JP2004016279A - 体動検出装置および体動検出方法 - Google Patents
体動検出装置および体動検出方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】本発明は、体動を検出する体動検出装置および体動検出方法に関する。
【解決手段】本発明にかかる体動検出装置100は、所定の波長の測定光を発光し、前記測定光について測定対象中を相異なる複数の経路で通過した後の複数の光強度変化をそれぞれ測定する測定部30と、前記複数の光強度変化に基づいて体動の有無を判定する演算・制御部16とを備えて構成される。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明にかかる体動検出装置100は、所定の波長の測定光を発光し、前記測定光について測定対象中を相異なる複数の経路で通過した後の複数の光強度変化をそれぞれ測定する測定部30と、前記複数の光強度変化に基づいて体動の有無を判定する演算・制御部16とを備えて構成される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、体動を検出する体動検出装置および体動検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体組織の酸素濃度を監視する意義が、臨床において極めて大きいことは周知の通りである。臨床における酸素ダイナミクス評価法は、例えば、生体内での酸素の働きという観点から大別すると、酸素化、酸素供給、酸素消費および酸素需給バランスのように分類される。酸素は、生命活動維持のために最も重要な物質であり、酸素の供給が絶たれると生体組織細胞は、重大な傷害を受けることから、上述の分類の中でも特に酸素化および酸素供給に関するパラメータが重要であると考えられている。そのため、酸素供給が不安定になり得る場合、例えば、麻酔中、術後、呼吸不全および循環不全などの患者を治療する場合には、特に酸素が適切に供給されているか否かをモニタすることが重要である。
【0003】
生体組織への酸素供給は、動脈血によって行われる。そのため、生体組織への酸素供給が適切に行われているか否かを把握するために、脈拍数や血中酸素飽和度がモニタされる。
【0004】
脈拍数や血中酸素飽和度を測定する装置として、従来、パルスオキシメータが知られている。このパルスオキシメータは、ランバート・ビア(Lambert−Beer)が提唱した考え方に従い、動脈血の脈動により生ずる生体組織透過光量の変動成分を利用するもので、脈動分の減光度を異なる2波長の光で測定してその比から酸素飽和度を求める装置である。このパルスオキシメータは、非侵襲で簡便に測定ができるという特長があり、例えば、特公昭53−26437号公報に詳細に記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、パルスオキシメータは、動脈血の脈動により生ずる生体組織透過光の光量変化を利用して測定することから、生体が測定中に安静にしていればよいが、体の何れかの部位を動かす体動を生体が測定中に行うと、脈動による変動成分以外の変動成分が透過光量に生じてしまい、その結果、体動から生じる変動成分も測定値に含まれるという事情があった。特に、脈が弱い人や冷え性の人など抹消循環が良くない人などは、脈動の振幅が小さいために体動から生じる変動成分が相対的に大きくなってしまう。このため、測定値から体動による変動成分を減ずるため測定中に体動を検出する必要があった。しかしながら、従来は、測定中に体動を検出する手段がほとんど知られていなかった。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みて為されたものであり、体動を検出する体動検出装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の事情からなされた発明であるから、脈拍数や血中酸素飽和度などの測定と合わせて体動も検出することができると便利である。そのため、脈拍数や血中酸素飽和度を演算する演算式を応用して、本発明は為された。なお、このような背景から為された発明であるが、もちろん、脈拍数や血中酸素飽和度などを測定すること無く、体動を検出する単独の装置としても成立し得る。
【0008】
上述の課題を解決するために、本発明にかかる体動検出装置は、所定の波長の測定光を発光し、前記測定光について測定対象中を相異なる複数の経路で通過した後の複数の光強度変化をそれぞれ測定する測定部と、前記複数の光強度変化に基づいて体動の有無を判定する判定部とを備えて構成される。
【0009】
そして、上述の体動検出装置において、好ましくは、前記判定部は、前記複数の光強度変化と各光強度変化との間の係数に基づく評価関数を最小または最大にする前記係数を求め、求めた前記係数の符号によって体動の有無を判別するように構成する。
【0010】
また、上述の体動検出装置において、体動の有無だけでなく測定対象の運動状態を細かく判別する観点から、好ましくは、前記判定部は、前記複数の光強度変化と各光強度変化との間の係数に基づく評価関数を最小または最大にする前記係数を求め、求めた前記係数に対応する前記評価関数の評価値を求め、係数と評価値とからなる座標空間を測定対象の運動状態に対応させて複数の領域に区分し、求めた前記係数および前記評価値が前記複数の領域のうちの何れに属するかによって前記測定対象の運動状態を判別するように構成する。
【0011】
さらに、上述の体動検出装置において、前記測定部は、相異なる第1波長および第2波長の測定光をそれぞれ発光し、発光した各測定光について測定対象中を相異なる第1経路および第2経路で通過した後の各光強度変化をそれぞれ測定し、前記判定部は、第1経路における第1波長の測定光の光強度変化と第2波長の測定光の光強度変化との第1比および第2経路における第1波長の測定光の光強度変化と第2波長の測定光の光強度変化との第2比に基づいて体動の有無を判定するように構成する。
【0012】
また、上述の課題を解決するために、本発明にかかる体動検出方法は、所定の波長の測定光を発光する工程と、前記測定光について測定対象中を相異なる複数の経路で通過した後の複数の光強度変化をそれぞれ測定する工程と、前記複数の光強度変化に基づいて体動の有無を判定する工程とを備えて構成する。
【0013】
測定対象の体動の有無や運動状態の検出は、後述するように、脈拍数や血中酸素飽和度を演算する演算式を応用した後述の諸式である。本発明にかかる体動検出装置および体動検出方法は、脈拍数や血中酸素飽和度などの測定と同様に、測定対象中を相異なる複数の経路で通過した後の複数の光強度変化をそれぞれ測定するので、複数の光強度変化に基づいて後述の諸式により測定対象の体動の有無や運動状態を検出することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0015】
(実施形態の構成)
本発明にかかる体動検出装置は、所定の波長の測定光を発光し、測定光について測定対象中を相異なる複数の経路で通過した後の複数の光強度変化をそれぞれ測定する測定部と、複数の光強度変化に基づいて体動の有無を判定する判定部とを備えて構成され、体動の有無を検出する検出装置である。
【0016】
図1は、体動検出装置の構成を示すブロック図である。
【0017】
図1において、体動検出装置100は、第1発光部11、第2発光部12、受光部13、増幅部14、アナログ/ディジタル変換部(以下、「A/D」と略記する。)15、演算・制御部16、入力部17、表示部20、駆動部18、ディジタル/アナログ変換部(以下、「D/A」と略記する。)19、記憶部21および外部インターフェース(以下、「外部I/F」と略記する。)22を備える。そして、第1および第2発光部11、12と受光部13とを備えて測定部30が構成される。
【0018】
ここで、周知の通り、酸素は、ヘモグロビンによって生体の各細胞に運ばれるが、ヘモグロビンは、肺で酸素と結合して酸化ヘモグロビン(HbO2)となり、生体の細胞で酸素が消費されるとヘモグロビン(Hb)に戻る。なお、酸素飽和度SpO2は、血中の酸化ヘモグロビンの割合をいい、ヘモグロビン濃度をCHbで示し、酸化ヘモグロビン濃度をCHbO2で示すと式1のように定義される。
【0019】
【数1】
【0020】
ヘモグロビンの吸光度および酸化ヘモグロビンの吸光度は、波長依存性を有しており、各吸光係数α(λ)は、周知の図2に示すような分光特性を有する。なお、図2の横軸はnm単位で示す光の波長でありその縦軸は×10−9cm2/mole単位で示す吸光係数である。ヘモグロビンおよび酸化ヘモグロビンは、図2に示すようにその吸光特性が異なる。例えば、ヘモグロビンは、赤色領域の波長λ1の赤色光に対し酸化ヘモグロビンよりも光を多く吸収するが、赤外線領域の波長λ2の赤外光に対しては酸化ヘモグロビンよりも光の吸収が少ない。体動検出装置100は、このようなヘモグロビンと酸化ヘモグロビンとの吸光特性の違いを利用して、体動を検出することから、第1および第2発光部11、12は、ヘモグロビンと酸化ヘモグロビンとが吸収する波長であることが必要である。なお、パルスオキシメータもこのようなヘモグロビンと酸化ヘモグロビンとの吸光特性の違いを利用して、脈拍数や血中酸素飽和度を検出している。
【0021】
体動の有無の判別は、後述の(第1の体動判別法)で説明するように1波長で判別する方法と(第2の体動判別法)で説明するように2波長で判別する方法とがある。何れの方法を採用するかによって第1および第2発光部11、12は、1波長を射出する光源か2波長を射出する光源かが選択されるが、1波長の光源は2波長の光源のうち何れかの波長で発光していると考えればよいので、ここでは2波長の光源について説明する。
【0022】
第1および第2発光部11、12は、何れも赤色領域の波長λ1の光および赤外線領域の波長λ2の光を射出する光源であり、例えば、波長λ1の赤色光を発光する発光ダイオード(以下、「LED」と略記する。)と波長λ2の赤外光を発光するLEDとを同一基板上に近接させて配置した光源である。受光部13は、受光した光強度に応じた電流を生成する光電素子であり、少なくとも波長λ1および波長λ2に対して感度を持つ。例えば、シリコン・ホト・ダイオード(Silicon Photo Diode)が利用される。なお、第1および第2発光部12が、1波長の光源である場合には少なくともその波長に感度があればよい。受光部13は、受光した光を光強度に従い光電変換した電流信号を増幅部14に出力する。
【0023】
第1および第2発光部11、12と受光部13とは、不図示の保持部材によって保持され、相互の位置は固定されている。第1および第2発光部11、12と受光部13とは、受光部13が、測定対象となる生体組織LBを透過した第1発光部11の両波長λ1、λ2の光を受光するように、かつ、この生体組織LB中で反射した第2発光部12の両波長λ1、λ2の光を受光するように配置される。本実施形態では、第1発光部11と受光部13とは、生体組織LBを介して略対向するように配置され、第2発光部12と受光部13とは、生体組織LBに対して同一側に並べて配置される。第1および第2発光部11、12を上述のように構成し、かつ、第1および第2発光部11、12と受光部13とをこのように配置することによって、体動検出装置100は、同一波長の光が相異なる2つの経路を通過した後の光強度変化を測定することができる。ここで、測定部30が装着される測定部位は、装着の容易性やSN比(Signal−to−noise ratio)の高い測定データが得られるなどの測定の容易性を考慮して、例えば、手指や耳朶などの生体部位や乳幼児の場合には手の甲、手首、足の甲などの生体部位である。もちろん、人間だけでなく人間以外の動物の生体部位でもよい。
【0024】
増幅部14は、受光部13より出力された電流信号を電圧信号に変換し、変換した電圧信号を増幅する。この増幅された電圧信号は、A/D15に入力され、アナログ信号からディジタル信号に変換される。ディジタル信号に変換された電圧信号は、演算・制御部16に入力される。
【0025】
演算・制御部16は、マイクロプロセッサなどを備えて構成され、記憶部21に格納されているデータやプログラムに従い入力された電圧信号から後述する演算を行って体動の有無を判断する。そして、演算・制御部16は、入力部17より各種コマンドやデータを受信し、体動の有無、血中酸素飽和度および脈拍数などの各種データを表示部20や外部I/F22に出力する。さらに、演算・制御部16は、D/A19および駆動部18を介して第1および第2発光部11、12の発光を制御信号によって制御する。
【0026】
入力部17は、測定開始や測定結果表示などの各種コマンドやデータを入力する入力装置であり、例えば、押し釦スイッチやキーボードなどである。表示部20は、入力部17より入力されたコマンドやデータを表示したり、演算・制御部16で処理されたデータ、例えば、体動の有無、酸素飽和度、脈拍数、脈波成分の振幅などを表示したりする表示装置であり、例えば、液晶表示装置(LCD)や有機ホトルミネセンス表示装置やCRTなどである。外部I/F22は、体動検出装置100と外部機器との間でデータ交換を行うためのインターフェースであり、例えば、RS−232CやUSB(Universal Serial Bus)などである。
【0027】
記憶部21は、プログラムやデータを格納する不揮発性のメモリと演算・制御部16で演算処理されたデータを一時的に記憶するメモリとを備えて構成され、例えば、EEPROM(Electrically erasable Programmable Read Only Memory)やRAM(Random Access memory)などを備えて構成される。
【0028】
演算・制御部16から出力された制御信号は、D/A19でディジタル信号からアナログ信号に変換される。変換された制御信号は、駆動部18に入力される。駆動部18は、第1および第2発光部11、12に駆動電流を供給するドライバ回路であり、制御信号に従って所定の発光強度で所定のタイミングで第1および第2発光部11、12をそれぞれ発光させる。
