JP2004009482A - 画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】粗面化されたもしくは多孔質の支持体(A)上に親水性の下引き層(B)を設け、更にその上に光重合性組成物からなる感光性層(C)を塗設してなる画像形成材料を使用し、(B)の親水性の下引き層が支持体上に塗設後は水及び/又は有機溶媒に溶解しない層であり、かつ該画像形成材料の感光性層を画像様に露光した後に印刷機上にて未露光部の除去を行うことによって画像形成することを特徴とする画像形成方法。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成方法に関するものであり、更に、感光性平版印刷版、配線板用銅エッチングレジスト、グラビア用銅エッチングレジスト、ドライフィルム、カラーフィルター、及びプラズマディスプレイ用顔料分散レジストなど各種のパターン形成材料に使用可能で高感度な光重合性組成物、感光性平版印刷版及び印刷版を提供する画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光重合系を利用した画像形成方法は多数知られている。光重合性組成物の光重合開始系として種々のものが知られており、例えば、チタノセン類と増感剤の組み合わせ(例えば、特開平4−219756号各公報等)、ピロメテン錯体増感剤とラジカル発生剤の系(特開平4−241338、特開平7−5685、特開平7−225474号等)等は、比較的高感度なものとして知られている。
しかしながら上記の光重合性組成物は、いずれも感度の点で更なる改善が望まれており、例えば低出力のアルゴンレーザーやFD−YAGレーザーにより高速度に画像記録する場合には、更に高感度の組成物とする必要がある。
【0003】
一方、光重合性組成物の重合性成分として、種々のアクリレート化合物を使用することが知られており、水酸基含有化合物と(メタ)アクリル酸のエステルであるアクリレート化合物や、ジイソシアネート化合物と水酸基及びアクリレート基含有化合物とを反応させたウレタン系アクリレート化合物が知られている(例えば、特開平11−271969号公報)。
【0004】
また、重合反応によって得られた硬化部と、非硬化部を何らかの手段によって分けることにより画像が最終的に得られることになる。例えば、付加重合可能なエチレン性二重結合を含む化合物と光重合開始剤、さらに所望により有機高分子結合材などを含有する光重合性組成物からなる光重合性組成物層を支持体上に設けた感光材料に、所望画像を露光して露光部分を重合硬化させ、未露光部分を溶解除去することにより硬化レリーフ画像を形成する方法がある。また少なくとも一方が透明である二枚の支持体間に光重合性組成物の層を設けた感光材料に、透明支持体側より露光し光による接着強度の変化を起こさせ、支持体を剥離することにより画像を形成する方法、その他光重合性組成物層の光によるトナー付着性の変化を利用した画像作成方法などがある。
【0005】
その中でも特に一般的なのが、例えば有機溶剤やアルカリ性の特別の薬品からなる現像液を使用する事によって非露光部を溶解除去させる方法がある。この場合画像形成材料を搬送しながら該現像液へと浸積させ、自然溶解、ブラシでの機械的な擦り等を経て画像を表出させ、更に余分の現像液を水を用いて洗い流すのが普通である。
また、最近では光重合性組成物とその支持体の中間に溶解可能な下引き層を設ける画像形成材料を、通常の現像処理を行わず直接印刷機に取り付けて、下引き層を溶解させることによって未露光部の光重合性組成物を除去する方法などが知られている(USP6014929)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特殊な薬品を用いた現像処理を必要とする光重合性組成物は、現像液のコスト、現像液の鮮度を保つための補充などのケア、廃液の処理、そしてその他の設定をコントロールすることが必要であり非常な煩雑な手間を要求するものであった。そして更にこれら現像の条件は、通常使用しているのとは異なる光重合性組成物を用いる場合には、新たに例えば現像液の変更などその他条件の変更を必要としこれは大きな負担となっていた。
また、溶解可能な下引き層を設ける場合では支持体と光重合性組成物層間の下引き層も溶けやすく、その結果本来残るべき画像の土台も流れてしまいがちであるために露光部の画像再現が不充分であるという問題があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、下引き層を水及び/又は有機溶媒に不溶性の層とすることで、印刷機上での未露光部の除去が効果的で且つ、露光部の画像再現性にも優れることを見出した。
即ち、本発明の要旨は、粗面化されたもしくは多孔質の支持体(A)上に親水性の下引き層(B)を設け、更にその上に光重合性組成物からなる感光性層(C)を塗設してなる画像形成材料を使用し、(B)の親水性の下引き層が支持体上に塗設後は水及び/又は有機溶媒に溶解しない層であり、かつ該画像形成材料の感光性層を画像様に露光した後に印刷機上にて未露光部の除去を行うことによって画像形成することを特徴とする画像形成方法に存する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
<エチレン性単量体(D)の説明>
本発明の光重合性組成物の主要成分である付加重合可能なエチレン性二重結合含有化合物(以下「エチレン性単量体(D)」と略す)とは、光重合性組成物が活性光線の照射を受けた場合、例えば光重合開始系の作用により付加重合し、硬化するようなエチレン性二重結合を有する単量体である。
【0009】
なお、本発明における単量体の意味するところは、皮膜形成能を有する高分子結合材に相対する概念であって、従って、狭義の単量体以外にも二量体、三量体、オリゴマーをも包含するものである。
エチレン性単量体としては、一分子中にエチレン性二重結合を一個有する化合物及び、一分子中にエチレン性二重結合を二個以上有する多官能エチレン性単量体が挙げられ、前者としては、具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、アクリロニトリル、スチレン、エチレン性不飽和結合を一個有するカルボン酸化合物と多(単)価アルコールのモノエステル等が挙げられる。
ウレタン系以外のエチレン性単量体を併用する場合、1分子中にエチレン性不飽和結合を二個以上有する多官能エチレン性単量体を使用することが望ましい。
【0010】
かかる多官能エチレン性単量体の例としては、例えば脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸及び多価カルボン酸とのエステル化反応により得られるエステルなどが挙げられる。
【0011】
前記脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルは限定されないが、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスルトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートグリセロールアクリレート等の脂肪族ポリヒドロキシ化合物のアクリル酸エステル、これら例示化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたメタクリル酸エステル、同様にイタコネートに代えたイタコン酸エステル、クロネートに代えたクロトン酸エステルもしくはマレエートに代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
