JP2004012411A - 発光検出装置 - Google Patents

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釜掘 政男
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原田 邦男
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Abstract

【課題】多数サンプルを同時に高感度検出する小型で簡便なDNA配列検出、及び変異検出装置を提供する。
【解決手段】DNA伸長反応及び生物発光反応を行う複数の反応セル27と、反応セルからの発光を検出する光検出素子29を1対1で垂直方向で対応するように密着配置する。さらに、複数の反応セルと試薬注入を行うキャピラリ25を1対1で垂直方向で対応するように配置し、反応セルへの一括同時試薬注入を上部垂直方向から行い、反応セルからの発光検出を下部垂直方向から行う。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体試料と試薬との反応によって放出される発光を検出する発光検出装置に関し、特に、被検体のDNA中に含まれる特定の配列の検出、遺伝子の多型性の検出、1塩基置換(SNPs:Single Nucleotide Polymorphisms)分析等をDNAに相補鎖結合したプライマーの伸長反応時に生成するピロリン酸(PPi:Pyrophosphoric acid)を生物発光検出することにより解析するのに有用な発光検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の塩基配列解析技術の著しい進歩により、ヒトゲノムの全塩基配列がほぼ解析され、そのDNA塩基配列情報を医療等に幅広く利用しようとする動きが活発である。特に、ゲノムに存在する特定配列の有無の検査や特定の配列に存在するSNPsの検出が重要な課題となっている。ゲノム中の1塩基置換は約1000塩基に1つあるといわれており、各個人について膨大な数の1塩基置換が存在する。これらの1塩基置換は各個人の特性(各人の個性や医薬品に対する感受性等)に関与していると考えられ、これら1塩基置換の解析は、個人の体質に合わせたテーラーメイド医療等の発展に寄与すると期待されている。
【0003】
現在、様々なSNPsタイピング技術が開発され、使用されている。例えば、(1)DNAプローブがミューテーションの期待される位置で5’ヌクレアーゼ活性を有する酵素で切断されるように工夫し、酵素による分解物を蛍光標識して高感度に分析するTaqmanPCR法やInvader法、(2)ジェノタイピングプライマーをターゲットDNAにハイブリダイズさせて1塩基だけ相補鎖伸長反応を行ない、相補鎖伸長反応生成物を質量分析するMALDI−TOF/MS法(Matrix Assisted Laser Desorption Ionization−Time of Flight/Mass Spectroscopy)、(3)環状1本鎖DNAの生成の有無に基づく増幅反応によりSNPsの存在を調べるRCA(Rolling circle amplification)法、(4)特定の塩基配列に特異的にハイブリダイズするジェノタイピングプライマーをターゲットDNAにハイブリダイズさせて相補鎖伸長反応を行ない、変異の有無により生じた相補鎖伸長反応生成物をゲル電気泳動で分析するSNP−ARMS(Amplification refractory mutation system)法、等がある。これらの方法は、蛍光検出を行うための蛍光色素及びレーザ光源、生成物を電気泳動分離するための高圧電源、生成物を質量分析する質量分析装置等を必要とする。
【0004】
一方、蛍光色素、レーザ光源、高圧電源、質量分析装置等を必要としない、生物・化学発光を用いた検出方法も開発され、使用されつつある。例えば、(5)ターゲットDNAにプライマーをハイブリダイズさせ、相補鎖伸長反応で生成するピロリン酸をATPに変え、ATPにルシフェリンを作用させて発光させ、この生物発光を検出することにより、相補鎖伸長反応で取り込まれた基質(dNTP)を知り、プライマーの隣接部位から、順次、塩基配列決定を行うピロシーケンシング法や、ピロシーケンシング法を利用したSNPs検出法(Anal. Biochemistry 280, (2000)103−110)、(6)ターゲットDNAに人工ミスマッチプライマーをハイブリダイズさせ、プライマーの一方向の伸長反応に伴って、n個の塩基伸長により遊離するn個のピロリン酸をATPに変え、ATPにルシフェリンを作用させて発光させ、この生物発光を検出することにより、相補鎖伸長反応の有無を知り、SNPs検出を行う方法(特開2002−101899号公報)等がある。これらの生物発光を用いる検出方法は、装置の小型化・低コスト化が容易であり、簡便で大量処理に適した方法として注目を集めている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術の中で、低ランニングコストでかつ高スループットな解析を可能にするのは生物発光検出法を用いた(5)及び(6)の方法である。これらの検出方法を利用すると、測定に必要な試薬を加え、その際生じる生物発光強度を測定することにより生体試料をDNA解析できる小型で安価な装置が実現可能である。