【0029】
(諸式の導出)
生体組織LBに光を入射すると、生体組織によって光が吸収される。この生体における光の吸収は、図3に示すように、▲1▼動脈血層および静脈血層以外の組織による吸光成分、▲2▼静脈血層による吸光成分および▲3▼動脈血層による吸光成分より成る。なお、図3の横軸は時間でありその縦軸は吸光度である。このうち、動脈血層による光の吸収は、静止時(体動がない場合か、あっても測定値に反映されないほど微小な体動の場合)には脈拍により脈拍の周期合わせて変動する。ランバート・ビア(Lambert−Beer)の考え方によれば、生体において、波長λの光の時間tにおける透過光量xt(λ、t)は、式2のように表される。
【0030】
【数2】
【0031】
ここで、x0(λ)は波長λの光の生体への入射光量、αHb(λ)はヘモグロビンの波長λの光における吸光係数、αHbO2(λ)は酸化ヘモグロビンの波長λの光における吸光係数、Ca Hb(t)は動脈血中のヘモグロビン濃度、Ca HbO2(t)は動脈血中の酸化ヘモグロビン濃度、s(t)は動脈血層の脈動による光路長の変動成分、そして、const(λ)は静脈血層および動脈血層の光路長一定部分および血液以外の組織による影響である。
【0032】
一方、測定中に体動が生じると動脈血および静脈血に変動が生じると考えられており、そのため透過光量に脈動以外の変動分が含まれることになる。よって、式2にこの脈動以外の変動分を考慮する必要がある。なお、静脈血中の酸素飽和度SpO2は、動脈血中の酸素飽和度SpO2に較べて低い値であるため、透過光に静脈血による変動分が加わると式2に基づいて算出された血中酸素飽和度SpO2は概して低く求まる。
【0033】
そこで、体動がある場合における透過光量は、式3のように表すことができる。ここで、CV Hb(t)は静脈血中のヘモグロビン濃度、CV HbO2(t)は静脈血中の酸化ヘモグロビン濃度、na(t)は動脈血中の体動による光路長の変動成分、そして、nV(t)は静脈血中の体動による光路長の変動成分である。
【0034】
【数3】
【0035】
xt(λ、t)の自然対数を取ったlogext(λ、t)と、時間区分(t−T0、t+T0)の時間平均を取った[logext(λ、t)]との差をXt(λ、t)とおく。すなわち、Xt(λ、t)=logext(λ、t)−[logext(λ、t)]とおく。なお、本明細書においてZの所定期間における時間平均を[Z]またはZにオーバーバーを付して表す。T0は、ヘモグロビン濃度および酸化ヘモグロビン濃度が時間区分(t−T0、t+T0)で充分ゆっくり変化するように設定する。そして、動脈および静脈の体動による光路変動は同じであるとし、na(t)=nV(t)=n(t)とおく。このような場合において式3より、波長λの透過光測定値より、式4が求められる。
【0036】
【数4】
【0037】
【数5】
【0038】
【数6】
【0039】
式4を見ると分かるように、Xt(λ、t)は、脈動による変動成分と体動による変動成分とから成る。したがって、体動の有無を判別する1つの方法として、B(λ、t)の値の有無を求めることが考えられる。なお、動脈および静脈の体動による光路変動は同じであるとしたが、動脈の体動による光路変動と静脈の体動による光路変動との間に比例関係がある場合には、一定値の係数がかかるだけで同様に考えることができる。
【0040】
ここで、式4には、未知数がA(λ、t)とB(λ、t)と2個あるので、B(λ、t)を求めるためには、式4とは独立の式が必要である。そこで、上式とは異なる経路による透過光量の式が必要である。その1つとして、本実施形態では、反射光量の式を用いる。透過光に対して、Xt(λ、t)をXt(λ、t)=logext(λ、t)−[logext(λ、t)]と表したように、反射光に対して、Xr(λ、t)=logexr(λ、t)−[logexr(λ、t)]と表す。このように表すことができるのは、図3に示す静止時の生体における光の吸収と同様に、体動がある場合でも生体における光の吸収は、一定値の固定部分(直流成分)と値が変動する脈動部分(交流成分)とから成ると考えられるからである。ここで、xr(λ、t)は、波長λの光の時間tにおける反射光量である。そして、式4に対応するXr(λ、t)に関する計算式は、上述と同様に計算すると式7のようになる。
【0041】
【数7】
【0042】
ここで、r1(λ)は反射光の測定における脈動による光路長変化と、透過光の測定における脈動による光路長変化との比(r1(λ)>0)であり、r2(λ)は反射光の測定における体動による光路長変化と、透過光の体動における脈動による光路長変化との比(r2(λ)>0)である。これらr1(λ)およびr2(λ)の値は、透過光の測定と反射光の測定との位置関係のみによって決まる値であり、位置関係が変わらなければ血中の酸素飽和度の変化によらず一定値である。なお、式7における負符号は、透過光の測定における体動成分と、反射光の測定における体動成分とは、実験によるとほぼ符号が逆の波形で観測されるためである。
【0043】
以上より、r1(λ)およびr2(λ)を求めれば、透過光の測定値と反射光の測定値とを用いて式4および式7を解くことより、式8より脈波成分を、式9より体動成分を求めることができる。
【0044】
【数8】
【0045】
【数9】
【0046】
なお、r2(λ)を求めることができれば、式4より動脈血層の脈動による光路長の変動成分s(t)を求めることができるので、体動がある場合でも被験者の脈拍数を求めることができる。例えば、1分間におけるs(t)のピークを計数することによって脈拍数を求めることができる。
【0047】
(r1(λ)およびr2(λ)を求める方法)
一般に脈波成分と体動成分との間には相関関係がないと考えられるから、脈波成分と体動成分との積は充分長時間にわたって和をとると零になる。すなわち、式10が成り立つ。式10をr1(λ)について解くと式11が導かれる。なお、体動の周期が脈拍の周期とほぼ一致すると脈波成分と体動成分との間に相関関係が有ることになるが、そのような場合は一般に極短期間であるから、充分長い時間を考えるとやはり脈波成分と体動成分との積の和は零と考えられる。
【0048】
【数10】
【0049】
【数11】
【0050】
前述したようにr1(λ)およびr2(λ)は、位置関係によってのみ決まる値であるため、測定中に位置関係が変わらなければ、式11に全測定データを用いることができる。複数の時間区間における複数の測定データを式11に用いることによりr1(λ)およびr2(λ)の関係式が複数得られ、その中の独立した式を少なくとも2個選び、それを解くことによりr1(λ)およびr2(λ)を求めることができる。
【0051】
そこで、例えば、体動がある状態によって得た測定データを式11に用いた関係式と、静止の状態によって得た測定データを式11に用いた関係式とで、独立した2個の関係式を得る。
【0052】
体動時における測定データに添え字mを付けその測定時間をtiと表現し、静止時における測定データに添え字sを付けその測定時間をτiと表現すると、式11は、式12のようになる。式12を展開し、r2(λ)を求めると式13になる。
【0053】
【数12】
【0054】
【数13】
【0055】
【数14】
【0056】
【数15】
【0057】
【数16】
【0058】
そして、式13によって求めたr2(λ)を式12に代入することにより、r1(λ)を求めることができる。なお、式13よりr1(λ)とr2(λ)の組は、図4に示すように2組求まるが、r2(λ)>0の条件と実験事実とから値の大きい方のr2(λ)を選択することによって1組を決定する。
【0059】
ここで、式14ないし式16は、測定のたびにそれまでの全測定データを用いて計算する必要はなく、最新の測定データを乗算した結果をそれまでの演算結果に加算するだけでよい。もちろん、全測定データを用いて式14ないし式16を計算してもよい。
【0060】
なお、b2−4・a・c<0であれば式12の2個の式は、従属であることを示し、他の測定データにより改めて2個の関係式を求めr1(λ)とr2(λ)を求める必要がある。ここで、演算記号・は、乗算の記号である。また、測定中に生体組織LBが動くことなどによって生体組織LBと第1発光部11、12および受光部13との相対位置がずれることや電気回路にノイズが混入することなどによって、異常な測定データが測定されてしまうことがある。例えば、測定データが突然スパイク状に変化したり、A/D15のダイナミックレンジを超えて飽和したままになったりする。このような場合には、r1(λ)とr2(λ)とが正確に求めることができないだけでなく、その影響が後々まで残ることになるので、そのような異常な測定データは、r1(λ)とr2(λ)との計算から除外することが好ましい。
【0061】
(r1(λ)およびr2(λ)を求める他の方法−その1)
ここで、r1(λ)およびr2(λ)を求める他の方法について説明する。この方法は、リアルタイムで係数r1(λ)、r2(λ)を求める方法である。r1(λ)およびr2(λ)は、例えば、1秒ごとに求める。
【0062】
最新のデータとして静止時の測定データが得られた場合、体動成分B(λ、t)・n(t)=0であるため、式4および式7よりr1(λ)は、Xt(λ、t)とXr(λ、t)との比として求めることができる。最小二乗法を用いるとr1(λ)は、式17のように表せる。その後、体動時の測定データが得られた場合には、式10を変形した式18に式17より求めたr1(λ)を代入することによってr2(λ)を求めることができる。
【0063】
【数17】
【0064】
【数18】
【0065】
ここで、図5に基づいて、r1(λ)およびr2(λ)を求める場合の動作について説明する。体動検出装置100の演算・制御部16は、電源スイッチが投入されたり、測定開始のコマンドが入力されたりすると、記憶部21に格納されているプログラムを実行し、A/D15、D/A19および駆動部18などの体動検出装置100の各部を初期化する(S11)。
【0066】
次に、演算・制御部16は、駆動部18に第1発光部11および第2発光12を発光させる制御信号を出力して第1および第2発光部11、12を発光させ、受光部13の電気信号からxt(λ、t)およびxr(λ、t)を測定し、記憶部21に測定結果を格納する。このxt(λ、t)およびxr(λ、t)の測定は、所定のサンプリング間隔で繰り返し行われる(S12)。
【0067】
次に、演算・制御部16は、所定の期間、例えば1秒間にわたってxt(λ、t)およびxr(λ、t)の測定を行うと、生体組織LBに体動があるか否かを判断する(S13)。具体的には後述する。
【0068】
判断の結果、体動が無い場合(静止時)には演算・制御部はr1(λ)を算出し(S14)、体動が有る場合(体動時)には演算・制御部はr2(λ)を算出する(S15)。
【0069】
(r1(λ)およびr2(λ)を求める他の方法−その2)
また、r1(λ)およびr2(λ)を求める他の方法について説明する。上述の2つの方法では、測定した全ての測定データを加算するので過去の測定データの影響がいつまでも残ってしまう。したがって、患者の測定部位が変わるなどによってr1(λ)、r2(λ)が変化した場合に追従できない場合が生じ得る。また、測定データを加算していくにつれ総和値が大きくなると桁落ちにより最新のデータを加算しても計算結果に反映しなくなる虞もあり得る。そこで、この方法は、過去の測定データほど重み付け値が小さくなる係数を測定データに乗算することによって、測定データの加算結果に対し過去の測定データの影響を少なくする方法である。このような重み付け係数を測定データに乗算することによって総和値が大きくなり過ぎることも防ぐことができる。重み付け係数として忘却係数ηを式10に用いた式は、式19のようになる。
【0070】
【数19】
【0071】
この式19を見ると分かるように、それ以前の加算結果に忘却係数ηを乗算し、この乗算結果を最新の測定データに加算すればよい。忘却係数ηは、実験などにより決定されるが、被験者の生理的状態と測定結果とを比較した実験によれば1>η≧0.9の範囲が好ましく、一実験結果では0.95が最適であった。また、忘却係数ηは、影響の大きさの違いから、静止時の測定データに乗算する場合と体動時の測定データに乗算する場合とで異なる値としてもよい。
【0072】
あるいは、演算をより簡易にする観点から、1秒間の測定データごとでまとめて忘却係数ηを乗算するようにしてもよい。この場合において、1秒間の測定データの点数を△M点とすると、式10は、式20のように表される。
【0073】
【数20】
【0074】
この式20を見ると分かるように、それ以前の演算結果に忘却係数ηを乗算し、この乗算結果に最新の1秒間における測定データの積和を加算すればよい。したがって、このような方法では、記憶部21は、全ての測定データを記憶しておく必要はなく、式20の第2項以下の結果のみを記憶することで足りる。
【0075】
もちろん、記憶部21の容量が充分大きい場合には、過去の一定時間、例えば20秒間や30秒間や40秒間などにおける各測定データを全て記憶部21に格納し、これら各測定データにそれぞれ対応する重み付け係数ηM−iを乗算し、乗算結果を加算するようにしてもよい。
【0076】
(第1の体動判別法)
体動判別式は、次のように考えることができる。上述のようにして求める体動成分B(λ、t)の振幅によって体動の有無を判別する場合や脈波成分A(λ、t)と体動成分B(λ、t)との振幅を比較することによって体動の有無を判別する場合では、r1(λ)およびr2(λ)がひとたび異常値に設定されてしまうと、体動判別が困難となる。また、測定開始時では、r1(λ)のデフォルト値およびr2(λ)のデフォルト値によって体動判別が困難となる。したがって、体動判別は、上述のr1(λ)およびr2(λ)を求めるアルゴリズムとは独立のアルゴリズムによって行う必要がある。
