JP2004007908A - スイッチング回路およびそれを用いた電子装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】主電流経路に設けられたスイッチ素子のターンオフ時の余剰キャリアを素早く放電させてスイッチング損失を低減することのできるスイッチング回路およびそれを用いた電子装置を提供する。
【解決手段】第1のスイッチ素子であるトランジスタQ1のベース・エミッタ間に第2のスイッチ素子であるトランジスタQ2のコレクタ・エミッタ間を接続し、トランジスタQ2のコレクタ・ベース間に抵抗R1を接続する。そして、トランジスタQ2のターンオフ時の余剰キャリアの自己放電を利用して、トランジスタQ1のターンオフ時の余剰キャリアをトランジスタQ2のコレクタ・エミッタ間を介して放電し、トランジスタQ1のターンオフ時間を短縮する。
【選択図】 図1
【解決手段】第1のスイッチ素子であるトランジスタQ1のベース・エミッタ間に第2のスイッチ素子であるトランジスタQ2のコレクタ・エミッタ間を接続し、トランジスタQ2のコレクタ・ベース間に抵抗R1を接続する。そして、トランジスタQ2のターンオフ時の余剰キャリアの自己放電を利用して、トランジスタQ1のターンオフ時の余剰キャリアをトランジスタQ2のコレクタ・エミッタ間を介して放電し、トランジスタQ1のターンオフ時間を短縮する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スイッチング回路およびそれを用いた電子装置、特にスイッチング損失の少ない高効率なスイッチング回路およびそれを用いた電子装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
スイッチング方式のDC−DCコンバータ等の電源装置においては、主電流経路に流れる直流電流を断続するスイッチング回路が用いられる。スイッチング回路のスイッチ素子としてはトランジスタが用いられることが多い。トランジスタにおいてはターンオフ時にベース・エミッタ間の寄生容量に余剰キャリアが発生する。その余剰キャリアがトランジスタのベース・エミッタ間を流れる電流として放電するのには時間がかかるために、トランジスタのコレクタ・エミッタ間はすぐには遮断状態にならず、しばらくの間は電流が流れる。この、余剰キャリアがトランジスタのベース・エミッタ間を流れる電流によって放電することを、本願においては自己放電と称する。そして、この自己放電の間にコレクタ・エミッタ間を流れる電流によってスイッチング損失が発生し、このスイッチング損失がスイッチング回路の効率低下の原因になる。
【0003】
損失を低減するためにはターンオフ時間を短縮すればよい。そのための方法として、スイッチ素子(第1のスイッチ素子という)に発生する余剰キャリアを、スイッチ素子のベース・エミッタ間に別途設けたスイッチ素子(第2のスイッチ素子という)を介してバイパスさせて放電するという方法がある。具体的な方法は、例えば登録実用新案第3008029号公報(以下、従来例1とする)や特開2001−112243号公報(以下、従来例2とする)などに開示されている。この方法によれば、第1のスイッチ素子においては余剰キャリアを自己放電しないために第1のスイッチ素子のターンオフが速くなり、第1のスイッチング素子におけるスイッチング損失を低減することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来例1においては、第1のスイッチ素子がオン状態の時には第2のスイッチ素子はオフ状態にある。そして、第1のスイッチ素子がターンオフするときに、それをきっかけとして第2のスイッチ素子がターンオンして第1のスイッチ素子のベース・エミッタ間のバイパスを形成する。そのため、第1のスイッチ素子がターンオフし始めても、第2のスイッチ素子のターンオンにかかる時間だけはバイパスがきちんと形成されない。すなわち、バイパスがきちんと形成され、第1のスイッチ素子の余剰キャリアの放電が始まるまでに時間がかかる。そのため、従来例1においてはスイッチング損失を十分に低減することができないという問題がある。
【0005】