【0006】
上記の生物発光を用いたDNA解析法で一つのサンプルを測定する場合には、光電子倍増管を用いて小型の装置を作製することは容易である(Electrophoresis, 22 (2001) 3497−3504)。しかし、多数のサンプルを同時に測定する場合には、光電子倍増管を用いて時分割にスキャンするか、あるいはCCDカメラを用いて同時計測しなければならず、検出部分が大型で高価になる問題があった(WO99/66313)。光電子倍増管を用いて時分割測定する場合には、検出感度が測定サンプル数に比例して低下する問題がある。また、CCDカメラを用いた測定の場合には、通常、サンプルプレートには9mmピッチの96穴サンプルプレートか4.5mmピッチの384穴サンプルプレートを使用する。これらのサンプルプレートを一括検出するためには、検出部に1/4−1/8の縮小光学系を用いなければならず、検出感度が1桁以上低下する問題がある。
【0007】
また、上記の生物発光検出法を用いたDNA解析法は、生物発光を検出する検出部の他に微量試薬を同時に加える装置も必要であるが、小型で簡便な手法がない。特に、試薬コスト低減のために、反応容積を5μL以下にすると、加える試薬量は0.1μL以下になり、0.1μL以下の微量試薬を再現良く、複数の反応セルに同時に注入する機構が必要であるが、現在のところ、このような微量同時送液機構は知られていない。その際、マイクロリッターオーダーの微量溶液を取り扱うため、溶液が直ぐに蒸発する問題もある。
本発明の目的は、ランニングコストが安く、複雑な光学系及び送液系を使用せず、多数サンプルを同時に高感度検出できる小型で簡便な生体試料の発光検出装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による発光検出装置は、1次元的又は2次元的に配列された透明な底部を有する複数の反応セルを備える反応槽と、反応槽の上方に位置し、下面に複数の反応セルと一対一に対応付けられる複数本のキャピラリを備える送液部と、送液部を反応槽に対して上下方向に駆動する駆動部と、反応セルと一対一に対応して反応槽の下面に近接して配列された複数の光検出素子を有する光検出部とを含み、反応槽の各反応セル内で発生する発光を光検出部の複数の光検出素子によって個別に検出することを特徴とする。
【0009】
反応槽の複数の反応セルと反応セルから生じる生物発光等の発光を検出する検出素子を1対1で垂直方向で対応するように密着して配置する構造を採用することにより、複雑な光学系を使用せずに高集光効率で発光を検出できるため、簡便に高感度化が達成できる。また、反応セルへの試薬注入を反応槽の上部垂直方向から行い、反応セルからの生物発光等の発光検出を反応槽の下部垂直方向から行うことにより、装置の小型化及び大きな受光立体角の確保し、小型で高感度な装置を実現できる。更に、複数の反応セルと試薬注入を行う送液部を1対1で垂直方向で対応するように配置することで、複雑な駆動部を用いない簡単な装置構成で一括同時反応・検出を実現できる。
反応槽と検出部が密着することにより問題となる静電誘導によるノイズ(微小擬電流)を除去するために、反応槽と光検出部との間に接地した光透過性の導電膜を配置するのが好ましい。
【0010】
送液部は、試薬を入れる試薬容器と、試薬容器と複数本のキャピラリとを連通する流路と、試薬容器内を加圧する加圧手段とを備え、キャピラリを流量制御用部材とし、加圧手段によって試薬容器内を所定時間加圧する定圧加圧送液法によって複数本のキャピラリの先端から複数の反応セルに試薬を均等に送液するのが好ましい。定圧加圧方式は、3気圧以上の高圧ボンベ、またはコンプレッサ等の圧力源からの圧縮空気(1〜2気圧程度)を使用して、電磁弁等の圧力切り替え装置により数秒程度の圧力を加えることにより行なうことができる。
【0011】
また、マイクロリットルオーダーの微量反応溶液の乾燥による影響を低減するために、反応槽に送液部が駆動するときにだけ開き、それ以外のときには閉まっている可動式の蓋を取り付けるのが好ましい。すなわち、反応槽に設けられた複数の反応セルと同じ位置関係を有する複数の開口を備え反応槽の上面に配置される蓋を用意し、その蓋を、蓋の複数の開口と反応槽の複数の反応セルとが合致する位置と合致しない位置との間に駆動する駆動手段とを備えるのが好ましい。
【0012】