【0077】
そこで、式21によって定義される評価関数E(r)を用いて体動を判別する。体動判別は、例えば1秒間に測定されるデータごとに毎回行う。
【0078】
【数21】
【0079】
図6は、透過光および反射光の測定波形の一例を示す図であり、図6(a)は、透過光の測定波形の一例を示し、図6(b)は、反射光の測定波形の一例を示す図である。
【0080】
静止状態であれば、図6(a)と図6(b)とを対比すると分かるように、透過光の測定波形と反射光の測定波形は、振幅の大きさが異なるだけで略同一形状となる。このため、透過光の測定波形の振幅と反射光の測定波形の振幅との比rを反射光の測定データに乗算しこの乗算結果を透過光の測定データから減算した値は、静止状態では零となり、体動状態ではその体動による変動成分の大きさに従う値となる。よって、体動を判別する評価関数E(r)として式21が導かれる。なお、評価関数E(r)は、式21に限定されるものではなく他の関数でもよい。例えば、式21のように2乗ではなく4乗や6乗などでもよい。また、図6に示す透過光の測定波形と反射光の測定波形とから脈波成分波形(図7(a))と体動成分波形(図7(b))とに分離すると図7に示す波形となる。
【0081】
評価関数E(r)は、横軸rで縦軸E(r)の座標系を考えると式21より必ず(0、1)を通る下に凸の2次関数となる。評価関数E(r)を図8に示す。静止状態ではrが正の値で評価関数E(r)は最小値をとる(図8(a))。そして、上述したように実験事実として体動による波形が透過光と反射光とでたいてい逆符号となるので、体動が大きい場合ではrが負の値で評価関数E(r)は最小値をとる(図8(c))。したがって、評価関数E(r)を最小値とするr=r*を求め、その正負を判断することによって体動を判別することができる。なお、図8(b)は、これらの中間の状態の場合である。
【0082】
r*を求めるためには、評価関数E(r)をrについて偏微分し、偏微分結果が零となるrを求めればよいから、式21より式22のように求まる。
【0083】
【数22】
【0084】
よって、演算・制御部16は、式22よりr*を求め、r*≧0の場合には静止状態であると判断し、r*<0の場合には体動状態であると判断する。
【0085】
なお、上述の場合では式21の評価関数E(r)を最小にするr*を求めて体動の有無を判断したが、式21’の評価関数E(r)を用いて、これを最大にするr*を求めて体動の有無を判断するようにしてもよい。
【0086】
【数23】
【0087】
(体動検出装置の動作−その1)
上述の第1の体動判別法を用いた体動検出装置の動作について説明する。
【0088】
図9は、第1の体動判別法による体動判別法による体動検出装置の動作を示すフローチャートである。
【0089】
図9において、体動検出装置100の演算・制御部16は、電源スイッチが投入されたり、測定開始のコマンドが入力されたりすると、記憶部21に格納されているプログラムを実行し、A/D15、D/A19および駆動部18などの体動検出装置100の各部を初期化する(S21)。
【0090】
次に、演算・制御部16は、所定のサンプリング間隔で繰り返しxt(λ、t)およびxr(λ、t)を測定する(S22)。すなわち、式21および式22による体動判別は、異なる2以上の経路における1波長の光の透過光量を測定すればよいから、演算・制御部16は、制御信号を駆動部18に出力してパルス状に各発光部11、12を順番に発光させる。例えば、第1発光部11を発光させ、第2発光部12を発光させる。発光した各光は、生体組織LBを透過または反射して受光部13で受光され、受光された光強度に応じた電気信号は、増幅部14およびA/D15を介して演算・制御部16に入力される。演算・制御部16は、この電気信号が入力されることによってxt(λ、t)およびxr(λ、t)を測定し、記憶部21に測定結果を格納する。
【0091】
次に、演算・制御部16は、所定の期間、例えば1秒間にわたってxt(λ、t)およびxr(λ、t)の測定を行うと、生体組織LBに体動があるか否かを判断する。
【0092】
すなわち、まず、演算・制御部16は、式22によってr*を算出する(S23)。次に、演算・制御部16は、r*≧0であるか否かを判断する。演算・制御部16は、r*が0以上である場合には静止状態であると判断し、r*が負である場合には体動状態であると判断する(S24)。
【0093】
次に、演算・制御部16は、体動の有無を表示部20に表示する(S25)。
【0094】
体動検出装置100は、このようにして異なる経路の透過光量xt(λ、t)およびxr(λ、t)を測定することにより、式22を用いてr*の符号から体動の有無を判別することができる。
【0095】
また、上述において、測定対象の運動状態をより細かく検出する観点から中間状態を考慮して、被験者の状態を静止状態、中間状態および体動状態の何れかに分類してもよい。中間状態は、低脈波で脈波レベルが小さく脈波波形がノイズに埋もれている場合や脈波波形と体動波形とが同レベルの場合などに測定データがこの状態となる。この場合には、演算・制御部16は、式22よりr*を求め、図9のS24において、r*≧0であってE(r*)<Eth1の場合には静止状態であると判断し、r*<0であってE(r*)<Eth2の場合には体動状態であると判断し、r*≧0であって1≧E(r*)≧Eth1の場合またはr*<0であって1≧E(r*)≧Eth2の場合には中間状態であると判断するようにする。各状態を弁別する閾値Eth1、Eth2は、複数の被験者に対して実験を行い最適値を設定する。ここで、r*、E(r*)および各閾値Eth1、Eth2と各状態との関係を図10に示し、図10(a)は静止状態の場合、図10(b)は中間状態の場合、そして、図10(c)は体動状態の場合である。
【0096】
図9のS24およびS25において、演算・制御部16が表示部20に図10に示すグラフを描画させ、算出した最小値r*とr*から求まるE(r*)との点(r*、E(r*))をプロットするようにしてもよい。グラフは、r*を横軸に評価関数E(r*)を縦軸にした座標系であって、この座標系による座標空間をE(r*)=規格値1、E(r*)=閾値Eth1、E(r*)=閾値Eth2およびr*=0で測定対象(生体組織LB)の運動状態に応じて複数の領域に分割したものである。複数の領域は、上述の場合では体動状態、中間状態および静止状態の各領域となる。このようにグラフを作成し、測定値より算出した値をプロットすることによって演算・制御部16は、プロットした点が何れの領域に属するかによって測定対象の運動状態を決定することができるだけでなく、視覚化することによって測定者は、測定対象が容易に何れの運動状態にあるか判断することができる。
【0097】
なお、上述では、中間状態を考慮して運動状態を静止状態、中間状態および体動状態の3状態に分けたが更に多数の状態に細分化することも可能である。
【0098】
(第2の体動判別法)
上述では、体動判別を評価関数E(r)によって行ったが、さらに次の方法によって体動を判別することもできる。体動時において、互いに波長の異なる2波長λ1、λ2の透過光より計算されるXt(λ1、t)、Xt(λ2、t)の時間差分Xt(λ1、t+△t)−Xt(λ1、t)、Xt(λ2、t+△t)−Xt(λ2、t)の比pt(t)は、式23のように表される。一方、静止時において、2波長λ1、λ2の反射光より計算されるXr(λ1、t)、Xr(λ2、t)の時間差分Xr(λ1、t+△t)−Xr(λ1、t)、Xr(λ2、t+△t)−Xr(λ2、t)の比pr(t)は、式24のように表される。
【0099】
【数24】
【0100】
【数25】
【0101】
体動時には、これらpt(t)とpr(t)とは、異なる値となる。そこで、測定の誤差などを考慮して、演算・制御部16は、pt(t)とpr(t)と差の絶対値が所定の閾値Th2以上である場合には体動状態であると判断し、pt(t)とpr(t)と差の絶対値が所定の閾値Th2未満である場合には静止状態であると判断する。閾値Th2は、複数の被験者を実測することによって実験により決定する。
【0102】
あるいは、測定対象の運動状態をより細かく検出する観点から、pt(t)とpr(t)とで座標系を構成し、この座標系による座標空間を測定対象の運動状態に応じて複数の領域に分割し、測定した点(pt(t)、pr(t))が何れの領域に属するかによって、測定対象の運動状態を判別するようにしてもよい。
【0103】
(体動検出装置の動作−その2)
上述の第2の体動判別法を用いた体動検出装置の動作について説明する。
図11は、第2の体動判別法による体動検出装置の動作を示すフローチャートである。
【0104】
図11において、体動検出装置100の演算・制御部16は、プログラムが実行を開始すると、A/D15、D/A19および駆動部18などの血中酸素飽和度等測定装置100の各部を初期化する(S31)。
【0105】
次に、演算・制御部16は、駆動部18に第1発光部11および第2発光12を発光させる制御信号を出力し、第1および第2発光部11、12を発光させる。第2の体動判別法では、異なる2以上の経路における2波長の光の透過光量をそれぞれ測定する必要があるから、この発光は、各発光部11、12および各波長λ1、λ2に対して順番にパルス状に行う。例えば、第1発光部11に波長λ1の光を発光させ、第1発光部11に波長λ2の光を発光させ、第2発光部12に波長λ1の光を発光させ、そして、第2発光部12に波長λ2の光を発光させる。また例えば、第1発光部11に波長λ1の光を発光させ、第2発光部12に波長λ1の光を発光させ、第1発光部11に波長λ2の光を発光させ、そして、第2発光部12に波長λ2の光を発光させる。発光した各光は、生体組織LBを透過または反射して受光部13で受光され、受光された光強度に応じた電気信号は、増幅部14およびA/D15を介して演算・制御部16に入力される。演算・制御部16は、この電気信号が入力されることによってxt(λ、t)およびxr(λ、t)を測定し、記憶部21に測定結果を格納する。このxt(λ、t)およびxr(λ、t)の測定は、所定のサンプリング間隔で繰り返し行われる(S32、S33)。
【0106】
次に、演算・制御部16は、所定の期間、例えば1秒間にわたってxt(λ、t)およびxr(λ、t)の測定を行うと、生体組織LBに体動があるか否かを判断する。
【0107】
すなわち、まず、演算・制御部16は、式23によってpt(t)を算出し、式24によってpr(t)を算出する。次に、演算・制御部16は、pt(t)とpr(t)との差の絶対値が閾値Th2以上であるか否かを判断する。演算・制御部16は、pt(t)とpr(t)との差の絶対値が閾値Th2以上である場合には体動状態であると判断し、pt(t)とpr(t)との差の絶対値が閾値Th2より小さい場合には静止状態であると判断する(S35)。
【0108】
次に、演算・制御部16は、体動の有無を表示部20に表示する(S36)。
【0109】
体動検出装置100は、このようにして異なる経路の2波長の透過光量xt(λ1、t)、xt(λ2、t)、xr(λ1、t)およびxr(λ2、t)を測定することにより、式23および式24を用いてpt(t)およびpr(t)をそれぞれ計算することによってこれらの値を閾値Th2で比較するによって体動の有無を判別することができる。
【0110】
ここで、上述において、pt(t)やpr(t)の値のバラツキ(標準偏差)の大きさによって体動の有無を判別することも可能である。この場合において、バラツキの大きさが所定の閾値以上の場合には体動が有ると判断され、所定の閾値未満の場合には体動が無いと判断される。
【0111】
(酸素飽和度SpO2の算出)
また、上述のように独立に体動判別をすることができるので、図5より適切にr1(λ)およびr2(λ)を求めることができるから、これらを用いて体動が有る場合でも酸素飽和度SpO2を求めることができる。以下、この算出方法について説明する。なお、本実施形態にかかる体動検出装置100は、以下に説明する計算方法に基づくプログラムを組み込むだけで、血中の酸素飽和度SpO2や脈拍数も測定し得る。
【0112】
まず、上述した式8を用いて2波長λ1、λ2の脈波成分を求め、求めた両式の時間差分値同士を割り算することによって、p(t)に関する式が式25のように導くことができる。
【0113】
【数26】
【0114】
また、一般にp(t)と酸素飽和度SpO2の間には式26が成立し、さらに、式23および式24よりそれぞれ式27および式28が導かれる。
【0115】
【数27】
【0116】
【数28】
【0117】
【数29】
【0118】
ここで、体動が有る場合には、式8の導出から分かるように、式25で得られるp(t)の値を式26に代入することにより理論的には正しい酸素飽和度SpO2の値が求まるはずであるが、ノイズなどの影響により正確に求まらない場合がある。
【0119】
そこで、式25のp(t)の値を式26に代入することにより求まる酸素飽和度SpO2の値と、式27のpt(t)の値を式26に代入することにより求まる酸素飽和度SpO2の値と、式28のpr(t)の値を式26に代入することにより求まる酸素飽和度SpO2の値と、をそれぞれ比較し、もっともらしい酸素飽和度SpO2の値を選択する。すなわち、p(t)、pt(t)、pr(t)の値のバラツキが少なくて、かつ、それらの値より求まる酸素飽和度SpO2の値が最も高い値を取る酸素飽和度SpO2の値を選択するようにしてもよい。このようにして酸素飽和度SpO2の値を求めることができる。
【0120】
なお、上述の実施形態では、透過光量および反射光量を測定するために、第1および第2発光部11、12と受光部13とを図1に示すように配置したが、これに限定されるものではない。例えば、発光部53と第1および第2受光部51、52とを図12に示すように配置することによって、透過光量および反射光量を測定してもよい。
