接触する部分、またはRFシールド部262bに接触する部分には、例えば球形のベアリングを設けておくことが、すべり抵抗を低減させるために好ましい。
【0040】
ここで、RFコイル部263bとRFシールド部262bとの間の距離dsと、RFコイル部263bの周波数特性との相関について述べる。
前述のように、RFコイル部263bは、そのリング状のコイルと、このコイルに直列に接続したコンデンサとにより、直列共振回路を構成している。
この直列共振回路を有するRFコイル部263b全体のインダクタンスをL、キャパシタンスをCとすると、RFコイル部263bの共振周波数f0は下記式で表わされる。
【0041】
【数1】
【0042】
ところで、RFコイル部263bの近傍には銅等の導電体によるRFシールド部262bが存在している。従って、RFコイル部263bのインダクタンスLは、下記式のように、リング状のコイル自体の自己インダクタンスLCと、コイルとRFシールド部262bとの間の相互インダクタンスLSの和として考えることができる。
【0043】
【数2】
【0044】
コイルの自己インダクタンスLCは、コイルの形状や材質等の条件により予め定まる値である。
相互インダクタンスLSは、式(2)に示すように、距離dsの関数である。RFシールド部262bに鎖交するRFコイル部263bからの磁束は、距離dsが長くなると減少し、距離dsが短くなると増大する。従って、相互インダクタンスLSおよびRFコイル部263bのインダクタンスLは、距離dsに反比例する。
【0045】
このように、RFシールド部262bをRFコイル部263bに近づけていくと、インダクタンスLは上がり、共振周波数f0は下がる。反対に、RFシールド部262bをRFコイル部263bから遠ざけると、インダクタンスLは下がり、共振周波数f0は上がる。このように、RFコイル部263bとRFシールド部262bとの間の距離dsを調整して、RFコイル部263bの周波数特性を調整することができる。
【0046】
また、RFコイル部263bの誘導リアクタンスXLは、XL=2πfLで表わされる。ここで、符号fは交流の周波数である。インダクタンスLを変更すると周波数fも変化するためその増減は一概には言えないが、上記のように距離dsを調整してインダクタンスLを調整することは、誘導リアクタンスXLを調整してRFコイル部263bの効率を変更することでもある。
【0047】
RFコイル部263bとRFシールド部262bとの間の距離dsは、一例として2cm程度である。
距離dsを数mmから1mm以下の範囲で変化させることによって、磁気共鳴撮影に用いる場合に十分な範囲で周波数特性を調整することができる。
【0048】
このように、本第1実施形態の移動機構によれば、1つのモータ360によって、RFシールド部262bとRFコイル部263bとを水平に保ったまま、RFコイル部263bを、垂直磁場の方向と平行なZ方向において上下に移動させることができる。従って、RFコイル部263bが移動した場合にも、RFコイル部263bから発生する高周波磁場は、RFコイル部263bの全面で均一に変化する。
【0049】
以上の記述においてはRFシールド部262bとRFコイル部263b部との間に移動機構が存在するとしたが、図3においてRFシールド部262bを勾配コイル部261bに置き換え、RFコイル部263bをRFシールド部262bで置き換えて考えて、勾配コイル部261bとRFシールド部262bとの間に移動機構が存在するようにしてもよい。RFシールド部262bの上方にはRFコイル部263bが存在することになる。この場合、RFシールド部262bが勾配コイル部261bおよびRFコイル部263bに対して水平状態を保ったまま、垂直磁場の方向に移動可能となり、RFコイル部263bとの間の距離を調整することができる。従って、上述の場合と同様に、RFコイル部263b内のRFコイルの周波数特性を調整することができる。
また、被支持部310とスライド部材320を入れ替え、被支持部310をRFシールド部262bに設け、スライド部材320をRFコイル部263bまたは勾配コイル部261bに設けてもよい。
【0050】
なお、このように、RFシールド部262bが勾配コイル部261bとRFコイル部263bとの間に配置されているため、RFシールド部262bの移動による勾配コイル部261bとRFコイル部263bの特性の変化は逆になる。
例えば、RFシールド部262bが移動してRFコイル部263bの効率が上がり高周波磁界の強さが上がったときには、勾配コイル部261bの効率は下がり勾配磁界の強さは下がる。この場合と逆の方向にRFシールド部262bが移動したときには、RFコイル部263bの効率および高周波磁界の強さが下がり、勾配コイル部261bの効率および勾配磁界の強さが上がる。
【0051】
第2実施形態
図4は、RFシールド部262bまたはRFコイル部263bの移動機構の第2実施形態を側面から見た概略構成図である。
第2実施形態の場合にも、まず、RFシールド部262b上のRFコイル部263bを移動させる場合について述べる。
【0052】
図4に示すように、第2実施形態の移動機構は、モータ360と歯車350a,350bとシャフト380とを備える距離調整部を複数個有する。距離調整部は、RFコイル部263bを任意の方向に傾けるために、RFコイル部263bの周辺部において3個または4個、もしくはそれ以上の数で適宜設けられることが好ましい。例えば、図4において、右側の距離調整部を距離調整部400aとし、左側の距離調整部を距離調整部400bとする。
【0053】
距離調整部400a,400bのシャフト380は、長手方向が垂直磁場の方向に沿って設置され、その一端はRFシールド部262bのケーシングの平坦面において回転自在に軸支される。シャフト380の他端は、RFコイル部263bのケーシングを、RFコイル部263bの平坦面に対して垂直に貫通するように配設されている。シャフト380とRFコイル部263bのケーシングは、それぞれに設けられているねじ部により螺合している。
【0054】
モータ360は制御部274に接続されており、回転量および回転方向を個々に制御することが可能である。
例えば、RFシールド部262bを固定しておき、モータ360を駆動して、距離調整部400a,400bのシャフト380を矢印RDの向きに回転させる。このとき、RFシールド部262bの、シャフト380が貫通している部分が、矢印D側に下がる。逆に、シャフト380を矢印RUの向きに回転させると、RFシールド部262bの、シャフト380が貫通している部分が、矢印U側に上がる。
【0055】
例えば距離調整部400aのシャフト380を矢印RDの向きに回転させ、距離調整部400bのシャフト380を矢印RUの向きに回転させる。このとき、RFコイル部263bは、その平坦面に対する法線Gが、領域ARa側に向くように傾く。逆に、距離調整部400aのシャフト380を矢印RUの向きに回転させ、距離調整部400bのシャフト380を矢印RDの向きに回転させると、RFコイル部263bは、法線Gが領域ARb側に向くように傾く。
【0056】
以上の記述は2つの距離調整部400a,400bのみを調整した場合であったが、各距離調整部によるシャフト380の回転方向と回転量を全て等しくすれば、RFコイル部263bはRFシールド部262bに対して水平状態を保ったまま移動する。また、各距離調整部による移動方向と移動量を個々に調整することにより、RFコイル部263bを垂直磁場およびRFシールド部262bに対して任意の方向に傾けながら、RFコイル部263bとRFシールド部262b間の距離dsを調整することができる。
【0057】
本第2実施形態の場合にも、距離dsは一例として2cm程度であり、この距離dsを数mmから1mm以下の範囲で変化させることによって、磁気共鳴撮影に用いる場合に十分な範囲でRFコイルの周波数特性を調整することができる。
