JP2004007739A - 積層型誘電体アンテナ共用器 - Google Patents

積層型誘電体アンテナ共用器 Download PDF

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Abstract

【目的】低損失で高選択度を有する良好なバンドパス特性を持ち、低コストなアンテナ共用器を提供する。
【構成】複数枚の誘電体シート401〜408と、3層のシールド電極層451〜453と、2層のストリップライン共振器電極層411〜413及び421〜423を積層して一体焼成することにより積層体を構成する。一層のシールド電極層452により前記積層体を上下2つの積層体部分に区切り、一方の前記積層体部分に一層のストリップライン共振器電極層421〜423にて受信フィルタを構成し、他方の前記積層体部分に一層の別のストリップライン共振器電極層411〜413にて送信フィルタを構成する。それぞれ積層体の上下をシールド電極層451、453を用いてシールドすることにより、前記受信フィルタと前記送信フィルタを上下に積み重ねて一体構造にする。
【選択図】 図38

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、主として携帯電話機などの高周波無線機器で用いられる誘電体アンテナ共用器に関するものである。さらに詳しくは、誘電体シートと電極層を積層して一体焼成した積層構造を持つ積層型誘電体アンテナ共用器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、移動体通信の発展にともない、アンテナ共用器は多数の携帯電話機や自動車電話機で使用されている。アンテナ共用器は1本のアンテナを送信機と受信機で共用するための装置であり、送信フィルタと受信フィルタの組み合わせにより構成される。以下に図面を参照しながら、従来のアンテナ共用器の一例について説明する。
【0003】
図46は従来のアンテナ共用器の分解斜視図を示すものである。図46において、701から706は誘電体同軸共振器、707は結合基板、708は金属製ケース、709は金属製カバー、710から712は直列キャパシタ、713と714はインダクタ、715から718は結合キャパシタ、721から726は結合ピン、731は送信端子、732はアンテナ端子、733は受信端子、741から747は結合基板707上に形成された電極パターンである。
【0004】
誘電体同軸共振器701、702、703と、直列キャパシタ710、711、712と、インダクタ713、714は送信バンドエリミネーションフィルタを構成する。また、誘電体同軸共振器704、705、706と、結合キャパシタ715、716、717、718は受信バンドパスフィルタを構成する。
【0005】
送信フィルタの一端は送信機と電気的に接続される送信端子に接続され、送信フィルタの他端は受信フィルタの一端と接続されると共に、アンテナに電気的に接続されるアンテナ端子に接続される。受信フィルタの他端は受信機に電気的に接続される受信端子に接続される。
【0006】
以上のように構成されたアンテナ共用器について、以下その動作について説明する。まず、送信バンドエリミネーションフィルタは送信周波数帯域の送信信号に対して小さな挿入損失を示し、送信信号をほとんど減衰させることなく送信端子からアンテナ端子へと伝達させることができる。また、受信周波数帯域の受信信号に対しては大きな挿入損失を示し、受信周波数帯域の入力信号はほとんど反射されるため、アンテナ端子から入力された受信信号は受信バンドパスフィルタの方へ戻ってくるという動作を示す。
【0007】
一方、これに対して、受信バンドパスフィルタは受信周波数帯域の受信信号に対して小さな挿入損失を示し、受信信号をほとんど減衰させることなくアンテナ端子から受信端子へと伝達させることができる。また、送信周波数帯域の送信信号に対しては大きな挿入損失を示し、送信周波数帯域の入力信号はほとんど反射されるため、送信フィルタからやってきた送信信号はアンテナ端子の方へ送り出されるという動作を示す。
【0008】
しかしながら上記のような構成では、誘電体同軸共振器の製造において、セラミックの微細加工に限界があるため、小型化が難しいという問題点を有していた。また、キャパシタやインダクタなどの部品を多数使用するため、同じく小型化が難しいという問題点を有するほかに、組立コストの低減も困難であるという問題点を有していた。
【0009】
一方、誘電体フィルタは上記したアンテナ共用器の構成要素であると共に、携帯電話機などの無線機器において、単独のフィルタとしても多数使用され、一層の小型化、高性能化が要望されている。以下に図面を参照しながら、上記した構成例とは異なる別の構成を有する従来のブロック型誘電体フィルタの例について説明する。
【0010】
図47は従来例のブロック型誘電体フィルタの透視斜視図を示すものである。図47において、1200は誘電体ブロック、1201から1204は貫通孔、1211から1214及び1221、1222、1230は電極である。誘電体ブロック1200は、電極1221、1222などが形成されている面のそれらの電極の周辺部を除いて、貫通孔1201から1204の表面も含めて全面が電極に覆われている。
【0011】
以上のように構成された誘電体フィルタについて、以下その動作について説明する。貫通孔1201から1204の中の表面電極は共振器の役割を果たし、電極1230はシールド電極の役割を果たしている。電極1211から1214は貫通孔の電極で構成される共振器の共振周波数を下げるためのものであり、ローディング容量電極の働きをしている。本来、4分の1波長先端短絡伝送線路は共振周波数において結合せずバンドストップ特性を示すが、この様にして共振周波数を下げることにより、フィルタの通過帯域で伝送線路どうしの電磁界結合が生じバンドパスフィルタを構成できる。電極1221、1222は入出力結合容量電極であり、これら電極と共振器及びローディング容量電極との間の容量により入出力の結合が行われる。
【0012】
このフィルタの動作原理は文献(G.L.Matthaei、”Comb−Line Band−Pass Filters of Narrow or Moderate Bandwidth”:the microwave journal,August,1963)などに示されている、いわゆるコムラインフィルタと呼ばれるものの変形である。ここで示した従来例のブロック型フィルタは、コムラインフィルタを誘電体セラミックで構成したものである(例えば、米国特許明細書第4431977号参照)。コムラインフィルタでは、バンドパス特性を実現するために必ず共振周波数を下げるローディング容量が必要である。
【0013】
図48は従来例のコムライン型誘電体フィルタの伝達特性を示すものである。伝達特性は、帯域外の減衰量が中心周波数から離れるにしたがって単調に増加するチェビシェフ特性を示している。
【0014】
しかしながら上記のような構成では、伝達特性の通過帯域近傍に減衰極を有する楕円関数特性を実現することはできないので、フィルタの性能として選択度が十分でないという問題点を有していた。
【0015】
さらに、このような誘電体フィルタにおいても小型化、薄型化のために、同軸型に比べて薄くできる平面型の積層型誘電体フィルタが今後有望視されており、実現のためのいくつかの試みが為されている。以下に図面を参照しながら、従来の積層型誘電体フィルタの例について説明する。まず、集中定数型キャパシタとインダクタを積層構造にした、積層型誘電体フィルタとして最初に実用化された積層型LCフィルタについて説明する。
【0016】
図49は従来の積層型LCフィルタの構造を示す分解斜視図である。図49において、1と2は厚い誘電体層である。誘電体シート3の上にはインダクタ電極3a,3bが、誘電体シート4の上にはキャパシタ電極4a,4bが、誘電体シート5の上にはキャパシタ電極5a,5bが、また、誘電体シート7の上にはシールド電極7a,7bが形成されている。電極保護の誘電体シート6とこれら誘電体層と誘電体シートを全て重ねて、全体が積層化された構造になる。
【0017】
以上のように構成された誘電体フィルタについて、以下その動作を説明する。まず、対向するキャパシタ電極4aと5a及び4bと5bはそれぞれ平行平板キャパシタを構成する。各平行平板キャパシタは、インダクタ電極3a、3bと側面電極8a、8bを介して直列に接続され共振回路として働く。2つのインダクタは磁気的に結合している。側面電極8bは接地電極とし、側面電極8cはインダクタ電極につながった端子3c、3dと接続されて入出力端子となるバンドパスフィルタが構成される(例えば、特開平3−72706号公報)。
【0018】
さらに別の例の従来の積層型誘電体フィルタについて、以下に図面を参照しながら説明する。図50は従来の積層型誘電体フィルタの構造を示す分解斜視図である。図50において、4分の1波長ストリップライン820、821が誘電体基板819の上に形成されている。入出力電極823、824はストリップライン820、821と同じ平面上に形成されている。ストリップライン820は、入出力電極823と対向する第1の線路幅w1を持つ第1の部分820aと、第1の線路幅より狭い第2の線路幅を持つ第2の部分820bと、第1の線路幅w1より狭く第2の線路幅w2より広い第3の線路幅を持つ第3の部分820cで構成されている。同様に、ストリップライン821は、入出力電極824と対向する第1の線路幅w1を持つ第1の部分821aと、第1の線路幅より狭い第2の線路幅を持つ第2の部分821bと、第1の線路幅w1より狭く第2の線路幅w2より広い第3の線路幅を持つ第3の部分821cで構成されている。ストリップライン820、821は短絡電極822で接続され、共振器801bはπ型の形状になっている。誘電体基板819は接地電極825、826で挟み込まれている。一方の側面819aには側面電極827、828が形成され、接地電極825、826と短絡電極822を接続する。他方の側面819bには入出力電極823、824とそれぞれ接続される側面電極が形成される。ストリップライン820、821は入出力電極823、824とそれぞれ容量結合して、フィルタが構成されている(例えば、米国特許第5248949号明細書参照)。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の特開平3−72706号公報で提案されている例では、小型化のためにインダクタ電極どうしを近づけて間隔を狭くすると、共振器間の磁界結合が大きくなりすぎて帯域の狭い良好なバンドパス特性が実現しにくくなるという問題点を有していた。また、インダクタ電極の無負荷Q値を高くすることは困難であるため、フィルタの挿入損失が大きいという問題点を有していた。また、米国特許第5248949号明細書で提案されている例では、従来のブロック型誘電体フィルタと同様に、伝達特性の通過帯域近傍に減衰極を有する楕円関数特性を実現することはできないので、フィルタの性能として選択度が十分でないという問題点を有していた。
【0020】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、低損失で高選択度を有する良好なバンドパス特性を持ち、低コストなアンテナ共用器を提供することを目的とする。特に、小型で薄い平面型構造を持つ積層型誘電体アンテナ共用器を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明の積層型誘電体アンテナ共用器は、複数枚の誘電体シートと、少なくとも3層以上のシールド電極層と、少なくとも2層以上のストリップライン共振器電極層を積層して一体焼成することにより積層体を構成し、少なくとも一層の前記シールド電極層により前記積層体を上下2つの積層体部分に区切り、一方の前記積層体部分には少なくとも一層の前記ストリップライン共振器電極層にて受信フィルタを構成し、他方の前記積層体部分には少なくとも一層の別の前記ストリップライン共振器電極層にて送信フィルタを構成し、それぞれ積層体の上下を前記シールド電極層を用いてシールドすることにより、前記受信フィルタと前記送信フィルタを上下に積み重ねて一体構造にしたものである。
【0022】
前記構成においては、送信端子と受信端子を異なる側面の側面電極で形成したことが好ましい。
【0023】
また前記構成においては、ストリップライン共振器電極層はそれぞれ複数の先端短絡ストリップライン共振器で構成され、送信端子と直接結合するストリップライン共振器と受信端子と直接結合するストリップライン共振器の短絡端の方向をそれぞれ違う側面方向に設定したことが好ましい。
【0024】
また前記構成においては、シールド電極層は少なくとも4層以上を有し、少なくとも2層のシールド電極層に複数枚の誘電体シートを挟み込んだで構成した分離層により前記積層体を上下2つの積層体部分に区切り、分離層の間の誘電体シート上にインピーダンス整合素子を電極パターンにより形成したことが好ましい。
【0025】
【作用】
本発明の積層型誘電体アンテナ共用器によれば、複数枚の誘電体シートと、少なくとも3層以上のシールド電極層と、少なくとも2層以上のストリップライン共振器電極層を積層して一体焼成した積層体において、一層の前記シールド電極層により上下2つの積層体部分に区切り、一方の前記積層体部分には受信フィルタを構成し、他方の前記積層体部分には送信フィルタを構成し、受信フィルタと送信フィルタを上下に積み重ねた一体構造にしたことにより、小型、薄型で低コストのアンテナ共用器を実現することができる。また、全体がシールドされた表面実装デバイス(SMD)になっており、入出力の結合素子などは全て内層電極パターンで構成されるため、外付けの部品が不要になる。
【0026】
前記構成において、送信端子と受信端子を異なる側面の側面電極で形成することにより、送信端子と受信端子間に十分なアイソレーションをとることができる。また、ストリップライン共振器電極層はそれぞれ複数の先端短絡ストリップライン共振器で構成され、送信端子と直接結合する前記ストリップライン共振器と受信端子と直接結合する前記ストリップライン共振器の短絡端の方向をそれぞれ違う側面方向に設定したことにより、同様に送信端子と受信端子間に十分なアイソレーションをとることができる。
【0027】
また前記構成において、さらに容量電極層を加えたことにより、結合キャパシタを介した容量結合方式を構成できるため、コムラインフィルタで必要な磁界結合線路が不要となり、送信フィルタ、受信フィルタともに小型にできる。
【0028】
また前記構成において、積層体を上下2つの積層体部分に区切る2層のシールド電極層間の誘電体シート上にインピーダンス整合素子を電極パターンにより形成したことにより、分離層の間の誘電体シート上にインピーダンス整合素子としてインダクタもしくはキャパシタを形成することにより、送信フィルタと受信フィルタとアンテナ端子間の良好な整合特性を実現することができる。