【0012】
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、ハイドロキノンジアクリレート、ハイドロキノンジメタクリレート、レゾルシンジアクリレート、レゾルシンジメタクリレート、ピロガロールトリアクリレート等の芳香族ポリヒドロキシ化合物のアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル等が挙げられる。
不飽和カルボン酸及び多価カルボン酸ならびに多価ヒドロキシ化合物のエステル化反応により得られるエステルとしては必ずしも単一物ではないが代表的な具体例を挙げれば、アクリル酸、フタル酸、及びエチレングリコールの縮合物、アクリル酸、マレイン酸、及びジエチレングリコールの縮合物、メタクリル酸、テレフタル酸及びペンタエリスリトールの縮合物、アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール及びグリセリンの縮合物等がある。
【0013】
その他、本発明に用いられる多官能エチレン性単量体の例としては、トリレンジイソシアネートとヒドロキシエチルアクリレートとの付加反応物の様なウレタンアクリレート類;ジエポキシ化合物とヒドロキシエチルアクリレートとの付加反応物のようなエポキシアクリレート類;エチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物等が有用である。
【0014】
本発明のエチレン性単量体として特に限定されないが、一分子中に4つ以上のウレタン結合[−NH−(C=O)−O−]及び4つ以上の付加重合可能な二重結合を有するウレタン系化合物を含有しても良く、更に具体的には以下の構造を有する化合物である。
【0015】
【化1】
【0016】
〔式(I)中、xは4〜20の整数、yは0〜15の整数、zは1〜15の整数を表わし、Raはアルキレン、アリーレン、アルキレンオキシ又はアリーレンオキシ由来のくり返し単位を有し、Rbはアルキレン、アリーレン、アルキレンオキシ、アリーレンオキシを表し、Rcは独立にC1〜20のアルキレン、アリーレン基を表わし、Rdは水素またはC1〜20の有機残基またはアルカリ金属基であり、かつ少なくとも(メタ)アクリル基を1〜10個有する有機残基を表わし、Ra,Rb,Rc,Rdはそれぞれ独立して置換基を有していてもよい。〕
【0017】
該ウレタン化合物の製造方法としては特に限定されないが、イソシアネート基と水酸基の付加反応によってウレタン結合を容易に形成できるので、好ましくは、(G)一分子中に4つ以上のイソシアネート基を有する化合物と、(H)一分子中に1つ以上の水酸基と2つ以上の付加重合可能な二重結合を有する化合物とを反応させて得られる。
更に本発明において特に限定されないが、エチレン性単量体としては少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を含有するリン酸エステル化合物を含んでいても良い。特に限定はされないが、具体的には例えば下記一般式(II)、(III)で示される化合物が挙げられる。
【0018】
【化2】
【0019】
(一般式(II)、(III)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、nは1〜25の整数を示し、mは1〜3の整数を示す。)一般式(II)、(III)で表される化合物の内、特に好ましい化合物の具体例としては、メタアクリルオキシエチルフォスフェート、ビス(メタアクリルオキシエチル)フォスフェート、メタアクリルオキシエチレングリコールフォスフェート等が挙げられる。
【0020】
<光重合開始系の説明>
次に主要成分である光重合開始系(E)について説明する。光重合開始系は、通常ラジカル発生剤と増感剤から構成され、必要により重合加速剤を含む。
ラジカル発生剤としては、前記エチレン性単量体の重合を開始させうるものは全て使用できる。このうち、光励起された増感剤と何らかの作用を及ぼしあうことにより活性ラジカルを生成するラジカル発生剤としては、例えば、チタノセン類、ヘキサアリールビイミダゾール類、有機硼素アニオン(ボーレート)類、ハロゲン化炭化水素誘導体(ハロメチル基含有化合物)、ジアリールヨオードニウム塩、有機過酸化物等を挙げることができる。
【0021】
チタノセン類としては、例えば特開昭59−152396号、特開昭61−151197号各公報に記載されている各種チタノセン類から適宜選んで用いることができる。更に具体的には、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イル等のジシクロペンタジエニル基を有するチタノセン化合物を挙げることができる。これらは、二種以上を併用して用いても良い。
【0022】
ヘキサアリールビイミダゾール類としては、例えば、2,2’−ビス(o−クロルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−フルオロフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロムフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−ヨードフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−クロルナフチル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロルフェニル)−4,4’5,5’−テトラ(p−クロルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロムフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−クロル−p−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジクロルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロルフェニル)−4,4’5,5’−テトラ(o,p−ジブロムフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロムフェニル)−4,4’5,5’−テトラ(o,p−ジクロルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロルフェニル)−4,4’5,5’−テトラ(o,p−ジクロルフェニル)ビイミダゾール類等のベンゼン環上にハロゲン置換基を有するヘキサアリールビイミダゾール類が好ましい。
【0023】
こららのヘキサアリールビイミダゾール類は、必要に応じ、多種のビイミダゾールと併用して使用することもできる。ビイミダゾール類は例えばBull.Chem.Soc.Japan.33,565(1960)及びJ.Org.Chem.36[16]2262(1971)に開示されている方法により容易に合成することができる。
【0024】
有機硼素アニオンとしては、例えば、特開昭62−143044号、特開昭62−150242号、特開平9−188685号、特開平9−188686号、特開平9−188710号、特許第2764769号等の各公報、及び、Kunz,Martin“Rad Tech’98.Proceeding April 19−22,1998,Chicago”等に記載のものが挙げられるが、特に、下記一般式(IV)で表されるものが好ましい。