【0058】
このように、本第2実施形態の移動機構によれば、RFコイル部263bとRFシールド262b間の距離を調整する場合に、RFコイル部263bを傾けながら移動させて、RFコイル部263bのRFコイルの周波数特性を調整するとともに、RFコイル部263bから発生する高周波磁場に適宜傾きをつけることができる。これにより、磁気共鳴撮影時における高周波磁場の微調整が容易になる。
固定したRFコイル部263b側においてシャフト380を軸支し、RFシールド262bを移動させても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0059】
第2実施形態においても、図4においてRFシールド部262bを勾配コイル部261bに置き換え、RFコイル部263bをRFシールド部262bで置き換えて考えて、勾配コイル部261bとRFシールド部262bとの間に距離調整部を存在させることが考えられる。RFシールド部262bの上方にはRFコイル部263bが存在することになる。この場合、勾配コイル部261bとRFコイル部263bを固定しておき、シャフト380の一端を勾配コイル部261bのケーシングの平坦面において回転自在に軸支して、他端部がRFシールド部262bに螺合するようにしておけば、RFシールド部262bを適宜傾けながら移動させることができる。勾配コイル部261bが固定されていれば、シャフト380を、勾配コイル部261b側ではなくRFシールド部262b側において回転自在に軸支しておいても、RFシールド部262bを傾けながら移動させることは可能である。
【0060】
第3実施形態
上記第1、第2実施形態は、RFシールド部262bまたはRFコイル部263bのどちらか一方だけを移動させてRFシールド部262bとRFコイル部263b間の距離を調整する方式であった。
図5に、RFシールド部262bおよびRFコイル部263bの両方を移動させる第3実施形態を側面から見た概略構成図を示す。
【0061】
図5においては、第2実施形態の距離調整部400a,400bのシャフト380を、RFシールド部262bとRFコイル部263bの両方を貫通するように延長したシャフト390を有する距離調整部420a,420bが、第2実施形態の場合と同様に、RFシールド部262bおよびRFコイル部263bの周辺部に配置されている。ただし、本第3実施形態においても、距離調整部は、3個以上配置することが好ましい。
【0062】
一例として、シャフト390のうち、RFシールド部262bを貫通する部分には順ねじ部390aを形成しておき、RFコイル部263bを貫通する部分には逆ねじ部390bを形成しておく。シャフト390が貫通するRFシールド部262bのケーシングには順ねじ部390aと螺合する雌ねじを形成しておき、シャフト390が貫通するRFコイル部263bのケーシングには逆ねじ部390bと螺合する雌ねじを形成しておく。
その他の構成は第2実施形態の場合と同様であるので、同一構成要素には同一符号を付し、その詳細については適宜省略する。
【0063】
例えば、シャフト390の一端をケーシングの平坦面において回転自在に軸支している勾配コイル部261bのみを固定しておく。この状態で、距離調整部420a,420bのそれぞれのモータ360の回転により、シャフト390を矢印RPの向きに回転させると、順ねじ部390aおよび逆ねじ部390bの作用により、RFシールド部262bおよびRFコイル部263bの両方の、シャフト390が貫通している部分が、互いに遠ざかる矢印Pの向きに移動する。
反対に、シャフト390を矢印RBの向きに回転させると、RFシールド部262bおよびRFコイル部263bの両方の、シャフト390が貫通している部分は、互いに近づく矢印Bの向きに移動する。
各距離調整部による移動量および移動方向を個々に調整することにより、RFシールド部262bとRFコイル部263b間の距離ds、およびRFコイル部263bが発生させる高周波磁場の傾きを様々に変化させることができる。
【0064】
このように、本第3実施形態によれば、RFシールド部262bとRFコイル部263bの両方を一度に移動させることが可能なことから、RFシールド部262bとRFコイル部263b間の距離dsの調整に伴うRFコイルの周波数特性の調整と、高周波磁場の傾きの調整を、効率的に行なうことができる。
第3実施形態においても、勾配コイル部261bを固定しておけば、シャフト390をRFコイル部263bのケーシングの平坦面において回転自在に軸支した場合にも、RFコイル部263bとRFシールド部262bの両方を一度に移動させることができる。
【0065】
変形形態
図6および図7に、RFシールド部262bまたはRFコイル部263bの移動機構の変形形態を側面から見た概略構成図を示す。
変形形態においては、ピエゾ素子500により、RFシールド部262bとRFコイル部263bとの間の距離dsを調整する。
図6はRFシールド部262bとRFコイル部263bとの間にピエゾ素子500を配置した場合の例を示し、図7は勾配コイル部261bとRFシールド部262bとの間にピエゾ素子500を配置した例を示している。
【0066】
ピエゾ素子500は、制御部274を介して電圧を印加されることによって、膨張または収縮する。ピエゾ素子500を適切な個数配置し、ここのピエゾ素子に印加する電圧を制御することによって、RFシールド部262bとRFコイル部263bとの間の距離dsを調整することができる。
【0067】
前述のように、距離dsは、数mmから1mm以下の範囲内で調整しても十分な周波数調整効果が得られるため、ピエゾ素子500を用いても十分に周波数特性を調整することができる。
【0068】
変形形態によれば、ピエゾ素子500を用いることによって、第3実施形態までのような機械的な移動機構を設ける必要がなくなり、RFシールド部262bとRFコイル部263b間の距離dsをより簡便な構造で調整することができる。
【0069】
なお、本発明は、上記実施形態ならびに図面の記載に限定されない。例えば、上記実施形態では本発明を磁気共鳴撮影装置に適用した例を示したが、本発明は例えば同調回路やトラップ回路のように、コイルを含み、その周波数特性を変更させたい磁気回路を有する装置に広く適用することができる。
また、移動機構の構造やその配置についても限定されず、RFシールド部262bとRFコイル部263b間の距離を調整することによりRFコイルの周波数特性を調整可能な構成になっていればよい。
さらに、RFシールド部262bとRFコイル部263bとの間に、RFコイル部263bが発した磁界の透磁率を変化させる物質を挟んでおいてもよい。
上記実施形態においては、垂直磁場の方向は例えば図1におけるZ方向であるとしたが、マグネットシステムの配置を変更することにより、例えばX方向に垂直磁場を形成することも可能である。
【0070】
【発明の効果】
以上述べてきたように、本発明によれば、平坦なのRFコイルおよびRFシールドを用いることによって、簡単な構造によりRFシールド部262bとRFコイル部263bとの間を調整することができ、これにより低コストで簡便にRFコイルの周波数特性を調整可能な磁気共鳴撮影装置または磁気回路装置を提供することができる。
また、本発明によれば、低コストで簡便な、RFコイルの周波数特性調整方法を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係るMRI装置の外観斜視図である。
【図2】図2は図1に示すMRI装置の要部の概略構成図である。
【図3】図3は、図1に示すMRI装置において用いられる移動機構の第1実施形態を側面から示した概略構成図である。
【図4】図4は、図1に示すMRI装置において用いられる移動機構の第2実施形態を側面から示した概略構成図である。
【図5】図5は、図1に示すMRI装置において用いられる移動機構の第3実施形態を側面から示した概略構成図である。
