JP2004009471A - インクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】予備吐出効果を維持しながら予備吐出用インク粒子をUターン回収させるインクジェットヘッドにおいて、予備吐出用インク粒子を確実にUターン回収させることを課題とする。
【解決手段】予備吐出信号が前記ノズル孔から予備吐出用インク粒子を吐出させるように動作するときに前記荷電偏向信号の第一の荷電パルスを発生させる第一の荷電偏向信号作成手段と、前記記録信号が前記ノズル孔から記録用インク粒子を吐出させるように動作するときに前記荷電偏向信号の第二の荷電パルスを発生させる第二の荷電偏向信号作成手段を備える。
【選択図】 図5
【解決手段】予備吐出信号が前記ノズル孔から予備吐出用インク粒子を吐出させるように動作するときに前記荷電偏向信号の第一の荷電パルスを発生させる第一の荷電偏向信号作成手段と、前記記録信号が前記ノズル孔から記録用インク粒子を吐出させるように動作するときに前記荷電偏向信号の第二の荷電パルスを発生させる第二の荷電偏向信号作成手段を備える。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はインクジェット記録装置に関し、特に高品位な画像を高信頼で記録可能な高速インクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
連続記録用紙に高速印刷する高速インクジェット記録装置として、ライン走査型インクジェット記録装置が提案されている。この装置では、インク粒子吐出用のノズル孔を列状に配置した長尺のページ幅ライン型記録ヘッドを、連続記録用紙の幅方向に、幅いっぱいに記録用紙面に対向して配置し、前記ノズル孔から吐出するインク粒子の記録用紙面への付着を記録信号によって選択的に制御する。同時に記録用紙を用紙長手方向に高速移動させて走査する。この用紙走査とインク粒子の記録用紙への付着制御で記録ドット形成を制御し記録画像を記録用紙上に得る。
【0003】
このライン走査型インクジェット記録装置としては、記録ヘッドにコンティニュアスインクジェット方式の記録ヘッドを使用する装置や、オンデマンドインクジェット方式の記録ヘッドを使用する装置が数多く提案されている。オンデマンドインクジェット方式のライン走査型インクジェット記録装置はコンティニュアスインクジェット方式の装置に比べて記録速度では及ばないが、インクシステムが非常に簡単である等のため、普及型の高速記録装置に適している。
【0004】
ところで、オンデマンドインクジェット方式記録ヘッドでは、各ノズルから何時もインク粒子が吐出しているコンティニュアスインクジェット方式とは異なり、記録信号に合わせて、必要な時にインク粒子を吐出させるため、ノズル孔近辺のインクが乾燥し、インク粒子の吐出が不安定になる課題があり、この課題を解決するインクジェット記録装置が提案されている。
【0005】
この種のインクジェット記録装置は、記録ヘッド上に形成されたノズル孔から、記録用紙上に付着させる記録用インク粒子とは別のタイミングで吐出される予備吐出用インク粒子を、傾斜電界によってUターン飛行させ、ノズル孔近傍の電極に設置したインク受けに付着させて回収するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような予備吐出動作を行うインクジェット記録装置は、予備吐出用インク粒子をUターンさせる方向に作用する傾斜電界を、記録用紙の背面に設置した背面電極に高電圧を印加して形成している。背面電極に印加する高電圧は、予備吐出用インク粒子を荷電させる荷電パルスと、荷電したそのインク粒子を偏向させる偏向電圧を組み合わせた形状の荷電偏向信号である。このインクジェット記録装置は、予備吐出用インク粒子を吐出させる予備吐出信号に依存しないで、予備吐出周期よりも短い一定の周期で荷電パルスを発生させていたため、Uターン方向に作用する偏向電圧が印加されている時間が短く、予備吐出用インク粒子がUターン回収しにくいという問題があった。また。予備吐出用インク粒子をUターンしやすくするために、予備吐出信号の電圧を低くすると、記録用インク粒子の吐出を安定にするという予備吐出効果が低下してしまう。そこで、本発明の目的は、予備吐出信号によって吐出した予備吐出用インク粒子が容易にUターン回収できるインクジェット記録装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によるインクジェット記録装置は、ノズル孔から記録信号に応じて記録用インク粒子を吐出させ、前記ノズル孔から前記記録用インク粒子とは別のタイミングで予備吐出信号に応じて予備吐出用インク粒子を吐出させ、前記予備吐出用インク粒子を荷電偏向信号に応じて発生する傾斜電界で荷電偏向して、前記予備吐出用インク粒子を前記ノズル孔側の方向にUターン飛行させ、前記予備吐出用インク粒子を前記Uターン飛行径路に設置したインク受けに着地させて回収して、前記ノズルに対向した位置の被記録体に記録ドットを形成して記録するインクジェット記録装置において、前記予備吐出信号が前記ノズル孔から予備吐出用インク粒子を吐出させるように動作するときに前記荷電偏向信号の第一の荷電パルスを発生させる第一の荷電偏向信号作成手段と、前記記録信号が前記ノズル孔から記録用インク粒子を吐出させるように動作するときに前記荷電偏向信号の第二の荷電パルスを発生させる第二の荷電偏向信号作成手段とを備えたことを特徴とする。これにより、予備吐出信号によって吐出した予備吐出用インク粒子がUターンする方向へ作用する偏向電圧の印加されている時間を長くすることができるので、予備吐出用インク粒子がUターンしやすくなる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一例について図面を参考にしながら説明する。
