JP2004012182A - 面圧分布センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】面圧分布センサにおいて対向電極フィルムと基板の間に空気層を封入すると、水分によりTFTが劣化したり、気圧の変化によって空気層の体積が変化し、適切なセンサリングが行えない問題がある。
【解決手段】対向電極フィルムと基板の間に導電体含有層を充填する。導体物含有層は、圧電粒子を散在させた不活性ガスまたは、導電粒子を混入した絶縁性樹脂である。これにより、水分によるTFTの劣化を防止でき、長時間の使用による対向電極フィルムの可撓性が劣化しても最適なギャップを確保できる。
【選択図】 図6
【解決手段】対向電極フィルムと基板の間に導電体含有層を充填する。導体物含有層は、圧電粒子を散在させた不活性ガスまたは、導電粒子を混入した絶縁性樹脂である。これにより、水分によるTFTの劣化を防止でき、長時間の使用による対向電極フィルムの可撓性が劣化しても最適なギャップを確保できる。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可撓性導電フィルムを用いて指紋パターンのような微細な凹凸パターンを検出するのに好適な面圧分布センサ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
指紋パターンのような微細な凹凸パターンの検出装置として、可撓性導電フィルム及び薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor)を用いた面圧分布センサが例えば特開平6−288845号に開示されている。
【0003】
図15には、指紋パターンを検出するアクティブマトリクス型面圧分布センサの一例を示す。図15(a)は平面図、図15(b)(c)は図15(a)のD−D線断面図である。
【0004】
従来の面圧分布センサ200は、多数の単位検出素子となるTFT204aが形成されたガラスまたはセラミックなどの基板201と、対向電極フィルム202とから構成される。
【0005】
単位検出素子204は、TFT204aとこれに接続された接触電極204bとを有する。単位検出素子204は、ガラス等の基板201上にマトリクス状に配置され、単位検出素子204を構成するTFTの活性層はアモルファスシリコン膜であり、接触電極204bはITO(Indium Tin Oxide)により形成される。
【0006】
対向電極フィルム202は、基板201と相対向して設けられ、可撓性絶縁フィルム202aの裏面(TFT側)に導電膜202bを蒸着した構造である。この対向電極フィルム202は、基板201の周囲に塗布したシール剤203により固着され、基板201と離間して配置される。
【0007】
この面圧分布センサの製造方法の一例を示す。基板201にTFTを形成後、対向電極フィルム202を貼り付けるため、基板201の周囲に低温の熱硬化性樹脂からなるシール剤203を塗布する。その後、基板201の対向電極フィルム202を貼り付け、熱処理を行う。これにより基板201と対向電極フィルム202が固着される。
【0008】
図15(c)には、この面圧分布センサを用いて指紋パターンを検出する例を示す。
【0009】
面圧分布センサ200に指Fを乗せて軽く押すと、対向電極フィルム202は全体が押し下げられるが、細かく観察すると、指紋の山の部分と谷の部分とでは押圧力が異なるために、山の部分の真下またはそのごく近傍に位置する単位検出素子204の接触電極204bは対向電極フィルム202と電気的に接触する。ところが指紋の谷の部分の真下またはその近傍に位置する単位検出素子204の接触電極204bは対向電極フィルム202とは電気的に接触しない。このように、対向電極フィルム202と単位検出素子204が接触した部分の信号を取出して、指紋パターンを検出する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記の構造および製造方法によれば、TFTを用いた面圧力分布センサが実現できることは知られている。しかし、量産する場合にその再現性が悪く、センシング特性の安定化や信頼性の確保、更なる生産性の向上と、歩留まり向上が求められていた。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、課題を解決するためになされ、基板に設けられた単位検出素子と、基板とシール剤により固着され、基板と相対向して設けられた可撓性導電フィルムとを有する面圧分布センサにおいて、基板と可撓性導電フィルムおよびシール剤とで囲まれた空間には、導体物含有層が封入されている面圧分布センサである。
【0012】
更に、導体物含有層は、気体中に圧電粒子を散在したものである。
【0013】
更に、導体物含有層は、反応を促進しない不活性な気体中に圧電粒子を散在したものである。
【0014】
更に、不活性な気体は、窒素または乾燥空気または不活性元素を含む気体のいずれかである。
【0015】
更に、導体物含有層は、絶縁樹脂に導電粒子を混入した層である。
【0016】
更に、絶縁樹脂は、シリコン系樹脂またはエポキシ系樹脂である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
図1から図3は本発明による面圧分布センサ100の全体図であり、図1はその平面図、図2は図1のA−A断面図、図3は分解斜視図である。
【0019】
面圧分布センサ100は、基板1と、可撓性導電フィルムよりなる対向電極フィルム2とをシール剤3によって固着した構造である。基板1上のシール剤3に囲われた内側には、多数の単位検出素子4がマトリクス状に配置されている。流れ止め手段5は、シール剤3の内周に添って配置され、シール剤3と流れ止め手段5との間にコンタクト6が配置される。基板1の一側辺には、外部接続端子7が配置される。
【0020】
基板1は、本実施形態においては、ガラスよりなるが、例えば石英やセラミック、プラスチックなどの他の絶縁体基板でもよいし、半導体基板でもよい。
【0021】
対向電極フィルム2は、PET(ポリエチレンテレフタレート)またはPEN(ポリエチレンナフタレート)などの可撓性絶縁フィルム2aの裏面(TFT側)に例えば金のような金属の導電膜2bを蒸着した構造である。
【0022】
シール剤3は、硬化前は液状で、加熱することにより硬化する熱硬化性樹脂である。
【0023】
単位検出素子4は、スイッチング素子であるTFT4aと、これに接続された接触電極4bとを有する。TFT4aの活性層はシリコン膜、特に好ましくはポリシリコン膜である。以下、スイッチング素子はTFTを例示して説明するが、TFTに限定されるものではなく、例えば基板1が半導体基板であれば半導体基板1を活性層としたトランジスタでよいし薄膜ダイオードなどでもよい。接触電極4bはTFT4aを覆った絶縁膜の上に形成された導電膜であり、例えばITO(Indium Tin Oxide)により形成される。
【0024】
流れ止め手段5は、シール剤3と同じ熱硬化性樹脂よりなる。流れ止め手段5については、後で詳述する。
【0025】
コンタクト6は、対向電極フィルム2にGND電位を与えるために設けられ、シール剤3と流れ止め手段5の間に配置される。コンタクト6は、Alよりなるコンタクトパッド6a上にAuパールを混入させた熱硬化性樹脂よりなるコンタクト樹脂6bより構成される。
【0026】
外部端子7には、図示しないFPC(Flexible Printed Circuit)等を接続して外部回路と接続される。
【0027】
図3に示したように、基板1上には、ゲート線8とドレイン線9がマトリクス状に配置されている。後述するように、ゲート線8にはゲート信号が、ドレイン線9には走査信号がそれぞれ印加される。ゲート線8とドレイン線9との交点にそれぞれ対応してTFT4aが配置され、ゲート電極がゲート線8に、ドレイン端子がドレイン線9に、そしてソース端子が接触電極4bに接続されている。ゲート線8やドレイン線9等へ入力される各種信号を伝達する図示しない配線は、基板1の側縁に集められ、外部接続端子7に接続される。
【0028】