この発光検出装置は、利用の一態様において、反応槽の複数の反応セルに核酸試料を保持し、送液部は、試薬として、核酸試料の一部の配列に相補的な配列を含むプライマー、少なくとも1種のデオキシヌクレオチド(dNTP:N=A、T、G、C)又はこれらの類似体、DNAポリメラーゼ、ルシフェリン、ルシフェラーゼのいずれか一つ含む溶液を送液し、反応槽の反応セル内で、核酸試料に前記プライマーをハイブリダイズさせ、少なくとも1種の前記dNTP又はこれらの類似体と前記DNAポリメラーゼを用いた相補鎖伸長反応の進行により生成するピロリン酸をアデノシン5’−三リン酸(ATP)に変換し、ATPとルシフェリン、ルシフェラーゼとの反応により生成する生物発光を、光検出部の光検出素子で検出する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明による発光検出装置の一例の全体構成を示す説明図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は略断面図である。この発光検出装置は、装置中央に、上下方向(図中のZ方向)及び回転方向(図中のθ方向)に移動可能なθZステージ15が位置し、その周囲に反応槽17及び洗浄槽18,19,20が90゜間隔に配置されている。θZステージ15は、上部に90゜間隔で放射方向に延びる4つの腕を有し、各腕にはそれぞれディスペンサ11,12,13,14が固定されている。反応槽17はそれぞれ試料が入った複数の反応セルを備え、各反応セル内の試料はディスペンサ11,12,13,14から添加される反応試薬との間で発光反応を起こす。複数の試料から発生した発光は、反応槽17の下方に密着して配置された検出部16の光センサアレイによって個別に検出される。図1に示した装置は、96試料を同時に測定できる構成になっており、また、ピロシーケンシング法とSNPs解析法の両方に対応可能な装置構造になっている。
【0014】
ピロシーケンシング法の場合には、4個のディスペンサ11,12,13,14に異なった試薬(dNTP)をセットし、θZステージ15を回転、上下動して、光センサアレイ及び電流電圧変換増幅アンプを組み込んだ検出部16の上部に配置された反応槽17内に試薬を順番に吐出し、測定を行う。反応槽17内への試薬吐出後、ディスペンサ11,12,13,14は、洗浄及び乾燥防止のために、洗浄槽18,19,20中に先端を浸漬し待機している。洗浄槽18,19,20には洗浄液供給タンクから常に洗浄液が流入しており、あふれた洗浄水は廃液タンク21に流れ込むようになっている。洗浄液供給タンクは廃液タンク21の背後に位置し、図1(b)には現れてない。
【0015】
SNPs解析法の場合には、反応試薬の注入は1回だけであるので、各々のディスペンサに同一試薬をセットしておき、Zステージを上下して検出器上部の反応セル内に試薬を順次吐出し、測定を行う。その際、洗浄槽18,19,20の位置にも反応槽及び検出部を取り付ければ、最大384サンプルを同時に解析することが可能になる。
【0016】
図2は、図1の一部を示す詳細図であり、ディスペンサ11、反応槽17、及び光センサアレイ23の関係を示す断面図である。ディスペンサ11は、厚さ10mm×縦80mm×横120mmのアクリル板の厚さ方向中央に、縦方向12本、横方向1本の直径0.8mmの流路24を加工し、アクリル板に垂直に流量制御用のキャピラリ25を96本垂直に差し込んで接着して作製している。キャピラリ25には、内径25μm×外径360μm×長さ20mmのフューズドシリカキャピラリを使用した。ディスペンサ11は上部に反応試薬槽26を備え、反応試薬槽26の1ヶ所から供給する反応試薬を定圧加圧送液法によって96本のキャピラリ25の先端から均等に吐出することができる。
【0017】
図3は、ディスペンサのアクリル板に設けた流路24とキャピラリ25の接続部分の拡大図である。流路24は、アクリル板に、一方の端部から他方の端部に貫通する貫通穴を加工し、その後、両端部の開口をプラグで塞いで形成した。横方向1本の流路は、両端をネジ30a,30bで塞ぐ構造とし、空気抜きの機能を持たせた。キャピラリ25は、流路24に連通するように形成されたアクリル板底面の穴に先端を挿入し、接着剤でアクリル板に固定した。
【0018】
図1及び図2に示した反応槽17は、微少量(1〜10μL)用に9mmピッチで8×12列に直径2mmの反応セル用穴27を96ヶ所に設けた黒色石英ガラス板と、鏡面に仕上げた透明な石英ガラス板28を熱融着により張り合わせて作製したものである。石英ガラス板28の下面にはITO又はSnOからなる透明導電膜を蒸着してある。透明導電膜は接地される。
【0019】
光センサアレイ23は、反応槽17を用いて96サンプルを同時測定できるように、光検出素子(浜松ホトニクス製フォトダイオードS1133−01)29を9mmピッチで8×12列に配置したものである。本発明では、レンズ等を使用した複雑な光学系を使用せず、簡便な方式で集光効率を高めるために、光検出素子29を反応槽17に可能な限り近づけて受光角を大きくする密着型とし、部品数低減と光軸調整不要な簡単な構造で高集光効率を達成した。光センサアレイ23は、反応槽17の下面に密着して配置される。各光検出素子29の出力は、電流電圧変換増幅アンプ(BURR BROWN製OPA129UB)及び10GΩの抵抗を用いて、1×1010に増幅し、2段目のオペアンプ(ANALOG DEVICES製OP07)を用いてトータルゲイン4.5×1011に増幅した。
【0020】
