JP2004010069A - 包装材料、包装容器および包装材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【構成】基材と最外熱可塑性材料層と最内熱可塑性材料層とから少なくともなる積層包装材料の製造方法であって、少なくとも1の遮光層の金属蒸着紙を基材と最内層との間に熱可塑性合成樹脂を用いて押し出しラミネーション等により積層する、複数の紙層を貼り合わせて積層体とした紙容器材料の製造方法である。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、環境面、酸素バリア性及び、遮光性に優れた包装材料、包装容器および包装材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
紙を基材としてその両面に熱可塑性合成樹脂を積層させた構成の包装材料は、飲料用の紙容器等に広く使用されている。多くの場合ポリエチレン樹脂が使用される。しかし、ポリエチレン樹脂は酸素遮断性が十分でないため、空気中の酸素が包材を通り抜け容器内に進入することで内容物の酸化劣化がおこる。これを防ぐためには酸素バリア性の包装材を用いる必要がある。
【0003】
エチレン・酢酸ビニル共重合体やポリアミドからなる一般的な酸素バリア層を有する紙容器が知られている。また、SiOx、アルミナ等の無機物をPETやOPPに蒸着した酸素バリアフィルムも用いられている。
【0004】
食品の劣化には、酸素のみならず光も影響し、たとえば牛乳は光(可視光線)照射においても容易に変質するため、酸素と光を同時に遮断する材料が望まれる。
しかし、上述の酸素バリア材料は透明であるため、光遮断性はない。紫外線の遮断には、UV遮断性の添加剤を添加することも可能であるが、可視光線も含めた光バリア性材料はない。
【0005】
酸素と光の両方を遮断できる材料としては従来からアルミ箔をラミネートした包装材料があるが、省資源、環境問題(容器のリサイクル)を考慮した場合、アルミ箔の使用は好まれない。
【0006】
一般的に、アルミ箔を用いずに光バリア性と酸素バリア性を有する積層体を製造する場合には、光バリア層と酸素バリア層を各々積層させるか、最初に酸素バリア性積層体を得てから、後加工で印刷等により光バリアを付与させる必要がある。
酸素バリア性積層体の製造だけをみても、酸素バリア性樹脂フィルムをラミネートする際には、該フィルムがヒートシール層として用いられるポリエチレンと接着しないため接着剤の使用が不可欠であり、接着性樹脂の押し出し機が必要となる。また酸素バリア性樹脂の押し出し加工では、同様の理由により酸素バリア性樹脂、接着剤樹脂を同時に加工するための多層押し出し加工が必要であるため、それぞれの樹脂用の押し出し機や共押し用T−ダイ等の設備が必要となる。
光バリア性と酸素バリア性を兼ね備えた包装材料を製造する為には、多くの工程と多種の装置・材料を必要とする。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
解決しようとする問題点は、環境面、酸素バリア性及び、遮光性に優れた包装材料、包装容器および包装材料の製造方法において、透明の酸素バリア層では遮光ができず、可視光及び紫外線を含めた遮光ができず、環境面で問題があり、多くの工程と多種の材料を必要とする点である。
本発明は、環境面、酸素バリア性及び、遮光性に優れた包装材料、包装容器及び包装材料の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明は、包装材料の層構成を設計するとき、基材と最内層との間に設けられた遮光層を金属蒸着紙からなるように構成したものである。これにより、上記目的を実現した。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、基材と最外熱可塑性材料層と最内熱可塑性材料層とから少なくともなる積層包装材料であって、少なくとも1の遮光層が基材と該最内層との間に設けられ、該遮光層が金属蒸着紙からなることを特徴とする包装材料である。
金属蒸着紙の金属蒸着膜が、可視光及び紫外線の透過を防ぎ包装材料に十分な遮光性を付与し、同時に、空気や酸素ガスの浸透を阻止して酸素バリア性を包装材料に付与することができ、しかも、紙層が追加されて基材の機械的強度を補強することできるという作用を有する。
【0010】
請求項2に記載の発明は、基材と、最外熱可塑性材料層と、最内熱可塑性材料層と、該基材と該最内層との間に設けられた少なくとも1の遮光層と、から少なくともなる積層包装材料より形成された包装容器であって、該遮光層が金属蒸着層紙からなることを特徴とする包装容器である。
金属蒸着紙の金属蒸着膜が、可視光及び紫外線の透過を防ぎ包装容器に十分な遮光性を付与し、同時に、空気や酸素ガスの浸透を阻止して酸素バリア性を包装容器に付与することができ、しかも、金属蒸着膜及び紙層が環境負荷低減面で貢献することできるという作用を有する。
【0011】
請求項3に記載の発明は、基材と最外熱可塑性材料層と最内熱可塑性材料層とから少なくともなる積層包装材料の製造方法であって、少なくとも1の遮光層の金属蒸着紙を該基材と該最内層との間に積層することを特徴とする包装材料の製造方法である。