次に、単位検出素子4について図4を用いて詳述する。図4(a)は1つの単位検出素子4の平面図であり、図4(b)は図4(a)のC−C線の断面図である。また、図1と同じ参照数字は同じ構成部分を示している。
【0029】
単位検出素子4のTFT4aは、基板1上にポリシリコン層からなる活性層11を形成し、既知の方法により不純物を導入してソース領域Sおよびドレイン領域Dが形成されている。活性層11の全面を覆ってゲート絶縁膜12が形成され、その上にゲート電極8aが形成されている。ゲート電極8aはゲート線8と一体的に形成されている。ゲート電極8a上に層間絶縁膜13が設けられ、コンタクトホールを介して、活性層11のドレイン端子Dがドレイン線9と接続され、ソース端子Sが取り出し電極9aと接続されている。取り出し電極9aは、ドレイン線9と同層の例えばAlよりなる。その上にさらに平坦化膜14が積層されており、下層の凹凸を平坦化している。平坦化膜14上には、コンタクトホールを介して取り出し電極9aとコンタクトするITOよりなる接触電極4bが配置されている。
【0030】
次に、本発明の面圧分布センサ100の動作について、図5を用いて説明する。図5(a)は、面圧分布センサ100に指Fを乗せた状態を示し、図5(b)は、面圧分布センサ100の回路概念図である。
【0031】
面圧分布センサ100に指Fを乗せて軽く押すと、図5(a)の如く対向電極フィルム2の全体が押し下げられる。このとき、指紋の山の部分と谷の部分とでは押圧力が異なるために、山の部分の真下またはそのごく近傍の対向電極フィルム2は大きくへこみ、谷の部分ではあまりへこまない。従って、山の位置に対応する単位検出素子4の接触電極4bは対向電極フィルム2の導電膜2bと接触し、谷の位置に対応する単位検出素子4の接触電極4bは、導電膜2bと接触しない。
【0032】
対向電極フィルム2の導電膜2bは抵抗15を介して接地されている。面圧分布センサ100のドレイン線9はX方向レジスタ70に接続されており、ゲート線8はY方向レジスタ80に接続されている。Y方向レジスタ80からは所定のタイミングでゲート線8に順次走査信号が切り替えて出力される。今、あるゲート線8にある電位(「H」レベル)のゲート信号が印加されているとする。ゲート信号が印加されたゲート線8に接続されたTFT4aは、全て導通状態(オン)となる。その間にX方向レジスタ70から所定のタイミングでドレイン線9に順次走査信号が切り替えて印加される。
【0033】
指Fの山によって対向電極フィルム2が湾曲して接触電極4bと接触していると、走査信号として電圧が一旦上昇しても、TFT4a、抵抗15を介して電流が抜けるため、電圧は低下する。指Fの谷で対向電極フィルム2が接触電極4bと接触していない場合、走査信号の電圧は低下せず維持される。これを検出器16によって電圧信号として読み出すと、1行分の面圧分布が計測できる。そして、選択するゲート線8を順次切り替えてゲート信号を印加し、面圧分布センサ100のすべての単位検出素子4からの信号を読み出し、面全体の面圧分布が計測できる。
【0034】
検出器16は、上述したようにドレイン線9から分岐させて接続した電圧計測器でもよいし、ドレイン線9に直列に挿入した電流計測器でもよいが、電圧計測器の方が、回路構成を単純にできるので、本実施形態では電圧計測器を採用している。
【0035】
図2で示す如く、基板1と対向電極フィルム2とはギャップGをもって離間されており、本発明においてはこの空間に導体物含有層10を充填する。ギャップG内部が水分を含んだ空気などである場合、TFT4aは常にこの空気雰囲気中に晒されることになるため、劣化や特性シフトを招くこととなる。そこで本実施形態においては、対向電極フィルム2と基板1およびシール剤3で囲まれた空間を導体物含有層で充填することとした。
【0036】
図6に本発明の第1の実施の形態を示す。本実施形態の導体物含有層10とは、反応を促進しない不活性な気体115中に圧電粒子112を散在させたものである(図6(a))。
【0037】
ここで、圧電粒子112とは、導電性の球形の剛体113の周囲を柔らかい絶縁フィルム114で覆ったものをいう。これをTFT4aの接触電極4bと対向電極フィルム2の間に配置すると、周囲が絶縁フィルム114であるため通常は絶縁物となる(図6(b))。しかし、センサリング時に外部から圧力Pが加わり、接触電極4bと対向電極フィルム2に挟まれると、柔らかい絶縁フィルム114が押圧されて薄くなる(図6(c))。つまり、対向電極フィルム2と接触電極4b間の抵抗が剛体113の抵抗に近づいて小さくなり、電流が流れる構造を有するものである。
【0038】
本実施形態では流れ止め手段で囲まれたセンサ部に窒素ガス115を封入し、この圧電粒子112を散在させる。これによって、TFT4aの水分による劣化、特性シフトを防ぐことができる。ここで、封入するガスは窒素に限らず、基板1上の構造や対向電極フィルム2面と反応しない不活性なガスであれば良い。TFT4aへの水分の侵入を避け、反応を促進しないガスとして乾燥空気でもよいが、酸素が混入するため、窒素の方が好適である。また、Ar、Ne、Kr等のいわゆる不活性元素よりなる気体でもよいが、本実施形態では、より安価で実施できる窒素を採用した。
【0039】
ここで、圧電粒子112の粒径をギャップGと同等にすれば、圧電粒子112自体をスペーサとしても利用できるので、ギャップGがより均一にでき、また長時間の使用で例えば対向電極フィルム2の可撓性が劣化して撓みが生じた場合でも、ギャップGが確保できるため、非接触であるのに導通状態となる不具合を回避することができる。また、ギャップG間の制御が容易となり、製造が容易と成る利点も有する。
【0040】
図7には、本発明の第2の実施の形態を示す。本実施形態では、図のごとく対向電極フィルム2と基板1およびシール剤3で囲まれた空間に、シリコン系またはエポキシ系樹脂110に導電粒子111を混入した導体物含有層10を充填するものである。導電粒子111は、非接触時に導通しない程度の割合で混入されており、通常は絶縁で外圧がかかったときに導電粒子111が集中して導通状態となるものである。これにより、界面からの外気の侵入を防げるので、TFT4aの水分や酸化による腐食を防ぐことができる。
【0041】
また、導体物含有層10は、樹脂であり、気圧が変化しても体積変化がないため、外部の条件によらず最適なセンサリングが可能となる。
【0042】
更に、TFT4aを保護することもできる。例えば空気層であると、センサリング時に対向電極フィルム2と、TFT4aとが直接接触するが、導体物含有層7であれば、樹脂に含まれる導電粒子を介在して電気的に接触するため、TFT4aに対する外力が緩和できることになる。
【0043】
ギャップGは、上記の第1の実施の形態の如く、内部にガス115が封入される場合でも最適な値を確保できるように、ギャップ材に樹脂ファイバが混入されているが、更に樹脂で充填することにより、ギャップGは常に最適値に保たれる。また長時間の使用で例えば対向電極フィルム2の可撓性が劣化して撓みが生じた場合でも、ギャップGが確保できるため、非接触であるのに導通状態となる不具合を回避することができる。また、ギャップG間の制御が容易となるので製造が容易となる利点も有する。
【0044】
次に、図8から図11を用いて本発明の面圧分布センサ100の製造方法について説明する。
【0045】
工程1:図8(a)は、マザーガラス1に、複数の面圧分布センサ100が同時に形成されている様子が示されており、図8(b)は、1つの単位検出素子を示す断面図である。複数の面圧分布センサ100を一枚のマザーガラスで同時に形成することによって、面圧分布センサの製造コストを低減できる。まず、マザーガラス1上に図示しない酸化シリコン膜、窒化シリコン膜よりなるバッファ層を形成する。次に、アモルファスシリコン膜を堆積し、レーザアニールによって結晶化してポリシリコン膜を形成する。次にゲート絶縁膜12を形成し、クロムよりなる金属膜を形成、エッチングしてゲート線8、これに接続するゲート電極8a、図示しない外部接続端子7を形成する。次にゲート電極8aをマスクにして既知の方法により不純物を導入してソース領域Sおよびドレイン領域Dを形成し、活性層11を形成する。次に、層間絶縁膜13を形成し、所定位置にコンタクトホールを形成し、ドレイン線9、取り出し電極9a、基板周囲のコンタクトパッド6a(図8には不図示)を形成する。コンタクトパッド6aは基板1周囲のコーナー部で層間絶縁膜13を開口して設けられ、後の工程で設けられるコンタクト樹脂6bとでコンタクト6を形成し、対向電極フィルム2にGND電位を与えるものである。更に、ITOよりなる接触電極4bを形成して、基板1上に多数の単位検出素子4を形成する。その後大判の基板1をスクライブライン50でスクライブし、個々の面圧分布センサとなる基板1に分割する。
