JP2004010399A - ガラス成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】線熱膨張係数が40×10−7/℃以下であり、かつ屈伏点が600℃以上であるガラス粒子20または該ガラス粒子20をあらかじめ互いに溶着させた一次加工成形素材を、下金型21と上金型22の間に供給し、加熱、プレスするガラス成形体の製造方法。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス成形体の製造方法に関し、特にレンズ等の光学ガラス素子や光ファイバアレイ用V溝基板、導波路用基板等の光通信関連部材などに好適な低熱膨張性のガラス成形体を得ることができるガラス成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
レンズ等の光学ガラス素子の成形方法としては、従来より精密モールド成形が知られている。この精密モールド成形は、あらかじめ一次加工が施されたガラス板などのガラス素材を金型に供給し、力を加えると変形するような温度、すなわちガラス素材の屈伏点付近あるいはそれ以上の温度に加熱して、プレス成形することによりガラス成形体を得る成形方法である。この精密モールド成形によれば、非球面レンズなど、切削、研磨加工では生産性が低かった光学ガラス素子を低コストで容易に得ることが可能となる。
【0003】
しかしながら、精密モールド成形においては、金型および該金型内側表面に形成されているコーティング膜が高温に曝されることから、成形時に金型やコーティング膜が酸化等によって劣化しないようにするために、精密モールド成形に用いられるガラス素材は、その屈伏点ができるだけ低くい(具体的には600℃未満の)もの、例えば、ホウケイ酸系の光学ガラスにLi2Oを添加したもの、ホウ酸塩系の光学ガラスにLi2Oを添加したもの、屈伏点が560℃以下であるZnO−SiO2−B2O3系ガラスなどに限定されていた。
【0004】
近年の光学機器やレーザプリンタ等の高性能化に伴い、プロジェクション用のフライアイレンズ、ステッパ用フライアイレンズ、レーザープリンタ用のf−θレンズなどにおいては、低熱膨張性で、加工前後の屈折率の変動(ばらつき)が小さく、広い波長範囲で透過特性が良好な高精度なレンズが要求されてきている。また、光ファイバアレイ用V溝基板、導波路用基板等の光通信関連部材においても、位置合わせ精度が高い、すなわち低熱膨張性のものが要求されている。
【0005】
例えば、光ファイバと導波路とを光接続する際には、光ファイバは前記V溝基板によって固定され、この状態で導波路との光接続がなされる。このとき、導波路用基板とV溝基板とは互いに固着される。したがって、導波路用基板の熱膨張係数とV溝基板の熱膨張係数との差が大きいと、高精度で導波路と光ファイバとを光接続したとしても、使用環境下での温度変化に伴う導波路用基板とV溝基板との寸法や形状の変化の差が大きくなる。その結果、光接続部分に位置ズレが生じてアライメント精度が低下し、光接続部分での接続損失が大きくなる。最近では、通信量の増大とともに光ファイバは多芯化する傾向にあり、これにともなってV溝基板のV溝の数が増え、V溝基板が大型化してきている。このような大型のV溝基板では、位置ズレの問題は顕著となる。
【0006】
導波路用基板には、通常、石英ガラス(線熱膨張係数5×10−7/℃)、シリコン(線膨張係数32×10−7/℃)など熱膨張係数の低いガラス素材が使用されている。したがって、V溝基板についても、石英ガラス、シリコン、アルミノホウケイ酸系ガラス(SiO2−B2O3−Al2O3系)の1種であるコーニング社製のパイレックス(登録商標)ガラス(製品番号7740)(線熱膨張係数32×10−7/℃)などを使用する必要がある。
しかしながら、石英ガラス、シリコン、パイレックス(登録商標)ガラスなどの線熱膨張係数の低いガラス素材は、屈伏点が高く、例えば、パイレックス(登録商標)ガラスの屈伏点は639℃であり、上述した理由から精密モールド成形に用いることは困難であった。
【0007】