【0029】
【実施例】
以下実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
【0030】
アンテナ共用器は、送信フィルタと受信フィルタの組み合わせにより構成される。本参考例では、まずアンテナ共用器を構成する個々のフィルタに関して、本発明の技術を適用した積層型及びブロック型誘電体フィルタについて記述し、最後にそれらを組み合わせた積層型アンテナ共用器について記述する。
【0031】
(参考例1)
以下本発明の第1の参考例の積層型誘電体フィルタについて、図面を参照しながら説明する。図1は本発明の第1の参考例における誘電体フィルタの分解斜視図を示すものである。図1において、10a、10bは厚い誘電体シートである。誘電体シート10aの上にはストリップライン共振器電極11a,11bが、誘電体シート10cの上には容量電極12a、12bが形成されている。
【0032】
ストリップライン共振器電極11a、11bは、一端が接地された特性インピーダンスが高い第1の伝送線路部17a、17bと一端が開放された特性インピーダンスが低い第2の伝送線路部18a、18bの他端どうしを縦続接続して構成される全線路長が4分の1波長より短いSIR(Stepped Impedance Resonator)構造を持っている。SIR構造については、文献(M.Makimoto et al., ”Compact Bandpass Filters Using Stepped Impedance Resonators”, Proceedings of The IEEE, VOL.67, NO.1, pp.16−19, January 1979)或いは米国特許(USP4506241号明細書)に詳細に記述されている。SIRにより共振器の線路長を4分の1波長より短くできることは既知の技術である。
【0033】
これに対して本発明の構造が従来技術と大きく異なる点は、各共振器がSIR構造であると同時に、第1の伝送線路部どうしを互いに電磁界結合させると共に、第2の伝送線路部どうしも互いに電磁界結合させ、各伝送線路どうしの線路間距離を変えるなどして、それぞれの電磁界結合量を独立に設定している点である。
【0034】
第1の伝送線路の短絡端側は共通接地電極16を介して接地される。共通接地電極16を介して接地することにより、接地を確実にできると共に、誘電体シートを切断する際の切断誤差による共振周波数のばらつきを低減することができる。
【0035】
ストリップライン共振器電極11a、11bと入出力端子14a、14bは、ストリップライン共振器電極の開放端で容量電極12a、12bを介して容量結合している。容量結合方式は、コムラインフィルタで通常用いられている磁界結合方式と比べて、結合線路が不要なためフィルタを小型にできるという利点を有する。本フィルタ構造への容量結合方式の適用は、後述の設計法確立によって初めて可能になった。さらに、結合容量は開放端で結合させることにより、小さな容量で済むという特徴がある。
【0036】
また、誘電体シート10bの上にはシールド電極13a,誘電体シート10dの上にはシールド電極13bが形成されている。各シールド電極は、側面電極で形成された接地端子15a、15b、15c、15dにより接地される。本発明の構造ではフィルタ全体がシールド電極に覆われているため、フィルタ特性が外部の影響を受けにくい。
【0037】
電極保護の誘電体シート10eとこれら誘電体シートを全て重ねて、全体を積層化した構造とする。誘電体材料としては、例えば文献(H.Kagata et al., ”Low−fire Microwave Dielectric Ceramics and Multilayer Devices with SilverInternal Electrode”, Ceramic Transactions, vol.32, The American CeramicSociety Inc., pp.81−90)で示される比誘電率58のBi−Ca−Nb−O系のセラミックなど、約950℃以下で焼成可能なセラミック材料を用いてグリーンシート化し、銀、銅、金などの導電率の高い金属ペーストで電極パターンを印刷すると共に、積層し一体焼成する。このように、ストリップライン共振器を用いて積層構造にした場合には、大幅な薄型化が可能になる。
【0038】
以上のように構成された誘電体フィルタについて、以下図1及び図2を用いてその動作を説明する。
【0039】
まず図2は第1の参考例の誘電体フィルタの等価回路図を示すものである。図2のフィルタの伝達特性は並行結合伝送線路の偶奇モードインピーダンスを用いて計算することができる。図2において、21、22は入出力端子、17a、17bはストリップライン共振器の第1の伝送線路部、18a、18bはストリップライン共振器の第2の伝送線路部、キャパシタ23、24はストリップライン共振器電極11a、11bと容量電極12a、12bの間で構成される入出力結合容量である。
【0040】
以下、2段フィルタの場合について、本発明第1の参考例のフィルタ設計方法について説明する。
【0041】
第1の伝送線路部の偶奇モードインピーダンスをそれぞれZe1、Zo1とし、第2の伝送線路部の偶奇モードインピーダンスをそれぞれZe2、Zo2とする。各々の伝送線路部の4ポートインピーダンスマトリクスは、例えば文献(T.Ishizakiet al.,”A Very Small Dielectric Planar Filter for Portable Telephones”:1993 IEEE MTT−S Digest H−1)を参照して、下記式(数1)で与えられる。
【0042】
【数1】
Figure 2004007739
【0043】
したがって、2端子対回路25の2ポートアドミタンスマトリクスは、これらを縦続接続し、一端側を接地し、他端側を入出力端子とする事により、本発明の構造に対して下記式(数2)の様に新たに導出した。
【0044】
【数2】
Figure 2004007739
【0045】
但し、第1の伝送線路部と第2の伝送線路部の線路長は同じ線路長Lに設定した。線路長を同じにすることによって、共振器長を最も短くできるだけでなく、非常に複雑な計算式が簡単な形に整理され、解析的に設計することが可能になる。また、K、K、α、β、t´は下記式(数3)で定義した。
【0046】
【数3】
Figure 2004007739
【0047】
フィルタの設計は、まず、設計仕様から中心周波数f、減衰極周波数f、帯域幅bw、帯域内リップル量Lなどを決める。これらの値からフィルタ設計に必要なgパラメータの値が求まり、したがって段間アドミタンスYと変形アドミタンスインバータの並列アドミタンスY01 及び入出力結合容量(C01)23、24が求まる。gパラメータ、Y、Y01 、C01の導出は文献(G.L.Matthaei et al.,”Microwave Filters, Impedance−Matching Networks, and Coupling Structures”: McGraw−Hill, 1964)に示されている。
【0048】
ここで、(数3)のt´においてfをfまたはfとおいたものをそれぞれt´、t´と定義する。したがって、設計するフィルタ特性を実現するために必要な式は、減衰極周波数fを与える下記式(数4)と、フィルタ中心周波数fを与える下記式(数5)と、段間アドミタンスYを与える下記式(数6)である。これらの3式を同時に満たす解が、本発明第1の参考例の誘電体フィルタの設計値である。
【0049】
【数4】
Figure 2004007739
【0050】
【数5】
Figure 2004007739
【0051】
【数6】
Figure 2004007739
【0052】
次に、ストリップラインの構造パラメータを考慮しつつ、Ze1とZe2すなわちZe1とK(=Ze2/Ze1)を適当に任意に定める。前記式(数2)と前記式(数3)からβが消去できて、t´とt´が求まる。したがって各伝送線路部の線路長Lが決定される。
【0053】
ストリップラインの開放端にローディング容量が存在する場合は、フィルタの設計式で前記式(数5)を下記式(数7)に変更すればよい。
【0054】
【数7】
Figure 2004007739
【0055】
ここで、Yはローディング容量によるアドミタンスである。
【0056】
次に、本参考例のフィルタの設計例を示す。表1は中心周波数fを1000MHz、帯域幅bwを50MHz、帯域内リップルLを0.2dBとし、減衰極の周波数fをそれぞれ第1の試作フィルタでは800MHz、第2の試作フィルタでは1200MHzとして設計した場合の回路パラメータ設計値である。
【0057】
【表1】
Figure 2004007739
【0058】
ここで誘電体シートの比誘電率は58である。ゆえに、kは0.131、Ze1は20Ω、Kは0.5とした。また、開放端の不連続部によるローディング容量は3pFと見積もった。
【0059】
任意の偶モードインピーダンス・ステップ比Kの値に対しては、Kと規格化された共振器線路長Sの関係は図3の様になる。規格化された共振器線路長Sとは、本フィルタの共振器線路長を伝搬波長の4分の1波長で割った値である。このように、本参考例のフィルタでは共振器をSIR構造にすることにより、ローディング容量がなくても線路長を4分の1波長より短くできて、フィルタの小型化が実現できる。すなわち、偶モードインピーダンス・ステップ比Kが小さいほど共振器線路長は短くなる。
【0060】
また、Kと第1の伝送線路部の偶奇モードインピーダンス比P(=Ze1/Zo1)及び第2の伝送線路部の偶奇モードインピーダンス比P(=Ze2/Zo2)の関係は図4の様になる。Kが大きいと第2の伝送線路部の偶奇モードインピーダンス比Pが大きくなりストリップライン共振器間のギャップを小さくしなければならないため、実現が難しい。逆にKeが小さいと第1の伝送線路部の偶モードインピーダンスZe1がかなり高くなりストリップラインの線路幅を狭くしなければならないため、これも実現が難しい。したがって、Kには実現し易い適当な値の範囲がある。また、本参考例の構成で良好なフィルタ特性を実現するためには、図4で示されるように、第1の伝送線路部の偶奇モードインピーダンス比P及び第2の伝送線路部の偶奇モードインピーダンス比Pがそれぞれ1.05以上、1.1以上必要であることがわかる。
【0061】
図5は、偶モードインピーダンスZ偶奇モードインピーダンス比Pの関係をストリップラインの構造をパラメータとして説明した設計チャートである。図5は、比誘電率を58、ストリップラインと上下のシールド電極の間の誘電体シートの厚さをそれぞれ0.8mmにした場合に、ストリップラインの線路幅wが0.2mmから2.0mm、並行ストリップライン間のギャップgが0.1mmから2.0mmについて計算したものである。
【0062】
図5を用いて、図4で求めた伝送線路部の偶奇モードインピーダンス比Pが実現可能かどうかをチェックする事ができる。その結果、前述の表1の回路パラメータを実現する構造パラメータの値は、図5を用いて表2の様に求まる。
【0063】
【表2】
Figure 2004007739
【0064】
表2の設計では、伝送線路部の偶奇モードインピーダンス比Pは、線路間距離、すなわちギャップgを変えることによって調整されている。線路間距離による結合度の調整は電極パターンの変更のみで調整可能なため、誘電体シートの厚さを変えるやり方などに比べてはるかに容易に実現でき、かつ、共振器の無負荷Q値の劣化がないという利点を有する。
【0065】
図6は、第1の参考例における誘電体フィルタの伝達特性の設計値のシミュレーション結果を示すグラフである。また、図7は試作した本参考例のフィルタの特性を示し、実線は実測値、破線は試作した形状についての計算値である。いずれも、(a)は下側極を持つ第1の試作フィルタの特性で、(b)は上側極を持つ第2の試作フィルタの特性である。これらの図では設計の周波数に減衰極が発生していることが示されている。
【0066】
本発明で明らかになったことは、SIR構造の共振器の第1の伝送線路部どうし及び第2の伝送線路部どうしをそれぞれ互いに電磁界結合させることにより、共振器長を短くできるだけでなく、設計した周波数に減衰極を形成でき、より優れた選択度を実現できるという新たな効果が得られるということである。
【0067】
以上のように本参考例によれば、一端が接地された第1の伝送線路部と一端が開放され前記第1の伝送線路部より特性インピーダンスが低い第2の伝送線路部の他端どうしを縦続接続して構成される全線路長が4分の1波長より短いSIR構造を持つ少なくとも2つ以上のTEMモード共振器を具備し、第1の伝送線路部どうしを互いに電磁界結合させると共に、第2の伝送線路部どうしを互いに電磁界結合させ、両者の電磁界結合量をそれぞれ独立に設定することにより、伝達特性に通過帯域と減衰極を発生させ、小型で高選択度を有する誘電体フィルタを実現することができる。
【0068】
なお、本参考例においては、共振器としてストリップライン共振器を例示して説明したが、TEMモード共振器であればいかなる構成の共振器でも良く、これは以下の参考例についても同様である。
【0069】
(参考例1の応用例)
以下本発明の第1の参考例の変形の積層型誘電体フィルタについて図面を参照しながら説明する。図8は本発明の第1の参考例の変形を示す積層型誘電体フィルタの分解斜視図である。図8において、図1の構成と同じものについては同じ参照番号を付している。
【0070】
本参考例の動作原理は第1の参考例と同じである。本参考例が、図1で示される第1の参考例と異なる点は、容量電極29a、29bをストリップライン共振器電極層と同じ誘電体シート10a上に形成したことである。そのために、第1の参考例の誘電体シート10cが不要になり、電極の印刷回数を1回減らすことができると共に、フィルタ特性のばらつきの要因となっていた誘電体シート10cの厚さの管理が要らなくなるという大きな利点がある。
【0071】
また、容量電極で構成されるキャパシタをインターディジタル型のキャパシタとして形成することにより、大きな容量を簡単に得ることができるため、広帯域な特性も実現することができる。
【0072】
(参考例2)
以下本発明の第2の参考例のブロック型誘電体フィルタについて図面を参照しながら説明する。図9(a)は本発明の第2の参考例を示すブロック型誘電体フィルタの透視斜視図、図9(b)は本発明の第2の参考例を示すブロック型誘電体フィルタのA−A´面の断面図である。本参考例において第1の参考例と異なるのは、TEMモード共振器としてストリップライン共振器の代わりに誘電体ブロックの貫通孔で形成されるブロック型同軸共振器を用いた点である。