また、従来例2においても、従来例1とは回路構成は異なるものの、同様に第1のスイッチ素子がターンオフするときに、それをきっかけとして第2のスイッチ素子がターンオンしてバイパスを形成する。そのため、従来例2においてもバイパスが形成されるまでに時間がかかり、スイッチング損失を十分に低減することができないという問題がある。
【0006】
本発明は上記の問題点を解決することを目的とするもので、主電流経路に設けられたスイッチ素子のターンオフ時の余剰キャリアを素早く放電させてスイッチング損失を低減することのできるスイッチング回路およびそれを用いた電子装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のスイッチング回路は、主電流経路に直列にコレクタ・エミッタ間が接続されたトランジスタからなる第1のスイッチ素子と、該第1のスイッチ素子のベースに接続されるとともに前記第1のスイッチ素子をオン・オフする制御回路と、コレクタ・エミッタ間が前記第1のスイッチ素子のベース・エミッタ間に接続されるとともに前記第1のスイッチ素子に連動してオン・オフするトランジスタからなる第2のスイッチ素子とを備えてなり、前記第1のスイッチ素子のターンオフ時に前記第1のスイッチ素子のベース・エミッタ間に発生する余剰キャリアを、前記第2のスイッチ素子のターンオフ時に前記第2のスイッチ素子のベース・エミッタ間に発生する余剰キャリアの自己放電を利用して前記第2のスイッチ素子のコレクタ・エミッタ間を経由して放電させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の電子装置は、上記のスイッチング回路を用いたことを特徴とする。
【0009】
このように構成することにより、本発明のスイッチング回路およびそれを用いた電子装置においては、低損失化、小型化、低価格化、および信頼性の向上が可能になる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明のスイッチング回路の一実施例を用いた電子装置である電源装置の回路図を示す。図1において、電源装置1は、第1のスイッチ素子であるPNP型のトランジスタQ1、第2のスイッチ素子であるNPN型のトランジスタQ2、抵抗R1、制御回路2、チョークコイルL1、フライホイールダイオードD1、平滑コンデンサC1から構成されている。電源装置1は、本発明のスイッチング回路を用いた電子装置の1つで、例えば絶縁基板に各回路素子を搭載したハイブリッドIC構造のモジュールとして構成される。
【0011】
トランジスタQ1は、エミッタが入力端子Vinに接続され、コレクタがチョークコイルL1を介して出力端子Voutに接続され、ベースが制御回路2に接続されている。トランジスタQ2は、コレクタがトランジスタQ1のエミッタに接続され、エミッタがトランジスタQ1のベースに接続され、ベースが抵抗R1を介して自身のコレクタに接続されている。トランジスタQ1のコレクタとチョークコイルL1との接続点はフライホイールダイオードD1を介してグランドに接続されている。そして、出力端子Voutは平滑コンデンサC1を介してグランドに接続されている。
【0012】
電源装置1において、入力端子VinからトランジスタQ1のコレクタ・エミッタ間とチョークコイルL1を介して出力端子Voutに至る経路が主電流経路である。そのため、トランジスタQ1、トランジスタQ2、抵抗R1、および制御回路2でスイッチング回路3が構成されることがわかる。
【0013】
このように構成された電源装置1は、基本構成は一般的な降圧型のDC−DCコンバータである。入力端子Vinに印加される入力電圧をトランジスタQ1でスイッチングして、チョークコイルL1とフライホイールダイオードD1と平滑コンデンサC1で整流平滑して、入力電圧より低い出力電圧として出力端子Voutから出力する。その際、トランジスタQ1は制御回路2でオン・オフ制御される。制御回路2は、等価的には一端がトランジスタQ1のベースに接続され、他端がグランドに接続されたスイッチで、図示を省略しているが、出力端子Voutの電圧を検知して、それが所望の値になるように、トランジスタQ1のオン・オフのデューティを制御する。
【0014】
