JP2004013587A - 無線情報記憶媒体及びこれを用いた無線情報送受信装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】トリミングなどの後処理が不要で、高精度の静電容量を有する同調コンデンサを簡単に実装できる薄い無線情報記憶媒体を提供する。
【解決手段】アンテナコイル100を含む回路パターン110が形成されたフィルム基板160と、電極がアンテナコイルの回路パターンに接続されるように基板に実装されたICチップ120と、電極がアンテナコイルの回路パターンに接続されるように基板に実装され、アンテナコイルの信号周波数を調整する同調用積層型チップコンデンサ140とを有するICカード100であり、積層型チップコンデンサ140を、異方性導電膜130を介して回路パターン110に実装する。
【選択図】 図1
【解決手段】アンテナコイル100を含む回路パターン110が形成されたフィルム基板160と、電極がアンテナコイルの回路パターンに接続されるように基板に実装されたICチップ120と、電極がアンテナコイルの回路パターンに接続されるように基板に実装され、アンテナコイルの信号周波数を調整する同調用積層型チップコンデンサ140とを有するICカード100であり、積層型チップコンデンサ140を、異方性導電膜130を介して回路パターン110に実装する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非接触ICカードなどの無線情報記憶媒体及びこれを用いた無線情報送受信装置に関し、特に、同調コンデンサを有する無線情報記憶媒体の実装構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の無線情報記憶媒体(以下、ICカードとも言う。)は、プラスチック製カード基板の主面に、ループアンテナと、このループアンテナの端子に接続されたICチップと、同調用コンデンサとが形成されたものであり、乗車券の改札や入退室管理装置などに利用されている。
【0003】
この非接触ICカードを別設のリーダライタ(読み出し書き込み装置)のループアンテナに近づけると、電磁誘導によってICカード側のループアンテナの端子に誘導電圧が生じ、ICチップは安定化された電源電圧を得て、変調波を復調することでリーダライタからの送信データを受信する。また、ICチップ内のメモリに格納されたデータをリーダライタへ送るときは、ICチップ内の負荷をデータによって変動させることでループアンテナの終端インピーダンスを切り換え、リーダライタはこの負荷変動を検出し復調することでICカードからのデータを受信する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、こうした非接触ICカードを製造する際、アンテナコイルの信号周波数fを同調させるためのコンデンサも基板に形成されている。アンテナコイルの信号周波数fは、コンデンサ静電容量C、アンテナコイルのインダクタンスLとしたときにf=1/(2π√(LC))で表されるので、コンデンサ静電容量を調節することでアンテナコイルの信号周波数を同調していた。
【0005】
具体的には、基板を構成するポリイミドフィルムやポリエチレンナフタレートフィルムを絶縁体とし、このポリイミドフィルムの両面に銅やアルミニウムの電極を形成することで基板にフィルムコンデンサを造り込んでいた。
【0006】
しかしながら、こうした構造のフィルムコンデンサでは、ポリイミドフィルムやポリエチレンナフタレートフィルムの厚さが製造上不均一であるため静電容量の精度が低く、実際にはトリミングを行うことで最終的な静電容量を微調整する必要があった。
【0007】
また、ポリイミドフィルムやポリエチレンナフタレートフィルムのコンデンサでは温度変化にともない誘電正接(tanθ)の変動量が大きいので、同調用コンデンサの温度特性が満足できないといった問題もあった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、トリミングなどの後処理が不要で、高精度の静電容量を有する同調コンデンサを簡単に実装できる薄い無線情報記憶媒体及びこれを用いた無線情報送受信装置を提供することを目的とする。
【0009】
本発明によれば、アンテナコイルを含む回路パターンが形成された基板と、電極が前記アンテナコイルの回路パターンに接続されるように前記基板に実装されたICチップと、電極が前記アンテナコイルの回路パターンに接続されるように前記基板に実装され、前記アンテナコイルの信号周波数を調整する同調用積層型チップコンデンサとを有する無線情報記憶媒体であって、前記積層型チップコンデンサが、異方性導電膜を介して前記回路パターンに実装されている無線情報記憶媒体が提供される。
【0010】
本発明では、同調用コンデンサとして積層型チップコンデンサを用い、これを異方性導電膜を介して回路パターンに実装する。
【0011】
積層型チップコンデンサは、静電容量の製造精度が±10%であるフィルムコンデンサに比べ、静電容量の製造精度が±2%乃至±5%と高いものが使用でき、また±0.5%といった極めて製造精度の高いものも使用可能なので、トリミングなどの後処理を行うことなく同調精度を満足することができる。また、積層型チップコンデンサは、フィルムコンデンサに比べて温度変化にともなう誘電正接の変動量が少ないので、環境温度に拘わらず優れた温度特性を発揮することができる。さらに、積層型チップコンデンサはフィルムコンデンサに比べて厚いが、回路パターンとの実装に異方性導電膜を用いているので無線情報媒体を薄く構成することができる。しかも、積層型チップコンデンサは、フィルムコンデンサに比べて二次元的面積が著しく小さいので、ICチップと同時に封止することができ、その結果、ICチップと同調用コンデンサとを小型モジュールとして構成することができ、カード化の自由度が著しく増加する。
【0012】
上記発明においては特に限定されないが、前記ICチップを、異方性導電膜を介して前記回路パターンに実装することもできる。
【0013】
積層型チップコンデンサに加えてICチップも異方性導電膜を介して回路パターンに実装することで、半田リフロー工程による高温処理を行う必要がなくなり、高温処理による基板の熱収縮を防止することができる。
【0014】
上記発明においては特に限定されないが、前記回路パターンの前記積層型チップコンデンサの実装位置に、金製バンプ、半田製バンプ、半田メッキまたは半田ボールを形成することもできる。