【0025】
【化3】
【0026】
〔式(IV)中、R2、R3、R4、及びR5は各々独立して、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は複素環基を示し、これらは互いに連結して環状構造を形成していてもよく、これらのうち少なくとも一つは置換基を有していてもよいアルキル基である。〕
【0027】
ここで、式(IV)中のR2、R3、R4、及びR5がアルキル基であるときの炭素数は通常1〜15、好ましくは1〜5、アルケニル基、アルキニル基であるときの炭素数は通常2〜15、好ましくは2〜5、アリール基であるときの炭素数は通常6〜20、好ましくは6〜15、複素環基であるときの炭素数は通常4〜20、好ましくは4〜15であり、それらにおける置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリメチルシリル基等が挙げられる。中でも、R2〜R4が独立にハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基であり、R5が炭素数1〜6のアルキル基であるのが好ましい。
【0028】
これらの有機硼素アニオンとしては、具体的には、例えば、n−ブチル−メチル−ジフェニル硼素アニオン、n−ブチル−トリフェニル硼素アニオン、n−ブチル−トリス(2,4,6−トリメチルフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(p−メトキシフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(p−フルオロフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(m−フルオロフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(2,6−ジフルオロフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(2,4,6−トリフルオロフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(p−クロロフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(トリフルオロメチル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(2,6−ジフルオロ−3−ピロリルフェニル)−硼素アニオン等が挙げられる。
【0029】
又、対カチオンとしては、例えば、アルカリ金属カチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン等のオニウム化合物、及び、ピリリウムカチオン、チアピリリウムカチオン、インドリウムカチオン等を挙げることができるが、テトラアルキルアンモニウム等の有機アンモニウムカチオンが好ましく、特に炭素数1〜6のアルキル基のテトラアルキルアンモニウムカチオンが好ましい。
【0030】
ハロメチル基含有化合物としては、モノ、ジ、又はトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン化合物が好ましく、下記一般式(V)
で表されるものが特に好ましい。
【0031】
【化4】
【0032】
〔式(V)中、Xはハロゲン原子を示し、Wは置換基を有していてもよいアリール基又は複素環基を示し、R6は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又はアリール基を示し、rは0〜2の整数である。〕
【0033】
これらのs−トリアジン化合物としては、具体的には、例えば、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン等が挙げられ、中でも、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が経時安定性に優れ好ましい。
【0034】
これらラジカル発生剤は、露光波長により適宜選択して用いることが出来るが、例えば、露光波長が350〜650nmの範囲では、チタノセン類及び/又はヘキサアリールビイミダゾール類を用いるのが、感度、保存性、塗膜の基盤への密着性等が特に良好で好ましい。
また、露光波長が、650〜1300nmの場合には、有機硼素アニオン及び/又はハロメチル基含有化合物を用いるのが、感度、保存性、塗膜の基盤への密着性等が特に良好で好ましい。
次に、光重合開始剤の内の増感剤について説明する。本発明における増感剤とは、前述の活性剤と共存した場合、光線照射により、効果的に活性ラジカルを発生しうる化合物を意味している。
【0035】
代表的な増感剤の例としては、例えば、米国特許第3,479,185号明細書に開示されているロイコクリスタルバイオレットやロイコマラカイトグリーンの様なトリフェニルメタン系ロイコ色素、エリスロシンやエオシンYのような光還元性染料、米国特許第3,549,367号明細書、米国特許第3,652,275号明細書等に開示されているミヒラーズケトンやアミノスチリルケトンの様なアミノフェニルケトン類、米国特許第3,844,790号明細書に示されるβ−ジケトン類、米国特許第4,162,162号明細書に見られるインダノン類、特開昭52−112681号公報に示されるケトクマリン類、特開昭59−56403号公報で開示されているアミノスチレン誘導体やアミノフェニルブタジエン誘導体、米国特許第4,594,310号明細書に見られるアミノフェニル複素環類、米国特許第4,966,830号明細書に示されるジュロリジン複素環類、特開平5−241338号公報に示されるピロメテン系色素、その他シアニン色素、ジアルキルベンゼン系化合物等が挙げられる。
【0036】
これら増感剤は露光波長により適宜選択して用いることができるが、露光波長が390〜430nmであれば、ジアルキルアミノベンゼン系化合物が好ましく、露光波長が400〜650nmであれば、ケトクマリン類及びピロメテン系色素が好ましく、露光波長が650〜1300nmであればシアニン色素が好ましい。
【0037】
ジアルキルアミノベンゼン系化合物としては、ジアルキルアミノベンゼン構造を有し、任意の置換基を有しているものであればよいが、中でも、ジアルキルアミノベンゾフェノン系化合物、ベンゼン環上のアミノ基に対してp−位の炭素原子に芳香族複素環基を置換基として有するジアルキルアミノベンゼン系化合物、及びこれらの化合物のジアルキルアミノ基を構成するアルキル基が互いに結合して、及び/又は該アルキル基がベンゼン環上のアミノ基の結合する炭素原子に隣接する炭素原子と結合して含窒素複素環構造を形成した構造の化合物が好ましい。尚、上記において、ジアルキルアミノ基を構成するアミノ基は互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜6が好ましい。
【0038】
中でも好ましいジアルキルアミノベンゼン化合物は、下記一般式(VI)及び(VII)で示される。
【0039】
【化5】
【0040】
(式(VI)中、R7〜R10は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基を、R11〜R14は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示すが、R7とR8、R9とR10、R7とR11、R8とR12、R9とR13、R10とR14は、それぞれ独立に結合して環を形成していてもよい。)