次に、スイッチング回路3の動作を説明する。トランジスタQ1は、制御回路2の等価的なスイッチがオンになることによってベース電圧が略接地されるとオン状態になり、エミッタからベースおよびエミッタからコレクタへと電流が流れる。トランジスタQ1のベース・エミッタ間には寄生容量Caが存在し、約0.6Vのベース・エミッタ間電圧で充電される。このとき、トランジスタQ2も、エミッタ電圧が略接地されることによってオン状態になり、ベース・エミッタ間およびコレクタ・エミッタ間に電流が流れる。トランジスタQ2のベース・エミッタ間にも寄生容量Cbが存在し、これも約0.6Vのベース・エミッタ間電圧で充電される。なお、抵抗R1はトランジスタQ2のバイアスのためのもので、ベース・エミッタ間の電流を制御してコレクタ・エミッタ間に所定の電流が流れるような値に設定される。
【0015】
ここで、制御回路2の等価的なスイッチがオフになってトランジスタQ1のベース電流が流れるようになってトランジスタQ1がターンオフする場合を考える。このとき、寄生容量Caに充電された電荷はトランジスタQ1における余剰キャリアになる。同時にトランジスタQ2のエミッタ電流も流れなくなるため、トランジスタQ2もターンオフしようとする。そのため、寄生容量Cbに充電された電荷もトランジスタQ2における余剰キャリアになる。
【0016】
このとき、寄生容量Cbに充電された電荷の放電経路はトランジスタQ2のベース・エミッタ間しかないため、ベース・エミッタ間を流れる電流として自己放電される。トランジスタQ2のベース・エミッタ間に電流が流れると、それによってトランジスタQ2のコレクタ・エミッタ間が導通する。より正確には、それまでも導通していたものがすぐにターンオフせずに導通し続ける。トランジスタQ2のコレクタ・エミッタ間を通る経路はトランジスタQ1のベース・エミッタ間に対するバイパスになるため、トランジスタQ1の寄生容量Caに充電された電荷はこのバイパスを経由して放電される。そのため、トランジスタQ1においては、余剰キャリアがベース・エミッタ間を流れることがないため、それによってコレクタ・エミッタ間の導通状態が維持されることがなく、すぐに遮断状態になる。すなわち、トランジスタQ1のターンオフ時間が短くなる。しかも、トランジスタQ1がターンオフしようとするときにはトランジスタQ2はもともとオン状態にあるため、従来例1や2のようにバイパスが形成されるのに時間がかかるということもない。そのため、トランジスタQ1におけるスイッチング損失の発生を大幅に低減することができる。
【0017】
なお、上記のように、スイッチング回路3においては、トランジスタQ1をターンオフするときにあらかじめそのベース・エミッタ間のバイパスができているように、トランジスタQ1がオン状態にある時にトランジスタQ2もオン状態になるようにしている。すなわち、バイパスが必要なトランジスタQ1のターンオフのときだけでなく、不要なときにもトランジスタQ2のベース・エミッタ間やコレクタ・エミッタ間には電流が流れている。この電流はスイッチング回路3の損失の原因になる。しかしながら、トランジスタQ2に流れる電流はトランジスタQ1に流れる電流に比べて十分に小さいため、トランジスタQ2に流れる電流による損失はトランジスタQ1におけるスイッチング損失に比べて十分に小さく、スイッチング回路3の効率を低下させることにはならない。但し、そのためにも、抵抗R1は、トランジスタQ2のコレクタ・エミッタ間電流が、トランジスタQ1の余剰キャリアを流すのに必要かつ十分な程度になるような値に設定する必要がある。
【0018】
以上の説明のように、スイッチング回路3においては、1つのトランジスタと1つの抵抗という小型化の可能な非常に簡単な回路であるにもかかわらずスイッチング損失の低減を図ることができる。そして、スイッチング損失の低減によってスイッチ素子からの発熱を抑えることができるので、放熱機能を簡素化した小型で安価なパッケージのスイッチ素子の利用が可能になる。また、同じ理由で信頼性も向上する。以上をまとめると、本発明のスイッチング回路においては、低損失化、小型化、低価格化、および信頼性の向上が可能になる。そして、これらの効果は、スイッチング回路3を用いた電源装置1においても同様に得ることができる。特に、ハイブリッドIC構造のモジュールのような、小型で特別な放熱機能を備えるのが難しい電源装置においては、その効果が明確になる。
【0019】