【0015】
異方性導電膜は圧着方向に導電性を有するので異方性導電膜単独でも導電性を確保できるが、回路パターンの積層型チップコンデンサの実装位置に金製バンプ、半田製バンプ、半田メッキまたは半田ボールを形成することで、積層型チップコンデンサと回路パターンとの導通性の信頼性がより高まることになる。
【0016】
上記発明においては特に限定されないが、前記ICチップおよび前記積層型チップコンデンサの表面を第1の補強用金属板で被覆することもできる。
【0017】
また、上記発明においては特に限定されないが、前記ICチップが実装された基板の裏面を第2の補強用金属板で被覆することもできる。
【0018】
ICチップと積層型チップコンデンサとを第1の補強用金属板及び/又は第2の補強用金属板で被覆することで、基板の表裏両面からの曲げ、荷重又は衝撃に対する耐久性が著しく高くなり、携帯用カードなどに応用して好ましいものとなる。また、一つの補強用金属板でICチップと積層型チップコンデンサの両方を同時に保護することができるので生産性にも優れている。
【0019】
この場合、前記積層型チップコンデンサを、前記ICチップの周囲に実装することが好ましく、前記積層型チップコンデンサを、前記ICチップの周囲に略等しい角度で放射状に実装することがより好ましい。
【0020】
ICチップと積層型コンデンサとの厚さが相違しても、ICチップの周囲、特に略等しい角度で放射状に積層型チップコンデンサを実装することで、第1の補強用金属板が傾くことなく平坦になり、基板全体を平坦化することができる。
【0021】
上記発明においては特に限定されないが、前記第1の補強用金属板を前記基板に固定するにあたり、電気絶縁性フィラーを含有する封止用樹脂を用いることもできる。
【0022】
電気絶縁フィラーを含有する封止用樹脂で第1の補強用金属板を固定することで、第1の補強用金属板と積層型チップコンデンサとの間に電気絶縁フィラーが介在することになり、積層型チップコンデンサの両電極間が第1の補強用金属板を介して短絡することが防止できる。
【0023】
上記発明に係る無線情報記憶媒体は、当該無線情報記憶媒体と読み出し書き込み装置とを相対的に近接させたときの、前記無線情報記憶媒体のアンテナコイルと前記読み出し書き込み装置のアンテナコイルとの結合によって誘起される高周波信号により動作を開始し、前記高周波信号を介してデータの送受信を行う無線情報送受信装置に適用することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1は本発明の無線情報記憶媒体の実施形態であるICカードを示す全体平面図、図2は図1に示すICカードのICチップ及び同調用コンデンサの実装部を拡大して示す平面図、図3は図1のIII−III線に沿う断面図、図4は図3のIV部を拡大して示す概念図、図5および図6は図1に示すICカードの製造工程を示す断面図、図7は図1に示すICカード及びこれが用いられるリーダライタの等価回路図である。
【0026】
まず、図7を参照して本実施形態のICカードを用いた無線情報送受信装置の一例を説明する。同図に示すように、ICカード10には、アンテナとなるアンテナコイル100と、ICチップ120と、アンテナの信号周波数を同調させるための同調用コンデンサ140(同図では140a〜140d)とが設けられている。
【0027】
ICチップ120には、整流回路121,電源安定化回路122,変復調回路123,124,メモリ125,CPU又はシーケンサ126が内蔵されている。メモリ125へのデータの書き込みやメモリ125からのデータの読み出しは、リーダライタ20との無線通信により行われる。
【0028】
リーダライタ20は、アンテナとなるアンテナコイル200と、変復調回路210と、CPU220とを備え、ICカード10への送信時には、送信データによって13.56MHzのキャリアを変調した電流をアンテナコイル200に流し、ICカード10からの受信時には、無変調の電流をアンテナコイル200に流す。
【0029】
そして、ICカード10をリーダライタ20のアンテナコイル200に近づけると、電磁誘導によりICカード10内のアンテナコイル100の端子に誘導電圧が生じ、ICチップ120はその誘導電圧から安定化した電源電圧を得て、変調波を復調することでリーダライタ20から送られてきた送信データを受信する。
【0030】
逆に、ICカード10のメモリ125に記憶されたデータをリーダライタ20に送信する場合には、ICカード10側でデータによって負荷Zを変動させ、リーダライタ20がICカード10のアンテナコイル100の負荷変動を検出し復調することで、ICカード10からのデータがリーダライタ20に送信される。
【0031】
このようにして、ICカード10とリーダライタ20との間でデータの送受信が行われ、そのデータに応じてリーダライタ20の上位機種であるホストコンピュータや情報処理装置は、乗車券の改札や入退室管理を行うことができる。
【0032】
本例のICカード10は、図1乃至図3に示すように、ポリイミド(PI)又はポリエチレンナフタレート(PEN)などの樹脂で構成されたフィルム基板160を有する。このフィルム基板160は、たとえば厚さが25μmである。このフィルム基板160の一主面の外周付近には、銅製又はアルミニウム製のアンテナコイル100が形成されている。また、アンテナコイル100の両端子には、ICチップ120と同調用コンデンサ140とを実装する実装部180が同じ銅製又はアルミニウム製の回路パターンで形成されている。これらアンテナコイル100及び実装部を構成する回路パターン110は、たとえば厚さが16μmである。
【0033】
フィルム基板160と回路パターン110は、所定の大きさに形成されたPIフィルム又はPENフィルムに銅箔又はアルミニウム箔を貼り付けたシートの銅箔又はアルミニウム箔に対して、所望の回路、すなわち図示するアンテナコイル100及び実装部180をパターニングし、エッチングにより不要な部分を除去することで作製することができる。
【0034】