【0009】
図1は、本発明によるインク粒子偏向型オンデマンド方式のライン型インクジェット記録装置の概略図である。図2は記録ヘッドモジュール10のノズル孔側からの斜視拡大図である。
【0010】
本例によるインク粒子偏向型オンデマンド方式のライン型インクジェット記録装置は、記録ヘッドモジュール10の各々に取り付けられた傾斜電界発生と予備吐出用インク粒子のインク受けを兼ねるオリフィス電極兼インク受け11と、記録ヘッドモジュール10を複数個搭載した記録ヘッドモジュールマウンタ20に対向し、記録用紙60の背面に設置した用紙背面電極30と、用紙背面電極30に荷電偏向信号を供給する荷電偏向制御信号発生回路40と、インク粒子を吐出するタイミングを制御するインク粒子吐出制御信号作成装置50と、このインク粒子吐出制御信号作成装置50内にあって、記録信号によって吐出するインク粒子とは別のタイミングで吐出する予備吐出用インク粒子を発生させる予備吐出信号作成回路56とを備える。
【0011】
記録ヘッドモジュール10のノズル孔12から記録信号入力データに応じて吐出したインク粒子は傾斜電界で荷電偏向され、矢印Aの方向に移動する記録用紙60上に付着して、記録ドット70を形成する。一方、ノズル孔12から予備吐出信号作成回路56の出力に応じて吐出したインク粒子は、傾斜電界で荷電偏向されて、Uターン飛行してオリフィス電極兼インク受け11に付着して回収される。
【0012】
前記記録ヘッドモジュール10はオンデマンドインクジェット方式のライン型記録ヘッドモジュールであり、n個のノズル素子から構成されて、各ノズル素子は、図2の金属等導電部材のオリフィス板13に所定ピッチで列状に配置したn個のノズル孔12を開口としている。各ノズル素子は図2には記載されていないが、ノズル孔12を開口端とするインク加圧室、このインク加圧室にインクを導くインク流入孔、このインク流入孔にインクを供給するマニホールドを備える。また、インク加圧室には記録信号に応じてインク加圧室の体積を変化させる圧電素子等のアクチュエータ(以下PZTという)が取り付けられている。各ノズルの構造は同一構造である。各ノズル素子のPZTにはインク粒子吐出制御信号作成装置50からの駆動信号が供給されるようになっており、記録信号または予備吐出信号に応じて各ノズル孔12からインク粒子が吐出される。例えば、約30μmのノズル孔から10ng程度のインク粒子が5m/sで記録用紙60に向けて吐出される。
【0013】
インク粒子吐出制御信号作成装置50は、記録信号入力データに応じて、タイミング信号発生回路52からのタイミングをもとに記録信号を作成する記録信号作成回路51と、タイミング信号発生回路52からのタイミングをもとに予備吐出信号を作成する予備吐出信号作成回路56と、この記録信号と予備吐出信号を受けて、記録ヘッドモジュール10の各ノズル素子のPZTを駆動するするための駆動用パルス信号を発生するPZT駆動パルス作成回路53と、駆動用パルス信号をPZT駆動するのに好適な電力に増幅するPZTドライバ回路54とを備える。
【0014】
傾斜電界発生用オリフィス電極兼インク受け11は、例えば厚さ0.5mm程度の導電性を有する金属製等の板であり、この板が図2のようにオリフィス板の上面にノズル孔列に沿って、約300μm離して取り付けてある。そして、その電極11はオリフィス板13、ノズル内インクとともに接地されている。また、前記金属板の表面には厚さ0.2mm程度のインク付着手段であるインク受け用インク吸収体111が埋め込まれている。この吸収体111には、ステンレス繊維を固めた板材や、多孔質のステンレス焼結体の板材が使用可能である。また、インク受け用インク吸収体111の記録ヘッドモジュール端部にはインク吸引パイプ112が取り付けられており、インク吸収体111に付着したインクはその毛細管を通じてインク吸引パイプ112により吸い出される。
【0015】
用紙背面電極30は金属等の導電性部材で形成された平板であり、各記録ヘッドモジュール10のオリフィス板13に対向し、オリフィス面から約1.5mm離れた位置に、オリフィス面と平行に設置される。そして、その電極30には荷電偏向制御信号発生回路40からの荷電偏向信号が印加される。
【0016】
荷電偏向制御信号発生回路40は、タイミング信号発生回路52からのタイミング信号と予備吐出信号作成回路56からの制御信号をもとに第一の荷電パルスを発生する第一の荷電偏向信号作成回路41と、タイミング信号発生回路52からのタイミング信号と記録信号作成回路51からの制御信号をもとに第二の荷電パルスを発生する第二の荷電偏向信号作成回路130と、第一の荷電偏向信号作成回路41と第二の荷電偏向信号作成回路130からの信号を所定電圧に増幅する背面電極ドライバ回路42とを備える。
【0017】
図3〜図5は、本発明によるインク粒子偏向型オンデマンド方式のライン型インクジェット記録装置の動作原理を説明するための図である。以下、これらの図を参照しながらその動作を説明する。
【0018】
傾斜電界発生用オリフィス電極11とオリフィス板13は導体で、接地されており、用紙背面電極30には荷電偏向制御信号発生回路40からの荷電信号電圧が印加されているので、これら電極間には電界が形成される。図4は図3の構成状態の場合における傾斜電界発生用オリフィス電極11付きのオリフィス板13と、用紙背面電極30の間の等電位面80を示したものである。図4の例から分かるように、電界が作用しないときのノズル孔から吐出したインク粒子の飛行軌道、すなわち非偏向インク粒子飛行軌道90の近辺では電界の方向が、インク吐出方向から傾斜しており傾斜電界85を形成している。従って、図3に示すように、インク粒子吐出制御信号作成装置50からPZT55へPZT駆動パルスを印加することによりノズル孔から吐出したインク粒子14は、荷電偏向制御信号発生回路40が発生する荷電偏向信号で荷電されて荷電インク粒子となるため、この荷電インク粒子が傾斜電界85によって非偏向インク粒子飛行軌道90と垂直な方向、ずなわちインクの吐出方向と垂直な方向(飛行軌道91や92の方向)に偏向されることになる。