【0041】
【化6】
【0042】
(式(VII)中、R15、R16はそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基を、R17及びR18は独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を、Qは、酸素原子、硫黄原子、ジアルキルメチン基、又は−N(R19)−を示し、R19は水素原子又は、炭素1〜6のアルキル基を示す。但しR15とR16、R15とR17又はR16とR18がそれぞれ独立に結合して環を形成してもよい。)尚、ジアルキルメチレンのアルキル基の炭素数は1〜6、好ましくは1である。
式(VI)及び(VII)においてR7〜R18のいずれかが結合して環を形成する場合、5又は6員環であるのが好ましく、特に6員環が好ましい。
式(VI)で示される化合物としては、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン及び下記構造の化合物が挙げられる。
【0043】
【化7】
【0044】
又、前記一般式(II)で表わされる化合物としては、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ〔4,5〕ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ〔6,7〕ベンゾオキサゾール、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−オキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール及び下記構造の化合物が挙げられる。
【0045】
【化8】
【0046】
シアニン色素は、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子等の複素原子がポリメチン(−CH=)n鎖で結合された構造を基本構造とするものであり、代表的には、その複素原子が複素環を形成し、ポリメチン鎖を介して複素環が結合された構造を基本構造とする広義の所謂シアニン系色素、具体的には、例えば、キノリン系(所謂、シアニン系)、インドール系(所謂、インドシアニン系)、ベンゾチアゾール系(所謂、チオシアニン系)、ピリリウム系、チアピリリウム系、スクアリリウム系、クロコニウム系、アズレニウム系等、及び、ポリメチン鎖を介して非環式複素原子が結合された構造の所謂ポリメチン系色素等が挙げられ、中で、インドール系色素及びベンゾチアゾール系色素が好ましい。
インドール系、及びベンゾチアゾール系色素としては、特に、下記一般式(VIII)で表されるものが好ましい。
【0047】
【化9】
【0048】
〔式(VIII)中、Y1及びY2は各々独立して、ジアルキルメチレン基又は硫黄原子を示し、R20及びR21は各々独立して、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示し、L1置換基を有していても良いペンタ、ヘプタ、ノナ、又はウンデカメチン基を示す。
該ペンタ、ヘプタ、ノナ、又はウンデカメチン基上の2つの置換基が互いに連結して炭素数5〜7のシクロアルケン環、シクロアルケノン環、シクロアルケンジオン環、又はシクロアルケンチオン環を形成していてもよく、縮合ベンゼン環は置換基を有していてもよく、その場合、隣接する2つの置換基が互いに連結して縮合ベンゼン環を形成していてもよい。Xa−は対アニオンを示す。〕
【0049】
ここで、式(VIII)中のR20及びR21がアルキル基であるときの炭素数は、通常1〜15、好ましくは1〜10、アルケニル基、アルキニル基であるときの炭素数は、通常2〜15、好ましくは2〜10であり、フェニル基も含めたそれらの置換基としては、炭素数が通常1〜15、好ましくは1〜10のアルコキシ基、フェノキシ基、ヒドロキシ基、又はフェニル基等が挙げられ、L1における置換基としては、直接又はエーテルもしくはチオエーテル結合を介した芳香族環あるいは複素環、アルキル基、アミノ基、又はハロゲン原子等が挙げられ、縮合ベンゼン環における置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、又はハロゲン原子等が挙げられる。
これらのうち、直接又はエーテルもしくはチオエーテル結合を介した複素環をL1上に有するシアニン色素が好ましい。
【0050】
更に、本発明で用いる光重合開始系には必要に応じて、重合加速剤として、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、N−フェニルグリシン及びその誘導体、N,N−ジアルキル安息香酸アルキルエステル等の水素供与性化合物を加えることによって更に光重合開始能力を高めることができる。このうち特に好ましいのは、N−フェニルグリシンやその誘導体、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール等のメルカプト基を有する化合物や、N,N−ジアルキル安息香酸アルキルエステルである。
【0051】
尚、露光直後の可視画性を獲得するために、適宜光重合開始系を選択・使用することは望ましい。例えば、露光によって色素や増感材が直接退色したりまた逆に発色、変色することによって見た目で露光部が容易に判別できる場合がその例として挙げられる。更には、間接的に、例えば露光部に酸が発生することによって色素や増感材が同上のように色変化をもたらす場合も好ましい。
これら露光後可視画性をもたらす組合せとしては、例えばラジカル発生剤としてハロメチル基含有化合物より具体的にはs−トリアジン化合物とトリフェニル系着色色素の組合せ、又はs−トリアジン化合物とシアニン系色素の組合せが好適に挙げられる。
【0052】
<高分子結合材(F)の説明>
本発明の光重合性組成物の主要成分である、被膜形成能を有する高分子結合材(F)について説明する。
本発明の高分子結合材(F)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、マレイミド等の単独もしくは共重合体、その他、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエチレンテレフタレート、アセチルセルロース、またはポリビニルブチラール等が挙げられる。
中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の置換されていてもよい(メタ)アクリル酸エステルや、(メタ)アクリル酸等の共重合体であることが好ましい。なお、本明細書において、(メタ)アクリルはメタクリル若しくはアクリルを意味する。
これらの高分子結合材は、側鎖に付加重合可能なエチレン性二重結合(以下不飽和結合という)を有する事が望ましく、特に下記一般式(IX−1)〜(IX−3)で示される少なくとも1種の不飽和結合を有する事が好ましい。
【0053】
【化10】
【0054】
(式中、R22は水素原子又はメチル基を示す。また、R23〜R27は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、又は置換基を有していてもよいアリールスルホニル基、又は置換基を有していてもよいアリールスルホニル基を示し、Zは酸素原子、硫黄原子、イミノ基、又はアルキルイミノ基を示す。)
【0055】