特に、石英ガラスを精密モールド成形する場合、成形温度を1400℃以上にする必要があり、そのような高温においても劣化せず、しかも石英ガラスと反応しない金型が必要となるという問題があった。また、石英ガラスは、通常のガラス素材に比べ粘性の温度依存性が低く、1450℃の高温においても粘度が非常に高いため、板状などの単純形状の石英ガラスに、精密モールド成形にて複数のV溝を形成して、複雑な形状のものとすることはかなり難しかった。また、図3に示すように、精密モールド成形にて下金型11に供給された石英ガラスの基板10にV溝を形成するためには、V溝に対応した凸条13を有する上金型12を使用する必要があり、精密モールド成形時の圧力がこの凸条13の先端に偏在化して上金型12を傷め、金型の寿命が極端に短くなるという問題もあった。
【0008】
以上のことから、石英ガラス、シリコン、パイレックス(登録商標)ガラスなどの線熱膨張係数の低いガラス素材から、レンズ等の光学ガラス素子や光ファイバアレイ用V溝基板、導波路用基板等の光通信関連部材を得るためには、切削・研磨加工等に頼らざるを得ないのが現状であった。例えば、ステッパ用フライアイレンズのように複数のレンズが整列したものは、石英を研磨し、矩形に切り出した複数のレンズを貼り合わせて製造されている。また、V溝基板は、パイレックス(登録商標)ガラス板をスライサ等の加工機で溝加工し、切断、研磨して製造されている。また、導波路用基板は、シリコン基板の異方性エッチングあるいはリアクティブ・イオン・エッチング(RIE)によって加工し、製造されている。そのため高い精度の要求される光学ガラス素子や光通信関連部材は、生産性が低く、高コストとなっていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明の目的は、低熱膨張性のガラス成形体を、モールド成形にて生産性よく得ることができるガラス成形体の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のガラス成形体の製造方法は、線熱膨張係数が40×10−7/℃以下であり、かつ屈伏点が600℃以上であるガラス粒子または該ガラス粒子をあらかじめ互いに溶着させた一次加工成形素材を、金型内に供給し、加熱、プレスすることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のガラス成形体の製造方法は、線熱膨張係数が40×10−7/℃以下であり、かつ屈伏点が600℃以上であるガラス基板と、線熱膨張係数が40×10−7/℃以下であり、かつ屈伏点が600℃以上であるガラス粒子または該ガラス粒子をあらかじめ互いに溶着させた一次加工成形素材とを、金型内に供給し、加熱、プレスすることを特徴とする。
【0012】
また、前記ガラス粒子の平均粒径は、20μm以下であることが望ましい。
また、前記ガラス粒子は、その平均粒径に対応する比表面積の理論値に対するBET法による比表面積の測定値の倍率が10倍以下のものであることが望ましい。
また、前記ガラス粒子の真球度は、0.5以上であることが望ましい。
また、本発明の本発明のガラス成形体の製造方法は、前記ガラス粒子が、SiO2の純度が99質量%以上の高純度シリカ粒子であるときに、特に有用である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳しく説明する。
図1は、本発明のガラス成形体の製造方法において用いられる成形装置の一例を示す要部断面図である。この成形装置は、フレーム(図示略)内の成形室(図示略)に配置された一対の下金型21および上金型22と、下金型21を支持する下軸24と、上金型22を支持する上軸25と、上軸25を介して上金型22を上下運動させる駆動装置(図示略)と、下金型21および上金型22の周囲を囲むように成形室内に配置された赤外線ランプ(図示略)とを具備して概略構成されるものである。
また、この成形装置は、ガラス素材から光ファイバアレイ用V溝基板を成形するものであり、下金型21は、ガラス素材を内部に供給できるように断面凹形とされ、上金型22は、その表面にV溝基板のV溝に対応した複数の凸条23が形成されているものである。
【0014】
この成形装置を用いたV溝基板(ガラス成形体)の製造は、例えば、以下のようにして行われる。
まず、下金型22内に、ガラス素材としてガラス粒子20を所定量供給する。ついで、成形室内を窒素ガスで置換し、赤外線ランプによって下金型21、上金型22およびガラス粒子20を加熱する。所定の成形温度に到達した後、所定の速度、プレス力にて上金型22を下降させ、表面に複数のV溝が形成されたV溝基板をモールド成形する。