【0121】
すなわち、図12において、第1および第2受光部51、52は、受光した光強度に応じた電流を生成する光電素子であり、少なくとも波長λ1および波長λ2に対して感度を持つ。発光部53は、赤色領域の波長λ1の光および赤外線領域の波長λ2の光を射出する光源である。なお、前述したように体動判別方法によって発光部53は、1波長の光源でもよく、これに合わせて第1および第2受光部51、52も少なくともその1波長に感度を持てばよい。以下、同様の趣旨で、発光部と受光部は、発光部が2波長の場合について説明している。
【0122】
第1および第2受光部51、52と発光部53とは、不図示の保持部材によって保持され、相互の位置は固定されている。第1および第2受光部51、52と発光部53とは、第1受光部51が測定対象となる生体組織LBを透過した発光部53の光を受光するように配置され、そして、第2受光部52がこの生体組織LB中で反射した発光部53の光を受光するように配置される。つまり、第1受光部51と発光部53とは生体組織LBを介して略対向するように配置され、第2受光部52と発光部53とは、生体組織LBに対して同一側に配置される。
【0123】
また、生体組織を手指とした場合に、図1では、透過光の経路を光が爪から入射して手指中を透過し手指の腹から射出する経路とし、反射光の経路を光が手指の腹から入射して手指中で反射し手指の腹から射出する経路としたが、図13(a)に示すように、透過光の経路を光が手指の腹から入射して手指中を透過し爪から射出する経路とし、反射光の経路を光が手指の爪側部分から入射して手指中で反射し爪から射出する経路としても測定可能である。
【0124】
さらに、生体組織を手指とした場合に、図12では、透過光の経路を光が手指の腹から入射して手指中を透過し爪から射出する経路とし、反射光の経路を光が手指の腹から入射して手指中で反射し腹から射出する経路としたが、図13(b)に示すように、透過光の経路を光が爪から入射して手指中を透過し手指の腹から射出する経路とし、反射光の経路を光が爪から入射して手指中で反射し手指の爪側部分から射出する経路としても測定可能である。
【0125】
また、上述の実施形態では、発光部と受光部とを備えて構成される測定部であるプローブを手指に装着する際に、発光部、受光部および手指の位置関係が設計に従い必ず上述の説明のようになると考えたが、実際には必ずしもそのように装着されるとは限らない。つまり、手指に対して発光部と受光部とが設計とは逆に装着されることが予想される。そのため、設計通りに装着されることが望ましく、逆に装着されると測定が難しくなることが予想される。そこで、どのようにプローブが手指に装着されたとしても、反射光の経路を光が手指の腹から入射して手指中で反射し腹から射出する経路となるようにしたプローブについて説明する。
【0126】
図14は、測定対象の装着方向によらずに適切に光路が設定される測定部における発光部と受光部との配置を示す図である。図14(a)は、設計通りに測定対象が装着された場合を示し、図14(b)(c)は、設計とは逆に測定対象が装着された場合を示す。
【0127】
図14(a)において、測定部は、第1および第2発光部61、63と第1および第2受光部62、64とを備えて構成される。第1および第2発光部61、63は、赤色領域の波長λ1の光および赤外線領域の波長λ2の光を射出する光源である。第1および第2受光部62、64は、受光した光強度に応じた電流を生成する光電素子であり、少なくとも波長λ1および波長λ2に対して感度を持つ。第1発光部61と第1受光部62とは測定対象である手指を介して略対向するように配置され、第2発光部63と第2受光部64とは手指を介して略対向するように配置される。そして、第1発光部61と第2受光部64とは手指に対して同一側に配置され、第2発光部63と第2受光部62とは手指に対して同一側に配置される。
【0128】
このような配置において、設計通りに手指が第1発光部61と第2受光部64とが配置される側に爪を向け且つ第2発光部62と第1受光部63とが配置される側に腹を向けて装着された場合には、透過光の測定は、爪から入射し手指中を透過して腹から射出する第1発光部61の光を第1受光部62が受光することによって行い、反射光の測定は、腹から入射し手指中で反射して腹から射出する第2発光部63の光を第1受光部62が受光することによって行う。
【0129】
一方、図14(b)(c)に示すように設計とは逆に手指が第1受光部62と第2発光部63とが配置される側に爪を向け且つ第1発光部61と第2受光部64とが配置される側に腹を向けて装着された場合には、図14(b)に示すように、透過光の測定は、腹から入射し手指中を透過して爪から射出する第1発光部61の光を第1受光部62が受光することによって行い、反射光の測定は、腹から入射し手指中で反射して腹から射出する第1発光部61の光を第2受光部64が受光することによって行う。あるいは、かかる場合において図14(c)に示すように、透過光の測定は、爪側から入射し手指中を透過して腹から射出する第2発光部63の光を第2受光部64が受光することによって行い、反射光の測定は、腹から入射し手指中で反射して腹から射出する第1発光部61の光を第2受光部64が受光することによって行う。
【0130】
測定の際に手指の装着状態に応じて第1および第2発光部61、63と第1および第2受光部62、64とから測定に使用する各部の組合わせを上述の何れかに適宜選択することによって、図14(a)に示す測定部は、測定対象の装着状態にかかわらず最適な測定データを得ることができる。
【0131】
なお、手指の装着状態は、手指の爪側から入射して爪側に射出する反射光量と手指の腹から入射して腹に射出する反射光量とを比較すると後者の方が大きいから、第2受光部64が受光する第1発光部61の光に基づく反射光量と第1受光部62が受光する第2発光部63の光に基づく反射光量とを比較することによって判断することができる。
【0132】
また、上述の実施形態では、透過経路および反射経路の測定値を用いたがこれに限定されるものではない。本発明は、同一波長の光が生体中の2つの異なる経路を通って測定された値を用いればよい。例えば、図15に示すような2つの相異なる経路を通った光を測定してもよい。図15は、測定対象である手指を正面から見た場合において、第1および第2発光部71、72と受光部73との配置関係を示した図である。図15に示す測定部は、第1および第2発光部71、72と受光部73とを備えて構成される。第1および第2発光部71、72は、赤色領域の波長λ1の光および赤外線領域の波長λ2の光を射出する光源である。受光部73は、受光した光強度に応じた電流を生成する光電素子であり、少なくとも波長λ1および波長λ2に対して感度を持つ。第1および第2発光部71、72と受光部73とは、手指を中心に所定角度の間隔で配置され、爪から入射し手指中を透過して腹から射出する第1発光部71の光を受光部73が受光するように、そして、手指の腹の一方側面から入射し手指中で反射して腹の他方側面から射出する第2発光部72の光を受光部73が受光するようにそれぞれ配置される。
【0133】
さらに、上述の実施形態では、透過経路および反射経路の2つの異なる経路を通って測定された値を用いたがこれに限定されるものではなく、3つ以上の相異なる経路を用いて測定値を得、得た測定値から適当な組合わせを選ぶようにしてもよい。
【0134】
ここで、本明細書によって開示された主な発明を以下にまとめる。
(付記1) 所定の波長の測定光を発光し、前記測定光について測定対象中を相異なる複数の経路で通過した後の複数の光強度変化をそれぞれ測定する測定部と、前記複数の光強度変化に基づいて体動の有無を判定する判定部とを備えることを特徴とする体動検出装置。
(付記2) 前記判定部は、前記複数の光強度変化と各光強度変化との間の係数に基づく評価関数を最小または最大にする前記係数を求め、求めた前記係数の符号によって体動の有無を判別することを特徴とする付記1に記載の体動検出装置。
(付記3) 前記判定部は、前記複数の光強度変化と各光強度変化との間の係数に基づく評価関数を最小または最大にする前記係数を求め、求めた前記係数に対応する前記評価関数の評価値を求め、係数と評価値とからなる座標空間を測定対象の運動状態に対応させて複数の領域に区分し、求めた前記係数および前記評価値が前記複数の領域のうちの何れに属するかによって前記測定対象の運動状態を判別することを特徴とする付記1に記載の体動検出装置。
(付記4)前記測定部は、相異なる第1波長および第2波長の測定光をそれぞれ発光し、発光した各測定光について測定対象中を相異なる第1経路および第2経路で通過した後の各光強度変化をそれぞれ測定し、前記判定部は、第1経路における第1波長の測定光の光強度変化と第2波長の測定光の光強度変化との第1比および第2経路における第1波長の測定光の光強度変化と第2波長の測定光の光強度変化との第2比に基づいて体動の有無を判定することを特徴とする付記1に記載の体動検出装置。
(付記5) 前記判定部は、前記第1比と前記第2比とが所定の値以上相違する場合に体動が有ると判定することを特徴とする付記4に記載の体動検出装置。
(付記6) 前記判定部は、体動の有無を判定する演算を行う際に、測定時間が経過するに従って値が小さくなる係数を前記光強度変化に乗じた後に、体動の有無を判定する演算を行うことを特徴とする付記1に記載の体動検出装置。
(付記7) 所定の波長の測定光を発光する発光工程と、前記測定光について測定対象中を相異なる複数の経路で通過した後の複数の光強度変化をそれぞれ測定する測定工程と、前記複数の光強度変化に基づいて体動の有無を判定する判定工程とを備えることを特徴とする体動検出方法。
(付記8) 前記判定工程は、前記複数の光強度変化と各光強度変化との間の係数に基づく評価関数を最小または最大にする前記係数を求め、求めた前記係数の符号によって体動の有無を判別することを特徴とする付記7に記載の体動検出方法。
(付記9) 前記判定工程は、前記複数の光強度変化と各光強度変化との間の係数に基づく評価関数を最小にする前記係数を求め、求めた前記係数に対応する前記評価関数の評価値を求め、係数と評価値とからなる座標空間を測定対象の運動状態に対応させて複数の領域に区分し、求めた前記係数および前記評価値が前記複数の領域のうちの何れに属するかによって前記測定対象の運動状態を判別することを特徴とする付記7に記載の体動検出方法。
(付記10) 前記測定工程は、相異なる第1波長および第2波長の測定光をそれぞれ発光し、前記測定工程は、発光した各測定光について測定対象中を相異なる第1経路および第2経路で通過した後の各光強度変化をそれぞれ測定し、前記判定工程は、第1経路における第1波長の測定光の光強度変化と第2波長の測定光の光強度変化との第1比および第2経路における第1波長の測定光の光強度変化と第2波長の測定光の光強度変化との第2比に基づいて体動の有無を判定することを特徴とする付記7に記載の体動検出方法。
(付記11) 前記判定工程は、前記第1比と前記第2比とが所定の値以上相違する場合に体動が有ると判定することを特徴とする付記10に記載の体動検出方法。
(付記12) 前記判定工程は、測定時間が経過するに従って値が小さくなる係数を前記光強度変化に乗じる工程を含むことを特徴とする付記7に記載の体動検出方法。
【0135】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかる体動検出装置および体動検出方法は、脈拍数や血中酸素飽和度を演算する演算式を応用して、測定対象の体動の有無や運動状態を検出することができる。よって、本発明にかかる体動検出装置および体動検出方法を組み込んだ血液状態測定装置は、測定対象が測定中に体動を行ったとしても、体動を検出することができるので、脈拍数や血中酸素飽和度を算出する際に体動による影響を算出値から軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】体動検出装置の構成を示すブロック図である。
【図2】ヘモグロビンおよび酸化ヘモグロビンの吸光係数の分光特性を示す図である。
【図3】生体よる光の吸収を示す図である。
【図4】r1(λ)とr2(λ)との関係を示す図である。
【図5】r1(λ)およびr2(λ)を求める場合の動作を示すフローチャートである。
【図6】測定波形の一例を示す図である。
【図7】図6に対応する各成分波形を示す図である。
【図8】係数rと評価関数E(r)との関係を示す図である。
【図9】第1の体動判別法による体動検出装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】係数r*と評価関数E(r*)との関係を示す図である。
【図11】第2の体動判別法による体動検出装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】発光部と受光部との配置を示す図である。
【図13】発光部と受光部との配置を示す図である。
【図14】測定対象の装着方向によらずに適切に光路が設定される測定部における発光部と受光部との配置を示す図である。
【図15】発光部と受光部および測定対象との配置関係を示す図である。
【符号の説明】
11 第1発光部
12 第2発光部
13 受光部
14 増幅部
15 アナログ/ディジタル変換部
16 演算・制御部
17 入力部
18 駆動部
19 ディジタル/アナログ変換部
21 記憶部
20 表示部
22 外部インターフェース