図3に示す実装部180の回路パターン表面の実装位置、具体的にはICチップ120の電極端子と積層型チップコンデンサ140の電極端子1402に接触する位置には、図4(A)に拡大して示すように、金製バンプ、半田製バンプ、半田メッキまたは半田ボールが形成されている。これらバンプ170、メッキ又はボールを形成することで、ICチップ120の電極端子及び積層型チップコンデンサ140の電極端子と回路パターンとの導電信頼性がより確実なものとなる。ただし、後述する異方性導電膜130のみによっても導電性は確保できるので、必要に応じてバンプ170、メッキ又はボールなどを省略してもよいし、ICチップ120または積層型チップコンデンサ140の何れか一方の電極端子との接触位置にのみ設けてもよい。
【0035】
また実装部180の回路パターン表面には、異方性導電接着剤が硬化した異方性導電膜130が形成されている。異方性導電接着剤とは、絶縁性接着剤の中に加圧方向に電気接続する導電粒子を分散させたペースト剤であり、この異方性導電接着剤を実装部180に塗布したのち実装すべき電子部品(ここではICチップ120および同調用コンデンサ140)を加圧しながら硬化させることで、加圧方向にのみ電気接続され、それ以外の方向には絶縁され、しかも電子部品を実装できるといった、導電・絶縁・接着の3機能を併せ持つものである。本例では、絶縁性接着剤として熱硬化性樹脂を用い、これに導電粒子を分散させた異方性導電接着剤を実装部180の全面に塗布し、ICチップ120と同調用コンデンサ140a〜140dをそれぞれの実装位置にマウントして加圧しながら300℃程度で加熱することで異方性導電接着剤を硬化させる。なおここでは、塗布前のペースト状のものを異方性導電接着剤と称し、これが硬化したものを異方性導電膜130と称するが、実質的には同じものである。
【0036】
実装部180の回路パターン110には、1つのICチップ120と4つの同調用コンデンサ140a〜140dが上述した異方性導電膜130を介して実装されている。なお、同調用コンデンサ140の数は4つに限定されないが、好ましくは2つ以上のコンデンサを、好ましくはICチップ120の周囲に均等角度をもって実装する。本例では、図2に示すように4つの積層型チップコンデンサ140a〜140dをICチップ120の周囲に約90度の位相角で配置している。これは以下の理由による。すなわち、図3に示すように積層型チップコンデンサ140の厚さが300μmであるのに対しICチップ120の厚さが175μmであるため、後述する第1の補強用金属板150で被覆するとICチップ10と積層型チップコンデンサ140との高低差によって第1の補強用金属板150が傾き、ICカード10の表面が平坦にならず、第1の補強用金属板150の表面に被覆する保護外装膜に皺や気泡の混入が生じるおそれがある。本例のように、ICチップ120の周囲にほぼ等しい位相角で積層型チップコンデンサ140を配置すれば、ICチップ120と積層型チップコンデンサ140に高低差があっても第1の補強用金属板150はフィルム基板160とほぼ平行に固定され、その結果ICカード10の表面が平坦となる。
【0037】
本例の同調用コンデンサ140としては、積層型チップコンデンサが採用されている。積層型チップコンデンサ140は、中央部分が複数の絶縁層と電極層とが交互に積層されて構成され、両端に電極端子1402が形成されたもので、厚さが300μm程度であり、フィルムコンデンサに比べて厚みがあるが、静電容量の製造精度が±2%〜±5%、高精度品にあっては±0.5%と著しく高い。
【0038】
たとえば、同調に必要なコンデンサ容量が34pFであるとき、積層型チップコンデンサとして33pFの市販品と1pFの市販品を使用するとする。ただし、同調に必要なコンデンサ容量に応じて使用する積層型チップコンデンサの数は適宜選択できる。ここで、市販されている通常精度品は静電容量の精度が±5%であるため、全て通常品を用いるとすると(33pF±1.65pF)+(1pF±0.05pF)となり、この結果静電容量は、32.3pF〜35.7pFとなるが、33pFのコンデンサだけ±2%の高精度品を用いれば、(33pF±0.66pF)+(1pF±0.05pF)となり、この結果静電容量は、33.29pF〜34.71pFとなる。これに対してフィルムコンデンサの静電容量の精度は±10%程度であるため、静電容量は34pF±3.4pF、すなわち30.6pF〜37.4pFとなり、その差は歴然としている。
【0039】
また、積層型チップコンデンサ140は、フィルムコンデンサに比べて温度特性に優れているので、高温下や低温下においても誘電正接のバラツキが小さく、アンテナコイルの信号周波数が安定するといった利点がある。
【0040】
ICチップ120は、図7の等価回路に示す回路が形成された半導体集積回路であり、異方性導電膜130を介して電極端子が回路パターン110に実装される。このICチップ120と上述した4つの積層型チップコンデンサ140の上面には、これらを被覆するように、ステンレスなどから構成された第1の補強用金属板150が、封止用樹脂190により接着されている。また、この第1の補強用金属板150に相当するフィルム基板160の裏面にも、同じくステンレス製の第2の補強用金属板155が封止用樹脂により接着されている。なお、第2の補強用金属板155は必要に応じて省略してもよい。
【0041】
これら第1の補強用金属板150および第2の補強用金属板155をICチップ120および積層型チップコンデンサ140の実装部180の表裏に固定することで、ICカード10に曲げ力や荷重あるいは衝撃が作用してもICチップ120および積層型チップコンデンサ140を保護することができ、ポケットの中や定期入れに入れて携帯するにも充分に耐え得るICカード10となる。
【0042】
上述した第1の補強用金属板150および第2の補強用金属板155を固定するための封止用樹脂は、たとえば熱硬化型一液性エポキシ樹脂などを用いることができるが、チッ化ケイ素や炭酸カルシウムなどの絶縁性フィラーを含有する樹脂であることが望ましい。特に第1の補強用金属板150を固定する封止用樹脂にあっては、図4(B)に拡大して示すように、第1の補強用金属板150と積層型チップコンデンサ140の電極端子1402,1402とが接触する可能性があるので、封止用樹脂に絶縁性フィラーを混入しておくことで、第1の補強用金属板150と積層型チップコンデンサ140の電極端子1402との間の絶縁性を絶縁性フィラーにより確保し、コンデンサ140の電極端子1402,1402同士の短絡を防止することができる。
【0043】
次に図5および図6を参照しながら本例のICカード10の製造方法について説明する。なお、以下に述べる具体的数値や材料・材質は本発明の理解を容易にするための一例であって、本発明を限定するものではない。