なお、置換基を有していてもよいアルキル基等の置換基としては炭素−炭素二重結合の反応性を極端に低下させない限り特に限定されないが、通常ハロゲン原子、アルキル基、フェニル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、又はジアルキルアミノ基等から選ばれる。
具体的には、例えば、カルボキシル基含有重合体に、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、α−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルクロトネート、グリシジルイソクロトネート、クロトニルグリシジルエーテル、イタコン酸モノアルキルモノグリシジルエステル、フマール酸モノアルキルモノグリシジルエステル、マレイン酸モノアルキルモノグリシジルエステル等の脂肪族エポキシ基含有不飽和化合物、又は、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等の脂環式エポキシ基含有不飽和化合物を、80〜120℃程度の温度、1〜50時間程度の時間で、カルボキシル基含有重合体の有するカルボキシル基の5〜90モル%、好ましくは30〜70モル%程度を反応させることにより得られた反応生成物が挙げられる。また、アリル(メタ)アクリレート、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シンナミル(メタ)アクリレート、クロトニル(メタ)アクリレート、メタリル(メタ)アクリレート、N,N−ジアリル(メタ)アクリルアミド等の2種以上の不飽和基を有する化合物、又は、ビニル(メタ)アクリレート、1−クロロビニル(メタ)アクリレート、2−フェニルビニル(メタ)アクリレート、1−プロペニル(メタ)アクリレート、ビニルクロトネート、ビニル(メタ)アクリルアミド等の2種以上の不飽和基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸、又は更に不飽和カルボン酸エステルとを、前者の不飽和基を有する化合物の全体に占める割合を10〜90モル%、好ましくは30〜80モル%程度となるように共重合させることにより得られた反応生成物等が挙げられる。
又、特開平10−312055号公報に記載のカルボキシル基及び不飽和結合を有する高分子結合材も挙げられる。また、本発明では、(メタ)アクリル酸又はそのエステル体の共重合体が高分子結合材(F)全体の50モル%以上を占めるのが好ましい。
【0056】
高分子結合材として、水溶性の結合材を一部または大部分使用しても良い。水溶性の結合材は、特に限定されないが例えばビニルアルコール、アルリルアミド、メチロールメタクリルアミド、アクリル酸及びメタクリル酸、その塩、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシメタクリレートのホモポリマー及び共重合体、及び無水マレイン酸/ビニルメチルエーテル共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、部分加水分解ポリビニルアセテート、スルホン化ポリスチレンの塩、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、セルロースアセテート水素フタレートの塩、デキストラン、デキストリン又はそれらの誘導体、澱粉、アラビアゴム、ゼラチン、又はアルギン酸誘導体例えばそれらの塩は又はエステルがある。
2種類以上の水溶性結合体を混合して使用することもできる。
【0057】
ここでいう水溶性とは、5℃〜100℃の水に対して溶解可能であることを意味し、特に限定されないが100gの水(冷水又は熱水)に少なくとも1g以上溶解可能であることが望ましい。水溶性の結合材は、塗布溶媒に溶解又は分散可能であることが好ましく、更に好ましくは溶解する事が好ましい。
【0058】
また、高分子結合材(F)とエチレン性単量体(D)の比率は(F)/(D)=0.1〜1.2、好ましくは0.2〜1.0であるのがよい。
以上、光重合性組成物の主要構成成分について詳述してきたが、それ等の好適な使用比率は重合可能なエチレン性化合物100重量部に対して光重合開始剤の内、ラジカル発生剤が好ましくは0.1〜80重量部、特に好ましいのは0.5〜60重量部、増感剤が好ましくは0.01〜20重量部、特に好ましいのは0.05〜10重量部、重合加速剤が好ましくは0.1〜80部、特に好ましいのは0.5〜60重量部、また高分子結合材が、好ましくは10〜400重量部、特に好ましくは20〜200重量部の範囲である。
【0059】
<アミン化合物>
本発明の光重合性組成物には、感度を向上させる目的又は保存性を向上させる目的で、感光層中に25℃におけるpKb(解離定数)が7以下のアミン化合物、または、原始団[N−CH2]を有するアミン化合物を含有することが好ましい。更に好ましくは、感光層中に25℃におけるpKbが7以下であり、且つ分子内に原子団[N−CH2]を有するアミン化合物である。
該アミンとしては、上記の条件を満たす限り脂肪族、脂環式、又は芳香族アミンのいずれでもよく、該アミン中の炭化水素基は置換基を有していてもよい。又、モノアミンに限定されず、ジアミン、トリアミン等のポリアミンであってもよく、又、第1アミン、第2アミン、第3アミンのいずれであってもよい。但し、pKbの点から実質的には、置換基を有していてもよい炭化水素基を有する脂肪族アミンから選択される。
アミンのpKbは、好ましくは5以下である。また、pKbの下限は好ましくは3以上である。また、アミンは分子内に原子団[CH2−N−CH2]を有するものが更に好ましい。
【0060】
好ましいアミン化合物としては、置換基を有していてもよい炭化水素基を有する脂肪族アミンが挙げられ、具体的にはブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、アミルアミン、ジアミルアミン、トリアミルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、トリヘキシルアミンンベンジルアミン、ジベンジルアミン、トリベンジルアミン、トリエタノールアミン、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン等の、水酸基又はフェニル基で置換されていてもよい脂肪族アミンが挙げられる。
【0061】
<添加剤>
本発明の光重合性組成物は前記の各必須成分の他に、その目的に応じて更に他の物質を含有することができる。例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール等の熱重合防止剤;有機又は無機の染顔料からなる着色剤;ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリクレジルホスフェート等の可塑剤、三級アミンやチオールのような感度特性改善剤、その他色素前駆体等の添加剤も加えることができる。
また、本発明の光重合性組成物は、塗布性改良剤として界面活性剤を含有することが出来る。その中でも特に好ましいのはフッ素系界面活性剤である。
以上述べた添加剤の好ましい添加量は、エチレン性単量体100重量部に対して熱重合防止剤2重量部以下、着色剤20重量部以下、可塑剤40重量部以下、色素前駆体30重量部以下、界面活性剤10重量部以下の範囲である。
【0062】
<溶媒の説明>