100 体動検出装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、体動を検出する体動検出装置および体動検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体組織の酸素濃度を監視する意義が、臨床において極めて大きいことは周知の通りである。臨床における酸素ダイナミクス評価法は、例えば、生体内での酸素の働きという観点から大別すると、酸素化、酸素供給、酸素消費および酸素需給バランスのように分類される。酸素は、生命活動維持のために最も重要な物質であり、酸素の供給が絶たれると生体組織細胞は、重大な傷害を受けることから、上述の分類の中でも特に酸素化および酸素供給に関するパラメータが重要であると考えられている。そのため、酸素供給が不安定になり得る場合、例えば、麻酔中、術後、呼吸不全および循環不全などの患者を治療する場合には、特に酸素が適切に供給されているか否かをモニタすることが重要である。
【0003】
生体組織への酸素供給は、動脈血によって行われる。そのため、生体組織への酸素供給が適切に行われているか否かを把握するために、脈拍数や血中酸素飽和度がモニタされる。
【0004】
脈拍数や血中酸素飽和度を測定する装置として、従来、パルスオキシメータが知られている。このパルスオキシメータは、ランバート・ビア(Lambert−Beer)が提唱した考え方に従い、動脈血の脈動により生ずる生体組織透過光量の変動成分を利用するもので、脈動分の減光度を異なる2波長の光で測定してその比から酸素飽和度を求める装置である。このパルスオキシメータは、非侵襲で簡便に測定ができるという特長があり、例えば、特公昭53−26437号公報に詳細に記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、パルスオキシメータは、動脈血の脈動により生ずる生体組織透過光の光量変化を利用して測定することから、生体が測定中に安静にしていればよいが、体の何れかの部位を動かす体動を生体が測定中に行うと、脈動による変動成分以外の変動成分が透過光量に生じてしまい、その結果、体動から生じる変動成分も測定値に含まれるという事情があった。特に、脈が弱い人や冷え性の人など抹消循環が良くない人などは、脈動の振幅が小さいために体動から生じる変動成分が相対的に大きくなってしまう。このため、測定値から体動による変動成分を減ずるため測定中に体動を検出する必要があった。しかしながら、従来は、測定中に体動を検出する手段がほとんど知られていなかった。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みて為されたものであり、体動を検出する体動検出装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の事情からなされた発明であるから、脈拍数や血中酸素飽和度などの測定と合わせて体動も検出することができると便利である。そのため、脈拍数や血中酸素飽和度を演算する演算式を応用して、本発明は為された。なお、このような背景から為された発明であるが、もちろん、脈拍数や血中酸素飽和度などを測定すること無く、体動を検出する単独の装置としても成立し得る。
【0008】
上述の課題を解決するために、本発明にかかる体動検出装置は、所定の波長の測定光を発光し、前記測定光について測定対象中を相異なる複数の経路で通過した後の複数の光強度変化をそれぞれ測定する測定部と、前記複数の光強度変化に基づいて体動の有無を判定する判定部とを備えて構成される。
【0009】
そして、上述の体動検出装置において、好ましくは、前記判定部は、前記複数の光強度変化と各光強度変化との間の係数に基づく評価関数を最小または最大にする前記係数を求め、求めた前記係数の符号によって体動の有無を判別するように構成する。
【0010】
また、上述の体動検出装置において、体動の有無だけでなく測定対象の運動状態を細かく判別する観点から、好ましくは、前記判定部は、前記複数の光強度変化と各光強度変化との間の係数に基づく評価関数を最小または最大にする前記係数を求め、求めた前記係数に対応する前記評価関数の評価値を求め、係数と評価値とからなる座標空間を測定対象の運動状態に対応させて複数の領域に区分し、求めた前記係数および前記評価値が前記複数の領域のうちの何れに属するかによって前記測定対象の運動状態を判別するように構成する。
【0011】
さらに、上述の体動検出装置において、前記測定部は、相異なる第1波長および第2波長の測定光をそれぞれ発光し、発光した各測定光について測定対象中を相異なる第1経路および第2経路で通過した後の各光強度変化をそれぞれ測定し、前記判定部は、第1経路における第1波長の測定光の光強度変化と第2波長の測定光の光強度変化との第1比および第2経路における第1波長の測定光の光強度変化と第2波長の測定光の光強度変化との第2比に基づいて体動の有無を判定するように構成する。
【0012】
また、上述の課題を解決するために、本発明にかかる体動検出方法は、所定の波長の測定光を発光する工程と、前記測定光について測定対象中を相異なる複数の経路で通過した後の複数の光強度変化をそれぞれ測定する工程と、前記複数の光強度変化に基づいて体動の有無を判定する工程とを備えて構成する。
【0013】
測定対象の体動の有無や運動状態の検出は、後述するように、脈拍数や血中酸素飽和度を演算する演算式を応用した後述の諸式である。本発明にかかる体動検出装置および体動検出方法は、脈拍数や血中酸素飽和度などの測定と同様に、測定対象中を相異なる複数の経路で通過した後の複数の光強度変化をそれぞれ測定するので、複数の光強度変化に基づいて後述の諸式により測定対象の体動の有無や運動状態を検出することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0015】
(実施形態の構成)
本発明にかかる体動検出装置は、所定の波長の測定光を発光し、測定光について測定対象中を相異なる複数の経路で通過した後の複数の光強度変化をそれぞれ測定する測定部と、複数の光強度変化に基づいて体動の有無を判定する判定部とを備えて構成され、体動の有無を検出する検出装置である。
【0016】
図1は、体動検出装置の構成を示すブロック図である。
【0017】
図1において、体動検出装置100は、第1発光部11、第2発光部12、受光部13、増幅部14、アナログ/ディジタル変換部(以下、「A/D」と略記する。)15、演算・制御部16、入力部17、表示部20、駆動部18、ディジタル/アナログ変換部(以下、「D/A」と略記する。)19、記憶部21および外部インターフェース(以下、「外部I/F」と略記する。)22を備える。そして、第1および第2発光部11、12と受光部13とを備えて測定部30が構成される。
【0018】
ここで、周知の通り、酸素は、ヘモグロビンによって生体の各細胞に運ばれるが、ヘモグロビンは、肺で酸素と結合して酸化ヘモグロビン(HbO2)となり、生体の細胞で酸素が消費されるとヘモグロビン(Hb)に戻る。なお、酸素飽和度SpO2は、血中の酸化ヘモグロビンの割合をいい、ヘモグロビン濃度をCHbで示し、酸化ヘモグロビン濃度をCHbO2で示すと式1のように定義される。
【0019】
【数1】
【0020】
ヘモグロビンの吸光度および酸化ヘモグロビンの吸光度は、波長依存性を有しており、各吸光係数α(λ)は、周知の図2に示すような分光特性を有する。なお、図2の横軸はnm単位で示す光の波長でありその縦軸は×10−9cm2/mole単位で示す吸光係数である。ヘモグロビンおよび酸化ヘモグロビンは、図2に示すようにその吸光特性が異なる。例えば、ヘモグロビンは、赤色領域の波長λ1の赤色光に対し酸化ヘモグロビンよりも光を多く吸収するが、赤外線領域の波長λ2の赤外光に対しては酸化ヘモグロビンよりも光の吸収が少ない。体動検出装置100は、このようなヘモグロビンと酸化ヘモグロビンとの吸光特性の違いを利用して、体動を検出することから、第1および第2発光部11、12は、ヘモグロビンと酸化ヘモグロビンとが吸収する波長であることが必要である。なお、パルスオキシメータもこのようなヘモグロビンと酸化ヘモグロビンとの吸光特性の違いを利用して、脈拍数や血中酸素飽和度を検出している。
【0021】
体動の有無の判別は、後述の(第1の体動判別法)で説明するように1波長で判別する方法と(第2の体動判別法)で説明するように2波長で判別する方法とがある。何れの方法を採用するかによって第1および第2発光部11、12は、1波長を射出する光源か2波長を射出する光源かが選択されるが、1波長の光源は2波長の光源のうち何れかの波長で発光していると考えればよいので、ここでは2波長の光源について説明する。
【0022】
第1および第2発光部11、12は、何れも赤色領域の波長λ1の光および赤外線領域の波長λ2の光を射出する光源であり、例えば、波長λ1の赤色光を発光する発光ダイオード(以下、「LED」と略記する。)と波長λ2の赤外光を発光するLEDとを同一基板上に近接させて配置した光源である。受光部13は、受光した光強度に応じた電流を生成する光電素子であり、少なくとも波長λ1および波長λ2に対して感度を持つ。例えば、シリコン・ホト・ダイオード(Silicon Photo Diode)が利用される。なお、第1および第2発光部12が、1波長の光源である場合には少なくともその波長に感度があればよい。受光部13は、受光した光を光強度に従い光電変換した電流信号を増幅部14に出力する。
【0023】
第1および第2発光部11、12と受光部13とは、不図示の保持部材によって保持され、相互の位置は固定されている。第1および第2発光部11、12と受光部13とは、受光部13が、測定対象となる生体組織LBを透過した第1発光部11の両波長λ1、λ2の光を受光するように、かつ、この生体組織LB中で反射した第2発光部12の両波長λ1、λ2の光を受光するように配置される。本実施形態では、第1発光部11と受光部13とは、生体組織LBを介して略対向するように配置され、第2発光部12と受光部13とは、生体組織LBに対して同一側に並べて配置される。第1および第2発光部11、12を上述のように構成し、かつ、第1および第2発光部11、12と受光部13とをこのように配置することによって、体動検出装置100は、同一波長の光が相異なる2つの経路を通過した後の光強度変化を測定することができる。ここで、測定部30が装着される測定部位は、装着の容易性やSN比(Signal−to−noise ratio)の高い測定データが得られるなどの測定の容易性を考慮して、例えば、手指や耳朶などの生体部位や乳幼児の場合には手の甲、手首、足の甲などの生体部位である。もちろん、人間だけでなく人間以外の動物の生体部位でもよい。
【0024】
増幅部14は、受光部13より出力された電流信号を電圧信号に変換し、変換した電圧信号を増幅する。この増幅された電圧信号は、A/D15に入力され、アナログ信号からディジタル信号に変換される。ディジタル信号に変換された電圧信号は、演算・制御部16に入力される。
【0025】
演算・制御部16は、マイクロプロセッサなどを備えて構成され、記憶部21に格納されているデータやプログラムに従い入力された電圧信号から後述する演算を行って体動の有無を判断する。そして、演算・制御部16は、入力部17より各種コマンドやデータを受信し、体動の有無、血中酸素飽和度および脈拍数などの各種データを表示部20や外部I/F22に出力する。さらに、演算・制御部16は、D/A19および駆動部18を介して第1および第2発光部11、12の発光を制御信号によって制御する。
【0026】
入力部17は、測定開始や測定結果表示などの各種コマンドやデータを入力する入力装置であり、例えば、押し釦スイッチやキーボードなどである。表示部20は、入力部17より入力されたコマンドやデータを表示したり、演算・制御部16で処理されたデータ、例えば、体動の有無、酸素飽和度、脈拍数、脈波成分の振幅などを表示したりする表示装置であり、例えば、液晶表示装置(LCD)や有機ホトルミネセンス表示装置やCRTなどである。外部I/F22は、体動検出装置100と外部機器との間でデータ交換を行うためのインターフェースであり、例えば、RS−232CやUSB(Universal Serial Bus)などである。
【0027】
記憶部21は、プログラムやデータを格納する不揮発性のメモリと演算・制御部16で演算処理されたデータを一時的に記憶するメモリとを備えて構成され、例えば、EEPROM(Electrically erasable Programmable Read Only Memory)やRAM(Random Access memory)などを備えて構成される。
【0028】
演算・制御部16から出力された制御信号は、D/A19でディジタル信号からアナログ信号に変換される。変換された制御信号は、駆動部18に入力される。駆動部18は、第1および第2発光部11、12に駆動電流を供給するドライバ回路であり、制御信号に従って所定の発光強度で所定のタイミングで第1および第2発光部11、12をそれぞれ発光させる。
【0029】
(諸式の導出)
生体組織LBに光を入射すると、生体組織によって光が吸収される。この生体における光の吸収は、図3に示すように、▲1▼動脈血層および静脈血層以外の組織による吸光成分、▲2▼静脈血層による吸光成分および▲3▼動脈血層による吸光成分より成る。なお、図3の横軸は時間でありその縦軸は吸光度である。このうち、動脈血層による光の吸収は、静止時(体動がない場合か、あっても測定値に反映されないほど微小な体動の場合)には脈拍により脈拍の周期合わせて変動する。ランバート・ビア(Lambert−Beer)の考え方によれば、生体において、波長λの光の時間tにおける透過光量xt(λ、t)は、式2のように表される。
【0030】
【数2】
【0031】
ここで、x0(λ)は波長λの光の生体への入射光量、αHb(λ)はヘモグロビンの波長λの光における吸光係数、αHbO2(λ)は酸化ヘモグロビンの波長λの光における吸光係数、Ca Hb(t)は動脈血中のヘモグロビン濃度、Ca HbO2(t)は動脈血中の酸化ヘモグロビン濃度、s(t)は動脈血層の脈動による光路長の変動成分、そして、const(λ)は静脈血層および動脈血層の光路長一定部分および血液以外の組織による影響である。
【0032】