【0046】
工程2:次に、図9に示す如く、前記基板1周囲を囲って窓枠状に、基板1端面から一定距離離れた位置に熱硬化性樹脂を塗布する。次に、70℃20分程度熱処理を行って、半硬化状態の流れ止め手段5を形成する。以後この流れ止め手段5形成の熱処理をプリベークと称する。また、本明細書において半硬化状態とは、硬化前の熱硬化性樹脂が100Pa・s程度の粘度に対し、熱硬化性樹脂が2倍以上の粘度となる状態を言う。半硬化であれば、樹脂が毛細管現象によって流動することはない。
【0047】
工程3:次に、図10に示す如く、流れ止め手段5の外側を囲んでギャップG厚みとなる例えば25μm径のファイバ樹脂を混入したシール剤3を塗布する。更に、コンタクト6を形成するために流れ止め手段5の外側のコンタクトパッド6a上に、コンタクト樹脂6b用の金属ボールを混入した熱硬化性樹脂をコーナーにポッティングする。金属ボールとしては、均一な粒子形状のAuパール(積水化学工業(株)製、AU−230、30μm)がよい。Auパールは、プラスチックなどの樹脂球体をAu等の金属膜で被覆した粉体であり、各粒子の形状が均一である。例えばAgペーストでコンタクト6を形成すると、Ag粉の形状が鋭利で径にバラツキがあるのでITOが劣化するおそれがあるが、Auパールであればこのおそれがない。また、Auパールを採用することで、抵抗が小さくなり、小面積でもコンタクト6の抵抗を低減できる。コンタクト6やシール剤3の基材となる樹脂は、低温硬化性樹脂を用いる。
【0048】
工程4:次に、図11に示す如く、水分を含まない窒素雰囲気中で流れ止め手段5で囲われたセンサ部に圧電粒子を散在させる。または、Au,Ag等の導電粒子が混入されたシリコン系またはエポキシ系の樹脂を封入してもよい。その後、複数の基板1を一方向に並べて配置し、基板1から外部接続端子7が露出する幅にそろえられた一方向に長い対向電極フィルム2を重ねて配置し、ローラー51を回転させながら対向電極フィルム2上で移動させ、複数の基板に同時に貼り付る。一方向に長い対向電極フィルム2を用いることで、長い対向電極フィルム2に適度な張力(テンション)を与えながら加圧でき、また、ローラー51を後述する条件で回転させながら圧力を加える。ローラー51の加圧によって基板1と対向電極フィルム2との間の余分なガスが抜ける。次に、シール剤3である低温熱硬化性樹脂が本硬化する90℃30分程度で熱処理を加重をかけながら行い、コンタクト樹脂6bとシール剤3の樹脂を硬化させ、対向電極フィルム2と基板1とを固着すると同時にコンタクトパッド6aと対向電極フィルム2とを接続するコンタクト6を形成する。また、これと同時に流れ止め手段5もつぶされた形で本硬化され、形状が固定される。本明細書ではこの熱処理をメインベークと称する。この時、基板1と対向電極フィルム2とのギャップGは加重しながらのメインベークによりファイバ樹脂の径又は圧電粒子の径あるいは充填された樹脂層に従って最適化される。本実施形態の場合は例えば25μmとなる。最後に、対向電極フィルムを基板1にあわせて個々に分割し、面圧分布センサ100が完成する。シール剤3とコンタクト6とに低温硬化性樹脂を採用するのは、対向電極フィルム2の可撓性絶縁フィルム2aに採用されるPETの耐熱温度(軟化温度)が120℃前後であり、これ以上の熱処理を行えないためである。
【0049】
次に、流れ止め手段5について説明する。通常、LCDでは、流れ止め手段5は形成されず、両基板はシール剤3のみで固着される。しかし、面圧分布センサは可撓性の対向電極フィルム2を固着する必要があるため、流れ止め手段5が必要になる。図12は、流れ止め手段5を形成せずにシール剤3を形成した場合の断面図である。まず図12(a)に示したように、基板1上にシール剤3を塗布する。次に対向電極フィルム2を重ねて配置させることになるが、硬化前の熱硬化性樹脂は、粘度が低いため、特に導体物含有層10にガスを用いる場合には、図12(b)に示したように、基板1と対向電極フィルム2との間に毛細管現象が発生し、シール剤3自体がセンサ中央部へ侵入してしまい、不良となる場合があることが判った。そこで、シール剤3の内側に、あらかじめ流れ止め手段5を設けておき、毛細管現象の発生を防止する事で、内部へのシール剤3の進入を防ぎ、歩留まりを向上させることができる。
【0050】
また、対向電極フィルム2を重ねて配置させる際に、うまく毛細管現象が発生しなかったとしても、別の問題が発生する。即ち、熱硬化性樹脂は、加熱硬化させる際に、溶剤が蒸発してガスが発生する。このガスの一部は、面圧分布センサ内に封入され、センシング感度がばらついたり、最悪の場合には密着部分が広がり、センシングができなくなる問題があった。そこで、上述した工程2では、流れ止め手段5を塗布した後で、プリベークによって半硬化させているのである。対向電極フィルム2を重ねて配置させる前のプリベークによって流れ止め手段5からはガスが抜け、対向電極フィルム2を重ねて配置させた後のメインベークでシール剤3、コンタクト樹脂6bから発生するガスがセンサ内部に封入されることが防止されるのである。
【0051】
流れ止め手段5を形成せず、シール剤3を1度熱処理し、その後更に本硬化させる熱処理を行うことでそのガスの発生を低減することは可能である。しかし、対向電極フィルムを構成する可撓性絶縁フィルムの耐熱温度が低いため、シール剤は低温熱硬化性樹脂を用いる必要がある。このため1度目の熱処理であっても樹脂の硬化が進行してしまい、本硬化の熱処理では対向電極フィルムの貼り付け強度が著しく低下することになって、歩留まりの低下、もしくはセンサの寿命が短くなるという問題が生じる。これに対し、本実施形態では、流れ止め手段5をプリベークし、別途シール剤3を設けているので、貼り付け強度が低下することはない。しかも、シール剤3を基板1外形いっぱいまで形成する事ができるので、さらに高い貼り付け強度が確保できる。
【0052】
ここで、流れ止め手段5を半硬化させるプリベークは、本硬化に達しないようにする必要がある。プリベークで流れ止め手段5を本硬化させてしまうと、後の工程で対向電極フィルム2を貼り付ける際に流れ止め手段5の柔軟性がなくなり、ギャップGが流れ止め手段5の樹脂の高さに依存してしまうためである。流れ止め手段5は、対向電極フィルム2を重ねる前に流動性をなくす必要があるから、流れ止め手段5の高さは上から抑えて調節することができず、塗布する樹脂の量でしか制御できない。従って、流れ止め手段5は、半硬化した段階での高さが、最終的なギャップGと同程度もしくはこれより低くなる必要がある。しかし、あまり流れ止め手段25の高さが低いと、毛細管現象の発生を抑えることができなくなる。本硬化に達しない状態であれば、ギャップGよりも高く形成し、後のメインベークの工程でつぶすことができる。そこで、流れ止め手段5の流動性をなくし、かつメインベーク時の加圧によってつぶされる硬さ、即ち半硬化とする事で、ギャップGはファイバ樹脂の径または圧電粒子の径で決定しつつ、基板1と対向電極フィルム2との間を流れ止め手段5で埋めることができるのである。
【0053】
流れ止め手段5の材質は、流動せずにある程度の柔軟性をもっていれば、光硬化性樹脂やレジスト等、どのような材質でもよいが、シール剤3と流れ止め手段5を共に低温硬化性樹脂とするとよい。シール剤3と同一の低温硬化性樹脂を用いれば、流れ止め手段5とシール剤3との親和性もよく、硬化条件が同じなので、一度の加熱でコンタクト6とシール剤3とを硬化させることができる。また、シール剤3と流れ止め手段5とを一体化させることができる。これにより、流れ止め手段5も、メインベーク後はシール剤3の一部として機能し、シール幅を1.5〜2倍に増加できるので、基板1上に形成されたTFT4a等の素子の耐湿性を向上させることができる。また、もしもローラーでつぶされた流れ止め手段5が半硬化のままであると、流れ止め手段5の弾性力が対向電極フィルム2を剥がす方向に作用する。しかし、流れ止め手段5をメインベークにより本硬化させておくことによって弾性力が発生しなくなるので、歩留まりを向上させることができる。しかも、シール剤3の本硬化と同時に流れ止め手段5も本硬化するので、別途流れ止め手段5を硬化させる工程は不要である。