【0044】
厚さが25μmのポリイミドフィルムの一主面に厚さが16μmの銅箔を貼り付けた所定の大きさのシートを用意し、このシートの銅箔に対して、回路パターン110、すなわち図示するアンテナコイル100及び実装部180をパターニングし、エッチングにより不要な銅箔部分を除去する。これにより、図5(A)に示すようなポリアミド製フィルム基板160の一主面に銅製回路パターン110が形成されたシートが得られる。このシートは、目的とするICカード10の大きさであってもよいが、大量生産する場合は、ICカード10が多数個取りできる大きさとし、最終工程でICカード10の大きさに切断することが望ましい。なお、ポリイミド製フィルム基板160に銅製回路パターン110を形成したシートに代えて、ポリエチレンナフタレート製フィルム基板にアルミニウム製回路パターンを形成したシートを用いることもできる。
【0045】
次に、回路パターン110の実装部180の、ICチップ120の電極端子および積層型チップコンデンサ140の電極端子の接触位置に金製のスタッドバンプ170を形成する。バンプはスタッドバンプの他、ウェーハバンプ、転写バンプ、メサバンプ、ボールバンプ等、各種形成方法がある。
【0046】
次いで、回路パターン110の実装部180の全体に、異方性導電接着剤を塗布する。図5(B)に未硬化の異方性導電接着剤を130で示す。この異方性導電接着剤はICチップ120の電極端子と積層型チップコンデンサ140の電極端子に接触する位置に塗布されていればよいので必ずしも実装部180の全体に塗布する必要はないが、逆に実装部180の全体に塗布されていても何らの問題も生じないので、塗布作業性の面から実装部180の全体に塗布するか、必要部位のみに塗布するかを決定すればよい。
【0047】
次いで、図5(C)に示すようにICチップ120と4つの積層型チップコンデンサ140a〜140dを実装部180に実装する。このときICチップ120と積層型チップコンデンサ140を回路パターン110の方向へ加圧しながら、300℃程度で加熱することで異方性導電接着剤を硬化させ異方性導電膜130とする。この加圧接着により、ICチップ120の電極端子および積層型チップコンデンサ120の電極端子と金製バンプ170とが確実に接触するとともに異方性導電接着剤に含まれた導電粒子が電気接続され、しかもICチップ120と積層型チップコンデンサ140が回路パターン110に固定されることになる。なお、ここでは異方性導電接着剤を硬化させて異方性導電膜を形成したが、フィルム状の異方性導電膜を用いてICチップ、積層型チップコンデンサをフィルム基板に実装してもよい。
【0048】
次いで、図6(D)に示すように、ICチップ120と積層型チップコンデンサ140が実装された実装部180の表面全体および裏面全体に、絶縁性フィラーを含有する封止用樹脂190を塗布する。ここで、実装部180の表面に塗布する封止用樹脂の塗布量は次の工程で第1の補強用金属板150を固定したときに、当該第1の補強用金属板150と実装部180の表面との間に封止用樹脂が充分に充填される量とする。これに対して、実装部180の裏面に塗布する封止用樹脂190の塗布量は、次の工程で固定される第2の補強用金属板155が接着でき得る量で足りる。
【0049】
次いで、図6(E)に示すように、塗布された封止用樹脂190の上に第1の補強用金属板150と第2の補強用金属板155とをそれぞれ被せたのち、封止用樹脂190を硬化させる。これにより、実装部180が表裏面から第1の補強用金属板150および第2の補強用金属板155で保護されることになり、耐久性に優れたICカード10を得ることができる。また、4つの積層型チップコンデンサ140はICチップ120の周囲にほぼ等しい位相角で実装されているので、第1の補強用金属板150はフィルム基板160とほぼ平行に固定され、ICカード10の表面の平坦性を確保することができる。さらに、絶縁性フィラーを含有する封止用樹脂190で第1の補強用金属板150を接着するので、コンデンサ140の電極端子1402,1402同士の短絡を防止することができる。
【0050】
以上でICカード10を得ることができるが、必要に応じてこのICカード10の表裏面に、エポキシ樹脂などから構成される充填樹脂層や、さらにポリエチレンテレフタレートなどからなる外装樹脂層などを形成してもよい。
【0051】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0052】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、トリミングなどの後処理が不要で、高精度の静電容量を有する同調コンデンサを簡単に実装できる薄い無線情報記憶媒体及びこれを用いた無線情報送受信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の無線情報記憶媒体の実施形態であるICカードを示す全体平面図である。
【図2】図1に示すICカードのICチップ及び同調用コンデンサの実装部を拡大して示す平面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図3のIV部を拡大して示す概念図である。
【図5】図1に示すICカードの製造工程を示す断面図である。
【図6】図1に示すICカードの製造工程を示す断面図である。
【図7】図1に示すICカード及びこれが用いられるリーダライタの等価回路図である。
【符号の説明】
10…ICカード(無線情報記憶媒体)
100…アンテナコイル
110…回路パターン
120…ICチップ
121…整流回路,122…電源安定化回路,123…変復調回路,
124…変復調回路,125…メモリ,126…シーケンサ,Z…負荷
130…異方性導電膜
140,140a〜140d…同調用コンデンサ
150…第1の補強用金属板
155…第2の補強用金属板
160…フィルム基板(基板)
170…バンプ
180…実装部
190…封止用樹脂
20…リーダライタ
200…アンテナコイル
210…変復調回路
220…CPU
【発明の属する技術分野】
本発明は、非接触ICカードなどの無線情報記憶媒体及びこれを用いた無線情報送受信装置に関し、特に、同調コンデンサを有する無線情報記憶媒体の実装構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の無線情報記憶媒体(以下、ICカードとも言う。)は、プラスチック製カード基板の主面に、ループアンテナと、このループアンテナの端子に接続されたICチップと、同調用コンデンサとが形成されたものであり、乗車券の改札や入退室管理装置などに利用されている。