【図6】図6は、図1に示すMRI装置において用いられる移動機構の変形形態を側面から示した概略構成図であり、ピエゾ素子をRFシールド部とRFコイル部との間に配置した場合を示している。
【図7】図7は、図1に示すMRI装置において用いられる移動機構の変形形態を側面から示した概略構成図であり、ピエゾ素子を勾配コイル部とRFシールド部との間に配置した場合を示している。
【図8】図8(a)は、オープンタイプのMRI装置の構成の一例を示す、要部の模式的な斜視透視図であり、図8(b)は、図8(b)に示すMRI装置のマグネットシステムの要部の構成を示す側面図である。
【符号の説明】
94…ボア、99…被検体、200…MRI装置、210…MRI装置本体、220a…上側マグネットケース、220b…下側マグネットケース、240…クレードル装置、241…クレードル駆動装置、243…クレードル、260a,260b…マグネット部、261a,261b…勾配コイル部、262a,262b…RFシールド部、263a,263b…RFコイル部、310…被支持部、310a…係合部、320…スライド部材、320a…係合溝、330,380,390…シャフト、340…スライド溝、350a,350b…歯車、360…モータ、400a,400b,420a,420b…距離調整部、500…ピエゾ素子
【発明の属する技術分野】
本発明は、周波数特性に応じた磁界を発生するコイルを含む磁気回路と、この磁気回路における周波数特性調整方法に関する。より特定的には、磁気共鳴を利用して被検体の被検部位を撮影する磁気共鳴撮影(MRI)装置に使用する高周波(RF)コイルと、このRFコイルへの磁気的な干渉を防止するRFシールドとの間の距離を変化させて周波数特性を調整するMRI装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
MRI装置は、静磁場空間内に収容した被検体の被検部位を、磁気共鳴を利用して撮影する装置である。
被検体の体軸方向にほぼ直交する静磁場、即ち垂直磁場を発生させるMRI装置として、被検体を収容し垂直磁場が形成されているボアの大部分が開放されているオープンタイプの装置がある。
【0003】
図8(a)に、オープンタイプのMRI装置の構成の一例を、要部の模式的な斜視透視図として示す。
図8(a)に示すMRI装置140は、MRI装置本体の筐体141と、この筐体141内に、片方ずつが対向して配置される、それぞれ1対の静磁場発生用マグネット部150a,150b、勾配コイル部160a,160b、RFシールド部170a,170bおよびRFコイル部180a,180bを有する。
これらのうち、RFコイル部180a,180bが最も内側に配置され、RFコイル部180aと180bとの間にボア141aが形成される。
【0004】
図8(b)は、上記各構成要素の配置を示す側面図である。ただし、図8(b)には、ボア141aを中心に図8(a)中下側に配置された構成要素のみを示す。
図8(b)に示すように、ボア141aを中心として、RFコイル部180bから外側に向かって順にRFシールド部170b、勾配コイル部160b、静磁場発生用マグネット部150bが配置されている。これらはそれぞれ所定の距離をおいて配置、固定されている。ボア141aを挟んで対向する静磁場発生用マグネット部150aと150bとにより、垂直磁場が形成される。また、RFコイル部180a,180bは、銅等の導電体を例えばリング状に巻回したコイル部181と、このコイル部181に設置され、コイル部181によって形成される回路の静電容量部として用いられる所定個数のチップコンデンサ185を有し、通常はこれらを硬質のケーシングで覆うことにより構成されるが、図8(b)においてはこのケーシングは図示していない。
【0005】
磁気共鳴撮影時には、RFコイル部180a,180bは、垂直磁場を形成する垂直磁界の強度によって規定される共鳴周波数の高周波磁界信号を送信あるいは受信する。ところが、垂直磁界の強度は、被検体が垂直磁場内に収容されたときに変化する。そのため、垂直磁界強度に応じて、RFコイル部180a,180bを構成する回路の周波数特性を変更して、RFコイル部180a,180bが送信または受信する磁界信号の周波数を、共鳴周波数に合わせる必要がある。
【0006】
従来は、RFコイル部180a,180b中の静電容量(キャパシタ)部の容量を変化させて、RFコイル部180a,180bの周波数特性を変更していた。そのために、チップコンデンサ185の数を増減させていた。もしくは、チップコンデンサ185として、静電容量を変更可能な可変コンデンサを用いていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、可変コンデンサは非常に高価である。従って、MRI装置の価格上昇の大きな原因となる。
また、コンデンサの数を変更する場合には、コンデンサの着脱が非常に煩雑である。例えば、コンデンサを増やす場合には、新たなチップコンデンサ187が設けられたボード回路をコイル部181に接続し、RFコイル部180a,180bの静電容量を増加させる。その際には、MRI装置140の運転を停止し、例えば筐体141の一部を開放してRFコイル部180a,180bを露出させてボード回路を接続する必要性が生じる可能性もあり、手間がかかる。また、垂直磁界強度に応じて、容量の異なるチップコンデンサ187を有するボード回路を順次接続し、試行錯誤的にRFコイル部180a,180bの周波数特性を調整するという手間がかかる。
【0008】
さらに、図8(b)に図解のように、新たなチップコンデンサ187を追加、または削除した場合、RFコイル部180a,180bの回路内において静電容量部が不均一な間隔で配置され、RFコイル部180a,180b内の位置によって回路の電気的安定性が異なることにもつながる。
【0009】
従って、本発明は、低コストで簡便にRFコイルの周波数特性を調整可能な磁気共鳴撮影装置、または磁気回路装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、低コストで簡便な、RFコイルの周波数特性調整方法を提供することをも目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願発明に係る磁気共鳴撮影装置は、垂直磁場内に配置され、高周波磁界信号の送信および受信の少なくともいずれか一方を行なうRFコイルと、前記RFコイルから所定距離離れて、当該RFコイルに対向して配置され、当該RFコイルへの磁気的な干渉を防止する磁気シールド手段と、前記RFコイルおよび前記磁気シールド手段の少なくともいずれか一方を移動させる移動手段とを有し、前記移動手段により、前記RFコイルと前記磁気シールド手段との間の距離を相対的に変化させて、前記RFコイルの周波数特性を調整する磁気共鳴撮影装置である。
【0011】
また、本願発明に係る磁気回路装置は、磁界の発生と、当該磁界によって励起される磁界信号の受信の少なくともいずれか一方を行なうコイルと、前記コイルから所定距離離れて、当該コイルに対向して配置され、当該コイルへの磁気的な干渉を防止する磁気シールド手段と、前記コイルおよび前記磁気シールド手段の少なくともいずれか一方を移動させる移動手段とを有し、前記移動手段により、前記コイルと前記磁気シールド手段との間の距離を相対的に変化させて、前記コイルの周波数特性を調整する磁気回路装置である。
【0012】
本願発明に係る周波数特性調整方法は、磁気共鳴撮影に用いられ、垂直磁場内に配置されて高周波磁界信号の送信および受信の少なくともいずれか一方を行なうRFコイルの周波数特性を、前記RFコイルから所定距離離れて、当該RFコイルに対向して配置され、当該RFコイルへの磁気的な干渉を防止する磁気シールド手段と前記RFコイルとの間の距離を相対的に変化させて調整する周波数特性調整方法である。