なお、本発明の電子装置としては、本発明のスイッチング回路を用いたものであれば電源装置に限定されるものではない。また、このような電源装置を内部に組み込んだ、例えばプリンタのような装置も本発明の電子装置に含まれるものである。
【0020】
【発明の効果】
本発明のスイッチング回路によれば、主電流経路に直列にコレクタ・エミッタ間が接続されたトランジスタからなる第1のスイッチ素子と、そのベースに接続されるとともに第1のスイッチ素子をオン・オフする制御回路と、コレクタ・エミッタ間が第1のスイッチ素子のベース・エミッタ間に接続されるとともに第1のスイッチ素子に連動してオン・オフするトランジスタからなる第2のスイッチ素子とを備え、第2のスイッチ素子のターンオフ時に第2のスイッチ素子のベース・エミッタ間に発生する余剰キャリアの自己放電を利用して、第1のスイッチ素子のターンオフ時に第1のスイッチ素子のベース・エミッタ間に発生する余剰キャリアを、第2のスイッチ素子のコレクタ・エミッタ間を経由して放電させることによって、低損失化、小型化、低価格化、および信頼性の向上が可能になる。
【0021】
そして、本発明の電子装置においても、本発明のスイッチング回路を用いることによって同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスイッチング回路の一実施例を用いた電源装置を示す回路図である。
【符号の説明】
1…電源装置(電子装置)
2…制御回路
3…スイッチング回路
Q1…トランジスタ(第1のスイッチ素子)
Q2…トランジスタ(第2のスイッチ素子)
R1…抵抗
Ca、Cb…寄生容量
D1…フライホイールダイオード
L1…チョークコイル
C1…平滑コンデンサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、スイッチング回路およびそれを用いた電子装置、特にスイッチング損失の少ない高効率なスイッチング回路およびそれを用いた電子装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
スイッチング方式のDC−DCコンバータ等の電源装置においては、主電流経路に流れる直流電流を断続するスイッチング回路が用いられる。スイッチング回路のスイッチ素子としてはトランジスタが用いられることが多い。トランジスタにおいてはターンオフ時にベース・エミッタ間の寄生容量に余剰キャリアが発生する。その余剰キャリアがトランジスタのベース・エミッタ間を流れる電流として放電するのには時間がかかるために、トランジスタのコレクタ・エミッタ間はすぐには遮断状態にならず、しばらくの間は電流が流れる。この、余剰キャリアがトランジスタのベース・エミッタ間を流れる電流によって放電することを、本願においては自己放電と称する。そして、この自己放電の間にコレクタ・エミッタ間を流れる電流によってスイッチング損失が発生し、このスイッチング損失がスイッチング回路の効率低下の原因になる。
【0003】
損失を低減するためにはターンオフ時間を短縮すればよい。そのための方法として、スイッチ素子(第1のスイッチ素子という)に発生する余剰キャリアを、スイッチ素子のベース・エミッタ間に別途設けたスイッチ素子(第2のスイッチ素子という)を介してバイパスさせて放電するという方法がある。具体的な方法は、例えば登録実用新案第3008029号公報(以下、従来例1とする)や特開2001−112243号公報(以下、従来例2とする)などに開示されている。この方法によれば、第1のスイッチ素子においては余剰キャリアを自己放電しないために第1のスイッチ素子のターンオフが速くなり、第1のスイッチング素子におけるスイッチング損失を低減することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来例1においては、第1のスイッチ素子がオン状態の時には第2のスイッチ素子はオフ状態にある。そして、第1のスイッチ素子がターンオフするときに、それをきっかけとして第2のスイッチ素子がターンオンして第1のスイッチ素子のベース・エミッタ間のバイパスを形成する。そのため、第1のスイッチ素子がターンオフし始めても、第2のスイッチ素子のターンオンにかかる時間だけはバイパスがきちんと形成されない。すなわち、バイパスがきちんと形成され、第1のスイッチ素子の余剰キャリアの放電が始まるまでに時間がかかる。そのため、従来例1においてはスイッチング損失を十分に低減することができないという問題がある。