【0003】
この非接触ICカードを別設のリーダライタ(読み出し書き込み装置)のループアンテナに近づけると、電磁誘導によってICカード側のループアンテナの端子に誘導電圧が生じ、ICチップは安定化された電源電圧を得て、変調波を復調することでリーダライタからの送信データを受信する。また、ICチップ内のメモリに格納されたデータをリーダライタへ送るときは、ICチップ内の負荷をデータによって変動させることでループアンテナの終端インピーダンスを切り換え、リーダライタはこの負荷変動を検出し復調することでICカードからのデータを受信する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、こうした非接触ICカードを製造する際、アンテナコイルの信号周波数fを同調させるためのコンデンサも基板に形成されている。アンテナコイルの信号周波数fは、コンデンサ静電容量C、アンテナコイルのインダクタンスLとしたときにf=1/(2π√(LC))で表されるので、コンデンサ静電容量を調節することでアンテナコイルの信号周波数を同調していた。
【0005】
具体的には、基板を構成するポリイミドフィルムやポリエチレンナフタレートフィルムを絶縁体とし、このポリイミドフィルムの両面に銅やアルミニウムの電極を形成することで基板にフィルムコンデンサを造り込んでいた。
【0006】
しかしながら、こうした構造のフィルムコンデンサでは、ポリイミドフィルムやポリエチレンナフタレートフィルムの厚さが製造上不均一であるため静電容量の精度が低く、実際にはトリミングを行うことで最終的な静電容量を微調整する必要があった。
【0007】
また、ポリイミドフィルムやポリエチレンナフタレートフィルムのコンデンサでは温度変化にともない誘電正接(tanθ)の変動量が大きいので、同調用コンデンサの温度特性が満足できないといった問題もあった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、トリミングなどの後処理が不要で、高精度の静電容量を有する同調コンデンサを簡単に実装できる薄い無線情報記憶媒体及びこれを用いた無線情報送受信装置を提供することを目的とする。
【0009】
本発明によれば、アンテナコイルを含む回路パターンが形成された基板と、電極が前記アンテナコイルの回路パターンに接続されるように前記基板に実装されたICチップと、電極が前記アンテナコイルの回路パターンに接続されるように前記基板に実装され、前記アンテナコイルの信号周波数を調整する同調用積層型チップコンデンサとを有する無線情報記憶媒体であって、前記積層型チップコンデンサが、異方性導電膜を介して前記回路パターンに実装されている無線情報記憶媒体が提供される。
【0010】
本発明では、同調用コンデンサとして積層型チップコンデンサを用い、これを異方性導電膜を介して回路パターンに実装する。
【0011】
積層型チップコンデンサは、静電容量の製造精度が±10%であるフィルムコンデンサに比べ、静電容量の製造精度が±2%乃至±5%と高いものが使用でき、また±0.5%といった極めて製造精度の高いものも使用可能なので、トリミングなどの後処理を行うことなく同調精度を満足することができる。また、積層型チップコンデンサは、フィルムコンデンサに比べて温度変化にともなう誘電正接の変動量が少ないので、環境温度に拘わらず優れた温度特性を発揮することができる。さらに、積層型チップコンデンサはフィルムコンデンサに比べて厚いが、回路パターンとの実装に異方性導電膜を用いているので無線情報媒体を薄く構成することができる。しかも、積層型チップコンデンサは、フィルムコンデンサに比べて二次元的面積が著しく小さいので、ICチップと同時に封止することができ、その結果、ICチップと同調用コンデンサとを小型モジュールとして構成することができ、カード化の自由度が著しく増加する。
【0012】
上記発明においては特に限定されないが、前記ICチップを、異方性導電膜を介して前記回路パターンに実装することもできる。
【0013】
積層型チップコンデンサに加えてICチップも異方性導電膜を介して回路パターンに実装することで、半田リフロー工程による高温処理を行う必要がなくなり、高温処理による基板の熱収縮を防止することができる。
【0014】
上記発明においては特に限定されないが、前記回路パターンの前記積層型チップコンデンサの実装位置に、金製バンプ、半田製バンプ、半田メッキまたは半田ボールを形成することもできる。
【0015】
異方性導電膜は圧着方向に導電性を有するので異方性導電膜単独でも導電性を確保できるが、回路パターンの積層型チップコンデンサの実装位置に金製バンプ、半田製バンプ、半田メッキまたは半田ボールを形成することで、積層型チップコンデンサと回路パターンとの導通性の信頼性がより高まることになる。
【0016】
上記発明においては特に限定されないが、前記ICチップおよび前記積層型チップコンデンサの表面を第1の補強用金属板で被覆することもできる。
【0017】
また、上記発明においては特に限定されないが、前記ICチップが実装された基板の裏面を第2の補強用金属板で被覆することもできる。
【0018】
ICチップと積層型チップコンデンサとを第1の補強用金属板及び/又は第2の補強用金属板で被覆することで、基板の表裏両面からの曲げ、荷重又は衝撃に対する耐久性が著しく高くなり、携帯用カードなどに応用して好ましいものとなる。また、一つの補強用金属板でICチップと積層型チップコンデンサの両方を同時に保護することができるので生産性にも優れている。
【0019】
この場合、前記積層型チップコンデンサを、前記ICチップの周囲に実装することが好ましく、前記積層型チップコンデンサを、前記ICチップの周囲に略等しい角度で放射状に実装することがより好ましい。
【0020】
ICチップと積層型コンデンサとの厚さが相違しても、ICチップの周囲、特に略等しい角度で放射状に積層型チップコンデンサを実装することで、第1の補強用金属板が傾くことなく平坦になり、基板全体を平坦化することができる。
【0021】
上記発明においては特に限定されないが、前記第1の補強用金属板を前記基板に固定するにあたり、電気絶縁性フィラーを含有する封止用樹脂を用いることもできる。