【0054】
ところで、通常LCDでは、コンタクト6をAgペーストを用いて形成する。本実施形態において同様にコンタクト樹脂6bにAgペーストを用いて試作したところ、対向電極フィルム2の導通不良が多発した。これは、対向電極フィルムの基材であるPETのガラス転位点が67℃、PENも113℃であるためメインベークとして90℃30分を採用したところ、Agペーストの硬化温度は120℃であるため、Agペーストの基材が本硬化に達しておらず、界面強度が劣化しているものと考えられる。そこで、本実施形態では、コンタクト樹脂6bにも、シール剤3、流れ止め手段5と同一の低温熱硬化性樹脂にAuパールを混入したものを用いた。コンタクト樹脂6bも低温硬化性樹脂とする事で、コンタクト樹脂6bも確実に硬化させることができき、十分な界面強度が得られる。
【0055】
また、図13には、コンタクト6部の断面図を示す。これは、図1のB−B線の断面図である。図13(a)に示したように、コンタクト6をシール剤3の内側に設けることで、コンタクト6をも外気と遮断できるので、コンタクト6の劣化が防げる。さらに、コンタクト6を流れ止め手段5の外側に設けることで、硬化前のコンタクト樹脂6bがセンサ部に侵入することも防げる。従って、コンタクト6は、流れ止め手段5とシール剤3との間に設けるのが最適である。
【0056】
また、コンタクト6をシール剤3の内側に配置すれば、図13(b)に示したように、対向電極フィルム2の導電膜2bもシール剤3の内側までとする事もできる。シール剤3に対応する位置の導電膜2bを除去してから固着することで、PETまたはPENよりなる可撓性絶縁フィルム2aを露出させ、そこにシール剤3を直接固着させれば、可撓性絶縁フィルム2aと導電膜2bとの間での膜剥離による基板1と対向電極フィルム2との剥離場防止され、より信頼性を向上させることができる。樹脂で基板1上に形成されたコンタクトパッド6aを覆うことになるので、コンタクトパッド6aが露出せず、酸化などによる劣化も防ぐことができる。
【0057】
次に、工程4で用いたローラー51について述べる。まず、ローラー51の材質としてはシリコン樹脂、ポリカーボネイト、ABS樹脂等、硬度が50度以上のものが望ましく、50度〜150度程度であれば最適である。また、セラミック、金属、ガラス等でもよく、ギャップGのコントロールを正確に行うためにある程度の硬度を有する材質が良い。硬度50度未満の軟質材では、ローラー51自身にたわみが生じてしまい、ギャップGのコントロールが不正確となる。
【0058】
また、ローラー51の圧力は100g/cm2〜1000g/cm2程度とし、ローラーの速度は5mm/s〜50mm/sが望ましい。更に、貼り付け時の対向電極フィルム2のテンションは100g〜3000g程度が最適である。
【0059】
次に、対向電極フィルム2は、センシングに最適なテンションが必要となる。対向電極フィルム2は可撓性を有し、センシング時には指を摺動するため、特に気体と圧電粒子が充填される場合においては図14に示すように、テンション不足によって対向電極フィルム2に不必要な撓み150が生じ、最適なセンシングが行えないことがある。この場合は、貼り付け後、加熱処理により可撓性導電フィルム(PENまたはPET)を収縮させ、最適なテンションを得る処理を行う(以降本明細書では収縮ベークと称する)。基材を収縮させる収縮ベークは可撓性絶縁フィルム2aのガラス転位温度以上、軟化点未満の温度で短時間行う。特に、ガラス転位温度より10℃から20℃高温とするのがよい。例えばPENであれば113℃、PETであれば80℃がガラス転位温度であるので、その温度から10℃から20℃高温で、3分程度熱処理を行う。収縮ベークによって、可撓性絶縁フィルム2aの基材を1〜3%程度収縮させ、摺動しても不必要な撓みの生じない、最適なテンションを得る処理を行う。収縮させすぎると、可撓性導電フィルム2が硬くなってしまうので、2%程度にとどめるのが好適である。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、信頼性の高い面圧分布センサを提供できる利点を有する。
【0061】
つまり、対向電極フィルム2と基板1およびシール剤4で囲まれた空間を、導体物含有層で充填するものである。導体物含有層として、窒素ガス中に圧電粒子を散在させたものを採用する。不活性ガスで充填することで、TFTの酸素または水分による劣化が抑制できる。
【0062】
窒素ガスに代えて乾燥空気や他の不活性ガスでも水分による劣化を防げるが、窒素であれば、安価なコストで実現できる。また、空気であっても圧電粒子が混入する分TFTと接触する空気量が減るので空気を封入した場合と比較して水分による劣化を防げる。更に水分による劣化を防止できる利点を有する。
【0063】
更に、圧電粒子の粒径をギャップと同等にすれば、圧電粒子がスペーサとなるので、ギャップGがより均一にでき、長時間の使用により対向電極フィルム2の可撓性が劣化しても非接触による導通状態となる不具合を防ぐことができる。
【0064】
また、導体物含有層として、対向電極フィルム2と基板1およびシール剤4で囲まれた空間に、導電粒子を混入したシリコン系またはエポキシ系樹脂を充填してもよい。これにより、第1に、界面からの外気の侵入を防げるので、TFT4aの水分や酸化による腐食を防ぐことができる。
【0065】
第2に、導体物含有層7は、気圧が変化しても体積変化がないため、外部の条件によらず最適なセンサリングが可能となる。
【0066】
第3に、TFT4aを保護することもできる。例えば空気層であると、センサリング時に対向電極フィルム2と、TFT4aとが直接接触するが、導体物含有層7であれば、樹脂に含まれる導電粒子を介在して接触するため、TFT4aに対する外力が緩和できることになる。
【0067】
第4に、樹脂で充填することにより、ギャップGは常に最適値に保たれる。また長時間の使用で例えば対向電極フィルム2の可撓性が劣化して撓みが生じた場合でも、ギャップGが確保できるため、非接触であるのに導通状態となる不具合を回避することができる。また、ギャップGの制御も容易となり製造が容易となる利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を説明するための平面図である。
【図2】本発明を説明するための断面図である。
【図3】本発明を説明するための分解斜視図である。
【図4】本発明を説明するための(a)平面図、(b)断面図である。
【図5】本発明を説明するための(a)断面図、(b)動作回路図である。
【図6】本発明を説明するための断面図である。
【図7】本発明を説明するための断面図である。
【図8】本発明を説明するための断面図である。
【図9】本発明を説明するための平面図である。
【図10】本発明を説明するための平面図である。
【図11】本発明を説明するための平面図である。
【図12】本発明を説明するための断面図である。
【図13】本発明を説明するための断面図である。
【図14】本発明を説明するための断面図である。
【図15】従来技術を説明するための(a)平面図、(b)断面図、(c)断面図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、可撓性導電フィルムを用いて指紋パターンのような微細な凹凸パターンを検出するのに好適な面圧分布センサ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
指紋パターンのような微細な凹凸パターンの検出装置として、可撓性導電フィルム及び薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor)を用いた面圧分布センサが例えば特開平6−288845号に開示されている。
【0003】