【0019】
なお、図4から分かるように、このような電極配置では傾斜電界85の方向は、インク粒子の飛行初期段階において、非偏向インク粒子飛行軌道90に対し直交の度合いが大きくなる。従って、インク粒子14の飛行初期段階から大きな偏向力を作用させることができる。
【0020】
図5は単一のノズル孔12から吐出させた記録用インク粒子14と予備吐出用インク粒子15を偏向制御して、予備吐出用インク粒子15をUターン飛行制御する場合の動作タイミングを説明する図である。(a)はインク粒子を吐出制御するためのインク粒子吐出制御信号作成装置50からのPZT駆動パルス信号であり、(b)は荷電偏向制御信号発生回路40からの荷電偏向信号である。
【0021】
(a)のインク吐出信号の時間間隔はt0である。
時刻T1において、(a)の予備吐出信号R1が印加されると、時間t1だけ遅れて予備吐出用インク粒子15がノズル孔12から吐出される。このとき、第一の荷電パルスA1が印加されている。すなわち、背面電極30は第一の電圧値V1(例えば+1kV)であるので、R1によって吐出した予備吐出用インク粒子15は負極性に荷電される。負極性に荷電した予備吐出信号R1による予備吐出用インク粒子は、記録紙60に向かって飛行中に(b)の荷電偏向信号がV3(例えば−1kV)になるので、傾斜電界により偏向力を受け、図3の予備吐出インク粒子15のように予備吐出インク粒子Uターン飛行軌道93をとって、傾斜電界発生用オリフィス電極兼インク受け11のインク受け用インク吸収体111に付着する。なぜなら、負極性に荷電した予備吐出用インク粒子は記録用紙60に向かって当初飛行するが、傾斜電界85で減速され、その後、逆にオリフィス板13の方向に戻される。なお、予備吐出用インク粒子荷電偏向信号の第一の荷電パルスA1、A2、A3、A4などの第一の電圧値を、記録ドット形成インク粒子用荷電偏向信号の第二の荷電パルスB1、B2、B3、B4などの第二の電圧値より高くして、予備吐出用インク粒子の荷電量を大きくして、Uターンしやすくしている。また、予備吐出信号(R1、R2、R3、R4など)の振幅は記録吐出信号(P1、P2、P3、P4など)の振幅より小さくしているので、記録用粒子が重量10ng、吐出速度5m/s程度であるのに対し、予備吐出用インク粒子は重量7ng、吐出速度2.5m/s程度と軽重量・低速度で吐出される。
【0022】
次に時間t0経過後の時刻T2において、(a)の記録用吐出信号P1が印加されると、時間t2だけ遅れて記録用インク粒子14がノズル孔12から吐出される。このとき、(b)波形において、第二の荷電パルスB1が印加されている。すなわち、背面電極30は第二の電圧値V2(例えば0V)であるので、P1によって吐出したインク粒子14は荷電されない。荷電されなかったP1によるインク粒子14は、記録紙60に向かっての飛行中に傾斜電界による偏向力を受けないで、矢印Aの方向に一定速度で移動する記録用紙上に記録ドットを形成する。すなわち、記録用インク粒子は、図3で飛行軌道90をたどることになる。
【0023】
次の時刻T3においては(a)の予備吐出信号R2が印加されないので、第一の荷電パルスA2は印加されてない。
【0024】
次の時刻T4においては、(a)の記録用吐出信号P2が印加されると、時間t2だけ遅れて記録用インク粒子14がノズル孔12から吐出される。このとき、(b)波形において、第二の荷電パルスB2が印加されているが、背面電極30は第二の電圧値V2(例えば0V)であるので、P2によって吐出したインク粒子14は荷電されず、記録用紙上に記録ドットを形成する。
【0025】
次の時刻T5においては、(a)の予備吐出信号R3が印加されると、時間t1だけ遅れて予備吐出用インク粒子15がノズル孔12から吐出される。このとき、第一の荷電パルスA3が印加されているので、R3によって吐出した予備吐出用インク粒子15は負極性に荷電された後、傾斜電界により偏向力を受け、図3の予備吐出インク粒子15のように予備吐出インク粒子Uターン飛行軌道93をとって、傾斜電界発生用オリフィス電極兼インク受け11のインク受け用インク吸収体111に付着する。
【0026】
次の時刻T6においては、(a)の記録用吐出信号P3が印加されないので、(b)波形において、第二の荷電パルスB3が印加されない。
【0027】
以上のように、予備吐出動作と記録動作を交互に繰り返すことによって記録紙上に所望の記録を得ることができる。すなわち、予備吐出粒子は記録用紙に付着することなく、傾斜電界発生用オリフィス電極兼インク受け11のインク受け用インク吸収体111に回収される。この予備吐出により、ノズル孔部でのインク粘度の上昇が押さえられるため、記録用インク粒子も正常安定に発生し、正規の所望位置に記録ドットを形成することができる。
【0028】
なお、記録用粒子が例えば重量10ng、吐出速度5m/s程度であるのに対し、予備吐出用インク粒子は重量7ng、吐出速度2.5m/s程度と軽重量、低速度で吐出される。
【0029】
以上の動作原理から分かるように、本発明によるインクジェット記録装置では、予備吐出用インク粒子は図5(b)の荷電偏向信号の第一の荷電パルスA1、A2、A3、A4などで荷電されて、偏向電圧V3でオリフィス板13の方向へUターン偏向されるので、予備吐出用インク粒子は、荷電偏向信号の偏向電圧の期間が長い方がUターンしやすくなる。