【0022】
電気絶縁フィラーを含有する封止用樹脂で第1の補強用金属板を固定することで、第1の補強用金属板と積層型チップコンデンサとの間に電気絶縁フィラーが介在することになり、積層型チップコンデンサの両電極間が第1の補強用金属板を介して短絡することが防止できる。
【0023】
上記発明に係る無線情報記憶媒体は、当該無線情報記憶媒体と読み出し書き込み装置とを相対的に近接させたときの、前記無線情報記憶媒体のアンテナコイルと前記読み出し書き込み装置のアンテナコイルとの結合によって誘起される高周波信号により動作を開始し、前記高周波信号を介してデータの送受信を行う無線情報送受信装置に適用することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1は本発明の無線情報記憶媒体の実施形態であるICカードを示す全体平面図、図2は図1に示すICカードのICチップ及び同調用コンデンサの実装部を拡大して示す平面図、図3は図1のIII−III線に沿う断面図、図4は図3のIV部を拡大して示す概念図、図5および図6は図1に示すICカードの製造工程を示す断面図、図7は図1に示すICカード及びこれが用いられるリーダライタの等価回路図である。
【0026】
まず、図7を参照して本実施形態のICカードを用いた無線情報送受信装置の一例を説明する。同図に示すように、ICカード10には、アンテナとなるアンテナコイル100と、ICチップ120と、アンテナの信号周波数を同調させるための同調用コンデンサ140(同図では140a〜140d)とが設けられている。
【0027】
ICチップ120には、整流回路121,電源安定化回路122,変復調回路123,124,メモリ125,CPU又はシーケンサ126が内蔵されている。メモリ125へのデータの書き込みやメモリ125からのデータの読み出しは、リーダライタ20との無線通信により行われる。
【0028】
リーダライタ20は、アンテナとなるアンテナコイル200と、変復調回路210と、CPU220とを備え、ICカード10への送信時には、送信データによって13.56MHzのキャリアを変調した電流をアンテナコイル200に流し、ICカード10からの受信時には、無変調の電流をアンテナコイル200に流す。
【0029】
そして、ICカード10をリーダライタ20のアンテナコイル200に近づけると、電磁誘導によりICカード10内のアンテナコイル100の端子に誘導電圧が生じ、ICチップ120はその誘導電圧から安定化した電源電圧を得て、変調波を復調することでリーダライタ20から送られてきた送信データを受信する。
【0030】
逆に、ICカード10のメモリ125に記憶されたデータをリーダライタ20に送信する場合には、ICカード10側でデータによって負荷Zを変動させ、リーダライタ20がICカード10のアンテナコイル100の負荷変動を検出し復調することで、ICカード10からのデータがリーダライタ20に送信される。
【0031】
このようにして、ICカード10とリーダライタ20との間でデータの送受信が行われ、そのデータに応じてリーダライタ20の上位機種であるホストコンピュータや情報処理装置は、乗車券の改札や入退室管理を行うことができる。
【0032】
本例のICカード10は、図1乃至図3に示すように、ポリイミド(PI)又はポリエチレンナフタレート(PEN)などの樹脂で構成されたフィルム基板160を有する。このフィルム基板160は、たとえば厚さが25μmである。このフィルム基板160の一主面の外周付近には、銅製又はアルミニウム製のアンテナコイル100が形成されている。また、アンテナコイル100の両端子には、ICチップ120と同調用コンデンサ140とを実装する実装部180が同じ銅製又はアルミニウム製の回路パターンで形成されている。これらアンテナコイル100及び実装部を構成する回路パターン110は、たとえば厚さが16μmである。
【0033】
フィルム基板160と回路パターン110は、所定の大きさに形成されたPIフィルム又はPENフィルムに銅箔又はアルミニウム箔を貼り付けたシートの銅箔又はアルミニウム箔に対して、所望の回路、すなわち図示するアンテナコイル100及び実装部180をパターニングし、エッチングにより不要な部分を除去することで作製することができる。
【0034】
図3に示す実装部180の回路パターン表面の実装位置、具体的にはICチップ120の電極端子と積層型チップコンデンサ140の電極端子1402に接触する位置には、図4(A)に拡大して示すように、金製バンプ、半田製バンプ、半田メッキまたは半田ボールが形成されている。これらバンプ170、メッキ又はボールを形成することで、ICチップ120の電極端子及び積層型チップコンデンサ140の電極端子と回路パターンとの導電信頼性がより確実なものとなる。ただし、後述する異方性導電膜130のみによっても導電性は確保できるので、必要に応じてバンプ170、メッキ又はボールなどを省略してもよいし、ICチップ120または積層型チップコンデンサ140の何れか一方の電極端子との接触位置にのみ設けてもよい。
【0035】
また実装部180の回路パターン表面には、異方性導電接着剤が硬化した異方性導電膜130が形成されている。異方性導電接着剤とは、絶縁性接着剤の中に加圧方向に電気接続する導電粒子を分散させたペースト剤であり、この異方性導電接着剤を実装部180に塗布したのち実装すべき電子部品(ここではICチップ120および同調用コンデンサ140)を加圧しながら硬化させることで、加圧方向にのみ電気接続され、それ以外の方向には絶縁され、しかも電子部品を実装できるといった、導電・絶縁・接着の3機能を併せ持つものである。本例では、絶縁性接着剤として熱硬化性樹脂を用い、これに導電粒子を分散させた異方性導電接着剤を実装部180の全面に塗布し、ICチップ120と同調用コンデンサ140a〜140dをそれぞれの実装位置にマウントして加圧しながら300℃程度で加熱することで異方性導電接着剤を硬化させる。なおここでは、塗布前のペースト状のものを異方性導電接着剤と称し、これが硬化したものを異方性導電膜130と称するが、実質的には同じものである。
【0036】