【0013】
また、本願発明に係る周波数特性調整方法は、磁界の発生と、当該磁界によって励起される磁界信号の受信の少なくともいずれか一方を行なうコイルの周波数特性を、前記コイルから所定距離離れて、当該コイルに対向して配置され、当該コイルへの磁気的な干渉を防止する磁気シールド手段と前記コイルとの間の距離を相対的に変化させて調整する周波数特性調整方法であってもよい。
【0014】
本発明においては、好適には垂直磁場内において、RFコイルと磁気シールド手段とが、所定距離離れて配置される。
RFコイルは、好適には磁気共鳴撮影に用いられ、それ自身の周波数特性に応じた高周波の磁界信号の、送信および受信の少なくともどちらか一方を行なう。
磁気シールド手段は、RFコイルから所定の範囲内に配置されることによって、RFコイルへのノイズによる磁気的な干渉を防ぐ。また、磁気シールド手段は、RFコイルとの距離が変化することによってRFコイルからの磁束の鎖交数が変化する。これにより、RFコイルが構成する共振回路中のインダクタンスが変化する。従って、RFコイルと磁気シールド手段との間の距離に応じて、RFコイルの共振周波数が調整される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に述べる。
【0016】
第1実施形態
図1は本発明に係るMRI装置の外観斜視図であり、図2は図1に示すMRI装置の要部の概略構成図である。
図1および図2に示すMRI装置200は、クレードル装置240とMRI装置本体210を有する。
【0017】
クレードル装置240は、被検体を載置するクレードル243と、このクレードル243をMRI装置本体210のボア94内に搬送するクレードル駆動装置241を有する。クレードル装置240は、被検体の被検部位をボア94内に位置決め可能なように、MRI装置本体210の近傍に設置される。
【0018】
MRI装置本体210は、図1および図2に示すように、垂直方向(Z方向)に対向して配置されている上側マグネットケース220aと下側マグネットケース220bに収容されているマグネットシステムと、RFコイル駆動部271と、勾配コイル駆動部272と、データ収集部273と、制御部274とを有する。
上側マグネットケース220aと下側マグネットケース220bとの間の空間が、ボア94を規定している。
【0019】
マグネットシステムは、上側マグネットケース220aと下側マグネットケース220b内にそれぞれ収容されている各1組ずつ上下の、静磁場発生用マグネット部260a,260bと、勾配コイル部261a,261bと、RFシールド部262a,262bと、RFコイル部263a,263bとを有する。
【0020】
本実施形態においては、静磁場発生用マグネット部260a,260bと、勾配コイル部261a,261bと、RFシールド部262a,262bと、RFコイル部263a,263bはいずれも平坦な円盤状、矩形などの形状を有し、Z方向における中心軸が同軸に配設されている。
また、ボア94を挟んで最も外側に静磁場発生用マグネット部260a,260bが1組配設され、そこから内側のボア94側に向かって順に、勾配コイル部261a,261bと、RFシールド部262a,262bと、RFコイル部263a,263bが、各1組ずつ配設されている。
これらのうち、RFシールド部262a,262bおよびRFコイル部263a,263bは、個々に独立してZ方向に移動可能に配設される。
【0021】
このように対向して配置される1組の静磁場発生用マグネット部260a,260bにより、ボア94に均一な静磁場が形成される。このようにして形成される静磁場の向きは、図2に示すように被検体99の体軸方向、即ちY方向にほぼ直交するので、直交磁場または垂直磁場とも呼ばれる。
垂直磁場を発生する静磁場発生用マグネット部260a,260bは、例えば永久磁石を用いて構成される。永久磁石の他に、超伝導磁石や常伝導磁石などの磁場発生用磁石を用いて静磁場発生用マグネット部260a,260bを構成することも可能である。
なお、被検体99の被検部位は、良好な磁気共鳴画像を入手するために、最も均一な垂直磁場が形成されている、静磁場発生用マグネット部260a,260bのZ方向の中心軸上に、クレードル243によって移動される。
【0022】
勾配コイル部261a,261bは、RFコイルが受信する磁気共鳴信号に3次元の位置情報を持たせるために勾配磁場コイルを3系統有する。勾配コイル部261a,261bは、これらの勾配磁場コイルを用いて、静磁場発生用マグネット部260a,260bが形成した静磁界の強度に勾配を付ける勾配磁場を発生させる。
【0023】
RFシールド部262a,262bは、本発明における磁気シールド手段の一実施態様に相当する。
RFシールド部262a,262bは、例えば銅によって形成される薄いシートを用いて構成される。この銅シートをマグネットシステムの外部に接地することによって、外部からマグネットシステムに混入するノイズとしてのRF信号を取り除き、勾配コイル部261a,261bおよびRFコイル部263a,263bへのノイズによる磁気的な干渉を防止することができる。
【0024】
RFコイル部263a,263bは、1組の静磁場発生用マグネット部260a,260bにより静磁場が形成されているボア94内において、被検体99の被検部位のスピンを励起するために高周波の回転磁場を送信する送信用RFコイルと、送信用RFコイルからのRF信号の送信を停止した際に被検部位から再放射される、被検部位のスピンに起因して生じる共鳴周波数を有するRFエネルギを受信する受信用RFコイルとを有する。
送信用コイルと受信用コイルを同じコイルで兼用してもよいし、例えばRFコイル部263aのRFコイルを送信用コイルとし、RFコイル部263bのRFコイルを受信用コイルとするように、それぞれ専用のコイルを用いてもよい。
なお、回転磁場としては、一般的には2.13MHzから85MHzの範囲の高周波の磁場が用いられる。
【0025】
これらのRFコイルは、図8(b)に例示した従来のRFコイル部180bと同様に、銅等の導電体を平坦なリング状に巻回したコイル部と、このコイル部に設けられた静電容量部とを有し、共振回路を構成している。
【0026】
RFコイル駆動部271はRFコイル部263a,263bにRF信号励起駆動信号を与えることによりボア94にRF信号による高周波磁界を発生させ、被検体99の被検部位のスピンを励起する。
【0027】
勾配コイル駆動部272は勾配コイル部261a,261bに勾配磁場励起駆動信号を与えることによりボア94内に勾配磁場を発生させる。勾配コイル駆動部272は、勾配コイル部261a,261bの3系統の勾配コイルに対応して、図示しない3系統の駆動回路を有する。
【0028】
データ収集部273は、RFコイル部263a,263bにおける受信用のRFコイルに接続され、受信信号を取り込み、それを磁気共鳴画像生成のためのデータとして収集する。データ収集部273は、図2に示すように、好適にはMRI装置本体からは離れた場所に設置されているオペレータ装置280に、収集したデータを送信する。
【0029】
制御部274は、オペレータ装置280からの指令信号を受けて、所望のデータが得られるようにRFコイル駆動部271、勾配コイル駆動部272、およびデータ収集部273を制御する。
【0030】
オペレータ装置280は、図示はしないが、データ収集部273からのデータやオペレータから入力される操作信号等の信号に基づいて画像処理を行ない磁気共鳴画像を得るデータ処理部と、得られた画像の表示やMRI装置200の操作のための操作画面を表示する表示部と、制御部274およびデータ処理部にオペレータからの操作信号を入力するための操作部とを備えており、オペレータ装置280を介してMRI装置200が操作される。
【0031】