【0030】
図5のR2、P3、R4のようにインク粒子吐出信号が発生していないときには、A2、B3、A4のように荷電偏向信号の荷電パルスが発生していない、すなわち、インク粒子吐出信号が発生しているときだけ荷電偏向信号の荷電パルスが発生しているので、例えば、R1によって吐出した予備吐出用インク粒子はA2の影響がなくなり、Uターンしやすくなる。
【0031】
記録用吐出信号P1、P2、P4などが発生したときに、第二の荷電パルスB1、B2、B4を発生させる理由は、図6(a)のようにノズル孔12から吐出してメニスカスが切断したインク粒子120が、(b)のように飛行中に先頭粒子が切断(切断位置C)して分割したときに、それぞれのインク粒子121と122の間で電荷の再分配が起こらないようにするためで、少なくともメニスカス切断から先頭粒子切断までの時間を含むパルス幅t4の荷電パルスに設定する必要がある。この分割したときに背面電極30に、第二の電圧値V2以外の電圧値が印加されていると、電荷の再分配が起こり、分割したそれぞれのインク粒子の荷電量が異なる状態になるので、それぞれのインク粒子は別々の例えば図3の軌道91、92をたどり、記録用紙60の異なる位置に着地してしまい、画質が低下する。電荷の再配分が起こらないようにするために発生する第二の荷電パルスの第二の電圧値V2は、例えば0Vが望ましい。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ノズル孔から記録信号に応じて記録用インク粒子を吐出させ、前記ノズル孔から前記記録用インク粒子とは別のタイミングで予備吐出信号に応じて予備吐出用インク粒子を吐出させ、前記予備吐出用インク粒子を荷電偏向信号に応じて発生する傾斜電界で荷電偏向して、前記予備吐出用インク粒子を前記ノズル孔側の方向にUターン飛行させ、前記予備吐出用インク粒子を前記Uターン飛行径路に設置したインク受けに着地させて回収して、前記ノズルに対向した位置の被記録体に記録ドットを形成して記録するインクジェット記録装置において、前記予備吐出信号が前記ノズル孔から予備吐出用インク粒子を吐出させるように動作するときに前記荷電偏向信号の第一の荷電パルスを発生させる第一の荷電偏向信号作成手段と、前記記録信号が前記ノズル孔から記録用インク粒子を吐出させるように動作するときに前記荷電偏向信号の第二の荷電パルスを発生させる第二の荷電偏向信号作成手段を備えているので、予備吐出信号によって吐出した予備吐出用インク粒子がUターンする方向へ作用する偏向電圧の印加されている時間を長くすることができ、予備吐出用インク粒子がUターンしやすくなる。
【0033】
また、第一の荷電偏向信号作成手段は予備吐出信号がノズル孔から予備吐出用インク粒子を吐出させるように動作するときに第一の電圧値を有する第一の荷電パルスを発生させるので、予備吐出用インク粒子の荷電量が大きくなり、Uターンしやすくなり、更に記録信号によって吐出した記録用インク粒子が飛行中に分割による電荷の再配分を起こさないので記録画像の品質が低下しない。
【0034】
また、第二の荷電偏向信号作成手段はノズル孔から記録用インク粒子を吐出させるように動作するときに第二の電圧値を有する第二の荷電パルスを発生させるので、記録用インク粒子が飛行中に分割しても電荷の再分配が起こらず、記録用紙上に形成される記録画像の品質が低下することがない。
【0035】
また、第二の荷電偏向信号作成手段が発生する第二の荷電パルスの第二の電圧値は飛行中の記録用インク粒子が分割により電荷量の再分配が起こらない電圧レベルであるので、記録用紙上に形成される記録画像の品質が低下しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例となるインク粒子偏向型オンデマンド方式のライン型インクジェット記録装置の構成図である。
【図2】本発明の一例となる記録ヘッドモジュールの部分拡大図である。
【図3】本発明の一例となるインク粒子偏向型オンデマンド方式のライン型インクジェットヘッドの動作を説明するための断面図である。
【図4】本発明に用いる偏向型インクジェットヘッドにおける等電位面図である。
【図5】本発明によるインク粒子偏向型オンデマンド方式のライン型インクジェットヘッドの動作タイミングを説明するための図である。
【図6】本発明の一例となるインク粒子偏向型オンデマンド方式のライン型インクジェットヘッドの電荷量の再分配を説明するための図である。
【符号の説明】
10…記録ヘッドモジュール、11…傾斜電界発生用オリフィス電極兼インク受け、12…ノズル孔、13…オリフィス板、14…インク粒子、15…予備吐出インク粒子、30…用紙背面電極、40…荷電偏向制御信号発生回路、41…第一の荷電偏向信号作成回路、42…背面電極ドライバ回路、50…インク粒子吐出制御信号作成装置、56…予備吐出信号作成回路、60…記録用紙、70…記録ドット、85…傾斜電界、93…予備吐出インク粒子Uターン飛行軌道、111…インク受け用インク吸収体、112…インク吸引パイプ、41…第二の荷電偏向信号作成回路、A…記録用紙送り方向。
【産業上の利用分野】
本発明はインクジェット記録装置に関し、特に高品位な画像を高信頼で記録可能な高速インクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
連続記録用紙に高速印刷する高速インクジェット記録装置として、ライン走査型インクジェット記録装置が提案されている。この装置では、インク粒子吐出用のノズル孔を列状に配置した長尺のページ幅ライン型記録ヘッドを、連続記録用紙の幅方向に、幅いっぱいに記録用紙面に対向して配置し、前記ノズル孔から吐出するインク粒子の記録用紙面への付着を記録信号によって選択的に制御する。同時に記録用紙を用紙長手方向に高速移動させて走査する。この用紙走査とインク粒子の記録用紙への付着制御で記録ドット形成を制御し記録画像を記録用紙上に得る。