【0073】
図9において、1010は誘電体ブロック、1011、1012、1013、1014は共振器電極、1015、1016は入出力結合容量電極、1017はシールド電極である。各共振器電極は特性インピーダンスが高い第1の伝送線路部1031、1032、1033、1034と、特性インピーダンスが低い第2の伝送線路部1021、1022、1023、1024から構成され、それぞれが互いに電磁界結合をしている。
【0074】
電磁界結合の大きさは各伝送線路部の間の距離を変えるか、もしくは、誘電体ブロックに切り欠きや小孔を設けて誘電体を削り取ることにより調整できる。
【0075】
本参考例では第1の参考例と同様の効果を有するほかに、同軸共振器を用いることにより、誘電体セラミックをプレス成形し焼成すればよいので製造し易い。また、焼成温度の高いセラミック材料でよいため、高誘電率の材料を使用することができ、フィルタを小型化することができる。また、ストリップライン共振器より無負荷Q値が少し高いため、フィルタの挿入損失を減らすことができる。
【0076】
(参考例3)
以下本発明の第3の参考例の積層型誘電体フィルタについて図面を参照しながら説明する。図10は本発明の第3の参考例を示す積層型誘電体フィルタの分解斜視図である。図10において、図1の構成と同じものについては同じ参照番号を付している。図1と異なるのは、ローディング容量電極19をストリップライン共振器電極11a、11bと開放端部分において対向するように設けた点である。本参考例では、ストリップライン共振器と並列に挿入されたローディング容量により、共振周波数をさらに低くすることができる。
【0077】
本参考例におけるフィルタの設計式は、前記式(数4)と前記式(数6)は第1の参考例と同じで、前記式(数5)だけを前記式(数7)に変更すればよい。
【0078】
図11は、第3の参考例におけるローディング容量と共振器線路長の関係を説明するグラフである。ローディング容量を付加することによって、共振器線路長がさらに短くなることが確認できる。
【0079】
以上のように、ローディング容量電極19をストリップライン共振器電極11a、11bと開放端部分において対向するように設けることにより、共振器線路長をさらに短くすることができて、フィルタの小型化を実現できる。
【0080】
(参考例4)
以下本発明の第4の参考例の積層型誘電体フィルタについて図面を参照しながら説明する。図12は本発明の第4の参考例を示す積層型誘電体フィルタの分解斜視図である。また、図13は第4の参考例の積層型誘電体フィルタの等価回路図を示すものである。図12において、図1の構成と同じものについては同じ参照番号を付している。本参考例において、第1の参考例の図1と異なるのは、結合容量電極20とローディング容量電極19をストリップライン共振器電極11a、11bと開放端部分において対向するように設けた点である。
【0081】
まず、本参考例の誘電体フィルタの動作を説明する前に、前述の第1の参考例で通過帯域近傍に減衰極を形成する場合の困難さについて説明する。図14は第1の参考例における誘電体フィルタの減衰極周波数に対する必要な偶奇モードインピーダンス比を示すグラフである。(a)は下側極を有するフィルタの場合で、(b)は上側極を有するフィルタの場合を示す。減衰極周波数が中心周波数に近づくにつれて、必要な偶奇モードインピーダンス比P、Pが大きくなる。
【0082】
実際のフィルタ製作の大体の目安として、作製可能な線路幅wとギャップgの最小値を0.2mmとし、また、フィルタの大きさの要請からくるそれらの最大値を2mmとすると、実現可能な偶モードインピーダンスZは、図5で示されるように、7Ωから35Ωである。すなわち、最小の偶モードインピーダンス・ステップ比Kは0.2である。また、Kが大きいと共振器長が短くできないため、Kには適当な範囲があり、ストリップラインの構造パラメータとの関係により、0.2から0.8の範囲、望ましくは、0.4から0.6の範囲が適当である。そして、実現可能な偶奇モードインピーダンス比Pは、偶モードインピーダンスが7Ωのときは約1.4以下、20Ωのときは約1.9以下、35Ωの時は約2.2以下である。
【0083】
これらの値の制限は、中心周波数の近傍に減衰極をどれだけ近づけられるかということに対しての制約となる。図14においてPが1.4以下という条件から、第1の参考例の誘電体フィルタでは下側極の最高周波数は814MHz、上側極の最低周波数は1154MHzであることがわかる。
【0084】
この制限を緩和するため、結合容量とローディング容量を導入したのが、図12に示される本発明の第4の参考例の誘電体フィルタである。
【0085】
以下、第4の参考例の積層型誘電体フィルタについて、図12及び図13を用いてその動作を説明する。図13で示される第4の参考例のフィルタの伝達特性は並行結合伝送線路の偶奇モードインピーダンスを用いて図2の第1の参考例のフィルタと同様に計算することができる。図13において、図2の構成と同じものについては同じ参照番号を付している。図2と異なるのは、結合容量電極20とストリップライン共振器電極11a、11bの間で形成される結合容量(C)28と、ローディング容量電極19とストリップライン共振器電極11a、11bの間で形成されるローディング容量(C)26、27が新たに付加された点である。
【0086】
第4の参考例の2段フィルタの場合について設計方法を以下に説明する。
並行結合SIR共振器の2端子対回路25の2ポートアドミタンスマトリクスは、前述のように(数2)で与えられている。したがって、本参考例の構造では設計のフィルタ特性を実現するために必要な式として、第1の参考例で与えられた前記式(数4)、前記式(数5)、前記式(数6)を以下の式に置き換えれば良い。すなわち、減衰極周波数fを与える下記式(数8)と、フィルタ中心周波数fを与える下記式(数9)と、段間アドミタンスYを与える下記式(数10)である。これらの3式を同時に満たす解が、本発明の第4の参考例の誘電体フィルタの設計値である。
【0087】
【数8】
Figure 2004007739
【0088】
【数9】
Figure 2004007739
【0089】
【数10】
Figure 2004007739
【0090】
ここで、第4の参考例における下側極を有する誘電体フィルタの結合容量Cに対応する偶奇モードインピーダンス比(P、P)と規格化された共振器線路長Sの関係を図15に示す。また、ローディング容量Cに対応する偶奇モードインピーダンス比(P、P)と規格化された共振器線路長Sの関係を図16に示す。これらの図は中心周波数fが1000MHz、減衰極周波数fが800MHz、偶モードインピーダンス・ステップ比Kが0.2として計算されたものである。また、図15ではローディング容量(C)26、27は0pFに固定され、図16では結合容量(C)28は0pFに固定されている。
【0091】
結合容量Cが増加する時、Pは大きくなり、Pは小さくなり、Sは変化しない。一方、ローディング容量CLが増加する時、Pは小さくなり、Pは大きくなり、Sは小さくなる。したがって、結合容量(C)28とローディング容量(C)26、27の組み合わせにより、偶奇モードインピーダンス比(P、P)を実現可能な値に調整することができる。よって、通過帯域近傍に減衰極を作ることが可能になる。
【0092】
図14(a)では、第1の伝送線路部の偶奇モードインピーダンス比Pが第2の伝送線路部の偶奇モードインピーダンス比Pより小さい時、第1の参考例の誘電体フィルタで下側極が形成されることが示されている。また、第1の伝送線路部の偶奇モードインピーダンス比Pが第2の伝送線路部の偶奇モードインピーダンス比Pより大きい時、第1の参考例の誘電体フィルタで上側極が形成されることが示されている。一方、第4の参考例の図15、図16では、これらの関係は結合容量とローディング容量の大きさによって入れ替わる可能性があることも示されている。したがって、このようにPとPの関係を適切に設定することによって、本発明の構造では所要の周波数に自在に減衰極を形成することができる。
【0093】
図17(a)は第4の参考例における下側極を有する誘電体フィルタの減衰極周波数に対する必要な最小の結合容量値とローディング容量値を示すグラフである。また、図17(b)は第4の参考例における上側極を有する誘電体フィルタの減衰極周波数に対する必要な最小の結合容量値とローディング容量値を示すグラフである。グラフの曲線より、第1の参考例の構造の誘電体フィルタでは作成できなかった中心周波数の正負それぞれ15%以内の周波数範囲の減衰極、具体的には814MHzから1154MHzの間の周波数範囲の減衰極が、第4の参考例の構造の誘電体フィルタでは作成可能であることがわかる。そして、ローディング容量は、通過帯域のごく近傍で必須になることが示されている。中心周波数の正負15%以内の周波数範囲のひとつの減衰極を形成することにより、高選択度を持つバンドパスフィルタを実現することができる。
【0094】
さらに、図18は第1の参考例と第4の参考例における誘電体フィルタの通過帯域近傍の減衰量の改善を示すための伝達特性シミュレーション結果を示すグラフである。(a)は下側極を有するフィルタの場合、(b)は上側極を有するフィルタの場合である。いずれも、実線は第1の参考例のフィルタで減衰極を最も通過帯域に近づけたときの特性を示し、破線は第4の参考例のフィルタで得られる特性である。第4の参考例のフィルタにおいては、第1の参考例のフィルタよりも優れた選択特性が得られている。
【0095】
以上のように本参考例によれば、一端が接地された第1の伝送線路部と一端が開放され前記第1の伝送線路部より特性インピーダンスが低い第2の伝送線路部の他端どうしを縦続接続して構成される全線路長が4分の1波長より短いSIR構造を持つ少なくとも2つ以上のTEMモード共振器を具備し、第1の伝送線路部どうしを互いに電磁界結合させ、かつ、第2の伝送線路部どうしを互いに電磁界結合させ、両者の電磁界結合量をそれぞれ独立に設定するとともに、少なくとも2つの前記TEMモード共振器間を別に設けた結合手段を介して容量結合させることにより、伝達特性の通過帯域近傍に減衰極を発生させることができるという優れた特徴を有している。また、第4の参考例では、ストリップライン共振器と並列に挿入されたローディング容量により、共振器線路長をさらに短くできるため、フィルタの小型化も実現できる。したがって、小型で高選択度を有する誘電体フィルタを実現することができ、このような特性は、例えば、携帯電話用の高周波フィルタの特性として非常に好ましいものである。
【0096】
(参考例5)
以下本発明の第5の参考例のブロック型誘電体フィルタについて図面を参照しながら説明する。図19(a)は本発明の第5の参考例を示すブロック型誘電体フィルタの透視斜視図、図19(b)は本発明の第5の参考例を示すブロック型誘電体フィルタのA−A´面の断面図である。第5の参考例において第4の参考例と異なるのは、TEMモード共振器としてストリップライン共振器の代わりに誘電体ブロックの貫通孔で形成される一体型同軸共振器を用いた点である。
【0097】
図19において、図9の構成と同じものについては同じ参照番号を付している。1010は誘電体ブロック、1011、1012、1013、1014は共振器電極、1015、1016は入出力結合容量電極、1017はシールド電極、1018a、1018b、1018cは結合容量電極である。各共振器電極は特性インピーダンスが高い第1の伝送線路部1031、1032、1033、1034と、特性インピーダンスが低い第2の伝送線路部1021、1022、1023、124から構成され、それぞれが互いに電磁界結合をしている。また、結合容量電極1018a、1018b、1018cの隙間で構成される容量により、容量結合を行っている。
【0098】
電磁界結合の大きさは各伝送線路部の間の距離を変えるか、もしくは、誘電体ブロックに切り欠きや小孔を設けて誘電体を削り取ることにより調整できる。
【0099】
第5の参考例では第4の参考例と同様の効果を有するほかに、一体型同軸共振器を用いることにより、誘電体セラミックをプレス成形し焼成すればよいので製造し易い。また、焼成温度の高いセラミック材料でよいため、高誘電率の材料を使用することができる。また、ストリップライン共振器より無負荷Q値が少し高いため、フィルタの挿入損失を減らすことができる。
【0100】
(参考例6)
以下本発明の第6の参考例の積層型誘電体フィルタについて図面を参照しながら説明する。図20(a)は本発明の第6の参考例を示す積層型誘電体フィルタの分解斜視図、図20(b)は本発明の第6の参考例を示す積層型誘電体フィルタのA−A´面の断面図である。また、図21は図20で示す第6の参考例の積層型誘電体フィルタにおける動作説明のための等価回路図である。
【0101】
本参考例のフィルタ回路構成は外見上第4の参考例と共通な点を多く有している。しかしながら、各共振器は必ずしも第1の伝送線路部と前記第1の伝送線路部より特性インピーダンスが低い第2の伝送線路部で構成されるSIRである必要はない。したがって、本参考例の構成では、第1の伝送線路部どうし或いは第2の伝送線路部どうしのそれぞれ独立な電磁界結合量は全く考慮されていない。
【0102】
図20において、200a、200bは厚い誘電体シートである。誘電体シート200aの上にはストリップライン共振器電極201a,201bが、誘電体シート200cの上には平行平板キャパシタの第2の電極202aと第3の電極202bと第4の電極202c、202dが形成されている。
【0103】
また、誘電体シート200bの上にはシールド電極203a,誘電体シート200dの上にはシールド電極203bが形成されている。電極保護の誘電体シート200eとこれら誘電体シートを全て重ねて、全体を積層化した構造とする。誘電体材料としては、例えば比誘電率58のBi−Ca−Nb−O系のセラミックなど、約950℃以下で焼成可能なセラミック材料を用い、グリーンシート化し、銀、銅、金などの導電率の高い金属ペーストで電極パターンを印刷すると共に、積層し一体焼成する。
【0104】
焼成により、誘電体シートと各電極層は縦方向と横方向にそれぞれ10から20%程度収縮して0.8倍から0.9倍程度の大きさになる。もし、電極層の収縮の倍率が誘電体シートの収縮の倍率よりも大きいと電極の端子が積層体の端面において内部に引っ込んでしまうため、側面に形成する端子電極との接続ができなくなってしまう。これを避けるために、焼成時の収縮の倍率が誘電体シートよりわずかに小さい電極材料を用いて、複数枚の誘電体シートの上にそれぞれストリップライン共振器電極とシールド電極を形成し、誘電体シートを積層して一体焼成を行う。この様にすることにより、積層体の端面に電極の端子が数μmから数十μm突き出た状態になって側面に形成される端子電極との接続がうまくできることになる。