一方、測定中に体動が生じると動脈血および静脈血に変動が生じると考えられており、そのため透過光量に脈動以外の変動分が含まれることになる。よって、式2にこの脈動以外の変動分を考慮する必要がある。なお、静脈血中の酸素飽和度SpO2は、動脈血中の酸素飽和度SpO2に較べて低い値であるため、透過光に静脈血による変動分が加わると式2に基づいて算出された血中酸素飽和度SpO2は概して低く求まる。
【0033】
そこで、体動がある場合における透過光量は、式3のように表すことができる。ここで、CV Hb(t)は静脈血中のヘモグロビン濃度、CV HbO2(t)は静脈血中の酸化ヘモグロビン濃度、na(t)は動脈血中の体動による光路長の変動成分、そして、nV(t)は静脈血中の体動による光路長の変動成分である。
【0034】
【数3】
【0035】
xt(λ、t)の自然対数を取ったlogext(λ、t)と、時間区分(t−T0、t+T0)の時間平均を取った[logext(λ、t)]との差をXt(λ、t)とおく。すなわち、Xt(λ、t)=logext(λ、t)−[logext(λ、t)]とおく。なお、本明細書においてZの所定期間における時間平均を[Z]またはZにオーバーバーを付して表す。T0は、ヘモグロビン濃度および酸化ヘモグロビン濃度が時間区分(t−T0、t+T0)で充分ゆっくり変化するように設定する。そして、動脈および静脈の体動による光路変動は同じであるとし、na(t)=nV(t)=n(t)とおく。このような場合において式3より、波長λの透過光測定値より、式4が求められる。
【0036】
【数4】
【0037】
【数5】
【0038】
【数6】
【0039】
式4を見ると分かるように、Xt(λ、t)は、脈動による変動成分と体動による変動成分とから成る。したがって、体動の有無を判別する1つの方法として、B(λ、t)の値の有無を求めることが考えられる。なお、動脈および静脈の体動による光路変動は同じであるとしたが、動脈の体動による光路変動と静脈の体動による光路変動との間に比例関係がある場合には、一定値の係数がかかるだけで同様に考えることができる。
【0040】
ここで、式4には、未知数がA(λ、t)とB(λ、t)と2個あるので、B(λ、t)を求めるためには、式4とは独立の式が必要である。そこで、上式とは異なる経路による透過光量の式が必要である。その1つとして、本実施形態では、反射光量の式を用いる。透過光に対して、Xt(λ、t)をXt(λ、t)=logext(λ、t)−[logext(λ、t)]と表したように、反射光に対して、Xr(λ、t)=logexr(λ、t)−[logexr(λ、t)]と表す。このように表すことができるのは、図3に示す静止時の生体における光の吸収と同様に、体動がある場合でも生体における光の吸収は、一定値の固定部分(直流成分)と値が変動する脈動部分(交流成分)とから成ると考えられるからである。ここで、xr(λ、t)は、波長λの光の時間tにおける反射光量である。そして、式4に対応するXr(λ、t)に関する計算式は、上述と同様に計算すると式7のようになる。
【0041】
【数7】
【0042】
ここで、r1(λ)は反射光の測定における脈動による光路長変化と、透過光の測定における脈動による光路長変化との比(r1(λ)>0)であり、r2(λ)は反射光の測定における体動による光路長変化と、透過光の体動における脈動による光路長変化との比(r2(λ)>0)である。これらr1(λ)およびr2(λ)の値は、透過光の測定と反射光の測定との位置関係のみによって決まる値であり、位置関係が変わらなければ血中の酸素飽和度の変化によらず一定値である。なお、式7における負符号は、透過光の測定における体動成分と、反射光の測定における体動成分とは、実験によるとほぼ符号が逆の波形で観測されるためである。
【0043】
以上より、r1(λ)およびr2(λ)を求めれば、透過光の測定値と反射光の測定値とを用いて式4および式7を解くことより、式8より脈波成分を、式9より体動成分を求めることができる。
【0044】
【数8】
【0045】
【数9】
【0046】
なお、r2(λ)を求めることができれば、式4より動脈血層の脈動による光路長の変動成分s(t)を求めることができるので、体動がある場合でも被験者の脈拍数を求めることができる。例えば、1分間におけるs(t)のピークを計数することによって脈拍数を求めることができる。
【0047】
(r1(λ)およびr2(λ)を求める方法)
一般に脈波成分と体動成分との間には相関関係がないと考えられるから、脈波成分と体動成分との積は充分長時間にわたって和をとると零になる。すなわち、式10が成り立つ。式10をr1(λ)について解くと式11が導かれる。なお、体動の周期が脈拍の周期とほぼ一致すると脈波成分と体動成分との間に相関関係が有ることになるが、そのような場合は一般に極短期間であるから、充分長い時間を考えるとやはり脈波成分と体動成分との積の和は零と考えられる。
【0048】
【数10】
【0049】
【数11】
【0050】
前述したようにr1(λ)およびr2(λ)は、位置関係によってのみ決まる値であるため、測定中に位置関係が変わらなければ、式11に全測定データを用いることができる。複数の時間区間における複数の測定データを式11に用いることによりr1(λ)およびr2(λ)の関係式が複数得られ、その中の独立した式を少なくとも2個選び、それを解くことによりr1(λ)およびr2(λ)を求めることができる。
【0051】
そこで、例えば、体動がある状態によって得た測定データを式11に用いた関係式と、静止の状態によって得た測定データを式11に用いた関係式とで、独立した2個の関係式を得る。
【0052】
体動時における測定データに添え字mを付けその測定時間をtiと表現し、静止時における測定データに添え字sを付けその測定時間をτiと表現すると、式11は、式12のようになる。式12を展開し、r2(λ)を求めると式13になる。
【0053】
【数12】
【0054】
【数13】
【0055】
【数14】
【0056】
【数15】
【0057】
【数16】
【0058】
そして、式13によって求めたr2(λ)を式12に代入することにより、r1(λ)を求めることができる。なお、式13よりr1(λ)とr2(λ)の組は、図4に示すように2組求まるが、r2(λ)>0の条件と実験事実とから値の大きい方のr2(λ)を選択することによって1組を決定する。
【0059】
ここで、式14ないし式16は、測定のたびにそれまでの全測定データを用いて計算する必要はなく、最新の測定データを乗算した結果をそれまでの演算結果に加算するだけでよい。もちろん、全測定データを用いて式14ないし式16を計算してもよい。
【0060】
なお、b2−4・a・c<0であれば式12の2個の式は、従属であることを示し、他の測定データにより改めて2個の関係式を求めr1(λ)とr2(λ)を求める必要がある。ここで、演算記号・は、乗算の記号である。また、測定中に生体組織LBが動くことなどによって生体組織LBと第1発光部11、12および受光部13との相対位置がずれることや電気回路にノイズが混入することなどによって、異常な測定データが測定されてしまうことがある。例えば、測定データが突然スパイク状に変化したり、A/D15のダイナミックレンジを超えて飽和したままになったりする。このような場合には、r1(λ)とr2(λ)とが正確に求めることができないだけでなく、その影響が後々まで残ることになるので、そのような異常な測定データは、r1(λ)とr2(λ)との計算から除外することが好ましい。
【0061】
(r1(λ)およびr2(λ)を求める他の方法−その1)
ここで、r1(λ)およびr2(λ)を求める他の方法について説明する。この方法は、リアルタイムで係数r1(λ)、r2(λ)を求める方法である。r1(λ)およびr2(λ)は、例えば、1秒ごとに求める。
【0062】
最新のデータとして静止時の測定データが得られた場合、体動成分B(λ、t)・n(t)=0であるため、式4および式7よりr1(λ)は、Xt(λ、t)とXr(λ、t)との比として求めることができる。最小二乗法を用いるとr1(λ)は、式17のように表せる。その後、体動時の測定データが得られた場合には、式10を変形した式18に式17より求めたr1(λ)を代入することによってr2(λ)を求めることができる。
【0063】
【数17】
【0064】
【数18】
【0065】
ここで、図5に基づいて、r1(λ)およびr2(λ)を求める場合の動作について説明する。体動検出装置100の演算・制御部16は、電源スイッチが投入されたり、測定開始のコマンドが入力されたりすると、記憶部21に格納されているプログラムを実行し、A/D15、D/A19および駆動部18などの体動検出装置100の各部を初期化する(S11)。
【0066】
次に、演算・制御部16は、駆動部18に第1発光部11および第2発光12を発光させる制御信号を出力して第1および第2発光部11、12を発光させ、受光部13の電気信号からxt(λ、t)およびxr(λ、t)を測定し、記憶部21に測定結果を格納する。このxt(λ、t)およびxr(λ、t)の測定は、所定のサンプリング間隔で繰り返し行われる(S12)。
【0067】
次に、演算・制御部16は、所定の期間、例えば1秒間にわたってxt(λ、t)およびxr(λ、t)の測定を行うと、生体組織LBに体動があるか否かを判断する(S13)。具体的には後述する。
【0068】
判断の結果、体動が無い場合(静止時)には演算・制御部はr1(λ)を算出し(S14)、体動が有る場合(体動時)には演算・制御部はr2(λ)を算出する(S15)。
【0069】
(r1(λ)およびr2(λ)を求める他の方法−その2)
また、r1(λ)およびr2(λ)を求める他の方法について説明する。上述の2つの方法では、測定した全ての測定データを加算するので過去の測定データの影響がいつまでも残ってしまう。したがって、患者の測定部位が変わるなどによってr1(λ)、r2(λ)が変化した場合に追従できない場合が生じ得る。また、測定データを加算していくにつれ総和値が大きくなると桁落ちにより最新のデータを加算しても計算結果に反映しなくなる虞もあり得る。そこで、この方法は、過去の測定データほど重み付け値が小さくなる係数を測定データに乗算することによって、測定データの加算結果に対し過去の測定データの影響を少なくする方法である。このような重み付け係数を測定データに乗算することによって総和値が大きくなり過ぎることも防ぐことができる。重み付け係数として忘却係数ηを式10に用いた式は、式19のようになる。
【0070】
【数19】
【0071】
この式19を見ると分かるように、それ以前の加算結果に忘却係数ηを乗算し、この乗算結果を最新の測定データに加算すればよい。忘却係数ηは、実験などにより決定されるが、被験者の生理的状態と測定結果とを比較した実験によれば1>η≧0.9の範囲が好ましく、一実験結果では0.95が最適であった。また、忘却係数ηは、影響の大きさの違いから、静止時の測定データに乗算する場合と体動時の測定データに乗算する場合とで異なる値としてもよい。
【0072】
あるいは、演算をより簡易にする観点から、1秒間の測定データごとでまとめて忘却係数ηを乗算するようにしてもよい。この場合において、1秒間の測定データの点数を△M点とすると、式10は、式20のように表される。
【0073】
【数20】
【0074】
この式20を見ると分かるように、それ以前の演算結果に忘却係数ηを乗算し、この乗算結果に最新の1秒間における測定データの積和を加算すればよい。したがって、このような方法では、記憶部21は、全ての測定データを記憶しておく必要はなく、式20の第2項以下の結果のみを記憶することで足りる。
【0075】
もちろん、記憶部21の容量が充分大きい場合には、過去の一定時間、例えば20秒間や30秒間や40秒間などにおける各測定データを全て記憶部21に格納し、これら各測定データにそれぞれ対応する重み付け係数ηM−iを乗算し、乗算結果を加算するようにしてもよい。
【0076】
(第1の体動判別法)
体動判別式は、次のように考えることができる。上述のようにして求める体動成分B(λ、t)の振幅によって体動の有無を判別する場合や脈波成分A(λ、t)と体動成分B(λ、t)との振幅を比較することによって体動の有無を判別する場合では、r1(λ)およびr2(λ)がひとたび異常値に設定されてしまうと、体動判別が困難となる。また、測定開始時では、r1(λ)のデフォルト値およびr2(λ)のデフォルト値によって体動判別が困難となる。したがって、体動判別は、上述のr1(λ)およびr2(λ)を求めるアルゴリズムとは独立のアルゴリズムによって行う必要がある。
【0077】
そこで、式21によって定義される評価関数E(r)を用いて体動を判別する。体動判別は、例えば1秒間に測定されるデータごとに毎回行う。
【0078】
【数21】
【0079】
図6は、透過光および反射光の測定波形の一例を示す図であり、図6(a)は、透過光の測定波形の一例を示し、図6(b)は、反射光の測定波形の一例を示す図である。
【0080】
静止状態であれば、図6(a)と図6(b)とを対比すると分かるように、透過光の測定波形と反射光の測定波形は、振幅の大きさが異なるだけで略同一形状となる。このため、透過光の測定波形の振幅と反射光の測定波形の振幅との比rを反射光の測定データに乗算しこの乗算結果を透過光の測定データから減算した値は、静止状態では零となり、体動状態ではその体動による変動成分の大きさに従う値となる。よって、体動を判別する評価関数E(r)として式21が導かれる。なお、評価関数E(r)は、式21に限定されるものではなく他の関数でもよい。例えば、式21のように2乗ではなく4乗や6乗などでもよい。また、図6に示す透過光の測定波形と反射光の測定波形とから脈波成分波形(図7(a))と体動成分波形(図7(b))とに分離すると図7に示す波形となる。
【0081】