本実施形態においては、前述のように、RFシールド部262a,262bおよびRFコイル部263a,263bを、Z方向に移動可能に配設する。以下、その移動機構の詳細について述べる。なお、以下では例として下側マグネットケース220bに収容されているRFシールド部262bならびにRFコイル部263bを移動させる場合について述べるが、上側マグネットケース220aに収容されているRFシールド部262aとRFコイル部263aについても同様に移動可能であることは言うまでもない。
【0032】
〔移動機構〕
図3は、RFシールド部262bまたはRFコイル部263bの移動機構の第1実施形態を側面から見た概略構成図である。まず、RFシールド部262b上のRFコイル部263bを移動させる場合について述べる。なお、これ以降の実施形態の記述の際に参照する図における縮尺は必ずしも実際の通りではない。
図3に示すように、第1実施形態の移動機構は、一対の被支持部310と、一対のスライド部材320と、シャフト330を有する。
【0033】
被支持部310は、例えば、図3に示すように側面から見て直角三角形状の形状をしており、その直角部分がRFコイル部263bの中心部側を向いてRFコイル部263bの底面に接触するように、RFコイル部263bに設けられる。2つの被支持部310は、図3に示すように、各々の直角部分を同軸に対向させて設けられる。
被支持部310の斜辺部には、係合部310aが設けられている。
【0034】
スライド部材320は、被支持部310の斜辺部と接触する斜辺部を備える、一例として側面から見て被支持部310と相似な直角三角形状の部材である。スライド部材320は、被支持部310と斜辺部同士を接触させてスライド可能なように、その直角部分をRFシールド部262bの外側に向けて、RFシールド部262b上にスライド可能に設置される。
スライド部材320の斜辺部には、被支持部310の係合部310aを受け入れる係合溝320aが、例えばスライド部材320を切削することにより形成されている。
2つのスライド部材320は、図3に示すように、同軸に対向して配置されており、それぞれ係合溝320aに係合部310aを係合させて、被支持部310を介してRFコイル部263bをRFシールド部262bと平行に支持している。
なお、平坦なRFシールド部262bおよびRFコイル部263bは、その平坦面が垂直磁場の方向であるZ方向と直交するように配置されている。
【0035】
RFシールド部262bにおけるスライド部材320の設置面には、スライド部材320を安定してスライドさせるためのスライド溝340が、例えばRFシールド部262bのケーシングを切削することにより形成されている。このスライド溝340は、スライド部材320の底面全体、もしくはこの底面に設けられるスライド用凸部を受け入れるように形成される。
【0036】
シャフト330は、2つのスライド部材320を貫通するように設置される。シャフト330には、順ねじ部330aと逆ねじ部330bが形成されている。
【0037】
一方のスライド部材320には順ねじ部330aと螺合する雌ねじが形成され、他方のスライド部材320には逆ねじ部330bと螺合する雌ねじが形成されている。
シャフト330を図中矢印RDの向きに回転させると、順ねじ部330aおよび逆ねじ部330bの作用により、スライド部材320は互いに離れるように矢印S1の向きに移動する。これにより、被支持部310がスライド部材320の斜面において滑り落ちるようにスライドし、RFコイル部263bは矢印D側に下がる。反対に、シャフト330を図中矢印RUの向きに回転させると、スライド部材320は互いに近づくように矢印S2の向きに移動する。これにより、被支持部310がスライド部材320の斜面において持ち上げられるようにスライドし、RFコイル部263bは矢印U側に上がる。
【0038】
シャフト330は、例えば歯車350a,350bを介して適宜減速された電動モータ360等のアクチュエータの回転力によって回転される。
モータ360は、制御部274からの駆動信号を受けて駆動される。従って、オペレータはオペレータ装置280の操作部から、モータ360の回転量や回転方向を制御することができる。
なお、シャフトおよび歯車列を適宜構成して、オペレータが、例えばMRI装置本体210の表面部に設けられた調節ツマミを回転させることにより手動でシャフト330を回転させることが可能な構成とすることもできる。
【0039】
また、被支持部310およびスライド部材320において、相互に接触する部分、またはRFシールド部262bに接触する部分には、例えば球形のベアリングを設けておくことが、すべり抵抗を低減させるために好ましい。
【0040】
ここで、RFコイル部263bとRFシールド部262bとの間の距離dsと、RFコイル部263bの周波数特性との相関について述べる。
前述のように、RFコイル部263bは、そのリング状のコイルと、このコイルに直列に接続したコンデンサとにより、直列共振回路を構成している。
この直列共振回路を有するRFコイル部263b全体のインダクタンスをL、キャパシタンスをCとすると、RFコイル部263bの共振周波数f0は下記式で表わされる。
【0041】
【数1】
【0042】
ところで、RFコイル部263bの近傍には銅等の導電体によるRFシールド部262bが存在している。従って、RFコイル部263bのインダクタンスLは、下記式のように、リング状のコイル自体の自己インダクタンスLCと、コイルとRFシールド部262bとの間の相互インダクタンスLSの和として考えることができる。
【0043】
【数2】
【0044】
コイルの自己インダクタンスLCは、コイルの形状や材質等の条件により予め定まる値である。
相互インダクタンスLSは、式(2)に示すように、距離dsの関数である。RFシールド部262bに鎖交するRFコイル部263bからの磁束は、距離dsが長くなると減少し、距離dsが短くなると増大する。従って、相互インダクタンスLSおよびRFコイル部263bのインダクタンスLは、距離dsに反比例する。
【0045】
このように、RFシールド部262bをRFコイル部263bに近づけていくと、インダクタンスLは上がり、共振周波数f0は下がる。反対に、RFシールド部262bをRFコイル部263bから遠ざけると、インダクタンスLは下がり、共振周波数f0は上がる。このように、RFコイル部263bとRFシールド部262bとの間の距離dsを調整して、RFコイル部263bの周波数特性を調整することができる。
【0046】
また、RFコイル部263bの誘導リアクタンスXLは、XL=2πfLで表わされる。ここで、符号fは交流の周波数である。インダクタンスLを変更すると周波数fも変化するためその増減は一概には言えないが、上記のように距離dsを調整してインダクタンスLを調整することは、誘導リアクタンスXLを調整してRFコイル部263bの効率を変更することでもある。
【0047】
RFコイル部263bとRFシールド部262bとの間の距離dsは、一例として2cm程度である。
距離dsを数mmから1mm以下の範囲で変化させることによって、磁気共鳴撮影に用いる場合に十分な範囲で周波数特性を調整することができる。
【0048】
このように、本第1実施形態の移動機構によれば、1つのモータ360によって、RFシールド部262bとRFコイル部263bとを水平に保ったまま、RFコイル部263bを、垂直磁場の方向と平行なZ方向において上下に移動させることができる。従って、RFコイル部263bが移動した場合にも、RFコイル部263bから発生する高周波磁場は、RFコイル部263bの全面で均一に変化する。
【0049】