【0105】
厚い誘電体シート200a、200bは薄いグリーンシートを何枚か積層する事により所定の厚さにする事ができる。この様にすると、全ての誘電体シートを規格化された同一の厚さで構成することができ、製造し易くなる。
【0106】
第4の電極202c、202dは入出力端子の側面電極204a、204bと接続される。上下のシールド電極203a、203bは接地端子の側面電極205a、205bに接続される。接地端子となる側面電極を、それぞれストリップライン共振器の開放端側の側面と短絡端側の側面の2側面に設けて接地することにより、シールド電極の共振を抑え、フィルタ特性が劣化することを防ぐことができる。また、入力端子と出力端子の間に接地端子となる側面電極205aを形成する事により、入出力端子間のアイソレーションが取れるという効果がある。さらに、2つの側面に設けた側面電極の数もしくは形状を違えて非対称にすることにより、誘電体積層フィルタの取付方向を容易に確認できる。
【0107】
シールド電極203a、203bの形状は、接地端子となる側面電極が接続される箇所とその周辺部を除いて、シールド電極の外周辺が誘電体シートの外周辺よりも内側にくるように周辺に余白を残し、シールド電極の大きさを誘電体シートの大きさより一回り小さくする。積層されたセラミックのグリーンシート間の接着強度は、電極パターンを形成する金属ペーストを挟む箇所では弱くなるため、特に誘電体シートの外周辺において、セラミックどうしが直接接着するようにシールド電極の余白部を設ける。
【0108】
また、2層のシールド電極の形状を同じにすることにより、シールド電極パターン印刷用のスクリーンが1種類で済むという利点がある。
【0109】
さらに、上下2層のシールド電極はどちらも内層電極にて形成することにより、ストリップライン共振器電極層及び容量電極層と同じ工法でできるため、製造し易い。最上層には電極保護用誘電体シート200eを積層することにより、機械的強度が十分でない内層電極で形成されている上部シールド電極層203aを保護することができる。もちろん、下部シールド電極層203bも誘電体シート200dの上に印刷されているため外部環境から保護されている。
【0110】
ストリップライン共振器は、ストリップラインの短絡端側の線路幅をストリップラインの途中で、幅広部211a、211bから幅細部212a、212bへとステップ状に狭くして小型化を図っている。ストリップライン共振器の幅細部の電極212a、212bの短絡端側は、幅の広い共通接地電極213を介して接地端子の側面電極205bに接続され、接地される。幅の広い共通接地電極213の長さの変化は、ストリップライン共振器電極201a,201bの長さの変化と比べて、共振周波数に与える影響が小さいため、誘電体シートを切断する際の精度による共振周波数のばらつきを抑えることができる。
【0111】
なお、本参考例ではストリップライン共振器の線路幅をストリップラインの途中でステップ状に変化させたが、第1から第5までの参考例とは異なり、線路幅を一定としたストリップライン共振器でも構わない。その他、線路幅を傾斜的に変化させるなどの変形ももちろん可能である。
【0112】
以上のように構成された第6の参考例の積層型誘電体フィルタについて、以下図20(a)、図20(b)、図21を参照しながらその動作を説明する。まず、ストリップライン共振器電極201a,201bと、それに対向する第2、第3及び第4の電極202a、202b、202c、202dはそれぞれの間で平行平板キャパシタを221、222、223、224、225、226を構成する。第2の電極202aとストリップライン共振器電極201aの間で構成される平行平板キャパシタ221と、第2の電極202aとストリップライン共振器電極201bの間で構成される平行平板キャパシタ222は、段間結合キャパシタとして働く。したがって、共振器間の段間結合は、ストリップライン共振器間の電磁界結合と直列接続された平行平板キャパシタ221と222を介した電界結合の組み合わせで行われる。
【0113】
小型化のためにストリップライン共振器電極間の距離を小さくすると、通常、電磁界結合による段間結合が大きくなりすぎて、良好な狭帯域特性を実現することが困難になってくるが、本発明の構成においては電磁界結合と電界結合の組み合わせによる結合の相殺で段間結合を小さくすることができ、狭帯域な特性を実現することができる。また、同時に電磁界結合と電界結合の組み合わせによる共振現象によって、伝達特性に減衰極を構成することができて、より一層優れた選択特性を得ることができる。
【0114】
ここで留意すべき点は、本参考例における伝達特性の減衰極の発生方法は、第1から第5までの参考例の誘電体フィルタにおける減衰極の発生方法と根本的に異なっているということである。すなわち、第1から第5までの参考例の誘電体フィルタではSIR構造の共振器の第1の伝送線路部どうし及び第2の伝送線路部どうしを互いに電磁界結合させ、両者の電磁界結合量をそれぞれ独立に設定することにより減衰極を発生させているが、本参考例の構成では共振器間の電磁界結合と段間結合キャパシタによる電界結合の組み合わせによる並列共振により減衰極を発生させている。本参考例による減衰極の発生原理は、特開平5−95202号公報もしくは文献(T.Ishizaki et al., ”A Very Small Dielectric Planar Filter for Portable Telephones”, 1993 IEEE MTT−S Digest, H−1, pp.177−180, 1993)に詳細に説明されている。また、これに関連した技術は米国特許第4742562号明細書及び文献(R.Pregla, ”Microwave Filters of Coupled Lines and Lumped Capacitances”, IEEE Trans. on Microwave Theory and Tech., vol.MTT−18, No.5, pp.278−280, May 1970)にも記述されている。
【0115】
段間結合キャパシタの容量電極は、容量電極層に設けたいずれの端子電極にも電気的に接続されない浮き電極である第2の電極202aにより構成されている。本参考例における構成の特徴は、平行平板キャパシタを構成する第1の電極をストリップライン共振器の電極面201a、201bで共用した点と、平行平板キャパシタ221、222を直列接続する形にすることにより段間結合キャパシタを積層可能な平面構造で実現したことである。
【0116】
第3の電極202bとストリップライン共振器電極201aの間で構成される平行平板キャパシタ223と、第3の電極202bとストリップライン共振器電極201bの間で構成される平行平板キャパシタ224は、ストリップライン共振器の共振周波数を下げる並列ローディングキャパシタとして働く。したがって、ストリップライン共振器201a,201bの長さは、4分の1波長よりも短くすることができフィルタの小型化が実現できる。
【0117】
図20では、第3の電極202bは2つのストリップライン共振器電極201aと201bに対して一体となっているが、第3の電極202bを2つに分離して、ストリップライン共振器電極201aと201bそれぞれに第3の電極を設けて接地してもよい。
【0118】
また、第4の電極202cとストリップライン共振器電極201aの間で構成される平行平板キャパシタ225と、第4の電極202dとストリップライン共振器電極201bの間で構成される平行平板キャパシタ226は、それぞれ入出力結合キャパシタとして働く。
【0119】
本参考例の構成においては、シールド電極層と容量電極層が別々の層で構成されているため、高い無負荷Q値を得るためにストリップライン共振器電極層とシールド電極層の間の誘電体シートの厚さを厚くしたまま、ストリップライン共振器電極と容量電極の間に大きな結合容量を形成することができて、入出力結合もしくは段間結合に利用するために必要な大きな容量を取ることができるという特徴を有している。仮に、シールド電極層と同じ層に容量電極を形成する構成であれば、シールド電極層と容量電極層の間の誘電体シートを薄くしなければならず、無負荷Q値は劣化して、かつ、本発明のフィルタで必要な結合度を実現することは大変困難である。しかし、本発明の構成は、シールド電極層とは別に設けられた容量電極層を薄い誘電体シートを挟んでストリップライン共振器電極層に対向させることによって、かかる問題を巧みに解決したものである。
【0120】
また、本構成においては、ストリップライン共振器電極は全て誘電体シート200aの上に、容量電極は全て誘電体シート200cの上に印刷されているため、電極印刷はこの2枚の誘電体シートとシールド電極層2枚だけで済むことになり、印刷の工数が少なく、また、フィルタ特性のばらつきが抑えられる。すなわち、ストリップライン共振器電極層を一層の電極層で構成することにより、ストリップライン共振器電極間の相対的な位置精度高めることができるため、ばらつきを低減できる。また、容量電極層を一層の電極層で構成することにより、フィルタの特性ばらつきに影響の大きい誘電体シートの厚さの管理は、ストリップライン共振器電極層と容量電極層の間の一層の誘電体シート200cだけを行えば済むため、製造管理がやり易くなると言う大きな利点がある。
【0121】
また、図22は、本発明の第6の参考例における積層型誘電体フィルタの容量電極とストリップライン共振器電極の配置透視図である。積層型誘電体フィルタの製造工程において、ストリップライン共振器電極層と容量電極層の位置ずれにより、フィルタ特性のばらつきを生じることが考えられる。
【0122】
この影響を少なくするために、図22で示すように、各々の容量電極がストリップライン共振器電極の外縁と重なる領域において、容量電極にくびれを形成して電極の幅を狭くする。第2の電極202aにはくびれ231を形成し、第3の電極202bにはくびれ232、233、234を形成し、第4の電極202c、202dにはそれぞれくびれ235、236を形成する。この様な幅の狭いくびれ領域を設けることにより、ストリップライン共振器電極層と容量電極層の位置ずれが生じた際に起きる両者が重なり合う領域の面積の変化を、くびれがない場合に比べて小さくすることができる。
【0123】
なお、図22の電極配置図で示されているように、段間結合キャパシタの電極202aは、電極パターン配置の都合上、ストリップライン共振器電極201a,201bの開放端ではなくて、開放端と短絡端の間に位置しており、厳密に言えば、図21の等価回路とは異なっている。段間結合キャパシタの位置が開放端から短絡端側へ移動して行った場合、等価的に段間結合キャパシタの容量値を減ずるのと同じ効果を生じる。すなわち、減衰極の周波数が高い方へ移動して設計値と合わなくなってくる。しかし、ここではフィルタの動作説明のため、便宜的に図21の等価回路で表示している。
【0124】
(参考例7)
以下本発明の第7の参考例の積層型誘電体フィルタについて図面を参照しながら説明する。図23は本発明の第7の参考例を示す積層型誘電体フィルタの分解斜視図である。図23において、図20と同じ構成要素には同じ参照番号を付している。
【0125】
第6の参考例と異なるのは、第6の参考例の第4の電極202c、202dの代わりに、ストリップライン共振器電極の横方向から取りだした第4の電極202e、202fを用いたことである。それに合わせて、入出力端子となる側面電極を204a、204bから204c、204dに変更し、接地端子となる側面電極を205aから205cに変更している。
【0126】
入出力電極となる第4の電極を横方向から取り出すことにより、入出力電極間の距離を離すことができるため、入出力間の空間的な結合を低減することができてアイソレーションを大きく取ることができる。
【0127】
また、第7の参考例において、第4の電極の結合位置はストリップライン共振器電極の開放端と短絡端の間に位置させている。第7の参考例の積層型誘電体フィルタの等価回路図は図24のようになる。入出力結合キャパシタ225、226はタップダウンされてストリップライン共振器に接続されている。したがって、ストリップライン共振器電極の幅広部211aと211bは、それぞれ電極213aと214a、213bと214bに分けて考えることができる。
【0128】
ここで、電極213aとローディングキャパシタ223で構成される直列回路251、及び電極213bとローディングキャパシタ224で構成される直列回路252はそれぞれ直列共振回路として動作する。直列回路251、252が共振する周波数においては、インピーダンスがゼロになるため、フィルタの伝達特性に減衰極を生じることになる。すなわち、第7の参考例においては、第6の参考例が有する共振器の電磁界結合と電界結合の組み合わせで生じる減衰極の他に、直列回路251、252の直列共振によって生じる減衰極を有することになるため、さらに優れた選択特性を実現することができる。
【0129】
(参考例8)
以下本発明の第8の参考例の積層型誘電体フィルタについて図面を参照しながら説明する。図25は本発明の第8の参考例を示す積層型誘電体フィルタの分解斜視図である。図25において、図20、図23と同じ構成要素には同じ参照番号を付している。また、図26は、図25で示す第8の参考例の積層型誘電体フィルタにおける動作説明のための等価回路図である。
【0130】
第8の参考例において第7の参考例と異なる点は、3段構成のフィルタとした点である。ストリップライン共振器電極261a、261b、261cはそれぞれ幅広部214a、214b、214cと幅狭部215a、215b、215cからなり、幅狭部の短絡端側は幅の広い共通接地電極216を介して接地端子となる側面電極205bに接続され接地される。
【0131】
第2の電極262aは、誘電体シート200cの上に、ストリップライン共振器電極261a、261b、261c全てと部分的に対向し、段間の電界結合を実現する。
【0132】
また、誘電体シート200cの上でストリップライン共振器電極とそれぞれ対向する領域において、第2の電極が形成された残りの領域に部分的に第3の電極262bを形成し接地する。第3の電極262bとストリップライン共振器電極の間で構成される平行平板キャパシタは、ストリップライン共振器の共振周波数を下げる並列ローディングキャパシタとして働く。したがって、ストリップライン共振器261a,261b、261cの長さは、4分の1波長よりも短くすることができフィルタの小型化が実現できる。
【0133】