【0015】
本発明のガラス成形体の製造方法においては、線熱膨張係数が40×10−7/℃以下であり、かつ屈伏点が600℃以上であるガラス粒子が用いられる。
ガラス粒子の線熱膨張係数が40×10−7/℃を超えると、得られるガラス成形体の熱膨張性が高くなり、低熱膨張性で、加工前後の屈折率の変動(ばらつき)が小さな高精度レンズ、低熱膨張性で、位置合わせ精度が高いV溝基板、導波路用基板等の光通信関連部材を得ることができない。
【0016】
また、V溝基板と光導波路用基板との接続においては、±0.5μmの精度が要求される。したがって、光導波路用基板が石英の場合、V溝基板に用いられるガラス粒子の線熱膨張係数は、石英の線熱膨張係数(5×10−7/℃)に近い方が望ましく、光導波路用基板がシリコンの場合、V溝基板に用いられるガラス粒子の線熱膨張係数は、シリコンの線熱膨張係数(32×10−7/℃)に近い方が望ましい。
また、大型のV溝基板で、位置合わせ時からの温度変化が大の時(60℃)であっても、光導波路用基板に対して±0.5μmの光接続の精度を維持するためには、V溝基板を構成するガラス粒子と光導波路用基板を構成する材料の線熱膨張係数の差の上限を20×10−7/℃とすることが好ましい。
【0017】
また、屈伏点が600℃未満のガラス粒子は、通常、線熱膨張係数が高く、低熱膨張性のガラス成形体用のガラス素材としては不適である。また、線熱膨張係数が40×10−7/℃以下であっても、屈伏点が600℃未満のガラス素材は、不純物が多くなる傾向にあり、広い波長範囲で透過特性が良好な高精度なレンズなどには不適である。このような用途では、純度99%以上が必要であり、ガラス粒子の屈伏点は1400℃以上になる。
【0018】
ここで、ガラス粒子の線熱膨張係数は、一旦粒子を溶融し成形体を構成し、該成形体を2枚の反射鏡面の間に挟み、直線偏光されたレーザ光による二重光路による干渉縞の移動量により測定される数値である。また、ガラス粒子の屈伏点は、一旦粒子を溶融し標準成形体を構成し、一定速度で昇温加熱しつつ、試料の伸びと温度を測定することによって得られる。試料の伸びが止まり、次に収縮が始まる温度が屈服点である。
【0019】
線熱膨張係数が40×10−7/℃以下であり、かつ屈伏点が600℃以上であるガラス粒子としては、例えば、石英ガラス(線熱膨張係数5×10−7/℃、屈伏点1500℃)、シリコン(線膨張係数32×10−7/℃、屈伏点1400℃)、コーニング社製のパイレックス(登録商標)ガラス(製品番号7740)(線熱膨張係数32×10−7/℃、屈伏点639℃)などが挙げられる。
【0020】
また、ガラス粒子の平均粒径は、20μm以下であることが好ましい。例えば、V溝基板のV溝の幅、深さ、間隔等は、数μm〜100μm程度であり、ガラス粒子の平均粒径が20μmを超えると、V溝基板やレンズアレイなど複雑かつ精細な形状を有するガラス成形体の成形が困難となるおそれがある。
ここで、ガラス粒子の粒径は、液中に粒子を分散させた後、センサ内の透明な流路に交わる光ビームを照射し、照射領域を通過する粒子によってもたらされる散乱光量からパルスを作り、波高分析することにより粒径が測定される。
【0021】
また、ガラス粒子は、その平均粒径に対応する比表面積の理論値に対するBET法による比表面積の測定値の倍率が10倍以下のものであることが好ましい。比表面積の理論値に対する測定値が10倍を超えると、ガラス粒子表面の平滑性が低下し、ガラス粒子の流動性が悪くなるため、V溝基板やレンズアレイなど複雑かつ精細な形状を有するガラス成形体の成形が困難となるおそれがある。
【0022】
ここで、ガラス粒子の平均粒径に対応する比表面積の理論値、すなわち真球体の比表面積SAは、以下の式で求めることができる。
SA(m2/g)=6/(d×D)
(式中、dは粒子の直径(μm)、Dは粒子の真比重である。)
また、BET法は、多分子層吸着に基づいて導かれる吸着等温式(BET式)を用いて、単分子層吸着量と吸着質の分子断面積とから固体の表面積を算出する方法であって、周知の方法である。
【0023】
また、ガラス粒子の真球度は、0.5以上であることが好ましい。ガラス粒子の真球度が0.5未満では、ガラス粒子の流動性が悪くなるため、V溝基板やレンズアレイなど複雑かつ精細な形状を有するガラス成形体の成形が困難となるおそれがある。