以上の記述においてはRFシールド部262bとRFコイル部263b部との間に移動機構が存在するとしたが、図3においてRFシールド部262bを勾配コイル部261bに置き換え、RFコイル部263bをRFシールド部262bで置き換えて考えて、勾配コイル部261bとRFシールド部262bとの間に移動機構が存在するようにしてもよい。RFシールド部262bの上方にはRFコイル部263bが存在することになる。この場合、RFシールド部262bが勾配コイル部261bおよびRFコイル部263bに対して水平状態を保ったまま、垂直磁場の方向に移動可能となり、RFコイル部263bとの間の距離を調整することができる。従って、上述の場合と同様に、RFコイル部263b内のRFコイルの周波数特性を調整することができる。
また、被支持部310とスライド部材320を入れ替え、被支持部310をRFシールド部262bに設け、スライド部材320をRFコイル部263bまたは勾配コイル部261bに設けてもよい。
【0050】
なお、このように、RFシールド部262bが勾配コイル部261bとRFコイル部263bとの間に配置されているため、RFシールド部262bの移動による勾配コイル部261bとRFコイル部263bの特性の変化は逆になる。
例えば、RFシールド部262bが移動してRFコイル部263bの効率が上がり高周波磁界の強さが上がったときには、勾配コイル部261bの効率は下がり勾配磁界の強さは下がる。この場合と逆の方向にRFシールド部262bが移動したときには、RFコイル部263bの効率および高周波磁界の強さが下がり、勾配コイル部261bの効率および勾配磁界の強さが上がる。
【0051】
第2実施形態
図4は、RFシールド部262bまたはRFコイル部263bの移動機構の第2実施形態を側面から見た概略構成図である。
第2実施形態の場合にも、まず、RFシールド部262b上のRFコイル部263bを移動させる場合について述べる。
【0052】
図4に示すように、第2実施形態の移動機構は、モータ360と歯車350a,350bとシャフト380とを備える距離調整部を複数個有する。距離調整部は、RFコイル部263bを任意の方向に傾けるために、RFコイル部263bの周辺部において3個または4個、もしくはそれ以上の数で適宜設けられることが好ましい。例えば、図4において、右側の距離調整部を距離調整部400aとし、左側の距離調整部を距離調整部400bとする。
【0053】
距離調整部400a,400bのシャフト380は、長手方向が垂直磁場の方向に沿って設置され、その一端はRFシールド部262bのケーシングの平坦面において回転自在に軸支される。シャフト380の他端は、RFコイル部263bのケーシングを、RFコイル部263bの平坦面に対して垂直に貫通するように配設されている。シャフト380とRFコイル部263bのケーシングは、それぞれに設けられているねじ部により螺合している。
【0054】
モータ360は制御部274に接続されており、回転量および回転方向を個々に制御することが可能である。
例えば、RFシールド部262bを固定しておき、モータ360を駆動して、距離調整部400a,400bのシャフト380を矢印RDの向きに回転させる。このとき、RFシールド部262bの、シャフト380が貫通している部分が、矢印D側に下がる。逆に、シャフト380を矢印RUの向きに回転させると、RFシールド部262bの、シャフト380が貫通している部分が、矢印U側に上がる。
【0055】
例えば距離調整部400aのシャフト380を矢印RDの向きに回転させ、距離調整部400bのシャフト380を矢印RUの向きに回転させる。このとき、RFコイル部263bは、その平坦面に対する法線Gが、領域ARa側に向くように傾く。逆に、距離調整部400aのシャフト380を矢印RUの向きに回転させ、距離調整部400bのシャフト380を矢印RDの向きに回転させると、RFコイル部263bは、法線Gが領域ARb側に向くように傾く。
【0056】
以上の記述は2つの距離調整部400a,400bのみを調整した場合であったが、各距離調整部によるシャフト380の回転方向と回転量を全て等しくすれば、RFコイル部263bはRFシールド部262bに対して水平状態を保ったまま移動する。また、各距離調整部による移動方向と移動量を個々に調整することにより、RFコイル部263bを垂直磁場およびRFシールド部262bに対して任意の方向に傾けながら、RFコイル部263bとRFシールド部262b間の距離dsを調整することができる。
【0057】
本第2実施形態の場合にも、距離dsは一例として2cm程度であり、この距離dsを数mmから1mm以下の範囲で変化させることによって、磁気共鳴撮影に用いる場合に十分な範囲でRFコイルの周波数特性を調整することができる。
【0058】
このように、本第2実施形態の移動機構によれば、RFコイル部263bとRFシールド262b間の距離を調整する場合に、RFコイル部263bを傾けながら移動させて、RFコイル部263bのRFコイルの周波数特性を調整するとともに、RFコイル部263bから発生する高周波磁場に適宜傾きをつけることができる。これにより、磁気共鳴撮影時における高周波磁場の微調整が容易になる。
固定したRFコイル部263b側においてシャフト380を軸支し、RFシールド262bを移動させても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0059】
第2実施形態においても、図4においてRFシールド部262bを勾配コイル部261bに置き換え、RFコイル部263bをRFシールド部262bで置き換えて考えて、勾配コイル部261bとRFシールド部262bとの間に距離調整部を存在させることが考えられる。RFシールド部262bの上方にはRFコイル部263bが存在することになる。この場合、勾配コイル部261bとRFコイル部263bを固定しておき、シャフト380の一端を勾配コイル部261bのケーシングの平坦面において回転自在に軸支して、他端部がRFシールド部262bに螺合するようにしておけば、RFシールド部262bを適宜傾けながら移動させることができる。勾配コイル部261bが固定されていれば、シャフト380を、勾配コイル部261b側ではなくRFシールド部262b側において回転自在に軸支しておいても、RFシールド部262bを傾けながら移動させることは可能である。
【0060】
第3実施形態
上記第1、第2実施形態は、RFシールド部262bまたはRFコイル部263bのどちらか一方だけを移動させてRFシールド部262bとRFコイル部263b間の距離を調整する方式であった。
図5に、RFシールド部262bおよびRFコイル部263bの両方を移動させる第3実施形態を側面から見た概略構成図を示す。
【0061】
図5においては、第2実施形態の距離調整部400a,400bのシャフト380を、RFシールド部262bとRFコイル部263bの両方を貫通するように延長したシャフト390を有する距離調整部420a,420bが、第2実施形態の場合と同様に、RFシールド部262bおよびRFコイル部263bの周辺部に配置されている。ただし、本第3実施形態においても、距離調整部は、3個以上配置することが好ましい。
【0062】
一例として、シャフト390のうち、RFシールド部262bを貫通する部分には順ねじ部390aを形成しておき、RFコイル部263bを貫通する部分には逆ねじ部390bを形成しておく。シャフト390が貫通するRFシールド部262bのケーシングには順ねじ部390aと螺合する雌ねじを形成しておき、シャフト390が貫通するRFコイル部263bのケーシングには逆ねじ部390bと螺合する雌ねじを形成しておく。
その他の構成は第2実施形態の場合と同様であるので、同一構成要素には同一符号を付し、その詳細については適宜省略する。
【0063】
例えば、シャフト390の一端をケーシングの平坦面において回転自在に軸支している勾配コイル部261bのみを固定しておく。この状態で、距離調整部420a,420bのそれぞれのモータ360の回転により、シャフト390を矢印RPの向きに回転させると、順ねじ部390aおよび逆ねじ部390bの作用により、RFシールド部262bおよびRFコイル部263bの両方の、シャフト390が貫通している部分が、互いに遠ざかる矢印Pの向きに移動する。