シールド電極263a、263bは、それぞれ誘電体シート200b、200dの上に全体を覆うように形成される。最上層には電極保護用誘電体シート200eを積層することにより、機械的強度が十分でない内層電極で形成されている上部シールド電極層263bを保護することができる。
【0134】
また、本参考例において、第4の電極の結合位置はストリップライン共振器電極の開放端と短絡端の間に位置するため、本参考例の積層型誘電体フィルタの等価回路図は図26のようになる。入出力結合キャパシタ225、226はタップダウンされてストリップライン共振器に接続されている。したがって、ストリップライン共振器電極の幅広部214aと214bは、それぞれ電極217aと218a、217bと218bに分けて考えることができる。
【0135】
ここで、電極217aとローディングキャパシタ274で構成される直列回路277、及び電極217bとローディングキャパシタ275で構成される直列回路278が共振する周波数においては、フィルタの伝達特性に減衰極を生じる。これは、第7の参考例と同じである。
【0136】
隣接するストリップライン共振器どうしは電磁界結合させると共に、段間結合キャパシタ271、272、273を介して電界結合が行われ、ストリップライン共振器間の結合を電磁界結合と電界結合の組み合わせで行うことにより、電磁界結合と電界結合の組み合わせによる共振現象によって、伝達特性に2つの減衰極を構成することができて、より一層優れた選択特性を得ることができる。
【0137】
第8の参考例における基本構成は第7の参考例と同じであるが、もちろん入出力端子の取り出し方向をストリップライン共振器電極の開放端の方向にして、第6の参考例と同じ構成としても構わない。
【0138】
この様に第8の参考例においては、フィルタを3段構成にしたことにより、さらに優れた選択度を得ることができる。さらに、4段、5段と多段化することにより一層選択度をあげることができることは言うまでもない。
【0139】
(参考例9)
以下本発明の第9の参考例の積層型誘電体フィルタについて図面を参照しながら説明する。図27は本発明の第9の参考例を示す積層型誘電体フィルタの分解斜視図である。図27において、図20、図23、図25と同じ構成要素には同じ参照番号を付している。また、図28は、図27で示す第9の参考例の積層型誘電体フィルタにおける動作説明のための等価回路図である。
【0140】
第9の参考例における動作は、ほとんど第8の参考例と同じである。第9の参考例において第8の参考例と異なる点は、段間結合キャパシタの接続方法である。第8の参考例では段間結合キャパシタを形成する第2の電極は全てのストリップライン共振器電極に対向するひとつの電極262aで構成されているが、本参考例では第2の電極は隣接するストリップライン共振器電極毎に設けられた電極281、282で構成されている。
【0141】
隣接するストリップライン共振器どうしは電磁界結合させると共に、直列接続されたキャパシタ283と284及び285と286で構成される段間結合キャパシタを介して電界結合が行われ、ストリップライン共振器間の結合を電磁界結合と電界結合の組み合わせで行うことにより、電磁界結合と電界結合の組み合わせによる共振現象によって、伝達特性に2つの減衰極を構成することができる。
【0142】
この様に第9の参考例においては、第8の参考例と同様の効果を得ることができると共に、隣接するストリップライン共振器ごとに電磁界結合と電界結合の組み合わせによる共振特性を設計できるため、第8の参考例よりも設計が容易であるという利点を有する。
【0143】
(参考例10)
以下、本発明の第10の参考例の積層型誘電体フィルタについて、図面を参照しながら説明する。図29は本発明の第10の参考例における積層型誘電体フィルタの分解斜視図を示すものである。図29において、230、200bは厚い誘電体シート、231、200bから200eは薄い誘電体シート、203a、203bはシールド電極、202e、202f、232e、232fは入出力結合容量電極、202b、232bはローディング容量電極、201a、201bはストリップライン共振器電極、202a、232aは段間結合容量電極、204c、204dは入出力端子、205b、205cは接地端子、213は共通接地電極である。ストリップライン共振器201a、201bはそれぞれ幅広部211a、211bと幅狭部212a、212bからなるSIR構造を有し、共振器長の短縮が図られている。
【0144】
以上の様に構成された第10の参考例の積層型誘電体フィルタの動作について以下に説明する。本参考例のフィルタの基本的な動作原理は、第6及び第7の参考例のフィルタとほぼ同じである。本参考例のフィルタがそれらの参考例と異なる点は、入出力結合容量電極202e、202f、232e、232f及びローディング容量電極202b、232b及び段間結合容量電極202a、232aをそれぞれストリップライン共振器電極201a、201bの上下2層の誘電体シート230、200c上にストリップライン共振器電極を挟み込むように形成したことである。
【0145】
ところで、ストリップラインの導体損は、文献(小西良弘著、「マイクロ波回路の基礎とその応用」、第52頁、総合電子出版社、1990年)に示されているように、縁効果のない場合には下記式(数11)で示される。
【0146】
【数11】
Figure 2004007739
【0147】
すなわち、ストリップラインの導体損は、特性インピーダンスと反比例の関係にある。したがって、ローディング容量電極を設けることによってその領域の特性インピーダンスが小さくなり導体損が大きくなることが一般に予想される。
【0148】
本参考例の積層型誘電体フィルタにおいては、ローディング容量を構成するローディング容量電極202b、232bをストリップライン共振器電極の上下両方に構成した結果、片方のみに構成した場合に比べて、同一のローディング容量を実現する電極面積を半分にすることができる。そのため、導体損の増大によるフィルタの挿入損失を低減できることになる。
【0149】
また本参考例では、ストリップライン共振器電極の上下両方に入出力結合容量電極202e、202f、232e、232fを構成することによって、片方だけに構成したときに比べて入出力結合容量が大きくできるので、小型でも広帯域なフィルタを構成することができる。
【0150】
さらに、ストリップライン共振器電極の上下両方に段間結合容量電極202a、232aを形成することにより、同一電極面積でも段間結合容量を大きくすることができるので、フィルタ設計パラメータの実現範囲が広く取れて、様々な仕様のフィルタ特性を実現することができるようになる。
【0151】
また、本参考例の入出力結合容量電極、ローディング容量電極、段間結合容量電極の電極パターンは上下2層で同じにしているので、電極パターンの印刷スクリーンを共用することができ、製造工程の管理が容易となる。
【0152】
以上のように本参考例によれば、小型で、低損失、製造容易な積層型誘電体フィルタを実現することができる。
【0153】
(参考例11)
以下本発明の第11の参考例の積層型誘電体フィルタについて、図面を参照しながら説明する。図30は本発明の第11の参考例における積層型誘電体フィルタの分解斜視図を示すものである。図31は図30におけるA−A´を含む面の断面図を示すものである。
【0154】
図30において、誘電体シート310a、310b、310c、310d、310e、310f、310g、310hは低温焼結誘電体セラミック等から形成され、誘電体材料としては、例えば比誘電率58のBi−Ca−Nb−O系のセラミックなど、約950℃以下で焼成可能なセラミック材料を用いてグリーンシート化する。ストリップライン共振器電極311a、311b、311cと入出力結合容量電極313a、313b及びローディング容量電極314a、314bを構成する内電極は、銀、銅、金などの導電率の高い金属ペーストで電極パターンを印刷すると共に、誘電体シートを積層し一体焼成する。シールド電極315a、315bと側面電極316a、316bと317a、317b、317c、317dを構成する外電極は、本参考例では、金属ペーストを後から焼き付けしている。
【0155】
各ストリップライン共振器電極層の間の誘電体シートの厚さt、t、・・・、t(nはストリップライン共振器の数)、すなわち、誘電体シート310cと310dを合わせた厚さ、或いは、誘電体シート310eと310fを合わせた厚さよりも、ストリップライン共振器電極層とシールド電極層の間の誘電体シートの厚さt、tn+1、すなわち、誘電体シート310aと310bを合わせた厚さ、或いは、誘電体シート310gと310hを合わせた厚さを異なる値に設定することにより、共振器の無負荷Q値を下げることなく大きな結合量を得ることができる。具体的には、厚さtからtの内の最大値を厚さt及びtn+1のいずれよりも小さくし、好ましくは、厚さtからtまでの合計値を厚さtとtn+1の合計値よりも小さくし、さらに好ましくは、厚さtからtまでの合計値を厚さt及びtn+1のいずれよりも小さくする。また、ストリップライン共振器の数が3個以上の場合に、厚さtからtまでをすべて等しくすることにより、誘電体シートの厚さを特定値に規格化できるので、製造コストを下げることができる。
【0156】
さらに、厚い誘電体シート310a、310hを薄い誘電体シートを複数枚積層して形成することによって、全ての誘電体シートを厚さが規格化された同一の薄い誘電体シートで形成することができるので、さらに製造コストを下げることができる。
【0157】
ストリップライン共振器電極311a、311b、311cは一端が接地電極312a、312b、312cを介して、接地端接地端子の側面電極317dに接続され、接地される。幅の広い接地電極の長さの変化は、ストリップライン共振器電極の長さの変化と比べて、共振周波数に与える影響が小さいため、誘電体シートを切断する際の精度による共振周波数のばらつきを抑えることができる。また、接地端接地端子の側面電極317dは側面のシールドを行う接地面側のシールド電極としても作用するため、フィルタ特性は外部の影響を受けにくい。
【0158】
本参考例では、共振器を4分の1波長先端短絡型ストリップライン共振器とし、短絡端の方向を揃えて積層する構造としているため、コムラインフィルタと同様に、設計が容易で、しかも小型のフィルタを実現することができる。
【0159】
入出力結合容量電極313aとストリップライン共振器電極311aの間で構成される平行平板キャパシタと、入出力結合容量電極313bとストリップライン共振器電極311cの間で構成される平行平板キャパシタは、それぞれ入出力結合キャパシタとして働く。各々の入出力結合容量電極313a、313bは、側面電極で形成された入出力端子316a、316bに接続されている。
【0160】
ストリップライン共振器と入出力端子との結合を容量結合方式とすることにより、磁界結合方式よりもフィルタを小型にすることができる。また、容量結合方式では、結合量の計算が簡単で、入出力結合量の調整は電極パターンの面積を変えるだけでよいので設計しやすいという利点を有する。
【0161】
入出力端子316a、316bの取り出し方向を、ひとつはストリップラインの右側面方向とし、他のひとつはストリップラインの左側面方向とすることにより、入出力端子間のアイソレーションをとることができる。
【0162】
ローディング容量電極314a、314bとストリップライン共振器電極311a、311b、311cの間で構成される平行平板キャパシタは、ストリップライン共振器の共振周波数を下げる並列ローディングキャパシタとして働く。したがって、ストリップライン共振器311a,311b、311cの長さは、4分の1波長よりも短くすることができ、コムラインフィルタとして動作させることができる。
【0163】
入出力結合容量電極313a、313b及びローディング容量電極314a、314bがストリップライン共振器電極311a、311b、311cの外縁と重なる領域において、入出力結合容量電極及びローディング容量電極にくびれを形成して電極の幅を狭くする。この様な幅の狭いくびれ領域を設けることにより、ストリップライン共振器電極層と容量電極層の位置ずれが生じた際に起きる両者が重なり合う領域の面積の変化を、くびれがない場合に比べて小さくすることができる。
【0164】
外電極で形成された上下のシールド電極315a、315bでフィルタ全体がシールドされているため、外部の影響によりフィルタ特性が変化するのを防ぐことができる。シールド電極は接地端側の接地端子の側面電極317dの他に側面の接地端子の側面電極317a、317b及び開放端側の接地端子の側面電極317cに接続され接地される。接地端子となる側面電極を、それぞれストリップライン共振器の開放端と接地端と側面において接地することにより、シールド電極の共振を抑え、フィルタ特性が劣化することを防ぐことができる。
【0165】
側面の接地端子の側面電極317a、317bは側面シールド電極として働くので、側面電極317c、317dと同様にフィルタ特性が外部の影響を受けないようにシールド効果を持つ。
【0166】
開放端側の接地端子の側面電極317cとストリップライン共振器電極311a、311b、311cの間に生じる開放端容量は、ローディング容量と並列に挿入されるため、ストリップライン共振器の線路長をさらに短くできるという効果を持つ。
【0167】
以上のように構成された積層型誘電体フィルタについて、その動作を説明する。本参考例のフィルタの電気的な動作原理は、コムラインフィルタと呼ばれるものとほぼ同じである。コムラインフィルタの動作原理は前出の文献(G.L.Matthaei,”Comb−Line Band−Pass Filters of Narrow or Moderate Bandwidth”: the microwave journal, August, 1963)に示されている。
【0168】
まず、ストリップライン共振器電極311a、311b、311cは接地端の方向を揃えて配置され、お互いが電磁界結合することにより、コムラインフィルタとしての動作をする。各ストリップライン間の電磁界結合量は、ストリップラインの中心線の位置を上下に積層した誘電体シート毎にずらすことにより調整されている。したがって、結合量の調整は大変容易である。結合量はストリップラインの中心線の位置を一致させたときが最も大きくなる。
【0169】
従来のストリップラインを同一平面上に左右に並べる方法では、印刷精度の限界から線路間のギャップは最小200μm程度であり、結合量の大きさには限界があった。しかし、本発明のストリップラインを上下に重ねる方法では、ストリップライン間の誘電体シート310d、310fの厚さは20μm程度に薄くすることができるため、非常に大きい結合量を実現できる。また、2つのストリップライン共振器電極面が幅広い面で対向するため、結合量はさらに大きくなる。