金属蒸着紙の金属蒸着膜が、可視光及び紫外線の透過を防ぎ包装材料に十分な遮光性を付与し、同時に、空気や酸素ガスの浸透を阻止して酸素バリア性を包装材料に付与することができ、しかも、廉価な金属蒸着紙を使用し従来の製造工程を転用して製造するので、廉価にかつ簡潔に、環境面、酸素バリア性及び、遮光性に優れた包装材料を製造することできるという作用を有する。
以下、本発明の実施の形態について、説明する。
【0012】
本発明における包装容器の一例は、酸素および光を同時に遮断するため金属蒸着を施した紙をラミネートした紙容器である。この形態では、紙にアルミ箔をラミネート加工する一般的な紙容器加工ラインにおいて、アルミ箔の代わりに金属蒸着紙をもちいることで加工可能である。そのためポリアミドやエチレン・酢酸ビニル共重合体を押し出し加工するための多層押し出しラインでなくても製造可能である。
【0013】
この発明における金属蒸着紙として、アルミ蒸着紙を用いた場合、その蒸着厚さは、400−600オングストロム程度であり、一般的なアルミ箔の厚さ6−10ミクロンと比べ薄く、省資源の材料である。
【0014】
本発明の包材の材料構成の形態例を示す。
板紙を基材とし、バリア層として金属蒸着紙をラミネートした積層構造を有する材料で、基本的には下記の5層構成を持つ。
熱可塑性合成樹脂/板紙/熱可塑性合成樹脂/金属蒸着紙/熱可塑性合成樹脂
【0015】
ここで使用される熱可塑性合成樹脂としては、通常、ポリエチレンが用いられる。ポリエチレン以外に、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、その他、ポリエステルなどを使用することができる。また、さらに上記の構成を基本として複数の紙層や樹脂層を組み合わせて6層以上の多層構造としてもかまわない。
【0016】
熱可塑性合成樹脂としてポリエチレンを用いた場合は下記の構成となる。
ポリエチレン/板紙/ポリエチレン/金属蒸着紙/ポリエチレン
ポリエチレンとしては、容器としてヒートシール性が要求されることから、低密度ポリエチレン(LDPE)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いる。ただし板紙と金属蒸着紙との積層等ヒートシールに関与しない部分には、その他のポリエチレン、すなわち中密度ポリエチレン(MDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)を用いても良い。
【0017】
基材としての板紙は、一般的に紙容器に使用されている坪量130g/m2から400g/m2の板紙を用いる。金属蒸着紙の紙が積層されるので、より薄い板紙を使用することもできる。
【0018】
金属蒸着紙は、紙に金属を真空蒸着させることで得られるものである。この形態で使用する紙は、板紙より薄い25g/m2から100g/m2程度の紙を用いることが好ましい。そして紙に蒸着させる金属としては、アルミニウム、錫等、一般的な真空蒸着加工に用いられる金属を用いることができる。この形態において、金属蒸着膜の厚さは、200−700オングストロム、好ましくは、300−600オングストロムある。
【0019】
本発明の製法方法においては、熱可塑性合成樹脂としてポリエチレンのみを用いて製造可能である。アルミ箔をラミネート加工できる押し出しラミネート装置を転用すれば、アルミ箔の代わりに金属蒸着紙をもちいるだけで容易に光遮断性と酸素遮断性を有する本発明の包装材料を製造できる。従って、多くの工程と多種の装置・材料を必要とせず、従来の製造ラインを転用することが容易である。
【0020】
以上、本発明の製造方法の押し出しラミネート加工について述べたが、金属蒸着紙を積層する方法としてはこれに限ったものではなく、ドライラミネート等、既存の他の加工方法によっても製造できる。そして得られる包装材料はアルミを有するものの、蒸着膜であるため非常に薄く、実質的に紙とポリオレフィンからなるバリア包材である。環境面での問題はない
【0021】
なお、以上の説明では、構成例で説明したが、その他の材料についても同様に実施可能である。
【0022】
上述の包装材料は、製造後、例えば、一般的なゲーブルトップ容器の製造方法と同一の方法でゲーブルトップブランクスに加工される。本構成では蒸着HDPEフィルムを用いると金属断面(蒸着面)が露出するためブランクスにする際、必要に応じてスカイブ加工等の断面処理を行なう。
【0023】
この発明における包装容器は、例えば、ゲーブルトップ型容器の他、ブリック状(平行6面体)の他、6角柱状、8角柱状、四面体形状などがある。
【0024】
【実施例】
次に、本発明の具体例を説明する。
【0025】
(実施例)
基材として坪量約310g/m2の板紙を用い、下記構成の積層体を押し出し加工により作製した。
LDPE(15g/m2)/基材/LDPE(15g/m2)/金属蒸着紙(31g/m2)/LDPE(20g/m2)
用いた低密度ポリエチレン(LDPE)は、密度0.918g/cm3、MI=3.0である。金属蒸着紙は、グラシン紙に約500オングストロム アルミニウム蒸着をしたものである。
この積層体の酸素透過率を測定したところ、室温(25℃)にて50cc/m2.atmであった。これは一般的に酸素バリア性材料と称せられるもの(<1cc〜50cc/m2.atm)にあたる。
またこの積層体の光透過率を測定したところ、300から800nmの全範囲において光透過率が下記比較例1に示す積層体と比較して1.0%以下であった。