【0003】
このライン走査型インクジェット記録装置としては、記録ヘッドにコンティニュアスインクジェット方式の記録ヘッドを使用する装置や、オンデマンドインクジェット方式の記録ヘッドを使用する装置が数多く提案されている。オンデマンドインクジェット方式のライン走査型インクジェット記録装置はコンティニュアスインクジェット方式の装置に比べて記録速度では及ばないが、インクシステムが非常に簡単である等のため、普及型の高速記録装置に適している。
【0004】
ところで、オンデマンドインクジェット方式記録ヘッドでは、各ノズルから何時もインク粒子が吐出しているコンティニュアスインクジェット方式とは異なり、記録信号に合わせて、必要な時にインク粒子を吐出させるため、ノズル孔近辺のインクが乾燥し、インク粒子の吐出が不安定になる課題があり、この課題を解決するインクジェット記録装置が提案されている。
【0005】
この種のインクジェット記録装置は、記録ヘッド上に形成されたノズル孔から、記録用紙上に付着させる記録用インク粒子とは別のタイミングで吐出される予備吐出用インク粒子を、傾斜電界によってUターン飛行させ、ノズル孔近傍の電極に設置したインク受けに付着させて回収するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような予備吐出動作を行うインクジェット記録装置は、予備吐出用インク粒子をUターンさせる方向に作用する傾斜電界を、記録用紙の背面に設置した背面電極に高電圧を印加して形成している。背面電極に印加する高電圧は、予備吐出用インク粒子を荷電させる荷電パルスと、荷電したそのインク粒子を偏向させる偏向電圧を組み合わせた形状の荷電偏向信号である。このインクジェット記録装置は、予備吐出用インク粒子を吐出させる予備吐出信号に依存しないで、予備吐出周期よりも短い一定の周期で荷電パルスを発生させていたため、Uターン方向に作用する偏向電圧が印加されている時間が短く、予備吐出用インク粒子がUターン回収しにくいという問題があった。また。予備吐出用インク粒子をUターンしやすくするために、予備吐出信号の電圧を低くすると、記録用インク粒子の吐出を安定にするという予備吐出効果が低下してしまう。そこで、本発明の目的は、予備吐出信号によって吐出した予備吐出用インク粒子が容易にUターン回収できるインクジェット記録装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によるインクジェット記録装置は、ノズル孔から記録信号に応じて記録用インク粒子を吐出させ、前記ノズル孔から前記記録用インク粒子とは別のタイミングで予備吐出信号に応じて予備吐出用インク粒子を吐出させ、前記予備吐出用インク粒子を荷電偏向信号に応じて発生する傾斜電界で荷電偏向して、前記予備吐出用インク粒子を前記ノズル孔側の方向にUターン飛行させ、前記予備吐出用インク粒子を前記Uターン飛行径路に設置したインク受けに着地させて回収して、前記ノズルに対向した位置の被記録体に記録ドットを形成して記録するインクジェット記録装置において、前記予備吐出信号が前記ノズル孔から予備吐出用インク粒子を吐出させるように動作するときに前記荷電偏向信号の第一の荷電パルスを発生させる第一の荷電偏向信号作成手段と、前記記録信号が前記ノズル孔から記録用インク粒子を吐出させるように動作するときに前記荷電偏向信号の第二の荷電パルスを発生させる第二の荷電偏向信号作成手段とを備えたことを特徴とする。これにより、予備吐出信号によって吐出した予備吐出用インク粒子がUターンする方向へ作用する偏向電圧の印加されている時間を長くすることができるので、予備吐出用インク粒子がUターンしやすくなる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一例について図面を参考にしながら説明する。
【0009】
図1は、本発明によるインク粒子偏向型オンデマンド方式のライン型インクジェット記録装置の概略図である。図2は記録ヘッドモジュール10のノズル孔側からの斜視拡大図である。
【0010】
本例によるインク粒子偏向型オンデマンド方式のライン型インクジェット記録装置は、記録ヘッドモジュール10の各々に取り付けられた傾斜電界発生と予備吐出用インク粒子のインク受けを兼ねるオリフィス電極兼インク受け11と、記録ヘッドモジュール10を複数個搭載した記録ヘッドモジュールマウンタ20に対向し、記録用紙60の背面に設置した用紙背面電極30と、用紙背面電極30に荷電偏向信号を供給する荷電偏向制御信号発生回路40と、インク粒子を吐出するタイミングを制御するインク粒子吐出制御信号作成装置50と、このインク粒子吐出制御信号作成装置50内にあって、記録信号によって吐出するインク粒子とは別のタイミングで吐出する予備吐出用インク粒子を発生させる予備吐出信号作成回路56とを備える。
【0011】
記録ヘッドモジュール10のノズル孔12から記録信号入力データに応じて吐出したインク粒子は傾斜電界で荷電偏向され、矢印Aの方向に移動する記録用紙60上に付着して、記録ドット70を形成する。一方、ノズル孔12から予備吐出信号作成回路56の出力に応じて吐出したインク粒子は、傾斜電界で荷電偏向されて、Uターン飛行してオリフィス電極兼インク受け11に付着して回収される。
【0012】