反対に、シャフト390を矢印RBの向きに回転させると、RFシールド部262bおよびRFコイル部263bの両方の、シャフト390が貫通している部分は、互いに近づく矢印Bの向きに移動する。
各距離調整部による移動量および移動方向を個々に調整することにより、RFシールド部262bとRFコイル部263b間の距離ds、およびRFコイル部263bが発生させる高周波磁場の傾きを様々に変化させることができる。
【0064】
このように、本第3実施形態によれば、RFシールド部262bとRFコイル部263bの両方を一度に移動させることが可能なことから、RFシールド部262bとRFコイル部263b間の距離dsの調整に伴うRFコイルの周波数特性の調整と、高周波磁場の傾きの調整を、効率的に行なうことができる。
第3実施形態においても、勾配コイル部261bを固定しておけば、シャフト390をRFコイル部263bのケーシングの平坦面において回転自在に軸支した場合にも、RFコイル部263bとRFシールド部262bの両方を一度に移動させることができる。
【0065】
変形形態
図6および図7に、RFシールド部262bまたはRFコイル部263bの移動機構の変形形態を側面から見た概略構成図を示す。
変形形態においては、ピエゾ素子500により、RFシールド部262bとRFコイル部263bとの間の距離dsを調整する。
図6はRFシールド部262bとRFコイル部263bとの間にピエゾ素子500を配置した場合の例を示し、図7は勾配コイル部261bとRFシールド部262bとの間にピエゾ素子500を配置した例を示している。
【0066】
ピエゾ素子500は、制御部274を介して電圧を印加されることによって、膨張または収縮する。ピエゾ素子500を適切な個数配置し、ここのピエゾ素子に印加する電圧を制御することによって、RFシールド部262bとRFコイル部263bとの間の距離dsを調整することができる。
【0067】
前述のように、距離dsは、数mmから1mm以下の範囲内で調整しても十分な周波数調整効果が得られるため、ピエゾ素子500を用いても十分に周波数特性を調整することができる。
【0068】
変形形態によれば、ピエゾ素子500を用いることによって、第3実施形態までのような機械的な移動機構を設ける必要がなくなり、RFシールド部262bとRFコイル部263b間の距離dsをより簡便な構造で調整することができる。
【0069】
なお、本発明は、上記実施形態ならびに図面の記載に限定されない。例えば、上記実施形態では本発明を磁気共鳴撮影装置に適用した例を示したが、本発明は例えば同調回路やトラップ回路のように、コイルを含み、その周波数特性を変更させたい磁気回路を有する装置に広く適用することができる。
また、移動機構の構造やその配置についても限定されず、RFシールド部262bとRFコイル部263b間の距離を調整することによりRFコイルの周波数特性を調整可能な構成になっていればよい。
さらに、RFシールド部262bとRFコイル部263bとの間に、RFコイル部263bが発した磁界の透磁率を変化させる物質を挟んでおいてもよい。
上記実施形態においては、垂直磁場の方向は例えば図1におけるZ方向であるとしたが、マグネットシステムの配置を変更することにより、例えばX方向に垂直磁場を形成することも可能である。
【0070】
【発明の効果】
以上述べてきたように、本発明によれば、平坦なのRFコイルおよびRFシールドを用いることによって、簡単な構造によりRFシールド部262bとRFコイル部263bとの間を調整することができ、これにより低コストで簡便にRFコイルの周波数特性を調整可能な磁気共鳴撮影装置または磁気回路装置を提供することができる。
また、本発明によれば、低コストで簡便な、RFコイルの周波数特性調整方法を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係るMRI装置の外観斜視図である。
【図2】図2は図1に示すMRI装置の要部の概略構成図である。
【図3】図3は、図1に示すMRI装置において用いられる移動機構の第1実施形態を側面から示した概略構成図である。
【図4】図4は、図1に示すMRI装置において用いられる移動機構の第2実施形態を側面から示した概略構成図である。
【図5】図5は、図1に示すMRI装置において用いられる移動機構の第3実施形態を側面から示した概略構成図である。
【図6】図6は、図1に示すMRI装置において用いられる移動機構の変形形態を側面から示した概略構成図であり、ピエゾ素子をRFシールド部とRFコイル部との間に配置した場合を示している。
【図7】図7は、図1に示すMRI装置において用いられる移動機構の変形形態を側面から示した概略構成図であり、ピエゾ素子を勾配コイル部とRFシールド部との間に配置した場合を示している。
【図8】図8(a)は、オープンタイプのMRI装置の構成の一例を示す、要部の模式的な斜視透視図であり、図8(b)は、図8(b)に示すMRI装置のマグネットシステムの要部の構成を示す側面図である。
【符号の説明】
94…ボア、99…被検体、200…MRI装置、210…MRI装置本体、220a…上側マグネットケース、220b…下側マグネットケース、240…クレードル装置、241…クレードル駆動装置、243…クレードル、260a,260b…マグネット部、261a,261b…勾配コイル部、262a,262b…RFシールド部、263a,263b…RFコイル部、310…被支持部、310a…係合部、320…スライド部材、320a…係合溝、330,380,390…シャフト、340…スライド溝、350a,350b…歯車、360…モータ、400a,400b,420a,420b…距離調整部、500…ピエゾ素子
Claims (20)
- 垂直磁場内に配置され、高周波磁界信号の送信および受信の少なくともいずれか一方を行なうRFコイルと、
前記RFコイルから所定距離離れて、当該RFコイルに対向して配置され、当該RFコイルへの磁気的な干渉を防止する磁気シールド手段と、
前記RFコイルおよび前記磁気シールド手段の少なくともいずれか一方を移動させる移動手段と
を有し、
前記移動手段により、前記RFコイルと前記磁気シールド手段との間の距離を相対的に変化させて、前記RFコイルの周波数特性を調整する
磁気共鳴撮影装置。 - 前記RFコイルおよび前記磁気シールド手段は平坦であり、垂直磁場を発生する磁気共鳴撮影装置本体の筐体内に、その平坦面が垂直磁場の方向と直交して配置される
請求項1に記載の磁気共鳴撮影装置。 - 前記移動手段は、
前記RFコイルと前記磁気シールド手段との間に配置され、順ねじ部および逆ねじ部を備えるシャフトと、
斜辺部を備え、前記RFコイルまたは前記磁気シールド手段のいずれか一方のケーシングの平坦面において前記斜辺部を互いに逆向きにして対向して設けられる一対の被支持部と、
前記被支持部の斜辺部に接触する斜辺部をそれぞれ備え、前記シャフトが螺合し、前記RFコイルまたは前記磁気シールド手段のうちの他方のケーシングの平坦面においてスライド自在に対向して配置される一対のスライド部材と
を有し、
前記スライド部材の一方は前記順ねじ部に、他方は前記逆ねじ部にそれぞれ螺合し、当該スライド部材が前記シャフトの回転に応じて互いに近づく向き、または遠ざかる向きにスライドすることによって前記被支持部の斜面がスライドし、前記被支持部が設けられる前記RFコイルまたは前記磁気シールド手段の前記平坦面が垂直磁場の方向に沿って移動する
請求項2に記載の磁気共鳴撮影装置。 - 前記磁気シールド手段は、前記RFコイルと、前記高周波磁界信号に位置情報を持たせるための勾配磁場コイルとの間に配置されており、
前記シャフトは前記磁気シールド手段と前記勾配磁場コイルとの間に配置され、