この積層体を加工し、1リットルの屋根型容器(ゲーブルトップ型紙容器)包材を製造した。
【0026】
(比較例1)
下記構成の積層体を押し出し加工により作製した。
LDPE(15g/m2)/基材/LDPE(35g/m2)
用いた基材およびLDPEは実施例と同様のものである。
この積層体を加工し、1リットルの屋根型容器(ゲーブルトップ型紙容器)包材を製造した。
【0027】
(比較例2)
下記構成の積層体を共押し出し加工により作製した。
LDPE(15g/m2)/基材/LDPE(10g/m2)/接着剤(5g/m2)/ポリアミド(10g/m2)/接着剤(5g/m2)/LDPE(15g/m2)
ポリアミド樹脂はメタキシリレンジアミンとアジピン酸の反応により得られる酸素バリア性に優れた樹脂である(MXD−6、#7001)。また接着剤は酸無水物変性のポリオレフィン樹脂である。基材、LDPEは比較例1と同様である。
実施例と同様の条件でこの材料の酸素透過率を測定したところ、10cc/m2.atm以下であった。
この積層体を加工し、1リットルの屋根型容器(ゲーブルトップ型紙容器)包材を製造した。
【0028】
(参考例)
下記構成の積層体を押し出し加工により作製した。
LDPE(15g/m2)/基材/LDPE(15g/m2)/アルミ箔(9μm)/LDPE(20g/m2)
比較例1と同じ基材およびLDPEを使用し、アルミ箔をラミネート加工したものである。
この積層体を加工し、1リットルの屋根型容器(ゲーブルトップ型紙容器)包材を製造した。
これは酸素透過量および光透過量の最も少ない紙容器の構成である。
【0029】
(試験結果)
試験1
1リットルゲーブルトップ容器の充填機を用い、ビタミンCを50mg/100ml含むオレンジジュース(濃縮還元果汁)をそれぞれの容器に充填し、10℃に1週間保管後におけるビタミンCの含有量を測定したところ、下記のようになった。
試料 初期 1週間後
実施例 50 38
比較例1 50 5
比較例2 50 40
参照例 50 44 (単位:mg/100ml)
【0030】
酸素透過量の非常に少ない参照例と比較した場合、実施例は若干ビタミンCの損失が大きいものの酸素バリア性のない比較例1よりもはるかに保持率が良く、比較例2の酸素バリア性包材と同程度の性能であることがわかる。
積層体の酸素透過率比較において実施例の積層体は比較例2の酸素バリア材料よりも酸素透過率が大きいにもかかわらず、ビタミンCの保持率がそれほど変わらなかった。これは積層体が最終的に内容物を充填した容器となるためには材料の曲げ加工やヒートシール等の工程を経てなされるため、種々な要因が複合的に作用するためであると考えられる。
【0031】
試験2
低温殺菌牛乳をそれぞれの容器に充填し、蛍光灯を点灯させた10℃冷蔵庫に24時間保存した。照明点灯時、冷蔵庫内部の明るさは、容器上部での照度で5,000luxであった。
評価は参照例との比較で行い、参照例と比較した場合の異味の「ある」、「なし」を官能検査により評価した。
試料 異味の有無*
実施例 なし
比較例1 あり
比較例2 あり (*参照例との比較)
【0032】
バリア性のない比較例1、酸素バリア性はあるが光バリア性のない比較例2では味の変化があったが、実施例のものは異味の発生は認められなかった。
以上の結果より、本発明品は酸素バリア性および光バリア性の両方にすぐれていることが認められる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の包装材料、包装容器および包装材料の製造方法によって、
多くの工程と多種の材料を必要としない、環境面、酸素バリア性及び、遮光性に優れた包装材料、包装容器および包装材料の製造方法を提供することができる。
熱可塑性合成樹脂としてポリエチレン樹脂だけを用いて加工でき、酸素遮断性と光遮断性に優れた包装材料を得ることができる。
Claims (3)
- 基材と最外熱可塑性材料層と最内熱可塑性材料層とから少なくともなる積層包装材料であって、少なくとも1の遮光層が基材と該最内層との間に設けられ、該遮光層が金属蒸着紙からなることを特徴とする包装材料。
- 基材と、最外熱可塑性材料層と、最内熱可塑性材料層と、該基材と該最内層との間に設けられた少なくとも1の遮光層と、から少なくともなる積層包装材料より形成された包装容器であって、該遮光層が金属蒸着層紙からなることを特徴とする包装容器。
- 基材と最外熱可塑性材料層と最内熱可塑性材料層とから少なくともなる積層包装材料の製造方法であって、少なくとも1の遮光層の金属蒸着紙を該基材と該最内層との間に積層することを特徴とする包装材料の製造方法。
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JP2002162681A JP4222782B2 (ja) | 2002-06-04 | 2002-06-04 | 包装材料、包装容器および包装材料の製造方法 |
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WO2023189025A1 (ja) * | 2022-04-01 | 2023-10-05 | サントリーホールディングス株式会社 | アスコルビン酸水溶液が収容されてなる包装体 |
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