以上述べた光重合性組成物は、適当な有機溶媒で希釈して、例えば支持体上に塗布・乾燥し層状に形成されたりする。有機溶媒としては特に限定されないが、例えばメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロパノ−ル、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プルピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、4−ヒドロキシー2−ブタノン、メチルジグリコール、これらの混合物などが用いられ、少なくとも最終的には非水溶性結合材(e)を溶解する事が必要である。更には、同時に水溶性結合材(d)を溶解・分散可能なことが望ましく、更に好ましくは水溶性結合材(d)を溶解可能であることが望ましい。その意味で、好ましい有機溶媒の例としてはある程度極性の高い、例えば水酸基を含有する溶媒がその好適な候補として上げられる。
【0063】
本発明においては、必要に応じて更にその上に例えば膜や層などを設けることもできる。特にその内容は限定されないが、例えば光重合を阻害する酸素遮断層や該光重合性組成物を傷などから保護するための保護膜や、滑りを良くするための滑層、マット付着などがその一例として挙げられる。これら膜や層は水によって溶解除去されることが望ましい。その好適な例としての具体的な化合物は、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の水溶性高分子が挙げられる。
【0064】
<支持体の説明>
本発明においては、粗面化されたまたは多孔質の支持体(A)を用いることが必須である。支持体としては特に限定されず、プラスチックのフィルムや各種金属が採用できるが、アルミニウム板(アルミニウム合金板も含む)が特に好ましく、その厚さは通常0.01〜10mm程度、好ましくは0.05〜1mm程度である。
この支持体は、表面を粗面化処理した後、デスマット処理を施し、更に陽極酸化処理を実施する。この他必要に応じて脱脂処理、封孔処理、下引き処理などを施しても良い。通常粗面化処理の前に脱脂処理が行われるが、脱脂処理は、溶剤を用いてふき取り、浸積または蒸気洗浄する方法、アルカリ水溶液を用いて浸積、又は噴霧した後酸水溶液で中和する方法、界面活性剤を用いて浸積、又は噴霧する方法などの常法に従ってなされる。
【0065】
粗面化処理(砂目立て処理)は、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、ホーニング研磨法、バフ研磨法などの機械的処理方法、あるいは、電解エッチング法、化学エッチング法等の常法により、JIS B0601に規定される平均粗さRaが0.1〜2.0μm程度、好ましくは0.2〜1.0μm、更に好ましくは0.3〜0.8μm程度となるようになされる。この中でも特に塩酸や硝酸による電解エッチングが好ましい。
又デスマット処理は、硫酸、硝酸、塩酸、燐酸、クロム酸等の酸、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、メタ珪酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、ピロ燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、アルミン酸ナトリウム等のアルカリの水溶液を用いて浸積、又は噴霧する等の常法に従ってなされる。
【0066】
尚特に限定されないがデスマット処理の程度として、粗面化処理工程直後の反射濃度をA、陽極酸化処理工程後の反射濃度をBとした場合、A−B≦0.1とすることが望ましい。このデスマット処理は、粗面化処理によって生じた支持体表面のスマットを取り除くために行われるものであるが、実はこのスマットは支持体と感光層との接着性に大きく関わっている。
反射濃度の測定は、反射濃度計を用い、フィルターを使用しないビジュアルモードにて実施される。本発明の条件となるデスマット処理は、用いるアルカリ水溶液や、粗面化処理の状態にもよるが、例えば濃度0.1〜4重量%で液温5〜30℃程度のNaOH水溶液に1〜10秒程度浸積するなどの条件が挙げられる。
【0067】
こうして得られたアルミニウム板は、通常、陽極酸化処理されるが、特に好ましくは、硫酸を含む電解液で処理する方法が挙げられる。硫酸を含む電解液で陽極酸化する方法は、従来公知の方法、例えば特開昭58−213894号公報に記載の方法等に準じて行われる。具体的には、例えば硫酸5〜50重量%、好ましくは15〜30%が用いられ、温度は5〜50℃程度、好ましくは15〜35℃であり、電流密度1〜60A/dm2で5秒〜60秒間程度で行なわれる。これにより形成される酸化被膜量は、1〜100mg/dm2、特に10〜50mg/dm2であるのが好ましい。
【0068】
<下引き層の説明>
本発明に於いては、粗面化されたもしくは多孔質の支持体(A)上に塗設後は水にも有機溶媒にも実質的に全く溶解しない親水性の下引き層を塗設する事が必須である。この下引き層は、水や通常の有機溶媒やインキなどに基本的に溶解しない多種多様な組成物から構成される。本発明の下引き層は、特に限定されないがディップコート、コーティングロッド、スピナーコート、スプレーコート、ロールコート等の周知の方法により塗布することが可能である。また、これらの下引き層を複数同時に使用しても良い。下引き層に用いられる化合物は、塗設前は水に溶けるかもしくは分散している状態である事が望ましい。
【0069】
下引き層(B)を形成する組成物は特に限定されないが、例えばPVA等の水可溶性樹脂にゲル化剤を混入させて乾燥し実質的に不溶化した下引き層のようなゲル化した親水性樹脂、乾燥時の熱等によって反応して不溶化した親水性樹脂や金属酸化物の析出物が挙げられる。中でも好ましい親水性下引き層に用いられれる化合物としては、Siを含む化合物が挙げられる。例えば、シリコーン等の有機Si含有化合物やアルカリ−珪酸系ガラスの水溶液をなどがその例として挙げられる。中でも特に、アルカリ−珪酸系ガラスの水溶液を塗設し乾燥して得られるゲル状析出物を含むことが実使用上取り扱いやすく好ましい。アルカリ−珪酸系ガラス水溶液の例としては特に限定されないが、アルカリとしてNa2OやK2Oを使うことが一般的である。アルカリ(Na2OやK2O)と珪酸(SiO2)のモル組成比は、Na2O・nSiO2または K2O・nSiO2であるとすると特に限定されないがn=2〜4程度が望ましい。
これら下引き層の塗布量は、特に限定されないがその平均皮膜量が0.001〜1g/m2、好ましくは2〜500mg/m2、更に好ましくは5〜200mg/m2であることが好ましい。下引き層があまり厚すぎると画線部の下引き層への接着性が低下する傾向があり、薄すぎると非画像部の除去製が低下する傾向がある。
【0070】
<露光方法の説明>
本発明の組成物に適用し得る露光光源としては、特に限定されないが例えば、カーボンアーク、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、ハロゲンランプ、ヘリウムカドミウムレーザー、バイオレットレーザー、ブルーレーザー、アルゴンイオンレーザー、FD−YAGレーザー、半導体赤外レーザー、YAGレーザー、ヘリウムネオンレーザーらが特に好適に使用し得る。
特にレーザ走査露光の場合、画像様のフィルムを必要としないため、レーザーを光源とするのが有利であり、例えば窒化インジウムガリウム半導体レーザーの410nm付近、アルゴンイオンレーザーの488nm付近、FD−YAGレーザーの532nm付近、半導体レーザーの780nm付近、半導体レーザーの830nm付近、 YAGレーザーの1064nm付近の各波長を発振するレーザーが具体的に挙げられる。