図4は、光センサアレイ23中の8×12列、96個の光検出素子29と、それに接続されるアンプ基板30の接続状態を示す図である。反応槽17中の9mmピッチの反応セル27に1対1に対応できるように、アンプ基板30は幅と厚さ方向の寸法が9mmに収まるように製作した。1列8個の光検出素子29からの検出信号を1枚のアンプ基板30で受け持つようにし、合計12枚のアンプ基板を用いた。
【0021】
反応セル27は内径2mm、深さ3mmで、使用する反応溶液の体積が約4μLであるので、石英ガラス板28から反応溶液の液面まで長さは約1.5mmである。本発明で使用した光検出素子29(浜松ホトニクス製S1133−01)の受光面は2.4×2.6mmである。本実施の形態の条件下での受光効率の計算値を図5に示す。本条件下では、反応溶液の底面から受光面までの距離は1.4mmであり、約7%の受光効率である(この値は実験値から計算した値とほぼ同じであった)。本装置構成によると、レンズ等を使用した複雑な光学系を必要とすることなく、密着方式という簡便な方式で受光立体角を大きくし(高集光効率)、部品数低減と光軸調整不要な簡単な構造を実現できることが分かる。
図2には、専用の反応槽17を用いた装置例を示したが、反応槽として、市販されている通常のマイクロタイタープレートを用いてもよい。その場合には、クロストーク防止用の仕切りを兼ねたセルホルダを使用するとよい。
【0022】
図6は、反応槽として市販のマイクロタイタープレートを用いた場合の反応槽の部分の分解組立図である。なお、図6には、マイクロタイタープレートの各反応セル(ウェル)に試薬を供給するディスペンサ11も合わせて図示した。また、図7は、マイクロタイタープレート41、セルホルダ43、導電性光透過板45を組み合わせた状態の断面図である。
【0023】
クロストーク防止用の仕切りを兼ねたセルホルダ43は、遮光性の材料からなる板状部材であり、マイクロタイタープレート41の各反応セル42に対応する位置に穴44が設けられている。セルホルダ43は、セルホルダの各穴44に反応セル42の下方突出部が入るようにして、マイクロタイタープレート41に下方から押し込まれる。導電性光透過板45は、一方の面にITO又はSnOからなる透明導電膜を蒸着したガラス板であり、セルホルダ43の下面に接触配置される。導電性光透過板45の下には、図4に図示した光センサアレイ及びアンプ基板が設置される。光センサアレイ中のそれぞれの光検出素子には、その直上に位置する反応セルから発生する発光のみが入射し、他の反応セルから発生する発光は遮光性のセルホルダ43によって遮断されるため入射しない。
【0024】
次に、微量反応溶液を使用する場合に問題となる乾燥防止のための開閉式蓋について説明する。本発明では、反応槽17あるいは反応槽として用いるマイクロタイタープレートの上に、各反応セルの開口部を開閉できる蓋を設ける。
図8は、マイクロタイタープレートの上に開閉式の蓋を設けた例を示す概略図であり、図8(a)は概略平面図、図8(b)はその概略側断面図である。なお、セルホルダは図示を省略してある。本例の開閉式蓋は、マイクロタイタープレート41の上部及び側部を覆う固定蓋51と、その上を往復移動可能な移動蓋52から構成される。固定蓋51は、マイクロタイタープレート41の各反応セルに対応する位置に反応試薬添加用の穴51a(8×12=96個)を有する。移動蓋52は、固定蓋51の穴51aと同じ配置に反応セルの数だけ穴52aを有し、アクチュエータ53によって矢印方向に往復移動可能になっている。図は、移動蓋52の穴52aと固定蓋51の穴51aとが一致しないように移動蓋52が位置づけられ、各反応セル42が密閉されている状態を示している。このように反応セルを密閉状態に保つことで反応セル内の溶液の蒸発を防ぐことができる。反応セルに試薬を供給する時は、アクチュエータ53によって移動蓋52を、移動蓋52の穴52aが固定蓋51の穴51aと一致するように移動し、穴51aと52aが重なってできた開口部にディスペンサのキャピラリを挿入して試薬の注入を行う。
【0025】
図9は、図1に示した装置に開閉蓋を設けた例を示す図であり、図2に対応する図である。図9(a)は反応試薬を注入する前の状態を示しており、図9(b)は反応試薬注入時の状態を示している。
反応槽17は、上部に移動式の開閉式蓋61を有する。開閉式蓋61には、反応槽17内の反応セル27と同じ9mmピッチで同程度の窓用穴36(直径:約2mm)が形成されている。開閉式蓋61はアクチュエータ63によって図の左右方向に移動可能になっている。反応試薬注入前の状態では、図9(a)に示すように、ディスペンサ11に取り付けられた流量制御用キャピラリ25は、反応槽17の上部に位置しており、反応セル27の中心と開閉式蓋61の窓用穴61aの中心はずれている。すなわち、開閉式蓋61は閉じた状態にあり、反応槽17内の反応セル27は、開閉式蓋61により密閉された状態になる。従って、反応セル27内の溶液の蒸発が防止される。
【0026】
反応試薬注入時には、図9(b)に示すように、開閉式蓋61がアクチュエータ63によって約3mm横方向にずらされ、反応セル27の中心と窓用穴61aの中心が一致することにより、反応セル27の上部が開放される。その後、ディスペンサ11が下降し、流量制御用キャピラリ25の先端が反応セル27中に浸漬し、反応試薬槽26から反応試薬が注入される。反応終了後、ディスペンサ11は上昇し、開閉式蓋61が約3mm横方向にずれて密閉状態となる。