【0170】
ストリップライン間の電磁界結合は通常4分の1波長に相当する周波数においてゼロになってしまうため、このままではバンドパスフィルタが構成できないが、ローディング容量電極314a、314bとストリップライン共振器電極311a、311b、311cで構成されるローディング容量により共振周波数をシフトさせることにより、必要な段間結合量を得ている。また、本参考例では、ひとつのローディング容量電極の上下両方向に容量を形成することにより、ローディング容量電極層の数を減らしており、この様にすることにより製造し易いという利点が生じる。
【0171】
入出力結合は、入出力端子とストリップラインを入出力結合容量電極313a、313bで電界結合させることにより行っている。入出力結合容量はアドミタンスインバータの一部を構成する。容量結合方式は、比較的狭帯域なバントパスフィルタの結合方法として、簡単で小型に実現できるという利点を有する。
【0172】
さらに、ストリップラインを左右に並べる方法では高周波電流が線路のエッジに集中するために無負荷Q値の低下を招くが、本発明のストリップラインを上下に積み重ねる方法では、高周波電流は線路全体に渡って比較的均等に分布することになるため高い無負荷Q値を実現することができる。したがって、フィルタの挿入損失を低減できることになる。
【0173】
以上のように本参考例によれば、低損失なフィルタ特性を有し、小型で薄い平面型の積層型誘電体フィルタを実現することが出来る。
【0174】
(参考例12)
以下本発明の第12の参考例の積層型誘電体フィルタについて、図面を参照しながら説明する。図32は本発明の第12の参考例における積層型誘電体フィルタの分解斜視図を示すものである。図33(a)は図32におけるA−A´を含む面の断面図を、図33(b)はB−B´を含む面の断面図を示すものである。
【0175】
図32において、330a、330b、330c、330d、330e、330f、330g、330hは誘電体シートである。331a、331b、331cはストリップライン共振器電極、335a、335bは入出力結合容量電極、336a、336bはシールド電極であり、誘電体シート上に積層された内電極で形成されている。
【0176】
第12の参考例では第11の参考例と異なり、シールド電極が内電極で形成されている。本参考例では、シールド電極もストリップライン共振器電極や容量電極と同じ工法で形成できるため製造が容易である。また、内電極で形成された上下のシールド電極336a、336bでフィルタ全体がシールドされているため、第11の参考例と同じように、外部の影響によりフィルタ特性が変化するのを防ぐことができる。
【0177】
入出力端子となる側面電極337a、337bと、接地端子となる側面電極338a、338b、338c、338dは、金属ペーストを後から焼き付けた外電極で形成されている。
【0178】
シールド電極は接地端側の接地端子の側面電極338dの他に側面接地端子の側面電極338a、338b及び開放端側の接地端子の側面電極338cに接続され接地される。接地端子となる側面電極を、それぞれストリップライン共振器の開放端と接地端と側面において接地することにより、シールド電極の共振を抑え、フィルタ特性が劣化することを防ぐことができる。
【0179】
ストリップライン共振器電極331a、331b、331cは、接地端側において線路幅を狭くした接地端側幅狭部333a、333b、333cと、開放端側において線路幅を広くした開放端側幅広部332a、332b、332cから構成されている。ストリップライン共振器電極331a、331b、331cの接地端は接地電極334a、334b、334cを介して、接地端側の接地端子の側面電極338dに接続され、接地される。
【0180】
入出力結合容量電極335aとストリップライン共振器電極331aの間で構成される平行平板キャパシタと、入出力結合容量電極335bとストリップライン共振器電極331cの間で構成される平行平板キャパシタは、それぞれ入出力結合キャパシタとして働く。各々の入出力結合容量電極335a、335bは、側面電極で形成された入出力端子337a、337bに接続されている。
【0181】
本参考例でも第11の参考例と同様に、各ストリップライン共振器電極層の間の誘電体シートの厚さt、t、・・・、t(nはストリップライン共振器の数)、すなわち、誘電体シート330d、330eの厚さよりも、ストリップライン共振器電極層とシールド電極層の間の誘電体シートの厚さt、tn+1、すなわち、誘電体シート330bと330cを合わせた厚さ、または誘電体シート330fと330gを合わせた厚さを厚くすることにより、共振器の無負荷Q値を下げることなく大きな結合量を得ることができる。例えば、試作した例では、誘電体シート330b、330gの厚さは500μm、誘電体シート330c、330fの厚さは55μm、誘電体シート330d、330eの厚さは44μmであり、このときに良好なフィルタ特性を得ることができた。すなわち、厚さt、t、・・・、tの最大値をtmaxとした場合、tmaxは厚さt、tn+1のいずれよりも小さいことが望ましい。さらに好ましくは、厚さt、t、・・・、tの合計値が厚さt、tn+1の合計値よりも小さいことが望ましい。さらに好ましくは、厚さt、t、・・・、tの合計値が厚さt、tn+1のいずれよりも小さいことが望ましい。このような条件において、フィルタ設計に必要な大きな結合度と、高い無負荷Q値を同時に得ることができる。
【0182】
また、厚い誘電体シート330b、330gを薄い誘電体シートを複数枚積層して形成し、さらにストリップライン共振器間の誘電体シート330d、330eの厚さをすべて同じにすることによって、全ての誘電体シートを厚さが規格化された同一の薄い誘電体シートで形成することができるので、製造コストを下げることができる。
【0183】
以上のように構成された積層型誘電体フィルタについて、その動作を説明する。本参考例のフィルタの電気的な動作原理は、第11の参考例のフィルタの原理とは少し異なる。すなわち、第11の参考例では動作原理は基本的にコムラインフィルタである。しかし、第12の参考例では、ローディング容量ではなくSIR構造で、第1の伝送線路部と第2の伝送線路部の電磁界結合量を独立に設定して、伝達特性に通過帯域と減衰極を発生させる方法が取られている。この基本構成は、第1の参考例の積層型誘電体フィルタと同じである。
【0184】
まず、ストリップライン共振器電極331a、331b、331cは接地端の方向を揃えて配置され、開放端側幅広部332a、332b、332cと接地端側幅狭部333a、333b、333cはそれぞれお互いが電磁界結合している。各ストリップラインは幅広部と幅狭部によりSIR構造を構成している。したがって、ストリップライン共振器331a,331b、331cの長さは、4分の1波長よりも短くすることができる。
【0185】
各ストリップライン間の電磁界結合量は、ストリップラインの位置を上下方向でずらすことにより調整されている。ストリップラインの幅広部と幅狭部の線路中心線を同一線上からずらすことにより、ストリップラインの幅広部どうしの電磁界結合量と幅狭部どうしの電磁界結合量をそれぞれ独立に設定することができるようになる。この様に独立に結合量を設定することによって、初めて減衰極の周波数を所望の周波数に持ってくる設計が可能である。この動作原理は、第1の参考例のフィルタにおいて説明されたものである。
【0186】
ストリップラインの幅広部の線路中心線を上下に積層した誘電体シートで全て同じ位置にすることにより、幅広部間で最大の結合量を実現することができる。しかも電極の上下位置が揃うためにフィルタの横幅を最も小さくできることから、フィルタの小型化が達成できる。一方、幅狭部の結合量は線路中心線の位置を誘電体シート毎にずらすことによって調整できる。
【0187】
この様に、開放端側幅広部と接地端側幅狭部がそれぞれ電磁界結合することにより、通過帯域においてバンドパス特性を示すだけでなく、伝達特性の所望の周波数に減衰極を形成することができる。したがって、チェビシェフ特性より優れた選択特性を実現することができる。
【0188】
以上のように本参考例によれば、第1の参考例及び第11の参考例と同様の効果を有するほかに、それぞれを組み合わせた効果を生じ、伝達特性の所望の周波数に減衰極を形成して優れた選択特性を得ることができるだけでなく、小型で低損失なフィルタ特性を実現することができる。
【0189】
(参考例13)
以下本発明の第13の参考例の積層型誘電体フィルタについて、図面を参照しながら説明する。図34は本発明の第13の参考例における積層型誘電体フィルタの分解斜視図を示すものである。図35(a)は図34におけるA−A´を含む面の断面図を、図35(b)はB−B´を含む面の断面図を示すものである。
【0190】
図34において、350a、350b、350c、350d、350e、350f、350g、350h、350i、350jは誘電体シートである。351a、351b、351cはストリップライン共振器電極、353a、353bは入出力結合容量電極、354a、354bはシールド電極、355a、355bは結合シールド電極であり、誘電体シート上に積層された内電極で形成されている。入出力端子となる側面電極357a、357bと、接地端子となる側面電極358a、358b、358c、358dは、金属ペーストを後から焼き付けた外電極で形成されている。
【0191】
シールド電極は接地端側の接地端子の側面電極358dの他に側面接地端子の側面電極358a、358b及び開放端側の接地端子の側面電極358cに接続され接地される。ストリップライン共振器電極351a、351b、351cの接地端は接地電極352a、352b、352cを介して、接地端側の接地端子の側面電極358dに接続され、接地される。
【0192】
入出力結合容量電極353aとストリップライン共振器電極351aの間で構成される平行平板キャパシタと、入出力結合容量電極353bとストリップライン共振器電極351cの間で構成される平行平板キャパシタは、それぞれ入出力結合キャパシタとして働く。各々の入出力結合容量電極353a、353bは、側面電極で形成された入出力端子357a、357bに接続されている。
【0193】
第13の参考例では第11の参考例及び第12の参考例と異なり、ストリップライン共振器間の結合量が結合シールド電極355a、355bに形成された電界結合窓もしくは磁界結合窓356a、356bで制御されている。結合窓の大きさ、形状、位置により、大きな結合度から小さな結合度まで容易に制御できるため、広帯域から狭帯域まで広範囲なフィルタ特性を実現することができる。また、入出力結合を容量結合とすることにより、設計が容易となり、フィルタの小型化が実現できる。
【0194】
以上のように本参考例によれば、第11の参考例及び第12の参考例と同様な効果を有する他に、簡単な設計で、広帯域から狭帯域まで広範囲なフィルタ特性を実現することができる。
【0195】
(参考例14)
以下本発明の第14の参考例の積層型誘電体フィルタについて、図面を参照しながら説明する。図36は本発明の第14の参考例における積層型誘電体フィルタの分解斜視図を示すものである。図37(a)は図36におけるA−A´を含む面の断面図を、図37(b)はB−B´を含む面の断面図を示すものである。
【0196】
図36において、370a、370b、370c、370d、370e、370fは誘電体シートである。371a、371b、371cはストリップライン共振器電極、375a、375bは入出力結合容量電極、377a、377bはシールド電極であり、誘電体シート上に積層された内電極で形成されている。
【0197】
入出力端子となる側面電極378a、378bと、接地端子となる側面電極379a、379b、379c、379dは、金属ペーストを後から焼き付けた外電極で形成されている。シールド電極は接地端側の接地端子の側面電極379dの他に側面接地端子の側面電極379a、379b及び開放端側の接地端子の側面電極379cに接続され接地される。
【0198】
ストリップライン共振器電極371a、371b、371cは、接地端側において線路幅を広くした接地端側幅広部373a、373b、373cと、開放端側において線路幅を狭くした開放端側幅狭部372a、372b、372cから構成されている。ストリップライン共振器電極371a、371b、371cの接地端は接地電極374a、374b、374cを介して、接地端側の接地端子の側面電極379dに接続され、接地される。第14の参考例では、幅広部がストリップライン共振器の接地端側にくる構成を取っており、第12の参考例と逆の構成になっている。
【0199】
各々のストリップラインの接地端側幅広部の線路中心線と開放端側幅狭部の線路中心線を同一線上とせず、ずらすことにより、本参考例においても第12の参考例と同じように、ストリップライン共振器の幅広部と幅狭部の電磁界結合量をそれぞれ独立に制御することができる。したがって、フィルタの伝達特性の所望の周波数に減衰極を形成することができて、優れた選択度を得ることができる。
【0200】
また、ストリップライン共振器の接地端側を幅広部とすることによって、ストリップラインを流れる高周波電流の抵抗損を減らすことができるため、無負荷Q値を改善することができる。さらに、ストリップラインの幅広部の線路中心線を上下に積層した誘電体シートで全て同じ位置にすることにより、幅広部間で最大の結合量を実現することができ、しかも電極の上下位置が揃うためにフィルタの横幅を最も小さくできることから、フィルタの小型化が達成できる。
【0201】
入出力結合容量電極375aとストリップライン共振器電極371aの間で構成されるインターディジタル型キャパシタ376aと、入出力結合容量電極375bとストリップライン共振器電極371cの間で構成されるインターディジタル型キャパシタ376bは、それぞれ入出力結合キャパシタとして働く。各々の入出力結合容量電極375a、375bは、側面電極で形成された入出力端子378a、378bに接続されている。入出力結合容量をインターディジタル型キャパシタで構成することにより大きな結合容量が得られて、広帯域なバンドパスフィルタ特性が実現できる。
【0202】
以上のように本参考例によれば、低損失な特性を持ち、小型で薄い平面構造の誘電体積層フィルタを実現できるという第11の参考例から第13の参考例までと同様な効果を有する他に、誘電体シートの枚数と電極印刷回数を減らすことができて、製造し易くなる。
【0203】
(実施例1)