前記記録ヘッドモジュール10はオンデマンドインクジェット方式のライン型記録ヘッドモジュールであり、n個のノズル素子から構成されて、各ノズル素子は、図2の金属等導電部材のオリフィス板13に所定ピッチで列状に配置したn個のノズル孔12を開口としている。各ノズル素子は図2には記載されていないが、ノズル孔12を開口端とするインク加圧室、このインク加圧室にインクを導くインク流入孔、このインク流入孔にインクを供給するマニホールドを備える。また、インク加圧室には記録信号に応じてインク加圧室の体積を変化させる圧電素子等のアクチュエータ(以下PZTという)が取り付けられている。各ノズルの構造は同一構造である。各ノズル素子のPZTにはインク粒子吐出制御信号作成装置50からの駆動信号が供給されるようになっており、記録信号または予備吐出信号に応じて各ノズル孔12からインク粒子が吐出される。例えば、約30μmのノズル孔から10ng程度のインク粒子が5m/sで記録用紙60に向けて吐出される。
【0013】
インク粒子吐出制御信号作成装置50は、記録信号入力データに応じて、タイミング信号発生回路52からのタイミングをもとに記録信号を作成する記録信号作成回路51と、タイミング信号発生回路52からのタイミングをもとに予備吐出信号を作成する予備吐出信号作成回路56と、この記録信号と予備吐出信号を受けて、記録ヘッドモジュール10の各ノズル素子のPZTを駆動するするための駆動用パルス信号を発生するPZT駆動パルス作成回路53と、駆動用パルス信号をPZT駆動するのに好適な電力に増幅するPZTドライバ回路54とを備える。
【0014】
傾斜電界発生用オリフィス電極兼インク受け11は、例えば厚さ0.5mm程度の導電性を有する金属製等の板であり、この板が図2のようにオリフィス板の上面にノズル孔列に沿って、約300μm離して取り付けてある。そして、その電極11はオリフィス板13、ノズル内インクとともに接地されている。また、前記金属板の表面には厚さ0.2mm程度のインク付着手段であるインク受け用インク吸収体111が埋め込まれている。この吸収体111には、ステンレス繊維を固めた板材や、多孔質のステンレス焼結体の板材が使用可能である。また、インク受け用インク吸収体111の記録ヘッドモジュール端部にはインク吸引パイプ112が取り付けられており、インク吸収体111に付着したインクはその毛細管を通じてインク吸引パイプ112により吸い出される。
【0015】
用紙背面電極30は金属等の導電性部材で形成された平板であり、各記録ヘッドモジュール10のオリフィス板13に対向し、オリフィス面から約1.5mm離れた位置に、オリフィス面と平行に設置される。そして、その電極30には荷電偏向制御信号発生回路40からの荷電偏向信号が印加される。
【0016】
荷電偏向制御信号発生回路40は、タイミング信号発生回路52からのタイミング信号と予備吐出信号作成回路56からの制御信号をもとに第一の荷電パルスを発生する第一の荷電偏向信号作成回路41と、タイミング信号発生回路52からのタイミング信号と記録信号作成回路51からの制御信号をもとに第二の荷電パルスを発生する第二の荷電偏向信号作成回路130と、第一の荷電偏向信号作成回路41と第二の荷電偏向信号作成回路130からの信号を所定電圧に増幅する背面電極ドライバ回路42とを備える。
【0017】
図3〜図5は、本発明によるインク粒子偏向型オンデマンド方式のライン型インクジェット記録装置の動作原理を説明するための図である。以下、これらの図を参照しながらその動作を説明する。
【0018】
傾斜電界発生用オリフィス電極11とオリフィス板13は導体で、接地されており、用紙背面電極30には荷電偏向制御信号発生回路40からの荷電信号電圧が印加されているので、これら電極間には電界が形成される。図4は図3の構成状態の場合における傾斜電界発生用オリフィス電極11付きのオリフィス板13と、用紙背面電極30の間の等電位面80を示したものである。図4の例から分かるように、電界が作用しないときのノズル孔から吐出したインク粒子の飛行軌道、すなわち非偏向インク粒子飛行軌道90の近辺では電界の方向が、インク吐出方向から傾斜しており傾斜電界85を形成している。従って、図3に示すように、インク粒子吐出制御信号作成装置50からPZT55へPZT駆動パルスを印加することによりノズル孔から吐出したインク粒子14は、荷電偏向制御信号発生回路40が発生する荷電偏向信号で荷電されて荷電インク粒子となるため、この荷電インク粒子が傾斜電界85によって非偏向インク粒子飛行軌道90と垂直な方向、ずなわちインクの吐出方向と垂直な方向(飛行軌道91や92の方向)に偏向されることになる。
【0019】
なお、図4から分かるように、このような電極配置では傾斜電界85の方向は、インク粒子の飛行初期段階において、非偏向インク粒子飛行軌道90に対し直交の度合いが大きくなる。従って、インク粒子14の飛行初期段階から大きな偏向力を作用させることができる。
【0020】
図5は単一のノズル孔12から吐出させた記録用インク粒子14と予備吐出用インク粒子15を偏向制御して、予備吐出用インク粒子15をUターン飛行制御する場合の動作タイミングを説明する図である。(a)はインク粒子を吐出制御するためのインク粒子吐出制御信号作成装置50からのPZT駆動パルス信号であり、(b)は荷電偏向制御信号発生回路40からの荷電偏向信号である。
【0021】
(a)のインク吐出信号の時間間隔はt0である。