図15には、指紋パターンを検出するアクティブマトリクス型面圧分布センサの一例を示す。図15(a)は平面図、図15(b)(c)は図15(a)のD−D線断面図である。
【0004】
従来の面圧分布センサ200は、多数の単位検出素子となるTFT204aが形成されたガラスまたはセラミックなどの基板201と、対向電極フィルム202とから構成される。
【0005】
単位検出素子204は、TFT204aとこれに接続された接触電極204bとを有する。単位検出素子204は、ガラス等の基板201上にマトリクス状に配置され、単位検出素子204を構成するTFTの活性層はアモルファスシリコン膜であり、接触電極204bはITO(Indium Tin Oxide)により形成される。
【0006】
対向電極フィルム202は、基板201と相対向して設けられ、可撓性絶縁フィルム202aの裏面(TFT側)に導電膜202bを蒸着した構造である。この対向電極フィルム202は、基板201の周囲に塗布したシール剤203により固着され、基板201と離間して配置される。
【0007】
この面圧分布センサの製造方法の一例を示す。基板201にTFTを形成後、対向電極フィルム202を貼り付けるため、基板201の周囲に低温の熱硬化性樹脂からなるシール剤203を塗布する。その後、基板201の対向電極フィルム202を貼り付け、熱処理を行う。これにより基板201と対向電極フィルム202が固着される。
【0008】
図15(c)には、この面圧分布センサを用いて指紋パターンを検出する例を示す。
【0009】
面圧分布センサ200に指Fを乗せて軽く押すと、対向電極フィルム202は全体が押し下げられるが、細かく観察すると、指紋の山の部分と谷の部分とでは押圧力が異なるために、山の部分の真下またはそのごく近傍に位置する単位検出素子204の接触電極204bは対向電極フィルム202と電気的に接触する。ところが指紋の谷の部分の真下またはその近傍に位置する単位検出素子204の接触電極204bは対向電極フィルム202とは電気的に接触しない。このように、対向電極フィルム202と単位検出素子204が接触した部分の信号を取出して、指紋パターンを検出する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記の構造および製造方法によれば、TFTを用いた面圧力分布センサが実現できることは知られている。しかし、量産する場合にその再現性が悪く、センシング特性の安定化や信頼性の確保、更なる生産性の向上と、歩留まり向上が求められていた。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、課題を解決するためになされ、基板に設けられた単位検出素子と、基板とシール剤により固着され、基板と相対向して設けられた可撓性導電フィルムとを有する面圧分布センサにおいて、基板と可撓性導電フィルムおよびシール剤とで囲まれた空間には、導体物含有層が封入されている面圧分布センサである。
【0012】
更に、導体物含有層は、気体中に圧電粒子を散在したものである。
【0013】
更に、導体物含有層は、反応を促進しない不活性な気体中に圧電粒子を散在したものである。
【0014】
更に、不活性な気体は、窒素または乾燥空気または不活性元素を含む気体のいずれかである。
【0015】
更に、導体物含有層は、絶縁樹脂に導電粒子を混入した層である。
【0016】
更に、絶縁樹脂は、シリコン系樹脂またはエポキシ系樹脂である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
図1から図3は本発明による面圧分布センサ100の全体図であり、図1はその平面図、図2は図1のA−A断面図、図3は分解斜視図である。
【0019】
面圧分布センサ100は、基板1と、可撓性導電フィルムよりなる対向電極フィルム2とをシール剤3によって固着した構造である。基板1上のシール剤3に囲われた内側には、多数の単位検出素子4がマトリクス状に配置されている。流れ止め手段5は、シール剤3の内周に添って配置され、シール剤3と流れ止め手段5との間にコンタクト6が配置される。基板1の一側辺には、外部接続端子7が配置される。
【0020】
基板1は、本実施形態においては、ガラスよりなるが、例えば石英やセラミック、プラスチックなどの他の絶縁体基板でもよいし、半導体基板でもよい。
【0021】
対向電極フィルム2は、PET(ポリエチレンテレフタレート)またはPEN(ポリエチレンナフタレート)などの可撓性絶縁フィルム2aの裏面(TFT側)に例えば金のような金属の導電膜2bを蒸着した構造である。
【0022】
シール剤3は、硬化前は液状で、加熱することにより硬化する熱硬化性樹脂である。
【0023】
単位検出素子4は、スイッチング素子であるTFT4aと、これに接続された接触電極4bとを有する。TFT4aの活性層はシリコン膜、特に好ましくはポリシリコン膜である。以下、スイッチング素子はTFTを例示して説明するが、TFTに限定されるものではなく、例えば基板1が半導体基板であれば半導体基板1を活性層としたトランジスタでよいし薄膜ダイオードなどでもよい。接触電極4bはTFT4aを覆った絶縁膜の上に形成された導電膜であり、例えばITO(Indium Tin Oxide)により形成される。
【0024】
流れ止め手段5は、シール剤3と同じ熱硬化性樹脂よりなる。流れ止め手段5については、後で詳述する。
【0025】
コンタクト6は、対向電極フィルム2にGND電位を与えるために設けられ、シール剤3と流れ止め手段5の間に配置される。コンタクト6は、Alよりなるコンタクトパッド6a上にAuパールを混入させた熱硬化性樹脂よりなるコンタクト樹脂6bより構成される。
【0026】
外部端子7には、図示しないFPC(Flexible Printed Circuit)等を接続して外部回路と接続される。
【0027】
図3に示したように、基板1上には、ゲート線8とドレイン線9がマトリクス状に配置されている。後述するように、ゲート線8にはゲート信号が、ドレイン線9には走査信号がそれぞれ印加される。ゲート線8とドレイン線9との交点にそれぞれ対応してTFT4aが配置され、ゲート電極がゲート線8に、ドレイン端子がドレイン線9に、そしてソース端子が接触電極4bに接続されている。ゲート線8やドレイン線9等へ入力される各種信号を伝達する図示しない配線は、基板1の側縁に集められ、外部接続端子7に接続される。
【0028】
次に、単位検出素子4について図4を用いて詳述する。図4(a)は1つの単位検出素子4の平面図であり、図4(b)は図4(a)のC−C線の断面図である。また、図1と同じ参照数字は同じ構成部分を示している。
【0029】
単位検出素子4のTFT4aは、基板1上にポリシリコン層からなる活性層11を形成し、既知の方法により不純物を導入してソース領域Sおよびドレイン領域Dが形成されている。活性層11の全面を覆ってゲート絶縁膜12が形成され、その上にゲート電極8aが形成されている。ゲート電極8aはゲート線8と一体的に形成されている。ゲート電極8a上に層間絶縁膜13が設けられ、コンタクトホールを介して、活性層11のドレイン端子Dがドレイン線9と接続され、ソース端子Sが取り出し電極9aと接続されている。取り出し電極9aは、ドレイン線9と同層の例えばAlよりなる。その上にさらに平坦化膜14が積層されており、下層の凹凸を平坦化している。平坦化膜14上には、コンタクトホールを介して取り出し電極9aとコンタクトするITOよりなる接触電極4bが配置されている。
【0030】
次に、本発明の面圧分布センサ100の動作について、図5を用いて説明する。図5(a)は、面圧分布センサ100に指Fを乗せた状態を示し、図5(b)は、面圧分布センサ100の回路概念図である。
【0031】
面圧分布センサ100に指Fを乗せて軽く押すと、図5(a)の如く対向電極フィルム2の全体が押し下げられる。このとき、指紋の山の部分と谷の部分とでは押圧力が異なるために、山の部分の真下またはそのごく近傍の対向電極フィルム2は大きくへこみ、谷の部分ではあまりへこまない。従って、山の位置に対応する単位検出素子4の接触電極4bは対向電極フィルム2の導電膜2bと接触し、谷の位置に対応する単位検出素子4の接触電極4bは、導電膜2bと接触しない。
【0032】