このなかでも特に好ましいレーザー光源は、赤外光を発振する半導体レーザーやYAGレーザーである。
【0071】
<画像表出処理についての説明>
本発明の画像形成方法は、かかる露光処理を行った後、基本的には圧力や機械的擦りによって未反応の非露光部を除去して画像を形成することが出来る。つまり、未反応の光重合性組成物を溶解させるような特別の薬品、例えばアルカリ現像液や有機溶媒現像液を必ずしも使用しなくても印刷機上で画像を形成することが出来るのがその特徴である。
その方法は特に限定されないが、例えば露光後に版面を印刷機上でスポンジや布、ブラシやゴムなどで擦ることがその例として挙げられる。この際に版面に液体を供給して擦りを均一及び潤滑にすることは好ましい。供給される液体の一例として水やオイルや各種アルカリ性又は中性又は酸性湿し水、インキなどがその一例として挙げられる。
画像形成材料から未露光部を除去する際に望ましいのは、画像形成全体に均一に力が加わることである。印刷機上ではこれが容易に実現される。具体的には、ある一定の圧力を与えられて接触している二つの円筒状のドラムの片方に画像形成材料を取り付け、必要に応じてその接触部に水やオイルなどを供給しながら二つのドラムを回転することによって画像形成材料全面に渡って均一な力で未露光部を除去する方法が挙げられる。
本発明の画像形成方法では、特に限定されないが、フィルムを通しての全面露光やレーザー走査露光による画像様露光を行った後、印刷機上で湿し水やインキを必要に応じて供給しながら版面をブランケットやインキ又は湿し水供給ローラーで擦ることにより未露光部を除去してそのまま印刷を開始することが出来る。本発明の画像形成方法では、特に必要ではないが印刷機上にその光重合性組成物を溶解可能な液体を供給しながら画像を表出することも行って良い。例えば、適当なアルカリ剤として珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、第三リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム等の無機アルカリ剤、及びトリメチルアミン、ジエチルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン類などの有機アミン化合物などが挙げられ、これらは単独もしくは組み合わせて使用できる。また、界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類等のノニオン系界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類等のアニオン界面活性剤;アルキルベタイン類、アミノ酸類等の両性界面活性剤が使用可能である。有機溶剤を一部又は主成分として用いても良く、例えば、イソプロピルアルコーベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコール等を必要により含有させることが可能である。
【0072】
<後処理>
本発明は、必要に応じて上記画像表出後に全面後露光を行なうことによって更にその画像強度を増進させることも出来る。
全面後露光の光源としては特に限定されはしないが例えば、カーボンアーク、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、低圧水銀灯、DeepUVランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、ハロゲンランプ、エキシマーUVランプなどが挙げられる。これらの光源から発せられる光はフィルターなどによって波長制限して用いる場合もあり得る。好ましくは、後露光の光源が半値幅30nm以下の輝線を有することが望ましい。
【0073】
好ましい光源の具体例としては、エキシマーUVランプや水銀灯やメタルハライドランプが好ましく、特に好ましくはエキシマーUVランプや高圧水銀灯、低圧水銀灯が挙げられる。
特に限定されないが、全面後露光時の版面到達露光強度(単位時間当たりの露光量)が5mW/cm2以上である場合が好ましい。光強度が5mW/cm2より低いと、たとえ総露光量が同一であったとしても、かかる効果が不十分となる場合がある。後露光時の版面到達露光強度を5mW/cm2以上にする方法は特に限定されないが、一つには露光光源のランプ出力(W)を上げる方法がある。例えば、単純にランプ出力を大きくする方法や、棒状タイプのランプの場合は単位長さ辺りの出力(W/cm)を大きくする方法がある。
【0074】
もう一つには例えば、単純に露光光源を画像形成材料に接近させる方法がある。この方法で有れば露光光源のランプ出力が比較的弱い場合でも、容易に画像形成材料に届く光強度を上げることが可能になる。特に限定されないが、好ましい光強度は5mW/cm2〜1W/cm2以下、より好ましくは10mW/cm2〜500mW/cm2である。
また、各種光源の点灯方式としては例えば通常の定常光ランプ、フラッシュ照射タイプ、瞬時点灯タイプなどが挙げられる。後露光の波長としては200〜1100nmの波長の光が使用できる。
後露光の方法としては、画像を停止させた状態で行っても、画像を処理方向に連続的に搬送している状態で行ったも良い。また、その露光量は特に限定されるものではなく、大きいほど効果が期待できるが、画像形成工程の合理化という意味から10mJ/cm2以上、好ましくは50mJ/cm2以上、10J/cm2以下、好ましくは8J/cm2以下が望ましい。
【0075】
後露光時の画像形成材料の温度を40℃〜300℃に加熱もしくは保持することは、他に不都合が生じない限り、画像の強度を向上させる点で特に有効である。その条件や方法は特に限定されないが、ホットプレートやドライヤーなどの温風、セラミックヒーターや強力な光源等の輻射熱等が挙げられる。特に好ましくは、後露光に利用する光源の輻射熱を利用することが簡便で好ましい。尚、高温になりすぎると支持体が変形するなどの不具合が生じるので適当な温度範囲に収まるように、冷却装置やIR輻射熱を低減するコールドミラーやIRカットフィルターを適宜使用することも望ましい。
【0076】
また本発明は、上記現像処理後で露光前に全面後加熱処理を行なうことによって更にその画像強度を増進させることも出来る。加熱の方法としては、特に限定されないがIRセラミックヒーターの放射熱による方法、オーブンによる方法、ホットプレートによる方法、加熱ローラーによる方法などが挙げられる。また先に挙げた後露光光源からの輻射熱の利用も同様に挙げられる。
後加熱処理は、版を停止させた状態で行っても、版を処理方向に連続的に搬送している状態で行っても良い。加熱の温度は、好ましくは版面で80℃〜300℃程度、特に好ましくは100℃〜250℃程度が好ましい。加熱時間も特に限定はされないが、1秒〜15分程度特に好ましくは1秒〜10分程度が挙げられる。
【0077】
更に場合によっては必要に応じて、本願発明に記載の処理方法に加えてレーザー露光直後(画像表出前)に加熱工程を加えることも、場合によって画像の強度を向上させる点で有効である。この場合もその条件や方法は特に限定されないが画像形成材料を50〜300℃でホットプレートやドライヤーなどの温風、セラミックヒーターや強力な光源等のの輻射熱等が挙げられる。加熱時には、画像を停止させた状態でも画像を処理方向に連続して搬送している状態で行っても良い。