【0027】
ディスペンサ11中の反応試薬の送液(注入)は、定圧加圧管22(図1参照)を介してディスペンサ11内を一定圧力に加圧して送液を行う定圧加圧送液法により行う。図1において、定圧加圧管22は、電磁弁22aを介して図示しない高圧ボンベやコンプレッサ等の圧力源に接続されている。空気加圧送液法は定圧状態で流路系内に粘性流を発生させ、送液する方法である。そのため、使用する微小細管以外の部分の圧損が無視できるように微小細管の内径及び長さを設定すれば、加える圧力及び時間を制御することにより容易にサブμL以下の溶液を送液できる。本発明では、微小細管としてディスペンサ11に取り付けた流量制御用キャピラリ25を用いている。その際の送液量は、次のHagen−Poiseuilleの式に従う。
【0028】
Q=ΔP・π・r・t/(8μL)
ここで、ΔP:加えた圧力、r:微小細管の内径、t:圧力を加えた時間、μ:溶液の粘性、L:微小細管の長さである。
【0029】
測定に使用する反応液の体積は4.0μLであるため、注入量を0.1μL以下にして反応溶液の体積変化の影響を低減する必要がある。本実施の形態では、反応試薬槽と流量制御用キャピラリとの結合に使用する内径0.8mmの流路圧損の無視、大気圧程度(2気圧以下)の低圧力使用、加圧時間2秒以下、及び送液量0.1μL以下、の条件を満たすために、内径25μm、長さ20mmの流量制御用キャピラリ25を使用した。本条件下での加圧圧力と加圧時間との関係を図10に示す。圧力範囲0.5〜2.0×10Paで使用すれば、0.1μL以下の微小量の送液が定圧加圧時間2秒以下で行うことができる。注入量は1.0μL以上の個別再現性は、注入量を重さで計量可能であるが、注入量が0.1μL以下である場合には計量できない。そこで、ルシフェリン/ルシフェラーゼ系の生物発光系(信号ピーク形状を整えるためにATP分解酵素であるアピラーゼを加えてある)を応用して同時再現性を測定した。連続測定回数は20回である。測定は反応液に一定時間間隔(1分間隔)で試薬を注入し、発光強度の再現性を求めた。連続微小量注入のデータを図11に示す。反応液の体積は4.0μLで、試薬注入量は(a)0.01μL、(b)0.02μL、(c)0.05μL、である。その結果を表1に示す。微少量(0.01−0.05μL)の注入量再現性は3〜5%と良好であった。
【0030】
【表1】
Figure 2004012411
【0031】
本発明では反応槽と検出素子が密着し、高倍率のアンプを使用しているため、ディスペンサ11の上下駆動の際に静電誘導によるノイズ(微小擬電流)を生じる問題がある。このノイズを除去するために、反応槽17の下部に取り付けてある石英ガラス板28の下面にITO又はSnOからなる透明導電膜をコーティングしてある。透明導電膜は接地してある。本発明で使用した光透過性導電膜をコーティングした石英ガラス板の性能は、波長450〜600nmにおいて透過率90%以上、面積抵抗1000〜1500Ωである。
【0032】
図12は、光透過性導電膜をコーティングした石英ガラス板のノイズ除去効果を示す図である。通常の石英ガラス板を使用した場合には、図12(a)に示すようにディスペンサ11の上下駆動に伴い大きな擬似信号65,66が発生するが、光透過性導電膜をコーティングした石英ガラス板を使用した場合には、図12(b)に示すように擬似信号は全く無かった。
【0033】
図13は、本発明による発光検出装置の他の例を示す模式図である。これまで説明した装置例は、反応セルが2次元配置された反応槽を備える例であった。ここに説明する装置例は、反応セルが1次元的に配列された反応槽を用いるものである。図13は、4サンプル同時測定装置の外観を示している。また、図14は、密着型光センサと定圧加圧送液法を用いたディスペンサの構造を示す断面模式図である。
【0034】
本装置は、4サンプル用ディスペンサ71、4つの反応セル72を有する反応槽73、及び4サンプル用検出部74から構成されている。反応セル72には試料溶液83が入っている。ディスペンサ71は4つの反応試薬槽75を有しているため、基質(dNTP)を装着でき、ピロシーケンシングが測定可能な構成になっている。ディスペンサ71の下部に各反応セル72に対応した位置に4本づつ、合計16本の流量制御用キャピラリ76を接着してある。ディスペンサ71は、反応セル72の上部に位置しており、ディスペンサ71を上下に駆動して、反応セル72に反応試薬の注入を行う。1つの反応試薬槽の反応試薬82は、定圧加圧管81から加圧することによって4つの反応セル72に同時に供給することができ、また、4つの反応試薬槽の反応試薬のうち必要な試薬を必要なときに供給することができる。反応槽73の下部の石英ガラス板78の下面には静電ノイズ対策のために透明導電膜をコートしてある。検出部74は各反応セルに対応して4個の光検出素子(浜松ホトニクス製フォトダイオードS1133−01)79を備える。本装置をSNPs測定用に使用する場合には、4つの反応試薬槽75のうちの1つを使用すればよい。
【0035】