対向電極フィルム2の導電膜2bは抵抗15を介して接地されている。面圧分布センサ100のドレイン線9はX方向レジスタ70に接続されており、ゲート線8はY方向レジスタ80に接続されている。Y方向レジスタ80からは所定のタイミングでゲート線8に順次走査信号が切り替えて出力される。今、あるゲート線8にある電位(「H」レベル)のゲート信号が印加されているとする。ゲート信号が印加されたゲート線8に接続されたTFT4aは、全て導通状態(オン)となる。その間にX方向レジスタ70から所定のタイミングでドレイン線9に順次走査信号が切り替えて印加される。
【0033】
指Fの山によって対向電極フィルム2が湾曲して接触電極4bと接触していると、走査信号として電圧が一旦上昇しても、TFT4a、抵抗15を介して電流が抜けるため、電圧は低下する。指Fの谷で対向電極フィルム2が接触電極4bと接触していない場合、走査信号の電圧は低下せず維持される。これを検出器16によって電圧信号として読み出すと、1行分の面圧分布が計測できる。そして、選択するゲート線8を順次切り替えてゲート信号を印加し、面圧分布センサ100のすべての単位検出素子4からの信号を読み出し、面全体の面圧分布が計測できる。
【0034】
検出器16は、上述したようにドレイン線9から分岐させて接続した電圧計測器でもよいし、ドレイン線9に直列に挿入した電流計測器でもよいが、電圧計測器の方が、回路構成を単純にできるので、本実施形態では電圧計測器を採用している。
【0035】
図2で示す如く、基板1と対向電極フィルム2とはギャップGをもって離間されており、本発明においてはこの空間に導体物含有層10を充填する。ギャップG内部が水分を含んだ空気などである場合、TFT4aは常にこの空気雰囲気中に晒されることになるため、劣化や特性シフトを招くこととなる。そこで本実施形態においては、対向電極フィルム2と基板1およびシール剤3で囲まれた空間を導体物含有層で充填することとした。
【0036】
図6に本発明の第1の実施の形態を示す。本実施形態の導体物含有層10とは、反応を促進しない不活性な気体115中に圧電粒子112を散在させたものである(図6(a))。
【0037】
ここで、圧電粒子112とは、導電性の球形の剛体113の周囲を柔らかい絶縁フィルム114で覆ったものをいう。これをTFT4aの接触電極4bと対向電極フィルム2の間に配置すると、周囲が絶縁フィルム114であるため通常は絶縁物となる(図6(b))。しかし、センサリング時に外部から圧力Pが加わり、接触電極4bと対向電極フィルム2に挟まれると、柔らかい絶縁フィルム114が押圧されて薄くなる(図6(c))。つまり、対向電極フィルム2と接触電極4b間の抵抗が剛体113の抵抗に近づいて小さくなり、電流が流れる構造を有するものである。
【0038】
本実施形態では流れ止め手段で囲まれたセンサ部に窒素ガス115を封入し、この圧電粒子112を散在させる。これによって、TFT4aの水分による劣化、特性シフトを防ぐことができる。ここで、封入するガスは窒素に限らず、基板1上の構造や対向電極フィルム2面と反応しない不活性なガスであれば良い。TFT4aへの水分の侵入を避け、反応を促進しないガスとして乾燥空気でもよいが、酸素が混入するため、窒素の方が好適である。また、Ar、Ne、Kr等のいわゆる不活性元素よりなる気体でもよいが、本実施形態では、より安価で実施できる窒素を採用した。
【0039】
ここで、圧電粒子112の粒径をギャップGと同等にすれば、圧電粒子112自体をスペーサとしても利用できるので、ギャップGがより均一にでき、また長時間の使用で例えば対向電極フィルム2の可撓性が劣化して撓みが生じた場合でも、ギャップGが確保できるため、非接触であるのに導通状態となる不具合を回避することができる。また、ギャップG間の制御が容易となり、製造が容易と成る利点も有する。
【0040】
図7には、本発明の第2の実施の形態を示す。本実施形態では、図のごとく対向電極フィルム2と基板1およびシール剤3で囲まれた空間に、シリコン系またはエポキシ系樹脂110に導電粒子111を混入した導体物含有層10を充填するものである。導電粒子111は、非接触時に導通しない程度の割合で混入されており、通常は絶縁で外圧がかかったときに導電粒子111が集中して導通状態となるものである。これにより、界面からの外気の侵入を防げるので、TFT4aの水分や酸化による腐食を防ぐことができる。
【0041】
また、導体物含有層10は、樹脂であり、気圧が変化しても体積変化がないため、外部の条件によらず最適なセンサリングが可能となる。
【0042】
更に、TFT4aを保護することもできる。例えば空気層であると、センサリング時に対向電極フィルム2と、TFT4aとが直接接触するが、導体物含有層7であれば、樹脂に含まれる導電粒子を介在して電気的に接触するため、TFT4aに対する外力が緩和できることになる。
【0043】
ギャップGは、上記の第1の実施の形態の如く、内部にガス115が封入される場合でも最適な値を確保できるように、ギャップ材に樹脂ファイバが混入されているが、更に樹脂で充填することにより、ギャップGは常に最適値に保たれる。また長時間の使用で例えば対向電極フィルム2の可撓性が劣化して撓みが生じた場合でも、ギャップGが確保できるため、非接触であるのに導通状態となる不具合を回避することができる。また、ギャップG間の制御が容易となるので製造が容易となる利点も有する。
【0044】
次に、図8から図11を用いて本発明の面圧分布センサ100の製造方法について説明する。
【0045】
工程1:図8(a)は、マザーガラス1に、複数の面圧分布センサ100が同時に形成されている様子が示されており、図8(b)は、1つの単位検出素子を示す断面図である。複数の面圧分布センサ100を一枚のマザーガラスで同時に形成することによって、面圧分布センサの製造コストを低減できる。まず、マザーガラス1上に図示しない酸化シリコン膜、窒化シリコン膜よりなるバッファ層を形成する。次に、アモルファスシリコン膜を堆積し、レーザアニールによって結晶化してポリシリコン膜を形成する。次にゲート絶縁膜12を形成し、クロムよりなる金属膜を形成、エッチングしてゲート線8、これに接続するゲート電極8a、図示しない外部接続端子7を形成する。次にゲート電極8aをマスクにして既知の方法により不純物を導入してソース領域Sおよびドレイン領域Dを形成し、活性層11を形成する。次に、層間絶縁膜13を形成し、所定位置にコンタクトホールを形成し、ドレイン線9、取り出し電極9a、基板周囲のコンタクトパッド6a(図8には不図示)を形成する。コンタクトパッド6aは基板1周囲のコーナー部で層間絶縁膜13を開口して設けられ、後の工程で設けられるコンタクト樹脂6bとでコンタクト6を形成し、対向電極フィルム2にGND電位を与えるものである。更に、ITOよりなる接触電極4bを形成して、基板1上に多数の単位検出素子4を形成する。その後大判の基板1をスクライブライン50でスクライブし、個々の面圧分布センサとなる基板1に分割する。
【0046】
工程2:次に、図9に示す如く、前記基板1周囲を囲って窓枠状に、基板1端面から一定距離離れた位置に熱硬化性樹脂を塗布する。次に、70℃20分程度熱処理を行って、半硬化状態の流れ止め手段5を形成する。以後この流れ止め手段5形成の熱処理をプリベークと称する。また、本明細書において半硬化状態とは、硬化前の熱硬化性樹脂が100Pa・s程度の粘度に対し、熱硬化性樹脂が2倍以上の粘度となる状態を言う。半硬化であれば、樹脂が毛細管現象によって流動することはない。
【0047】
工程3:次に、図10に示す如く、流れ止め手段5の外側を囲んでギャップG厚みとなる例えば25μm径のファイバ樹脂を混入したシール剤3を塗布する。更に、コンタクト6を形成するために流れ止め手段5の外側のコンタクトパッド6a上に、コンタクト樹脂6b用の金属ボールを混入した熱硬化性樹脂をコーナーにポッティングする。金属ボールとしては、均一な粒子形状のAuパール(積水化学工業(株)製、AU−230、30μm)がよい。Auパールは、プラスチックなどの樹脂球体をAu等の金属膜で被覆した粉体であり、各粒子の形状が均一である。例えばAgペーストでコンタクト6を形成すると、Ag粉の形状が鋭利で径にバラツキがあるのでITOが劣化するおそれがあるが、Auパールであればこのおそれがない。また、Auパールを採用することで、抵抗が小さくなり、小面積でもコンタクト6の抵抗を低減できる。コンタクト6やシール剤3の基材となる樹脂は、低温硬化性樹脂を用いる。