評価関数E(r)は、横軸rで縦軸E(r)の座標系を考えると式21より必ず(0、1)を通る下に凸の2次関数となる。評価関数E(r)を図8に示す。静止状態ではrが正の値で評価関数E(r)は最小値をとる(図8(a))。そして、上述したように実験事実として体動による波形が透過光と反射光とでたいてい逆符号となるので、体動が大きい場合ではrが負の値で評価関数E(r)は最小値をとる(図8(c))。したがって、評価関数E(r)を最小値とするr=r*を求め、その正負を判断することによって体動を判別することができる。なお、図8(b)は、これらの中間の状態の場合である。
【0082】
r*を求めるためには、評価関数E(r)をrについて偏微分し、偏微分結果が零となるrを求めればよいから、式21より式22のように求まる。
【0083】
【数22】
【0084】
よって、演算・制御部16は、式22よりr*を求め、r*≧0の場合には静止状態であると判断し、r*<0の場合には体動状態であると判断する。
【0085】
なお、上述の場合では式21の評価関数E(r)を最小にするr*を求めて体動の有無を判断したが、式21’の評価関数E(r)を用いて、これを最大にするr*を求めて体動の有無を判断するようにしてもよい。
【0086】
【数23】
【0087】
(体動検出装置の動作−その1)
上述の第1の体動判別法を用いた体動検出装置の動作について説明する。
【0088】
図9は、第1の体動判別法による体動判別法による体動検出装置の動作を示すフローチャートである。
【0089】
図9において、体動検出装置100の演算・制御部16は、電源スイッチが投入されたり、測定開始のコマンドが入力されたりすると、記憶部21に格納されているプログラムを実行し、A/D15、D/A19および駆動部18などの体動検出装置100の各部を初期化する(S21)。
【0090】
次に、演算・制御部16は、所定のサンプリング間隔で繰り返しxt(λ、t)およびxr(λ、t)を測定する(S22)。すなわち、式21および式22による体動判別は、異なる2以上の経路における1波長の光の透過光量を測定すればよいから、演算・制御部16は、制御信号を駆動部18に出力してパルス状に各発光部11、12を順番に発光させる。例えば、第1発光部11を発光させ、第2発光部12を発光させる。発光した各光は、生体組織LBを透過または反射して受光部13で受光され、受光された光強度に応じた電気信号は、増幅部14およびA/D15を介して演算・制御部16に入力される。演算・制御部16は、この電気信号が入力されることによってxt(λ、t)およびxr(λ、t)を測定し、記憶部21に測定結果を格納する。
【0091】
次に、演算・制御部16は、所定の期間、例えば1秒間にわたってxt(λ、t)およびxr(λ、t)の測定を行うと、生体組織LBに体動があるか否かを判断する。
【0092】
すなわち、まず、演算・制御部16は、式22によってr*を算出する(S23)。次に、演算・制御部16は、r*≧0であるか否かを判断する。演算・制御部16は、r*が0以上である場合には静止状態であると判断し、r*が負である場合には体動状態であると判断する(S24)。
【0093】
次に、演算・制御部16は、体動の有無を表示部20に表示する(S25)。
【0094】
体動検出装置100は、このようにして異なる経路の透過光量xt(λ、t)およびxr(λ、t)を測定することにより、式22を用いてr*の符号から体動の有無を判別することができる。
【0095】
また、上述において、測定対象の運動状態をより細かく検出する観点から中間状態を考慮して、被験者の状態を静止状態、中間状態および体動状態の何れかに分類してもよい。中間状態は、低脈波で脈波レベルが小さく脈波波形がノイズに埋もれている場合や脈波波形と体動波形とが同レベルの場合などに測定データがこの状態となる。この場合には、演算・制御部16は、式22よりr*を求め、図9のS24において、r*≧0であってE(r*)<Eth1の場合には静止状態であると判断し、r*<0であってE(r*)<Eth2の場合には体動状態であると判断し、r*≧0であって1≧E(r*)≧Eth1の場合またはr*<0であって1≧E(r*)≧Eth2の場合には中間状態であると判断するようにする。各状態を弁別する閾値Eth1、Eth2は、複数の被験者に対して実験を行い最適値を設定する。ここで、r*、E(r*)および各閾値Eth1、Eth2と各状態との関係を図10に示し、図10(a)は静止状態の場合、図10(b)は中間状態の場合、そして、図10(c)は体動状態の場合である。
【0096】
図9のS24およびS25において、演算・制御部16が表示部20に図10に示すグラフを描画させ、算出した最小値r*とr*から求まるE(r*)との点(r*、E(r*))をプロットするようにしてもよい。グラフは、r*を横軸に評価関数E(r*)を縦軸にした座標系であって、この座標系による座標空間をE(r*)=規格値1、E(r*)=閾値Eth1、E(r*)=閾値Eth2およびr*=0で測定対象(生体組織LB)の運動状態に応じて複数の領域に分割したものである。複数の領域は、上述の場合では体動状態、中間状態および静止状態の各領域となる。このようにグラフを作成し、測定値より算出した値をプロットすることによって演算・制御部16は、プロットした点が何れの領域に属するかによって測定対象の運動状態を決定することができるだけでなく、視覚化することによって測定者は、測定対象が容易に何れの運動状態にあるか判断することができる。
【0097】
なお、上述では、中間状態を考慮して運動状態を静止状態、中間状態および体動状態の3状態に分けたが更に多数の状態に細分化することも可能である。
【0098】
(第2の体動判別法)
上述では、体動判別を評価関数E(r)によって行ったが、さらに次の方法によって体動を判別することもできる。体動時において、互いに波長の異なる2波長λ1、λ2の透過光より計算されるXt(λ1、t)、Xt(λ2、t)の時間差分Xt(λ1、t+△t)−Xt(λ1、t)、Xt(λ2、t+△t)−Xt(λ2、t)の比pt(t)は、式23のように表される。一方、静止時において、2波長λ1、λ2の反射光より計算されるXr(λ1、t)、Xr(λ2、t)の時間差分Xr(λ1、t+△t)−Xr(λ1、t)、Xr(λ2、t+△t)−Xr(λ2、t)の比pr(t)は、式24のように表される。
【0099】
【数24】
【0100】
【数25】
【0101】
体動時には、これらpt(t)とpr(t)とは、異なる値となる。そこで、測定の誤差などを考慮して、演算・制御部16は、pt(t)とpr(t)と差の絶対値が所定の閾値Th2以上である場合には体動状態であると判断し、pt(t)とpr(t)と差の絶対値が所定の閾値Th2未満である場合には静止状態であると判断する。閾値Th2は、複数の被験者を実測することによって実験により決定する。
【0102】
あるいは、測定対象の運動状態をより細かく検出する観点から、pt(t)とpr(t)とで座標系を構成し、この座標系による座標空間を測定対象の運動状態に応じて複数の領域に分割し、測定した点(pt(t)、pr(t))が何れの領域に属するかによって、測定対象の運動状態を判別するようにしてもよい。
【0103】
(体動検出装置の動作−その2)
上述の第2の体動判別法を用いた体動検出装置の動作について説明する。
図11は、第2の体動判別法による体動検出装置の動作を示すフローチャートである。
【0104】
図11において、体動検出装置100の演算・制御部16は、プログラムが実行を開始すると、A/D15、D/A19および駆動部18などの血中酸素飽和度等測定装置100の各部を初期化する(S31)。
【0105】
次に、演算・制御部16は、駆動部18に第1発光部11および第2発光12を発光させる制御信号を出力し、第1および第2発光部11、12を発光させる。第2の体動判別法では、異なる2以上の経路における2波長の光の透過光量をそれぞれ測定する必要があるから、この発光は、各発光部11、12および各波長λ1、λ2に対して順番にパルス状に行う。例えば、第1発光部11に波長λ1の光を発光させ、第1発光部11に波長λ2の光を発光させ、第2発光部12に波長λ1の光を発光させ、そして、第2発光部12に波長λ2の光を発光させる。また例えば、第1発光部11に波長λ1の光を発光させ、第2発光部12に波長λ1の光を発光させ、第1発光部11に波長λ2の光を発光させ、そして、第2発光部12に波長λ2の光を発光させる。発光した各光は、生体組織LBを透過または反射して受光部13で受光され、受光された光強度に応じた電気信号は、増幅部14およびA/D15を介して演算・制御部16に入力される。演算・制御部16は、この電気信号が入力されることによってxt(λ、t)およびxr(λ、t)を測定し、記憶部21に測定結果を格納する。このxt(λ、t)およびxr(λ、t)の測定は、所定のサンプリング間隔で繰り返し行われる(S32、S33)。
【0106】
次に、演算・制御部16は、所定の期間、例えば1秒間にわたってxt(λ、t)およびxr(λ、t)の測定を行うと、生体組織LBに体動があるか否かを判断する。
【0107】
すなわち、まず、演算・制御部16は、式23によってpt(t)を算出し、式24によってpr(t)を算出する。次に、演算・制御部16は、pt(t)とpr(t)との差の絶対値が閾値Th2以上であるか否かを判断する。演算・制御部16は、pt(t)とpr(t)との差の絶対値が閾値Th2以上である場合には体動状態であると判断し、pt(t)とpr(t)との差の絶対値が閾値Th2より小さい場合には静止状態であると判断する(S35)。
【0108】
次に、演算・制御部16は、体動の有無を表示部20に表示する(S36)。
【0109】
体動検出装置100は、このようにして異なる経路の2波長の透過光量xt(λ1、t)、xt(λ2、t)、xr(λ1、t)およびxr(λ2、t)を測定することにより、式23および式24を用いてpt(t)およびpr(t)をそれぞれ計算することによってこれらの値を閾値Th2で比較するによって体動の有無を判別することができる。
【0110】
ここで、上述において、pt(t)やpr(t)の値のバラツキ(標準偏差)の大きさによって体動の有無を判別することも可能である。この場合において、バラツキの大きさが所定の閾値以上の場合には体動が有ると判断され、所定の閾値未満の場合には体動が無いと判断される。
【0111】
(酸素飽和度SpO2の算出)
また、上述のように独立に体動判別をすることができるので、図5より適切にr1(λ)およびr2(λ)を求めることができるから、これらを用いて体動が有る場合でも酸素飽和度SpO2を求めることができる。以下、この算出方法について説明する。なお、本実施形態にかかる体動検出装置100は、以下に説明する計算方法に基づくプログラムを組み込むだけで、血中の酸素飽和度SpO2や脈拍数も測定し得る。
【0112】
まず、上述した式8を用いて2波長λ1、λ2の脈波成分を求め、求めた両式の時間差分値同士を割り算することによって、p(t)に関する式が式25のように導くことができる。
【0113】
【数26】
【0114】
また、一般にp(t)と酸素飽和度SpO2の間には式26が成立し、さらに、式23および式24よりそれぞれ式27および式28が導かれる。
【0115】
【数27】
【0116】
【数28】
【0117】
【数29】
【0118】
ここで、体動が有る場合には、式8の導出から分かるように、式25で得られるp(t)の値を式26に代入することにより理論的には正しい酸素飽和度SpO2の値が求まるはずであるが、ノイズなどの影響により正確に求まらない場合がある。
【0119】
そこで、式25のp(t)の値を式26に代入することにより求まる酸素飽和度SpO2の値と、式27のpt(t)の値を式26に代入することにより求まる酸素飽和度SpO2の値と、式28のpr(t)の値を式26に代入することにより求まる酸素飽和度SpO2の値と、をそれぞれ比較し、もっともらしい酸素飽和度SpO2の値を選択する。すなわち、p(t)、pt(t)、pr(t)の値のバラツキが少なくて、かつ、それらの値より求まる酸素飽和度SpO2の値が最も高い値を取る酸素飽和度SpO2の値を選択するようにしてもよい。このようにして酸素飽和度SpO2の値を求めることができる。
【0120】
なお、上述の実施形態では、透過光量および反射光量を測定するために、第1および第2発光部11、12と受光部13とを図1に示すように配置したが、これに限定されるものではない。例えば、発光部53と第1および第2受光部51、52とを図12に示すように配置することによって、透過光量および反射光量を測定してもよい。
【0121】
すなわち、図12において、第1および第2受光部51、52は、受光した光強度に応じた電流を生成する光電素子であり、少なくとも波長λ1および波長λ2に対して感度を持つ。発光部53は、赤色領域の波長λ1の光および赤外線領域の波長λ2の光を射出する光源である。なお、前述したように体動判別方法によって発光部53は、1波長の光源でもよく、これに合わせて第1および第2受光部51、52も少なくともその1波長に感度を持てばよい。以下、同様の趣旨で、発光部と受光部は、発光部が2波長の場合について説明している。
【0122】
第1および第2受光部51、52と発光部53とは、不図示の保持部材によって保持され、相互の位置は固定されている。第1および第2受光部51、52と発光部53とは、第1受光部51が測定対象となる生体組織LBを透過した発光部53の光を受光するように配置され、そして、第2受光部52がこの生体組織LB中で反射した発光部53の光を受光するように配置される。つまり、第1受光部51と発光部53とは生体組織LBを介して略対向するように配置され、第2受光部52と発光部53とは、生体組織LBに対して同一側に配置される。
【0123】
また、生体組織を手指とした場合に、図1では、透過光の経路を光が爪から入射して手指中を透過し手指の腹から射出する経路とし、反射光の経路を光が手指の腹から入射して手指中で反射し手指の腹から射出する経路としたが、図13(a)に示すように、透過光の経路を光が手指の腹から入射して手指中を透過し爪から射出する経路とし、反射光の経路を光が手指の爪側部分から入射して手指中で反射し爪から射出する経路としても測定可能である。