時刻T1において、(a)の予備吐出信号R1が印加されると、時間t1だけ遅れて予備吐出用インク粒子15がノズル孔12から吐出される。このとき、第一の荷電パルスA1が印加されている。すなわち、背面電極30は第一の電圧値V1(例えば+1kV)であるので、R1によって吐出した予備吐出用インク粒子15は負極性に荷電される。負極性に荷電した予備吐出信号R1による予備吐出用インク粒子は、記録紙60に向かって飛行中に(b)の荷電偏向信号がV3(例えば−1kV)になるので、傾斜電界により偏向力を受け、図3の予備吐出インク粒子15のように予備吐出インク粒子Uターン飛行軌道93をとって、傾斜電界発生用オリフィス電極兼インク受け11のインク受け用インク吸収体111に付着する。なぜなら、負極性に荷電した予備吐出用インク粒子は記録用紙60に向かって当初飛行するが、傾斜電界85で減速され、その後、逆にオリフィス板13の方向に戻される。なお、予備吐出用インク粒子荷電偏向信号の第一の荷電パルスA1、A2、A3、A4などの第一の電圧値を、記録ドット形成インク粒子用荷電偏向信号の第二の荷電パルスB1、B2、B3、B4などの第二の電圧値より高くして、予備吐出用インク粒子の荷電量を大きくして、Uターンしやすくしている。また、予備吐出信号(R1、R2、R3、R4など)の振幅は記録吐出信号(P1、P2、P3、P4など)の振幅より小さくしているので、記録用粒子が重量10ng、吐出速度5m/s程度であるのに対し、予備吐出用インク粒子は重量7ng、吐出速度2.5m/s程度と軽重量・低速度で吐出される。
【0022】
次に時間t0経過後の時刻T2において、(a)の記録用吐出信号P1が印加されると、時間t2だけ遅れて記録用インク粒子14がノズル孔12から吐出される。このとき、(b)波形において、第二の荷電パルスB1が印加されている。すなわち、背面電極30は第二の電圧値V2(例えば0V)であるので、P1によって吐出したインク粒子14は荷電されない。荷電されなかったP1によるインク粒子14は、記録紙60に向かっての飛行中に傾斜電界による偏向力を受けないで、矢印Aの方向に一定速度で移動する記録用紙上に記録ドットを形成する。すなわち、記録用インク粒子は、図3で飛行軌道90をたどることになる。
【0023】
次の時刻T3においては(a)の予備吐出信号R2が印加されないので、第一の荷電パルスA2は印加されてない。
【0024】
次の時刻T4においては、(a)の記録用吐出信号P2が印加されると、時間t2だけ遅れて記録用インク粒子14がノズル孔12から吐出される。このとき、(b)波形において、第二の荷電パルスB2が印加されているが、背面電極30は第二の電圧値V2(例えば0V)であるので、P2によって吐出したインク粒子14は荷電されず、記録用紙上に記録ドットを形成する。
【0025】
次の時刻T5においては、(a)の予備吐出信号R3が印加されると、時間t1だけ遅れて予備吐出用インク粒子15がノズル孔12から吐出される。このとき、第一の荷電パルスA3が印加されているので、R3によって吐出した予備吐出用インク粒子15は負極性に荷電された後、傾斜電界により偏向力を受け、図3の予備吐出インク粒子15のように予備吐出インク粒子Uターン飛行軌道93をとって、傾斜電界発生用オリフィス電極兼インク受け11のインク受け用インク吸収体111に付着する。
【0026】
次の時刻T6においては、(a)の記録用吐出信号P3が印加されないので、(b)波形において、第二の荷電パルスB3が印加されない。
【0027】
以上のように、予備吐出動作と記録動作を交互に繰り返すことによって記録紙上に所望の記録を得ることができる。すなわち、予備吐出粒子は記録用紙に付着することなく、傾斜電界発生用オリフィス電極兼インク受け11のインク受け用インク吸収体111に回収される。この予備吐出により、ノズル孔部でのインク粘度の上昇が押さえられるため、記録用インク粒子も正常安定に発生し、正規の所望位置に記録ドットを形成することができる。
【0028】
なお、記録用粒子が例えば重量10ng、吐出速度5m/s程度であるのに対し、予備吐出用インク粒子は重量7ng、吐出速度2.5m/s程度と軽重量、低速度で吐出される。
【0029】
以上の動作原理から分かるように、本発明によるインクジェット記録装置では、予備吐出用インク粒子は図5(b)の荷電偏向信号の第一の荷電パルスA1、A2、A3、A4などで荷電されて、偏向電圧V3でオリフィス板13の方向へUターン偏向されるので、予備吐出用インク粒子は、荷電偏向信号の偏向電圧の期間が長い方がUターンしやすくなる。
【0030】
図5のR2、P3、R4のようにインク粒子吐出信号が発生していないときには、A2、B3、A4のように荷電偏向信号の荷電パルスが発生していない、すなわち、インク粒子吐出信号が発生しているときだけ荷電偏向信号の荷電パルスが発生しているので、例えば、R1によって吐出した予備吐出用インク粒子はA2の影響がなくなり、Uターンしやすくなる。
【0031】
記録用吐出信号P1、P2、P4などが発生したときに、第二の荷電パルスB1、B2、B4を発生させる理由は、図6(a)のようにノズル孔12から吐出してメニスカスが切断したインク粒子120が、(b)のように飛行中に先頭粒子が切断(切断位置C)して分割したときに、それぞれのインク粒子121と122の間で電荷の再分配が起こらないようにするためで、少なくともメニスカス切断から先頭粒子切断までの時間を含むパルス幅t4の荷電パルスに設定する必要がある。この分割したときに背面電極30に、第二の電圧値V2以外の電圧値が印加されていると、電荷の再分配が起こり、分割したそれぞれのインク粒子の荷電量が異なる状態になるので、それぞれのインク粒子は別々の例えば図3の軌道91、92をたどり、記録用紙60の異なる位置に着地してしまい、画質が低下する。電荷の再配分が起こらないようにするために発生する第二の荷電パルスの第二の電圧値V2は、例えば0Vが望ましい。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ノズル孔から記録信号に応じて記録用インク粒子を吐出させ、前記ノズル孔から前記記録用インク粒子とは別のタイミングで予備吐出信号に応じて予備吐出用インク粒子を吐出させ、前記予備吐出用インク粒子を荷電偏向信号に応じて発生する傾斜電界で荷電偏向して、前記予備吐出用インク粒子を前記ノズル孔側の方向にUターン飛行させ、前記予備吐出用インク粒子を前記Uターン飛行径路に設置したインク受けに着地させて回収して、前記ノズルに対向した位置の被記録体に記録ドットを形成して記録するインクジェット記録装置において、前記予備吐出信号が前記ノズル孔から予備吐出用インク粒子を吐出させるように動作するときに前記荷電偏向信号の第一の荷電パルスを発生させる第一の荷電偏向信号作成手段と、前記記録信号が前記ノズル孔から記録用インク粒子を吐出させるように動作するときに前記荷電偏向信号の第二の荷電パルスを発生させる第二の荷電偏向信号作成手段を備えているので、予備吐出信号によって吐出した予備吐出用インク粒子がUターンする方向へ作用する偏向電圧の印加されている時間を長くすることができ、予備吐出用インク粒子がUターンしやすくなる。