【0048】
工程4:次に、図11に示す如く、水分を含まない窒素雰囲気中で流れ止め手段5で囲われたセンサ部に圧電粒子を散在させる。または、Au,Ag等の導電粒子が混入されたシリコン系またはエポキシ系の樹脂を封入してもよい。その後、複数の基板1を一方向に並べて配置し、基板1から外部接続端子7が露出する幅にそろえられた一方向に長い対向電極フィルム2を重ねて配置し、ローラー51を回転させながら対向電極フィルム2上で移動させ、複数の基板に同時に貼り付る。一方向に長い対向電極フィルム2を用いることで、長い対向電極フィルム2に適度な張力(テンション)を与えながら加圧でき、また、ローラー51を後述する条件で回転させながら圧力を加える。ローラー51の加圧によって基板1と対向電極フィルム2との間の余分なガスが抜ける。次に、シール剤3である低温熱硬化性樹脂が本硬化する90℃30分程度で熱処理を加重をかけながら行い、コンタクト樹脂6bとシール剤3の樹脂を硬化させ、対向電極フィルム2と基板1とを固着すると同時にコンタクトパッド6aと対向電極フィルム2とを接続するコンタクト6を形成する。また、これと同時に流れ止め手段5もつぶされた形で本硬化され、形状が固定される。本明細書ではこの熱処理をメインベークと称する。この時、基板1と対向電極フィルム2とのギャップGは加重しながらのメインベークによりファイバ樹脂の径又は圧電粒子の径あるいは充填された樹脂層に従って最適化される。本実施形態の場合は例えば25μmとなる。最後に、対向電極フィルムを基板1にあわせて個々に分割し、面圧分布センサ100が完成する。シール剤3とコンタクト6とに低温硬化性樹脂を採用するのは、対向電極フィルム2の可撓性絶縁フィルム2aに採用されるPETの耐熱温度(軟化温度)が120℃前後であり、これ以上の熱処理を行えないためである。
【0049】
次に、流れ止め手段5について説明する。通常、LCDでは、流れ止め手段5は形成されず、両基板はシール剤3のみで固着される。しかし、面圧分布センサは可撓性の対向電極フィルム2を固着する必要があるため、流れ止め手段5が必要になる。図12は、流れ止め手段5を形成せずにシール剤3を形成した場合の断面図である。まず図12(a)に示したように、基板1上にシール剤3を塗布する。次に対向電極フィルム2を重ねて配置させることになるが、硬化前の熱硬化性樹脂は、粘度が低いため、特に導体物含有層10にガスを用いる場合には、図12(b)に示したように、基板1と対向電極フィルム2との間に毛細管現象が発生し、シール剤3自体がセンサ中央部へ侵入してしまい、不良となる場合があることが判った。そこで、シール剤3の内側に、あらかじめ流れ止め手段5を設けておき、毛細管現象の発生を防止する事で、内部へのシール剤3の進入を防ぎ、歩留まりを向上させることができる。
【0050】
また、対向電極フィルム2を重ねて配置させる際に、うまく毛細管現象が発生しなかったとしても、別の問題が発生する。即ち、熱硬化性樹脂は、加熱硬化させる際に、溶剤が蒸発してガスが発生する。このガスの一部は、面圧分布センサ内に封入され、センシング感度がばらついたり、最悪の場合には密着部分が広がり、センシングができなくなる問題があった。そこで、上述した工程2では、流れ止め手段5を塗布した後で、プリベークによって半硬化させているのである。対向電極フィルム2を重ねて配置させる前のプリベークによって流れ止め手段5からはガスが抜け、対向電極フィルム2を重ねて配置させた後のメインベークでシール剤3、コンタクト樹脂6bから発生するガスがセンサ内部に封入されることが防止されるのである。
【0051】
流れ止め手段5を形成せず、シール剤3を1度熱処理し、その後更に本硬化させる熱処理を行うことでそのガスの発生を低減することは可能である。しかし、対向電極フィルムを構成する可撓性絶縁フィルムの耐熱温度が低いため、シール剤は低温熱硬化性樹脂を用いる必要がある。このため1度目の熱処理であっても樹脂の硬化が進行してしまい、本硬化の熱処理では対向電極フィルムの貼り付け強度が著しく低下することになって、歩留まりの低下、もしくはセンサの寿命が短くなるという問題が生じる。これに対し、本実施形態では、流れ止め手段5をプリベークし、別途シール剤3を設けているので、貼り付け強度が低下することはない。しかも、シール剤3を基板1外形いっぱいまで形成する事ができるので、さらに高い貼り付け強度が確保できる。
【0052】
ここで、流れ止め手段5を半硬化させるプリベークは、本硬化に達しないようにする必要がある。プリベークで流れ止め手段5を本硬化させてしまうと、後の工程で対向電極フィルム2を貼り付ける際に流れ止め手段5の柔軟性がなくなり、ギャップGが流れ止め手段5の樹脂の高さに依存してしまうためである。流れ止め手段5は、対向電極フィルム2を重ねる前に流動性をなくす必要があるから、流れ止め手段5の高さは上から抑えて調節することができず、塗布する樹脂の量でしか制御できない。従って、流れ止め手段5は、半硬化した段階での高さが、最終的なギャップGと同程度もしくはこれより低くなる必要がある。しかし、あまり流れ止め手段25の高さが低いと、毛細管現象の発生を抑えることができなくなる。本硬化に達しない状態であれば、ギャップGよりも高く形成し、後のメインベークの工程でつぶすことができる。そこで、流れ止め手段5の流動性をなくし、かつメインベーク時の加圧によってつぶされる硬さ、即ち半硬化とする事で、ギャップGはファイバ樹脂の径または圧電粒子の径で決定しつつ、基板1と対向電極フィルム2との間を流れ止め手段5で埋めることができるのである。
【0053】
流れ止め手段5の材質は、流動せずにある程度の柔軟性をもっていれば、光硬化性樹脂やレジスト等、どのような材質でもよいが、シール剤3と流れ止め手段5を共に低温硬化性樹脂とするとよい。シール剤3と同一の低温硬化性樹脂を用いれば、流れ止め手段5とシール剤3との親和性もよく、硬化条件が同じなので、一度の加熱でコンタクト6とシール剤3とを硬化させることができる。また、シール剤3と流れ止め手段5とを一体化させることができる。これにより、流れ止め手段5も、メインベーク後はシール剤3の一部として機能し、シール幅を1.5〜2倍に増加できるので、基板1上に形成されたTFT4a等の素子の耐湿性を向上させることができる。また、もしもローラーでつぶされた流れ止め手段5が半硬化のままであると、流れ止め手段5の弾性力が対向電極フィルム2を剥がす方向に作用する。しかし、流れ止め手段5をメインベークにより本硬化させておくことによって弾性力が発生しなくなるので、歩留まりを向上させることができる。しかも、シール剤3の本硬化と同時に流れ止め手段5も本硬化するので、別途流れ止め手段5を硬化させる工程は不要である。
【0054】
ところで、通常LCDでは、コンタクト6をAgペーストを用いて形成する。本実施形態において同様にコンタクト樹脂6bにAgペーストを用いて試作したところ、対向電極フィルム2の導通不良が多発した。これは、対向電極フィルムの基材であるPETのガラス転位点が67℃、PENも113℃であるためメインベークとして90℃30分を採用したところ、Agペーストの硬化温度は120℃であるため、Agペーストの基材が本硬化に達しておらず、界面強度が劣化しているものと考えられる。そこで、本実施形態では、コンタクト樹脂6bにも、シール剤3、流れ止め手段5と同一の低温熱硬化性樹脂にAuパールを混入したものを用いた。コンタクト樹脂6bも低温硬化性樹脂とする事で、コンタクト樹脂6bも確実に硬化させることができき、十分な界面強度が得られる。
【0055】
また、図13には、コンタクト6部の断面図を示す。これは、図1のB−B線の断面図である。図13(a)に示したように、コンタクト6をシール剤3の内側に設けることで、コンタクト6をも外気と遮断できるので、コンタクト6の劣化が防げる。さらに、コンタクト6を流れ止め手段5の外側に設けることで、硬化前のコンタクト樹脂6bがセンサ部に侵入することも防げる。従って、コンタクト6は、流れ止め手段5とシール剤3との間に設けるのが最適である。
【0056】