前記被支持部および前記スライド部材は、前記磁気シールド手段または前記勾配磁場コイルのケーシングの平坦面にそれぞれ設けられる
請求項3に記載の磁気共鳴撮影装置。 - 前記RFコイルおよび/または前記磁気シールド手段を、垂直磁場に対して傾く方向に移動させる
請求項2に記載の磁気共鳴撮影装置。 - 前記移動手段は、
長手方向が垂直磁場の方向に沿って設置される複数のシャフトを有し、
前記複数のシャフトの一端は、前記RFコイルまたは前記磁気シールド手段のいずれか一方のケーシングの平坦面においてそれぞれ回転自在に軸支され、
前記複数のシャフトの他端部は、前記RFコイルまたは前記磁気シールド手段のうちの他方のケーシングにそれぞれ螺合しており、
前記複数のシャフトの回転方向および回転量を個々に調整することにより、前記RFコイルまたは前記磁気シールド手段を、垂直磁場に対して傾く方向に移動させる
請求項5に記載の磁気共鳴撮影装置。 - 前記磁気シールド手段は、前記RFコイルと、前記高周波磁界信号に位置情報を持たせるための勾配磁場コイルとの間に配置されており、
前記複数のシャフトの一端は、前記磁気シールド手段または前記勾配磁場コイルのいずれか一方のケーシングの平坦面においてそれぞれ回転自在に軸支され、前記複数のシャフトの他端部は、前記磁気シールド手段または前記勾配磁場コイルのうちの他方のケーシングにそれぞれ螺合しており、
前記複数のシャフトの回転方向および回転量を個々に調整することにより、前記磁気シールド手段を、垂直磁場に対して傾く方向に移動させる
請求項6に記載の磁気共鳴撮影装置。 - 前記複数のシャフトの一端は、前記RFコイルまたは前記勾配磁場コイルのいずれか一方のケーシングの平坦面においてそれぞれ回転自在に軸支され、
前記複数のシャフトの他端部は、前記磁気シールド手段を貫通し、前記勾配磁場コイルまたは前記RFコイルまで延長して当該磁気シールド手段、勾配磁場コイルまたはRFコイルのケーシングにそれぞれ螺合しており、
前記複数のシャフトの、前記磁気シールド手段のケーシングに螺合する部分と、前記勾配磁場コイルまたは前記RFコイルのケーシングに螺合する部分とは、順ねじと逆ねじの関係になっており、
前記複数のシャフトの回転方向および回転量を個々に調整することにより、前記RFコイルおよび/または前記磁気シールド手段を、垂直磁場に対して傾く方向に移動させる
請求項7に記載の磁気共鳴撮影装置。 - 前記移動手段は、前記RFコイルおよび/または前記磁気シールド手段に設置したピエゾ素子である
請求項1、2および5のいずれかに記載の磁気共鳴撮影装置。 - 磁界の発生と、当該磁界によって励起される磁界信号の受信の少なくともいずれか一方を行なうコイルと、
前記コイルから所定距離離れて、当該コイルに対向して配置され、当該コイルへの磁気的な干渉を防止する磁気シールド手段と、
前記コイルおよび前記磁気シールド手段の少なくともいずれか一方を移動させる移動手段と
を有し、
前記移動手段により、前記コイルと前記磁気シールド手段との間の距離を相対的に変化させて、前記コイルの周波数特性を調整する
磁気回路装置。 - 磁気共鳴撮影に用いられ、垂直磁場内に配置されて高周波磁界信号の送信および受信の少なくともいずれか一方を行なうRFコイルの周波数特性を、前記RFコイルから所定距離離れて、当該RFコイルに対向して配置され、当該RFコイルへの磁気的な干渉を防止する磁気シールド手段と前記RFコイルとの間の距離を相対的に変化させて調整する
周波数特性調整方法。 - 垂直磁場の方向に平行な方向において、前記RFコイルおよび前記磁気シールド手段間の距離を調整する
請求項11に記載の周波数特性調整方法。 - 前記RFコイルと前記磁気シールド手段との間に配置され、順ねじ部および逆ねじ部を備えるシャフトと、
斜辺部を備え、前記RFコイルまたは前記磁気シールド手段のいずれか一方のケーシングの平坦面において前記斜辺部を互いに逆向きにして対向して設けられる一対の被支持部と、
前記被支持部の斜辺部に接触する斜辺部をそれぞれ備え、前記シャフトが螺合し、前記RFコイルまたは前記磁気シールド手段のうちの他方のケーシングの平坦面においてスライド自在に対向して配置される一対のスライド部材と
を有する移動手段の前記スライド部材の一方を前記順ねじ部に、他方を前記逆ねじ部にそれぞれ螺合させ、当該スライド部材を前記シャフトの回転に応じて互いに近づく向き、または遠ざかる向きにスライドさせることによって前記被支持部の斜面をスライドさせ、前記被支持部が設けられる前記RFコイルまたは前記磁気シールド手段の前記平坦面を垂直磁場の方向に沿って移動させる
請求項12に記載の周波数特性調整方法。 - 前記磁気シールド手段を、前記RFコイルと、前記高周波磁界信号に位置情報を持たせるための勾配磁場コイルとの間に配置し、
前記シャフトを前記磁気シールド手段と前記勾配磁場コイルとの間に配置し、前記被支持部および前記スライド部材を、前記磁気シールド手段または前記勾配磁場コイルのケーシングの平坦面にそれぞれ設ける
請求項13に記載の周波数特性調整方法。 - 垂直磁場の方向から傾いた方向において、前記RFコイルおよび前記磁気シールド手段間の距離を調整する
請求項11に記載の周波数特性調整方法。 - 長手方向が垂直磁場の方向に沿って設置される複数のシャフトの一端を、前記RFコイルまたは前記磁気シールド手段のいずれか一方のケーシングの平坦面においてそれぞれ回転自在に軸支し、
前記複数のシャフトの他端部を、前記RFコイルまたは前記磁気シールド手段のうちの他方のケーシングにそれぞれ螺合させ、
前記複数のシャフトの回転方向および回転量を個々に調整することにより、前記RFコイルまたは前記磁気シールド手段を、垂直磁場に対して傾く方向に移動させる
請求項15に記載の周波数特性調整方法。 - 前記磁気シールド手段を、前記RFコイルと、前記高周波磁界信号に位置情報を持たせるための勾配磁場コイルとの間に配置し、
前記複数のシャフトの一端を、前記磁気シールド手段または前記勾配磁場コイルのいずれか一方のケーシングの平坦面においてそれぞれ回転自在に軸支し、
前記複数のシャフトの他端部を、前記磁気シールド手段または前記勾配磁場コイルのうちの他方のケーシングにそれぞれ螺合させ、
前記複数のシャフトの回転方向および回転量を個々に調整することにより、前記磁気シールド手段を、垂直磁場に対して傾く方向に移動させる
請求項16に記載の周波数特性調整方法。 - 前記複数のシャフトの一端を、前記RFコイルまたは前記勾配磁場コイルのいずれか一方のケーシングの平坦面においてそれぞれ回転自在に軸支し、
前記複数のシャフトの他端部を、前記磁気シールド手段を貫通させ、前記勾配磁場コイルまたは前記RFコイルまで延長して当該磁気シールド手段、勾配磁場コイルまたはRFコイルのケーシングにそれぞれ螺合させ、
前記複数のシャフトの、前記磁気シールド手段のケーシングに螺合する部分と、前記勾配磁場コイルまたは前記RFコイルのケーシングに螺合する部分とを、順ねじと逆ねじの関係にして、
前記複数のシャフトの回転方向および回転量を個々に調整することにより、前記RFコイルおよび/または前記磁気シールド手段を、垂直磁場に対して傾く方向に移動させる
請求項17に記載の周波数特性調整方法。 - 前記RFコイルおよび/または前記磁気シールド手段に設置したピエゾ素子の膨張または収縮により、当該RFコイルおよび当該磁気シールド手段間の距離を調整する
請求項11、12および15のいずれかに記載の周波数特性調整方法。 - 磁界の発生と、当該磁界によって励起される磁界信号の受信の少なくともいずれか一方を行なうコイルの周波数特性を、前記コイルから所定距離離れて、当該コイルに対向して配置され、当該コイルへの磁気的な干渉を防止する磁気シールド手段と前記コイルとの間の距離を相対的に変化させて調整する
周波数特性調整方法。
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