実装部180の回路パターン110には、1つのICチップ120と4つの同調用コンデンサ140a〜140dが上述した異方性導電膜130を介して実装されている。なお、同調用コンデンサ140の数は4つに限定されないが、好ましくは2つ以上のコンデンサを、好ましくはICチップ120の周囲に均等角度をもって実装する。本例では、図2に示すように4つの積層型チップコンデンサ140a〜140dをICチップ120の周囲に約90度の位相角で配置している。これは以下の理由による。すなわち、図3に示すように積層型チップコンデンサ140の厚さが300μmであるのに対しICチップ120の厚さが175μmであるため、後述する第1の補強用金属板150で被覆するとICチップ10と積層型チップコンデンサ140との高低差によって第1の補強用金属板150が傾き、ICカード10の表面が平坦にならず、第1の補強用金属板150の表面に被覆する保護外装膜に皺や気泡の混入が生じるおそれがある。本例のように、ICチップ120の周囲にほぼ等しい位相角で積層型チップコンデンサ140を配置すれば、ICチップ120と積層型チップコンデンサ140に高低差があっても第1の補強用金属板150はフィルム基板160とほぼ平行に固定され、その結果ICカード10の表面が平坦となる。
【0037】
本例の同調用コンデンサ140としては、積層型チップコンデンサが採用されている。積層型チップコンデンサ140は、中央部分が複数の絶縁層と電極層とが交互に積層されて構成され、両端に電極端子1402が形成されたもので、厚さが300μm程度であり、フィルムコンデンサに比べて厚みがあるが、静電容量の製造精度が±2%〜±5%、高精度品にあっては±0.5%と著しく高い。
【0038】
たとえば、同調に必要なコンデンサ容量が34pFであるとき、積層型チップコンデンサとして33pFの市販品と1pFの市販品を使用するとする。ただし、同調に必要なコンデンサ容量に応じて使用する積層型チップコンデンサの数は適宜選択できる。ここで、市販されている通常精度品は静電容量の精度が±5%であるため、全て通常品を用いるとすると(33pF±1.65pF)+(1pF±0.05pF)となり、この結果静電容量は、32.3pF〜35.7pFとなるが、33pFのコンデンサだけ±2%の高精度品を用いれば、(33pF±0.66pF)+(1pF±0.05pF)となり、この結果静電容量は、33.29pF〜34.71pFとなる。これに対してフィルムコンデンサの静電容量の精度は±10%程度であるため、静電容量は34pF±3.4pF、すなわち30.6pF〜37.4pFとなり、その差は歴然としている。
【0039】
また、積層型チップコンデンサ140は、フィルムコンデンサに比べて温度特性に優れているので、高温下や低温下においても誘電正接のバラツキが小さく、アンテナコイルの信号周波数が安定するといった利点がある。
【0040】
ICチップ120は、図7の等価回路に示す回路が形成された半導体集積回路であり、異方性導電膜130を介して電極端子が回路パターン110に実装される。このICチップ120と上述した4つの積層型チップコンデンサ140の上面には、これらを被覆するように、ステンレスなどから構成された第1の補強用金属板150が、封止用樹脂190により接着されている。また、この第1の補強用金属板150に相当するフィルム基板160の裏面にも、同じくステンレス製の第2の補強用金属板155が封止用樹脂により接着されている。なお、第2の補強用金属板155は必要に応じて省略してもよい。
【0041】
これら第1の補強用金属板150および第2の補強用金属板155をICチップ120および積層型チップコンデンサ140の実装部180の表裏に固定することで、ICカード10に曲げ力や荷重あるいは衝撃が作用してもICチップ120および積層型チップコンデンサ140を保護することができ、ポケットの中や定期入れに入れて携帯するにも充分に耐え得るICカード10となる。
【0042】
上述した第1の補強用金属板150および第2の補強用金属板155を固定するための封止用樹脂は、たとえば熱硬化型一液性エポキシ樹脂などを用いることができるが、チッ化ケイ素や炭酸カルシウムなどの絶縁性フィラーを含有する樹脂であることが望ましい。特に第1の補強用金属板150を固定する封止用樹脂にあっては、図4(B)に拡大して示すように、第1の補強用金属板150と積層型チップコンデンサ140の電極端子1402,1402とが接触する可能性があるので、封止用樹脂に絶縁性フィラーを混入しておくことで、第1の補強用金属板150と積層型チップコンデンサ140の電極端子1402との間の絶縁性を絶縁性フィラーにより確保し、コンデンサ140の電極端子1402,1402同士の短絡を防止することができる。
【0043】
次に図5および図6を参照しながら本例のICカード10の製造方法について説明する。なお、以下に述べる具体的数値や材料・材質は本発明の理解を容易にするための一例であって、本発明を限定するものではない。
【0044】
厚さが25μmのポリイミドフィルムの一主面に厚さが16μmの銅箔を貼り付けた所定の大きさのシートを用意し、このシートの銅箔に対して、回路パターン110、すなわち図示するアンテナコイル100及び実装部180をパターニングし、エッチングにより不要な銅箔部分を除去する。これにより、図5(A)に示すようなポリアミド製フィルム基板160の一主面に銅製回路パターン110が形成されたシートが得られる。このシートは、目的とするICカード10の大きさであってもよいが、大量生産する場合は、ICカード10が多数個取りできる大きさとし、最終工程でICカード10の大きさに切断することが望ましい。なお、ポリイミド製フィルム基板160に銅製回路パターン110を形成したシートに代えて、ポリエチレンナフタレート製フィルム基板にアルミニウム製回路パターンを形成したシートを用いることもできる。
【0045】
次に、回路パターン110の実装部180の、ICチップ120の電極端子および積層型チップコンデンサ140の電極端子の接触位置に金製のスタッドバンプ170を形成する。バンプはスタッドバンプの他、ウェーハバンプ、転写バンプ、メサバンプ、ボールバンプ等、各種形成方法がある。
【0046】
次いで、回路パターン110の実装部180の全体に、異方性導電接着剤を塗布する。図5(B)に未硬化の異方性導電接着剤を130で示す。この異方性導電接着剤はICチップ120の電極端子と積層型チップコンデンサ140の電極端子に接触する位置に塗布されていればよいので必ずしも実装部180の全体に塗布する必要はないが、逆に実装部180の全体に塗布されていても何らの問題も生じないので、塗布作業性の面から実装部180の全体に塗布するか、必要部位のみに塗布するかを決定すればよい。