また、コンタクト6をシール剤3の内側に配置すれば、図13(b)に示したように、対向電極フィルム2の導電膜2bもシール剤3の内側までとする事もできる。シール剤3に対応する位置の導電膜2bを除去してから固着することで、PETまたはPENよりなる可撓性絶縁フィルム2aを露出させ、そこにシール剤3を直接固着させれば、可撓性絶縁フィルム2aと導電膜2bとの間での膜剥離による基板1と対向電極フィルム2との剥離場防止され、より信頼性を向上させることができる。樹脂で基板1上に形成されたコンタクトパッド6aを覆うことになるので、コンタクトパッド6aが露出せず、酸化などによる劣化も防ぐことができる。
【0057】
次に、工程4で用いたローラー51について述べる。まず、ローラー51の材質としてはシリコン樹脂、ポリカーボネイト、ABS樹脂等、硬度が50度以上のものが望ましく、50度〜150度程度であれば最適である。また、セラミック、金属、ガラス等でもよく、ギャップGのコントロールを正確に行うためにある程度の硬度を有する材質が良い。硬度50度未満の軟質材では、ローラー51自身にたわみが生じてしまい、ギャップGのコントロールが不正確となる。
【0058】
また、ローラー51の圧力は100g/cm2〜1000g/cm2程度とし、ローラーの速度は5mm/s〜50mm/sが望ましい。更に、貼り付け時の対向電極フィルム2のテンションは100g〜3000g程度が最適である。
【0059】
次に、対向電極フィルム2は、センシングに最適なテンションが必要となる。対向電極フィルム2は可撓性を有し、センシング時には指を摺動するため、特に気体と圧電粒子が充填される場合においては図14に示すように、テンション不足によって対向電極フィルム2に不必要な撓み150が生じ、最適なセンシングが行えないことがある。この場合は、貼り付け後、加熱処理により可撓性導電フィルム(PENまたはPET)を収縮させ、最適なテンションを得る処理を行う(以降本明細書では収縮ベークと称する)。基材を収縮させる収縮ベークは可撓性絶縁フィルム2aのガラス転位温度以上、軟化点未満の温度で短時間行う。特に、ガラス転位温度より10℃から20℃高温とするのがよい。例えばPENであれば113℃、PETであれば80℃がガラス転位温度であるので、その温度から10℃から20℃高温で、3分程度熱処理を行う。収縮ベークによって、可撓性絶縁フィルム2aの基材を1〜3%程度収縮させ、摺動しても不必要な撓みの生じない、最適なテンションを得る処理を行う。収縮させすぎると、可撓性導電フィルム2が硬くなってしまうので、2%程度にとどめるのが好適である。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、信頼性の高い面圧分布センサを提供できる利点を有する。
【0061】
つまり、対向電極フィルム2と基板1およびシール剤4で囲まれた空間を、導体物含有層で充填するものである。導体物含有層として、窒素ガス中に圧電粒子を散在させたものを採用する。不活性ガスで充填することで、TFTの酸素または水分による劣化が抑制できる。
【0062】
窒素ガスに代えて乾燥空気や他の不活性ガスでも水分による劣化を防げるが、窒素であれば、安価なコストで実現できる。また、空気であっても圧電粒子が混入する分TFTと接触する空気量が減るので空気を封入した場合と比較して水分による劣化を防げる。更に水分による劣化を防止できる利点を有する。
【0063】
更に、圧電粒子の粒径をギャップと同等にすれば、圧電粒子がスペーサとなるので、ギャップGがより均一にでき、長時間の使用により対向電極フィルム2の可撓性が劣化しても非接触による導通状態となる不具合を防ぐことができる。
【0064】
また、導体物含有層として、対向電極フィルム2と基板1およびシール剤4で囲まれた空間に、導電粒子を混入したシリコン系またはエポキシ系樹脂を充填してもよい。これにより、第1に、界面からの外気の侵入を防げるので、TFT4aの水分や酸化による腐食を防ぐことができる。
【0065】
第2に、導体物含有層7は、気圧が変化しても体積変化がないため、外部の条件によらず最適なセンサリングが可能となる。
【0066】
第3に、TFT4aを保護することもできる。例えば空気層であると、センサリング時に対向電極フィルム2と、TFT4aとが直接接触するが、導体物含有層7であれば、樹脂に含まれる導電粒子を介在して接触するため、TFT4aに対する外力が緩和できることになる。
【0067】
第4に、樹脂で充填することにより、ギャップGは常に最適値に保たれる。また長時間の使用で例えば対向電極フィルム2の可撓性が劣化して撓みが生じた場合でも、ギャップGが確保できるため、非接触であるのに導通状態となる不具合を回避することができる。また、ギャップGの制御も容易となり製造が容易となる利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を説明するための平面図である。
【図2】本発明を説明するための断面図である。
【図3】本発明を説明するための分解斜視図である。
【図4】本発明を説明するための(a)平面図、(b)断面図である。
【図5】本発明を説明するための(a)断面図、(b)動作回路図である。
【図6】本発明を説明するための断面図である。
【図7】本発明を説明するための断面図である。
【図8】本発明を説明するための断面図である。
【図9】本発明を説明するための平面図である。
【図10】本発明を説明するための平面図である。
【図11】本発明を説明するための平面図である。
【図12】本発明を説明するための断面図である。
【図13】本発明を説明するための断面図である。
【図14】本発明を説明するための断面図である。
【図15】従来技術を説明するための(a)平面図、(b)断面図、(c)断面図である。
Claims (8)
- 基板に設けられた単位検出素子と、
前記基板とシール剤により固着され、前記基板と相対向して設けられた可撓性導電フィルムとを有する面圧分布センサにおいて、
前記基板と前記可撓性導電フィルムおよびシール剤とで囲まれた空間には、導体物含有層が封入されていることを特徴とする面圧分布センサ。 - 前記導体物含有層は、気体中に圧電粒子を散在したものであることを特徴とする請求項1に記載の面圧分布センサ。
- 前記導体物含有層は、反応を促進しない不活性な気体中に圧電粒子を散在することを特徴とする請求項1に記載の面圧分布センサ。
- 前不活性な気体は、窒素であることを特徴とする請求項3に記載の面圧分布センサ。
- 前記不活性な気体は、乾燥空気であることを特徴とする請求項3に記載の面圧分布センサ。
- 前記不活性な気体は、不活性元素を含むことを特徴とする請求項3に記載の面圧分布センサ。
- 前記導体物含有層は、絶縁樹脂に導電粒子を混入した層であることを特徴とする請求項1に記載の面圧分布センサ。
- 前記絶縁樹脂は、シリコン系樹脂またはエポキシ系樹脂であることを特徴とする請求項7に記載の面圧分布センサ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002162939A JP2004012182A (ja) | 2002-06-04 | 2002-06-04 | 面圧分布センサ |
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Cited By (3)
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JP2009244222A (ja) * | 2008-03-31 | 2009-10-22 | Shimane Pref Gov | 圧力検出装置 |
JP2016003991A (ja) * | 2014-06-18 | 2016-01-12 | 大日本印刷株式会社 | 圧力センサ装置 |
CN113932950A (zh) * | 2021-10-13 | 2022-01-14 | 中国科学院苏州纳米技术与纳米仿生研究所 | 柔性压力传感器及其制作方法 |
-
2002
- 2002-06-04 JP JP2002162939A patent/JP2004012182A/ja active Pending
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