【0005】
また、従来例2においても、従来例1とは回路構成は異なるものの、同様に第1のスイッチ素子がターンオフするときに、それをきっかけとして第2のスイッチ素子がターンオンしてバイパスを形成する。そのため、従来例2においてもバイパスが形成されるまでに時間がかかり、スイッチング損失を十分に低減することができないという問題がある。
【0006】
本発明は上記の問題点を解決することを目的とするもので、主電流経路に設けられたスイッチ素子のターンオフ時の余剰キャリアを素早く放電させてスイッチング損失を低減することのできるスイッチング回路およびそれを用いた電子装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のスイッチング回路は、主電流経路に直列にコレクタ・エミッタ間が接続されたトランジスタからなる第1のスイッチ素子と、該第1のスイッチ素子のベースに接続されるとともに前記第1のスイッチ素子をオン・オフする制御回路と、コレクタ・エミッタ間が前記第1のスイッチ素子のベース・エミッタ間に接続されるとともに前記第1のスイッチ素子に連動してオン・オフするトランジスタからなる第2のスイッチ素子とを備えてなり、前記第1のスイッチ素子のターンオフ時に前記第1のスイッチ素子のベース・エミッタ間に発生する余剰キャリアを、前記第2のスイッチ素子のターンオフ時に前記第2のスイッチ素子のベース・エミッタ間に発生する余剰キャリアの自己放電を利用して前記第2のスイッチ素子のコレクタ・エミッタ間を経由して放電させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の電子装置は、上記のスイッチング回路を用いたことを特徴とする。
【0009】
このように構成することにより、本発明のスイッチング回路およびそれを用いた電子装置においては、低損失化、小型化、低価格化、および信頼性の向上が可能になる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明のスイッチング回路の一実施例を用いた電子装置である電源装置の回路図を示す。図1において、電源装置1は、第1のスイッチ素子であるPNP型のトランジスタQ1、第2のスイッチ素子であるNPN型のトランジスタQ2、抵抗R1、制御回路2、チョークコイルL1、フライホイールダイオードD1、平滑コンデンサC1から構成されている。電源装置1は、本発明のスイッチング回路を用いた電子装置の1つで、例えば絶縁基板に各回路素子を搭載したハイブリッドIC構造のモジュールとして構成される。
【0011】
トランジスタQ1は、エミッタが入力端子Vinに接続され、コレクタがチョークコイルL1を介して出力端子Voutに接続され、ベースが制御回路2に接続されている。トランジスタQ2は、コレクタがトランジスタQ1のエミッタに接続され、エミッタがトランジスタQ1のベースに接続され、ベースが抵抗R1を介して自身のコレクタに接続されている。トランジスタQ1のコレクタとチョークコイルL1との接続点はフライホイールダイオードD1を介してグランドに接続されている。そして、出力端子Voutは平滑コンデンサC1を介してグランドに接続されている。
【0012】
電源装置1において、入力端子VinからトランジスタQ1のコレクタ・エミッタ間とチョークコイルL1を介して出力端子Voutに至る経路が主電流経路である。そのため、トランジスタQ1、トランジスタQ2、抵抗R1、および制御回路2でスイッチング回路3が構成されることがわかる。
【0013】
このように構成された電源装置1は、基本構成は一般的な降圧型のDC−DCコンバータである。入力端子Vinに印加される入力電圧をトランジスタQ1でスイッチングして、チョークコイルL1とフライホイールダイオードD1と平滑コンデンサC1で整流平滑して、入力電圧より低い出力電圧として出力端子Voutから出力する。その際、トランジスタQ1は制御回路2でオン・オフ制御される。制御回路2は、等価的には一端がトランジスタQ1のベースに接続され、他端がグランドに接続されたスイッチで、図示を省略しているが、出力端子Voutの電圧を検知して、それが所望の値になるように、トランジスタQ1のオン・オフのデューティを制御する。