図15は、本発明の装置でDNA塩基配列解析を行う反応の概要を示す図である。本反応の原理は、DNAに相補鎖結合したプライマーの伸長反応時に生成する1個のピロリン酸(PPi)をルシフェリン/ルシフェラーゼ系の生物発光反応で検出するものである。以下に、図15を用いて反応スキームを説明する。
【0036】
測定対象の塩基部位91を有するターゲットDNA92に伸長反応用プライマー93をハイブリダイズさせる。ターゲットDNA92と伸長反応用プライマー93がハイブリダイズした状態にDNAポリメラーゼ94を用いて伸長反応を行う。その際、基質であるdNTP95を1種類づつ、順次加えていくと、伸長反応が起きた場合のみ、dNTP95からdNMP96とPPi97が生じる。この図の例では、基質がdTTPの場合である。伸長反応により生じたPPi97は、APS(アデノシン5’―ホスホスルフェイト)98存在下でATPスルフリラーゼ99により、SO 2−(硫酸イオン)100を生じて、ATP101に変換される。ATPスルフリラーゼ99により変換されたATP101は、O(酸素)102存在下でルシフェラーゼ103によるルシフェリン104の酸化反応に使用され、光(hν)105を発する。その際、CO(炭酸ガス)106が生じると共に、ATP101はPPi97とAMP107に、ルシフェリン104はオキシルシフェリン108に変換される。ルシフェリン/ルシフェラーゼ系の生物発光に伴い生じたPPi97は、再度APS98存在下でATPスルフリラーゼ99により、ATP101に変換され、発光反応が繰り返し起こり、発光は持続する。ピロシーケンシング法は、本反応においてdNTPを順番に繰り返し加え、発光の有無を検出しながら1個づつ塩基配列を決定していく方法(Afshin,Aら、Analytical Biochemistry 280 (2000) 103−110及びZhou,Gら、Electrophoresis 22(2001) 3497−3504参照)であり、本発明の装置を用いて容易に行うことができる。
【0037】
図16は、本発明の装置でSNPs測定を高感度に行う反応の概要を示す図である。本反応の原理は、DNAに相補鎖結合したプライマーの伸長反応時に生成する多数のピロリン酸(PPi)をルシフェリン/ルシフェラーゼ系の生物発光反応で同時に検出するものである。以下に、図16を用いて反応スキームを説明する。
【0038】
測定対象の塩基部位111を有するターゲットDNA112に伸長反応用プライマー113をハイブリダイズさせる。ターゲットDNA112の測定対象の塩基部位111と伸長反応用プライマー113の3’末端塩基114が相補的な結合を形成している状態でDNAポリメラーゼ115を用いて伸長反応を行う。その際、基質であるdNTP116を4種類同時に加えると、伸長反応用プライマー113の3’末端塩基114からn個の塩基伸長反応117が起こる。その際、dNTP116からdNMP118とPPi119が生じる。この図の例では、伸長反応用プライマー113の3’末端塩基114がTの場合にn個の塩基伸長反応が起こる。伸長反応により生じたn個のPPi119は、APS120存在下でATPスルフリラーゼ121により、SO 2−(硫酸イオン)122を生じて、ATP123に変換される。ATPスルフリラーゼ121により変換されたATP123は、O(酸素)124存在下でルシフェラーゼ125によるルシフェリン126の酸化反応に使用され、光(hν)127を発する。その際,CO(炭酸ガス)128が生じると共に、ATP123はPPi119とAMP129に、ルシフェリン126はオキシルシフェリン130に変換される。ルシフェリン/ルシフェラーゼ系の生物発光に伴い生じたPPi119は、再度APS120存在下でATPスルフリラーゼ121により、ATP123に変換され、発光反応が繰り返し起こり、発光は持続する。本方式は、ピロシーケンシング法と比較してn倍の感度が得られる。
【0039】
図16で説明した通常のプライマー伸長反応では、伸長反応の有無を伸長反応プライマーの3’末端の塩基で選択しているので、ミスマッチによる伸長反応が起き易いので、人工ミスマッチプライマーを用いたプライマー伸長法を用いると高感度でかつ高精度なデータが得られる。その原理を図17を用いて説明する。
【0040】
伸長反応プライマーの末端塩基種による相補鎖伸長反応の進行有無を正確にするために、人工ミスマッチプライマー131の3’末端から5’末端方向に3番目の塩基配列132にターゲットDNA133の塩基配列と相補的でない塩基種を導入してある。ターゲットDNA133の測定対象の塩基部位134と人工ミスマッチプライマー131の3’末端135が相補的である場合には、図中の矢印方向に伸長反応が起き、多数のPPI136を生じて発光137が起こる。ターゲットDNA133の測定対象の塩基部位134と人工ミスマッチプライマー139の3’末端140が相補的でない場合には、人工ミスマッチプライマー139の3’末端140は不安定となり、ターゲットDNA133から遊離してミスマッチ伸長反応はほとんど起こらず、発光しない(Zhou,Gら、Nucleic Acids Research 29 (2001) e93参照)。また、SNPs測定を高精度で行う場合には、サンプルDNA(2本鎖DNA)の両方の鎖について測定を行えば良い。さらに、ターゲットDNAとなるワイルトタイプ(野生型)とミュータント(変異型)に対応した伸長プライマーを使用すれば、さらに精度を上げることができる。