ここで、ガラス粒子の真球度は、ガラス粒子の電子顕微鏡写真において、ランダムに20個の粒子を選び、それぞれの最小径と最大径を測定して、20個の粒子の平均値を算出する。
【0024】
また、ガラス粒子としては、SiO2の純度が99質量%以上の高純度シリカ(石英ガラス)粒子が好適である。このような高純度シリカ粒子は、線熱膨張係数が20×10−7/℃以下であり、これを用いることによって、近年の光学機器やレーザプリンタの高性能化の要求に十分に対応した温度安定性の良い高精度のレンズ、光通信関連部材を得ることができる。
このような高純度シリカ粒子は、例えば、特開平7−69617号公報に記載されているような、アルカリ珪酸塩水溶液を分散相として細粒状に分散させた油中水滴型(W/O型)エマルジョンと、鉱酸水溶液分散相として細粒状に分散させた油中水滴型(W/O型)エマルジョンとを混合して球状シリカゲルを生成させ、この球状シリカゲルを鉱酸で処理して得た球状含水シリカを乾燥後、焼成して得る製法によって得ることができる。
【0025】
モールド成形時における成形温度は、ガラス粒子の屈伏点付近あるいはそれ以上の温度であればよく、用いられるガラス粒子の素材に応じて適宜設定される。
また、プレス力やプレス時間も、ガラス粒子の粒径やその流動性に応じて適宜設定される。
【0026】
下金型21および上金型22の材料としては、石英ガラスの成形温度である1400℃以上の高温においても劣化せず、しかもガラスと反応しない点から、ガラス状カーボン(GC)からなる金型が好適に用いられる。
【0027】
以上のようなガラス成形体の製造方法にあっては、ガラス粒子20を下金型21と上金型22との間に供給し、加熱、プレスしているので、石英ガラス、シリコン、パイレックス(登録商標)ガラスのような屈伏点が600℃以上であり、従来ではモールド成形が困難であったガラス素材を用いた場合であっても、上金型22の凸条23の先端に局部的な圧力がかかることがなくなり、金型寿命が長くなり、屈伏点が600℃以上のガラス素材のモールド成形が可能となる。また、ガラス粒子20が流動して上金型22の凸条23間に移動できるので、V溝基板のような複雑な形状を有するガラス成形体を得ることができる。また、線熱膨張係数が40×10−7/℃以下であるガラス粒子を用いているので、低熱膨張性のガラス成形体を得ることができる。また、従来では切削・研磨加工で得ていた低熱膨張性で、しかも複雑な形状を有するガラス成形体を、モールド成形で得ることができるようになるので、このようなガラス成形体の生産性が飛躍的によくなる。
【0028】
なお、本発明のガラス成形体の製造方法において用いられる成形装置は、ガラス粒子を金型内に供給し、加熱、プレスできるものであればよく、図示例のものに限定はされない。また、金型も、目的とするガラス成形体の形状に合わせて適宜設計すればよく、図示例のものに限定はされない。
また、本発明のガラス成形体の製造方法においては、ガラス粒子の代わりに、該ガラス粒子をあらかじめ互いに溶着させた一次加工成形素材を用いてもよい。このような一次加工成形素材は、ガラス粒子のように飛散することなく、取り扱いが容易である。
【0029】
また、肉厚のガラス成形体を製造する場合は、図2に示すように、下金型21内の下側にガラス粒子20と同じ材質の板状のガラス基板26を配置し、上金型22によって複雑な形状に成形される下金型21の上側にガラス粒子20を供給するようにしてもよい。このようにすることで、ガラス粒子の使用量を減らしつつ、肉厚のガラス成形体を成形することができる。
【0030】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
成形装置として、図1に示す成形装置と同様のものを用い、V溝本数16本、V溝ピッチ250μm、V溝高さ215μm、V溝角度60度、基板サイズ5mm×7mm×3mmのV溝基板を成形を試みた。金型の材質としては、GCを用いた。