【0047】
次いで、図5(C)に示すようにICチップ120と4つの積層型チップコンデンサ140a〜140dを実装部180に実装する。このときICチップ120と積層型チップコンデンサ140を回路パターン110の方向へ加圧しながら、300℃程度で加熱することで異方性導電接着剤を硬化させ異方性導電膜130とする。この加圧接着により、ICチップ120の電極端子および積層型チップコンデンサ120の電極端子と金製バンプ170とが確実に接触するとともに異方性導電接着剤に含まれた導電粒子が電気接続され、しかもICチップ120と積層型チップコンデンサ140が回路パターン110に固定されることになる。なお、ここでは異方性導電接着剤を硬化させて異方性導電膜を形成したが、フィルム状の異方性導電膜を用いてICチップ、積層型チップコンデンサをフィルム基板に実装してもよい。
【0048】
次いで、図6(D)に示すように、ICチップ120と積層型チップコンデンサ140が実装された実装部180の表面全体および裏面全体に、絶縁性フィラーを含有する封止用樹脂190を塗布する。ここで、実装部180の表面に塗布する封止用樹脂の塗布量は次の工程で第1の補強用金属板150を固定したときに、当該第1の補強用金属板150と実装部180の表面との間に封止用樹脂が充分に充填される量とする。これに対して、実装部180の裏面に塗布する封止用樹脂190の塗布量は、次の工程で固定される第2の補強用金属板155が接着でき得る量で足りる。
【0049】
次いで、図6(E)に示すように、塗布された封止用樹脂190の上に第1の補強用金属板150と第2の補強用金属板155とをそれぞれ被せたのち、封止用樹脂190を硬化させる。これにより、実装部180が表裏面から第1の補強用金属板150および第2の補強用金属板155で保護されることになり、耐久性に優れたICカード10を得ることができる。また、4つの積層型チップコンデンサ140はICチップ120の周囲にほぼ等しい位相角で実装されているので、第1の補強用金属板150はフィルム基板160とほぼ平行に固定され、ICカード10の表面の平坦性を確保することができる。さらに、絶縁性フィラーを含有する封止用樹脂190で第1の補強用金属板150を接着するので、コンデンサ140の電極端子1402,1402同士の短絡を防止することができる。
【0050】
以上でICカード10を得ることができるが、必要に応じてこのICカード10の表裏面に、エポキシ樹脂などから構成される充填樹脂層や、さらにポリエチレンテレフタレートなどからなる外装樹脂層などを形成してもよい。
【0051】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0052】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、トリミングなどの後処理が不要で、高精度の静電容量を有する同調コンデンサを簡単に実装できる薄い無線情報記憶媒体及びこれを用いた無線情報送受信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の無線情報記憶媒体の実施形態であるICカードを示す全体平面図である。
【図2】図1に示すICカードのICチップ及び同調用コンデンサの実装部を拡大して示す平面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図3のIV部を拡大して示す概念図である。
【図5】図1に示すICカードの製造工程を示す断面図である。
【図6】図1に示すICカードの製造工程を示す断面図である。
【図7】図1に示すICカード及びこれが用いられるリーダライタの等価回路図である。
【符号の説明】
10…ICカード(無線情報記憶媒体)
100…アンテナコイル
110…回路パターン
120…ICチップ
121…整流回路,122…電源安定化回路,123…変復調回路,
124…変復調回路,125…メモリ,126…シーケンサ,Z…負荷
130…異方性導電膜
140,140a〜140d…同調用コンデンサ
150…第1の補強用金属板
155…第2の補強用金属板
160…フィルム基板(基板)
170…バンプ
180…実装部
190…封止用樹脂
20…リーダライタ
200…アンテナコイル
210…変復調回路
220…CPU
Claims (9)
- アンテナコイルを含む回路パターンが形成された基板と、
電極が前記アンテナコイルの回路パターンに接続されるように前記基板に実装されたICチップと、
電極が前記アンテナコイルの回路パターンに接続されるように前記基板に実装され、前記アンテナコイルの信号周波数を調整する同調用積層型チップコンデンサとを有する無線情報記憶媒体であって、
前記積層型チップコンデンサが、異方性導電膜を介して前記回路パターンに実装されている無線情報記憶媒体。 - 前記ICチップが、異方性導電膜を介して前記回路パターンに実装されている請求項1記載の無線情報記憶媒体。
- 前記回路パターンの前記積層型チップコンデンサの実装位置に、金製バンプ、半田製バンプ、半田メッキまたは半田ボールが形成されている請求項1記載の無線情報記憶媒体。
- 前記ICチップおよび前記積層型チップコンデンサの表面を被覆する第1の補強用金属板をさらに有する請求項1記載の無線情報記憶媒体。
- 前記ICチップが実装された基板の裏面を被覆する第2の補強用金属板をさらに有する請求項4記載の無線情報記憶媒体。
- 前記積層型チップコンデンサが、前記ICチップの周囲に実装されている請求項4記載の無線情報記憶媒体。
- 前記積層型チップコンデンサが、前記ICチップの周囲に略等しい角度で放射状に実装されている請求項6記載の無線情報記憶媒体。
- 前記第1の補強用金属板は、電気絶縁性フィラーを含有する封止用樹脂により前記基板に固定されている請求項4記載の無線情報記憶媒体。
- 請求項1乃至8の何れかに記載の無線情報記憶媒体と、読み出し書き込み装置とを備えた無線情報送受信装置であって、
前記無線情報記憶媒体と前記読み出し書き込み装置とを相対的に近接させたときの、前記無線情報記憶媒体のアンテナコイルと前記読み出し書き込み装置のアンテナコイルとの結合によって誘起される高周波信号により動作を開始し、前記高周波信号を介してデータの送受信を行う無線情報送受信装置。
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