【0124】
さらに、生体組織を手指とした場合に、図12では、透過光の経路を光が手指の腹から入射して手指中を透過し爪から射出する経路とし、反射光の経路を光が手指の腹から入射して手指中で反射し腹から射出する経路としたが、図13(b)に示すように、透過光の経路を光が爪から入射して手指中を透過し手指の腹から射出する経路とし、反射光の経路を光が爪から入射して手指中で反射し手指の爪側部分から射出する経路としても測定可能である。
【0125】
また、上述の実施形態では、発光部と受光部とを備えて構成される測定部であるプローブを手指に装着する際に、発光部、受光部および手指の位置関係が設計に従い必ず上述の説明のようになると考えたが、実際には必ずしもそのように装着されるとは限らない。つまり、手指に対して発光部と受光部とが設計とは逆に装着されることが予想される。そのため、設計通りに装着されることが望ましく、逆に装着されると測定が難しくなることが予想される。そこで、どのようにプローブが手指に装着されたとしても、反射光の経路を光が手指の腹から入射して手指中で反射し腹から射出する経路となるようにしたプローブについて説明する。
【0126】
図14は、測定対象の装着方向によらずに適切に光路が設定される測定部における発光部と受光部との配置を示す図である。図14(a)は、設計通りに測定対象が装着された場合を示し、図14(b)(c)は、設計とは逆に測定対象が装着された場合を示す。
【0127】
図14(a)において、測定部は、第1および第2発光部61、63と第1および第2受光部62、64とを備えて構成される。第1および第2発光部61、63は、赤色領域の波長λ1の光および赤外線領域の波長λ2の光を射出する光源である。第1および第2受光部62、64は、受光した光強度に応じた電流を生成する光電素子であり、少なくとも波長λ1および波長λ2に対して感度を持つ。第1発光部61と第1受光部62とは測定対象である手指を介して略対向するように配置され、第2発光部63と第2受光部64とは手指を介して略対向するように配置される。そして、第1発光部61と第2受光部64とは手指に対して同一側に配置され、第2発光部63と第2受光部62とは手指に対して同一側に配置される。
【0128】
このような配置において、設計通りに手指が第1発光部61と第2受光部64とが配置される側に爪を向け且つ第2発光部62と第1受光部63とが配置される側に腹を向けて装着された場合には、透過光の測定は、爪から入射し手指中を透過して腹から射出する第1発光部61の光を第1受光部62が受光することによって行い、反射光の測定は、腹から入射し手指中で反射して腹から射出する第2発光部63の光を第1受光部62が受光することによって行う。
【0129】
一方、図14(b)(c)に示すように設計とは逆に手指が第1受光部62と第2発光部63とが配置される側に爪を向け且つ第1発光部61と第2受光部64とが配置される側に腹を向けて装着された場合には、図14(b)に示すように、透過光の測定は、腹から入射し手指中を透過して爪から射出する第1発光部61の光を第1受光部62が受光することによって行い、反射光の測定は、腹から入射し手指中で反射して腹から射出する第1発光部61の光を第2受光部64が受光することによって行う。あるいは、かかる場合において図14(c)に示すように、透過光の測定は、爪側から入射し手指中を透過して腹から射出する第2発光部63の光を第2受光部64が受光することによって行い、反射光の測定は、腹から入射し手指中で反射して腹から射出する第1発光部61の光を第2受光部64が受光することによって行う。
【0130】
測定の際に手指の装着状態に応じて第1および第2発光部61、63と第1および第2受光部62、64とから測定に使用する各部の組合わせを上述の何れかに適宜選択することによって、図14(a)に示す測定部は、測定対象の装着状態にかかわらず最適な測定データを得ることができる。
【0131】
なお、手指の装着状態は、手指の爪側から入射して爪側に射出する反射光量と手指の腹から入射して腹に射出する反射光量とを比較すると後者の方が大きいから、第2受光部64が受光する第1発光部61の光に基づく反射光量と第1受光部62が受光する第2発光部63の光に基づく反射光量とを比較することによって判断することができる。
【0132】
また、上述の実施形態では、透過経路および反射経路の測定値を用いたがこれに限定されるものではない。本発明は、同一波長の光が生体中の2つの異なる経路を通って測定された値を用いればよい。例えば、図15に示すような2つの相異なる経路を通った光を測定してもよい。図15は、測定対象である手指を正面から見た場合において、第1および第2発光部71、72と受光部73との配置関係を示した図である。図15に示す測定部は、第1および第2発光部71、72と受光部73とを備えて構成される。第1および第2発光部71、72は、赤色領域の波長λ1の光および赤外線領域の波長λ2の光を射出する光源である。受光部73は、受光した光強度に応じた電流を生成する光電素子であり、少なくとも波長λ1および波長λ2に対して感度を持つ。第1および第2発光部71、72と受光部73とは、手指を中心に所定角度の間隔で配置され、爪から入射し手指中を透過して腹から射出する第1発光部71の光を受光部73が受光するように、そして、手指の腹の一方側面から入射し手指中で反射して腹の他方側面から射出する第2発光部72の光を受光部73が受光するようにそれぞれ配置される。
【0133】
さらに、上述の実施形態では、透過経路および反射経路の2つの異なる経路を通って測定された値を用いたがこれに限定されるものではなく、3つ以上の相異なる経路を用いて測定値を得、得た測定値から適当な組合わせを選ぶようにしてもよい。
【0134】
ここで、本明細書によって開示された主な発明を以下にまとめる。
(付記1) 所定の波長の測定光を発光し、前記測定光について測定対象中を相異なる複数の経路で通過した後の複数の光強度変化をそれぞれ測定する測定部と、前記複数の光強度変化に基づいて体動の有無を判定する判定部とを備えることを特徴とする体動検出装置。
(付記2) 前記判定部は、前記複数の光強度変化と各光強度変化との間の係数に基づく評価関数を最小または最大にする前記係数を求め、求めた前記係数の符号によって体動の有無を判別することを特徴とする付記1に記載の体動検出装置。
(付記3) 前記判定部は、前記複数の光強度変化と各光強度変化との間の係数に基づく評価関数を最小または最大にする前記係数を求め、求めた前記係数に対応する前記評価関数の評価値を求め、係数と評価値とからなる座標空間を測定対象の運動状態に対応させて複数の領域に区分し、求めた前記係数および前記評価値が前記複数の領域のうちの何れに属するかによって前記測定対象の運動状態を判別することを特徴とする付記1に記載の体動検出装置。
(付記4)前記測定部は、相異なる第1波長および第2波長の測定光をそれぞれ発光し、発光した各測定光について測定対象中を相異なる第1経路および第2経路で通過した後の各光強度変化をそれぞれ測定し、前記判定部は、第1経路における第1波長の測定光の光強度変化と第2波長の測定光の光強度変化との第1比および第2経路における第1波長の測定光の光強度変化と第2波長の測定光の光強度変化との第2比に基づいて体動の有無を判定することを特徴とする付記1に記載の体動検出装置。
(付記5) 前記判定部は、前記第1比と前記第2比とが所定の値以上相違する場合に体動が有ると判定することを特徴とする付記4に記載の体動検出装置。
(付記6) 前記判定部は、体動の有無を判定する演算を行う際に、測定時間が経過するに従って値が小さくなる係数を前記光強度変化に乗じた後に、体動の有無を判定する演算を行うことを特徴とする付記1に記載の体動検出装置。
(付記7) 所定の波長の測定光を発光する発光工程と、前記測定光について測定対象中を相異なる複数の経路で通過した後の複数の光強度変化をそれぞれ測定する測定工程と、前記複数の光強度変化に基づいて体動の有無を判定する判定工程とを備えることを特徴とする体動検出方法。
(付記8) 前記判定工程は、前記複数の光強度変化と各光強度変化との間の係数に基づく評価関数を最小または最大にする前記係数を求め、求めた前記係数の符号によって体動の有無を判別することを特徴とする付記7に記載の体動検出方法。
(付記9) 前記判定工程は、前記複数の光強度変化と各光強度変化との間の係数に基づく評価関数を最小にする前記係数を求め、求めた前記係数に対応する前記評価関数の評価値を求め、係数と評価値とからなる座標空間を測定対象の運動状態に対応させて複数の領域に区分し、求めた前記係数および前記評価値が前記複数の領域のうちの何れに属するかによって前記測定対象の運動状態を判別することを特徴とする付記7に記載の体動検出方法。
(付記10) 前記測定工程は、相異なる第1波長および第2波長の測定光をそれぞれ発光し、前記測定工程は、発光した各測定光について測定対象中を相異なる第1経路および第2経路で通過した後の各光強度変化をそれぞれ測定し、前記判定工程は、第1経路における第1波長の測定光の光強度変化と第2波長の測定光の光強度変化との第1比および第2経路における第1波長の測定光の光強度変化と第2波長の測定光の光強度変化との第2比に基づいて体動の有無を判定することを特徴とする付記7に記載の体動検出方法。
(付記11) 前記判定工程は、前記第1比と前記第2比とが所定の値以上相違する場合に体動が有ると判定することを特徴とする付記10に記載の体動検出方法。
(付記12) 前記判定工程は、測定時間が経過するに従って値が小さくなる係数を前記光強度変化に乗じる工程を含むことを特徴とする付記7に記載の体動検出方法。
【0135】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかる体動検出装置および体動検出方法は、脈拍数や血中酸素飽和度を演算する演算式を応用して、測定対象の体動の有無や運動状態を検出することができる。よって、本発明にかかる体動検出装置および体動検出方法を組み込んだ血液状態測定装置は、測定対象が測定中に体動を行ったとしても、体動を検出することができるので、脈拍数や血中酸素飽和度を算出する際に体動による影響を算出値から軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】体動検出装置の構成を示すブロック図である。
【図2】ヘモグロビンおよび酸化ヘモグロビンの吸光係数の分光特性を示す図である。
【図3】生体よる光の吸収を示す図である。
【図4】r1(λ)とr2(λ)との関係を示す図である。
【図5】r1(λ)およびr2(λ)を求める場合の動作を示すフローチャートである。
【図6】測定波形の一例を示す図である。
【図7】図6に対応する各成分波形を示す図である。
【図8】係数rと評価関数E(r)との関係を示す図である。
【図9】第1の体動判別法による体動検出装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】係数r*と評価関数E(r*)との関係を示す図である。
【図11】第2の体動判別法による体動検出装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】発光部と受光部との配置を示す図である。
【図13】発光部と受光部との配置を示す図である。
【図14】測定対象の装着方向によらずに適切に光路が設定される測定部における発光部と受光部との配置を示す図である。
【図15】発光部と受光部および測定対象との配置関係を示す図である。
【符号の説明】
11 第1発光部
12 第2発光部
13 受光部
14 増幅部
15 アナログ/ディジタル変換部
16 演算・制御部
17 入力部
18 駆動部
19 ディジタル/アナログ変換部
21 記憶部
20 表示部
22 外部インターフェース
100 体動検出装置
Claims (5)
- 所定の波長の測定光を発光し、前記測定光について測定対象中を相異なる複数の経路で通過した後の複数の光強度変化をそれぞれ測定する測定部と、
前記複数の光強度変化に基づいて体動の有無を判定する判定部とを備えること
を特徴とする体動検出装置。 - 前記判定部は、前記複数の光強度変化と各光強度変化との間の係数に基づく評価関数を最小または最大にする前記係数を求め、求めた前記係数の符号によって体動の有無を判別すること
を特徴とする請求項1に記載の体動検出装置。 - 前記判定部は、前記複数の光強度変化と各光強度変化との間の係数に基づく評価関数を最小または最大にする前記係数を求め、求めた前記係数に対応する前記評価関数の評価値を求め、係数と評価値とからなる座標空間を測定対象の運動状態に対応させて複数の領域に区分し、求めた前記係数および前記評価値が前記複数の領域のうちの何れに属するかによって前記測定対象の運動状態を判別すること
を特徴とする請求項1に記載の体動検出装置。 - 前記測定部は、相異なる第1波長および第2波長の測定光をそれぞれ発光し、発光した各測定光について測定対象中を相異なる第1経路および第2経路で通過した後の各光強度変化をそれぞれ測定し、前記判定部は、第1経路における第1波長の測定光の光強度変化と第2波長の測定光の光強度変化との第1比および第2経路における第1波長の測定光の光強度変化と第2波長の測定光の光強度変化との第2比に基づいて体動の有無を判定することを特徴とする請求項1に記載の体動検出装置。
- 所定の波長の測定光を発光する工程と、
前記測定光について測定対象中を相異なる複数の経路で通過した後の複数の光強度変化をそれぞれ測定する工程と、
前記複数の光強度変化に基づいて体動の有無を判定する工程とを備えること
を特徴とする体動検出方法。
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