以下本発明の実施例の積層型誘電体アンテナ共用器について、図面を参照しながら説明する。図38は本発明の第1の実施例における積層型誘電体アンテナ共用器500の分解斜視図を示すものである。図38において、401から408は誘電体シート、411から413及び421から423はストリップライン共振器電極、431と432と441と442は結合キャパシタ電極、433と443はローディングキャパシタ電極、451から453はシールド電極、461はアンテナ端子電極、471は送信端子電極、481は受信端子電極、462と472から474及び482から484は接地端子電極である。各誘電体シートと各電極層は、図38に示す順序でそれぞれ積層され、一体焼成される。
【0204】
また、図39は第1の実施例の積層型誘電体アンテナ共用器500の等価回路図を示すものである。以上のように構成された積層型誘電体アンテナ共用器について、以下図38及び図39を用いてその動作を説明する。
【0205】
ストリップライン共振器電極411、412、413で構成されるストリップライン共振器511、512、513は4分の1波長より短い先端短絡伝送線路により構成される共振器であり、誘電体シート402上に互いに近接して形成されている。各ストリップライン共振器は、ローディングキャパシタ電極433と各ストリップライン共振器電極411、412、413との間で形成されるローディングキャパシタ533、534、535により共振周波数を下げられると共に、隣接するストリップライン共振器どうしが電磁界結合してバンドパス特性を示す。結合電極431とストリップライン共振器電極411間では結合キャパシタ531が形成され、アンテナ端子551を介してアンテナ503に電気的に接続される。また、結合電極432とストリップライン共振器電極413間では結合キャパシタ532が形成され、送信端子552を介して送信機504に電気的に接続される。このようにして、バンドパス特性を持つコムライン型の送信フィルタ501が構成される。
【0206】
一方、ストリップライン共振器電極421、422、423で構成されるストリップライン共振器521、522、523は4分の1波長より短い先端短絡伝送線路により構成される共振器であり、誘電体シート405上に互いに近接して形成されている。各ストリップライン共振器は、ローディングキャパシタ電極443と各ストリップライン共振器電極421、422、423との間で形成されるローディングキャパシタ543、544、545により共振周波数を下げられると共に、隣接するストリップライン共振器どうしが電磁界結合してバンドパス特性を示す。結合電極441とストリップライン共振器電極421間では結合キャパシタ541が形成され、アンテナ端子551を介してアンテナ503に電気的に接続される。また、結合電極442とストリップライン共振器電極423間では結合キャパシタ542が形成され、受信端子553を介して受信機505に電気的に接続される。このようにして、バンドパス特性を持つコムライン型の受信フィルタ502が構成される。
【0207】
結合キャパシタ531、532及び541、542を介した容量結合方式は、コムラインフィルタで通常用いられている磁界結合方式と比べて結合線路が不要なため、送信フィルタ、受信フィルタともに小型にできるという利点を有している。
【0208】
送信フィルタ501の一端は送信機504と電気的に接続される送信端子552に接続され、送信フィルタ501の他端は受信フィルタ502の一端と接続されると共に、アンテナ503と電気的に接続されるアンテナ端子551に接続される。受信フィルタ502の他端は受信機505に電気的に接続される受信端子553に接続される。
【0209】
送信フィルタ501は通過帯域である送信周波数帯域の送信信号に対して小さな挿入損失を示し、送信信号をほとんど減衰させることなく送信端子552からアンテナ端子551へと伝達させることができる。また、受信周波数帯域の受信信号に対しては大きな挿入損失を示し、受信周波数帯域の入力信号はほとんど反射されるため、アンテナ端子551から入力された受信信号は受信フィルタ502の方へ戻ってくるという動作を示す。
【0210】
受信フィルタ502は受信周波数帯域の受信信号に対して小さな挿入損失を示し、受信信号をほとんど減衰させることなくアンテナ端子551から受信端子553へと伝達させることができる。また、送信周波数帯域の送信信号に対しては大きな挿入損失を示し、送信周波数帯域の入力信号はほとんど反射されるため、送信フィルタ501からやってきた送信信号はアンテナ端子551の方へ送り出されるという動作を示す。
【0211】
また、図38で示す第1の実施例において、送信フィルタ501を構成するストリップライン共振器電極411、412、413の短絡端の方向と、受信フィルタ502を構成するストリップライン共振器電極421、422、423の短絡端の方向はちょうど反対方向になっている。それによって、アンテナ端子551に接続される結合キャパシタ531と541を構成する結合電極431と441の取り出し方向を同じ側面方向にした時に、送信端子552に接続される結合キャパシタ532を構成する結合電極432の取り出し方向と、受信端子553に接続される結合キャパシタ542を構成する結合電極442の取り出し方向を反対方向の側面にすることができる。したがって、送信端子電極471と受信端子電極481の距離を離すことができるため、送信端子と受信端子間に十分なアイソレーションをとることができる。
【0212】
ここで、従来例においてアンテナ共用器の送信フィルタブロックと受信フィルタブロックを単純に上下に重ねて接着する構造にした場合と、本実施例の構造による積層型誘電体アンテナ共用器とを比較してみる。
【0213】
まず、従来例では、送信フィルタブロック及び受信フィルタブロックの高さはセラミックの同軸形成の微細加工の限界から最小2mm程度である。したがって、これを上下に重ねると全体の高さは4mm以上になってしまう。これに対して、本実施例の構成では、各誘電体シートの厚さは30μm程度であるため、全体の高さを2mm以下にすることも容易である。
【0214】
また、従来例では各端子の取り出しや接続を、フィルタブロックの外を引き回して、外付けの部品で行わなければならず、さらに全体をシールドするためのシールドケースが必要となってくるのに対して、本実施例の構成では、各端子の接続は内層電極のパターンを側面電極に接続する構造として、それ自体を全体がシールドされた表面実装デバイス(SMD)にする事ができる。
【0215】
さらに、本実施例の構成では、入出力の結合素子などは全て内層電極パターンで構成されるため、外付けの部品が不要であるという特徴を有している。
【0216】
以上のように本実施例によれば、複数枚の誘電体シートと、少なくとも3層以上のシールド電極層と、少なくとも2層以上のストリップライン共振器電極層を具備し、少なくとも一層の前記シールド電極層により上下を仕切り、前記誘電体シートと前記シールド電極層と前記ストリップライン共振器電極層を積層して一体焼成しそれぞれ受信フィルタと送信フィルタを構成することにより、前記受信フィルタと前記送信フィルタを一体にして上下に積み重なった構造にできるため、小型、薄型で低コストのアンテナ共用器を実現することができる。
【0217】
また、受信フィルタを構成するストリップライン共振器電極層において受信端子と結合している先端短絡ストリップライン共振器の短絡端が形成される側面と、送信フィルタを構成するストリップライン共振器電極層において送信端子と結合している先端短絡ストリップライン共振器の短絡端が形成される側面とを異なる方向に設定し、送信端子と受信端子を異なる側面の側面電極で形成することにより、送信端子と受信端子間に十分なアイソレーションをとることができる。
【0218】
なお、本実施例では、送信フィルタの上に受信フィルタを積層する構成としたが、逆に、受信フィルタの上に送信フィルタを積層する構成にできることは言うまでもない。これは、以下の実施例においても同様である。
【0219】
(実施例2)
以下本発明の第2の実施例の積層型誘電体アンテナ共用器について図面を参照しながら説明する。図40は本発明の第2の実施例を示す積層型誘電体アンテナ共用器554の分解斜視図であり、図38の各素子に対応するものには同じ参照番号を付している。また、図41は第2の実施例の積層型誘電体アンテナ共用器554の等価回路図を示すものであり、図39の各素子に対応するものには同じ参照番号を付している。
【0220】
図40において、図38と異なるのは、2層のシールド電極層452、488で2枚の誘電体シート485、486を挟み込んで構成した分離層489により上下を仕切るとともに、分離層489の間の誘電体シート485上にインピーダンス整合素子として電極487で形成されるインダクタ555を付加した点である。
【0221】
以上のように構成された積層型誘電体アンテナ共用器554の動作は、インダクタ555が付加された以外は、第1の実施例と同じである。インダクタ555が、アンテナ端子とグランドの間に挿入されることにより、アンテナ503と送信フィルタ501と受信フィルタ502の間のインピーダンス整合をより良好にとることができる。
【0222】
以上のように、複数枚の誘電体シートと、少なくとも4層以上のシールド電極層と、少なくとも2層以上のストリップライン共振器電極層を具備し、少なくとも2層の前記シールド電極層で複数枚の前記誘電体シートを挟み込んで構成した分離層により上下を仕切り、前記誘電体シートと前記シールド電極層と前記ストリップライン共振器電極層を積層して一体焼成しそれぞれ受信フィルタと送信フィルタを構成することにより、前記受信フィルタと前記送信フィルタが一体になって上下に積み重なった構造とするとともに、前記分離層の間の誘電体シート上にインピーダンス整合素子としてインダクタを形成することにより、第1の実施例と同様の効果を得られるほかに、良好な整合特性を実現することができる。
【0223】
(実施例3)
以下本発明の第3の実施例の積層型誘電体アンテナ共用器について図面を参照しながら説明する。図42は本発明の第3の実施例を示す積層型誘電体アンテナ共用器556の分解斜視図であり、図38及び図40の各素子に対応するものには同じ参照番号を付している。また、図43は第17の実施例の積層型誘電体アンテナ共用器556の等価回路図を示すものであり、図39及び図41の各素子に対応するものには同じ参照番号を付している。
【0224】
図42において、図40と異なるのは2層のシールド電極層452、495で3枚の誘電体シート490、491、492を挟み込んで構成した分離層496により上下を仕切るとともに、分離層496の間の誘電体シート490、491上にインピーダンス整合素子として電極493、494で形成されるキャパシタ557を付加した点である。
【0225】
以上のように構成された積層型誘電体アンテナ共用器556の動作は、キャパシタ557が付加された以外は、第1の実施例と同じである。キャパシタ557が、アンテナ端子とグランドの間に挿入されることにより、アンテナ503と送信フィルタ501と受信フィルタ502の間のインピーダンス整合をより良好にとることができる。
【0226】
以上のように、複数枚の誘電体シートと、少なくとも4層以上のシールド電極層と、少なくとも2層以上のストリップライン共振器電極層を具備し、少なくとも2層の前記シールド電極層で複数枚の前記誘電体シートを挟み込んで構成した分離層により上下を仕切り、前記誘電体シートと前記シールド電極層と前記ストリップライン共振器電極層を積層して一体焼成しそれぞれ受信フィルタと送信フィルタを構成することにより、前記受信フィルタと前記送信フィルタが一体になって上下に積み重なった構造とするとともに、前記分離層の間の誘電体シート上にインピーダンス整合素子としてキャパシタを形成することにより、第1の実施例及び第2の実施例と同様の効果を得ることができる。
【0227】
なお、第1から第3の実施例の積層型誘電体アンテナ共用器において、送信フィルタ及び受信フィルタは、各ストリップライン共振器が電磁界結合するコムライン型のバンドパスフィルタとしたが、インダクタやキャパシタで結合させるコムライン以外の他の方式のバンドパスフィルタでも構わないし、バンドエリミネーションフィルタやローパスフィルタとしても構わない。送信フィルタ及び受信フィルタの構成に対する様々な変形は自明であり、本発明の範疇に含まれることはいうまでもない。このような変形を取り入れた実施例として、第9の実施例の積層型誘電体フィルタを送信フィルタ及び受信フィルタとして用いた積層型誘電体アンテナ共用器の実施例と、第12の参考例の変形の積層型誘電体フィルタを送信フィルタ及び受信フィルタとして用いた積層型誘電体アンテナ共用器の実施例を以下の実施例において説明する。
【0228】
(実施例4)
以下本発明の第4の実施例の積層型誘電体アンテナ共用器について図面を参照しながら説明する。図44は本発明の第4の実施例を示す積層型誘電体アンテナ共用器の分解斜視図である。前述のように、本実施例では第9の参考例の積層型誘電体フィルタを送信フィルタ及び受信フィルタとして用いている。
【0229】
送信フィルタ及び受信フィルタの構成は、誘電体シート600aと誘電体シート600f上にストリップライン共振器電極611aから611fが形成され、それぞれが幅広部612aから612fと幅狭部613aから613fよりなる。幅狭部の短絡端側は幅の広い共通接地電極616a、616bを介して接地端子となる側面電極605aから605fに接続され接地される。
【0230】
隣接するストリップライン共振器間の電界結合は、誘電体シート600cの上に形成された第2の電極641a、642a、及び誘電体シート600hの上に形成された第2の電極641b、642bにより行われる。隣接するストリップライン共振器どうしは電磁界結合すると共に、段間結合キャパシタを介して電界結合が行われ、ストリップライン共振器間の結合を電磁界結合と電界結合の組み合わせで行う。その結果、電磁界結合と電界結合の組み合わせによる共振現象によって、伝達特性に減衰極を構成することができる。
【0231】
誘電体シート600c、600hの上でストリップライン共振器電極とそれぞれ対向する領域において、第2の電極が形成された残りの領域に部分的に第3の電極643a、643bを形成し接地する。第3の電極とストリップライン共振器電極の間で構成される平行平板キャパシタは、ストリップライン共振器の共振周波数を下げる並列ローディングキャパシタとして働く。したがって、ストリップライン共振器の長さは、4分の1波長よりも短くすることができフィルタの小型化が実現できる。
【0232】
また、誘電体シート600c、600hの上でストリップライン共振器電極とそれぞれ対向する領域に形成された第4の電極602aから602dは、ストリップライン共振器電極との間で入出力結合キャパシタを構成する。第4の電極602aは受信端子となる側面電極604bに接続され、第4の電極602cは送信端子となる側面電極604cに接続され、第4の電極602b、602dはアンテナ端子となる側面電極604aに接続される。