【0033】
また、第一の荷電偏向信号作成手段は予備吐出信号がノズル孔から予備吐出用インク粒子を吐出させるように動作するときに第一の電圧値を有する第一の荷電パルスを発生させるので、予備吐出用インク粒子の荷電量が大きくなり、Uターンしやすくなり、更に記録信号によって吐出した記録用インク粒子が飛行中に分割による電荷の再配分を起こさないので記録画像の品質が低下しない。
【0034】
また、第二の荷電偏向信号作成手段はノズル孔から記録用インク粒子を吐出させるように動作するときに第二の電圧値を有する第二の荷電パルスを発生させるので、記録用インク粒子が飛行中に分割しても電荷の再分配が起こらず、記録用紙上に形成される記録画像の品質が低下することがない。
【0035】
また、第二の荷電偏向信号作成手段が発生する第二の荷電パルスの第二の電圧値は飛行中の記録用インク粒子が分割により電荷量の再分配が起こらない電圧レベルであるので、記録用紙上に形成される記録画像の品質が低下しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例となるインク粒子偏向型オンデマンド方式のライン型インクジェット記録装置の構成図である。
【図2】本発明の一例となる記録ヘッドモジュールの部分拡大図である。
【図3】本発明の一例となるインク粒子偏向型オンデマンド方式のライン型インクジェットヘッドの動作を説明するための断面図である。
【図4】本発明に用いる偏向型インクジェットヘッドにおける等電位面図である。
【図5】本発明によるインク粒子偏向型オンデマンド方式のライン型インクジェットヘッドの動作タイミングを説明するための図である。
【図6】本発明の一例となるインク粒子偏向型オンデマンド方式のライン型インクジェットヘッドの電荷量の再分配を説明するための図である。
【符号の説明】
10…記録ヘッドモジュール、11…傾斜電界発生用オリフィス電極兼インク受け、12…ノズル孔、13…オリフィス板、14…インク粒子、15…予備吐出インク粒子、30…用紙背面電極、40…荷電偏向制御信号発生回路、41…第一の荷電偏向信号作成回路、42…背面電極ドライバ回路、50…インク粒子吐出制御信号作成装置、56…予備吐出信号作成回路、60…記録用紙、70…記録ドット、85…傾斜電界、93…予備吐出インク粒子Uターン飛行軌道、111…インク受け用インク吸収体、112…インク吸引パイプ、41…第二の荷電偏向信号作成回路、A…記録用紙送り方向。
Claims (4)
- ノズル孔から記録信号に応じて記録用インク粒子を吐出させ、前記ノズル孔から前記記録用インク粒子とは別のタイミングで予備吐出信号に応じて予備吐出用インク粒子を吐出させ、前記予備吐出用インク粒子を荷電偏向信号に応じて発生する傾斜電界で荷電偏向して、前記予備吐出用インク粒子を前記ノズル孔側の方向にUターン飛行させ、前記予備吐出用インク粒子を前記Uターン飛行径路に設置したインク受けに着地させて回収して、前記ノズルに対向した位置の被記録体に記録ドットを形成して記録するインクジェット記録装置において、
前記予備吐出信号が前記ノズル孔から予備吐出用インク粒子を吐出させるように動作するときに前記荷電偏向信号の第一の荷電パルスを発生させる第一の荷電偏向信号作成手段と、前記記録信号が前記ノズル孔から記録用インク粒子を吐出させるように動作するときに前記荷電偏向信号の第二の荷電パルスを発生させる第二の荷電偏向信号作成手段とを備えることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 請求項1記載のインクジェット記録装置において、
前記第一の荷電偏向信号作成手段が発生する第一の荷電パルスは第一の電圧値を有することを特徴とするインクジェット記録装置。 - 請求項1記載のインクジェット記録装置において、
前記第二の荷電偏向信号作成手段が発生する第二の荷電パルスは第二の電圧値を有することを特徴とするインクジェット記録装置。 - 請求項3記載のインクジェット記録装置において、
前記第二の荷電偏向信号作成手段が発生する第二の荷電パルス有する第二の電圧値は飛行中の記録用インク粒子が分割したときに電荷量の再分配が起こらない程度の電圧値であることを特徴とするインクジェット記録装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002165169A JP2004009471A (ja) | 2002-06-06 | 2002-06-06 | インクジェット記録装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012162012A (ja) * | 2011-02-08 | 2012-08-30 | Seiko Epson Corp | 液体噴射装置 |
-
2002
- 2002-06-06 JP JP2002165169A patent/JP2004009471A/ja active Pending
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