以下、本発明の装置でSNPs測定を行う方法を説明する。
【0041】
SNPs測定にはDNAサンプルとして以下に示すDNAサンプル(p53−wildtype及びP53−mutant)、及びジェノタイピング用プライマー(wild type用及びmutant用)を使用した。配列中の変異部位は下線で示している。尚、ジェノタイピング用プライマーは3’末端から3番目の塩基の種類がターゲットDNAの塩基配列と相補的でない塩基を有する人工ミスマッチプライマーを使用した。
【0042】
53−wild type
5’−CTTTC TTGCG GAGAT TCTCT TCCTC TGTGC GCCGG TCTCT CCCAG GACAG GCAC AACAC GCACC TCAAA GCTGT TCCGT CCCAG TAGAT TACCA−3’p53−mutant
5’−CTTTC TTGCG GAGAT TCTCT TCCTC TGTGC GCCGG TCTCT CCCAG GACAG GCAC AACAC GCACC TCAAA GCTGT TCCGT CCCAG TAGAT TACCA−3’ジェノタイピング用プライマー(wild type用)
5’−AACAGCTTTGAGGTGCGTGATT−3’
ジェノタイピング用プライマー(mutant用)
5’−AACAGCTTTGAGGTGCGTGATA−3’
【0043】
本発明で使用した反応試薬の種類及び試薬組成を表2に示す。尚、ここで使用した試薬濃度や反応溶液の分割は、測定法の一例であり、装置構成及びサンプルDNAに応じて適宜変更できる。
【0044】
【表2】
Figure 2004012411
【0045】
基質溶液A中には測定対象の中間物質と同一のピロリン酸が混在しており、測定の妨害となる。そのため、測定前にピロフォスファターゼ分解処理を行い混在するピロリン酸を分解除去し、ピロフォスファターゼを遠心ろ過(ミリポア、分画分子量;10000)で取り除いてろ液を使用した。但し、混在するピロリン酸は個体間や保存状態で大きくばらつくため、測定の前に混在するピロリン酸の量が一定レベル(1fmol)以下であることを確認して使用した。
【0046】
DNAサンプル(10−100fmol/μL)と1.5倍量のジェノタイピング用プライマーをアニーリングバッファー中(10 mM Tris−acetate buffer、pH7.75、2 mM magnesium acetate)でハイブリダイゼイション(94℃、20s→ 65℃、120s→ r.t.)を行い、DNAサンプル溶液を得た。
【0047】
SNPs測定は、反応セル中の反応溶液(4μL)に基質溶液A(1μL)とDNAサンプル溶液(50fmol、1μL)を加えて反応させ、約10秒後にディスペンサを用いて基質溶液B(0.1μL)を加えて発光反応を開始させ測定した。光センサの出力は自作の電流・電圧変換増幅器を介して、DAQ board(National Instruments製PCI−MIO−16XE−10)で測定した。信号計測はLabVIEW 6i(National Instruments製)を用いて行った。得られたデータを図18に示す。
【0048】
図18の横軸は反応時間、縦軸は発光反応により得られた電圧値を示している。その結果、変異部位の配列が相補的なp53−wild typeのターゲットDNAとwild type用ジェノタイピング用プライマーの測定データ151、及びP53−mutantのターゲットDNAとmutant用ジェノタイピング用プライマーの測定データ152は、信号が得られたが、変異部位の配列が相補的でないp53−wild typeのターゲットDNAとmutant用ジェノタイピング用プライマーの測定データ153、及びP53−mutantのターゲットDNAとwild type用ジェノタイピング用プライマーの測定データ154では、ミスマッチ伸長反応はほとんどなく信号は得られなかった。また、ホモタイプであるp53−wild typeターゲットDNAとP53−mutantターゲットDNAが1:1で混在したDNAサンプルとwild type用ジェノタイピング用プライマーの測定データ155、及びp53−wild typeターゲットDNAとP53−mutantターゲットDNAが1:1で混在したDNAサンプルとmutant用ジェノタイピング用プライマーの測定データ156は、ヘテロサンプルである測定データ153,154のほぼ半分の値を示した。
【0049】
【発明の効果】