まず、下金型内に、3mm厚の石英板とガラス粒子を入れる。ガラス粒子としては、線熱膨張係数5.5×10−7/℃、屈伏点1500℃、平均粒径9μm、平均粒径に対応する比表面積の理論値に対するBET法による比表面積の測定値の倍率2以下、真球度0.9以上、SiO2の純度99.9質量%以上の高純度シリカ粒子(三菱レイヨン株式会社製、高純度合成球状シリカ「シリカエースQS」)を50mg供給した。ついで、成形室内を窒素ガスで置換し、赤外線ランプによって下金型、上金型およびガラス粒子を1450℃に加熱し、プレス力5kNにて上金型を下降させ、V溝基板を得た。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のガラス成形体の製造方法は、線熱膨張係数が40×10−7/℃以下であり、かつ屈伏点が600℃以上であるガラス粒子または該ガラス粒子をあらかじめ互いに溶着させた一次加工成形素材を、金型内に供給し、加熱、プレスする方法であるので、低熱膨張性のガラス成形体を、モールド成形にて生産性よく得ることができる。このようなガラス成形体も製造方法は、レーザープリンタ用のf−θレンズ、プロジェクション用フライアイレンズ、ステッパ用フライアイレンズ(ホモジナイザ)、プロジェクション用マイクロレンズアレイ、通信用マイクロレンズアレイ、ホログラム素子、通信用非球面レンズ、光ファイバアレイ用V溝基板、光素子サブマウント基板、導波路用基板などの高い精度の要求される光学ガラス素子や光通信関連部材の製造に好適である。
【0032】
また、本発明のガラス成形体の製造方法は、線熱膨張係数が40×10−7/℃以下であり、かつ屈伏点が600℃以上であるガラス基板と、線熱膨張係数が40×10−7/℃以下であり、かつ屈伏点が600℃以上であるガラス粒子または該ガラス粒子をあらかじめ互いに溶着させた一次加工成形素材とを、金型内に供給し、加熱、プレスする方法であるので、低熱膨張性の肉厚のガラス成形体を、モールド成形にて生産性よく得ることができる。
【0033】
また、前記ガラス粒子の平均粒径が、20μm以下であれば、複雑かつ精細な形状を有するガラス成形体の成形が容易となる。
また、前記ガラス粒子が、その平均粒径に対応する比表面積の理論値に対するBET法による比表面積の測定値の倍率が10倍以下のものであれば、複雑かつ精細な形状を有するガラス成形体の成形が容易となる。
また、前記ガラス粒子の真球度が、0.5以上であれば、複雑かつ精細な形状を有するガラス成形体の成形が容易となる。
また、前記ガラス粒子が、SiO2の純度が99質量%以上の高純度シリカ粒子であれば、近年の光学機器やレーザプリンタの高性能化の要求に十分に対応した高精度のレンズ、光通信関連部材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガラス成形体の製造方法において用いられる成形装置の一例を示す要部断面図である。
【図2】図1の成形装置の金型内にガラス粒子およびガラス基板を供給した状態を示す断面図である。
【図3】従来のガラス成形体の製造方法において用いられる成形装置の一例を示す要部断面図である。
【符号の説明】
20 ガラス粒子
21 下金型
22 上金型
26 ガラス基板
Claims (6)
- 線熱膨張係数が40×10−7/℃以下であり、かつ屈伏点が600℃以上であるガラス粒子または該ガラス粒子をあらかじめ互いに溶着させた一次加工成形素材を、金型内に供給し、加熱、プレスすることを特徴とするガラス成形体の製造方法。
- 線熱膨張係数が40×10−7/℃以下であり、かつ屈伏点が600℃以上であるガラス基板と、線熱膨張係数が40×10−7/℃以下であり、かつ屈伏点が600℃以上であるガラス粒子または該ガラス粒子をあらかじめ互いに溶着させた一次加工成形素材とを、金型内に供給し、加熱、プレスすることを特徴とするガラス成形体の製造方法。
- 前記ガラス粒子の平均粒径が、20μm以下であることを特徴とする請求項1または2記載のガラス成形体の製造方法。
- 前記ガラス粒子が、その平均粒径に対応する比表面積の理論値に対するBET法による比表面積の測定値の倍率が10倍以下のものであることを特徴とする請求項1ないし3いずれか一項に記載のガラス成形体の製造方法。
- 前記ガラス粒子の真球度が、0.5以上であることを特徴とする請求項1ないし4いずれか一項に記載のガラス成形体の製造方法。
- 前記ガラス粒子が、SiO2の純度が99質量%以上の高純度シリカ粒子であることを特徴とする請求項1ないし5いずれか一項に記載のガラス成形体の製造方法。
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