【0014】
次に、スイッチング回路3の動作を説明する。トランジスタQ1は、制御回路2の等価的なスイッチがオンになることによってベース電圧が略接地されるとオン状態になり、エミッタからベースおよびエミッタからコレクタへと電流が流れる。トランジスタQ1のベース・エミッタ間には寄生容量Caが存在し、約0.6Vのベース・エミッタ間電圧で充電される。このとき、トランジスタQ2も、エミッタ電圧が略接地されることによってオン状態になり、ベース・エミッタ間およびコレクタ・エミッタ間に電流が流れる。トランジスタQ2のベース・エミッタ間にも寄生容量Cbが存在し、これも約0.6Vのベース・エミッタ間電圧で充電される。なお、抵抗R1はトランジスタQ2のバイアスのためのもので、ベース・エミッタ間の電流を制御してコレクタ・エミッタ間に所定の電流が流れるような値に設定される。
【0015】
ここで、制御回路2の等価的なスイッチがオフになってトランジスタQ1のベース電流が流れるようになってトランジスタQ1がターンオフする場合を考える。このとき、寄生容量Caに充電された電荷はトランジスタQ1における余剰キャリアになる。同時にトランジスタQ2のエミッタ電流も流れなくなるため、トランジスタQ2もターンオフしようとする。そのため、寄生容量Cbに充電された電荷もトランジスタQ2における余剰キャリアになる。
【0016】
このとき、寄生容量Cbに充電された電荷の放電経路はトランジスタQ2のベース・エミッタ間しかないため、ベース・エミッタ間を流れる電流として自己放電される。トランジスタQ2のベース・エミッタ間に電流が流れると、それによってトランジスタQ2のコレクタ・エミッタ間が導通する。より正確には、それまでも導通していたものがすぐにターンオフせずに導通し続ける。トランジスタQ2のコレクタ・エミッタ間を通る経路はトランジスタQ1のベース・エミッタ間に対するバイパスになるため、トランジスタQ1の寄生容量Caに充電された電荷はこのバイパスを経由して放電される。そのため、トランジスタQ1においては、余剰キャリアがベース・エミッタ間を流れることがないため、それによってコレクタ・エミッタ間の導通状態が維持されることがなく、すぐに遮断状態になる。すなわち、トランジスタQ1のターンオフ時間が短くなる。しかも、トランジスタQ1がターンオフしようとするときにはトランジスタQ2はもともとオン状態にあるため、従来例1や2のようにバイパスが形成されるのに時間がかかるということもない。そのため、トランジスタQ1におけるスイッチング損失の発生を大幅に低減することができる。
【0017】
なお、上記のように、スイッチング回路3においては、トランジスタQ1をターンオフするときにあらかじめそのベース・エミッタ間のバイパスができているように、トランジスタQ1がオン状態にある時にトランジスタQ2もオン状態になるようにしている。すなわち、バイパスが必要なトランジスタQ1のターンオフのときだけでなく、不要なときにもトランジスタQ2のベース・エミッタ間やコレクタ・エミッタ間には電流が流れている。この電流はスイッチング回路3の損失の原因になる。しかしながら、トランジスタQ2に流れる電流はトランジスタQ1に流れる電流に比べて十分に小さいため、トランジスタQ2に流れる電流による損失はトランジスタQ1におけるスイッチング損失に比べて十分に小さく、スイッチング回路3の効率を低下させることにはならない。但し、そのためにも、抵抗R1は、トランジスタQ2のコレクタ・エミッタ間電流が、トランジスタQ1の余剰キャリアを流すのに必要かつ十分な程度になるような値に設定する必要がある。
【0018】
以上の説明のように、スイッチング回路3においては、1つのトランジスタと1つの抵抗という小型化の可能な非常に簡単な回路であるにもかかわらずスイッチング損失の低減を図ることができる。そして、スイッチング損失の低減によってスイッチ素子からの発熱を抑えることができるので、放熱機能を簡素化した小型で安価なパッケージのスイッチ素子の利用が可能になる。また、同じ理由で信頼性も向上する。以上をまとめると、本発明のスイッチング回路においては、低損失化、小型化、低価格化、および信頼性の向上が可能になる。そして、これらの効果は、スイッチング回路3を用いた電源装置1においても同様に得ることができる。特に、ハイブリッドIC構造のモジュールのような、小型で特別な放熱機能を備えるのが難しい電源装置においては、その効果が明確になる。