【0233】
本実施例の積層型誘電体アンテナ共用器の構成では、2層のシールド電極層644b、644cで2枚の誘電体シート600j、600dを挟み込んで構成した分離層により上下を仕切るとともに、誘電体シート600j上にインピーダンス整合素子として電極617でインダクタが形成される。シールド電極644a、644dは、それぞれ誘電体シート600b、600iの上に全体を覆うように形成される。最上層には電極保護用誘電体シート600eを積層することにより、機械的強度が十分でない内層電極で形成されている上部シールド電極層644aを保護している。各シールド電極644aから644dは側面電極605aから605gに接続されて接地される。
【0234】
誘電体シート600aから600eとそれらの上に形成された電極で受信フィルタが構成され、誘電体シート600fから600iとそれらの上に形成された電極で送信フィルタが構成される。そして、誘電体シート600jの上に形成された電極617で構成されたインダクタがアンテナ端子とグランドの間に挿入されることにより、アンテナと送信フィルタと受信フィルタの間のインピーダンス整合をより良好にとることができる。
【0235】
以上のように、本実施例の積層型誘電体アンテナ共用器は、第2の実施例と同様の効果を得られるほかに、送信フィルタと受信フィルタに第9の参考例の積層型誘電体フィルタを用いることにより、伝達特性に減衰極を有し優れた選択特性を実現することができる。
【0236】
(実施例5)
以下本発明の第5の実施例の積層型誘電体アンテナ共用器について図面を参照しながら説明する。図45は本発明の第5の実施例を示す積層型誘電体アンテナ共用器の分解斜視図である。前述のように、本実施例では第12の参考例の変形の積層型誘電体フィルタを送信フィルタ及び受信フィルタとして用いている。
【0237】
送信フィルタ及び受信フィルタの構成は、誘電体シート650c、650e、650gと誘電体シート650n、650q、650s上にストリップライン共振器電極651aから651fが形成され、それぞれが幅広部652aから652fと幅狭部653aから653fよりなる。幅狭部の短絡端側は幅の広い接地電極654aから654fを介して接地端子となる側面電極658cから658eに接続され接地される。
【0238】
また、誘電体シート650b、650h、650m、650tの上にはストリップライン共振器電極とそれぞれ対向する入出力結合容量電極655aから655dが形成されている。入出力結合容量電極655dは受信端子となる側面電極657cに接続され、入出力結合容量電極655aは送信端子となる側面電極657bに接続され、入出力結合容量電極655b、655cはアンテナ端子となる側面電極657aに接続される。
【0239】
誘電体シート650d、650f、650p、650rの上でストリップライン共振器電極とそれぞれ対向する領域において、ローディングキャパシタ電極659a、650dが形成されている。各ローディングキャパシタ電極659a、650dは側面電極658a、658bに接続され接地される。これらのキャパシタはストリップライン共振器の共振周波数を下げる働きをする。したがって、ストリップライン共振器の長さは、SIR構造による短縮よりもさらに短くすることができフィルタの一層の小型化が実現できる。この点が第12の参考例の積層型誘電体フィルタを少し変形したところである。
【0240】
本実施例の送信フィルタ及び受信フィルタは、SIR構造で第1の伝送線路部と第2の伝送線路部の電磁界結合量を独立に設定して、伝達特性に通過帯域と減衰極を発生させる方法が取られている。ストリップライン共振器電極651a、651fは接地端の方向を揃えて上下に積層され、幅広部652aから652f及び幅狭部653aから653fはそれぞれがお互いに電磁界結合している。
【0241】
各ストリップライン間の電磁界結合量は、ストリップラインの位置を上下方向でずらすことにより調整されている。ストリップラインの幅広部と幅狭部の線路中心線を同一線上からずらすことにより、ストリップラインの幅広部どうしの電磁界結合量と幅狭部どうしの電磁界結合量をそれぞれ独立に設定することができる。この様に独立に結合量を設定することによって、減衰極の周波数を所望の周波数に持ってくるように設計できる。開放端側幅広部と接地端側幅狭部がそれぞれ電磁界結合することにより、通過帯域においてバンドパス特性を示すだけでなく、伝達特性の所望の周波数に減衰極を形成することができる。したがって、チェビシェフ特性より優れた選択特性を実現することができる。
【0242】
本実施例の積層型誘電体アンテナ共用器の構成では、2層のシールド電極層656b、656cで2枚の誘電体シート650j、650kを挟み込んで構成した分離層により上下を仕切るとともに、誘電体シート650j上にインピーダンス整合素子として電極660でインダクタが形成されている。シールド電極656a、656dは、それぞれ誘電体シート650a、650uの上に全体を覆うように形成される。最上層には電極保護用誘電体シート650vを積層することにより、機械的強度が十分でない内層電極で形成されている上部シールド電極層656dを保護している。各シールド電極656aから656dは側面電極658aから658iに接続されて接地される。
【0243】
本実施例の積層型誘電体アンテナ共用器では、誘電体シート650kから650vとそれらの上に形成された電極で受信フィルタが構成され、誘電体シート650aから650iとそれらの上に形成された電極で送信フィルタが構成される。そして、誘電体シート650jの上に形成された電極660で構成されたインダクタがアンテナ端子とグランドの間に挿入されることにより、アンテナと送信フィルタと受信フィルタの間のインピーダンス整合をより良好にとることができる。
【0244】
以上のように、本実施例の積層型誘電体アンテナ共用器は、第2の実施例と同様の効果を得られるほかに、送信フィルタと受信フィルタに第12の参考例の変形の積層型誘電体フィルタを用いることにより、伝達特性に減衰極を有し優れた選択特性を実現することができる。
【0245】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の積層型誘電体アンテナ共用器によれば、複数枚の誘電体シートと、少なくとも3層以上のシールド電極層と、少なくとも2層以上のストリップライン共振器電極層を積層して一体焼成した積層体において、一層の前記シールド電極層により上下2つの積層体部分に区切り、一方の前記積層体部分には受信フィルタを構成し、他方の前記積層体部分には送信フィルタを構成し、受信フィルタと送信フィルタを上下に積み重ねた一体構造にしたことにより、小型、薄型で低コストのアンテナ共用器を実現することができる。また、全体がシールドされた表面実装デバイス(SMD)になっており、入出力の結合素子などは全て内層電極パターンで構成されるため、外付けの部品が不要になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の参考例1の積層型誘電体フィルタの分解斜視図である。
【図2】本発明の参考例1の積層型誘電体フィルタの等価回路図である。
【図3】本発明の参考例1の積層型誘電体フィルタにおける偶モードインピーダンスステップ比と規格化された共振器線路長の関係を示すグラフである。
【図4】本発明の参考例1の積層型誘電体フィルタにおける偶モードインピーダンスステップ比と偶奇モードインピーダンス比の関係を示すグラフである。
【図5】本発明の参考例1の並行結合ストリップラインの構造パラメータに対する偶モードインピーダンスと偶奇モードインピーダンス比の関係を示すグラフである。
【図6】本発明の参考例1の積層型誘電体フィルタの伝達特性の設計値のシミュレーション結果を示すグラフであり、図6(a)は下側極を有する第1の試作フィルタの特性を示し、図6(b)は上側極を有する第2の試作フィルタの特性を示す。
【図7】本発明の参考例1の積層型誘電体フィルタの伝達特性の実測値と計算値を示すグラフであり、図7(a)は下側極を有する第1の試作フィルタの特性を示し、図7(b)は上側極を有する第2の試作フィルタの特性を示す。
【図8】本発明の参考例1の変形の積層型誘電体フィルタの分解斜視図である。
【図9】本発明の参考例2のブロック型誘電体フィルタの透視斜視図(a)と、(a)のA−A´面における断面図(b)である。
【図10】本発明の参考例3の積層型誘電体フィルタの分解斜視図である。
【図11】本発明の参考例3の積層型誘電体フィルタにおけるローディング容量と規格化された共振器線路長の関係を示すグラフである。
【図12】本発明の参考例4の積層型誘電体フィルタの分解斜視図である。
【図13】本発明の参考例4の積層型誘電体フィルタの等価回路図である。
【図14】本発明の参考例4の積層型誘電体フィルタの減衰極周波数と偶奇モードインピーダンス比の関係を示すグラフであり、(a)は下側極の場合、(b)は上側極の場合を示す。
【図15】本発明の参考例4の積層型誘電体フィルタにおける結合容量値と偶奇モードインピーダンス比及び規格化された共振器線路長の関係を示すグラフである。
【図16】本発明の参考例4の積層型誘電体フィルタにおけるローディング容量値と偶奇モードインピーダンス比及び規格化された共振器線路長の関係を示すグラフである。
【図17】本発明の参考例4の積層型誘電体フィルタの減衰極周波数と結合容量値及びローディング容量の関係を示すグラフであり、(a)は下側極の場合、及び(b)は上側極の場合を示す。
【図18】本発明の参考例1と4の積層型誘電体フィルタの伝達特性のシミュレーション結果を示すグラフであり、(a)は下側極を有する特性を示し、(b)は上側極を有する特性を示す。
【図19】本発明の参考例5のブロック型誘電体フィルタの透視斜視図(a)、及び(a)のA−A´面における断面図(b)である。
【図20】本発明の参考例6の積層型誘電体フィルタの分解斜視図(a)、及び(a)のA−A´面における断面図(b)を示す。
【図21】本発明の参考例6の積層型誘電体フィルタの等価回路図である。
【図22】本発明の参考例6の積層型誘電体フィルタの共振器電極と容量電極の電極パターンの配置透視図である。
【図23】本発明の参考例7の積層型誘電体フィルタの分解斜視図である。
【図24】本発明の参考例7の積層型誘電体フィルタの等価回路図である。
【図25】本発明の参考例8の積層型誘電体フィルタの分解斜視図である。
【図26】本発明の参考例8の積層型誘電体フィルタの等価回路図である。
【図27】本発明の参考例9の積層型誘電体フィルタの分解斜視図である。
【図28】本発明の参考例9の積層型誘電体フィルタの等価回路図である。
【図29】本発明の参考例10の積層型誘電体フィルタの分解斜視図である

【図30】本発明の参考例11の積層型誘電体フィルタの分解斜視図である

【図31】図30のA−A´面の断面図を示す。
【図32】本発明の参考例12の積層型誘電体フィルタの分解斜視図である。
【図33】図32のA−A´面の断面図(a)、及びB−B´面の断面図(b)を示す。
【図34】本発明の参考例13の積層型誘電体フィルタの分解斜視図である。
【図35】図34のA−A´面の断面図(a)、及びB−B´面の断面図(b)を示す。
【図36】本発明の参考例14の積層型誘電体フィルタの分解斜視図である。
【図37】図36のA−A´面の断面図(a)、及びB−B´面の断面図(b)を示す。
【図38】本発明の参考例14の積層型誘電体アンテナ共用器の分解斜視図である。
【図39】本発明の実施例1の積層型誘電体アンテナ共用器の等価回路図である。
【図40】本発明の実施例2の積層型誘電体アンテナ共用器の分解斜視図である。
【図41】本発明の実施例2の積層型誘電体アンテナ共用器の等価回路図である。
【図42】本発明の実施例3の積層型誘電体アンテナ共用器の分解斜視図である。
【図43】本発明の実施例3の積層型誘電体アンテナ共用器の等価回路図である。
【図44】本発明の実施例4の積層型誘電体アンテナ共用器の分解斜視図である。
【図45】本発明の実施例4の実施例の積層型誘電体アンテナ共用器の分解斜視図である。
【図46】従来例の誘電体アンテナ共用器の分解斜視図である。
【図47】従来例のブロック型誘電体フィルタの斜視図である。
【図48】従来例のコムライン型誘電体フィルタの伝達特性と反射特性を示すグラフである。
【図49】従来例の積層型LCフィルタの分解斜視図である。
【図50】従来例の積層型誘電体フィルタの分解斜視図である。
【符号の説明】
10a,10b,10c,10d,10e 誘電体シート
11a,11b ストリップライン共振器電極
12a,12b 容量電極
13a,13b シールド電極
14a,14b 入出力端子
15a,15b,15c,15d 接地端子
16 共通接地電極
17a,17b 第1の伝送線路部
18a,18b 第2の伝送線路部
21,22 入出力端子
23,24 キャパシタ
25 2端子対回路
29a,29b 容量電極

Claims (4)

  1. 複数枚の誘電体シートと、少なくとも3層以上のシールド電極層と、少なくとも2層以上のストリップライン共振器電極層を積層して一体焼成することにより積層体を構成し、少なくとも一層の前記シールド電極層により前記積層体を上下2つの積層体部分に区切り、一方の前記積層体部分には少なくとも一層の前記ストリップライン共振器電極層にて受信フィルタを構成し、他方の前記積層体部分には少なくとも一層の別の前記ストリップライン共振器電極層にて送信フィルタを構成し、それぞれ積層体の上下を前記シールド電極層を用いてシールドすることにより、前記受信フィルタと前記送信フィルタを上下に積み重ねて一体構造にした積層型誘電体アンテナ共用器。
  2. 送信端子と受信端子を異なる側面の側面電極で形成した請求項1記載の積層型誘電体アンテナ共用器。
  3. 前記ストリップライン共振器電極層はそれぞれ複数の先端短絡ストリップライン共振器で構成され、送信端子と直接結合する前記ストリップライン共振器と受信端子と直接結合する前記ストリップライン共振器の短絡端の方向をそれぞれ違う側面方向に設定した請求項1記載の積層型誘電体アンテナ共用器。
  4. 前記シールド電極層は少なくとも4層以上を有し、少なくとも2層の前記シールド電極層に複数枚の前記誘電体シートを挟み込んだで構成した分離層により前記積層体を上下2つの積層体部分に区切り、前記分離層の間の誘電体シート上にインピーダンス整合素子を電極パターンにより形成した請求項1に記載の積層型誘電体アンテナ共用器。
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