【0078】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【0079】
合成例1<高分子結合剤−1の合成>
羽付き攪拌棒、環流冷却、窒素管を備えた3Lの4つ口フラスコにビニルメタクリレート45g、2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロピルメタクリレート60g、アクリロニトリル8.0g、メタアクリル酸 13g及び反応溶剤としてエタノール 1.6Lを入れ80℃のオイルバスで加熱攪拌した。この溶液にアゾビスイソブチロニトリル 1.6gを400mlのエタノールに溶解して加えた。3時間加熱攪拌した後窒素管を外し、p−メトキシフェノール 0.04g、プロピレングリコールモノメチルエーテル400mlを加え、バス御を100℃に上昇させ1時間加熱攪拌を続けた。最後にエタノールを留去し結合材−1を得た。
【0080】
<アルミニウム支持体の製造>
・支持体−1の作成(下引き層なし)
厚さ0.2mmのアルミニウム板を、3%水酸化ナトリウムにて脱脂し、これを18.0g/l塩酸浴中で25℃、80A/dm2の電流密度で15秒電解エッチングし、その後50℃の1%水酸化ナトリウム水溶液で5秒間デスマット処理を行い、次に25℃の10%硝酸水溶液で5秒間中和した。水洗後30%硫酸浴中で30℃、10A/dm2の条件で16秒間陽極酸化し、水洗、乾燥して平版印刷版用アルミニウム板を得た。得られた平均粗さRaは0.5μmであった。この支持体を支持体−1とする。
【0081】
・下引き−1支持体作成
支持体−1上にA珪酸カリ水溶液を希釈して固形分0.06wt%に調整した水溶液を#9のワイヤーバーで塗布・乾燥して平均皮膜重量10mg/m2の親水層を形成した支持体を得た。この支持体を下引き−1支持体とする。
・下引き−2支持体作成
上の下引き−1支持体と、A珪酸カリ水溶液の固形分を0.18wt%に調整した以外は同様の操作を行い平均皮膜重量30mg/m2の親水層を形成した支持体を得た。この支持体を下引き−2支持体とする。
【0082】
・下引き−3支持体の作成
下引き−1支持体と、A珪酸カリ水溶液の固形分を0.36wt%に調整した以外は同様の操作を行い平均皮膜重量60mg/m2の親水層を形成した支持体を得た。この支持体を下引き−3支持体とする。
・下引き−4支持体の作成
下引き−1支持体と、A珪酸カリ水溶液の固形分を0.72wt%に調整した以外は同様の操作を行い平均皮膜重量120mg/m2の親水層を形成した支持体を得た。この支持体を下引き−4支持体とする。
【0083】
・下引き−5支持体の作成
A珪酸カリ水溶液の代わりに重量比でポリビニルアルコール(商品名GL−03。日本合成化学社製):ポリビニルピロリドン(商品名K−30。BASF社製)=70:30の固形分0.06wt%に調整した水溶液を用いた以外は、下引き−1支持体と同様の操作を行い平均皮膜重量10mg/m2の水溶性親水層を形成した支持体を得た。この支持体を下引き−5支持体とする。
・下引き−6支持体の作成
固形分を0.18wt%に調整した以外は下引き−5支持体と同様の操作を行い平均皮膜重量が30mg/m2の水溶性親水層を形成した支持体を得た。この支持体を下引き−6とする。
【0084】
上記各支持体上に下記表−1に従って下記の光重合性組成物塗布液−1をバーコーターを用いて乾燥膜厚1g/m2となるように塗布して乾燥し、感光性平版印刷版を作製した。
なお、上記下引き−1〜下引き−4支持体で形成した親水性下引き層は、ゲル状析出物で、水及び/又は有機溶媒に不溶である。一方、下引き−5〜6支持体で形成した親水性下引き層は、水及び有機溶媒に直ちに可溶であった。
【0085】
(光重合性組成物塗布液−1)
高分子結合材−1 30 重量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 70 重量部
増感材−A(下記構造) 2.4 重量部
ラジカル発生剤−A(下記構造) 15 重量部
S−381(旭硝子 フッ素系界面活性剤) 0.3 重量部
エチルバイオレット 4 重量部
トリベンジルアミン 10 重量部
上記全固形分を、塗布溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルを重量比で30:70)を用いて12重量%に調整した。
【0086】
【化11】
【0087】
【化12】
【0088】
<画像形成評価−1>
感光性平版印刷版上にUGRAチャートとステップタブレット(コニカ社製)を添付した状態でメタルハライド光源にて400mj/cm2で真空引き後に露光を行った。露光後に、そのまま小型印刷機(PLEXTOR社製、商品名ARX−010II)に版を取り付け、純水を版面に供給しながら回転数8000rphで、小型印刷機を運転した。
その結果30秒以内に非画像部が完全に除去したものについては除去性が○、ほぼ非画像部が除去されたものの一部非画像部が残っているものについては除去性が△、殆どもしくは全く非画像部が除去されないものについては除去性を×として評価した。
また同じく30秒後に版を評価し、露光部の画像がしっかりと再現して残っているものを再現性が○、ほぼ再現しているものの画像部の一部が完全に再現していないものについては再現性が△、画像部が殆ど又は全て除去されてしまっているものについては再現性を×として評価した。尚、除去性の評価が×のものは従って再現性の評価はできず、その場合は再現性を評価不能とした。結果を表−1に示す。
【0089】
【表1】
【0090】
【発明の効果】
本発明により、アルカリ現像液等の特殊な薬品を使用することなく、印刷機上で容易に未露光部の除去が可能で露光部の画像再生性に優れる画像形成方法が提供できる。
Claims (8)
- 粗面化されたもしくは多孔質の支持体(A)上に親水性の下引き層(B)を設け、更にその上に光重合性組成物からなる感光性層(C)を塗設してなる画像形成材料を使用し、(B)の親水性の下引き層が支持体上に塗設後は水及び/又は有機溶媒に溶解しない層であり、かつ該画像形成材料の感光性層を画像様に露光した後に印刷機上にて未露光部の除去を行うことによって画像形成することを特徴とする画像形成方法。
- 親水性下引き層(B)の平均皮膜量が0.001〜1g/m2であり、かつ粗面化されたもしくは多孔質の支持体(A)の平均粗さRaが0.1〜2μmである請求項1記載の画像形成方法。
- 親水性下引き層(B)を形成する組成物が、支持体上に塗設前は水に溶けるかもしくは分散している状態である請求項1又は2記載の画像形成方法。
- 親水性下引き層(B)が、Siを含む請求項1〜3のいずれか記載の画像形成方法。
- 親水性下引き層(B)が、アルカリ−珪酸系ガラスの水溶液を塗設及び乾燥して形成される請求項4記載の画像形成材料。
- 光重合性組成物が、エチレン性単量体(D)、光重合開始系(E)、高分子結合材(F)を含有する請求項1〜5のいずれか記載の画像形成方法。
- 露光に用いる光源が、赤外レーザーである請求項1〜6のいずれか記載の画像形成方法。
- 画像形成材料が印刷用の原版であって、露光後の画像形成材料を印刷機に取り付けてブランケットやその他ロールと接触させ、必要に応じて湿し水及び/又はインキを版面に供給し、ロールを回転してその版面を擦ることにより未露光部を除去することによって画像を形成させることを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載の画像形成方法。
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