本発明によると、生物発光反応を行う複数の反応セルと反応セルから生じる生物発光を検出する検出素子を1対1で垂直方向で対応するように、密着して配置しているので、複雑な光学系を使用せずに、簡便に高感度化が達成できる。その際、反応槽と検出素子が密着することにより問題となる静電誘導によるノイズは、反応槽と検出素子の間に光透過性導電膜を配置することで除去できる。さらに、複数の反応セルと試薬注入を行う試薬送液部を1対1で垂直方向に対応するように配置してあり、反応セルへの一括同時試薬注入を上部垂直方向から行い、反応セルからの生物発光検出を下部垂直方向から行うことにより、大きな受光立体角を確保し、小型で高感度な装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による発光検出装置の一例の全体構成を示す説明図であり、(a)は平面図、(b)は略断面図。
【図2】ディスペンサ、反応槽及び光センサアレイの関係を示す詳細図。
【図3】ディスペンサの流路とキャピラリの接続部分の拡大図。
【図4】光センサアレイ中の光検出素子と、それに接続されるアンプ基板の接続状態を示す図。
【図5】受光効率の計算値を示す図。
【図6】反応槽として市販のマイクロタイタープレートを用いた場合の反応槽の部分の分解組立図。
【図7】マイクロタイタープレート、セルホルダ、導電性光透過板を組み合わせた状態の断面図。
【図8】マイクロタイタープレートの上に開閉式の蓋を設けた例を示す概略図であり、(a)は概略平面図、(b)はその概略側断面図。
【図9】図1に示した装置に開閉蓋を設けた例を示す図。
【図10】加圧圧力と加圧時間との関係を示す図。
【図11】定圧加圧送液法を用いて得られた連続微小量注入のデータを示す図。
【図12】光透過性導電膜をコーティングした石英ガラス板のノイズ除去効果を示す図。
【図13】本発明による発光検出装置の他の例を示す模式図。
【図14】密着型光センサと定圧加圧送液法を用いたディスペンサの断面構造を示す図。
【図15】DNA塩基配列解析を行う反応の概要を示す図。
【図16】SNPs測定を高感度で行う反応の概要を示す図。
【図17】SNPs測定を高感度、高精度で行う反応の原理を示す図。
【図18】本発明で得られたジェノタイピング測定結果を示す図。
【符号の説明】
11…ディスペンサ、15…θZステージ、16…検出部、17…反応槽、18,19,20…洗浄槽、21…廃液タンク、22…定圧加圧管、23…光センサアレイ、24…流路、25…キャピラリ、26…反応試薬槽、27…反応セル、28…石英ガラス板、29…光検出素子、41…マイクロタイタープレート、43…セルホルダ、45…導電性光透過板、51…固定蓋、52…移動蓋、53…アクチュエータ、61…開閉式蓋、63…アクチュエータ、71…4サンプル用ディスペンサ、72…反応セル、73…反応槽、74…4サンプル用検出部、75…反応試薬槽、76…流量制御用キャピラリ、78…石英ガラス板、79…光検出素子

Claims (5)

  1. 1次元的又は2次元的に配列された透明な底部を有する複数の反応セルを備える反応槽と、
    前記反応槽の上方に位置し、下面に前記複数の反応セルと一対一に対応付けられる複数本のキャピラリを備える送液部と、
    前記送液部を前記反応槽に対して上下方向に駆動する駆動部と、
    前記反応セルと一対一に対応して前記反応槽の下面に近接して配列された複数の光検出素子を有する光検出部とを含み、
    前記反応槽の各反応セル内で発生する発光を前記光検出部の複数の光検出素子によって個別に検出することを特徴とする発光検出装置。
  2. 請求項1記載の発光検出装置において、前記反応槽と前記光検出部との間に光透過性の導電膜が配置されていることを特徴とする発光検出装置。
  3. 請求項1記載の発光検出装置において、前記送液部は、試薬を入れる試薬容器と、前記試薬容器と前記複数本のキャピラリとを連通する流路と、前記試薬容器内を加圧する加圧手段とを備え、前記キャピラリを流量制御用部材とし、前記加圧手段によって前記試薬容器内を所定時間加圧する定圧加圧送液法によって前記複数本のキャピラリの先端から前記複数の反応セルに試薬を均等に送液することを特徴とする発光検出装置。
  4. 請求項1記載の発光検出装置において、前記反応槽に設けられた複数の反応セルと同じ位置関係を有する複数の開口を備え前記反応槽の上面に配置される蓋と、前記蓋を、前記複数の開口と前記複数の反応セルとが合致する位置と合致しない位置との間に駆動する駆動手段とを備えることを特徴とする発光検出装置。
  5. 請求項3記載の発光検出装置において、前記反応槽の複数の反応セルに核酸試料を保持し、前記送液部は、試薬として、前記核酸試料の一部の配列に相補的な配列を含むプライマー、少なくとも1種のデオキシヌクレオチド(dNTP:N=A、T、G、C)又はこれらの類似体、DNAポリメラーゼ、ルシフェリン、ルシフェラーゼのいずれか一つ含む溶液を送液し、前記反応槽の反応セル内で、前記核酸試料に前記プライマーをハイブリダイズさせ、少なくとも1種の前記dNTP又はこれらの類似体と前記DNAポリメラーゼを用いた相補鎖伸長反応の進行により生成するピロリン酸をアデノシン5’−三リン酸(ATP)に変換し、前記ATPと前記ルシフェリン、前記ルシフェラーゼとの反応により生成する生物発光を、前記光検出部の光検出素子で検出することを特徴とする発光検出装置。
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