【0019】
なお、本発明の電子装置としては、本発明のスイッチング回路を用いたものであれば電源装置に限定されるものではない。また、このような電源装置を内部に組み込んだ、例えばプリンタのような装置も本発明の電子装置に含まれるものである。
【0020】
【発明の効果】
本発明のスイッチング回路によれば、主電流経路に直列にコレクタ・エミッタ間が接続されたトランジスタからなる第1のスイッチ素子と、そのベースに接続されるとともに第1のスイッチ素子をオン・オフする制御回路と、コレクタ・エミッタ間が第1のスイッチ素子のベース・エミッタ間に接続されるとともに第1のスイッチ素子に連動してオン・オフするトランジスタからなる第2のスイッチ素子とを備え、第2のスイッチ素子のターンオフ時に第2のスイッチ素子のベース・エミッタ間に発生する余剰キャリアの自己放電を利用して、第1のスイッチ素子のターンオフ時に第1のスイッチ素子のベース・エミッタ間に発生する余剰キャリアを、第2のスイッチ素子のコレクタ・エミッタ間を経由して放電させることによって、低損失化、小型化、低価格化、および信頼性の向上が可能になる。
【0021】
そして、本発明の電子装置においても、本発明のスイッチング回路を用いることによって同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスイッチング回路の一実施例を用いた電源装置を示す回路図である。
【符号の説明】
1…電源装置(電子装置)
2…制御回路
3…スイッチング回路
Q1…トランジスタ(第1のスイッチ素子)
Q2…トランジスタ(第2のスイッチ素子)
R1…抵抗
Ca、Cb…寄生容量
D1…フライホイールダイオード
L1…チョークコイル
C1…平滑コンデンサ
Claims (2)
- 主電流経路に直列にコレクタ・エミッタ間が接続されたトランジスタからなる第1のスイッチ素子と、該第1のスイッチ素子のベースに接続されるとともに前記第1のスイッチ素子をオン・オフする制御回路と、コレクタ・エミッタ間が前記第1のスイッチ素子のベース・エミッタ間に接続されるとともに前記第1のスイッチ素子に連動してオン・オフするトランジスタからなる第2のスイッチ素子とを備えてなり、
前記第1のスイッチ素子のターンオフ時に前記第1のスイッチ素子のベース・エミッタ間に発生する余剰キャリアを、前記第2のスイッチ素子のターンオフ時に前記第2のスイッチ素子のベース・エミッタ間に発生する余剰キャリアの自己放電を利用して前記第2のスイッチ素子のコレクタ・エミッタ間を経由して放電させることを特徴とするスイッチング回路。 - 請求項1に記載のスイッチング回路を用いたことを特徴とする電子装置。
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JP2002159781A JP2004007908A (ja) | 2002-05-31 | 2002-05-31 | スイッチング回路およびそれを用いた電子装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106452071A (zh) * | 2016-11-22 | 2017-02-22 | 郑州诚合信息技术有限公司 | 一种宽频率范围的电源控制电路 |
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2002
- 2002-05-31 JP JP2002159781A patent/JP2004007908A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106452071A (zh) * | 2016-11-22 | 2017-02-22 | 郑州诚合信息技术有限公司 | 一种宽频率范围的电源控制电路 |
CN106452071B (zh) * | 2016-11-22 | 2019-03-22 | 惠州市沃生照明有限公司 | 一种宽频率范围的电源控制电路 |
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